JPWO2017022436A1

JPWO2017022436A1 - 歯牙漂白用組成物

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Publication number: JPWO2017022436A1
Application number: JP2017532456A
Authority: JP
Inventors: 慎高橋; 麻奈実倉員; 伏島　歩登志; 歩登志伏島
Original assignee: GC Corp
Current assignee: GC Corp
Priority date: 2015-07-31
Filing date: 2016-07-13
Publication date: 2018-05-17
Anticipated expiration: 2036-07-13
Also published as: EP3329900A1; WO2017022436A1; CN107920966B; CN107920966A; US10874596B2; KR102102116B1; KR20180021877A; EP3329900B1; JP7049307B2; EP3329900A4; US20180214357A1; JP2020029467A; JP6651525B2

Abstract

漂白成分、金属イオンキレート剤、水、及び多価アルコールを含む歯牙漂白用組成物であって、前記水及び前記多価アルコールの重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、前記水及び前記多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下である。

Description

本発明は、歯牙漂白用組成物に関する。

一般的に歯牙の白さは美容上重要な要素であると考えられており、歯牙の漂白への需要が近年高まっている。この歯牙の漂白の方法としては、歯牙に沈着した色素に対して漂白成分を含む組成物を適用し、その作用により色素を無色化ないし除去する方法が一般的である。

歯牙漂白用の組成物としては、例えば、ケイ酸マグネシウムナトリウム、過酸化尿素、多価アルコール、該多価アルコールに膨潤可能な増粘剤からなる組成物が知られている（例えば、特許文献１参照。）。しかし、この組成物は水を含まないことから歯牙表面への漂白成分の浸透力が弱く、漂白能力が低いことが問題であった。

一方で組成物中に水が存在する場合、保存中（未使用時）に過酸化水素や過酸化尿素等の漂白成分が分解してしまい、組成物の漂白性能が低下してしまうという保存安定性の問題があった。

この保存安定性の問題を解決するために、液状成分に粉末状の過酸化水素ポリビニルピロリドン複合体が配合されているペースト状の第一成分と、液状成分に過酸化水素を活性化させる触媒及び増粘材が配合されているペースト状の第二成分とから成るペースト状の歯科用漂白材が開示されている（例えば、特許文献２参照。）。しかし、過酸化水素ポリビニルピロリドン複合体は、複合体であるために通常の過酸化水素に比べてラジカル発生量が少なく、長期保存後に十分な漂白性能が得られないという問題があった。

また、２成分系とすれば保存安定性の問題は解決可能であるが、使用時に混合操作が必要であり、操作が煩雑となる問題があった。

特開２００５−６０２６７号公報特開２００７−８８７４号公報

そこで本発明は、１ペースト系でありながら漂白性能が高く、且つ保存安定性がよい歯牙漂白用組成物を提供することを課題とする。

本発明者等は前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、漂白成分、金属イオンキレート剤、水、及び多価アルコールを含み、水と多価アルコールの重量比が特定の範囲であり、且つ、水と多価アルコールの合計量が特定の範囲内であれば、１ペースト系でありながら漂白性能が高く、且つ保存安定性がよい歯牙漂白用組成物を提供することができることを見出して本発明を完成させた。

即ち本発明は、漂白成分、金属イオンキレート剤、水、及び多価アルコールを含む歯牙漂白用組成物であって、前記水及び前記多価アルコールの重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、前記水及び前記多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下であることを特徴とする歯牙漂白用組成物である。

本発明に係る歯牙漂白用組成物は、１ペースト系であり水を含みながら漂白性能が高く、長期保存においても品質の劣化がない優れた歯牙漂白用組成物である。

以下、本実施形態に係る歯牙漂白用組成物について詳細に説明する。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、漂白成分、金属イオンキレート剤、水、及び多価アルコールを含む歯牙漂白用組成物であって、前記水及び前記多価アルコールの重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、前記水及び前記多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下であることを特徴とする歯牙漂白用組成物である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物に含まれる漂白成分は、歯牙表面に付着した色素を無色化ないし除去する等により漂白するものである。具体的には、ラジカルを発生させることが可能な物質であり、代表的なものは過酸化物である。例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム等が挙げられる。また、亜塩素酸、次亜塩素酸等の過酸化水素を発生させない物質を用いてもよい。これらの中でも、過酸化水素又は過酸化尿素が特に好ましい。これらは２種以上を同時に用いてもよい。ただし、過酸化水素ポリビニルピロリドン複合体等の複合体となっている過酸化物は、複合体となっていない過酸化物に比べラジカル発生量が少ない傾向があることから、配合しないことが好ましい。

漂白成分の配合量は、歯牙漂白用組成物中に、１重量％以上３０重量％以下であることが好ましい。１重量％以上とすることにより、漂白力を保つことができ、３０重量％以下とすることにより、保存安定性を保つことができる。さらに好ましくは３重量％以上２５重量％以下である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物に含まれる金属イオンキレート剤は、組成物中に微量不純物として混入する可能性があり、漂白成分の分解を促進することにより組成物の保存安定性を低下させてしまう白金イオン、鉄イオン、マンガンイオン等の金属イオンを化学的に取り込む作用があり、組成物の保存安定性を向上させる作用を有する。金属イオンキレート剤としては、縮合リン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、メタリン酸，トリポリリン酸，テトラポリリン酸，ピロリン酸，ヘキサメタリン酸，メタリン酸ナトリウム，トリポリリン酸ナトリウム，テトラポリリン酸ナトリウム，ピロリン酸ナトリウム，オルソリン酸ナトリウム，ヘキサメタリン酸ナトリウム，メタリン酸カリウム，トリポリリン酸カリウム，テトラポリリン酸カリウム，ピロリン酸カリウム，オルソリン酸カリウム，ヘキサメタリン酸カリウム等が挙げられる。縮合リン酸以外の金属イオンキレート剤としては、クエン酸、グリシン、エチレンジアミン四酢酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの塩、等が例示される。これらは２種以上を同時に用いてもよい。

金属イオンキレート剤の中でも、縮合リン酸及びその塩は水を多く配合した場合に特に保存安定性に優れる傾向があり、特に好ましい。

金属イオンキレート剤の配合量は、歯牙漂白用組成物中に、０．１重量％以上２０重量％以下であることが好ましい。０．１重量％以上とすることにより、漂白成分の保存安定性を保つことができ、２０重量％以下とすることにより、漂白力を保つことができる。さらに好ましくは０．５重量％以上１０重量％以下である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、溶媒として水及び多価アルコールを含み、その重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、水及び多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下である。水及び多価アルコールの配合量が上記の範囲内であれば、１ペースト系でありながら漂白性能が高く、且つ、長期保存においても品質の劣化がない優れた歯牙漂白用組成物となる。

多価アルコールは、１分子中に水酸基を２個以上有するアルコールを指す。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、１,２−ペンタンジオール、１,２−ヘキサンジオール、１,２−オクタンジオール，ソルビトール，マンニトール等が挙げられる。これらは２種以上を同時に用いてもよい。

組成物に配合される水と多価アルコールとの重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１である。水の割合を水：多価アルコール＝３．５：１以上とすることにより、漂白力を保つことができ、水の割合を水：多価アルコール＝２０：１以下とすることにより、保存安定性を保つことができる。さらに好ましくは水：多価アルコール＝５：１〜８：１である。

組成物に配合される水及び多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下である。５０重量％以上とすることにより、漂白力を保つことができ、８５重量％以下とすることにより、保存安定性を保つことができる。さらに好ましくは５５重量％以上８０重量％以下である。

さらに上記条件に加え、水の配合量は、組成物中に５０重量％以上７５重量％以下であると、漂白力がより高くなることから好ましい。さらに好ましくは、５５重量％以上７０重量％以下である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、水及び多価アルコール以外の溶媒も含むことができる。水及び多価アルコール以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、１−プロパノール、２−プロパノール、２−メチル−２−プロパノール等の１価のアルコール、アセトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。ただし、水及び多価アルコール以外の溶媒の配合量が多いと漂白力が低下する傾向があることから、水及び多価アルコール以外の溶媒は、組成物中に１０重量％以下であることが好ましい。さらに好ましくは５重量％以下である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、さらに増粘剤を含むことができる。増粘剤を含むことにより歯牙漂白用組成物に粘性が付与され、操作性を向上させることが可能である。増粘剤としては、例えば、繊維素グルコース酸ナトリウム，アルギン酸ナトリウム，カルボキシメチルセルロース，カルボキシメチルセルロースナトリウム，カルボキシメチルセルロースカルシウム，カルボキシポリメチレン，メチルビニルエーテル／無水マレイン酸コポリマー，ジメチルポリシロキサン，デンプングリコール酸ナトリウム，デンプンリン酸エステルナトリウム，ポリアクリル酸ナトリウム，メチルセルロース，結晶セルロース，ヒドロキシエチルセルロース，ヒドロキシメチルセルロース，ヒドロキシプロピルセルロース，ポリビニルピロリドンなどの有機系増粘剤や、ケイ酸マグネシウムナトリウム，ケイ酸マグネシウムナトリウムリチウム，アクリル酸／ベヘン酸コポリマー，炭酸カルシウム，ケイ酸カルシウム，ケイ酸マグネシウム，シリカ粉末，各種ガラス類，非晶質含水ケイ酸，ヒュームドシリカなどの無機系増粘剤、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。これらは２種以上を同時に用いてもよい。

増粘剤を配合する場合の配合量は、組成物中に０．５重量％以上３０重量％以下が好ましい。０．５重量％以上とすることにより、歯牙漂白用組成物の粘性を高める効果を十分とすることができ、例えば歯面にとどまりやすくでく、３０重量％以下とすることにより、適度な粘性が得られるようになる。さらに好ましくは１重量％以上２５重量％以下である。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、さらに着色剤を含むことができる。着色剤を配合することにより組成物の視認性が向上する。着色剤としては、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が例示される。これらは２種以上を同時に用いてもよい。

歯牙漂白用組成物中に着色剤を配合する場合の配合量は、０．０１重量％以上５重量％以下が好ましい。０．０１重量％以上とすることにより、ペーストの着色効果を十分とすることができ、５重量％以下とすることにより、保存安定性を保つことができる。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物は、ｐＨが５．５以上９．５以下に調整されていることが好ましい。ｐＨが５．５以上とすることにより、歯牙の脱灰を防ぐことができ、ｐＨが９．５以下とすることにより、歯牙漂白用組成物の保存安定性を保つことができる。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物のｐＨを調整するために、さらにｐＨ調整剤を含むことができる。ｐＨ調整剤としては、リン酸二ナトリウム，水酸化カリウム，水酸化ナトリウム，水酸化アンモニウム，炭酸ナトリウム，モノエタノールアミン，ジエタノールアミン，トリエタノールアミンなどが例示される。これらは２種以上を同時に用いてもよい。

歯牙漂白用組成物中にｐＨ調整剤を配合する場合の配合量は、０．１重量％以上２５重量％以下が好ましい。０．１重量％以上とすることにより、ｐＨ調整効果を十分とすることができ、２５重量％以下とすることにより、保存安定性を保つことができる。

本実施形態に係る歯牙漂白用組成物には、前述の成分の他に、香料、色素、安定剤、溶剤等を添加してもよい。

以下、実施例（Ｅ１〜Ｅ１０）及び比較例（Ｃ１〜Ｃ１０）を挙げ、本実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

表１及び表２に示す配合で原料成分を混練し、ペースト状の歯牙漂白用組成物を調製した。これを用いて以下の試験を行い、本実施形態に係る歯牙漂白用組成物の評価を行った。なお表１及び表２中の数値の単位は重量％である。
＜漂白成分放出量＞
２０ｍｍ×２０ｍｍ×０．１ｍｍの透明シート（材質：ポリエチレンテレフタレート）に調整した各歯牙漂白用組成物を０．０２ｇ塗布し、これを同様の透明シートで全体（透明シート２枚＋歯牙漂白用組成物）の厚さの合計が０．５ｍｍとなるように挟んだ。これをガラス容器中の３０ｍＬの蒸留水に静かに投入し浸漬させた。３７℃で２時間静置し、静かに上澄み液２５ｍｌを採取した。この上澄み液についてＪＩＳＴ６５４２：２０１３「歯面漂白材」における「過酸化水素濃度の試験方法」に従い酸化還元滴定を行った。この際に通常の濃度測定用の滴定よりも低濃度になるため、０．０１Ｍチオ硫酸ナトリウム溶液を用いて滴定を行った。得られた過酸化水素量を１．２倍して換算し、「３０ｍＬの蒸留水中に放出された過酸化水素量」を算出した。別途、「０．０２ｇの歯牙漂白用組成物に含まれる過酸化水素量」をＪＩＳＴ６５４２：２０１３「歯面漂白材」における「過酸化水素濃度の試験方法」の酸化還元滴定によって求めた。

漂白成分放出率（％）＝（３０ｍＬの蒸留水中に放出された過酸化水素量）／（０．０２ｇの歯牙漂白用組成物に含まれる過酸化水素量）×１００
なお、漂白性能の観点から、漂白成分放出率は３０％以上であることが好ましい。
＜歯牙漂白試験＞
抜去した牛前歯の歯根部を切除後歯髄を除去し、漂白試験の試験片とした。まず試験片表面の色調（ＣＩＥＬ^＊ａ^＊ｂ^＊値）を測定した。次いで、調製した各歯牙漂白用組成物を塗布後、温度３７℃、相対湿度１００％の環境下で２時間保管し、その後水洗した。この塗布から水洗までの一連の操作を計１４回繰り返した後、試験片表面の色調（ＣＩＥＬ^＊ａ^＊ｂ^＊値）を測定した。漂白試験前後の色差ΔＥａｂ^＊（＝√（（ΔＬ）^２＋（Δａ）^２＋（Δｂ）^２））を算出し、これを漂白による色変化とした。なお、色差ΔＥａｂ＊は大きい方が漂白性能が高いことを示すため、漂白による色変化は以下の指標で評価した。漂白による色変化は以下の指標で評価した。評価結果を表１及び表２に示す。

ＡＡ： ΔＥａｂ^＊が８以上
Ａ： ΔＥａｂ^＊が４以上８未満
Ｂ： ΔＥａｂ^＊が４未満
＜保存性試験＞
調製した各歯牙漂白用組成物をシリンジに充填した後、２３℃にて静置した。初日及び所定日数において、ＪＩＳＴ６５４２：２０１３「歯面漂白材」における「過酸化水素濃度の試験方法」に従い酸化還元滴定を行った。過酸化水素濃度が初期濃度の７０％を下回るまでに要する日数を求めた。

なお、保存安定性の観点から、上記日数は３５０日以上であることが好ましい。
＜ｐＨ測定＞
調製した各歯牙漂白用組成物１ｇを蒸留水１９ｇに完全に溶解させ、ｐＨ測定器にてｐＨを測定した。

表１に示したように、水及び多価アルコールの重量比が、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、水及び多価アルコールの合計量が、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下である条件を満たす、実施例（Ｅ１〜Ｅ１０）は、いずれも漂白成分放出率が３０％以上となり、歯牙漂白試験の評価結果も「ＡＡ」又は「Ａ」と良好であった。また、実施例（Ｅ１〜Ｅ１０）は、いずれも保存性試験の過酸化水素濃度が初期濃度の７０％を下回るまでに要する日数が３５０日以上であった。

一方、表２に示したように、水及び多価アルコールの重量比及び水及び多価アルコールの合計量の両方又は一方が上記条件を満たさない比較例（Ｃ１〜Ｃ１０）は、漂白性能及び保存安定性の両方を満たすことが困難であった。

以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。

本国際出願は２０１５年７月３１日に出願された日本国特許出願２０１５−１５２８２９号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。

Claims

漂白成分、金属イオンキレート剤、水、及び多価アルコールを含む歯牙漂白用組成物であって、前記水及び前記多価アルコールの重量比は、水：多価アルコール＝３．５：１〜２０：１であり、且つ、前記水及び前記多価アルコールの合計量は、組成物中に５０重量％以上８５重量％以下であることを特徴とする歯牙漂白用組成物。