JPWO2017046831A1 - 電気メッキ用コンダクターロール - Google Patents

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Abstract

【課題】高温耐摩耗性及び耐腐食性に優れ、かつ、高温硬度性に優れた電気メッキ用コンダクターロールを提供することを目的とする。
【解決手段】金属製ロールの表面に、WC及びCrからなる複合炭化物と、Cr、Ni及びWからなる三元系金属間化合物のバインダー金属とを含む複合炭化物サーメット系の溶射皮膜が形成されていることを特徴とする電気メッキ用コンダクターロール。前記溶射皮膜を100質量%としたとき、前記複合炭化物の含有量は55〜93質量%であり、前記三元系金属間化合物の含有量は7〜45質量%である。前記複合炭化物を100質量%としたとき、前記WCの含有量は64〜85質量%であり、前記Cr含有量は15〜36質量%である。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気メッキ用コンダクターロールに関するものである。
冷延鋼板の電気めっきラインでは、冷延鋼板を搬送しながら、アルカリ洗浄工程、ピックリング工程、めっき工程、洗浄工程及びケミカル処理工程の一連の工程を経てめっき処理が行われるようになっている。
めっき工程では、めっき浴内を搬送される冷延鋼板に対して通電を行うコンダクターロールが複数個設置されている。コンダクターロールにはその寿命を長くするために、耐腐食性に優れ、かつ耐摩耗性や耐剥離性に優れる等の性能が要求される。
特許文献1は、金属製ロールの表面に、WCおよびCrからなる複合炭化物と、Cr,Cr−Co合金及びCr−Ni合金の中から選ばれる1種または2種以上の金属・合金とからなる複合炭化物サーメット溶射皮膜を形成したことを特徴とする耐腐食性および耐摩耗性に優れる電気めっき用コンダクターロールを開示する。
特許文献2は、ロール表面上にWCサーメットを含有する自溶合金溶射層を形成し、更にその上にWCサーメット層を形成したことを特徴とするコンダクターロールを開示する。また、特許文献2には、WCサーメット層として、Ni、Cr、Ti、Nb、V、Cr、Taから選ばれる一種又は二種以上を表層成分全体に対して50〜80mass%含有させることが好ましいと記載されており、実施例には73WC−20Cr−7NiからなるWCサーメット層が開示されている。
特開平10−110252号公報 特開2006−183107号公報
特許文献1は、サーメットの主成分となる炭化物について、それを1種だけに限定して用いるのではなく、WCおよびCrを共存させた複合炭化物として用いることに着目している。つまり、WCだけでは不足する耐腐食性をCrの複合化によって補償する一方、Cr単独では耐摩耗性がやや劣る点をWCの複合化によって対処し、これらを複合炭化物とすることにより、めっき液に対して卓越した性能を有する溶射皮膜を形成することを目的としている。
上述の特許文献1ではバインダー粒子として、硬質のCr,Cr−Co合金及びCr−Ni合金の中から選ばれる1種または2種以上の金属・合金を使用しているが、これらのバインダー粒子を溶射する際に、高温の溶射熱源中においてCr酸化物を主成分とする微細な粒子(ヒューム)が多量に発生する。その結果、溶射皮膜の内部及び表面にヒュームが凝集・堆積して、溶射皮膜の硬度低下、摩耗による脱落及び腐食性物質の浸透の原因となっていることが判明した。
特許文献2のサーメット層は73WC−20Cr−7Niから構成されており、Cr酸化物は含まれていないが、Ni単体金属の耐腐食性が十分ではなく、特に酸化性酸溶液の腐食環境でNiが腐食されやすいという問題がある。また、NiはWC及びCrとの濡れ性が悪く、緻密な溶射皮膜が得られにくいため、溶射皮膜中の粒子接合強度が低いという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高温耐摩耗性及び耐腐食性に優れ、かつ、高温硬度性に優れた電気メッキ用コンダクターロールを提供することを目的とする。
溶射材料としての炭化物粒子には、WC,ZrC,TiC,Cr等があり、これらの炭化物粒子を単独で溶射すると、多孔質で密着性の低い皮膜しか形成できない。そこで、これらの炭化物粒子は、所定のバインダー金属とともに電気メッキ用コンダクターロールに溶射され、炭化物サーメット系溶射皮膜が形成される。一般に、WCは硬質で耐摩耗性に優れているが、バインダー金属と共存させたサーメット系の溶射皮膜とした場合には、炭化物粒子だけで形成された溶射皮膜よりも軟質化する傾向がある。また、WCは耐摩耗性に優れているが、それだけではめっき液に対する耐侵食性が弱いため、Crによって補う必要がある。
すなわち、本発明者は、WCだけでは不足する耐腐食性をCrによって補う一方で、Crだけでは高温耐摩耗性が不足する点をWCによって保障するとともに、バインダー金属として三元系金属間化合物を用いることで、溶射皮膜の高温耐摩耗性、耐腐食性のみならず、高温硬度性を兼備させている。
ここで、前記溶射皮膜を100質量%としたとき、前記複合炭化物の含有量は好ましくは55〜93質量%であり、前記三元系金属間化合物の含有量は好ましくは7〜45質量%である。
また、前記複合炭化物を100質量%としたとき、前記WCの含有量は好ましくは64〜85質量%であり、前記Cr含有量は好ましくは15〜36質量%である。
本発明によれば、高温耐摩耗性及び耐腐食性に優れ、かつ、高温硬度性に優れた電気メッキ用コンダクターロールを提供することができる。
水平式連続電気メッキセルの概略図である。 コンダクターロールの正面部分断面図である。
図1は、本発明の実施形態であるコンダクターロールが適用される縦型式連続電気メッキセルの概略図である。同図を参照して、めっき槽11は多段に設けられており、個々のめっき槽11にはそれぞれめっき液Mが貯留されている。なお、図面を簡略化するために、図1では一つのめっき槽11のみを図示している。めっき液Mには、亜鉛メッキ、錫メッキなど周知のものが含まれる。めっき槽11には、シンクロール12が設置されており、このシンクロール12によって金属ストリップSの搬送方向が下向きから上向きに方向転換される。また、シンクロール12の上流及び下流にはそれぞれ一対の電極板13が金属ストリップSを挟む位置に設置されている。
隣接するめっき槽11の間にはコンダクターロール14が設置されており、このコンダクターロール14により金属ストリップSの搬送方向が上向きから下向きに方向転換される。ここで、めっき槽11から排出された金属ストリップSにはめっき液Mが付着しているため、金属ストリップSがコンダクターロール14に到達した際に、コンダクターロール14のロール表面にめっき液Mが付着する。
個々のコンダクターロール14の下方にはロールポリッシャー15が設置されており、これらのロールポリッシャー15はコンダクターロール14に接触する接触位置とコンダクターロール14から離隔した離隔位置との間で駆動される。ロールポリッシャー15を前記接触位置に動作させることで、コンダクターロール14に付着しためっき液Mを落とすことができる。この際、コンダクターロール14は、ロールポリッシャー15に接触することにより摺動摩耗される。一方、ロールポリッシャー15が離隔位置に位置している場合、コンダクターロール14は付着しためっき液Mによる腐食環境に曝される。
図示しない直流電源の陽極を電極板13に、陰極をコンダクターロール14に各々結線し、これらに電圧を印加して電極板13とストリップSとの間で通電させることで、めっき槽11内をストリップSが通過する間にその表面に連続的にめっき処理を行うことができる。ただし、本願発明は、コンダクターロール14がめっき液Mに常時浸漬される水平式連続電気メッキセルにも適用することができる。
図2はコンダクターロールの正面部分断面図である。コンダクターロール12のロール胴部12aの表面には、溶射皮膜12bが形成されている。溶射皮膜12bは、WC及びCrからなる複合炭化物と、Cr、Ni及びWからなる三元系金属間化合物と、からなる複合炭化物サーメット系の溶射皮膜によって構成されている。
本発明者は、上述したように、Cr、Ni及びWからなる三元系金属間化合物を、上述の複合炭化物とともに溶射することで、緻密性、高温耐摩耗性及びめっき液Mに対する耐侵食性に優れた溶射皮膜を形成することができる。
ここで、溶射皮膜12bの全体を100質量%としたときに、複合炭化物の含有量は好ましくは55〜93質量%であり、より好ましくは82〜90質量%である。三元系金属間化合物の含有量は好ましくは7〜45質量%であり、より好ましくは10〜18質量%である。
複合炭化物の含有量が55質量%よりも低くなる(すなわち、三元系金属間化合物の含有量が45質量%を超過すると、)と、溶射皮膜12bに含まれるWC及び/又はCrの含有量が不足するため、溶射皮膜12bの高温耐摩耗性が十分でなくなるおそれがある。
複合炭化物の含有量が93質量%を超過する(すなわち、三元系金属間化合物の含有量が7質量%よりも低くなる)と、溶射皮膜の緻密性が低下し、高温硬度性が十分でなくなるおそれがあるとともに、耐腐食性特に耐酸性が低下する。ここで、溶射皮膜の緻密性が低下すると、溶射皮膜中に皮膜厚み方向に貫通する貫通気孔が形成され、この貫通気孔から侵入しためっき液Mが溶射皮膜と基材との界面に達することにより、溶射皮膜が基材から剥がれやすくなる。
また、複合炭化物の全体を100質量%としたとき、WCの含有量は好ましくは64〜85質量%であり、より好ましくは75〜82質量%である。複合炭化物の全体を100質量%としたとき、Crの含有量は好ましくは15〜36質量%であり、より好ましくは18〜25質量%である。WCの含有量が64質量%よりも低くなる(Crの含有量が36質量%よりも多くなる)と、WCの絶対量が不足して、溶射皮膜12bの高温耐摩耗性が不十分となるおそれがある。WCの含有量が85質量%よりも多くなる(Crの含有量が15質量%よりも低くなる)と、Crの絶対量が不足して、めっき液M(特に酸性のめっき液)中で溶射皮膜12bが腐食するおそれがある。
ここで、溶射材料は、Cr,Ni及びWからなる三元系金属間化合物の1次粒子とWC、Crからなる複合炭化物の1次粒子とを、例えば、純水に撹拌混合してスラリーを作り、このスラリーをスプレードライヤー法で用いて造粒,焼結することにより球状の2次粒子として得ることができる。
三元系金属間化合物は、原子比がCr:Ni:W=1.14:0.71:0.14である第1の三元系金属間化合物、原子比がCr:Ni:W=2.5:9:1である第2の三元系金属間化合物、原子比がCr:Ni:W=4:15:1である第3の三元系金属間化合物であってもよい。また、三元系金属間化合物は、これらの第1、第2及び第3の三元系金属間化合物を混合した混合三元系金属間化合物であってもよい。
三元系金属間化合物及び複合炭化物の1次粒子の平均粒子径は、好ましくは、1〜15μmである。三元系金属間化合物及び複合炭化物の2次粒子の平均粒子径は、好ましくは、15〜55μmである。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折散乱式測定法により算出されるメジアン径のことである。
溶射皮膜12bは、上述の溶射材料を高速フレーム溶射法(HVOF)でロール胴部12aに吹き付けることにより形成される。高速フレーム溶射法で溶射することにより、溶射材料の粒子速度が500m/min以上、粒子温度1400℃以上になり、より緻密な皮膜を形成することができる。つまり、高速で吹き付けられた溶射材料は、ロール胴部12aに衝突した際に扁平状に大きく変形するため、緻密な溶射皮膜12bを形成することができる。これにより、三元系金属間化合物からなるバインダー金属中に複合炭化物が分散した溶射皮膜12bを形成することができる。
本実施形態では、Crを化学的に安定した三元系の金属間化合物の状態でロール胴部12aに吹き付けているため、溶射過程でCr酸化物を主成分とする酸化物粒子(ヒューム)が生成されにくい。したがって、Cr酸化物が溶射皮膜の内部及び表面に堆積することによる問題、つまり、溶射皮膜の硬度低下、摩耗による脱落、腐食性物質の浸透などを抑制することができる。
以下、実施例を示して本発明について、より具体的に説明する。
(第1実施例)
第1実施例では、複合炭化物と三元系金属間化合物の比率を変えて、高温耐摩耗性、緻密性、高温硬度性、腐食性を評価した。腐食性については、耐酸性及び耐アルカリ性の双方から評価した。複合炭化物を構成するWC及びCrの比率は、質量%で、WC:Cr=75:25とした。三元系金属間化合物として、第1〜第3の三元系金属間化合物を混合した混合三元系金属間化合物を使用した。
(高温耐摩耗性試験について)
試験機として神鋼造機株式会社製の摩擦摩耗試験機を使用した。溶射テストピースの溶射面に材質SKD11 (φ5×15 mm )からなるピン3本を10kgの荷重で押しつけ、このピンを400℃の温度雰囲気下において6時間同一円軌道上ですべり摩耗させた後、8か所の断面プロフィール画像を撮像し、摩耗減量を算出した。
摩耗減量は、摩耗断面積に摩耗痕周長を乗じた体積摩耗減量とした。体積摩耗減量が3mm未満である場合には、高温耐摩耗性が極めて良好であるとして「very good」で評価した。体積摩耗減量が3mm以上6mm以下である場合には、高温耐摩耗性が概ね良好であるとして「good」で評価した。体積摩耗減量が6mm超である場合には、高温耐摩耗性が不良であるとして「poor」で評価した。
(緻密性について)
テストピースに形成された溶射皮膜を切断して、この断面を研磨した後、金属顕微鏡により溶射皮膜の組織を400倍に拡大して、気孔の有無を調べた。気孔が明確に観察されなかった場合には、緻密性が極めて良好であるとして「very good」で評価した。気孔が少量観察された場合には、緻密性が概ね良好であるとして「good」で評価した。気孔が大量に観察された場合には、緻密性が不良であるとして「poor」で評価した。
(高温硬度性について)
試験機として株式会社ニコン製の高温顕微硬度計QMを使用した。溶射皮膜が形成されたテストピースに対してダイヤモンド圧子を400℃の温度雰囲気下で300gの荷重で押し付け、ビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さが900HV超である場合には、高温硬度性が極めて良好であるとして「very good」で評価した。ビッカース硬さが700HV以上900HV以下の場合には、高温硬度性が概ね良好であるとして「good」で評価した。ビッカース硬さが700HV未満である場合には、高温硬度性が不良であるとして「poor」で評価した。
(耐酸性について)
溶射皮膜が形成されたテストピースを5vol%硫酸(HSO4)−0.5vol%硝酸(HNO3)水溶液に300時間浸漬した後、溶射皮膜の損傷及び酸水溶液に対する金属イオンの溶出状況に基づき、耐酸性を評価した。上記硫酸(HSO4),硝酸(HNO3)水溶液は空気バブリングしながら、溶液温度を40℃に設定した。金属イオンの溶出状況は、溶液色の変化、イオン濃度に基づき判断した。
溶射皮膜の損傷(割れ、剥離)が確認された場合には、耐酸性が極めて不良として「very poor」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、溶液に金属イオンの変色が確認された場合には、耐酸性が不良として「poor」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、溶液色の変化もみられないが、ICP発光分光分析でイオン濃度が5ppm以上検出された場合には、耐酸性が良好として「good」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、ICP発光分光分析でイオン濃度が5ppm以上検出されなかった場合には、耐酸性が極めて良好であるとして「very good」で評価した。
(耐アルカリ性について)
溶射皮膜が形成されたテストピースを10mass%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に300時間浸漬した後、溶射皮膜の損傷及び水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に対する金属イオンの溶出状況に基づき、耐アルカリ性を評価した。水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液の温度は40℃に設定した。
金属イオンの溶出状況は、沈殿物の生成状況に基づき判断した。溶射皮膜の損傷(割れ、剥離)が確認された場合には、耐アルカリ性が極めて不良として「very poor」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、溶液に沈殿物が確認された場合には、耐アルカリ性が不良として「poor」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、沈殿物も確認されないが、ICP発光分光分析でイオン濃度が5ppm以上検出された場合には、耐アルカリ性が良好として「good」で評価した。溶射皮膜の損傷がなく、ICP発光分光分析でイオン濃度が5ppm以上検出されなかった場合には、耐アルカリ性が極めて良好であるとして「very good」で評価した。表1は、高温耐摩耗性、緻密性、高温硬度性及び耐腐食性の試験結果を纏めた表である。
Figure 2017046831
実施例1では、複合炭化物の含有量が55質量%よりも低いため高温耐摩耗性の評価は「poor」であった。実施例2〜4では、複合炭化物の含有量が55質量%以上82質量%未満であるため高温耐摩耗性の評価は「good」であった。実施例5〜8では、複合炭化物の含有量が82質量%以上であるため高温耐摩耗性の評価は「very good」であった。実施例1〜6では、三元系金属間化合物が10質量%以上含まれているため、緻密性、高温硬度性、耐酸性及び耐アルカリ性の評価は「very good」であった。一方、実施例7及び8では、三元系金属間化合物の含有量が10質量%未満であるため、緻密性、高温硬度性、耐酸性及び耐アルカリ性の評価が低下し、特に耐酸性の評価は大幅に低下した。
(第2実施例)
第2実施例では、複合炭化物に含まれるWC及びCrの比率を変えて、高温耐摩耗性、腐食性を評価した。腐食性については、耐酸性及び耐アルカリ性の双方から評価した。三元系金属間化合物として、第1の三元系金属間化合物を使用した。複合炭化物と三元系金属間化合物の比率は、実施例5と同様にした。試験方法は、第1実施例と同様にした。表2は、試験結果を纏めた表である。
Figure 2017046831
実施例9では、WCの含有量が64質量%よりも低いため、高温耐摩耗性の評価は「poor」であった。実施例10〜11では、WCの含有量が64質量%以上75質量%未満であるため、高温耐摩耗性の評価は「good」であった。実施例12〜16では、WCの含有量が75質量%以上であるため、高温耐摩耗性の評価は「very good」であった。実施例9〜14では、Crが15質量%超含まれているため、耐酸性及び耐アルカリ性の評価が共に「very good」であった。実施例15〜16では、Crが15質量%に下がることで耐酸性の評価が「good」に低下し、10質量%に下がることで耐酸性の評価が「poor」に低下したが、耐アルカリ性の評価については「very good」のままであった。耐アルカリ性については、三元系金属間化合物が溶射皮膜に含まれているため、低下しなかったと考えられる。
(比較例)
表3に示す比較例1〜4について、高温耐摩耗性、緻密性、高温硬度性、耐酸性及び耐アルカリ性を評価した。評価方法は、第1実施例及び第2実施例と同じにした。
Figure 2017046831
比較例1〜3については、耐酸性及び耐アルカリ性の評価が「poor」になった。高温の溶射熱源中においてCr酸化物が生成されたためだと考えられる。また、比較例4については、耐酸性の評価が「very poor」、耐アルカリ性の評価が「good」であった。比較例4は、Niを含んでいるため、アルカリ腐食環境下で腐食されにくいが、硫酸硝酸の酸溶液で腐食されたと考えられる。比較例1〜4については、高温耐摩耗性、緻密性及び高温硬度性の評価が「poor」になった。高温の溶射熱源中においてCr酸化物が生成されたためと考えられる。
11 めっき槽
12 シンクロール
13 電極板
14 コンダクターロール
15 ロールポリッシャー

Claims (3)

  1. 金属製ロールの表面に、WC及びCrからなる複合炭化物と、Cr、Ni及びWからなる三元系金属間化合物のバインダー金属とを含む複合炭化物サーメット系の溶射皮膜が形成されていることを特徴とする電気メッキ用コンダクターロール。
  2. 前記溶射皮膜を100質量%としたとき、前記複合炭化物の含有量は55〜93質量%であり、前記三元系金属間化合物の含有量は7〜45質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
  3. 前記複合炭化物を100質量%としたとき、前記WCの含有量は64〜85質量%であり、前記Cr含有量は15〜36質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
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