以下に、本発明の実施の形態にかかる通信装置、光伝送システムおよび光周波数制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光伝送システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の光伝送システムは、通信装置1、通信装置2および伝送路3を備える。本実施の形態では、通信装置1から送信され伝送路3を介して通信装置2で受信される光信号の光周波数を調整する例を説明する。
本実施の形態の光伝送システムは、スーパーチャネル伝送方式により光信号を伝送する通信システムであり、例えば、幹線系光通信網と呼ばれる通信網である。図1では、2つのサブキャリアが多重される例を示しているが、多重されるサブキャリアの数はこの例に限定されない。なお、図1では、各構成要素を接続する線のうち光信号の経路を示す部分を実線で示し、電気信号の経路を示す部分を点線で示している。
第1の通信装置である通信装置1は、光周波数シフト同期装置11と、光送受信器12−1,12−2と、光結合器13とを備える。光周波数シフト同期装置11は、通信装置2において算出された光信号の周波数誤差を示す誤差信号に基づいて光信号の周波数のシフトである光周波数シフトを補正する。光送受信器12−1は、第1のサブキャリアであるサブキャリア#1の光信号を生成して出力する。光送受信器12−2は、第2のサブキャリアであるサブキャリア#2の光信号を生成して出力する。第1のサブキャリアと第2のサブキャリアとは、それぞれ光周波数の異なるすなわち光波長の異なる搬送波である。光結合器13は、光送受信器12−1から出力される光信号と光送受信器12−2から出力される光信号とを結合して伝送路3へ出力する。また、光結合器13は、伝送路3経由で通信装置2から受信した光信号を2つに分波し、一方を光送受信器12−1へ他方を光送受信器12−2へ出力する。
第2の通信装置である通信装置2は、光分波器21と、光送受信器22−1,22−2と、誤差信号演算部23とを備える。光分波器21は、伝送路3経由で通信装置1から受信した光信号を2つに分波し、一方を光送受信器22−1へ他方を光送受信器22−2へ出力する。また、光分波器21は、光送受信器22−1から出力される光信号と光送受信器22−2から出力される光信号とを結合して伝送路3へ出力する。誤差信号演算部23は、光送受信器22−1および光送受信器22−2により算出された信号品質を用いて、光周波数シフト量を示す誤差信号を算出する。
図2は、本実施の形態の通信装置1の光送受信器12−1の構成例を示す図である。図2に示すように、光送受信器12−1は、光信号生成部121、送信デジタル信号処理部122および光復調部123を備える。なお、光送受信器12−2の構成は、光送受信器12−1と同様である。光信号生成部121は光源124および光変調器125を備える。光源124は、連続光を送出する。光変調器125は、光源124から送出された連続光を電気信号であるデータ信号に応じて変調して光信号を生成し、生成した光信号を光結合器13へ出力する。
送信デジタル信号処理部122は、光周波数シフト器126、光周波数シフト量演算器127およびデータ信号生成部128を備える。データ信号生成部128は、データ信号を生成する。具体的には、データ信号生成部128は、例えば、送信する情報を誤り訂正符号化する処理、2値位相変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)、4値位相変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)または16値振幅位相変調(16QAM(Quadrature Amplitude Modulation))等の変調方式に応じてシンボルマッピングする処理、信号のスペクトルを整形する処理等を行ってデータ信号を生成する。データ信号生成部128の具体的処理内容およびデータ信号生成部128の構成については特に制約はない。光周波数シフト量演算器127は、通信装置2から通知された誤差信号を用いて光周波数シフト量を算出し、算出した周波数シフト量を光周波数シフト器126へ出力する。光周波数シフト器126は、データ信号に対し、光周波数シフト量演算器127から通知された光周波数シフト量の周波数シフトを電気的に付加する。また、光周波数シフト器126は、あらかじめ定めた周波数の振幅がΔfとなるディザをデータ信号に与えることができる。すなわち、光周波数シフト器126は、ディザの周波数は+Δfから−Δfの間で変化させる。なお、ディザは、周波数の揺らぎのことである。したがって、ディザは、周波数を増加させる場合もあるし、周波数を減少させる場合もある。すなわち、ディザの周波数の極性は+の場合もあれば−の場合もある。以下、ディザの周波数の極性を、単にディザの極性と呼ぶ。なお、以下では、ディザの周波数の振幅は固定である例を説明するが、ディザの周波数の振幅は固定でなくてもよい。以下、ディザの周波数の振幅を適宜、ディザの振幅と呼ぶ。ディザは例えば、矩形型の電気クロック信号を用いて一定時間周期ごとに光周波数シフト量を変化させることにより生成される。例えば、光周波数シフト器126がDSP(Digital Signal Processor)により実装される場合、電圧aからbに変化するとき、光周波数を+ΔfシフトするようにDSP内レジスタを書き換える。一方、電圧bからaに変化するとき、光周波数を−ΔfシフトするようにDSP内レジスタを書き換える。
光復調部123は、コヒーレントレシーバ130および受信デジタル信号処理器129を備える。コヒーレントレシーバ130は、通信装置2から伝送路3および光結合器13経由で受信した光信号を電気信号に変換して出力する。具体的には、光結合器13から入力された光信号と光源124から送出された光とを干渉させることにより所望の波長の光を電気信号に変換する。受信デジタル信号処理器129は、コヒーレントレシーバ130から出力された電気信号を復調する。また、受信デジタル信号処理器129は、復調して得られたデータのうち通信装置2から通知された誤差信号を光周波数シフト量演算器127へ出力する。
図3は、本実施の形態の対向装置である通信装置2の光送受信器22−1の構成例を示す図である。なお、本実施の形態では、対向装置とは、光周波数の制御対象となる装置である通信装置1に対向する装置すなわち通信装置1から送信された信号を受信する装置のことを示す。図3に示すように、光送受信器22−1は、光復調部221および光信号生成部222を備える。なお、光送受信器22−2の構成は、光送受信器22−1と同様である。
光復調部221は、コヒーレントレシーバ223、受信デジタル信号処理器224、信号品質モニタ225および周波数オフセット器226を備える。コヒーレントレシーバ223は、光分波器21から入力される光信号をコヒーレント検波して電気信号に変換する。すなわち、コヒーレントレシーバ223は、光分波器21から入力された光信号と光源227から送出された光とを干渉させることにより所望の波長の光を電気信号に変換する。
受信デジタル信号処理器224は、送信側である通信装置1から送信された情報を復元する。すなわち、例えば、送信側である通信装置1のデータ信号生成部128において、変調が施されている場合には変調に対応した復調を実施し、データ信号生成部128において誤り訂正符号化がなされている場合には誤り訂正復号を行う。信号品質モニタ225は、受信デジタル信号処理器224から出力される情報を用いて通信装置1から受信した信号の品質を算出し、算出した結果を誤差信号演算部23へ出力する。信号品質モニタ225における信号品質の算出手法としては、例えば、複素平面上における受信信号点配置の雑音分布を用いて光信号の品質を示すQ値を算出する手法がある。この場合、受信デジタル信号処理器224から出力される情報は、複素平面上における受信信号点配置の雑音分布である。また、信号品質モニタ225における信号品質の他の算出手法としては、誤り訂正復号において誤り訂正されたビット数を用いてBER(Bit Error Rate:ビットエラーレート)を算出方法がある。この場合、受信デジタル信号処理器224から出力される情報は、誤り訂正復号において誤り訂正されたビット数である。信号品質モニタ225における信号品質の算出手法は、上述した方法に限らずどのような方法を用いてもよい。周波数オフセット器226は、通信装置1において付加されたディザの光周波数シフトの極性を算出し、算出した極性を誤差信号演算部23へ出力する。
光信号生成部222は光源227および光変調器228を備える。光源227は、連続光を送出する。光変調器228は、光源227から送出された連続光を電気信号である誤差信号に応じて変調して光信号を生成し、生成した光信号を光分波器21へ出力する。
次に、本実施の形態の動作について説明する。ここでは、通信装置1から対向する通信装置2へ向かって送信される光信号の光周波数を制御する動作を説明する。光周波数シフト同期装置11は、あらかじめ定められた制御シーケンスにしたがって、光送受信器12−1,12−2に対して、同期したディザを付加するか逆相のディザを付加するかを指示する。本実施の形態の光周波数制御は、後述するように、平均光周波数制御および光周波数間隔制御で構成される。制御シーケンスは、平均光周波数制御すなわち同期した同相ディザを付加した制御と、光周波数間隔制御すなわち逆相のディザを付加した制御とのうちどちらを先に行うかを示す。通信装置1の光送受信器12−1では、データ信号生成部128がデータ信号を生成して、光周波数シフト器126へデータ信号を入力する。光送受信器12−1の光周波数シフト器126は、入力されたデータ信号にあらかじめ定められた振幅Δfのディザを付加する。ディザが付加されたデータ信号は、光送受信器12−1の光変調器125へ入力される。光送受信器12−1の光変調器125は、光源124から送出された光を、光周波数シフト器126から入力されたデータ信号に基づいて光変調し、サブキャリア#1の光信号を生成する。
通信装置1の光送受信器12−2では、光送受信器12−1と同様の動作により、サブキャリア#2の光信号を生成する。このとき、光送受信器12−2の光周波数シフト器126は、光周波数シフト同期装置11から同期した同相のディザを付加することを指示されている場合、光送受信器12−1の光周波数シフト器126と同期して同相のディザすなわち同一のディザを付加する。また、光送受信器12−2の光周波数シフト器126は、光周波数シフト同期装置11から同期した逆相のディザを付加することを指示されている場合、光送受信器12−1の光周波数シフト器126と逆相のディザ、すなわち光送受信器12−1の光周波数シフト器126が付加するディザと位相が180度異なるディザを付加する。なお、光送受信器12−2の光源124は、光送受信器12−1の光源124と光周波数が異なるすなわち光波長が異なる光を送出している。すなわち、光送受信器12−1の光源124はサブキャリア#1に対応する光波長の光を送出し、光送受信器12−2の光源124はサブキャリア#2に対応する光波長の光を送出する。
以上のように、光送受信器12−1は、第1の光周波数の光信号に第1の周波数揺らぎを付加して送信する第1の光送受信器であり、光送受信器12−2は、第2の光周波数の光信号に第1の光周波数に同期した第2の周波数揺らぎを付加して送信する第2の光送受信器である。第1の光周波数の光信号は、サブキャリア#1の光信号であり、第2の光周波数の光信号は、サブキャリア#2の光信号である。また、第1の周波数揺らぎは、光送受信器12−1の光周波数シフト器126が付加したディザによりサブキャリア#1の光信号に付加される光周波数の揺らぎであり、第2の周波数揺らぎは、光送受信器12−2の光周波数シフト器126が付加したディザによりサブキャリア#2の光信号に付加される光周波数の揺らぎである。
光結合器13は、サブキャリア#1の光信号とサブキャリア#2の光信号とを合波して、伝送路3へ出力する。通信装置2の光分波器21は、伝送路3を介して通信装置1の光結合器13により合波された光信号を受信し、受信した光信号を2つに分波して、一方を光送受信器22−1へ、他方を光送受信器22−2へ出力する。
光送受信器22−1では、コヒーレントレシーバ223が、光源227から送出される光を用いて受信した光信号を電気信号に変換して受信デジタル信号処理器224へ出力する。なお、光送受信器22−1の光源227は、サブキャリア#1に対応する光波長の光を送出する。したがって、光送受信器22−1のコヒーレントレシーバ223では、サブキャリア#1の光信号が検波されて電気信号に変換されることになる。光送受信器22−1の受信デジタル信号処理器224は、コヒーレントレシーバ223から出力される電気信号を送信された情報に復元し、信号品質の算出に用いる情報を信号品質モニタ225へ出力する。信号品質の算出に用いる情報は、上述したように、例えば、複素平面上における受信信号点配置の雑音分布または誤り訂正されたビット数等である。また、受信デジタル信号処理器224は、コヒーレントレシーバ223から出力された電気信号を周波数オフセット器226へ出力する。
光送受信器22−1の信号品質モニタ225は、受信デジタル信号処理器224から出力された情報に基づいて信号品質を算出し、算出した信号品質を誤差信号演算部23へ出力する。信号品質モニタ225により算出される信号品質は、例えば、複素平面上における受信信号点配置の雑音分布に基づくQ値、または誤り訂正されたビット数に基づいて算出されたBER等である。光送受信器22−1の周波数オフセット器226は、受信デジタル信号処理器224から出力された電気信号に基づいて、ディザの光周波数シフトの極性を算出し、誤差信号演算部23へ出力する。周波数オフセット器226は、例えば、ディザが方形波である場合は、通信装置1から送信された光信号の光周波数には、ディザの周期の半分は−Δfが付加され、ディザの周期の残り半分は+Δfが付加される。このため、例えば、周波数オフセット器226は、受信デジタル信号処理器224から出力された電気信号の周波数を算出し、算出した周波数が対応するサブキャリアの周波数より高いか低いかによりディザの極性を判定する。または、周波数オフセット器226は、算出した周波数の時間変化、例えば一定時間あたりの周波数の変化量を観測し、周波数が一定量以上減少した時刻から周波数が一定量以上増加した時刻までは極性が−であると判定し、周波数が一定量以上増加した時刻から周波数が一定量以上減少するまでは極性が+と判定する等の方法も考えられる。
光送受信器22−2は、光送受信器22−1と同様の処理により、サブキャリア#2に対応する光周波数シフトの極性と信号品質とを算出し、算出した光周波数シフトの極性と信号品質とを誤差信号演算部23へ入力する。なお、光送受信器22−2の光源227は、サブキャリア#2に対応する光波長の光を送出する。これにより、光送受信器22−2のコヒーレントレシーバ223では、サブキャリア#2の光信号が検波されて電気信号に変換されることになる。
誤差信号演算部23は、ディザの光周波数シフトの極性を用いて演算の順序を判断し、光送受信器21−1から出力されたサブキャリア#1の信号品質すなわち受信品質と光送受信器21−2から出力されたとサブキャリア#2の信号品質すなわち受信品質とに基づいて誤差信号を算出する。誤差信号の算出方法については後述する。光送受信器22−1の光変調器228は、光源227から送出された光を誤差信号に応じて変調して光信号を生成し、生成した光信号を光分波器21へ出力する。光分波器21は、光変調器228から出力された光信号を伝送路3へ出力する。光信号は、伝送路3を介して通信装置2から送信された光信号を受信する。これにより、通信装置2で算出された誤差信号が光信号として通信装置1へ送信される。すなわち通信装置1から送信された光信号の光周波数の誤差を示す誤差信号が通信装置1へフィードバックされる。誤差信号は、通信装置1において光周波数の制御に用いられる。
なお、ここでは、光送受信器22−1が誤差信号を通信装置1へ送信する動作を説明したが、同様に光送受信器22−2も誤差信号を通信装置1へ送信する。なお、光送受信器22−1と光送受信器22−2のいずれか一方が誤差信号を送信するようにしてもよい。光送受信器22−1と光送受信器22−2のいずれか一方が誤差信号を送信する場合、通信装置1では、光送受信器12−1または光送受信器12−2のいずれかが誤差信号を受信することになる。このため、誤差信号を受信した光送受信器12−1または光送受信器12−2は、他方の光送受信器12−1または光送受信器12−2の光周波数シフト量演算器127へ誤差信号を通知する。
また、誤差信号は、データ信号とは別に送信されてもよいし、通信装置2から通信装置1へのデータ信号の送信も行われる場合、データ信号とともに光変調器288に入力されて変調に用いられてもよい。また、データ信号を送信するためのフレームであるデータフレーム内の利用可能な領域を用いて送信してもよい。例えば、データ信号が、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication standardization sector) G.709で定められているOTN(Optical−channel Transport Unit)フレームのデータフレームとして送信される場合、データフレーム内のコミュニケーションチャネルを用いることができる。データフレーム内の領域を用いて誤差信号を送信する場合、通信装置2は、図4に示すように、データ信号の送信側の機能も有する。
図4は、通信装置2が、データ信号を送信する場合の通信装置2の構成例を示す図である。この場合、通信装置2の光送受信器22−1は、図3に示した光送受信器22−1に送信デジタル信号処理部230を追加した構成となる。送信ジタル信号処理部230は、データ信号を生成するデータ信号生成部232とフレーマ231を備える。データ信号生成部232は、通信装置1のデータ信号生成部128と同様にデータ信号を生成する。フレーマ231は、OTNフレームなどのデータフレームにデータ信号および誤差信号を配置して光変調器228へ出力する。
また、ダークファイバと呼ばれる空き光ファイバすなわち空き伝送路がある場合、ダークファイバを用いて誤差信号を伝送してもよい。この場合、通信装置2の光分波器21から出力された信号をダークファイバに出力可能であり、通信装置1の光結合器13にはダークファイバを経由した信号が入力可能であるとする。また、誤差信号は、データ伝送に使用していない空き光周波数すなわち空き波長を用いて伝送されもよい。空波長で伝送する場合には、通信装置2は図示した光送受信器22−1,22−2とは別に光送受信器22−1,22−2と異なる光周波数に対応した光送受信器を備え、通信装置1は図示した光送受信器12−1,12−2とは別に光送受信器12−1,12−2と異なる光周波数に対応した光送受信器を備えているとする。いずれの場合にも、誤差信号をどのように送信するかはあらかじめ定めておき、通信装置1および通信装置2に設定されているとする。
通信装置1の光結合器13は、光伝送路3経由で光信号として誤差信号を受信し、受信した光信号を2つに分波して、一方を光送受信器12−1へ入力し、他方を光送受信器12−2へ入力する。ここでは、通信装置2の光送受信器22−1から誤差信号が送信されたとすると、光送受信器12−1が誤差信号を受信する。具体的には、光送受信器12−1の光復調部123のコヒーレントレシーバ130が光信号を電気信号に変換し、受信デジタル信号処理器129が電気信号から誤差信号を抽出して光周波数シフト量演算器127へ入力する。光周波数シフト量演算器127は、誤差信号を光周波数シフト量に変換し、すなわち誤差信号に基づいて光周波数シフト量を算出し、光周波数シフト量を光周波数シフト器126へ通知する。光周波数シフト器126は、光周波数を光周波数シフト量演算器127から通知された光周波数シフト量だけシフトさせるためのデータ信号を生成する。これにより、光送受信器12−1の光信号生成部121により生成される光信号は、光周波数シフト量シフトする。光送受信器12−2も同様に、受信した誤差信号に基づいて光周波数シフト量を算出し、光送受信器12−2の光信号生成部121により生成される光信号を光周波数シフト量シフトさせる。
すなわち、光送受信器12−1は、第1の光周波数の光信号の受信品質と第2の光周波数の光信号の受信品質とに基づいて算出された誤差信号に基づいて、第1の光周波数の光信号であるサブキャリア#1の光信号の光周波数をシフトさせるシフト量である第1のシフト量を算出し、第1の光周波数の光信号の光周波数を第1のシフト量シフトさせる。また、光送受信器12−2は、誤差信号に基づいて、第2の光周波数の光信号であるサブキャリア#2の光信号の光周波数をシフトさせるシフト量である第2のシフト量を算出し、第2の光周波数の光信号の光周波数を第2のシフト量シフトさせる。
次に、本実施の形態の通信装置1の送信する光信号の光周波数制御について詳細に説明する。図5は、本実施の形態の光周波数制御手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態の光周波数制御は、(A)平均光周波数制御および(B)光周波数間隔制御により構成される。図5の例では、(A)平均光周波数制御を行った後に(B)光周波数間隔制御を行う例を示している。
まず、通信装置1は、平均光周波数制御を行うために、サブキャリア#1とサブキャリア#2とに振幅Δfの互いに同期した同相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS1)。具体的には、光周波数シフト同期装置11は、光送受信器12−1,12−2に対して同期した同相のディザを付加するよう指示する。光送受信器12−1の光周波数シフト器126と光送受信器12−2の光周波数シフト器126とは、光周波数シフト同期装置11からの指示に従って、同期した同一のディザを付加する。同期の方法としては、例えば、光周波数シフト同期装置11が光送受信器12−1,12−2の各々の光周波数シフト器126へ同時にディザの付加開始を指示する。光送受信器12−1,12−2の光周波数シフト器126は、同一のディザを生成可能なように構成される。例えば、光送受信器12−1,12−2の光周波数シフト器126は、同一の方形波、または正弦波等を生成可能なように構成される。光送受信器12−1,12−2の光周波数シフト器126が光周波数シフト同期装置11からの指示に基づいて同時に同一のディザを生成してデータ信号に付加する。光送受信器12−1,12−2の光変調器125は、それぞれ光周波数シフト器126から出力された電気信号に応じた光信号を生成して、光結合器13へ出力する。光結合器13は、光送受信器12−1から出力された光信号と光送受信器12−2から出力された光信号と合波して伝送路3へ出力する。
次に、伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、誤差信号Eaを算出する(ステップS2)。具体的には、光分波器21を介して光送受信器22−1および光送受信器22−2の光復調部221は上述したように光信号を電気信号に変換して送信された情報を復元するとともに、ディザの極性および信号品質を算出する。誤差信号演算部23は、光送受信器22−1および光送受信器22−2の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、以下の式(1)に従って誤差信号Eaを算出する。なお、ここでは、信号品質はQ値であるとし、ディザ極性j∈{+,−}に対応するサブキャリア番号#i∈{1,2}のQ値をQijと定義する。すなわち、ディザの極性が+のときの光送受信器22−1が算出したQ値がQ1+であり、ディザの極性が−のときの光送受信器22−1が算出したQ値がQ1-であり、ディザの極性が+のときの光送受信器22−2が算出したQ値がQ2+であり、ディザの極性が−のときの光送受信器22−2が算出したQ値がQ2-である。また、Min{x,y}は、xとyのうちの最小値を示す。なお、ここでは、信号品質は小さい値ほど信号の品質が悪いことを示す値であるとする。
Ea=Min{Q1+,Q2+}−Min{Q1-,Q2-} …(1)
誤差信号は、上述したように、光信号として通信装置2から通信装置1へ送信される。通信装置1では、比例積分制御が行われ、以下の式(2),(3)により、光周波数シフト量fi,FCが更新される(ステップS3)。なお、kαは比例係数であり、例えばあらかじめ定められているとする。サブキャリア#iに対応する光周波数シフト量をfi,FCと記載することとする。初期光周波数シフト量すなわちfi,FCの初期値は、0Hzである。
f1,FC=f1,FC+kαEa …(2)
f2,FC=f2,FC+kαEa …(3)
具体的には、光送受信器12−1の光周波数シフト量演算器127が、上記式(2)によりf1,FCを算出し、光送受信器12−2の光周波数シフト量演算器127が、上記式(3)によりf2,FCを算出する。光送受信器12−1の光周波数シフト量演算器127は、光送受信器12−1の光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてf1,FCを通知する。送受信器12−2の光周波数シフト量演算器127は、光送受信器12−2の光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてf2,FCを通知する。光送受信器12−1および光送受信器12−2の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量に基づいてデータ信号をシフトさせる。
以上のように、平均光周波数制御を行う期間である第1の制御期間では、第1および第2の周波数揺らぎは同一であり、第1および第2の周波数揺らぎは、光周波数を増加させる第1の期間と光周波数を減少させる第2の期間とを含むよう生成される。また、第1の制御期間では、誤差信号は、第1の期間における第1の光周波数の光信号の受信品質と第2の光周波数の光信号の受信品質とのうち品質の悪い方の値と、第2の期間における第1の光周波数の光信号の受信品質と第2の光周波数の光信号の受信品質とのうち品質の悪い方の値との差を示す信号である。また、第1の制御期間では、光送受信器12−1は、第1のシフト量に誤差信号に比例係数を乗算した値を加算した値で、第1のシフト量を更新する制御を行い、光送受信器12−2は、第2のシフト量に誤差信号に比例係数を乗算した値を加算した値で、第2のシフト量を更新する制御を行う。また、本実施の形態では、誤差信号は、第1および第2の光周波数の光信号を受信する対向装置である通信装置2において算出され、光送受信器12−1は、対向装置から受信した誤差信号に基づいて第1のシフト量を算出し、光送受信器12−2は、対向装置から受信した誤差信号に基づいて第2のシフト量を算出する。
以上述べた処理により、2つのサブキャリアの平均光周波数を、両サブキャリアの信号品質を偏りなく改善するように制御することができる。なお、2つのサブキャリアの平均光周波数とは、2つのサブキャリアの中心周波数を平均した値すなわち平均値を示す。具体的には、2つのサブキャリアの平均光周波数を光周波数の増加する方向に変化させた場合と、2つのサブキャリアの平均光周波数を光周波数の減少する方向に変化させた場合との差を誤差信号として、誤差信号を低減させるように平均光周波数を設定することができる。これにより、伝送路3の光フィルタ等により帯域の狭窄化が生じている場合に、光フィルタ等により削られる信号を低減させることができる。結果として、伝送路3の光フィルタ等により透過帯域自体がわからない場合でも、伝送路3の光フィルタ等による全体の透過帯域の中心付近に平均光周波数が設定されることになる。
図6は、平均光周波数制御を行った場合の、ディザの極性による平均光周波数の変化の一例を示す模式図である。図6中のSC#1は、サブキャリア#1を示し、SC#2は、サブキャリア#2を示す。図6の横軸は周波数であり、縦軸は光信号の強度である。図6には、通信装置1から送信された各サブキャリアの光信号の強度の周波数分布を示している。F1,+はサブキャリア#1の光信号のディザの極性が+の場合の周波数の範囲を示し、F1,-はサブキャリア#1の光信号のディザの極性が−の場合の周波数の範囲を示す。F2,+はサブキャリア#2の光信号のディザの極性が+の場合の周波数の範囲を示し、F2,-はサブキャリア#2の光信号のディザの極性が−の場合の周波数の範囲を示す。図6に示すように、平均光周波数制御では、2つのサブキャリアに同期したディザが付加されるため、両サブキャリアの極性が+の場合に、図6中に白丸で示した平均光周波数は、図6の黒矢印で示した方向すなわち+側に変化する。また、両サブキャリアの極性が−の場合に、図6中に白丸で示した平均光周波数は、図6の白矢印で示した方向すなわち−側に変化する。
図7は、平均光周波数制御を行った場合の、通信装置1から送信された各サブキャリアの光信号の光周波数の時間変化の一例を示す模式図である。図7では、ディザとして方形波を付加する例を示している。図7の横軸は時間であり、縦軸は周波数である。f1,FC,f2,FCは、上述したサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数オフセット後の光周波数である。
図8は、平均光周波数制御を行った場合の、通信装置1から送信された各サブキャリアの信号品質の変化の一例を示す模式図である。図8の横軸は平均光周波数を示し、縦軸は信号品質を示している。また、信号品質61は、サブキャリア#1の光信号の信号品質Q1を示し、信号品質62は、サブキャリア#2の光信号の信号品質Q2を示す。また、Min{Q1,Q2}を図中の実線で示している。また、図8の上部の周波数分布63は、サブキャリア#1,サブキャリア#2の平均光周波数が光周波数の低下側にずれた状態のサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。また、周波数分布64は、サブキャリア#1,サブキャリア#2の平均光周波数が光周波数の高くなる方向にずれた状態のサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。周波数分布65は、適切な状態のサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。図8の上部の周波数分布63,64,65に重ねて示した点線は伝送路3に設けられた光フィルタの透過帯域すなわち光フィルタ帯域を示している。適切な状態の周波数分布65とは、平均光周波数が、光フィルタの透過帯域の中央となった状態のことを示している。図8中のfMは、適切な状態の周波数分布65となる場合の平均光周波数である。図5に示したステップS2で算出する誤差信号が0に近づくように制御することで、平均光周波数がfMへ近づくように制御することができる。
図5の説明に戻り、通信装置1は、光周波数間隔制御に設定を変更し(ステップS4)、サブキャリア#1とサブキャリア#2とに振幅Δfの互いに同期した逆相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する。具体的には、光周波数シフト同期装置11が、光周波数間隔制御に設定を変更し、光送受信器12−1,12−2に対してディザの生成開始のタイミングを指示するとともに、光送受信器12−2に対しては位相が逆のディザを付加するよう指示する。光送受信器12−1,12−2の光周波数シフト器126は、振幅Δfの互いに同期した逆相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS5)。例えば、上述したように、光送受信器12−1,12−2の光周波数シフト器126が、同一のディザを生成可能とする。そして、光周波数シフト同期装置11から逆相のディザを付加するよう指示された場合、光送受信器12−1の光周波数シフト器126は、ステップS1と同様に光周波数シフト同期装置11から指示されたタイミングでディザの生成を開始してディザを付加し、光送受信器12−1の光周波数シフト器126は、光周波数シフト同期装置11から指示されたタイミングで逆相にしたディザの生成を開始してディザを付加する。または、光周波数シフト同期装置11は、光送受信器12−2に対して位相が逆のディザを付加するよう指示する替わりに、光送受信器12−1に対して位相が逆のディザを付加するように指示してもよい。
次に、伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、誤差信号Ebを算出する(ステップS6)。具体的には、光分波器21を介して光送受信器22−1および光送受信器22−2の光復調部221は上述したように光信号を電気信号に変換して送信された情報を復元するとともに、ディザの極性および信号品質を算出する。誤差信号演算部23は、光送受信器22−1および光送受信器22−2の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、以下の式(4)に従って誤差信号Ebを算出する。なお、通信装置2には、平均光周波数制御が行われているか、光周波数間隔制御が行われているかが通信装置1から通知されるとし、信号品質モニタ25は、通信装置2から受信した信号に基づいて、平均光周波数制御が行われているか、光周波数間隔制御が行われているかを判断できるとする。
Eb=Min{Q1-,Q2+}−Min{Q1+,Q2-} …(4)
誤差信号は、上述したように、光信号として通信装置2から通信装置1へ送信される。通信装置1では、比例積分制御が行われ、以下の式(5),(6)により、光周波数シフト量fi,FCが更新される(ステップS7)。なお、kβは比例係数であり、例えばあらかじめ定められているとする。サブキャリア#iに対応する光周波数シフト量をfi,FCと記載することとする。
f1,FC=f1,FC−0.5kβEb …(5)
f2,FC=f2,FC+0.5kβEb …(6)
具体的には、光送受信器12−1の光周波数シフト量演算器127が、上記式(5)によりf1,FCを算出し、光送受信器12−2の光周波数シフト量演算器127が、上記式(6)によりf2,FCを算出する。光送受信器12−1の光周波数シフト量演算器127は、光送受信器12−1の光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてf1,FCを通知する。送受信器12−2の光周波数シフト量演算器127は、光送受信器12−2の光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてf2,FCを通知する。光送受信器12−1および光送受信器12−2の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量のデータ信号をシフトさせる。
以上のように、第2の制御期間である光周波数間隔制御を行う期間では、第1および第2の周波数揺らぎは振幅が同一で位相が逆であり、第1の周波数揺らぎにより光周波数を減少させかつ第2の周波数揺らぎにより光周波数を増加させる第1の逆相期間と、第1の周波数揺らぎにより光周波数を増加させかつ第2の周波数揺らぎにより光周波数を減少させる第2の逆相期間とを含むよう第1および第2の周波数揺らぎは生成される。また、第2の制御期間では、誤差信号は、第1の逆相期間における第1の光周波数の光信号の受信品質と第2の光周波数の光信号の受信品質とのうち品質の悪い方の値と、第2の逆相期間における第1の光周波数の光信号の受信品質と第2の光周波数の光信号の受信品質とのうち品質の悪い方の値との差を示す信号である。また、第2の制御期間では、光送受信器12−1は、第1のシフト量に誤差信号に比例係数を乗算した値を加算した値で、第1のシフト量を更新する制御を行い、光送受信器12−2は、第2のシフト量から、誤差信号に比例係数を乗算した値を減算した値で、第2のシフト量を更新する制御を行う。
図5の説明に戻り、通信装置1は、平均光周波数制御に設定を変更し(ステップS8)、ステップS1へ戻る。具体的には、光周波数シフト同期装置11が、平均光周波数制御に設定を変更する。
光送受信器12−1,12−2の平均光周波数制御では、帯域狭窄化による劣化を抑制することができる。本実施の形態では、帯域狭窄化による劣化とサブキャリア信号間干渉による劣化とがバランスするように、上述したように、さらに2サブキャリアの光周波数間隔を調整する光周波数間隔制御を行う。図9は、光周波数間隔制御を行った場合の、ディザの極性による光周波数間隔の変化の一例を示す模式図である。図9中のSC#1は、サブキャリア#1を示し、SC#2は、サブキャリア#2を示す。図9の横軸は周波数であり、縦軸は光信号の強度である。図9には、通信装置1から送信された各サブキャリアの光信号の強度の周波数分布を示している。d+,-はサブキャリア#1の光信号のディザの極性が+であり、サブキャリア#2の光信号のディザの極性が−である場合の、光周波数間隔すなわちサブキャリア#1の光信号の中心周波数とサブキャリア#2の光信号の中心周波数との間の間隔を示している。d-,+はサブキャリア#1の光信号のディザの極性が−であり、サブキャリア#2の光信号のディザの極性が+である場合の光周波数間隔を示している。図9に示すように、2つのサブキャリアの光周波数を逆方向かつ同一量に変化させることで、光周波数間隔を狭くしたり広くしたりすることになる。
図10は、光周波数間隔制御を行った場合の、通信装置1から送信された各サブキャリアの光信号の光周波数の時間変化の一例を示す模式図である。図10では、ディザの周波数が方形波状に変化する例を示している。図10の横軸は時間であり、縦軸は周波数である。また、f1,FC,f2,FCは、上述したサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数オフセット後の光周波数である。図10に示すように、光周波数間隔制御では、図7の例と異なり、サブキャリア#1,サブキャリア#2のディザの極性は逆である。このように、図10の例では、時間に対し、2つのサブキャリアのディザを逆方向に同一量変化させている。
図11は、光周波数間隔制御を行った場合の、通信装置1から送信された各サブキャリアの信号品質の変化の一例を示す模式図である。図11の横軸は光周波数間隔を示し、縦軸は信号品質を示している。また、図11の上部の周波数分布67は、サブキャリア#1,サブキャリア#2の光周波数が、サブキャリア#1,サブキャリア#2間の光周波数間隔が低下する方向にずれた状態のサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。また、周波数分布68は、サブキャリア#1,サブキャリア#2の光周波数が、サブキャリア#1,サブキャリア#2間の光周波数間隔が大きくなる方向にずれた状態のサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。周波数分布69は、光周波数間隔が適切な状態となったサブキャリア#1,サブキャリア#2の周波数分布を示している。光周波数間隔が適切な状態とは、サブキャリア#1,サブキャリア#2の光周波数間隔が、サブキャリア#1,サブキャリア#2の光信号が干渉せずにまた光周波数が離れすぎてもいない状態であり、例えばあらかじめ定めた範囲内に収まっている状態を示す。図11では、光周波数間隔が狭くなるにつれて、クロストークにより信号品質が劣化し、光周波数間隔が広くなるにつれて、帯域狭窄により信号品質が劣化することを示しており、2つの効果がバランスし信号品質が最大となる点が存在することを示している。
以上のように、平均光周波数制御のための比例積分制御と光周波数間隔制御のための比例積分制御とを行うことにより、2つのサブキャリアの光周波数間隔を光フィルタによる狭窄化の影響を受けず、サブキャリア間クロストークが発生しないように配置する制御を行うことができ、2つのサブキャリア信号品質を偏りなく改善することが可能となる。また、クロストークの影響と帯域狭窄の影響とがバランスするように制御することができる。なお、本実施の形態では、誤差信号に基づく比例積分制御を用いる例を説明したが、比例積分制御に限らず、誤差信号に基づいて誤差を低減させるように制御する方法であればどのような制御方法を用いてもよい。
図12は、本実施の形態の光周波数シフト同期装置11における処理手順の一例を示すフローチャートである。光周波数シフト同期装置11は、まず、平均光周波数制御のためにサブキャリア#1とサブキャリア#2とに振幅Δfの互いに同期した同相のディザの生成を指示する(ステップS21)。一定時間経過後、光周波数シフト同期装置11は、光周波数間隔制御のためにサブキャリア#1とサブキャリア#2とに振幅Δfの互いに同期した逆相のディザの生成を指示する(ステップS22)。一定時間経過後、ステップS21へ戻る。
図13は、本実施の形態の光周波数シフト器126における処理手順の一例を示すフローチャートである。光周波数シフト器126は、光周波数シフト同期装置11からディザの生成開始を指示されたか否かを判断する(ステップS31)、ディザの生成開始を指示された場合(ステップS31 Yes)、逆相のディザの生成を指示されたか否かを判断する(ステップS32)。逆相のディザの生成を指示された場合(ステップS32 Yes)、光周波数シフト同期装置11から指示されたタイミングでデータ信号への逆相のディザの付加を開始し(ステップS33)、ステップS31へ戻る。逆相のディザの生成を指示されていない場合(ステップS32 No)、光周波数シフト同期装置11から指示されたタイミングでデータ信号へのディザの付加を開始し(ステップS34)、ステップS31へ戻る。また、この処理とは独立して、光周波数シフト器126は、光周波数シフト量演算器127から光周波数シフト量が通知された場合には、通知された光周波数シフト量のシフトをデータ信号に与える。ディザの生成開始を指示されていない場合(ステップS31 No)、ステップS31を繰り返す。
次に、本実施の形態の通信装置1および通信装置2のハードウェア構成について説明する。通信装置1および通信装置2のうち各構成要素は、全てハードウェアにより実現することができる。光源124,光源227は例えば半導体レーザであり、光変調器125は、例えばLN(ニオブ酸リチウム)変調器、InP(インジウムリン)変調器である。この他の構成要素は、例えば、それぞれ処理回路として構成される。また、複数の構成要素が、1つの処理回路として構成されてもよいし、1つの構成要素が複数の処理回路により構成されてもよい。
また、上記の処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリおよびメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)とを備える制御回路であってもよい。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等が該当する。
上記の処理回路が、専用のハードウェアで実現される場合、処理回路は、例えば図14に示す処理回路300である。処理回路300は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
上記の処理回路が、CPUを備える制御回路で実現される場合、この制御回路は例えば図15に示す構成の制御回路400である。図15に示すように制御回路400は、CPUであるプロセッサ401と、メモリ402とを備える。上記の処理回路が制御回路400により実現される場合、プロセッサ401がメモリ402に記憶された、各構成要素の各々の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ402は、プロセッサ401が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
通信装置1および通信装置2を構成する各構成要素は、一部が専用のハードウェアで実現され、一部がCPUを備える制御回路で実現されてもよい。
以上のように、本実施の形態では、サブキャリア間で同期した同相または逆相のディザを付加して、両サブキャリアの信号品質を考慮した制御を行うことで、スーパーチャネル伝送における光周波数制御を低コストかつ小規模な構成で実現できる。また、信号品質を定常的に直接モニタリングし、信号品質が向上する方向に制御することで、伝送路に合わせたネットワーク全体の信号品質の向上、経年劣化や周囲環境変化による光周波数ドリフトへの追従を実現できる。
次に、本実施の形態の変形例について述べる。なお、上記の例では、(A)平均光周波数制御、(B)光周波数間隔制御の順番で光周波数制御を実施した。しかしながら、制御の順序はこの例に限定されず、図16に示すように、(B)光周波数間隔制御、(A)平均光周波数制御の順に行ってもよい。図16は、(B)光周波数間隔制御、(A)平均光周波数制御の順に処理を行う場合の制御手順の一例を示す図である。ステップS11〜S14は、図5のステップS5〜S8と同様であり、ステップS15〜S18は、図5のステップS1〜S4と同様である。図16に示す順序で制御を行っても、収束時の光周波数配置は図5で示した処理を行う場合と同様となる。
また、(A)平均光周波数制御、(B)光周波数間隔制御の両方を行うのではなく、いずれか一方を実施してもよい。例えば、平均光周波数制御のみを行ってもよい。図17は、平均光周波数制御を行う場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS21〜S23は、図5のステップS1〜ステップS3と同様である。図17に示す例では、(A)平均光周波数制御、(B)光周波数間隔制御の両方の制御を組み合わせた場合と比較すると、サブキャリア間隔は最適化されないが、制御に用いる回路を小規模化できるといった利点がある。
実施の形態2.
図18は、本発明の実施の形態2にかかる光伝送システムの構成例を示す図である。図18に示すように、本実施の形態の光伝送システムは、通信装置1a、通信装置2aおよび伝送路3を備える。本実施の形態では、通信装置1aから送信され伝送路3を介して通信装置2aで受信される光信号の光周波数を調整する例を説明する。以下、実施の形態1と異なる部分を説明し、実施の形態1と重複する説明を省略する。
通信装置1aは、実施の形態1の通信装置1に、誤差信号演算部14を追加し、光送受信器12−1,12−2に替えて光送受信器12a−1,12a−2を備える以外は、実施の形態1の通信装置1と同様である。誤差信号演算部14は、第1および第2の光周波数の光信号すなわちサブキャリア#1およびサブキャリア#2の光信号を受信する対向装置である通信装置2aから受信したサブキャリア#1およびサブキャリア#2の光信号の受信品質に基づいて誤差信号を算出する。通信装置2aは、実施の形態1の通信装置2から誤差信号演算部23を削除し、光送受信器22−1,22−2に替えて光送受信器22a−1,22a−2を備える以外は、実施の形態1の通信装置2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図19は、本実施の形態の通信装置1の光送受信器12a−1の構成例を示す図である。図19に示すように、本実施の形態の光送受信器12a−1は、実施の形態1と同様の光信号生成部121と、送信デジタル信号処理部122aと、光復調部123aとを備える。
送信デジタル信号処理部122aは、実施の形態1の光周波数シフト量演算部127に替えて光周波数シフト量演算部127aを備える以外は、実施の形態1の送信デジタル信号処理部122と同様である。光周波数シフト量演算部127aは、受信デジタル信号処理器129から入力される誤差信号の替わりに誤差信号演算部14から入力される誤差信号に基づいて光周波数シフト量を算出する以外は、実施の形態1の光周波数シフト量演算部127と同様である。
光復調部123aは、受信デジタル信号処理器129に替えて受信デジタル信号処理器129aを備える以外は、実施の形態1の光復調部123と同様である。受信デジタル信号処理器129aは、コヒーレントレシーバ130から出力される電気信号から信号品質およびディザの極性を抽出して誤差信号演算部14へ入力する。
図20は、本実施の形態の通信装置2の光送受信器22a−1の構成例を示す図である。光送受信器22a−1は、光復調部221から出力される信号品質およびディザの極性を光変調器228へ入力する。これにより、光変調器228は、電気信号である信号品質およびディザの極性を光信号に変換して、光分波部21へ出力する。これにより、信号品質およびディザの極性が光信号として通信装置1aへ送信される。
実施の形態1では、光信号を受信する通信装置2が誤差信号を算出するようにしたが、本実施の形態では、通信装置1aが誤差信号を算出する。これにより、受信側の通信装置は、実施の形態1で述べた処理に対応する部分の機能を追加する必要がなく、従来の通信装置を用いることができる。
本実施の形態では、図5に示したステップS2,ステップS6では、誤差信号演算部14が、通信装置1aから送信された信号品質およびディザの極性に基づいて、誤差信号を算出することになる。本実施の形態の光周波数制御は、誤差信号が誤差信号演算部14で算出される以外は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態の通信装置1aの誤差信号演算部14も実施の形態1の誤差信号演算部23と同様に処理回路により実現できる。この処理回路は、図14に示した処理回路300であってもよく、図15に示す構成の制御回路400であってもよい。誤差信号演算部14が制御回路400により実現される場合、プロセッサ401がメモリ402に記憶された、誤差信号演算部14の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。
以上のように、本実施の形態では、光周波数の調整対象の光信号を送信する通信装置1aが、受信側の通信装置2aにより算出された信号品質およびディザの極性に基づいて誤差信号を算出するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、実施の形態1に比べ通信装置2aのハードウェア構成を簡略化することができる。
実施の形態3.
図21は、本発明にかかる実施の形態3の光伝送システムの構成例を示す図である。図22は、実施の形態3のサブキャリア配置の一例を示す図である。Kは、サブキャリアの総数であり、本実施の形態では、Kは2以上の偶数である。実施の形態1および実施の形態2では、2つのサブキャリアに対して、平均光周波数制御および光周波数間隔制御を実施する例を説明した。実施の形態3では、サブキャリアの数が、2以上の任意の偶数である場合のサブキャリア数の場合における平均光周波数制御および光周波数間隔制御について説明する。
図21に示すように、実施の形態3の光伝送システムを構成する通信装置1,2は、実施の形態1で述べた通信装置1,2が備える光送受信器の数を2からKに一般化する以外は実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態1は、本実施の形態におけるK=2の場合に相当する。すなわち、本実施の形態の通信装置1は、サブキャリア数であるKが4以上の場合には、実施の形態1の通信装置1の構成に加え、3からKまでの整数xのそれぞれに対して、第xの光周波数の光信号に第1の光周波数に同期した第xの周波数揺らぎを付加して送信する第xの光送受信器を備える。以下、本実施の形態の光伝送システムが、実施の形態1の光伝送システムと同様の構成を有する例について説明するが、実施の形態2の光伝送システムと同様の構成により本実施の形態の光伝送システムを実現してもよい。以下、実施の形態1と異なる部分を説明し、実施の形態1と重複する説明は省略する。
図22に示すように、本実施の形態の光伝送システムでは、サブキャリア#1〜サブキャリア#KのK個のサブキャリアを用いた伝送が可能である。なお、図22では、各サブキャリアの上にサブキャリア#1〜サブキャリア#Kを示す番号を#1,…,#K等と記載している。
Kが4以上の場合、隣接する2つのサブキャリアの組が複数存在するため、全てのサブキャリアに一度にディザを付加すると、各組の光周波数間隔の誤差が一度に生じることになり、個別に光周波数間隔制御を行うことは難しい。このため、本実施の形態では、はじめに、2つのサブキャリアに対して、実施の形態1と同様に平均光周波数制御および光周波数間隔制御を行い、以降、制御対象とするサブキャリア数を2つずつ増やして平均光周波数制御および光周波数間隔制御を行うことを繰り返すことにより、全サブキャリアに対して平均光周波数制御および光周波数間隔制御を行う。
具体的には、図22に示すように、p(0≦p≦K/2−1)を、平均光周波数制御および光周波数間隔制御の実施回数を示す変数とするとき、p=0の処理では、サブキャリア#K/2およびサブキャリア#(K/2+1)を制御対象とする。p=1の処理では、サブキャリア#(K/2−1)およびサブキャリア#(K/2+2)を制御対象に追加し、サブキャリア#(K/2−1)からサブキャリア#(K/2+2)までの4つのサブキャリアを制御対象とする。以降、同様に、サブキャリアの番号の低下側と増加側とのそれぞれ1つずつを制御対象に追加していく。
図23は、本実施の形態の平均光周波数制御および光周波数間隔制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、pを0に初期化する(ステップS41)。以下、iをサブキャリアの番号とするとき、サブキャリア#iをSC#iと記載する。次に、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、平均光周波数制御を行うために、SC#(K/2−p)からSC#(K/2+p+1)までのサブキャリアに、それぞれ振幅Δfの互いに同期した同相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS42)。具体的には、光周波数シフト同期装置11は、K個の光送受信器のうちSC#(K/2−p)からSC#(K/2+p+1)までのサブキャリアに対応する光送受信器に対して同期した同相のディザを付加するよう指示する。また、光周波数シフト同期装置11は、ディザの極性が+のディザを付加した後に、極性が−のディザを付加するなどのように、極性を変更してディザを付加する。光送受信器が指示に従ってディザを付加する。ディザが付加された光信号は伝送路3経由で通信装置2に到達する。光送受信器におけるディザの付加方法については実施の形態1と同様である。
伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、誤差信号Eaを算出する(ステップS43)。誤差信号Eaの算出方法は実施の形態1と同様であるが、例えば、誤差信号演算部23が、各光送受信器の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、式(1)を一般化した下記式(7)により誤差信号Eaを算出する。
Ea=Min{Q(K/2-p)+,Q(K/2+p+1)+}−Min{Q(K/2-p)-,Q(K/2+p+1)-}
…(7)
誤差信号は、実施の形態1と同様に、光信号として通信装置2から通信装置1へ送信される。
通信装置1では、比例積分制御が行われる。nを(K/2−p)から(K/2+p+1)までの整数とするとき、以下の式(8)により、n番目のサブキャリアに対応する光周波数シフト量fn,FCが更新される(ステップS44)。なお、kaは実施の形態1のkαと同様に、比例係数であり、例えばあらかじめ定められているとする。初期光周波数シフト量すなわちfn,FCの初期値は、0Hzである。
fn,FC=fn,FC+kaEa …(8)
具体的には、各光送受信器の光周波数シフト量演算器127が、上記式(8)によりfn,FCを算出し、光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてfn,FCを通知する。各光送受信器の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量に基づいてデータ信号をシフトさせる。すなわち、第xの光送受信器は、第1から第xまでの光周波数の光信号の受信品質に基づいて算出された誤差信号に基づいて、第xの光周波数の光信号の光周波数をシフトさせるシフト量である第xのシフト量を算出し、第xの光周波数の光信号の光周波数を第xのシフト量シフトさせる動作を少なくとも実施する。
以上に述べたステップS42〜ステップS44は、実施の形態1の(A)平均光周波数制御に対応する処理であり、これらの処理をステップA’と呼ぶ。ステップA’では、p=0の場合には制御の対象となるサブキャリアの平均光周波数を隣接2サブキャリアの中心に制御し、pが1以上の場合には、制御の対象となるサブキャリアの平均光周波数が光フィルタ帯域の中心となるよう制御することができる。
次に、通信装置1は、光周波数間隔制御へ進み、SC#(K/2−p)からSC#(K/2+p+1)までのサブキャリアに振幅Δfの互いに同期した同相もしくは逆相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS45)。具体的には、nが(K/2−p)からK/2までの全サブキャリアには互いに同相のディザを付加し、nがK/2より大きく(K/2+p+1)までの全サブキャリアには互いに同相のディザを付加する。そして、nが(K/2−p)からK/2までのサブキャリアに付加されるディザと、nがK/2から(K/2+p+1)までのサブキャリアに付加されるディザとは互いに逆相とする。また、nが(K/2−p)からK/2までの全サブキャリアには、ディザの極性が+のディザを付加した後に、極性が−のディザを付加するなどのように、極性を変更してディザを付加する。
次に、伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、実施の形態1と同様に、誤差信号Ebを算出する(ステップS46)。例えば、誤差信号演算部23が、各光送受信器の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、式(4)を一般化した下記式(9)または式(10)により誤差信号Ebを算出する。
Eb=Min{Q(K/2-p)-,Q(K/2+p-1)-}−Min{Q(K/2-p)+,Q(K/2+p-1)+} …(9)
Eb=Min{Q(K/2-p)-,…,Q(K/2)-,Q(K/2+1)+,…,Q(K/2+p+1)+}−
Min{Q(K/2-p)+,…,Q(K/2)+,Q(K/2+1)-,…,Q(K/2+p+1)-} …(10)
誤差信号Ebは、上述したように、実施の形態1と同様に、通信装置2から通信装置1へ送信される。通信装置1では、比例積分制御が行われ、nを(K/2−p)から(K/2+p+1)までの整数とするとき、以下の式(11)により、光周波数シフト量fn,FCが更新される(ステップS47)。なお、kbは、実施の形態1のkβと同様に、比例係数であり、例えばあらかじめ定められているとする。
fn,FC=fn,FC+(n−K/2−0.5)kbEb …(11)
具体的には、各光送受信器の光周波数シフト量演算器127が、上記式(11)によりfn,FCを算出し、光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてfn,FCを通知する。各光送受信器の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量に基づいてデータ信号をシフトさせる。
以上に述べたステップS45〜ステップS47は、実施の形態1の(B)光周波数間隔制御に対応する処理であり、これらの処理をステップB’と呼ぶ。ステップB’を実施することにより、通信装置1は、隣接サブキャリアのクロストークによる影響もしくは光フィルタによる帯域狭窄の影響が全対象サブキャリアにおいて同じとなるように、各サブキャリア間の光周波数間隔を制御することができる。ステップB’の後、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、pがK/2−1であるか否かを判断し(ステップS48)、pがK/2−1でない場合(ステップS48 No)、pを1増加させ(ステップS49)、ステップS42へ戻る。ステップS48で、pがK/2−1である場合(ステップS48 Yes)、pを0に初期化して(ステップS50)、ステップS42へ戻る。
以上のように、通信装置1は、対象サブキャリアを更新しながらステップA’とステップB’とを交互に繰り返す。そして、光周波数シフト同期装置11は、例えば、誤差信号Eaおよび誤差信号Ebがそれぞれ閾値以下となるまで、図23に示した制御を行うことにより、全サブキャリアに対して、光周波数間隔制御および平均光周波数制御を実施することができ、全サブキャリアの信号品質を均一にすることができる。なお、上記の例では、平均光周波数制御、光周波数間隔制御の順番で光周波数制御を実施した。しかしながら、実施の形態1で述べたように、制御の順序はこの例に限定されず、光周波数間隔制御、平均光周波数制御の順に行ってもよい。
図24は、実施の形態3におけるK=4の場合の平均光周波数制御および光周波数間隔制御を模式的に示す図である。図24では、#1〜#4の4つのサブキャリアに対して平均光周波数制御および光周波数間隔制御を行う例を示している。図24の1段目のステップA’は、p=0におけるステップA’に相当し、SC#K/2すなわちSC#2と、SC#(K/2+1)すなわちSC#3とにディザが付加され、平均光周波数制御が行われる。これにより、SC#2とSC#3のQ値が同じになるように制御される。図24の2段目のステップB’は、p=0におけるステップB’に相当し、SC#2とSC#3とにディザが付加され、光周波数間隔制御が行われる。これにより、SC#2とSC#3のQ値が同じとなる状態が維持されつつ、SC#2は、SC#1との間の干渉の影響が、SC#3との間の干渉の影響とが均一となるように制御され、SC#3は、SC#2との間の干渉の影響が、SC#3との間の干渉の影響とが均一となるように制御される。図24の3段目のステップA’は、p=1におけるステップA’に相当し、SC#(K/2−1)すなわちSC#1からSC#(K/2+2)すなわちSC#4までのサブキャリアにディザが付加され、平均光周波数制御が行われる。これにより、SC#1とSC#4のQ値が同じになるように制御される。図24の4段目のステップB’は、p=1におけるステップB’に相当し、SC#1からSC#4までのサブキャリアにディザが付加され、光周波数間隔制御が行われる。これにより、SC#1は、SC#1のQ値とSC#2のQ値とが同じなるように制御され、SC#4は、SC#4のQ値とSC#3のQ値とが同じなるように制御される。以上により、SC#1からSC#4までのQ値は均一となる。このように、ディザを付加するサブキャリアを2つずつ追加していくと、ステップAで2つの追加サブキャリアのQ値を均一にし、ステップBで追加前のサブキャリアと追加後のサブキャリアのQ値を均一にすることができ、最終的に全サブキャリアのQ値を均一にすることができる。
以上のように、本実施の形態では、サブキャリア数が偶数の場合に、制御の対象とするサブキャリアを変更しながら、実施の形態1と同様に平均光周波数制御および光周波数間隔制御を繰り返し実施するようにした。このため、サブキャリア数が2の場合だけでなく、4以上の偶数の場合にも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態1および実施の形態2では、2つのサブキャリアに対して、平均光周波数制御および光周波数間隔制御を実施する例を説明した。実施の形態4では、サブキャリアの数が、3以上の任意の奇数である場合における平均光周波数制御および光周波数間隔制御について説明する。
図25は、実施の形態4のサブキャリア配置の一例を示す図である。Kは、サブキャリアの総数であり、本実施の形態では、Kは3以上の奇数である。図25に示すように、本実施の形態の光伝送システムでは、サブキャリア#1〜サブキャリア#KのK個のサブキャリアを用いた伝送が可能である。なお、図25では、各サブキャリアの上にサブキャリア#1〜サブキャリア#Kを示す番号を#1,…,#K等と記載している。
実施の形態3では、Kが偶数の場合に、順次、制御対象となるサブキャリアを変更して光周波数の制御を行う例を説明したが、Kが奇数の場合にも、順次、制御対象となるサブキャリアを変更して光周波数の制御を行う。ただし、図25に示すように、p=0の場合には、SC#(K/2−0.5),SC#(K/2+0.5),SC#(K/2+1.5)の3つのサブキャリアを制御対象としている。その後、順次、制御対象のサブキャリアとして、周波数方向の低い側および高い側の1つずつのサブキャリアを追加していく。
本実施の形態の光伝送システムの構成は、実施の形態3に示した図21と同様である。ただし、本実施の形態ではKは奇数である。したがって、本実施の形態では、通信装置1は、実施の形態1の通信装置1に対して、3からKまでの整数xのそれぞれに対して、第xの光周波数の光信号に第1の光周波数に同期した第xの周波数揺らぎを付加して送信する第xの光送受信器を追加した構成を有する。以下、本実施の形態の光伝送システムが、実施の形態1の光伝送システムと同様の構成を有する例について説明するが、実施の形態2の光伝送システムと同様の構成により本実施の形態の光伝送システムを実現してもよい。以下、実施の形態1と異なる部分を説明し、実施の形態1と重複する説明は省略する。
図26は、本実施の形態の平均光周波数制御および光周波数間隔制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、pを0に初期化する(ステップS51)。次に、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、平均光周波数制御を行うために、SC#(K/2+0.5)に、振幅Δfのディザを付加する(ステップS52)。光送受信器におけるディザの付加方法については実施の形態1と同様である。
次に、伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、誤差信号Ea0を算出する(ステップS53)。この場合、誤差信号Ea0の算出方法は実施の形態1と同様であるが、例えば、誤差信号演算部23が、各光送受信器の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、式(1)を一般化した下記式(12)により誤差信号Ea0を算出する。
Ea0=Q(K/2+0.5)+−Q(K/2+0.5)- …(12)
誤差信号は、光信号として通信装置2から通信装置1へ送信される。
通信装置1では、比例積分制御が行われ、以下の式(13)により、(K/2+0.5)番目のサブキャリアに対応する光周波数シフト量fK/2+0.5,FCが更新される(ステップS54)。なお、ka0は比例係数であり、例えばあらかじめ定められているとする。初期光周波数シフト量すなわちfK/2+0.5,FCの初期値は、0Hzである。
fK/2+0.5,FC=fK/2+0.5,FC+ka0Ea0 …(13)
具体的には、各光送受信器の光周波数シフト量演算器127が、上記式(13)によりfK/2+0.5,FCを算出し、光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてfn,FCを通知する。各光送受信器の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量に基づいてデータ信号をシフトさせる。すなわち、第xの光送受信器は、第1から第xまでの光周波数の光信号の受信品質に基づいて算出された誤差信号に基づいて、第xの光周波数の光信号の光周波数をシフトさせるシフト量である第xのシフト量を算出し、第xの光周波数の光信号の光周波数を第xのシフト量シフトさせる動作を少なくとも実施する。
以上に述べたステップS52〜ステップS54は、K個のサブキャリアのうちの中心のサブキャリアの光周波数に対する制御であり、これらの処理をステップA0と呼ぶ。
次に、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、平均光周波数制御を行うために、SC#(K/2−p−0.5)からSC#(K/2+p+1.5)までのサブキャリアに、それぞれ振幅Δfの互いに同期した同相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS55)。具体的には、光周波数シフト同期装置11は、K個の光送受信器のうちSC#(K/2−p−0.5)からSC#(K/2+p+1.5)までのサブキャリアに対応する光送受信器に対して同期した同相のディザを付加するよう指示する。また、ディザの極性が+のディザを付加した後に、極性が−のディザを付加するなどのように、極性を変更してディザを付加する。光送受信器が指示に従ってディザを付加する。ディザが付加された光信号は伝送路3経由で通信装置2に到達する。
伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、誤差信号Eaを算出する(ステップS56)。誤差信号Eaの算出方法は実施の形態1および実施の形態3と同様である。例えば、誤差信号演算部23が、各光送受信器の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、式(1)を、Kが奇数の場合に合わせて一般化した下記式(14)により誤差信号Eaを算出する。
Ea=Min{Q(K/2-p-0.5)+,Q(K/2+p+1.5)+}−Min{Q(K/2-p-0.5)-,Q(K/2+p+1.5)-}
…(14)
誤差信号は、光信号として通信装置2から通信装置1へ送信される。
通信装置1では、比例積分制御が行われ、nを(K/2−p−0.5)から(K/2+p+1.5)までの整数とするとき、実施の形態3において示した式(8)により、n番目のサブキャリアに対応する光周波数シフト量fn,FCが更新される(ステップS57)。
以上に述べたステップS55〜ステップS57は、実施の形態1の(A)平均光周波数制御に対応する処理であり、これらの処理をステップA’’と呼ぶ。ステップA’’では、制御の対象となるサブキャリアの平均光周波数が光フィルタ帯域の中心となるよう制御することができる。
次に、通信装置1は、光周波数間隔制御へ進み、SC#(K/2−p−0.5)からSC#(K/2+p+1.5)までのサブキャリアに振幅Δfの互いに同期した同相もしくは逆相の周波数揺らぎすなわちディザを付加する(ステップS58)。具体的には、nが(K/2−p−0.5)からK/2までの全サブキャリアには互いに同相のディザを付加し、nがK/2より大きく(K/2+p+1.5)までの全サブキャリアには互いに同相のディザを付加する。そして、nが(K/2−p−0.5)からK/2までのサブキャリアに付加されるディザと、nがK/2より大きく(K/2+p+1.5)までのサブキャリアに付加されるディザとは互いに逆相とする。また、nが(K/2−p)からK/2までの全サブキャリアには、ディザの極性が+のディザが付加された後に、極性が−のディザを付加するなどのように、極性を変更してディザが付加される。
次に、伝送路3経由で通信装置2が光信号を受信し、実施の形態1と同様に、誤差信号Ebを算出する(ステップS59)。例えば、誤差信号演算部23が、各光送受信器の光復調部221が算出したディザの極性および信号品質に基づいて、実施の形態1の式(4)を、Kが奇数の場合に合わせて一般化した以下の式(15)または式(16)により誤差信号Ebを算出する。
Eb=Min{Q(K/2-p-0.5)-,Q(K/2+p+1.5)+}−
Min{Q(K/2-p-0.5)+,Q(K/2+p+1.5)-} …(15)
Eb=Min{Q(K/2-p-0.5)-,…,Q(K/2-0.5)-,Q(K/2+0.5)+,…,Q(K/2+p+1.5)+}−
Min{Q(K/2-p-0.5)+,…,Q(K/2-0.5)+,Q(K/2+0.5)-,…,Q(K/2+p+1.5)-}
…(16)
誤差信号Ebは、上述したように、実施の形態1と同様に、通信装置2から通信装置1へ送信される。通信装置1では、比例積分制御が行われ、nを(K/2−p−0.5)から(K/2+p+1.5)までの整数とするとき、実施の形態3において示した式(11)により、光周波数シフト量fn,FCが更新される(ステップS60)。具体的には、各光送受信器の光周波数シフト量演算器127が、上記式(11)によりfn,FCを算出し、光周波数シフト器126へ光周波数シフト量としてfn,FCを通知する。各光送受信器の光周波数シフト器126は、それぞれ通知された光周波数シフト量に基づいてデータ信号をシフトさせる。
以上に述べたステップS58〜ステップS60は、実施の形態1の(B)光周波数間隔制御に対応する処理であり、これらの処理をステップB’’と呼ぶ。通信装置1は、ステップB’’を実施することにより、隣接サブキャリアのクロストークによる影響もしくは光フィルタによる帯域狭窄の影響が全対象サブキャリアにおいて同じとなるように、各サブキャリア間の光周波数間隔を制御することができる。ステップB’’の後、通信装置1の光周波数シフト同期装置11は、pがK/2−1.5であるか否かを判断し(ステップS61)、pがK/2−1.5でない場合(ステップS61 NO)、pを1増加させ(ステップS62)、ステップS55へ戻る。ステップS61で、pがK/2−1.5である場合(ステップS61 Yes)、pを0に初期化して(ステップS63)、ステップS52へ戻る。
以上のように、ステップA0の実施後、対象サブキャリアを更新しながらステップA’’とステップB’’とを交互に繰り返す。そして、光周波数シフト同期装置11は、例えば、誤差信号Eaおよび誤差信号Ebがそれぞれ閾値以下となるまで、図26に示した制御を行うことにより、全サブキャリアに対して、平均光周波数制御および光周波数間隔制御を実施することができ、全サブキャリアの信号品質を均一にすることができる。なお、上記の例では、平均光周波数制御、光周波数間隔制御の順番で光周波数制御を実施した。しかしながら、実施の形態1で述べたように、制御の順序はこの例に限定されず、光周波数間隔制御、平均光周波数制御の順に行ってもよい。
図27は、実施の形態4おけるK=5の場合の平均光周波数制御および光周波数間隔制御を模式的に示す図である。図27では、#1〜#5の5つのサブキャリアに対して平均光周波数制御および光周波数間隔制御を行う例を示している。図27の1段目は、ステップA0に相当し、全サブキャリアの中心となるサブキャリアであるSC#(K/2+0.5)すなわちSC#3にディザが付加され、光周波数制御が行われる。図27の2段目のステップA’’は、p=0におけるステップA’’に相当し、SC#2からSC#4までのサブキャリアディザが付加され、平均光周波数制御が行われる。図27の3段目のステップB’’は、p=0におけるステップB’’に相当し、SC#2からSC#4までのサブキャリアにディザが付加され、光周波数間隔制御が行われる。図27の4段目のステップA’’は、p=1におけるステップA’’に相当し、SC#1からSC#5までのサブキャリアにディザが付加され、平均光周波数制御が行われる。図27の5段目のステップB’’は、p=1におけるステップB’’に相当し、SC#1からSC#5までのサブキャリアにディザが付加され、光周波数間隔制御が行われる。
以上のように、本実施の形態では、サブキャリア数が奇数の場合に、制御の対象とするサブキャリアを変更しながら、実施の形態1と同様に平均光周波数制御および光周波数間隔制御を繰り返し実施するようにした。このため、サブキャリア数が奇数の場合にも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3ではKが偶数の場合について説明し、実施の形態4ではKが3以上の奇数の場合について説明した。これらをまとめると、実施の形態3および実施の形態4の通信装置1は、実施の形態1で述べた通信装置1の構成に加え、第xの光周波数の光信号に第1の光周波数に同期した第xの周波数揺らぎを付加して送信する第xの光送受信器、を備える。xは、Kを3以上の整数とするとき、3からKまでの整数xである。そして、第xの光送受信器は、第1から第xまでの光周波数の光信号の受信品質に基づいて算出された誤差信号に基づいて、第xの光周波数の光信号の光周波数をシフトさせるシフト量である第xのシフト量を算出し、第xの光周波数の光信号の光周波数を第xのシフト量シフトさせる。これにより、Kが3以上の場合にも、実施の形態1と同様に、光周波数制御を実施することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。