JPWO2016158827A1 - 積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリカーボネート樹脂板は、透明性を有し、耐衝撃性や耐熱性に優れているため、防音隔壁やカーポート、看板、グレージング材、照明器具などに利用されている。しかし、表面硬度が低いために傷がつきやすいという欠点を抱えている。
よって、本発明が提案する積層体は、例えば基材に貼り合わせるなどして、各種基板材料や保護材料などとして好適に用いることができる。例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの携帯型ディスプレイデバイスの構成材料としての各種基板材料や保護材料のほか、液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコン、カーナビゲーション、自動車計器など設置型ディスプレイデバイスの構成材料としての各種基板材料や保護材料として好適に用いることができる。
また、“重合体およびその誘導体についての「主成分」”とは、重合体およびその誘導体を構成する単量体単位の中で最も割合が高い単量体を意味する。
本発明の実施形態の一例に係る積層体(以下「本積層体」と称する)は、前面板と粘着シートを含む積層体であり、後述するように、所定の曝露試験において、前面板と粘着シートの内部応力が所定範囲であることを特徴とする積層体である。
本積層体の前面板は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とするB層と、該ポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂A層とを備えていればよい。一例として、アクリル系樹脂を主成分樹脂とするA層と、ポリカーボネート系樹脂を主成分樹脂とするB層とを備えたものを挙げることができる。
ここで、該前面板は、透明性、剛性、耐衝撃性や二次加工性および高表面硬度などの特性を有することが好ましい。
A層は、前記ポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を主成分とする層である。
ここで、「異なる」とは、重合体を構成する単量体の種類または組成比が同一でない場合を意味する。
A層の好ましい一例として、アクリル系樹脂(a1)を主成分樹脂とする層を挙げることができる。好ましくは、A層は、アクリル系樹脂(a1)と、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(a2)と、を含有する層である。
また、A層の好ましい他の一例として、構造の一部にジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(a3)を主成分樹脂とする層を挙げることもできる。
次に、これら各成分樹脂(a1)〜(a3)について説明する。
アクリル系樹脂(a1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主成分として重合してなる(共)重合体およびその誘導体である。
上述したように、A層は、上記のアクリル系樹脂(a1)と共重合体(a2)を含有する層であるのが好ましい。中でも、アクリル系樹脂(a1)と共重合体(a2)を混合してA層を形成するのが好ましい。
中でも、スチレン単位やα−メチルスチレン単位が好ましい。スチレン単量体単位は、工業的に入手し易く、また経済性に優れるため好ましく、α−メチルスチレン単量体単位はガラス転移温度を向上させることができるため、好ましい。
中でも、アクリル系樹脂(a1)との相溶性や外観などから、メタクリル酸メチル単量体単位が好ましい。
中でも、アクリル系樹脂(a1)との相溶性や透明性などから、マレイン酸無水物単量体単位が好ましい。
なお、共重合体(a2)の構成単位は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
また、共重合体(a2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が4質量%以上、中でも5質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(a1)との相溶性が向上して透明性が良好になるため好ましい。
また、共重合体(a2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が8質量%以上、中でも10質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(a1)との相溶性が向上して透明性や耐熱性が向上するため好ましい。
また、共重合体(a2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合が45質量%以下、中でも30質量%以下であれば、アクリル系樹脂(a1)との相溶性を確保しながら、吸水性を抑制できるため好ましい。
また、共重合体(a2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単位の割合が20質量%以下、中でも18質量%以下であれば、アクリル系樹脂(a1)との相溶性を確保しながら、熱安定性の向上や吸水性を抑制できるため好ましい。
当該「他の共重合可能な単位」としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位を挙げることができる。これら共重合可能な単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
A層において、アクリル系樹脂(a1)と共重合体(a2)との混合質量比は、(a1)/(a2)=80/20〜20/80であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(a1)と共重合体(a2)の混合割合が上記範囲内であれば、B層との層間密着性に優れ、アクリル系樹脂の特徴である表面硬度や透明性を維持しつつ、耐熱性の向上や吸水性が抑制されるため好ましい。
上述したように、A層は、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂(a3)を主成分とすることもまた好ましい。このことにより、本積層体に高い表面硬度を付与することができる。
より具体的に言えば、当該構造単位の含有割合が90モル%以下であることによって、表面硬度や耐熱性が優れ、かつ耐衝撃性および後述するB層との層間密着性の低下を抑止できるため、打ち抜き加工時の歩留まりの低下およびディスプレイ用前面板としての製品を取扱う際の破損などの種々の不具合を防止できる。
一方、上記含有割合が50モル%以上であることによって、耐衝撃性や打ち抜き加工性が優れ、かつ表面硬度や耐熱性の低下を抑止できる。また、本積層体は、少なくとも一方の面にハードコート層を配置することでさらに十分な表面硬度を得ることが可能となり、ディスプレイ用前面板および透明建材のいずれの用途向けにも好適となる。
なお、工業的に入手が容易である観点から、シクロヘキサンジメタノールを選択することが好ましく、なかでも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。一方、耐熱性や後述するB層との層間接着性を重視する場合には、トリシクロドデカン次メタノールを選択することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
A層は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜、種々の添加剤や改質剤などを含有することができる。ここで添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤などを挙げることができる。また、改質剤としては、例えば耐衝撃性改良剤、相容化剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
B層は、本積層体の機能のうち、特に耐衝撃性や耐熱性などを発現させる機能を分担する層である。
ポリカーボネート系樹脂(b1)としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂及び脂肪族ポリカーボネート系樹脂を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂(b1)は、単独重合体でもよいし、また、他の共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
さらに、ポリカーボネート系樹脂(b1)の構造は、分岐構造であってもよいし、直鎖構造であってもよいし、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂(b1)は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など、公知のいずれの製造方法で得られたものであってもよい。
ポリカーボネート系樹脂(b1)は、1種のみを単独で用いることもできるし、また、重量平均分子量が異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂(b1)の重量平均分子量が上記範囲にあれば、耐衝撃性が確保され、押出成形性も良好であるため好ましい。
溶融粘度の調整および硬度向上などのために、上記ポリカーボネート系樹脂(b1)と改質剤(b2)とを混合してB層の形成に用いるのが好ましい。
アクリル系樹脂(b2)は、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(b2)において、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位とメチルメタクリレート単量体単位との含有割合が上記範囲内にあれば、ポリカーボネート系樹脂(b1)との相溶性や表面硬度向上効果が発現できるため好ましい。
かかる観点から、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位10〜70質量%およびメチルメタクリレート単量体単位90〜30質量%であることがより好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位25〜60質量%およびメチルメタクリレート単量体単位75〜40質量%であることがさらに好ましい。
中でも、ポリカーボネート系樹脂(b1)との相溶性などから、フェニルメタクリレートやベンジルメタクリレートが好ましく、フェニルメタクリレートがより好ましい。
その他の単量体単位を含有させる場合には、アクリル系樹脂(b2)中に0.1〜10質量%であることが好ましい。
アクリル系樹脂(b2)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、ポリカーボネート系樹脂(b1)との相溶性が良好であり、得られるB層の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。
かかる観点から、アクリル系樹脂(b2)の重量平均分子量(Mw)の範囲は10,000〜28,000であることがより好ましい。
かかる観点から、(b1)/(b2)=95/5〜70/30であることがより好ましい。
以上の中でも、本積層体の高温高湿環境下で発生する内部応力を低減する観点で言えば、B層の主成分樹脂としてのポリカーボネート系樹脂は、ガラス転移温度が高いほど好ましく、ポリカーボネート系樹脂(b1)の単独重合体を用いるのが特に好ましい。一方、積層体の表面硬度を重視する場合には、上記ポリカーボネート系樹脂(b1)と上記改質剤(b2)を含有するものが好ましい。
B層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記した種々の添加剤や他の樹脂を配合することができる。
該添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤、加水分解防止剤などを挙げることができる。
A層のガラス転移温度は、高温高湿環境下で発生する内部応力を抑制する観点からB層のガラス転移温度との差が小さいほど好ましく、100〜140℃であることが好ましく、中でも110℃以上或いは140℃以下、その中でも115℃以上、さらにその中でも120℃以上であるのが特に好ましい。
他方、B層のガラス転移温度は、高温高湿環境下発生する内部応力抑制する観点から高いほど好ましく、100℃〜160℃であることが好ましく、中でも120℃以上或いは155℃以下であるのがさらに好ましい。
これは、高温高湿環境下でA層は吸水により軟化温度が低下することで種々の歪の緩和現象が生じ易いが、該差の絶対値が上記範囲内であれば、高温高湿環境下で両層の寸法変化挙動が近くなり、結果として反りが抑制されるものと考えられるからである。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定して得られる値である。但し、その他の公知の機器分析装置、例えば動的粘弾性装置などでも上記ガラス転移温度を測定することができる。
前面板は、さらに片面側又は両面側の最表面層としてハードコート層(C層)を備えていてもよい。但し、ハードコート層(C層)を備えていなくてもよい。
該ハードコート層(C層)は、前面板に優れた表面硬度や耐擦傷性を付与する層である。
中でも、成形時間および生産性の観点から、紫外線を照射することにより、C層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層(C層)を形成するのが好ましい。
より優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂C1としては、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができ、さらに、前記硬化性樹脂に無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物であってもよい。
このような反応性官能基を有する無機成分を利用して、例えば、この無機成分がラジカル重合性モノマーと共重合および架橋することで、単に有機バインダーに無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物に比べて、硬化収縮が生じにくく、かつ高い表面硬度を発現することができるので好ましい。さらに、硬化収縮の低減の観点からは、反応性官能基を有する無機成分として紫外線反応性のコロイダルシリカを含む有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物をより好ましい例として挙げることができる。
かかる観点から、ハードコート層(C層)に含有される無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分の濃度を10〜65質量%とするのが好ましい。当該濃度が10質量%以上であれば、ハードコート層(C層)に優れた表面硬度を付与する効果が得られるので好ましい。他方、当該濃度が65質量%以下であれば、ハードコート層(C層)において、無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分を最密に充填することが可能になり、優れた表面硬度を効果的に付与することができるので好ましい。
かかる観点から、当該濃度は10〜65質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは60質量%以下、その中でも40質量%以上或いは55質量%以下であるのがさらに好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、αヒドロキシアルキルフェノン類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などを挙げることができる。中でも、α−ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。また、アミノアルキルフェノン類は、非常に高い反応性を備え、優れた硬度の硬化物が得られるので好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の添加量は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部添加することが好ましい。
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有するアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、2重結合を末端に2個ずつ計4個有するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンなどを挙げることができる。
これらの中でも、ヘイズの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
ここで、ハードコート層(C層)の厚みが上記範囲にあれば、耐擦傷性が付与でき、また、応力によるクラックが発生し難いため好ましい。
前面板は、ポリカーボネート系樹脂層(B層)の片面側又は両面側に、該ポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂層(A層)を有する層構成であればよく、他の層を備えていてもよい。例えばポリカーボネート系樹脂層(B層)の片面側又は両面側に、アクリル系樹脂層(A層)を有する積層体であればよく、他の層を備えていてもよい。
また、例えば上述のように、片面側最表面又は両面側最表面にハードコート層(C層)を備えていてもよい。
ここで、層構成の中に同一分類層を2層以上有する場合には、該層は同一組成でもよいし、異なった組成でもよい。
以上の中でも、(A)/(B)、(A)/(B)/(A)、(C)/(A)/(B)、(C)/(A)/(B)/(C)、(C)/(A)/(B)/(A)/(C)構成が好ましい。
また、ディスプレイパネルなどの場合には、(視認側)(C)/(A)/(B)/(C)(光源側)や、(視認側)(C)/(A)/(B)(光源側)に配置することがより好ましい。
前面板において、前面板の厚み(a1)は、特に制限されるものではなく、例えば0.1mm〜3.0mmであるのが好ましく、中でも1.5mm以下、その中でも0.15mm以上或いは1.2mm以下であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、A層の合計厚みは、10μm〜250μmであるのが好ましく、中でも30μm以上或いは200μm以下、その中でも50μm以上或いは150μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本積層体が、例えばA層として2層を備えている場合には、当該2層分の合計厚みがA層の合計厚みとなる。
なお、A層を2層設ける場合、A層とB層の膨張収縮挙動の差を表裏でキャンセルできるため、各A層の厚みは互いに同じ厚さとするのが好ましい。
前面板の弾性率(E1)は、本積層体の高温高湿環境下での内部応力を低減して、形状安定性を高める観点から、1500〜4500(MPa)であるのが好ましく、中でも1800以上或いは4000(MPa)以下、その中でも2000以上或いは3500(MPa)以下であるのがさらに好ましい。
本積層体の内部応力を低減して、高温高湿環境における形状安定性を高める観点から、上記前面板を、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間静置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後の、4隅の反り量の平均値が1.5mm以下であるのが好ましく、中でも1.0mm以下、その中でも0.3mm以下であるのが特に好ましい。
一方で、前記反り量(δ)がある程度大きい場合であっても、前面板の厚みを薄くする、粘着シートの弾性率を低くするなどにより、本積層体の内部応力(σ)を所定の範囲に調整することができ、高温高湿環境における形状安定性を高めることができる。
前面板の工業的な生産性や歩留りなどの観点からは、上記反り量(δ)の下限値は、0.01mm以上であることが好ましく、さらに0.05mm以上であることがさらに好ましい。
A層とB層とを積層する際の製膜方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法がハンドリング性や生産性等の観点から好適に用いることができる。
本積層体の外観を良好にするために、表面を鏡面処理された成形ロール(金属弾性ロールやポリシングロールなど)を用いることが好ましい。
Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね300℃以下、好ましくは、230〜260℃である。成形ロール温度は、概ね90〜160℃、好ましくは、95〜150℃である。
さらに各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤を適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては3〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合する方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤を混合する方法などを挙げることができる。
また、該ハードコート層(C層)と樹脂層表面との密着性を向上させる目的で、樹脂層表面にコロナ処理やプラズマ処理及びプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。
ここで、紫外線を発する光源としては、例えば無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯または水銀キセノンランプ等を用いることができる。中でも、無電極高圧水銀灯は、高照度の紫外線を得られやすく、紫外線硬化性樹脂の硬化に有利となるため好ましい。
熱処理条件としては、A層のガラス転移温度よりも5℃〜30℃低い温度領域、中でも5℃〜25℃低い温度領域、その中でも5℃〜20℃低い温度領域で、樹脂積層体を熱処理するのが好ましい。
各々の処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが例示できる。
本積層体に用いる粘着シートは、その組成を特に限定するものではない。但し、粘着性、透明性及び耐候性などの観点から、アクリル系樹脂を主成分樹脂とする粘着剤組成物を架橋してなる粘着シートを用いるのが好ましい。
上記粘着剤組成物は、アクリル系樹脂と、架橋モノマーと、必要に応じて架橋開始剤、反応触媒などを含有するものが好ましい。
アクリル酸エステル重合体(共重合体を含む)は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を形成するために用いる(メタ)アクリレート、即ち、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート成分としては、アルキル基がn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ブチル、イソブチル、メチル、エチル、イソプロピルのうちのいずれか1つであるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物であるのが好ましい。
中でも好ましくは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物か、或いは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から少なくとも1種類以上と、アクリル酸とを共重合させたものを挙げることができる。
上記の多官能(メタ)アクリレートの例を挙げると、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどを挙げることができる。
光開始剤としては、開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれを使用してもよいが、両者を併用することもできる。
開裂型光開始剤としては、例えばベンゾインブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシアセトフェノンなどを挙げることができる。
他方、水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、イソブチルチオキサンソンなどを挙げルことができる。
但し、前記に挙げた物質に限定するものではない。
上記成分のほか、必要に応じて、近赤外線吸収特性を有する顔料や染料などの色素、粘着付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、吸湿剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズなどの各種の添加剤を適宜配合することもできる。
粘着シートの厚み(a2)は、本積層体の内部応力を低減して、高温高湿環境における形状安定性を高める観点から、10μm〜300μmであるのが好ましく、中でも30μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのが特に好ましい。
粘着シートの弾性率(E2)は、高温高湿環境下における形状安定性を高めるなどの観点から、0.001MPa以上であれば好ましい。かかる観点から、0.01MPa以上であることがより好ましく、0.1MPa以上であることがさらに好ましい。
また、タック性を高めるなどの観点から、弾性率(E2)は、30MPa以下、好ましくは20MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
タックとは、“被着体に接着させた瞬間の粘着力を表すもの”として定義されており、“指などにより定性的に判断される場合が多い。”(木村馨・砂川誠ほか著「高機能接着剤・粘着剤」共立出版株式会社 1989年2月20日発行)
なお、粘着シートの弾性率(E2)は、引張試験機を用いて切り出した粘着シートの長さ方向に試験速度300mm/minで引張り試験を行うことによって測定できる。
粘着シートのTgは、レオメータ(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minで、せん断法による動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)により測定できる。
本積層体は、下記式(1)及び式(2)で求められる、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間、前面板と粘着シートの積層体を暴露した時の、前面板と粘着シートの内部応力(σ)が0.47MPa以下であることを特徴とするものである。
δ:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板
反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板端面の静置
面からの浮き上がり高さ
L:サンプル長さ(10cm)
θ:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板反り形状の曲率中心から前面板の接地点におろした垂線と、前面板反り形状の曲率中心と前面板の端点を結ぶ直線のなす角度
ρ1:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状の曲率半径
a1:前面板の厚み
a2:粘着シートの厚み
b:サンプル幅(10cm)
E1:前面板の弾性率
E2:粘着シートの弾性率
I1:前面板の断面2次モーメント
I2:粘着シートの断面2次モーメント
h:a1+a2
σ:内部応力
かかる観点から、本積層体における上記内部応力(σ)は0.47MPa以下であるのが好ましく、中でも0.46MPa以下、その中でも0.45MPa以下であるのが特に好ましい。さらには、0.40MPa以下が好ましく、0.30MPa以下がより好ましい。
以上説明したように、本積層体は、高温高湿環境下における形状安定性に優れるほか、透明性、耐衝撃性、表面硬度などを高めることも可能である。よって、本積層体は、種々の用途、例えば基材に貼り合わせるなどして、各種基板材料や保護材料などとして好適に用いることができる。例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの画像表示装置の構成材料としての各種基板材料や保護材料のほか、液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコン、カーナビゲーション、自動車計器など設置型ディスプレイデバイスの構成材料としての各種基板材料や保護材料として好適に用いることができる。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルム、又はこれらの積層体を包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。
市販の厚み測定器(MITUTOYO製)を用いて測定した。
前面板の弾性率(E1)については、JISK−7198A法に記載の動的粘弾性測定法により、アイティー計測制御(株)製動的粘弾性測定装置「DVA−200」を用い、フィルムの横方向(TD)について、振動周波数10Hz、歪み0.1%にて、昇温速度1℃/分で−100℃から200℃まで測定し、得られたデータから温度20℃での貯蔵弾性率(E’)を求め、この貯蔵弾性率(E’)をE1として用いた。
粘着シートの弾性率(E2)については、引張試験機を用いて切り出した粘着シートの長さ方向を試験速度300mm/minで引張り、測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂積層体(前面板)を、10cm×10cmの大きさに切り出し、温度85℃湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽中に120時間放置し、次いで温度23℃湿度50%RH環境に設定した恒温恒湿槽中に4時間放置した直後の、4隅の反り量を評価した。
反り量は、試験片すなわち樹脂積層体(前面板)の凸面を石英製定盤の上に静置し、ハイトゲージを使用して目視にて4隅の定盤からの浮き高さを測定し、4隅の反り量δ(mm)の平均値を算出した。
実施例・比較例で得られた前面板を、10cm×10cmの大きさに切り出し、温度85℃湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽中に120時間曝露した時に生じる内部応力を、下記に示す式(1)、式(2)を用いて算出した。
反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板端面の静置
面からの浮き上がり高さ
L:サンプル長さ(10cm)
θ:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板反り形状の曲率中心から前面板の接地点におろした垂線と、前面板反り形状の曲率中心と前面板の端点を結ぶ直線のなす角度
ρ1:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状の曲率半径
a1:前面板の厚み
a2:粘着シートの厚み
b:サンプル幅(10cm)
E1:前面板の弾性率
E2:粘着シートの弾性率
I1:前面板の断面2次モーメント
I2:粘着シートの断面2次モーメント
h:a1+a2
σ:内部応力
計算の過程としては、まず式(1)に、前面板単体の上記湿熱暴露試験により実測した反り量(δ)を代入し、前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状の曲率半径(ρ1)を算出した。
次に、下記式(3)、式(4)より、前面板と粘着剤の断面2次モーメント(I1、I2)をそれぞれ算出した。次いで、式(2)に、算出したρ1、他の物性値を代入し、内部応力(σ)を算出した。
実施例・比較例で得られた前面板/粘着シート/ガラスの積層体を、温度85℃、湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽中に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境に設定した恒温恒湿槽中に4時間放置した直後、試験片の外観を目視で確認した。
○(good):外観不良部の面積割合が10%未満
×(poor):外観不良部の面積割合が10%以上
実施例、比較例に用いた主な原料、材料について説明する。
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペット VH001、密度:1.19g/cm3、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=99/1質量%、立体規則性(トリアッド分率):mm(9.2モル%)、mr(41.8モル%)、rr(49.0モル%)、Tg:111℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):2.0g/10min)
共重合体(電気化学工業(株)製、商品名:レジスファイ R−100、密度:1.14g/cm3、スチレン/メタクリル酸メチル/マレイン酸無水物=75/15/10質量%、Tg:127℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):4.2g/10min)
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する単量体単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する単量体単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=70/30モル%であるポリカーボネート共重合体(密度:1.36g/cm3、Tg:128℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):9.6g/10min)
住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−15、密度:1.20g/cm3、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):15.0g/10min)
(c−1)(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」)
(c−2)(MOMENTIVE社製、商品名「XRC39−6210」)
粘着シートとしては、アクリル酸エステル共重合体、架橋剤及び光重合開始剤からなる粘着剤樹脂組成物を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム間に挟み、厚さ150μmとなるようシート状に賦形してなり、弾性率(E2):0.30MPa、Tg:−10℃のものを用いた。
ガラス板として、市販のソーダライムガラス(幅:100mm×長さ:100mm×厚み:0.5mm)を用いた。
アクリル系樹脂(a1−1)60質量部及び共重合体アクリル系樹脂(a2−1)40質量部を混合して得られた樹脂組成物100質量部と、ポリカーボネート系樹脂(b1−1)100質量部とをそれぞれ、ベント機能及びフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温度240〜265℃で溶融混練し、フィードブロックで(A層)/(B層)の積層構成となるように、260℃のTダイにて共押出成形した後、100℃に設定した第1冷却ロール、110℃に設定した第2冷却ロール及び150℃に設定した第3冷却ロールに順次通して冷却し、総厚みが0.675mm、各層厚みが(A層)/(B層)=0.075mm/0.600mmである前面板を得た。
次に、硬化性樹脂組成物(c−2)60質量部及び硬化性樹脂組成物(c−3)40質量部からなる硬化性樹脂組成物(cb)を、バーコーターを用いて、前記樹脂積層体のポリカーボネート系樹脂層(B層)の面に塗布し、この状態のまま90℃で1分間乾燥した後、700mJ/cm2の露光量で紫外線を露光して硬化性樹脂組成物(c)を硬化させて、ハードコート層(Cb)を形成して、前面板を作製した。
表1に示すように、実施例1において、前面板のA層、B層各層の厚み比率および総厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして前面板、及び、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
熱可塑性樹脂(a3−1)100質量部と、ポリカーボネート系樹脂(b1−1)質量部をそれぞれ、ベント機能及びフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温度240〜265℃で溶融混練し、マルチマニホールドを有するTダイで(Af層)/(B層)/(Ab層)の2種3層の積層構成となるように、240℃のTダイにて共押出成形した後、100℃に設定した第1冷却ロール、110℃に設定した第2冷却ロール及び120℃に設定した第3冷却ロールに順次通して冷却し、総厚みが0.675mm、各層厚みが(Af層)/(B層)/(Ab層)=0.075mm/0.525mm/0.075mmである前面板を得た後、実施例1と同様にしてハードコート層を塗布し、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
熱可塑性樹脂(a3−1)100質量部と、ポリカーボネート系樹脂(b1−1)質量部をそれぞれ、ベント機能及びフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温度240〜265℃で溶融混練し、マルチマニホールドを有するTダイで(Af層)/(B層)/(Ab層)の2種3層の積層構成となるように、240℃のTダイにて共押出成形した後、100℃に設定した第1冷却ロール、110℃に設定した第2冷却ロール及び120℃に設定した第3冷却ロールに順次通して冷却し、総厚みが0.275mm、各層厚みが(Af層)/(B層)/(Ab層)=0.075mm/0.125mm/0.075mmである前面板を得た後、実施例1と同様にしてハードコート層を塗布し、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
表1に示すように、実施例1において、前面板のA層、B層の厚み比率および総厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして前面板を得た後、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
表1に示すように、実施例1において、ハードコート層(Cb)の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして前面板を得た後、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
表1に示すように、実施例1において、前面板の共押し出し成形時に、第3冷却ロール温度を変更した以外は、実施例1と同様にして前面板を得た後、前面板/粘着シート/ガラスの貼合体を作製した。
湿熱環境試験に供した際の剥がれ挙動と、式(1)及び式(2)により算出した内部応力σとの間には相関性が認められ、内部応力σが一定以下であると、湿熱環境試験時の剥がれを抑制できることが確認できた。これは、前記前面板のみを湿熱曝露試験に供した時に発生する反りによる内部応力が一定以下に小さくなると、粘着シートとの密着力が勝り、剥がれを抑制できるものと考えられる。おおよそ内部応力:0.47MPaが剥がれが生じる閾値となっていることが確認できた。
実施例4,5より、前面板として2種3層の表裏対称構成を用いたものについては、A層/B層の2種2層構成を用いたものと比較して、前面板の反り量および内部応力を小さく抑えることができることを確認できる。
ハードコート層の材料組成が表裏で同じ場合は、両者の厚みを近づけることが好ましく、ハードコート層の材料組成が表裏で異なる場合は、それぞれのハードコート層の材質による弾性率及び、硬化収縮量を勘案して、表裏のバランスをとるように厚みを調整することが好ましい。
比較例1は、総厚みが1000μmと厚く、反り量が小さい場合でも、厚みの寄与が大きいため内部応力が大きくなった。
比較例2〜4は、B層に対するA層の厚み比率が大きいため、前面板の反り量が大きく、内部応力が大きくなった。
比較例5〜6は、裏面のハードコート層(Cf)の厚みが薄く、表裏のハードコート層のバランスがとれていないため、前面板の反り量が大きく、内部応力が大きくなった。
比較例7〜8は、第3冷却ロール温度が十分高温となっておらず、前面板の熱歪み量が大きく、反り量が大きくなってしまい、内部応力が大きくなった。
L:サンプル長さ
ρ:前面板反り形状の曲率半径
θ:前面板反り形状の曲率中心から前面板の接地点におろした垂線と、前面板反り形状の曲率中心と前面板の端点を結ぶ直線のなす角度
10:前面板
20:粘着シート
Claims (11)
- 前面板と、粘着シートとを含む積層体であって、
前記前面板は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とするB層と、該ポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂A層とを備えており、A層の合計厚みが10μm〜250μmであり、前記A層及び前記B層の合計厚み(T)に対する前記A層1層の厚み(A)の比((A)/(T))が0.05〜0.40であり、
下記式(1)及び式(2)で求められる、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間、前面板と粘着シートの積層体を暴露した時の、前面板と粘着シートの内部応力(σ)が0.47MPa以下であることを特徴とする積層体。
δ:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板
反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板端面の静置
面からの浮き上がり高さ
L:サンプル長さ(10cm)
θ:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板
反り形状において、前面板を下に凸の形状で水平に静置した時の、前面板反り形状の
曲率中心から前面板の接地点におろした垂線と、前面板反り形状の曲率中心と前面板
の端点を結ぶ直線のなす角度
ρ1:前面板のみを温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間暴露した時の前面板反り形状の曲率半径
a1:前面板の厚み
a2:粘着シートの厚み
b:サンプル幅(10cm)
E1:前面板の弾性率
E2:粘着シートの弾性率
I1:前面板の断面2次モーメント
I2:粘着シートの断面2次モーメント
h:a1+a2
σ:内部応力 - 前記前面板を、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間静置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後の、4隅の反り量(δ)の平均値が1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- A層の主成分樹脂としての熱可塑性樹脂はアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
- A層の主成分樹脂としての熱可塑性樹脂は、メタクリル酸メチル単量体と、メタクリル酸単量体、アクリル酸単量体、マレイン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体のうちいずれか1種以上との共重合体からなるアクリル系樹脂(a1)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層体。
- A層の主成分樹脂としての熱可塑性樹脂は、メタクリル酸メチル単量体と、メタクリル酸単量体、アクリル酸単量体、マレイン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体のうちいずれか1種以上との共重合体からなるアクリル系樹脂(a1)と、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及びマレイン酸無水物単量体を有する共重合体(a2)とを含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層体。
- A層の主成分としての熱可塑性樹脂は、構造の一部に下記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(a3)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
- B層の主成分樹脂としてのポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、芳香族(メタ)アクリレート単量体5〜80%質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20%質量%からなるアクリル系共重合体(b2)と、を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層体。
- 粘着シートの弾性率(E2)が0.001〜30MPaであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層体。
- 前記前面板の総厚みが0.7mm以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の積層体。
- 前記前面板は、前記A層及びB層の他に、粘着シートと積層される側に、当該粘着シートの主成分樹脂と同一樹脂を主成分として含有するハードコート層を備えることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の積層体。
- 請求項1〜10の何れかに記載された積層体を備えた画像表示装置。
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