以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
以下に示す実施の形態は、感染症検査キットの一種であるA群ベータ溶血連鎖球菌抗原キットに具備される二剤混合容器に本発明を適用した場合を例示するものである。ここで、後述する第一剤および第二剤は、所定の成分を含む溶液である。
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る二剤混合容器の収容状態における斜視図および断面図である。また、図3は、本実施の形態に係る二剤混合容器の分解斜視図であり、図4および図5は、それぞれ本実施の形態に係る二剤混合容器の中栓体および蓋体の斜視図である。まず、これら図1ないし図5を参照して、本実施の形態に係る二剤混合容器1の構成について説明する。
図1ないし図3に示すように、二剤混合容器1は、容器本体10と、中栓体20と、蓋体30とを備えている。中栓体20は、容器本体10の内部に挿抜可能であり、蓋体30は、容器本体10に対して取り付けおよび取り外しが可能である。また、図2に示すように、収容状態においては、二剤混合容器1は、さらに液状の第一剤41および第二剤42を備えている。第一剤41および第二剤42は、収容状態において容器本体10の内部の所定位置にそれぞれ分離されて収容される。
図1ないし図3に示すように、容器本体10は、有底略円筒状の胴部11を有しており、胴部11の内部には、当該胴部11によって規定される中空部が形成されている。胴部11の下端には、底部12が設けられており、胴部11の上端には、口部13が設けられている。このうち、口部13は、中栓体20を容器本体10の内部に挿抜可能にするとともに、第一剤41および第二剤42を容器本体10の内部に注入可能にする部位である。なお、胴部11は、その内部に形成される中空部の直径が底部12側から口部13側に向かうにつれて段階的に大きくなるように構成されている。
胴部11の所定位置には、環状形状の鍔部14が設けられている。具体的には、鍔部14は、胴部11の外周面から外側に向けて突出するように形成されている。当該鍔部14は、蓋体30が容器本体10に取り付けられる際に、蓋体30の下端が当て留めされる部位である。
胴部11の鍔部14が設けられた位置よりも口部13側に位置する部分の外周面には、雄ネジ部15が設けられている。雄ネジ部15は、容器本体10に蓋体30を取り付けるための部位であり、螺旋状に設けられたネジ山によって構成されている。
図2に示すように、胴部11は、底部12側に位置する下側胴部11aと、口部13側に位置する上側胴部11bと、これら下側胴部11aと上側胴部11bとの間に位置する被圧入部11dとを含んでいる。このうち、被圧入部11dは、中栓体20の後述する栓部21が圧入される部位であり、胴部11のうちの底部12および口部13の双方から離隔した位置に設けられている。
下側胴部11aは、主として第一剤41を収容するための第1収容室S1を規定する部位であり、胴部11の被圧入部11dよりも底部12側の部分によって構成される。一方、上側胴部11bは、主として第二剤42を収容するための第2収容室S2を規定する部位であり、胴部11の被圧入部11dよりも口部13側の部分によって構成される。
また、胴部11の内面の所定位置には、口部13側を向く環状段差面11cが設けられている。具体的には、環状段差面11cは、上述した被圧入部11dと上側胴部11bとの境界部に設けられている。当該環状段差面11cが設けられることにより、上側胴部11bによって規定される部分の中空部の大きさ(すなわち直径)は、被圧入部11dによって規定される部分の中空部の大きさ(すなわち直径)よりも大きいことになる。
図2ないし図4に示すように、中栓体20は、上下方向を軸線AX方向(図4参照)として当該軸線AX方向に沿って延びる、上端が閉塞された細長の略筒状の部材からなる。中栓体20は、下端に位置する栓部21と、栓部21から上方に向けて延びる軸部22と、軸部22の上端に設けられた係合部23とを有している。
栓部21は、略円筒状の形状を有しており、上述した容器本体10の被圧入部11dに圧入される部位である。図4に示すように、栓部21の外周面には、外側に向けて突出する環状形状の密閉用突起部21aが設けられている。当該密閉用突起部21aは、中栓体20が容器本体10の内部に挿入された状態において、容器本体10の被圧入部11dに密着する部位である。
軸部22は、略円筒状の形状を有しており、中栓体20が容器本体10の内部に挿入された状態において、栓部21から容器本体10の口部13側に向けて延びるように立設されている。当該軸部22は、中栓体20が容器本体10の内部に挿入された状態において、容器本体10の上側胴部11bの内周面から所定の距離をもって離隔して位置し、蓋体30が容器本体10に取り付けられた状態において、蓋体30に設けられた後述する内側立壁部33にその一部が内挿される。
係合部23は、軸部22の上端部近傍の外周面から外側に向けて突出する環状形状の圧入用突起部23aと、軸部22の上端部から上方に向けて突出する連動用凸部23bとを含んでいる。ここで、連動用凸部23bは、概ね四角柱状の形状を有している。これら圧入用突起部23aおよび連動用凸部23bからなる係合部23は、蓋体30に設けられた後述する被係合部35に係合可能な部位である。
軸部22には、撹拌部としての撹拌翼22aが設けられている。より詳細には、撹拌翼22aは、軸部22の外周面の所定位置に外側に向けて突出するように軸部22の周方向に沿って複数並んで設けられており、そのそれぞれは、上下方向に向けて延在する平板状の形状を有している。撹拌翼22aは、軸部22のうちの栓部21寄りの位置に設けられている。
図1ないし図3および図5に示すように、蓋体30は、略円筒状の周壁部31と当該周壁部31の上端に設けられた天板部32とを有する有底略円筒状の部材からなる。周壁部31の内周面には、当該蓋体30を容器本体10に取り付けるための雌ネジ部36が設けられている。当該雌ネジ部36は、螺旋状に設けられたネジ溝によって構成されており、上述した容器本体10の口部13に設けられた雄ネジ部15に螺合可能である。
これにより、蓋体30は、容器本体10の口部13に対して相対的に回転されることで容器本体10に対してその取り付けおよび取り外しが行なわれることになり、容器本体10に取り付けられた状態において容器本体10の口部13を閉塞し、容器本体10から取り外された状態において容器本体10の口部13を開放する。
図2および図5に示すように、蓋体30の天板部32には、内側立壁部33および外側立壁部34が設けられている。より詳細には、内側立壁部33および外側立壁部34は、いずれも略円筒状の形状を有しており、天板部32の下面から下方に向けて突出して位置している。
内側立壁部33は、中栓体20が容器本体10に挿入されるとともに、さらに蓋体30が容器本体10に取り付けられた状態において、上述した中栓体20の軸部22の上端側部分を受け入れるための部位である。外側立壁部34は、内側立壁部33を囲うように位置しており、蓋体30が容器本体10に取り付けられた場合に、容器本体10の口部13に圧入されることで密着する部位である。
内側立壁部33および当該内側立壁部33によって囲われた部分の天板部32には、被係合部35が設けられている。被係合部35は、内側立壁部33の内周面に設けられた環状形状の圧入用溝部35aと、天板部32の下面に設けられた連動用凹部35bとを含んでいる。ここで、連動用凹部35bは、概ね四角柱状の凹状形状を有している。これら圧入用溝部35aおよび連動用凹部35bからなる被係合部35は、上述した中栓体20に設けられた係合部23に係合される部位である。
本実施の形態に係る二剤混合容器1にあっては、上述した中栓体20と蓋体30とが離合可能に構成されており、中栓体20に設けられた係合部23のうちの圧入用突起部23aが蓋体30に設けられた被係合部35のうちの圧入用溝部35aに圧入されることによって中栓体20と蓋体30とが結合された状態が維持されることになるとともに、圧入用突起部23aが圧入用溝部35aから引き抜かれることで中栓体20と蓋体30とが分離された状態が実現されることになる。
なお、上述した二剤混合容器1を構成する容器本体10、中栓体20および蓋体30は、いずれも射出成形等によって製作された樹脂製の部材にて構成されていることが好ましい。
図1および図2に示すように、収容状態においては、容器本体10の内部に口部13を介して中栓体20が挿入されるとともに、当該口部13を閉塞するように蓋体30が容器本体10に螺着される。この収容状態においては、容器本体10の内部の空間が中栓体20によって第1収容室S1と第2収容室S2とに区画されることになり、第1収容室S1に第一剤41が、また第2収容室S2に第二剤42が、それぞれ収容されることになる。
より詳細には、中栓体20の栓部21が容器本体10の被圧入部11dに圧入されることにより、第一剤41が収容される第1収容室S1が、容器本体10の底部12を含む下側胴部11aと、中栓体20とによって規定されることになり、第二剤42が収容される第2収容室S2が、容器本体10の口部13を含む上側胴部11bと、中栓体20と、蓋体30とによって規定されることになる。
なお、上側胴部11bによって規定される部分の容器本体10の中空部(すなわち、第2収容室S2に該当する部分の空間)は、中栓体20の栓部21の大きさよりも大きく構成されている。このように構成することにより、中栓体20が容器本体10から抜き出されるに際して、容器本体10の胴部11の内周面と中栓体20の栓部21の外周面との間に隙間が生じることになり、当該隙間を介して第二剤42が第一剤41が収容された第1収容室S1に向けて落下することになる。
ここで、上述したように、本実施の形態に係る二剤混合容器1においては、軸部22が複数の撹拌翼22aを有している。撹拌翼22aは、容器本体10の内部において中栓体20が軸線AX(図4参照)を回転中心として回転することにより、第2収容室S2に収容された第二剤42を撹拌可能にするものである。なお、中栓体20は、二剤混合容器1の開封時において蓋体30の回転に連動して当該蓋体30と共回りし、これによって上述した撹拌翼22aによる第二剤42の撹拌が行なわれることになるが、その詳細については、後述することとする。
図6および図7は、本実施の形態に係る二剤混合容器を用いて第一剤および第二剤を収容する場合の組立手順を示す概略図である。以下、これら図6および図7を参照して、本実施の形態に係る二剤混合容器1を用いて第一剤41および第二剤42を収容する場合の組立手順について説明する。
本実施の形態に係る二剤混合容器1を組立てるに際しては、まず、図6(A)に示すように、容器本体10に第一剤41が収容される。具体的には、容器本体10の胴部11に対して口部13を介して第一剤41が注入されることにより、容器本体10に第一剤41が収容される。
次に、図6(B)に示すように、容器本体10の内部に中栓体20が挿入される。具体的には、容器本体10の被圧入部11dに中栓体20の栓部21が圧入されることとなるように中栓体20が胴部11に挿入される。これにより、第一剤41が、容器本体10の下側胴部11aと中栓体20とによって規定される第1収容室S1内において密閉されることになる。
このとき、中栓体20の軸部22に設けられた撹拌翼22aの下端が容器本体10の胴部11に設けられた環状段差面11cに当接するように構成することにより、挿入方向における中栓体20の容器本体10に対する位置決めが容易に行なえることになる。また、当該撹拌翼22aの外縁が容器本体10の上側胴部11bの内周面に当接するように構成することにより、挿入方向と交差する方向における中栓体20の容器本体10に対する位置決めが容易に行なえることになり、結果として栓部21が被圧入部11dに向けてスムーズに案内されることになる。
次に、図6(C)に示すように、容器本体10に第二剤42が収容される。具体的には、容器本体10の胴部11に対して口部13を介して第二剤42が注入されることにより、容器本体10に第二剤42が収容される。ここで、容器本体10の内部の空間は、既に中栓体20によって区画されているため、容器本体10の注入された第二剤42は、容器本体10の上側胴部11bと中栓体20とによって規定される空間に収容される。なお、その際、中栓体20の軸部22に設けられた撹拌翼22aは、少なくともその一部が第二剤42中に埋没した状態となる。
次に、図7(A)に示すように、容器本体10に蓋体30が取り付けられる。具体的には、容器本体10の口部13に対向するように蓋体30が配置され、容器本体10に設けられた雄ネジ部15に蓋体30に設けられた雌ネジ部36が螺合することとなるように口部13に対して蓋体30が図中に示す矢印DR1方向に向けて回転されることにより、蓋体30が容器本体10に螺着される。
その際、蓋体30の内側立壁部33は、中栓体20の軸部22の上端部に外挿されることになる。このとき、蓋体30が容器本体10に捻じ込まれることにより、蓋体30の内側立壁部33に設けられた圧入用溝部35aに中栓体20の軸部22の上端部近傍に設けられた圧入用突起部23aが圧入されることで圧入用突起部23aが圧入用溝部35aに係合することになる。また、これと同時に、蓋体30の天板部32に設けられた連動用凹部35bに中栓体20の軸部22の上端部近傍に設けられた連動用凸部23bが挿入されることで連動用凸部23bが連動用凹部35bに係合することになる。
また、これとほぼ同時に、蓋体30の外側立壁部34が容器本体10の口部13に圧入される。これにより、図7(B)に示すように、第二剤42が容器本体10の上側胴部11bと中栓体20と蓋体30とによって規定される第2収容室S2内において密閉されることになる。
以上により、二剤混合容器1の組立てが完了することになり、二剤混合容器1の内部において、第一剤41と第二剤42とが分離されて収容された図2に示す如くの収容状態が実現できることになる。
なお、当該収容状態においては、圧入用突起部23aが圧入用溝部35aに係合することにより、中栓体20と蓋体30とが中栓体20の軸線AX方向において結合することになる。そのため、中栓体20と蓋体30とは、中栓体20の軸線AX方向に沿って相対的に相当程度の外力が加えられない限り(すなわち、圧入用突起部23aを圧入用溝部35aから引き抜くために必要となる外力が加えられない限り)分離することがなくなる。
また、当該収容状態においては、連動用凸部23bが連動用凹部35bに係合することにより、中栓体20が蓋体30の回転に連動して蓋体30と共回りするようになる。より具体的には、蓋体30が回転した場合に、四角柱状の連動用凸部23bの側面が四角柱状の凹状形状を有する凹部の側面に当接することになり、これによって中栓体20が蓋体30の回転に連動して蓋体30と供回りするようになる。
したがって、一旦、二剤混合容器1が組立てられて収容状態とされた後は、係合部23と被係合部35との係合が解除されない限り(すなわち、中栓体20と蓋体30とが分離されない限り)においては、蓋体30と中栓体20とは、一体的に挙動することになる。
図8は、本実施の形態に係る二剤混合容器を開封して第一剤および第二剤を混合する場合の操作手順を示す概略図であり、図9は、第一剤および第二剤を混合する際の撹拌翼の動きを説明するための概略図である。次に、これら図8および図9を参照して、本実施の形態に係る二剤混合容器1を開封して第一剤41および第二剤42を混合する場合の操作手順ならびにその際の撹拌翼22aの動きについて説明する。なお、図9は、蓋体30が取り外される際の、第2収容室S2を上方から見下ろした透視図であり、当該図9においては、蓋体30および第二剤42の図示は省略している。
本実施の形態に係る二剤混合容器1を開封して第一剤41および第二剤42を混合するに際しては、まず、図8(A)に示すように、収容状態にある二剤混合容器1の蓋体30が鉛直上方に位置しかつ容器本体10が蓋体30の下方に位置するように起立させた状態とされる。
次に、図8(B)に示すように、容器本体10から蓋体30が取り外される。具体的には、容器本体10に設けられた雄ネジ部15に蓋体30に設けられた雌ネジ部36が螺合した状態が解除されることとなるように口部13に対して蓋体30が図中に示す矢印DR2方向(上述した矢印DR1方向と逆方向)に向けて回転される。
このとき、上述したように中栓体20が蓋体30の回転に連動して蓋体30と共回りすることになるため、図9に示すように、中栓体20が第2収容室S2内において軸線AXを回転中心として回転することになる。これに伴い、軸部22の外周面から外側に向けて突出して設けられた複数の撹拌翼22aが第二剤42を撹拌するように図中矢印AR1方向に向けて回転することになり、これによって第二剤42に動きが生じることになる。
ここで、撹拌翼22aは、上述したように上下方向に向けて延在する平板状の形状を有しているため、当該撹拌翼22aは、中栓体20の軸線AX方向と平行であるとともに、蓋体30を容器本体10の口部13から取り外す際の蓋体30の回転方向(すなわち矢印DR2方向)の下流側を向く撹拌面を有することになる。したがって、当該撹拌面が図中に示す矢印AR1方向に向けて移動することにより、当該撹拌面によって第二剤42が押し退けられることで、上述した第二剤42の動きが当該第二剤42の全体にわたって生じることになる。
また、これとほぼ同時に、図8(B)に示すように、容器本体10に対して蓋体30が遠ざかるように移動することにより、容器本体10の被圧入部11dに密着していた中栓体20の栓部21が当該被圧入部11dから引き抜かれることになる。これに伴い、容器本体10の胴部11と中栓体20の栓部21との間に隙間が生じることになり、第1収容室S1と第2収容室S2とが連通した状態となる。
さらには、これとほぼ同時に、容器本体10に対して蓋体30が遠ざかるように移動することにより、容器本体10の口部13と蓋体30の外側立壁部34との密着も解除されることになる。これに伴い、容器本体10と蓋体30との間にも隙間が生じることになり、当該隙間を介して第2収容室S2と二剤混合容器1の外部の空間とが連通した状態となる。
その結果、第2収容室S2に収容されていた第二剤42は、その自重と上述した動きとに起因して、容器本体10の胴部11と中栓体20の栓部21との間に生じた隙間を介して第1収容室S1側に向けて(すなわち図中に示す矢印AR2方向に向けて)落下を開始することになる。
その後、図8(C)に示すように、容器本体10から蓋体30が完全に取り外されて中栓体20が抜き出されたタイミングにおいては、既に第二剤42がすべて落下して第一剤41に混合された状態となっており、これにより二剤混合容器1の開封に伴って第一剤41と第二剤42とが混合されることになる。
ここで、上述した混合に際しては、撹拌翼22aが回転することによって第二剤42が撹拌されて動きが生じた状態にあるため、容器本体10の胴部11と中栓体20の栓部21との間に隙間が生じた際に直ちに第二剤42が当該隙間を介して第1収容室S1側に向けて落下を開始することになる。すなわち、容器本体10と中栓体20との間の隙間が十分に大きく形成される以前の小さな状態(換言すれば、仮に第二剤42がほぼ静止した状態においては、その表面張力によって第二剤42が滞留して落下を開始できない程度に小さな隙間が形成されたに過ぎない状態)においても、第二剤42に動きがあることによって当該表面張力を打ち破って第二剤42が落下できることになる。
したがって、本実施の形態に係る二剤混合容器1においては、開封とほぼ同時に液状の第一剤41および第二剤42を混合することが可能になり、これら第一剤41と第二剤42とを混合することができるという所期の目的が達成できるばかりではなく、遅滞なく迅速に第一剤41と第二剤42とを混合することができる目的も達成できることになる。
また、本実施の形態に係る二剤混合容器1においては、開封時において第二剤42に積極的に動きを生じさせることができるものであるため、第二剤42が多少なりとも粘度の高い液体である場合や、第二剤42が粉体や顆粒等の固体である場合にも、これらを迅速に第一剤41に向けて落下させることが可能になるとともに、さらにはこれらが中栓体20に残ったままの状態となることを抑制することもできる。
以上において説明した二剤混合容器1は、軸線方向と平行な撹拌面を有する撹拌翼が設けられた中栓体を利用したものであったが、これとは異なる形状の撹拌翼を具備した中栓体を利用することも可能である。図10ないし図12は、第1ないし第3変形例に係る二剤混合容器の中栓体の斜視図である。これら図10ないし図13に示す中栓体20A〜20Cは、いずれも上述した中栓体20に代えて二剤混合容器1に具備させることができるものである。
図10に示す第1変形例に係る中栓体20Aにおいては、軸部22に設けられた複数の撹拌翼のうちの一部が、当該中栓体20Aの軸線AX方向と平行であるとともに、蓋体30を容器本体10の口部13から取り外す際の蓋体30の回転方向(すなわち矢印DR2方向)の下流側を向く撹拌翼22aにて構成されている。
一方、当該第1変形例に係る中栓体20Aにおいては、軸部22に設けられた複数の撹拌翼のうちの上記一部を除く残りが、当該中栓体20Aの軸線AX方向と交差するとともに、上記蓋体30の回転方向(すなわち矢印DR2方向)の下流側を向き、かつ、当該下流側に向かうにつれて中栓体20Aの下端側(すなわち、中栓体20Aが容器本体10の内部に挿入された状態における容器本体10の底部12側)から上端側(すなわち、中栓体20Aが容器本体10の内部に挿入された状態における容器本体10の口部13側)に向かうように傾斜する撹拌面を有する撹拌翼22bにて構成されている。
また、図11に示す第2変形例に係る中栓体20Bにおいては、軸部22に設けられた複数の撹拌翼の全てが、当該中栓体20Bの軸線AX方向と交差するとともに、上記蓋体30の回転方向(すなわち矢印DR2方向)の下流側を向き、かつ、当該下流側に向かうにつれて中栓体20Bの下端側から上端側に向かうように傾斜する撹拌面を有する撹拌翼22bにて構成されている。
さらに、図12に示す第3変形例に係る中栓体20Cにおいては、軸部22に設けられた複数の撹拌翼の全てが、当該中栓体20Bの軸線AX方向と交差するとともに、上記蓋体30の回転方向(すなわち矢印DR2方向)の下流側を向き、かつ、当該下流側に向かうにつれて中栓体20Bの下端側から上端側に向かうように傾斜する撹拌面を有するスクリュー状の撹拌翼22cにて構成されている。
これら第1ないし第3変形例の如くの中栓体20A〜20Cを具備した二剤混合容器1とした場合には、開封時において、これら中栓体20A〜20Cに設けられた傾斜形状の撹拌面(すなわち、撹拌翼22b,22cが有する撹拌面)によって第二剤42が積極的に下方に向けて押し退けられることになるため、容器本体10と中栓体20A〜20Cとの間に生じた隙間に向けて第二剤42をより効率的に送り込むことが可能になる。したがって、当該構成の中栓体20A〜20Cを用いることにより、さらに迅速に第一剤41と第二剤42とを混合することが可能になる。
なお、撹拌翼に設けられる撹拌面の形状は、上述した形状に限られるものではなく、他の形状を採用することも当然に可能である。さらには、必ずしも軸部から突出するように撹拌翼を設ける必要はなく、軸部自体を平板状または屈曲板状あるいは湾曲板状に構成すること等により、第二剤を軸部自体によって撹拌可能に構成してもよい。
上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、中栓体と蓋体とが離合可能に構成された場合を例示して説明を行なったが、これらを離合可能に構成する必要性は必ずしもなく、これらの結合構造にいわゆる嵌め殺し構造を適用することにより、中栓体を蓋体に一旦係合させた後においてはこれらが分離することがないように構成することも当然に可能である。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、蓋体を容器本体に螺合可能に構成した場合を例示して説明を行なったが、蓋体が容器本体に対して相対的に回転されることで容器本体に対する蓋体の取り付けおよび取り外しが可能に構成されていれば、必ずしも蓋体を容器本体に螺合可能に構成する必要性はない。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、中栓体の栓部の外周面が容器本体の内周面に密着することで容器本体の内部の空間が第1収容室と第2収容室とに区画されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、中栓体の下端が容器本体の環状段差面に突き当たってこれに密着することで容器本体の内部の空間が第1収容室と第2収容室とに区画されるように構成することも当然に可能である。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、容器本体の内面の所定位置に環状段差面を設けることで上側胴部によって規定される部分の容器本体の中空部を栓部よりも大きく構成した場合を例示して説明を行なったが、特に環状段差面を設けずとも容器本体の内面を傾斜させること等で上側胴部によって規定される部分の容器本体の中空部を栓部よりも大きく構成することが可能であるため、必要に応じてそのように構成してもよい。
さらに、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、第一剤および第二剤が共に液状である場合を主として例示して説明を行なったが、これらの一方または双方を粉体や顆粒等の固体とすることも当然に可能である。
加えて、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、感染症検査キットの一種であるA群ベータ溶血連鎖球菌抗原キットに具備される二剤混合容器に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、他の種類の感染症検査キットに具備される二剤混合容器に本発明を適用することも可能であり、さらには感染症検査キット以外の各種の二剤混合容器に本発明を適用することも当然に可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。