JPWO2017033251A1 - イオン移動度分析用ドリフトセル及びイオン移動度分析装置 - Google Patents

イオン移動度分析用ドリフトセル及びイオン移動度分析装置 Download PDF

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Abstract

アルミナなどの絶縁体から成る板状部材(11)の表面に一定膜厚の抵抗膜層(12)を塗布法、蒸着法などで形成した有抵抗膜層部材を4枚貼り合わせることで、角筒状のドリフトセル(10)を形成する。このドリフトセル(10)の両端の抵抗膜層(12)にドリフト電圧発生部(8)からそれぞれ所定の電圧を印加することで、ドリフトセル(10)内の脱溶媒領域(2)及びドリフト領域(3)に、中心軸(C)に沿って直線状の電位勾配を有する加速電場を形成する。イオンはこの加速電場によってドリフトし、イオン移動度に応じて分離される。有抵抗膜層部材自体は低コストに作製することができ、ドリフトセル(10)の組み立て工程も簡単なので、低廉なコストでドリフトセル(10)を提供することができる。また、抵抗膜層(12)の膜厚の均一性は高いので、分析精度や分解能のばらつきもなくなり、高い精度、分解能を実現できる。

Description

本発明は、イオンをその移動度に応じて分離して検出する又は分離して後段の質量分析部等へと送るイオン移動度分析装置、及び、該装置においてイオンを分離するために用いられるドリフトセルに関する。
試料分子から生成した分子イオンを電場の作用により媒質気体(又は液体)中で移動させるとき、該イオンは電場の強さやその分子の大きさなどで決まる移動度に比例した速度で移動する。イオン移動度分析法(Ion Mobility Spectrometry=IMS)は、試料分子の分析のためにこの移動度を利用した測定法である。図8は従来の一般的なイオン移動度分析装置の概略構成図である(特許文献1など参照)。
このイオン移動度分析装置は、液体試料中の成分分子をイオン化するエレクトロスプレーイオン化(ESI)法などによるイオン源1と、その内部に、脱溶媒領域2及びドリフト領域3が形成される円筒形状のドリフトセル9と、ドリフト領域3中を移動してきたイオンを検出する検出器5と、を備える。また、イオン源1において生成されたイオンをごく短い時間幅に限定してパルス的に脱溶媒領域2からドリフト領域3へと送り込むために、該ドリフト領域3の入口にシャッタゲート4を備える。ドリフトセル9内は大気圧雰囲気又は100[Pa]程度の低真空雰囲気であり、該ドリフトセル9内に配置されている多数のリング状電極91にそれぞれ印加されている直流電圧によって、脱溶媒領域2及びドリフト領域3にはイオン移動方向(図8ではZ方向)に下り電位勾配を示す、つまりイオンを加速する一様電場が形成される。また、ドリフトセル9内には、この電場による加速方向とは逆方向に、中性の拡散ガスの流れが形成されている。
上記イオン移動度分析装置の概略動作は次のとおりである。
即ち、イオン源1において試料から生成された各種イオンは脱溶媒領域2中を進み、シャッタゲート4で一旦堰き止められる。そして、シャッタゲート4が短時間だけ開放されると、イオンはパケット状にドリフト領域3中に導入される。なお、脱溶媒領域2はイオン源1において溶媒が十分に気化しなかった帯電液滴中の溶媒の気化を促進させることで、イオンの生成を促す領域である。ドリフト領域3中に導入されたイオンは向かって来る拡散ガスと衝突しながら、加速電場の作用によって進む。イオンはその大きさ、立体構造、電荷などに依存するイオン移動度によってZ方向に空間的に分離され、異なるイオン移動度を持つイオンは時間差を有して検出器5に到達する。ドリフト領域3中の電場が一様である場合には、イオンがドリフト領域3を通過するのに要するドリフト時間から、イオン−拡散ガス間の衝突断面積を見積もることが可能である。
なお、上記のようにイオン移動度に応じてイオンを分離したあとに直接イオンを検出するのではなく、それらイオンを四重極マスフィルタ等の質量分離器に導入し、イオンをさらに質量電荷比に応じて分離したあとに検出する構成が採られることもある。こうした装置は、イオン移動度−質量分析装置(IMS−MS)として知られている。
上述したように従来のイオン移動度分析装置では、イオンを移動させる加速電場をドリフトセル9内に形成するために、多数のリング状電極91を積み重ねた構造体、通常はリング状電極と同じくリング状の絶縁スペーサとを交互に積み重ねた構造体が利用されている。イオン移動度分析装置における分析精度や分解能を高めるには、加速電場の一様性、即ちイオン光軸C上での電位勾配の直線性を高くする必要がある。そのためには、隣接するリング状電極91の間隔をできるだけ狭め、またドリフト領域3をできるだけ長くする必要がある。しかしながら、そうすると、リング状電極、絶縁スペーサといった部品の数が増えコストが高くなる。また、組立工数が増加するとともに、組立作業により高い熟練度が要求されるため、これらもコスト増加の要因となる。
一方、イオン光軸C上で直線性の高い電位勾配を有する電場を形成するために、その内周面に抵抗被膜層を形成した円筒状ガラス管をドリフトセルとして用いたイオン移動度分析装置が知られている(特許文献2、3、非特許文献1参照)。この装置では、ドリフトセル内周面の抵抗体被膜層の両端間に所定の電圧を印加することで、ドリフトセル内にイオンを加速する電場を形成することができる。
しかしながら、性能のばらつきを抑えるには円筒形状であるガラス管の内周面に形成する抵抗被膜層の厚さの均一性を高める必要があるものの、均一の厚さで抵抗被膜層を形成するのは技術的に難度が高い。そのため、こうしたドリフトセルは部品点数は少ないものの、そのコストはかなり高いものとなってしまう。また、ガラス管は破損し易いため、扱いに注意を要する。また、非特許文献1に記載のドリフトセルのように、鉛が添加されているガラスが使用される場合、RoHS規制値を満たしているとしても環境負荷が高いといえる。
特開2005−174619号公報 米国特許第7081618号明細書 米国特許第8084732号明細書
「アドバンスド・アイエムエス・アナリシス・ウィズ・ハイ・リゾルビング・パワー(Advanced IMS Analysis with High Resolving Power)」、[online]、米国フォトニス(Photonis)社、[平成27年7月30日検索]、インターネット<URL: http://www.photonis.com/attachment.php?id_attachment=161>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、低廉なコストでありながら分析精度や分解能などの性能のばらつきが少ないイオン移動度分析用ドリフトセル及びこれを用いたイオン移動度分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルは、加速電場によってイオンをドリフトさせるドリフト領域を内部に形成するためのイオン移動度分析用ドリフトセルであって、
筒状に閉じた部分を有さない絶縁性板状部材の表面に抵抗体膜層が形成されてなる有抵抗膜層部材を複数用い、前記抵抗体膜層が内周側に面するように前記複数の有抵抗膜層部材を筒状に組み立てることで形成されてなることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成されたイオン移動度分析装置は、上記発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルを用いたイオン移動度分析装置であって、
a)試料由来のイオンを生成するイオン源と、
b)筒状である前記イオン移動度分析用ドリフトセルの内部に加速電場を形成するために該ドリフトセル内周面の抵抗体膜層の両端に所定の電圧をそれぞれ印加する電圧生成部と、
c)前記イオン移動度分析用ドリフトセルのイオン入射側の端部又は該ドリフトセル内空間に配設され、前記イオン源で生成されたイオンを所定期間だけ通過させて該ドリフトセル内で前記加速電場が形成されているドリフト領域に送り込むシャッタゲートと、
を備え、前記イオン移動度分析用ドリフトセル内部のドリフト領域を通過することでイオン移動度に応じて分離されたイオンを検出する又はさらに後段の分析・検出部へと送ることを特徴としている。
本発明に係るイオン移動度分析装置では、ドリフト領域中をドリフトすることでイオン移動度に応じて分離されたイオンを検出器で検出してもよいし、或いは、移動度に応じて分離されたイオンを例えばさらに質量電荷比に応じて分離する質量分離器などへ導入するようにしてもよい。
本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルにおいて、筒状に閉じた部分を有さない絶縁性板状部材とは、典型的には、平板状又は湾曲状の絶縁性板状部材である。該絶縁性板状部材の材料は特に限定されないが、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)等のセラミックが好適である。また、該絶縁性板状部材の表面に抵抗体膜層を形成する方法も特に限定されず、既知の様々な方法、例えば、吹付けや輪転などによる塗布法、スパッタ法、蒸着法、ウェットプロセス等の化学的手法、などを利用することができる。
本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルの一態様は、平板状の絶縁性板状部材の少なくとも一面の全体又は一部に抵抗体膜層が形成されてなる前記有抵抗膜層部材を3枚以上用い、その3枚以上の前記有抵抗膜層部材がそれぞれ一つの面を構成し両端が開放するように組み立てられた角筒体状又は切頭円錐状である構成とすることができる。
また本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルの他の態様は、円筒体又は切頭円錐体をその軸を含む平面で複数に切断した形状である湾曲状の絶縁性板状部材の少なくとも内周面の全体又は一部に抵抗体膜層が形成されてなる前記有抵抗膜層部材を複数用い、その複数の前記有抵抗膜層部材が組み立てられた円筒状又は切頭円錐筒状である構成とすることができる。
本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルは、上述した特許文献2、3等に記載の装置のような1本の筒状の部材を用いたものでなく、複数の有抵抗膜層部材を例えば接着剤で接着しつつ組み立てられて一体化されたものである。構成部材である有抵抗膜層部材の基材は、筒状に閉じた部分を有さない絶縁性板状部材であるため、上述したような既存の手法により、該部材の一面に略均一の厚さで抵抗体膜層を容易に形成することができる。こうして得られる有抵抗膜層部材自体は比較的廉価であり、これを筒状に組み立てる工程も簡単であるので、上述した従来のドリフトセルに比べてコストを低減することができる。
なお、組立ての際に接着剤を使用する際には、導電性接着剤を用いることで複数の有抵抗膜層部材の抵抗体膜層同士の十分な電気的接続を確保することができ、ドリフトセルの内側に筒状の抵抗体膜層を形成することができる。
本発明に係るイオン移動度分析装置において、電圧生成部からドリフトセル内周面の抵抗体膜層の両端に所定の電圧をそれぞれ印加すると、その電位差によってドリフトセル内には、ドリフトセルの中心軸(イオン光軸)上に電位勾配を有する直流電場が形成される。ドリフトセルが例えば角筒状等であって円筒形状でない場合、該ドリフトセルの内周面に近い位置では、中心軸に直交する面における等電位線は同心円状にならないが、中心軸に近づくほど同心円状に近くなる。また、中心軸上の電位勾配はほぼ直線状になる。そのため、中心軸付近を移動するイオンに対してはほぼ理想的な加速電場が形成され、該加速電場が形成されているドリフト領域に導入されたイオンはイオン移動度に応じて高い精度及び分解能で以て分離される。
なお、中心軸に直交する面において抵抗体膜層の周方向の位置によって電位差があると、電場の一様性を損なうことになる。そこで、抵抗体膜層の周方向の位置による電位差を抑えるために、ドリフトセル内周面の抵抗体膜層の両端にはそれぞれ導電部が形成され、その導電部に電圧生成部より電圧が印加される構成とするとよい。
本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルによれば、構成部材のコストを抑えることができ、組立て工程も簡単であるので、低コストのドリフトセルを得ることができる。また、ドリフトセル内に加速電場を形成するための抵抗体膜層の厚さの均一性が高く、ドリフトセルの組立て時における機械的精度の確保も容易であるため、精度や分解能等の性能のばらつきも抑えることができる。また、絶縁性板状部材としてアルミナのような強度の高い材料を用いることで破損しにくくなり、取り扱いが容易になる。さらにまた、鉛添加ガラスを使用しないので、環境負荷も抑えることができる。
また本発明に係るイオン移動度分析装置によれば、上述したような特徴的なドリフトセルを用いることで、高い分析精度、分解能を確保しつつ、装置自体のコストを抑えることができる。
本発明の一実施例であるイオン移動度分析装置の概略構成図。 本実施例のイオン移動度分析装置に用いられるドリフトセルの組立て前の状態(a)及び組み上がった状態(b)を示す斜視図。 本実施例のイオン移動度分析装置に用いられるドリフトセルの中心軸に直交する面での断面図(a)及び断面拡大図(b)。 ドリフトセルの他の例を示す断面図。 ドリフトセルの他の例を示す断面図。 ドリフトセルの他の例を示す断面図。 ドリフトセルの他の例を示す斜視図。 従来の一般的なイオン移動度分析装置の概略構成図。
本発明に係るイオン移動度分析装置及び該装置に使用されているドリフトセルの一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のイオン移動度分析装置の概略断面図、図2は本実施例のイオン移動度分析装置に用いられるドリフトセルの組立て前の状態(a)及び組み上がった状態(b)を示す斜視図、図3は該ドリフトセルの中心軸に直交する面での断面図(a)及び断面拡大図(b)である。図1において、図8によりすでに説明した従来のイオン移動度分析装置と同じ又は相当する構成要素には同じ符号を付してある。
本実施例のイオン移動度分析装置では、イオン光軸(後述するドリフトセル10の中心軸でもある)Cに沿って直線状の電位勾配を有する直流電場が形成されるとともに拡散ガス流が形成される脱溶媒領域2及びドリフト領域3は、角筒状のドリフトセル10の内部に形成される。
ドリフトセル10は、4枚の矩形平板状の有抵抗膜層部材10(10A、10B、10C、10D)から成る。有抵抗膜層部材10は、アルミナなどの絶縁体から成る板状部材11の一方の表面に一定膜厚の抵抗膜層12が形成されたものである。もちろん、板状部材11の材料はアルミナに限らない。
抵抗膜層12の抵抗体材料も特に限定されないが、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化ルテニウム(RuO2)、Ta−SiO2(タンタル−酸化シリコン)等の金属含有ガラス、DLC(ダイアモンドライクカーボン)、ICF(真性カーボン膜)などを用いることができる。また、抵抗膜層12を形成する成膜手法は特に限定されないが、例えば、吹付けや輪転を含む塗布法、蒸着法、ウェットプロセスなどの化学的手法、スパッタ法などの既存の様々な手法のいずれかを用いることができる。
また、複数の有抵抗膜層部材10は、予め有抵抗膜層部材10の大きさに切断された板状部材11に抵抗体を成膜したものでもよいし、或いは、より大きなサイズの絶縁体から成る板状部材の表面に抵抗体を成膜したあとに、該板状部材を有抵抗膜層部材10の大きさに切断して作製するようにしてもよい。
同一サイズである4枚の有抵抗膜層部材10は、図2及び図3に示すように、例えば導電性の接着部材である銀微粒子焼結体13を用いて貼り合わせられる。銀微粒子焼結体13を用いた接着によって、4枚の有抵抗膜層部材10をそれぞれ一面とする角筒体の内面全体が抵抗膜層12で被覆され、且つ、各面の抵抗膜層12同士の導電性は銀微粒子焼結体13を通して確保される。その結果、ドリフトセル10の内面には、角筒状の抵抗膜層12が形成されることになる。
イオン移動度分析装置全体の話に戻ると、図1に示すように、ドリフトセル10の内部空間の所定位置には、中心軸Cに直交するようにグリッド状のシャッタゲート4が配置され、そのシャッタゲート4よりイオン源1側が脱溶媒領域2、検出器5側がドリフト領域3となる。制御部6により制御されるドリフト電圧発生部8は、ドリフトセル10の内面の抵抗膜層12の両端にそれぞれ所定の電圧を印加する。また、制御部6により制御されるシャッタ電圧発生部7はシャッタゲート4に所定の電圧を印加する。抵抗膜層12の両端にそれぞれ印加された電圧の差によって、角筒状であるドリフトセル10の内側の空間には中心軸Cに沿って直線状の電位勾配を有する電場が形成される。
上述したように抵抗膜層12自体も角筒形状であるが、該抵抗膜層12から中心軸C方向に遠ざかるほど、中心軸Cに直交する面内の等電位線の形状は矩形から円形に近くなる。そのため、中心軸Cの周りの所定の空間では略同心円筒状の等電位面が形成され、イオンの挙動は周方向の位置に実質的に依存しない。
即ち、ドリフト領域3には、中心軸C付近をドリフトするイオンに対してほぼ理想的な加速電場が形成される。パルス的にドリフト領域3に導入された各種イオンは、逆行してくる拡散ガスに衝突しつつ加速電場によってドリフトする。その過程で各イオンはイオン移動度に応じて進行方向に分離され、検出器5に到達して検出される。
上述したように、ドリフトセル10は4枚の平板状の有抵抗膜層部材10A、10B、10C、10Dを貼り合わせることで形成されたものであり、その組立て工程は非常に簡単である。また、平板状の板状部材11の表面に抵抗膜層12を形成する工程(作業)も、従来技術のように円筒形状のガラス管の内周面に抵抗膜層を形成する作業に比べて遙かに容易であり膜厚の均一性も確保し易い。したがって、ドリフトセル10は廉価でありながら、一様性の高い加速電場を形成することができ、高い分析精度や分解能を確保することができる。
なお、電場の一様性を高めるには、ドリフトセル10のイオン入射側端部とイオン出射側端部とにおいて各有抵抗膜層部材10A、10B、10C、10Dの抵抗膜層12に接触するように金属等の導電体から成る電極を設け、この電極にドリフト電圧発生部から電圧を印加するとよい。これによって、中心軸Cに直交する面内の抵抗膜層12に、位置による電位の差がなくなり、電場の一様性を一層高めることができる。
上記実施例においては、角筒形状であるドリフトセル10は4枚の平板状の有抵抗膜層部材10A〜10Dから形成されていたが、ドリフトセルの形状は角筒形状に限らず、例えば三角筒形状、多角筒形状などでもよい。
図4は他の実施例のドリフトセル20の断面図であるが、このドリフトセル20は、10枚の平板状の有抵抗膜層部材20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20J、20Kを用い、星形筒形状に形成されたものである。
また、複数の平板状の有抵抗膜層部材は必ずしも平板状でなくてもよい。図5はさらに他の実施例のドリフトセル30の断面図である。このドリフトセル30は、円筒形状体をその軸を含む平面で二つに切断した半円筒状の絶縁体の内面に抵抗膜層12を形成した、2枚の有抵抗膜層部材30A、30Bを貼り合わせて形成したものである。
このように有抵抗膜層部材を平板状でない形状とした場合、均一膜厚の抵抗膜層を形成する手法が或る程度限られたり、或いは平板状の板部材に均一膜厚の抵抗膜層を形成する場合よりも工程が煩雑になったりするものの、円筒状部材の内面全体に抵抗膜層を形成する場合に比べれば格段に簡単に且つ精度よく均一膜厚の抵抗膜層を形成することができる。もちろん、円筒形状体をその軸を含む平面で三つ以上に切断した断面円弧状の有抵抗膜層部材を用いて円筒状のドリフトチューブを形成してもよい。
図6はさらに他の実施例のドリフトセル40の断面図である。このドリフトセル40は図2、図3に示したドリフトセル10と同じ角筒状であるが、L字アングル状の板状部材の直角なコーナーを挟んだ内側の二面に抵抗膜層12が形成された、二つの有抵抗膜層部材40A、40Bを貼り合わせて形成したものである。
また上記実施例ではいずれも、ドリフトセルの内面全体に抵抗膜層が形成されていたが、イオンを移動させるのに適切な加速電場が脱溶媒領域2及びドリフト領域3に形成されるのであれば、抵抗膜層の一部が欠落していても(取り除かれていても)よい。
また、図7に斜視図で示すドリフトセル50のように、抵抗膜層が筒形状を保ったまま絶縁体である板状部材11の一部が取り除かれていても構わない。具体的には、例えば板状部材の一面全体に抵抗膜層を形成したあと該抵抗膜層をそのまま残しながら板状部材11の一部を除去した有抵抗膜層部材を貼り合わせてドリフトセルを形成してもよいし、或いは、図2で示したように複数の有抵抗膜層部材を貼り合わせてドリフトセルを形成したあとに、内側の抵抗膜層をそのまま残しながら板状部材の一部を除去してもよい。
また、上述したドリフトセル10、20、30、40、50ではいずれも、中心軸Cに沿った断面積は等しくなっているが、イオン進行方向に断面積が徐々に大きくなる、例えば切頭角錐筒状、切頭円錐筒状などの形状とすることもできる。ただし、こうした形状の場合、一定流量の拡散ガスを流してもドリフトセルの断面積によってガス流速が変化するため、ドリフト時間に基づくイオン−拡散ガス間の衝突断面積の見積もりには注意を要する。
また、上記実施例は本発明の一例に過ぎず、上記実施例や上記各種変形例に限らず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…イオン源
2…脱溶媒領域
3…ドリフト領域
4…シャッタゲート
5…検出器
6…制御部
7…シャッタ電圧発生部
8…ドリフト電圧発生部
10、20、30、40、50…ドリフトセル
10A、10B、10C、10D、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20J、20K、30A、30B、40A、40B…有抵抗膜層部材
11…板状部材
12…抵抗膜層
13…銀微粒子焼結体
C…中心軸(イオン光軸)
本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルの一態様は、平板状の絶縁性板状部材の少なくとも一面の全体又は一部に抵抗体膜層が形成されてなる前記有抵抗膜層部材を3枚以上用い、その3枚以上の前記有抵抗膜層部材がそれぞれ一つの面を構成し両端が開放するように組み立てられた角筒体状又は切頭錐状である構成とすることができる。
ドリフトセル10は、4枚の矩形平板状の有抵抗膜層部材10A、10B、10C、10Dから成る。有抵抗膜層部材10A〜10Dは、アルミナなどの絶縁体から成る板状部材11の一方の表面に一定膜厚の抵抗膜層12が形成されたものである。もちろん、板状部材11の材料はアルミナに限らない。
また、複数の有抵抗膜層部材10A〜10Dは、予め有抵抗膜層部材10A〜10Dの大きさに切断された板状部材11に抵抗体を成膜したものでもよいし、或いは、より大きなサイズの絶縁体から成る板状部材の表面に抵抗体を成膜したあとに、該板状部材を有抵抗膜層部材10A〜10Dの大きさに切断して作製するようにしてもよい。
同一サイズである4枚の有抵抗膜層部材10A〜10Dは、図2及び図3に示すように、例えば導電性の接着部材である銀微粒子焼結体13を用いて貼り合わせられる。銀微粒子焼結体13を用いた接着によって、4枚の有抵抗膜層部材10A〜10Dをそれぞれ一面とする角筒体の内面全体が抵抗膜層12で被覆され、且つ、各面の抵抗膜層12同士の導電性は銀微粒子焼結体13を通して確保される。その結果、ドリフトセル10の内面には、角筒状の抵抗膜層12が形成されることになる。

Claims (4)

  1. 上記課題を解決するために成された本発明に係るイオン移動度分析用ドリフトセルは、加速電場によってイオンをドリフトさせるドリフト領域を内部に形成するためのイオン移動度分析用ドリフトセルであって、
    筒状に閉じた部分を有さない絶縁性板状部材の表面に抵抗体膜層が形成されてなる有抵抗膜層部材を複数用い、前記抵抗体膜層が内周側に面するように前記複数の有抵抗膜層部材を筒状に組み立てることで形成されてなることを特徴とするイオン移動度分析用ドリフトセル。
  2. 請求項1に記載のイオン移動度分析用ドリフトセルであって、
    平板状の絶縁性板状部材の少なくとも一面の全体又は一部に抵抗体膜層が形成されてなる前記有抵抗膜層部材を3枚以上用い、その3枚以上の前記有抵抗膜層部材がそれぞれ一つの面を構成し両端が開放するように組み立てられた角筒体状又は切頭円錐状であることを特徴とするイオン移動度分析用ドリフトセル。
  3. 請求項1に記載のイオン移動度分析用ドリフトセルであって、
    円筒体又は切頭円錐体をその軸を含む平面で複数に切断した形状である湾曲状の絶縁性板状部材の少なくとも内周面の全体又は一部に抵抗体膜層が形成されてなる前記有抵抗膜層部材を複数用い、その複数の前記有抵抗膜層部材が組み立てられた円筒状又は切頭円錐筒状であることを特徴とするイオン移動度分析用ドリフトセル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン移動度分析用ドリフトセルを用いたイオン移動度分析装置であって、
    a)試料由来のイオンを生成するイオン源と、
    b)筒状である前記イオン移動度分析用ドリフトセルの内部に加速電場を形成するために該ドリフトセル内周面の抵抗体膜層の両端に所定の電圧をそれぞれ印加する電圧生成部と、
    c)前記イオン移動度分析用ドリフトセルのイオン入射側の端部又は該ドリフトセル内空間に配設され、前記イオン源で生成されたイオンを所定期間だけ通過させて該ドリフトセル内で前記加速電場が形成されているドリフト領域に送り込むシャッタゲートと、
    を備え、前記イオン移動度分析用ドリフトセル内部のドリフト領域を通過することでイオン移動度に応じて分離されたイオンを検出する又はさらに後段の分析・検出部へと送ることを特徴とするイオン移動度分析装置。
JP2017536092A 2015-08-24 2015-08-24 イオン移動度分析用ドリフトセル及びイオン移動度分析装置 Active JP6460244B2 (ja)

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