JPWO2017018476A1 - キナゾリン誘導体の塩またはその結晶およびそれらの製造方法 - Google Patents

キナゾリン誘導体の塩またはその結晶およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

キナゾリン誘導体の結晶を提供する。本発明は、式(I):で表される化合物の酸付加塩、およびそれを含有する医薬組成物等に関する。

Description

本発明は、キナゾリン誘導体の酸付加塩または酸付加塩の結晶およびそれらを含む医薬組成物に関する。さらに当該酸付加塩、酸付加塩の結晶およびそれらを含む医薬組成物の製法に関する。
チロシンキナーゼは蛋白質中のチロシン残基をリン酸化する酵素であり、細胞の分化・増殖や細胞内情報伝達系において重要な役割を果たすことが知られている。特に、HER2(ErbB2またはNeuとも呼ばれる)およびEGF受容体等の増殖因子受容体チロシンキナーゼ(以下、受容体チロシンキナーゼ)が癌の形成に深く関与していること、ヒト癌において受容体チロシンキナーゼ活性が亢進していることが知られている(非特許文献1、非特許文献2、および非特許文献3)。
また、EGF受容体とHER2の共発現によりEGF受容体単独による癌化がさらに加速されることが知られており(非特許文献4)、EGF受容体とHER2の両方のチロシンキナーゼを阻害するデュアル阻害剤は単独のキナーゼにのみ作用する化合物と比較して、適応疾患が広く、デュアル阻害の相乗作用によってより強い治療効果が得られる点で優れている。
特許文献1には、下式:
Figure 2017018476

で表されるキナゾリン誘導体が、EGF受容体およびHER2のデュアル阻害作用を有し、癌の治療および/または予防剤として有用であることが記載されている。またその実施例には、以下の化合物(VIII−102):
Figure 2017018476

が遊離塩基の形態で開示されているが、その酸付加塩および/または溶媒和物は、具体的に開示されていない。また、その結晶についても具体的に開示されていない。
特許文献2には、式(VI’):
Figure 2017018476

で表されるキナゾリン誘導体の製造方法が記載されている。また、その実施例には、以下の化合物(VI−15):
Figure 2017018476

が遊離塩基の形態で開示されているが、その酸付加塩および/または溶媒和物は、具体的に開示されていない。また、その結晶についても具体的に開示されていない。
特許文献3および4には、EGF受容体およびHER2のデュアル阻害作用を有する、下式:
Figure 2017018476

で表される、ラパチニブ二トシル酸塩(Lapatinib ditosylate、ditosylate salt of N-{3-Chloro-4-[(3-fluorobenzyl)oxy]phenyl}-6-[5-
({[2-(methanesulphonyl)ethyl]amino}methyl)-2-furyl]-4-quinazolinamine)の水和物結晶および無水物結晶が開示されている。また、特許文献5には、N-{3-Chloro-4-[(3-fluorobenzyl)oxy]phenyl}-6-[5-({[2-(methanesulphonyl)ethyl]amino}methyl)-2-furyl]-4-quinazolinamineの遊離塩基の無水物結晶が開示されている。
薬物デリバリーにおいては、有用な優れた化学的および/または物理的特性を有する結晶形態が望まれている。
国際公開第2006/090717 国際公開第2010/074150 国際公開第2002/002552 国際公開第2009/079541 国際公開第2009/079547
キャンサー リサーチ(Cancer Res.)1991年、第51巻、p.4430−4435 キャンサー リサーチ(Cancer Res.)1992年、第52巻、p.3636−3641 キャンサー ケモセラピー アンド ファーマコロジー(Cancer Chemother. Pharmacol.)、1993年、第32巻、p.1−19 セル(Cell)1989年、第58巻、p.287−292
医薬活性成分は、それぞれの固体形態によって、実質的に異なる物理的特性を有し得る。このような物理的特性の違いは、例えば医薬活性成分の製造方法もしくは投与方法、または医薬活性成分を含む医薬組成物に影響を与え得る。本発明は、医薬活性成分の製造方法若しくは投与方法、又は医薬活性成分を含む医薬組成物において、他の固体形態と比較して非常に有用な、式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの結晶を提供する。さらに当該酸付加塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの結晶を製造するために有用な中間体を提供する。
式(I)で示される化合物は既に開示されているものの、医薬品として使用または医薬品として工業的に製造するために、好適な固体形態ならびにより好ましい製造方法の確立が望まれていた。
本発明者らは、鋭意研究の結果、式(I)で示される化合物の塩酸塩において、一塩酸塩のI形、II形、III形、V形、VI形、VII形およびエタノール和物の結晶形が存在することを見出した。また、式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩;一硫酸塩および一硫酸塩水和物;一リン酸塩および一リン酸塩水和物;一フマル酸塩の結晶形が存在することを見出した。さらには、一塩酸塩のI形結晶、V形結晶およびVI形結晶ならびに一p−トルエンスルホン酸塩結晶が、他の結晶形に比べ、より熱力学的に安定であることを見出した。
また、本発明者らは、医薬原体として有用である式(I)で示される化合物の塩酸塩もしくは塩酸塩の結晶、または、一p−トルエンスルホン酸塩もしくは一p−トルエンスルホン酸塩の結晶を製造するにあって有用な、式(II)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶を見出した。
本発明は、以下の項目1)〜36)に関する。
1)式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物の塩酸塩またはその溶媒和物。
2)一塩酸塩である、上記項目1)記載の塩酸塩またはその溶媒和物。
3)式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物の塩酸塩の結晶。
4)一塩酸塩である、上記項目3)記載の結晶。
5)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、14.1±0.2°、20.6±0.2°、21.0±0.2°、25.8±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
6)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.8°±0.2°、8.0±0.2°、14.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.5°±0.2°、20.6°±0.2°、21.0°±0.2°、22.5°±0.2°、25.8°±0.2°、28.4°±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
7)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
8)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.7±0.2°、11.9±0.2°、15.8±0.2°、18.5±0.2°、23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
9)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、16.3±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
10)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、8.9±0.2°、11.7±0.2°、13.8±0.2°、16.3±0.2°、20.9±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°、26.6±0.2°にピークを有する上記項目4)記載の結晶。
11)上記項目1)または2)に記載の塩酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
11’)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
12)癌の治療および/または予防に用いられる、上記項目11)記載の医薬組成物。
12’)癌が乳癌である、上記項目12)記載の医薬組成物。
12’’)EGF受容体阻害作用およびHER2阻害作用を有する、上記項目11)記載の医薬組成物。
13)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、癌の治療および/または予防剤。
14)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、癌の治療および/または予防方法。
15)癌の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶の使用。
16)癌の治療および/または予防のための、上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶。
17)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含有する、経口投与のための医薬組成物。
18)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、上記項目17)記載の医薬組成物。
19)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、上記項目18)記載の医薬組成物。
20)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含有する、非経口投与のための医薬組成物。
21)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与のための、上記項目20)記載の医薬組成物。
22)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、上記項目20)または21)記載の医薬組成物。
23)上記項目3)〜10)のいずれかに記載の結晶を含有する、小児用または高齢者用の医薬組成物。
24)図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目4)記載の結晶。
25)図2に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目4)記載の結晶。
26)図3に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目4)記載の結晶。
27)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
28)二p−トルエンスルホン酸塩である、上記項目27)記載の塩またはそれらの溶媒和物。
29)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩の結晶。
30)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、21.1±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目29)記載の結晶。
31)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、11.4±0.2°、15.2±0.2°、17.6±0.2°、20.1±0.2°、21.1±0.2°、21.7±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目29)記載の結晶。
32)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩二水和物の結晶。
33)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、22.6±0.2°、24.0±0.2°にピークを有する上記項目32)記載の結晶。
34)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、19.7±0.2°、21.7±0.2°、22.6±0.2°、22.8±0.2°、24.0±0.2°、24.8±0.2°、29.7±0.2°にピークを有する上記項目32)記載の結晶。
35)図10に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目29)記載の結晶。
36)図11に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目32)記載の結晶。
また、本発明は、以下の項目1A)〜105A)に関する。
1A)式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物の塩またはその溶媒和物。
2A)塩酸塩である、上記項目1A)記載の塩またはその溶媒和物。
3A)一塩酸塩である、上記項目1A)または2A)記載の塩またはその溶媒和物。
4A)式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物の塩酸塩の結晶。
5A)一塩酸塩である、上記項目4A)記載の結晶。
6A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、14.1±0.2°、20.6±0.2°、21.0±0.2°、25.8±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
7A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.8°±0.2°、8.0±0.2°、14.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.5°±0.2°、20.6°±0.2°、21.0°±0.2°、22.5°±0.2°、25.8°±0.2°、28.4°±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
8A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
9A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.7±0.2°、11.9±0.2°、15.8±0.2°、18.5±0.2°、23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
10A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、16.3±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
11A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、8.9±0.2°、11.7±0.2°、13.8±0.2°、16.3±0.2°、20.9±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°、26.6±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
12A)上記項目2A)または3A)に記載の塩酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
13A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
13A’)不純物の含有量が、2重量%以下である、上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
13A’’)不純物が、式(I)で示される化合物のE異性体である、上記13A’)記載の医薬組成物。
14A)p−トルエンスルホン酸塩である、上記項目1A)記載の塩またはその溶媒和物。
15A)一p−トルエンスルホン酸塩である、上記項目1A)または14A)記載の塩またはその溶媒和物。
16A)式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩の結晶。
17A)一p−トルエンスルホン酸塩である、上記項目16A)記載の結晶。
18A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):13.7±0.2°、15.7±0.2°、20.0±0.2°、22.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目17A)記載の結晶。
19A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.1±0.2°、6.4±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、15.7±0.2°、16.3±0.2°、20.0±0.2°、22.7±0.2°、24.6±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目17A)記載の結晶。
20A)上記項目14A)または15A)に記載のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
21A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
21A’)不純物の含有量が、2重量%以下である、上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
21A’’)不純物が、式(I)で示される化合物のE異性体である、上記21A’)記載の医薬組成物。
22A)癌の治療および/または予防に用いられる、上記項目12A)または20A)記載の医薬組成物。
23A)癌の治療および/または予防に用いられる、上記項目13A)または21A)記載の医薬組成物。
24A)癌が乳癌である、上記項目22A)記載の医薬組成物。
25A)癌が乳癌である、上記項目23A)記載の医薬組成物。
26A)EGF受容体阻害作用およびHER2阻害作用を有する、上記項目12A)または20A)記載の医薬組成物。
27A)EGF受容体阻害作用およびHER2阻害作用を有する、上記項目13A)または21A)記載の医薬組成物。
28A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、癌の治療および/または予防剤。
29A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、癌の治療および/または予防剤。
30A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、癌の治療および/または予防方法。
30A’)癌が乳癌である、上記項目30A)記載の、癌の治療および/または予防方法。
31A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、癌の治療および/または予防方法。
31A’)癌が乳癌である、上記項目31A)記載の、癌の治療および/または予防方法。
32A)癌の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶の使用。
32A’)癌が乳癌である、上記項目32A)記載の、結晶の使用。
33A)癌の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶の使用。
33A’)癌が乳癌である、上記項目33A)記載の、結晶の使用。
34A)癌の治療および/または予防のための、上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶。
34A’)癌が乳癌である、上記項目34A)記載の、結晶。
35A)癌の治療および/または予防のための、上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶。
35A’)癌が乳癌である、上記項目35A)記載の、結晶。
36A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含有する、経口投与のための医薬組成物。
37A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含有する、経口投与のための医薬組成物。
38A)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、上記項目36A)記載の医薬組成物。
39A)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、上記項目37A)記載の医薬組成物。
40A)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、上記項目38A)記載の医薬組成物。
41A)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、上記項目39A)記載の医薬組成物。
42A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含有する、非経口投与のための医薬組成物。
43A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含有する、非経口投与のための医薬組成物。
44A)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与のための、上記項目42A)記載の医薬組成物。
45A)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与のための、上記項目43A)記載の医薬組成物。
46A)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、上記項目42A)または44A)記載の医薬組成物。
47A)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、上記項目43A)または45A)記載の医薬組成物。
48A)上記項目4A)〜11A)のいずれかに記載の結晶を含有する、小児用または高齢者用の医薬組成物。
49A)上記項目16A)〜19A)のいずれかに記載の結晶を含有する、小児用または高齢者用の医薬組成物。
50A)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
51A)二p−トルエンスルホン酸塩である、上記項目50A)記載の塩またはそれらの溶媒和物。
52A)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩の結晶。
53A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、21.1±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目52A)記載の結晶。
54A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、11.4±0.2°、15.2±0.2°、17.6±0.2°、20.1±0.2°、21.1±0.2°、21.7±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する上記項目52A)記載の結晶。
55A)式(II):
Figure 2017018476

で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩二水和物の結晶。
56A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、22.6±0.2°、24.0±0.2°にピークを有する上記項目55A)記載の結晶。
57A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、19.7±0.2°、21.7±0.2°、22.6±0.2°、22.8±0.2°、24.0±0.2°、24.8±0.2°、29.7±0.2°にピークを有する上記項目55A)記載の結晶。
58A)図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
59A)図2に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
60A)図3に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
61A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):11.3±0.2°、17.1±0.2°、25.5±0.2°、25.8±0.2°、26.4±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
62A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.3±0.2°、11.3±0.2°、17.1±0.2°、18.8±0.2°、21.7±0.2°、23.2±0.2°、25.5±0.2°、25.8±0.2°、26.4±0.2°、29.4±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
63A)図12に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
64A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、9.9±0.2°、15.3±0.2°、21.4±0.2°、23.3±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
65A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、5.6±0.2°、9.2±0.2°、9.9±0.2°、14.4±0.2°、15.3±0.2°、21.4±0.2°、22.6±0.2°、23.3±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
66A)図13に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
67A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.0±0.2°、12.3±0.2°、16.0±0.2°、19.1±0.2°、21.2±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
68A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.7±0.2°、7.0±0.2°、11.4±0.2°、12.3±0.2°、16.0±0.2°、17.3±0.2°、19.1±0.2°、21.2±0.2°、23.0±0.2°にピークを有する上記項目5A)記載の結晶。
69A)図14に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目5A)記載の結晶。
70A)式(I)で示される化合物の一塩酸塩のエタノール和物の結晶。
71A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.3±0.2°、8.9±0.2°、12.9±0.2°、13.7±0.2°、14.7±0.2°にピークを有する上記項目70A)記載の結晶。
72A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.6±0.2°、8.3±0.2°、8.9±0.2°、12.9±0.2°、13.7±0.2°、14.7±0.2°、21.1±0.2°、21.5±0.2°、23.0±0.2°、23.7±0.2°にピークを有する上記項目70A)記載の結晶。
73A)図15に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目70A)記載の結晶。
82A)図18に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目17A)記載の結晶。
83A)式(I)で示される化合物の一硫酸塩の結晶。
84A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.2±0.2°、14.0±0.2°、14.5±0.2°、16.8±0.2°、22.9±0.2°にピークを有する上記項目83A)記載の結晶。
85A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.2±0.2°、12.1±0.2°、14.0±0.2°、14.5±0.2°、15.9±0.2°、16.2±0.2°、16.8±0.2°、21.0±0.2°、22.9±0.2°、26.9±0.2°にピークを有する上記項目83A)記載の結晶。
86A)図19に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目83A)記載の結晶。
87A)式(I)で示される化合物の一硫酸塩一水和物の結晶。
88A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.0±0.2°、9.9±0.2°、13.8±0.2°、14.7±0.2°、17.0±0.2°にピークを有する上記項目87A)記載の結晶。
89A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.0±0.2°、7.4±0.2°、9.9±0.2°、10.1±0.2°、13.8±0.2°、14.7±0.2°、17.0±0.2°、21.4±0.2°にピークを有する上記項目87A)記載の結晶。
90A)図20に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目87A)記載の結晶。
91A)式(I)で示される化合物の一リン酸塩の結晶。
92A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.2±0.2°、6.7±0.2°、9.8±0.2°、12.3±0.2°にピークを有する上記項目91A)記載の結晶。
93A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.2±0.2°、6.7±0.2°、9.8±0.2°、12.3±0.2°、13.3±0.2°、16.6±0.2°、21.1±0.2°にピークを有する上記項目91A)記載の結晶。
94A)図21に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目91A)記載の結晶。
95A)式(I)で示される化合物の一リン酸塩の二水和物の結晶。
96A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.5±0.2°、9.6±0.2°、12.9±0.2°、18.6±0.2°にピークを有する上記項目95A)記載の結晶。
97A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.5±0.2°、9.6±0.2°、10.0±0.2°、11.9±0.2°、12.2±0.2°、12.9±0.2°、16.9±0.2°、18.6±0.2°にピークを有する上記項目95A)記載の結晶。
98A)図22に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目95A)記載の結晶。
99A)式(I)で示される化合物の一フマル酸の結晶。
100A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、9.1±0.2°、16.1±0.2°、19.5±0.2°、19.9±0.2°にピークを有する上記項目99A)記載の結晶。
101A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4±0.2°、6.0±0.2°、8.0±0.2°、9.1±0.2°、10.0±0.2°、12.3±0.2°、14.8±0.2°、16.1±0.2°、19.5±0.2°、19.9±0.2°にピークを有する上記項目99A)記載の結晶。
102A)図23に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目99A)記載の結晶。
103A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4±0.2°、9.1±0.2°、13.3±0.2°、13.7±0.2°、18.1±0.2°にピークを有する上記項目99A)記載の結晶。
104A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4±0.2°、8.0±0.2°、9.1±0.2°、13.3±0.2°、13.7±0.2°、16.4±0.2°、17.1±0.2°、18.1±0.2°、19.9±0.2°、21.8±0.2°にピークを有する上記項目99A)記載の結晶。
105A)図24に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目99A)記載の結晶。
本発明によって、式(I)で示される化合物の酸付加塩およびその結晶体が提供される。当該結晶体は、安定性および溶解性が良好であり、医薬品製造用原体として用いることができる。
また、本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩の結晶を含む医薬組成物は、抗癌剤として使用しうる。
さらに、本発明によって、式(II)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶が提供される。当該化合物等は、式(I)で示される化合物の酸付加塩およびその結晶体を製造するにあって有用である。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくはその溶媒和物の遊離塩基は、医薬としての有用性を備えた化合物である。ここで、医薬としての有用性としては、溶解性がよい点、代謝安定性がよい点、薬物代謝酵素の誘導が少ない点、他の薬剤を代謝する薬物代謝酵素の阻害が小さい点、経口吸収性の高い化合物である点、hERG阻害が小さい点、クリアランスが小さい点、および/または、半減期が薬効を発現するために十分長い点などが含まれる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの結晶は、医薬としての有用性を備えている。ここで、医薬としての有用性としては、水に対する溶解度が高い点、熱安定性が高い点、吸湿性が低い点、光安定性が高い点、溶液安定性が高い点、保存安定性が高い点、着色安定性が高い点、曝光安定性が高い点、遮光時安定性が高い点、比容積が低い点、帯電性が低い点、凝縮性が高い点、流動性が良い点、結晶化度が高い点、ろ過/遠心分離の操作性が高い点、溶媒除去効率が高い点、工業的に有利な溶媒が使用できる点、錠剤の圧縮形成性が高い点などが含まれる。
また、固体形態の化合物は、(1)モル体積、密度及び吸湿性等の包装特性、(2)融解温度、蒸気圧及び溶解性等の熱力学的特性、(3)溶解速度及び安定性等の動態学的特性(例えば、湿度に対する安定性、保存条件下での周囲条件における安定性等)、(4)表面積、湿潤性、界面張力及び形状等の表面特性、(5)例えば硬度、引っ張り強さ、成形性、取り扱い、流動性(flow)及び混合性(blend)等の機械的特性、又は(6)濾過特性を包含する化合物の物理的特性に実質的に影響を与え得る。固体形態の選択及び制御は、特に薬物となる化合物にとって重要である。固体形態の慎重な選択及び制御は、化合物に関する製造、処方又は投与の問題を減らすことができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩I形結晶(Form I)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩V形結晶(Form V)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VI形結晶(Form VI)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩I形結晶(Form I)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩V形結晶(Form V)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VI形結晶(Form VI)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩I形結晶(Form I)のDSC分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩V形結晶(Form V)のDSC分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VI形結晶(Form VI)のDSC分析結果を示す。 式(II)で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(II)で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩二水和物結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩II形結晶(Form II)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩III形結晶(Form III)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VII形結晶(Form VII)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩エタノール和物結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基一水和物結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基三水和物結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶(Form I)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一硫酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一硫酸塩一水和物結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一リン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一リン酸塩二水和物I形結晶(Form I)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一フマル酸塩I形結晶(Form I)の結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一フマル酸塩II形結晶(Form II)の結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩II形結晶(Form II)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩III形結晶(Form III)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VII形結晶(Form VII)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩エタノール和物結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基一水和物結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基三水和物結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶(Form I)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一硫酸塩結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一硫酸塩一水和物結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一リン酸塩結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一リン酸塩二水和物I形結晶(Form I)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一フマル酸塩I形結晶(Form I)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の一フマル酸塩II形結晶(Form II)のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の二塩酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩II形結晶(Form II)の結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一ベンゼンスルホン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一リン酸塩二水和物II形結晶(Form II)の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一クエン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一酒石酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩I形結晶(Form I)の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩V形結晶(Form V)の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩VI形結晶(Form VI)の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の一塩酸塩II形結晶(Form II)の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶(Form I)の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の一硫酸塩結晶の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(I)で示される化合物の遊離塩基結晶のTG/DTA分析結果を示す。 式(I)で示される化合物の遊離塩基結晶の水分吸脱着等温線である。縦軸は0%Target% P/P時の質量に対する増加質量の比率[Change In Mass、単位:%]、横軸は相対湿度[Target% P/P、単位:%]を示す。◆でプロットされた曲線が水分吸着等温線であり、■でプロットされた曲線が水分脱着等温線である。 式(II)で示される化合物の二ベンゼンスルホン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は2θ(°)で、縦軸は強度(Count)を表す。
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
本明細書中、「抗癌剤」および「癌の治療剤」とは、脳腫瘍(例えば神経膠芽細胞腫)、泌尿器癌(例えば膀胱癌、腎臓癌)、生殖器癌(例えば前立腺癌、卵巣癌、子宮癌)、リンパ系腫瘍、消化器癌(例えば胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌)、咽喉癌、肺癌(例えば肺腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、膵臓癌、乳癌、頭頚部癌、甲状腺癌の治療剤を包含する。特に、乳癌、脳腫瘍、膀胱癌、腎臓癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌、肺癌、膵臓癌、および頭頚部癌の治療剤として好ましく使用される。
本発明は、癌を治療又は予防する必要がある哺乳動物において癌を治療又は予防する方法を包含し、当該方法は、前記哺乳動物に治療有効量の式(I)で示される化合物の酸付加塩の結晶またはそれを含有する医薬組成物を投与することからなる。治療するのに好ましい癌は、脳腫瘍(例えば神経膠芽細胞種)、泌尿器癌(例えば膀胱癌、腎臓癌)、生殖器癌(例えば前立腺癌、卵巣癌、子宮癌)、リンパ系腫瘍、消化器癌(例えば胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌)、咽喉癌、肺癌(例えば肺腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、膵臓癌、乳癌、頭頚部癌、甲状腺癌から選択される。より好ましくは、乳癌、脳腫瘍、膀胱癌、腎臓癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌、肺癌、膵臓癌、および頭頚部癌である。さらに好ましくは、乳癌である。
式(I)または式(II)で示される化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。式(I)または式(II)で示される化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)または式(II)で示される化合物のすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である
式(I)または式(II)で示される化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)または式(II)で示されるトリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)または式(II)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)または式(II)で示される化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。14C−標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
式(I)または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(I)または式(II)で示される化合物と、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)との塩が挙げられる。特に塩酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸との塩等が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
本発明の式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物、エタノール和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子と形成していてもよい。
本発明の式(I)で示される化合物の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはその他の製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物は、プロドラッグを形成する場合があり、本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明化合物となる化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて式(I)で示される化合物に変換される化合物、胃酸等により加水分解されて式(I)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば “Design of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam, 1985”に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性を有する場合がある。
式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物は、特許文献1に記載されている、EGF受容体/HER2デュアル阻害剤であり、当該化合物を含有する医薬組成物は、癌の予防または治療に有用である。式(I)で示される化合物は、特許文献1または2記載の方法に従い調整することができる。
具体的には、下式:
Figure 2017018476

で示される化合物と、下式:
Figure 2017018476

で示される化合物を、酸性条件下で反応させ、得られた粗生成物を中和することにより、式(I)で示される化合物を製造することができる。
別法としては、下式:
Figure 2017018476

で示される化合物と、下式:
Figure 2017018476

で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を酸性条件下で反応させ、得られた粗生成物を中和することにより、式(I)で示される化合物を製造することができる。
例えば、本願明細書の実施例に記載の方法により、式(I)で示される化合物として、化合物(I)の遊離塩基Aおよび化合物(I)の遊離塩基Bを製造することができる。
次に、得られた式(I):
Figure 2017018476

で示される化合物を各種有機溶媒に溶解させ、酸性条件下において結晶化させることにより、式(I)で示される化合物の酸付加塩またはその結晶を製造することができる。
酸としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)が挙げられる。特に塩酸およびp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩において、I形、II形、III形、V形、VI形、VII形およびエタノール和物の結晶形が存在する。また、式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩;一硫酸塩および一硫酸塩水和物;一リン酸塩および一リン酸塩水和物;一フマル酸塩の結晶形が存在する。これらの結晶多形は、結晶化に用いる有機溶媒の種類と、式(I)で示される化合物として、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aまたは式(I)で示される化合物の遊離塩基Bのいずれを用いるかによって作り分けることが可能である。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のI形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aをメタノールに溶解し、塩酸存在下で結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のII形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aをメタノールと酢酸エチルの混合溶媒(メタノール:酢酸エチル=1:1)に溶解し、塩酸存在下で結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のIII形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aをメタノールと酢酸エチルの混合溶媒(メタノール:酢酸エチル=1:4)に溶解し、塩酸存在下で結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のV形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Bを2−プロパノールに溶解し、酸存在下で結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のVI形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aを2−プロパノールに溶解し、塩酸存在下で結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のVII形結晶は、式(I)で示される化合物の一塩酸塩のVI形結晶を1,2−ジメトキシエタンに溶解し、結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一塩酸塩のエタノール和物結晶は、酢酸エチルおよびエタノール混合溶液中に、一塩酸塩I形結晶を種晶として加えることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の遊離塩基結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Bをヘキサンおよび酢酸エチルの混合溶液に溶解し、結晶化させることにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aを、常法により精製後、酢酸エチルに溶解し、1mol/L p−トルエンスルホン酸メタノール溶液を加え、結晶化することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一硫酸塩結晶は、式(I)で示される化合物の遊離塩基Aをアセトニトリルに溶解し、1mol/L硫酸メタノールを加え、結晶化することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一硫酸塩一水和物結晶は、式(I)で示される化合物の三水和物結晶をアセトニトリルおよび2−プロパノールの混合溶液に溶解し、0.1mol/L硫酸を加えた後、濃縮する。さらにメタノールおよび水の混合溶液を加え、振とう後に濃縮することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一リン酸塩結晶は、式(I)で示される化合物の三水和物結晶をアセトニトリルおよび2−プロパノールの混合溶液に溶解し、0.1mol/Lリン酸を加えた後、濃縮する。さらにエタノールおよび水の混合溶液を加え、振とう後に濃縮することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一リン酸塩二水和物I形結晶は、式(I)で示される化合物の三水和物結晶をアセトニトリルおよび2−プロパノールの混合溶液に溶解し、0.1mol/Lリン酸を加えた後、濃縮する。さらにメタノールおよび水の混合溶液を加え、振とう後に濃縮することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一フマル酸塩I形結晶は、式(I)で示される化合物の三水和物結晶をアセトニトリルおよび2−プロパノールの混合溶液に溶解し、0.1mol/Lフマル酸のメタノールおよび水の混合溶液を加え、濃縮する。さらにメタノールおよび水を加え、振とう後に濃縮することにより製造することができる。
式(I)で示される化合物の一フマル酸塩II形結晶は、式(I)で示される化合物の三水和物結晶をアセトニトリルおよび2−プロパノールの混合溶液に溶解し、0.1mol/Lフマル酸のメタノールおよび水の混合溶液を加え、濃縮する。さらにアセトニトリルおよび水を加え、振とう後に濃縮することにより製造することができる。
以下に、本発明の結晶を特定する方法について説明する。
特に言及がなければ、本明細書中及び特許請求の範囲記載の数値は、おおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、その他の因子に起因する。
本明細書中で用いる「結晶」とは、固体を構成する原子、イオン、分子などが規則正しく並んだ構造を持ち、その結果周期性、異方性を持つような構造を意味する。結晶形態の結晶化度は、例えば、粉末X線回折測定、水分吸脱着測定、示差走査熱量測定、示差熱熱重量同時測定、溶液比色測定、溶解特性を含めた多くの技術によって測定することができる。
粉末X線回折(XRPD)
一般に結晶性有機化合物は、3次元空間に周期的に配列された多数の原子よりなる。構造周期性は、通例、ほとんどの分光学的プローブ(例えば、X線回折、赤外スペクトル、ラマンスペクトル及び固体NMR)によって明確に区別可能な物理的特性を発現する。中でも粉末X線回折(XRPD)は、固体の結晶性を測定するための最も感度の良い分析法のうちの1つである。X線が結晶に照射されると、結晶格子面で反射し、互いに干渉しあい、ブラッグ則よって予測される条件を満たす方向の回折線のみ強度が増大し、構造の周期に対応した秩序だった回折線を示す。一方、非晶質固体については広範囲の秩序だった回折線は認められない。非晶質固体は、通常、その構造の中に秩序だった繰返し周期をもたないため、回折現象は起こらず特徴のないブロードなXRPDパターンを示す。
本出願明細書で開示する式(I)で示される化合物の酸付加塩の結晶形態は、好ましくは、区別可能な粉末X線回折プロフィールを有する。例えば、式(I)で示される化合物の一塩酸塩または一p−トルエンスルホン酸塩を含む結晶は、好ましくは、特徴的な回折ピークの存在によって、他の結晶形態と区別することができる。本明細書中で用いる特徴的な回折ピークは、観察された回折パターンから選択されるピークである。好ましくは、特徴的なピークは、回折パターンにおける約20本、より好ましくは約10本、最も好ましくは約5本から選択される。
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、粉末X線回折の回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
以下の表及び図において表示されるピークの絶対強度、及び相対強度は、一般に、多くの因子、例えばX線ビームに対する結晶の選択配向の効果、粗大粒子の影響、分析される物質の純度又はサンプルの結晶化度によって変動し得ることが知られている。また、ピーク位置についても、サンプル高の変動に基づいてシフトし得る。さらに、異なる波長を使用して測定するとブラッグ式(nλ=2dsinθ)に従って異なるシフトが得られるが、このような別の波長の使用により得られる別のXRPDパターンも、本発明の範囲に含まれる。
TG/DTA(示差熱熱重量同時測定)
TG/DTAは、熱分析の主要な測定方法のひとつで、原子・分子の集合体としての物質の重量及び熱的性質を測定する方法である。
TG/DTAは医薬活性成分の温度又は時間に係る重量及び熱量の変化を測定する方法であり、得られたデータを温度又は時間に対してプロットすることにより、TG(熱重量)及びDTA(示差熱)曲線が得られる。TG/DTA曲線より、医薬活性成分の分解、脱水、酸化、還元、昇華、蒸発に関する重量及び熱量変化の情報を得ることができる。
TG/DTAについて、観察される温度、重量変化は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、TG/DTAにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少変化し得る。
DSC(示差走査熱量測定)
DSCは、熱分析の主要な測定方法のひとつで、原子・分子の集合体としての物質の熱的性質を測定する方法である。DSCにより、医薬活性成分の温度又は時間に係る熱量の変化を測定し、得られたデータを温度又は時間に対してプロットすることにより示差走査熱量曲線が得られる。示差走査熱量曲線より、医薬活性成分が融解する際のオンセット温度、融解に伴う吸熱ピーク曲線の最大値ならびにエンタルピーに関する情報を得ることができる。
DSCについて、観察される温度は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、DSCにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。示差走査熱量曲線から得られるオンセット温度における誤差範囲はおよそ±2℃である。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少は変化し得る。
(水分吸脱着等温線測定)
水分吸脱着等温線測定は、測定対象の固体について各相対湿度条件下での重量変化を測定する事で、水分の吸着、脱着挙動を計測する測定法である。
基本的な測定法として、0%Target % P/P(相対湿度0%)での乾燥重量を基準とし、5%、もしくは10%ごとに相対湿度を上げ、それぞれの相対湿度での重量安定化後、基準値からの重量増加から、吸着水の量を求める事が出来る。同様に、100%Target % P/Pから5%、もしくは10%ごとに相対湿度を下げる事で、水の脱着量を測定する事が可能である。
各相対湿度での重量変化値をプロットする事で、吸脱着等温線を得る事ができる。この結果から、各湿度における付着水分の吸着、脱着現象の考察が可能である。また、無水物結晶が湿度により水和物結晶と相互に結晶転移する場合には、結晶転移が起こる湿度、並びに結晶水の量を計算する事が可能である。
付着水,及び結晶水の吸脱着は粒子径、結晶化度、晶癖等の影響を受けるため、測定結果は多少変化し得る。
(光安定性試験)
光安定性試験は、曝光による原薬や製剤の化学的または物理化学的な変化を測定し、光に対する試料の特性を評価する方法の一つである。光安定性試験では、原薬や製剤などの試料に規定の出力により一定期間光を照射する。規定の総照度に到達した時点で、試料の不純物や類縁物質、結晶形、色差などを科学的手法(高速液体クロマトグラフィ―、X線結晶回折、色差計など)により解析することで、光に対する試料の特性を評価することができる。規定された曝光量が得られていることを確認するため、放射計または照度計を用いた曝光量の管理や化学光量測定システムを用いた試験が行われる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶を含む医薬組成物は、癌の治療剤又は予防剤として非常に有用である。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶は、それ自体でヒト患者に投与することができるか、又は、当該結晶を適当な担体又は賦形剤と混合した医薬組成物として投与することができる。薬物の処方及び投与のための技術は、当業者に知られている製剤処方や技術を組み合わせて、適宜選択して、使用することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物の投与経路は、限定されるものではないが、経口、直腸、経粘膜又は腸投与あるいは筋肉内、皮下、脊髄内、鞘内、直接的心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内、眼内、注射を含むことができる。好ましい投与経路は、経口または注射(筋肉内、皮下、脊髄内、鞘内、静脈内)が挙げられる。特に好ましい投与経路は経口である。
本発明の医薬組成物は、当該分野でよく知られた製法、例えば、慣用的な混合、溶解、顆粒化、糖衣−作成、粉末化、乳化、カプセル化、包括、凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物は、水性溶液、好ましくは、生理学上適合する、リンゲル液又は生理食塩水のような緩衝液を用いて、注射により投与することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物は、浸透させるべきバリアーに適した浸透剤を用いて、経粘膜投与することができる。該浸透剤は一般に当該分野で知られているものを用いることができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶、またはそれらを当該分野でよく知られた医薬上許容される担体と合わせた医薬組成物は、経口投与することができる。当該担体と合わせることにより、本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶を、錠剤、丸剤、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、懸濁剤として投与することができる。経口投与用の医薬組成物は、固体賦形剤を用い、所望であれば他の適切な補助剤を添加した後、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって作成することができる。
有用な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含めた糖等の充填剤、例えば、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びじゃがいも澱粉等のセルロース調製物、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースナトリウム等である。必要であれば、寒天、アルギン酸等の崩壊剤を添加することができる。アルギン酸ナトリウム等の塩を用いることもできる。
経口投与に用いることができる医薬組成物は、ゼラチンで作成されたプッシュフィットカプセル、ゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤で作成された密封カプセル等を含む。プッシュフィットカプセルはラクトース等の充填剤、澱粉等のバインダー及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤及び所望により、安定化剤と混合した有効成分を含むことができる。ソフトカプセルでは本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩の結晶は、脂肪油、流動パラフィン又は液状ポリエチレングリコール等の適当な液体に溶解又は懸濁させることができる。安定化剤をこれらの処方に加えることもできる。
医薬組成物は、適当な固体若しくはゲル相の担体又は賦形剤を含むこともできる。そのような担体又は賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリエチレングリコール等のポリマー等が挙げられる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶について、治療上有効な量は、最初に細胞培養アッセイから見積もることができる。次いで、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、PK活性の最大の半分の阻害を達成する本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するように、動物モデルで用いるために投与量を多く処方することができる。次いで、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な量をより正確に決定することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物の治療効果は、細胞培養又は実験動物において、標準的な医薬手法によって測定することができる。例えば、国際公開第2006/090717に記載の生物試験方法に従って評価すればよい。これらの細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトで用いる投与量の範囲を処方するために用いることができる。投与量は、使用する投与形態及び利用する投与経路に応じて変化させることができる。正確な処方投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物を、病気及び障害の治療のために他の薬剤と組合せることができるのも本発明の態様である。例えば、本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物は、他の抗癌剤等と組み合わせることができる。例えば、本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶またはそれらを含む医薬組成物は、他の抗癌剤と併用または合剤としても使用されうる。例えば、トラスツマブ、微小管阻害剤[ビノレルビン、タキサン系薬剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル等)、イリノテカン、エリブリンメシル酸塩]、Platinum系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン等)、5−FU系薬剤(例えば、カペシタビン、5−フルオロウラシル等)、乳癌ホルモン療法、HER2阻害薬(トラスツズマブ、ペルツズマブ、ラパチニブトシル酸塩水和物、ネラチニブ、margetuximab)、HER2抗体コンジュゲート薬(トラスツズマブエムタンシン(T−DM1)、MM−302)、HDAC阻害薬(エンチノスタット)、PARP阻害薬(タラゾパリブ、ニラパリブ、オラパリブ、ベリパリブ)、免疫療法ワクチン(例えば、nelipepimut−S)、CDK4/6阻害薬(イブランス、リボシクリブ、アベマシクリブ)、PI3K/mTOR阻害薬(buparlisib、タセリシブ、エベロリムス、アルペリシブ)、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1/PD−L1阻害薬(ニボルマブ、atezolizumab、ペムブロリズマブ)等が挙げられる。また、上記記載の抗癌剤を2剤以上組み合わせて用いることができる。
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩もしくは酸付加塩の結晶の投与量は、疾患の状態、投与ルート、患者の年齢、又は体重によっても異なるが、成人に経口で投与する場合、通常10〜1600mg/人/日であり、好ましくは100〜1200mg/人/日であり、200〜800mg/人/日が最も好ましい。
本発明を以下の実施例および参考例によりさらに詳しく説明する。これらは本発明を限定するものではない。数値(例えば、量、温度等)に関しては、いくらかの誤差及び偏差は考慮されるべきである。
特筆しない限り、%は成分の重量%及び組成物の全重量の重量%であり、圧力は大気圧か又はそれに近い圧力である。
本明細書で使用する他の略語は以下のように定義される:
g:グラム
L:リットル
mg:ミリグラム
mL:ミリリットル
Boc:tert−ブトキシカルボニル
(粉末X線回折パターンの測定)
各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(メソッドA)
(装置)
Bruker社製D−8Discover
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:40mA
管電圧:40kV
試料プレート:ガラス、アルミ
X線の入射角:3−40°
(メソッドB)
(装置)
リガク社製MiniFlex600
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:15mA
管電圧:40kV
試料プレート:円形無反射試料板
X線の入射角:4−40°
(DSCデータの測定)
各実施例で得られた各結晶約1mgを量り、金メッキスチール高圧パンにつめ、密閉系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:ティー・エイ・インスツルメント社製DSCDiscovery
測定温度範囲:25℃−250℃
昇温速度:10℃/分
(TG/DTAデータの測定)
各実施例で得られた各結晶約10mgを量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6300
測定温度範囲:30℃−300℃
昇温速度:10℃/分
(NMR測定)
NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
(HPLC測定)
(メソッドA)
装置:Agilent 1290 Infinity
検出波長:232nm
カラム:ZORBAX SB−C18、 1.8μm(2.1mm×30mm)
カラム温度:60℃付近
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル混液(90:10から10:90にグラジエント)
流速:1.2mL/min
注入量:1μL
(メソッドB)
装置:島津2010シリーズまたは島津10A VPシリーズ
カラム:CAPCELL PAK C18 MGII 3μm 内径4.6mm 長さ150mm
移動相:[A]10mM酢酸アンモニウム水溶液/[B]アセトニトリル−メタノール混合液(1:1)
グラジエントプログラムを表1に示す。
Figure 2017018476

流速:1.0mL/min
検出波長:225nm
注入量:10μL
カラム温度:35℃
(水分吸脱着等温線測定の測定)
各実施例で得られた結晶の水分吸脱着等温線測定を行った。サンプルパンに試料約10mgを測り取り測定を行った。測定条件を以下に示す。
装置:Surface Measurement Systems Ltd.社製 DVS Advantage
測定ポイント:0%Target% P/Pから5%ごとに95%Target% P/Pまで。その後95%Target% P/Pから5%ごとに0%Target% P/Pまで
温度:25℃
(光安定性試験の測定)
ナガノサイエンス社製 光安定性試験装置(LTL200A5−15WCD型)を用いて、実施した。光の照射線源にはD65ランプを使用し、4000lx・hrの条件で総照度として約120万lx・hrまで光を照射した。
(参考例1)化合物(I)の遊離塩基Aの合成:
Figure 2017018476

化合物4(8.23g、18.5mmol)、化合物3(6.43g、27.7mmol)をジオキサン(326mL)に懸濁させ、2mol/Lメタンスルホン酸メタノール溶液(23.3mL)を加えた。60℃で4時間攪拌し、その後2mol/Lメタンスルホン酸(14.1mL)を追加して、60℃で17時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(815mL)と水(200mL)で希釈し、炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム20.65g、水150mL)を加え抽出した。有機層を食塩水(飽和食塩水50mL、水250mL)で洗浄した。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後に、濾液を濃縮して、化合物(I)の遊離塩基A(11.83g)を褐色油状物として得た。
(参考例2)化合物(I)の遊離塩基Bの合成:
化合物4(4.94g)を用いて、上記参考例1の合成法に従い合成した遊離塩基A(6.88g)をメタノール(28mL)に溶解し、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(2.5mL)を加えた。室温で2時間攪拌したところ、沈殿が生じた。酢酸エチル(50mL)で希釈して、メタノールを減圧留去した。同操作を繰り返し、さらに酢酸エチル(30mL)で希釈して、室温で30分攪拌した。生じた固体を濾過し、酢酸エチル(30mL)で洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩(5.04g)を得た。このうち、3.00gを酢酸エチル(50mL)に懸濁させ、0℃にて炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム1.04g、水15mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濾過後、濾液を減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(24mL)、ヘキサン(6mL)を加え、生じた固体をヘキサン:ジエチルエーテル混液(1:1)で洗浄して、化合物(I)の遊離塩基B(2.63g)を淡黄色固体として得た。
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(1.18g)を酢酸エチル(8mL)に溶解し濾過後、濾液を半分まで減圧濃縮して、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(0.42mL)を加えた。ジエチルエーテル(2mL)を加え生じた沈殿を濾過し、ジエチルエーテル:酢酸エチル混液(2:3)、次いでジエチルエーテルで洗浄した。濾取した固体(817mg)をメタノール(20mL)に加温溶解して、全量が3.6gとなるまで減圧濃縮し、室温で放置した。析出物を濾過し、冷メタノール、次いでジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶(701mg)を黄色結晶として得た。

H-NMR(300 MHz、DMSO−d6)δ 2.28 (6H, s), 3.08-3.28 (2H, m), 3.58-3.75 (3H, m), 3.90-3.94 (1H, m), 4.03 (1H, dd, J = 12, 2.7 Hz), 4.44 (2H, d, J = 5.4 Hz), 5.27 (2H, s), 7.15-7.22 (1H, m), 7.26-7.35 (3H, m), 7.44-7.51 (1H, m), 7.72 (1H, dd, J = 9.0, 2.4 Hz), 7.82 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.99 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.26 (1H, dd, J = 8.7, 1.8 Hz), 8.60 (1H, s), 8.88 (1H, d, J = 1.5 Hz), 9.29 (1H, s), 10.20 (1H, s).
元素分析:
計算値: C, 60.41; H, 4.73; Cl, 11.89; F, 3.19; N, 11.74
実測値: C, 60.17; H, 4.79; Cl, 11.62; F, 3.06; N, 11.81
粉末X線回折の結果を、図1および表2に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、14.1±0.2°、20.6±0.2°、21.0±0.2°、25.8±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図4に示す。オンセット温度は約234℃を観測した。TGでの重量減少は約0.91%であった。
DSC分析結果を図7に示す。オンセット温度は約239℃を観測した。
水分吸脱着等温線測定結果を図45に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約0.8となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.08となった。
化合物(I)の一塩酸塩V形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基B(500mg)に2−プロパノール(5.0mL)を加え、65℃に加熱して溶解した。冷却後、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(212μL)を加えた。室温で5分攪拌後、全体量が3.09gとなるまで減圧濃縮した。生じた沈殿を濾過し、冷2−プロパノール(3mL)で洗浄した。得られた固体をメタノール(13mL)で加温溶解し、全量が3.03gとなるまで減圧濃縮した。酢酸エチル(6.0mL)で希釈して、全量が2.84gとなるまで再び減圧濃縮した。析出物を濾取し、冷酢酸エチル(5mL)で洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩V形結晶(382mg)を黄色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図2および表3に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図5に示す。オンセット温度は約238℃を観測した。TGでの重量減少は約1.34%であった。
DSC分析結果を図8に示す。オンセット温度は約234℃を観測した。
水分吸脱着等温線測定結果を図46に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約1.7となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.05となった。
化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(1.00g)を2−プロパノール(8.0mL)に溶解し、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(318μL)を加えて、室温で1時間、0℃で1時間攪拌した。室温で30分攪拌後、析出物を濾取した。2−プロパノールで洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶(592mg)を淡黄色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図3および表4に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、16.3±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図6に示す。オンセット温度は約225℃を観測した。TGでの重量減少は約0.98%であった。
DSC分析結果を図9に示す。オンセット温度は約225℃を観測した。
水分吸脱着等温線測定結果を図47に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約0.5となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.06となった。
化合物(I)の一塩酸塩II形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(50.0mg)をメタノール(100μL)、酢酸エチル(100μL)に溶解し、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(21.2μL)を加えた。室温で1時間攪拌後、酢酸エチル(500μL)で希釈して析出物を濾取した。酢酸エチル(500μL)で洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩II形結晶(14.4mg)を無色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図12および表5に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):11.3±0.2°、17.1±0.2°、25.5±0.2°、25.8±0.2°、26.4±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図25に示す。オンセット温度は約210.9℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
水分吸脱着等温線測定結果を図48に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約0.3となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.05となった。
化合物(I)の一塩酸塩III形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(50.0mg)をメタノール(50μL)、酢酸エチル(200μL)に溶解し、4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(21.2μL)を加えた。直後に固体が析出した。酢酸エチル(300μL)で希釈して析出物を濾取した。酢酸エチル(500μL)で洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一塩酸塩III形結晶(25.0mg)を淡黄色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図13および表6に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、9.9±0.2°、15.3±0.2°、21.4±0.2°、23.3±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図26に示す。オンセット温度は約223.9℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
化合物(I)の一塩酸塩VII形結晶の製造
化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶(10mg)に、1,2-ジメトキシエタン(2mL)を加えて加温溶解させた後、液体窒素で冷却して生じた沈殿を濾過し、化合物(I)の一塩酸塩VII形結晶を黄色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図14および表7に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.0±0.2°、12.3±0.2°、16.0±0.2°、19.1±0.2°、21.2±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図27に示す。オンセット温度は約171.7℃を観測した。TGでの重量減少は約0.31%であった。
化合物(I)の一塩酸塩エタノール和物結晶の製造
化合物(IIA)(35.27g、74.0mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(13.41g、80.7mmol)、テトラヒドロフラン(150mL)、水(13mL)を混合し、50℃で化合物4(30.00g、67.3mmol)を加えて5時間撹拌した。室温に冷却後、126.8gまで濃縮し、水酸化ナトリウム水溶液でpH9.5に調整し、酢酸エチル(240mL×2)で抽出した。抽出液を81.5gまで濃縮し、酢酸エチル(240mL)を加えて再度79.7gまで濃縮した。さらに酢酸エチル(240mL)を加えて61.6gまで濃縮し、エタノール(240mL)を加えた。60℃に加温して実施例1で得た一塩酸塩I形結晶(9mg)を種晶として加えたのち、濃塩酸5.83mLを加えると固体が析出した。25℃で2時間撹拌し濾過すると、種晶とは異なる化合物(I)の一塩酸塩エタノール和物結晶(36.31g、87.8%)を得た。
粉末X線回折の結果を、図15および表8に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.3±0.2°、8.9±0.2°、12.9±0.2°、13.7±0.2°、14.7±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図28に示す。オンセット温度は約231℃を観測した。TGでの重量減少は約1.01%であった。
化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶の製造
化合物4(1.01g)を原料として、参考例1に従い合成した遊離塩基A(1.42g)をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(クロロホルム:メタノール=100:1〜95:5)して、目的物のフラクションを減圧濃縮した。残渣をアセトンで溶解して減圧濃縮し、ジエチルエーテル(4mL)、ヘキサン(1mL)を加えた。生じた固体を濾過してヘキサン:ジエチルエーテル(1:1)混液、ヘキサンで洗浄して、遊離塩基体(981mg)を得た。このうち112mgを酢酸エチル(1mL)に溶解し、1mol/Lパラトルエンスルホン酸メタノール溶液(190μL)を加えた。酢酸エチル(2mL)を追加して、1時間室温で攪拌した。生じた固体を濾取し、酢酸エチル、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶(136mg)を無色結晶として得た。

H-NMR(300 MHz、DMSO−d6)δ 2.29 (6H, s), 3.14-3.30 (2H, m), 3.52-3.81 (3H, m), 3.88-3.89 (1H, m), 4.00-4.08 (1H, m), 4.41 (2H, d, J = 5.5 Hz), 5.28 (2H, s), 7.11 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.15-7.24 (1H, m), 7.26-7.36 (3H, m), 7.45-7.52 (3H, m), 7.68 (1H, dd, J = 8.8, 2.6 Hz), 7.83 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.95 (1H, d, J = 2.5 Hz), 8.27 (1H, dd, J = 8.8, 1.7 Hz), 8.61 (1H, s), 8.77 (1H, d, J = 1.7 Hz), 8.90 (1H, s), 10.11 (1H, s).
.
元素分析:
計算値: C, 60.69; H, 4.82; Cl, 4.84; F, 2.59; N, 9.56; S, 4.38
実測値: C, 60.45; H, 4.79; Cl, 4.47; F, 2.42; N, 9.46; S, 4.11
粉末X線回折の結果を、図18および表9に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):13.7±0.2°、15.7±0.2°、20.0±0.2°、22.7±0.2°、25.3±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図31に示す。オンセット温度は約208.5℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
水分吸脱着等温線測定結果を図49に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約1.4となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.12となった。
化合物(I)の一硫酸塩結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(50.0mg)をアセトニトリル(400μL)に溶解し、1mol/L硫酸メタノール溶液(84.8μL)を加えた。アセトニトリル(1mL)を追加して0℃で攪拌し、生じた固体を濾取し、冷アセトニトリルで洗浄した。乾燥し、黄色晶(15.1mg)を得た。これを種結晶として使用した。
化合物(I)の遊離塩基A(100mg)をアセトニトリル(400μL)に溶解し、1mol/L硫酸メタノール溶液(179μL)、上記で調製した種結晶を少量加えた。アセトニトリル(1mL)を追加して0℃で攪拌した。生じた固体を濾取し、冷アセトニトリルで洗浄、乾燥して、化合物(I)の一硫酸塩結晶(47.9mg)を得た。

H-NMR(400 MHz、DMSO−d6)δ 2.30 (3H, s), 3.12-3.24 (1H, m), 3.24-3.32 (1H, m), 3.62-3.90 (3H, m), 3.93 (1H, d, , J = 11.4 Hz), 4.05 (1H, d, J = 11.4 Hz), 4.49-4.52 (2H, m), 5.32 (2H, s), 7.16-7.22 (1H, m), 7.30-7.39 (3H, m), 7.45-7.52 (1H, m), 7.65-7.70 (1H, m), 7.91 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.00 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.47 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.95 (1H, s), 9.28 (1H, s), 9.53 (1H, s), 9.64 (1H, s), 12.11 (1H, s).

元素分析:
計算値: C, 54.08; H, 4.66; Cl, 5.32; F, 2.85; N, 10.51; S, 4.33 (0.9H2SO4 1.0H2O)
実測値: C, 54.11; H, 4.78; Cl, 5.68; F, 2.65; N, 10.06; S, 4.32
粉末X線回折の結果を、図19および表10に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.2±0.2°、14.0±0.2°、14.5±0.2°、16.8±0.2°、22.9±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図32に示す。オンセット温度は約190.5℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
水分吸脱着等温線測定結果を図50に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約3.3となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.13となった。
化合物(I)の一硫酸塩一水和物結晶の製造
参考例5に記載の方法で製造した化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/L硫酸(0.056mL)を加えた後,減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一硫酸塩一水和物結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図20および表11に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.0±0.2°、9.9±0.2°、13.8±0.2°、14.7±0.2°、17.0±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図33に示す。TGでの重量減少は約4.49%であった。
化合物(I)の一リン酸塩結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lリン酸(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。エタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一リン酸塩結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図21および表12に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.2±0.2°、6.7±0.2°、9.8±0.2°、12.3±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図34に示す。オンセット温度は約188.1℃を観測した。TGでの重量減少は約1.76%であった。
化合物(I)の一リン酸塩二水和物I形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lリン酸(0.056mL)を加えた後,減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一リン酸塩二水和物I形結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図22および表13に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.1±0.2°、6.5±0.2°、9.6±0.2°、12.9±0.2°、18.6±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図35に示す。TGでの重量減少は観測されなかった。
化合物(I)の一フマル酸塩I形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lフマル酸のメタノール:水混液(1:1)(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一フマル酸塩I形結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図23および表14に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、9.1±0.2°、16.1±0.2°、19.5±0.2°、19.9±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図36に示す。オンセット温度は約191.3℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
化合物(I)の一フマル酸塩II形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lフマル酸のメタノール:水混液(1:1)(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。アセトニトリル:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一フマル酸塩II形結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図24および表15に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4±0.2°、9.1±0.2°、13.3±0.2°、13.7±0.2°、18.1±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図37に示す。オンセット温度は約195.6℃を観測した。TGでの重量減少は約1.42%であった。
(参考例3)化合物(I)の遊離塩基結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基B(50.0mg)をヘキサン(1mL)、酢酸エチル(0.7mL)に懸濁させ、加温溶解した。室温で放置し、生じた固体を濾取し、乾燥して、式(I)の遊離塩基結晶(39.9mg)を無色結晶として得た。

H-NMR(400 MHz、DMSO−d6)δ 2.28 (3H, s), 2.74-2.83 (2H, m), 3.09-3.30 (3H, m), 3.68 (1H, d, J = 10.6 Hz), 3.82 (1H, d, J = 10.6 Hz), 4.10-4.22 (2H, m), 5.28 (2H, s), 7.19 (1H, t, J = 8.2 Hz), 7.25-7.38 (3H, m), 7.45-7.52 (1H, m), 7.71 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.81 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.99 (1H, s), 8.22 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.61 (1H, s), 8.76 (1H, s).
粉末X線回折の結果を、図44および表16に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4±0.2°、13.9±0.2°、17.2±0.2°、20.4±0.2°、24.9±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図51に示す。オンセット温度は約134.1℃を観測した。TGでの重量減少は観測されなかった。
水分吸脱着等温線測定結果を図52に示す。水分吸着等温線の測定では、95%Target % P/Pとすると、0%Target % P/P時の質量に対する増加質量の比率が約1.0となった。水分脱着等温線の測定では、0%Target % P/Pとすると、その比率は約0.16となった。
(参考例4)化合物(I)の遊離塩基の一水和物結晶の製造
実施例25における酢酸エチル抽出液を15℃下で撹拌しながら化合物(I)の遊離塩基種晶を溶けなくなるまで加えた。多量に析出した結晶を濾取して化合物(I)の遊離塩基の一水和物結晶を得た。
水分値:3.23%(一水和物の理論値:3.12%)
粉末X線回折の結果を、図16および表17に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.0±0.2°、8.3±0.2°、20.1±0.2°、25.5±0.2°、26.1±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図29に示す。TGでの重量減少は約2.27%であった。
(参考例5)化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶の製造
実施例25における抽出液を濃縮した際に析出した結晶を濾取して通気乾燥し、化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶を得た。
水分値:9.87%(三水和物の理論値:8.8%)
粉末X線回折の結果を、図17および表18に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.9±0.2°、8.7±0.2°、10.9±0.2°、24.7±0.2°、25.4±0.2°にピークが認められた。
TG/DTA分析結果を図30に示す。TGでの重量減少は約11.2%であった。
(参考例6)化合物(I)の二塩酸塩結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基(約50g)を含むエタノール溶液(約400g)のうち、
16gの溶液を分取し、実施例1で得た一塩酸塩I形結晶(2.5mg)を加えたのちに濃塩酸0.838g(2.5当量)を加えた。2時間撹拌後、析出した固体を濾取し、化合物(I)の二塩酸塩結晶を得た。
元素分析:
計算値: C, 57.59; H, 4.64; Cl, 15.87; F, 3.04; N, 11.19(1.8HCl salt)
実測値: C, 57.99; H, 5.51; Cl, 16.74; F, 2.86; N, 11.47
粉末X線回折の結果を、図38に示す。(測定条件:メソッドA)
(参考例7)化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩II形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基A(50.0mg)をアセトニトリル(500μL)に溶解し、1mol/Lパラトルエンスルホン酸メタノール溶液(84.8μL)を加えた。室温で2時間攪拌後、アセトニトリル(500μL)を追加してさらに1時間攪拌し、酢酸エチルで希釈して、生じた固体を濾取した。乾燥して、化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩II形結晶(29.7mg)を無色結晶として得た。
粉末X線回折の結果を、図39に示す。(測定条件:メソッドA)
(参考例8)化合物(I)の一ベンゼンスルホン酸塩結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lベンゼンスルホン酸の水溶液(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一ベンゼンスルホン酸塩結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図40に示す。(測定条件:メソッドA)
(参考例9)化合物(I)の一リン酸塩二水和物II形結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lリン酸(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。酢酸メチル::水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一リン酸塩二水和物II型結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図41に示す。(測定条件:メソッドA)
(参考例10)化合物(I)の一クエン酸結晶の製造
化合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/Lクエン酸の水溶液(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一クエン酸塩結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図42に示す。(測定条件:メソッドA)
(参考例11)化合物(I)の一酒石酸塩結晶の製造
合物(I)の遊離塩基の三水和物結晶(3mg)をアセトニトリル:2−プロパノール混液(1:1)(0.15mL)に溶解し、0.1mol/L酒石酸の水溶液(0.056mL)を加えた後、減圧濃縮した。メタノール:水混液(95:5)(0.3mL)を加え、15℃で1時間振とうした後、減圧濃縮し、化合物(I)の一酒石酸塩結晶を得た。
粉末X線回折の結果を、図43に示す。(測定条件:メソッドA)
(XRPD測定結果)
本願の化合物(I)と構造が類似した化合物が、特許文献2の実施例2に化合物(VI−1)として開示されている。当該化合物(VI−1)は、二塩酸塩結晶として得られたことが記載されている。
Figure 2017018476

次に、特許文献2記載の化合物(VI−1)および本願記載の化合物(I)の遊離塩基の塩基性を有する窒素原子のpKa値を示す。pKa値の計算には、ACD/Labs(Technical Computing Solution ACD/Labs、富士通社製)を使用した。
Figure 2017018476

上記から明らかな通り、モルホリン部分の塩基性窒素原子およびキナゾリン部分の塩基性窒素原子の各々のpKa値はほぼ同じ値を示している。
一般的に、カウンター(例:塩酸)とのpKa値の差が3以上あれば、塩を形成可能であると言われており、塩酸はpKa値=−6であることから、本願記載の化合物(I)の遊離塩基についても、二塩酸塩を形成することが可能である(参考文献:難水溶性薬物の物性評価と製剤設計の新展開、2010年、111〜121ページ、Structure, solubility, screening, and synthesis of molecular salts、JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES, VOL. 96, NO. 5, MAY 2007)。
ここで、参考例6に従い、化合物(I)の二塩酸塩結晶を調製したところ、図38に示す通り、ブロードなピークを示し、化合物(I)の二塩酸塩結晶は結晶性が低いことが判明した。
一般的に、結晶性が低い結晶は、物理的安定性が低い、化学的安定性が低い等の特徴が知られており、原薬のハンドリングが難しいと言われている(参考文献:難水溶性薬物の物性評価と製剤設計の新展開、2010年、215〜216ページ)。例えば、結晶性の低い結晶を原薬として使用する場合、製造のスケールアップを行った際に、結晶性の良好な結晶に転移することがあり、一定の品質の原薬を提供することが難しい。また、安定性が低いため、長期保存には向かない。
実施例1〜7に記載の化合物(I)の一塩酸塩の各種結晶は、図1〜図3および図12〜図15に記載の通り、結晶性の良好な結晶であり、化合物(I)を一塩酸塩とすることで、原薬に適した結晶多形が得られることは、予期せぬ効果である。
また、参考例7〜11に記載の、化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩II形結晶、一ベンゼンスルホン酸塩結晶、一リン酸塩二水和物II形結晶、一クエン酸結晶および一酒石酸塩結晶は、図39〜43に示す通り、ブロードなピークを示し、結晶性が低いことが判明した。
以上より、化合物(I)の二塩酸塩のみならず、酸が一分子付加した塩の一部は、結晶性が低い結晶しか得られなかったにもかかわらず、化合物(I)の一塩酸塩の結晶は、いずれの結晶形においても結晶性が良好であり、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
(注射用水に対する溶解度試験)
1.検量線の作成
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶5 mgを精密に量り取り、アセトニトリル:水混液(1:1)に溶解させ、500μg/mLの溶液を得た。得られた溶液をそれぞれ、化合物の濃度が5 、50μg/mLになるようにアセトニトリル:水混液(1:1)で希釈し、調製した。これによりHPLC測定条件(メソッドA)にしたがって標準の検量線を作成した。一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶、一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶および遊離塩基結晶についても、同様の操作を行った。
2.試料溶液の作成
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶1mgを精密に量り取り、4mL容のバイアル瓶に移した。水(注射用水)1mLを添加し、37℃で1時間攪拌した。攪拌後、この懸濁液を濾過し、濾液をアセトニトリル:水混液(1:1)で2倍に希釈した溶液を試料として、HPLC測定条件(メソッドA)でピーク面積を測定した。濃度は、ピーク面積及び先に作成した検量線を用いて算出した。一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶、一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶および遊離塩基結晶についても、同様の操作を行った。
(結果)
注射用水に対する化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶、一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶および遊離塩基結晶の各溶解度を表19に示す。
Figure 2017018476

(N.D.:Not Detected、単位:μg/mL)
上記表から明らかな通り、化合物(I)の遊離塩基結晶は、注射用水に対して全く溶解しないのに対し、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶および一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、注射用水に対する高い溶解度を示した。
一般的に、薬剤の溶解度は体内動態に深く関与しており、原薬は高い溶解度を有することが望まれる。従って、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶および一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、高い溶解度を有し、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
(有機溶媒に対する溶解度試験)
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩V形結晶、および遊離塩基結晶を、それぞれ2−プロパノール、アセトン、酢酸エチルに懸濁させて22℃下で4時間撹拌し、上澄み液の濃度を測定した(HPLC:メソッドB)。
(結果)2−プロパノール、アセトンおよび酢酸エチルに対するに溶解度を表20に示す。
Figure 2017018476

表20から明らかな通り、化合物(I)の遊離塩基結晶は、各種有機溶媒に対する濃度(重量%)が高く(約0.5重量%〜約8重量%)、高い溶解度を示しているのに対し、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶および一塩酸塩V形結晶は、各種有機溶媒にほとんど溶解していないことがわかる(いずれも0.1重量%以下)。つまり、化合物(I)を上記参考例1、下記実施例18または25の記載に従い製造する際、生成した化合物(I)の有機溶媒に対する溶解度が高いと、生成物が有機溶媒から析出する割合が低くなり、収量が減少することになる。従って、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶または一塩酸塩V形結晶は、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
(晶析による不純物除去効果)
化合物(I)の酢酸エチル溶液を調製し、当該溶液から、化合物(I)の遊離塩基結晶、一塩酸塩I形結晶および一塩酸塩VI形結晶をそれぞれ晶析した場合の、不純物除去効果を比較した。
Figure 2017018476

(工程1)化合物(I)の酢酸エチル溶液の製造
化合物4(30.04g、67.4mmol)をN−メチルピロリドン(70.86g)、テトラヒドロフラン(18.68g)に溶解し、化合物(IIA)(36.85g、77.3mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(15.37g、80.8mmol)、テトラヒドロフラン(53.41g)、水(5.40g)のスラリー液に加え、57℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、化合物4(0.25g)を加えた。その後、水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、酢酸エチル(651.52g)で抽出した。抽出液を107.39gまで濃縮し、酢酸エチル(162.40g)を加えることで、化合物(I)の酢酸エチル溶液(269.76g)を得た。
(工程2−1)化合物(I)の遊離塩基結晶の製造
化合物(I)の酢酸エチル溶液(89.92g)を22.97gまで濃縮し、ヘプタン(17.67g)、酢酸エチル(13.27g)を加えたのち、60℃に加温すると固体が析出した。酢酸エチル(12.31g)を加えて室温に冷却し、ヘプタン(41.26g)、酢酸エチル(6.0g)を加えて49.70gまで濃縮した。ヘプタン(49.83g)、酢酸エチル(27.0g)を加えて一晩静置したのちに濾過することで、化合物(I)の遊離塩基結晶(10.91g、86.7%)を得た。
(工程2−2)化合物(I)の一塩酸塩I形結晶の製造
化合物(I)の酢酸エチル溶液(40.72g)に水(0.13g)、2−プロパノール(16.26g)を加え45℃に加温した。I形結晶の種晶(225.7mg)を加えたのちに35%塩酸でpH4.07に調整した。25℃で約30分撹拌した後に濾過することで、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶(5.50g、90.6%)を得た。
(工程2−3)化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶の製造
化合物(I)の酢酸エチル溶液(45.20g)に2−プロパノール(7.85g)を加え60℃に加温した。35%塩酸でpH3.5に調整後、25℃で約30分撹拌し濾過することで、化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶(5.84g、86.7%)を得た。
上記製造法により得られた化合物(I)の遊離塩基結晶、一塩酸塩I形結晶および一塩酸塩VI形結晶について、HPLCを用いて品質を評価した(HPLC:メソッドB)。
Figure 2017018476

(N.D.:Not Detected、単位:面積%)

上記で得られた各結晶の純度を比較すると、表21より明らかな通り、一塩酸塩VI形結晶、一塩酸塩I形結晶、遊離塩基結晶の順で、化合物(I)のピーク面積%の割合が大きく(順に、約%99.2、約98.4%、約97.8%)、含有される各種不純物の量が少量であることがわかる。従って、不純物が多く含まれる晶析前の溶液(酢酸エチル溶液)から晶析を行う際は、遊離塩基結晶として結晶を得るより、一塩酸塩VI形結晶または一塩酸塩I形結晶として結晶を得る方が、各種不純物を除去することができ、より高純度の結晶が得られることがわかった。
一般的に、不純物が多く含まれる結晶は、再結晶の工程を繰り返し、結晶の純度を上げる必要がある。また、再結晶工程を繰り返すと、母液に溶出する結晶の量が増え、収量が減少することになる。不純物によっては再結晶工程により除去される割合が小さいため、実用的な繰り返し回数では純度を上げることができない場合も多い。
従って、化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶および一塩酸塩I形結晶は、一度の晶析で高純度の結晶が得られることから、大量合成に好適な結晶形であると言える。つまり、化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶および一塩酸塩I形結晶は、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
(水分吸脱着等温線測定)
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶、遊離塩基結晶、一p−トルエンスルホン酸塩結晶および一硫酸塩結晶の水分増加質量比率を表22に示す。
Figure 2017018476









表22より明らかな通り、化合物(I)の一硫酸塩結晶は、約3.3%の水分増加が見られたのに対し、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶および一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、水分増加比率が少ないことが分かった。
一般的に、結晶を塩にすることでより吸湿の影響を受けやすくなることが考えられ、塩の種類により、吸収性は異なるといわれている(参考文献:難水溶性薬物の物性評価と製剤設計の新展開、2010年、117〜118ページ)。また、水分が吸着しやすい結晶は潮解等の現象がみられ、結晶の取り扱いが困難である。さらに、そのような結晶は長期保存には適しておらず、原薬として選択されることはほとんどない。従って、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶および一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、水分増加比率が少ないことから、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
(曝光試験)
化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶、一塩酸塩VI形結晶および一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶の曝光試験結果を表23に示す。HPLC(メソッドB)を用いて、各結晶の品質評価を実施した。
Figure 2017018476

(単位は面積%。*その他のピークについて曝光による変化はほとんど認められない。)
表23に示す通り、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶および一塩酸塩VI形結晶を曝光試験に付すと、Z異性体からE異性体への変換がほとんど見られないか、または多くても約3.8%ほどしか増加しない。それに対し、化合物(I)の一p−トルエンスルホン酸塩I形結晶は、曝光後にE異性体が約33%増加していることから、光安定性が低いことがわかった。
一般的に、光安定性が低い結晶は、光によって分解等の現象が見られ、曝光によって許容できない変化が起きる場合がある。また、そのような結晶は、保存方法に細心の注意を払う必要があり、結晶の取り扱いが困難である。
従って、化合物(I)の一塩酸塩I形結晶、一塩酸塩II形結晶、一塩酸塩V形結晶および一塩酸塩VI形結晶は、曝光条件下において光安定性が良く、医薬品の原薬として使用するのに好適な結晶形であることが判明した。
化合物(IIA)の製造
Figure 2017018476

トリフェニルホスフィン(20.3g、77.3mmol)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(16.6g、81.8mmol)、化合物1(14.0g、64.4mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(4.2g、70.9mmol)をテトラヒドロフラン(98mL)、トルエン(77mL)中、5乃至15℃で2時間撹拌し化合物2の調製液を得た。そこに35%モノメチルヒドラジン水溶液(9.3g、70.9mmol)を加え、15℃で2時間撹拌することで化合物3の調製液を得た。化合物3の調製液を114gまで濃縮し、0℃で2時間撹拌した。析出した不溶物を濾過後、濾液にトルエン(56mL)を加えた。このトルエン溶液をp−トルエンスルホン酸一水和物(28.2g、148.1mmol)のテトラヒドロフラン(42mL)溶解液に加え、50℃で2時間撹拌した。さらに、0℃に冷却し2時間撹拌後、濾過することで化合物(IIA)(27.2g、収率88.4%)を得た。
1H-NMR (CD3OD) δ: 7.67-7.73 (4H, m), 7.20-7.26 (4H, m), 4.92 (5H, bs), 4.30-4.34 (2H, m), 3.91-4.03 (2H, m), 3.63-3.79 (3H, m), 3.18-3.38 (2H, m), 2.36 (6H, s).
粉末X線回折の結果を、図10および表24に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、21.1±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークが認められた。
化合物(IIA)(31.2mg)を高湿度環境下に放置することにより、化合物(IIA)の二水和物(33.8mg)を得た。
粉末X線回折の結果を、図11および表25に示す。(測定条件:メソッドA)
Figure 2017018476

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、22.6±0.2°、24.0±0.2°にピークが認められた。
(参考例12) 化合物(II’)の製造
Figure 2017018476

化合物3(4.12g、17.7mmol)に酢酸エチル(8mL)を加えて撹拌し、4mol/L 塩化水素酢酸エチル溶液(16mL)を加えると、白色固体が析出した。酢酸エチル(8mL)を加えたのちに約4時間室温で撹拌した。固体を濾取し、吸湿性が高い化合物(II’)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.60-11.50 (4H, bs), 4.20-4.31 (2H, m), 3.86-3.93 (2H, m), 3.21-3.77 (4H, m), 3.01-3.10 (1H, m).
得られた化合物は吸湿して潮解する為、粉末X線などの測定はできなかった。
(参考例13) 化合物(II’’)の製造
Figure 2017018476

ベンゼンスルホン酸(78.57mg)とテトラヒドロフラン(0.2mL)を50℃で撹拌し、化合物3(51.54mg、0.222mmol)のテトラヒドロフラン(0.2mL)溶液を滴下した。約20分後に室温まで冷却すると固体が析出した。テトラヒドロフラン0.15mLを加えて50℃で10分撹拌し、10℃まで冷却した。固体を窒素雰囲気下で濾取し、吸湿性が高い化合物(II’’)を57.3mg得た。
1H-NMR (CD3OD) δ: 7.84-7.87 (4H, m), 7.45-7.47 (6H, m), 4.34-4.36 (2H, m), 3.98-4.08 (2H, m) , 3.71-3.80 (3H, m), 3.28-3.41 (2H, m).
粉末X線回折の結果を、図53および表26に示す。(測定条件:メソッドB)
Figure 2017018476
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.6±0.2°、8.0±0.2°、18.0±0.2°、19.0±0.2°、24.5±0.2°にピークが認められた。
(XRPD測定結果)
参考例12に記載の化合物(II’)の結晶は潮解する性質を有し、結晶性が低い。また、参考例13に記載の化合物(II’’)の結晶は、図53に示す通り、強度の弱いピークを示し、結晶性が低い。上記実施例15に記載の通り、結晶性が低い結晶はハンドリングが困難である。それに対して、実施例21および22に記載の化合物(IIA)の結晶および化合物(IIA)の二水和物結晶は、図10および図11に示す通り、結晶性の良好な結晶であり、原薬の中間体として選択可能な結晶形であることが判明した。
(安定性試験結果)
実施例21で得られた化合物(IIA)の結晶を、50℃で8時間加熱し、NMRデータを測定した。その結果、加熱前と比較してピークに変化は観測されず、化合物(IIA)の結晶は安定性が高い結晶であることが判明した。
化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶の製造
Figure 2017018476

化合物4(97.01g、217.6mmol)をN−メチルピロリドン(223mL)、テトラヒドロフラン(116mL)に溶解させたものと、化合物(IIA)(119.25g、250.2mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(49.67g、261.1mmol)、テトラヒドロフラン(194mL)、水(17mL)を混合し、57℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、酢酸エチル(776mL)で抽出した。抽出液を357mLまで濃縮し、酢酸エチル(582mL)を加えて希釈液882.12gを得た。
希釈液44.11gに2−プロパノール(10mL)を加え60℃に加温した。35%塩酸でpH4.3に調整後、25℃で4時間撹拌し濾過することで、化合物(I)の一塩酸塩VI形結晶(5.6g、86.8%)を得た。
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1: 錠剤
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶、乳糖及びステアリン酸カルシウムを混合し、破砕造粒して乾燥し、適当な大きさの顆粒剤とする。次にステアリン酸カルシウムを添加して圧縮成形して錠剤とする。
製剤例2: カプセル剤
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶、乳糖及びステアリン酸カルシウムを均一に混合して粉末又は細粒状として散剤をつくる。それをカプセル容器に充填してカプセル剤とする。
製剤例3: 顆粒剤
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶、乳糖及びステアリン酸カルシウムを均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕、整粒し、篩別して適当な大きさの顆粒剤とする。
製剤例4: 口腔内崩壊錠
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶及び結晶セルロースを混合し、造粒後打錠して口腔内崩壊錠とする。
製剤例5: ドライシロップ
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶及び乳糖を混合し、粉砕、整粒、篩別して適当な大きさのドライシロップとする。
製剤例6: 吸入剤
本発明の式(I)で示される化合物の酸付加塩または酸付加塩の結晶及び乳糖を混合し細かく粉砕することにより、吸入剤とする。
本発明である式(I)で示される化合物の塩酸塩または塩酸塩の結晶、および一p−トルエンスルホン酸塩または一p−トルエンスルホン酸塩の結晶は、医薬原体として有用である。また、これらの式(I)で示される化合物の塩酸塩若しくは塩酸塩の結晶、または一p−トルエンスルホン酸塩若しくは一p−トルエンスルホン酸塩の結晶を含む医薬組成物は、癌の治療剤又は予防剤として非常に有用である。
また、式(II)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物は、式(I)で示される化合物の塩酸塩または塩酸塩の結晶を製造するにあたって有用な中間体である。

Claims (29)

  1. 式(I):
    Figure 2017018476

    で示される化合物の塩またはその溶媒和物。
  2. 塩酸塩である、請求項1記載の塩またはその溶媒和物。
  3. 一塩酸塩である、請求項1または2記載の塩またはその溶媒和物。
  4. 式(I):
    Figure 2017018476

    で示される化合物の塩酸塩の結晶。
  5. 一塩酸塩である、請求項4記載の結晶。
  6. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0±0.2°、14.1±0.2°、20.6±0.2°、21.0±0.2°、25.8±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  7. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.8°±0.2°、8.0±0.2°、14.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.5°±0.2°、20.6°±0.2°、21.0°±0.2°、22.5°±0.2°、25.8°±0.2°、28.4°±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  8. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  9. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.7±0.2°、11.9±0.2°、15.8±0.2°、18.5±0.2°、23.9±0.2°、25.9±0.2°、26.2±0.2°、26.7±0.2°、28.4±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  10. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、16.3±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  11. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.4°±0.2°、8.9±0.2°、11.7±0.2°、13.8±0.2°、16.3±0.2°、20.9±0.2°、21.6±0.2°、23.2±0.2°、23.7±0.2°、26.6±0.2°にピークを有する請求項5記載の結晶。
  12. 請求項2または3に記載の塩酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
  13. 請求項4〜11のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
  14. p−トルエンスルホン酸塩である、請求項1記載の塩またはその溶媒和物。
  15. 一p−トルエンスルホン酸塩である、請求項1または14記載の塩またはその溶媒和物。
  16. 式(I):
    Figure 2017018476

    で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩の結晶。
  17. 一p−トルエンスルホン酸塩である、請求項16記載の結晶。
  18. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):13.7±0.2°、15.7±0.2°、20.0±0.2°、22.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する請求項17記載の結晶。
  19. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.1±0.2°、6.4±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、15.7±0.2°、16.3±0.2°、20.0±0.2°、22.7±0.2°、24.6±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する請求項17記載の結晶。
  20. 請求項14または15に記載のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
  21. 請求項16〜19のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
  22. 式(II):
    Figure 2017018476

    で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
  23. 二p−トルエンスルホン酸塩である、請求項22記載の塩またはそれらの溶媒和物。
  24. 式(II):
    Figure 2017018476

    で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩の結晶。
  25. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、21.1±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する請求項24記載の結晶。
  26. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):6.4±0.2°、7.3±0.2°、11.4±0.2°、15.2±0.2°、17.6±0.2°、20.1±0.2°、21.1±0.2°、21.7±0.2°、24.7±0.2°、25.3±0.2°にピークを有する請求項24記載の結晶。
  27. 式(II):
    Figure 2017018476

    で示される化合物の二p−トルエンスルホン酸塩二水和物の結晶。
  28. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、22.6±0.2°、24.0±0.2°にピークを有する請求項27記載の結晶。
  29. 粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.3±0.2°、17.0±0.2°、18.5±0.2°、19.7±0.2°、21.7±0.2°、22.6±0.2°、22.8±0.2°、24.0±0.2°、24.8±0.2°、29.7±0.2°にピークを有する請求項27記載の結晶。
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