JPWO2016163417A1 - ポリアミドイミド、ポリアミドイミド原料塩およびそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアミドイミド、ポリアミドイミド原料塩およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、分子構造の規則性が高く、分岐構造が少なく、ハロゲン化水素を含まず、後工程で分離精製する必要もない、フィルム、ワニス、成形材料として好適に用いることができるポリアミドイミド、ポリアミドイミド原料塩およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。ポリアミドイミドが下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する:(式中、R1、R2は、独立して、芳香環、脂肪族環または脂肪族炭化水素を有する二価の残基を示し、R3、R4は、独立して、芳香環または脂肪族環を有する三価の残基を示し、それぞれの環に結合した水素原子は他の原子または原子団に置換されていてもよい。)。

Description

本発明は、ポリアミドイミド、ポリアミドイミド原料塩およびそれらの製造方法に関するものである。
ポリアミドイミドは、耐熱性や耐薬品性が高いことから、フィルム、電線被覆材、成形材、接着材等の用途に広く用いられている。
ポリアミドイミドの製造方法としては、イソシアネート法、酸クロライド法、直接重合法の3つの方法が知られている。
イソシアネート法とは、芳香族トリカルボン酸無水物または芳香族トリカルボン酸無水物/芳香族ジアミン(モル比率2/1)から合成されるイミドジカルボン酸と、芳香族ジイソシアネートを反応させる方法である(例えば、特許文献1〜3)。
酸クロライド法とは、実質的に等モル量の芳香族トリカルボン酸無水物クロライドと芳香族ジアミンを有機極性溶媒中で反応させる方法である(例えば、特許文献4)。
直接重合法とは、芳香族トリカルボン酸またはその誘導体(酸クロライド誘導体を除く)と芳香族ジアミンを、脱水触媒の存在下、直接反応させる方法である(例えば、特許文献5)。
特公昭44−19274号公報 特公昭45−2397号公報 特公昭50−33120号公報 特公昭42−15637号公報 特公昭49−4077号公報
しかしながら、イソシアネート法では、原料としてジイソシアネートを用いるために、反応初期において、アミド結合やイミド結合以外に、副反応により尿素結合を生成し高純度のポリアミドイミド樹脂が得られない、もしくは分岐構造を生成し、その結果、分岐構造に由来するゲル化現象が発生して高重合度の直鎖状ポリマーが得られないという問題があった。さらに、イソシアネート法においては、溶媒にN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を使用した場合、アミド系溶媒がジイソシアネートと反応してしまうという問題があった。
一方、酸クロライド法は、副反応が比較的少なく、架橋構造が少ない直線性の高いポリアミドイミドが得られるが、腐食性の高い塩化水素が副生し、ポリアミドイミド中に残存するという問題があった。また、酸クロライド法においては、ジアミンのアミン末端が、芳香族トリカルボン酸無水物クロライドのクロライド末端および無水基いずれにも反応するため、分子鎖中の規則性が低いという問題があった。その結果、得られたポリアミドイミドを成形体に用いた場合、成形体の物性が十分ではなく、用いる用途が制限されていた。
また、直接重合法は、ジイソシアネートや酸クロライドを用いないため、ゲル化の問題や塩化水素が発生する問題はないが、酸クロライド法と同様、ジアミンのアミン末端が、芳香族トリカルボン酸無水物のカルボキシル末端および無水基いずれにも反応するため、分子鎖中の規則性が低いという問題があった。その結果、得られたポリアミドイミドを成形体に用いた場合、成形体の物性が十分ではなく、用いる用途が制限されていた。
上記の3つのポリアミドイミドの製造方法は、いずれも溶液中でおこなう方法であるため、ポリアミドイミドを成形体として用いるためには、得られたポリアミドイミド溶液から分離精製する必要があった。
本発明は、上記課題を解決するものであって、分子構造の規則性が高く、分岐構造が少なく、ハロゲン化水素を含まず、後工程で分離精製する必要もない、フィルム、ワニス、成形材料として好適に用いることができるポリアミドイミドを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討をおこなった結果、ジアミンとトリカルボン酸無水物からなるビスイミドジカルボン酸と、前記ジアミンと同一または異なるジアミンとから、ポリアミドイミドを合成することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)一般式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリアミドイミド:
Figure 2016163417

(式中、R、Rは、独立して、芳香環、脂肪族環または脂肪族炭化水素を有する二価の残基を示し、R、Rは、独立して、芳香環または脂肪族環を有する三価の残基を示し、それぞれの環に結合した水素原子は他の原子または原子団に置換されていてもよい。)
(2)ビスイミドジカルボン酸とジアミンからポリアミドイミドを重合せしめることを特徴とする上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミドイミドの製造方法。
(3)ビスイミドジカルボン酸とジアミンからなるポリアミドイミド原料塩を重合せしめることを特徴とする上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミドイミドの製造方法。
本発明によれば、分子構造の規則性が高く、分岐構造が少なく、ハロゲン化水素を含まず、後工程で分離精製する必要もない、フィルム、ワニス、成形材料として好適に用いることができるポリアミドイミドを提供することができる。
本発明のポリアミドイミドは、ビスイミドジカルボン酸とジアミンから構成される一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミドイミドである。
Figure 2016163417

上記式中、R、Rは、独立して、芳香環、脂肪族環または脂肪族炭化水素を有する二価の残基を示し、R、Rは、独立して、芳香環または脂肪族環を有する三価の残基を示し、それぞれの環に結合した水素原子は他の原子または原子団に置換されていてもよい。繰り返し単位の数は、1以上、好ましくは4〜1000、より好ましくは20〜1000の整数である。
ビスイミドジカルボン酸に用いるトリカルボン酸無水物は、芳香族または脂環式トリカルボン酸無水物である。トリカルボン酸の環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタリン環、アンタラセン環、ビフェニル環、シクロヘキサン環、好ましくは、ベンゼン環、ナフタリン環、ビフェニル環、シクロヘキサン環、より好ましくはベンゼン環、シクロヘキサン環、さらに、好ましくはベンゼン環が挙げられる。
トリカルボン酸には、環に結合した水素原子が他の原子または原子団に置換されたものも含まれる。
トリカルボン酸無水物の具体例としては、トリメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−アントラセントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物等、好ましくは、トリメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、より好ましくはトリメリット酸無水物、または1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、さらにより好ましくは、トリメリット酸無水物が挙げられる。トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ビスイミドジカルボン酸に用いるジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンまたは芳香族ジアミンである。好ましくは、脂肪族ジアミンまたは芳香族ジアミンである。前記ジアミンには、−O−、−S−が含まれてもよいし、水素原子の1つ以上がハロゲンに置換されていてもよいし、側鎖を有していてもよい。
ジアミンの具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
好ましくは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、より好ましくは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、さらにより好ましくは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンから選ばれる脂肪族ジアミン、またはp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから選ばれる芳香族ジアミンである。
上記ジアミンは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリアミドイミドを構成するジアミンは、ビスイミドカルボン酸に用いた同一または異なったジアミンを用いることができる。
本発明のポリアミドイミドは(1)ビスイミドジカルボン酸とジアミンからなるポリアミドイミド原料塩を一旦合成し、次に、該ポリアミドイミド原料塩を重合させることにより合成(以下、「2段階合成法」という。)するか、または(2)ビスイミドジカルボン酸とジアミンとを直接反応させることにより1段階で合成(以下、「1段階合成法」という。)することができる。
まず、2段階合成法について説明する。
(2段階合成法)
2段階合成法においては、本発明のポリアミドイミドは、ビスイミドジカルボン酸とジアミンから構成されるポリアミドイミド原料塩を一旦合成し、該原料塩を加熱し重合することにより製造することができる。
ビスイミドジカルボン酸は、公知のもの(例えば、市販品)を使用してもよいし、また、例えば、トリカルボン酸無水物とジアミンから合成したものを使用してもよい。
ビスイミドジカルボン酸を合成する場合は、トリカルボン酸無水物とジアミンとの反応は、溶液状態や溶融状態でおこなってもよいし、固体(粉末)状態でおこなってもよいが、溶媒の乾燥工程や粉砕工程等を必要とせずにポリアミドイミド原料塩粉末の合成に用いることができるといった観点から固体状態が好ましい。
ポリアミドイミド原料塩は、トリカルボン酸無水物とジアミンから合成されたビスイミドジカルボン酸と、前記ジアミンと同一または異なったジアミンと中和反応させることにより得ることができる。
ビスイミドジカルボン酸とジアミンとの反応によりポリアミドイミド原料塩を得る方法は、溶液状態や溶融状態でおこなってもよいし、固体状態でおこなってもよい。溶媒の乾燥工程や粉砕工程等を必要とせずにポリアミドイミド原料塩粉末が合成できるといった観点から固体状態が好ましい。
以下、固体状態で、ビスイミドジカルボン酸とジアミンとの反応によりポリアミドイミド原料塩を得る方法を説明する。
本発明のポリアミドイミド原料塩は、固体状のビスイミドジカルボン酸に、液体状のジアミンを反応させることにより達成することができ、具体的には、ビスイミドジカルボン酸を、その融点未満、ジアミンの融点以上で加熱し、ジアミンを添加することにより、達成することができる。
工程中、ビスイミドジカルボン酸および得られるポリアミドイミド原料塩がその固体状態を維持するようにするには、ジアミンの添加量、添加速度、添加方法、ビスイミドジカルボン酸の加熱温度、反応時間等の条件が適切に設定され、内容物が十分に撹拌されていることが好ましい。
なお、「融点」は、「融解点」ともいい、固体が融解する温度という一般的意味で使用している。融点は、キャピラリーに試料を詰めて加熱し、目視で融点を観察したり、示差走査熱量測定(DSC)等の測定装置により求めることができる。
本発明においては、上述のように、ビスイミドジカルボン酸がその固体状態を維持している。該ビスイミドジカルボン酸の平均粒径は、5μm〜1mmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。イミドジカルボン酸の粒径を5μm〜1mmとすることにより、ポリアミドイミド原料塩の反応の進行を早くすることができる。
平均粒径は沈降法やレーザー回折・散乱法により測定しることができ、本発明においては、レーザー回折・散乱法により測定した値を使用している。
ジアミンは、固体状のビスイミドジカルボン酸との反応時に液状になっていれば特に限定されず、固体で添加してもよいし、加熱溶融して液体としてから添加してもよい。得られるポリアミドイミド原料塩の粒径をより小さくする観点から、加熱溶融して液体としてから添加することが好ましい。
ジアミンは加熱される時間が短いほど好ましいので、係る観点からは、ジアミンは、それ自体が加熱されていない粉体、粒状等の固体形態で添加されることが好ましい。
ジアミンを固体で添加する場合は、例えば、ダブルダンパー機構を備えた送粉装置が挙げられる。一方で、ジアミンを液体で添加する場合、反応容器とは異なる別の容器でジアミンを加熱溶融し液体としてから、反応容器に送液し、液体状のジアミンをビスイミドジカルボン酸に対して滴下またはスプレー状に噴霧することが好ましい。
本発明において、ビスイミドジカルボン酸の加熱は、ジアミンを添加した後におこなってよいし、ジアミンを添加する前におこなってもよいが、後者の方がより好ましい。
ビスイミドジカルボン酸を、ジアミンの添加前にあらかじめ加熱する際の加熱温度は、ジアミンの融点以上かつビスイミドジカルボン酸の融点未満とすることが好ましく、(ジアミンの融点+10℃)以上かつ(ビスイミドジカルボン酸の融点−5℃)以下とすることがより好ましい。上記加熱温度がビスイミドジカルボン酸の融点を超える場合、反応系全体が液状となり、ポリアミドイミド原料塩の生成に伴い全体が塊状化する場合がある。一方、上記加熱温度がジアミンの融点以下である場合、ビスイミドジカルボン酸およびジアミンのいずれもが固体状態となり、ポリアミドイミド原料塩の生成反応がほとんど進行しない場合がある。
上記の範囲のなかでも、ビスイミドジカルボン酸の加熱温度は、100℃以上かつ210℃以下、好ましくは、100℃以上かつ200℃以下、より好ましくは、120℃以上かつ200℃以下である。上記加熱温度が210℃を超えると、ポリアミドイミド原料塩の生成反応の際に、重合反応が起こるため水分が発生し、その結果、発生した水に起因して、得られたポリアミドイミド原料塩が一部溶融して融着したり、反応系が高圧となったりする場合がある。一方、上記加熱温度が100℃未満であると、ポリアミドイミド原料塩の生成反応が不十分となる場合がある。
なお、ビスイミドジカルボン酸を予め加熱する際の加熱温度と、ポリアミドイミド原料塩の生成における反応温度は、同じ温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。
ジアミンの添加方法は、反応中においてビスイミドジカルボン酸がその固体状態を維持しうるものであれば、特に限定されない。なかでも、得られたポリアミドイミド原料塩が塊状となることを抑制し、効率よく生成反応をおこなう観点から、連続してジアミンを添加する方法や、分割して適量ずつ(例えば、添加されるジアミン全量のうちの1/10〜1/100の量ずつ)を間欠的に添加する方法が好ましい。ジアミンの添加速度は、ビスイミドジカルボン酸の固体状態を安定して維持する観点から、0.005〜2.00質量%/分であることが好ましく、0.01〜1.00質量%/分であることがより好ましい。なお、ここで、「質量%/分」とは、最終的に添加される低融点成分全量に対する、1分間に添加される低融点成分の割合である。また、ジアミンを適量ずつ間欠的に添加した後に、さらにジアミンを連続して添加する方法等、上記の方法を組み合わせた方法でもよい。
ジアミンとビスイミドジカルボン酸の反応が均一に進みにくい場合、ジアミンを希釈溶媒に溶解させて、ビスイミドジカルボン酸に添加してもよい。希釈溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール等のエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。
得られるポリアミドイミド原料塩の平均粒径は、2mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。ポリアミドイミド原料塩の平均粒径を2mm以下とすることで、例えば、該ポリアミドイミド原料塩を固相重合させてポリアミドイミドを得る際に水分が発生したとしても、ポリアミドイミド原料塩内部の水分が抜けやすくなるため、重合反応の速度を早くすることができるという利点がある。
本発明のポリアミドイミド原料塩の製造方法においては、ポリアミドイミド原料塩の生成反応を完全に遂行させるため、ジアミンの添加中や、ジアミンの添加終了後において、十分撹拌をおこなうことが好ましい。ビスイミドジカルボン酸とジアミンを反応させるための反応装置に設けられる撹拌機構としては、製造するポリアミドイミド原料塩の種類や生産量に合わせて適宜選択すればよく、パドル型、タンブラー型、リボン型等のブレンダー、ミキサー等が挙げられる。また、これらを組み合わせたものでもよい。
ビスイミドジカルボン酸とジアミンを反応させるための反応装置としては、ビスイミドジカルボン酸およびジアミンを十分に撹拌することができれば、特に限定されず、公知の反応装置を用いることができる。
上記の反応装置において、反応前のビスイミドジカルボン酸を加熱したり、生成反応の際に反応系を加熱したりする方法としては、特に限定されず、スチーム等の熱媒、ヒーター等を用いて加熱する方法が挙げられる。
本発明においては、ビスイミドジカルボン酸とジアミンとの反応は、空気雰囲気下、窒素等の不活性ガス雰囲気下、いずれの雰囲気下でおこなわれてもよいが、副反応や着色を抑制するためには、不活性ガス雰囲気下でおこなうことが好ましい。また、反応は密閉状態、不活性ガス流通下いずれでおこなってもよい。
固体状態で、ビスイミドジカルボン酸とジアミンとの反応によりポリアミドイミド原料塩を得る上記方法により、反応後溶媒を除去する必要がなく、かつ、貧溶媒や洗浄液を用いることなく、容易に低コストでポリアミドイミドを得ることができる粒状のポリアミドイミド原料塩を提供することができる。
ここに、(1)ビスイミドジカルボン酸とジアミンとからなることを特徴とするポリアミドイミド原料塩;
(2)ビスイミドジカルボン酸を、ビスイミドジカルボン酸の融点未満、ジアミンの融点以上で加熱し、ビスイミドジカルボン酸が、その固体状態を保つように、前記ジアミンを添加することを特徴とする前記(1)記載のポリアミドイミド原料塩の製造方法;および
(3)ジアミンを希釈溶媒に溶解させて、ビスイミドジカルボン酸に添加することを特徴とする前記(2)記載のポリアミドイミド原料塩の製造方法
に係る発明が提供されるものである。
ポリアミドイミド原料塩の重合方法は、溶融重合法、固相重合法いずれであってもよいが、ポリアミドイミドは流動開始温度と熱分解温度が近接している場合が多いので、固相重合法が好ましい。
固相重合法において、反応温度は、生成するポリアミドイミドの融点未満、あるいは分解温度未満であれば特に限定されないが、通常160〜350℃である。反応時間は、最終的に到達する分子量と生産性のバランスの観点から、反応温度に達してから0.5〜24時間の範囲であることが好ましく、0.5〜8時間の範囲であることがより好ましい。固相重合は、窒素等の不活性ガス気流中でおこなってもよく、減圧下でおこなってもよい。また、静置しておこなってもよく、撹拌しながらおこなってもよい。
本発明において、ポリアミドイミドの融点およびガラス転移温度は、下記「分析方法(1)融点およびガラス転移温度」で測定された融点およびガラス転移温度をいう。測定限界の350℃までの温度で融点を測定できない場合は、未検出とした。なお、測定対象のポリアミドイミドが非晶性の場合は、融点は測定されない。
固相重合法において、重合後の粉砕工程を省略する観点からは、ビスイミドジカルボン酸の融点未満、200℃を超える温度でポリアミドイミド原料塩加熱し、その固体状態を保つようにして重合をおこなうことが好ましい。(ビスイミドジカルボン酸の融点−5℃)以下とすることがより好ましい。ビスイミドジカルボン酸の固体状態を確実に維持できるからである。
溶融重合法において、反応温度は、生成するポリアミドイミドのガラス転移温度以上であれば特に限定されない。反応時間は、最終的に到達する分子量と生産性のバランスの観点から、反応温度に達してから0.5〜36時間の範囲であることが好ましく、1〜16時間の範囲であることがより好ましい。溶融重合は、窒素等の不活性ガス気流中でおこなってもよく、加圧下でおこなってもよい。
本発明のポリアミドイミド製造方法においては、原料を反応容器に供給する際に、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミドイミド原料塩以外に末端封鎖剤、重合触媒、他の添加剤を加えてもよい。
末端封鎖剤は、高分子の末端官能基を封止するものである。末端封鎖剤としては、例えば、酢酸、ラウリン酸、安息香酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが挙げられる。末端封鎖剤の使用量は、ポリアミドイミド原料塩の総モル数に対して5モル%以下であることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの塩が挙げられる。重合触媒の使用量は、製品の性能や加工性低下の原因となるため、ポリアミドイミド原料塩の総モル数に対して2モル%以下であることが好ましい。
他の添加剤としては、例えば、無機充填剤、フィラー、安定剤が挙げられる。添加剤の使用量は、ビスイミドジカルボン酸塩の反応性の観点から、ポリアミドイミド原料塩の総質量に対して30質量%以下が好ましい。
次に1段階合成法について説明する。
(1段階合成法)
本発明のポリアミドイミドは、ビスイミドジカルボン酸を、その融点未満、200℃を超える温度で加熱し、その固体状態を保つように、前記ジアミンを添加することにより製造することができる。
本合成において、ビスイミドジカルボン酸の加熱は、ジアミンを添加した後におこなってよいし、ジアミンを添加する前におこなってもよいが、後者の方がより好ましい。
ビスイミドジカルボン酸を、ジアミンの添加前にあらかじめ加熱する際の加熱温度は、(ビスイミドジカルボン酸の融点−5℃)以下とすることがより好ましい。ビスイミドジカルボン酸の固体状態を確実に維持できるからである。
ビスイミドジカルボン酸の具体的加熱温度は、上記温度範囲内で、ビスイミドカルボン酸、ジアミン、それらの組合せにより、適宜設定される。
その他の条件(ビスイミドジカルボン酸がその固体状態を維持する条件、方法、ジアミンの添加量、添加速度、添加方法等)は、上記2段階合成法で記載した条件を参考におこなうことができる。
本発明の重合方法においては、ポリアミドイミド原料塩を用いることが好ましい。ポリアミドイミド原料塩を用いることにより、分子構造の規則性がより高く分岐構造のより少ないポリアミドイミドを得ることができる。
上記製造方法により、重合度(n)(繰り返し単位の数)が4〜1000程度、好ましくは10〜1000程度、さらに好ましくは20〜500程度のポリアミドイミドを合成することができる。
重合度は、ビスイミドジカルボン酸とジアミンの配合比や末端封鎖剤の添加量、重合温度や重合時間等の条件を変えることにより調整することができ、例えば、重合度は、末端封鎖剤の添加量を少なくすることにより上げることができる。
重合度は、一般に、ゲル・パーミション・クロマトグラフィや核磁気共鳴法(NMR)、溶液粘度法、溶融粘度法により推算することにより測定することができる。
本発明のポリアミドイミドは、一般式(1)で表される繰り返し単位が直鎖状に規則正しく繋がった構造をしており、分岐、架橋構造が少ない。
本発明により得られるポリアミドイミドは、少なくとも100℃、より高くは、少なくとも150℃、さらに高くは、少なくとも250℃、よりさらに高くは、少なくとも270℃のガラス転移温度を有することができる。
また、本発明により得られるポリアミドイミドは、結晶性を有する場合は、少なくとも150℃、より高くは、少なくとも250℃、さらに高くは、少なくとも300℃、よりさらに高くは、少なくとも350℃の融点を有することができる。
また、本発明により得られるポリアミドイミドは、少なくとも300℃、より高くは、少なくとも350℃、さらに高くは、少なくとも380℃、よりさらに高くは少なくとも480℃の5%重量減少温度を有することができる。
本発明のポリアミドイミドは、射出成形や圧縮成形や押出成形することにより、成形体とすることができる。中でも、射出成形が好ましい。射出成形に用いる射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミドイミドは、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、ポリアミドイミドのガラス転移温度以上とすることが好ましく、重量減少開始温度未満とすることがより好ましい。さらに好ましくは、(ガラス転移温度+50℃)以上、(5%重量減少温度−10℃)以下の温度である。
なお、射出成形に用いるポリアミドイミドは十分に乾燥していることが好ましい。水分率が高いポリアミドイミドは、射出成形機のシリンダー内で発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミドイミドの水分率は、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
本発明のポリアミドイミドは、耐熱性や耐薬品性が高いことから、自動車部品、電気・電子部品用成形体に好適に用いることができる。電気・電子部品用途としては、複写機用ベルト等が挙げられる。
また、本発明のポリアミドイミドは、リチウム二次電池等の電極のバインダ等にも用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
ポリアミドイミド原料塩の合成
実施例1
1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン(融点:未検出 300℃以上)(平均粒径:451μm)465質量部、無水次亜リン酸ナトリウム0.593質量部からなる混合物をリボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素流通下、回転数70rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、25℃に加熱したm−キシリレンジアミン(融点:14℃)139質量部を0.695質量部/分(0.50質量%/分)の速度で、送液装置を用いて、3時間かけて、170℃に保った1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼンに添加した[1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン:m−キシレンジアミン=47:50(モル比)]。得られたポリアミドイミド原料塩は、粒状(平均粒径:420μm)であった。
ポリアミドイミド原料塩が生成していることは、赤外分光法(IR)により、164cm−1、1559cm−1、1374cm−1付近に検出されるカルボン酸とアミンの塩に由来する吸収の増加および示差走査熱量測定(DSC)によるm−キシレンジアミンの融点に由来するピークの消失により確認した。
実施例2
1,4−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン(融点:未検出 300℃以上)(平均粒径:402μm)465質量部、無水次亜リン酸ナトリウム0.593質量部からなる混合物をリボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素流通下、回転数70rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、25℃に加熱したm−キシリレンジアミン(融点:14℃)139質量部を0.695質量部/分(0.50質量%/分)の速度で、送液装置を用いて、3時間かけて、170℃に保った1,4−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼンに添加した[1,4−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン:m−キシレンジアミン=47:50(モル比)]。得られたポリアミドイミド原料塩は、粒状(平均粒径:357μm)であった。
ポリアミドイミド原料塩が生成していることは、赤外分光法(IR)により、164cm−1、1559cm−1、1374cm−1付近に検出されるカルボン酸とアミンの塩に由来する吸収の増加および示差走査熱量測定(DSC)によるm−キシレンジアミンの融点に由来するークの消失により確認した。
実施例3
1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン(融点: 未検出 300℃以上)(平均粒径:413μm)465質量部、無水次亜リン酸ナトリウム0.593質量部からなる混合物をリボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素流通下、回転数70rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、m−キシリレンジアミン(融点:14℃)139質量部に対して希釈溶媒として水45質量部を添加した混合溶媒を25℃に加熱し、0.736質量部/分(0.40質量%/分)の速度で、送液装置を用いて、4時間かけて、170℃に保った1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼンに添加した[1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン:m−キシレンジアミン=47:50(モル比)]。得られたポリアミドイミド原料塩は、粒状(平均粒径:307μm)であった。
ポリアミドイミド原料塩が生成していることは、赤外分光法(IR)により、164cm−1、1559cm−1、1374cm−1付近に検出されるカルボン酸とアミンの塩に由来する吸収の増加および示差走査熱量測定(DSC)によるm−キシレンジアミンの融点に由来するークの消失により確認した。
実施例4
1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン(融点:未検出 300℃以上)(平均粒径;378μm)465質量部をリボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素流通下、回転数70rpmで撹拌しながら150℃に加熱した。その後、25℃に加熱したm−キシリレンジアミン(融点:14℃)139質量部を0.695質量部/分の速度で、送液装置を用いて、150℃に保った1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼンに添加し、さらに、25℃に加熱した安息香酸(融点:122℃)7.5質量部を、ダブルダンパー機構を備えた送粉装置を用いて、0.35質量部/分の速度で添加した。得られたポリアミドイミド原料塩は、粒状(平均粒径:310μm)であった[1,3−ビス(N−トリメリットイミドメチル)ベンゼン:メタキシレンジアミン:安息香酸=47:50:3(モル比)]。
ポリアミドイミド原料塩が生成していることは、赤外分光法(IR)により、164cm−1、1559cm−1、1374cm−1付近に検出されるカルボン酸とアミンの塩に由来する吸収の増加および示差走査熱量測定(DSC)によるm−キシレンジアミンの融点に由来するークの消失により確認した。
ポリアミドイミドの合成
1.分析方法
(1)融点およびガラス転移温度
ポリアミドイミド5mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC8500」)を用い、窒素雰囲気下で25℃から350℃まで20℃/分で昇温し(1st Scan)、350℃にて5分間保持した。その後、500℃/分で25℃まで降温し、25℃にて5分間保持後、350℃まで20℃/分でさらに昇温した(2nd Scan)。そして、1st Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度を融点とし、2nd Scanで観測されるガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間点をガラス転移温度とした。
(2)5%重量減少温度
示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA「TG/DTA7200」)を用いて、200mL/分の窒素雰囲気下で、30℃から800℃まで10℃/分で昇温した。昇温前の質量に対して5質量%減少する温度を熱分解温度とした。
実施例P−1
製造例4で得られたポリアミドイミド原料塩99.903質量部を、再度リボンブレンダー式の反応装置に添加した。その後、無水次亜リン酸ナトリウム0.097質量部をポリアミドイミド原料塩に対して添加し、窒素流通下、回転数50rpmで撹拌しながら180℃で2時間加熱した。その後、200℃に昇温し、さらに200℃で6時間加熱し粒状(平均粒径:280μm)のポリアミドイミドを得た。
得られたポリアミドイミドの融点はおよそ290℃、ガラス転移温度は180℃、5%重量減少温度は390℃であった。
また、核磁気共鳴法(NMR)の測定において、試料10mgをDMSO-d6 1mLに溶解させ、120℃にてHMBC-二次元NMR測定を行ったところ、副反応に由来するピークは検出されず、アミド結合-イミド結合間にm-キシレンジアミンが存在する場合に検出される、アミド結合に隣接するメチレン基の1Hとイミド結合に隣接するにメチレン基の1Hの両者に相関を示すm-キシレンジアミンの2位の13Cに由来するピークが見られなかったことより、得られたポリアミドイミドは、式(1)で表される繰り返し単位が直鎖状に繋がった構造をしていることが確認された。
実施例P−2
製造例4で得られたポリアミドイミド原料塩99.903質量部を、再度リボンブレンダー式の反応装置に添加した。その後、無水次亜リン酸ナトリウム0.097質量部をポリアミドイミド原料塩に対して添加し、窒素流通下、250℃で6時間加熱した。その後、300℃に昇温し、2時間加熱し塊状のポリアミドイミドを得た。
得られたポリアミドイミドの融点は、上記DSC測定上限の350℃までの温度では検出されず、ガラス転移温度は180℃、5%重量減少温度は390℃であった。
また、核磁気共鳴法(NMR)の測定において、試料10mgをDMSO-d6 1mLに溶解させ、120℃にてHMBC-二次元NMR測定を行ったところ、副反応に由来するピークは検出されず、アミド結合-イミド結合間にm-キシレンジアミンが存在する場合に検出される、アミド結合に隣接するメチレン基の1Hとイミド結合に隣接するにメチレン基の1Hの両者に相関を示すm-キシレンジアミンの2位の13Cに由来するピークが見られなかったことより、得られたポリアミドイミドは、式(1)で表される繰り返し単位が直鎖状に繋がった構造をしていることが確認された。
実施例P−3
4,4−ビス(N−トリメリットイミドフェニル)エーテル74.74質量部をリボンブレンダー式の反応装置に添加した。その後、無水次亜リン酸ナトリウム0.076質量部を添加し、窒素流通下、250℃に加熱した。そこに4,4−ビス(N−トリメリットイミドフェニル)エーテルが形状を維持していることを確認しながら、固体の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(融点:188℃)25.19質量部を、ダブルダンパー機構を備えた送粉装置を用いて、0.084質量部/分の速度(0.333質量%/分)で添加し、粒状(平均粒径:457μm)のポリアミドイミドを得た。
得られたポリアミドイミドの融点は、上記DSC測定上限の350℃までの温度では検出されず、ガラス転移温度は258℃、5%重量減少温度は471℃であった。
また、核磁気共鳴法(NMR)の測定において、試料10mgをDMSO-d6 1mLに溶解させ、120℃にて1H-NMR測定をおこなったところ、副反応に由来するピークは検出されず、アミド結合-イミド結合間に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが存在する場合に検出される7.86ppm(ダブレット)、7.55ppm(ダブレット)、7.15ppm(ダブレット+ダブレット)付近にピークが見られなかったことより、得られたポリアミドイミドは、式(1)で表される繰り返し単位が直鎖状に繋がった構造をしていることが確認された。
実施例P−1〜P−3において、ゲル化物やハロゲン化水素を含まない粒状のポリアミドイミドを得ることができた。
ゲル化物の存在は、試料10mgを溶媒(N−メチル−2−ピロリドン等)1mLに加熱溶解し、未溶解物が発生しないかを目視により確認した。未溶解物が発生しない場合を、ゲル化物は存在していないと判断した。
ハロゲン化水素の存在は、塩素の存在の有無により判断し、塩素の存在は、蛍光X線測定により確認した。測定により塩素が検出されない場合、または、検出された塩素量が0.005重量%未満の場合を、塩素(塩化水素)は含まれていないと判断した。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリアミドイミド:
    Figure 2016163417

    (式中、R、Rは、独立して、芳香環、脂肪族環または脂肪族炭化水素を有する二価の残基を示し、R、Rは、独立して、芳香環または脂肪族環を有する三価の残基を示し、それぞれの環に結合した水素原子は他の原子または原子団に置換されていてもよい。)。
  2. 繰り返し単位の数が、4〜1000である、請求項1に記載のポリアミドイミド。
  3. 少なくとも100℃のガラス転移温度を有する、請求項1または2に記載のポリアミドイミド。
  4. ビスイミドジカルボン酸とジアミンからなるポリアミドイミド原料塩を重合せしめることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミドイミドの製造方法。
  5. ビスイミドジカルボン酸とジアミンとからなることを特徴とするポリアミドイミド原料塩。
  6. ビスイミドジカルボン酸を、ビスイミドジカルボン酸の融点未満、ジアミンの融点以上で加熱し、ビスイミドジカルボン酸が、その固体状態を保つように、前記ジアミンを添加することを特徴とする請求項5記載のポリアミドイミド原料塩の製造方法。
  7. ジアミンを希釈溶媒に溶解させて、ビスイミドジカルボン酸に添加することを特徴とする請求項6記載のポリアミドイミド原料塩の製造方法。
  8. ビスイミドジカルボン酸とジアミンを、ビスイミドジカルボン酸の融点未満、200℃以上で重合反応させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミドイミドの製造方法。
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