[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍装置のうち、2系統を備えた構成を示す模式図である。図1に示すように、冷凍装置100は、圧縮機10と、圧縮機10の吐出側に接続された凝縮器20と、例えば冷媒流路の閉止機能を有する膨張弁からなり、凝縮器20に接続された複数の減圧装置30a及び30bと、複数の減圧装置30a及び30bのそれぞれに接続された複数の蒸発器41a及び41bと、を有している。蒸発器41aと蒸発器41bとは、同じ熱交換容量であり、具体的には、同じ伝熱面積を有している。また、冷凍装置100は、蒸発器41aへの冷媒の流入を防止する逆止弁50aと、蒸発器41bへの冷媒の流入を防止する逆止弁50bと、を有している。逆止弁50a及び50bは、冷媒配管の特定の場所に冷媒が溜まる現象(いわゆる寝込み)を防ぐためにも機能する。
圧縮機10と、凝縮器20と、複数の減圧装置30a及び30bと、複数の蒸発器41a及び41bと、逆止弁50a及び50bとは、冷媒配管によって順次接続された冷媒回路を構成し、冷媒配管内では、冷媒が循環するように構成されている。冷凍装置100の流路は、減圧装置30a及び30bの上流において2系統に分岐されている。すなわち、冷凍装置100は、圧縮機10及び凝縮器20の下流に、減圧装置30aと蒸発器41aと逆止弁50aとが直列に接続された流路である第1系統と、減圧装置30bと蒸発器41bと逆止弁50bとが直列に接続された流路である第2系統とを有している。図1に示す通り、第1系統を構成する減圧装置30a、蒸発器41a、及び逆止弁50aと、第2系統を構成する減圧装置30b、蒸発器41b、及び逆止弁50bとは、並列に接続されている。減圧装置30aは、冷媒を減圧して膨張させる機能及び第1系統を閉鎖して冷媒が流れないようにする機能を有し、減圧装置30bは、冷媒を減圧して膨張させる機能及び第2系統を閉鎖して冷媒が流れないようにする機能を有している。
さらに、冷凍装置100は、凝縮器20及び複数の蒸発器41a及び41bの状態を示す状態情報を検出する検出部60と、検出部60において検出された状態情報に基づいて複数の減圧装置30a及び30bを個別に全閉又は開の状態とする制御部71と、状態情報と圧縮機10の運転容量(例えば運転周波数)とを関連づけた基準テーブル(運転容量テーブル)を記憶する記憶部81を有している。検出部60は、凝縮器20の凝縮温度を状態情報として検出する凝縮温度センサ61と、複数の蒸発器41a及び41bの蒸発温度を状態情報として検出する蒸発温度センサ62a及び62bと、を有している。
制御部71は、複数の減圧装置30a及び30bのそれぞれの開度が、全閉又は開の状態となるように制御するものであり、具体的には、検出部60において検出された状態情報から複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作の基準となる開閉基準情報を特定する基準特定部71Aと、基準特定部71Aにおいて特定された開閉基準情報に応じて全閉又は開の状態にする減圧装置30a又は30bの動作を制御する開閉制御部71Bと、を有している。
記憶部81内の基準テーブルには、本実施の形態1における開閉基準情報である運転容量閾値が状態情報(凝縮温度及び蒸発温度)に関連づけられて記憶されている。すなわち、基準テーブルは、各凝縮温度及び蒸発温度による温度域に対応する運転容量閾値を有している。すなわち、基準特定部71Aは、凝縮温度センサ61において検出された凝縮温度及び蒸発温度センサ62a及び62bにおいて検出された蒸発温度を基準テーブルに照らして上記開閉基準情報としての運転容量閾値を特定するものであり、開閉制御部71Bは、基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値と圧縮機10の現在の運転容量との大小関係をもとに、複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作を制御するものである。
なお、図1のような制御部71の構成は、補助記憶装置に読み込まれた制御プログラムをマイコンもしくはコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。制御プログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされることになる。
また、開閉基準情報としての運転容量閾値は、冷媒配管を循環する冷媒の物性に応じて決定されるものである。そして、基準テーブルは、各温度域における運転容量と運転系統数との間に、ある程度の比例相関(運転容量が高いほど運転系統数を増加させるといった関係)を持たせるように設定する。ここで、運転系統数とは、減圧装置が開の状態にあり、対応する蒸発器に冷媒が流れている系統の数をいう。
凝縮温度センサ61は、凝縮器20の凝縮温度を検出し、検出した凝縮温度を基準特定部71Aに出力するものである。また、蒸発温度センサ62aと蒸発温度センサ62bとは、それぞれ、蒸発器41aと蒸発器41bとの蒸発温度を検出し、検出した蒸発温度を基準特定部71Aに出力するものである。よって、基準特定部71Aは、凝縮温度及び蒸発温度を一定時間(例えば5分)ごとに入力し、凝縮温度及び蒸発温度の経時的変化を把握することができる。
開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値未満の場合に、開の状態にある複数の減圧装置30a及び30bのうちの1つを全閉の状態にする(運転系統数を1つだけ減らす)機能を有する。また、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値未満の場合に、複数の減圧装置30a及び30bのうちで開の状態にあるものが1つであれば、複数の減圧装置30a及び30bの開閉状態を維持させる(運転系統数を維持する)機能を有する。さらに、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値以上の場合に、複数の減圧装置30a及び30bのうちで全閉の状態にあるものがあれば、全閉の状態にある減圧装置30a及び30bのうちの1つを開の状態にする(運転系統数を1つだけ増やす)機能を有する。
記憶部81には、基準テーブルとして、開閉制御部71Bが、複数の減圧装置30a及び30bのうちの1つを全閉の状態とする際に参照する閉時基準テーブルと、複数の減圧装置30a及び30bのうちの1つを開の状態とする際に参照する開時基準テーブルとが格納されている。閉時基準テーブルには、運転容量閾値として、減圧装置30a及び30bの閉動作の基準となる閉時閾値が、凝縮温度及び蒸発温度に関連づけて記憶されている。また、開時基準テーブルは、減圧装置30a及び30bの開動作の基準となる開時閾値が、凝縮温度及び蒸発温度に関連づけて記憶されている。
図2は、冷凍装置100において、制御部71が参照する基準テーブルの例を示す説明図であり、具体的には、閉時基準テーブルを例示するものである。基準テーブルは、運転系統数を変化させるべき状態にあるか否かを特定するための情報であり、図2に例示する閉時基準テーブルは、制御部71が、2系統運転から1系統運転に切り替える際の基準となる運転容量閾値を有している。例えば、蒸発温度が−13℃であり、かつ凝縮温度が38℃であれば、蒸発温度が−15℃以上−10℃未満で、かつ凝縮温度が35℃以上40℃未満の温度域であるため、基準特定部71Aは、閉時閾値として50%を読み取って開閉制御部71Bに送信する。開閉制御部71Bは、現在の運転容量が50%未満であれば、減圧装置30a又は30bのうちの1つを全閉の状態とし、2系統運転から1系統運転に切り替えるように制御する。
すなわち、基準特定部71Aは、検出部60において検出された凝縮温度及び蒸発温度が属する温度域の運転容量閾値を基準テーブルから読み取って開閉制御部71Bに送信するものである。また、開閉制御部71Bは、現在の運転容量と基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値との大小関係をもとに、運転系統数の切り替えを行うものである。
図3は、本実施の形態1に係る冷凍装置のうち、3系統を備えた構成を示す模式図である。冷凍装置100と同等の構成部材については、同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。図3に示すように、冷凍装置110の冷媒配管による流路は、減圧装置30a〜30cの上流において3系統に分岐されている。すなわち、冷凍装置110は、圧縮機10及び凝縮器20の下流側に、減圧装置30aと蒸発器41aと逆止弁50aとが直列に接続された流路である第1系統と、減圧装置30bと蒸発器41bと逆止弁50bとが直列に接続された流路である第2系統と、減圧装置30cと蒸発器41cと逆止弁50cとが直列に接続された流路である第3系統と、を有している。複数の蒸発器41a〜41cは、同じ熱交換容量を有しており、具体的には、同じ伝熱面積を有している。
冷凍装置110において、検出部60は、凝縮器20の凝縮温度を状態情報として検出する凝縮温度センサ61と、複数の蒸発器41a〜41cの蒸発温度を状態情報として検出する蒸発温度センサ62a〜62cと、を有している。記憶部81内の基準テーブルには、減圧装置30a〜30cの開閉動作の基準となる運転容量閾値が、凝縮温度及び蒸発温度に関連づけられて記憶されている。すなわち、記憶部81には、基準テーブルとして、3系統運転から2系統運転への切替基準と、2系統運転から1系統運転への切替基準とをそれぞれ格納した閉時基準テーブルと、1系統運転から2系統運転への切替基準と、2系統運転から3系統運転への切替基準とをそれぞれ格納した開時基準テーブルと、が記憶されている。
制御部71は、検出部60において検出された状態情報に基づいて、複数の減圧装置30a〜30cを個別に全閉又は開の状態とするものである。すなわち、開閉制御部71Bは、基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値と圧縮機10の現在の運転容量との大小関係をもとに複数の減圧装置30a〜30cの開閉動作を制御するものである。
開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値未満の場合に、複数の減圧装置30a〜30cのうちの1つを全閉の状態にする機能を有する。また、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値未満の場合に、複数の減圧装置30a〜30cのうちで開の状態にあるものが1つであれば、複数の減圧装置30a〜30cの開閉状態を維持させる機能を有する。さらに、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が基準特定部71Aにおいて特定された運転容量閾値以上の場合に、複数の減圧装置30a〜30cのうちで全閉の状態にあるものがあれば、全閉の状態にある減圧装置30a〜30cのうちの1つを開の状態にする機能を有する。
次に、図4を参照して、制御部71が運転状態の急変を防止するために行う減圧装置30a〜30cの開閉制御を、運転系統数の観点から説明する。図4は、冷凍装置110の制御部71による減圧装置30a〜30cの開閉制御を例示する模式図である。制御部71は、運転条件及び運転容量に応じた減圧装置30a〜30cの開閉制御により、冷媒が流れる系統数を適正化する。ここで、冷媒が流れる系統数の適正化とは、蒸発器が熱交換能力を十分に発揮することができる状態にすることを意味する。
図4に示すように、制御部71は、冷凍装置110の起動時(運転時間0分)に、複数の減圧装置30a〜30cの全てが開の状態となるように制御する。次いで、一定時間が経過した際(運転時間5分)に、制御部71は、現状の運転容量が適正であるか否かを判定する。ここで、図4では、実際の運転系統数が3であり、適正な運転系統数1とは異なるため、制御部71は、複数の減圧装置30a〜30cのうちで、開の状態にある1つを全閉の状態とする。すなわち、実際の運転系統数が適正な運転系統数より2以上大きい場合でも、制御部71は、2以上の減圧装置を全閉の状態とはせずに、1つの減圧装置だけを全閉の状態とする。
続いて、図4では、一定時間が経過した際(運転時間10分)に、実際の運転系統数が2であり、適正な運転系統数1とは異なるため、制御部71は、複数の減圧装置30a〜30cのうちで、開の状態にある1つを全閉の状態とする。
次いで、図4では、一定時間が経過した際(運転時間15分)に、実際の運転系統数が1であり、適正な運転系統数3とは異なるため、制御部71は、複数の減圧装置30a〜30cのうちで、全閉の状態にある1つを開の状態とする。すなわち、制御部71は、実際の運転系統数が適正な運転系統数より2以上小さい場合でも、2以上の減圧装置を開の状態とはせずに、1つの減圧装置だけを開の状態とする。
続いて、図4では、一定時間が経過した際(運転時間20分)に、実際の運転系統数が2であり、適正な運転系統数3とは異なるため、制御部71は、複数の減圧装置30a〜30cのうちで、全閉の状態にある1つを開の状態とする。
上記の通り、制御部71は、実際の運転系統数と適正な運転系統数との間に2以上の開きがある場合でも、1つの減圧装置だけを全閉又は開の状態とし、かかる状態を一定時間が経過するまで維持するように制御する。また、圧縮機10の運転容量そのものの変化に起因して、検出部60から出力される各検出値が変化し、適正な運転容量が変化した場合でも、一定時間が経過するまでは、現状の系統数を維持するように構成されている。このため、冷凍装置110の運転状態の急変を防止することができ、冷凍装置110の安定的な動作を実現することができる。すなわち、制御部71による上記制御により、運転系統数の急激な変化を抑制し、運転系統数の変化に伴って発生する運転状態の変化を緩和することができる。このため、運転状態の急変によるブライン温度、低圧圧力、冷媒の吐出温度、及び運転容量の急激な変化を防ぐことができる。
そして、本実施の形態1における冷凍装置100及び110は、上記の通り、圧縮機10及び凝縮器20の下流に、減圧装置及び蒸発器が複数設けられており、制御部71による複数の減圧装置の開閉制御により、冷媒が流れる蒸発器の数を自在に変更することができる。このため、より低冷媒流量となる領域においても、冷媒の流速を確保することができ、効率のよい低容量運転を実現することができる。
上記構成例では、制御部71が、運転容量閾値と現在の運転容量とを比較して、複数の減圧装置の開閉制御を実行する構成例を説明している。しかし、基準特定部71Aが、基準テーブルから適正な運転系統数を開閉基準情報として導出し、開閉制御部71Bが、基準特定部71Aにおいて導出された適正な運転系統数と現在の運転系統数とを比較して、当該比較の結果に応じて複数の減圧装置の開閉制御を実行するようにしてもよい。また、記憶部81に、状態情報と適正な運転系統数とを関連づけた他の基準テーブルを格納しておき、基準特定部71Aが、当該他の基準テーブルを参照して開閉基準情報としての適正な運転系統数を導出するようにしてもよい。現在の運転系統数は、開閉制御部71Bが、各減圧装置30a及び30bが全閉となっているか否かを検出することにより求めるという構成を採るとよい。
なお、本実施の形態1では、検出部60として、凝縮温度センサ61と蒸発温度センサ62a及び62bとを例示しているが、これに限定されず、凝縮温度又は蒸発温度に関連づけが可能な種々の情報を検出する他のセンサ等を採用してもよい。すなわち、検出部60として、例えば、圧縮機10の吸込み口に設ける低圧用圧力センサ(図示せず)と、圧縮機10の吐出し口に設ける高圧用圧力センサ(図示せず)とを採用してもよい。そして、記憶部81に、各低圧圧力及び高圧圧力による圧力域に対応する運転容量閾値を記憶する別の基準テーブルを格納しておき、基準特定部71Aが、当該別の基準テーブルを参照して運転容量閾値を特定するようにしてもよい。なお、運転容量閾値は、冷媒配管を循環する冷媒の物性に応じて決定される。
次に、図5を参照して、冷凍装置100及び110の動作を説明する。図5は、冷凍装置100及び110の動作を示すフローチャートである。冷凍装置100及び110の動作は同様であるため、以下では、3系統を備えた冷凍装置110の動作を中心に説明する。
まず、冷凍装置110の起動時において、開閉制御部71Bは、全ての減圧装置30a〜30cを開の状態とする。すなわち、冷凍装置110は、減圧装置30a〜30cの全てを開にして運転を開始する(図5:ステップS101)。次いで、基準特定部71Aは、凝縮温度センサ61の検出値である凝縮温度と、蒸発温度センサ62a〜62cの検出値である蒸発温度とを入力する(図5:ステップS102)。次に、基準特定部71Aは、凝縮温度センサ61において検出された凝縮温度と、蒸発温度センサ62a〜62cにおいて検出された蒸発温度とを、記憶部81に記憶されている閉時基準テーブルに照らして、閉時閾値を読み取る(図5:ステップS103)。
続いて、開閉制御部71Bは、現在の運転容量と基準特定部71Aにおいて読み取られた閉時閾値とを比較する(図5:ステップS104)。開閉制御部71Bは、現在の運転容量が閉時閾値以上の場合(図5:ステップS104/No)、減圧装置30a〜30cを開の状態で維持させる。すなわち、冷凍装置110は、現状の運転系統数での運転を続行する(図5:ステップS105)。そして、一定時間(例えば5分)経過後に、制御部71は、ステップS102以降の動作を実行する。
一方、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が閉時閾値未満である場合(図5:ステップS104/Yes)、減圧装置30a〜30cのうちの1つを全閉の状態とすることで、一系統を閉鎖する(図5:ステップS106)。
前回の処理(ステップS102〜S106)から一定時間(例えば5分)が経過すると、基準特定部71Aは、凝縮温度センサ61と蒸発温度センサ62a〜62cとから凝縮温度と蒸発温度とを入力し(図5:ステップS107)、入力した凝縮温度及び蒸発温度を開時基準テーブルに照らして開時閾値を読み取る(図5:ステップS108)。
そして、開閉制御部71Bは、現在の運転容量と基準特定部71Aによって読み取られた開時閾値とを比較して(図5:ステップS109)、現在の運転容量が開時閾値以上である場合に(図5:ステップS109/Yes)、全閉の状態にある減圧装置30a〜30cのうちの1つを開の状態とすることで、一系統を開放する(図5:ステップS110)。そして、制御部71は、一定時間(例えば5分)経過後に、ステップS102以降の動作を実行する。
一方、開閉制御部71Bは、現在の運転容量が開時閾値未満である場合に(図5:ステップS109/No)、基準特定部71Aは、上記ステップS107において入力した凝縮温度及び蒸発温度を閉時基準テーブルに照らして閉時閾値を読み取る(図5:ステップS111)。そして、開閉制御部71Bは、現在の運転容量と基準特定部71Aによって読み取られた閉時閾値とを比較して(図5:ステップS112)、現在の運転容量が閉時閾値以上である場合には(図5:ステップS112/No)、減圧装置30a〜30cの現在の開閉状態を維持させる。すなわち、冷凍装置110は、現状の運転系統数での運転を続行する(図5:ステップS113)。そして、一定時間(例えば5分)が経過した際に、制御部71は、ステップS107以降の動作を実行する。
また、現在の運転容量が閉時閾値未満である場合に(図5:ステップS112/Yes)、開閉制御部71Bは、減圧装置30a〜30cが開の状態にある系統数が1つ(運転系統数=1)であるか否かを判定する(図5:ステップS114)。開閉制御部71Bは、減圧装置30a〜30cが開の状態にある系統数が1つであると判定した場合(図5:ステップS114/Yes)、減圧装置30a〜30cの現在の開閉状態を維持させる。すなわち、冷凍装置110は、現状の運転系統数での運転を続行する(図5:ステップS113)。そして、一定時間が経過した際に、制御部71は、ステップS107以降の動作を実行する。
これに対し、開閉制御部71Bは、減圧装置30a〜30cが開の状態にある系統数が1つではないと判定した場合(図5:ステップS114/No)、開の状態にある減圧装置30a〜30cのうちの1つを全閉の状態とすることで、一系統を閉鎖する(図5:ステップS115)。そして、一定時間が経過した際に、制御部71は、ステップS107以降の動作を実行する。
すなわち、制御部71は、一定時間ごとに、凝縮温度センサ61と複数の蒸発温度センサ62a〜62cとから取得した凝縮温度と蒸発温度とを基準テーブルに照らして運転容量閾値を特定すると共に、現在の運転容量と運転容量閾値との大小関係に基づいて減圧装置30a〜30cの開閉制御を継続的に実行する。
ところで、冷凍装置100の動作についても、上記において説明した冷凍装置110の動作と同様であるが、図1に示す冷凍装置100の場合、図5のステップS112では、減圧装置30a又は30bの何れか一方が全閉の状態にあり、運転系統数は1である。したがって、2系統を備えた冷凍装置100の場合には、現在の運転容量が開時閾値未満の場合に(図5:ステップS109/No)、開閉制御部71Bが、減圧装置30a及び30bの一方が開で他方が全閉という現状を維持する(ステップS113に移行する)ように制御してもよい。
以上のように、本実施の形態1の冷凍装置100及び110は、凝縮器20以降の流路を分岐させた各系統に、閉止機能を有する減圧装置及び蒸発器を配置するという構成を採っている。そして、制御部71が、凝縮器20及び複数の蒸発器の状態を示す状態情報に基づいて複数の減圧装置の開閉動作を制御するように構成されているため、冷凍装置100及び110によれば、運転条件に応じて必要となる蒸発器の伝熱面積を確保することができ、冷媒流量が不足する領域での冷媒の流速を確保すると共に、冷凍能力の低下を抑制することができる。また、冷媒流量が不足する領域においても、ユニットの構成等を変更することなく、安定した運転を実現することができる。
さらに、本実施の形態1において、制御部71は、実際の運転系統数と適正な運転系統数との間に2以上の開きがある場合でも、1つの減圧装置だけを全閉又は開の状態とし、かかる状態を一定時間が経過するまで維持するように制御するように構成されている。したがって、冷凍装置100及び110によれば、運転状態の急変を防止することができるため、運転状態の急変によるブライン温度、低圧圧力、冷媒の吐出温度、及び運転容量の急激な変化を防ぐことができる。
なお、上記においては、2系統を備えた冷凍装置100と、3系統を備えた冷凍装置110とを例示して説明を行ったが、本実施の形態1の冷凍装置は、2系統以上の任意の数の系統を備えていてもよい。すなわち、蒸発器と減圧装置とを有する系統が、2以上の任意の数だけ設けられた冷凍装置であってよく、記憶部81には、採用した系統数に対応づけた複数の基準テーブルを格納しておくようにしてもよい。また、上記の説明では、基準テーブルとして、系統数の増加制御に対応する一又は複数の開時基準テーブルと、系統数の減少制御に対応する一又は複数の閉時基準テーブルとを採用した例を示している。しかし、記憶部81には、基準テーブルとして、系統数の増加制御及び減少制御の双方に対応する一又は複数の両時基準テーブルを記憶しておくようにしてもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る冷凍装置を図6〜図14に基づいて説明する。本実施の形態2に係る冷凍装置は、複数の蒸発器のサイズ(熱交換容量)が相互に異なる点に特徴がある。前述した実施の形態1と同一の構成部材については、同一の符号を用いて説明を省略する。
図6は、本実施の形態2に係る冷凍装置120の概略構成を示す模式図である。図6に示すように、冷凍装置120は、圧縮機10と、凝縮器20と、複数の減圧装置30a及び30bと、複数の蒸発器42a及び42bと、逆止弁50a及び逆止弁50bと、を有している。蒸発器42aの伝熱面積は、蒸発器42bの伝熱面積よりも大きくなっている。本実施の形態2では、蒸発器42bが、蒸発器42aの2倍の伝熱面積を有する例について説明する。
冷凍装置120の流路には、減圧装置30aと蒸発器42aと逆止弁50aとが直列に接続された流路である第1系統と、減圧装置30bと蒸発器42bと逆止弁50bとが直列に接続された流路である第2系統とが形成されている。また、冷凍装置110の検出部60は、凝縮温度センサ61と、複数の蒸発器42a及び42bの蒸発温度を状態情報として検出する蒸発温度センサ62a及び62bと、を有している。さらに、冷凍装置110は、状態情報に基づいて複数の減圧装置30a及び30bの動作を制御する制御部72と、状態情報と蒸発器容量とを関連づけた容量テーブル(蒸発器容量テーブル)を記憶する記憶部82を有している。
記憶部82には、容量テーブルとして、圧縮機10の最大運転容量時(最大運転周波数時)における適正な蒸発器容量を示す最大容量テーブルと、圧縮機10の最小運転容量時(最小運転周波数時)における適正な蒸発器容量を示す最小容量テーブルとが記憶されている。図7は、冷凍装置120において、制御部72が参照する最大容量テーブルを例示する説明図である。図8は、冷凍装置120において、制御部72が参照する最小容量テーブルを例示する説明図である。
より具体的に、最大容量テーブルは、各凝縮温度及び蒸発温度による温度域に対応する圧縮機10の最大運転容量時の適正な蒸発器容量を記憶するものである。また、最小容量テーブルは、各凝縮温度及び蒸発温度による温度域における圧縮機10の最小運転容量時の適正な蒸発器容量を記憶するものである。すなわち、容量テーブルは、最大運転容量時及び最小運転容量時における適正な蒸発器容量を記憶するものである。
また、記憶部82には、複数の蒸発器41a及び41bの組み合わせによって段階的に形成される複数の蒸発器容量が、複数の減圧装置30a及び30bの開閉状態(流路パターン)に関連づけられた開閉状態特定データが記憶されている。開閉状態特定データ内の複数の蒸発器容量は、制御部72による複数の減圧装置30a及び30bの開閉制御にて実現可能な複数の蒸発器容量である。
制御部72は、検出部60において検出された状態情報から複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作の基準となる開閉基準情報を特定する基準特定部72Aと、基準特定部71Aにおいて特定された開閉基準情報に応じて全閉又は開の状態にする減圧装置30a又は30bの動作を制御する開閉制御部71Bと、を有している。基準特定部72Aは、検出部60において検出された状態情報を容量テーブルに照らして適正な蒸発器容量を求めると共に、複数の蒸発器41a及び41bの組み合わせによって段階的に形成される複数の蒸発器容量の中から、求めた適正な蒸発器容量に近いものを、上記開閉基準情報である基準蒸発器容量として特定するものである。また、開閉制御部72Bは、基準特定部72Aにおいて特定された上記開閉基準情報である基準蒸発器容量をもとに、複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作を制御するものである。
より具体的に、基準特定部72Aは、圧縮機10の最大運転容量時及び最小運転容量時における適正な蒸発器容量を読み取ると共に、読み取った最大運転容量時及び最小運転容量時における適正な蒸発器容量をもとに、例えば容量比での内挿によって現在の圧縮機10の運転容量に応じた適正な蒸発器容量を算出する機能を有している。そして、基準特定部72Aは、開閉状態特定データの各蒸発器容量を参照し、上記により算出した適正な蒸発器容量に最も近い基準蒸発器容量を特定するものである。また、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量と基準蒸発器容量とが一致するか否かを判定する機能を有している。これにより、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量、すなわち、現在の流路パターンが適正であるか否かを判定する。
開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量と基準蒸発器容量とが一致すると判定した場合に、複数の減圧装置30a及び30bの現在の開閉状態を維持させる機能を有する。また、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも大きい場合に、複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作を制御して蒸発器容量を一段階だけ減らす機能を有する。さらに、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも小さい場合に、複数の減圧装置30a及び30bの開閉動作を制御して蒸発器容量を一段階だけ増やす機能を有する。
また、開閉制御部72Bは、現在の運転系統数と、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量に関連づけられた運転系統数とを比較し、当該比較の結果に応じて複数の減圧装置30a及び30bの開閉制御を行うようにしてもよい。すなわち、開閉制御部72Bは、現在の運転系統数が適正な運転系統数よりも大きい場合に、蒸発器容量を一段階だけ減らす制御を行うようにしてもよい。また、開閉制御部72Bは、現在の運転系統数が適正な運転系統数よりも小さい場合に、蒸発器容量を一段階だけ増やす制御を実行するようにしてもよい。かかる構成の場合、適正な運転系統数は、基準蒸発器容量に関連づけて記憶部82内に記憶させておく。また、現在の運転系統数は、制御部71が、各減圧装置30a及び30bが全閉となっているか否かを検出することにより求めるという構成を採るとよい。
なお、本実施の形態2では、圧縮機10の最小運転容量時における適正な蒸発器容量が、基準蒸発器容量の最低値であり、図8にも示すように、最小運転容量時における適正な蒸発器容量は0%にはならない。このため、開閉制御部72Bは、前述した実施の形態1で採用したような、少なくとも一つの系統を開放している状態を維持するという制御を実行しない構成となっている。また、開閉制御部72Bは、開閉状態特定データを参照して、基準蒸発器容量に応じた流路パターンと、現在の蒸発器容量に応じた流路パターンとを導出し、導出した流路パターン同士を比較することにより、閉鎖又は開放する系統を決定するようにしてもよい。
図6のように、2台の蒸発器42a及び42bを有する2系統を備えた冷凍装置120では、開閉制御部72Bが、減圧装置30a及び30bの開閉制御を行うことにより、減圧装置30a及び30bの双方が開の状態にある場合、減圧装置30aが全閉の状態で減圧装置30bが開の状態である場合、減圧装置30aが開の状態で減圧装置30bが全閉の状態である場合、減圧装置30a及び30bの双方が全閉の状態にある場合の4通りの流路パターンが形成される。したがって、冷凍装置120によれば、減圧装置30aに接続された蒸発器42aと、減圧装置30bに接続された蒸発器42bとの組み合わせによる4通りの熱交換容量(伝熱面積)を実現することができる。
ここで、図9を参照して、運転状態の急変を防止するために本実施の形態2で採用した減圧装置30a及び30bの開閉制御を説明する。図9は、冷凍装置120の制御部72による減圧装置30a及び30bの開閉制御を例示する模式図である。以下では、簡単のために、減圧装置30a及び30bの双方が開の状態は蒸発器容量100%に対応し、減圧装置30aが全閉の状態で減圧装置30bが開の状態は蒸発器容量66%に対応し、減圧装置30aが開の状態で減圧装置30bが全閉の状態は蒸発器容量33%に対応するものとして説明する。図9に示すように、制御部72は、冷凍装置120の起動時(運転時間0分)に、全ての減圧装置である複数の減圧装置30a及び30bが開の状態となるように制御する。
次いで、一定時間が経過した際(運転時間5分)に、開閉制御部72Bは、現状の運転容量が適正であるか否かを判定する。本実施の形態2では、現状の運転容量が適正であるか否かの判定として、実際の蒸発器容量が基準蒸発器容量であるか否か(現在の流路パターンが適正な流路パターンであるか否か)の判定を行う。ここで、図9では、実際の蒸発器容量が100%(減圧装置30a及び30bの双方が開の状態)であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が33%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30aを全閉の状態にする。すなわち、実際の蒸発器容量と基準蒸発器容量との間に2段階以上の開きがある場合でも、開閉制御部72Bは、減圧装置30bを全閉の状態とする(実際の蒸発器容量を33%とする)制御を行わずに、適正な蒸発器容量に一段階だけ近づける制御を実行する。
続いて、図9では、一定時間が経過した際(運転時間10分)に、実際の蒸発器容量が66%(減圧装置30aが全閉の状態で減圧装置30bが開の状態)であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が33%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30aを開の状態にすると共に、減圧装置30bを全閉の状態にする。
次いで、図9では、一定時間が経過した際(運転時間15分)に、実際の蒸発器容量が33%(減圧装置30aが開の状態で減圧装置30bが全閉の状態)であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が33%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30a及び30bの現在の開閉状態を維持させる。
続いて、図9では、一定時間が経過した際(運転時間20分)に、実際の蒸発器容量が33%であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が100%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30aを開の状態にすると共に、減圧装置30bを全閉の状態にする。すなわち、実際の蒸発器容量と基準蒸発器容量との間に2段階以上の開きがある場合でも、開閉制御部72Bは、減圧装置30a及び30bの双方を開の状態とする(実際の蒸発器容量を100%とする)制御を行わずに、適正な蒸発器容量に一段階だけ近づける制御を実行する。
次いで、図9では、一定時間が経過した際(運転時間25分)に、実際の蒸発器容量が66%であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が100%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30bを開の状態にする。さらに、図9では、一定時間が経過した際(運転時間30分)に、実際の蒸発器容量が100%であり、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量が100%であるため、開閉制御部72Bは、減圧装置30a及び30bの現在の開閉状態を維持させる。
以上のように、冷凍装置120において、制御部72は、実際の蒸発器容量と基準蒸発器容量(開閉基準情報)との間に2段階以上の開きがある場合でも、減圧装置30a及び30bの開閉制御を一段階分だけ行い、当該制御後の減圧装置30a及び30bの開閉状態を一定時間が経過するまで維持するように構成されている。また、圧縮機10の運転容量そのものの変化に起因して、検出部60から出力される各検出値が変化し、適正な蒸発器容量が変化した場合でも、一定時間が経過するまでは、減圧装置30a及び30bの現在の開閉状態を維持するように構成されている。このため、冷凍装置120の運転状態の急変を防止することができ、冷凍装置120の安定的な動作を実現することができる。
すなわち、制御部72による上記制御により、運転系統数の急激な変化を抑制し、運転系統数の変化に伴って発生する運転状態の変化を緩和することができる。このため、運転状態の急変によるブライン温度、低圧圧力、冷媒の吐出温度、及び運転容量の急激な変化を防ぐことができる。
ところで、図6では、2台の蒸発器42a及び42bを有する構成を例示しているが、2台以上の任意の台数の蒸発器を設けるようにしてもよい。そして、各蒸発器のサイズ比については、各蒸発器の伝熱面積が、最も小さい蒸発器の伝熱面積のN倍(N=1、2、3・・・)となるように設定することが望ましい。
ここで、図10〜図13を参照して、3台以上の蒸発器を有する場合の流路パターンについて説明する。図10は、本実施の形態2に係る冷凍装置を構成する、熱交換容量の異なる3台の蒸発器を示す概略図である。図11は、図10の3台の蒸発器の組み合わせと伝熱面積の総和との関係を示す表である。蒸発器42a〜42cは、図10の括弧内に示すように、伝熱面積の比が「1:2:3」となるように構成されている。図示はしていないが、図6の場合と同様に、蒸発器42a〜42cには、それぞれ、減圧装置が直列接続されている。図11では、各蒸発器42a〜42cに対応する減圧装置が開の状態にある場合を「○」、全閉の状態にある場合を「×」として、蒸発器42a〜42cの欄に表記している。また、図11では、最も小さい蒸発器42aの伝熱面積を便宜的に1とし、各蒸発器42a〜42cに対応する減圧装置の開閉状態に応じて変化する伝熱面積の総和を1〜6の数字で示している。
すなわち、図10のような3つの蒸発器42a〜42cを有する冷凍装置では、開閉制御部72Bが各減圧装置の開閉制御を行うことで、図11に示すように、7通りの流路パターンを形成することができ(減圧装置が全て全閉の状態を除く)、3つの蒸発器42a〜42cによって伝熱面積の異なる6通りの蒸発器容量を形成することができる。なお、厳密には、蒸発器42cに対応する減圧装置のみが開の状態における伝熱面積と、蒸発器42cに対応する減圧装置のみが全閉の状態における伝熱面積とは異なることが想定される。このため、開閉制御部72Bは、伝熱面積が3となるように各減圧装置の開閉制御を行う場合に、何れか1つの流路パターンのみを形成するようにしてもよい。また、より細かな容量分けのために、開閉制御部72Bが、伝熱面積が3となる2つの流路パターンを適宜使い分けるようにしてもよい。
図12は、本実施の形態2に係る冷凍装置を構成する、熱交換容量の異なる4台の蒸発器を示す概略図である。図13は、図12の4台の蒸発器の組み合わせと伝熱面積の総和との関係を示す表である。蒸発器42a〜42dは、図13の括弧内に示すように、伝熱面積の比が「1:2:3:4」となるように構成されている。図示はしていないが、図6の場合と同様に、蒸発器42a〜42dには、それぞれ、減圧装置が直列接続されており、図13では、各蒸発器42a〜42dに対応する減圧装置が開の状態にある場合を「○」、全閉の状態にある場合を「×」として、蒸発器42a〜42dの欄に表記している。表記している。また、図13においても便宜上、最も小さい蒸発器42aの伝熱面積を1とし、各蒸発器42a〜42dに対応する減圧装置の開閉状態に応じて変化する伝熱面積の総和を1〜10の数字で示している。
すなわち、図12のような4つの蒸発器42a〜42dを有する冷凍装置では、開閉制御部72Bが各減圧装置の開閉制御を行うことで、図13に示すように、15通りの流路パターンを形成することができ(減圧装置が全て全閉の状態を除く)、4つの蒸発器42a〜42dの伝熱面積の違いによって、10通りの蒸発器容量を形成することができる。なお、図13での表記上の伝熱面積が同一の場合であっても、流路パターンが異なれば、実際の伝熱面積は異なることが想定される。このため、伝熱面積が同一となる複数の流路パターンがある場合、開閉制御部72Bは、何れか1つの流路パターンのみを形成するようにしてもよい。また、開閉制御部72Bは、より細かな容量分けを実現するために、伝熱面積が同一となる2つの流路パターンを適宜使い分けるように構成してもよい。
次に、冷凍装置120の動作について、図14を参照して説明する。図14は、冷凍装置110の動作を示すフローチャートである。まず、冷凍装置120の起動時において、開閉制御部72Bは、減圧装置30a及び30bの双方を開の状態とする。すなわち、冷凍装置120は、全ての減圧装置である減圧装置30a及び30bが開の状態で運転を開始する(図14:ステップS201)。
次いで、基準特定部72Aは、凝縮温度センサ61の検出値である凝縮温度と、蒸発温度センサ62a及び62bの検出値である蒸発温度とを入力すると共に(図14:ステップS202)、入力した凝縮温度及び凝縮温度を容量テーブルに照らして、圧縮機10の最大運転容量時及び最小運転容量時における適正な蒸発器容量を読み取る(図14:ステップS203)。次に、基準特定部72Aは、読み取った最大運転容量時及び最小運転容量時における適正な蒸発器容量をもとに、例えば容量比を用いた内挿法によって、現在の圧縮機10の運転容量における適正な蒸発器容量を算出する(図14:ステップS204)。
続いて、基準特定部72Aは、開閉状態特定データに段階的に記憶された複数の蒸発器容量を参照し、算出した適正な蒸発器容量に最も近い蒸発器容量を基準蒸発器容量として特定する(図14:ステップS205)。次に、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量と基準蒸発器容量とが一致するか否かを判定する(図14:ステップS206)。
開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量と基準蒸発器容量とが一致すると判定した場合に(図14:ステップS206/Yes)、複数の減圧装置30a及び30bの現在の開閉状態を維持させる。すなわち、冷凍装置120は、現状での運転を続行する(図14:ステップS207)。そして、一定時間(例えば5分)経過後に、制御部72は、ステップS202以降の動作を実行する。
一方、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量とは異なる場合に(図14:ステップS206/No)、減圧装置30a及び30bの開閉動作を制御することで、蒸発器容量を適正化する。より具体的に、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも大きい場合に、蒸発器容量を一段階だけ減らす制御を実行し、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも小さい場合に、蒸発器容量の一段階だけ増やす制御を実行する(図14:ステップS208)。
すなわち、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも一段階以上大きい場合には、複数の減圧装置30a及び30bによる伝熱面積が一段階だけ小さくなるように、複数の減圧装置30a及び30bの開閉制御を実行する。また、開閉制御部72Bは、現在の蒸発器容量が基準蒸発器容量よりも一段階以上小さい場合には、複数の減圧装置30a及び30bによる伝熱面積が一段階だけ大きくなるように、複数の減圧装置30a及び30bの開閉制御を実行する(図14:ステップS208)。そして、一定時間(例えば5分)経過後に、制御部72は、ステップS202以降の動作を実行する。
以上のように、本実施の形態2における冷凍装置は、凝縮器20以降の流路を分岐させた各系統に、閉止機能を有する減圧装置及び蒸発器を配置し、制御部72が、検出部60において検出された状態情報に基づいて複数の減圧装置の動作を制御するため、運転条件に応じて必要となる蒸発器の伝熱面積を確保することができ、冷媒流量が不足する領域での冷媒の流速を確保すると共に、冷凍能力の低下を抑制することができる。さらに、本実施の形態2における冷凍装置は、異なるサイズの蒸発器を複数台有しているため、制御部72が、複数の蒸発器容量を段階的に形成することができる。すなわち、本実施の形態2における冷凍装置によれば、少ない台数の蒸発器を搭載する場合であっても、細かい容量分けを行うことができ、冷媒系統の適正化の精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態2においても、検出部60として、例えば、圧縮機10の吸込み口に設ける低圧用圧力センサと、圧縮機10の吐出し口に設ける高圧用圧力センサとを採用してもよい。そして、記憶部82に、各低圧圧力及び高圧圧力による圧力域に対応する圧縮機10の複数の運転容量時における適正な蒸発器容量を記憶する別の容量テーブルを格納しておき、基準特定部72Aが、当該別の基準テーブルを参照して基準蒸発器容量を特定するようにしてもよい。また、本実施の形態2の冷凍装置の構成として、同サイズである複数の蒸発器を適用してもよく、例えば「1:1:2」といった具合に、同サイズの蒸発器と異なるサイズの蒸発器とを組み合わせて適用するようにしてもよい。さらに、基準特定部72Aが参照する容量テーブルは、圧縮機10の最大運転容量時及び最小運転容量時に対応するものに限定されず、例えば2つの異なる運転容量時に対応する最適な蒸発器容量を示すものであってよい。
[実施の形態3]
次に、図15及び図16を参照して、本実施の形態3に係る冷凍装置の構成を説明する。本実施の形態3では、閉止機能を有しない複数の減圧部を採用し、各減圧部の上流に、例えば電磁弁からなる流路閉止部を設けた点に特徴がある。すなわち、本実施の形態3の冷凍装置は、各系統の開閉を、例えば膨張弁からなる減圧部には依存せずに実現するという構成を採っている。前述した実施の形態1及び2と同一の構成部材については、同一の符号を用いて説明を省略する。
図15は、本実施の形態3に係る冷凍装置のうち、同じ熱交換容量である複数の蒸発器を採用した構成を例示する模式図である。冷凍装置130は、圧縮機10及び凝縮器20の下流側に、減圧装置31a、蒸発器41a、及び逆止弁50aが直列接続された流路である第1系統と、減圧装置31b、蒸発器41b、及び逆止弁50bが直列接続された流路である第2系統とを有している。減圧装置31aは、冷媒を減圧させる減圧部90aと、減圧部90aの上流に配置された流路閉止部91aと、を有している。減圧装置31bは、冷媒を減圧させる減圧部90bと、減圧部90bの上流に配置された流路閉止部91bと、を有している。
制御部73は、検出部60から入力された状態情報に基づいて、複数の減圧部90a及び90bの開閉動作と、流路閉止部91a及び91bの開閉動作とを制御するものである。上述した通り、減圧部90a及び90bは、冷媒を閉止する機能を有しておらず、全閉の状態とはならない。したがって、開閉制御部73Bは、基準特定部71Aによって特定された基準蒸発器容量としての運転容量閾値と、圧縮機10の現在の運転容量との大小関係をもとに、第1系統又は第2系統の何れかを閉鎖する(全閉の状態にする)場合には、流路閉止部91a又は流路閉止部91bを閉じる制御を行う。
図16は、本実施の形態3に係る冷凍装置のうち、異なる熱交換容量である複数の蒸発器を採用した構成を例示する模式図である。冷凍装置140は、圧縮機10及び凝縮器20の下流側に、減圧部90aと流路閉止部91aと有する減圧装置31a、蒸発器42a、及び逆止弁50aが直列接続された流路である第1系統と、減圧部90bと流路閉止部91bと有する減圧装置31b、蒸発器42b、及び逆止弁50bが直列接続された流路である第2系統とを有している。すなわち、図15に示す冷凍装置130との相違は、蒸発器の熱交換容量が相互に異なる点にある。
制御部74は、検出部60から入力された状態情報に基づいて、複数の減圧部90a及び90bの開閉動作と、流路閉止部91a及び91bの開閉動作とを制御するものである。開閉制御部74Bは、基準特定部72Aにおいて特定された基準蒸発器容量をもとに、第1系統又は第2系統の何れかを閉鎖する(全閉の状態にする)場合には、流路閉止部91a又は流路閉止部91bを閉じる制御を行う。
上記のように構成された冷凍装置130及び140によれば、減圧部90a又は90bの開度が全閉の状態ではなくても、流路閉止部91a又は流路閉止部91bを閉じることにより、各系統の閉鎖を実現することができる。したがって、冷凍装置130及び140によれば、第1系統又は第2系統の何れかが閉鎖された状態においても、複数の減圧部90a又は90bの開度を、全閉ではない状態で維持することができる。すなわち、冷凍装置130及び140は、複数の減圧部90a又は90bの開度を全閉としない構成を採っているため、例えば膨張弁からなる減圧部を全閉から開にする際に生じる液ショックを抑制することができる。
また、本実施の形態3では、複数の減圧部90a又は90bの開度を全閉ではない状態で維持する構成を採用したため、開閉制御部73B又は開閉制御部74Bが、各系統の何れかを開放する状況下において、複数の減圧部90a又は90bの開度を、より早く現在の運転条件に見合った開度へと調整することができる。本実施の形態3では、流路閉止部の例として電磁弁を示したが、これに限定されず、流路閉止部としては、手動による閉止が可能な弁等を採用してもよい。また、制御部73又は制御部74は、流路閉止部91a及び91bの開閉動作を制御し、複数の減圧部90a及び90bの動作制御を行わないように構成してもよい。もっとも、減圧部90a及び90bとしては、閉止機能を有する膨張弁等を採用してもよい。
なお、上述した各実施の形態は、冷凍装置における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。例えば、各実施の形態に係る冷凍装置が、2以上の任意の数の蒸発器及び減圧装置を有する構成とし、制御部が、状態情報に基づいて任意の数の減圧装置の動作制御を実行するようにしてもよい。すなわち、各実施の形態の冷凍装置は、2系統以上の任意の数の系統を備えていてもよい。また、図1、図3、図6、図15、図16では、複数の蒸発器の各々に直列接続された複数の逆止弁を有する構成を例示したが、冷凍装置100、110、120、130、140は、各系統に逆止弁を設けない構成としてもよい。さらに、上記実施の形態2又は4では、複数の蒸発器の伝熱面積が、最も小さい蒸発器の伝熱面積のN倍(N=1、2、3・・・)となるように設定する例を説明したが、複数の蒸発器の伝熱面積が、最も小さい蒸発器の伝熱面積の2n倍(n=0、1、2、3・・・)となるように設定してもよい。すなわち、複数の蒸発器の伝熱面積の比が「1:2:22:23:・・・・」となるように設定してもよい。また、上記各実施の形態では、各制御部が、複数の減圧装置の開閉制御を、一定時間ごとに一段階(一系統)ずつ行う構成を説明したが、各制御部は、2段階(2系統)以上の開閉制御を行うように構成してもよい。すなわち、例えば実施の形態1の構成では、現在の運転容量と運転容量閾値との差分に応じて、開閉する系統数を変更するようにしてもよい。