JP7297162B1 - 冷凍サイクル装置及び制御方法 - Google Patents

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Abstract

冷凍サイクル装置(1)は、冷媒を圧縮する圧縮機(3)と、凝縮器(4)と、冷媒の流量を調整する膨張弁(5)と、蒸発器(6)と、アキュムレータ(7)と、膨張弁(5)を制御する制御装置(2)とを有する。制御装置(2)は、過冷却度制御器(21)と、吐出温度制御器(22)と、第1最大選択器(23)とを有する。過冷却度制御器(21)は、冷媒の過冷却度が目標値に追従するような膨張弁(5)の第1の開度を演算し、演算結果を出力する。吐出温度制御器(22)は、圧縮機(3)から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような膨張弁(5)の第2の開度を演算し、演算結果を出力する。第1最大選択器(23)は、過冷却度制御器(21)の出力及び吐出温度制御器(22)の出力のうち、最も大きい値を出力する。制御装置(2)は、第1最大選択器(23)から出力された値を用いて膨張弁(5)を制御する。

Description

本開示は、冷凍サイクル装置及び制御方法に関する。
一般に、膨張弁によって過冷却度を制御する冷凍装置(冷凍サイクル装置とも称する。)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2021/054463号
特許文献1に開示されている冷凍装置は、過冷却度の制御(過冷却度制御とも称する。)が可能な冷媒量の範囲においてのみ有効な構成となっている。そのため、過冷却度制御が成り立たないような場合においては、過冷却度を適切に制御できず、冷凍装置が故障しやすいという課題がある。
本開示の目的は、過冷却度制御が成り立たないような場合であっても、過冷却度を適切に制御することを目的とする。
本開示の冷凍サイクル装置は、
冷媒を圧縮する圧縮機、凝縮器、冷媒の流量を調整する膨張弁、蒸発器、及び前記圧縮機に冷媒を供給するアキュムレータの順に冷媒を循環させる冷媒回路と、
前記膨張弁を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
冷媒の過冷却度が目標値に追従するような前記膨張弁の第1の開度を演算し、演算結果を出力する過冷却度制御器と、
前記圧縮機から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような前記膨張弁の第2の開度を演算し、演算結果を出力する吐出温度制御器と、
前記過冷却度制御器の出力及び前記吐出温度制御器の出力のうち、最も大きい値を出力する第1最大選択器と、
を有し、
前記制御装置は、前記第1最大選択器から出力された値を用いて前記膨張弁を制御する。
本開示の制御方法は、
冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、冷媒の流量を調整する膨張弁と、前記膨張弁を制御する制御装置とを有する冷凍サイクル装置における前記膨張弁を制御する制御方法であって、
冷媒の過冷却度が目標値に追従するような前記膨張弁の第1の開度を演算することと、
前記圧縮機から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような前記膨張弁の第2の開度を演算することと、
前記第1の開度及び前記第2の開度のうち、最も大きい値を用いて前記膨張弁を制御することと
を備える。
本開示によれば、過冷却度制御が成り立たないような場合であっても、過冷却度を適切に制御することができる。
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の構成の一例を概略的に示す図である。 図1に記載された制御装置の機能を示す機能ブロック図である。 図1に記載された制御装置の構成の一例を示すブロック線図である。 冷凍サイクル装置における膨張弁を制御する方法の一例を概略的に示すフローチャートである。 冷媒量が十分である条件における冷凍サイクル装置の動作の例を示す図である。 冷媒量が不足している条件における冷凍サイクル装置の動作の例を示す図である。 冷媒量が不足している状態から不足が解消された後の状態における、冷凍サイクル装置の動作を示す図である。 冷媒量が不足していない状態から冷媒量が不足している状態に変化した場合における、冷凍サイクル装置の動作を示す図である。 実施の形態2における、膨張弁の制御を行う制御装置の構成の一例を示すブロック線図である。 比較例としての冷凍サイクル装置の動作を示す図である。 実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の動作の例を示す図である。 実施の形態3における制御装置の構成の一例を示すブロック線図である。 実施の形態4における制御装置の構成の一例を示すブロック線図である。
以下、本開示に係る冷凍サイクル装置1について図面を参照しながら説明する。なお、図面において同一の符号が付された構成は、同一又は対応する構成に相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の構成の一例を概略的に示す図である。
図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、膨張弁5を制御する制御装置2と、冷媒を圧縮する圧縮機3と、凝縮器4と、冷媒の流量を調整する膨張弁5と、蒸発器6と、圧縮機に冷媒を供給するアキュムレータ7とを備えている。圧縮機3と、凝縮器4と、膨張弁5と、蒸発器6と、アキュムレータ7が配管8により接続されて冷媒回路9を形成している。冷媒回路9には冷媒が流れている。図1において、実線の矢印は、冷媒が流れる方向を表す。以下、冷凍サイクル装置1が空気調和装置である場合の例を説明するが、冷凍サイクル装置1は空気調和装置に限定されるものではない。
圧縮機3は、アキュムレータ7から吸入した冷媒を圧縮して吐出するものである。圧縮機3は、例えば、図示しないインバータ回路等により駆動周波数を任意に変化させることにより、圧縮機3の容量(単位時間あたりの冷媒を送り出す量)が変化するものでもよい。
凝縮器4は、圧縮機3の吐出側に設置されている。凝縮器4は、冷媒と空気との熱交換を行うものであり、冷媒を凝縮して液化させるとともに、空気を加熱する。
膨張弁5は、冷媒回路9における凝縮器4と蒸発器6との間の配管8に設けられる。膨張弁5は、例えば電子膨張弁のような開度可変の膨張弁で構成され、冷媒の圧力及び流量を調整する。
蒸発器6は、膨張弁5の吐出側の配管8に設置される。蒸発器6は、冷媒と空気との熱交換を行うものであり、冷媒を蒸発させ気化させるとともに、空気を冷却する。
アキュムレータ7は圧縮機3の吸入側の配管8に設置される。アキュムレータ7は、吸入した冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離し、ガス冷媒のみを圧縮機3に吸入させる。アキュムレータ7は圧縮機3が液冷媒を吸入するのを防止することで、液圧縮による圧縮機3の故障を回避するとともに、余剰な冷媒を貯留しておく液溜めとしての機能を持つ。
図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、例えば、吐出温度センサ11と、出口温度センサ12と、高圧圧力センサ13とを備えていてもよい。吐出温度センサ11及び高圧圧力センサ13はそれぞれ圧縮機3の吐出側の配管8に配置され、吐出温度センサ11は圧縮機3から吐出される冷媒の温度を検出し、高圧圧力センサ13は圧縮機3から吐出される冷媒の圧力を検出する。出口温度センサ12は、凝縮器4における冷媒の出口に設置され、凝縮器4から流出する冷媒の温度を検出する。
図2は、図1に記載された制御装置2の機能を示す機能ブロック図である。
図2に示されるように、制御装置2には、上述した各種センサが接続されており、各種センサから温度又は圧力等のデータが制御装置2に入力される。また、制御装置2には、図示していない操作部を介して、冷凍サイクル装置1の利用者からの指令等が入力される。
図2に示されるように、制御装置2は、制御処理装置21、記憶装置23及び計時装置22を有している。制御処理装置21は、入力される温度等のデータに基づいて、演算及び判定等の処理を行い、圧縮機3、膨張弁5等の冷凍サイクル装置1の機器を制御するものである。記憶装置23は、制御処理装置21が処理を行うために必要となるデータを記憶する装置である。記憶装置23は、データを一時的に記憶できるランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性記憶装置(図示せず)およびハードディスク、データを長期的に記憶できるフラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置(図示せず)を有している。計時装置22は、例えばタイマ等で構成され、計時を行うものである。計時装置22は、制御処理装置21の判定等に使用される。
制御処理装置21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の制御演算処理装置を有するマイクロコンピュータ等で構成することができる。記憶装置23は、制御処理装置21が行う処理手順をプログラムとしたデータを有している。制御演算処理装置が、プログラムのデータに基づいて処理を実行して制御を実現する。なお、各装置は、専用機器(ハードウェア)で構成することができる。
制御装置2は、膨張弁開度を算出されている開度に変更する際に、吐出温度の上限値に吐出温度を追従させるための膨張弁開度と、過冷却度目標値に過冷却度を追従させるための膨張弁開度とを算出し、各膨張弁開度のうち、大きい方に膨張弁開度を制御するように構成されている。膨張弁開度とは、膨張弁5の開度を意味する。本出願において「上限値」とは、予め定められた値を意味する。本出願において「下限値」とは、予め定められた値を意味する。吐出温度の上限値とは、例えば、圧縮機3において使用可能な、冷媒の温度の上限値を意味する。吐出温度の上限値を、吐出温度上限値とも称する。
図1を参照して、冷凍サイクル装置1の動作について以下に説明する。
圧縮機3で圧縮されることにより高温高圧となったガス状の冷媒は、圧縮機3の吐出口から吐出されて凝縮器4へ流入する。凝縮器4に流入したガス状の冷媒は、凝縮器4で放熱して高圧下で液化し、凝縮器4から流出する。凝縮器4から流出した冷媒は、膨張弁5によって減圧され、低温の二相状態となり、蒸発器6に流入する。蒸発器6に流入した低温の二相状態の冷媒は、蒸発器6において吸熱して低圧下で気化し、蒸発器6から流出する。蒸発器6から流出した冷媒は、アキュムレータ7に流入する。アキュムレータ7に流入した冷媒は、気相と液相に分離され、アキュムレータ7から気相の冷媒が吐出される。アキュムレータ7から吐出された冷媒は、圧縮機3に吸入されて再び圧縮される。このような動作を繰り返すことによって、冷凍サイクル装置1の冷凍サイクルが実現される。
なお、図1に示される冷媒回路9は、本開示に係る冷凍サイクル装置1の冷凍サイクルを実現するための最小構成であり、冷凍サイクル装置1は、必要に応じて、冷媒の流路を切り替える四方弁等を含んでもよい。また、本開示では、凝縮器4及び蒸発器6において、空気と冷媒との間で熱交換するが、必ずしも、冷媒と空気との間で熱交換するものでなくてもよい。例えば、冷媒と水との間で熱交換が行われてもよく、冷媒と地中熱との間で熱交換が行われてもよい。
図3は、図1に記載された制御装置2の構成の一例を示すブロック線図である。
図3に示すように、制御装置2は、過冷却度制御器21と、吐出温度制御器22と、最大選択器23とを備えている。
過冷却度制御器21は、冷媒の過冷却度が目標値に追従するような膨張弁5の開度(「第1の開度」とも称する。)を演算し、演算結果を出力する。過冷却度制御器21は、例えば、PI制御器(「第1のPI制御器」とも称する。)である。この場合、過冷却度制御器21を構成するPI制御器は、制御対象の冷媒温度として、過冷却度が過冷却度目標値に追従するような膨張弁5の開度を出力する位置型のPI制御器である。過冷却度制御器21は、センサ値より算出した現在の過冷却度と予め定められた過冷却度目標値との偏差を取得し、過冷却度を過冷却度目標値に追従させる膨張弁開度を出力する。
過冷却度の算出の方法の例を以下に説明する。まず高圧圧力センサ13で取得した高圧圧力から、冷媒の物性値を利用して、その圧力における飽和液温度を算出する。算出された飽和液温度と出口温度センサ12で取得した温度との差が過冷却度である。過冷却度の算出方法はこの方法に限られない。例えば、凝縮器4の二相領域に設置された温度センサによって取得された温度と、出口温度センサ12によって取得した温度との差を過冷却度としてもよい。
過冷却度制御器21を構成するPI制御器はアンチリセットワインドアップ機能を有しており、過冷却度制御器21の出力が発散しないように構成されている。例えば、最大選択器23が過冷却度制御器21の出力を出力しない場合でも、過冷却度制御器21の出力が発散しない。
アンチリセットワインドアップ機能とは、最大選択器23の選択、又は膨張弁5の開度の上下限制約により、PI制御器の出力と膨張弁5の開度とが互いに異なる場合にPI制御器の内部で計算されている積分値が発散するのを抑制する機能を指す。このような機能は、PI制御器が並列に構成され、いずれかの出力が選択されるといった構成において特に有効である。
過冷却度目標値は一定値でもよいし、実運転状態に依存して適切に設定される可変値でもよい。過冷却度目標値を可変値とする場合、例えば、過冷却度目標値を、凝縮温度と凝縮器4の周囲温度との差に係数を乗じた値としてもよい。
過冷却度制御器21は、PI制御器でなくてもよく、P制御器、PID制御器、又はモデル予測制御器等の動的なフィードバック制御器であってもよいし、事前に定められたテーブル等に従う動的または静的な制御器であってもよい。
また、過冷却度制御器21は、位置型の制御器でなくてもよく、速度型の制御器であってもよい。この場合でも、最大選択器23への入力は膨張弁開度である。
吐出温度制御器22は、圧縮機3から吐出される冷媒の温度(「吐出温度」とも称する。)が上限値に追従するような膨張弁5の開度(「第2の開度」とも称する。)を演算し、演算結果を出力する。吐出温度制御器22は、例えば、PI制御器(「第2のPI制御器」とも称する。)である。この場合、吐出温度制御器22を構成するPI制御器は、制御対象の冷媒温度として、吐出温度が吐出温度上限値に追従するような膨張弁5の開度を出力する位置型のPI制御器である。吐出温度制御器22は、吐出温度センサ11から取得した吐出温度と予め定められた吐出温度上限値との偏差を取得し、吐出温度を吐出温度上限値に追従させる膨張弁開度を出力する。
吐出温度制御器22を構成するPI制御器は、アンチリセットワインドアップ機能を有しており、積分値が発散しないように構成されている。例えば、最大選択器23が吐出温度制御器22の出力を出力しない場合でも、吐出温度制御器22の出力の積分値が発散しない。したがって、運転条件が変化し、冷媒不足の程度が変化したときに、制御が即座に切り替わり、冷凍サイクル装置1を安定的に効率の良い運転状態に遷移させることができる。
吐出温度上限値は、ハードウエアの制約から決定してもよいし、経験則等から設定する値としてもよい。
吐出温度制御器22は、PI制御器でなくてもよく、P制御器、PID制御器、又はモデル予測制御器等の動的なフィードバック制御器であってもよいし、事前に定められたテーブル等に従う動的または静的な制御器であってもよい。
また、吐出温度制御器22は位置型の制御器でなくてもよく、速度型の制御器であってもよい。この場合においても、最大選択器23への入力は膨張弁開度である。
最大選択器23は、過冷却度制御器21の出力と吐出温度制御器22の出力とを比較し、値が大きい方を出力する。すなわち、最大選択器23は、過冷却度制御器21の出力及び吐出温度制御器22の出力のうち、最も大きい値を選択して出力する。
制御装置2は、最大選択器23から出力された値を用いて膨張弁5を制御する。これにより、膨張弁5の開度が適切に制御される。
第1のPI制御器及び第2のPI制御器の各々のパラメータは、ステップ応答等によるシステム同定結果を用いて算出される。そのため、第1のPI制御器及び第2のPI制御器の設計負荷を低減することができる。
図4は、冷凍サイクル装置1における膨張弁5を制御する方法の一例を概略的に示すフローチャートである。
上記に説明したように、膨張弁5を制御する制御方法は、下記のステップを含む。
ステップS1では、冷媒の過冷却度が目標値に追従するような膨張弁5の第1の開度を演算する。
ステップS2では、圧縮機3から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような膨張弁5の第2の開度を演算する。
ステップS3では、膨張弁5の第1の開度及び膨張弁5の第2の開度のうち、最も大きい値を用いて膨張弁5を制御する。これらのステップにより、膨張弁5の開度が適切に制御される。
〈実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1における動作〉
図5から図8は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1における動作の例を示す図である。図5に示されるように、「過冷却度制御器21の出力」を、「過冷却度制御器出力」とも称し、「吐出温度制御器22の出力」を、「吐出温度制御器出力」とも称する。
図5は、冷媒量が十分である条件における冷凍サイクル装置1の動作の例を示す図である。
吐出温度は上限値以下で推移しており、過冷却度は目標値に追従している。その際、過冷却度制御器21は過冷却度を目標値に維持するための開度を出力している。吐出温度制御器22は吐出温度を上限値に収束させるために、より小さな開度を出力している。その結果、最大選択器23は過冷却度制御器21の出力を選択し、過冷却度を目標値に制御するための開度で制御が実行されている。
図6は、冷媒量が不足している条件における冷凍サイクル装置1の動作の例を示す図である。
吐出温度は上限値に追従しており、過冷却度は目標値以下で推移している。その際、吐出温度制御出力は吐出温度を上限値に維持するための開度を出力している。過冷却度制御器21は過冷却度を目標値まで上昇させるために、より小さな開度を出力している。その結果、最大選択器23は吐出温度制御器22の出力を選択し、吐出温度を上限値に制御するための開度で制御が実行されている。
図7は、冷媒量が不足している状態から不足が解消された後の状態における、冷凍サイクル装置1の動作を示す図である。図7に示される例では、冷媒量がある時点以前は不足状態であるが、ある時点以降で不足状態が解消されている。
図7に示されるように、吐出温度は上限値以下で推移しており、過冷却度はある時点以前は目標値以下で推移しているが、ある時点以降で上昇し、目標値に追従している。その際、吐出温度制御器22は吐出温度を上限値に上昇させるために、徐々に膨張弁開度を絞り込むように動作している。過冷却度制御器21はある時点までは過冷却度を目標値に追従させるために絞り込む動作をするが、ある時点以降では、過冷却度の上昇に反応し、膨張弁5の開度が絞り動作から開く動作に転じている。その結果、最大選択器23はまず吐出温度制御器22の出力を選択して動作するが、過冷却度制御器21の出力が吐出温度制御器22の出力を上回った後は過冷却度制御器21の出力を選択して動作する。それにより、最終的には過冷却度を制御するための開度で制御が実行されている。
図8は、冷媒量が不足していない状態から冷媒量が不足している状態に変化した場合における、冷凍サイクル装置1の動作を示す図である。
図8に示される例では、冷媒量がある時点以前は不足していないが、ある時点以降では不足状態となる。
図8に示されるように、吐出温度はある時点以前では上限値以下で推移しているが、ある時点以降では上限値に追従している。過冷却度はある時点以前では目標値に追従しているが、ある時点以降には冷媒が不足し、過冷却度が低下している。その際、過冷却度制御器21は、ある時点までは過冷却度を目標値に維持するための開度を出力するが、ある時点で過冷却度が低下したため、過冷却度を上昇させるために、低い開度を出力している。一方、吐出温度制御器22は、ある時点以前では吐出温度を上限まで上昇させるために低い開度を出力するが、ある時点以降は吐出温度が上限付近で動作するため、吐出温度を維持するための開度を出力している。その結果、最大選択器23は、冷媒不足が発生する以前では過冷却度制御器21の出力を選択し、過冷却度が目標値に近づくように開度を制御しているが、冷媒不足となって過冷却度が低下して以降は、吐出温度制御器22の出力を選択し、吐出温度が上限値に近づくように開度を制御している。したがって、冷媒量が不足する条件においても高効率な運転を維持できる。
〈実施の形態1に係る利点〉
まず、冷媒量が不足した場合の課題を述べる。アキュムレータを有する冷凍サイクル装置では通常、過冷却度を膨張弁によって制御する。しかし、冷媒量が不足すると、膨張弁開度を絞り込んでも過冷却度がつかなくなり、過冷却度は制御不能となるので、膨張弁開度の適切な開度が決まらなくなるという課題がある。また、冷媒量が不足すると、圧縮機の吸入過熱度が増加し、圧縮機の吐出温度が上昇し、圧縮機が膨張することによって故障の原因となる課題がある。
上記課題に対して、実施の形態1に係る構成では、冷媒が十分足りている運転条件においては、過冷却度を適切に制御し、高効率で省エネな運転が実現できる。一方、配管長が長いなどの要因により冷媒が不足し、過冷却度制御が成り立たないような運転条件においては、自動的かつ連続的に吐出温度制御に切り替わり、吐出温度の上昇を抑制しつつ、かつ、そのために適切な膨張弁5の開度を常に計算しているため、安定的かつ高効率な運転が維持される。また、アンチリセットワインドアップ機能を有する連続的なPI制御器などの制御器が用いられているため、冷媒量が中程度で、制御すべき対象が過冷却度なのか吐出温度なのかの切り替わりポイント上の運転においても、ハンチングは発生せずに、安定的な動作が実現できる。また、吐出温度を高精度に上限値に制御できるので、機器の保護が高精度に実現できる。このように主たる過冷却制御だけでなく、保護等の従たる制御もPI制御のような連続的な制御にすることで上記のような利点が得られる。
また、過冷却度制御器21及び吐出温度制御器22は、PI制御器などの制御工学的に確立された制御器であるため、それらの制御器のパラメータを設計する手法はすでに既存の多くの研究によって確立されている。そのため、制御器の設計負荷が低減されるという効果もある。例えば、制御器のパラメータの設計方法としては、ステップ応答によるシステム同定結果を用いた設計手法等が考えられ、基本的にはシステム同定によって得られた特性から数学的な手順によってパラメータを算出するが、実運転時の入出力データから制御器のパラメータを学習する構成も考えられる。なお、上記システム同定はオンライン同定かオフライン同定かは限定しない。
実施の形態2.
実施の形態1と異なる構成及び動作について以下に説明する。
図9は、実施の形態2における、膨張弁5の制御を行う制御装置2の構成の一例を示すブロック線図である。
実施の形態2では、制御装置2は、スイッチ24をさらに有する。実施の形態2は、過冷却度制御器21の後段にスイッチ24が設けられている点で、実施の形態1の図3に示される実施の形態1と異なる。
スイッチ24は、過冷却度制御器21と最大選択器23との間に配置されている。スイッチ24は、過冷却度制御器21からの出力を受け取る。スイッチ24からの出力は、最大選択器23に入る。
スイッチ24は、例えば過冷却度に基づいて凝縮器4の出口に存在する冷媒の状態が液相か二相かを判定する。凝縮器4の出口に存在する冷媒の状態が液相であると判定された場合、スイッチ24は、過冷却度制御器21の出力と同じ値を出力する。一方、凝縮器4の出口に存在する冷媒の状態が二相であると判定された場合、スイッチ24は、無効信号を出力する。
最大選択器23が無効信号を受け取った場合、最大選択器23に入力された出力のうち、無効信号を除いて最も大きい値を出力する。
例えば、スイッチ24は、過冷却度制御器21からの過冷却度が予め定められた閾値以上かどうか判定する。この場合、過冷却度制御器21からの過冷却度が予め定められた閾値以上でれば、スイッチ24は、過冷却度制御器21の出力をそのまま出力する。過冷却度制御器21からの過冷却度が予め定められた閾値未満でれば、スイッチ24は、無効信号を出力する。
スイッチ24は、過冷却度がついている(すなわち過冷却度が正の値をとっている)かどうかを判定してもよい。この場合、スイッチ24は過冷却度を入力とし、過冷却度がついているとスイッチ24が判定したときに、スイッチ24は、過冷却度制御器21の出力をそのまま出力する。過冷却度がついていないとスイッチ24が判定したときには、スイッチ24は、無効信号を出力する。
最大選択器23に無効信号が入力された場合、最大選択器23は、無効信号を除く入力の中で最も大きな値を出力する。例えば、スイッチ24の出力が無効信号であり、且つ吐出温度制御器22の出力が「100」である場合、スイッチ24は「100」を出力する。
過冷却度がついているかどうかの判定は、過冷却度がある閾値を超えているかどうかで判定する。例えば、過冷却度が2℃以上の場合に過冷却度がついていると判定され、過冷却度が2℃未満の場合に過冷却度がついていないと判定される。過冷却度の閾値は、配管圧損、センサの取り付け位置、またはセンサの測定誤差等を加味して設定される。
スイッチ24における判定は、他の手段でもよい。例えば、凝縮器4の出口に存在する冷媒の乾き度を推定し、乾き度がゼロ以下であれば、過冷却度がついていると判定し、乾き度がゼロより大きければ過冷却度がついていないと判定してもよい。
〈実施の形態2に係る冷凍サイクル装置1における動作〉
図10は、比較例としての冷凍サイクル装置の動作を示す図である。
比較例としての冷凍サイクル装置は、スイッチ24を有していない点で、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置1と異なる。
図10に示される例では、過冷却度がついていない場合も過冷却度制御出力が有効となっている。過冷却度はゼロ未満の値をとらないため、過冷却度がついていない場合は、最適な膨張弁5の絞り量よりも保守的な動作にしかならず、絞り速度が最適速度よりも遅くなる。すなわち、過冷却度がついていない領域においても、過冷却度制御出力よりも吐出温度制御出力の方が小さくなり、常時、過冷却度制御出力で膨張弁5の開度が制御されることになる。
図11は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置1の動作の例を示す図である。
図11に示される例では、過冷却度が2℃未満においては過冷却度制御出力が存在しない。この場合、スイッチ24は、無効信号を出力している。そのため、最大選択器23は必ず吐出温度制御出力を選択し、膨張弁5は、吐出温度を上限値に追従させるための絞り速度で制御される。過冷却度が2℃以上となったとき、過冷却度制御器出力が有効となり、その後は過冷却度制御器出力が選択され、過冷却度を目標値に追従させるための開度で膨張弁5が制御される。過冷却度制御器出力が無効化されることで、膨張弁5の絞り速度が速くなり、安定までの時間が短縮される。
〈実施の形態2の利点〉
実施の形態2によれば、過冷却度がついていない場合に、吐出温度を上限に追従させるための膨張弁5の開度で制御される。そのため、過冷却度がついていない領域での膨張弁5の絞りが速くなり、安定までの時間を短縮できる。その結果、速暖速冷効果または省エネ効果などの効果を得ることができる。
実施の形態3.
図12は、実施の形態3における制御装置2の構成の一例を示すブロック線図である。
実施の形態3における制御装置2の構成は、実施の形態1における制御装置2の構成と同じである。実施の形態1と異なる動作について以下に説明する。
例えば、実施の形態3では、吐出温度制御器22が、吐出温度の上限値を演算せず、吐出温度の目標値に追従させるための膨張弁5の開度を演算するという点で、実施の形態1(例えば、図3に示される動作)と異なる。
実施の形態3では、吐出温度制御器22は、圧縮機3から吐出される冷媒の温度を、予め定められた上限値に追従させるのではなく、圧縮機3の吸入過熱度を適切に制御し、圧縮機3から吐出される冷媒の温度を、省エネ性が向上するような吐出温度の目標値に追従させる。圧縮機3から吐出される冷媒の温度を、吐出温度とも称する。
例えば、吐出温度制御器22は、吐出温度を、予め定められた上限値以外の予め定められた目標値に追従させる。
吐出温度の目標値は、圧縮機3の吸入過熱度を適切にし、且つ省エネ性が向上するような値に設定される。例えば、吐出温度の目標値は、その時の圧縮機前後の高低圧力において、圧縮機3の吸入過熱度を5℃と仮定したときの温度に設定する。圧縮機3の吸入過熱度は5℃でなくてもよく、ゼロ以上の値であればよい。吐出温度の目標値の決定は、予め定められたテーブルに従って実行されてもよいし、ポリトロープ変化の式を用いて都度計算してもよい。
〈実施の形態3に係る利点〉
実施の形態3によれば、圧縮機3の吸入過熱度を適切な値に制御することができる。吸入過熱度が適切であると、冷凍サイクルの効率が最適化され、成績係数(COP)が向上する。したがって、実施の形態3によれば、過冷却度が制御できないような冷媒不足の状態においても、より高効率で省エネな運転を実現することができる。
実施の形態4.
実施の形態1と異なる構成及び動作について以下に説明する。
図13は、実施の形態4における制御装置2の構成の一例を示すブロック線図である。
実施の形態4では、制御装置2は、過冷却度制御器21と、吐出温度制御器22と、第1最大選択器23とに加えて、蒸発器差温制御器31と、吐出過熱度下限制御器32と、吐出過熱度上限制御器33と、最小選択器34と、第2最大選択器35とをさらに有するという点で、実施の形態1における制御装置2と異なる。
蒸発器差温制御器31は、蒸発器差温を予め定められた上限値に追従させるような膨張弁開度(第3の開度とも称する。)を演算し、演算結果を出力する。蒸発器差温制御器31は、制御対象の冷媒温度として、蒸発器差温が蒸発器差温上限値に追従するような膨張弁開度を出力する位置型のPI制御器で構成されている。蒸発器差温制御器31は、センサ値より算出した現在の蒸発器差温と予め定められた蒸発器差温上限値との偏差を取得し、蒸発器差温を蒸発器差温上限値に追従させる膨張弁開度を出力する。
蒸発器差温は、蒸発器6から出る冷媒の温度と蒸発器6に入る冷媒の温度との差によって算出される。蒸発器差温は、例えば、蒸発器出口付近に設置された温度センサの値と、蒸発器入口付近に設置された温度センサの値との差で算出される。蒸発器差温の算出は、この方法に限られない。例えば、蒸発器出口の温度と、低圧圧力から計算される飽和ガス温度との差を蒸発器差温として定義してもよい。
蒸発器差温上限値は、例えば、2℃に設定される。蒸発器差温上限値は、必ずしも2℃である必要はない。例えば、蒸発器差温上限値は、センサの設置位置等を加味して、許容できる蒸発器6の乾き具合と蒸発器差温との関係に応じて設定してもよい。
蒸発器差温制御器31は、必ずしもPI制御器である必要はない。蒸発器差温制御器31は、例えば、P制御器、PID制御器、またはモデル予測制御器等の動的なフィードバック制御器であってもよいし、事前に定められたテーブル等に従う動的または静的な制御器であってもよい。
蒸発器差温制御器31は、必ずしも位置型の制御器である必要はない。例えば、蒸発器差温制御器31は、速度型の制御器であってもよい。蒸発器差温制御器31が速度型の制御器である場合も、最大選択器23への入力は膨張弁開度である。
吐出過熱度下限制御器32は、吐出過熱度を下限値に追従させるような膨張弁開度(第4の開度とも称する。)を演算し、演算結果を出力する。吐出過熱度下限制御器32は、制御対象の冷媒温度として、吐出過熱度を吐出過熱度下限値に追従させる膨張弁開度を出力する位置型のPI制御器で構成されている。吐出過熱度下限制御器32は、センサ値より算出した現在の吐出過熱度と予め定められた吐出過熱度下限値との偏差を取得し、吐出過熱度を吐出過熱度下限値に追従させる膨張弁開度を出力する。
吐出過熱度は、吐出温度センサ11の値と、凝縮器4の二相領域に設置された温度センサの値との差で算出される。吐出過熱度の算出は、この方法に限られない。例えば、吐出温度センサ11が取得する温度と、高圧圧力から計算される飽和ガス温度との差を吐出過熱度として定義してもよい。
吐出過熱度下限値は、例えば、10℃に設定される。吐出過熱度下限値は、必ずしも10℃である必要はない。例えば、吐出過熱度下限値は、圧縮機3の運転保証条件等を加味して、液バックを防ぐための吐出過熱度条件に応じて設定してもよい。裕度をもたせて吐出過熱度下限値を設定してもよい。
吐出過熱度下限制御器32は、必ずしもPI制御器である必要はない。吐出過熱度下限制御器32は、P制御器、PID制御器、またはモデル予測制御器等の動的なフィードバック制御器であってもよいし、事前に定められたテーブル等に従う動的または静的な制御器であってもよい。
吐出過熱度下限制御器32は、必ずしも位置型の制御器である必要はない。例えば、吐出過熱度下限制御器32は、速度型の制御器であってもよい。吐出過熱度下限制御器32が速度型の制御器である場合も、最小選択器34への入力は膨張弁開度である。
吐出過熱度上限制御器33は、吐出過熱度を上限値に追従させるような膨張弁開度(第5の開度とも称する。)を演算し、演算結果を出力する。吐出過熱度上限制御器33は、制御対象の冷媒温度として、吐出過熱度を吐出過熱度上限値に追従させる膨張弁開度を出力する位置型のPI制御器で構成されている。吐出過熱度上限制御器33は、センサ値より算出した現在の吐出過熱度と予め定められた吐出過熱度上限値との偏差を取得し、吐出過熱度を吐出過熱度上限値に追従させる膨張弁開度を出力する。
吐出過熱度は、吐出温度センサ11の値と、凝縮器4の二相領域に設置された温度センサの値との差で算出される。吐出過熱度の算出は、この方法に限られない。例えば、吐出温度センサ11が取得する温度と、高圧圧力から計算される飽和ガス温度との差を吐出過熱度として定義してもよい。
吐出過熱度上限値は、例えば、60℃に設定される。吐出過熱度上限値は、必ずしも60℃である必要はない。例えば、吐出過熱度上限値は、圧縮機3の機器のスペックまたは運転条件に応じて、適切な運転状態を保持するための上限値を設定すればよい。裕度をもたせて吐出過熱度上限値を設定してもよい。
吐出過熱度上限制御器33は、必ずしもPI制御器である必要はない。例えば、吐出過熱度上限制御器33は、P制御器、PID制御器、またはモデル予測制御器等の動的なフィードバック制御器であってもよいし、事前に定められたテーブル等に従う動的または静的な制御器であってもよい。
吐出過熱度上限制御器33は、必ずしも位置型の制御器である必要はない。例えば、吐出過熱度上限制御器33は、速度型の制御器であってもよい。吐出過熱度上限制御器33が速度型の制御器である場合も、第2最大選択器35への入力は膨張弁開度である。
最大選択器23(第1最大選択器23)は、過冷却度制御器21の出力と蒸発器差温制御器31の出力とを受け取る。最大選択器23は、過冷却度制御器21の出力と蒸発器差温制御器31の出力とのうち、最も大きい値を選択して出力する。
最小選択器34は、最大選択器23(第1最大選択器23)と最大選択器35(第2最大選択器35)との間に配置されている。最小選択器34は、最大選択器23の出力と吐出過熱度下限制御器32の出力とを受け取る。最小選択器34は、最大選択器23の出力と吐出過熱度下限制御器32の出力とのうち、最も小さい値を選択して出力する。
最大選択器35(第2最大選択器35)は、最小選択器34の出力と、吐出温度制御器22の出力と、吐出過熱度上限制御器33の出力とを受け取る。最大選択器35は、最小選択器34の出力と吐出過熱度上限制御器33の出力と吐出温度制御器22の出力のうち、最も大きい値を選択して出力する。
制御装置2は、第2最大選択器35から出力された値を用いて膨張弁5を制御する。これにより、膨張弁5の開度が適切に制御される。
実施の形態4において、制御装置2は、実施の形態2で説明した少なくとも1つのスイッチ24を有してもよい。この場合、例えば、各スイッチ24が、過冷却度制御器21、吐出温度制御器22、蒸発器差温制御器31、吐出過熱度下限制御器32、及び吐出過熱度上限制御器33に接続される。
実施の形態4において、制御装置2がこれらのスイッチ24を有する場合、例えば、蒸発器差温制御器31に対しては、蒸発器差温が2℃以上のときは、スイッチ24の入力値を出力し、2℃未満では無効信号を出力する。一方、蒸発器6の出口に存在する冷媒の状態を推定し、その冷媒の状態が気相であればスイッチ24の入力値を出力し、その冷媒の状態が二相であれば無効信号を出力する。吐出過熱度下限制御器32に接続されるスイッチ24は、吐出過熱度が15℃以下のときは、スイッチ24の入力値を出力し、15℃より大きいときは無効信号を出力する。吐出過熱度の判定に用いられる閾値は、必ずしも15℃である必要はない。
実施の形態4では、吐出温度制御器22の入力を吐出温度上限値としているが、実施の形態3のように吐出温度目標値を吐出温度制御器22の入力としてもよい。
過冷却度制御器21、吐出温度制御器22、蒸発器差温制御器31、吐出過熱度下限制御器32、及び吐出過熱度上限制御器33の各々に対する制御パラメータは、それぞれの制御性能を向上させるために、実運転時に、その時の運転状態に応じて可変となるものでもよい。例えば、制御パラメータは、冷媒流量に応じて変化してもよい。具体的には冷媒流量が小さいときには制御ゲインを小さくし、冷媒流量が大きいときには制御ゲインを大きくしてもよい。
〈実施の形態4に係る利点〉
一般に、冷媒量が不足すると、蒸発器側で気相冷媒が占める領域が大きくなり、能力が不足し、それにより、蒸発器配管の気相領域と二相領域の温度差が大きくなる。その結果、各領域を通過する空気に温湿度差が生じ、空気中で水分が凝縮することにより露が吹き出されてしまう。このような様々な状態を考慮して制御を複雑に構成すると、通常は予め定められた許容領域に維持されるべき圧縮機の吐出過熱度が上下限値を逸脱してしまう可能性がある。そのため、吐出過熱度も高精度に制御しなければならない。
実施の形態4に係る構成によれば、吐出温度だけでなく、蒸発器差温も上限値以下で高精度に制御することができる。それにより、蒸発器6の配管内における気相領域と二相領域との温度差を小さくし、露の吹き出しを回避することができる。さらに、吐出過熱度の上限値及び下限値を保持するような膨張弁開度の範囲で制御が可能となるので、吐出過熱度が上限値及び下限値を逸脱することを回避し、冷凍サイクル装置1の信頼性を高めることができる。
以上に説明した各実施の形態における特徴は、互いに組み合わせることができる。
1 冷凍サイクル装置、 2 制御装置、 3 圧縮機、 4 凝縮器、 5 膨張弁、 6 蒸発器、 7 アキュムレータ、 8 配管、 9 冷媒回路、 11 吐出温度センサ、 12 出口温度センサ、 13 高圧圧力センサ、 21 過冷却度制御器、 22 吐出温度制御器、 23 最大選択器(第1最大選択器)、 24 スイッチ、 31 蒸発器差温制御器、 32 吐出過熱度下限制御器、 33 吐出過熱度上限制御器、 34 最小選択器、 35 最大選択器(第2最大選択器)。

Claims (7)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機、凝縮器、冷媒の流量を調整する膨張弁、蒸発器、及び前記圧縮機に冷媒を供給するアキュムレータの順に冷媒を循環させる冷媒回路と、
    前記膨張弁を制御する制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、
    冷媒の過冷却度が目標値に追従するような前記膨張弁の第1の開度を演算し、演算結果を出力する過冷却度制御器と、
    前記圧縮機から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような前記膨張弁の第2の開度を演算し、演算結果を出力する吐出温度制御器と、
    前記過冷却度制御器の出力及び前記吐出温度制御器の出力のうち、最も大きい値を出力する第1最大選択器と、
    を有し、
    前記制御装置は、前記第1最大選択器から出力された値を用いて前記膨張弁を制御する
    冷凍サイクル装置。
  2. 前記過冷却度制御器は、第1のPI制御器であり、
    前記吐出温度制御器は、第2のPI制御器であり、
    前記第1のPI制御器及び前記第2のPI制御器の各々のパラメータは、ステップ応答によるシステム同定結果を用いて算出される請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記過冷却度制御器及び前記吐出温度制御器の各々は、アンチリセットワインドアップ機能を有し、
    前記過冷却度制御器及び前記吐出温度制御器が演算する積分値が発散しない請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記制御装置は、前記過冷却度制御器からの前記出力を受け取るスイッチを有し、
    前記スイッチは、過冷却度に基づいて前記凝縮器の出口に存在する冷媒の状態が液相か二相かを判定し、
    前記凝縮器の前記出口に存在する前記冷媒の前記状態が液相であると判定された場合、前記スイッチは、前記過冷却度制御器の出力と同じ値を出力し、
    前記凝縮器の前記出口に存在する前記冷媒の前記状態が二相であると判定された場合、前記スイッチは、無効信号を出力し、
    前記第1最大選択器が前記無効信号を受け取った場合、前記第1最大選択器に入力された出力のうち、前記無効信号を除いて最も大きい値を出力する請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記吐出温度制御器は、前記圧縮機から吐出される前記冷媒の温度を、前記上限値以外の予め定められた目標値に追従させる請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記蒸発器の出口に設置された出口温度センサをさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記蒸発器から出る冷媒の温度と前記蒸発器に入る冷媒の温度との差によって算出される蒸発器差温を予め定められた上限値に追従させるような前記膨張弁の第3の開度を演算し、演算結果を出力する蒸発器差温制御器と、
    吐出過熱度を下限値に追従させるような前記膨張弁の第4の開度を演算し、演算結果を出力する吐出過熱度下限制御器と、
    吐出過熱度を上限値に追従させるような前記膨張弁の第5の開度を演算し、演算結果を出力する吐出過熱度上限制御器と、
    前記第1最大選択器の出力と前記吐出過熱度下限制御器の出力とのうち、最も小さい値を出力する最小選択器と、
    前記最小選択器の出力と前記吐出過熱度上限制御器の出力と前記吐出温度制御器の出力とのうち、最も大きい値を出力する第2最大選択器と
    を有し、
    前記第1最大選択器は、前記過冷却度制御器の出力と前記蒸発器差温制御器の出力とのうち、最も大きい値を出力し、
    前記制御装置は、前記第2最大選択器から出力された値を用いて前記膨張弁を制御する
    請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、冷媒の流量を調整する膨張弁と、前記膨張弁を制御する制御装置とを有する冷凍サイクル装置における前記膨張弁を制御する制御方法であって、
    冷媒の過冷却度が目標値に追従するような前記膨張弁の第1の開度を演算することと、
    前記圧縮機から吐出される冷媒の温度が予め定められた上限値に追従するような前記膨張弁の第2の開度を演算することと、
    前記第1の開度及び前記第2の開度のうち、最も大きい値を用いて前記膨張弁を制御することと
    を備えた制御方法。
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