本発明は様々な変更形態及び代替形態が可能であるが、本発明の一例としての実施形態が実施例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、一例としての実施形態の本明細書における説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によって規定された本発明の趣旨及び範囲に入る全ての変更形態、同等形態、及び代替形態を含む。
本明細書及び添付図面により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直行する縦方向と横方向と厚さ方向とを有する吸収性物品であって、
前記横方向に沿って配置された腹側外装部材と、
前記横方向に沿って配置された背側外装部材と、を有し、
前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の各々は、非肌側の非肌側シートと肌側の肌側シートを備え、
前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの少なくとも一方の部材について、前記非肌側シート又は前記肌側シートに、前記横方向に所定の長さを有する複数の切れ目が設けられており、
前記複数の切れ目は、前記横方向及び前記縦方向において間隔をあけて設けられており、
前記非肌側シートと前記肌側シートの間には、前記横方向に沿った糸ゴムが複数設けられており、
前記複数の糸ゴムのうち前記縦方向に隣接している一方の前記糸ゴムと他方の前記糸ゴムの間には、複数の前記切れ目のうちのある切れ目が設けられており、
前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離は、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離と異なる、ことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の縦方向で隣接する2つの糸ゴムの間で切れ目が一方の糸ゴムに近寄って位置しているため、同じ切れ目の中で、糸ゴムからの距離が小さいエッジは、糸ゴムからの距離が大きいエッジよりも糸ゴムによる横方向の張力の影響を受けやすく、糸ゴムからより離れているエッジよりも細かく皺がよる。従って、同じ切れ目の片方の側のエッジともう片方の側のエッジとで形成される皺の様子が異なるため、スリットが確実に開口する。
かかる吸収性物品であって、
前記一方の前記糸ゴムは、前記他方の前記糸ゴムよりも、前記縦方向において上側に位置しており、
前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離が、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離よりも長いのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、切れ目を、縦方向で脚周り開口に近い糸ゴムよりも胴周り開口に近い糸ゴムに近づけて位置させることにより、糸ゴムの張力を受けた場合に切れ目により上向きの開口が形成される。従って、介助者が吸収性物品の胴回り開口を広げて着用者に履かせる際に、着用者又は介助者が確実に切れ目の存在を認識できる。
かかる吸収性物品であって、
前記一方の前記糸ゴムは、前記他方の前記糸ゴムよりも、前記縦方向において上側に位置しており、
前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離が、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離よりも長いのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、切れ目を、胴周り開口に近い糸ゴムよりも縦方向で脚周り開口に近い糸ゴムに近づけて位置させることにより、糸ゴムの張力を受けた場合に切れ目により下向きの開口が形成される。従って、介助者が吸収性物品の脚周り開口から手を入れて着用者に履かせる際に、着用者又は介助者が確実に切れ目の存在を認識できる。
かかる吸収性物品であって、
前記一方の前記糸ゴムは、前記他方の前記糸ゴムよりも、前記縦方向において上側に位置しており、
前記吸収性物品の前記縦方向及び前記横方向に任意に異なる場所を含むある部分における、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離を、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離で除した値が、
前記吸収性物品の前記縦方向及び前記横方向に任意に異なる場所を含む他の部分における、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離を、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離で除した値と異なるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、
吸収性物品のある部分における切れ目の一方の糸ゴム及び他方の糸ゴムに対する近寄り方と、他の部分における切れ目の一方の糸ゴム及び他方の糸ゴムに対する近寄り方が異なる。従って、ある部分と他の部分とで、切れ目の開口の向きと切れ目の開口の大きさの両方を異ならせることができる。
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性物品の前記ある部分においては、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離が、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離よりも大きく、
前記吸収性物品の前記他の部分においては、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離が、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離よりも大きいのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品のある部分においては、切れ目が上側の糸ゴムに近く、他の部分においては、切れ目が下側の糸ゴムに近い。従って、ある部分では上向きの開口が形成され、他の部分では下向きの開口が形成されるというように、部分によって開口の向きを異ならせることができる。
かかる吸収性物品であって、
前記横方向において、前記吸収性物品の前記ある部分の位置と、前記吸収性物品の前記他の部分の位置が異なるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、ある糸ゴムに沿って見た場合に、異なる位置で切れ目の糸ゴムに対する近寄り方が異なり、横方向の位置によって切れ目の開口の向きと切れ目の開口の大きさの両方を異ならせることができる。
かかる吸収性物品であって、
前記一方の前記糸ゴムは、前記他方の前記糸ゴムよりも、前記縦方向において上側に位置しており、
前記腹側外装部材における、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離を、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離で除した値の平均値が、
前記背側外装部材における、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離を、前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離で除した値の平均値と異なるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、腹側外装部材と背側外装部材とを全体として比較してみた場合に、それぞれの部材の切れ目による開口の向き及び切れ目の開口の大きさを異ならせることができる。例えば、着用者のそれぞれの部材に対応する体の部分の汗のかきやすさ等に応じて、通気を調整することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記平均値は、前記腹側外装部材における値の方が、前記背側外装部材における値よりも1に近いのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、着用者が汗をかきやすい背中側にある切れ目の開口を大きくすることができる。
かかる吸収性物品であって、
前記一方の前記糸ゴムと前記ある切れ目の間の距離と、前記他方の前記糸ゴムと前記ある切れ目との間の距離との差の絶対値が、
他の前記一方の前記糸ゴムと他の切れ目との間の距離と、他の前記他方の前記糸ゴムと前記他の切れ目との間の距離との差の絶対値よりも大きく、
前記一方の糸ゴムと前記他方の糸ゴムの張力は、前記他の前記一方の糸ゴムと前記他の前記他方の糸ゴムの張力よりも大きいのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、糸ゴムが近接して配置された切れ目をより大きく開口し、請求項1に係る発明の効果を強調することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記複数の線状の切れ目の各々の長さが5mm乃至15mmであるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、切れ目の幅を5mm以上とすることで着用者(介助者)が認識することができ、15mm以上とすることで、資材が捲れあがるのを防ぐことができる。
かかる吸収性物品であって、
前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の少なくとも一方の部材において、前記非肌側シートの端部が前記肌側シート側に折り返されて、前記肌側の前記肌側シートと接合されているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、胴回り開口周辺部は、着用者が吸収性物品を引き上げる際に破断しやすい部分であるが、その部分の積層枚数を増加させることで、胴回り開口周辺部の強度を増加させることができる。
かかる吸収性物品であって、
前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の少なくとも一方の部材において、前記肌側シートの前記縦方向の端部の肌側に補強シートが設けられているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、胴回り開口周辺部は、着用者が吸収性物品を引き上げる際に破断しやすい部分であるが、その部分の積層枚数を増加させることで、胴回り開口周辺部の強度を増加させることができる。
===第1の実施形態===
図1は、3ピースタイプの使い捨ておむつ等の、本発明に従った吸収性物品100の斜視図である。
また、図2は、展開状態の吸収性物品100を肌側から見た概略平面図である。
図1及び図2に示されているように、吸収性物品100は、互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有している。吸収性物品100は、着用者の股間を覆い排泄物等の流体を吸収する吸収性本体102と、着用者の腹側部を覆う腹側外装部材104と、着用者の背側部を覆う背側外装部材106とを有する。
吸収性本体102は、その長手方向が縦方向に沿うように配置され、腹側外装部材104は、その長手方向が横方向に沿うように配置され、吸収性本体102の長手方向の一方の端部に厚さ方向の非肌側から重ねられて固定されている。背側外装部材106は、腹側外装部材104よりも面積の大きい別部材として、その長手方向が横方向に沿うように配置されており、吸収性本体102の長手方向の他方の端部に厚さ方向の非肌側から重ねられて固定されている。
図2の展開状態の図に示されているように、腹側外装部材104と背側外装部材106とが互いの間に間隔をあけて平行に並んだ状態で、これらの間に吸収性本体102が掛け渡されつつ、吸収性本体102の長手方向の各端部102ea及び102ebがそれぞれ最寄りの腹側外装部材104及び背側外装部材106に接合固定されており、その外観形状は平面視略H形状をなしている。そして、この状態から、吸収性本体102がその長手方向の略中央部102axを折り位置として二つ折りされるとともに、この二つ折りの状態において互いに対向する腹側外装部材104及び背側外装部材106同士が、着用者の脇腹に当接すべき部分104e及び106e(横方向の各端部104e及び106e)にて連結されると、これら腹側外装部材104及び背側外装部材106同士が環状に繋がって、これにより、図1に示すような胴周り開口APwc及び一対の脚周り開口APtcが形成された着用状態の吸収性物品100となる。
腹側外装部材104及び背側外装部材106同士の連結構造は、種々の連結構造を採用できる。例えば、溶着等の取り外し不能な連結構造を用いれば、パンツ型の吸収性物品100にすることができ、図示しないファスニングテープ部材等の着脱自在な連結構造を用いれば、オープン型の吸収性物品100にすることができる。この例では、前者の連結構造を用いており、これにより、吸収性物品100はパンツ型とされる。
図2及び図3Bに示されているように、吸収性本体102は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を平面視略砂時計形状等の所定形状に成型した吸収性コア108と、吸収性コア108を肌側から覆う表面シート部材110と、吸収性コア108を非肌側から覆って吸収性本体102の外装をなす裏面シート部材112と、を備えている。吸収性コア108は、高吸収性ポリマー等の液体吸収性粒状物を含有しても良く、又は、液体吸収性繊維及び液体吸収性粒状物以外の液体吸収性素材を含んでも良い。また、吸収性コア108は、図示しないティッシュペーパー等の液透過性シートで被覆されていても良い。
表面シート部材110は、吸収性コア108よりも大きい平面サイズの液透過性の不織布である。裏面シート部材112も、吸収性コア108より大きい平面サイズのシートであり、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の液不透過性の防漏シート112aと、不織布等の外装シート112bとが貼り合わされた二層構造のシート部材112とすることができる。これら裏面シート部材112と表面シート部材110との間に吸収性コア108を挟んだ状態において、吸収性コア108の四辺から外側にはみ出す部分にて、裏面シート部材112の防漏シート112aと表面シート部材110とが額縁状に貼り合わされ、これにより、吸収性本体102が形成されている。
図1、図2、及び図3Bに示されているように、外装シート112bによって立体ギャザーLCG及び脚回りギャザーLGを形成しても良い。立体ギャザーLCGは、表面シート部材110の横方向の各端部にそれぞれ起立して設けられた防漏壁部LCGを指し、脚回りギャザーLGは、吸収性物品100の各脚周り開口APtcに形成される伸縮部LGを指す。外装シート112bの横方向の寸法は、防漏シート112aよりも十分大きくされており、すなわち、外装シート112bは、防漏シート112aの横方向の両側から横方向に大きくはみ出している。このはみ出した部分112bfが、吸収性本体102の横方向の端部102esをなす位置を折り返し位置として横方向の中央側に折り返されて、同折り返し位置の近傍に縦方向に沿って糸ゴム等の弾性部材114が縦方向に伸長状態で固定され、脚回りギャザーLGが形成されている。折り返された部分112bgは、更に横方向の中央側へと延び、表面シート部材110の横方向の端部を覆う位置で、その横方向の端部に接合されている。この横方向の端部に接合された部分が立体ギャザーLCGの基端部LCGbとして機能し、基端部LCGbよりも更に横方向の先端側の部分が自由端部分LCGfとして表面シート部材110から起立可能となっている。自由端部分LCGfの先端部には、縦方向に沿って糸ゴム等の弾性部材116が縦方向に伸長状態で固定されている。従って、弾性部材116の縦方向の収縮によって、表面シート部材110側が内周側となるように吸収性本体102は縦方向に湾曲するが、この湾曲時には、弾性部材116によって与えられる収縮力によって自由端部分LCGfは、縦方向に収縮して表面シート部材110から起立し、これにより、自由端部分LCGfは立体ギャザーLCGとして機能する。
表面シート部材110と吸収性コア108との間、又は、裏面シート部材112と吸収性コア108との間に、セカンドシートとしてティッシュペーパー等の液透過性シートを介在させても良い。
腹側外装部材104及び背側外装部材106は、何れも、不織布等の柔軟なシートを素材とした平面視略矩形形状のシート部材を用いて形成することができる。図3A及び図3Bに示されているように、不織布の非肌側シート118及び肌側シート120を二枚重ねに接合することで腹側外装部材104及び背側外装部材106は形成されている。非肌側シート118及び肌側シート120は、互いに同じサイズでなくても良く、例えば、図2中のVI−VI断面図を示している図4に示されているように構成しても良い。すなわち、厚さ方向の非肌側に位置する非肌側シート118の方が肌側シート120よりも縦方向の端側にはみ出すように、互いの縦方向の大きさを異ならせても良い。この場合には、図4に示されているように、非肌側シート118のうちで、肌側シート120から縦方向にはみ出す部分118fが、肌側シート120の縦方向の端縁の近傍位置を折り返し位置として縦方向の中央側に折り返されている。そして、折り返された部分118gが、肌側シート120に重ね合わせられて接合されている。この折り返しの際には、吸収性本体102の縦方向の端部102ea及び102ebの一部を、折り返された部分118gで吸収性本体102の肌側から覆うようにしても良い。
図1及び図2に示されているように、腹側外装部材104及び背側外装部材106は、それぞれ、吸収性本体102と縦方向及び横方向において重複するインナー重複領域132be及び132reと、吸収性本体102と縦方向において重複し横方向において重複しない脇下領域134be及び134reと、吸収性本体102と縦方向において重複せず横方向において重複しない脇上領域136be及び136reと、吸収性本体102と縦方向において重複せず横方向において重複するインナー上側領域138be及び138reとを有する。
腹側外装部材104及び背側外装部材106は、それぞれ、インナー重複領域132be及び132reで、吸収性本体102における縦方向の各端部102ea及び102ebを吸収性本体102の非肌側から覆いながら、各端部102ea及び102ebに腹側外装部材104及び背側外装部材106のインナー重複領域132be及び132reが重ね合わせられて接合されている。
腹側外装部材104及び背側外装部材106のインナー重複領域132be及び132reへの吸収性本体102の重ね合わせは、インナー上側領域138be及び138reには吸収性本体102を重ねずに行われる。これにより、腹側外装部材104及び背側外装部材106におけるインナー上側領域138be及び138reは、横方向の全長に亘って、吸収性本体102と縦方向で重複しない帯状部分となる。これらのインナー上側領域138be及び138reは、吸収性物品100の胴回り開口APwcを構成する部分となり、これらのインナー上側領域138be及び138reには、弾性部材140が、インナー上側領域138be及び138reにおける横方向の略全長に亘って連続して設けられている。また、吸収性本体102が重ならないインナー上側領域138be及び138reの縦方向の大きさLbe及びLreについては、腹側外装部材104よりも背側外装部材106の方が大きくされており(Lre>Lbe)、全体として吸収性本体102は、背側外装部材106よりも腹側外装部材104の方に偏って配置されている。これにより、排泄物等の流体の円滑な吸収性が担保されている。また、代替的に、大きさLbe及びLreの大小関係を逆(Lre<Lbe)にしても良く、又は、大きさLbe及びLreを互いに等しく(Lre=Lbe)しても良い。
本発明に従った吸収性物品100では、非肌側シート118と肌側シート120の間に、横方向に沿った糸ゴム等の弾性部材140が複数設けられている。弾性部材140は、ホットメルト接着剤等の接着剤を所定の目付量(単位面積当たりの重量)で付着させる(塗布する)ことにより形成される接着領域によって横方向に伸長した状態で非肌側シート118及び肌側シート120の一方または両方に固定されている。接着領域の形成は、非肌側シート118及び肌側シート120の側に接着剤を付着させることにより行われても良く、弾性部材140の側に接着剤を付着させることにより行われても良く、その両方によって行われても良い。
図2に示されているように、腹側外装部材104及び背側外装部材106において、一対の内側接着領域142が、吸収性本体102の縦方向の端部102ea及び102ebよりも横方向の両内側で弾性部材140と重複するように形成される。内側接着領域142においては、領域全体にスパイラル塗工やコントロールシーム塗工、スロットコーターによる全面塗工などの塗工手段を用いて接着剤が塗布されている。
本発明に従った吸収性物品100においては、弾性部材140の少なくとも一部が切断されることにより、横方向の収縮力が調整されている。
横方向に伸長した状態で配置されている弾性部材140は、一対の内側接着領域142の間で、例えば、中央線CLの位置でカッター等によって切断される。但し、弾性部材140の切断箇所は中央線CLの位置には限られず、中央線CLからずれた位置において切断されるのであっても良いし、脚回りギャザーLG用の弾性部材114及び立体ギャザーLCG用の弾性部材116の間の複数箇所で切断されるのであっても良い。また、弾性部材140が1回の切断工程(切断動作)で切断されるのではなく、複数回の切断工程で切断されるのであっても良い。切断された弾性部材140は、該切断された箇所から脚回りギャザーLG用の弾性部材114及び立体ギャザーLCG用の弾性部材116の横方向外側まで収縮する。以下この動作を「カットバック」と呼ぶ。
弾性部材140のうち、吸収性本体102と重複する領域(弾性部材140がカットバックする領域)に配置された部分の伸長倍率は、他の領域の弾性部材140や、他の弾性部材の伸長倍率よりも高くなっている。「伸長倍率」とは、各弾性部材を伸長した状態でシート等に固定する際の伸長の度合いのことをいい、伸長倍率が高いほど、弾性部材は大きな収縮力を発現することができる。弾性部材140の伸長倍率が低い場合には、カットバックが不十分になるおそれがあるからである。例えば、伸長倍率が低い場合に、弾性部材140が中央線CLにて切断された後、十分に収縮せず、該弾性部材140の一部が脚回りギャザーLG用の弾性部材114及び立体ギャザーLCG用の弾性部材116の横方向内側に残留してしまうおそれがある。そこで、吸収性本体102と重複する領域における弾性部材140の伸長倍率を他の弾性部材等の伸長倍率よりも高くすることで、カットバックによる収縮が適正に生じるようにしている。これにより、横方向に収縮した弾性部材140の一部が、脚回りギャザーLG用の弾性部材114及び立体ギャザーLCG用の弾性部材116の横方向内側に残留することを抑制できる。
このように弾性部材140を収縮させる位置を正確にコントロールしてカットバックさせることにより、胴回りにおける締め付け力を精度良く調整することが可能となり、吸収性物品100のフィット性をより向上させることができる。また、カットバックが生じることによって、脚回りギャザーLG用の弾性部材114及び立体ギャザーLCG用の弾性部材116と弾性部材140とが交差しなくなるため、互いの収縮力が作用しにくくなり、吸収性物品100の着用時において着用者は脚等を動かしやすくなる。
図1及び図2に戻ると、非肌側シート118と肌側シート120とが積層されて形成されている腹側外装部材104及び背側外装部材106において、吸収性物品100の複数の横長の切れ目150が、脇下領域134be及び134re、脇上領域136be及び136reに形成されている。切れ目150は、吸収性物品100の横方向に沿って、所定の間隔(スリットピッチ)をあけて複数が列状に形成されている。図2を参照すると、例えば、脇下領域134be及び134reにおいては、それぞれの切れ目の長さ(スリット長)は、3[mm]で、スリットピッチを8[mm]あけて1列ごとに4つの切れ目150が形成されている。脇上領域136be及び136reにおいては、スリット長が2[mm]の切れ目150が、8[mm]のスリットピッチをあけて1列ごとに5つ形成されている。この1列の切れ目150が、縦方向の弾性部材140の間隔に応じて、所定の間隔で縦方向に複数形成されている。切れ目150は、通常、非肌側シート118及び肌側シート120の少なくとも一方を細く切り込んだ部分である。線状の切れ目150は、長さが5mm乃至15mmであることが望ましい。切れ目150は、スリット長を5[mm]以上とすることで認識しやすくなり、15[mm]以下とすることで、資材が捲れあがるのを防ぐことができる。切れ目150は、線状の切れ目であってもよく、幅をもって切欠いた部分であっても良い。部材の強度を考慮すれば線状の切れ目であることが好ましい。切れ目150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の少なくとも一方に形成されているものであっても良く、腹側外装部材104及び背側外装部材106に同様に形成されているものであっても良い。また、切れ目150は、非肌側シート118及び肌側シート120の少なくとも一方に形成されているものであっても良く、非肌側シート118と肌側シート120に同様に形成されているものであっても良い。
図2に示されているように、切れ目が刻まれている脇下領域134be及び134reと、脇上領域136be及び136reとは、横方向に幅Wを有しており、横方向に幅Mを有しているインナー重複領域132be及び132reと、インナー上側領域138be及び138reの両側に位置している。幅Wを有する上記の領域のうち、腹側外装部材104及び背側外装部材106の横方向の各端部104e及び106eから距離W2以内にあるサイドシール領域の接合基底部近傍の側域外方部W2を除いた、W1の幅を有する内側領域に切れ目150が形成されている(以下、この領域を、「両側スリット領域SSA」という)。また、脇上領域136be及び136reと、インナー上側領域138be及び138reとは、吸収性物品100の胴周り開口APwcを形成する、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向の各端部から、縦方向に長さH1を有しており、脇下領域134be及び134reと、インナー重複領域132be及び132reとは、吸収性物品100の脚周り開口APtcを形成する、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向の各端部から、縦方向に長さH2を有している。すなわち、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向の長さHは、H=H1+H2で表される。インナー重複領域132be及び132reの脚周り開口APtc側の各端部から縦方向に長さH2を有している部分のうち、同端部から距離H20以内にある部分には、上記のカットバック処理が施されており、吸収性コア108の部分には、弾性部材140が存在していない。脇下領域134be及び134reのうち、吸収性物品100の脚周り開口APtcを形成する、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向の各端部から距離H20以内にある部分には、長めの切れ目150が形成されている。脇下領域134be及び134reのうちの残りの、縦方向に長さH21を有している部分には、短めの切れ目150が形成されている。脇下領域134be及び134reと、インナー重複領域132be及び132reの縦方向の長さH2は、H2=H20+H21で表される。脇上領域136be及び136reには、短めの切れ目150が形成されている。
横方向に幅Mを有しているインナー重複領域132be及び132reと、インナー上側領域138be及び138reとは、切れ目150が形成されていない領域(以下、この領域を「非スリット領域NSA」という)となっている。また、サイドシール領域の近傍の側域外方部W2は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向の長さHの全域に亘って非スリット領域とされている。
上記のように、腹側外装部材104及び背側外装部材106の両側スリット領域SSAは、非スリット領域NSAを介し、間隔をおいて横方向の幅方向に並ぶ配列となっている。非スリット領域NSAでは、腹側外装部材104又は背側外装部材106と吸収性本体102とが縦方向及び横方向に重複しているので、縦方向及び横方向のせん断力に対して大きな剛性を持っている部分となる。腹側外装部材104及び背側外装部材106の非スリット領域NSAの横方向の長さMは、両側スリット領域SSAの作用と、非肌側シート118と肌側シート120の接合強度とを考慮して、適宜設定され得る。
上記の非肌側シート118及び肌側シート120の積層領域は、双方のシート部材が接合され一体となって、吸収性物品100の胴回り方向、すなわち横方向に伸縮性を有している。非肌側シート118の両側スリット領域SSAは、内層材31と接合されて伸縮性を有している。両側スリット領域SSAでは、非肌側シート118及び肌側シート120が縦方向長さHに亘って面状に接合されて伸縮性を有している。この伸縮性は、非肌側シート118と肌側シート120との間に弾性部材140を介在させることにより、さらに高められる。この場合、弾性部材140は、伸長状態で非肌側シート118及び肌側シート120との間に挟持されており、これにより、伸縮性を有する。又は、代替的に、伸縮性を有する材料を使用して、非肌側シート118及び肌側シート120の両方又はいずれか一方を構成することもできる。
両側スリット領域SSAにおいては、伸縮性を有する腹側外装部材104及び背側外装部材106の横方向の収縮により切れ目150を構成する2つのエッジのすきまが広がり、腹側外装部材104及び背側外装部材106の通気口となる。また、着用者が吸収性物品100の装着後に体の動きなどで腹側外装部材104及び背側外装部材106を伸長又は収縮させると、その動きに合わせて通気口が開閉し吸収性物品100内の湿気排出を促し、通気性をさらに高める。また、複数の切れ目150があることで、非肌側シート118の両側スリット領域SSAは非スリット領域NSAよりも変形し易く柔軟性に優れる。さらに、伸縮性により個々の切れ目150がよれて細かな襞ができ腰回り領域が柔らかくなる。
弾性部材140は、列状に形成された切れ目150を避け、非肌側シート118と肌側シート120との間に横方向に伸長状態で、縦方向に間隔をあけて複数配され、接合固定されている。すなわち弾性部材140は、切れ目150から外部に露出することなく、非肌側シート118及び肌側シート120にしっかりと挟持され接合固定されている。これにより弾性部材140は、腹側外装部材104及び背側外装部材106を形成する非肌側シート118及び肌側シート120を一体のものとして胴回り方向すなわち横方向に伸縮性を付与している。弾性部材140は、上記のようにホットメルト接着剤を用いて、両側スリット領域SSAでの接合のみならず、インナー重複領域132be及び132re及び側域外方部W2で非肌側シート118及び肌側シート120に面状に連続接合されていることが好ましい。これにより、弾性部材140自体に塗布されたホットメルト接着だけでなく、非肌側シート118と肌側シート120のシート面でも止めることでゴム抜けを防止できる。
上記の横方向に間隔をあけて形成された列状の切れ目150の縦方向の間隔は、例えば、吸収性物品100における縦方向の位置に応じて異なっても良いが、その場合には、弾性部材140の縦方向の間隔が縦方向の位置に応じて異なっており、縦方向において隣り合う2つの切れ目150の列の間に1つずつ弾性部材140が配置されていることが好ましい。縦方向の位置によって弾性部材140のピッチが異なっている場合に、それに合わせて縦方向に隣り合っている切れ目150の間隔が異なっており、縦方向において隣り合う2つの切れ目150の間に1つずつ弾性部材140が配設されるようになっていることにより、資材強度を増加させることができ、各切れ目150を確実に開口させることができる。
ここで、吸収性物品100を装用する着用者は、一般的に、腹側よりも背中側により多く汗をかく傾向にある。従って、腹側外装部材104の切れ目150の密度よりも背側外装部材106の切れ目150の密度を大きくすることが望ましい。また、インナー重複領域132be及び132reでは厚さ方向に資材が重なっているため、インナー重複領域と縦方向において重複する脇下領域134be及び134reと、インナー重複領域132be及び132reとで構成される領域は、吸収性物品100を横方向に沿ってせん断しようとする応力に対して大きな剛性を有する。従って、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reの切れ目の密度よりも、脇下領域134be及び134reの切れ目の密度を大きくすることが望ましい。
従って、図2に示されるように形成される複数の切れ目150は、腹側外装部材104の脇上領域136beにおける切れ目150の長さの合計をL(be) bus、インナー上側領域138beにおける切れ目150の長さの合計をL(be) mus、脇下領域134beにおける切れ目150の長さの合計をL(be) blsとすると、{(L(be) bus+L(be) mus)/H1}<{L(be) bls/H2}を満たす。すなわち、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さい。
さらに、図2に示されるように形成される複数の切れ目150は、背側外装部材106の脇上領域136reにおける切れ目150の長さの合計をL(re) bus、インナー上側領域138reにおける切れ目150の長さの合計をL(re) mus、脇下領域134reにおける切れ目150の長さの合計をL(re) blsとすると、{(L(re) bus+L(re) mus)/H1}<{L(re) bls/H2}を満たす。すなわち、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さい。
上記のように切れ目150を形成することにより、縦方向において吸収性本体102と重複する領域は、吸収性物品100を横方向に沿って裂こうとする力に対して大きな剛性を持っているため、この縦方向において吸収性本体102と重複する領域に切れ目150を多く形成することにより通気を確保し、縦方向において吸収性本体102と重複しない領域に切れ目150を少な目に形成することで、通気を確保しつつ、資材強度を確保することができる。
さらに、上記の場合において、図2に示されるように形成される複数の切れ目150は、{(L(be) bus+L(re) bus)/H1}<{(L(be) bls+L(re) bls)/H2}を満たす。すなわち、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さい。
上記と同様に、縦方向において吸収性本体102と重複する領域は、吸収性物品100を横方向に沿って裂こうとする力に対して大きな剛性を持っているため、この縦方向において吸収性本体102と重複する領域に切れ目150を多く形成することにより通気を確保し、縦方向において吸収性本体102と重複しない領域に切れ目150を少な目に形成することで、通気を確保しつつ、資材強度を確保することができることによるものである。
図2に示されるように形成される複数の切れ目150は、腹側外装部材104における切れ目150の長さの合計をL(be)、背側外装部材106における切れ目150の長さの合計をL(re)とすると、L(be)<L(re)を満たす。このように切れ目150を形成することにより、吸収性物品100の着用者が汗をかきやすい背中側により多く切れ目150を形成して通気を確保することにより、装用の際の快適さを向上させることができる。
さらに、腹側外装部材104のインナー上側領域138beには、切れ目150を形成しないことも可能である。腹側外装部材104の、吸収性物品100の吸収性本体102と胴周り開口APwcとの間の部分、特に、インナー上側領域138beは、着用者が吸収性物品100を引き上げる際に横方向に沿って破断しやすい部分である。上記のことは背側外装部材106でも同様であるが、吸収性物品100の着用者は背中側により汗をかきやすいため、背側外装部材106の部分は通気性を確保する必要があり、また、着用者が背中をまげて前かがみになった時に背側外装部材106に切れ目が形成されているほうが、着用者は動きやすい。従って、腹側外装部材104のインナー上側領域138beに切れ目150を形成しないことにより、破断の可能性を低くすることができ、資材強度を確保することができる。さらに、腹側外装部材104のインナー上側領域138be及び脇上領域136beには、切れ目150を形成しないことも可能である。上記と同様に、腹側外装部材104のインナー上側領域138be及び脇上領域136beに切れ目を形成しないことにより、破断の可能性を低くすることができ、資材強度を確保することができる。
切れ目150の長さ、間隔、数を変えることにより、切れ目150の様々な形成の仕方が可能である。
図5は、腹側外装部材104及び背側外装部材106への切れ目150の形成の仕方の他の例を示す図である。
図5において、複数の切れ目150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の脇下領域134be及び134reのみに形成されており、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reには形成されていない。吸収性物品100の横方向に沿った各列には、片側に4つの切れ目150が形成されている。切れ目の長さは3[mm]で、それぞれ、8[mm]、12[mm]、8[mm]と間隔をあけて、4つの切れ目150が形成されている。
図5に示されるように複数の切れ目150を形成すると、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
また、図5に示されるように複数の切れ目150を形成すると、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
さらに、図5に示されるように複数の切れ目150を形成すると、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さくなる。
図6は、腹側外装部材104及び背側外装部材106への切れ目150の形成の仕方のさらなる他の例を示す図である。
図6において、複数の切れ目150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の脇下領域134be及び134reのみに形成されており、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reには形成されていない。腹側外装部材104及び背側外装部材106に形成される切れ目150は、それぞれ、3[mm]の長さを持っている。腹側外装部材104において、複数の切れ間150は、横方向に連なる切れ目150の列の縦方向の位置が脚周り開口APtcに近づくにつれて、吸収性本体102に近い横方向位置に形成される。背側外装部材106の切れ目150は、図5の場合と同様に形成される。腹側外装部材104の切れ目150の数の合計は、36個であり、背側外装部材106の切れ目150の数の合計は、48個である。
従って、図6に示されるように複数の切れ目150を形成すると、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
また、図6に示されるように複数の切れ目150を形成すると、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
さらに、図6に示されるように複数の切れ目150を形成すると、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さくなる。
図6の腹側外装部材104においては、縦方向の位置が脚周り開口APtcに近くなるにつれて、切れ目150が吸収性物品100の中央寄りに形成されるため、吸収性物品100の着用時に、足の付け根に相当する部分において、吸収性物品100の縦方向における曲げ剛性が下がり、足を動かしたときに、鼠径部の形状に沿って屈曲がしやすくなる。また、鼠径部を覆っている部分で資材強度が下がるので、弾性部材140の収縮に伴い、腹側外装部材104が鼠径部にフィットしやすくなる。フィットしやすくなることにより、腹側外装部材104と着用者の腹側との間に空間が形成されにくくなるため、体温により暖められた空気が停滞しにくく、切れ目150によって空気の換気が図られるため、通気性が向上する。
図7は、腹側外装部材104及び背側外装部材106への切れ目150の形成の仕方のさらなる別の例を示す図である。
図7において、複数の切れ目150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の脇下領域134be及び134reのみに形成されており、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reには形成されていない。図7において、腹側外装部材104及び背側外装部材106に形成される切れ目150は、横方向の長さ3[mm]、縦方向の長さ2[mm]の領域に長さ3[mm]の切れ目を3本入れている多重スリット150として構成されている。このように構成すると、多重スリット150の各切れ目間の非肌側シート118は、複数の帯状部分となり、各帯状部分が独立して撚れるので、より開口を視認しやすくなる。
図7に示されるように複数の多重スリット150を形成すると、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
また、図7に示されるように複数の多重スリット150を形成すると、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
さらに、図7に示されるように複数の多重スリット150を形成すると、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さくなる。
図8は、腹側外装部材104及び背側外装部材106への切れ目150の形成の仕方のさらなる別の例を示す図である。
図8において、複数の切れ目150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の脇下領域134be及び134reのみに形成されており、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reには形成されていない。それらの脇下領域134be及び134reにおいては、横方向に連なる切れ目150の各列に沿う、切れ目150の異なる配列パターンが2つ存在する。例えば、図5においては、長さは3[mm]の4つの切れ目150が、それぞれ、8[mm]、12[mm]、8[mm]と間隔をあけて形成されていたが、図8においては、1つのパターンが、偶数番目の切れ目150のみを形成したパターンであり、別のパターンが、奇数番目のみを形成したパターンとなっている。図示されているように、脇下領域134be及び134reの縦方向の異なる位置ごとに、上記の1つのパターンと別のパターンが交互に形成されている。
図8に示されるように複数の切れ目150を形成すると、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
また、図8に示されるように複数の切れ目150を形成すると、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
さらに、図8に示されるように複数の切れ目150を形成すると、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さくなる。
図9は、腹側外装部材104及び背側外装部材106への切れ目150の形成の仕方のさらなる別の例を示す図である。
図9における切れ目150の配列は、図5における切れ目150の配列のうち、背側外装部材106の切れ目150を多重スリット150に置き換えたものである。図7と同様に、図9においても、背側外装部材106に形成される切れ目150は、横方向の長さ3[mm]、縦方向の長さ2[mm]の領域に長さ3[mm]の切れ目を3本入れている多重スリット150として構成されている。また、複数の切れ目150又は多重スリット150は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の脇下領域134be及び134reのみに形成されており、インナー上側領域138be及び138reと脇上領域136be及び136reには形成されていない。
従って、図9に示されているように形成された複数の切れ目150及び多重スリット150は、腹側外装部材104における切れ目150の長さの合計をL(be)、背側外装部材106における多重スリット150を構成する切れ目150の長さの合計をL(re)とすると、L(be)<L(re)を満たす。
さらに、図9に示されるように複数の切れ目150を形成すると、腹側外装部材104において、脇上領域136be及びインナー上側領域138beの縦方向の単位長さ当たりの切れ目150の長さの合計が、脇下領域134beの単位長さあたりの切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
また、図9に示されるように複数の切れ目150及び多重スリット150を形成すると、背側外装部材106において、脇上領域136re及びインナー上側領域138reの縦方向の単位長さ当たりの多重スリット150を構成する切れ目150の長さの合計は、脇下領域134reの単位長さあたりの多重スリット150を構成する切れ目150の長さの合計よりも小さくなる。
さらに、図9に示されるように複数の切れ目150及び多重スリット150を形成すると、縦方向において吸収性本体102と重複せず、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇上領域136be及び136reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇上領域136be及び136reの縦方向の長さH1で除した値は、腹側外装部材104及び背側外装部材106の縦方向において吸収性本体102と重複し、かつ、横方向において吸収性本体102と重複しない脇下領域134be及び134reにおける線状の切れ目150の合計の長さを、脇下領域134be及び134reの縦方向の長さH2で除した値よりも小さくなる。
図10の切れ目の配列は、図5の切れ目の配列と同じであり、切れ目150をそれぞれX字型にしたものである。また、図11の切れ目の配列は、図5の切れ目の配列と同じであり、切れ目150をそれぞれU字型にしたものである。
図10及び図11に記載された切れ目150の配列の作用及び効果は、図5に記載されている切れ目150の配列と同様である。
図12は、本願発明に従った吸収性物品100における、縦方向で隣り合う2つの弾性部材140と切れ目150の位置関係を示す図である。
弾性部材140と複数の切れ目150の配列を工夫すると、弾性部材140と切れ目150の相互作用により通気性をさらに改善することができる。
上記のように、切れ目150が、非肌側シート118及び肌側シート120の少なくとも一方に形成され、弾性部材140が、横方向に列状に形成された切れ目150を避け、非肌側シート118と肌側シート120との間に横方向に伸長状態で、縦方向に間隔をあけて複数配されている。図12において、縦方向で隣り合う弾性部材1400及び1401の間の距離(糸ゴムピッチ)はdであり、下側の弾性部材1400と切れ目150との間の距離はdlであり、切れ目150と上側の弾性部材1401との間の距離はduである。dl+du=dの関係が成り立ち、従来技術では、dl=duであったが、図12では、dl<duとなっている。
ここでは、切れ目150が形成されている非肌側シート118及び/又は肌側シート120は、等方性材料であるものとする。
上記のような構成では、縦方向で隣接する一方の弾性部材1401と他方の弾性部材1400の間で切れ目150が他方の弾性部材1400に近寄って位置している。このため、単一の切れ目150の中で、下側のエッジは他方の弾性部材1400からの距離が小さく、他方の弾性部材1400からのより大きい張力を受けやすく、上側のエッジは一方の弾性部材1401からの距離が大きく、一方の弾性部材1401からのより小さい張力を受けやすい。従って、下側のエッジのほうが、弾性部材からより離れている上側のエッジよりも細かく皺がよる。従って、同じ切れ目の片方の側のエッジともう片方の側のエッジとで形成される皺の様子が異なるため、切れ目150が確実に開口する。
図13A及び13Bは、縦方向で隣り合う弾性部材1400及び1401の間での切れ目150の相対的位置と切れ目150の開口の方向との関係を模式的に示す図である。
縦方向で隣り合う弾性部材1400及び1401の間の距離dの2等分線(bisector)をbisとすると、図13Aに示されているように、切れ目150が2等分線bisよりも下に形成されている場合には、下側の弾性部材1400からの距離が近い切れ目150の下側のエッジは、下側の弾性部材1400の伸張倍率に応じた張力Tを受けて細かいしわがより、上側の弾性部材1401からの距離が近い切れ目150の上側のエッジは、上側の弾性部材1401の伸張倍率に応じた張力Tを受けて緩やかなしわがよる。この場合には、切れ目150は、下向きの開口を生じる。
上記の場合には、切れ目150により下向きの開口が形成されるため、介助者が吸収性物品100の脚周り開口APtcから手を入れて着用者に履かせる際に、着用者又は介助者が確実に切れ目150の存在を認識できる。
これに対して、図13Bに示されているように、切れ目150が2等分線bisよりも上に形成されている場合には、下側の弾性部材1400からの距離が近い切れ目150の下側のエッジは、下側の弾性部材1400の伸張倍率に応じた張力Tを受けて細かいしわがより、上側の弾性部材1401からの距離が近い切れ目150の上側のエッジは、上側の弾性部材1401の伸張倍率に応じた張力Tを受けて緩やかなしわがよる。この場合には、切れ目150は、上向きの開口を生じる。
上記の場合には、切れ目150により上向きの開口が形成されるため、介助者が吸収性物品100の胴回り開口APwcを広げて着用者に履かせる際に、着用者又は介助者が確実に切れ目150の存在を認識できる。
ここで、弾性部材114、116、140は、各弾性部材を伸長した状態でシート等に固定する際の伸長の度合いを表す所定の伸張倍率で非肌側シート118と肌側シート120との間に挟持されており、伸長倍率が高いほど、これらの弾性部材は大きな収縮力を発現する。従って、吸収性物品は、通常、市場に出回っている際には、弾性部材の収縮力により収縮している。本明細書でいう「切れ目150と弾性部材140との間の距離」は、吸収性物品100の「伸長状態での距離」を意味する。従って、「吸収性物品100の伸長状態」とは、弾性部材114、116、140の収縮力に抗して吸収性物品100を横方向及び縦方向に伸長させた場合に、各弾性部材114、116、140が配置されている部分において実質的に皺やギャザーが視認できなくなる程度にまで伸長した状態をいう。上記のように伸張させた吸収性物品100の形状は、弾性部材114、116、140による収縮力が発現していない状態において平坦に伸びたときの吸収性物品100の形状となる。
図14A及び14Bは、切れ目150と縦方向に隣り合う2つの弾性部材140との距離の大小によって開口の方向(上又は下)と開口の大きさが異なる様子を表す図である。
図14Aにおいて、3つの弾性部材1400と1401と1402が、等間隔の糸ゴムピッチdで縦方向に並んでいる。弾性部材1400及び1401の間の間隔dの2等分線をbis1、弾性部材1401及び1402の間の間隔dの2等分線をbis2とする。弾性部材1400及び1401の間には、横方向に所定のスリットピッチで異なる位置に10個の切れ目150l0,…,150l9が並んでおり、弾性部材1401及び1402の間には、横方向に所定のスリットピッチで異なる位置に10個の切れ目150u0,…,150u9が並んでいる。図14Aは、切れ目の縦方向の間隔kが横方向の位置によらず一定で、糸ゴムピッチdと切れ目の縦方向の間隔kとがほぼ等しい場合を図示している。
図14Aに示されているように、切れ目150l0が、弾性部材1400及び1401の間で弾性部材1400に最も近づいて位置しており、そこからスリットピッチを1つずつ、150l1,…と横方向に移るごとに、切れ目150l1,…が縦方向で上のほうに形成され、切れ目150l5の位置では、切れ目150l5が2等分線bis1上にあり、150l9の位置では、切れ目150l9が、弾性部材1400及び1401の間で弾性部材1401に最も近づいて位置している。この例では、糸ゴムピッチdと切れ目の縦方向の間隔kとがほぼ等しいので、例えば、切れ目150l0の横方向位置と等しい横方向位置にある切れ目150u0の弾性部材1401及び1402の間での縦方向の位置は、弾性部材1400及び1401の間での切れ目150l0の縦方向の位置とほぼ同様になる。また、切れ目150l5の横方向位置と等しい横方向位置にある切れ目150u5は、2等分線bis2とほぼ重なっている。従って、切れ目150l0と切れ目150u0が、ともに下向きの最も大きな開口を形成しており、切れ目150l5と切れ目150u5は、ほぼ開いておらず、切れ目150l9と切れ目150u9が、ともに上向きの最も大きな開口を形成している。
一方、図14Bは、糸ゴムピッチdは一定であるが、切れ目の縦方向の間隔kが横方向の位置によって不規則に異なっている場合を示している。下側の10個の切れ目150lx(x=0,…,9)と上側の10個の切れ目150ux(x=0,…,9)について、x=0〜5が、切れ目150lxと弾性部材1401との間の距離kl、及び切れ目150uxと弾性部材1401との間の距離kuに対して、kl>kuが成り立つ場合を示し、x=6〜9が、kl<kuが成り立つ場合を示している。kl>kuの場合には、切れ目150lxと切れ目150uxのうち少なくとも一方が下向きの開口を形成し、kl<kuの場合には、切れ目150lxと切れ目150uxのうち少なくとも一方が上向きの開口を形成する。例えば、切れ目150l0と切れ目150u0は、ともに下向きの開口を形成しており、切れ目150l1と切れ目150u1については、切れ目150l1が上向き、切れ目150u1が下向きの開口を形成し、切れ目150l9と切れ目150u9は、ともに上向きの開口を形成している。
上記のことをより一般的に記載すると、縦方向で隣り合っている2つの弾性部材1400と弾性部材1401について、切れ目150lxと弾性部材1400との間の距離dlと切れ目150lxと弾性部材1401との間の距離duの差、すなわち、D=dl−duをとった場合に、Dの符号が負の時に切れ目150lxは下向きの開口、Dの符号が正の時に切れ目150lxは上向きの開口を形成し、開口の大きさは、|D|の大きさによって決まる。
上記の原理を適用すれば、ある弾性部材140iに沿って横方向に見た場合に、異なる位置で切れ目150のある弾性部材140iに対する近寄り方が異なり、横方向の位置によって切れ目150の開口の向きと開口の大きさの両方を異ならせることができる。
図14A及び図14Bと関連して説明した上記の原理は、より一般的な態様に拡張することが可能である。
図15は、同じ領域の中でも、異なる場所について切れ目150の弾性部材140に対する近寄り方が異なる場合を示す図である。
図15に示されているように、腹側外装部材104の横方向に沿って右側の脇下領域134beは、異なる部分A1とA2を含み、腹側外装部材104の横方向に沿って右側の脇上領域136beは、異なる部分A3とA4を含んでいる。4つの部分A1、A2、A3、及びA4のそれぞれには、縦方向で隣り合っている3つの弾性部材140l、140m、及び140uが配設されている。また、部分A1、A2、A3、及びA4において、弾性部材140lと140mとの間、及び弾性部材140mと140uとの間には、それぞれ、切れ目150l及び切れ目150uが形成されている。
部分A1では、下側の切れ目150lが下側の弾性部材140lに近寄って形成されており、上側の切れ目150uが上側の弾性部材140uに近寄って形成されている。従って、切れ目150lは、下向きの開口を形成し、切れ目150uは上向きの開口を形成する。部分A2では、下側の切れ目150l及び上側の切れ目150uの双方が、弾性部材140mに近寄って形成されている。弾性部材140mは、切れ目150lに対しては上側の弾性部材、切れ目150uに対しては下側の弾性部材となる。従って、切れ目150lは上向きの開口を形成し、切れ目150uは下向きの開口を形成する。部分A3では、下側の切れ目150lが下側の弾性部材140lに近寄って形成されており、側の切れ目150uが下側の弾性部材140mに近寄って形成されている。従って、切れ目150l及び切れ目150uはともに下向きの開口を形成する。部分A4では、下側の切れ目150lが上側の弾性部材140mに近寄って形成されており、上側の切れ目150uが上側の弾性部材140uに近寄って形成されている。従って、切れ目150l及び切れ目150uはともに上向きの開口を形成する。
上記のように、複数の部分を含む、例えば、脇上領域136be及び136re、脇下領域134be及び134re等の異なる部分について、切れ目の開口の向きが異なる構成とすることが可能である。
さらに、ある切れ目1501と弾性部材140l1との間の距離をdl、切れ目1501と弾性部材140u1との間の距離をduとした場合に、ある切れ目1501についての|D|=|dl−du|の値が、他の切れ目1502についての|D|の値よりも大きい場合に、ある切れ目1501の上下の弾性部材140l1及び140u1のうちの少なくとも一方の張力を、他の切れ目1502の弾性部材140l2及び140u2の張力よりも大きくしても良い。なお、ここで、非肌側シート118と肌側シート120との間に張られた弾性部材の張力は、各弾性部材を伸長した状態でシート等に固定する際の伸長の度合いである伸長倍率によって決まってくる。上記の張力は、弾性部材140をシートに張った際の張力である。
このようにすることにより、縦方向に隣り合う2つの弾性部材140の間で切れ目150の位置の偏りの度合いが大きいほど、弾性部材の収縮力を大きくすることができ、開口をより一層大きくすることはできる。
さらに、また、部分によって上記の|D|の値を異ならせることにより、ある部分と他の部分とで、切れ目150の開口の向き及び大きさの両方を異ならせることができる。
図16は、2つの異なる領域によって、それらの領域全体として、切れ目150の弾性部材140に対する近寄り方が異なる場合を示す図である。
図16において、2つの異なる領域のうちの一方が腹側外装部材104の横方向で見て左側の脇下領域134beであり、2つの異なる領域のうちの他方が腹側外装部材104の横方向で見て右側の脇下領域134beである。左側の脇下領域134beのある切れ目150lh i,jが、左側の脇下領域134beの中で左から数えてi番目で下から数えてj番目の位置にあり、右側の脇下領域134beのある切れ目150rh m,nが、右側の脇下領域134beの中で左から数えてm番目で下から数えてn番目の位置にあるとする。切れ目150lh i,jは、下から数えてj−1番目の弾性部材140j−1とj番目の弾性部材140jとの間にあり、切れ目150rh m,nは、下から数えてn−1番目の弾性部材140n−1と下から数えてn番目の弾性部材140nとの間にある。切れ目150lh i,jと弾性部材140j−1との間の距離をdlh l,i,j、切れ目150lh i,jと弾性部材140jとの間の距離をdlh u,i,j、切れ目150rh m,nと弾性部材140n−1との間の距離をdrh l,m,n、切れ目150rh l,m,nと弾性部材140nとの間の距離をdrh u,m,nとする。
ある切れ目と下側の弾性部材との距離を、ある切れ目と上側の弾性部材との距離で除した値、すなわち、{dlh l,i,j/dlh u,i,j}、及び{drh l,m,n/drh u,m,n}は、ある切れ目が下側の弾性部材及び上側の弾性部材のいずれかにどれだけ近寄って配置されているかの尺度となる。例えば、{dlh l,i,j/dlh u,i,j}の値が0に近い場合には、切れ目150lh i,jは、上側の弾性部材140jよりも下側の弾性部材140j−1に近寄って配置されており、1に近い場合には、切れ目150lh i,jは、上側の弾性部材140jと下側の弾性部材140j−1のほぼ中央に位置しており、{dlh l,i,j/dlh u,i,j}が大きい値をとる場合には、切れ目150lh i,jは、下側の弾性部材140j−1よりも上側の弾性部材140jに近寄って配置されている。
ここでは、ある特定の切れ目のみの位置関係の尺度ではなく、領域全体としての傾向を示す尺度を考える。領域全体としての傾向を示す尺度は、例えば、{dlh l,i,j/dlh u,i,j}の値を、すべてのi及びjについて平均をとることで求めることができる。左側の脇下領域134beの平均値をE[dlh l,i,j/dlh u,i,j]、右側の脇下領域134beの平均値をE[drh l,m,n/drh u,m,n]とすると、図示の例では、E[dlh l,i,j/dlh u,i,j]が0に近く、E[drh l,m,n/drh u,m,n]が正の大きな値をとる。従って、この場合には、左側の脇下領域134beが、全体としてみた場合に下向きの開口が多く、右側の脇下領域134beが、全体としてみた場合に上向きの開口が多い。
以上の例では、左側の脇下領域134beと右側の脇下領域134beとの間で切れ目の形成が異なる場合を例示したが、腹側外装部材104と背側外装部材106との間で開口の向き及び大きさを全体として異なる構成にすることも可能である。
このように、腹側外装部材104と背側外装部材106とを全体として比較してみた場合に、それぞれの部材の切れ目150による開口の向き及び切れ目の開口の大きさを異ならせることができる。例えば、着用者のそれぞれの部材に対応する体の部分の汗のかきやすさ等に応じて、通気を調整することができる。さらに、背側外装部材106の平均値を正の大きな値又は0に近い値になるように切れ目150を形成し、腹側外装部材104における平均値の方が背側外装部材106における平均値よりも1に近いように切れ目150を形成すれば、着用者が汗をかきやすい背中側にある切れ目の開口を大きくすることができる。
===第2の実施形態===
図17は、3ピースタイプの使い捨ておむつ等の、本発明の第2の実施形態に従った吸収性物品100の斜視図である。
吸収性物品100は、互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有している。吸収性物品100は、長手方向が横方向に沿って配置された腹側外装部材104と、長手方向が横方向に沿って配置された背側外装部材106と、長手方向が縦方向に沿って配置され、吸収性コア108を有する吸収性本体102とを含む。腹側外装部材104及び背側外装部材106は、それぞれ、非肌側シート118と、肌側シート120と、非肌側シート118と肌側シート120との間に設けられた弾性部材140を含む。腹側外装部材104の少なくとも非肌側シート118には、複数の線状の切れ目150が列状に形成されており、背側外装部材106の少なくとも非肌側シート120には、複数の線状の切れ目150が列状に形成されている。本実施形態に従った吸収性物品100の特徴として、X−X断面図に示されているように、腹側外装部材104において複数の切れ目150が列状に形成されている縦方向の位置と等しい縦方向の位置には、背側外装部材106において切れ目150が存在しない。一方、背側外装部材106において複数の切れ目150が列状に形成されている縦方向の位置と等しい縦方向の位置には、腹側外装部材104において切れ目150が存在しない。
吸収性物品100のこのような構成により、縦方向において、腹側切れ目と背側切れ目が同じ縦方向の位置に形成されていないため、腹側外装部材104及び背側外装部材106に切れ目150を形成することにより通気性を維持しつつも、資材強度を確保することができる。
また、X−X断面図に示されているように、腹側外装部材104において複数の切れ目150が列状に形成されている縦方向の位置と等しい、背側外装部材106の縦方向の位置には、背側外装部材106の弾性部材140が存在しても良い。また、背側外装部材106において複数の切れ目150が列状に形成されている縦方向の位置と等しい、腹側外装部材104の縦方向の位置には、腹側外装部材106の弾性部材140が存在しても良い。
吸収性物品100のこのような構成により、腹側外装部材104及び背側外装部材106のいずれかの切れ目150が形成されている位置には、他方の部材の弾性部材140が存在していることとなり、他方の部材の弾性部材140が一方の部材の切れ目150が列状に形成されている部分の補強部材として作用する。従って、資材強度をさらに増すことができる。
この実施形態においても、吸収性物品100は、図2乃至図16に記載された構成をとることが可能である。
上記の説明は、単に、本発明の特定の実施形態の開示を提供しているにすぎず、本発明を上記の実施形態のみに限定するように意図されてはいない。従って、本発明は、上記で説明された実施形態だけに限定されるものではなく、むしろ、当業者が本発明の範囲内に含まれる代替の実施形態を考案し得ることが認識される。