JPWO2017022650A1 - 修飾siRNA及びそれを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

RecQL1ヘリカーゼ遺伝子の発現を抑制するための修飾siRNA、該修飾siRNAを含むRecQL1遺伝子発現抑制剤及び細胞死誘導剤、並びに該修飾siRNAを含むがん治療用医薬組成物の提供。配列番号1に示される塩基配列を含むセンス鎖、及び配列番号2に示される塩基配列を含むアンチセンス鎖を含む、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子を標的とする二本鎖修飾siRNAであって、該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位に2'置換ヌクレオチドを含み、該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の12、14、17、18及び19位からなる群より選択される1つ以上の位置に2'置換ヌクレオチドをさらに含み、該2'置換ヌクレオチドの2'位は、-R1、-OR1、-R2OR1、-OR2OR1又は-R3OR2OR1であり、ここで、R1はC1-4アルキル基であり、R2及びR3は独立してC1-3アルキレン基である、前記修飾siRNA、及び該修飾siRNAを含むRecQL1遺伝子発現抑制剤及び細胞死誘導剤、並びに該修飾siRNAを含むがん治療用医薬組成物。

Description

本発明は、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子の発現を抑制するための修飾siRNA、該修飾siRNAを含むRecQL1遺伝子発現抑制剤及び細胞死誘導剤、並びに該修飾siRNAを含むがん治療用医薬組成物に関する。
DNAヘリカーゼは、二本鎖DNAを一本に開く酵素であり、DNAの複製、修復、転写、翻訳、組換え等の遺伝情報に関わる様々な過程において重要な役割を担っている。DNAヘリカーゼには様々な種類があり、大腸菌のRecQヘリカーゼと相同性を示すDNAヘリカーゼは、RecQ型ヘリカーゼと称される。
ヒトのゲノムには5種類のRecQ型ヘリカーゼ(RecQL1、WRN、RTS、BLM及びRecQ5)がある。このうちWRN、RTS及びBLM遺伝子における変異は、それぞれ、ウェルナー症候群、ロスムンド・トムソン症候群及びブルーム症候群というゲノム不安定性疾患の原因である。一方、RecQL1及びRecQ5の疾患への関与は報告されていない。
RecQL1ヘリカーゼ(RecQ1又はRecQLとも称される)は、ホリデー構造と称されるDNA複製時に多く見られるDNAの高次構造を解きほぐし、DNA複製を促すと考えられている。またRecQL1は、ミスマッチ修復に関与するMSH2/6タンパク質と複合体を形成し、ゲノム複製時にミスマッチ修復を行っていると考えられている。またRecQL1は、がん細胞及び活発に増殖している細胞において高発現するが、休止期にある細胞ではその発現レベルは低いことが知られている。概説については非特許文献1を参照のこと。
本発明者らは、siRNAによるRecQL1ヘリカーゼの発現量の低下によって、様々ながん細胞に分裂死(mitotic catastrophe)及び分裂期細胞死(mitotic cell death)が誘導されることを報告している(特許文献1〜3及び非特許文献2〜4)。これは、RecQL1ヘリカーゼが減少したことによってDNA複製に伴って生じるDNA傷害を修復することができず、細胞が傷害を持ったまま分裂サイクルに進んだことに起因すると考えられる。本発明者らはまた、モデル担がん動物においてRecQL1に対するsiRNAが抗腫瘍活性を示したことを報告している(特許文献1並びに非特許文献3及び4)。
siRNAによる遺伝子発現抑制法は広く行われている研究手法である。siRNAは特定の配列を標的とするように設計することができるため、その効果は特異性が高く、医薬への応用が期待されている。しかしRNAはヌクレアーゼによる分解を受けやすいため、医薬として生体へ投与した場合、分解され、所望の機能を発揮するのが難しいという問題がある。そのためsiRNAを構成するポリヌクレオチド鎖をメチル化及びフッ素化等で人工的に化学修飾することにより、siRNAの安定性を増強する試みが行われている。しかし、一般的には修飾によりsiRNAのRNAi活性が低下することが知られている。
国際公開第2004/100990号 国際公開第2006/054625号 特開2012-219085号公報
二見ら (2010) 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス PMDRS、41(1): 19-26 Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(1): 71-80 Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(6): 1227-1236 Futami, K., et al. (2010) Int. J. Mol. Med., 25: 537-545
本発明は、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子の発現を抑制するための修飾siRNA、該修飾siRNAを含むRecQL1遺伝子発現抑制剤及び細胞死誘導剤、並びに該修飾siRNAを含むがん治療用医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子を標的とするsiRNAを構成するセンス鎖又はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の特定の位置のヌクレオチドに2'-メトキシ化(2'-O-メチル化)等の2'-置換を導入するとRNAi活性が増強されることを予想外に見出した。本発明者らのこの知見は、修飾siRNAのRNAi活性が未修飾siRNAと比べて通常は低下することを考慮すると、非常に驚くべきことである。上記知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] 配列番号1に示される塩基配列を含むセンス鎖、及び
配列番号2に示される塩基配列を含むアンチセンス鎖
を含む、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子を標的とする二本鎖修飾siRNAであって、
該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位に2'置換ヌクレオチドを含み、
該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の12、14、17、18及び19位からなる群より選択される1つ以上の位置に2'置換ヌクレオチドをさらに含み、
該2'置換ヌクレオチドの2'位は、-R1、-OR1、-R2OR1、-OR2OR1又は-R3OR2OR1であり、ここで、R1はC1-4アルキル基であり、R2及びR3は独立してC1-3アルキレン基である、前記修飾siRNA。
[2] 同一塩基配列を有する未修飾siRNAと比べてより高い細胞死誘導活性を有する、[1]に記載の修飾siRNA。
[3] 前記センス鎖が、配列番号1に示される塩基配列の11位に2'置換ヌクレオチドをさらに含む、[1]又は[2]に記載の修飾siRNA。
[4] 前記センス鎖が、配列番号1に示される塩基配列の
(a) 2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位、
(b) 2、3、4、11、12、13及び14位、
(c) 2、3、4、12、13、14、17、18及び19位、
(d) 2、3、4、13、17、18及び19位、
(e) 2、3、4、11、12、13、14、及び17位、
(f) 2、3、4、11、12、13、14、及び18位、
(g) 2、3、4、11、12、13、14、及び19位、
(h) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び18位、
(i) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び19位、
(j) 2、3、4、11、12、13、14、18、及び19位、
(k) 2、3、4、12、13、17、18及び19位、又は
(l) 2、3、4、13、14、17、18及び19位
に前記2'置換ヌクレオチドを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[5] 前記アンチセンス鎖が修飾されていない、[1]〜[4]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[6] 前記アンチセンス鎖が、配列番号2に示される塩基配列の5、13、15及び19位からなる群より選択される1つ以上の位置に前記2'置換ヌクレオチドを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[7] 前記アンチセンス鎖が、配列番号2に示される塩基配列の
(i) 13、15及び19位、
(ii) 5、13、15及び19位、又は
(iii) 5、13、及び15位
に前記2'置換ヌクレオチドを含む、[6]に記載の修飾siRNA。
[8] 前記2'置換ヌクレオチドが2'-メトキシヌクレオチド又は2'-アミノメトキシヌクレオチドである、[1]〜[7]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[9] TT又はUUからなる3'オーバーハングを有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[10] 前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、19〜25塩基長である、[1]〜[9]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[11] 前記センス鎖の塩基配列が配列番号3に示される塩基配列からなり、前記アンチセンス鎖の塩基配列が配列番号4に示される塩基配列からなる、[9]又は[10]に記載の修飾siRNA。
[12] 前記センス鎖が、5'末端でコレステロールと結合している、[1]〜[11]のいずれかに記載の修飾siRNA。
[13] [1]〜[12]のいずれかに記載の修飾siRNAを含む、RecQL1遺伝子発現抑制剤。
[14] [1]〜[12]のいずれかに記載の修飾siRNAを含む、細胞死誘導剤。
[15] [1]〜[12]のいずれかに記載の修飾siRNAを含む、がん治療用医薬組成物。
[16] 前記がんが、卵巣がん、乳がん、メラノーマ、肝がん、大腸がん、肺がん又は子宮頸がんである、[15]に記載の医薬組成物。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-151974号の開示内容を包含する。
本発明により、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子の発現を抑制するための修飾siRNA、該修飾siRNAを含むRecQL1遺伝子発現抑制剤及び細胞死誘導剤、並びに該修飾siRNAを含むがん治療用医薬組成物が提供される。
図1は、実験に使用したsiRNAの配列及びそれらの2'-メトキシヌクレオチドの位置を示す図である。(a)には未修飾RecQL1-siRNAを示し、(b)〜(j)には修飾RecQL1-siRNA(それぞれ、(b)QL-9、(c)QL-15、(d)QL-16、(e)QL-17、(f)QL-18、(g)QL-19、(h)QL-20、(i)QL-21及び(j)QL-24)を示す。各siRNAの上側の鎖がセンス鎖であり、下側の鎖がアンチセンス鎖である。2'-メトキシヌクレオチドの位置を黒丸、下線、小文字及び太字で示す。(a)にはC及びUの位置を番号で示す。 図2は、修飾RecQL1-siRNA(QL-15、QL-16及びQL-17)のES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する細胞死誘導活性を示すグラフである。 図3は、修飾RecQL1-siRNA(QL-18)の細胞死誘導活性を示すグラフである。(A)TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、及び(B)ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する活性を示す。 図4は、修飾RecQL1-siRNA(QL-19)の細胞死誘導活性を示すグラフである。(A)TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、及び(B)ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する活性を示す。 図5は、修飾RecQL1-siRNA(QL-20)の細胞死誘導活性を示すグラフである。(A)TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、及び(B)ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する活性を示す。 図6は、修飾RecQL1-siRNA(QL-21)の細胞死誘導活性を示すグラフである。(A)TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、及び(B)ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する活性を示す。 図7は、修飾RecQL1-siRNA(QL-15及びQL-19)のTOV-21G(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対する細胞死誘導活性を示すグラフである。 図8は、修飾RecQL1-siRNA(QL-15及びQL-19)のHCT-15(大腸がん)細胞に対する細胞死誘導活性を示すグラフである。 図9は、修飾RecQL1-siRNA(QL-15及びQL-19)のA549(肺がん)細胞に対する細胞死誘導活性を示すグラフである。 図10は、修飾RecQL1-siRNA(QL-15)のHeLa(子宮頸がん)細胞に対するRecQL1遺伝子発現抑制活性を示すグラフである。 図11は、修飾RecQL1-siRNA(QL-19)にコレステロールを結合させたsiRNA(QL-19-Chol)の、(A)A549(肺がん)細胞、(B)HeLa(子宮頸がん)細胞、又は(C)ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞に対するRecQL1遺伝子発現抑制活性を示すグラフである。 図12は、移植後3日目から投与を開始した修飾RecQL1-siRNA(QL-19)の腫瘍細胞増殖阻害活性を示すグラフである。(A)腹膜重量(g)及び(B)腹膜重量の体重に対する割合(%)を示す。 図13は、移植後7日目から投与を開始した修飾RecQL1-siRNA(QL-19)の腫瘍細胞増殖阻害活性を示すグラフである。(A)腹膜重量(g)及び(B)腹膜重量の体重に対する割合(%)を示す。 図14は、比較例で使用したsiRNAの配列及びそれらの2'-メトキシヌクレオチドの位置を示す図である。(a)には未修飾RecQL1-siRNAを示し、(b)〜(d)には修飾RecQL1-siRNA(それぞれ、(b)QL-2S、(c)QL-3S及び(d)QL-5)を示す。各siRNAの上側の鎖がセンス鎖であり、下側の鎖がアンチセンス鎖である。2'-メトキシヌクレオチドの位置を黒丸、下線、小文字及び太字で示す。(a)にはC及びUの位置を番号で示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
<修飾siRNA>
本発明は、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子を標的とする二本鎖の修飾siRNAに関する。
本明細書において「siRNA」(short-interfering RNA)とは、RNAiにより標的遺伝子の発現抑制を誘導し得る約19〜25塩基対を有する二重鎖RNAを意味する。siRNAは、後述のセンス鎖及びアンチセンス鎖の二本のポリヌクレオチド鎖から構成される。siRNAは、一本鎖の部分(オーバーハング)を含んでいてもよい。
本明細書において「RNAi」(RNA interference)とは、標的遺伝子配列と相補的な配列を有する二重鎖RNA(例えば、siRNA)を導入した細胞内で、標的遺伝子の発現が特異的に抑制される現象を指す。siRNAによるRNAiのメカニズムは典型的には以下の通りである。まず、細胞内に導入されたsiRNAの一方の鎖がRISC(RNA-induced Silencing Complex)と呼ばれる複合体に取り込まれ、相補性の高い配列を有する標的遺伝子のmRNAを認識する。標的遺伝子のmRNAは、RISCによってsiRNAの中心部分で切断される。その後、切断されたmRNAは分解される。こうしたメカニズムで、siRNAは、RNAiによって標的遺伝子の発現抑制を誘導し得る。
本発明のsiRNAは、ヒトRecQL1遺伝子コーディング領域(配列番号19)の273〜291位の19塩基長の塩基配列5'-GTTCAGACCACTTCAGCTT-3' (配列番号20)を含む配列を標的とする。ヒトRecQL1 mRNAの塩基配列は、Genbankアクセッション: NM_002907.3 GI: 209977006の下に入手できる。
本発明のsiRNAは、
配列番号1に示される塩基配列を含むセンス鎖、及び
配列番号2に示される塩基配列を含むアンチセンス鎖
を含む。本明細書において「塩基」とは、別の核酸の塩基と対合可能な複素環部分を意味する。配列番号2に示される塩基配列は、ヒトRecQL1遺伝子コーディング領域の273〜291位の上記塩基配列(配列番号20)に相補的な配列である。配列番号1に示される塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列に相補的な配列である。
本明細書において「アンチセンス鎖」とは、標的遺伝子のmRNAに相補的な配列を有するポリヌクレオチド鎖を意味する。本明細書において「センス鎖」とは、アンチセンス鎖に相補的な配列を有する(すなわち、標的遺伝子のmRNAと相同な配列を有する)ポリヌクレオチド鎖を意味する。アンチセンス鎖は、センス鎖とアニーリングしてsiRNAを生成する。アンチセンス鎖は、標的遺伝子のmRNAと結合してRNAiを誘導し得る。本発明では、siRNAを構成するアンチセンス鎖は、RecQL1 mRNAのコーディング領域の273〜291位に結合してRNAiを誘導し得る。こうして本発明のsiRNAは、RecQL1遺伝子の発現抑制を誘導することができる。
本発明のsiRNAは修飾されている。好ましくは、本発明のsiRNAは、センス鎖、又はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の特定の位置に、2'置換ヌクレオチド、より具体的には2'置換ピリミジンヌクレオチド(すなわち、2'置換ウリジル酸(U)又は2'置換シチジル酸(C))を含む。特に、本発明のsiRNAを構成するセンス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含む。本明細書において示されるヌクレオチドの位置は、ポリヌクレオチド鎖の5'側から数えた位置である。センス鎖のプリンヌクレオチド(すなわち、1、5〜7、10、15及び16位のアデニル酸(A)及びグアニル酸(G))は未修飾(天然型)であってよい。
本発明のsiRNAを構成するセンス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位に加えて、別の位置に2'置換ヌクレオチドをさらに含む。具体的には、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の12、14、17、18及び19位からなる群より選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上又は5つ全ての位置に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)をさらに含む。センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の11位に2'置換ヌクレオチドをさらに含んでもよい。センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の8及び9位に未修飾(天然型)ピリミジンヌクレオチドを含む。
具体的な実施形態において、本発明のsiRNAを構成するセンス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の
(a) 2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位、
(b) 2、3、4、11、12、13及び14位、
(c) 2、3、4、12、13、14、17、18及び19位、又は
(d) 2、3、4、13、17、18及び19位
に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含むことができる。この場合、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の、上に記載した(a)〜(d)のいずれかに示される位置以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有し得る。
センス鎖はまた、配列番号1に示される塩基配列の
(e) 2、3、4、11、12、13、14、及び17位、
(f) 2、3、4、11、12、13、14、及び18位、
(g) 2、3、4、11、12、13、14、及び19位、
(h) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び18位、
(i) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び19位、
(j) 2、3、4、11、12、13、14、18、及び19位、
(k) 2、3、4、12、13、17、18及び19位、又は
(l) 2、3、4、13、14、17、18及び19位
に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含むことができる。この場合、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の、上に記載した(e)〜(l)のいずれかに示される位置以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有し得る。
一方、本発明のsiRNAを構成するアンチセンス鎖は、修飾されていても、修飾されていなくてもよい。
アンチセンス鎖が修飾されている実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の4、5、10、13、14、15及び19位からなる群より選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上又は4つ以上の位置に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含んでよい。アンチセンス鎖のプリンヌクレオチド(すなわち、1〜3、6〜9、11、12、及び16〜18位のアデニル酸(A)及びグアニル酸(G))は未修飾(天然型)であってよい。
好ましい実施形態おいて、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の5、13、15及び19位からなる群より選択される1つ以上、2つ以上又は3つ以上の位置に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含んでもよい。この場合、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の、上に記載した位置(5、13、15及び19位)以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有し得る。
具体的な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の
(i) 13、15及び19位、
(ii) 5、13、15及び19位、又は
(iii) 5、13、及び15位
に2'置換ヌクレオチド(2'置換ピリミジンヌクレオチド)を含むことができる。この場合、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の、上に記載した(i)〜(iii)のいずれかに示される位置以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有し得る。
好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は修飾されていなくてもよい。別の好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、11、12、13及び14位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は修飾されていなくてもよい。さらに別の好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、12、13、14、17、18及び19位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の5、13、15及び19位に2'置換ヌクレオチドを含んでよい。また別の好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、12、13、14、17、18及び19位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の13、15及び19位に2'置換ヌクレオチドを含んでよい。また別の好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、12、13、14、17、18及び19位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の5、13及び15位に2'置換ヌクレオチドを含んでよい。さらなる好ましい実施形態において、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4、13、17、18及び19位に2'置換ヌクレオチドを含み、かつ、アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の13、15及び19位に2'置換ヌクレオチドを含んでよい。これらの実施形態では、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の、上に記載した位置以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有してよい。アンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列の、上に記載した位置以外の位置に未修飾(天然型)ヌクレオチドを有してよい。
本明細書において「2'置換ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドを構成する糖(リボース)の2'位の水酸基が、別の基で置き換えられているヌクレオチドを意味する。本発明のsiRNAは、このような2'置換ヌクレオチドを含むため、未修飾siRNAではなく、修飾siRNAである。本明細書において「2'置換ヌクレオチド」の2'位は、-R1、-OR1、-R2OR1、-OR2OR1又は-R3OR2OR1であり、ここで、R1はC1-4アルキル基であり、R2及びR3は独立してC1-3アルキレン基である。本明細書において「アルキル基」とは、置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭素数1〜4個の一価の炭化水素基を意味する。「アルキル基」の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。本明細書において「アルキレン基」とは、置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭素数1〜3個の二価の炭化水素基を意味する。「アルキレン基」の例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等が挙げられる。アルキル基又はアルキレン基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アミノ基、ニトロ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。R1は、C1-3アルキル基、C1-2アルキル基、又はC1アルキル基でもよい。R2及びR3は、C1-2アルキレン基又はC1アルキレン基でもよい。具体的には、2'置換ヌクレオチドの2'位の置換基としては、例えば、-OCH3(メトキシ)、-OCH2CH3(エトキシ)、-OCH2NH2(アミノメトキシ)、-OCH2CH2NH2(アミノエトキシ)、-OCH2CH2F(フッ化メチルメトキシ)、-OCH2CH2CH2F(フッ化メチルエトキシ)、-CH3(メチル)、-CH2CH3(エチル)、-CH2CH2CH3(プロピル)、-CH2OCH3(メトキシメチル; MOM)、-CH2CH2OCH3(メトキシエチル; MOE)、-OCH2OCH3、-OCH2CH2OCH3、-CH2OCH2OCH3、-CH2OCH2CH2OCH3(メトキシエトキシメチル; MEM)が挙げられるが、これらに限定されない。2'置換ヌクレオチドは、2'-メトキシヌクレオチド(2'-O-メチルヌクレオチド)又は2'-アミノメトキシヌクレオチド(2'-O-アミノメチルヌクレオチド)であることが好ましい。2'-メトキシヌクレオチドを含むsiRNAは、未修飾siRNAと比べて生体内において自然免疫系に対する刺激が低下する(Judge, AD., et al. (2006) Mol. Ther., 13(3): 494-505; Robbins, M., et al. (2007) Mol. Ther., 15(9): 1663-1669; Sioud, M., (2006) Eur. J. Immunol., 36: 1222-1230を参照のこと)。本発明の修飾siRNAを構成するセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、上記のような2'置換ヌクレオチドを複数含み得るが、それらの2'位の置換基は互いに同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましい。
siRNAは、末端に数個(例えば、2〜5個)のヌクレオチドの一本鎖部分(オーバーハング)を有する場合にRNAi活性が高いことが一般に知られている。そのため、本発明のsiRNAは、末端に数個の修飾又は未修飾のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのオーバーハングを有することが好ましい。一実施形態において、本発明のsiRNAは、2ヌクレオチドの3'オーバーハングを有していてもよい。好ましくは、本発明のsiRNAは、ジチミジル酸(TT)又はジウリジル酸(UU)からなる3'オーバーハングを有していてもよい。
本発明のsiRNAを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ19〜25塩基長であってよく、互いに同じ長さでも異なる長さでもよい。すなわち、センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列(19塩基長)から構成されていてもよいし、この配列に加えて、5'又は3'末端、好ましくは3'末端に1〜6個、例えば1〜4個又は1〜2個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド(例えば、RecQL1 mRNAに相同なリボヌクレオチド、又はUU若しくはTT)を有していてもよい。またアンチセンス鎖は、配列番号2に示される塩基配列(19塩基長)から構成されていてもよいし、この配列に加えて、5'又は3'末端、好ましくは3'末端に1〜6個、例えば1〜4個又は1〜2個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド(例えば、RecQL1 mRNAに相補的なリボヌクレオチド、又はUU若しくはTT)を有していてもよい。センス鎖及びアンチセンス鎖は、21〜23塩基長であることが好ましく、21塩基長であることがより好ましい。
センス鎖の塩基配列は、配列番号1に示される塩基配列(19塩基長)及び3'末端のTT(2塩基長)(すなわち、配列番号3に示される塩基配列(21塩基長))からなることが最も好ましい。またアンチセンス鎖の塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列(19塩基長)及び3'末端のTT(2塩基長)(すなわち、配列番号4に示される塩基配列(21塩基長))からなることが最も好ましい。これらの場合、2'置換ヌクレオチドの位置は、配列番号3又は4の5'側から数えた位置として表示することができる。例えば、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位は、それぞれ、配列番号3に示される塩基配列の2、3、4及び13位と表示することができる。
本発明に係るsiRNAでは、必ずしも全てのヌクレオチドがリボヌクレオチド(RNA)でなくてもよい。すなわち、本発明において、siRNAを構成する1〜数個、例えば1〜4個のリボヌクレオチドは、対応するデオキシリボヌクレオチドであってもよい。好ましくは、siRNAは、オーバーハングがデオキシリボヌクレオチドであり、それ以外の全てのヌクレオチドがリボヌクレオチドであってよい。
本発明に係るsiRNAは、5'及び/又は3'末端でコレステロール、α-トコフェロール、ビオチン、DIG、フルオレセイン、シアニン3(Cy3)、シアニン5(Cy5)などのリガンド分子又は蛍光分子と結合していてもよい。このような結合は、アンチセンス鎖及び/又はセンス鎖におけるものであってよい。好ましい実施形態において、センス鎖は、5'末端でリガンド分子又は蛍光分子と結合してよく、より好ましくは、センス鎖は、5'末端でコレステロールと結合していてよい。
本発明者らは、siRNAによるRNAi機構を介したRecQL1遺伝子の発現抑制によってがん細胞に分裂死及び分裂期細胞死が誘導されることを以前に報告している(国際公開第2004/100990号; 国際公開第2006/054625号; 特開2012-219085号公報; Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(1): 71-80; Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(6): 1227-1236; Futami, K., et al. (2010) Int. J. Mol. Med., 25: 537-545)。本発明の修飾siRNAは、RecQL1遺伝子を標的とし、RNAi機構を介したRecQL1遺伝子発現抑制によってがん細胞に細胞死を誘導することができる。本発明の修飾siRNAは、同一塩基配列を有する未修飾siRNAと比べてより高い細胞死誘導活性を有し得る。本明細書において「未修飾siRNA」とは、糖、塩基及びリン酸にいずれの修飾も有さないデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドからなるsiRNA(天然型siRNA)を意味する。siRNAの「細胞死誘導活性」は、当業者であれば、公知のいずれかの方法によって容易に判定できるが、例えば、後述の実施例に記載するように、siRNAを任意のがん細胞(例えば、TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)細胞; ES-2又はTOV-21G(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞; HCT-15(大腸がん)細胞; A549(肺がん)細胞; 又はHeLa(子宮頸がん)細胞)に導入し、一定時間後(例えば、約72時間後〜120時間後)の生存細胞数(生存率)を決定することによって判定することができる。生存細胞数の決定は、例えば、WSTアッセイ又は顕微鏡下での細胞の計数等によって行い得る。
本発明の修飾siRNAを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖は、当技術分野で周知の慣用法によって製造でき、例えば、手動又は自動の反応により、酵素的に又は化学合成によって製造することができる。RNA又はDNA分子を化学合成する場合、メーカー(例えば、ジーンデザイン、Dharmacon、QIAGEN、シグマアルドリッチ等)の受託製造サービスを利用してもよい。その場合、2'置換ヌクレオチドの種類及び位置、並びに必要に応じて結合しているリガンド分子又は蛍光分子の種類及び位置(5'及び/又は3'末端)を指定することができる。合成されたアンチセンス鎖及びセンス鎖は、例えば溶媒又は樹脂を用いる抽出、沈降、電気泳動又はクロマトグラフィー等よって、混合物から精製してよい。本発明の修飾siRNAは、上記のように得られたセンス鎖及びアンチセンス鎖を混合しアニーリングさせて製造することができる。アニーリングされた二本鎖のsiRNAをメーカーから入手することもできる。
本発明のsiRNAは、in vitro(ex vivo)若しくはin vivoで細胞若しくは組織に導入し、又はin vivoで個体に導入し、RNAiを介して標的遺伝子RecQL1の発現抑制を誘導するために使用することができる。さらに本発明のsiRNAをがん細胞に導入した場合には、標的遺伝子RecQL1の発現抑制によって、細胞死を誘導することができる。siRNAの導入は、当技術分野で公知の方法により、当業者であれば適切に行なうことができる。siRNAは、例えば、物理的方法、例えば、当該siRNAを含有する溶液の直接注入、当該siRNAによって被覆される粒子を用いたボンバードメント、又は当該siRNAの存在下でのエレクトロポレーション等によって導入してもよい。あるいは、siRNAは、脂質媒介担体輸送、化学媒介輸送(例えばリン酸カルシウム法)等の核酸を細胞に導入するための当技術分野において公知の他の方法によって導入してもよいし、さらに、リポソーム若しくは高分子ミセル等の公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)技術を用いて導入してもよい。
in vitroでの投与量は、当業者であれば適宜決定できるが、例えば、本発明に係る修飾siRNAが培地中で0.01〜100000nM、0.1〜10000nM、又は1〜1000nMの濃度になるように投与してもよい。in vivoでの投与量については、後述の「医薬組成物」の項に記載する。
本発明のsiRNAを導入しようとする細胞、組織又は個体は、霊長類(例えば、アカゲザル、カニクイザル、チンパンジー等)に由来するものであってよいが、ヒトに由来するものが好ましい。
<剤>
本発明はまた、本発明の修飾siRNAを含む、RecQL1遺伝子発現抑制剤を提供する。本明細書において「遺伝子発現抑制」とは、siRNAによって標的遺伝子のmRNA発現及び/又はタンパク質発現が抑制されることを意味する。「遺伝子発現抑制」は、遺伝子の発現をその遺伝子のmRNA又はタンパク質の発現量を指標に判定した場合に、siRNAを導入しない場合に対して、100%抑制されることのみならず、75%以上、50%以上、20%以上又は10%以上抑制されることも意味する。遺伝子発現抑制の程度は、標的遺伝子のmRNA又はタンパク質の発現量を指標に判定することができる。mRNAの発現量は、ノーザンハイブリダイゼーション又は定量的RT-PCR等により決定することができ、タンパク質の発現量は、ウエスタンブロッティング、ELISA、タンパク質の活性測定、又は蛍光タンパク質からの蛍光強度等により決定することができる。また本明細書において、siRNAの「RNAi活性」は、RecQL1遺伝子発現量(mRNA発現量又はタンパク質発現量)によって判定してもよく、又はがん細胞に対する細胞死誘導活性によって判定してもよい。上記のRecQL1遺伝子発現抑制剤は、本発明の修飾siRNAを有効成分として含み、かつ製薬上許容可能な担体若しくは添加剤等の他の成分を含んでもよい。RecQL1遺伝子発現抑制剤は、研究用試薬(RNAi試薬)として用いてもよく、又は医薬として疾患の治療に用いてもよい。
本発明はまた、本発明の修飾siRNAを含む、細胞死誘導剤を提供する。本発明の細胞死誘導剤は、正常細胞には細胞死を誘導せず、がん細胞に特異的に細胞死を誘導することができる。上記の細胞死誘導剤は、本発明の修飾siRNAを有効成分として含み、かつ製薬上許容可能な担体若しくは添加剤等の他の成分を含んでもよい。細胞死誘導剤は、研究用試薬として用いてもよく、又は医薬として疾患の治療に用いてもよい。
<医薬組成物>
本発明はまた、本発明の修飾siRNAを有効成分として含む、がん治療用医薬組成物を提供する。
治療対象のがんとしては、肝がん、メラノーマ、乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、皮膚がん、子宮頸がん、前立腺がん、脳腫瘍、骨肉腫、胆管がん、頭頚部がんが挙げられるが、これらに限定されない。また卵巣がんは、一般に、類内膜腺がん、漿液性腺がん、明細胞性腺がん及び粘液性腺がんに分類される。
本明細書において、「治療」とは、被験体においてがん細胞若しくは組織を減少若しくは消失させること、又はがんの広がり若しくは進行を抑制することを意味する。
被験体は、霊長類(例えば、アカゲザル、カニクイザル、チンパンジー等)であってよいが、ヒトが好ましい。
本発明の医薬組成物は、必要に応じてさらに製薬上許容可能な担体を含むことができる。製薬上許容可能な担体には、希釈剤又は賦形剤が含まれ、例えば、マルトース、マンニトール、ラクトース、キシロース、トレハロース、ソルビトール、ゼラチン、アラビアガム、グアーガム、トラガカント、エタノール、生理食塩水、リンゲル液等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、上記担体に加えて、必要に応じて安定化剤、緩衝剤、乳化剤、等張化剤、防腐剤等の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤は、製薬の際に使用されるものが好ましい。
安定化剤としては、例えば、アルブミン、ゼラチン、マンニトール、EDTAナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸ナトリウム等が挙げられる。乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、有効成分である本発明の修飾siRNAが有するRNAi活性を失わない範囲において、他の薬剤を含有することもできる。例えば、注射剤の場合であれば、抗生物質を所定量含有していてもよい。
医薬組成物の剤形としては、例えば、注射剤、点眼剤、クリーム剤、点鼻剤、軟膏剤、経粘膜剤、硬膏剤及び座剤等の非経口剤形又は液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、舌下剤、トローチ剤等の経口剤形が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、目的とする疾患(がん)の治療のために治療上有効な量で生体に投与することができる。本明細書において「治療上有効な量」とは、本発明の医薬組成物に含まれるsiRNAが、対象とするがんを治療する又は症状を軽減する上で必要な用量であって、かつ投与する生体に対して有害な副作用がほとんどないか又は全くない用量をいう。具体的な投与量は、個々の被験体に応じて、病気の進行度若しくは重症度、全身の健康状態、年齢、体重、性別及び治療に対する忍容性等に基づき、例えば医師の判断により決定される。例えば、本発明に係る医薬組成物は、修飾siRNAが0.0001mg/体重kg/日〜10000mg/体重kg/日、又は0.001mg/体重kg/日〜1000mg/体重kg/日、又は0.01mg/体重kg/日〜100mg/体重kg/日となる量で投与してもよい。
本発明の医薬組成物の投与は、全身投与又は局所投与(例えば、患部への直接投与)のいずれであってもよい。投与経路は、非経口又は経口のいずれであってもよく、例えば、腹腔内、静脈内、動脈内、肝臓内、膣内、筋肉内、骨髄内、髄腔内、経皮、皮下、皮内、鼻腔内、腸内、気管支内、肺臓内又は舌下等が挙げられる。
また本発明の医薬組成物は、例えば医師が決定した治療計画に基づいて、一定の時間間隔、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月又は1年等の間隔で、患者に対して、1〜数回又は数十回に分けて投与することができる。
<方法>
本発明はまた、本発明に係る修飾siRNAを含む上記の剤又は組成物を用いて、RecQL1遺伝子発現を抑制する方法、細胞死を誘導する方法、又はがんを治療する方法を提供する。これらの方法は、in vitro法、ex vivo法又はin vivo法であってよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<修飾RecQL1-siRNAのin vitroでのRNAi活性>
本発明者らは、様々な位置の2'置換ヌクレオチドを含む修飾されたRecQL1-siRNAのRNAi活性を、種々の細胞株を使ってin vitroで調べた。
<材料及び方法>
<細胞の調製>
以下のヒト細胞株の細胞を実験に使用した: TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、ES-2及びTOV-21G(卵巣がん明細胞性腺がん)、HCT-15(大腸がん)、A549(肺がん)、及びHeLa(子宮頸がん)細胞。細胞株はATCC(American Type Culture Collection)から入手した。これらの細胞株の細胞は、siRNAトランスフェクションの一日前に24ウェルプレートにおいてウェル1つ当たり2.0×104個若しくは96ウェルマイクロプレートにおいてウェル1つ当たり2.0×103個となるよう播種し、以下の培養液を使用して培養した: TOV-112D、TOV-21G及びHeLaについてDMEM(ナカライテスク)+10%FBS(fetal bovine serum、シグマアルドリッチ)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO); ES-2についてMcCoy5A(GibcoBRL)+10% FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン; HCT-15についてRPMI(ナカライテスク)+10% FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン; A549についてEMEM(和光純薬)+10% FBS+NEAA(non-essential amino acids、和光純薬)+ペニシリン/ストレプトマイシン。
<siRNAトランスフェクション>
siRNAの合成は、ジーンデザイン社にて行った。使用したsiRNAの塩基配列及び修飾位置を図1に示す。使用したsiRNAは、ヒトRecQL1遺伝子コーディング領域(配列番号19)の273〜291位を標的とする。各修飾RecQL1-siRNA(図1b〜1j)は、未修飾RecQL1-siRNA(図1a)と同じ塩基配列を有するが、図1に示す位置に2'-メトキシヌクレオチド(2'-O-メチルヌクレオチド)を含む。また、修飾siRNAであるQL-19(図1g)のセンス鎖の5'末端にコレステロールが結合した修飾siRNA(QL-19-Chol)を使用した。RNAi活性を示さないネガティブコントロールとしてGL3-siRNA又はmGL3-siRNAを使用した。GL3-siRNAは以下の塩基配列を有する、未修飾ポリヌクレオチド鎖である: 5'-CUUACGCUGAGUACUUCGATT-3' (配列番号17)及び5'-UCGAAGUACUCAGCGUAAGTT-3' (配列番号18)。mGL3-siRNAは、GL3-siRNAと同じ塩基配列を有するが、いくつかの2'-メトキシヌクレオチドを含み、その配列は配列番号21及び22に示す。
目的濃度(図2に示す実験について1、2.5、5、10、25又は50nM; 図3〜7に示す実験について1、2.5、5、10又は25nM; 図8及び9に示す実験について1、2.5、5又は25nM; 図10に示す実験について1.3nM)の各siRNAを、LipofectamineTMRNAiMAX Reagent(Invitrogen)を用いて基本的に製造業者のプロトコールに従って細胞に導入した。図11A及び11Bに示す実験については、siRNAを、濃度500nMになるように直接培養液に添加することによって細胞に導入した。図11Cに示す実験については、siRNAを、濃度250nMになるように直接培養液に添加することによって細胞に導入した。必要に応じて、siRNAトランスフェクションから約48時間後、コンフルエントに達しないように細胞を適切に希釈して再播種した。
<細胞死誘導活性>
siRNAトランスフェクションから96時間後(図2、8及び9)又は120時間後(図3〜7)、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク)を用いてWSTアッセイによって生細胞数を測定した。アッセイは、製造業者のプロトコールに従って行った。測定した生細胞数の、トランスフェクションされていない細胞について測定した生細胞数に対する割合(生存率(%))を算出した。生存率を指標として細胞死誘導活性を評価した。
<遺伝子発現抑制活性>
siRNAトランスフェクションから30時間後(図10)又は24時間後(図11)、細胞を回収し、NucleoZOL(MACHERY-NAGEL)を用いて全RNAを抽出した。抽出したRNA中のRecQL1 mRNA量(RecQL1遺伝子発現量)を、定量的RT-PCRによって決定した。定量的RT-PCRは、Rotor-Gene Q 2plex System(QIAGEN)を用いて行った。RecQL1及びβ-アクチン遺伝子のRT-PCR用プライマー並びにTaqManプローブは、Applied Biosystemsより購入した。RT-PCR反応は、QuantiFast Probe RT-PCR Kit(QIAGEN)を使いそのマニュアルに従って行った。RecQL1遺伝子発現量を、β-アクチン遺伝子発現量に対して標準化した。図10に結果を示す実験ではトランスフェクションされていない細胞での発現量を基準(100%)として、図11に結果を示す実験では修飾RecQL1-siRNA QL-19でトランスフェクションされた細胞での発現量を基準(100%)として、相対発現(%)を算出した。相対発現を指標として遺伝子発現抑制活性を評価した。
<結果>
センス鎖のC及びUの一部が2'-メトキシ化されている修飾siRNA(QL-15、QL-16及びQL-17; 図1c〜1e)のRNAi活性を調べた。QL-15のセンス鎖のC及びUは、8及び9位が未修飾であり、2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位で2'-メトキシ化されている。QL-16のセンス鎖のC及びUは、17、18及び19位が未修飾であり、2、3、4、8、9、11、12、13及び14位で2'-メトキシ化されている。QL-17のセンス鎖のC及びUは、8、9、17、18及び19位が未修飾であり、2、3、4、11、12、13及び14位で2'-メトキシ化されている。本発明者らは、siRNAによるRNAi機構を介したRecQL1遺伝子の発現抑制によってがん細胞に分裂死及び分裂期細胞死が誘導されることを以前に報告している(国際公開第2004/100990号; 国際公開第2006/054625号; 特開2012-219085号公報; Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(1): 71-80; Futami, K., et al. (2008) Cancer Sci., 99(6): 1227-1236; Futami, K., et al. (2010) Int. J. Mol. Med., 25: 537-545)。そこで、細胞死誘導活性によって上記修飾siRNAのRNAi活性を評価した。
その結果、驚くべきことに、QL-15、QL-16及びQL-17はいずれも、ES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞において未修飾siRNAより高いRNAi活性を示した(図2)。特にQL-15及びQL-17は、高いRNAi活性を示した。QL-15は、最も高いRNAi活性を示した。またこの結果から、センス鎖は8及び9位が未修飾である場合(QL-15及びQL-17)に活性がより高いことが示された。
次に、センス鎖とアンチセンス鎖の両方に2'-メトキシヌクレオチドを含む修飾siRNA(QL-18、QL-19、QL-20及びQL-21; 図1f〜1i)のRNAi活性を調べた。QL-18〜QL-20のセンス鎖は、2、3、4、12、13、14、17、18及び19位に2'-メトキシヌクレオチドを含む。QL-21のセンス鎖は、2、3、4、13、17、18及び19位に2'-メトキシヌクレオチドを含む。一方、アンチセンス鎖については、QL-18のアンチセンス鎖は、5、13、15及び19位に2'-メトキシヌクレオチドを含む。QL-19及びQL-21のアンチセンス鎖は、13、15及び19位に2'-メトキシヌクレオチドを含む。QL-20のアンチセンス鎖は、5、13及び15位に2'-メトキシヌクレオチドを含む。
その結果、QL-18〜QL-21のいずれも、卵巣がん細胞であるTOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)、及びES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)において未修飾siRNAより高いRNAi活性を有する傾向が見られた(図3〜6)。特に、QL-19及びQL-21は両細胞においてRNAi活性が高く、QL-19は最も活性が高かった(図4及び6)。
以上の実験で特に高いRNAi活性を示したQL-15及びQL-19について、TOV-21G(卵巣がん明細胞性腺がん)、HCT-15(大腸がん)、及びA549(肺がん)においてさらに活性を調べた。その結果、QL-15及びQL-19は、いずれの細胞においても未修飾siRNAより高いRNAi活性を有することが示された(図7〜9)。
次に、HeLa(子宮頸がん)細胞を用いて、センス鎖の様々な位置に2'-メトキシヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖が未修飾である修飾siRNA(QL-9、QL-15及びQL-24; 図1b、1c及び1j)の遺伝子発現抑制活性を調べた。QL-9のセンス鎖のC及びUは、全て(2、3、4、8、9、11、12、13、14、17、18及び19位において)2'-メトキシ化されている。上述したように、QL-15のセンス鎖のC及びUは、2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位で2'-メトキシ化されている。QL-24のセンス鎖のC及びUは、2、3、4、及び13位で2'-メトキシ化されている。結果を図10に示す。QL-9及びQL-24はいずれも未修飾siRNAより遺伝子発現抑制活性が低かったのに対し、QL-15は未修飾siRNAと比べて大きく増加した活性を有することが示された(図10)。ヌクレオチドの2'-メトキシ化は、ヌクレアーゼ耐性を向上させることが一般的に知られている。一方で、ヌクレオチドの2'-メトキシ化により、siRNAのRNAi活性が一般に低下することも知られている。これらの一般的な考え方からすると、特定の位置のヌクレオチドが2'-メトキシ化された、本発明の一実施形態に係るsiRNAが、未修飾siRNAよりも高いRNAi活性を有することは全くの予想外であった。2'-メトキシ化によるヌクレアーゼ耐性向上ではない未知のメカニズムが、本発明の一実施形態に係るsiRNAのRNAi活性の増強をもたらす可能性が示唆される。
次に、A549(肺がん)細胞、HeLa(子宮頸がん)細胞又はES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞を用いて、上記の2'-メトキシ化修飾siRNA(QL-19)、及びセンス鎖の5'末端にコレステロールが結合したQL-19(QL-19-Chol)の遺伝子発現抑制活性を比較した。図11A〜Cに、それぞれ、A549(肺がん)細胞、HeLa(子宮頸がん)細胞又はES-2(卵巣がん明細胞性腺がん)細胞を用いた結果を示す。QL-19-Cholは、いずれの細胞においてもQL-19より遺伝子発現抑制活性が高く、siRNAのセンス鎖の5'末端にコレステロールを結合させることにより、他のドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いることなく、siRNAを効率的に細胞内に導入でき、siRNAによる一定の遺伝子発現抑制活性を維持できることが示された(図11)。
まとめると、未修飾RecQL1-siRNAより高いRNAi活性を有する、センス鎖のみ(QL-15、QL-16及びQL-17)又はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方(QL-18、QL-19、QL-20及びQL-21)に2'置換ヌクレオチド(2'-メトキシヌクレオチド)を含む、修飾RecQL1-siRNAが見出された。また、これらの修飾RecQL1-siRNAのセンス鎖は、共通して、2、3、4及び13位のピリミジンヌクレオチド(C又はU)が2'-メトキシ化されており、さらに別の位置のピリミジンヌクレオチドが2'-メトキシ化されていた。また、2'置換ヌクレオチドを含む修飾RecQL1-siRNAのセンス鎖の5'末端にコレステロールを結合させることにより、他のDDSを用いることなく、siRNAはRNAi活性を示すことが示された。
なお、両方のRNA鎖(アンチセンス鎖及びセンス鎖)の全てのU及びCを2'-メトキシ化体で置換したところRNAiの効果は低下する傾向を示した。
[実施例2]
<担がん動物モデルにおける修飾RecQL1-siRNAによる腫瘍細胞の増殖阻害>
本発明者らは、実施例1においてin vitroで高いRNAi活性を有することが示された修飾RecQL1-siRNA(QL-19)が、in vivoでも効果を有するかどうかを、担がん動物モデルを使って調べた。
<材料及び方法>
<担がんマウスの作製>
TOV-112D細胞(ヒト卵巣がん類内膜腺がん、グレード3、ステージIIIc; ATCCより入手)を、10%FBS(シグマアルドリッチ)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM培地(ナカライテスク)中で、37℃のインキュベーター内で80%コンフルエンシー以下にて継代培養した。細胞をPBSで洗浄し、0.05%トリプシン-EDTA(ナカライテスク)中で剥離させて回収した。回収した細胞を、300×g、3分間、4℃にて遠心した。沈殿した細胞を密度2×107個/mlとなるように冷PBSに懸濁し、TOV-112D細胞懸濁液を得た。
4週齢の雌性Balb/cヌードマウス(CAnN.Cg-Foxn1nu/CrlCrlj)を日本チャールズリバー社から購入した。1週間順化させた後、5週齢のマウスに上記TOV-112D細胞懸濁液500μlを腹腔内投与して細胞を移植し、担がんマウスを作製した。
<siRNAの投与>
siRNAとして、GL3-siRNA及びmGL3-siRNA(実施例1に記載)、未修飾RecQL1-siRNA(図1a)並びに修飾RecQL1-siRNA(QL-19; 図1g)を使用した。各siRNAとLIC-101(日本新薬)とを1:16(w/w)の比で混合してsiRNAのリポソーム溶液(1mg/ml)を得た。このリポソーム溶液を10%マルトース溶液(大塚製薬)を用いて希釈した。siRNA(3.75mg/kgの用量)又はビヒクルのみ(10%マルトース)を、TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)細胞の移植後3日目又は7日目に開始して2日毎に10回、担がんマウスに腹腔内投与した(1群あたりマウス10匹)。
<腫瘍重量の測定>
TOV-112D(卵巣がん類内膜腺がん)細胞の移植後23又は24日目にマウスを解剖した。マウスの食道から直腸までの消化管を含む腹膜を摘出した。その後、消化管を切り外して、腹膜重量を測定した。さらに、マウスの体重に対する腹膜重量の割合(%)を算出した。
<結果>
siRNAの投与をマウスへのがん細胞移植後3日目(図12)に開始した場合でも、7日目(図13)に開始した場合でも、未修飾RecQL1-siRNA又は修飾RecQL1-siRNAによって腫瘍結節形成及び腫瘍増殖に伴う腹膜重量の増加が顕著に阻害された。
以上の結果から、修飾RecQL1-siRNA(QL-19)には、in vivoにおいて腫瘍細胞の増殖を大きく阻害する効果があることが示された。
[比較例]
QL-2S、QL-3S及びQL-5のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、特定の位置のヌクレオチドが2'-メトキシ化されているが、それらのセンス鎖は、2、3及び13位が未修飾である(図14)。QL-2S、QL-3S及びQL-5は全て、同一配列を有する未修飾siRNAより低いRNAi活性を示した。
本発明の修飾RecQL1-siRNAは、RecQL1遺伝子以外の遺伝子に対するオフターゲット効果がないことが予測されており、しかも、正常細胞には細胞死を誘導せず、がん細胞に特異的に細胞死を誘導する。したがって、本発明の修飾RecQL1-siRNAは、副作用が少ない実用的な医薬としての使用が期待される。
配列番号1及び2:合成オリゴヌクレオチド
配列番号3〜18及び21〜24:結合DNA/RNA分子:合成オリゴヌクレオチド
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (16)

  1. 配列番号1に示される塩基配列を含むセンス鎖、及び
    配列番号2に示される塩基配列を含むアンチセンス鎖
    を含む、RecQL1ヘリカーゼ遺伝子を標的とする二本鎖修飾siRNAであって、
    該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の2、3、4及び13位に2'置換ヌクレオチドを含み、
    該センス鎖は、配列番号1に示される塩基配列の12、14、17、18及び19位からなる群より選択される1つ以上の位置に2'置換ヌクレオチドをさらに含み、
    該2'置換ヌクレオチドの2'位は、-R1、-OR1、-R2OR1、-OR2OR1又は-R3OR2OR1であり、ここで、R1はC1-4アルキル基であり、R2及びR3は独立してC1-3アルキレン基である、前記修飾siRNA。
  2. 同一塩基配列を有する未修飾siRNAと比べてより高い細胞死誘導活性を有する、請求項1に記載の修飾siRNA。
  3. 前記センス鎖が、配列番号1に示される塩基配列の11位に2'置換ヌクレオチドをさらに含む、請求項1又は2に記載の修飾siRNA。
  4. 前記センス鎖が、配列番号1に示される塩基配列の
    (a) 2、3、4、11、12、13、14、17、18及び19位、
    (b) 2、3、4、11、12、13及び14位、
    (c) 2、3、4、12、13、14、17、18及び19位、
    (d) 2、3、4、13、17、18及び19位、
    (e) 2、3、4、11、12、13、14、及び17位、
    (f) 2、3、4、11、12、13、14、及び18位、
    (g) 2、3、4、11、12、13、14、及び19位、
    (h) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び18位、
    (i) 2、3、4、11、12、13、14、17、及び19位、
    (j) 2、3、4、11、12、13、14、18、及び19位、
    (k) 2、3、4、12、13、17、18及び19位、又は
    (l) 2、3、4、13、14、17、18及び19位
    に前記2'置換ヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  5. 前記アンチセンス鎖が修飾されていない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  6. 前記アンチセンス鎖が、配列番号2に示される塩基配列の5、13、15及び19位からなる群より選択される1つ以上の位置に前記2'置換ヌクレオチドを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  7. 前記アンチセンス鎖が、配列番号2に示される塩基配列の
    (i) 13、15及び19位、
    (ii) 5、13、15及び19位、又は
    (iii) 5、13、及び15位
    に前記2'置換ヌクレオチドを含む、請求項6に記載の修飾siRNA。
  8. 前記2'置換ヌクレオチドが2'-メトキシヌクレオチド又は2'-アミノメトキシヌクレオチドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  9. TT又はUUからなる3'オーバーハングを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  10. 前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、19〜25塩基長である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  11. 前記センス鎖の塩基配列が配列番号3に示される塩基配列からなり、前記アンチセンス鎖の塩基配列が配列番号4に示される塩基配列からなる、請求項9又は10に記載の修飾siRNA。
  12. 前記センス鎖が、5'末端でコレステロールと結合している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の修飾siRNA。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の修飾siRNAを含む、RecQL1遺伝子発現抑制剤。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の修飾siRNAを含む、細胞死誘導剤。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の修飾siRNAを含む、がん治療用医薬組成物。
  16. 前記がんが、卵巣がん、乳がん、メラノーマ、肝がん、大腸がん、肺がん又は子宮頸がんである、請求項15に記載の医薬組成物。
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