JPH1132675A - チーズ及びその製造方法 - Google Patents

チーズ及びその製造方法

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JPH1132675A
JPH1132675A JP9205459A JP20545997A JPH1132675A JP H1132675 A JPH1132675 A JP H1132675A JP 9205459 A JP9205459 A JP 9205459A JP 20545997 A JP20545997 A JP 20545997A JP H1132675 A JPH1132675 A JP H1132675A
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Japan
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milk
cheese
raw
curd
protein
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JP9205459A
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English (en)
Inventor
Kimie Kawachi
公恵 河内
Masami Kawanari
真美 川成
Hiroshi Imai
宏 今井
Koji Kawachi
康治 川地
Akira Tomizawa
章 富沢
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生乳を用いない酵素凝乳法によるチーズの製
造。 【解決手段】 乳タンパク質濃縮物粉末の水溶解液を主
原料乳とし用いて得られる、黄色を呈し、褐変が生ぜ
ず、保存性の高いチーズ。タンパク質含量が50重量%以
上の乳タンパク質濃縮物粉末を3〜20重量%の濃度にな
るように水に溶解し、必要に応じて乳糖を添加し、これ
に乳酸菌スタータ及び凝乳酵素を加えてカードを生成せ
しめ、熟成させることよりなるチーズの製造法。生乳の
生産地の遠近にかかわらず褐変しないチーズを製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳タンパク質濃縮
物粉末の水溶解液を主原料乳とするチーズ及びその製造
方法に関する。本発明はまた、レトルト処理してもある
いは製品を常温で保存しても褐変が生成せず、製造直後
と同様の黄色を呈し、しかも保存性の高いチーズ及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、チーズの製造は大別して酸凝固
法と、酵素凝固法の2種に分けられる。酸凝固法は、乳
酸菌の働きにより、産生された乳酸により、カゼインを
凝固させて凝乳をつくり、カードとホエーとに分別し、
得られたカードを加工してチーズを調製するものであ
る。一方、酵素凝固法は、レンネットに代表される凝乳
酵素と乳酸菌を乳に添加し、酵素の働きで酸凝固とは異
なった機構で凝乳をつくり、カードとホエーとに分け、
カードを熟成させてチーズを調製するものである。後者
では、乳を凝乳酵素により凝固させてカードを得るた
め、原料とする乳には凝乳酵素により乳が凝固するため
の幾つかの条件が必要となる。すなわち、乳を凝乳酵素
により凝固させるためには、乳中のタンパク質の加熱変
性度が低いこと、カゼインのミセル構造が存在している
ことが必要となる。
【0003】このように、酵素凝固法でチーズを製造す
る場合、新鮮な生乳以外の乳素材、例えば脱脂粉乳、全
脂粉乳、酸カゼイン、カゼインナトリウム、レンネット
カゼイン等を用いてチーズを製造しようとすることは、
以下の理由により困難であった。すなわち、通常、チー
ズの製造においては、脂肪含量を1〜4%に調整した原
料乳を65〜75℃で約15秒〜30分間殺菌を行う。乳は塩類
を含有した状態で75℃以上で加熱すると、乳タンパク質
のκ−カゼインとβ−ラクトグロブリンの結合が起き
る。このため、75℃以上で殺菌した乳を用いてチーズを
製造すると、凝乳酵素によりカゼインが凝固せず、カー
ドが形成されない。従って、脱脂粉乳、全脂粉乳等は製
造過程で75℃以上で加熱処理が行われており、上述のよ
うなκ−カゼインとβ−ラクトグロブリンの結合が生じ
ており、これらを主原料乳素材としてチーズを製造した
場合、凝乳酵素により乳が凝固しない。また、酸カゼイ
ンは乳からカゼインを抽出する際のpHの低下によりカ
ゼインがカゼインミセルの形態を有しておらず、またナ
トリウムカゼインは、カルシウムとナトリウムが置き換
わっており、これもカゼインミセルの形態を有していな
いので、これらを主原料乳素材としてチーズ製造をした
場合も、凝乳酵素により乳が凝固しない。また、レンネ
ットカゼインは水への溶解性が低い等の問題点があり、
これらの乳素材は固形分の増量剤として原料乳の一部と
して添加することはあるが、原料乳の代用としてこれら
を主原料乳に用いることは困難であった。
【0004】上述のような理由から、酵素凝固法による
チーズの製造においては、新鮮な生乳を用いることが最
も好ましい。従ってチーズの生産地は新鮮な生乳を確保
できる場所に限定され、消費地から遠くなりがちであっ
た。また、チーズの生産量は原料乳の調達量によって決
まるため、生乳生産量の季節変動の影響を受け、チーズ
の需要量の変動に対応できなかった。特に、夏場はチー
ズの生産が延びるが、市乳の需要も延びるため原料乳の
確保が困難な場合があり、生乳に代替可能な乳素材が求
められているのが現状である。
【0005】
【発明が解決するための課題】本発明は、生乳の代替と
して乳タンパク質濃縮物の粉末を水に溶解し、必要に応
じて乳糖を添加し、これを主原料乳としてチーズを製造
しようとするものである。またレトルト処理を行って
も、あるいは得られる製品を常温保存しても、これらの
製造工程あるいは保存中に褐変が生せず、製造時と同様
の美しい黄色を呈し、しかも雑菌の繁殖を防止して保存
性の良好なチーズを得ようとするものである。従って、
本発明の課題は、生乳の生産地の遠近にかかわらず酵素
凝乳法によりチーズを製造することにある。また、本発
明の課題は、従来の生乳に代えて必要に応じて乳糖を添
加した乳タンパク質濃縮物粉末の水溶解液を主原料乳と
して用いたチーズ、特に製造工程や製品の保存中褐変の
生じることを防止し、美しい黄色を呈し、保存性の高い
チーズ及びその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意研究を重ねた結果、通常チーズ製造の原料乳
として用いられる生乳に代えて、乳タンパク質濃縮物粉
末を水に溶解した(以下、乳タンパク質濃縮物粉末を水
に溶解することを乳タンパク質濃縮物粉末を還元すると
いう)溶解液をチーズ製造の原料乳として用いることが
できることをはじめて見出した。また、この原料乳によ
り調製したチーズは、レトルト処理してもあるいは製品
を常温で保存しても製品の褐変が抑制され、製造時と同
様の美しい黄色を呈し、さらに保存中のpH低下による
雑菌の繁殖、あるいはそれに基づく異臭の発生を防止す
ることができ、保存性の良好なチーズが得られることを
見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】本発明は、乳タンパク質濃縮物粉末を還元
し、チーズ製造の主原料乳として用いることを特徴とす
るものである。この乳タンパク質濃縮物粉末とは、脱脂
乳を除菌用膜(Micro Filtration)等で除菌した後、透
析濾過膜(Dia Filtration)や限外濾過膜(Ultra Filt
ration)により膜処理して脱塩されたものを加熱殺菌
後、濃縮、乾燥させて得られるタンパク質を50%以上含
有する乳タンパク質粉末である。このような乳タンパク
質濃縮物粉末は、一般にMPC(Milk Protein Concent
rate)又はTMP(Total Milk Protein)と呼ばれてい
る。また、本発明では高濃度に脂肪を含有するクリーム
をMPCの還元溶液に添加して、脂肪分として配合する
こともできる。この高濃度クリームは、殺菌又は滅菌さ
れた生クリームをUF膜や分離機を用いて脂肪分50〜80
%まで濃縮したものであり、本発明では、HFC(High
Fat Cream)という。
【0008】MPCは上記のように脱脂乳が脱塩された
状態で加熱殺菌され、粉末化処理されているので、含有
されているタンパク質の変性度が低く、カゼインのミセ
ル構造も存在している。このため、MPCの還元液は凝
乳酵素により凝固させることができる。また、乳に含有
される乳糖はチーズ製造過程で、大部分はホエーととも
に排出されるが、一部の乳糖はチーズ中に残存する。こ
のため、保存中に乳酸菌が乳糖をもとにして増殖し、チ
ーズのpHが低下し、雑菌の繁殖が起こり、腐敗臭等の
原因となったり、レトルト処理や常温で保存した場合、
チーズが褐変する等の問題が生じるが、本発明で使用す
るMPCは上記のように膜処理されているため、乳中に
含有される塩類とともに乳糖の大部分も除去されてい
る。従って、得られたチーズは美しい黄色を呈し、保存
性の高いものとなる。本発明においては、前記MPCを
3〜20%になるように溶解し、これを主原料乳として用
い、また乳酸菌スターターを原料乳中1×105 〜1×10
7 個/gとなるように接種し、凝乳酵素 0.001〜0.02重量
%添加することが望ましい。これらの添加量は通常のチ
ーズ製造における原料乳のタンパク質濃度、及びスター
ター、凝乳酵素の添加量とほぼ同じである。このように
して得られるチーズは、通常のチーズより風味はややマ
イルドであり、同等の品質を有するものである。さら
に、本発明では、MPCの還元液に乳糖を添加してチー
ズを調製することもできる。このとき乳糖の添加量は、
生乳に含有される乳糖量と同等にすれば、得られるチー
ズは、通常のチーズと同様の風味、品質のものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に好適例を示し、本発明を詳
しく説明する。本発明ではMPC還元液を主原料乳とし
て用いる以外は、常法に従って行うことができる。ま
ず、MPCを3〜20%の濃度となるように水に分散溶解
させ、均質化して原料乳を調製する。なお、乳脂肪源と
して、バター、バターオイル、HFC(脂肪分50〜80
%、タンパク質含量 0.5〜10.0%)クリーム等を添加す
ることができ、さらに目的とする最終製品に併せて、乳
糖、核酸やアミノ酸等の非タンパク態窒素成分、ミネラ
ル等を適宜添加することもできる。必要に応じてこれら
の添加物を添加した後、原料乳を再度均質化し、63〜75
℃で15秒〜30分間程度で加熱殺菌して、約30℃で静置冷
却する。次いで原料乳に乳酸菌スターターを原料乳中1
×105 〜1×107 個/gとなるように接種し、凝乳酵素を
約 0.001〜0.02重量%添加し、29〜34℃で約30分間で凝
固させ、チーズカードを得る。
【0010】この時使用する乳酸菌としては、チーズ製
造に通常用いられる乳酸菌であればいずれの乳酸菌を使
用してもよく、例えば、ストレプトコッカス・ラクチス
(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サー
モフィラス(Streptococcusthermophilus)、ストレプ
トコッカス・ブルガリクス(Streptococcus bulgaricu
s)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus
cremoris)、ストレプトコッカス・カゼイ(Streptococ
cus casei)等のスターターあるいは濃縮又は、乾燥ス
ターター、さらには市販の乳酸菌スターターを挙げるこ
とができ、いずれも乳酸菌数1×106 個/g以上の範囲の
ものであればよい。また凝乳酵素としては、チーズ製造
に通常用いられる凝乳酵素であればいずれの凝乳酵素を
使用してもよく、レンネットの他、動物例えば豚、微生
物又は植物から得られた代用レンネット、子牛又は微生
物由来の遺伝子組換えによって得られたレンネット等を
使用することができる。
【0011】次いで、得られたカードを例えば、幅約10
〜40mmの立方体になるようにカッティングし、緩やかな
攪拌を加えて、チーズカードのシネリシス(凝縮)を促
進させる。次いで、カッティングの際に生じたホエーの
一部を排除し、さらにチーズカードを35〜38℃まで加温
しながら、約30〜60分間攪拌を続ける。その後、ホエー
の全量を排除し、食塩をチーズカードに対して1〜2重
量%添加混合し、カードを成形機に充填して圧搾する。
圧搾は、チーズ製造において通常用いられている加圧
型、自重型又は真空プレス機を用いて行うことができ
る。これをビニール製のフィルムに入れ、真空包装し、
3カ月間、約10℃で熟成させることにより本発明のチー
ズを得ることができる。
【0012】以下に、実施例を示し、本発明を更に詳し
く説明する。
【実施例1】 (1)原料乳の調製 表1に示す配合で、脱脂乳及び生乳を用いた通常のチ
ーズ製造に用いる原料乳(比較例1)、脱脂粉乳に水
を加えて還元し、乳糖とカリウム以外は比較例1と同様
の成分になるように調製した原料乳(比較例2)。M
PCを還元し、比較例1と同様の成分となるように調製
した原料乳(本発明品1)、MPCを還元し、乳糖以
外は比較例1と同様の成分となるように調製した原料乳
(本発明品2)を以下に示す方法で調製した。なお、比
較例1、2、参考例1及び本発明品1の成分組成は表2
に示す。 比較例1の調製:脱脂乳と生乳を混合して、原料乳と
した。 比較例2の調製:脱脂粉乳を50℃の温湯に溶解し、H
FC(脂肪含量:80%、タチウラデイリーズ製)及び塩
化カルシウム(和光純薬工業製)を混合し、原料乳とし
た。 本発明品1の調製:MPC(タンパク質含量:82%、
日本プロテイン製)を50℃の温湯に溶解し、これにHF
C(脂肪含量:76.1%、タチウラデイリーズ製)、乳糖
(メルク製)、乳清ミネラル、塩化カルシウム(和光純
薬工業製)を添加し、溶解させて原料乳とした。
【0013】本発明品2の調製:MPC(タンパク質
含量:82%、日本プロテイン製)、HFC(脂肪含量:
76.1%、タチウラデイリーズ製)、乳清ミネラル、塩化
カルシウム(和光純薬工業製)を添加し、参考例1と同
様に調製して原料乳とした。上記のチーズ調製に使用す
る乳素材の加熱変性度を測定した。測定は、各乳素材を
タンパク質濃度3.25%となるように溶解し、飽和食塩水
可溶タンパク質を未変性ホエータンパク質として定量
し、WPI(Whey Protein Index;未変性ホエータンパク
質(g)/全タンパク質(g))として示した。その結果を表3
に示した。WPIは値が大きいほど含有されるタンパク
質が未変性状態であることを示す(Harland, H.A. and
U.S Ashworth, J.Dairy Sci.,28:879-886.1945)。
【0014】
【表1】 ────────────────────────────────── 配合(%) 比較例1 比較例2 本発明品1 本発明品2 ────────────────────────────────── 脱脂乳 (脂肪分0.01%) 26.60 − − − 生乳 (脂肪分3.80%) 73.40 − − − 脱脂粉乳 − 9.21 − − HFC − 3.63 3.63 3.63 MPC − − 3.81 3.81 乳清ミネラル − − 1.94 1.94 乳糖 − − 3.07 0 塩化カルシウム − 0.029 0.048 0.048 水 − 87.05 87.46 90.48 ──────────────────────────────────
【0015】
【表2】 ──────────────────────────────── 成分組成(%) 比較例1 比較例2 本発明品1 本発明品2 ──────────────────────────────── タンパク質 3.16 3.16 3.16 3.16 脂肪 2.80 2.80 2.80 2.80 乳糖 4.37 4.95 4.37 1.30 カルシウム 0.113 0.113 0.113 0.113 カリウム 0.156 0.167 0.156 0.156 ────────────────────────────────
【0016】
【表3】 ──────────────────────────────── 比較例1 比較例2 本発明品1及び本発明品2 ──────────────────────────────── WPI 0.25 0.02 0.10 ────────────────────────────────
【0017】(2)チーズの調製 上記〜の原料乳を 100kgずつ用意し、常法に従いチ
ーズを調製した。原料乳を75℃で15秒間殺菌した。これ
を30℃に冷却し、乳酸菌スターター(LD−01、DV
Sタイプ、菌数;5×1010個/g、クリスチャンハンセン
製)0.01重量%及びレンネット(HRレンネット、クリ
スチャンハンセン製) 0.003 重量%添加し、緩やかに攪
拌し、30℃で30分間静置してチーズカードを得た。この
チーズカードをカードナイフでカッティングし、20分間
緩やかに攪拌した後、生じたホエーの1/3を排除し
た。直ちに同量の温湯を加え約38℃で加温しながら攪拌
し、60分経過した時点でホエーの全量を排除し、食塩を
チーズカードに対して1.7 重量%添加、混合した。その
後、カードをモールドに移し、約0.3 kgの圧力下で、2
時間プレス機を用いて圧搾した。これをビニール製のフ
ィルムに入れ、真空包装し、3カ月間、10℃で熟成させ
た。調製時の歩留りを表4に示す。なお、歩留は、原料
乳100gとしたときのできあがりのチーズを%で表す。
【0018】
【表4】 ─────────────────────────────── 比較例1 比較例2 本発明品1 本発明品2 ─────────────────────────────── 歩留り(%) 10.3 −※) 10.6 10.0 ─────────────────────────────── ※)比較例2は、レンネットにより凝固せず、pH5.3
で酸凝固したが、ホエーの排除が困難でカードを回収で
きなかった。
【0019】
【試験例1】得られたチーズについて、硬さ、熱溶融
性、レトルト処理による褐変、常温保存による褐変及び
チーズのpHと異臭の有無について以下に示す方法で評
価を行った。 硬さ: チーズを一辺1cmの立方体に切り出し、試料温
度20℃で、クリープメーター(商品名;レオナー、山電
製)を用い、1mm/秒で圧縮した時の破断荷重(kg)を
測定し、これを硬さとした。 熱溶融性: 直径17mm、高さ17mmの円柱に切り出したチ
ーズをドライオーブンで100 ℃で15分間加熱した後のサ
ンプルの直径を測定した。直径30mm以上に溶融したもの
を熱により溶融する溶融性良好なチーズとした。 レトルト処理: チーズを2cm×2cm×2cmの立方体と
し、耐熱性の包材でチーズを真空包装した後、オートク
レーブで120 ℃で15分間加熱後のチーズの褐変について
目視で観察した。 常温保存性: チーズを2cm×2cm×2cmの立方体に
し、耐熱性の包材で真空包装した後、80℃の温浴中で15
分間加熱殺菌した後、常温(25℃)で保存し1カ月後及
び3カ月後のチーズの褐変について目視で観察し、通常
のチーズの色と同じものを黄色とし、褐変しない好まし
いチーズとした。 pHの測定: 10℃で、保存1カ月後及び3カ月後のチ
ーズ 12gに、水 40gを加え、ホモジナイザー (日本精機
製作所製、AM−11) で、10000 回転/分で粉砕後、濾
過し、濾液のpHをpHメーター(pHメーターF16:
堀場製作所製)を用いて測定した。 異臭の有無: 15℃で、保存1カ月後及び3カ月後のチ
ーズについて、匂いをかぎ、異臭の有無を確認した。 以上の結果を表5に示す。
【0020】
【表5】 ───────────────────────────────── 比較例1 比較例2 本発明品1 本発明品2 ───────────────────────────────── チーズ硬さ(gf) 3510 − 3480 3600 チーズ熱溶融性(mm) 36.0 − 35.5 37.4 レトルト処理後 褐色 − 褐色 黄色 ───────────────────────────────── 保存1カ月後 やや黒ず − やや黒ず 黄色 んだ黄色 んだ黄色 3カ月後 褐色に近 − 褐色に近 黄色 い黄色 い黄色 ───────────────────────────────── pH 1カ月後 6.13 − 5.82 6.13 3カ月後 5.67 − 5.54 6.05 ───────────────────────────────── 異臭1カ月後 無し − 無し 無し 3カ月後 有り − 有り 無し ─────────────────────────────────
【0021】表5から明らかなように、本発明品1及び
本発明品2は比較例1と同等の歩留りを示し、硬さ及び
熱溶融性に関しても比較例1と同様であった。レトルト
処理及び常温保存による褐変に関しては、本発明品1は
通常の生乳と同等の乳糖含量に調整しているため褐変が
みられたが、本発明品2は褐変せず、製造時と同様の美
しい黄色の色調を呈していた。pH及び異臭に関して
は、本発明品1は、通常のチーズと同様のpHの低下及
び異臭の発生が見られたが、本発明品2は、pHの低下
及び異臭の発生がなかった。なお、味の点では、本発明
品1は、通常のチーズと同等であり、本発明品2は、本
発明品1に比べ多少マイルドな味であった。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、MPCの還元液を原料
乳としてチーズを製造することができる。従って、従来
のチーズ製造のように生乳を用いなくともチーズを製造
することができ、生乳の生産地付近に限らず遠隔地でも
チーズの生産が可能となる。また、MPCは塩類ととも
に乳糖も除去されているため、乳糖が原因となるチーズ
の保存中のpHの低下や雑菌繁殖のための異臭が防止さ
れる。さらに、レトルト処理及び常温保存による褐変を
防止したチーズを得ることができる。その上、必要に応
じて、乳糖を適宜添加することにより粉末の乳素材から
通常のチーズと同等のものを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富沢 章 埼玉県入間市豊岡5−3−33

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳タンパク質濃縮物粉末の水溶液を主原
    料乳として用いて得られるチーズ。
  2. 【請求項2】 乳タンパク質濃縮物粉末の水溶液を主原
    料乳として用い、乳糖を添加して得られるチーズ。
  3. 【請求項3】 乳タンパク質濃縮物粉末が、透析濾過膜
    及び/又は限外濾過膜処理された脱脂乳を加熱殺菌し、
    濃縮乾燥したタンパク質含量50重量%以上のものである
    請求項1又は2記載のチーズ。
  4. 【請求項4】 乳タンパク質濃縮物粉末を水に溶解し、
    必要に応じて乳糖を添加し、これを主原料乳として凝乳
    酵素と乳酸菌によってカードを生成せしめ、これを熟成
    することを特徴とする請求項1又は2記載のチーズの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 タンパク質含量が50重量%以上の乳タン
    パク質濃縮物粉末を3〜20%になるように水に溶解し、
    それに乳酸菌スターターを原料乳中1×105〜1×107
    個/gとなるように接種し、凝乳酵素 0.001〜0.02重量%
    を添加してチーズカードを生成せしめ、得られるチーズ
    カードを熟成させることを特徴とする請求項1又は2記
    載のチーズの製造方法。
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