JPWO2017010502A1 - 粘着シート及び積層体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]厚さが7〜30μmである[1]に記載の粘着シート。
[3]前記粘着剤は微粒子を含む[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4]前記微粒子の平均粒子径は3〜15μmである[3]に記載の粘着シート。
[5]SUS板に圧着してJIS Z0237の保持力測定方法に準じて測定した60分後のズレの距離が10mm以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6]SUS板に圧着して、さらに加熱又は活性エネルギー線を照射することにより硬化した後にJIS Z0237の保持力測定方法に準じて測定した60分後のズレの距離が10mm未満である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7]両面粘着シートである[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シートを被着体表面に接触させ、その状態で加熱する工程又は活性エネルギー線を照射する工程を含む積層体の製造方法。
[9][8]に記載の方法で製造された積層体。
[10]粘着シートの両表面に光学部材を有する[9]に記載の積層体。
本発明の粘着シートは、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有するベースポリマー(A)と、重合性不飽和基を少なくとも1つ有する単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有する粘着剤組成物を、加熱又は活性エネルギー線の照射により半硬化させた粘着剤を含む。本発明の粘着シートのヘイズは、35〜60%である。
なお、本明細書中において、「半硬化状態」とは熱又は活性エネルギー線のどちらか一方で硬化した後であって、2段階目の硬化前の柔らかい状態を意味する。また、「完全硬化状態」とは、半硬化状態の粘着シートを。加熱又は活性エネルギー線を照射することによって硬化した状態を意味する。具体的には、「半硬化状態」から「完全硬化状態」となった際には、1Hz周波数でせん断応力または引張応力で測定した動的粘弾性の貯蔵弾性率が、少なくともTg(ガラス転移点)より高い温度から60℃の範囲では1.5倍以上になる。なお、完全硬化時には、動的粘弾性は1.5〜1000倍になることが好ましく、2〜100倍になることがより好ましい。また、本発明における半硬化状態における粘着シートを構成する粘着剤の1Hz周波数でせん断応力または引張応力で測定した動的粘弾性の貯蔵弾性率は、Tg(ガラス転移点)より高い温度領域または50℃以上の領域で、1.0×106Pa以下であることが好ましく、8.0×105Pa以下がよりに好ましく、5.0×105Pa以下がさらに好ましい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン等からなる微粒子を挙げることができる。
有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂やポリアクリレート系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらの樹脂に架橋構造を形成した架橋高分子、エチレン、プロピレン、スチレン、メタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン、ホルムアルデヒド、メラミン、ブタジエン等から選ばれる2種又はそれ以上の単量体が共重合された共重合樹脂等からなる樹脂粒子を用いることができる。
また、無機と有機の中間的な構造を有するケイ素含有化合物からなる微粒子(例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のトスパールシリーズ)等も微粒子として用いることができる。
これらの微粒子は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機微粒子、無機微粒子、無機と有機の中間的な構造を有する微粒子を組み合わせて使用することも可能である。
中でも、本発明で用いる微粒子としては、粘着シートの全光線透過率を過度に低下させないものであることが好ましく、透明性が高いアクリルビーズやシリカビーズが好適である。
微粒子の平均粒子径は、0.1〜20μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜15μmであることがさらに好ましい。ここで、本明細書中において「平均粒子径」とは、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を用いて、微粒子の粒子画像の最大長(Dmax:粒子画像の輪郭上の2点における最大長さ)と、最大長垂直長(DV−max:最大長に平行な2本の直線で粒子画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さ)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)1/2を粒子径として、この方法で任意の100個の光拡散粒子について粒子径を測定し、その算術平均値のことをいう。微粒子の平均粒子径が上記上限値以下であれば、粘着シートを肉眼で視認したときに粒状感や異物感が感じにくい傾向があり、平均粒子径が上記下限値以上であれば、粘着シートのヘイズを所望の値に調整しやすい傾向がある。
両面粘着シートとしては、粘着シートのみからなる単層シート、粘着剤層を複数積層した多層粘着シート、支持体の両面に粘着剤層を積層した多層シート等が挙げられる。
粘着剤組成物は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有するベースポリマー(A)と、重合性不飽和基を少なくとも1つ有する単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有する。
(1)単量体(B)の融点が25℃以下である。
(2)溶剤(E)が、重合性不飽和基を有さず、単量体(B)よりも25℃における蒸気圧が大きい。
粘着剤組成物は、ベースポリマー(A)として、非架橋性の(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有する。本明細書および特許請求の範囲において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来するものが挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来するものが挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸に由来するものが挙げられる。
ベースポリマー(A)における他の単量体単位の含有量は0〜20質量%であってもよく、0〜15質量%であってもよい。
単量体(B)は、重合性不飽和基を少なくとも1つ有する単官能単量体(B1)及び重合性不飽和基を2つ以上有する多官能単量体(B2)の少なくとも一方を含有してもよい。重合性不飽和基としては、エチレン性二重結合を含む基を挙げることができ、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
単量体(B)は、単官能単量体(B1)又は多官能単量体(B2)のいずれか一方を含んでいてもよく、単官能単量体(B1)及び多官能単量体(B2)の両方を含んでもよい。単量体(B)を含有することで、粘着剤組成物を1段階目(半硬化工程)で熱硬化させたとき、熱硬化物の粘着シートは半硬化状態であって、活性エネルギー線硬化性を有することができる。また、粘着剤組成物を1段階目で活性エネルギー線の照射により硬化させたときは、光硬化物の粘着シートは半硬化状態であって、熱硬化性を有する。なお、本発明では1段階目で熱硬化させて半硬化状態とした後、再度2段階目として熱硬化により完全硬化させることもできる。
単量体(B)の25℃における蒸気圧は、200Pa以下であってもよく、100Pa以下であってもよい。蒸気圧の下限は、粘着剤組成物の塗工適性の点では特に限定されない。単量体(B)の蒸気圧は、JIS−K2258「原油及び燃料油−蒸気圧試験方法−リード法」などにより測定でき、また、例えばhttp://www.chemspider.com/といったWebサイトやACD/PhysChem Suiteといったソフトウェアにより予測値を求めることができる。さらに、単量体(B)の融点は25℃以下であってもよい。これにより、形成される粘着シートの透明性(ヘーズ等)などが向上する。また、単量体(B)の融点は、20℃以下であってもよく、15℃以下であってもよい。融点の下限は、特に限定されない。単量体(B)の融点は、JIS K 0064:1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」などにより測定できる。
鎖長原子数が10以上であるアルキル基を有する単量体としては、鎖長原子数が10以上であるアルキル基を有するアルキルアクリレートを挙げることができる。アルキル基の鎖長原子数が10以上であれば、側鎖や置換基を有していても構わない。そのような側鎖や置換基としてはアルキル基を挙げることができる。アルキル基の鎖長原子数は10〜27であってもよく、10〜25であってもよく、15〜22であってもよい。保持力の点から特に好ましいアルキルアクリレートとして、イソステアリルアクリレートを挙げることができる。
多環構造を有する単量体は、多環脂肪族単量体であっても、多環芳香族単量体であってもよい。多環構造としては、ビシクロ構造とトリシクロ構造を挙げることができる。これらの多環構造にはアルキル基などの置換基が結合していてもよい。多環構造の具体例としては、ノルボルネン環、アダマンタン環などを例示することができる。
なお、単量体(B)は、アクリル単量体単位(a2)が有する官能基と反応性を示す官能基を有さないものであってもよい。例えば、単量体(B)は、アクリル単量体単位(a2)と同じ官能基(例えば、ヒドロキシ基)を有するか、官能基を有さないものであってもよい。
粘着剤組成物中、単量体(B)の含有量は、ベースポリマー(A)の組成や分子量、架橋密度等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、ベースポリマー(A)100質量部に対し、5〜150質量部とすることができ、10〜120質量部とすることもでき、15〜90質量部とすることもできる。
また、単量体(B)の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、1〜60質量%であってもよく、2〜50質量%であってもよく、5〜35質量%であってもよい。
架橋剤(C)としては、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、ベースポリマー(A)が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。たとえば架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることができる。架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることができる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、架橋剤(C)の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、0.01〜5.0質量%とすることができ、0.02〜2.0質量%とすることができる。
重合開始剤(D)としては、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させ得るものであればよく、光重合開始剤等として公知のものが利用できる。
ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
また、重合開始剤(D)の含有量は、ベースポリマー(A)100質量部に対し、0.1〜10質量部とすることができ、1〜5質量部とすることができる。
溶剤(E)は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。
このような溶剤(E)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
δ=(ΔE/V)1/2
ここで、δは溶解性パラメータであり、ΔEはモル蒸発エネルギー(cal/mol)であり、Vはモル体積(cm3/mol)である。溶解性パラメータδの値が近いもの同士はよく溶ける。似たもの同士はよく溶けるという経験則に一致する。溶解性パラメータは様々な方法により求めることができるが、本明細書においては、Fedorsの方法により化学組成から計算する。
また、溶剤(E)の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10〜90質量%とすることができ、20〜80質量%とすることができる。
本発明では、粘着剤組成物は可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤が含まれる場合は、可塑剤の含有量は、ベースポリマー(A)100質量部に対し、50質量部以下とすることができ、30質量部以下とすることができ、10質量部以下とすることもできる。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、完全硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加する必要がある。
本発明の粘着シートは、粘着剤組成物を加熱又は活性エネルギー線の照射により半硬化させてなり、単量体(B)の少なくとも一部を未反応の状態で含有し、かつ、架橋剤(C)および重合開始剤(D)から選択される少なくとも一種のうち、少なくとも一部を未反応の状態で含有するものである。すなわち、本発明の粘着シートの製造方法は、粘着剤組成物を加熱又は活性エネルギー線を照射する工程を含む。
また、本発明の粘着シートの製造方法は、微粒子を添加する工程を含むことが好ましい。微粒子は、加熱又は活性エネルギー線の照射による半硬化工程の前に粘着剤組成物に添加されることが好ましい。
塗膜の加熱により、ベースポリマー(A)および架橋剤(C)の反応が進行して半硬化物(粘着シート)が形成される。つまり、加熱の際、塗膜中では重合開始剤(D)による単量体(B)の重合反応が進行しないか、進行してもわずかであるため、得られる半硬化物(粘着シート)中には、粘着剤組成物に含まれる単量体(B)および重合開始剤(D)が残留している。そのため本発明の粘着シートは、活性エネルギー線硬化性を有している。粘着剤組成物を半硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有していてもよい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
本発明の粘着シートの使用方法としては、粘着シートが半硬化状態のときに第1の光学部材と第2の光学部材を貼合し、加熱又は活性エネルギー線の照射により粘着シートを完全硬化させる方法がある。上述したように被着体は、光学部材であることが好ましい。第1の光学部材はバックライトであってもよく、第2の光学部材は偏光板であってもよい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
本発明は、粘着シートを被着体表面に接触させ、その状態で加熱する工程又は活性エネルギー線を照射する工程を含む積層体の製造方法に関するものでもある。また、本発明は、このような製造方法で製造された積層体に関するものでもある。
ここで、粘着シートは半硬化状態のときに一対の被着体表面に接触させることが好ましく、一対の被着体は第1の光学部材と第2の光学部材であることがこのましい。すなわち、粘着シートの両表面に光学部材を貼合させることが好ましい。
光学部材としては、例えば液晶表示装置に用いられるバックライト、偏光板、導光板、光拡散シートなどが挙げられる。本発明の粘着シートは光拡散性に優れているため、バックライトと偏光板を貼合する用途に用いられることが好ましい。
<ベースポリマー(A)の合成>
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)としてn−ブチルアクリレートモノマー、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)として2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマーを質量比で9:1(a1:a2)となるように配合した。そこにラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、ベースポリマー(A)を得た。このベースポリマー(A)の35質量%溶液の23℃における溶液粘度は5500mPa・sであった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は53万であった。
得られたベースポリマー(A)100質量部に対し、重合性不飽和基を1つ有する単量体(B1)としてイソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、ISTA、蒸気圧:0Pa、融点:<−50℃)を15質量部、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能単量体(B2)としてトリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM−360(EOTMPTA))を9質量部、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)としてトリレンジイソシアネート系化合物(東ソー(株)製、コロネートL)を0.2質量部、活性エネルギー線の照射により単量体(B1)および多官能単量体(B2)との重合反応を開始させる重合開始剤(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)、IRGACURE184)を2質量部、さらに光拡散粒子(綜研化学(株)製:MX−1000(平均粒子径:10μm))を30質量部添加し、溶剤(E)の酢酸エチルで固形分濃度が30質量%になるように希釈した。
上記のように作製した粘着剤溶液を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム)(王子エフテックス社製、38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工量が10μm/m2になるようにアプリケーターで均一に塗工し、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、セパレータフィルムの表面に粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層の表面に厚さ38μmのセパレータフィルム(王子エフテックス社製、38RL−07(L))を貼合した。このようにして、粘着剤層が剥離力差のある1対のセパレータフィルムに挟まれたセパレータフィルム/粘着剤層/セパレータフィルムの構成を備える両面粘着シートを得た。該粘着シートは、23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生した。粘着シートのヘイズは36%であり、厚さは10μmであった。
実施例1の粘着剤溶液を用いて、塗工量が25μm/m2になるように粘着シートを作製した以外は、実施例1と同様にして両面粘着シートを得た。該粘着シートは、23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生した。粘着シートのヘイズは58%であり、厚さは25μmであった。
実施例1の<粘着剤溶液の調製>において、重合性不飽和基を1つ有する単量体(B1)としてイソステアリルアクリレート、多官能単量体(B2)としてトリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、及び、重合開始剤(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液を調製した。該粘着剤溶液を用いて塗工量が10μm/m2になるように粘着シートを作製した以外は、実施例1と同様にして両面粘着シートを得た。該粘着シートは、23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生した。粘着シートのヘイズは37%であり、厚さは10μmであった。
粘着シートの作製において比較例1の粘着剤溶液を用いて、塗工量が25μm/m2になるように粘着シートを作製した以外は、実施例1と同様にして両面粘着シートを得た。該粘着シートは、23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生した。粘着シートのヘイズは59%であり、厚さは25μmであった。
[ヘイズの測定]
実施例及び比較例の両面粘着シートの一方の粘着面を松浪ガラス社製のスライドガラス(品番:S9112)に貼合し、もう一方の粘着面に透明PETフィルム(新タック化成社製、CPET75H)を貼合した。続いて、貼合時に混入した微細な空気などの影響を排除するために、積層されたサンプルに0.5MPa、40℃の条件で30分間オートクレーブ(加圧脱泡)処理を実施した。これらの貼合物のヘイズを日本電色工業(株)製のNDH4000を用いて測定した。
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートの軽剥離側のセパレータフィルムを剥がして、露出した該粘着剤層面に100μmのPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)を貼合し、粘着フィルムシートを得た。該粘着フィルムシートから25mm巾×100mmの試験片を切り出した後、重剥離側のセパレーターを剥がして粘着面を露出貼合部の面積が25mm×25mmとなるようSUS板に貼合して、JIS Z0237の保持力測定方法に準じて、1kgの錘をつるして60分後のズレ量を測定した。
[半硬化状態の保持力の測定]と同様にして100μmのPETフィルムに貼合し、25mm巾×100mmの試験片を切り出した後、重剥離側のセパレーターを剥がして粘着面を露出貼合部の面積が25mm×25mmとなるようSUS板に貼合した。続いてPET面側から紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2を照射した後にJIS Z0237の保持力測定方法に準じて、1kgの錘をつるして60分後のズレ量を測定した。
得られた両面粘着シートの軽剥離側のセパレータフィルムを剥がして、露出した該粘着剤層面に偏光板(ポラテクノ社製、KN−18240T)を貼合し、次いで重剥離側のセパレータフィルムを剥がして無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG)に貼合した。次いで、オートクレーブにて0.5MPa、40℃の条件で30分間処理し、無アルカリガラス面側から紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2を照射した。その後、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽で240時間処理し、以下の基準で評価を実施した。
○:浮きや剥がれ、気泡の発生がない。
△:エッジ部(偏光板のエッジから0.5mm以内)に僅かに気泡または浮きが生じた。
×:エッジ部以外にも浮きや剥がれ、気泡が発生した。
22 光学部材
24 光学部材
100 積層体
Claims (10)
- 非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有するベースポリマー(A)と、
重合性不飽和基を少なくとも1つ有する単量体(B)と、
熱により前記ベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、
活性エネルギー線の照射により前記単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、
溶剤(E)と、を含有する粘着剤組成物を、加熱又は活性エネルギー線の照射により半硬化させた粘着剤を含み、
ヘイズが35〜60%である粘着シート。 - 厚さが7〜30μmである請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤は微粒子を含む請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 前記微粒子の平均粒子径は3〜15μmである請求項3に記載の粘着シート。
- SUS板に圧着してJIS Z0237の保持力測定方法に準じて測定した60分後のズレの距離が10mm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
- SUS板に圧着して、さらに加熱又は活性エネルギー線を照射することにより硬化した後にJIS Z0237の保持力測定方法に準じて測定した60分後のズレの距離が10mm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 両面粘着シートである請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着シートを被着体表面に接触させ、その状態で加熱する工程又は活性エネルギー線を照射する工程を含む積層体の製造方法。
- 請求項8に記載の方法で製造された積層体。
- 前記粘着シートの両表面に光学部材を有する請求項9に記載の積層体。
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