JP2015153456A - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンの構成を簡素化しつつ、高い質量精度、質量分解能を達成する。
【解決手段】リフレクトロンは、炭化珪素からなる円筒形状の高抵抗電極部51を含む電極部5Aと、該電極部5Aの両端に電圧を印加する直流電源部6と、からなる。高抵抗電極部51の筒部の肉厚を調整することで軸方向の単位長さ当たりの抵抗値を調整し、反射電場における軸方向の電位勾配を所望の形状(例えば直線状、曲線状)とする。炭化珪素製品の精密加工精度は高いため、電気抵抗の均一性誤差を低く抑えることができ、反射電場の電位勾配を精度よく設計値に合わせることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は飛行時間型質量分析装置に関し、さらに詳しくは、イオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンを備えた飛行時間型質量分析装置に関する。
飛行時間型質量分析装置(以下「TOFMS」と略す)では、目的化合物由来のイオンに一定の加速エネルギを付与して一定距離の空間を飛行させ、その飛行に要する時間を計測して該飛行時間からイオンの質量電荷比を求める。質量電荷比が同一のイオン種であっても、加速前に個々のイオンが持つ初期エネルギがばらついていると、そのばらつきが飛行速度の相違に現れ、検出器に到達する際に時間ずれが起こる。この時間ずれが質量分解能の低下をもたらすため、TOFMSにおいて高い質量分解能を達成するには、初期エネルギのばらつきの影響を軽減することが重要である。反射電場によってイオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンは、個々のイオンが持つエネルギの相違を補償することができ、質量分解能を上げる上で有効である。また、リフレクトロンはイオンを折り返し飛行させるため、比較的小さな空間で長い飛行軌道を確保することができ、それによる質量分解能や質量精度の向上も図ることができる。
図5は一般的なリフレクトロンTOFMSの概略構成図である(特許文献1等参照)。
イオン源1で生成された試料由来のイオンは、加速電極2により形成される電場により加速エネルギを付与され、フライトチューブ3内に形成される飛行空間に投入される。フライトチューブ3内にはリフレクトロン電極部50が配設され、直流電圧源60から印加される電圧により該電極部50内の空間に形成される反射電場によって、各イオンの飛行軌道は反転される。反射して戻って来たイオンは検出器4に到達し、検出器4は到達したイオンの量に応じた検出信号を出力する。
図6はリフレクトロン電極部50の構成を示す概略斜視図である。電極部50は直線状の軸に沿って並べられた多数の円盤状電極501により構成される。直流電圧源60から各円盤状電極501に印加される直流電圧V1、V2、…、Vnを予め計算した所定値に設定することにより、円盤状電極501で囲まれる空間に、その中心軸に沿って所定の電位分布を示す反射電場を形成することができる。
図7は、加速電極2とリフレクトロン電極部50入口端との間の自由飛行領域、及びリフレクトロン電極部50内部の反射領域における中心軸上の電位勾配の一例を示す図である。イオンは自由飛行領域では電場の影響を受けずに飛行するが、反射領域に突入すると、徐々に減速される。そして、或る位置まで到達するとそれまでに持っていたエネルギがゼロになり、今度は、その位置に応じたエネルギを反射電場から付与されて反対方向に飛行し始める。反射領域に突入する際に大きなエネルギを有していたイオンほど、反射領域の奥まで進んで折り返す。つまり、それだけ飛行距離が長くなる。これによって、初期エネルギのばらつきは飛行距離の差として補償され、初期エネルギにばらつきがあったとしても、同じ質量電荷比を有するイオンは同時に検出器4に到達することができる。
なお、実際には、リフレクトロンにより形成される反射電場の電位勾配は図7に示したような単純な直線状ではなく、特許文献1などに開示されているように、より複雑な非線形状であるのが一般的である。
従来、リフレクトロンを構成する電極部は、図6に示したように、多数の導電体(通常は金属)からなる板状の電極を用いて構成するのが一般的である。しかしながら、こうした構成では部品の数が非常に多く、組立てや調整もかなり煩雑で手間が掛かる。また、電極毎に給電を行うのも煩雑で、故障や不具合の一因ともなる。これに対し、従来、より簡素な構成のリフレクトロンが提案されている。
例えば特許文献2には、ガラスチューブの内表面に一様な厚さの導電層を形成し、そのチューブの両端の導電層に所定の電圧を印加することで、中心軸上の電位が直線状に変化する電場を形成することが可能なリフレクトロンが開示されている。また、特許文献3には、ガラスチューブの内表面に形成する導電層の厚さを調整することで、中心軸上の電位が曲線状に変化する電場を形成可能なリフレクトロンが開示されている。
このように、ガラスチューブの内表面に導電層を形成してなるリフレクトロンにおいて、高い質量精度及び質量分解能を達成するためには、導電層の厚さをかなり高い精度で制御する必要がある。特許文献2、3に記載のリフレクトロンに関連した非特許文献1、2の記載によれば、導電層の電気抵抗の均一性の誤差は1.5〜2.5%である。このような誤差では、従来の一般的なリフレクトロンを搭載したTOFMSに要求される質量精度等の仕様を満たすことは到底できない。実際、非特許文献3には、非特許文献1、2に記載のリフレクトロンを搭載したTOFMSにより実測されたスペクトルが開示されているが、イオンピークの半値幅は50〜150nsと、一般的なリフレクトロンTOFMSで得られるイオンピークの半値幅:数nsと比べるとかなり広いことが分かる。
国際公開第2012/033094号公報 米国特許第7154086号明細書 米国特許第8084732号明細書
ムロテク(Sharon R. Mrotek)、ほか3名、「キャラクタリゼイション・オブ・ザ・ユニフォーミティ・アンド・スタビリティ・オブ・レジスティブ・グラス(Characterization of the Uniformity and Stability of Resistive Glass)」、バルーレ・エレクトロ-オプティクス(Burle Electro-Optics)、[平成25年11月13日検索]、インターネット<URL: http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=1&ved=0CC0QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.photonis.com%2Fattachment.php%3Fid_attachment%3D129&ei=ZzuDUoycPMjLlAW5wYGgDQ&usg=AFQjCNF3jDF-8GjhU_DsVDrOrVJl1dh36A&bvm=bv.56343320,d.dGI> リッザウ(Stephen M. Ritzau)、ほか2名、「エクスペリメンタル・エバリュエイション・オブ・レジスティブ・グラス・イオン・オプティクス(Experimental Evaluation of Resistive Glass Ion Optics)」、バルーレ・エレクトロ-オプティクス(Burle Electro-Optics)、[平成25年11月13日検索]、インターネット<URL: http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=3&ved=0CDgQFjAC&url=http%3A%2F%2Fwww.photonis.com%2Fattachment.php%3Fid_attachment%3D130&ei=pjeDUpmSGc2alQWX34DABg&usg=AFQjCNEgfSbfxQH1CITXz_qJSqHP-_yeyQ> リッザウ(Stephen M. Ritzau)、ほか3名、「ア・ダイレクト・コンパリソン・オブ・ア・レジスティブ・グラス・アンド・スタックド-リング・リフレクトロン(A Direct Comparison of a Resistive Glass and Stacked-Ring Reflectron)」、バルーレ・エレクトロ-オプティクス(Burle Electro-Optics)、[平成25年11月13日検索]、インターネット<URL: http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=1&ved=0CC4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.photonis.com%2Fattachment.php%3Fid_attachment%3D127&ei=jTyDUpn0No6OkwX1xYGgDQ&usg=AFQjCNG5zJ6ky6wSjD_8cBLvf05uXEro3w> 「ファインセラミックス 材料から選ぶ SiC」、京セラ株式会社、[平成25年11月13日検索]、インターネット<URL: http://www.kyocera.co.jp/prdct/fc/list/material/silicon_carbide/silicon_carbide.html>
上述したように、特許文献2〜3、非特許文献1〜3等に記載のリフレクトロンは、その構造は簡単であるものの、リフレクトロンTOFMSとして十分な性能を得ることができない。特に、近年、TOFMSには従来にも増して高い精度や分解能が求められており、こうした高い性能を特許文献2等に記載のリフレクトロンで実現するのは非常に困難である。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、簡素な構造でありながら高い質量精度、質量分解能を達成することができるリフレクトロンを搭載したTOFMSを提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンを用いた飛行時間型質量分析装置(TOFMS)であって、該リフレクトロンは、
半導電性材料からなる筒状体であって、その筒状体の軸に直交する断面における肉厚を軸方向の位置に応じて調整することで、該位置を含む軸方向の所定範囲の抵抗値が規定されてなる電極部と、
その筒状体である電極部の両端の間に電圧を印加する電圧印加部と、
を含むことを特徴としている。
本発明に係るTOFMSにおいて、上記電極部を構成する半導電性材料としては、例えば炭化珪素(SiC)や導電性プラスチックなどを用いることができる。炭化珪素としては、例えば非特許文献4に開示されている京セラ株式会社製の炭化珪素などが利用可能である。こうした半導電性材料は単位体積当たりの電気抵抗の均一性が高く、また精密機械加工による寸法精度も非常に高い。そのため、例えば円筒状などの筒状体の任意の位置における肉厚を高い精度で所望の値にすることができ、それによって軸方向の所定のごく微小な範囲の抵抗値を所望の値にすることができる。
本発明に係るTOFMSでは、上記のように高い精度で軸方向の抵抗値が調整された筒状の電極部の両端に、電圧印加部から所定の電圧を印加する。これにより、電極部の内部には、中心軸上の電位勾配(電位分布)が設計値にきわめて近い、つまりは設計値に対して電位のずれの小さい反射電場が形成される。
また本発明に係るTOFMSの好ましい一態様として、上記電極部は、その筒状体の少なくとも両端の全周に、導電性材料からなる端子部を有する構成とするとよい。
この構成によれば、筒状体である電極部の端部に均一に、つまり周方向における電位差が生じないように電圧を印加することができ、反射電場の軸周りの電位分布の対称性を高めることができる。
また、半導電性材料の肉厚を調整することで軸方向の抵抗値を調整することは可能であるものの、特に中心軸上の電位勾配の形状を複雑な曲線状としようとすると、肉厚の調整だけでは、実際に形成される電場の電位勾配と所望の電位勾配とのずれを小さくするのが難しい場合がある。
そこで、本発明に係るTOFMSにおいて、上記電極部は、その筒状体の軸方向の途中の全周に、導電性材料からなる中間端子部を有する構成としてもよい。この中間端子部は、半導電性材料からなる筒状体の外周面に接触するように設けてもよいし、或いは、筒状体を軸方向の途中で切断した又は分割した構成としてその間に中間端子部を挟むように設けてもよい。そして、こうして設けた中間端子部に電圧印加部から所定の電圧を印加することで、反射電場における軸方向の任意の位置の電位を任意の値に設定することができる。これにより、特にデュアルステージ式リフレクトロン等のマルチステージ式リフレクトロンや中心軸上の電位勾配が非線形状であるリフレクトロンにおいても、反射電場での中心軸上の電位勾配の精度を高めることができる。
本発明に係るTOFMSによれば、高い質量精度、質量分解能を確保しつつ、従来一般に、円盤状電極を多数積層することで構成していたリフレクトロン電極部の構造が非常に簡単になる。それにより、リフレクトロン電極部の部品数が非常に少なくなるとともに、組立や調整の手間が大幅に軽減される。また、測定の際に、機械的な振動や周囲温度などの環境変化の影響も受けにくくなり、測定の安定性や再現性も向上する。
本発明の一実施例であるリフレクトロンTOFMSの概略構成図。 本発明の別の実施例であるリフレクトロンTOFMSに用いられるリフレクトロン電極部の断面図(a)及び中心軸上の電位分布を示す図(b)。 本発明のさらに別の実施例であるリフレクトロンTOFMSに用いられるリフレクトロン電極部の高抵抗電極部の断面図(a)、両側面図(b)、(c)、軸方向の単位長さ当たりの抵抗値を示す図(d)、中心軸上の電位分布を示す図(e)、及びリフレクトロン電極部の断面図(f)。 本発明のさらに別の実施例であるリフレクトロンTOFMSに用いられるリフレクトロン電極部の断面図(a)、(b)。 一般的なリフレクトロンTOFMSの概略構成図。 図5中のリフレクトロン電極部の構成を示す概略斜視図。 図5に示したTOFMSにおける飛行空間内の中心軸上の電位分布を示す図。
本発明の一実施例であるリフレクトロンTOFMSについて、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のリフレクトロンTOFMSの概略構成図である。すでに説明した図5に示した従来のリフレクトロンTOFMSと同じ構成要素には同じ符号を付した。図1と図5とを比較すれば明らかなように、本実施例のリフレクトロンTOFMSと従来の装置との相違はイオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンの構成である。
本実施例のリフレクトロンTOFMSにおいて、リフレクトロンはリフレクトロン電極部5Aと該電極部5Aに電圧を印加する直流電圧源6とを含む。
リフレクトロン電極部5Aは、筒部の肉厚が周方向、軸方向(図1中の中心軸Cに沿った方向)ともに一定である円筒形状の高抵抗電極部51と、その高抵抗電極部51の両端面にそれぞれ取り付けられる、金属等の導電体からなり円環状である端子部52、53と、からなる。高抵抗電極部51は半導電性材料の一つである炭化珪素からなる。一例として、非特許文献4に開示されている京セラ株式会社製の炭化珪素を利用することができる。
非特許文献4の記載によれば、この炭化珪素による製品の機械加工での寸法精度は、普通公差で0.02mm、精密加工で3μmである。これは、高抵抗電極部51の筒部の肉厚を20mmとした場合、普通公差では0.1%、精密加工では0.015%の寸法精度が得られることを意味する。したがって、炭化珪素材料自体の単位体積当たりの抵抗値のばらつきを或る程度考慮したとしても、電気抵抗の均一性の誤差は、特許文献2等に記載のリフレクトロンに比べて十分に低く抑えることができる。
本実施例のリフレクトロンTOFMSにおける測定時に、直流電圧源6は所定の電圧V1、V2をそれぞれ端子部52、53に印加する。導電体である端子部52、53の電気抵抗は無視できる程度に小さいから、高抵抗電極部51の円環状の端面には端子部52(又は53)を通して均一に電圧V1(又はV2)が印加される。即ち、周方向の電位のむらは生じず、中心軸C方向のいずれの位置においても中心軸Cの周りの電位分布の対称性(回転対称性)は良好となる。
この実施例の構成では、高抵抗電極部51の筒部の肉厚は周方向、軸方向ともに一定であるため、中心軸C方向のいずれの位置でも該位置近傍の所定長さの電気抵抗は同一である。したがって、高抵抗電極部51の内部には、中心軸C上の電位勾配が直線状である反射電場(つまりは一様電場である反射電場)が形成され、この反射電場によってイオンはその飛行軌道が反転される。
上述したように、高抵抗電極部51の筒部の電気抵抗の均一性が高いため、反射電場における中心軸C上の電位勾配の直線性は高く、理想的な(つまりは設計通りの)反射電場によってイオンを折り返し飛行させることができる。それにより、高い質量精度、質量分解能を達成することができる。
なお、図1では、端子部52、53を高抵抗電極部51とは別の部材としているが、高抵抗電極部51の両端面にそれぞれ蒸着等により形成された導電体層(又は被膜)を端子部52、53としてもよい。
図1に示した実施例におけるリフレクトロンは、1段の一様電場を有するシングルステージ式リフレクトロンであるが、一般的には、中心軸C上の電位勾配が相違する2段の一様電場を用いるデュアルステージ式リフレクトロンがよく用いられる。
図2(a)はデュアルステージ式リフレクトロンにおけるリフレクトロン電極部5Bの断面図、図2(b)はその中心軸C上の電位分布を示す図である。
図1に示したリフレクトロン電極部5Aでは、高抵抗電極部51の両端に設けた端子部52、53にのみ電圧を印加していたが、図2(a)に示したリフレクトロン電極部5Bでは、高抵抗電極部51をそれぞれの中心軸C方向の長さがL1、L2である2つの部分、つまり第1高抵抗電極部51A、第2高抵抗電極部51Bに分割し、その両者の間に円環状の中間端子部55を設けている。そして、両端子部52、53にそれぞれ電圧V1、V2を印加し、中間端子部55に電圧V3(V1<V3<V2)を印加する。これにより、軸方向の途中の特定位置における電位が定まり、図2(b)に示すように、長さがL1である第1高抵抗電極部51A、及び長さがL2である第2高抵抗電極部51Bそれぞれにおける中心軸C上の電位勾配の傾斜が定まる。
このリフレクトロン電極部5Bを用いたリフレクトロンTOFMSでは、自由飛行空間を飛行してきたイオンはまず第1高抵抗電極部51Aの内側に形成される電場により減速される。そして、減速されたイオンは第2高抵抗電極部51Aの内側に形成される電場により中心軸C方向の適宜の位置で反射され、第1高抵抗電極部51Aの内側に形成される電場を再び通過する際に加速されて自由飛行空間へ送り出される。このようなデュアルステージ式リフレクトロンでは、上記シングルステージ式リフレクトロンに比べて、広い質量電荷比を持つイオンについて、エネルギ広がりを有する同一質量電荷比のイオンの時間収束性を高めることができる。
また、反射電場における中心軸C上の電位勾配の形状は、高抵抗電極部51の筒部の肉厚を調整することで適宜に変えることが可能である。図3は、本発明のさらに別の実施例であるリフレクトロンTOFMSに用いられるリフレクトロン電極部Cの高抵抗電極部の断面図(a)、両側面図(b)、(c)、中心軸C方向の単位長さ当たりの抵抗値を示す図(d)、中心軸C上の電位分布を示す図(e)、及びリフレクトロン電極部の断面図(f)である。
この実施例におけるリフレクトロン電極部5Cにおいて、高抵抗電極部51は、その筒部の肉厚がイオン入射端面側(図3(a)では左側)から奥へ進むに従って一様に薄くなる、テーパ状となっている。その筒部の内径は一定である。これにより、軸方向の単位長さ当たりの電気抵抗値は、図3(d)に示すように、イオン入射端面側から奥へ進むに従って直線的に増加する。この構成においても、図3(f)に示すように、高抵抗電極部51の両端部にそれぞれ取り付けられた端子部52、53にそれぞれ電圧V1、V2を印加する。すると、上述したように中心軸C方向の抵抗値の値が異なるために、中心軸C上の電位勾配の形状は図3(e)に示すように曲線状、つまり非線形状となる。
例えば特許文献1に記載されているように、リフレクトロンTOFMSにおいて高い性能を達成するためには、イオンが持つエネルギについての時間収束性を高める必要があり、そのために、シングルステージ式、デュアルステージ式のいずれでも、リフレクトロンにより形成される反射電場の中心軸上の電位勾配の形状を調整したい場合がある。そうした場合でも、本発明に係るTOFMSにおけるリフレクトロンでは、高抵抗電極部51(又は第1、第2高抵抗電極部51A、51B)の筒部の肉厚を調整することで、中心軸C上の電位勾配の形状を様々に変えることができる。
このように中心軸C上の電位勾配を非線形状にする場合にも、図2の例と同様に、中間端子部を設けると、電位の精度を高めることができる。図4(a)の例では、高抵抗電極部51の外周面に接触するように円環状の中間端子部54を設けている。一方、図4(b)の例では、図2(a)の例と同様に、高抵抗電極部51を第1高抵抗電極部51A、第2高抵抗電極部51Bに分割し、その両者の間に円環状の中間端子部55を設けている。こうして追加した中間端子部54、55に電圧V3(V1<V3<V2)を印加することで、中心軸C方向の途中の特定位置における電位を定める。これにより、高抵抗電極部51の内部に形成される反射電場の軸方向の電位勾配をより精度よく設計値に近づけることができる。特に、中心軸C上の電位勾配の形状が複雑な曲線状である場合にこうした構成は有用である。
また、上記実施例では、高抵抗電極部51の材料と炭化珪素としたが、高い加工精度が実現できる半導電性材料であれば、使用できる材料は炭化珪素に限らず、例えば導電性プラスチックなどを用いてもよい。
また、上記記載以外に、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…イオン源
2…加速電極
3…フライトチューブ
4…検出器
5A、5B、5C、5D、5E…リフレクトロン電極部
51、51A、51B…高抵抗電極部
52、53…端子部
54、55…中間端子部
6…直流電圧源

Claims (5)

  1. イオンの飛行軌道を反転させるリフレクトロンを用いた飛行時間型質量分析装置であって、該リフレクトロンは、
    半導電性材料からなる筒状体であって、その筒状体の軸に直交する断面における肉厚を軸方向の位置に応じて調整することで、該位置を含む軸方向の所定範囲の抵抗値が規定されてなる電極部と、
    その筒状体である電極部の両端の間に電圧を印加する電圧印加部と、
    を含むことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記電極部は、その筒状体の少なくとも両端の全周に、導電性材料からなる端子部を有することを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記電極部は、その筒状体の軸方向の途中の全周に、導電性材料からなる中間端子部を有することを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記半導電性材料は炭化珪素であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記半導電性材料は導電性プラスチックであることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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