JP2020011517A - 積層体 - Google Patents

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浩一郎 谷口
Koichiro Taniguchi
浩一郎 谷口
記央 佐藤
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記央 佐藤
大希 野澤
Daiki Nozawa
大希 野澤
勝司 池田
Katsushi Ikeda
勝司 池田
潤 西岡
Jun Nishioka
潤 西岡
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Akira Miyashita
陽 宮下
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Abstract

【課題】基板材料や保護材料に使用される、透明性、耐衝撃性、表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性に優れる積層体を得る。【解決手段】ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有する積層体であって、該アクリル系樹脂層(A)がアクリル系樹脂(A1)と芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(A2)を含有し、その混合質量比が(A1)/(A2)=80〜20/20〜80であり、ポリカーボネート系樹脂層(B)がポリカーボネート系樹脂(B1)と改質剤(B2)を含有することを特徴とする積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関し、さらに詳細には、基板材料や保護材料に使用され、特に画像表示装置の表面保護パネルや携帯電話やスマートフォンおよびタブレット機器等のカバー材として好適に使用することができる積層体に関する。
画像表示装置のカバー材としては、従来からガラスが主に用いられてきた。しかしながら、ガラスは衝撃により割れ易く、また重量が重いことから樹脂材料での代替が検討されている。ここで、該樹脂材料には、耐衝撃性や表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性が主に求められる。
ポリカーボネート樹脂板は、透明性を有し、耐衝撃性や耐熱性に優れるため、防音隔壁やカーポート、看板、グレージング材、照明用器具などに利用されているが、表面硬度が低いために傷がつきやすいという欠点があり用途が制限されている。
例えば、特許文献1には、この欠点を改良する為にポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂を共押出した積層体にハードコート処理を施した樹脂積層体が開示されている。
反りを抑制する方法として特許文献2には、ポリカーボネート樹脂上にメチルメタクリレート−スチレン共重合体樹脂(MS樹脂)を積層した樹脂積層体が開示されている。
反りを抑制する方法として特許文献3には、ポリカーボネート系樹脂を積層した各層のガラス転移温度差と吸水率差を規定した樹脂積層体が開示されている。
特開2006−103169号公報 特開2010−167659号公報 WO2014/061817
特許文献1では、2層構成とすることにより、表面硬度はある程度向上するものの、高温高湿など環境変化が生じる用途では、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の主にガラス転移温度に代表される耐熱性や吸水特性などの違いにより寸法変化差が生じ、結果として大きな反りになり易いという問題があった。
特許文献2では、MS樹脂は、アクリル樹脂よりも吸水率が低いため反り改良の効果はみられるが、実施例での評価にも記載されているように環境試験の温度40℃、湿度90%RHは高温高湿の条件としては未だ不十分である。また、共重合成分のスチレン含有量を上げる(40質量%以上)ことにより吸水率を低減したMS樹脂は耐熱性が低下し易く、また、アクリル樹脂との相溶性も低下する。
特許文献3では、反り改良の効果はみられるが、発明の開示や実施例にも記載されているようにその達成手段は実質、積層体を冷却する際のロールの速度比により微延伸することが必須の製造方法である。積層体を冷却過程で微延伸すると熱収縮性が付与されてしまうといった問題があった。また、具体的に用いられている変性ポリカーボネート樹脂は特殊な原料であり経済性にも問題があった。
そこで本発明の目的は、汎用材料を主原料として用いることで経済性に優れ、基板材料や保護材料に使用される、透明性、耐衝撃性、表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性に優れる積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート系樹脂層の少なくとも片面に特定のアクリル系樹脂層を有する積層体とすることにより、耐衝撃性や表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記(1)〜(20)が提供される。
(1)ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有する積層体であって、該アクリル系樹脂層(A)がアクリル系樹脂(A1)と芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(A2)を含有し、その混合質量比が(A1)/(A2)=80〜20/20〜80であることを特徴とする積層体。
(2)アクリル系樹脂(A1)がメタクリル酸メチル単量体単位を主成分とし、核磁気共鳴測定(H−NMR)で求められるトリアッド分率のmm、mr、rrの内、rr構造のモル比率が最も高いものであることを特徴とする上記(1)記載の積層体。
(3)共重合体(A2)の構成単位が芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位4〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単位8〜20質量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の積層体。
(4)アクリル系樹脂(A1)と共重合体(A2)混合質量比が(A1)/(A2)=80〜55/20〜45であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(5)アクリル系樹脂(A1)と共重合体(A2)混合質量比が(A1)/(A2)=50〜20/50〜80であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(6)示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で測定されるアクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度が100〜140℃であり、かつ、ポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度との差の絶対値が20℃以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の積層体。
(7)示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で測定されるアクリル系樹脂層(A)ガラス転移温度が115〜140℃であり、かつ、ポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度との差の絶対値が10℃以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の積層体。
(8)ポリカーボネート系樹脂層(B)がポリカーボネート系樹脂(B1)と下記から選ばれる少なくとも1種の改質剤(B2)を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の積層体。
改質剤(B2)
(B2−1):カルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80モル%以上、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含む構成単位からなるポリエステル系樹脂
(B2−2):芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体
(9)アクリル系樹脂層(A)にホスファイト系の酸化防止剤が混合されていることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の積層体。
(10)ポリカーボネート系樹脂層(B)にカルボジイミド化合物が混合されていることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の積層体。
(11)アクリル系樹脂層(A)の厚みが、0.01〜0.25mmであることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の積層体。
(12)アクリル系樹脂層(A)とポリカーボネート系樹脂層(B)の合計厚みを(T)した場合、アクリル系樹脂層(A)1層の厚み比((A)/(T))が、0.01〜0.35であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の積層体。
(13)共押出成形されたことを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の積層体。
(14)前記積層体の少なくとも片面にハードコート層(C)が積層されたことを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の積層体。
(15)ハードコート層(C)の表面の鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする上記(14)記載の積層体。
(16)ハードコート層(C)が有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(14)又は(15)記載の積層体。
(17)積層体およびハードコート層(C)を有する積層体の片面または両面に反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上の処理がされていることを特徴とする上記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の積層体。
(18)上記(1)〜(17)のいずれか1項に記載の積層体を用いた基板材料。
(19)上記(1)〜(17)のいずれか1項に記載の積層体を用いた保護材料。
(20)上記(1)〜(17)のいずれか1項に記載の積層体を含む画像表示装置。
本発明によれば、耐衝撃性や表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性に優れる積層体が提供され、該積層体は各種基板材料や保護材料などとして用いることができる。具体的には、携帯型ディスプレイデバイス(携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコンなど)や設置型ディスプレイデバイス(液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコン、カーナビゲーション、自動車計器など)などに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有する積層体である。
<アクリル系樹脂層(A)>
該アクリル系樹脂層(A)は、アクリル系樹脂(A1)と芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(A2)を含有する層である。
該アクリル系樹脂層(A)は、積層体の機能の内、特に表面硬度や耐熱性などを発現させる機能を分担するものである。このため該アクリル系樹脂層(A)は、後述するポリカーボネート系樹脂層(B)の両面に積層されてもよいが、少なくとも片面に積層されていることが必要である。ディスプレイパネルなどの場合には、外面側に該アクリル系樹脂層(A)が積層されていることが好ましい。
<アクリル系樹脂(A1)>
該アクリル系樹脂(A1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主成分として重合した(共)重合体およびその誘導体を主成分として含有する樹脂である。尚、本明細書においては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、アクリル酸エステル単量体単位又はメタクリル酸エステル単量体単位を意味する。ここで構成する単量体単位としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらは、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル系単量体単位と重合され得る他の単量体単位としては、例えばオレフィン系単量体単位、ビニル系単量体単位等が挙げられる。
ここで本発明においては、共重合体(A2)との相溶性や工業的に入手し易いことなどからメタクリル酸メチルの単独重合体やメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルとの共重合体が好適に用いることができる。また、立体規則性についても特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の立体構造はシンジオタクチック構造であるほどガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するため好ましい。具体的には、トリアッド分率のmm、mr、rrの内、rr構造のモル比率が最も高いものが好適に用いることができる。なお、トリアッド分率は、核磁気共鳴測定装置(H−NMR)を用い、公知の方法で測定することができる。
本発明に用いるアクリル系樹脂(A1)は市販品を用いることも可能であり、具体例としては三菱レイヨン(株)製の商品名「アクリペット(Acrypet)」、住友化学(株)製の商品名「スミペックス(SUMIPEX)」、(株)クラレ製の商品名「パラペット(PARAPET)」などが例示できる。
<共重合体(A2)>
該共重合体(A2)は、芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体である。
ここで、芳香族ビニル単量体単位としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の各スチレン系単量体に由来する単位が挙げられる。これら芳香族ビニル単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、スチレン単位やα−メチルスチレン単位が好ましい。スチレン単位は、工業的に入手し易く、また経済性に優れるため好ましく、α−メチルスチレン単位はガラス転移温度を向上させることができるため好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等の各メタクリル酸エステル単量体、及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体に由来する単位が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで本発明においては、アクリル系樹脂(A1)との相溶性や外観などからメタクリル酸メチル単位が好適に用いることができる。
不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物などの各無水物単量体に由来する単位が挙げられる。これら不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで本発明においては、アクリル系樹脂(A1)との相溶性や透明性などからマレイン酸無水物単位が好適に用い用いることができる。
本発明で用いる共重合体(A2)の構成単位は、好ましくは芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位4〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単位8〜20質量%であり、より好ましくは芳香族ビニル単量体単位55〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜30質量%、不飽和ジカルボン酸無水物10〜18質量%の範囲である。
ここで、共重合体(A2)の構成単位は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
ここで、芳香族ビニル単量体単位が好ましくは45質量%以上、より好ましくは55質量%以上であれば、熱安定性が向上し、アクリル系樹脂(A1)と混合した際に良好な外観が得られ、また、吸水性を低減できるので好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が好ましくは4質量%以上、より好ましく5質量%以上であれば、アクリル系樹脂(A1)との相溶性が向上し透明性が良好になるため好ましい。また、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が好ましくは8質量%以上、さらに好ましく10質量%以上であれば、アクリル系樹脂(A1)との相溶性が向上し透明性や耐熱性が向上するため好ましい。
一方、芳香族ビニル単量体単位が好ましくは85質量%以下であれば、アクリル系樹脂(A1)との混合性を保持しながら、耐熱性の向上や吸水性の低減などが出来るため好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が好ましくは45質量%以下、より好ましくは30質量%以下であれば、アクリル系樹脂(A1)との相溶性を確保しながら、吸水性を抑制できるため好ましい。また、不飽和ジカルボン酸無水物単位が好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下であれば、アクリル系樹脂(A1)との相溶性を確保しながら、熱安定性の向上や吸水性を抑制できるため好ましい。
本発明で用いる共重合体(A2)は、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、および不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位以外の、共重合可能な単位を共重合体中に本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよく、好ましくは5質量%以下である。共重合可能な単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位が挙げられる。これら共重合可能な単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる共重合体(A2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が100,000〜200,000であることが好ましい。ここで重量平均分子量(Mw)が該範囲であるとアクリル系樹脂(A1)と混合して得られるアクリル系樹脂層(A)の成形性や外観などに優れるため好ましい。かかる観点から、より好ましい重量平均分子量(Mw)の範囲は110,000〜180,000である。
本発明に用いる共重合体(A2)の製造方法は、公知の重合方法で製造可能であり特に限定されるものではない。例えば、溶液重合や塊状重合等が適用でき、重合プロセスも回分式や半回分式および連続式などを適宜採用することができる。本発明においては、副生成物が少なく、また、分子量調整と透明性を制御し易いことなどから溶液重合で回分式重合プロセスが好適に用いることができる。
本発明に用いる共重合体(A2)は市販品を用いることも可能であり、具体例としては電気化学工業(株)製の商品名「レジスファイ R−100」、「レジスファイ R−200」および「レジスファイ R−300」などが例示できる。
次に本発明のアクリル系樹脂層(A)は、アクリル系樹脂(A1)と芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(A2)を含有し、その混合質量比が(A1)/(A2)=80〜20/20〜80である。ここで、アクリル系樹脂(A1)と共重合体(A2)の混合割合が上記範囲内であれば、ポリカーボネート樹脂層(B)との層間密着性に優れ、アクリル系樹脂の特徴である表面硬度や透明性を維持しつつ、耐熱性の向上や吸水性が抑制されるため好ましい。また、表面硬度を重視する場合には、(A1)/(A2)=80〜55/20〜45であることが好ましく、耐熱性の向上や吸水性の抑制を重視する場合には、(A1)/(A2)=50〜20/50〜80であることが好ましい。
本発明のアクリル系樹脂層(A)には、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜、種々の添加剤や他の樹脂を配合することができる。ここで添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤などが挙げられる。また、他の樹脂としては、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。
モノフェノール系としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどが例示できる。
高分子型フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)などが例示できる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示できる。
上記酸化防止剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等から高分子型フェノール系などのフェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好ましく、中でも耐熱分解性に優れたホスファイト系の酸化防止剤がより好ましい。
該酸化防止剤の添加量は、アクリル系樹脂層(A)を構成する樹脂組成物100質量部に対して、0.001〜0.5質量部の範囲であり、0.05〜0.3質量部添加することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが例示できる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが例示できる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどが例示できる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが例示できる。
上記紫外線吸収剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、アクリル系樹脂層(A)を構成する樹脂組成物100質量部に対して、0.3〜5.0質量部の範囲であり、0.5〜2.0質量部添加することが好ましい。
(光安定剤)
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いることができる。ヒンダードアミン系光安定剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
(ヒンダードアミン系光安定化剤)
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが例示できる。
該ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、アクリル系樹脂層(A)を構成する樹脂組
成物100質量部に対して、0.01〜0.5質量部の範囲であり、0.05〜0.3質量部添加することが好ましい。
<ポリカーボネート系樹脂層(B)>
該ポリカーボネート系樹脂層(B)は、積層体の機能の内、特に耐衝撃性や耐熱性などを発現させる機能を分担するものである。このため該ポリカーボネート系樹脂層(B)は、ポリカーボネート系樹脂(B1)を単体で用いてもよいが、種々の改質剤(B2)と混合して用いることができる。
(ポリカーボネート系樹脂(B1))
ポリカーボネート系樹脂(B1)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂が好ましく用いることができるが脂肪族ポリカーボネート系樹脂でもよい。また、単独重合体でも他の共重合可能なモノマーとの共重合体のいずれであってもよい。さらに構造は分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂(B1)の製造方法はホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など公知のいずれの方法を用いてもかまわない。
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂(B1)の重量平均分子量は、通常、10,000〜100,000、好ましくは、20,000〜40,000、特に好ましくは、22,000〜28,000の範囲のものを用いることができる。ポリカーボネート系樹脂(B1)は1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで重量平均分子量が上記範囲にあれば、耐衝撃性が確保され、押出成形性も良好であるため好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂(B1)は市販品を用いることも可能であり、芳香族ポリカーボネート系樹脂の具体例としては住化スタイロンポリカーボネート(株)製の商品名「カリバー(CALIBRE)」、「SDポリカ(SD POLYCA)」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の商品名「ユーピロン(Iupilon)」、「ノバレックス(NOVAREX)」、帝人(株)製の商品名「パンライト(Panlite)」などが例示できる。また、脂肪族ポリカーボネート系樹脂の具体例としては三菱化学(株)製の商品名「デュラビオ(DURABIO)」などが例示できる。
(改質剤(B2))
本発明においてポリカーボネート系樹脂(B1)と混合して用いる改質剤(B2)としては、ガラス転移温度や溶融粘度の調整および硬度向上などの目的で用いられ、具体的には、特定のポリエステル系樹脂(B2−1)や特定のアクリル系樹脂(B2−2)などが例示できる。
(特定のポリエステル系樹脂(B2−1))
特定のポリエステル系樹脂(B2−1)は、カルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80モル%以上、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含む構成単位からなるポリエステル系樹脂である。
ここで、ポリエステル系樹脂(B2−1)のカルボン酸単量体(イ)単位は、芳香族ジカルボン酸を80モル%以上含むものである。ここで、カルボン酸単量体(イ)単位中に芳香族ジカルボン酸が80モル%以上あれば、得られるポリエステル樹脂(B2−1)の耐熱性および機械的強度が十分であるため好ましい。かかる観点から、芳香族ジカルボン酸は、カルボン酸単量体(イ)単位中に、下限値が85モル%以上含まれることがさらに好ましく、また、上限値が100モル%以下含まれることがさらに好ましい。
該芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4または2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、そのエステルとして重合に供される場合もある。芳香族ジカルボン酸エステルとしては、特に制限はなく、上記の芳香族ジカルボン酸のエステルが好ましく、低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、カルボン酸単量体(イ)単位には、脂肪族ジカルボン酸を少量(通常、20モル%未満の範囲)含んでもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。これらのカルボン酸単量体(イ)は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、ポリエステル樹脂(B2−1)のグリコール単量体(ロ)単位は、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含むものである。グリコール単量体(ロ)に使用されるグリコールには、上記した成分以外には特に制限はなく、エチレングリコール、ジエチレングリコール(副成する成分も含む)、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−または−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などが挙げられる。これらのグリコール単量体(ロ)は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、ポリエステル樹脂に色調、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を適宜付与することができるが、得られるポリエステル樹脂の成形時における熱安定性を付与できる点や安価で工業的に入手が容易なことから、エチレングリコールが好ましく用いることができる。
グリコール単量体(ロ)に使用される1,4−シクロヘキサンジメタノールは、得られるポリエステル樹脂(B2−1)に主に耐衝撃性を付与するとともに、ポリカーボネート系樹脂(B1)との相溶性を向上させるものである。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールには、シス型とトランス型の2種類の異性体が存在するが、いずれであってもよい。ここで、グリコール単量体(ロ)単位中の含有量が40モル%以上であれば、得られるポリエステル樹脂(B2−1)に耐衝撃性を付与する効果が十分であり、また、ポリカーボネート系樹脂(B1)との相溶性が向上し、透明性が低下しにくいため好ましい。かかる観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノールは、グリコール単量体(ロ)単位中に、下限値が50モル%以上含まれることがさらに好ましく、また、上限値が100モル%以下含まれることが好ましく、80モル%以下含まれることがさらに好ましい。
該ポリエステル系樹脂(B2−1)は市販品を用いることも可能であり具体例としては、SKケミカル(株)製の商品名「スカイグリーン(SKYGREEN)J2003」、イーストマン・ケミカル(株)製の商品名「イースター(EASTAR)PCTG Copolyester24635」などが例示できる。
ポリカーボネート系樹脂(B1)と上記ポリエステル系樹脂(B2−1)の混合質量比は特に制限されるものではないが、(B1)/(B2−1)=99〜1/1〜99であることが好ましく、95〜5/5〜95であることがより好ましく、90〜10/10〜90であることがさらに好ましい。両者の混合組成物は相溶するためポリカーボネート系樹
脂(B1)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B2−1)のガラス転移温度との間で任意に調整することができるため好ましい。
本発明に用いるアクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度は、100〜140℃であることが好ましく、110〜140℃であることがより好ましく、115〜140℃であることがさらに好ましく、120〜140℃であることが特に好ましい。ここで、ポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度は、100〜160℃であることが好ましいが、上記混合割合を(B1)/(B2−1)=80〜20/20〜80とすることにより、100〜140℃程度に調整することができる。また、アクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度とポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度との差の絶対値は、30℃以下であると温度85℃、湿度85%RHの高温高湿環境試験後の積層体の反りが抑制できるため好ましい。かかる観点から、該差の絶対値は、20℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。これは、高温高湿環境下でアクリル系樹脂層(A)は吸水により軟化温度が低下することで種々の歪の緩和現象が生じ易いが、該差の絶対値が上記範囲内であれば、高温高湿環境下で両層の寸法変化挙動が近くなり、結果として反りが抑制されるものと考えられる。
本発明において上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定したものであるが、その他の公知の機器分析装置、例えば、動的粘弾性装置などでも測定することができる。
(特定のアクリル系樹脂(B2−2))
次に特定のアクリル系樹脂(B2−2)は、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体である。
ここで、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらは1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで本発明においては、ポリカーボネート系樹脂(B1)との相溶性などからフェニルメタクリレートやベンジルメタクリレートが好ましく、フェニルメタクリレートがより好ましい。
アクリル系樹脂(B2−2)には、必要に応じて芳香族(メタ)アクリレート単量体単位およびメチルメタクリレート単量体単位以外の共重合可能な他の単量体単位を含有させることができる。その他の単量体単位を含有させる場合には、アクリル系樹脂(B2−2)中に0.1〜10質量%であることが好ましい。
芳香族(メタ)アクリレート単量体単位とメチルメタクリレート単量体単位とが上記範囲内にあれば、ポリカーボネート系樹脂(B1)との相溶性や表面硬度向上効果が発現できるため好ましい。かかる観点から、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位10〜70質量%およびメチルメタクリレート単量体単位90〜30質量%であることがより好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位25〜60質量%およびメチルメタクリレート単量体単位75〜40質量%であることがさらに好ましい。
該アクリル系樹脂(B2−2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000であることが好ましい。ここで重量平均分子量(Mw)が該範囲であるとポリカーボネート系樹脂(B1)との相溶性が良好であり、得られるポリカーボネート系樹脂層(B)の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。かかる観点から、重量平均分子量(Mw)の範囲は10,000〜28,000であることがより好ましい。
該アクリル系樹脂(B2−2)は市販品を用いることも可能であり具体例としては、三菱レイヨン(株)製の商品名「メタブレン(MATABLEN)H−880」などが例示できる。
ポリカーボネート系樹脂(B1)と上記アクリル系樹脂(B2−2)の混合割合は特に制限されるものではないが、(B1)/(B2−2)=99〜65/1〜35質量%であることが好ましい。ここで混合割合が該範囲内にあれば得られるポリカーボネート系樹脂層(B)の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。かかる観点から、(B1)/(B2−2)=95〜70/5〜30質量%であることがより好ましい。
本発明のポリカーボネート系樹脂層(B)を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜、前記した種々の添加剤や他の樹脂を配合することができる。ここで添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤、加水分解防止剤などが挙げられる。
(加水分解防止剤)
加水分解防止剤としては、フェノール系化合物、カルボジイミド化合物の単量体または重合体およびオキサゾリン化合物の単量体または重合体などが例示できる。本発明においては、カルボジイミド化合物の単量体または重合体が好適に用いることができる。
該カルボジイミド化合物としては、下記一般式(1)に示す基本構造を有するものが挙げられる。
一般式(1)中、nは1以上の整数であり、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間の適当な整数が選択される。nが2以上の整数である場合に、2以上のRは同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、ビス(プロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、芳香族ポリカルボジイミド等、および、これらの単量体が、カルボジイミド化合物が例示できる。上記カルボジイミド化合物は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。カルボジイミド化合物の重合体としては分子量が2,000〜50,000であることが好ましい。
該カルボジイミド化合物は市販品を用いることも可能であり具体例としては、Rhein Chemie GmbH社製の商品名「スタバクゾール(Stabaxol)P」、「スタバクゾール(Stabaxol)P100」、日清紡ケミカル(株)製の商品名「カルボジライト(CARBODILITE)HMV−8CA」、「カルボジライト(CARBODILITE)LA−1」などが例示できる。
該加水分解防止剤の添加量は、ポリカーボネート系樹脂層(B)を構成する樹脂組成物100質量部に対して、0.001〜1.0質量部の範囲であり、0.05〜0.5質量部添加することが好ましい。
<積層体>
本発明の積層体は、ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有するものである。本発明においては、各層の上にさらに後述するハードコート層(C)を積層することができる。層構成の具体例としては、(A)/(B)、(A)/(B)/(A)、ハードコート層(C)を有する構成として、(C)/(A)/(B)、(C)/(A)/(B)/(A)、(C)/(A)/(B)/(C)および(C)/(A)/(B)/(A)/(C)が例示できる。ここで層構成の中に同一分類層を2層以上有する場合には、該層は同一組成でもよいし、異なった組成でもよい。本発明においては、(A)/(B)、(C)/(A)/(B)および(C)/(A)/(B)/(C)構成が好ましい。また、ディスプレイパネルなどの場合には、(外面側)(C)/(A)/(B)/(C)(内面側)や(外面側)(C)/(A)/(B)(内面側)に配置することがより好ましい。
(積層体の厚み)
本発明の積層体のアクリル系樹脂層(A)とポリカーボネート系樹脂層(B)の合計厚みは、特に制限されるものではないが、通常、0.1〜3.0mmである。該合計厚みは、0.1〜1.5mmであることが好ましく、0.15〜1.2mmであることがより好ましい。
また、該合計厚みは、本発明の積層体の適用用途によっても好ましい範囲がある。例えば、各種画像表示装置のフロントカバー材に適用する場合には、0.5〜1.5mmであることが好ましく、0.6〜1.2mmであることがより好ましく、0.7〜1.1mmであることがさらに好ましい。該範囲内であれば、軽量性と剛性および高温や高湿な環境における形状安定性に優れるため好ましい。また、本発明の積層体に粘着層などを積層し、ガラスなどの表面の汚れや傷付きから保護したり、破壊した破片などの飛散を防止する用途に適用する場合には、0.1〜0.6mmであることが好ましく、0.15〜0.5mmであることがより好ましい。
次に、本発明の積層体のアクリル系樹脂層(A)の厚みは、特に制限されるものではないが、該積層体の表面硬度や耐衝撃性および高温や高湿な環境における形状安定性などに影響する。かかる観点から、アクリル系樹脂層(A)の厚みは、0.01〜0.25mmであることが好ましく、0.04〜0.20mmであることがより好ましく、0.06〜0.10mmであることがさらに好ましい。また、前記したアクリル系樹脂層(A)とポリカーボネート系樹脂層(B)の合計厚みを(T)した場合、アクリル系樹脂層(A)1層の厚み比((A)/(T))は、0.01〜0.35であることが好ましく、0.05〜0.30であることがより好ましく、0.07〜0.20であることがさらに好ましい。上記厚みと厚み比の範囲内であれば、該積層体の表面硬度や耐衝撃性および高温や高湿な環境における形状安定性に優れるため好ましい。
(全光線透過率)
本発明の積層体の透明性の指標として全光線透過率を用いた場合、85%以上であることが好ましく、89%以上であることがより好ましい。本発明における全光線透過率は、JIS K7361−1に準じて測定したものである。
(反り評価)
本発明の積層体の反り評価は、次のようにして行ったものである。すなわち、得られた積層体から100mm角の試験片(n=3)を切り出し、まず、温度23℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した。次に各試験片を温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した後、試験片を定盤に静置させ、四隅の定盤からの高さを反り量として測定しその絶対値の平均値を評価したものである。高温高湿環境下に放置する前後の環境条件を同一にすることで高温高湿環境下での影響のみを測定することができる。
本発明においては、該反り量は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましく、0mmであることが最も好ましい。上記範囲内であれば、積層体をより広い用途や環境下で使用できるため好ましい。
上記反り評価については、本発明では温度85℃、湿度85%RH環境下で評価したが高温高湿環境としては、温度60℃、湿度90%RHや温度70℃、湿度90%RHなどの条件が用いられる場合もある。
また、反りの低減方法としては、積層体を製造する際に悪影響を与える歪を付与しないように製膜したり、Tg近傍で数時間〜数日のアニーリングにより歪を緩和させる方法などが例示でき、具体的には、評価する環境条件下での熱収縮率を低減するように調整すればよい。さらに、後述するハードコート層(C)の表裏面への塗布厚みや種類により調整することもできる。
(積層体の製造方法)
次に、本発明の積層体の製造方法について説明するが、特に限定されるものではない。製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法がハンドリング性や生産性等の面から好適に用いることができる。積層体の形成方法としては、溶融混練された樹脂をフィードブロックあるいはマルチマニホールドを有するTダイにより共押出成形される方法が好適に用いることができる。また、積層体の外観を良好にするためには、表面を鏡面処理された成形ロール(金属弾性ロールやポリシングロールなど)を用いることが好ましい。
Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね300℃以下、好ましくは、230〜270℃である。成形ロールは、概ね90〜130℃、好ましくは、95〜115℃である。
本発明においては、単軸押出機や多軸押出機が好適に用いることができるが各層の押出機にはベント機能とフィルター機能を有することが好ましい。ベント機能は、各層に用いる樹脂組成物の乾燥や微量の揮発成分の除去などに活用でき、気泡などの欠陥が少ない積層体を得ることができるため好ましい。また、フィルター機能は、種々の方式があり、具体的には、リーフディスクフィルター、バックディスクフィルター、コーン型フィルター、キャンドルフィルター、円筒型フィルターなどが例示できる。中でも有効ろ過面積を確保し易いリーフディスクフィルターが好ましい。フィルター機能により異物や微小ゲルブツなどを除去することができ、外観不良の少ない積層体を得ることができるため好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、予め各成分をタンブラー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、押出機などの混合機により混合して使用してもよく、また押出機の供給口に計量した各成分を直接供給したり、更には2ヶ所以上の供給口を有する押出機の各供給口に別々に計量した成分を供給してもよい。さらに各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤を適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては3〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合する方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤を混合する方法などが挙げられる。
<ハードコート層(C)>
ハードコート層(C)は、本発明の積層体に優れた表面硬度や耐擦傷性を付与する層である。
ここで表面硬度については、鉛筆硬度をひとつの指標として評価することができる。本発明においては、測定する表面に対して、JIS K5600−5−4に準じて荷重750gで鉛筆硬度を測定した。
本発明の積層体のアクリル系樹脂層(A)の表面については、鉛筆硬度がH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。また、外面側に適用するハードコート層(C)の表面については、鉛筆硬度は、4H以上であることが好ましく、5H以上であることがより好ましく、7H以上であることが特に好ましい。鉛筆硬度が4H以上であれば、優れた表面硬度を有する積層体を提供することができる。内面側に適用するハードコート層(C)の表面については、鉛筆硬度は、F以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。鉛筆硬度がF以上であれば、工程内での輸送や加工時に積層体に摩擦傷が入るのを防ぐための傷付防止層として機能することができる。
次に、外面側に適用するハードコート層(C)の表面の耐擦傷性については、スチールウール試験をひとつの指標として評価することができる。ここで、#0000のスチールウールを用いて荷重1000gfで擦ったときに、傷が発生するまでの往復回数が20回以上であることが好ましい。前記スチールウールで擦ったときに、表面に傷が発生するまでの往復回数が20回以上であれば、優れた耐擦傷性を有する傷のつきにくい積層体を提供することができる。かかる観点から、表面に傷が発生するまでの往復回数は20回以上であることが好ましく、300回以上であることがより好ましく、500回以上であることが特に好ましい。
(ハードコート剤)
ハードコート剤としては、本発明において特に制限されるものではないが、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化するか、あるいは加熱により硬化するものなどが適用できる。本発明においては、成形時間および生産性の観点から紫外線硬化性樹脂からなることが好ましい。
ここで、硬化性樹脂の具体例としては、アクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが例示できる。これらの硬化性樹脂は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂としては、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができ、さらに、前記硬化性樹脂に無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物とすることもできる。
特に優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂組成物として、有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物を挙げることができる。有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物としては、前記硬化性樹脂に反応性官能基を有する無機成分を含有させた硬化性樹脂組成物から構成されるものを挙げることができる。
このような反応性官能基を有する無機成分を利用して、例えば、この無機成分がラジカル重合性モノマーと共重合および架橋することで、単に有機バインダーに無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物に比べて、硬化収縮が生じにくく、かつ高い表面硬度を発現することができるので好ましい。さらに、硬化収縮の低減の観点からは、反応性官能基を有する無機成分として紫外線反応性のコロイダルシリカを含む有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物をより好ましい例として挙げることができる。
特に優れた表面硬度を付与する手段としては、ハードコート層(C)に含有される無機成分および/または反応性官能基を有する無機成分の濃度で調整する方法が挙げられる。
ハードコート層(C)に含有される無機成分および/または反応性官能基を有する無機成分の好ましい濃度の範囲は、10質量%以上、65質量%以下である。好ましい濃度の下限値は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。濃度が、10質量%以上であれば、ハードコート層(C)に優れた表面硬度を付与する効果が得られるので好ましい。一方、好ましい濃度の上限値は、65質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることが特に好ましい。濃度が、65質量%以下であれば、ハードコート層(C)において、無機成分および/または反応性官能基を有する無機成分を最密に充填することが可能になり、優れた表面硬度を効果的に付与することができるので好ましい。
ハードコート層(C)の形成方法としては、例えば、前記した硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解、あるいは分散させた塗料として樹脂層の表面に塗工した後、硬化膜とすることにより、樹脂層の表面に形成・積層する方法があるが、この方法に限定されるものではない。
樹脂層との積層方法としては、公知の方法が使用される。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ディップコート法、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法等が挙げられる。その他、例えば、離型層にハードコート層(C)が形成されてなる転写シートを用いて、該ハードコート層(C)を樹脂層に積層する方法を採用してもよい。
また、該ハードコート層(C)と樹脂層との密着性を向上させる目的で、樹脂層の表面にコロナ処理やプラズマ処理及びプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。
ハードコート層(C)を形成する硬化性樹脂組成物は、成形時間および生産性の観点から紫外線硬化性樹脂からなるもの、即ち紫外線を照射することにより硬化するものからなることが好ましい。ここで紫外線を発する光源としては、無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯または水銀キセノンランプ等を用いることができる。中でも無電極高圧水銀灯は、高照度の紫外線を得られやすく、紫外線硬化性樹脂の硬化には有利となり好ましい。
また、紫外線硬化性樹脂は、添加される光重合開始剤が紫外線を吸収して、励起、活性化されることで重合反応を起こし、紫外線硬化性樹脂の硬化反応が起こる。したがって、紫外線硬化性樹脂に添加されている光重合開始剤に応じた、即ち光重合開始剤の励起波長に応じた光源を選択すると、紫外線硬化性樹脂の硬化に有利となり好ましい。
(光重合開始剤)
硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂からなり紫外線を照射することにより硬化させる場合、硬化剤として光重合開始剤を使用する。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。中でも、α−ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。また、アミノアルキルフェノン類は、非常に高い反応性を備え、優れた硬度の硬化物が得られるので好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、光重合開始剤の添加量は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部添加することが好ましい。
該光重合開始剤は市販品を用いることも可能であり具体例としては、“IRGACURE651”、“IRGACURE184”、“IRGACURE500”、“IRGACURE1000”、“IRGACURE2959”、“DAROCUR1173”、“IRGACURE127”、“IRGACURE907”、“IRGACURE369”、“IRGACURE379”、“IRGACURE1700”、“IRGACURE1800”、“IRGACURE819”、“IRGACURE784”〔以上のIRGACURE(イルガキュア)シリーズおよびDAROCUR(ダロキュア)シリーズは、BASF・ジャパン(株)製の商品名〕、“KAYACUREITX”、“KAYACUREDETX−S”、“KAYACUREBP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE2−EAQ”〔以上のKAYACURE(カヤキュア)シリーズは、日本化薬(株)製の商品名〕などが例示できる。このうち、前記したα−ヒドロキシアルキルフェノン類に属するものとしては、例えば“IRGACURE184”を挙げることができ、一方、アミノアルキルフェノン類に属するものとして、例えば“IRGACURE907”、“IRGACURE369”、“IRGACURE379”を挙げることができる。
(表面調整成分)
ハードコート層(C)を形成する硬化性樹脂組成物は、表面調整成分としてレベリング剤を含むことができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有するアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名「BYK−UV 3500」、「BYK−UV 3530」)や、2重結合を末端に2個ずつ計4個有するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名「BYK−UV 3570」)などが挙げられる。これらの中でも、ヘイズの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
(その他の成分)
ハードコート層(C)を形成する硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分のほかに、例えば、ケイ素系化合物、フッ素系化合物、またはこれらの混合化合物などの滑剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができる。
硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂からなり紫外線を照射することにより硬化させる場合、紫外線に対して透明度が高いため樹脂組成物の内部の硬化は速やかに進行する反面、酸素による硬化阻害作用(酸素障害と称する)のため、樹脂組成物の表面では硬化が滞る場合がある。この酸素障害に対しては、窒素ガスの供給により樹脂組成物周囲を窒素ガス雰囲気下とした上で紫外線を照射すると、樹脂組成物の内部とともに表面の硬化を速やかに進行させることができるので好ましい。
前記したハードコート層(C)の厚みは、特に制限されるものではないが、1〜30μmの範囲であることが好ましく、3〜25μmの範囲であることがより好ましく、5〜20μmの範囲であることがさらに好ましく、7〜15μmの範囲であることが特に好ましい。ここで、ハードコート層(C)の厚みが上記範囲にあれば、耐擦傷性が付与でき、また、応力によるクラックが発生し難いため好ましい。また、両面にハードコート層(C)を有する場合、各ハードコート層の厚みは、同一でもよいし異なっていてもよいが共に7〜15μmの範囲であり、かつ、アクリル系樹脂層(A)表面のハードコート層の厚みがポリカーボネート系樹脂層(B)表面のハードコート層の厚みと同等以上であることが好ましい。
本発明の積層体およびハードコート層(C)を有する積層体にはその片面または両面に反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことができる。各々の処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが例示できる。
(想定用途)
以上説明したように、本発明の積層体は、汎用材料を主原料として用いることで経済性に優れ、基板材料や保護材料に使用される、透明性、耐衝撃性、表面硬度および高温や高湿な環境における形状安定性に優れる積層体であるため種々の用途に適用することができ、特に制限されるものではない。
特に、該積層体は各種基板材料や保護材料などとして用いることができる。具体的には、携帯型ディスプレイデバイス(携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコンなど)や設置型ディスプレイデバイス(液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコン、カーナビゲーション、自動車計器など)などに好適に用いることができる。
さらに、本発明の積層体やハードコート層(C)などの他の層を有する積層体は、種々の加工方法で形状を付与してもよい。具体的には、金型を用いて加熱・加圧する方法、圧空成型や真空成型、ロールホーミング法などが例示できる。形状を付与することで曲面を有する画像表示装置や各種フレキシブル機器への適用が期待できる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムからガラス転移温度(Tg)(℃)を求めた。なお、Tgの値は、少数第一位を四捨五入して記載した。
(2)全光線透過率
得られた積層体から50mm角の試験片を切り出し、JIS K7361−1に準じて全光線透過率を測定し、その値を下記の基準で評価した。
(◎)全光線透過率が89%以上
(○)全光線透過率が85%以上、89%未満
(×)全光線透過率が85%未満
(3)鉛筆硬度
測定する表面に対して、JIS K5600−5−4に準じて荷重750gで鉛筆硬度を測定した。アクリル系樹脂層(A)表面の鉛筆硬度はH以上を合格(○)とし、ハードコート層(C)を有するポリカーボネート系樹脂層(B)表面の鉛筆硬度はF以上を合格(○)とした。
(4)反り評価
得られた積層体から100mm角の試験片(n=3)を切り出し、まず、温度23℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した。次に各試験片を温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した後、試験片を定盤に静置させ、四隅の定盤からの高さを反り量として測定しその絶対値の平均値を下記の基準で評価した。
(◎)反り量が0.5mm以下
(○)反り量が0.5mmを超え、1.5mm以下
(×)反り量が1.5mmを超える
(5)密着性
ハードコート層(C)と積層体表面との密着性については、JIS K5600−5−6に準じて、クロスカット試験を行い、ハードコート層の剥離が見られなったものを合格(○)とした。
(6)耐擦傷性評価
ハードコート層(C)の耐擦傷性については、下記の装置および条件で測定し、傷が発生するまでの往復回数が500回以上のものを合格(○)とした。
・装置:摩擦堅牢度試験機 学振型((株)大栄科学精器製作所製)
・スチールウール番手:♯0000
・試験荷重:1000gf
・試験速度:30往復/分
・試験ストローク:120mm
実施例、比較例に用いた主な原料を下記する。
(アクリル系樹脂(A1))
(A1−1);アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペット VH001、密度:1.19g/cm、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=99/1質量%、立体規則性(トリアッド分率):mm(9.2モル%)、mr(41.8モル%)、rr(49.0モル%)、Tg:111℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):2.0g/10min)
(A1−2);アクリル系樹脂(住友化学(株)製、商品名:スミペックス EX、密度:1.19g/cm、メタクリル酸メチル=100質量%、Tg:106℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):1.5g/10min)
(共重合体(A2))
(A2−1);共重合体(電気化学工業(株)製、商品名:レジスファイ R−100、密度:1.14g/cm、スチレン/メタクリル酸メチル/マレイン酸無水物=75/15/10質量%、Tg:127℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):4.2g/10min)
(A2−2);共重合体(電気化学工業(株)製、商品名:レジスファイ R−300、密度:1.12g/cm、スチレン/メタクリル酸メチル/マレイン酸無水物=84/5/11質量%、Tg:131℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):4.3/10min)
(ポリカーボネート系樹脂(B1))
(B1−1);ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−4、密度:1.20g/cm、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):4.0g/10min)
(B1−2);ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−10、密度:1.20g/cm、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):10.0g/10min)
(B1−3);ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−15、密度:1.20g/cm、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):15.0g/10min)
(改質剤(B2))
(ポリエステル系樹脂(B2−1))
(B2−1−1);ポリエステル系樹脂(SKケミカル(株)製、商品名:SKYGREEN J2003、密度:1.23g/cm、Tg:87℃)
(アクリル系樹脂(B2−2))
(B2−2−1);アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレン H−880、フェニルメタクリレート/メチルメタクリレート=34/66質量%、重量平均分子量:14,000)
(添加剤)(X)
(X−1);ホスファイト系酸化防止剤((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブ PEP−36)
(X−2);加水分解防止剤(日清紡ケミカル(株)製、商品名:カルボジライト LA−1)
(その他)
(P−1);MS樹脂(新日鐵住金化学(株)製、商品名:エスチレン MS−600、密度:1.13g/cm、メチルメタクリレート/スチレン=60/40質量%、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):5.0g/10min)
<実施例1>
表1に示すように、アクリル系樹脂層(A)として、アクリル系樹脂(A1−1)60質量部と共重合体(A2−1)40質量部および添加剤として(X−1)0.15質量部の割合で混合した樹脂組成物、また、ポリカーボネート系樹脂層(B)として、ポリカーボネート系樹脂(B1−1)60質量部とポリエステル系樹脂(B2−1−1)40質量部および添加剤として(X−1)0.15質量部と(X−2)0.10質量部の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれベント機能とフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温240〜265℃で溶融混練し、フィードブロックで(A)層/(B)層の積層構成となるように、260℃のTダイにて共押出成形した後、95℃の鏡面ロールでキャスト冷却し、総厚みが0.70mm、各層厚みが(A)層/(B)層=0.08mm/0.62mmである積層体を得た。得られた積層体は外観が良好であり、また平面性にも優れていた。該積層体を用いて評価した結果を表1に示す。
<実施例2〜8>
表1に示すように、実施例1において各層の樹脂組成物を変更した以外は同様にして総厚みが0.70mmで外観と平面性に優れた積層体を得た。各層のTgや溶融粘度などにより適宜押出温度や鏡面ロール温度などを調整した。該積層体を用いて評価した結果を表1に示す。
<比較例1>
表1に示すように、実施例1においてアクリル系樹脂層(A)として、アクリル系樹脂(A1−1)単体に変更した以外は同様にして総厚みが0.70mmで外観と平面性に優れた積層体を得た。該積層体を用いて評価した結果を表1に示す。
<比較例2>
表1に示すように、実施例1においてアクリル系樹脂層(A)として、アクリル系樹脂(A1−1)15質量部と共重合体(A2−1)85質量部の樹脂組成物に変更した以外は同様にして総厚みが0.70mmの積層体を得た。しかし、アクリル系樹脂層(A)とポリカーボネート系樹脂層(B)との層間の接着性が不十分なため手で容易に剥離できるものであり評価を中止した。
<比較例3>
表1に示すように、実施例1においてアクリル系樹脂層(A)として、共重合体(A2−1)を(P−1)に変更した以外は同様にして総厚みが0.70mmの積層体を得た。しかし、アクリル系樹脂(A1−1)とMS樹脂(P−1)との相溶性が悪いためアクリル系樹脂層(A)が白濁したものであり評価を中止した。
<実施例9>
実施例1で得た積層体のアクリル系樹脂層(A)の表面に有機・無機ハイブリッド系紫外線硬化性樹脂組成物(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」、反応性官能基を有する無機シリカ含有量:30〜40質量%)を、金属製バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、紫外線照射装置を用いて500mJ/cmの露光量で露光し、厚み12μmのハードコート層(C)を有する積層体を得た。該積層体のハードコート層を評価した結果を表2に示す。
<実施例10〜14>
表2に示すように、実施例9において用いる積層体とハードコート層の塗布面と厚みを変更した以外は同様にして積層体を得た。該積層体のハードコート層を評価した結果を表2に示す。なお、両面に塗布する場合は、片面ずつハードコート層を形成し、各面に同様に紫外線照射を行った。
<実施例15>
実施例8において、ポリカーボネート系樹脂層(B)として、ポリカーボネート系樹脂(B1−3)100質量部を(B1−2)90質量部と(B2−2−1)10質量部の樹脂組成物に、各層の厚みを(A)層/(B)層=0.08mm/0.92mm変更した以外は同様にして総厚みが1.00mmの積層体を得た。得られた積層体は外観が良好であり、また平面性にも優れていた。ここで、ポリカーボネート系樹脂層(B)の鉛筆硬度は、アクリル系樹脂(B2−2−1)の混合により2BからFまで向上した。次いで、表2に示すように、実施例9において用いる積層体とハードコート層の塗布面と厚みを変更した以外は同様にしてハードコート層(C)を有する積層体を得た。該積層体のハードコート層を評価した結果を表2に示す。
表1より、ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有する積層体であって、本発明で規定した樹脂組成物を特定の範囲で含有する積層体は、透明性、表面硬度および高温高湿環境下における形状安定性に優れることが確認できる(実施例1〜8)。また、アクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度とポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度の差の絶対値が5℃以下である積層体は、高温高湿環境下における形状安定性がより優れることが確認できる(実施例1、実施例3〜5)。
これに対して、本発明で規定した範囲外の積層体は1つ以上の不具合があることが確認できる(比較例1〜3)。アクリル系樹脂層(A)が汎用のアクリル系樹脂のみでは高温高湿環境下における形状安定性が不十分であり(比較例1)、アクリル系樹脂層(A)の樹脂組成物の混合割合が本発明の規定範囲外では層間の接着性が不十分であり(比較例2)、アクリル系樹脂層(A)に混合する共重合体が本発明の規定外ではアクリル系樹脂(A1)との相溶性が発現せず透明性が得られないことが確認できる(比較例3)。
表2より、本発明の積層体の表面にハードコート層(C)を塗布することにより表面硬度の向上や耐擦傷性を付与できることが確認できる。また、本発明の積層体の表面とハードコート層(C)との密着性にも優れていることが確認できる(実施例9〜15)。本発明の積層体の外面側に適用するハードコート層(C)は、優れた表面硬度を発現する機能を分担し、一方、内面側に適用するハードコート層(C)は、工程内での輸送や加工時に積層体に摩擦傷が入るのを防ぐための傷付防止層として機能を分担することができる。

Claims (19)

  1. ポリカーボネート系樹脂層(B)の少なくとも片面にアクリル系樹脂層(A)を有する積層体であって、該アクリル系樹脂層(A)がアクリル系樹脂(A1)と芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(A2)を含有し、その混合質量比が(A1)/(A2)=80〜20/20〜80であり、ポリカーボネート系樹脂層(B)がポリカーボネート系樹脂(B1)と下記から選ばれる少なくとも1種の改質剤(B2)を含有することを特徴とする積層体。
    改質剤(B2)
    (B2−1):カルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80モル%以上、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含む構成単位からなるポリエステル系樹脂
    (B2−2):芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体
  2. アクリル系樹脂(A1)がメタクリル酸メチル単量体単位を主成分とし、核磁気共鳴測定(H−NMR)で求められるトリアッド分率のmm、mr、rrの内、rr構造のモル比率が最も高いものであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 共重合体(A2)の構成単位が芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位4〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単位8〜20質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
  4. アクリル系樹脂(A1)と共重合体(A2)混合質量比が(A1)/(A2)=80〜55/20〜45であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. アクリル系樹脂(A1)と共重合体(A2)混合質量比が(A1)/(A2)=50〜20/50〜80であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で測定されるアクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度が100〜140℃であり、かつ、ポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度との差の絶対値が20℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で測定されるアクリル系樹脂層(A)のガラス転移温度が115〜140℃であり、かつ、ポリカーボネート系樹脂層(B)のガラス転移温度との差の絶対値が10℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  8. アクリル系樹脂層(A)にホスファイト系の酸化防止剤が混合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. ポリカーボネート系樹脂層(B)にカルボジイミド化合物が混合されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. アクリル系樹脂層(A)の厚みが、0.01〜0.25mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. アクリル系樹脂層(A)とポリカーボネート系樹脂層(B)の合計厚みを(T)とした場合、アクリル系樹脂層(A)1層の厚み比((A)/(T))が、0.01〜0.35であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 共押出成形されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記積層体の少なくとも片面にハードコート層(C)が積層されたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. ハードコート層(C)の表面の鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする請求項13記載の積層体。
  15. ハードコート層(C)が有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項13又は14記載の積層体。
  16. 積層体およびハードコート層(C)を有する積層体の片面または両面に反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上の処理がされていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の積層体。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の積層体を用いた基板材料。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の積層体を用いた保護材料。
  19. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の積層体を含む画像表示装置。
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