JPWO2017006531A1 - 接合用組成物及び接合方法 - Google Patents

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Abstract

緻密な接合層と高い接合強度を有する接合体を、比較的低い接合温度かつ無加圧で得ることができる接合用組成物及びそれを用いた接合方法を提供する。無機粒子及び有機成分を含む接合用組成物であって、無機粒子は無機微粒子と無機粗粒子とを含み、無機粗粒子は、温度上昇に伴って無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、を特徴とする接合用組成物。

Description

本発明は、無機粒子を主成分、有機成分を副成分とする接合用組成物及び当該接合用組成物を用いた接合方法に関し、より具体的には、緻密な接合層と高い接合強度を有する接合体を、比較的低い接合温度で得ることができる接合用組成物及びそれを用いた接合方法に関する。
各種電子部品を接合するための接合材には、はんだを用いることが一般的である。ここで、高い使用温度において用いられる高温はんだには有毒性がある鉛が含まれており、環境保全の観点やRoHS規制により、接合材の鉛フリー化が切望されている。
しかしながら、高温はんだには適当な代替材料が存在しないため、依然として鉛を含有する高温はんだが使用されているのが現状である。また、はんだの融点は低いことから、動作温度の高い炭化ケイ素や窒化ガリウム等のパワーデバイスへの適用は困難であった。
ここで、金属微粒子は低温焼結性を有しており、焼成層は基本的にバルク銀と同等の融点を有することから、高温環境下で使用することができる鉛フリーの接合材として期待されている。近年では、金属微粒子、特に銀微粒子の低温焼結性を利用した接合用組成物や当該接合用組成物を用いた接合方法が注目され、盛んに研究開発が進められている。
例えば、特許文献1(特開2011−21255号公報)においては、平均粒径X(nm)の金属核の周囲に有機被覆層を形成した複合金属ナノ粒子と、平均粒径d(nm)の金属ナノフィラー粒子と、平均粒径D(nm)の金属フィラー粒子を金属成分として含有し、X<d<Dの第1関係及びX<d<100(nm)の第2関係を有し、焼成により有機被覆層が気散して金属層が形成されるときに複合金属ナノ粒子と金属ナノフィラー粒子と金属フィラー粒子が緻密に焼結することを特徴とする複合ナノ金属ペーストが開示されている。当該複合ナノ金属ペーストにおいては、粒径が大きな金属粒子同士が形成する空隙に粒径が小さな金属粒子が充填されることで、緻密な焼成膜が得られるとしている。
更に、特許文献2(特開2011−71301号公報)においては、有機物で被覆されている金属ナノ粒子を分散媒に分散させたペーストを用いて複数の部材を接合する接合方法において、 第1の部材に、少なくとも1本のスペーサを載せる工程と、このスペーサに被せるようにして、第1の部材上に前記ペーストを塗布する工程と、このペーストに第2の部材を載せて積層体を得る工程と、分散媒が蒸発するが有機物は蒸発しない温度で、積層体を加熱する工程と、スペーサが塑性変形する大きさの加圧力で加圧しながら、有機物が蒸発し且つ金属ナノ粒子が焼結する温度で、更に加熱する工程と、からなることを特徴とする金属ナノ粒子を用いた接合方法、が開示されている。
上記特許文献2に記載の接合方法においては、スペーサを採用したため、金属ナノ粒子を主体とするペーストの膜厚を必要なだけ厚くすることができることに加え、スペーサを塑性変形させるため、金属ナノ粒子を主体とするペーストを、大きな加圧力で加圧することができ、緻密化を高めることができる、としている。
特開2011−21255号公報 特開2011−71301号公報
しかしながら、上記特許文献1の複合ナノ金属ペーストにおいては、粒径が大きな金属粒子同士が形成する空隙に粒径が小さな金属粒子が充填されることで、粒径に大差がない金属粒子を用いた場合と比較して緻密な焼成膜が得られるものの、焼成膜には比較的多くの欠陥が残存し、高い接合強度を得るためには接合時における圧力の印加が不可欠である。
また、上記特許文献2の接合方法においても、焼成膜の緻密化にはスペーサを塑性変形させる程の大きな加圧力で被接合材を加圧することが必要であり、電子部品等の接合に用いることは困難である。
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、緻密な接合層と高い接合強度を有する接合体を、比較的低い接合温度かつ無加圧で得ることができる接合用組成物及びそれを用いた接合方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく接合用組成物の主成分である無機粒子の熱膨張特性等に着目して鋭意研究を重ねた結果、線膨張係数が大きな無機粒子を用いること等が、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、無機粒子及び有機成分を含む接合用組成物であって、前記無機粒子は、温度上昇に伴って前記無機粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、を特徴とする接合用組成物を提供する。
なかでも、当該本発明の接合用組成物においては、前記無機粒子が無機微粒子(ミクロン粒子)と無機粗粒子(ナノ粒子)とを含み、前記無機粗粒子が、温度上昇に伴って前記無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、が好ましい。
無機粒子、無機微粒子及び無機粗粒子の粒径や組み合わせは、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、低温焼結性を有する無機微粒子と大きな線膨張係数を有する無機粗粒子とを組み合わせればよい。また、2種類以上の無機微粒子と無機粗粒子とを組み合わせてもよい。
無機粒子乃至は無機粗粒子が、当該無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張することで、接合用組成物の主成分である無機粒子同士の距離が小さくなり、緻密化が極めて効率的に進行する。加えて、無機微粒子の低温焼結性によって焼結が進行することで、緻密な接合層を得ることができる。また、当該緻密な接合層に起因して、高い接合強度を有する接合体を得ることができる。なお、ここでいう「不可逆的な膨張」とは、完全に不可逆的な膨張だけではなく、温度の下降に伴って微かに収縮する膨張も含む概念である。
本発明の接合用組成物においては、前記無機微粒子の平均粒径が1nm〜1μmであること、が好ましい。無機微粒子の平均粒径を1nm以上とすることで、有機物の体積割合が増加することによる接合層の密度低下を抑制することができ、無機微粒子の平均粒径を1μm以下とすることで、無機微粒子の融点が十分に低下して、低温での焼成を達成することができる。
また、本発明の接合用組成物においては、前記無機粗粒子の内部発泡により、前記膨張が生じること、が好ましい。酸化や粒子内部の密度変化等に起因して不可逆的に膨張する無機粗粒子を用いることもできるが、内部発泡する無機粗粒子を用いることで、より確実に無機粗粒子に不可逆的な大きな熱膨張を発現させることができる。
また、本発明の接合用組成物においては、前記無機粗粒子の平均粒径が1μm〜50μmであること、が好ましい。無機粗粒子の平均粒径を1μm以上とすることで、無機粗粒子の良好な分散性を確保すると共に、無機微粒子との平均粒径の差を十分大きくすることができ、所謂微粒粗粒混合による緻密化を図ることができる。また、無機粗粒子の平均粒径を50μm以下とすることで、接合層が厚くなり過ぎることを防止することができる。
また、本発明の接合用組成物においては、前記無機粗粒子の内部に有機物が含まれていること、が好ましい。無機粗粒子の内部に有機物が含まれていることにより、接合プロセス中の温度上昇により当該無機物が分解して気体が発生し(内部発泡し)、無機粒子に不可逆的な大きな熱膨張を発現させることができる。
また、本発明の接合用組成物においては、前記無機粗粒子が還元粉であること、が好ましい。還元粉はその製造プロセス条件により、内部に有機物等を残存させることができる。特に、低温焼結性を付与するために結晶子径を数十nmとする場合は不安定なプロセス条件で合成する必要があり、有機物等の残存が顕著となる。つまり、内部に有機物が残存した還元粉を加熱することで、還元粉を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張させることができると推察されるからである。
無機粒子(無機微粒子及び無機粗粒子)の構成元素は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、例えば金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ、鉄並びに白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金)のうちの少なくとも1種が挙げられる。上記構成元素としては、金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ又は白金族元素よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、更には、銅又は銅よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属、即ち、金、白金、銀及び銅のうちの少なくとも1種であるのが好ましく、銀とすることが最も好ましい。これらの元素は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよく、併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。を用いることができるが、無機粒子が銀粒子であること、が好ましい。なお、無機粒子を銀粒子とすることで、低温かつ無加圧の接合条件において良好な接合体を得ることができる。
更に、本発明の接合用組成物においては、150℃から250℃までの温度範囲において、前記無機粗粒子が無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、が好ましい。本発明の接合用組成物を使用する接合温度は、比較的低温である150〜250℃であり、当該温度範囲にて無機粗粒子が大きな膨張を示すことで、良好な接合体を得ることができる。もっとも、プロセス上接合温度に制約がないのであれば、250℃以上であってもよい。
また、本発明は、本発明の接合用組成物を用いた接合方法であって、
接合温度を、前記内部発泡が生じる温度以上、前記内部発泡によって前記無機粗粒子に開口部が形成される温度未満、に設定すること、
を特徴とする接合方法、も提供する。
接合用組成物に含まれる無機粗粒子に内部発泡が生じる温度以上、当該内部発泡によって無機粗粒子に開口部が形成される温度未満に接合温度を設定することで、良好な接合体を効率的に得ることができる。
より具体的には、接合温度を無機粗粒子に内部発泡が生じる温度以上とすることで、接合用組成物の主成分である無機粒子同士の距離が小さくなり、接合層の緻密化を極めて効率的に進行させることができる。また、接合温度を無機粗粒子に開口部が形成される温度未満とすることで、上述の内部発泡の効果を十分に活用することができると共に、無機粗粒子表面に欠陥(開口部)が形成されることによる接合層緻密化の阻害及び接合層の強度低下を抑制することができる。
なお、実質的には、発泡により粒子内部において生成したガスが、貫通により接合層内に放出されない条件を設定すれよい。例えば、無機粗粒子のみでは220℃で貫通してしまうが、無機微粒子と混合して使用することにより、無機粗粒子の表面に無機微粒子が融着する影響で、貫通温度が高温側にシフトことになり、したがってその高温側の温度であってもよいことになる。さらに言えば、貫通しても接合層の剥離進展に影響が出ないところまでは、高温側の温度であってもよい。また、膨張挙動には時間依存性があるため、これも考慮にいれるべきである。後述する実施例においては、短時間及び長時間の接合で接合強度が低下したが、これは、前者は膨張が適正域まで進行しなかったため、後者は発泡が進み過ぎて、貫通による影響が出てしまったためと考えられる。
また、本発明の接合方法においては、無加圧条件で接合を行うこと、が好ましい。接合時に外部加圧を伴う場合、特に電子部品等を接合する場合は当該加圧によって被接合材が損傷する恐れがある。また、被接合材の剛性等によっては、十分に均一な加圧を印加することが困難な場合が存在する。ここで、本発明の接合用組成物は、無機粗粒子の大きな熱膨張により無加圧下においても十分な接合強度が得られるため、被接合材の損傷防止等の観点から、無加圧条件で接合を行うことが好ましい。
また、本発明の接合方法においては、酸素を含む雰囲気で接合を行うこと、が好ましい。接合用組成物に含まれる無機粗粒子の内部に有機物が存在する場合、当該有機物と雰囲気中の酸素との酸化反応によって内部発泡が生じ、無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、無機粗粒子を不可逆的に膨張させることができる。
本発明によれば、緻密な接合層と高い接合強度を有する接合体を、比較的低い接合温度かつ無加圧で得ることができる接合用組成物及びそれを用いた接合方法を提供することができる。
還元法及びアトマイズ法にて製造された銀粗粒子のTMA測定結果である。 未焼成及び大気中で焼成した銀粗粒子圧粉体の断面の走査電子顕微鏡写真である。 内部発泡に及ぼす焼成雰囲気の影響を示す走査電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の接合用組成物及びそれを用いた接合方法の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の一実施形態を示すに過ぎず、これらによって本発明が限定されるものではなく、また、重複する説明は省略することがある。
(1)接合用組成物
本実施形態の接合用組成物は、無機粒子及び有機成分を含み、当該無機粒子は無機微粒子と無機粗粒子とを含んでいる。以下においてこれら各成分等について説明する。
(1−1)無機微粒子
本実施形態の接合用組成物における無機微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、融点降下が生じるような平均粒径を有するのが好ましく、例えば、1nm〜1μmであればよい。更には、2nm〜200nmであるのが好ましい。無機微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、無機微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に無機微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、200nm以下であれば、無機微粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。
なお、本実施形態の接合用組成物における無機微粒子の粒径は、一定でなくてもよい。また、接合用組成物が、任意成分として、後述する分散剤等を含む場合、平均粒径が200nm超の金属粒子成分を含む場合があるが、凝集を生じたりせず、本発明の効果を著しく損なわない成分であればかかる200nm超の平均粒径を有する金属粒子成分を含んでもよい。
ここで、本実施形態の接合用組成物における無機微粒子の粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。ナノサイズの無機微粒子の融点降下を示すためには、広角X線回折法で求めた結晶子径が適当である。例えば広角X線回折法では、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、回折法で2θが30〜80°の範囲で測定することができる。この場合、試料は、中央部に深さ0.1〜1mm程度の窪みのあるガラス板に表面が平坦になるように薄くのばして測定すればよい。また、理学電機(株)製のJADEを用い、得られた回折スペクトルの半値幅を下記のシェラー式に代入することにより算出された結晶子径(D)を粒径とすればよい。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
本実施形態の接合用組成物における無機微粒子の構成元素としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ、鉄並びに白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金)のうちの少なくとも1種が挙げられる。上記構成元素としては、金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ又は白金族元素よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、更には、銅又は銅よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属、即ち、金、白金、銀及び銅のうちの少なくとも1種であるのが好ましく、銀とすることが最も好ましい。これらの元素は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよく、併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。
例えば、無機微粒子として銀微粒子を用いる場合、本実施形態の接合用組成物を用いて形成した接着層の導電率は良好となるが、マイグレーションの問題を考慮して、銀及びその他の金属からなる接合用組成物を用いることによって、マイグレーションを起こりにくくすることができる。当該「その他の金属」としては、上述のイオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウムが好ましい。
(1−2)有機成分
本実施形態の接合用組成物の無機微粒子においては、無機微粒子の表面の少なくとも一部に有機物の保護層が形成されていることが好ましく、無機微粒子の表面の少なくとも一部に短鎖アミンが付着していることがより好ましく、無機微粒子の表面の少なくとも一部に炭素数が4〜7のアミンが付着していることが更に好ましい。なお、無機微粒子の表面には、原料に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入する微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、微量の有機物が付着していてもよい。融点降下能を示すナノメートルサイズの無機粒子を安定的に保管するためには、無機粒子の表面の少なくとも一部に有機保護層が必要である。ここで、アミンは官能基が無機粒子の表面に適度の強さで吸着することから、有機保護層として好適に用いることができる。
炭素数が4〜7のアミンとしては、炭素数が4〜7であれば直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン(直鎖状アルキルアミン、側鎖を有していてもよい。)、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン、アニリン等のアリルアミン等の第1級アミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の第2級アミン、トリプロピルアミン、ジメチルプロパンジアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、キノリン等の第3級アミン等が挙げられる。
上記短鎖アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常温常圧の沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
もっとも、アミンは本発明の効果を得られるのであれば特に制限されるものではなく、短鎖アミン以外のアミン、例えばアルコキシアミンやドデシルアミン等の長鎖アミンを、分散性向上のために使用してもよい。
例えば、オレイルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン(直鎖状アルキルアミン、側鎖を有していてもよい。)、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン等のアルコキシアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン、アニリン等のアリルアミン等の第1級アミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の第2級アミン、トリプロピルアミン、ジメチルプロパンジアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、キノリン等の第3級アミン、オクチルアミン等のように炭素数が2〜20程度のものを例示することができる
本実施形態の接合用組成物における無機微粒子には、本発明の効果を損なわない範囲であれは、上記の短鎖アミンに加えて、カルボン酸を含んでいてもよい。カルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。また、カルボン酸は、無機微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、無機微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、溶媒と無機微粒子とを十分に親和させることができ、無機微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる。)。
カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、当該金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミドを形成する。当該アミド基も無機微粒子表面に適度に吸着するため、無機微粒子表面にはアミド基が付着していてもよい。
無機微粒子と当該無機微粒子の表面に付着した有機物によってコロイドが構成される場合、当該コロイド中の有機成分の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましい。有機成分含有量が0.5質量%以上であれば、得られる無機微粒子分散体の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、無機微粒子を含む接合用組成物を加熱して得られる焼成体の導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜30質量%であり、更に好ましい含有量は2〜15質量%である。
(1−3)無機粗粒子
本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子は、温度上昇に伴って当該無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張するものである。上述のとおり、無機粗粒子が、当該無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張することで、接合用組成物の主成分である無機粒子同士の距離が小さくなり、緻密化が極めて効率的に進行する。
無機粗粒子の大きな膨張は、無機粗粒子の内部発泡により生じることが好ましい。酸化や粒子内部の密度変化等に起因して不可逆的に膨張する無機粗粒子を用いることもできるが、内部発泡する無機粗粒子を用いることで、より確実に無機粗粒子に大きな不可逆的な熱膨張を発現させることができる。
ここで、本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子の線膨張係数は、例えば、TMA測定によって求めることができる。無機粗粒子が銀粗粒子の場合、大気中又は不活性ガス雰囲気において銀粗粒子を所定の温度まで昇温し、膨張収縮挙動を測定することで、線膨張係数を算出することができる。本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子は、当該測定により得られた線膨張係数が、当該無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えるものである。また、当該無機粗粒子の熱膨張は、内部発泡による塑性変形や酸化等の影響を受けるものであり、不可逆的な熱膨張となる(降温に伴い、純粋な昇温の効果による所謂熱膨張は可逆的に変化する)。
無機粗粒子は、150℃から250℃までの温度範囲において、無機粗粒子が無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、が好ましい。本発明の接合用組成物を使用する接合温度は、比較的低温である150〜250℃であり、当該温度範囲にて無機粗粒子が大きな膨張を示すことで、良好な接合体を得ることができる。
無機粗粒子(ミクロン粒子)の粒径の測定方法について述べる。ナノ粒子を含まないミクロン粒子のみの粒径を測定する場合は、レーザー回折散乱法による体積基準で測定したD50を平均粒径としてよい。また、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した電子顕微鏡写真から50〜100個程度の粒子の粒径の算術平均値を粒径としてもよい。
また、無機粒子の平均粒径(PL)は、動的光散乱法又は小角X線散乱法等で測定することができる。なお、平均粒径(PL)を測定するその他の手法としては、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真から測定することができる。
動的光散乱法を用いる場合、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550で測定した体積基準のメディアン径(D50)で平均粒径を表すことができる。具体的には、分散媒10ml中に無機粒子分散液を数滴滴下し、手で振動させるか、もしくは超音波により分散させて測定用試料を調製する。次いで、測定用試料3mlをLB−550のセル内に投入し、下記条件にて測定する。
・測定条件
データ読み込み回数:100回
セルホルダー内温度:25℃
・表示条件
分布形態:標準
反復回数:50回
粒子径基準:体積基準
分散質の屈折率:0.200−3.900(銀の場合)
分散媒の屈折率:1.36(例えばエタノールが主成分の場合)
・システム条件設定
強度基準:Dynamic
散乱強度レンジ上限:10000.00
散乱強度レンジ下限:1.00
無機粗粒子の粒径は、無機微粒子の粒径よりも大きければ特に限定されないが、平均粒径が1〜50μmであること、が好ましい。無機粗粒子の平均粒径を1μm以上とすることで、無機粗粒子の良好な分散性を確保すると共に、無機微粒子との平均粒径の差を十分大きくすることができ、所謂微粒粗粒混合による緻密化を図ることができる。また、無機粗粒子の平均粒径を50μm以下とすることで、接合層が厚くなり過ぎることを防止することができる。無機粗粒子のより好ましい粒径は1〜5μmである。
ここで、無機粗粒子は、粒径に対して結晶子径が小さく、例えば250〜300℃といった低温で焼成しても結晶子径が大きくなる.そのため、無機粗粒子は、内部の有機成分が揮発するタイミングで、膨張すると考えられる。また、還元粉の無機粗粒子は、その表面が疎水性であるため(疎水性の有機成分で覆われているため)、アミンで被覆されたナノ粒子との親和性がよく、接合組成物において良好な分散性を発揮し、接合特性を向上させると考えられる。
次に、無機粗粒子と無機微粒子の混合比率について述べる。無機粗粒子と無機微粒子との混合比率は、30/70〜70/30(重量)であればよく、好ましくは50/50〜70/30(重量)であればよい。無機粗粒子が多くなると、接合界面や粒子同士との接触面が少なくなり、無加圧で接合する場合は接合強度が低下するといった不具合が生じるおそれがある。他方、無機微粒子が多くなりすぎると、界面や粒子間の接触面は増えるが、粒子の比表面積が大きくなるため、揮発する有機成分が多くなりやすく、焼結による体積収縮も大きくなるため、接合層にボイドが多発してしまうおそれがある。
また、本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子は、無機粗粒子の内部に有機物が含まれていること、が好ましい。無機粗粒子の内部に有機物が含まれていることにより、接合プロセス中の温度上昇により当該無機物が分解して気体が発生し(内部発泡し)、無機粒子に大きな不可逆的な熱膨張を発現させることができる。
また、本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子は、還元粉であること、が好ましい。還元粉はその製造プロセス条件により、内部に有機物等を残存させることができる。特に、低温焼結性を付与するために結晶子径を数十nmとする場合は不安定なプロセス条件で合成する必要があり、有機物等の残存が顕著となる。つまり、内部に有機物が残存した還元粉を加熱することで、還元粉を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張させることができると推察されるからである。ここで、当該還元粉としては、例えば三井金属鉱業株式会社製の銀粗粒子を用いることができる。
本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子の構成元素としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ、鉄並びに白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金)のうちの少なくとも1種が挙げられる。上記構成元素としては、金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ又は白金族元素よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、更には、銅又は銅よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属、即ち、金、白金、銀及び銅のうちの少なくとも1種であるのが好ましく、銀とすることが最も好ましい。これらの元素は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよく、併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。
例えば、無機粗粒子として銀粗粒子を用いる場合、本実施形態の接合用組成物を用いて形成した接着層の導電率は良好となるが、マイグレーションの問題を考慮して、銀及びその他の金属からなる接合用組成物を用いることによって、マイグレーションを起こりにくくすることができる。当該「その他の金属」としては、上述のイオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウムが好ましい。
なお、本実施形態の接合用組成物における無機粗粒子と無機微粒子との組み合わせは、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、低温焼結性を有する無機微粒子と大きな線膨張係数を有する無機粗粒子とを組み合わせればよい。また、2種類以上の無機微粒子と無機粗粒子とを組み合わせてもよい。
(1−4)その他の成分
本実施形態の接合用組成物には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、分散媒、高分子分散剤、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
任意成分のうちの分散媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々のものを使用可能であり、例えば炭化水素及びアルコール等が挙げられる。
炭化水素としては、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、脂環式炭化水素及び不飽和炭化水素等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
環状炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、例えば、リモネン、ジペンテン、テルピネン、ターピネン(テルピネンともいう。)、ネソール、シネン、オレンジフレーバー、テルピノレン、ターピノレン(テルピノレンともいう。)、フェランドレン、メンタジエン、テレベン、サイメン、ジヒドロサイメン、モスレン、カウツシン、カジェプテン、オイリメン、ピネン、テレビン、メンタン、ピナン、テルペン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、アセチレン、ベンゼン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、テルペン系アルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、2−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、チアンシ酸、リシノール酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、アクリル酸、メタクリル酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。
これらのなかでも、水酸基を有する不飽和炭化水素が好ましい。水酸基は無機粒子の表面に配位しやすく、当該無機粒子の凝集を抑制することができる。水酸基を有する不飽和炭化水素としては、例えば、テルペン系アルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、チアンシ酸、リシノール酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。好ましくは、水酸基を有する不飽和脂肪酸であり、例えば、チアンシ酸、リシノール酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。
前記不飽和炭化水素はリシノール酸であることが好ましい。リシノール酸はカルボキシル基とヒドロキシル基とを有し、無機粒子の表面に吸着して当該無機粒子を均一に分散させると共に、無機粒子の融着を促進する。
また、アルコールは、OH基を分子構造中に1つ以上含む化合物であり、脂肪族アルコール、環状アルコール及び脂環式アルコールが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、OH基の一部は、本発明の効果を損なわない範囲でアセトキシ基等に誘導されていてもよい。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、ノナノール、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、イソトリデカノール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の飽和又は不飽和C6-30脂肪族アルコール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、クレゾール、オイゲノール等が挙げられる。
更に、脂環式アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、テルピネオール(α、β、γ異性体、又はこれらの任意の混合物を含む。)、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール(モノテルペンアルコール等)、ジヒドロターピネオール、ミルテノール、ソブレロール、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、ピノカルベオール、ベルベノール等が挙げられる。
本実施形態の接合用組成物中に分散媒を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良く、接合用組成物中の分散媒の含有量は、1〜30質量%であるのが好ましい。分散媒の含有量が1〜30質量%であれば、接合性組成物として使いやすい範囲で粘度を調整する効果を得ることができる。分散媒のより好ましい含有量は1〜20質量%であり、更に好ましい含有量は1〜15質量%である。
上記高分子分散剤としては、市販されている高分子分散剤を使用することができる。市販の高分子分散剤としては、例えば、上記市販品としては、例えば、ソルスパース(SOLSPERSE)11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(日本ルーブリゾール(株)製);ディスパービック(DISPERBYK)142;ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック2155(ビックケミー・ジャパン(株)製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学工業(株)製)等を挙げることができる。低温焼結性及び分散安定性の観点からは、ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース28000、ディスパービック142又はディスパービック2155を用いることが好ましい。
高分子分散剤の含有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が0.1%以上であれば得られる接合用組成物の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は接合性が低下することとなる。このような観点から、高分子分散剤のより好ましい含有量は0.03〜3質量%であり、更に好ましい含有量は0.05〜2質量%である。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、上記の分散媒として挙げられたものを除き、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量が200以上1,000以下の範囲内であるポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量が300以上1,000以下の範囲内であるポリプロピレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、グリセリン又はアセトン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機成分とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の接合用組成物に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる接合用組成物が得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤が好ましい。
なお、有機成分量を所定の範囲に調整する方法は、加熱を行って調整するのが簡便である。また、無機粒子を作製する際に添加する有機成分の量を調整することで行ってもよく、無機粒子調整後の洗浄条件や回数を変えてもよい。加熱はオーブンやエバポレーターなどで行うことができ、減圧下で行ってもよい。常圧下で行う場合は、大気中でも不活性雰囲気中でも行うことができる。更に、有機成分量の微調整のために、上記アミン(及びカルボン酸)を後で加えることもできる。
本実施形態の接合用組成物には、主成分として、無機微粒子がコロイド化した無機コロイド粒子が含まれるが、かかる無機コロイド粒子の形態に関しては、例えば、無機粒子の表面の一部に有機成分が付着して構成されている無機コロイド粒子、上記無機粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている無機コロイド粒子、それらが混在して構成されている無機コロイド粒子等が挙げられるが、特に限定されない。なかでも、無機粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている無機コロイド粒子が好ましい。当業者は、上述した形態を有する無機コロイド粒子を、当該分野における周知技術を用いて適宜調製することができる。
本実施形態の接合用組成物は、無機微粒子と有機成分とで構成されるコロイド粒子に無機粗粒子を添加したものを主成分とする流動体であり、無機微粒子、無機コロイド粒子を構成する有機成分、無機粗粒子のほかに、無機コロイド粒子を構成しない有機成分、分散媒または残留還元剤等を含んでいてもよい。
(2)接合方法
本実施形態の接合用組成物を用いれば、加熱を伴う部材同士の接合において高い接合強度を得ることができる。即ち、上記接合用組成物を第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に塗布する接合用組成物塗布工程と、第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に塗布した接合用組成物を、所望の温度(例えば300℃以下、好ましくは150〜250℃)で焼成して接合する接合工程と、により、第1の被接合部材と第2の被接合部材とを接合することができる。
この接合工程の際には、第1の被接合部材と第2の被接合部材とが対向する方向に加圧することもできるが、本実施形態の接合方法においては、外部加圧を印加しないことが好ましい。接合時に外部加圧を伴う場合、特に電子部品等を接合する場合は当該加圧によって被接合材が損傷する恐れがある。また、被接合材の剛性等によっては、十分に均一な加圧を印加することが困難な場合が存在する。ここで、本実施形態の接合用組成物は、無機粗粒子の大きな熱膨張により無加圧下においても十分な接合強度が得られるため、被接合材の損傷防止等の観点から、無加圧条件で接合を行うことが好ましい。また、焼成を行う際、段階的に温度を上げたり下げたりすることもできる。また、予め被接合部材表面に界面活性剤又は表面活性化剤等を塗布しておくことも可能である。
また、本実施形態の接合方法においては、酸素を含む雰囲気で接合を行うこと、が好ましい。接合用組成物に含まれる無機粗粒子の内部に有機物が存在する場合、当該有機物と雰囲気中の酸素との酸化反応によって内部発泡が生じ、無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、無機粗粒子を不可逆的に膨張させることができる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、前記接合用組成物塗布工程での接合用組成物として、上述した本実施形態の接合用組成物を用いれば、第1の被接合部材と第2の被接合部材とを、比較的低い接合温度で外部加圧を印加することなく、高い接合強度をもってより確実に接合できる(接合体が得られる)ことを見出した。
本発明の接合用組成物の分散媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々のものを使用可能であり、例えば炭化水素及びアルコール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
また、アルコールは、OH基を分子構造中に1つ以上含む化合物であり、脂肪族アルコール、環状アルコール及び脂環式アルコールが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、OH基の一部は、本発明の効果を損なわない範囲でアセトキシ基等に誘導されていてもよい。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の飽和又は不飽和C6−30脂肪族アルコール等が挙げられる。
ここで、本実施形態の接合用組成物の「塗布」とは、接合用組成物を面状に塗布する場合も線状に塗布(描画)する場合も含む概念である。塗布されて、加熱により焼成される前の状態の接合用組成物からなる塗膜の形状は、所望する形状にすることが可能である。したがって、加熱による焼成後の本実施形態の接合体では、接合用組成物は、面状の接合層及び線状の接合層のいずれも含む概念であり、これら面状の接合層及び線状の接合層は、連続していても不連続であってもよく、連続する部分と不連続の部分とを含んでいてもよい。
本実施形態において用いることのできる第1の被接合部材及び第2の被接合部材としては、接合用組成物を塗布して加熱により焼成して接合することのできるものであればよく、特に制限はないが、接合時の温度により損傷しない程度の耐熱性を具備した部材であるのが好ましい。
このような被接合部材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミクス、ガラス又は金属等を挙げることができるが、なかでも、金属製の被接合部材が好ましい。金属製の被接合部材が好ましいのは、耐熱性に優れているとともに、無機粒子が金属である本発明の接合用組成物との親和性に優れているからである。
また、被接合部材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された部材や親水化処理等の表面処理を施した部材を用いてもよい。
接合用組成物を被接合部材に塗布する工程では、種々の方法を用いることが可能であるが、上述のように、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー式、バーコート式、スピンコート式、インクジェット式、ディスペンサー式、ピントランスファー法、スタンピング法、刷毛による塗布方式、流延式、フレキソ式、グラビア式、オフセット法、転写法、親疎水パターン法、又はシリンジ式等のなかから適宜選択して用いることができる。
上記のように塗布した後の塗膜を、被接合部材を損傷させない範囲で、例えば300℃以下の温度に加熱することにより焼成し、接合体を得ることができる。本実施形態においては、先に述べたように、本実施形態の接合用組成物を用いるため、被接合部材に対して優れた密着性を有する接合層が得られ、強い接合強度がより確実に得られる。
本実施形態においては、接合用組成物がバインダー成分を含む場合は、接合層の強度向上及び被接合部材間の接合強度向上等の観点から、バインダー成分も焼結することになるが、場合によっては、各種印刷法へ適用するために接合用組成物の粘度を調整することをバインダー成分の主目的として、焼成条件を制御してバインダー成分を全て除去してもよい。
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のオーブン等を用いて、被接合部材上に塗布または描画した上記接合用組成物の温度が、例えば150〜250℃となるように焼成することによって接合することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、被接合部材同士を接合できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲の温度であることが好ましい。ここで、上記焼成後の接合用組成物においては、なるべく高い接合強度を得るという点で、有機物の残存量は少ないほうがよいが、本発明の効果を損なわない範囲で有機物の一部が残存していても構わない。
なお、本発明の接合用組成物には、有機物が含まれているが、従来の例えばエポキシ樹脂等の熱硬化を利用したものと異なり、有機物の作用によって焼成後の接合強度を得るものではなく、前述したように融着した金属粒子の融着によって十分な接合強度が得られるものである。このため、接合後において、接合温度よりも高温の使用環境に置かれて残存した有機物が劣化ないし分解・消失した場合であっても、接合強度の低下するおそれはなく、したがって耐熱性に優れている。
本実施形態の接合用組成物によれば、例えば150〜250℃程度の低温加熱による焼成でも高い導電性を発現する接合層を有する接合を実現することができるため、比較的熱に弱い被接合部材同士を接合することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、接合できる焼成時間であればよい。
本実施形態においては、上記被接合部材と接合層との密着性を更に高めるため、上記被接合部材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性ペースト受容層を設ける方法等が挙げられる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例において本発明の接合用組成物及び当該接合用組成物を用いた接合方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例1≫
3−エトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製の試薬特級)8.0gとドデシルアミン
(和光純薬工業(株)製の試薬一級)0.40gを混合し、マグネティックススターラーで十分に撹拌した。ここに、撹拌を行いながらシュウ酸銀6.0gを添加し、増粘させた。得られた粘性物質を120℃の恒温槽に入れ、約15分間反応させた。メタノール10mlを加えて撹拌後、遠心分離により銀ナノ粒子を沈殿させて分離し、上澄みを捨てた。この操作をもう一度繰り返し、銀ナノ粒子(無機微粒子)を得た。分散媒としてトリデカノール1gを用い、得られた銀ナノ粒子5gと、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J,D50:2.5μm)10gと、を混合して実施接合用組成物1を得た。
銀微粒子の粒径の測定は50nmであった。少量の接合用組成物を10mlのトルエンで希釈し、株式会社堀場製作所製のLB−550を用いて動的光散乱法(DLS)にて銀粗粒子を添加せずに合成し、測定した。
[評価試験]
(1)銀粗粒子(無機粗粒子)の線膨張係数測定
銀粗粒子1gを5×20mmダイス(DT60N−052030)に入れ、20kNで1分間のプレスを施し(NPaシステム製, 100kNマイティプレス, MT−100H)、試験片を作成した。TMA(リガク社製, TMA8310)を用い、作成した試験片を大気中、昇温速度5℃/分で400℃まで昇温し、膨張収縮挙動の測定及び線膨張係数の算出を行った。得られた結果を基に、物質固有の線膨張係数を超えた不可逆的膨張の有無を判断した。各温度における線膨張係数を表1に示し、物質固有の線膨張係数を超えた不可逆的膨張の有無を表2に示した。
(2)銀粗粒子(無機粗粒子)の内部発泡状況の確認
上記(1)で作成した試験片をフロー炉(シンアペックス製)に入れ、大気又は窒素雰囲気において各温度で焼成を行い、イオンミリング (日立ハイテクノロジーズ製,E−3500)にて断面出しを行った。その後、走査電子顕微鏡 (日立ハイテクノロジーズ製,S−4800)にて断面観察を行い、銀粗粒子内部における気泡の有無を確認した。
(3)接合強度測定
接合用組成物を銀メッキした銅板(20mm角)にメタルマスクを用いて5mm角に塗布し、その上に、金メッキを施したSiチップ(底面積5mm×5mm)を積層した。次に、得られた積層体を、リフロー炉(シンアペックス製)に入れ、大気中で焼成処理を行った。焼成処理の際、加圧は行わず無加圧で行った。積層体を取り出した後、常温にてボンドテスター(レスカ社製)を用いて接合強度試験を行った。接合温度、接合時間及び得られた接合強度を表2に示した。
(5)ボイド率測定
(3)で得られた積層体について、日本クラウトクレーマー製の超音波探傷装置(探触子80MHz・φ3mm・PF=10mm)を用いてボイドを評価した。接合界面での反射ピークが最も高くなるところに微調整し、材質音速=Si:9600mm/sとして測定した。ボイド率は反射強度の閾値を55%とし、それ以上をボイドとみなした。得られた値を表2に示した。
≪実施例2≫
銀粗粒子として、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J,D50:2.5μm)6gと、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),MD30A,D50:3.8μm)2gと、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),MD40A,D50:8.1μm)2gと、を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施接合用組成物2を得た。また、実施例1と同様にして銀粗粒子及び実施接合用組成物2の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
≪実施例3≫
銀粗粒子として、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),MD30A,D50:3.8μm)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施接合用組成物3を得た。また、実施例1と同様にして銀粗粒子及び実施接合用組成物3の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
≪実施例4≫
銀粗粒子として、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SL03,D50:4.2μm)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施接合用組成物4を得た。また、実施例1と同様にして銀粗粒子及び実施接合用組成物4の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
≪比較例1≫
銀粗粒子として、アトマイズ法にて製造された銀粗粒子(福田金属箔粉工業(株),Ag−HWQ2.5,D50:2.5μm)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較接合用組成物1を得た。また、実施例1と同様にして銀粗粒子及び比較接合用組成物1の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
≪比較例2≫
銀粗粒子として、アトマイズ法にて製造された銀粗粒子(福田金属箔粉工業(株),Ag−HWQ5,D50:5.0μm)6gと、アトマイズ法にて製造された銀粗粒子(福田金属箔粉工業(株),Ag−HWQ10,D50:10.0μm)4gと、を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較接合用組成物2を得た。また、実施例1と同様にして銀粗粒子及び比較接合用組成物2の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
本発明の実施例である実施接合用組成物1〜4で用いた、還元法にて製造された銀粗粒子は、銀の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有していることが分かる。具体的には、三井金属鉱業(株),SPN20Jは230℃で2096、三井金属鉱業(株),MD30Aは220℃で300、三井金属鉱業(株),MD40Aは200℃で1600と、極めて高い値を示している。これに対し、アトマイズ法にて製造された銀粗粒子の線膨張係数は約20であり、銀の線膨張係数と同等の値となっている。
なお、銀の線膨張係数は、20℃で19.7×10-6/Kである (機械設計便覧より)。銀の各温度における線膨張係数は不明だが、金属データブック(日本金属学会編)には、に図1のようなTMAプロットが掲載されており、それによると温度に対してほぼ直線的に変化しているためほとんど変化はないと考えられる。
還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J)及びアトマイズ法にて製造された銀粗粒子(福田金属箔粉工業(株),Ag−HWQ5)のTMA測定結果を図1に示す。Ag−HWQ5の熱膨張は温度の上昇に伴って略線形に増加しているのに対し、SPN20Jの熱膨張は略210℃から急激に増加し、銀の線膨張係数を大幅に超える値を示していることが分かる。
未焼成及び大気中で焼成した銀粗粒子圧粉体の断面の走査電子顕微鏡写真を図2に示す。還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J)は未焼成の状態では内部に気泡は存在しないが、220℃以上での焼成によって内部気泡が生成している。これに対し、アトマイズ法にて製造された銀粗粒子(福田金属箔粉工業(株),Ag−HWQ5)については、250℃での焼成によっても内部気泡が生成していない。
内部発泡に及ぼす焼成雰囲気の影響を示す銀粗粒子圧粉体の断面の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。上述のとおり、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J)は大気中、220℃以上での焼成によって内部気泡が生成しているが、焼成雰囲気を窒素とした場合、250℃に昇温しても内部気泡が生成していない。当該結果は、還元法にて製造された銀粗粒子(三井金属鉱業(株),SPN20J)では、粒子内部に存在する有機物の酸化分解によって内部発泡が生じることを示している。
実施接合用組成物1〜4を用いて得られた積層体は、無加圧かつ低温の接合条件を用いても24〜43MPaの高い接合強度を有している。また、接合層のボイド率は、比較接合用組成物5及び6を用いて得られた接合層と比較して、明瞭に低下している。
実施接合用組成物1を用いて接合温度を270℃とした場合は、接合層のボイド率が20%となり、接合強度が25MPaと比較的低くなっているが、銀粗粒子の内部発泡によって銀粗粒子に開口部が形成されたことが原因であると思われる。
また、接合温度が230℃の場合で比較すると、三井金属鉱業(株),SPN20Jを多く含む実施接合用組成物1を用いて得られた積層体の強度が高くなっている(43MPa)。SPN20Jは230℃の線膨張係数が2096と極めて高いため、本発明の効果が明瞭に発現したものと考えられる。

Claims (12)

  1. 無機粒子及び有機成分を含む接合用組成物であって、
    前記無機粒子は、温度上昇に伴って前記無機粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、
    を特徴とする接合用組成物。
  2. 前記無機粒子は無機微粒子と無機粗粒子とを含み、
    前記無機粗粒子は、温度上昇に伴って前記無機粗粒子を構成する無機物質の線膨張係数を超えて、不可逆的に膨張すること、
    を特徴とする請求項1に記載の接合用組成物。
  3. 前記無機微粒子の平均粒径が1〜1μmであること、
    を特徴とする請求項2に記載の接合用組成物。
  4. 前記無機粗粒子の内部発泡により、前記膨張が生じること、
    を特徴とする請求項2又は3に記載の接合用組成物。
  5. 前記無機粗粒子の平均粒径が1〜50μmであること、
    を特徴とする請求項2〜4のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
  6. 前記無機粗粒子の内部に有機物が含まれていること、
    を特徴とする請求項2〜5のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
  7. 前記無機粗粒子が還元粉であること、
    を特徴とする請求項2〜6のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
  8. 前記無機粒子が銀粒子であること、
    を特徴とする請求項2〜7のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
  9. 前記温度上昇が150℃から250℃までの温度範囲であること、
    を特徴とする請求項2〜8のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
  10. 請求項1〜9に記載の接合用組成物を用いた接合方法であって、
    接合温度を、前記内部発泡が生じる温度以上、前記内部発泡によって前記無機粗粒子に開口部が形成される温度未満、に設定すること、
    を特徴とする接合方法。
  11. 無加圧条件で接合を行うこと、
    を特徴とする請求項10に記載の接合方法。
  12. 酸素を含む雰囲気で接合を行うこと、
    を特徴とする請求項10又は11に記載の接合方法。
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