JPWO2017073664A1 - 硬化性組成物、歯科用硬化性組成物および歯科用有機無機複合粒子 - Google Patents

硬化性組成物、歯科用硬化性組成物および歯科用有機無機複合粒子 Download PDF

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Abstract

高い破壊エネルギーを有する硬化物を得ること。
(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む硬化性組成物であって、硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有し、マトリックスの弾性率Mが(A)有機無機複合粒子の弾性率Pよりも3.0GPa以上大きい硬化性組成物、これを用いた歯科用修復材、および、歯科用修復材に用いる歯科用有機無機複合粒子。

Description

本発明は、硬化性組成物、歯科用硬化性組成物および歯科用有機無機複合粒子に関する。
重合性単量体及び充填材からなる硬化性組成物は、機械的強度や操作の簡便性の観点から様々な分野で使用されている。
硬化性組成物においてフィラーの選定は重要であり、使用するフィラーの素材、形状、粒子径、及び充填量等が選定されて構成される。これらが適切に選定されることにより、最終製品の機械的強度、物理的特性、光学的特性、操作性等の諸性状が最適に調整される。
例えば、歯科用硬化性組成物は、一般に、重合性単量体(モノマー)、フィラー、及び重合開始剤を主成分として構成され、コンポジットレジン、硬質レジン、人工歯、セメント、切削加工用レジン材料等として応用されている。歯科用硬化性組成物は、取扱の容易さや生体に対する為害性の低さから歯科材料として広く使用されているが、金属やセラミック等の他の材料と比較すると、過酷な口腔内の環境において機能するための、機械的強度の点からは未だ十分なものとは言い難く、審美性や操作性等の他の物性との両立の観点からも、依然改良が必要とされている。
このような状況において、フィラーとして有機無機複合粒子が使用される場合がしばしばある。例えば、特許文献1によれば、有機無機複合粒子を用いることにより優れた表面滑沢性や耐摩耗性を維持しながら、優れた操作性のペースト状歯科用硬化性組成物を得ることができ、更に重合収縮率も少ない。この有機無機複合粒子は、微細な無機粒子を有機樹脂中に含有する複合粒子である。この有機無機複合粒子は前記微細な無機粒子と比較して、比表面積が小さい。したがって増粘作用を発現させることなく、この有機無機複合粒子を十分量配合して、ペースト状の歯科用硬化性組成物を製造できる。この方法で製造した歯科用硬化性組成物は、これを硬化させた硬化体中において、有機無機複合粒子とその周囲のマトリックスとの界面の結合が弱いため、硬化体の強度が低いことが問題であった。
特許文献2では、水銀圧入法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm/gの凝集間隙を有する有機無機複合粒子の使用が提案されている。この文献によれば、凝集間隙を有する有機無機複合粒子を用いることにより、硬化性組成物の重合性単量体が毛細管現象により進入して硬化することにより、アンカー効果が生じ、有機無機複合粒子が、該硬化性組成物の硬化体中に高い嵌合力で保持され、機械的強度が向上する。
また特許文献3では、凝集間隙を有する有機無機複合粒子を配合した歯科用硬化性組成物において、該有機無機複合粒子の有機樹脂成分が水素結合性官能基を有する重合性単量体を一定量以上含む重合性単量体成分を重合させて得たものであり、且つ、有機マトリックスを構成する重合性単量体成分として水素結合性官能基を有する重合性単量体を一定量以上配合したときに、硬化体の機械的強度が更に高い歯科用硬化性組成物が得られるとされている。
特開2000−80013号公報 国際公開第2013/039169号パンフレット 特開2015−105254号公報
最終製品の機械的強度を評価する代表的な方法としては、曲げ試験において製品に負荷された最大荷重を基に算出した応力値である曲げ強さが挙げられる。重合性単量体及び無機充填材からなる硬化性組成物を硬化することで得られる有機無機複合材料の場合、一般的に無機充填材の含有量を多くするに従って最大荷重は増大し曲げ強さは大きくなる傾向になるが、無機充填材の量が増えるに従ってバインダーとしての樹脂量が減少することによる脆性も大きくなる傾向になる。したがって、曲げ強さと破壊に対する耐性とは必ずしも一致しないと考えられる。一方、破壊するまでに材料に加えられる総エネルギーを破壊エネルギーと呼ぶ。破壊エネルギーは、応力−歪み曲線における破壊までの積分値を基に得られる数値であり、ある程度の歪みを生じる有機無機複合材料の機械的強度を評価するうえでは、むしろ重要となる場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い破壊エネルギーを有する硬化物が得られる硬化性組成物、これを用いた歯科用硬化性組成物、および、当該歯科用硬化性組成物に用いる歯科用有機無機複合粒子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、有機無機複合粒子を配合した硬化性組成物において、有機無機複合粒子以外の成分を硬化させたマトリックスに対して有機無機複合粒子の弾性率を相対的に低くすることが有効であることを見出した。そして、これにより、硬化性組成物を硬化させた硬化体中に局在的に弾性率の相対的に低い相(すなわち、有機無機複合粒子)を形成できるため、破壊エネルギーが高い硬化体を得る事が可能な硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む硬化性組成物であって、硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有し、マトリックスの弾性率Mが(A)有機無機複合粒子の弾性率Pよりも3.0GPa以上大きいことを特徴とする。
本発明の硬化性組成物の一実施形態は、(A)有機無機複合粒子の弾性率Pが0.01GPa〜12.0GPaであり、マトリックスの弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の他の実施形態は、(A)有機無機複合粒子が細孔を有しており、かつ、細孔を有する(A)有機無機複合粒子の細孔容積が0.01cm/g〜0.30cm/gであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の他の実施形態は、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の他の実施形態は、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であり、かつ、(B)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が35〜250であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の他の実施形態は、歯科用の硬化性組成物であることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、本発明の硬化性組成物からなることを特徴とする。
本発明の歯科用有機無機複合粒子は、弾性率Pが0.01GPa〜12.0GPaである(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む歯科用硬化性組成物に用いられる歯科用有機無機複合粒子であって、歯科用硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、歯科用硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有し、前記マトリックスの弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaであることを特徴とする。
本発明によれば、高い破壊エネルギーを有する硬化物が得られる硬化性組成物、これを用いた歯科用硬化性組成物、および、当該歯科用硬化性組成物に用いる歯科用有機無機複合粒子を提供することができる。
本実施形態の硬化性組成物は、(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む硬化性組成物であって、硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有する。そして、下式(1)に示すように、マトリックスの弾性率Mが(A)有機無機複合粒子の弾性率Pよりも3.0GPa以上大きいことを特徴とする。
・式(1) 弾性率M−弾性率P≧3.0GPa
ここで、硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分には、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子が少なくとも含まれていればよく、たとえば、<i>(B)〜(D)成分に加えて、(A)〜(D)成分以外のその他の成分がさらに含まれていてもよいし、あるいは、<ii>(B)〜(D)成分のみが含まれるものであってもよい。なお、<i>(B)〜(D)成分に加えて、(A)〜(D)成分以外のその他の成分がさらに含まれる場合、硬化性組成物中におけるその他の成分の配合量は特に制限されるものではないが、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、マトリックスは、(B)重合性単量体を少なくとも主成分として硬化・形成された樹脂成分と、この樹脂成分中に分散する(D)無機粒子とを含む。
(A)有機無機複合粒子の弾性率Pおよびマトリックスの弾性率Mは、以下のように測定する。すなわち、必要な成分を秤量して混練することで(A)〜(D)成分を含む本実施形態の硬化性組成物を作製する。そして、該硬化性組成物を重合・硬化させることで硬化体を作製する。次にこの硬化体の切断面をマイクロトームで研磨し、研磨後の切断面において、(A)有機無機複合粒子が存在する部分のみを測定領域として、微小硬度計により弾性率を測定して得られた弾性率を、(A)有機無機複合粒子の弾性率Pと定義する。また、硬化体の研磨後の切断面において、(A)有機無機複合粒子が存在する部分以外の部分を測定領域として、微小硬度計により弾性率を測定して得られた弾性率を、マトリックスの弾性率Mと定義する。なお、上記弾性率P、Mは、ISO14577に準拠して測定されるヤング率に相当する値であり、超微小押し込み硬さ試験機を用いて測定される。測定環境は温度23度、相対湿度50%であり、圧子形状はバーコビッチ圧子(α=65°)である。ポアソン比は硬化性組成物を硬化して得られた硬化体のポアソン比を使用する。試験荷重、荷重速度、除荷速度、最大荷重保持時間は、試験荷重2.5mN、荷重速度0.5mN/sec、除荷速度0.5mN/sec、最大荷重保持時間1秒間である。
<(A)有機無機複合粒子>
本実施形態の硬化性組成物には、(A)有機無機複合粒子が含まれる。有機無機複合粒子は、(A−1)有機樹脂と(A−2)無機粒子とを含み、(A−1)有機樹脂中に(A−2)無機粒子が分散した構造を有しており、(A−1)有機樹脂と(A−2)無機粒子とが複合化されている粒子である。
<(A−1)有機樹脂の種類>
本実施形態の硬化性組成物に用いられる(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂としては、式(1)を満たすことができるのであれば公知のものが制限なく使用でき、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれも使用する事ができるが、意匠性の観点から透明性が高い樹脂が好ましい。具体的には、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、あるいはこれらのコポリマーが好適に使用される。特に安全性や高い透明性、屈折率コントロールが容易であることから、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂が好適に使用される。
(A−1)有機樹脂としては、(A−1)有機樹脂中に(A−2)無機粒子を容易に分散させるために、(A−2)無機粒子を混合する工程においては流動性を示すものが好ましい。(A)有機無機複合粒子は、溶融状態の(A−1)有機樹脂中に(A−2)無機粒子を混合分散させて製造してもよく、あるいは、(A−1)有機樹脂を製造するために用いる(a−1)重合性単量体に(A−2)無機粒子を分散させておき、(a−1)重合性単量体を重合硬化し、必要に応じて微粒子化の処理を行うことによって、(A)有機無機複合粒子を製造しても良い。しかし、本実施形態の硬化性組成物に用いる(A)有機無機複合粒子を製造する事が容易であることから、(A)有機無機複合粒子は、(A−2)無機粒子を分散含有させた(a−1)重合性単量体を重合硬化させて得られた粒子あることが好ましい。この場合、(a−1)重合性単量体としては、アセトンやエタノールなどの有機溶媒と相溶性を有する重合性単量体が好ましい。
上記(a−1)重合性単量体としては、特に限定されず、ラジカル重合性単量体やエポキシ化合物、オキセタン化合物などのカチオン重合性単量体などが挙げられる。ラジカル重合性単量体としては、重合性の良さなどから、アクリレート、メタアクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体が好適に用いられる。当該(メタ)アクリレート系の重合性単量体を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
<(a−1)重合性単量体の種類>
(a−1−1)単官能ラジカル重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど、酸性基を有する単官能重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸などおよびこれらの化合物のカルボキシル基を酸無水物基化した化合物、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物、9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸、13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸、11−(メタ)アクリルアミドウンデカン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、10−スルホデシル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロキシプロピル−3−ホスホノプロピオネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルホスホノアセテート、4−(メタ)アクリロキシブチル−3−ホスホノプロピオネート、4−(メタ)アクリロキシブチルホスホノアセテート、5−(メタ)アクリロキシペンチル−3−ホスホノプロピオネート、5−(メタ)アクリロキシペンチルホスホノアセテート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホノアセテート、2−(メタ)アクリロキシエチル−フェニルホスホネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸、N−(メタ)アクリロイル−ω−アミノプロピルホスホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネートなど、水酸基を有する単官能重合性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
(a−1−2)二官能ラジカル重合性単量体
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクトなど、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト、たとえば、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2−4−トリメチルヘキサン;酸性基を含むものとして、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェートなどを挙げることができる。
(a−1−3)三官能ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート)などを挙げることができる。
(a−1−4)四官能ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパーンテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサメチルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサンのようなジイソシナネートの間に脂肪族を有するジイソシアネート化合物などを好適に用いることができる。
なお、(a−1)重合性単量体は、重合性の高さや(a−1)重合性単量体を用いて得られた硬化体の機械的物性が特に高くなる等の理由から、二官能以上、より好適には二官能〜四官能、最も好適には二官能の重合性単量体であるのが好ましい。
また、重合性単量体は、1種類のみを使用してもよく、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
<重合開始剤>
(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、(a−1)重合性単量体を用いて形成される場合、重合性単量体を重合硬化させるために、重合開始剤を用いるのが好ましい。一般的に、重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、光重合という)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、熱エネルギーによるもの(以下、熱重合という)等があるが、(a−1)重合性単量体の重合にはいずれの方法を用いても良い。光や熱などの外部から与えるエネルギーで重合のタイミングを任意に選択でき、操作が簡便である点から、光重合や熱重合が好ましい。採用する重合方法に応じて下記に示す各種重合開始剤を適宜選択して使用すればよい。
例えば、光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα−ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類等を使用することができる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の配合量は、(A)有機無機複合粒子を製造する際の重合活性や(A−1)有機樹脂の着色等を考慮して適宜決定すればよいが、(A−1)有機樹脂の形成に用いられる(a−1)重合性単量体100質量部に対して0.01質量部〜5質量部であることが好ましい。
<弾性率>
本実施形態の硬化性組成物では、式(1)に示したように、硬化体中の(A)有機無機複合粒子以外の部分からなるマトリックスの弾性率Mが、(A)有機無機複合粒子の弾性率Pよりも3.0GPa以上大きいことが必要であり、5GPa以上が好ましく、6GPa以上がより好ましく、7GPa以上がさらに好ましい。なお、弾性率差Δ(弾性率M−弾性率P)の上限は特に限定されないが、実用上は、18GPa以下が好ましい。弾性率M、Pが式(1)を満たす場合、高い破壊エネルギーを有する硬化物が得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察している。すなわち、本実施形態の硬化性組成物を硬化させた硬化物中には、マトリックスに対して相対的に弾性率の低い(A)有機無機複合粒子が硬化体中に多数分散しているため、硬化物に応力が加えられた際に、各々の(A)有機無機複合粒子が、負荷された応力を系中に効果的に分散させるためと考えられる。また、上述した効果を得るためには、弾性率M、Pが式(1)を満たすように、(A)有機無機複合粒子と、マトリックスを形成する組成(すなわち、硬化性組成物中の(A)有機無機複合粒子を除く成分、言い換えれば(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を少なくとも含む成分)とを調製すればよい。
また、式(1)を満たした上で、さらには(A)有機無機複合粒子の弾性率Pは0.01GPa〜12.0GPaであることが好ましく、マトリックスの弾性率Mは、6.0GPa〜30.0GPaであることが好ましい。式(1)を満たし、かつ、弾性率Pが0.01GPa〜12.0Paである(A)有機無機複合粒子を調製することによって、本実施形態の硬化性組成物の硬化体に応力が加わっても、応力が効果的に分散されるため、硬化体の破断エネルギーをより一層高めることができる。式(1)を満たし、かつ、弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaを示すマトリックスが得られるように硬化性組成物中の(A)有機無機複合粒子以外の成分を調製することによって、本実施形態の硬化性組成物の硬化体の脆さを抑制できるため、硬化体の破断エネルギーをより一層高めることができる。なお、弾性率Pは、1.0GPa〜8.5GPaがより好ましく、1.5GPa〜5.0GPaがさらに好ましい。弾性率Mは、10GPa〜22GPaがより好ましく、14GPa〜20GPaがさらに好ましい。
弾性率P、Mの制御は、硬化性組成物を構成する各成分を適宜調製すればよく、弾性率P、Mの制御方法は、特に制限されない。(A)有機無機複合粒子の弾性率Pを調整する方法としては、(A−1)有機樹脂の架橋密度の制御、あるいは、(A−2)無機粒子の含有量の調整によって行うのが好ましい。この場合、(A−1)有機樹脂の架橋密度の制御する場合は、架橋密度が高いほど、あるいは、(A−2)無機粒子の含有量を調整する場合は無機粒子の含有量が多いほど、弾性率Pが高くなり、架橋密度が低いほど、あるいは、(A−2)無機粒子の含有量が少ないほど、弾性率Pは低くなる。
(A−1)有機樹脂の架橋密度は架橋点の数によって決定される。このため、(a−1)重合性単量体を原料として製造される(A−1)有機樹脂の場合、(a−1)重合性単量体を構成する重合性官能基が架橋点となる。よって、(a−1)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つあたりの分子量は弾性率Pを決定する指標となる。すなわち、(a−1)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が大きい場合、弾性率Pは小さくなり、重合性官能基1つ当たりの分子量が小さい場合、弾性率Pは大きくなる。
ここで、本願明細書において、「重合性官能基1つ当たりの分子量」とは、重合性単量体の分子量をMとし、重合性単量体の1分子中に含まれる重合性官能基の数をn(nは1以上の整数)とした場合において、M/nで表される値である。また、2種類以上の重合性単量体を混合して用いる場合、「重合性官能基1つ当たりの分子量」とは、各々の種類の重合性単量体における重合性官能基1つ当たりの分子量の加重平均値を意味する。また、(a−1)重合性単量体および後述する(B)重合性単量体を構成する重合性官能基としては、重合性を示す官能基であれば特に制限されないが、たとえば、ビニル基、スチリル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。なお、(a−1)重合性単量体および後述する(B)重合性単量体としては、分子内に含まれる重合性官能基の数が1以上の重合性官能基であればいずれも利用でき、分子内に含まれる重合性官能基の数が1である単官能(1官能)重合性単量体を用いてもよいが、架橋構造の形成が容易なことから分子内に含まれる重合性官能基の数は2以上(多官能重合性単量体)が好ましく、さらに入手容易性などの実用上の観点からは分子内に含まれる重合性官能基の数は2(2官能重合性単量体)が最も好ましい。それゆえ、(a−1)重合性単量体および後述する(B)重合性単量体としては、2官能重合性単量体のみを用いることが好ましいが、2官能重合性単量体とp官能重合性単量体(但し、pは1または3以上の整数)とを混合して用いる場合は、全重合性単量体に占める2官能重合性単量体の割合は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
ここで、(A)有機無機複合粒子の弾性率Pを0.01GPa〜12.0GPaの範囲内に調整するためには、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であることが好ましく、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が265〜450である(a−1)重合性単量体の硬化体であることがより好ましく、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が350〜450である(a−1)重合性単量体の硬化体であることがさらに好ましい。
このような分子量を単体でもつ(a−1)重合性単量体を例示すれば、ノナエチレングリコールジメタクリレート(分子量536、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量268)、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(分子量736、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量368)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO10mol)(分子量804、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量402)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO17mol)(分子量1112、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量556)、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート(分子量1114、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量557)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(分子量708、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量354)、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO10mol)(分子量776、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量388)、ポリプロピレングリコール#650ジアクリレート(分子量758、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量379)、が挙げられる。なお、本願明細書において、「EO」とは、重合性単量体分子中に含まれる繰り返し単位:−(CHCHO)−を意味し、括弧内に示されるEOのmol数は、重合性単量体1mol当たりのmol数を意味する。(a−1)重合性単量体として、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が互いに異なる2種類以上の重合性単量体を用いる場合、各々の種類の重合性単量体の分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量の加重平均値が230〜1000となるように、より好ましくは265〜450となるように、さらに好ましくは350〜450となるように、2種類以上の重合性単量体をブレンドして用いることが好ましい。なお、本願明細書において分子量は、質量分析法で測定した値を用いる。
<(A−2)無機粒子>
(A)有機無機複合粒子を構成する(A−2)無機粒子の材質は特に制限がなく、従来の硬化性組成物にフィラーとして使用されている無機粒子であれば、いずれも用いることができる。具体的には、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属から選ばれる金属の単体、これらの金属の酸化物や複合酸化物、フッ化物、炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、水酸化物、塩化物、亜硫酸塩、燐酸塩等からなる金属塩、これらの金属塩の複合物等が挙げられる。好適には、非晶質シリカ、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム等の金属酸化物、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−チタニア−ジルコニア等のシリカ系複合酸化物、ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、フッ化イッテルビウム等の金属フッ化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩等が採用される。
これらのうち、金属酸化物及びシリカ系複合酸化物は、緻密な材質にするために、高温で焼成されたものが好ましい。その効果を向上させるために、ナトリウム等の少量の周期律表第I族金属の酸化物を含有させることが好ましい。
上記材質の無機粒子の内、シリカ系複合酸化物粒子は、屈折率の調整が容易である。更に、粒子表面にシラノール基を多量に有するため、シランカップリング剤等を用いて表面改質が行い易いため、特に好ましい。
上記例示した、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−チタニア−ジルコニア等の粒子は、強いX線造影性を有しているので好適である。更には、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られるので、シリカ−ジルコニア粒子が最も好ましい。
(A)有機無機複合粒子を構成する(A−2)無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、(A)有機無機複合粒子よりも小さい粒子径であれば特に制限されないが、得られる硬化性組成物の硬化体の、光沢性および機械的強度を高くできる観点から、10nm〜1000nmであることが好ましく、40nm〜800nmがより好ましく、50nm〜600nmが最もより好ましい。また、(A−2)無機粒子の形状は、球形状であるのが、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れた硬化性組成物の硬化体が得られることから、特に好適に用いられる。
なお、本願明細書において、(A−2)無機粒子の平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡の撮影像から、一次粒子径の円相当径(対象粒子の面積と同じ面積を持つ円の直径)を画像解析により測定したものをいう。測定に用いる電子顕微鏡撮影像としては、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できるものを使用し、画像解析の方法としては、少なくとも粒子の面積、粒子の最大長、最小長の計測が可能な画像解析ソフトを用いて行う。ここで、(A−2)無機粒子の一次粒子の平均粒子径および平均均斉度は、上述した電子顕微鏡および画像解析により得られた個々の粒子の一次粒子径を用いて、下記式によって算出する。
Figure 2017073664
Figure 2017073664
なお、平均粒子径を求める式および平均均斉度を求める式中、iは1以上の整数、nは、測定対象とした粒子のサンプリング数(観察された粒子の数)である。また、平均均斉度を求める式中、Liは、i番目の粒子の最大長(長径)、Biは、i番目の粒子における長径Liに直交する方向の径(最小長、短径)である。平均粒子径および平均均斉度を算出する場合、40個の粒子をサンプリングして測定を行う。
<(A−2)無機粒子の製造方法>
これらの(A−2)無機粒子は、公知の如何なる方法により製造される無機粒子であっても良い。例えば、無機酸化物や複合酸化物などであれば、湿式法、乾式法、ゾルゲル法のいずれの方法で製造されたものであっても良い。形状が球状で、単分散性に優れる微細粒子を工業的に製造する上で有利である点、さらには屈折率の調整や、X線造影性を付与することが容易である点を考慮すると、(A−2)無機粒子は、ゾルゲル法によって製造されたものであることが好ましい。
(A−2)無機粒子として、ゾルゲル法により球状のシリカ系複合酸化物粒子を製造する方法としては、例えば特開昭58‐110414号公報、特開昭58−151321号公報、特開昭58−156524号公報、特開昭58−156526号公報等に開示された製造方法が利用できる。
この製造方法においては、まず加水分解可能な有機ケイ素化合物を含む原料溶液、あるいはこれに更に加水分解可能なケイ素以外の金属を含む有機金属化合物を加えた混合溶液からなる原料溶液を用意する。次に、原料溶液中に含まれる有機ケイ素化合物および有機金属化合物は溶解するが、生成物である無機酸化物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に原料溶液を添加して、加水分解処理することで、無機酸化物を析出させ、該析出物を濾別した後、析出物を乾燥する。
この様な方法で得られる無機粒子は、表面安定性を付与する為に、乾燥後500℃〜1000℃の温度で焼成されても良い。焼成に際しては、無機粒子の一部が凝集して凝集粒子を形成する場合がある。この場合は、ジェットミル、振動ボールミル等を用いて凝集粒子を一次粒子に解きほぐし、更に粒度を所定範囲に調整してから、使用することが好ましい。この様な処理を経て得られた(A−2)無機粒子を用いた本実施形態の硬化性組成物では、その硬化体の研磨性等が向上する。このため、本実施形態の硬化性組成物を歯科用硬化性組成物として用いる上で、より好適である。なお、(A−2)無機粒子は、平均粒子径、材質、形状が異なる、複数の無機粒子の混合物を用いても良い。
<(A−2)無機粒子の表面処理>
(A)有機無機複合粒子に使用する(A−2)無機粒子は、(a−1)重合性単量体に対する濡れ性を向上させるために、疎水化剤により表面処理することが好ましい。
疎水化剤としては従来公知のものが何ら制限なく使用される。好適な疎水化剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤などが挙げられる。
(A−2)無機粒子の疎水化に用いる疎水化剤の使用量に特に制限はなく、好適な疎水化剤の使用量を例示すれば、(A−2)無機粒子100質量部に対して、上記疎水化剤1質量部〜30質量部である。
表面処理方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用される。代表的な処理方法を例示すれば、(A−2)無機粒子と疎水化剤とを、適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合し、エバポレーターや風乾で乾燥した後、50℃〜150℃に加熱する方法がある。更に、(A−2)無機粒子及び疎水化剤をアルコール等の溶媒中で数時間程度加熱還流する方法がある。更に、粒子表面に疎水化剤をグラフト重合させる方法等がある。
上記表面処理は、(A−2)無機粒子に行っても良いし、(A−2)無機粒子を凝集させた無機凝集粒子に行っても良い。噴霧乾燥法により無機凝集粒子を製造する場合は、この処理時に、同時に表面処理を行うことが効率的である。無機凝集粒子の製造方法については後述する。
<(A−1)有機樹脂と(A−2)無機粒子との配合比>
(A)有機無機複合粒子において、(A−1)有機樹脂の含有量は、硬化性組成物の硬化体の破壊エネルギーを高くすると共に、(A−2)無機粒子が(A−1)有機樹脂中に分散しやすいことから、(A−2)無機粒子100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜25質量部がより好ましい。なお、(A)有機無機複合粒子中の(A−1)有機樹脂の含有量は、示差熱−熱重量同時測定を行った際の重量減少量より求めることができる。
<(A)有機無機複合粒子の粒径>
(A)有機無機複合粒子の粒径に制限はないが、高い破壊エネルギーを有する硬化体が得られやすいことから、(A)有機無機複合粒子の平均粒子径は1μm〜50μmであることが好ましく、7μm〜16μmであることがより好ましい。(A)有機無機複合粒子の平均粒子径を上述した範囲内とすることで、硬化性組成物の粘稠性の増大および不均一化が抑制されることで、硬化性組成物の操作性が向上し、硬化性組成物中に気泡が混入等する操作上のトラブルにより硬化体の破壊エネルギーの低下を防止できる。(A)有機無機複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折−散乱法による粒度分布をもとにして求めるメディアン径として計測される。測定に供するサンプルは、0.1gの(A)有機無機複合粒子をエタノール10mLに均一に分散させて調製する。
<(A)有機無機複合粒子の形状>
(A)有機無機複合粒子の形状としては特に制限がないが、本実施形態の硬化性組成物の硬化体に応力が加えられた際に(A)有機無機複合粒子表面で応力が均一に分散されることによって、硬化体の破壊エネルギーを高くすることが容易であることから、球状もしくは略球状である事が好ましい。なお、ここでいう略球状とは、走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる(A)有機無機複合粒子表面の平均均斉度が0.6以上であることを意味する。なお、平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。平均均斉度は、走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡を用いて測定される。具体的には、(A)有機無機複合粒子の撮影像を画像解析することにより、(A)有機無機複合粒子の最大長、最小長から平均均斉度を求める。電子顕微鏡による撮影像としては、明暗が明瞭で、粒子の輪郭を判別できるものを使用する。画像解析は、少なくとも粒子の最大長、最小長の計測が可能な、画像解析ソフトウェアを用いて行う。無作為に選択した100個の(A)有機無機複合粒子について上記の方法で各粒子の最大長、最小長を求め、(A)有機無機複合粒子の平均均斉度を下記式によって算出する。
Figure 2017073664
上記式において、iは1以上の整数、nは、測定対象とした粒子のサンプリング数である。また、Liは、i番目の粒子の最大長(長径)、Biは、i番目の粒子における長径Liに直交する方向の径(最小長、短径)である。
<(A)有機無機複合粒子の細孔容積>
(A)有機無機複合粒子は、細孔を有する多孔質な粒子であってもよく、非多孔質な粒子(稠密な構造を有する粒子)であってもよい。(A)有機無機複合粒子が、細孔を有する場合、(A)有機無機複合粒子は、少なくとも粒子の表面近傍に細孔を有していることが好ましく、粒子全体が細孔を有していてもよい。たとえば、(A−2)無機粒子の凝集体からなる無機凝集粒子の凝集間隙に(a−1)重合性単量体を浸透させた後、(a−1)重合性単量体を重合・硬化させることで、細孔を有する(A)有機無機複合粒子を得ることができる。このような細孔を有する(A)有機無機複合粒子を用いた硬化性組成物により、より一層高い破壊エネルギーを有する硬化体を得るためには、細孔を有する(A)有機無機複合粒子の細孔容積は0.01cm/g〜0.30cm/gであることが好ましく、0.03cm/g〜0.20cm/gであることがより好ましく、0.05cm/g〜0.15cm/gがさらに好ましい。
細孔容積が0.01cm/g〜0.30cm/gである細孔を有する(A)有機無機複合粒子を用いた硬化性組成物では、この細孔に、硬化性組成物に含まれる(B)重合性単量体が毛細管現象により浸入して硬化することにより、アンカー効果が生じる。このため、細孔を有する(A)有機無機複合粒子は、硬化性組成物の硬化体中に高い篏合力で保持され、硬化体の機械的強度が向上するものと推察される。また、これに加えて、細孔を有する(A)有機無機複合粒子は、少なくとも粒子表面近傍に細孔が形成されているため、硬化体中において、細孔を有する(A)有機無機複合粒子と、細孔を有する(A)有機無機複合粒子の周囲に存在するマトリックスとの界面面積が拡大する。このため硬化体に負荷された応力がより効果的に分散し、硬化体の破壊エネルギーがさらに向上すると考えられる。なお、本願明細書において、「細孔」とは窒素吸着法で測定できる細孔径が1nm〜500nmの範囲の孔を意味する。また、細孔容積は、窒素吸着によるBET法で測定した等温吸着曲線からBJH法により細孔径分布を計算することによって求めることができる。
<有機無機複合粒子の製造方法>
本実施形態の硬化性組成物に使用される(A)有機無機複合粒子の製造方法は特に限定されず、任意に選択する事ができる。例えば、液状の(A−1)有機樹脂中に(A−2)無機粒子を分散混合させ、固化することによって塊状の有機無機複合体を調製した後、これを粉砕、分級することによっても得る事が出来るし、(a−1)重合性単量体中に(A−2)無機粒子を分散混合させ、重合硬化することによって塊状の有機無機複合体を調製した後、これを粉砕、分級することによっても得る事が出来るし、あるいは、(A−2)無機粒子の凝集体からなる無機凝集粒子に(a−1)重合性単量体を含浸させたのちに、固化あるいは重合硬化することによっても得る事が出来る。(a−1)重合性単量体を無機凝集粒子に浸入させる方法としては、重合性単量体溶液中に無機凝集粒子を浸漬する方法が挙げられる。重合性単量体溶液に含有される有機溶媒としては、公知の溶媒が制限なく使用可能であるが、溶媒の除去が容易になるように高い揮発性を有していること、容易に入手でき安価であること、製造の際に人体への安全性が高いなどの観点から、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒や、アセトン、ジクロロメタンなどを用いるのが好ましい。重合性単量体溶液に含有させる重合開始剤は、前述した重合開始剤と同じものが使用できる。使用する重合開始剤としては、外部から与えるエネルギーで重合のタイミングを任意に選択でき、操作が簡便である点では、光重合開始剤または熱重合開始剤が好ましく、遮光下や赤色光下などの作業環境の制約無しに使用できる点では、熱重合開始剤がより好ましい。前記重合性単量体溶液に無機凝集粒子を浸漬させる場合、一般的に常温常圧下で実施するのが好ましい。無機凝集粒子と重合性単量体溶液との混合割合は、(A)有機無機複合粒子中において(A−2)無機粒子100質量部に対して(A−1)有機樹脂が1質量部〜40質量部の配合割合となるように、無機凝集粒子100質量部に対して、重合性単量体溶液30質量部〜500質量部が好ましく、50質量部〜200質量部がより好ましい。無機凝集粒子内に十分に重合性単量体を浸入させるため、無機凝集粒子と重合性単量体溶液とを混合した混合物は、混合後に静置することが好ましい。静置温度は特に制限はないが、通常は室温である。静置時間は30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。無機凝集粒子の凝集間隙に重合性単量体溶液が浸入することを促進するために、重合性単量体溶液と無機凝集粒子との混合物を、振とう撹拌、遠心撹拌、加圧、減圧、加熱しても良い。
重合性単量体溶液を無機凝集粒子の凝集間隙に浸漬した後、重合性単量体溶液から有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去においては、無機凝集粒子に浸入している有機溶媒の実質的全量(通常、95質量%以上)を除去する。視覚的には、無機凝集粒子が互いに粘着して形成する凝固物が無くなり、流動状態の粉体が得られるまで除去を行えばよい。有機溶媒の除去操作は、公知の如何なる乾燥操作を行っても良いが、乾燥時間を短くするために、減圧下で加熱乾燥を行なう方法が好ましい。減圧度や乾燥温度は、除去する有機溶媒の揮発性や沸点を考慮して適宜選択すればよい。有機溶媒を除去した後、重合性単量体を重合硬化させることで(A)有機無機複合粒子を調製する。なお、所定の細孔容積を有する(A)有機無機複合粒子は、公知の方法(例えば、国際公開第2013/039169号パンフレット等)に従い製造することができる。
<(A)有機無機複合粒子の表面処理>
(A)有機無機複合粒子は、表面処理が実施されても良い。表面処理が実施されることにより、この有機無機複合粒子を配合した硬化性組成物の硬化体に、より高い機械的強度が与えられる。表面処理に用いる疎水化剤や表面処理方法は、前述した(A−2)無機粒子の表面処理と同様である。
<(A)有機無機複合粒子の硬化性組成物中の配合量>
(A)有機無機複合粒子の硬化性組成物中における配合量は、(B)重合性単量体100質量部に対して、50質量部〜500質量部である事が好ましく、100質量部〜300質量部である事が好ましい。このような配合量とすることで、本実施形態の硬化性組成物の硬化体に対して負荷された応力をより効果的に分散させることができるため、破壊エネルギーをさらに向上させること容易になる。
<(B)重合性単量体>
本実施形態の硬化性組成物に用いられる(B)重合性単量体は、(A)有機無機複合粒子の周囲を囲うように存在するマトリックスを形成する主要成分であり、公知の重合性単量体を用いる事が出来る。(B)重合性単量体としては、(A−1)有機樹脂の形成に用いられる(a−1)重合性単量体と同種のものが使用できる。また、(B)重合性単量体は、1種類のみを使用してもよく、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態の硬化性組成物を硬化させた硬化体中において、(A)有機無機複合粒子以外の部分を構成するマトリックスの弾性率Mは、(A)有機無機複合粒子の弾性率Pに対して、3.0GPa以上大きいことが必要であり、5GPa以上が好ましく、6GPa以上がより好ましく、7GPa以上がさらに好ましい。なお、弾性率差Δ(弾性率M−弾性率P)の上限は特に限定されないが、実用上は、18GPa以下が好ましい。弾性率M、Pは、硬化性組成物を構成する各成分の種類、配合量によって適宜調製すればよく、調製方法は特に制限されない。
上記マトリックスの弾性率Mを調整する方法としては、該マトリックスを構成する樹脂成分の架橋密度を制御する方法、あるいは、(D)無機粒子の含有量を調整する方法を採用することが好ましい。マトリックスを構成する樹脂成分の架橋密度を制御する場合は、架橋密度が高いほど、あるいは、(D)無機粒子の含有量を調整する場合は、(D)無機粒子の含有量が多いほど、弾性率Mが高くなり、架橋密度が低いほど、あるいは、(D)無機粒子の含有量が少ないほど、弾性率Mは低くなる。
マトリックスを構成する樹脂成分の架橋密度は架橋点の数によって決定される。このため、(B)重合性単量体を原料として形成される樹脂成分においては、(B)重合性単量体を構成する重合性官能基が架橋点となる。よって、(B)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つあたりの分子量は弾性率Mを決定する指標となる。すなわち、(B)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つあたりの分子量が大きい場合、弾性率Mは小さくなり、重合性官能基1つあたりの分子量が小さい場合、弾性率Mは大きくなる。
ここで、マトリックスの弾性率Mを6.0GPa〜30.0GPaの範囲内に調整するためには、マトリックスを構成する樹脂成分が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が265未満である(B)重合性単量体の硬化体であることが好ましく、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が35〜250である(B)重合性単量体の硬化体であることがより好ましく、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が100〜210である(B)重合性単量体の硬化体であることがさらに好ましく、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が160〜210である(B)重合性単量体の硬化体であることが特に好ましい。
このような分子量を単体でもつ(B)重合性単量体を例示すれば、トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量286、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量143)、2,2−ビス[4(− ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル] プロパン)(分子量513、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量257)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO2.6mol)(分子量478、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量239)、1,6− ビス(メタクリロイルオキシ−2− エトキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン(分子量470、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量235)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(分子量226、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量113)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(分子量254、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量127)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(分子量332、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量166)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338、重合性官能基の数3、重合性官能基1つあたりの分子量113)、が挙げられる。(B)重合性単量体として、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が互いに異なる2種類以上の重合性単量体を用いる場合、各々の種類の重合性単量体の分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量の加重平均値が265未満、より好ましくは35〜250、さらに好ましくは100〜210、最も好ましくは160〜210となるように2種類以上の重合性単量体をブレンドして用いることが好ましい。
<(C)重合開始剤>
本実施形態の硬化性組成物には、(C)重合開始剤が、(B)重合性単量体の重合硬化を促進するために添加される。(C)重合開始剤としては、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂を形成する際に、(a−1)重合性単量体の重合に用いられる重合開始剤と同種のものが使用できる。また、(C)重合開始剤は、1種類のみを使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。(C)重合開始剤の配合量は、重合活性や硬化体の着色等を考慮して適宜決定すればよいが、(B)重合性単量体100質量部に対して0.01質量部〜5質量部であることが好ましい。
<(D)無機粒子>
本実施形態の硬化性組成物には、硬化体の耐摩耗性の向上、機械的物性の向上、熱膨張係数の低減、吸水性の低減、および、溶解性の低減等の観点から(D)無機粒子が配合される。(D)無機粒子は(B)重合性単量体中に分散している。(B)重合性単量体および(D)無機粒子は、硬化性組成物が硬化した後において、(A)有機無機複合粒子を取り巻くマトリックスを構成している。また、(D)無機粒子の配合量は、マトリックスの弾性率Mに影響している。
(D)無機粒子としては、公知の無機粒子が制限なく使用できる。(D)無機粒子としては、前述した(A)有機無機複合粒子を構成する(A−2)無機粒子と同じものが使用できる。このうち、シリカとジルコニア、シリカとチタニア、またはシリカと酸化バリウムとを主な構成成分とする複合酸化物が、高いX線造影性を有するため好ましく使用される。また、(D)無機粒子の形状は、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れた硬化性組成物の硬化体が得られることから、球形状であることが特に好ましい。(D)無機粒子の平均粒子径は、0.001μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜0.5μmであることが、硬化体の耐摩耗性、表面滑沢性、および、光沢持続性の観点からより好ましい。
(D)無機粒子の配合量は、目的に応じて選択すればよいが、マトリックスの弾性率Mを6.0GPa〜30.0GPaに調製することが容易であることから、(B)重合性単量体100質量部に対して通常50質量部〜500質量部の割合で使用されることが好ましく、100質量部〜300質量部の割合で使用されることがより好ましい。
本実施形態の硬化性組成物を硬化して得られた硬化体の破壊エネルギー等の機械的強度をより一層高めるために、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であり、かつ、(B)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が35〜250であることが好ましい。(a−1)重合性単量体および(B)重合性単量体としては、公知の重合性単量体を用いる事ができ、既述したように、(a−1)重合性単量体の具体例として例示したものの中から適宜選択することができる。(a−1)重合性単量体および(B)重合性単量体は、各々、1種類のみを使用してもよく、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
<その他の任意成分>
本実施形態の硬化性組成物には、(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤、および(D)無機粒子のほかに、必要に応じてその他の成分がさらに含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、(A)〜(D)成分以外の充填材、重合禁止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤などが挙げられる。また、(A)有機無機複合粒子は、(A−1)有機樹脂および(A−2)無機粒子を少なくとも含むものであればよいが、これら以外にも、上述したその他の成分が必要に応じてさらに含まれていてもよい。
<硬化性組成物の調製方法>
本実施形態の硬化性組成物は、(A)〜(D)成分のみ、あるいは、(A)〜(D)成分および必要に応じて用いられるその他の成分を、所定量秤量して十分に混練することペースト状の混練物を得た後、さらにこの混練物を脱泡して気泡を除去することによって得る事が出来る。
<硬化性組成物、その硬化体および硬化性組成物に用いる有機無機複合粒子の用途>
本実施形態の硬化性組成物およびこれを硬化して得られる硬化体の用途は特に限定されず、機械部品、接着材、シーリング材等に使用する事が可能である。しかしながら、本実施形態の硬化性組成物では、高い破壊エネルギーを有する硬化体が得られやすいことから、本実施形態の硬化性組成物およびこれを硬化して得られる硬化体は、特に歯科用途/歯科材料として用いることが好適である。ここで、本実施形態の硬化性組成物からなる歯科用硬化性組成物は、コンポジットレジン、セメント等の歯科用修復材、あるいは、各種の歯科用補綴物(硬質レジン、人工歯、切削加工用レジン材料等)作製用の原料組成物として利用できる。
本実施形態の硬化性組成物を、歯科用硬化性組成物として用いる場合、その硬化物は、通常、口腔内において長期に渡って使用される。すなわち、歯科材料として利用される硬化物には、噛み合わせ時に繰り返し加わる応力に対する機械的強度・耐久性、唾液等の水分に対する耐水性、ならびに、生体安全性等が求められる。歯科材料として利用される硬化性組成物には、歯科治療時の口腔内での作業を容易にして歯科医師、歯科技工士や患者の負担を減らすために、優れた作業性が求められる。それゆえ、機械的強度・耐久性の確保という観点で、(D)無機粒子の配合量は、(B)重合性単量体100質量部に対して、50質量部〜500質量部の割合で使用されることが好ましく、100質量部〜300質量部の割合で使用されることが好ましい。また、(A)有機無機複合粒子と(D)無機粒子の合計の配合量は、(B)重合性単量体100質量部に対して、100質量部〜1000質量部の割合で使用されることが好ましく、200質量部〜600質量部の割合で使用されることが好ましい。また、生体安全性の観点から、(B)重合性単量体を構成する重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基のみからなることが好ましく、この点は、(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、(a−1)重合性単量体を用いて形成される場合についても同様である。
また、口腔内に配置された歯科用硬化性組成物の硬化体に対して繰り返し加わる応力に対する機械的強度・耐久性、唾液等の水分に対する耐水性の確保の観点からは、(B)重合性単量体を構成する重合性官能基の1分子当たりの数は、重合時に架橋することができる2つ以上であることが好ましい。また、歯科用硬化性組成物の硬化体の脆さが軽減されることから、(B)重合性単量体としては、2官能重合性単量体のみを用いるか、あるいは、2官能重合性単量体とp官能重合性単量体(但し、pは1または3以上の整数)との混合物を用いることが好ましい。なお、これらの点は(A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、(a−1)重合性単量体を用いて形成される場合についても同様である。
また、歯科治療時の口腔内での作業が容易となる観点から、特に本実施形態の硬化性組成物をコンポジットレジンあるいは硬質レジンとして用いる場合、(C)重合開始剤としては光重合開始剤を用いることが好ましく、(D)無機粒子としてはシランカップリング剤による表面改質が行い易いためシリカ系複合酸化物が好ましく、X線造影性を有していることからジルコニア、バリウム、イッテルビウム等の重金属元素を含む複合酸化物であることが好ましい。本実施形態の硬化性組成物の硬化物を切削加工用レジン材料として用いる場合、重合深度が深く内部まで確実に硬化させることができることから(C)重合開始剤としては熱重合開始剤を用いることが好ましく、特に過酸化物からなる熱重合開始剤を用いることが好ましい。歯科用の硬質レジンや切削加工用レジン材料は、比較的高い咬合圧が負荷される部位や比較的大きな欠損の修復に使用される場合が多いことから、高い破壊エネルギーが必要とされるため、本実施形態の硬化性組成物の用途として特に好ましい。本実施形態の硬化性組成物をセメントとして用いる場合、口腔内で使用することができ重合深度が深く内部まで確実に硬化させることができることから(C)重合開始剤としては2種類以上の成分の組み合わせからなる化学重合開始剤を用いることが好ましい。この場合、セメントは、化学重合開始剤を構成する少なくとも1種の成分を含む第1剤と、化学重合開始剤を構成する残余の成分を含む第2剤とから構成され、セメントの使用に際しては、第1剤と第2剤とが混合される。
また、本実施形態の硬化性組成物に用いられる(A)有機無機複合粒子は、歯科用有機無機複合粒子として用いることが好適である。この場合、歯科用有機無機複合粒子は、本実施形態の硬化性組成物からなる歯科用硬化性組成物(特に、歯科用修復材)に用いられ、さらに、歯科用有機無機複合粒子((A)有機無機複合粒子)の弾性率Pが0.01GPa〜12.0Paであり、かつ、硬化性組成物中の(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスの弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaであることが好ましい。上述した歯科用有機無機複合粒子を用いた歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化体では、高い破壊エネルギーを有する。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例および比較例において用いられる材料、試験方法等を以下に示す。
<(B)重合性単量体>
BMPEPP10:2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO10mol)(分子量804、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量402)
BMPEPP2.6:2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(EO2.6mol)(分子量478、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量239)
UDMA:1,6−ビス(メタクリロイルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン(分子量470、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量235)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量286、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量143)
bis−GMA:2,2−ビス[4(−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン)(分子量513、重合性官能基の数2、重合性官能基1つあたりの分子量257)
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338、重合性官能基の数3、重合性官能基1つあたりの分子量113)
<(C)重合開始剤>
BPO: ベンゾイルパーオキサイド
CQ: カンファーキノン
DMBE: ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
<(D)無機粒子(およびその無機凝集粒子)>
D−1:平均粒子径0.15μmの球状シリカジルコニアのγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン処理物(無機凝集粒子は、多数の無機粒子D−1が凝集した凝集体)
なお、無機粒子D−1(およびその無機凝集粒子)は以下の手順で作製した。まず、平均粒子径0.15μmの球状シリカジルコニア100gを200gの水に加え、SCミル(三井鉱山(株)製)を用いて、球状シリカジルコニアを分散させた無機粒子分散液を得た。次いで、4gのγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランと0.003gの酢酸とを80gの水に加え、1時間30分間撹拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を前記無機粒子分散液に添加し、均一に混合することで無機粒子D−1を分散させた混合液を得た。無機粒子D−1を分散させた混合液を軽く撹拌しながら、噴霧乾燥器スプレードライヤーTSR−2W(坂本技研(株)製)で乾燥した。乾燥雰囲気空気の温度は200℃であった。乾燥により得られた固形物を60℃18時間真空乾燥した。これにより、無機粒子D−1が凝集した状態の噴霧乾燥凝集体(無機凝集粒子)を得た。なお、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体は、他の成分と混練する際に加わるせん断力によって、凝集した状態の無機粒子D−1が個々の独立した一次粒子にまで容易に解砕されるものである。
(1) 弾性率
超微小押し込み硬さ試験機により測定を行った。温度23℃、相対湿度50%の測定環境において、バーコビッチ圧子(α=65°)を用いて試験を行った。ポアソン比は硬化性組成物を硬化して得られた硬化体のポアソン比を使用した。試験荷重2.5mN、荷重速度0.5mN/sec、除荷速度0.5mN/sec、最大荷重保持時間1秒間の条件で試験を行い、押し込み弾性率を求めた。
(2)細孔容積の測定方法
試料セルに有機無機複合粒子を1.0g入れ、前処理装置(「バッキュプレップ061」株式会社島津製作所製)を用いて、120℃で3時間、真空排気により前処理を行った。その後、吸着ガスとして窒素、冷媒として液体窒素を用いて、ガス吸着法細孔分布測定装置(「トライスターII3020」株式会社島津製作所製)により、細孔径1nm〜500nmの範囲の孔の細孔容積を求めた。
(製造例1)
BMPEPP10を100質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体430質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(1)を調製した。この有機無機複合粒子A(1)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.10cm/gであった。
(製造例2)
BMPEPP10を50質量部と、UDMAを50質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体430質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(2)を調製した。この有機無機複合粒子A(2)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.10cm/gであった。
(製造例3)
UDMAを50質量部と、TEGDMAを20質量部と、BMPEPP10を30質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体430質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(3)を調製した。この有機無機複合粒子A(3)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.10cm/gであった。
(製造例4)
BMPEPP2.6を100質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体430質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(4)を調製した。この有機無機複合粒子A(4)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.10cm/gであった。
(製造例5)
BMPEPP10を100質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部と、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体300質量部とを、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体が解砕して一次粒子(個々の無機粒子D−1)が混合物中に十分に分散するまで混練し、脱泡し、100度1時間加熱硬化させ、ボールミルを用いて粉砕することで、有機無機複合粒子A(5)を調製した。この有機無機複合粒子A(5)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.00cm/gであった。
(製造例6)
BMPEPP10を100質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体340質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(6)を調製した。この有機無機複合粒子A(6)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.02cm/gであった。
(製造例7)
BMPEPP10を100質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体2200質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(7)を調製した。この有機無機複合粒子A(7)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.25cm/gであった。
(製造例8)
bis−GMA60質量部と、TEGDMA40質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部を、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体430質量部に含浸させ、100度1時間加熱することで、有機無機複合粒子A(8)を調製した。この有機無機複合粒子A(8)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.10cm/gであった。
(製造例9)
bis−GMA60質量部と、TEGDMA40質量部と、BPO0.5質量部とを均一に混合した。この混合物100質量部と、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体300質量部とを、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体が解砕して一次粒子(個々の無機粒子D−1)が混合物中に十分に分散するまで混練し、脱泡し、100度1時間加熱硬化させ、ボールミルを用いて粉砕することで、有機無機複合粒子A(9)を調製した。この有機無機複合粒子A(9)の平均粒子径は10μm、細孔容積は0.00cm/gであった。
(曲げ試験)
調製した硬化性組成物を重合硬化することで硬化体を作製した。この硬化体から 幅2.0mm×厚さ2.0mm×長さ25.0mmの試験片を切り出し、耐水研磨紙1500番で研磨を行った。万能試験機オートグラフ(島津製作所製)を用いて、室温大気中、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード0.75mm/minの条件で三点曲げ試験を行った。試験片5個について、下式で定義される曲げ強さ[MPa]および破壊エネルギー[N/mm]を計測し、その平均値を求めた。
・式 曲げ強さ [MPa]=3FS/(2bh
ここで、式中、F:試験片に加えられた最大荷重[N]、S:支点間距離[mm]、b:試験直前に測定した試験片の幅[mm]、h:試験直前に測定した試験片の厚さ[mm]である。
破断エネルギー[N/mm]は、試験片が破断するまでに負荷された総エネルギー[N・mm]を、試験片の断面積[mm]で除して求めた。
(実施例1)
UDMA75質量部とTEGDMA25質量部とBPO0.5質量部とを混合して重合性単量体組成物を調製した。この重合性単量体組成物20質量部に、有機無機複合粒子A(1)を40質量部および無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体40質量部、を添加し、有機無機複合粒子A(1)が形態を保持したまま、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体が解砕して一次粒子(個々の無機粒子D−1)が硬化性組成物中に十分に分散するまで混練し、脱泡することで硬化性組成物のペーストを調製した。このペーストを100度1時間加圧加熱重合することによって硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
(実施例2〜5)
使用した(A)有機無機複合粒子および(B)重合性単量体を表1に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
(実施例6)
UDMA75質量部とTEGDMA25質量部とCQ0.5質量部とDMBE0.5質量部を混合して重合性単量体組成物を調製した。この重合性単量体組成物20質量部に、有機無機複合粒子A(5)を40質量部、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体40質量部、を添加し、有機無機複合粒子A(5)が形態を保持したまま、無機粒子D−1の噴霧乾燥凝集体が解砕して一次粒子(個々の無機粒子D−1)が硬化性組成物中に十分に分散するまで混練し、脱泡することで硬化性組成物のペーストを調製した。このペーストに対し、技工用光照射機パールキュアライト(トクヤマデンタル製)で表裏2分間の光照射を行い、硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
(実施例7,8)
使用した(A)有機無機複合粒子を表1に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
(比較例1)
使用した有機無機複合粒子をA(8)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
(比較例2)
使用した有機無機複合粒子をA(9)に変更した以外は、実施例6と同様の方法で硬化体を作製し、曲げ試験を行った。
各実施例および比較例で用いた硬化性組成物の詳細、ならびに、曲げ強さおよび破壊エネルギーの評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2017073664
Figure 2017073664

Claims (8)

  1. (A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む硬化性組成物であって、
    前記硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、前記硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、前記硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有し、
    前記マトリックスの弾性率Mが(A)有機無機複合粒子の弾性率Pよりも3.0GPa以上大きいことを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)有機無機複合粒子の弾性率Pが0.01GPa〜12.0GPaであり、前記マトリックスの弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. (A)有機無機複合粒子が細孔を有しており、かつ、前記細孔を有する(A)有機無機複合粒子の細孔容積が0.01cm/g〜0.30cm/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. (A)有機無機複合粒子を構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. (A)有機無機複合粒子構成する(A−1)有機樹脂が、分子内に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が230〜1000である(a−1)重合性単量体の硬化体であり、かつ、(B)重合性単量体に含まれる重合性官能基1つ当たりの分子量が35〜250であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 歯科用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  8. 弾性率Pが0.01GPa〜12.0GPaである(A)有機無機複合粒子、(B)重合性単量体、(C)重合開始剤および(D)無機粒子を含む歯科用硬化性組成物に用いられる歯科用有機無機複合粒子であって、
    前記歯科用硬化性組成物を硬化して形成された硬化体が、前記歯科用硬化性組成物を構成する全成分のうち(A)有機無機複合粒子を除く成分が硬化して形成されたマトリックスと、前記硬化体中に分散含有される(A)有機無機複合粒子と、を有し、前記マトリックスの弾性率Mが6.0GPa〜30.0GPaであることを特徴とする歯科用有機無機複合粒子。
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