JPWO2016136906A1 - チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤 - Google Patents

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Abstract

チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤を提供する。還元剤等の成分で超高温殺菌乳等の乳原料を処理してチーズを製造することにより、品質のよいチーズが得られる。

Description

本発明は、チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤に関するものである。
チーズは、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられる。ナチュラルチーズは、さらに、非熟成チーズ(フレッシュチーズ)と熟成チーズに分けられる。
以下、一般的なチーズの製法について例示する。まず、牛乳等の乳原料に凝乳酵素等を添加し、凝集物(チーズカード)を形成させる。続いて、チーズカードを乳清(ホエイ)と分離回収することにより、フレッシュチーズが得られる。さらに、フレッシュチーズを熟成させることにより、熟成チーズが得られる。また、このようにして得られるナチュラルチーズ(フレッシュチーズや熟成チーズ)を加熱溶融してプロセスチーズを製造することができる。特にフレッシュチーズにおいては、保水量が増加する程、歩留まりも増加する。一方、過保水であるチーズは、一般的に、物理的強度が低く、チーズとして好ましくない食感となる。よって、嗜好性の観点や経済的な観点から、保水力は高いが、チーズとして好ましい食感も示すチーズが望まれている。
一般的なチーズの製法において、チーズは、加熱殺菌工程を得ていない原料乳、63〜68℃で30分程度処理された低温殺菌乳、または71〜75℃で15秒程度処理された高温殺菌乳を原料として製造される。一方、120℃以上で加熱処理された超高温殺菌乳を原料とした場合、チーズカードが形成されず、チーズを製造できないとされている。ここで、低温殺菌乳や高温殺菌乳は消費期間が10日程度と短く、よって、原料乳の調達に難がある酪農地帯からの遠隔地等ではチーズを製造できないという課題があった。一方、超高温殺菌乳は無菌包装を施した場合は常温6か月程度の長期保存が出来るため、超高温殺菌乳を原料としてチーズを製造できれば、原料乳の調達に難がある酪農地帯からの遠隔地等でもチーズを製造できるという大きな利点が得られる。
非特許文献1には、80℃〜130℃で加熱処理された脱脂乳に塩酸を添加することにより、チーズを製造する方法が開示されている。一方、非特許文献1には、還元剤を利用することは開示されていない。
特許文献1には、グルコースオキシダーゼ等のタンパク質架橋酵素を利用したチーズの製造方法が開示されている。一方、特許文献1には、還元剤を利用することは開示されていない。また、特許文献1には、超高温殺菌乳を原料としてチーズを製造した実施例はない。
特許文献2には、ラクトビオン酸を含むチーズの製造方法であって、乳成分、ラクトース及びオキシダーゼを含む液体チーズミックスを調製し、前記ラクトースの少なくとも一部を、前記オキシダーゼを使用して触媒的に酸化することによって前記チーズミックスの中でラクトビオン酸を生成する工程と、前記チーズミックスを凝固させてチーズ製品を得る工程とを含むチーズの製造方法が開示されている。一方、特許文献1には、還元剤を利用することや、超高温殺菌乳を原料としてチーズを製造することは開示されていない。
特許文献3には、超高温殺菌乳に対し塩化カルシウムを添加することを含むチーズの製造方法が開示されている。一方、特許文献3には、還元剤を利用することは開示されていない。
特許文献4には、トランスグルタミナーゼと還元剤を利用したチーズ等の乳製品の製造方法が開示されている。一方、特許文献4には、超高温殺菌乳を原料としてチーズを製造することは開示されていない。また、特許文献4には、チーズ製造において、乳原料の過加熱は好ましくない旨の記載がある。
特表2014−516576公報 特許第4249491号公報 FR2357183A1公報 特許第3951584号公報
characteristics of Mozzarella Cheese Made by Direct Acidification from Ultra-High-Temperature Processed Milk. H.W. Schafer. et.al. April 1975, Volume 58, Issue 4, Pages 494-501
本発明は、チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤を提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、還元剤を利用することにより、還元剤とトランスグルタミナーゼを併用することにより、または、カルシウム成分とトランスグルタミナーゼを併用することにより、超高温殺菌乳等の加熱履歴を有する乳原料から品質のよいチーズを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
乳蛋白質を含有する食品原料を下記成分(A)または(B)で処理することを含む、チーズの製造方法であって、
前記食品原料が、80℃以上で加熱処理された乳蛋白質を含有する食品原料である、方法:
(A)還元型グルタチオン、システイン、γ−グルタミルシステイン、亜硫酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩から選択される1種またはそれ以上の成分;
(B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム塩。
[2]
前記食品原料が、120℃以上で0.5〜15秒間加熱処理されている、前記方法。
[3]
前記食品原料が、全乳、脱脂乳、部分脱脂乳、乳清、クリーム、バターミルク、それらの加工品、およびそれらの成分調整品から選択される1種またはそれ以上の原料である、前記方法。
[4]
前記還元型グルタチオンが、還元型グルタチオンを含有する酵母エキスである、前記方法。
[5]
前記還元型グルタチオンが、食品原料1g当たり、0.000001g〜0.01g添加される、前記方法。
[6]
前記食品原料を成分(A)で処理することを含む場合において、さらに、前記食品原料をトランスグルタミナーゼ及び/又はカルシウム塩で処理することを含む、前記方法。
[7]
トランスグルタミナーゼが、乳蛋白質1g当たり、0.00033U〜33U添加される、前記方法。
[8]
前記カルシウム塩が、塩化カルシウムである、前記方法。
[9]
下記成分(A)または(B)を含有する、チーズ改質用の製剤であって、
80℃以上で加熱処理された、乳蛋白質を含有する食品原料からチーズを製造するために用いられる、製剤:
(A)還元型グルタチオン、システイン、γ−グルタミルシステイン、亜硫酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩から選択される1種またはそれ以上の成分;
(B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム塩。
[10]
成分(A)を含有する場合において、さらに、トランスグルタミナーゼ及び/又はカルシウム塩を含有する、前記製剤。
[11]
前記カルシウム塩が、塩化カルシウムである、前記製剤。
[12]
前記還元型グルタチオンが、還元型グルタチオンを含有する酵母エキスである、前記製剤。
[13]
前記製剤が、前記還元型グルタチオンを、該製剤に含有されるトランスグルタミナーゼ1U当たり、0.0000000303g〜30.3g含有する、前記製剤。
チーズの破断強度の測定結果を示す図。 チーズの歩留まりの測定結果を示す図。 チーズの外観を示す図(写真)。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明に関する下記の説明は、いずれも単独で採用してもよく、適宜組み合わせて採用してもよい。
<1>チーズ
本発明において、チーズの種類は特に制限されない。チーズは、ナチュラルチーズであってもよく、プロセスチーズであってもよい。また、チーズは、非熟成チーズ(フレッシュチーズ)であってもよく、熟成チーズであってもよい。また、チーズは、軟質チーズ、半硬質チーズ(セミハードチーズ)、硬質/超硬質チーズ(ハードチーズ)のいずれであってもよい。ナチュラルチーズとしては、サントモール、クロタン、ヴァランセ等のシェーブルチーズ(山羊乳チーズ)、カッテージ、クリームチーズ、ストリングチーズ、モッツァレラ、リコッタ等のフレッシュチーズ、ポンレヴェック、リヴァロ、リンバーガー等のウォッシュチーズ、ゴーダ、サムソー等のセミハードチーズ、エメンタール、コンテ、パルミジャーノレッジャーノ等のハードチーズ、カマンベール、ブリー等の白カビ熟成チーズ、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、ロックフォール等の青カビ熟成チーズが挙げられるが、これに限定されるものではない。プロセスチーズとしては、これらナチュラルチーズを加熱溶融して製造されるチーズが挙げられる。
<2>本発明の製剤
本発明の製剤は、還元剤、トランスグルタミナーゼ、およびカルシウム成分から選択される1種またはそれ以上の成分を含有する、チーズ改質用の製剤である。ただし、本発明の製剤は、少なくとも、還元剤を含有するか、トランスグルタミナーゼとカルシウム成分の組み合わせを含有する。
すなわち、本発明の製剤は、具体的には、下記成分(A)または(B)を含有する、チーズ改質用の製剤である:
(A)還元剤;
(B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム成分。
本発明の製剤は、成分(A)を含有する場合に、さらに、トランスグルタミナーゼおよび/またはカルシウム成分を含有してもよく、しなくてもよい。また、本発明の製剤は、成分(B)を含有する場合に、さらに、還元剤を含有してもよく、しなくてもよい。すなわち、本発明の製剤は、例えば、還元剤とトランスグルタミナーゼを含有する製剤であってもよく、還元剤とカルシウム成分を含有する製剤であってもよく、還元剤、トランスグルタミナーゼ、およびカルシウム成分を含有する製剤であってもよい。なお、本発明の製剤が成分(A)を含有し、さらにトランスグルタミナーゼおよびカルシウム成分を含有することと、本発明の製剤が成分(B)を含有し、さらに還元剤を含有することとは、同義であってよい。本発明において、還元剤、トランスグルタミナーゼ、およびカルシウム成分(いずれも利用(含有または添加)される場合のみ)を総称して「有効成分」ともいう。
本発明の製剤は、チーズを改質するために用いることができる。具体的には、本発明の製剤で乳蛋白質を含有する食品原料(「乳原料」ともいう)を処理してチーズを製造することにより、改質されたチーズが得られる。すなわち、ここでいう「チーズ改質用の製剤」とは、具体的には、チーズ製造用の補助剤であってよい。なお、チーズにおける「改質」には、有効成分を利用しない場合でもチーズを製造できるが、有効成分を利用することにより有効成分を利用しない場合と比較して改質されたチーズを製造できる場合に限られず、有効成分を利用しない場合にはチーズを製造できないが、有効成分を利用することでチーズを製造できるようになる場合も包含される。チーズにおける「改質」としては、歩留りの向上、破断強度の向上、乳風味の向上、成型性の向上が挙げられる。「歩留まり」とは、乳原料の重量に対するチーズの重量の比率である。歩留りの向上は、例えば、保水量の向上、乳蛋白質量の向上、またはそれらの組み合わせによるものであってよい。「破断強度」とは、チーズを噛んだ際の「硬さ」の指標となる物性である。
還元剤は、還元作用を有するものであれば特に制限されない。還元剤は、例えば、直接的または間接的に処理対象の乳原料の還元に寄与するものであってよい。還元剤としては、還元型グルタチオン、システイン、γ−グルタミルシステイン、亜硫酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩が挙げられる。塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。例えば、カルボキシル基等の酸性基に対する塩としては、具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、アミノ基等の塩基性基に対する塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸、メチルマロン酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。なお、塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。還元剤は、還元剤以外の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。すなわち、還元剤は、上記のような還元剤を含有する製剤や素材であってもよい。そのような素材としては、酵母エキスが挙げられる。例えば、還元型グルタチオンとしては、具体的には、アロマイルドU(グルタチオン8%含有酵母エキス:興人(株)製)等の還元型グルタチオンを含有する酵母エキスが挙げられる。なお、還元型グルタチオンを含有する酵母エキス等の還元剤を含有する製剤や素材を用いる場合、還元剤の含有量(濃度)や添加量は、特記しない限り、当該製剤や素材中の還元剤そのものの量に基づいて算出されるものとする。還元剤としては、1種の還元剤を用いてもよく、2種またはそれ以上の還元剤を組み合わせて用いてもよい。
トランスグルタミナーゼは、タンパク質中のグルタミン残基とリジン残基を結合しタンパク質を架橋する反応を触媒する酵素である。特に、トランスグルタミナーゼを併用することにより、より強固なゲルが形成され、破断強度や歩留まりが向上すると期待される。トランスグルタミナーゼの由来は特に制限されない。トランスグルタミナーゼは、微生物、動物、植物等いずれの由来のものであってもよい。また、トランスグルタミナーゼとしては、公知のトランスグルタミナーゼのホモログや人為的改変体を利用してもよい。トランスグルタミナーゼは、組み換え酵素であってもよい。
カルシウム成分としては、カルシウムやカルシウム含有物が挙げられる。カルシウムは、単体やイオン等のいずれの形態であってもよい。カルシウム含有物としては、カルシウム塩やカルシウム含有酵母が挙げられる。カルシウム塩としては、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、焼成カルシウム等が例示される。カルシウム塩は、塩やイオン等のいずれの形態であってもよい。カルシウム含有酵母としては、例えば、酵母培養時にカルシウムを添加し、酵母菌体内に取り込ませたものが知られているが、これに限定されない。カルシウム含有酵母として、具体的には、セティ(株)より市販されているカルシウム含有酵母が例示される。カルシウム成分としては、中でも、カルシウム塩が好ましく、塩化カルシウムがより好ましい。カルシウム成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製剤は、チーズの改質効果が得られる限り、有効成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう)を含有してもよい。他の成分としては、例えば、調味料、飲食品、または医薬品に配合して利用されるものを利用できる。他の成分としては、ラクトース、グルコース、デキストリン、増粘多糖類、澱粉、加工澱粉、還元麦芽糖等の賦形剤、植物蛋白質、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、グルタミン酸ナトリウム、動物エキス、魚介エキス、蛋白質加水分解物、蛋白質部分分解物等の調味料、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤(pH調整剤)、グルコン酸、クエン酸塩等のキレート剤、アルギン酸、かんすい、油脂、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等が挙げられる。
本発明の製剤は、他の成分として、例えば、チーズの製造に有効な成分を含有していてよい。チーズの製造に有効な成分としては、乳酸菌や凝乳酵素が挙げられる。
他の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。本発明の製剤は、例えば、有効成分を適宜これら他の成分と混合して製造することができる。
本発明の製剤の形態は特に制限されない。本発明の製剤は、液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状等のいずれの形態であってもよい。
本発明の製剤における各成分(すなわち、有効成分および必要によりその他の成分)の配合量(濃度)は、チーズの改質効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の製剤における各成分の配合量(濃度)は、0%(w/w)より多く、100%(w/w)より少なくてよい。本発明の製剤における各成分の濃度は、成分の種類、チーズ製造の際の各成分の添加量、チーズ製造の際の本発明の製剤の使用量等の諸条件に応じて適宜設定することができる。
本発明の製剤における有効成分の総含有量(総濃度)は、0%(w/w)より多く、且つ、100%(w/w)より少なくてよい。本発明の製剤における有効成分の総含有量(総濃度)は、例えば、1ppm(w/w)以上、10ppm(w/w)以上、100ppm(w/w)以上、または1000ppm(w/w)以上であってもよく、99.9%(w/w)以下、50%(w/w)以下、10%(w/w)以下、または1%(w/w)以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
有効成分として還元剤とトランスグルタミナーゼを用いる場合、本発明の製剤における還元剤の含有量(濃度)は、トランスグルタミナーゼ1U当たり、例えば、0.0000000303g〜30.3gが好ましく、0.00000303g〜0.303gがより好ましい。
有効成分として還元剤とカルシウム成分を用いる場合、本発明の製剤における還元剤の含有量(濃度)は、カルシウム成分1g当たり、例えば、0.000001g〜10gが好ましく、0.00001g〜1gがより好ましい。
有効成分としてトランスグルタミナーゼとカルシウム成分を用いる場合、本発明の製剤におけるカルシウム成分の含有量(濃度)は、トランスグルタミナーゼ1U当たり、例えば、0.000005g〜50gが好ましく、0.00005g〜5gがより好ましい。
尚、トランスグルタミナーゼの活性は、ヒドロキサメート法で測定され、かつ、定義される。すなわち、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシン及びヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体にし、次に、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成させる酵素量を1ユニット(1U)と定義する(特開昭64−27471号公報参照)。
本発明の製剤における各有効成分の濃度は、例えば、上記例示した有効成分の総濃度や含有比率を満たすように設定することができる。また、本発明の製剤における各有効成分の濃度は、例えば、本発明の組成物を利用してチーズを製造した際に、各有効成分の添加量が所望の範囲となるように設定することができる。各有効成分の添加量は、例えば、本発明の方法の説明(後述)において例示する範囲であってよい。
本発明の製剤に含有される各成分(すなわち、有効成分および必要によりその他の成分)は、互いに混合されて本発明の製剤に含有されていてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、本発明の製剤に含有されていてもよい。例えば、本発明の製剤は、それぞれ別個にパッケージングされた、還元剤とトランスグルタミナーゼとのセットとして提供されてもよい。このような場合、セットに含まれる成分は使用時に適宜併用することができる。
<3>本発明の方法
本発明においては、有効成分(すなわち、還元剤、トランスグルタミナーゼ、およびカルシウム成分(いずれも利用される場合のみ))を利用して、チーズを改質することができる。具体的には、有効成分で乳原料を処理してチーズを製造することにより、改質されたチーズが得られる。すなわち、本発明の方法は、乳原料を有効成分で処理することを含む、チーズを改質する方法である。また、本発明の方法の一態様は、乳原料を有効成分で処理することを含む、チーズの製造方法である。なお、「乳原料を有効成分で処理する」ことを「乳原料に有効成分を作用させる」ともいう。また、「乳原料を有効成分で処理する」工程を「改質工程」ともいう。
本発明の方法における有効成分の利用態様については、本発明の製剤における有効成分の利用態様についての記載を準用できる。
すなわち、本発明の方法は、具体的には、乳原料を下記成分(A)または(B)で処理することを含む、チーズを改質する方法である:
(A)還元剤;
(B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム成分。
また、本発明の方法の一態様は、具体的には、乳原料を下記成分(A)または(B)で処理することを含む、チーズの製造方法である:
(A)還元剤;
(B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム成分。
本発明の方法は、乳原料を成分(A)で処理することを含む場合に、さらに、乳原料をトランスグルタミナーゼおよび/またはカルシウム成分で処理することを含んでいてもよく、いなくてもよい。本発明の方法は、乳原料を成分(B)で処理することを含む場合に、さらに、乳原料を還元剤で処理することを含んでいてもよく、いなくてもよい。なお、本発明の方法が乳原料を成分(A)で処理することを含み、さらに乳原料をトランスグルタミナーゼおよびカルシウム成分で処理することを含むことと、本発明の方法が乳原料を成分(B)で処理することを含み、さらに乳原料を還元剤で処理することを含むこととは、同義であってよい。
本発明においては、例えば、乳原料を本発明の製剤で処理することにより、乳原料を有効成分で処理することができる。すなわち、言い換えると、本発明の方法は、乳原料を本発明の製剤で処理することを含む、チーズを改質する方法であってよい。また、本発明の方法の一態様は、乳原料を本発明の製剤で処理することを含む、チーズの製造方法であってよい。
本発明のチーズは、乳原料を有効成分で処理すること以外は、通常のチーズと同様の方法によって乳原料から製造することができる。すなわち、本発明の方法は、後述するような、チーズを製造する工程を含んでいてよい。
乳原料は乳蛋白質を含有する食品原料である。乳原料は、本発明の方法によりチーズを製造できるものであれば、特に制限されない。乳蛋白質としては、カゼインや乳清蛋白質(ホエイ蛋白質)が挙げられる。乳清蛋白質としては、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリンが挙げられる。乳原料は、例えば、これらの乳蛋白質の1種またはそれ以上を含有していてもよく、全てを含有していてもよい。乳原料は、少なくとも、カゼインを含有するのが好ましい。乳原料における乳蛋白質の含有量(濃度)は、例えば、ケルダール法により窒素を測定し、タンパク質換算係数を乗ずることで測定できる。原料としては、牛乳、山羊乳、羊乳、水牛乳、トナカイ乳、ロバ乳、ラクダ乳が挙げられる。乳原料は、生乳(原乳)であってもよく、そうでなくてもよい。乳原料は、例えば、加熱処理やホモジナイズ処理等の処理がなされていてもよく、そうでなくてもよい。乳原料は、例えば、成分が調整されていてもよく、そうでなくてもよい。乳原料は、例えば、全乳、脱脂乳、部分脱脂乳、乳清(ホエイ)、クリーム、バターミルク、それらの加工品、それらの成分調整品、またはそれらの組み合わせであってよい。成分調整品としては、例えば、カルシウム強化乳が挙げられる。乳原料としては、1種の原料を用いてもよく、2種またはそれ以上の原料を組み合わせて用いてもよい。
乳原料が加熱処理されている場合、加熱処理により乳原料が殺菌(滅菌)されてよい。なお、加熱処理がなされたことを、「加熱履歴を有する」ともいう。加熱処理の温度は、例えば、60℃以上、80℃以上、100℃以上、または120℃以上であってもよく、150℃以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。加熱処理の時間は、例えば、0.5秒以上、1秒以上、5秒以上、または10秒以上であってもよく、30分以下、5分以下、1分以下、30秒以下、15秒以下、5秒以下、または3秒以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。加熱処理としては、低温での加熱処理(「低温加熱処理」ともいう)、高温での加熱処理(「高温加熱処理」ともいう)、超高温での加熱処理(「超高温加熱処理」ともいう)が挙げられる。低温加熱処理の条件としては、牛乳の低温殺菌処理の条件、例えば、63〜68℃で30分程度加熱する条件が挙げられる。高温加熱処理の条件としては、牛乳の高温殺菌処理の条件、例えば、71〜75℃で15秒程度加熱する条件が挙げられる。超高温加熱処理の条件としては、牛乳の超高温殺菌処理や超高温滅菌処理の条件が挙げられる。超高温加熱処理の温度は、例えば、通常120℃以上であり、好ましくは120〜150℃であってよい。超高温加熱処理の時間は、例えば、通常0.5〜15秒であり、好ましくは1〜5秒、より好ましくは1〜3秒であってよい。超高温加熱処理は、直接加熱法であってもよく、間接加熱法であってもよい。超高温加熱処理は、予備加熱を伴ってもよい。一般的に、直接加熱法は予備加熱を伴わない場合が多いが、間接加熱法は予備加熱を伴う場合が多い。予備加熱の条件としては、80〜85℃で1〜5分加熱する条件が挙げられる。高温加熱処理がなされた全乳等の、高温加熱処理がなされた乳原料を、「超高温殺菌乳」という場合がある。特に、通常のチーズの製造法では超高温殺菌乳を原料としてチーズを製造するのが困難あるいは不可能であるが、本発明の方法によれば、超高温殺菌乳を原料として品質のよいチーズを製造することができる。
チーズは、凝乳工程を経て製造することができる。凝乳工程とは、具体的には、乳蛋白質等の乳原料中の成分を凝集(凝固)させる工程をいう。凝乳工程は、例えば、乳酸菌の添加(乳酸発酵)、凝乳酵素の添加、酸の添加、加熱、またはそれらの組み合わせにより実施することができる。例えば、乳酸菌を添加して乳酸発酵を行い、次いで、レンネットを添加してさらに凝乳工程を進行させてもよい。乳酸菌としては、Lactococcus属細菌、Lactobacillus属細菌、Bifidobacterium属細菌が挙げられる。乳酸菌としては、例えば、チーズスターターとして市販されているものを利用することができる。凝乳酵素としては、レンネットやキモシンが挙げられる。凝乳酵素の由来は特に制限されない。凝乳酵素は、微生物、動物、植物等いずれの由来のものであってもよい。また、凝乳酵素としては、公知の凝乳酵素のホモログや人為的改変体を利用してもよい。凝乳酵素は、組み換え酵素であってもよい。酸としては、食酢やレモン汁が挙げられる。凝乳工程の時間は、例えば、15分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、2時間以上、または3時間以上であってもよく、10時間以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。凝乳工程により、凝集物(チーズカード)が生じる。チーズカードを乳清(ホエイ)と分離回収することにより、フレッシュチーズが得られる。分離工程は、例えば、細断、撹拌、圧搾、自然分離(自重による分離)、またはそれらの組み合わせにより実施することができる。回収したチーズカード(フレッシュチーズ)は、さらに、成型、加塩、乾燥、熟成等の工程に供してもよい。熟成工程を経ることにより、熟成チーズが得られる。このようにして得られたナチュラルチーズ(フレッシュチーズや熟成チーズ)を加熱溶融してプロセスチーズを製造することができる。また、チーズを原料として、チーズフード等のチーズを含有する飲食品を製造できる。
有効成分は、チーズの改質効果が得られる限り、チーズの製造工程のいずれの段階で乳原料に作用させてもよい。有効成分は、そのまま、あるいは適宜溶液等を調製して、乳原料と共存させることにより、乳原料に作用させることができる。例えば、有効成分を乳原料に添加してもよいし、有効成分を含有する処理液と乳原料を混合してもよい。このような有効成分を乳原料と共存させる操作を総称して有効成分の「添加」ともいう。有効成分を乳原料に作用させる順序は特に制限されない。有効成分は、全て同時に乳原料に添加し、作用させてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、乳原料に添加し、作用させてもよい。有効成分は、凝乳工程の完了前に添加されるのが好ましい。有効成分は、例えば、乳酸菌の添加と同時またはその前後に添加してもよく、レンネットの添加と同時またはその前後に添加してもよい。本発明の製剤による処理も同様に実施することができる。
本発明の方法における改質工程の実施条件は、チーズの改質効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の方法における改質工程の実施条件は、有効成分の種類や添加量、及び乳原料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。例えば、トランスグルタミナーゼを用いる場合、その反応時間は、酵素が基質物質に作用することが可能な時間であれば特に制限されない。反応時間は、非常に短い時間であってもよく、非常に長い時間であってもよい。反応時間としては、例えば、1分〜24時間が好ましく、5分〜24時間がより好ましく、5分〜5時間がさらに好ましい。また、トランスグルタミナーゼを用いる場合、その反応温度は、酵素が活性を保つ範囲であれば特に制限されない。反応温度としては、例えば、0〜80℃が好ましい。すなわち、例えば、チーズの製造工程における通常の凝乳工程を経ることでも十分な反応時間が得られる。本発明の方法においては、チーズの製造工程が改質工程を兼ねていてもよいし、別途改質工程を実施してもよい。
本発明の方法においては、チーズの改質効果が得られる限り、乳原料や有効成分以外の成分を利用してもよい。そのような成分としては、乳原料以外の、チーズの製造に通常用いられ得る原料が挙げられる。また、そのような成分については、本発明の製剤における有効成分以外の成分についての記載を準用できる。
本発明の方法における全原料(全成分)に対する乳原料の量比は、本発明の方法によりチーズを製造できる限り、特に制限されない。本発明の方法における全原料(全成分)に対する乳原料の量比は、例えば、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または99%(w/w)以上であってよい。
本発明の方法における各成分(すなわち、有効成分および必要によりその他の成分)の添加量や添加量比は、チーズの改質効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の方法における各成分の使添加量や添加量比は、改質工程の実施条件や乳原料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。
有効成分として還元剤を用いる場合、還元剤の添加量は、乳原料1g当たり、例えば、0.000001g〜0.01gが好ましく、0.00001g〜0.001gがより好ましい。また、有効成分として還元剤とトランスグルタミナーゼを用いる場合、還元剤の添加量は、トランスグルタミナーゼ1U当たり、例えば、0.0000000303g〜30.3gが好ましく、0.00000303g〜0.303gがより好ましい。また、有効成分として還元剤とカルシウム成分を用いる場合、還元剤の添加量は、カルシウム成分1g当たり、例えば、0.000001g〜10gが好ましく、0.00001g〜1gがより好ましい。
有効成分としてトランスグルタミナーゼを用いる場合、トランスグルタミナーゼの添加量は、乳蛋白質1g当たり、例えば、0.00033U〜33Uが好ましく、0.0033U〜3.3Uがより好ましい。有効成分としてカルシウム成分を用いる場合、カルシウム成分の添加量は、乳原料1g当たり、例えば、0.001g〜1gが好ましく、0.01g〜1gがより好ましく、0.03g〜0.5gがさらに好ましい。また、有効成分としてトランスグルタミナーゼとカルシウム成分を用いる場合、カルシウム成分の添加量は、トランスグルタミナーゼ1U当たり、例えば、0.00000005g〜50gが好ましく、0.000005g〜0.5がより好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により何ら限定されない。
<実施例1>
超高温殺菌乳(興真乳業(株) 加熱履歴130℃2秒)1021gと低温殺菌乳(タカナシ乳業(株) 加熱履歴66℃30分)1021gを、それぞれ、恒温槽にて35℃で30分保温した。その後、乳酸菌R-707(クリスチャンハンセンジャパン(株))0.3541gを10mlの牛乳に溶かした溶液1mlを添加し、35℃で60分静置した。その後、還元剤及びトランスグルタミナーゼを表1に示した添加量で添加し、すぐにレンネットCHY-MAX(クリスチャンハンセンジャパン(株))0.2gを5mlの水に溶かした溶液0.5mlを添加し、凝乳を開始した。尚、還元剤としてはグルタチオン酵母エキス「アロマイルドU」(興人(株)製)を、トランスグルタミナーゼとしてはトランスグルタミナーゼ製剤「アクティバTG」(味の素(株)製、以下「TG」と表記することがある)を、それぞれ用いた。表中、TGの「U/gp」とは、乳蛋白質1g当たりのTG活性(U)を示す。凝乳3時間後に、生成したチーズカードを金属製の串にて縦横2cmずつにカットし、ホエイの排出を促した。その後、ネットを張ったストレーナーにチーズカードを移し、室温にて3時間ホエイ排出を実施した。ホエイ排出は、30分ごとにチーズカードの上下を反転することで自重にてホエイが均一に排出されるように実施した。ホエイ排出後、チーズカードを温度22℃、湿度50%の恒温槽に移し、15時間静置することによりチーズを得た。
Figure 2016136906
得られたチーズの歩留まり(測定重量g/1021g×100(%))を測定した。さらに、得られたチーズを4等分し2cm幅に切った後、テクスチャーアナライザー(英弘精機、TA-XT2i)による物性評価を実施した。物性としては、チーズの「硬さ」の指標となる「破断強度」を測定した。さらに、得られたチーズの食味および食感を確認するため、5名のパネルによる官能評価にて、チーズの「硬さ」を0点から5点まで0.5点刻みで評価した。尚、「硬さ」は、噛んだ際に歯に感じる応力の強さとして定義した。官能評点は、「5点」が大変強い、「4点」がかなり強い、「3点」が適度に強い、「2点」がやや弱い、「1点」が弱い、「0点」が大変弱い、を意味する。結果は、5名のパネルの平均点として示す。さらに、風味および成型性の観点からコメントを記した。
物性の測定結果を図1、歩留まりの測定結果を図2、得られたチーズの写真を図3、官能評価結果を表2に示す。低温殺菌乳を使用した際には、300g以上の破断強度および19%程度の歩留まりを示すチーズが得られ、官能評価においても高い評価が得られた。一方、超高温殺菌乳を使用した際には、無添加品では、破断強度および歩留まりが低く、良好なチーズは得られなかった。超高温殺菌乳にTGを単独添加した場合には、ほとんどチーズは得られなかった。一方、超高温殺菌乳にアロマイルドUを単独添加した場合には、歩留まりは低温殺菌乳使用時よりも低かったものの、破断強度は低温殺菌乳使用時よりも高い値が得られ、かつ乳風味が増したチーズが得られた。また、超高温殺菌乳にアロマイルドUとTGを併用添加した場合には、破断強度が945g、歩留まりが22.3%といずれも他試験区に比べて大きく向上し、更には低温殺菌乳使用時より硬く大きなチーズが得られた。このように、超高温殺菌乳にアロマイルドUを単独添加した場合およびアロマイルドUとTGを併用添加した場合に、それぞれ性質の異なる品質のよいチーズが得られた。すなわち、本発明によれば、チーズを改質することができ、超高温殺菌乳を使用した場合にも低温殺菌乳を使用したチーズと遜色のない品質のよいチーズが得られることが明らかとなった。
Figure 2016136906
<実施例2>
表4〜5の配合で、実施例1と同一の手順によりチーズを製造し、得られたチーズの評価を実施した。表4〜5中、「TG」はトランスグルタミナーゼ製剤「アクティバTG」(味の素(株)製)を示す。また、表4〜5中、TGの「U/gp」とは、乳蛋白質1g当たりのTG活性(U)を示す。官能評価基準を表3に示す。官能評価は、5点〜1点の範囲で、0.5点刻みで評点を付すことにより実施した。チーズの品質の目標値は、破断強度を250(g)、歩留まり(対乳カード形成量)を19.8(%)、食感を3.0点、乳味・風味を3.0点とした。
Figure 2016136906
<1>超高温殺菌乳からのチーズの製造(1)
配合と結果を表4に示す。表4のデータは<実施例1>のデータの再掲である。超高温殺菌乳を用いた場合に、還元剤を利用することにより、チーズの品質の向上が認められた。また、還元剤をTGと併用することにより、還元剤を単独で利用した場合よりも、チーズの品質の向上が認められた。
Figure 2016136906
<2>超高温殺菌乳からのチーズの製造(2)
配合と結果を表5に示す。超高温殺菌乳を用いた場合に、塩化カルシウムを利用することにより、チーズの品質の向上が認められた。また、塩化カルシウムをTGと併用することにより、塩化カルシウムを単独で利用した場合よりも、チーズの品質の向上が認められた。
Figure 2016136906
本発明によれば、チーズを改質することができる。また、本発明によれば、特に、超高温殺菌等の加熱処理がなされた乳原料から品質のよいチーズを製造することができる。よって、本発明は、食品分野において極めて有用である。

Claims (13)

  1. 乳蛋白質を含有する食品原料を下記成分(A)または(B)で処理することを含む、チーズの製造方法であって、
    前記食品原料が、80℃以上で加熱処理された乳蛋白質を含有する食品原料である、方法:
    (A)還元型グルタチオン、システイン、γ−グルタミルシステイン、亜硫酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩から選択される1種またはそれ以上の成分;
    (B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム塩。
  2. 前記食品原料が、120℃以上で0.5〜15秒間加熱処理されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記食品原料が、全乳、脱脂乳、部分脱脂乳、乳清、クリーム、バターミルク、それらの加工品、およびそれらの成分調整品から選択される1種またはそれ以上の原料である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記還元型グルタチオンが、還元型グルタチオンを含有する酵母エキスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記還元型グルタチオンが、食品原料1g当たり、0.000001g〜0.01g添加される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記食品原料を成分(A)で処理することを含む場合において、さらに、前記食品原料をトランスグルタミナーゼ及び/又はカルシウム塩で処理することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記トランスグルタミナーゼが、乳蛋白質1g当たり、0.00033U〜33U添加される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記カルシウム塩が、塩化カルシウムである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 下記成分(A)または(B)を含有する、チーズ改質用の製剤であって、
    80℃以上で加熱処理された、乳蛋白質を含有する食品原料からチーズを製造するために用いられる、製剤:
    (A)還元型グルタチオン、システイン、γ−グルタミルシステイン、亜硫酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩から選択される1種またはそれ以上の成分;
    (B)トランスグルタミナーゼおよびカルシウム塩。
  10. 成分(A)を含有する場合において、さらに、トランスグルタミナーゼ及び/又はカルシウム塩を含有する、請求項9に記載の製剤。
  11. 前記カルシウム塩が、塩化カルシウムである、請求項9または10に記載の製剤。
  12. 前記還元型グルタチオンが、還元型グルタチオンを含有する酵母エキスである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の製剤。
  13. 前記製剤が、前記還元型グルタチオンを、該製剤に含有されるトランスグルタミナーゼ1U当たり、0.0000000303g〜30.3g含有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の製剤。
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