JPH08256684A - チーズおよびその製造方法 - Google Patents

チーズおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH08256684A
JPH08256684A JP7067532A JP6753295A JPH08256684A JP H08256684 A JPH08256684 A JP H08256684A JP 7067532 A JP7067532 A JP 7067532A JP 6753295 A JP6753295 A JP 6753295A JP H08256684 A JPH08256684 A JP H08256684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cheese
calcium
phosphate group
peptide
protease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7067532A
Other languages
English (en)
Inventor
Isahiro Kawasaki
功博 川崎
Tsuguaki Nishitani
紹明 西谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP7067532A priority Critical patent/JPH08256684A/ja
Publication of JPH08256684A publication Critical patent/JPH08256684A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】2.5%トリクロロ酢酸可溶性である分子量1
000〜10000のリン酸基結合ペプチドを含有し、
かつペプチドに結合したリン酸基含有量が0.5重量%
以上であるカルシウム吸収性の良好なチーズ。また前記
チーズの製造方法が、トリプシン、プラスミン、カテプ
シンBおよびカリクレインの群から選択されたプロテア
ーゼを、原料乳1kgに対し、10〜1000μmolpNA/h
r 、もしくはウロキナーゼのようなプラスミノーゲン活
性化因子となるプロテアーゼを、原料乳1kgに対し、1
0IU以上添加して熟成期間中に、リン酸基結合ペプチ
ドを生成させる。 【効果】本発明のチーズは、リン酸基結合ペプチドを含
有しているので、チーズ中に含有するカルシウムの吸収
性を高め、骨粗鬆症患者や学童の骨強化に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化に伴う骨粗鬆症、骨折、腰
痛などの各種骨疾患患者が増加している。これは、カル
シウムの摂取不足、カルシウム吸収能力の低下、閉経後
のホルモンのアンバランスなどが原因であるとされてい
る。このような高齢化に伴う骨粗鬆症や骨折などの各種
骨疾患を予防するためには、骨量をできるだけ増加させ
て最大骨量(peak bone mass)を高めることが有効である
とされている。そして、最大骨量を高めるということ
は、まさしく骨を強化することに他ならない。上記した
ように、各種骨疾患患者が増加する傾向にある現状の
中、骨強化を目的として、炭酸カルシウム、リン酸カル
シウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩や乳清カルシ
ウム、牛骨粉、卵殻等の天然カルシウム剤が、飲食品に
添加されている。
【0003】しかしながら、これらのカルシウムを食品
として摂取した場合、その吸収率は50%以下であり、
半分以上が吸収されずに体外に排出されてしまうといわ
れている。また、体内に吸収されたカルシウムも、その
形態や同時に摂取される他の栄養成分の種類によって、
骨への親和性が異なるので、骨代謝改善および骨強化作
用を示さないこともある。この他、骨粗鬆症治療や骨強
化のための医薬として、ビタミンD3 やカルシトニン製
剤等が知られているが、これらの医薬を用いた場合、耳
鳴り、頭痛、食欲不振などの副作用を伴うことがあり、
また、これらの医薬として用いられている物質は、安全
性および経済性の面から現在のところ飲食品類に添加で
きない状況にある。
【0004】骨強化のためには、十分な量のカルシウム
を摂取する必要があるが、一般に、カルシウムを豊富に
含有する食品として、乳および乳製品、小魚、貝類等が
ある。中でも近年乳由来のカルシウムが生体に効率良く
利用されることが知られるようになってきている[N. P.
Wong and D. E. Lacroix, Nutr. Rep. Intr.,Vol.21,
PP.673 (1980)]。これは牛乳中のカゼインミセルと結合
して存在するコロイド状リン酸カルシウムの吸収性が他
のカルシウム素材に比べ良好であることに由来すると考
えられている〔加藤ら、日本栄養食糧学会誌, 47巻, 38
5 頁(1994)〕。この様なコロイド状リン酸カルシウムを
多量に含む食品としてチーズがあり、実際にチーズに由
来するカルシウムが生体に効率良く利用されることも知
られるようになってきた[V. K. Kansal and S. Chandha
ry, Milchwissenschaft,Vol.37,PP.261 (1982)] 。従っ
て、カルシウムを効率良く摂取するためには、チーズを
多く摂取すればよいことになる。しかし、栄養バランス
やカロリーの摂取量を考えると、むやみにチーズを摂取
することはできないという問題がある。この様なことか
ら、チーズ中のカルシウムをより効率よく利用する方法
の開発が望まれていた。
【0005】飲食品への応用が可能なカルシウムの吸収
を促進する物質として、カゼインホスホペプチド(以下
CPPという)が知られている。これはカゼインをトリ
プシンで分解した分解物中に得られるもので、水溶液中
でカルシウムの沈殿を抑え、カルシウムを可溶化する作
用をもつものである。さらにこのCPPは、腸管内にお
いてカルシウムを可溶化することでカルシウムの吸収性
を高める作用があるとも言われている[ 内藤、日本栄養
食糧学会誌, 39巻, 433 頁(1986)] 。CPPは、これま
でタブレットとして摂取したり、飲料、ヨーグルトなど
に添加して利用する方法が知られてきた[ 栄田、食品工
業, 33巻, 33頁(1990)] 。しかし、このCPPを、チー
ズに配合することは難しく、例えば、レンネットで凝固
させる前の乳にあらかじめCPPを配合してチーズを製
造し、チーズ中に含有させようとしても、CPPは、高
い親水性を持つため、カード形成時に、添加したCPP
の多くはホエー中に排出され、効率的にチーズ中に配合
することはできない。また、カード形成後にCPPを配
合しても、チーズ特有の組織を破壊することになり好ま
しくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近、チーズの熟成中
に生成するペプチドの中にリン酸基をもつペプチドが存
在することが明らかになってきた。これは、チーズ熟成
中に作用するプロテアーゼの研究から、これらリン酸基
結合ペプチドが、主に牛乳中に存在するプラスミンによ
るカゼインの分解産物であると言われている[F. Roudot
-Algaron, et al., J. Food Sci., Vol.59,pp.544 (199
4); F. Addeo et al., J. Dairy Res.,Vol.61,pp. 365
(1994)] 。また、チーズの製造時に、プロテアーゼを作
用させてその熟成期間を短縮したり、風味を向上させる
ことも知られている[ 高藤, 月刊フードケミカル, 54頁
(1989); N. Y. Farke and P. F. Fox, J. Dairy Sci.,
Vol.59,pp.209 (1992)]。しかし、通常の方法によって
製造されたチーズにおいては、リン酸基結合ペプチドの
母体であるαs1−カゼインおよびβ−カゼインは、熟成
3カ月以後でも、αs1−カゼインの元の量の22%、ま
たβ−カゼインの46%が分解を受けないままで存在し
ている。このことから考えて、カゼインからリン酸基結
合ペプチドを十分に生成させ、遊離させているとは言え
ず、その量もこれまで明らかになっていない。また、こ
のリン酸基結合ペプチドがチーズ中のカルシウムの吸収
性を向上させるかどうかについても知られていない。こ
のように、チーズ熟成時にプロテアーゼを作用させて、
リン酸基結合ペプチドを増加させ、チーズ中に含まれる
カルシウムの吸収性を向上させた例は全く見られない。
本発明者らは、チーズ中のカルシウムをより効率良く利
用するために鋭意検討したところ、チーズのカルシウム
吸収性がリン酸基結合ペプチドの量に依存する傾向が見
られることを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、チーズ中のリン酸基結合ペプチドの
含有量を増加させたカルシウム吸収性の良好なチーズお
よびその製造方法を提供することを課題とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、2.5%トリ
クロロ酢酸可溶性で分子量1000〜10000のリン
酸基結合ペプチドを含有し、かつペプチドに結合したリ
ン酸基含有量が0.5重量%以上からなるカルシウム吸
収性の良好なチーズである。また、本発明は、上記のチ
ーズを製造する際、原料乳1kgに対し、プロテアーゼを
10μmolpNA/hr 以上およびレンネットと乳酸菌スター
ターを添加して、調製したカードを熟成することからな
るカルシウム吸収性の良好なチーズの製造方法である。
また、本発明は、プロテアーゼが、トリプシン、プラス
ミン、カテプシンBおよびカリクレインの群から選択さ
れる一種以上である上記のカルシウム吸収性の良好なチ
ーズの製造方法である。また、本発明は、上記のチーズ
を製造する際、原料乳1kgに対し、プラスミノーゲン活
性化因子を10IU以上およびレンネットと乳酸菌スタ
ーターを添加して調製したカードを熟成することからな
るカルシウム吸収性の良好なチーズの製造方法である。
また、本発明は、プラスミノーゲン活性化因子が、ウロ
キナーゼである上記のカルシウム吸収性の良好なチーズ
の製造方法である。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。ナ
チュラルチーズは、通常、牛乳、山羊乳または羊乳等の
動物乳を原料として、蛋白質、乳糖、脂肪等の成分含
有量の調整、殺菌、乳酸菌スターターとレンネット
の添加、一定時間静置による乳の凝固、カードの回
収、カードの塩水浸漬、熟成という工程を経て製造
される。本発明のチーズは、上記のレンネットや乳酸
菌スターターを添加する工程で、プロテアーゼもしくは
プラスミノーゲン活性化因子を添加して、の熟成工程
でチーズ中にリン酸基結合ペプチドを生成させ、カゼイ
ンからこのペプチドを遊離させるものである。
【0009】本発明で使用するプロテアーゼは、その作
用から次の2種類に分類される。一つはトリプシン様活
性をもつプロテアーゼであり、具体的にはトリプシン、
プラスミン、カテプシンB、カリクレイン等を挙げるこ
とができる。ここで、トリプシン様活性をもつプロテア
ーゼの酵素活性の単位であるμmolpNA/hr は、プロテア
ーゼをトリプシンの典型的な基質であるN−アセチルア
ルギニンパラニトロアニリド2mMに30℃で作用させた
時、単位時間当たりに遊離してきたパラニトロアニリド
の量で定義したものである[H. S. Rollema, et al., Mi
lchwissenschaft,Vol.38, pp.214 (1983)]。これらのプ
ロテアーゼは、チーズ熟成中にカゼインに直接作用し、
その分子中にリン酸基を持つペプチドを生成させ、カゼ
インから遊離させる作用を有するものである。もう一つ
は、プラスミノーゲンの活性化作用をもつプロテアーゼ
であり、具体的にはウロキナーゼを挙げることができ
る。乳中に存在するプラスミンは、その85〜90%が
前駆体であるプラスミノーゲンとして存在しており[P.
F. Fox and L. Stepaniak, Intr. Dairy J., Vol.3,pp.
509 (1993)] 、このプラスミノーゲンは、ウロキナーゼ
の様なプラスミノーゲン活性化因子によりプラスミンに
変換され酵素活性を持つようになる。乳中のプラスミン
は、その能力の10〜15%しか発揮していない。本発
明では、原料乳にプラスミノーゲン活性化因子を添加
し、乳中のプラスミノーゲンをプラスミンに変換し、こ
のプラスミンの作用でチーズ熟成中にリン酸基を分子中
にもつペプチドを生成させ、カゼインから遊離してカル
シウム吸収性の良いチーズを製造するものである。
【0010】本発明のチーズは、使用するプロテアーゼ
によって二通りの製造方法を採用することができる。ト
リプシン様活性を持つプロテアーゼを用いる第一の方法
は、殺菌した原料乳に対し、乳酸菌スターターとレンネ
ットおよびプロテアーゼを添加する。プロテアーゼの添
加時期は、このレンネットの添加前、またはレンネット
と同時に添加するのが好ましい。これは、添加したレン
ネットにより乳の凝固が始まると、均一にプロテアーゼ
が分散せず、カード中でのプロテアーゼの作用が不均一
になるためである。またプロテアーゼの添加量は、上記
のいずれかのプロテアーゼの一種以上を、原料乳1kgあ
たり10μmolpNA/hr 以上添加する。プロテアーゼの添
加量が原料乳1kgあたり10μmolpNA/hr 以下の場合に
は、チーズの熟成中にリン酸基結合ペプチドの生成量が
少なく、本発明の目的を達成することができない。尚、
上限については特に制限はないが、1000μmolpNA/h
r 以上添加しても添加量に比例してペプチド結合のリン
酸基量が増加しないため、1000μmolpNA/hr を限度
に調整することが好ましい。また、レンネットおよびス
ターターとして用いる乳酸菌は、通常のチーズを製造す
る際に使用されているものが用いられるが、乳酸菌につ
いて例示すれば、ストレプトコッカス ジアセチラクチ
ス、ストレプトコッカス サーモフィルス、ラクトバチ
ルス ヘルベチカス、ストレプトコッカス クレモリス
等を挙げることができる。上記のようにして乳酸菌スタ
ーターとレンネットおよびプロテアーゼを添加した後
は、常法に従って、レンネットにより凝固したカードを
ホエーと分離して回収し、さらにカードを3ヵ月間以上
熟成させる。熟成期間が、3ヵ月間以下の場合には、リ
ン酸基結合ペプチドの生成量が少なく、本発明の目的を
達成することができない。熟成期間の上限は特に制限さ
れないが、例えばゴーダチーズでは、通常の熟成期間が
3ヵ月間〜12ヵ月間であるので、チーズの種類に応じ
て行うことが好ましい。
【0011】プラスミノーゲン活性化因子を用いる第二
の方法は、プラスミノーゲン活性化因子であるウロキナ
ーゼを、原料乳1kgあたり10IU以上添加する方法で
もある。ウロキナーゼの添加量がこれ以下では、プロテ
アーゼの場合と同じ問題が発生する。上限についても特
に制限はなく、効率的な添加量を設定すればよい。ま
た、ウロキナーゼの添加時期、あるいは熟成期間等につ
いては、上記のプロテアーゼを用いて製造する方法に準
じて行うことができる。本発明の方法に従って製造され
るチーズの種類は、ゴーダ、チェダー、エメンタール、
グリュエール、モザレラ、カマンベール、ブルー等のチ
ーズを挙げることができ、特に制限されるものではな
い。また、プロテアーゼを添加することで熟成期間が短
縮されることも本発明の製造方法の利点である。一般
に、プロテアーゼを利用してチーズの熟成期間を短縮す
ると、苦味の生成がしばしば問題となると言われている
が [高藤, 月刊フードケミカル, 54頁 (1989)]、プラス
ミンやトリプシンは、このような苦味の原因となる苦味
ペプチドをカゼインから遊離させないので、本発明の製
造方法ではプロテアーゼの添加による苦味の増加は見ら
れない。
【0012】上記のように本発明の製造方法に従って得
られたチーズは、分子量1000〜10000のリン酸
基結合ペプチドを含有し、かつペプチドに結合したリン
基酸の含有量が0.5重量%以上のチーズになる。この
リン酸基結合ペプチドは、2.5%トリクロロ酢酸に対
し可溶性で、チーズ中のペプチドの測定方法として、Bu
lletin of International Dairy Federation,pp.261(19
91) に定められている方法に従って測定したものであ
る。また、チーズ中のリン酸基結合ペプチド含有量につ
いては、リン酸基結合ペプチドが単一の分子として存在
せず、リン酸基を持つペプチド含有量としては定量でき
ないため、リン酸基の含有量で表している。そのペプチ
ド中のリン酸基含有量の測定方法を示すと、次のように
なる。粉砕したチーズ10g に水50mlを加え、攪拌羽
根の回転数10000rpmで2分間ホモゲナイズし、
このホモゲナイズした溶液を10000rpmで20分
間遠心分離し、溶液の中層を採取する。採取した中層を
分画分子量10000の限外濾過膜( 例えば、アドバン
テック社製) に通し、透過液を得、これを分画分子量1
000の透析チューブ( 例えば、スペクトラム社製) に
入れ、脱イオン水を外液として4℃で3日間透析する。
透析中の外液は、12時間毎に交換する。透析後内液を
凍結乾燥し、得られたペプチド粉末中のリン酸基量をI
CP発光分析装置(ST-3000、LEEMAN LABS 社製) で測定
することにより、その量が求まる。本発明のチーズは、
ナチュラルチーズとしてそのまま摂食することができる
が、本発明の方法によって得られたチーズ同志、あるい
は従来の方法によって製造したナチュラルチーズと共に
溶融して混合後、冷却成形することにより、カルシウム
吸収性の良好なプロセスチーズにすることもできる。さ
らには、加工食品の原料として用いることができ、従来
のナチュラルチーズとなんら変わることなく使用可能で
ある。
【0013】次に本発明の実施例を示して具体的に説明
すると共に、本発明の効果を確認する試験例を示す。
尚、以下に示す実施例および実験例は、本発明をより具
体的に示すもので、これにより本発明が限定されるもの
ではない。
【実施例】
実施例1 脂肪率を2.8%に調整した牛乳200kgを75℃で1
5秒間殺菌し、この牛乳にスターター(BD-CH-normal-0
1、ハンセン社製) 1%を加え、60分後レンネット(
力価: 70,000単位/g、ハンセン社製) 0.003%、お
よびトリプシン(シグマ社製)を牛乳1kgに対し100
μmolpNA/hr の割合で添加して攪拌し、30℃で30分
間静置した。その後カードとホエーの混合物を40℃ま
で加温し、40℃に達してから30分後カードをチーズ
クロスをセットしたゴーダチーズ用モールドに型詰し、
2時間圧搾してホエーを分離し、チーズブロックを得
た。得られたブロックをそれぞれ500g 程度の重量に
切断し、10℃で23%の食塩水に2時間浸漬し加塩し
た。その後各チーズブロックを真空包装し、10℃で3
ヵ月間熟成させて、ゴーダチーズ17.9kgを得た。こ
のゴーダチーズは、リン酸基が結合したペプチドを含有
し、またペプチドに結合したリン酸基の含有量は0.8
7重量%であった。
【0014】実施例2 脂肪率を2.8%に調整した牛乳200kgを75℃で1
5秒間殺菌し、この牛乳に、スターター(BD-CH-normal-
01、ハンセン社製) 1%を加え、60分後レンネット(
力価: 70,000単位/g、ハンセン社製) 0.003%、お
よびプラスミン(シグマ社製)を、牛乳1kgに対し10
0μmolpNA/hr の割合で添加して攪拌し、30℃で30
分間静置した。その後カードとホエーの混合物を40℃
まで加温し、40℃に達してから30分後カードをチー
ズクロスをセットしたチェダーチーズ用モールドに型詰
し、カードとホエーの混合物を40℃まで加温し、ホエ
ーを分離した。その後チェダリングを行いpH5.2と
なった時点でカードを細断して真空包装し、10℃で3
ヵ月間熟成させ、チェダーチーズ16.5kgを得た。こ
のチェダーチーズは、リン酸基が結合したペプチドを含
有し、またペプチドに結合したリン酸基の含有量は0.
72重量%であった。
【0015】実施例3 脂肪率を2.8%に調整した牛乳200kgを75℃で1
5秒間殺菌し、この牛乳に、カテプシンB(シグマ社
製)を、1kg当たり100μmolpNA/hr の割合で添加し
て攪拌し、30℃で5分間静置し、その後スターター(B
D-CH-normal-01、ハンセン社製) 1%とレンネット( 力
価: 70,000単位/g、ハンセン社製) 0.003%を添加
して攪拌し、30℃で30分間静置した。以下、実施例
1と同様の条件で処理してゴーダチーズを17.0kg得
た。このゴーダチーズは、リン酸基が結合したペプチド
を含有し、またペプチドに結合したリン酸基の含有量は
0.62重量%であった。
【0016】実施例4 脂肪率を2.8%に調整した牛乳200kgを75℃で1
5秒間殺菌し、カリクレイン( シグマ社製) を、1kg当
たり100μmolpNA/hr の割合で添加して攪拌し、5分
間静置し、スターター(BD-CH-normal-01、ハンセン社
製) 1%とレンネット( 力価: 70,000単位/g、ハンセン
社製) 0.003%を添加して攪拌し、30℃で30分
間静置した。以下、実施例2と同様の条件で処理してチ
ェダーチーズ16.8kgを得た。このチェダーチーズ
は、ペプチドに結合したリン酸基が0.71重量%含有
していた。
【0017】実施例5 脂肪率を2.8%に調整した牛乳200kgを75℃で1
5秒間殺菌し、この牛乳に対し、ウロキナーゼ( シグマ
社製) を、1kg当たり20IUの割合で添加して攪拌
し、5分間静置し、その後牛乳に対して1%のスタータ
ー(BD-CH-normal-01、ハンセン社製) と0.003%の
レンネット( 力価: 70,000単位/g、ハンセン社製) を添
加して攪拌し、30℃で30分間静置した。以下、実施
例1と同様の条件で処理してチェダーチーズ16.0kg
を得た。このチェダーチーズのペプチドに結合したリン
酸基の含有量は、0.62重量%であった。
【0018】実施例6 実施例1で得たゴーダチーズと、実施例2で得たチェダ
ーチーズをそれぞれ2kg粉砕して混合し、この原料チー
ズに溶融塩としてポリリン酸(JOHA Cスペシャル、BKラ
ーデンブルグ社製)80g および水450mlを加えた。
この混合物をケトル乳化機を用いて120rpmで回転
させながら蒸気を吹き込み、85℃の温度まで昇温して
乳化した。次に、この乳化チーズを80℃の温度でカル
トンに充填し、5℃で2日間冷蔵してプロセスチーズを
得た。このプロセスチーズは、ペプチドに結合したリン
酸基を0.88重量%含有していた。
【0019】実施例7 実施例1〜6に示したのと同様な方法で、プロテアーゼ
の添加量を変えて製造したゴーダチーズ、チェダーチー
ズの中に含まれるリン酸基結合ペプチドのリン酸基含有
量を測定した。その測定結果を表1に示す。尚、コント
ロールとしてプロテアーゼを添加せずに製造したチーズ
も表中に示した。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示す様に、トリプシン、プラスミ
ン、カテプシンB、カリクレインでは、プロテアーゼの
添加量の増加と共にペプチドに結合したリン酸基の量が
増加することが確認された。また、プロテアーゼの添加
量が、10μmolpNA/hr 以上になると、ペプチドに結合
したリン酸基の量が、0.5%以上となった。しかし、
1000μmolpNA/hr 以上では添加量の割合に比例して
ペプチドに結合したリン酸基の量の増加は見られなかっ
た。また、ウロキナーゼは10IU添加すると、ペプチ
ドに結合したリン酸基含有量が、0.5%以上となる
が、それ以上添加しても添加量に比例した著しい増加傾
向は見られなかった。
【0022】実施例8 実施例1と同様な方法で、トリプシンの添加量を変えて
製造したゴーダチーズについて、熟成期間と生成された
ペプチドに結合したリン酸基の含有量および熟度を測定
した。その測定結果について、表2にリン酸基含有量、
表3に熟度を示す。尚、コントロールとしてプロテアー
ゼを添加せずに製造したチーズも表中に示した。また、
熟度はケルダール法でチーズ中の可溶性窒素量と全窒素
量を測定し、以下の式で算出した。 熟度(%)= (可溶性窒素含量/全窒素含量) ×100
【0023】
【表2】
【0024】表2から、トリプシンを10μmolpNA/hr
以上添加し、かつ熟成期間が3ヵ月以上になると、リン
酸基含有量が0.5%以上になり、その後10ヵ月まで
増加するが、それ以降については、むしろリン酸基含有
量が減少する傾向にあることが判った。
【0025】
【表3】
【0026】表3から明らかなように、トリプシンを添
加したチーズは、コントロールに比較して、熟成期間が
短縮されていることが認められる。
【0027】試験例 実施例1〜8で製造したゴーダチーズ、チェダーチーズ
およびプロセスチーズのカルシウム吸収性について、ラ
ットを用いて試験を行った。飼料は、表4に示す飼料を
用いた。また、表4中のチーズについては、各実施例で
得られたチーズを同量配合したもので、そのチーズに用
いたプロテアーゼの種類と量、およびチーズ中に含まれ
るペプチド結合のリン酸基含有量を表5に示す。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】カルシウム吸収性の試験は、体重約300
g の8週齢Sprague-Dawley系のラットを1群6匹とし、
表4に示す飼料で飼育した。また上記表4に示した飼料
および水は自由摂取させ、12時間毎の明暗サイクルで
飼育した。飼育開始から10日後に各ラットを代謝ゲー
ジに入れ、72時間の飼育摂取量と糞排泄量を求め、糞
中に排泄されたカルシウム量をICP発光分析装置(ST-
3000、LEEMAN LABS 社製) で定量した。見かけのカルシ
ウムの吸収率は、以下の式で求め、コントロール群に対
する各群のカルシウム吸収性をTukey-Kramer法により多
重比較した。 見かけのカルシウム吸収率(%)=〔(摂取した飼料中
のカルシウム量)−(糞中に排泄されたカルシウム
量)〕/(摂取した飼料中のカルシウム量)×100
【0031】カルシウム吸収性の試験結果を図1に示
す。図1に示す通り、ペプチド結合のリン酸基含有量が
0.5%以上含有するチーズを配合した飼料を与えた群
では、コントロール群に比べて有意にカルシウム吸収性
の向上が認められた。
【0032】
【発明の効果】本発明のチーズは、リン酸基結合ペプチ
ドを多量に含有しているので、チーズ中のカルシウムの
吸収率を高めるという効果を奏するものである。また、
製造方法については、原料乳に対し、レンネットの添加
前または同時に、プロテアーゼを添加して熟成期間中に
リン酸基結合ペプチドを生成させる製造方法を採用して
いるため、効率的にリン酸基結合ペプチドを増加させる
ことができるものである。しかも、風味についても、従
来のチーズと変わるところがなく、そのまま食品として
摂取できる他、チーズを素材として加工される各種の飲
食品に利用可能であり、高年齢者に多い骨粗鬆症患者や
成長期の学童の骨強化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラットを用いたカルシウム吸収性試験の結果を
示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2.5%トリクロロ酢酸可溶性で分子量
    1000〜10000のリン酸基結合ペプチドを含有
    し、かつペプチドに結合したリン酸基含有量が0.5重
    量%以上からなることを特徴とするカルシウム吸収性の
    良好なチーズ。
  2. 【請求項2】 原料乳1kgに対し、プロテアーゼを10
    μmolpNA/hr 以上およびレンネットと乳酸菌スターター
    を添加して調製したカードを熟成することを特徴とする
    カルシウム吸収性の良好なチーズの製造方法。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼが、トリプシン、プラスミ
    ン、カテプシンBおよびカリクレインの群から選択され
    る一種以上である請求項2記載のカルシウム吸収性の良
    好なチーズの製造方法。
  4. 【請求項4】 原料乳1kgに対し、プラスミノーゲン活
    性化因子を10IU以上およびレンネットと乳酸菌スタ
    ーターを添加して調製したカードを熟成することを特徴
    とするカルシウム吸収性の良好なチーズの製造方法。
  5. 【請求項5】 プラスミノーゲン活性化因子が、ウロキ
    ナーゼである請求項4記載のカルシウム吸収性の良好な
    チーズの製造方法。
JP7067532A 1995-03-27 1995-03-27 チーズおよびその製造方法 Pending JPH08256684A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7067532A JPH08256684A (ja) 1995-03-27 1995-03-27 チーズおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7067532A JPH08256684A (ja) 1995-03-27 1995-03-27 チーズおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08256684A true JPH08256684A (ja) 1996-10-08

Family

ID=13347692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7067532A Pending JPH08256684A (ja) 1995-03-27 1995-03-27 チーズおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08256684A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001064203A (ja) * 1999-08-27 2001-03-13 Fuso Pharmaceutical Industries Ltd 唾液分泌促進組成物
JP2010155856A (ja) * 2010-03-03 2010-07-15 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 骨形成促進及び骨吸収抑制剤

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001064203A (ja) * 1999-08-27 2001-03-13 Fuso Pharmaceutical Industries Ltd 唾液分泌促進組成物
JP2010155856A (ja) * 2010-03-03 2010-07-15 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 骨形成促進及び骨吸収抑制剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3387267B2 (ja) トランスグルタミナーゼを用いるチーズの製造方法
RU2270571C2 (ru) Способ изготовления сыра и сырных продуктов
CA2369674C (en) Process for making a wheyless cream cheese using transglutaminase
US4379170A (en) Process for manufacture of cheese
US20030054068A1 (en) Modified milk protein concentrates and their use in making gels and dairy products
JP2011024589A (ja) 濃縮乳タンパク質成分及びそれからプロセスチーズを調製するための方法
JPH06500467A (ja) 無脂肪ナチュラルチーズ
US5851577A (en) Processed cheese made with yogurt
JP2004508840A (ja) 増粘剤を含むチーズの製造方法
US20100092609A1 (en) method for producing cheese
DE60010179T2 (de) Verfahren zur Einarbeitung von Molkeproteinen in Käse mittels Transglutaminase
JP4580138B2 (ja) 殺菌済み軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法
EP0828432B1 (en) Process for preparing fresh cheese and fresh cheese obtainable thereby
US20060057249A1 (en) Method for fast production of cheese curds and cheese products produced therefrom
EP1618792B1 (en) Process for producing cheese
WO1992006598A1 (en) Non-fat natural cheese
JPH1169942A (ja) フレッシュチーズ及びその製造方法
JPH08256684A (ja) チーズおよびその製造方法
JPS58209936A (ja) 食品または食品前駆物質の改良製造方法および/またはそれによつて製造された食品
WO2014020684A1 (ja) チーズ類及びその製造方法
JPWO2004047543A1 (ja) 機能性食品及び機能性食品の製造方法
JPH1132675A (ja) チーズ及びその製造方法
JPH0576280A (ja) 牛乳豆腐の製造法
KR101082803B1 (ko) 새우를 함유한 치즈 및 이의 제조방법
JP6696500B2 (ja) チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤