JPWO2016129631A1 - 川崎病の検査方法およびキット - Google Patents

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Abstract

川崎病を迅速、簡便に検査する方法およびキットを提供する。リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン、アンジオテンシノーゲンおよびレチノール結合蛋白 4からなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを測定することを含む、川崎病の検査方法。リポ多糖結合タンパク質を特異的に検出できる試薬、ロイシンリッチα2-グリコプロテインを特異的に検出できる試薬、アンジオテンシノーゲンを特異的に検出できる試薬およびレチノール結合蛋白 4を特異的に検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、川崎病の検査キット。

Description

本発明は、川崎病の検査方法およびキットに関する。
川崎病は主に4歳以下の乳幼児にみられる急性熱性発疹性疾患であり、病態の主体は全身血管炎である。川崎病の診断は複数の主要症状(1.5日以上続く発熱 、2.両側眼球結膜の充血 、3.口唇発赤、苺舌、4.不定形発疹 、5.急性期の手指の硬性・手掌および足底紅斑、解熱後の膜様落屑、6.頸部の非化膿性リンパ節腫脹)の出現により行われている(川崎病診断の手引き)。血液検査では、白血球数・C反応性タンパク質・肝細胞逸脱酵素の上昇、赤沈の亢進、白血球分画(好中球比率)等を調べ、断層心エコー法や心血管造影法による冠状動脈病変の確認なども行われている。
川崎病は自然に軽快する疾患ではあるが、無治療で経過した場合に25〜30%の患者に冠状動脈病変に代表される心合併症が生じる。そのため、川崎病では発症早期に治療を開始し、炎症を鎮静化することが重要であり、一日でも有熱期間を短縮するとともに、心合併症の発生を防ぐことが必要である。しかし、川崎病は病因や発症メカニズムについては未だ不明であり、特異的診断検査はなく、主要症状についても個人差があり、診断基準を満たさない例も多数存在する。そのため、川崎病の迅速な確定診断は難しい。
また、川崎病の診断に関する特許としては、血中のVEGF(血管内皮増殖因子:vascular endothelial growth factor)濃度を測定する方法(特許文献1:特開平11-6832)、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定する方法(特許文献2:特開平3-139294)、その他、遺伝子多型の調査(特許文献3:特開2009-72193)などがあるが、臨床の現場で実際に活用されているものはまだない。
特開平11-6832号公報 特開平3-139294号公報 特開2009-72193号公報
本発明は、川崎病を迅速、簡便に検査する方法およびキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意努力した結果、リポ多糖結合タンパク質(Lipopolysaccharide binding protein (LBP))、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン1(Leucine-rich alpha-2-glycoprotein 1(LRG1))、アンジオテンシノーゲン(Angiotensinogen(AGT))および、レチノール結合蛋白 4(Retinol binding protein 4(RBP4))の患者血清中での発現量差が急性期(発熱時)と回復期(解熱後)間で統計的に有意(p<0.0001)であることを見出した。LBP、LRG1、AGT、RBP4については、特異的な抗体がすでに存在し、抗原抗体反応を利用して、血清もしくは血液中のこれらタンパク質量を高感度かつ簡便に測定することが可能である。今回、ごく少量の血清(もしくは全血)を用いたイムノブロット分析により、川崎病急性期において、LBP、LRG1、AGTが多く発現し、RBP4の発現は低いことを発見した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン、アンジオテンシノーゲンおよびレチノール結合蛋白 4からなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを測定することを含む、川崎病の検査方法。
(2)リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する(1)記載の方法。
(3)レチノール結合蛋白 4について、被験者由来の検体中のレベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する(1)記載の方法。
(4)被験者が川崎病の治療を受けている患者であり、リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが低いあるいは低下した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが高いあるいは低下しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定する(1)記載の方法。
(5)被験者が川崎病の治療を受けている患者であり、レチノール結合蛋白 4について、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが高いあるいは上昇した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが低いあるいは上昇しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定する(1)記載の方法。
(6)被験者由来の検体が、血清又は全血である(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)リポ多糖結合タンパク質を特異的に検出できる試薬、ロイシンリッチα2-グリコプロテインを特異的に検出できる試薬、アンジオテンシノーゲンを特異的に検出できる試薬およびレチノール結合蛋白 4を特異的に検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、川崎病の検査キット。
(8)試薬が抗体である(7)記載のキット。
川崎病と診断される患者は年間1万人程度である。それ以外の原因不明の小児の熱性疾患患者数も非常に多く、これら患者に対して初期スクリーニング検査として、川崎病診断を行うようになれば市場規模は大きい。また、重症度の判定にも応用できれば、治療薬として高価なガンマグロブリン製剤を無為に使用することも避けられ、医療費の節約にもつながる。
本発明により、主要症状による診断に加えて、患者負担が少ない検査方法で、非常に高い確率で迅速に川崎病を診断できる。また、川崎病の治療効果の確認もできる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2015‐024506の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
Anti-LBP antibodyを用いたWestern blot像。同一番号が同一患者の血清で、急性期と回復期が対応している。 Anti-LRG1[EPR 12362] antibodyを用いたWestern blot像。同一番号が同一患者の血清で、急性期と回復期が対応している。 Anti-LBP antibodyを用いたWestern blotで検出されたバンドの強度を数値化してプロットしたグラフ。標準タンパク質(2.5 ng)を100とした時の各相対量をプロットした。 Anti-LRG1[EPR 12362] antibodyを用いたWestern blotで検出されたバンドの強度を数値化してプロットしたグラフ。標準タンパク質(10 ng)を100とした時の各相対量をプロットした。 Anti-ATG antibodyを用いたWestern blot像。同一患者の血清で、急性期と回復期が対応している。 Anti-ATG antibodyを用いたWestern blotで検出されたバンドの強度を数値化してプロットしたグラフ。検出したバンドの強度をそのまま使用してグラフ化した。 Anti-LBP, LRG1, AGT, RBP4 antibodyを用いたWestern blot(左)。川崎病患者10名 (No.1〜10) の血清 (同一患者の急性期・回復期) を使用。Western blotで検出されたバンドの強度を数値化して、強度をそのままプロットしたグラフ(右)。NS : non-significant LBP、LRG1、AGT、RBP4のELISAの結果。川崎病急性期と回復期、小児健常者(アレルギー検査時)との間での発現量の比較。縦軸は血清中タンパク質濃度を示している。 *** : p < 0.001, ** : p < 0.01, * : p < 0.1, NS : non-significant ELISAの結果に基づくLBP、LRG1、AGT、RBP4の変動。同じ患者42名の川崎病急性期と回復期、その他小児健常者(アレルギー検査時)との間での発現量の変動。縦軸は血清中タンパク質濃度を示し、急性期と回復期を線で結んだ。 *** : p < 0.001, ** : p < 0.01, * : p < 0.1, NS : non-significant LBP、LRG1、AGT、RBP4のELISAの結果。川崎病急性期とその他小児疾患患者の間での発現量の比較。縦軸は血清中タンパク質濃度を示している。 *** : p < 0.001, ** : p < 0.01, * : p < 0.1, NS : non-significant LBP、LRG1、AGT、RBP4のROC(Receiver Operatorating Characteristic curve、受信者動作特性曲線)解析の結果。縦軸に感度% (真に川崎病である人を検査したときに陽性となる割合) 、横軸に100%−特異度% (川崎病以外の疾患を川崎病であると誤診する割合) をとった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン、アンジオテンシノーゲンおよびレチノール結合蛋白 4からなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを測定することを含む、川崎病の検査方法を提供する。
リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。本発明者らは、川崎病急性期において、これらタンパク質が多く発現していることを確認した(後述の実施例参照)。
レチノール結合蛋白 4については、被験者由来の検体中のレベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。本発明者らは、川崎病急性期において、このタンパク質の発現が減少していることを確認した(後述の実施例参照)。
よって、本発明の方法は、川崎病の診断(川崎病への罹患の有無の判定)に利用できる。
川崎病への罹患の有無、特に、他の疾患と区別して診断する、その判断には、後述の実施例の表1下のカットオフ値(acute vs control)を用いることができる。例えば、リポ多糖結合タンパク質(LBP)の血清濃度が40.49μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以上である場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記血清濃度が40.49μg/mL未満である場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。ロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)については、血清濃度が391.3μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以上である場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記血清濃度が391.3μg/mL未満である場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。アンジオテンシノーゲン(AGT)については、血清濃度が68.83μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以上である場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記血清濃度が68.83μg/mL未満である場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。レチノール結合蛋白 4(RBP4)については、血清濃度が4.575μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以下である場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記血清濃度が4.574μg/mLより高い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。ただし、上記のカットオフ値は、表1の下を参照し、ROC曲線をもとに、特異度が95%の時をbest、特異度が90%の時をbetter、特異度が80%の時をgoodとして変更してもよい。
また、被験者が川崎病の治療を受けている患者であれば、リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが低いあるいは低下した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが高いあるいは低下しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。本発明者らは、川崎病の急性期と回復期を比較し、回復に伴いこれらタンパク質が減少することを確認した(後述の実施例参照)。
レチノール結合蛋白 4については、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが高いあるいは上昇した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが低いあるいは上昇しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。本発明者らは、川崎病の急性期と回復期を比較し、回復に伴いこれらタンパク質が増加することを確認した(後述の実施例参照)。
よって、本発明の方法は、川崎病患者の病状の変化、現在の病状、予後の検査や川崎病の治療効果の確認にも利用できる。
川崎病からの回復を判断するには、後述の実施例の表1下のカットオフ値(acute vs recovery)を用いることができる。例えば、被験者が川崎病の治療を受けている患者であれば、リポ多糖結合タンパク質(LBP)について、被験者由来の検体中の血清濃度を1回または異なる時期に複数回測定し、前記血清濃度が56.54μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以下である場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記血清濃度が56.54μg/mLより高い場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。ロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)については、被験者由来の検体中の血清濃度を1回または異なる時期に複数回測定し、前記血清濃度が369.7μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以下である場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記血清濃度が369.7μg/mLより高い場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。アンジオテンシノーゲン(AGT)については、被験者由来の検体中の血清濃度を1回または異なる時期に複数回測定し、前記血清濃度が101.9μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以下である場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記血清濃度が101.9μg/mLより高い場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。レチノール結合蛋白 4(RBP4)については、被験者由来の検体中の血清濃度を1回または異なる時期に複数回測定し、前記血清濃度が6.759μg/mL(特異度が95%の時の濃度)以上である場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記血清濃度が6.759μg/mLより低い場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定することができる。ただし、上記のカットオフ値は、表1の下を参照し、ROC曲線をもとに、特異度が95%の時をbest、特異度が90%の時をbetter、特異度が80%の時をgoodとして変更してもよい。
被験者由来の検体としては、血清、全血などを例示することができる。
本発明は、リポ多糖結合タンパク質を特異的に検出できる試薬、ロイシンリッチα2-グリコプロテインを特異的に検出できる試薬、アンジオテンシノーゲンを特異的に検出できる試薬およびレチノール結合蛋白 4を特異的に検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、川崎病の検査キットも提供する。
試薬としては、抗体が好ましく、リポ多糖結合タンパク質に特異的に結合する抗体、ロイシンリッチα2-グリコプロテインに特異的に結合する抗体、アンジオテンシノーゲンに特異的に結合する抗体、レチノール結合蛋白 4に特異的に結合する抗体であるとよい。このような抗体は、市販されており、利用可能である。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよい。抗体は、放射性同位元素、酵素、発光物質、蛍光物質、ビオチンなどで標識されてもよい。また、ターゲット分子(本発明では、LBP、LRG1、ATG、RBP4)に特異的に結合する一次抗体の反応後、この一次抗体に結合する二次抗体を反応させて、ターゲット分子の検出を行う場合には、二次抗体を標識するとよい(一次抗体は標識しない)。
この他、本発明のキットには、標準タンパク質(LBP、LRG1、ATG、RBP4)、バッファー、基質(抗体が酵素標識されている場合)、反応停止液、洗浄液、反応容器、使用手引書などを含めてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕
(方法)
川崎病患者急性期55症例と回復期51症例の血清(横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立こども医療センター、公立昭和病院より供与)を使用し、2種類のタンパク質について以下の操作を行った。
Western blotによる血清中の各タンパク質発現量の確認
各血清0.1 μLを試料用緩衝液と混合し、95℃で5分間加熱後、15,000 rpm、室温、5分間遠心したものを試料とした。Perfect NT Gel(DRC)を用いて、300Vの定電圧で電気泳動を行い、タンパク質を分離した。電気泳動後、Perfect NT Gelからセミドライブロッティング装置(Trans-Blot Turbo System(BioRad))を使用し、PVDF膜へ転写した。転写後のPVDF膜をブロッキング溶液に浸した後、室温で1時間振盪し、ブロッキング処理を行った。ブロッキング処理を行ったPVDF膜は抗体希釈用緩衝液で希釈した抗体(Anti-LBP antibody(GeneTex)は3,000倍希釈、Anti-LRG1[EPR 12362] antibody(abcam)は5,000倍希釈)と室温で16〜18時間反応させた。反応後、それぞれのPVDF膜を10分間、3回、0.05%[v/v] Tween20を含むTBS(TBS-T)で洗浄し、抗体希釈用緩衝液で、5,000倍希釈した標準抗ラビットIgG-HRPと室温で1時間反応させた。反応後、再度10分間、3回、TBS-Tで洗浄し、ECL Select Western Blotting Detection Reagent (GE Healthcare)を基質として用い、LAS-4000 EP UV mini PRH(富士フィルム)にて検出した。
その後、得られた画像から、MultiGauge Analysis Software (ver. 3.11,富士フイルム)によって、バンドの強度を数値化し、市販の組換えタンパク質(Recombinant Human LBP (R&D Systems) [2.5 ng]、Recombinant Human LRG1(Novoprotein) [10 ng])を定量解析用の標準タンパク質として用い、標準タンパク質のバンドの強度を100とした時の各バンドの相対量を計算した。得られた数値をグラフ化するとともに、GraphPad Prism(ver. 5,MDF)を用いて急性期と回復期でマンホイットニ検定を行った。
(結果)
LBPとLRG1に対する抗体を用いたWestern blot法により、これらのタンパク質が川崎病の急性期に特異的に発現しているかどうかを検証した。通常、電気泳動においても高濃度タンパク質は、他のタンパク質分離の障害となる。しかし、今回着目したLBPとLRG1は発現量も多く、特異性の高い抗体が存在したため、2つのタンパク質を検出するために用いる血清量が共に0.1 μLと少なかった。そのため、本実験では高濃度タンパク質を除去せずに、川崎病患者急性期55症例と回復期51症例の血清全てをSDS-PAGEゲルで分離し、発現量を調べた(図1, 2)。その結果、LBPとLRG1の発現量について、急性期と回復期で、共にp<0.0001と有意な差が認められた。その結果をLBPを図3にLRG1を図4に示した。
(考察)
LBPは、細菌感染時に血液中に高濃度に存在するタンパク質であり[International Immunology,22:271-280,2010.]、グラム陰性菌細胞膜の構成成分であるリポ多糖(LPS)と高い親和性を持ち、複合体を形成する。このLBP-LPS複合体がマクロファージ等の細胞膜上に存在するCD14に運ばれ、Toll様受容体4に結合し[Journal of Periodontal Research,49:1-9,2014.]、シグナル伝達経路を働かせ、種々の炎症性サイトカインの分泌を促進することがわかっている。また、LBPは小児期の有熱性尿路感染症や敗血症において、発現上昇が報告されている[Pediatric Nephrology,28,1091-1097,2013.]。したがって、川崎病においても細菌等が感染し、その結果としてLBPの発現が増加した可能性が考えられた。
一方、LRG1も血液中に存在し、新規炎症マーカータンパク質として同定されており、関節リウマチやがん、炎症性腸疾患、LPS投与によるマクロファージの活性化などで発現が上昇するとの報告がある[Annals of the Rheumatic Diseases,69:770-774,2010.、Biochem Biophys Res Commun,382:776-779,2009.、Proc Natl Acad Sci U S A. 110,E2332-E2341,2013.]。また、近年、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のシグナル伝達の調節を介して、血管新生を促進していることが報告されている[Nature,499:306-311,2013.]。TGF-βはVEGFの発現にも関与しており、VEGFは川崎病急性期患者の血清中に高濃度に存在すると言われている[Pediatric Research,44:596-599,1998.]。川崎病患者の冠動脈瘤と心筋において、炎症と血管新生が見られるとの報告もある[Pediatric Cardiology,26:578-584,2005.]。そのため、LRG1が心筋における冠動脈瘤形成または心筋における炎症に関与している可能性が示唆される。
さらにLBPとLRG1は血液中での濃度が高く容易に検出することができる。そのため、この2つのタンパク質の発現量、その両方を診断の基準とすることで、医師の主観や経験に影響され、誤診や見逃しの恐れがある主要症状に基づく診断方法に加え、正確かつ迅速に診断できる可能性があると考える。
〔実施例2〕
(方法)
川崎病患者急性期20症例と回復期20症例の血清(横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立こども医療センター、公立昭和病院より供与)を使用し、2種類のタンパク質について以下の操作を行った。
Western blotによる血清中の各タンパク質発現量の確認
各血清0.05 μLを試料用緩衝液と混合し、95℃で5分間加熱後、15,000 rpm、室温、5分間遠心したものを試料とした。Perfect NT Gelを用いて、300Vの定電圧で電気泳動を行い、タンパク質を分離した。電気泳動後、Perfect NT Gelからセミドライブロッティング装置(Trans-Blot Turbo System)を使用し、PVDF膜へ転写した。転写後のPVDF膜をブロッキング溶液に浸した後、室温で1時間振盪し、ブロッキング処理を行った。ブロッキング処理を行ったPVDF膜は抗体希釈用緩衝液で100倍希釈したAnti-AGT antibody(IBL)と室温で16〜18時間反応させた。反応後、それぞれのPVDF膜を10分間、3回、TBS-Tで洗浄し、抗体希釈用緩衝液で、5,000倍希釈した標準抗マウスIgG-HRPと室温で1時間反応させた。反応後、再度10分間、3回、TBS-Tで洗浄し、ECL Select Western Blotting Detection Reagentを基質として用い、LAS-4000 EP UV mini PRHにて検出した。その後、得られた画像から、MultiGauge Analysis Softwareによって、バンドの強度を数値化し、得られた数値をグラフ化するとともに、GraphPad Prism(ver. 5,MDF)を用いて急性期と回復期でマンホイットニ検定を行った。
(結果)
AGTに対する抗体を用いたWestern blot法により、このタンパク質が川崎病の急性期に特異的に発現しているかどうかを検証した。AGTは、LBPとLRG1同様、発現量も多く、特異性の高い抗体が存在したため、検出するために用いる血清量は0.05 μLと少なかった。そのため、本実験では高濃度タンパク質を除去せずに、川崎病患者急性期20症例と回復期20症例の血清全てをSDS-PAGEゲルで分離し、発現量を調べた(図5)。その結果、AGTの発現量について、急性期と回復期で、p<0.0006と有意な差が認められた(図6)。
(考察)
AGTはアンジオテンシンの前駆体であり、レニンーアンジオテンシン系においてアンジオテンシンI、IIへと分解される。AGTは高血圧や糖尿病、慢性腎炎において増加し、高血圧および腎障害の発症と進展に関して、重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、川崎病との関連については知られておらず、本発明で初めて得られた知見である。
〔実施例3〕
(方法)
血清は、横浜市立大学付属病院、神奈川県立こども医療センター、公立昭和病院、国立感染症研究所、神戸大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センター、横浜市立大学付属市民総合医療センターから提供されたものである(表1上)。検体はすべて提供者からの包括同意が得られている。
・川崎病患者急性期血清 (acute):55名の患者の発熱時の血清
・川崎病患者回復期血清 (recovery):51名の患者の解熱後の血清
・ウイルス感染症患者血清 (G1):106名
(RSウイルス21 名、インフルエンザAウイルス 23名、インフルエンザBウイルス 20名、ロタウイルス 20名、ノロウイルス 7名、アデノウイルス3名、咽頭アデノウイルス12名)
・細菌感染症患者血清 (G2):21名
(肺炎球菌 1名、肺炎桿菌1名、グラム陰性桿菌 1名、グラム陰性桿菌1名、溶連菌 7名、大腸菌3名、黄色ブドウ球菌 2名、表皮ブドウ球菌1名、ミクロコッカス 1名、セラチア1名、ディフィシル菌 1名)
・自己免疫疾患患者血清 (G3):24名
(特発性血小板減少性紫斑病3名、小児リウマチ2名、GVHD (移植片対宿主病) 1名、VAHS (ウイルス関連血球貪食症候群) 1名、若年性特発性関節炎 17名)
・健常者血清 (アレルギー検査時の採血による) (Healthy):13名
Western blotによる血清中の各タンパク質発現量の確認
血清は、川崎病患者10名 (同一患者の急性期・回復期における血清)から得られた。これらを、PBS-Tで希釈し、1ウェルあたり血清が0.1 μL含まれるよう、希釈した血清と2×試料用緩衝液と等量混合してミリQ水により総液量10 μLにした。LRG1定量解析用の試料は、95℃で5分間加熱してから用いた。その後、21,600×g、室温、5分間遠心した上清を泳動用試料とした。作製したゲルを電気泳動槽に設置し、電極液を満たした。試料を各ウェルに入れ、300 Vの定電圧で電気泳動を行い、血清中のタンパク質を分離した。
電気泳動後、転写装置を使用し、PVDF膜へ転写した。転写後のPVDF膜をブロッキング溶液に浸した後、室温で1時間振盪し、ブロッキング処理を行った。ブロッキング処理を行ったPVDF膜は、抗体希釈用緩衝液で希釈した一次抗体を16〜18時間反応させた (各抗体希釈倍率は各々次の通りである。anti-LRG1 antibody:5,000倍、anti-AGT antibody:100倍、anti-RBP4 antibody:1,000倍) 。反応後、それぞれのPVDF膜を10分間、3回、TBS-Tで洗浄し、抗体希釈用緩衝液で5000倍希釈したanti-rabbit IgG-HRPまたはanti-mouse IgG-HRPと室温で1時間反応させた。反応後、再度10分間、3回、TBS-Tで洗浄し、二次標識抗体検出試薬を基質としてLAS-4000 EP UV mini PRHにて撮影を行った。バンドの強度をMultiGauge Analysis Softwareにより数値化した。
ELISA法による川崎病特異性の検証
川崎病関連タンパク質LBP、LRG1、AGT、RBP4について、川崎病および川崎病以外の小児疾患患者、健常者血清中の濃度をELISA法により測定し、各群間での有意差検定を行った。川崎病患者血清 (急性期55検体、回復期51検体) 、対照群として、小児健常者血清13検体、その他の小児疾患患者血清 ( ウイルス感染症106検体、細菌感染症21検体、自己免疫疾患24検体) を用いた。血清はそれぞれ、LBPは4000倍希釈、LRG1は5000倍希釈、AGTは10000倍希釈、RBP4は2500倍希釈したものを使用した。希釈溶液、洗浄溶液、検出試薬などの試薬と反応時間等の方法は、各タンパク質のELISAキットのプロトコルに従った。
統計解析
Western blot法の結果から得られた患者血清中での発現量に関する川崎病急性期と回復期間での有意差検定、およびELISA法の結果から得られた各タンパク質の血清中濃度に関する川崎病急性期と各群 (川崎病回復期、小児健常者、他の小児疾患) の 間での有意差検定は、統計解析ソフトGraph Pad Prismを用いて行った。また、川崎病バイオマーカーとしての有用性の検証のために、川崎病急性期 (55検体) と回復期 (51検体) 間および川崎病急性期と川崎病以外の他の小児疾患 (前項144検体) との間でROC解析を行い、AUCを算出した。
(結果)
Western blot法による新規川崎病関連タンパク質候補の検出
血清プロテオーム解析の結果より得られた川崎病関連タンパク質候補の中から、Western blot法を用いて川崎病急性期血清中で特異的に発現量が変動するタンパク質を調べた。その結果、新たに1種類のタンパク質RBP4が急性期で血清中発現量が有意に減少していることがわかった (p < 0.002) (図7) 。
ELISA法による川崎病関連タンパク質の特異性の検証
先の結果から川崎病関連タンパク質として見出したLBP、LRG1、AGTと新たに見出したRBP4について、川崎病患者血清 (急性期、回復期) と小児健常者血清、川崎病以外の小児疾患患者血清 (ウイルス感染症、細菌感染症、自己免疫疾患) を用いてELISA法により血清中タンパク質濃度を測定した(表1上)。川崎病患者および健常者の血清中の各タンパク質濃度を比較した結果、LBP、LRG1、AGT、RBP4はすべて、川崎病急性期と回復期間で血清中発現量が有意に変動していることが示された (p < 0.001) (図8) 。特に、LRG1については、全ての患者で回復に伴い減少することが確認された(図9)。また、LBP、LRG1、RBP4については、川崎病急性期患者と健常者間を比較したときにも有意な差が認められた (p < 0.001) (図9)。
また、ELISA法により川崎病以外の小児疾患患者血清中でのLBP、LRG1、AGT、RBP4の濃度を調べた (図10, 表1上)。その結果、川崎病急性期とウイルス感染症または免疫疾患患者間では、全てのタンパク質について有意な差が認められた。一方、川崎病急性期と細菌感染症間では、LRG1とRBP4については有意な差が認められたが、LBP、AGTについては有意差が認められなかった。
ROC解析によるバイオマーカー特異性・感度の検証
川崎病関連タンパク質LBP、LRG1、AGT、RBP4について、川崎病診断における疾患特異性および有用性を明らかにするため、川崎病急性期と回復期間、および川崎病急性期と他の小児疾患との間でROC曲線を作成した (図11) 。診断性能は、AUC値の大きさにより判断した。その結果、LRG1のAUCの値が、川崎病急性期と回復期との間で0.9615、川崎病急性期と他の疾患との間で0.9636であり、4種類のタンパク質の中でもLRG1が川崎病の診断、および、他の疾患との鑑別に最も優れていることが示された。また、LBPのAUC値が川崎病急性期と回復期との間で0.8966、川崎病急性期と他の疾患との間で0.8497であり、LRG1に次いでLBPが診断に有用であることが示された。
さらに、図11のデータを基に統計解析ソフトGraph Pad Prismを用いて、カットオフ値、感度及び特異度を算出した(表1下)。
カットオフ値(best);特異度が95%になるときの濃度。
カットオフ値(better);特異度が90%になるときの濃度。
カットオフ値(good);特異度が80%になるときの濃度。
感度;真に川崎病である患者を陽性であると診断する割合。
100%−特異度;川崎病以外の患者を川崎病であると誤診する割合。
[表1]
(考察)
レチノール結合蛋白(Retinol-binding protein:RBP)は肝臓で合成される分子量21 kDaの蛋白質で、肝臓に蓄積されているビタミンA(レチノール)を結合・分泌して標的臓器(細胞)に輸送する働きがある。RRBP4は肝臓また脂肪細胞で産生されるRBPで、血液(血漿)中に分泌されることからPlasma RBP(PRBP)とも表記される。RBP4は糖尿病やインスリン抵抗性に関与していることが指摘されており、栄養状態や肝像のタンパク質合成能を速やかに反映するマーカーとして利用されている。しかし、川崎病との関連については知られていない。
川崎病の病因は未だ不明であり、免疫系に何らかの異常が生じて病態が引き起こされている可能性が示唆されている。また、患者急性期血清中においてはCRPやSAAなどの炎症性タンパク質が過剰に存在しており、一般血液検査でも参考項目として血清中濃度が調べられる。しかし、そのような炎症性タンパク質の多くは非特異的な全身性の炎症・血管炎を反映したものであり、川崎病を特異的に鑑別するものではない。
。そのため、そのようなタンパク質以外で、他の疾患と区別することができる診断マーカーを開発することが重要である。本研究により、川崎病関連タンパク質LBP、LRG1、AGT、RBP4の患者血清中濃度を調べることにより、川崎病を特異的に診断できることが示唆された。特に、LBP、LRG1の診断性能が良好であることがわかった。川崎病の病態は非常に広範囲に渡っており、発症には多くの機序が関わっていると予想される。本研究で見いだされた4種類のタンパク質はいずれも血液中に高濃度で存在することから、これらタンパク質を指標にすることで簡便かつ精度の高い川崎病診断法の開発が可能であると考える。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
本発明は、川崎病の診断や治療効果の確認に利用できる。
[表1]
ELISAに用いた患者情報と、ELISAで決定した各群のLBP、LRG1、AGT、RBP4の血清中濃度(平均値)および各カットオフ値(best、better、good)

Claims (8)

  1. リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン、アンジオテンシノーゲンおよびレチノール結合蛋白 4からなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを測定することを含む、川崎病の検査方法。
  2. リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する請求項1記載の方法。
  3. レチノール結合蛋白 4について、被験者由来の検体中のレベルが低い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが高い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する請求項1記載の方法。
  4. 被験者が川崎病の治療を受けている患者であり、リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテインおよびアンジオテンシノーゲンからなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが低いあるいは低下した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが高いあるいは低下しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定する請求項1記載の方法。
  5. 被験者が川崎病の治療を受けている患者であり、レチノール結合蛋白 4について、被験者由来の検体中のレベルを1回または異なる時期に複数回測定し、前記レベルが高いあるいは上昇した場合に、治療により川崎病から回復したと判定し、前記レベルが低いあるいは上昇しない場合に、治療により川崎病から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定する請求項1記載の方法。
  6. 被験者由来の検体が、血清又は全血である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. リポ多糖結合タンパク質を特異的に検出できる試薬、ロイシンリッチα2-グリコプロテインを特異的に検出できる試薬、アンジオテンシノーゲンを特異的に検出できる試薬およびレチノール結合蛋白 4を特異的に検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、川崎病の検査キット。
  8. 試薬が抗体である請求項7記載のキット。
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