以下、本発明に係る冷凍装置の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍装置を示す構成図である。同図に示される冷凍装置1は、冷凍サイクル装置1aと制御装置8を備えている。
すなわち、この冷凍サイクル装置1aは、圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4、及びプレート式熱交換器5が冷媒配管により順次に接続されて構成されている。圧縮機2に接続されている冷媒配管の吸込側には、温度検出器6、圧力検出器7がそれぞれ備えられている。温度検出器6及び圧力検出器7で検出された検出結果は後に詳細に説明される制御装置8に入力される。
次に、冷凍サイクル装置1aの冷媒の流れについて説明する。圧縮機2から吐出された高温かつ高圧の冷媒は、凝縮器3にて凝縮された後、膨張弁4により減圧されて低温かつ低圧の冷媒となり、プレート式熱交換器5へ流入される。そして、低温かつ低圧の冷媒は、プレート式熱交換器5を流通する被冷却流体と熱交換されることにより蒸発した冷媒となり、圧縮機2へ戻される。このようにして一連の冷凍サイクルが形成されている。ここで、図1に示されるように、符号のない矢印により冷媒の流れが示されている。
次に、冷凍サイクル装置1aの各構成について説明する。
圧縮機2は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、例えば、インバータにより制御されるモータ(図示せず)によって駆動される容積式圧縮機である。なお、圧縮機2は容積式圧縮機に限定されず、例えば、遠心式圧縮機であってもよい。そして、圧縮機2の運転容量の制御においても、インバータによる制御に限定されず、例えば、多気筒圧縮機のようなアンローダによって圧縮機の吸込み弁を開放することにより、作動気筒数を減らし、それにより容量を段階的に変えられるようにしてもよい。また、スクリュー圧縮機のように、スライド弁により、ある範囲内において無段階で容量を制御するようにしてもよい。また、圧縮機の台数においても1台に限定するものではなく、例えば、2台以上の圧縮機が並列若しくは直列に接続されるような構成であってもよい。
凝縮器3は、圧縮機2で圧縮された高温かつ高圧の冷媒を水若しくは空気で冷やすことにより凝縮させた高温かつ高圧の冷媒にする熱交換器であり、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。なお、凝縮器は、空冷式、水冷式、蒸発式のいずれであってもよい。
膨張弁4は、冷媒配管内を流れる冷媒の流量の調節等を行うことが可能であり、凝集器で凝縮させた高温かつ高圧の冷媒を低温かつ低圧の冷媒にする機能を有する膨張弁である。そして、膨張弁4の絞り調整には、例えば、ステッピングモータ(図示せず)により絞りの開度を調整することが可能な電子膨張弁が用いられる。なお、絞り調整においても電子膨張弁に限定されず、例えば、機械式膨張弁またはキャピラリーチューブであってもよい。
また、膨張弁4は、制御装置8による所定の演算結果に基づいて冷媒供給量を調整する。すなわち、図1に示されるように、温度検出器6により検出された冷媒温度と圧力検出器7により検出された冷媒圧力とを用いて、後に詳述するように、制御装置8が所定の演算を行う。その結果、冷媒過熱度が算出される。そして制御装置8はプレート式熱交換器5の出口側の冷媒過熱度を後述する所定の条件と比較した結果に基づいて、所定の冷媒過熱度となるように冷媒供給量を調整する指令を膨張弁4に出す。それにより、膨張弁4は冷媒流量を調整する。
プレート式熱交換器5は、蒸発器として利用される。ここでいうプレート式熱交換器5とは、例えば、間隔をおいて薄板を多数並べて、周縁部をシールし、各薄板間に形成された空間を交互に低圧冷媒の流路と水の流路としてなる熱交換器である。なお、本実施形態において、プレート式熱交換器5は1個のみであるが、これに限定されるものではない。例えば、2個以上のプレート式熱交換器5が並列もしくは直列に接続された構成であってもよい。
プレート式熱交換器5を流通する被冷却流体は、例えば、凝固点を降下させる添加物を混ぜた水が用いられ、単なる水であってもよい。冷凍装置に用いられる冷媒は、例えば、R410A、R407C、R404AなどのHFC冷媒、R22、R134aなどのHCFC冷媒、もしくは炭化水素、ヘリウムのような自然冷媒などがある。付言すれば、例えば、冷媒R407Cであれば、通常の運転における冷媒圧力は0.4〜0.5MPa程度になる。言うまでもないことであるが、この圧力値は冷媒の種類によって異なるものである。
ここで、プレート式熱交換器5では、冷媒配管と図示しないポンプとを介することにより、被冷媒流体が循環されるようになっている。プレート式熱交換器5で冷媒の蒸発により冷却された被冷却流体は、冷媒配管を介して、例えば、冷蔵庫や室内機(図示せず)などの冷熱負荷へ導かれるようになっている。
先に説明したように、冷凍装置1には、膨張弁4の開度の調整量を決定するために温度検出器6および圧力検出器7が、圧縮機2の吸込側にそれぞれ設置されている。また、温度検出器6と圧力検出器7は検出結果を随時制御装置8に送信する。そして、ここで検出される冷媒温度と冷媒圧力を用いることにより、後述するように、冷媒圧力の低下は、凍結による水側伝熱性能の低下であるかがわかるのである。
すなわち、圧縮機2の吸込圧力が低下する要因が区別される。これにより、冷媒供給が不足したために冷媒側で伝熱性能が低下したのか、あるいは凍結したために水側で伝熱性能が低下したのか、が区別されることになる。換言すれば、プレート式熱交換器5内部の通路の一部が凍結しても温度が低下しないようなプレート式熱交換器5で冷却された被冷却流体の出口温度によりプレート式熱交換器の凍結を判定しているわけではない。そのため、正確に凍結の有無を把握できるのである。
次に、制御装置8について説明する。
図1には、制御装置8の機能的構成を概略的に示す構成図が示されている。
すなわち、制御装置8は、入力部10と、出力部11と、データ取得部12と、記憶部13と、一次記憶部14と、二次記憶部15と、演算部16と、比較部17と、第1比較部18と、第2比較部19と、判定部20と、第1判定部21と、第2判定部22と、駆動制御部23と、圧縮機制御部24と、凝縮器制御部25と、膨張弁制御部26と、それらを統括制御する冷凍装置運転制御部30とを備えている。
入力部10は、いわゆる外部から入力されたデータを受信するインターフェースであり、外部から入力されたデータをプロトコル変換等することにより所定の形式のデータに変換し、入力されたデータを記憶部13へ記憶させる。例えば、図示しない外部から入力された初期設定値等を所定の形式に変換することにより、制御装置内部で利用可能にさせる。すなわち、後述する運転開始処理において初期設定値が入力されたときには、外部とのインターフェースである入力部10を介して所定のデータが入力される。なお、いうまでもないことであるが、有線もしくは無線等によるデータ入力であってもよい。
すなわち、無線通信によるデータ入力のときには、図示しない無線端末と入力部10とによりデータ通信がなされてもよい。
また、制御装置8が屋内でLAN等のネットワークに接続され、有線もしくは無線による通信がなされてもよい。
このほかにも、入力部10は、温度検出器6及び圧力検出器7から送られてきた検出結果を随時受信し、記憶部13に格納させていくようにしてもよい。
出力部11は、いわゆる外部へ出力するデータを送信させるインターフェースであり、外部へ出力するデータをプロトコル変換等することにより所定に形式のデータに変換し、記憶部に保持されているデータを外部へ送信させる。
また、出力部11は、先に説明した入力部10のような通信がなされてもよい。
いうまでもないことであるが、入力部10、出力部11によって行われる通信形態は、例えば、衛星電話等の衛星通信による通信でもよく、ケーブルテレビのような通信でもよく、いかなる通信形態であってもよい。
このように、本発明の冷凍装置1は制御装置8を介して遠隔地にある図示しない通信主体と通信できる。
なお、データの送受信のときのプロトコル変換等については、当業者であれば容易に理解されるものであり、ここではその詳細についての説明は省略する。
データ取得部12は、データ線101及びデータ線102を介して、温度検出器6及び圧力検出器7で検出された冷媒温度及び冷媒圧力を取得する。データを取得した後に、データ取得部12は記憶部13に取得したデータを格納させる。なお、後に詳述するが、記憶部13は一次記憶部14と二次記憶部15とを備えており、それぞれデータの格納期間に応じて使い分けていることを想定している。
また、データ取得部12は、後述するように、所定の演算をするためのデータを検索するときには、二次記憶部15に格納されているデータを検索し、検索結果を一次記憶部14に格納させる。なお、後述するが、検索結果の格納場所は記憶部13の一次記憶部14を前提としているが、二次記憶部15であってもよい。
また、データ取得部12は、後述するように、データを取得できなかったときには、記憶部に格納されている別のデータを検索し、検索結果を一次記憶部14に格納させる。なお、ここでも、検索結果の格納場所は記憶部13の一次記憶部14を前提としているが、もちろん二次記憶部15であってもよい。
記憶部13は、先に説明したように、一次記憶部14と二次記憶部15とを備えている。一次記憶部14とは、処理途中の一時的なデータを保持するための論理領域である。一次記憶部14は、例えば、図示しないキャッシュメモリ等の高速小容量メモリにマウントされる。これにより、制御装置8内部での処理を高速化させる。二次記憶部15とは、処理結果を長期格納するための論理領域である。二次記憶部15は、例えば、図示しないハードディスク等の低速大容量メモリにマウントされる。これにより、一定期間、制御装置8での処理内容を格納させておくことが可能となる。その結果、例えば、1ヶ月間の冷凍装置の稼働状況を調査するときに、二次記憶部15に格納されている所定のデータ一群を利用することが可能となる。また、二次記憶部15のマウント先はハードディスクに限定されるものではなく、一次記憶部14と比較して長期間データが格納されていればよい。そのため、一次記憶部14と二次記憶部15は、いずれも、一般的な半導体メモリ、例えば、フラッシュメモリにマウントされていてもよい。
より具体的には、入力部10で受信したデータはまず一次記憶部14の領域に格納され、所定の処理を経て二次記憶部15に格納されるようにしてもよい。また、例えば、出力部11から送信されるデータは、まず二次記憶部15に格納されたデータがいったん一次記憶部14へコピーされた後に、このコピーされたデータを所定の形式に出力部11が変換して送信されるようにしてもよい。また、例えば、データ取得部12が取得するデータはいったん一次記憶部14に格納され、所定時間経過後に二次記憶部15に格納されるようにしてもよい。
いずれにしても一次記憶部14は所定の処理をするためのデータを一時的に格納されるために利用される領域であり、二次記憶部15は所定の処理の結果を長期的に格納させるために利用される領域である。
次に、演算部16、比較部17、判定部20、及び駆動制御部23を相互の関係に基づいて説明する。
演算部16は、所定の演算を行い、その結果は比較部17により比較され、比較結果は判定部20により判定される。その判定結果に応じて駆動制御部23により冷凍装置1が制御される。要するに、演算部16、比較部17,判定部20により冷凍装置1の制御内容が決定され、それに応じて駆動制御部23により冷凍装置1が制御される。
演算部16は、先に説明した制御装置8による冷媒過熱度の算出を行う。具体的には、演算部16は、データ取得部12で取得した冷媒圧力から飽和蒸気温度を演算し、その演算した飽和蒸気温度と、データ取得部12で取得した冷媒温度との差を算出することにより、冷媒過熱度を求める。なお、演算部16は、冷媒過熱度の算出だけでなく、冷凍装置1を制御するためのパラメータを決定するあらゆる演算を実行可能であることはいうまでもない。
比較部17は、第1比較部18と第2比較部19とを備え、それぞれ異なる内容を比較する。具体的には、第1比較部18は、データ取得部12で取得した冷媒圧力と予め格納されている凍結異常設定値との比較を行い、第2比較部19は、演算部16で算出された冷媒過熱度と予め格納されている所定過熱度との比較を行う。なお、ここでいう凍結異常設定値は、圧縮機2の吸込圧力と、プレート式熱交換器5の被冷却媒体の出口温度と、の関係から、凍結異常の出口温度に相当するものとして、圧縮機2の吸込圧力を予め定めたものである。より具体的には、冷媒R407Cのときには、低圧0.33MPa未満であれば異常であるため、凍結異常設定値は、0.33MPaである。なお、この値は検証試験により求められる。すなわち、プレート式熱交換器5が凍結に至るときに相当する圧縮機2の冷媒圧力を検証試験により求めた値である。また、ここでいう所定過熱度は、プレート式熱交換器5が凍結異常のときに、蒸発圧力が低下して過熱度が小さくなったときの過熱度を予め定めたものである。より具体的には、所定過熱度は、膨張弁4により制御する過熱度としており、例えば、10℃である。すなわち、膨張弁4により過熱度が10℃になるように制御する。これにより、低圧状態が低下しないようになされている。仮に、過熱度が、例えば、10℃よりも低ければ、プレート式熱交換器5に冷媒は充分に満たされている状態である。従って、冷媒側伝熱性能低下が原因による低圧低下ではない。すなわち、この状態は、水側伝熱性能低下が原因による低圧低下となる。その結果、ここで定めた所定過熱度を参照することにより、圧縮機2の吸込圧力の低下要因が、冷媒供給が不足したことによる冷媒側伝熱性能低下であるのか、あるいは、凍結したことによる水側伝熱性能低下であるのか、を区別することができるのである。よって、凍結の有無を正確に判定することができる。
判定部20は、第1判定部21と第2判定部22とを備え、それぞれ異なる内容を判定する。具体的には、第1判定部21は、第2比較部19の比較結果に基づいて圧縮機の容量を低減させるか、または、冷凍装置の運転を停止させるかを判定する。第2判定部22は、圧縮機の容量を低減させる処理を続行させるか否かを判定する。
駆動制御部23は、圧縮機制御部24、凝縮器制御部25、膨張弁制御部26とを備え、それぞれ異なる制御を行う。具体的には、圧縮機制御部24は、圧縮機2の電動機の駆動、例えば、容量や回転数を制御する。凝縮器制御部25は、凝縮器3に設置されたファンのモータ、すなわち凝縮器の送風機の駆動、例えば、送風機の回転数を制御する。膨張弁制御部26は、膨張弁4の制御、例えば、膨張弁4の開度を制御する。要するに、圧縮機制御部24、凝縮器制御部25、および膨張弁制御部26は、演算部16、比較部17、および判定部20の処理結果に応じて、それぞれのアクチュエータに指令を出すことで圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4の各種制御を行う。
その結果、制御装置8が、温度検出器6および圧力検出器7の検出結果に基づいて所定の演算をすることにより、圧縮機2の吸込圧力が低下する要因を識別することができる。さらに、圧縮機2の吸込圧力はプレート式熱交換器5の出口側の冷媒圧力とほぼ等価ともみなせる。従って、圧縮機2の吸込圧力に基づいて所定の演算をすることにより、プレート式熱交換器5の凍結による破損を防止することができるため、冷凍装置1を高効率に運転することができる。
次に、冷凍装置運転制御部30について概略を説明する。
冷凍装置運転制御部30は、制御装置8において、全体を統括制御する。すなわち、入力部10、出力部11、データ取得部12、演算部16、比較部17、判定部20、並びに、駆動制御部23等を適宜に制御するものである。
以上説明した制御装置8の入力部10、出力部11、データ取得部12、演算部16、比較部17、第1比較部18、第2比較部19、判定部20、第1判定部21、第2判定部22、駆動制御部23、圧縮機制御部24、凝縮器制御部25、膨張弁制御部26、冷凍装置運転制御部30等は、例えば、マイコンにより処理される。
また、制御装置8の各種処理は適宜更新可能であり、例えば、図示しない外部端末と制御装置8とをケーブル等で接続させることによりデータ通信可能とし、この状態で、外部端末に格納された更新処理内容であるプログラム等を制御装置8に送信し、新たな処理内容が上書きされる。これにより、適宜状況に応じて処理内容を更新することが可能となる。
また、制御装置8の各種処理そのものが半導体メモリ等に格納されていてもよく、この場合、制御装置8に装着された半導体メモリを更新内容の格納された別の半導体メモリに交換することにより、処理内容を更新するようにしてもよい。例えば、SDメモリカードを媒体として処理内容を更新するようにしてもよい。言うまでもないことであるが、この場合は、装着されていた半導体メモリに格納された各種処理を上書きし、その半導体メモリを再度装着させることで更新させてもよい。
また、制御装置8の各種処理はファームウェアとして構成されていてもよい。この場合であっても、適宜処理内容は更新可能である。
また、制御装置8の各種処理そのものは全て論理回路等で実装されていてもよい。
いずれにしても、制御装置8の各種処理の実装方法は限定されるものではなく、制御装置8に実装され、冷凍装置1全体を制御するようなものであればよい。
次に、以上説明した冷凍装置1の構成を前提として、本発明の要部である、冷媒側伝熱性能低下と水側伝熱性能低下とを区別して、圧縮機2を制御することにより、冷凍装置1を高効率に運転する処理についてフローチャートを用いて説明する。
なお、以下で説明するフローチャートは逐次的処理を前提にしているが本発明はこれに限定するものではない。例えば、各ステップが並列に処理されることもあり、各フローチャートで説明される複数のステップが一群の単位として並列に同時に処理されることもある。いずれにおいても、処理の前後が以下の説明により限定されるものではなく、適宜直列若しくは並列に処理がなされてもよいものである。
図2は、本発明の実施の形態1に係る全体処理を示すフローチャートである。図2に示されるように、本発明の制御装置8は、冷凍装置1の運転を開始させる処理をして、通常の運転中でプレート式熱交換器5の凍結による破損に至るか否かを判定し、冷凍装置1の運転を停止させるときには冷凍装置1の運転を終了させる処理をする(S10〜S13)。具体的には、運転開始処理(S10)、通常運転処理(S11)、運転停止指令フラグ判定処理(S12)、運転終了処理(S13)が順次実行される。これにより、冷凍装置1のプレート式熱交換器5が凍結に至る前に冷凍装置1の運転を停止させることができるため、冷凍装置1の運転中にプレート式熱交換器5の凍結による破損を防ぐことができる。よって、冷凍装置1を高効率に運転させることができる。付言すれば、運転停止指令フラグについては後述するが、要するに、運転停止指令フラグが1のときには(S12YES)、冷凍装置の運転終了処理が実行され(S13)、運転停止フラグが1でないときには(S12NO)、通常運転処理(S11)が実行される。
より具体的には、冷凍装置運転制御部30は、運転開始処理(S10)、通常運転処理(S11)、運転停止指令フラグ判定処理(S12)、運転終了処理(S13)を統括制御している。すなわち、冷凍装置運転制御部30は、各処理の進行状況を、後述する各種フラグを常に監視することにより把握し、適切なタイミングで処理を移行させていく。このように冷凍装置運転制御部30は各処理の同期処理を実行する。これにより、各処理を適宜逐次または並列に実行させていくことが可能となる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る運転開始処理の詳細を示すフローチャートである。図3に示されるように、運転開始処理は、初期設定値が入力されるまで待機中となり、外部から初期設定値の入力があるときには、入力形態に応じた処理が実行される(S20〜S25)。続いて、冷凍装置を駆動させるために、各種処理が実行される(S26〜S28)。
具体的には、まず、入力部10は外部から入力があるまで待機する(S20、S21)。入力が有るときには(S21)、続いて入力時の入力形態を判定する処理に移行する(S22)。
入力部10は入力判定処理(S22)の結果、外部機器からの入力のときには外部機器による入力処理を行う(S23)。具体的には、外部機器とは、例えば、ハンドヘルドターミナルである。ハンドヘルドターミナルを制御装置8に、例えば、ケーブルを介して図示しないコネクタに接続させる。制御装置8が外部からの接続を確認したときには、入力部10は、入力部10とハンドヘルドターミナル内部に実装された入出力インターフェースとの通信を確立させる。具体的には、入力部10がハンドヘルドターミナルとの通信プロトコルを判定し、ハンドヘルドターミナル内部にある通信モジュールと相互通信できる状態にする。相互通信が可能になったらハンドヘルドターミナルから入力されるデータを入力部10を介して順次受信し、受信データは一次記憶部14に一時的に格納される。受信処理が終了したら、入力部10は一次記憶部14に格納された受信データを二次記憶部15に移動させ、格納させる。このとき、ハンドヘルドターミナルから送信されるデータは、人間が手入力でハンドヘルドターミナルに打ち込んだデータであってもよく、もちろん、記録媒体をハンドヘルドターミナルに差し込み、記録媒体に格納されたデータを送信させてもよい。記録媒体としては、任意の媒体でよく、例えば、miniSD(登録商標)といったものでもよい。さらに、ハンドヘルドターミナルで読み込んだ、スキャナデータ、バーコードデータ、RFIDタグ等でもよいことはいうまでもない。
入力部10は入力判定処理(S22)の結果、通信データによる入力のときには通信媒体による入力処理を行う(S24)。具体的には、通信媒体による入力処理とは、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、光通信等がある。こちらについても、入力部10は、入力部10が外部からの通信データを受信できるように所定の通信プロトコルにより通信を確立させ、相互通信できる状態にする。
なお、ここで外部機器による入力処理(S23)と通信媒体による入力処理(S24)との相違点は、外部機器による入力が、ケーブル等による制御装置8との直接的な物理的接続を伴う場合による入力処理であり、通信媒体による入力が、ケーブル等による制御装置8との物理的な接続ではなく、遠隔地からの通信による入力処理を想定している点である。そのため、通信媒体による入力処理(S24)により、例えば、遠隔地から冷凍装置1に対して初期設定値を設定させることができる。これにより、初期設定値を直接現場に行かなくても設定することが可能となる。また、作業者の携帯電話からメール等により初期設定値を送信させてもよく、この場合、入力部は図示しないテキスト解析部によりメール文の中から初期設定値を読み取り、一次記憶部14に初期設定値を格納させるようにしてもよい。
入力部10は入力判定処理(S22)の結果、冷凍装置1への直接入力のときには直接入力による入力処理を行う(S25)。具体的には、制御装置8に図示しない入力釦があれば、その入力釦を介して直接に初期設定値が入力されるようにしてもよい。このとき、入力部10は、入力釦が押圧されたときには、予め設定された所定の信号を発生させ、例えば、入力釦を押圧した回数に応じた入力がなされる。より具体的には、図示しない数字釦が押圧されることで冷水の目標出口水温等が設定される。そしてその結果は一次記憶部14に格納されていき、図示しない終了釦が押圧されたときに、一次記憶部14に一次格納されたデータを二次記憶部15に移動させることにより、初期設定値が格納される。また、制御装置8に図示しないマイクロタイプの押し釦スイッチや、DIPスイッチ等の操作部があれば、これらを利用することにより、初期設定値の設定操作がなされてもよい。この場合、入力部10では直接入力の入力処理(S25)として処理が実行される。
なお、初期設定値とは、冷水の目標出口水温、熱源側装置および負荷側装置のそれぞれのポンプの流量、冷却水入口水温、冷水入口水温などであり、これにより圧縮機2の回転数や膨張弁4の開度が設定される。なお、圧縮機2の回転数や膨張弁4の開度の設定の詳細については、当業者であれば容易に理解されるものであるのでここではその詳細については省略する。
次に、冷凍装置を駆動するための処理が実行される(S26)。具体的には、冷凍装置運転制御部30は、二次記憶部15に格納された初期設定値に基づいて駆動制御部23に対して初期設定値を満たすように駆動制御部23に駆動指令を出す。より具体的には、各アクチュエータが、圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4をそれぞれ制御する。より具体的には、図示しない冷却水ポンプを運転させ、凝縮器などに通水させ、図示しない冷却塔を運転させ、プレート式熱交換器5の図示しない送風機を運転させ、圧縮機2の電動機を始動させていく。これに対して、停止させるときには、圧縮機2を停止させ、図示しない冷却水ポンプを停止させ、プレート式熱交換器5の図示しない送風機を停止させていく。
次に、冷凍装置運転制御部30は、一次記憶部14に格納されている圧縮機運転フラグを1に設定し(S27)、一次記憶部に格納されている運転停止フラグを0に設定する(S28)。
以上の処理(S20〜S28)が実行される結果、冷凍装置1は運転を開始する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る通常運転処理の詳細を示すフローチャートである。図4に示されるように、圧縮機運転フラグの値により、通常運転中に実行される冷凍装置1を停止させるかを決定する処理が実行される(S30〜S34)。
すなわち、一次記憶部14に格納されている圧縮機運転フラグが1であれば(S30YES)、冷凍装置1を停止させるかを決定する処理が実行される(S31〜S34)。これに対して、圧縮機運転フラグが0であれば(S30NO)、冷凍装置1を停止させるかを決定する処理が実行されることなく通常運転処理は終了する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るデータ取得処理の詳細を示すフローチャートである。図5に示されるように、冷媒温度と冷媒圧力を計測し、その結果を適宜記憶部13に格納していく処理が実行される(S40〜S52)。
すなわち、予め設定された所定の間隔が経過したときには(S40YES)、以下に示す冷媒温度と冷媒圧力とを取得する処理が実行される(S41〜S52)。これに対して、予め設定された所定の間隔が経過していないときには(S40NO)、所定の間隔が経過するまで待機する。なお、所定の間隔は、先に説明した初期設定値を入力するときに設定してもよく、またデフォルトとして二次記憶部15に格納され、データ取得処理が開始されたときに二次記憶部15に格納されたデータが一次記憶部14にコピーされるようにしてもよい。また、冷凍装置1の運転中に適宜所定の間隔を更新してもよい。この場合、例えば、冷凍装置1の使用期間が短いときには、比較的長めの間隔を設定し、使用期間が長いときには、比較的短めの間隔を設定することにより、使用歴に応じたデータ取得処理を実行することができる。
次に、温度検出器6により冷媒温度を計測し(S41)、圧力検出器7により冷媒圧力を計測する(S42)。続いて、計測された冷媒温度のデータ取得を実行する(S43)。具体的には、温度検出器6から送信されて格納された冷媒温度を二次記憶部15から読み出す。このとき、冷媒温度データを取得できなかったときには(S44NO)、一次記憶部14に格納されている冷媒温度フラグを0に設定する(S45)。これに対して、冷媒温度データを取得できたときには(S44YES)、冷媒温度フラグを1に設定し(S46)、冷媒温度データを二次記憶部15に格納させる(S47)。
次に、所定のタイミングにより、冷媒温度フラグを二次記憶部15にもコピーするようにする。このようにすれば、二次記憶部15に格納されている冷媒温度フラグが一定期間0であり続けることが確認されたときには、温度検出器6とその周囲で何らかの不具合が発生したことを推定することができる。
次に、計測された冷媒圧力のデータ取得処理を実行する(S48)。具体的には、圧力検出器7から送信されて格納された冷媒圧力を二次記憶部15から読み出す。このとき、冷媒圧力を取得できなかったときには(S49NO)、一次記憶部14に格納されている冷媒圧力フラグを0に設定する(S50)。これに対して、冷媒圧力データを取得できたときには(S49YES)、冷媒圧力フラグを1に設定し(S51)、冷媒圧力データを冷媒圧力第1データとして二次記憶部15に格納させる(S52)。
次に、所定のタイミングにより、冷媒圧力フラグを二次記憶部15にもコピーするようにする。このようにすれば、二次記憶部15に格納されている冷媒圧力フラグが一定期間0であり続けることが確認されたときには、圧力検出器7とその周囲で何らかの不具合が発生したことを推定することができる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る演算処理の詳細を示すフローチャートである。図6に示されるように、冷媒温度と冷媒圧力により冷媒過熱度を算出する処理が実行される(S60〜S70)。
すなわち、まず直近の冷媒温度データを二次記憶部から探索する(S60)。ここでいう直近とは、二次記憶部15に格納されている冷媒温度データのうち、最も最近格納されたデータである。例えば、データ取得処理(S31)は、通常運転処理が実行され続けている間、常に行われる処理であるため、二次記憶部15に冷媒温度データは順次格納され続ける。この状態で、複数ある中から最も最近格納されたデータを探索する処理が実行されるのである。
次に、検索したデータの冷媒温度フラグが1であるときには(S61YES)、冷媒温度データを二次記憶部15から一次記憶部14にそのまま読み込み(S62)、直近の冷媒圧力第1データを探索する(S63)。これに対して、冷媒温度フラグが0であるときには(S61NO)、冷媒温度フラグが1であるデータを二次記憶部15から探索する(S64)。探索時には、冷媒温度フラグの更新時間を参照して、直近のデータから過去のデータを順次探索していく。冷媒温度フラグが1であるデータが存在するときには(S65YES)、冷媒温度データを一次記憶部14に読み込み、直近の冷媒圧力第1データを探索する処理が順次実行される(S62、S63)。これに対して、冷媒温度フラグが1であるデータが存在しないときには(S65NO)、予め格納されている冷媒温度ダミーデータを二次記憶部15から一次記憶部14に読み込み(S66)、直近の冷媒圧力第1データを探索する処理が実行される(S63)。
この結果、直近の冷媒温度データを取得できなかった場合であっても、まず、比較的更新時間の近いデータが探索されることにより、演算処理時の状態に近いデータを利用することができる。また、冷媒温度データそのものを取得できなかった場合であっても、予め格納されている冷媒温度ダミーデータを利用することにより、後述する冷媒過熱度を算出することが可能となっている。
次に、検索したデータの冷媒圧力フラグが1であるときには(S67YES)、冷媒圧力データを二次記憶部15から一次記憶部14にそのまま読み込み(S68)、冷媒過熱度を演算し(S69)、演算結果を二次記憶部15に格納させる(S70)。これに対して、冷媒圧力フラグが0であるときには(S67NO)、冷媒圧力フラグが1であるデータを二次記憶部15から探索する(S71)。探索時には、冷媒圧力フラグの更新時間を参照して、直近のデータから過去のデータを順次探索していく。冷媒圧力フラグが1であるデータが存在するときには(S72YES)、冷媒圧力第1データを一次記憶部14に読み込み、冷媒過熱度を演算し、演算結果を二次記憶部15に格納させる(S68、S69、S70)。これに対して、冷媒圧力フラグが1であるデータが存在しないときには(S72NO)、予め格納されている冷媒圧力ダミーデータを二次記憶部15から一次記憶部14に読み込み(S73)、冷媒過熱度を演算し(S69)、演算結果を二次記憶部15に格納させる(S70)。
この結果、直近の冷媒圧力データを取得できなかった場合であっても、まず、比較的更新時間の近いデータが探索されることにより、演算処理時の状態に近いデータを利用することができる。また、冷媒圧力データそのものを取得できなかった場合であっても、予め格納されている冷媒圧力ダミーデータを利用することにより、冷媒過熱度を算出することが可能となっている。
ここで、冷媒過熱度を演算するときに(S69)、演算部16は、一次記憶部14に格納されている冷媒温度と冷媒圧力第1データを利用することにより、冷媒過熱度を演算する。具体的には、演算部16は、冷媒圧力第1データから飽和蒸気温度を演算し、その演算した飽和蒸気温度と冷媒温度との差を算出することにより、冷媒過熱度を求めている。
図7は、本発明の実施の形態1に係る比較処理の詳細を示すフローチャートである。図7に示されるように、測定した冷媒圧力と凍結異常設定値とが比較され、続いて、演算された冷媒過熱度と所定過熱度とが比較される処理が実行される(S100〜S108)。
すなわち、比較部17により、それぞれの比較処理が実行される。具体的には、演算処理時に読み込んだ冷媒圧力第1データを冷媒圧力として一次記憶部14から再度読み込み(S100)、凍結異常設定値を二次記憶部15から読み込む(S101)。続いて、第1比較部18により冷媒圧力と凍結異常設定値との比較が実行される。
次に、冷媒圧力が凍結異常設定値よりも小さいときには(S102YES)、冷媒過熱度を二次記憶部15から読み込み(S103)、予め設定された所定過熱度を二次記憶部15から読み込む(S104)。
続いて、第2比較部19により冷媒過熱度と所定過熱度との比較処理が実行され、所定の条件を満たしたときには過熱度フラグを1に設定する。具体的には、冷媒過熱度が所定過熱度よりも大きいときには(S105YES)、一次記憶部14に格納されている過熱度フラグを1に設定し(S106)、圧縮機運転フラグを1に設定し(S107)、比較処理を終了させる。これに対して、冷媒過熱度が所定過熱度以下であるときには(S105NO)、圧縮機運転フラグを0に設定し(S108)、比較処理を終了させる。また、冷媒圧力が凍結異常設定値以上であるときには(S102NO)、圧縮機運転フラグを1に設定し(S109)、比較処理を終了させる。
この結果、圧縮機の吸込圧力が低下する要因が、冷媒供給不足による冷媒側伝熱性能低下であるのか、あるいは、凍結による水側伝熱性能低下であるのかを識別することが可能となる。そのため、冷媒側伝熱性能低下の場合には冷凍装置を停止させる処理をする必要がなくなるため、高効率な冷凍装置の運転が可能となる。すなわち、従来であれば、冷媒圧力が凍結異常設定値よりも小さいときには、一律に冷凍装置1の運転を停止させていた。これに対して、本発明では、その場合であっても、冷媒過熱度が所定過熱度よりも大きいときには冷凍装置1の運転を停止させることなく、後述する圧縮機2の容量を低減させる処理により、運転を継続させている。
図8は、本発明の実施の形態1に係る判定処理の詳細を示すフローチャートである。図8に示されるように、過熱度フラグの値と圧縮機運転フラグの値に応じて、冷凍装置1を停止させるか、あるいは、圧縮機2の容量を低減させるかの処理が実行される(S110〜S114)。
すなわち、第1判定部21により、過熱度フラグが1ではないときには(S110NO)、圧縮機運転フラグの値により処理が分岐される。すなわち、圧縮機運転フラグの値が1であるときには(S111YES)、運転停止指令フラグは0に設定され(S112)、圧縮機運転フラグの値が1でないときには(S111NO)、運転停止指令フラグは1に設定される(S113)。これに対して、第1判定部21により、過熱度フラグが1であるときには(S110YES)、圧縮機2の容量を低減させる処理が実行される(S114)。
これにより、冷媒側伝熱性能低下が生じたときには冷凍装置の運転を停止させない処理としたので、膨張弁制御の追従遅れによって冷媒伝熱性能が低下したときには運転を継続させることが可能となる。よって、圧縮機2の吸込圧力が低下したときであっても一律に凍結異常とみなして運転を停止させることがない。それにより、高効率な冷凍装置の運転が可能となる。換言すれば、この場合では、過熱度フラグが1のときは、冷媒圧力、すなわち、圧縮機2の吸込圧力の低下要因は冷媒側伝熱性能低下にある。より具体的には、冷媒圧力<凍結異常設定値であり(S102YES)、かつ、冷媒過熱度>所定過熱度でない(S105NO)のときは、水側伝熱性能低下である。これに対して、冷媒圧力<凍結異常設定値であり(S102YES)、かつ、冷媒過熱度>所定過熱度である(S105YES)のときは、冷媒側伝熱性能低下である。
図9は、本発明の実施の形態1に係る圧縮機容量低減処理の詳細を示すフローチャートである。図9に示されるように、圧縮機2の容量を調整していきながら、冷媒圧力を観察し、冷媒圧力が所定の条件を満たしたときには圧縮機容量の低減を終了させる処理が実行される(S200〜S208)。具体的には、低圧状態にある冷媒圧力が0.33MPaに上昇するまで容量を低減させる。そのため、後述するように、圧縮機容量の低減処理を継続させるか否かの判定を凍結異常設定値との比較でなされているのである。
すなわち、圧縮機2の容量を調整する処理が実行され(S200)、圧力検出器7により冷媒圧力の計測がなされる(S201)。続いて、冷媒圧力データの取得処理が実行される(S202)。冷媒圧力データの取得が可能でないときには(S203NO)、圧縮機2の容量を調整する処理が再び実行され、冷媒圧力が計測され、冷媒圧力データが取得される(S200〜S202)。これに対して、冷媒圧力データの取得が可能なときには(S203YES)、以下に示す処理が実行される(S204〜S208)。
すなわち、取得した冷媒圧力データを冷媒圧力第2データとして二次記憶部15に格納させる(S204)。先に説明した冷媒圧力第1データとの違いは、冷媒圧力第2データは、圧縮機容量低減処理の終了を決定するパラメータとして圧縮機容量低減中に取得され続ける点にある。
なお、ここで冷媒圧力第2データを二次記憶部15に格納させるのは、メンテナンス用のデータとして利用するためである。
次に、凍結異常設定値を二次記憶部15から一次記憶部14に読み込み(S205)、冷媒圧力第2データを比較するための冷媒圧力として二次記憶部15から一次記憶部14に読み込む(S206)。続いて、冷媒圧力と凍結異常設定値とを比較し、所定の条件を満たしたときには、圧縮機容量の調整処理が再度実行され、再び冷媒圧力と凍結異常設定値との比較が実行される(S200〜S207)。
具体的には、第2判定部22により、冷媒圧力が凍結異常設定値よりも小さいと判定されたときには(S207NO)、以上の処理(S200〜S207)が実行される。これに対して、第2判定部22により、冷媒圧力が凍結異常設定値以上であると判定されたときには(S207YES)、過熱度フラグが0に設定され(S208)、先に説明したように格納される。
この結果、冷媒側伝熱性能低下が生じたときには、圧縮機2の容量を低減させることができる。そのため、冷凍装置1の運転を継続させることが可能となる。従って、圧縮機2の吸込圧力が低下したときであっても一律に凍結異常とみなして運転を停止させることがない。それにより、高効率な冷凍装置の運転が可能となる。
図10は、本発明の実施の形態1に係る圧縮機容量調整処理の詳細を示すフローチャートである。図10に示されるように、凍結に至らない低圧圧力とその低圧の継続時間を算出させることにより、圧縮機容量の調整量を決定させ、圧縮機容量を低減させる処理が実行される(S400〜S411)。
すなわち、凍結に至らない低圧圧力を算出し(S400)、その算出結果は二次記憶部15に格納される(S401)。続いて、凍結に至らない低圧圧力時の低圧継続時間を算出し(S402)、その算出結果は二次記憶部15に格納される(S403)。
次に、二次記憶部15から、低圧圧力値、定圧継続時間を、それぞれ読み込み(S404、S405)、冷媒圧力第1データを二次記憶部15から読み込む(S406)。
なお、凍結に至らない低圧圧力値と低圧継続時間の算出方法としては、例えば、特許文献1(特開2003−287291)に示されるように、特性曲線により予測値を推定することにより求めるようにする。
次に、カウンタの値を0に設定し(S407)、続いてカウンタの値が低圧継続時間であるかが判定される。具体的には、カウンタが低圧継続時間と一致するときには(SS408YES)、圧縮機容量を調整する処理は終了する。これに対して、カウンタが低圧継続時間と一致しないときには(S408NO)、カウンタの値を所定値分だけインクリメントする(S409)。ここで所定値分だけインクリメントするとしたのは、例えば、+1ずつインクリメントしてもよいし、また、それとは異なる間隔でインクリメントしてもよいからである。具体的には、例えば、0.1ずつインクリメントしてもよく、10ずつインクリメントしてもよい。いずれにおいてもカウンタの値が更新されるのであればどのような所定値であってもよい。
次に、アクチュエータ等を駆動させ、圧縮機容量の低減処理が実行される(S410)。続いて、冷媒圧力第1データと低圧圧力値とを比較し、所定の条件を満たすまで圧縮機容量の低減処理が実行され続ける。
具体的には、冷媒圧力第1データが低圧圧力値よりも小さいときには(S411YES)、カウンタの値を確認し、カウンタを更新し、圧縮機容量の低減処理が実行される(S408〜S411)。これに対して、冷媒圧力第1データが低圧圧力値以上のときには(S411NO)、所定の処理は終了する。
この結果、必要なときだけ圧縮機容量を低減させることができる。そのため、冷凍装置1の運転を継続させることが可能となる。従って、圧縮機2の吸込圧力が低下したときであっても一律に凍結異常とみなして運転を停止させることがない。それにより、高効率な冷凍装置の運転が可能となる。
このように、以上の実施形態1によれば、圧縮機2の吸込圧力の低下が、凍結による水側伝熱性能の低下のときには、圧縮機2の運転を停止させることができる。それにより、プレート式熱交換器の凍結による破損を防止することができるため、冷凍装置を高効率に運転することができる。換言すれば、蒸発圧力低下によりプレート式熱交換器5の内部で水またはブラインが凍結をすることによるプレート式熱交換器5のパンクや冷凍能力の低下を効率よく防止することができる。
実施の形態2.
なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図11は、本発明の実施の形態2に係る圧縮機容量低減処理の詳細を示すフローチャートである。図11に示されるように、圧縮機2の容量を調整していきながら、冷媒圧力を観察し、冷媒圧力が所定の条件を満たしたときには圧縮機容量の低減を終了させる処理が実行される(S300〜S310)。実施の形態1との違いは、圧縮機容量調整時間に制約を設けている点と制約時間経過後に圧縮機容量の低減率を変更している点にある(S308、S309)。
すなわち、実施の形態1では、冷媒圧力が凍結異常設定値よりも小さいときには再び圧縮機容量調整処理が実行される。一方、実施の形態2では、圧縮機容量低減開始から所定時間が経過したときには(S308YES)、圧縮機2の容量低減率を変更させ(S309)、圧縮機容量調整処理を実行させている。これに対して、圧縮機容量低減開始から所定時間が経過していないときには(S308NO)、そのまま圧縮機容量調整処理を再度実行させている。
これにより、圧縮機容量を同じ割合で低減させ続けているにもかかわらず、冷媒圧力が凍結異常設定値以上にならないときであっても、所定時間経過後には圧縮機容量の低減率を変更させている。そのため、圧縮機2の容量をさらに低減させるように低減率を変更すれば、そのような場合であっても、冷媒供給不足を解消させることは可能になる。それにより、冷媒圧力を凍結異常設定値よりも高くすることが可能となるため、冷凍装置1の運転を継続させることができる。換言すれば、蒸発圧力低下によりプレート式熱交換器5の内部で水またはブラインが凍結をすることによるプレート式熱交換器5のパンクや冷凍能力の低下を効率よく防止することができる。