JPWO2016111130A1 - ポリマーブレンド組成物、フレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)下記一般式(1)および一般式(2)を構成単位として含むポリアミドイミド樹脂(樹脂α)を必須成分とし、樹脂α中の一般式(1)と一般式(2)のモル比が一般式(1)/(2)=55/45〜90/10とする
(一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2およびR3は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。)
(2)下記一般式(3)を構成単位として含む樹脂αとは異なる組成のポリアミドイミド樹脂(樹脂β)を必須成分とする
(一般式(3)中、R4およびR5は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。)
本発明のポリマーブレンド組成物は、二成分以上のポリアミドイミド樹脂を含有し、要件(1)および(2)を満足する組成物である。二成分以上のポリアミドイミド樹脂は均一に混合されていることが好ましく、例えば、有機溶媒に溶解したポリアミドイミド樹脂ワニスの2種類以上を均一に混合し、溶媒を除去することなどにより得られる。
要件(1)について説明する。要件(1)は、一般式(1)及び一般式(2)を構成単位として含むポリアミドイミド樹脂(以下、樹脂αともいう)を必須成分とする。好ましくは一般式(1)及び一般式(2)に示す基本構造を繰り返し単位として含んだポリアミドイミド樹脂である。
一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2およびR3は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。好ましい炭素数は、1以上3以下であり、より好ましくは2以下である。特に好ましくは、R1、R2、R3とも水素である。
要件(2)について説明する。要件(2)は、一般式(3)を構成単位として含む樹脂αとは異なる組成のポリアミドイミド樹脂(以下、樹脂βともいう)を必須成分とする。好ましくは一般式(3)に示す基本構造を繰り返し単位として含んだポリアミドイミド樹脂である。
一般式(3)中、R4およびR5は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を示す。好ましい炭素数は、1以上3以下であり、より好ましくは2以下である。特に好ましくは、R4、R5とも炭素数1である。
無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
〈アミン成分〉
o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、或いはこれらに対応するジイソシアネートである。
ポリアミドイミド樹脂αと樹脂βの分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.1から2.8dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.3から2.5dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が0.1dl/g未満ではフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となるおそれがあり、また、2.8dl/gを超えると溶液粘度が高くなる為、成形加工が困難となることがある。適正な溶液粘度としては、25℃でのΒ型粘度が、50〜1000dPa・sの範囲である。該粘度が上記範囲を外れると塗工性が低下することがある。
本発明のフィルムは、ポリマーブレンド組成物を含有するフィルムであり、上記のポリマーブレンド組成物溶液(ワニス)を用いて製造することが出来る。金属箔、エンドレスベルト、ドラム、キャリアフィルム等の支持体上に、前記ポリマーブレンド組成物溶液(ワニス)を塗布し、塗膜を乾燥、場合により、該支持体よりフィルムを剥離後、熱処理することにより形成される。
ポリマーブレンド組成物を金属箔等の支持体に塗布する方法としては、従来公知の方法を適用することができ、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ドクタ、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどにより塗布することができる。
ポリマーブレンド組成物溶液をキャスティング後の乾燥条件は、特に限定されないが、一般的にはポリマーブレンド組成物溶液に使用する溶媒の沸点(Tb(℃))より70〜130℃低い温度で初期乾燥した後、溶媒の沸点近傍または沸点以上の温度でさらに二次乾燥(熱処理)するのが好ましい。初期乾燥温度が(Tb−70)℃より高いと、塗工面に発泡が生じたり、樹脂層(ポリマーブレンド組成物層)の厚み方向での残溶剤のムラが大きくなるため、フィルムの弛みが発生する場合がある。また、このフィルムが積層されたフレキシブル金属積層体に反り(カール)が発生する場合があり、これを回路加工したフレキシブルプリント基板の反りも大きくなることがある。
また、乾燥温度が(Tb−130)℃より低いと乾燥時間が長くなり、生産性が低下することがある。初期乾燥温度は溶媒の種類によっても異なるが、一般には60〜150℃程度、好ましくは80〜120℃程度である。初期乾燥に要する時間は、一般には上記温度条件下で、塗膜中の溶媒残存率が5〜40重量%程度になるのに有効な時間とすればよいが、一般には1〜30分程度、特に2〜15分程度である。
本発明のフレキシブル金属積層体は前記フィルムと金属箔とが接着剤を介さずに直接積層した2層金属積層体であることが好ましい。製造方法としては、ラミネート法、キャスティング法が挙げられ、特に限定はないが、加工性、安価に製造可能なキャスティング法で製造することが好ましい。
実験例で得られたポリアミドイミド樹脂サンプル(樹脂α、樹脂β)を用い、ポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した。その溶液の溶液粘度、及び、溶媒粘度を30℃で、ウベローデ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
上記式中、V1はウベローデ型粘度管により測定した溶液粘度を示し、V2はウベローデ型粘度管により測定した溶媒粘度を示すが、V1及びV2はポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求めた。また、V3は、ポリマー濃度(g/dl)である。
実験例で得られたポリアミドイミド樹脂サンプル(樹脂α、樹脂β)を用い、ポリマー樹脂溶液の重量が0.20gとなるように秤量し(W1)、240℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥後、再度重量を測定し(W2)、揮発せず残存したポリマー量からポリマー濃度を算出した。
ポリマー濃度(重量%)=(W2/W1)×100
実験例で得られたポリアミドイミド樹脂サンプル(樹脂α、樹脂β)を金属箔に塗工、乾燥した後、35%の塩化第二鉄水溶液に浸漬させ、金属箔を完全に除去(エッチング)し、単層のエッチングフィルムを得た。
TMA(熱機械的分析装置/セイコーインスツル(株)社製)引張荷重法により以下の条件で測定した。ガラス転移温度は、昇温での吸熱曲線において、吸熱ピークが出る前のベースラインと、吸熱ピークに向かう接線との交点とした。歪み量はベースラインの変曲点と吸熱ピーク点の変化長より算出した。サンプルは、実験例で得られたフレキシブル金属積層体の金属箔をエッチングした後のフィルム部分を用いた。
荷重:5g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
TMA(熱機械的分析装置/セイコーインスツル(株)社製)を用いて引張荷重法により以下の条件で測定した。サンプルは実験例で得られたフレキシブル金属積層体の金属箔をエッチングした後のフィルム部分を用いた。CTEは、100〜200℃における平均値より算出した。CTEが低いほど寸法安定性が高いと判断される。
荷重:5g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
金属箔の光沢度はJIS Z8741−1997に記載されている鏡面光沢度測定方法に準拠し、入射角60°で光源を照射し、反射角60°で反射した光の強度を測定した。ここでいう入射角は、光の照射面に対する直角方向を0°としている。測定機器は日本電色(株)のVG200グロスメータを用いて測定を行った。測定は金属箔の樹脂塗布面を測定した。
実験例で得られたフレキシブル金属箔積層体サンプルをIPC−FC241(IPC−TM−650,2.4.9(A))に従い、サブトラクティブ法により回路パターンを作製し、金属箔とフィルム(ポリマーブレンド組成物層)との接着強度を測定した。
実験例で得られたフレキシブル金属箔積層体の金属箔をエッチングした後のフィルム部分を用い、測定機器は日本分光(株)の分光光度計V650を用いて、測定した。平行光透過率を測定するため、拡散光を受光してしまう積分球ユニットは使用せず、標準状態で測定した。
測定範囲:300〜800nmとし、600nmでの値を読み取った。
実験例で得られたフレキシブル金属箔積層体の金属箔をエッチングした後のフィルム部分を用い、測定機器は日本電色工業(株)製NDH2000を用い、JIS−K7136に準拠して測定した。散乱光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表した。
樹脂αおよび/または樹脂βをポリマー濃度が表1記載にした値になるように仕込んだ。希釈溶剤としてはジメチルアセトアミドを用い、100℃のオイルバス中で2時間均一になるまで攪拌し、室温まで冷却し、ポリマーブレンド組成物を得た。ブレンドを実施しない場合はジメチルアセトアミドで表1記載のポリマー濃度に希釈した。
無水トリメリット酸(86モル%、86.46g)、無水ピロメリット酸(7モル%、10.91g)、4、4'−ジイソシアネートジフェニルエーテル(75モル%、93.64g)、1,4−フェニレンジイソシアネート(25モル%、19.82g)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(0.76g)にN−メチル−2−ピロリドン(390.24g)を加え、ポリマー濃度30重量%でセパラブルフラスコに仕込んだ。100℃のオイルバス中で5時間反応させた後、無水フタル酸(7モル%、7.41g)投入し、1時間攪拌後、N−メチル−2−ピロリドン(291.09g)を加え、ポリマー濃度20重量%に希釈し、室温まで冷却した後にポリアミドイミド樹脂(α−1)を得た。
無水トリメリット酸(100モル%、76.85g)、ジフェニルメタンジイソシアネート(100モル%、99.10g)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(0.61g)にN−メチル−2−ピロリドン(564.38g)を加え、ポリマー濃度20重量%でセパラブルフラスコに仕込んだ。100℃のオイルバス中で5時間反応させた後、N−メチル−2−ピロリドン(235.16g)を加え、ポリマー濃度15重量%に希釈し、室温まで冷却し、ポリアミドイミド樹脂を得た。
無水トリメリット酸(80モル%、41.50g)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(12.5モル%、10.88g)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(7.5モル%、5.96g)、o−トリジンジイソシアネート(100モル%、71.36)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(0.21g)にN−メチル−2−ピロリドン(600.24g)を加え、ポリマー濃度15重量%でセパラブルフラスコに仕込んだ。100℃のオイルバス中で5時間反応させた後、室温まで冷却し、ポリアミドイミド樹脂(β−1)を得た。
無水トリメリット酸(100モル%)、o−トリジンジイソシアネート(80モル%)、トリレンジイソシアネート(20モル%)を用いて、合成例3と同じ条件で実施し、樹脂β−2を得た。
表1、2に示すように樹脂αのブレンド比率を変更したポリマーブレンド組成物を用いて、電解銅箔(商品名「CF−T9DA−SV」:福田金属箔粉工業(株)製:Rz=0.75μm、光沢度=500)にナイフコーターを用いて塗布し、90℃で8分間初期乾燥した。次いで、真空下で十分に溶剤が揮発するまで乾燥を行い、金属積層体を得た。
樹脂αのブレンド比率が増加することで、接着強度の向上が確認され、また透過率の向上、ヘイズの低減が確認されたことから、樹脂αの存在が本発明において、必要不可欠であることが分かる。また樹脂αのブレンド比率が増加することで、線膨張係数も増加しており、ブレンド比率が高くすることで、銅との線膨張係数の乖離が大きくなるため、ブレンド比率の制御も重要であることがわかる。
表1、2に示すように、樹脂αの樹脂組成を変えた以外は実験例1と同様の条件で、金属積層体を得た。
樹脂αの組成を変更することで、金属積層体の特性が大幅に悪化した。このことから、樹脂αの組成が本発明において重要であることがわかる。
表1、2に示すように、樹脂α単独のブレンド比率に変えた以外は実験例1と同様の条件で金属積層体を得た。
樹脂α単独では線膨張係数が十分ではないことが確認された。このことから、樹脂βの存在が本発明において重要であることがわかる。
表1、2に示すように樹脂βの組成、ブレンド比率を変えた以外は実験例1と同様の条件で金属積層体を得た。
実験例1と同様に樹脂αのブレンドにより接着強度、光線透過率、ヘイズの向上が確認された。このことからも樹脂αの存在が本発明において重要であることがわかる。
表2に示すように、銅箔(商品名「CF−T4X−SV」:福田金属箔粉工業(株)製:Rz=1.28μm、光沢度=90)を変えた以外は実験例1と同様の条件で、金属積層体を得た。
銅箔の表面粗度Rzを高くし、光沢度を低くすることで、接着強度の向上は確認されたが、透過率、ヘイズが大幅に悪化することが確認された。このことから、銅箔特性が本発明において重要であることがわかる。
Claims (11)
- 二成分以上のポリアミドイミド樹脂を含有し、下記要件(1)および(2)を満たすことを特徴とするポリマーブレンド組成物。
(1)下記一般式(1)および一般式(2)を構成単位として含むポリアミドイミド樹脂(樹脂α)を必須成分とし、樹脂α中の一般式(1)と一般式(2)のモル比が一般式(1)/一般式(2)=55/45〜90/10とする
(一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2およびR3は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。)
(2)下記一般式(3)を構成単位として含む樹脂αとは異なる組成のポリアミドイミド樹脂(樹脂β)を必須成分とする
(一般式(3)中、R4およびR5は同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。) - 樹脂αと樹脂βの組成比が樹脂α/樹脂β=20/80〜50/50重量比である請求項1記載のポリマーブレンド組成物。
- 樹脂βが酸成分として無水トリメリット酸を含み、かつ3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より1種以上を含み、アミン成分としてo−トリジンを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のポリマーブレンド組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物を含有するフィルム。
- 金属箔の少なくとも片面に直接請求項4記載のフィルムが積層されたフレキシブル金属積層体。
- 請求項5に記載の金属箔のRzが1.2μm以下、及び60°光沢度が200以上であり、金属箔とフィルムの接着強度が7.0N/cm以上であるフレキシブル金属積層体。
- 金属箔エッチング後のフィルム部分において、波長600nmでの光線透過率が55%以上である請求項5又は6記載のフレキシブル金属積層体。
- 金属箔エッチング後のフィルム部分において、ヘイズが20%以下である請求項5〜7のいずれかに記載のフレキシブル金属積層体。
- 金属箔エッチング後のフィルム部分において、線膨張係数が10〜25ppm/Kである請求項5〜8のいずれかに記載のフレキシブル金属積層体。
- 金属箔エッチング後のフィルム部分において、TMA法におけるガラス転移温度でのフィルム歪み量が200μm以下である請求項5〜9のいずれかに記載のフレキシブル金属積層体。
- 請求項5〜10のいずれかに記載のフレキシブル金属積層体を含有するフレキシブルプリント基板。
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