JPWO2017006850A1 - 生体物質の付着抑制能を有するイオンコンプレックス材料及びその製造方法 - Google Patents

生体物質の付着抑制能を有するイオンコンプレックス材料及びその製造方法 Download PDF

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    • C09D5/1662Synthetic film-forming substance
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Abstract

本発明は、下記式(A)及び(B)(式中、Ta、Tb、Qa、Qb、Ra、Rb、Ua1、Ua2、Ua3、Ub1、Ub2、Ub3、An−及びmは、本明細書及び特許請求の範囲に定義したとおりである)で表される化合物を少なくとも含むモノマー混合物を重合させることにより得られる共重合体等を提供する。本発明の共重合体は、生体物質の付着抑制能に優れたイオンコンプレックス材料として利用しうる。

Description

本発明は、生体物質の付着抑制能を有するイオンコンプレックス材料及びその製造方法に関するものである。具体的に本発明は、生体物質の付着抑制能を有するコーティング膜、該コーティング膜の製造方法、特定のモノマー混合物を重合させることにより得られる共重合体、及び特定の組成を有するコーティング膜形成用組成物に関するものである。
人工透析器、人工臓器、医療器具等の医療用器具、器材等への生体物質付着抑制のために、様々な生体物質の付着抑制能を有するコーティング材料が提案されている。
カチオン、アニオンを側鎖に含む高分子材料を表面に有する材料は、その静電気的バランスにより、該表面が電気的に中性に保たれることで生体物質(蛋白質、細胞等)の吸着を防ぐ作用があることが知られている。また、それらの機能を用いたコーティング材料も提案されており、ガラスやポリマー基板などへの固着・固定化方法に関しても様々な報告がされている。例えば、非特許文献1は、電荷中和ユニットとしてリン脂質と類似分子構造をもつ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とシランカップリング基を有するメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルを共重合させたポリマーによりガラス基板との化学吸着による表面修飾を達成したことを報告しており、一方で、ポリマー基板上には疎水性相互作用による物理吸着をねらいメタクリル酸ブチルを共重合させたポリマーにより基板へ固定化させることを報告している。
また、特許文献1においてはリン酸エステル基を有する重合体含有コーティング液から形成された膜を200乃至450℃で加熱処理して得たコーティング膜が記載されている。コーティング膜の水系媒体への溶出を抑えるために基体にコーティング後、200乃至450℃の高温で加熱処理する必要があるため、加熱処理のためにオーブン、ホットプレート等の加熱装置が必要である。
また、特許文献2においては、アクリル系酸性リン酸エステル単量体に水の存在下にてアミン類を反応させ、酸塩基反応を選択進行させて得られた新規アクリル系リン酸エステルアミン塩単量体(ハーフ塩)並びにその製造方法が記載されている。このアミン塩(ハーフ塩)単量体はゴム弾性付与や、油溶性物質の変性剤として、感光性樹脂分野において幅広い用途及び有用性があるとの記載があるが、当該アミン塩(ハーフ塩)単量体自体の水の中での重合反応性や、得られた重合体の生体物質への付着抑制能については不明である。
また、特許文献3には、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートと1,6−ビス(メタクリロキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサンを含む1液型の歯質接着用の光重合型接着剤が開示されているが、得られた重合体の生体物質への付着抑制能については不明である。
特開2007−63459号公報 特開平6−92979号公報 特開2006−76973号公報
高分子論文集、Vol.65,No.3,pp.228,(2008)
特に、特許文献1のコーティグ膜中に含まれる重合体の原料として使用されているアシッドホスホオキシエチルメタクリーレート(PMA)の市販品は、不純物が多く(目的物質は半分以下しか含まれていない)、カウンターイオンの正確なモル数が把握できない;PMAには不純物としてジメタクリレートが含まれているため、これを用いると3次元化(ゲル化)しやすい;そしてPMAは、pH<4では室温でも加水分解が顕著化しやすいために、取扱いが困難である、といった欠点があった。本発明者らは、これまでに上記の課題を克服すべく、検討を行ってきた。本発明は、上記課題に加え、コーティング膜における生体物質付着抑制能のさらなる向上と、その製造におけるコーティング膜形成用組成物の取扱い性の改善を目的とし、特に低温乾燥工程のみで容易に形成可能な生体物質付着抑制能を有するコーティング膜、該コーティング膜の製造方法、特定のモノマー混合物を重合させることにより得られる共重合体、及び特定の組成を有するコーティング膜形成用組成物を提供する。
本発明は、以下のとおりである:
1.下記式(A)及び(B):

[式中、
及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
mは、0乃至6の整数を表す]
で表される化合物を少なくとも含むモノマー混合物を重合させることにより得られる、共重合体。
2.モノマー混合物が、さらに下記式(C):

[式中、
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される化合物を含む、上記1に記載の共重合体。
3.(i)下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

(式中、
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)及び
(ii)溶媒
を含む、コーティング膜形成用組成物。
4.共重合体が、さらに下記式(c):

[式中、
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、上記3に記載の組成物。
5.共重合体が、下記式(a1)及び(b1):

[式中、
及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子又を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
mは、0乃至6の整数を表す]
で表される繰り返し単位を含む、上記3又は4に記載の組成物。
6.共重合体が、さらに下記式(c1):

[式中、
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される繰り返し単位を含む、上記3乃至5の何れか1項に記載の組成物。
7.下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

(式中、
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)
と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を、基体に塗布する工程、
を含む方法により得られるコーティング膜。
8. 共重合体が、さらに下記式(c):

[式中、
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、上記7に記載のコーティング膜。
9.共重合体が、下記式(a1)及び(b1):

[式中、
及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
mは、0乃至6の整数を表す]
で表される繰り返し単位を含む、上記7又は8に記載のコーティング膜。
10.共重合体が、さらに下記式(c1):

[式中、
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される繰り返し単位を含む、上記7乃至9の何れか1項に記載のコーティング膜。
11.乾燥工程後に得られた膜を、さらに水及び電解質を含む水溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄する工程を含む、請求項7乃至10の何れか1項に記載のコーティング膜。
12.生体物質の付着抑制能を有する、請求項7乃至11の何れか1項に記載のコーティング膜。
13.下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

(式中、
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)
と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を、基体に塗布する工程、
を含むコーティング膜の製造方法。
14.共重合体が、さらに下記式(c):

[式中、
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、上記13に記載のコーティング膜の製造方法。
15.下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

(式中、
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)
を含むコーティング膜を、少なくとも一部の表面に備えることを特徴とする、細胞培養容器。
本発明のコーティング膜は、式(a)で表されるアニオンと、式(b)で表されるカチオンと、場合により式(c)で表される疎水性基を含む共重合体と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する工程を経ることで形成することができる。本発明のコーティング膜は、PMAに替えて、例えば式(A)で表される化合物を用いることにより、PMAの不純物がもたらす欠点を回避することができ、かつコーティング膜の耐加水分解性も向上させることができる。また本発明のコーティング膜は、式(a)で表されるアニオンと、式(b)で表されるカチオンとがイオン結合(イオンコンプレックス)を形成することで、ガラス、金属、金属含有化合物若しくは半金属含有化合物、活性炭、又は樹脂(合成樹脂及び天然樹脂)等、基体の種類を選ばず固着することができ、また固着後は水系溶媒(水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、アルコール等)への耐久性に優れたコーティング膜となる。さらに、場合により式(c)で示される疎水性基を導入することで、プラスチックなどの樹脂との密着性がよく、固着後の水系溶媒に対する耐久性がより優れた膜となる。また、共重合体のイオンバランスを調節するために、コーティング膜形成用組成物を予めpH調整剤等によりpHを調整したり、乾燥後のコーティング膜を水及び/又は電解質を含む水溶液で洗浄することにより、生体物質の付着抑制能に優れたコーティング膜となる。
試験例2において、培養4日間後、実施例6、陽性対照、及び陰性対照のプレートに対する細胞の付着を倒立型顕微鏡により観察した結果を示す。
≪用語の説明≫
本発明において用いられる用語は、他に特に断りのない限り、以下の定義を有する。
本発明において、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
本発明において、「アルキル基」は、直鎖若しくは分岐の、飽和脂肪族炭化水素の1価の基を意味する。「炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基又は1−エチルプロピル基が挙げられる。「炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基」としては、「炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」の例に加え、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基又はオクタデシル基、あるいはそれらの異性体が挙げられる。
本発明において、「ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」は、上記炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を意味するか、あるいは1以上の上記ハロゲン原子で置換された上記炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を意味する。「炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」の例は、上記のとおりである。一方「1以上のハロゲン原子で置換された炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」は、上記炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基の1以上の任意の水素原子が、ハロゲン原子で置き換えられているものを意味し、例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロブチル基、又はペルフルオロペンチル基等が挙げられる。
本発明において、「エステル結合」は、−C(=O)−O−若しくは−O−C(=O)−を意味し、「アミド結合」は、−NHC(=O)−若しくは−C(=O)NH−を意味し、エーテル結合は、−O−を意味する。
本発明において、「ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基」は、炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、あるいは1以上のハロゲン原子で置換された炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を意味する。ここで、「アルキレン基」は、上記アルキル基に対応する2価の有機基を意味する。「炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基」の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ジメチルエチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1,1−ジメチル−トリメチレン基、1,2−ジメチル−トリメチレン基、2,2−ジメチル−トリメチレン基、1−エチル−トリメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基及びデカメチレン基等が挙げられ、これらの中で、エチレン基、プロピレン基、オクタメチレン基及びデカメチレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキレン基がより好ましく、特にエチレン基又はプロピレン基が好ましい。「1以上のハロゲン原子で置換された炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基」は、上記アルキレン基の1以上の任意の水素原子が、ハロゲン原子で置き換えられているものを意味し、特に、エチレン基又はプロピレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換えられているものが好ましい。
本発明において、「炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基」は、炭素原子数3乃至10の、単環式若しくは多環式の、飽和若しくは部分不飽和の、脂肪族炭化水素の1価の基を意味する。この中でも、炭素原子数3乃至10の、単環式若しくは二環式の、飽和脂肪族炭化水素の1価の基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基又はシクロヘキシル基等の炭素原子数3乃至10のシクロアルキル基、あるいはビシクロ[3.2.1]オクチル基、ボルニル基、イソボルニル基等の炭素原子数4乃至10のビシクロアルキル基が挙げられる。
本発明において、「炭素原子数6乃至10のアリール基」は、炭素原子数6乃至10の、単環式若しくは多環式の、芳香族炭化水素の1価の基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基等が挙げられる。「炭素原子数6乃至10のアリール基」は、1以上の上記「ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」で置換されていてもよい。
本発明において、「炭素原子数7乃至15のアラルキル基」は、基−R−R’(ここで、Rは、上記「炭素原子数1乃至5のアルキレン基」を表し、R’は、上記「炭素原子数6乃至10のアリール基」を表す)を意味し、例えば、ベンジル基、フェネチル基、又はα−メチルベンジル基等が挙げられる。「炭素原子数7乃至15のアラルキル基」のアリール部分は、1以上の上記「ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」で置換されていてもよい。
本発明において、「炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基」は、基−R−O−R’(ここで、Rは、上記「炭素原子数1乃至5のアルキレン基」を表し、R’は、上記「炭素原子数6乃至10のアリール基」を表す)を意味し、例えば、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、又はフェノキシプロピル基等が挙げられる。「炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基」のアリール部分は、1以上の上記「ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基」で置換されていてもよい。
本発明において、「アルカリ金属」は、アルカリ金属を意味し、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等が挙げられる。
本発明において、「ハロゲン化物イオン」とは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンを意味する。
本発明において、「無機酸イオン」とは、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン又はホウ酸イオンを意味する。
上記Anとして好ましいのは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンであり、特に好ましいのはハロゲン化物イオンである。
本発明において、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を意味する。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸を意味する。
本発明において、生体物質としては、蛋白質、糖、核酸及び細胞又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば蛋白質としてはフィブリノゲン、牛血清アルブミン(BSA)、ヒトアルブミン、各種グロブリン、β−リポ蛋白質、各種抗体(IgG、IgA、IgM)、ペルオキシダーゼ、各種補体、各種レクチン、フィブロネクチン、リゾチーム、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、血清γ−グロブリン、ペプシン、卵白アルブミン、インシュリン、ヒストン、リボヌクレアーゼ、コラーゲン、シトクロームc、例えば糖としてはグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ヘパリン、ヒアルロン酸、例えば核酸としてはデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、例えば細胞としては線維芽細胞、骨髄細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、赤血球、血小板、マクロファージ、単球、骨細胞、骨髄細胞、周皮細胞、樹枝状細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、間葉細胞、上皮細胞、表皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、肝実質細胞、軟骨細胞、卵丘細胞、神経系細胞、グリア細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、星状膠細胞、心臓細胞、食道細胞、筋肉細胞(例えば、平滑筋細胞又は骨格筋細胞)、膵臓ベータ細胞、メラニン細胞、造血前駆細胞、単核細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、腸幹細胞、癌幹細胞、毛包幹細胞、及び各種細胞株(例えば、HCT116、Huh7、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、HeLa(ヒト子宮頸癌細胞株)、HepG2(ヒト肝癌細胞株)、UT7/TPO(ヒト白血病細胞株)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞株)、MDCK、MDBK、BHK、C−33A、HT−29、AE−1、3D9、Ns0/1、Jurkat、NIH3T3、PC12、S2、Sf9、Sf21、High Five、Vero)等が挙げられ、本発明のコーティング膜は、特に血小板に対して高い付着抑制能を有する。本発明のコーティング膜は、蛋白質、糖が混在する血清に対して特に高い付着抑制能を有する。本発明のコーティング膜は、線維芽細胞に対して特に高い付着抑制能を有する。
生体物質の付着抑制能を有するとは、試験例1に記載した方法で行うQCM−D測定にて、コーティング膜無しと比較した場合の相対単位面積当たりの質量(%)((実施例の単位面積当たりの質量(ng/cm)/(比較例の単位面積当たりの質量(ng/cm))×100)が50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下であることを意味する。
≪本発明の説明≫
本発明のコーティング膜は、(i)下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:
[式中、Ua1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;Ub1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す]と、(ii)溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を、基体に塗布する工程を含む方法により得られる。
また本発明のコーティング膜に係る共重合体は、さらに下記式(c):

[式中、Rは、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表される有機基を含む繰り返し単位を含んでもよい。
本発明のコーティング膜に係る共重合体は、上記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、上記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位と、場合により上記式(c)で表される有機基を含む繰り返し単位を含む共重合体であれば特に制限は無い。なお、本発明において、上記式(c)で表される有機基を含む繰り返し単位は、上記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位及び上記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とは異なる。該重合体は、上記式(a)で表される有機基を含むモノマーと、上記式(b)で表される有機基を含むモノマーと、場合により上記式(c)で表される有機基を含むモノマーとをラジカル重合して得られたものが望ましいが、重縮合、重付加反応させたものも使用できる。共重合体の例としては、オレフィンが反応したビニル重合ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられるが、これらの中でも特にオレフィンが反応したビニル重合ポリマー又は(メタ)アクリレート化合物を重合させた(メタ)アクリルポリマーが望ましい。
本発明のコーティング膜に係る共重合体中における式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位の割合は、3モル%乃至80モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明のコーティング膜に係る共重合体中における式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位の割合は、3モル%乃至80モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明に係る共重合体中における式(c)で表される有機基を含む繰り返し単位の割合は、全共重合体に対して上記式(a)及び(b)を差し引いた残部であってもよいが、例えば0モル%乃至90モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(c)で表される有機基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明のコーティング膜形成用組成物に含まれる溶媒としては、水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、アルコールが挙げられる。アルコールとしては、炭素数2乃至6のアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(=ネオペンチルアルコール)、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール(=t−アミルアルコール)、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール及びシクロヘキサノールが挙げられ、単独で又はそれらの組み合わせの混合溶媒を用いてもよいが、共重合体の溶解の観点から、水、PBS、エタノール、プロパノール、及びそれらの混合溶媒から選ばれるのが好ましく、水、エタノール、及びそれらの混合溶媒から選ばれるのがより好ましい。
本発明に係るコーティング膜形成用組成物中の固形分の濃度としては、均一にコーティング膜を形成させるために、0.01乃至50質量%が望ましい。また、コーティング膜形成用組成物中の共重合体の濃度としては、好ましくは0.01乃至4質量%、より好ましくは0.01乃至3質量%、特に好ましくは0.01乃至2質量%、さらに好ましくは0.01乃至1質量%である。共重合体の濃度が0.01質量%以下であると、得られるコーティング膜形成用組成物の共重合体の濃度が低すぎて十分な膜厚のコーティング膜が形成できず、4質量%以上であると、コーティング膜形成用組成物の保存安定性が悪くなり、溶解物の析出やゲル化が起こる可能性がある。
さらに本発明のコーティング膜形成用組成物は、上記共重合体と溶媒の他に、必要に応じて得られるコーティング膜の性能を損ねない範囲で他の物質を添加することもできる。他の物質としては、防腐剤、界面活性剤、基材との密着性を高めるプライマー、防カビ剤及び糖類等が挙げられる。
本発明に係るコーティング膜形成用組成物中の共重合体のイオンバランスを調節するために、本発明のコーティング膜を得る際には、さらにコーティング膜形成用組成物中のpHを予め調整する工程を含んでいてもよい。pH調整は、例えば上記共重合体と溶媒を含む組成物にpH調整剤を添加し、該組成物のpHを3.5〜8.5、さらに好ましくは4.0〜8.0とすることにより実施してもよい。使用しうるpH調整剤の種類及びその量は、上記共重合体の濃度や、そのアニオンとカチオンの存在比等に応じて適宜選択される。
pH調整剤の例としては、アンモニア、ジエタノールアミン、ピリジン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の有機アミン;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;塩化カリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、塩酸、炭酸等の無機酸又はそのアルカリ金属塩;コリン等の4級アンモニウムカチオン、あるいはこれらの混合物(例えば、リン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液)を挙げることができる。これらの中でも、アンモニア、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、コリン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが好ましく、特にアンモニア、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム及びコリンが好ましい。
したがって本発明は、(i)上記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、上記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位と、場合により上記式(c)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体、(ii)溶媒、及び場合により(iii)pH調整剤を含む、コーティング膜形成用組成物に関する。共重合体、溶媒及びpH調整剤の具体例は、上記のとおりである。
本発明に係るコーティング膜形成用組成物を基体に塗布し、乾燥させてコーティング膜を形成する。
本発明のコーティング膜を形成するための基体としては、ガラス、金属、金属含有化合物若しくは半金属含有化合物、活性炭又は樹脂を挙げることができる。金属は、典型金属:(アルカリ金属:Li、Na、K、Rb、Cs;アルカリ土類金属:Ca、Sr、Ba、Ra)、マグネシウム族元素:Be、Mg、Zn、Cd、Hg;アルミニウム族元素:Al、Ga、In;希土類元素:Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu;スズ族元素:Ti、Zr、Sn、Hf、Pb、Th;鉄族元素:Fe、Co、Ni;土酸元素:V、Nb、Ta、クロム族元素:Cr、Mo、W、U;マンガン族元素:Mn、Re;貴金属:Cu、Ag、Au;白金族元素:Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等が挙げられる。金属含有化合物若しくは半金属含有化合物は、例えば基本成分が金属酸化物で、高温での熱処理によって焼き固めた焼結体であるセラミックス、シリコンのような半導体、金属酸化物若しくは半金属酸化物(シリコン酸化物、アルミナ等)、金属炭化物若しくは半金属炭化物、金属窒化物若しくは半金属窒化物(シリコン窒化物等)、金属ホウ化物若しくは半金属ホウ化物などの無機化合物の成形体など無機固体材料、アルミニウム、ニッケルチタン、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)が挙げられる。
樹脂としては、天然樹脂若しくはその誘導体、又は合成樹脂いずれでもよく、天然樹脂若しくはその誘導体としては、セルロース、三酢酸セルロース(CTA)、ニトロセルロース(NC)、デキストラン硫酸を固定化したセルロース等、合成樹脂としてはポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、各種イオン交換樹脂又はポリエーテルスルホン(PES)等が好ましく用いられる。本発明のコーティング膜は、低温乾燥にて形成できるため、耐熱性が低い樹脂等にも適用可能である。
本発明のコーティング膜を形成すべく、上記のコーティング膜形成用組成物を基体の表面の少なくとも一部に塗布する。塗布方法としては特に制限は無く、通常のスピンコート、ディップコート、溶媒キャスト法等の塗布法が用いられる。
本発明に係るコーティング膜の乾燥工程は、大気下又は真空下にて、好ましくは、温度−200℃乃至200℃の範囲内で行なう。乾燥工程により、上記コーティング膜形成用組成物中の溶媒を取り除くと共に、本発明に係る共重合体の式(a)及び式(b)同士がイオン結合を形成して基体へ完全に固着する。
コーティング膜は、例えば室温(10℃乃至35℃、例えば25℃)での乾燥でも形成することができるが、より迅速にコーティング膜を形成させるために、例えば40℃乃至50℃にて乾燥させてもよい。またフリーズドライ法による極低温〜低温(−200℃乃至−30℃前後)での乾燥工程を用いてもよい。フリーズドライは真空凍結乾燥と呼ばれ、通常乾燥させたいものを冷媒で冷却し、真空状態にて溶媒を昇華により除く方法である。フリーズドライで用いられる一般的な冷媒は、ドライアイスとメタノールの混合媒体(−78℃)、液体窒素(−196℃)等が挙げられる。
乾燥温度が−200℃以下であると、一般的ではない冷媒を使用しなければならず汎用性に欠けることと、溶媒昇華のために乾燥に長時間を要し効率が悪い。乾燥温度が200℃以上であると、コーティング膜表面のイオン結合反応が進みすぎて該表面が親水性を失い、生体物質付着抑制能が発揮されない。より好ましい乾燥温度は10℃乃至180℃、より好ましい乾燥温度は25℃乃至150℃である。
乾燥後、該コーティング膜上に残存する不純物、未反応モノマー等を無くすため、さらには膜中の共重合体のイオンバランスを調節するために、水及び電解質を含む水溶液から選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄する工程を実施してもよい。洗浄は、流水洗浄又は超音波洗浄等が望ましい。上記水及び電解質を含む水溶液は例えば40℃乃至95℃の範囲で加温されたものでもよい。電解質を含む水溶液は、PBS、生理食塩水(塩化ナトリウムのみを含むもの)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水及びベロナール緩衝生理食塩水が好ましく、PBSが特に好ましい。固着後は水、PBS及びアルコール等で洗浄してもコーティング膜は溶出せずに基体に強固に固着したままである。形成されたコーティング膜は生体物質が付着してもその後水洗等にて容易に除去することができ、本発明のコーティング膜が形成された基体表面は、生体物質の付着抑制能を有する。
本発明のコーティング膜の応用事例として例えば人工透析器のフィルター用コーティング膜があるが、本発明のコーティング膜はフィルターへ使用される合成樹脂(例えばPES、PS、PSF及びNC等)へのコーティング膜の固着性、固着後の耐久性も良好である。基体の形態は特に制限されず、基板、繊維、粒子、ゲル形態、多孔質形態等が挙げられ、形状は平板でも曲面でもよい。粒子の場合、粒径は例えば5〜1000nmである。
特に粒子の場合には、粒子が溶媒中に分散したコロイド(フォーム、エマルション(ラテックス)、サスペンジョン(懸濁液)等;例えば、セレニウムコロイド)等であってもよい。
例えば人工透析器のフィルター用コーティング膜とする場合は、上記素材で作成された例えば直径0.1乃至500μmの中空糸形状をしたフィルターの内側に本発明に係るコーティング膜形成用組成物を通液し、その後乾燥工程、洗浄工程(熱水(例えば40℃乃至95℃)洗浄等)を経て作製することができる。
必要に応じて、滅菌のためにγ線、エチレンオキサイド、オートクレーブ等の処理がされる場合もある。
本発明のコーティング膜の膜厚は、好ましくは10〜1000Åであり、さらに好ましくは10〜500Åであり、最も好ましくは10〜300Åである。
本発明のコーティング膜は、生体物質の付着抑制能を有するので、医療用基材用コーティング膜として好適に用いることができる。例えば、白血球除去フィルター、輸血フィルター、ウイルス除去フィルター、微小凝血塊除去フィルター、血液浄化用モジュール、人工心臓、人工肺、血液回路、人工血管、血管バイパスチューブ、医療用チューブ、人工弁、カニューレ、ステント、カテーテル、血管内カルーテル、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、縫合糸、留置針、シャント、人工関節、人工股関節、血液バッグ、血液保存容器、手術用補助器具、癒着防止膜、創傷被覆材などにおいて好適に用いることができる。ここで、血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させて、血中の老廃物や有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいい、人工腎臓、毒素吸着フィルターやカラムなどが挙げられる。
また、本発明のコーティング膜は、フラスコ、ディッシュ、プレート等の細胞培養容器や、蛋白質の付着を抑えた各種研究用器具のコーティング膜として有用である。
また、本発明のコーティング膜は、化粧品用材料、コンタクトレンズケア用品用材料、スキンケア用繊維加工剤、生化学研究用診断薬用材料、臨床診断法で広く用いられている酵素免疫測定(ELISA)法やラテックス凝集法、イムノクロマトグラフ法における非特異的吸着を抑制するためのブロッキング剤、酵素や抗体などの蛋白質を安定化するための安定化剤としても有用である。
さらに本発明のコーティング膜は、トイレタリー、パーソナルケア用品、洗剤、医薬品、医薬部外品、繊維、防汚材向けのコーティング膜としても有用である。
本発明のコーティング膜形成用組成物に含まれる共重合体は、下記式(a1)及び(b1)の繰り返し単位を含む共重合体が特に好ましく用いられる。
式中、T及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Q及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、Ua1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し、Ub1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し、mは、0乃至6の整数を表す。
本発明のコーティング膜形成用組成物に含まれる共重合体は、さらに下記式(c1)の繰り返し単位を含んでもよい。
式中、Tは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Qは、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し、Rは、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す。
式(a1)において、mは0乃至6の整数を表すが、好ましくは1乃至6の整数を表し、より好ましくは1乃至5の整数を表し、特に好ましくは1である。
本発明に係る共重合体中に含まれる式(a1)で表される繰り返し単位の割合は、3モル%乃至80モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(a1)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明に係る共重合体に含まれる式(b1)で表される繰り返し単位の割合は、3モル%乃至80モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(b1)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明に係る共重合体に含まれる式(c1)で表される繰り返し単位の割合は、全共重合体に対して上記式(a1)及び式(b1)を差し引いた残部であってもよいが、例えば0モル%乃至90モル%である。なお、本発明に係る共重合体は、2種以上の式(c1)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明はまた、下記式(A)及び(B):
[式中、
及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
mは、0乃至6の整数を表す]
で表される化合物を含むモノマー混合物を、溶媒中にて反応(重合)させることにより得られる共重合体に関する。
本発明の共重合体は、さらに下記式(C):
[式中、
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
で表わされる化合物を含むモノマー混合物より得られる共重合体であってよい。
本発明において、T、T及びTとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。Q、Q及びQとしては、単結合又はエステル結合が好ましく、エステル結合がより好ましい。R及びRとしては、炭素原子数1乃至5の直鎖もしくは分岐アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。Rとしては、炭素原子数4乃至18の直鎖もしくは分岐アルキル基又は炭素原子数3乃至10のシクロアルキル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基若しくはそれらの異性体、又はシクロヘキシル基がより好ましい。Ua1としては、フェニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基が好ましく、フェニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はn−ブチル基がより好ましく、フェニル基、メチル基又はエチル基がさらに好ましく、フェニル基が最も好ましく、Ua2としては、水素原子が好ましく、Ua3としては、ナトリウムイオン又はカリウムイオンが好ましく、Ub1、Ub2及びUb3としては、水素原子、メチル基、エチル基又はt−ブチル基が好ましい。
上記式(A)の具体例としては、ビニルホスホン酸フェニル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェート又はそのアルカリ金属塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルヒドロジェンホスフェート又はそのアルカリ金属塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエチルヒドロジェンホスフェート又はそのアルカリ金属塩等が挙げられるが、この中でも2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェート又はそのアルカリ金属塩が好ましく用いられる。
2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートの構造式は、下記式で表される。
例えば、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートは、例えば、Polymer Degradation and Stability 91 (2006) 2683-2690に記載の方法に従い調製することができる。
上記式(B)の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルコリンクロリド等が挙げられるが、この中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルコリンクロリド又は2−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
ジメチルアミノエチルアクリレート(=アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(=メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(=メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル)、メタクリロイルコリンクロリド及び2−(t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(=メタクリル酸2−(t−ブチルアミノ)エチルの構造式は、それぞれ下記式(B−1)〜式(B−5)で表される。
上記式(C)の具体例としては、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の直鎖若しくは分岐アルキルエステル類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の環状アルキルエステル類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアラルキルエステル類;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系モノマー;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマーが挙げられる。この中でもブチル(メタ)アクリレート又はシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
ブチルメタクリレート(=メタクリル酸ブチル)及びシクロヘキシルメタクリレート(=メタクリル酸シクロヘキシル)の構造式は、それぞれ下記式(C−1)及び式(C−2)で表される。
式(A)で表される化合物の、上記共重合体を形成するモノマー全体に対する割合は、3モル%乃至80モル%である。また、式(A)で表される化合物は、2種以上であってもよい。
式(B)で表される化合物の、上記共重合体を形成するモノマー全体に対する割合は、3モル%乃至80モル%である。また、式(B)で表される化合物は、2種以上であってもよい。
式(C)で表される化合物の、上記共重合体を形成するモノマー全体に対する割合は、上記式(A)及び(B)の割合を差し引いた残部であってもよいが、例えば0モル%乃至90モル%である。また、式(C)で表される化合物は、2種以上であってもよい。
本発明に係る共重合体の合成方法としては、一般的なアクリルポリマー又はメタクリルポリマー等の合成方法であるラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの方法により合成することができる。その形態は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など種々の方法が可能である。
本発明に係るコーティング膜形成用組成物は、所望の共重合体を、所望の溶媒にて所定の濃度に希釈することにより調製してもよい。
さらに本発明に係るコーティング膜形成用組成物は、本発明の共重合体含有ワニスから調製してもよい。本発明の共重合体含有ワニスは、上記式(A)、(B)及び場合により(C)で表される化合物を、溶媒中で、両化合物の合計濃度0.01質量%乃至20質量%にて反応(重合)させる工程を含む製造方法により調製することができる。
重合反応における溶媒としては、水、リン酸緩衝液又はエタノール等のアルコール又はこれらを組み合わせた混合溶媒でもよいが、水又はエタノールを含むことが望ましい。重合反応における溶媒中に、水又はエタノールを10質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。水又はエタノールを50質量%以上100質量%以下含むことがより好ましい。水又はエタノールを80質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。水又はエタノールを90質量%以上100質量%以下含むことが特に好ましい。最も好ましくは水とエタノールの合計が100質量%である。
反応濃度としては、例えば上記式(A)又は式(B)で表される化合物の反応溶媒中の濃度は、0.01質量%以上であるが、例えば1質量%〜50質量%とすることができ、より好ましくは2質量%〜40質量%とすることができ、さらに好ましくは3質量%〜30質量%とすることができ、最も好ましくは4質量%〜25質量%とすることができる。
また本発明に係る共重合体の合成においては、例えば式(1)に記載の酸性リン酸エステル単量体(ハーフ塩)を作成後、場合により式(C)で表される化合物と共に重合して共重合体を作製してもよい。
リン酸基含有モノマーは会合し易いモノマーのため、反応系中に滴下されたとき、速やかに分散できるように反応溶媒中に少量ずつ滴下してもよい。
さらに、反応溶媒はモノマー及びポリマーの溶解性を上げるために加温(例えば40℃乃至100℃)してもよい。
重合反応を効率的に進めるためには、重合開始剤を使用することが望ましい。重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬製品名;VA−065、10時間半減期温度;51℃)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光純薬製品名;VA−044、10時間半減期温度;44℃)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](和光純薬製品名;VA−061、10時間半減期温度;61℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬製品名;V−50、10時間半減期温度;56℃)、2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(和光純薬製品名;VA−086、10時間半減期温度;86℃)、過酸化ベンゾイル(BPO)、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)n−水和物(和光純薬製品名;VA−057、10時間半減期温度;57℃)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(和光純薬製品名;VA−501)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物(和光純薬製品名;VA−046B、10時間半減期温度;46℃)、ペルオキソ二硫酸又はt−ブチルヒドロペルオキシド等が用いられる。
水への溶解性、イオンバランス及びモノマーとの相互作用を考慮した場合、2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)n−水和物、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩及びペルオキソ二硫酸から選ばれることが好ましい。
有機溶媒への溶解性、イオンバランス及びモノマーとの相互作用を考慮した場合、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又は2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を用いることが望ましい。
重合開始剤の添加量としては、重合に用いられるモノマーの合計重量に対し、0.05質量%〜10質量%である。
反応条件は反応容器をオイルバス等で50℃乃至200℃に加熱し、1時間乃至48時間、より好ましくは80℃乃至150℃、5時間乃至30時間攪拌を行うことで、重合反応が進み本発明の共重合体が得られる。反応雰囲気は窒素雰囲気が好ましい。
反応手順としては、全反応物質を室温の反応溶媒に全て入れてから、上記温度に加熱して重合させてもよいし、あらかじめ加温した溶媒中に、反応物質の混合物全部又は一部を少々ずつ滴下してもよい。
後者の反応手順によれば、本発明の共重合体は、上記式(A)、(B)及び場合により(C)で表される化合物、溶媒及び重合開始剤を含む混合物を、重合開始剤の10時間半減期温度より高い温度に保持した溶媒に滴下し、反応(重合)させる工程を含む製造方法により調製することができる。
本発明に係る共重合体の分子量は数千から数百万程度であれば良く、好ましくは5,000乃至5,000,000である。さらに好ましくは、10,000乃至2,000,000である。また、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでも良く、該共重合体を製造するための共重合反応それ自体には特別の制限はなく、ラジカル重合やイオン重合や光重合、マクロマー、乳化重合を利用した重合等の公知の溶液中で合成される方法を使用できる。これらは目的の用途によって、本発明の共重合体のうちいずれかを単独使用することもできるし、複数の共重合体を混合し、且つその比率は変えて使用することもできる。
以下、合成例、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらに
限定されない。
<重量平均分子量の測定方法>
下記合成例に示す共重合体の重量平均分子量はGel Filtration Chromatography(以下、GFCと略称する)による測定結果である。測定条件等は次のとおりである。
(測定条件)
・装置:Prominence(島津製作所製)
・GFCカラム:OHpak SB−804 HQ (8.0mmID×300mL)
・流速:0.5 mL/min
・溶離液:イオン性水溶液、および、エタノール混合水溶液
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・注入濃度:ポリマー固形分0.1質量%
・注入量:100μL
・検量線:三次近似曲線
・標準試料:ポリエチレンオキサイド(Agilent社製)×10種
<合成実施例1>
窒素雰囲気下、ジクロロりん酸フェニル(東京化成工業(株)製)60.01g(0.28mol)、テトラヒドロフラン204.02g、トリエチルアミン60.43g(0.60mol)を1L四つ口フラスコに入れ、0℃に冷却し、30分間撹拌した。メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(Aldrich社製)37.02g(0.28mol)をテトラヒドロフラン51.00gに溶解した溶液を0℃で1時間かけて滴下し、0℃でさらに4時間撹拌した。超純水5.12gとテトラヒドロフラン51.00gの混合液を0℃で1時間かけて滴下し、0℃でさらに4時間撹拌した。その後、25℃に昇温し、25℃でさらに19時間撹拌した。反応液をPTFE製メンブレンフィルターでろ過し、テトラヒドロフラン20.00gでケーキ洗浄し、ろ液中の溶媒を減圧下で留去して濃縮液を得た。別の300ml四つ口フラスコに5M水酸化ナトリウム水溶液75.09gを入れ、17〜23℃で濃縮液78.36gを滴下することで、白色の結晶が析出した。結晶をろ過し、純水10.30gで3回ケーキ洗浄し、結晶を減圧下で乾燥した。乾燥した結晶にジエチルエーテル180.00gを加えて撹拌し、PTFE製のメンブレンフィルターでろ過し、結晶を乾燥することで2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートナトリウム塩を白色粉末として32.51g(収率37.1%)得た。液体クロマトグラフィーによる測定を行った結果、純度は99.3%であった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d)1.84(s,3H),3.95(t,2H),4.18(t,2H),5.65(s,1H),5.98(s,1H),6.94(t,1H)7.13(d,2H),7.20(t,2H)
<重合実施例1>
上記合成実施例で得られた2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートナトリウム塩2.00gを純水10.90gに溶解し、0.2μmフィルターにて濾過した。その水溶液にエタノール1.21g、メタクリロイルコリンクロリド80%水溶液(東京化成工業(株)製)1.68g、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)n−水和物(製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.02gを、20℃以下に保ちながら順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を滴下ロートに導入した。一方で、別途純水16.02g、エタノール1.82gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した。24時間後に冷却することで固形分約9.90質量%のコロイド状の共重合体ワニス33.65gを得た。
<重合実施例2>
上記合成実施例で得られた2−メタクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェートナトリウム塩2.00gを純水9.86gに溶解し、0.2μmフィルターにて濾過した。その水溶液にエタノール9.86g、メタクリロイルコリンクロリド80%水溶液(東京化成工業(株)製)1.68g、メタクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)1.84g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(製品名;V−65、和光純薬工業(株)製)0.03gを、20℃以下に保ちながら順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を滴下ロートに導入した。一方で、別途純水3.86g、エタノール23.01gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した。24時間後に冷却することで固形分約9.74質量%の共重合体ワニス52.18gを得た。得られたワニスのGPCにおけるメインピークの重量平均分子量は約4,500であった。
<重合比較例1>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル社製、純度91.8%)6.00gとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル4.12g(東京化成工業(株)製)と2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬(株)製)0.10gを、純水12.40gとエタノール12.40gに溶解して20℃以下に保ちながら順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を滴下ロートに導入した。一方で、別途純水433.94g、エタノール37.20gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した。24時間後に冷却することで固形分約1.64質量%のコロイド状の共重合体ワニス506.05gを得た。
(シリコンウェハの準備)
半導体評価用の市販のシリコンウェハをそのまま用いた。
<実施例1>
上記重合実施例1で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、水25.51g、エタノール6.49gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成組成物を調製した。得られたコーティング膜形成組成物を、上記シリコンウェハに1500rpm/30secでスピンコートした。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、光学式干渉膜厚計でシリコンウェハ上のコーティング膜の膜厚を確認したところ19Åであった。
<実施例2>
上記重合実施例2で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、水9.44g、エタノール22.03gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成組成物を調製した。得られたコーティング膜形成組成物を、上記シリコンウェハに1500rpm/30secでスピンコートした。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、光学式干渉膜厚計でシリコンウェハ上のコーティング膜の膜厚を確認したところ178Åであった。
<比較実施例1>
上記重合比較例1で得られた共重合体含有ワニス10.00gに、水2.51g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成組成物を調製した。得られたコーティング膜形成組成物を、上記シリコンウェハに1500rpm/30secでスピンコートした。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、光学式干渉膜厚計でシリコンウェハ上のコーティング膜の膜厚を確認したところ75Åであった。
(QCMセンサー(PS)の作成)
Au蒸着された水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン(株)製)を用いて10分間洗浄し、直後に2−アミノエタンチオール(東京化成工業(株)製)0.0772gをエタノール1000mLに溶解した溶液中に24時間浸漬した。エタノールでセンサー表面を洗浄後自然乾燥し、ポリスチレン(Aldrich社製)1.00gをトルエン99.00gに溶解したワニスをスピンコーターにて3500rpm/30secで膜センサー側にスピンコートし、205℃/1min乾燥することでQCMセンサー(PS)とした。
(QCMセンサー(NC)の作成)
Au蒸着された水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン(株)製)を用いて10分間洗浄し、直後に2−アミノエタンチオール(東京化成工業(株)製)0.0772gをエタノール1000mLに溶解した溶液中に24時間浸漬した。エタノールでセンサー表面を洗浄後自然乾燥し、コロジオン(5%)(Aldrich社製)1.00gをプロピレングリコールモノメチルエーテル(協和発酵社製)4.56gに溶解したワニスをスピンコーターにて3500rpm/30secで膜センサー側にスピンコートし、150℃/30sec乾燥することでQCMセンサー(NC)とした。
<実施例3>
(コーティングQCMセンサー(PS)の作成)
上記、QCMセンサー(PS)に、実施例2で調製したコーティング膜形成用組成物を3500rpm/30secでスピンコートした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、コーティングQCMセンサー(PS)とした。
<比較実施例1>
(コーティングQCMセンサー(PS)の作成)
実施例2で調製したコーティング膜形成用組成物を、比較実施例1で調製したコーティング膜形成用組成物に代えた以外は、実施例3と同様に実施して、コーティングQCMセンサー(PS)を得た。
<実施例4>
(コーティングQCMセンサー(NC)の作成)
上記、QCMセンサー(NC)に、実施例1で調製したコーティング膜形成用組成物を3500rpm/30secでスピンコートした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、コーティングQCMセンサー(NC)とした。
<実施例5>
(コーティングQCMセンサー(NC)の作成)
実施例1で調製したコーティング膜形成用組成物を、実施例2で調製したコーティング膜形成用組成物に代えた以外は、実施例4と同様に実施して、コーティングQCMセンサー(NC)を得た。
<試験例1>
(FBS中の生体由来物質の付着量試験;QCM−D測定)
上記実施例3及び比較実施例1で得られたコーティングQCMセンサー(PS)、並びに上記実施例4及び5で得られたコーティングQCMセンサー(NC)を、それぞれ散逸型水晶振動子マイクロバランスQCM−D(E4、Q−Sense社製)に取り付け、周波数の変化が1時間で1Hz以下となる安定したベースラインを確立するまでPBSを流した。次に、安定したベースラインの周波数を0Hzとして約10分間PBSを流した。引き続き、41010 ・ Basal Medium Eagle (BME), no Glutamine(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)に15wt%のウシ血清(FBS)、L−Glutamine、抗生物質としてペニシリンとストレプトマイシンを添加した溶液、又はγ−グロブリン ヒト血液由来(Aldrich社製)0.1gをPBS1Lに溶解した液を約30分流し、その後再びPBSを約20分流した後の11次オーバートーンの吸着誘起周波数のシフト(Δf)を読み取った。分析のためにQ−Tools(Q−Sense社製)を使用して、吸着誘起周波数のシフト(Δf)を、Sauerbrey式で説明される吸着誘起周波数のシフト(Δf)を単位面積当たりの質量(ng/cm)と換算したものをFBS中の生体由来物質の付着量又はγ−グロブリン ヒト血液由来の付着量として表1、2に示す。なお、陰性対象としては、コーティング処理をしていないQCMセンサー(PS)又はQCMセンサー(NC)を用いた。
<実施例6>
以下の各処理工程を順番に実施し、本発明のコーティング膜を備える細胞培養プレートを調製した。
処理1:実施例2で調製したコーティング膜形成組成物を、メッシュサイズが0.22μmのフィルターを用いてろ過した後、96穴細胞培養プレート(BDバイオサイエンス社製、#351172)のウェルに200μL(固形分1質量%)/ウェルとなるよう添加し、室温にて1時間静置後、過剰のワニスを除去した。
処理2:オーブン(アドバンテック東洋(株)製、乾燥機FC−612)を用いて50℃で1晩乾燥させた。その後、滅菌水を1ウェルあたり200μL添加後、除去して洗浄を行った。同様に、さらに2回洗浄を行い、コーティングされた細胞培養プレートを得た。
<試験例2:細胞付着抑制効果>
(コーティングプレートの調製)
実施例6で得られたコーティングされた細胞培養プレートを用いた。陽性対照のサンプルとしては、市販の細胞低接着プレート(コーニング社製、#3474)を用いた。陰性対照としては、コーティングを施していない96穴細胞培養プレート(BDバイオサイエンス社製、#351172)を用いた。
(細胞の調製)
細胞は、マウス胚線維芽細胞C3H10T1/2(DSファーマバイオメディカル社製)を用いた。細胞の培養に用いた培地は、10%FBS(HyClone社製)とL−グルタミン−ペニシリン−ストレプトマイシン安定化溶液(Sigma-Aldrich社製)を含むBME培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS5mlで洗浄した後、トリプシン−EDTA溶液(インビトロジェン社製)1mLを添加して細胞を剥がし、上記の培地10mLにてそれぞれ懸濁した。本懸濁液を遠心分離((株)トミー精工製、型番LC−200、1000rpm/3分、室温)後、上清を除き、上記の培地を添加して細胞懸濁液を調製した。
(細胞付着実験)
上記にて調製したプレートに対して、それぞれの細胞懸濁液を2×10cells/wellとなるように各100μL加えた。その後、5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃で4日間COインキュベーター内にて静置した。
(細胞付着の観察)
培養4日間後、実施例6のプレート、陽性対照、及び陰性対照のプレートに対する細胞の付着を倒立型顕微鏡(オリンパス(株)製、CKX31)による観察 (倍率:40倍)に基づき比較した。実施例6のプレート、及び陽性対照いずれのプレートでも、細胞の付着はほとんど見られなかった。各プレートの結果(培養4日間後)を図1に示す。また、Cell Counting Kit-8溶液(同仁化学研究所製)を1ウェル当たり10μL添加し、37℃で2時間COインキュベーター内にて静置した。その後、吸光度計(MolecularDevices社製、SpectraMax)で450nmの吸光度を測定した。各測定値は、それぞれ培地のみを添加したウェルでの測定値を差し引いた。その結果を表3に示す。
上記の通り、陰性対照以外はいずれのプレートでも細胞が付着しないことが示された。この際、付着しなかった細胞は細胞凝集塊(スフェロイド)を形成していた。
この結果から、本願のコーティング膜が表面にコーティングされている容器は、細胞培養容器として有用である。

Claims (14)

  1. 下記式(A)及び(B):

    [式中、
    及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
    及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
    mは、0乃至6の整数を表す]
    で表される化合物を少なくとも含むモノマー混合物を重合させることにより得られる、共重合体。
  2. モノマー混合物が、さらに下記式(C):

    [式中、
    は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される化合物を含む、請求項1に記載の共重合体。
  3. (i)下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

    (式中、
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)及び
    (ii)溶媒
    を含む、コーティング膜形成用組成物。
  4. 共重合体が、さらに下記式(c):

    [式中、
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、請求項3に記載の組成物。
  5. 共重合体が、下記式(a1)及び(b1):

    [式中、
    及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
    及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
    mは、0乃至6の整数を表す]
    で表される繰り返し単位を含む、請求項3又は4に記載の組成物。
  6. 共重合体が、さらに下記式(c1):

    [式中、
    は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される繰り返し単位を含む、請求項3乃至5何れか1項に記載の組成物。
  7. 下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

    (式中、
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)
    と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を、基体に塗布する工程、
    を含む方法により得られるコーティング膜。
  8. 共重合体が、さらに下記式(c):

    [式中、
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、請求項7に記載のコーティング膜。
  9. 共重合体が、下記式(a1)及び(b1):

    [式中、
    及びTは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    及びQは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し;
    及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し;
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し;
    mは、0乃至6の整数を表す]
    で表される繰り返し単位を含む、請求項7又は8に記載のコーティング膜。
  10. 共重合体が、さらに下記式(c1):

    [式中、
    は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    は、単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し;
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される繰り返し単位を含む、請求項7乃至9何れか1項に記載のコーティング膜。
  11. 乾燥工程後に得られた膜を、さらに水及び電解質を含む水溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄する工程を含む、請求項7乃至10の何れか1項に記載のコーティング膜。
  12. 生体物質の付着抑制能を有する、請求項7乃至11の何れか1項に記載のコーティング膜。
  13. 下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体:

    (式中、
    a1は、炭素原子数6乃至10のアリール基又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ua2は、水素原子を表し、Ua3は、アルカリ金属を表し;
    b1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し;
    Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す)
    と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を、基体に塗布する工程、
    を含むコーティング膜の製造方法。
  14. 共重合体が、さらに下記式(c):

    [式中、
    は、炭素原子数1乃至18の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素原子数3乃至10の環式炭化水素基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素原子数7乃至15のアラルキル基又は炭素原子数7乃至15のアリールオキシアルキル基(ここで、前記アリール部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基で置換されていてもよい)を表す]
    で表される有機基を含む繰り返し単位を含む、請求項13に記載のコーティング膜の製造方法。
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