JPWO2016111024A1 - セラミックコート層付きエンジンバルブ - Google Patents

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Abstract

本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブは、傘裏面にセラミック原料からなるセラミックコート層が形成されたセラミックコート層付きエンジンバルブであって、上記セラミックコート層の厚さが220〜1000μmであり、上記セラミックコート層内には気孔が形成されていて、その平均気孔径は0.5〜15μmであり、上記セラミックコート層の気孔率は10〜60%であることを特徴とする。

Description

本発明は、セラミックコート層付きエンジンバルブに関する。
エンジンを搭載した自動車等の車両では、エンジン部分で大きな熱が発生するが、発生した熱はエンジン部材を介して周囲に拡散し易く、必ずしも発生した熱を充分に利用しきれていないのが現状である。
そこで、エンジンに発生する熱を有効に利用し、燃費等の特性をより向上させようとする研究が盛んに行われており、熱ロスの低減に向け、エンジンバルブの断熱化を図る試みが行われている。
特開2003−307105号公報
特許文献1は、エンジンバルブの断熱を図る技術であってバルブの傘表面および傘裏面にセラミックスや合金を溶射して皮膜を形成する技術が開示されている。
しかしながら溶射で形成される皮膜では、皮膜内に気孔を形成することが難しく、充分な断熱効果が得られないという問題があった。エンジンバルブにおいて充分な断熱効果が得られない場合、次のような問題が発生する。例えばインバルブの傘裏面においては、エンジン燃焼室内部で発生した熱がインバルブに伝導し、インバルブの温度が上昇する。インバルブの温度が高くなると、吸気工程にて吸気通路内からシリンダ内に吸入される吸気がインバルブにより加熱されることで、吸気効率が低下する。また、例えばエキバルブの傘裏面においては、排気の熱がエキバルブを通して放熱されることで、排ガス浄化のために搭載された担体に排ガスが到達した際に充分な熱を排ガスから担体に伝達できず担体温度が上がらず充分な排ガス浄化ができないという問題が発生する。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、エンジンバルブの傘裏面においてインバルブの傘裏面であればインバルブの熱を吸気に伝達させないように、エキバルブであれば排気の熱をエキバルブに伝達させないように断熱性能を高めることのできるセラミックコート層付きエンジンバルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブは、
傘裏面にセラミック原料からなるセラミックコート層が形成されたセラミックコート層付きエンジンバルブであって、
上記セラミックコート層の厚さが220〜1000μmであり、
上記セラミックコート層内には気孔が形成されていて、その平均気孔径は0.5〜15μmであり、上記セラミックコート層の気孔率は10〜60%であることを特徴とする。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブでは、セラミックコート層の厚さが220〜1000μmの厚さであるため、インバルブの熱が吸気に伝わることなく吸気効率の低下を防止することができる。また、排気の熱がエキバルブに伝達されにくく、その分排ガスの温度が低下しにくいので、排ガスが担体に到達した際に充分に担体を暖めて排ガスを浄化することが可能となる。セラミックコート層の厚さが220μm未満となるように気孔を形成しようとすると、気泡がセラミックコート層外に抜けやすくなり、その結果セラミックコート層表面の表面粗さが大きくなる。傘裏面は気流と接するので表面粗さが大きくなると気流とセラミックコート層の熱伝達が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。一方、セラミックコート層の厚さが1000μmを超えると、セラミックコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。また吸気又は排気経路が狭くなるという問題もある。
また、セラミックコート層内に形成される気孔の平均気孔径が0.5〜15μmと微細な気孔になるように制御される。気孔の平均気孔径がこの程度であれば、気孔がセラミックコート層の中に独立気孔として存在し、断熱性を高める構造として有効に機能する。また、気孔率が10〜60%なので充分な断熱性が保持される。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブでは、上記セラミックコート層内にはカーボン粒子が存在しており、上記カーボン粒子の量は上記セラミックコート層全体の重量100部に対して0.005〜1重量部であることが望ましい。
セラミックコート層内にカーボン粒子が存在していると、クラックの進展がカーボン粒子によって阻害されるためセラミックコート層には熱衝撃による割れが生じにくくなる。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブでは、上記セラミックコート層内に気孔径が45μmを超える大気孔が存在しないことが望ましい。
大気孔が存在しないとクラックの進展が阻害されやすくなるのでセラミックコート層には熱衝撃による割れが生じにくくなる。
また、大気孔が存在する場合と比べて、気孔間の壁厚を厚くすることができるため、断熱膜全体として強度が上がる。また、小さい気孔径のため、気孔内の対流伝熱が抑制されて、断熱効果が向上する。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブでは、上記セラミックコート層の表面粗さRzJISが0.05〜5μmであることが望ましい。
セラミックコート層の表面粗さRzJISが0.05μm未満のセラミックコート層を作成することは技術的に難しい。一方、セラミックコート層の表面粗さRzJISが5μmを超えると、吸気又は排気とセラミックコート層の熱伝達係数が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブにおいて、上記セラミックコート層は、非晶質無機材と結晶性無機材とからなることが望ましい。
非晶質無機材はエンジンバルブを被覆するガラス層として機能する。また、結晶性無機材が耐熱性を向上させる部材としての役割を担う。さらにセラミックコート層に非晶質無機材と結晶性無機材が存在することでセラミックコート層の強度が高くなる。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブにおいて、上記非晶質無機材は、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスであることが望ましい。
非晶質無機材が上記低軟化点ガラスであると、軟化点を超える温度で加熱することにより非晶質無機材が軟化溶融しエンジンバルブの表面に広がってセラミックコート層となる。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブにおいて、上記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが望ましい。
これらの耐熱性能に優れた結晶性無機材を含むセラミックコート層は、耐熱性が向上する。また、断熱性能も向上する。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブにおいて、上記結晶性無機材は、マンガン、鉄、コバルト、銅、クロム、及び、ニッケルのうち少なくとも一種の金属の酸化物であることが望ましい。
上記材料からなる酸化物を結晶性無機材として用いることにより、セラミックコート層とエンジンバルブとの密着性を改善することができる。
図1(a)は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブが使用される、エンジン燃焼室の構造の一例を模式的に示す断面図であり、図1(b)は図1(a)においてインバルブの傘裏面及びエキバルブの傘裏面の位置を模式的に示す断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、図2(a)及び図2(b)に示すエンジンバルブの一部切断断面図である。 図4は、コート層強度測定用試料の模式的な断面図である。 図5は、引張試験機による引張試験の外観図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブ及びセラミックコート層付きエンジンバルブの製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブは、
傘裏面にセラミック原料からなるセラミックコート層が形成されたセラミックコート層付きエンジンバルブであって、
上記セラミックコート層の厚さが220〜1000μmであり、
上記セラミックコート層内には気孔が形成されていて、その平均気孔径は0.5〜15μmであり、上記セラミックコート層の気孔率は10〜60%であることを特徴とする。
図1(a)は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブが使用される、エンジン燃焼室の構造の一例を模式的に示す断面図である。
エンジン燃焼室100においては、筒状のシリンダー120の上部に、吸気用のインバルブ110a及び排気用のエキバルブ110bからなるエンジンバルブ110が設けられており、シリンダー120の内部にピストン130が設けられている。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブは、このようなエンジン燃焼室に設けられることに適している。
図1(b)は図1(a)においてインバルブの傘裏面及びエキバルブの傘裏面の位置を模式的に示す断面図である。
エンジンバルブの傘裏面の位置は、図1(b)においてハッチングを付して示した位置である、インバルブ110aの傘裏面112a及びエキバルブ110bの傘裏面112bである。
エンジンバルブの材質は特に限定されるものではないが、従来から各部材の材料として用いられている材質を適用することができる。
例えば、ステンレス鋼、耐熱鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、インコネル、ハステロイ、インバー等が挙げられる。また、各種鋳造品(例えば、鋳鉄、鋳鋼、炭素鋼等)等が挙げられる。
エンジンバルブ(エンジンバルブの傘裏面)の材質としては、耐熱鋼(SUH)が挙げられる。具体的には、マルテンサイト系耐熱鋼(SUH3、SUH11等)、オーステナイト系耐熱鋼(SUH35等)、フェライト系耐熱鋼(SUH446等)等が挙げられる。また、インコネル(NCF751等)のNi基耐熱合金も挙げられる。
また、エンジンバルブとセラミックコート層との密着性を良好にするため、サンドブラスト処理や化学薬品による粗化処理をエンジンバルブの傘裏面に施してもよい。
上記粗化処理により形成されるエンジンバルブの傘裏面の表面粗さRzJISは、0.3〜20μmが望ましい。上記した表面粗さRzJISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さである。
エンジンバルブの傘裏面の表面粗さRzJISが0.3μm未満であると、エンジンバルブの傘裏面の表面積が小さくなるため、エンジンバルブの傘裏面とセラミックコート層との密着性が充分に得られにくくなる。一方、エンジンバルブの傘裏面の表面粗さRzJISが20μmを超えると、エンジンバルブの傘裏面にセラミックコート層が形成されにくくなる。これは、エンジンバルブの傘裏面の表面粗さRzJISが大きすぎると、エンジンバルブの傘裏面に形成された凹凸の谷の部分にスラリー(セラミックコート層を形成するための組成物)が入り込まず、この部分に空隙が形成されるためであると考えられる。
なお、エンジンバルブの傘裏面の表面粗さRzJISは、東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。
測定は、25℃、大気圧で行うこととする。
図2(a)及び図2(b)は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)に示すセラミックコート層付きエンジンバルブ1は、エンジンバルブ110の傘裏面112にセラミックコート層12が形成されてなる。
図2(a)に示すセラミックコート層付きエンジンバルブ1では、セラミックコート層12はエンジンバルブ110の傘裏面112の全体に形成されている。
また、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブではセラミックコート層はエンジンバルブの傘裏面の全体に形成されていなくてもよく、傘裏面の一部にセラミックコート層が形成されていなくてもよい。
例えば、図2(b)に示すように、傘裏面112の底部近傍(傘が拡がっている部位)にセラミックコート層12が形成されていなくてもよい。
傘裏面の底部近傍にセラミックコート層が形成されていないと、エンジンバルブが閉じたときにシリンダヘッドと接触する部分の気密性が保たれるため好ましい。
また、図2(b)に示すように、セラミックコート層12はシャフト113に形成されていてもよい。
図3は、図2(a)及び図2(b)に示すセラミックコート層付きエンジンバルブの一部切断断面図である。
図3には、セラミックコート層の断面及びエンジンバルブの傘裏面における断面が含まれる断面を示している。以下、図3を参照して、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブが備えるセラミックコート層について説明する。
セラミックコート層12は、セラミック原料からなっており、セラミック原料としては、非晶質無機材が挙げられる。
非晶質無機材は、ガラスからなることが好ましく、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスであることがより好ましい。
軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスとしては、例えば、SiO−B−ZnO系ガラス、SiO−B−Bi系ガラス、SiO−PbO系ガラス、SiO−PbO−B系ガラス、SiO−B−PbO系ガラス、B−ZnO−PbO系ガラス、B−ZnO−Bi系ガラス、B−Bi系ガラス、B−ZnO系ガラス、BaO−SiO系ガラス、SiO−B−RO系ガラス、SiO−B−RO系ガラス(Rは遷移金属)等が挙げられる。
なお、軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づいて、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。測定は、大気圧で行うこととする。
さらに、セラミックコート層は非晶質無機材に加えて結晶性無機材とからなる層であることが好ましい。
上記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
また、結晶性無機材は、マンガン、鉄、コバルト、銅、クロム、及び、ニッケルのうち少なくとも一種の金属の酸化物であることも好ましい。
図3には、セラミックコート層12内に含まれる非晶質無機材と結晶性無機材を区別せずに混合した層として示している。
セラミックコート層に含まれる結晶性無機材の含有量は、セラミックコート層の重量に対して、1〜50重量%であることが望ましく、10〜45重量%であることがより望ましい。
セラミックコート層はその厚さが220〜1000μmである。
セラミックコート層の厚さは、セラミックコート層付きエンジンバルブを切断して断面をSEM等を用いて観察することによって測定することができる。
セラミックコート層の厚さが上記範囲であると、インバルブの熱が吸気に伝わることなく吸気効率の低下を防止することができる。また、排気の熱がエキバルブに伝達されにくく、その分排ガスの温度が低下しにくいので、排ガスが担体に到達した際に充分に担体を暖めて排ガスを浄化することが可能となる。セラミックコート層の厚さが220μm未満となるように気孔を形成しようとすると、気泡がセラミックコート層外に抜けやすくなり、その結果セラミックコート層表面の表面粗さが大きくなる。傘裏面は気流と接するので表面粗さが大きくなると気流とセラミックコート層の熱伝達が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。一方、セラミックコート層の厚さが1000μmを超えると、セラミックコート層に熱衝撃等が加わった際に、セラミックコート層にクラックが発生しやすくなることがある。また吸気又は排気経路が狭くなるという問題もある。
セラミックコート層12内には気孔13が形成されている。
セラミックコート層内に形成された気孔の平均気孔径は0.5〜15μmである。
平均気孔径は好ましくは3〜13μmであり、より好ましくは5〜10μmである。
気孔の平均気孔径が0.5〜15μmであれば、気孔がセラミックコート層の中に独立気孔として存在し、断熱性を高める構造として有効に機能する。
また、セラミックコート層の気孔率は10〜60%である。
気孔率は好ましくは15〜50%であり、より好ましくは20〜40%である。
気孔率が10〜60%であると、気孔による充分な断熱性が保持される。
気孔の平均気孔径は、セラミックコート層付きエンジンバルブを切断して断面をSEM等を用いて観察することによって測定することができる。
具体的には、SEM画像をセラミックコート層の厚さ方向の全域が入るように撮影して、撮影した画像を9つの領域に区画し、各区画に存在する全ての気孔についての気孔径を測定し、平均値を求めることにより平均気孔径が得られる。気孔の形状が略球状でない場合、その気孔の直径は、投影面積円に相当する直径(ヘイウッド径)とする。
また、セラミックコート層の気孔率は、セラミックコート層の重量と膜厚計(デュアルスコープ)で測定したセラミックコート層の厚さから嵩密度を算出し、ピクノメータで算出した真密度との比を算出し、その値を1から引いて、百分率とした値を気孔率として算出することができる。
SEMの測定倍率は、セラミックコート層の厚さが220〜300μm未満の場合は500倍、300〜500μm未満の場合は200倍、500〜1000μmの場合は150倍とする。
また、セラミックコート層内には気孔径が45μmを超える大気孔が存在していないことが好ましい。大気孔の存在の有無は、上記SEM画像中に存在する気孔の気孔径を測定し、45μmを超える気孔が存在しないことを確認することにより判別することができる。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブにおいて、セラミックコート層内にはカーボン粒子が存在していることが好ましい。
図3にはセラミックコート層12内にカーボン粒子14が存在している様子を示している。
カーボン粒子の量は、セラミックコート層全体の重量100部に対して0.005〜1重量部であることが好ましく、0.008〜1重量部であることがより好ましい。
カーボン粒子の量の測定は、セラミックコート層を剥離し、セラミックコート層を構成するセラミック原料を溶融させて、溶液をフィルターでろ過して残留したカーボン粒子を燃焼赤外線吸収法により定量することによって行うことができる。
セラミック原料がガラスである場合、塩酸又はフッ酸を用いて溶融させることができる。
上記方法によりセラミック原料を溶融させ、溶液をろ過した後にカーボン粒子が残留していない場合は、カーボン粒子がセラミックコート層内に含まれていないと推定される。
カーボン粒子としては、加熱処理により気化して気孔を形成することのできる粒子であることが好ましく、セラミックコート層付きエンジンバルブの製造過程においてセラミックコート層内に気孔を形成するための材料として配合される材料である。
そして、配合されたカーボン粒子の一部がセラミックコート層内に残留して存在している。
カーボン粒子の一部を気化させずに残留させておくと、クラックの進展がカーボン粒子によって阻害されるためセラミックコート層には熱衝撃による割れが生じにくくなるという効果が生じる。
カーボン粒子の具体例としては、グラファイト粒子が好ましく、具体的には、イビデン株式会社製ET−10、ピッチ、コークス等が好ましく用いられる。
また、カーボン粒子の平均粒子径は0.1〜30μmであることが好ましい。
セラミックコート層の室温での熱伝導率は0.1〜1.0W/m・Kであることが好ましい。
熱伝導率が0.1W/m・K未満であると、上記熱伝導率を達成するために必要な気孔率が高くなるため、形成されたセラミックコート層の機械的強度が低下しすぎることがある。一方、熱伝導率が1.0W/m・Kを超えると、充分な断熱の効果が得られないという問題がある。所望の断熱効果を得るためには、セラミックコート層の厚さを厚くする必要があるため、セラミックコート層の熱容量が大きくなってしまう。
なお熱伝導率は、レーザーフラッシュ装置(熱定数測定装置:NETZSCH LFA457 Microflash)を用い、JIS R 1611(2010)に基づいて測定される。
測定は、25℃、大気圧で行うこととする。
セラミックコート層の熱抵抗は500〜4000mm・K/Wであることが好ましく、600〜3500mm・K/Wであることがより好ましい。
熱抵抗が500mm・K/W未満であると断熱性が充分でなく、熱抵抗が4000mm・K/Wを超えるセラミックコート層を作製することは技術的に難しい。
セラミックコート層の熱抵抗は、「熱抵抗=セラミックコート層の厚さ/セラミックコート層の熱伝導率」の式により算出することができる。
セラミックコート層の皮膜強度は15〜50MPaであることが好ましい。
皮膜強度は、実施例の欄で説明するコート層強度測定の手順により測定することができる。
セラミックコート層にカーボン粒子が存在していると、セラミックコート層の皮膜強度を高くすることができる。測定は、25℃、大気圧で行うこととする。
セラミックコート層の比熱は650〜900J/kgKであることが好ましい。
比熱はDSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。
また、セラミックコート層の熱容量(単位面積当たりの熱容量)は、200〜2500[J/m・K]であることが好ましい。セラミックコート層の熱容量は、セラミックコート層の比熱と密度と膜厚を乗ずることによって算出することができる。
セラミックコート層の表面粗さRzJISは0.05〜5μmであることが望ましい。
セラミックコート層の表面粗さRzJISが0.05μm未満のセラミックコート層を作製することは技術的に難しい。一方、セラミックコート層の表面粗さRzJISが5μmを超えると、吸気又は排気とセラミックコート層の熱伝達係数が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。
次に、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブを製造する方法について説明する。
本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブを製造する方法としては、
エンジンバルブの傘裏面に、セラミックコート層を形成するためのセラミック原料及びカーボン粒子からなる原料混合物を塗布することにより、セラミックコート層形成用の塗布層を形成する塗布層形成工程と、
上記塗布層が形成されたエンジンバルブに加熱処理を施し、上記塗布層内でカーボン粒子を気化させて、セラミックコート層を形成するとともにセラミックコート層内に気孔を形成する加熱処理工程とからなることを特徴とする製造方法が挙げられる。
(a)エンジンバルブの準備
まず、エンジンバルブを準備する。
エンジンバルブの形状、材料等としては、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの説明において説明したものと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
エンジンバルブの準備にあたっては、セラミックコート層を形成する面である、傘裏面の不純物を除去すべく洗浄処理を行うことが好ましい。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理法を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
エンジンバルブの傘裏面とセラミックコート層との密着性をさらに向上させたい場合には、傘裏面に粗化処理を施してもよい。粗化処理の方法としては、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。この粗化処理後にさらに洗浄処理を行ってもよい。
なお、粗化処理は、後述する塗布層形成工程よりも先に行うことが好ましい。
(b)塗布層形成工程
(b−1)原料混合物調製工程
続いて、塗布層を形成するための原料混合物を調製する。
セラミック原料及びカーボン粒子を混合することにより原料混合物が得られる。
セラミック原料及びカーボン粒子は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの説明において説明したものと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
原料混合物は、例えば、セラミック原料と、カーボン粒子と、水とを混合し、ボールミル等によって湿式混合することにより得ることができる。上記3成分を混合する順番及び組み合わせは特に限定されず、例えば、まずセラミック原料と水とを混合し、さらにカーボン粒子を添加してもよいし、セラミック原料とカーボン粒子を混合した後に水を添加してもよいし、セラミック原料とカーボン粒子と水とを一度に混合してもよい。
原料混合物中に含まれるカーボン粒子は、続く焼成工程において燃焼してCO及びCOを発生し、気孔を形成する。すなわち、カーボン粒子は造孔剤として機能する。
また、焼成工程後にセラミックコート層内にカーボン粒子の一部が残存することが好ましい。
セラミック原料と水との配合比は、特に限定されるものではないが、セラミック原料100重量部に対して、水100重量部程度が好ましい。このような重量比率でセラミック原料と水とを混合すると、エンジンバルブの傘裏面に塗布するのに適した粘度となりやすいからである。また、必要に応じて、上記原料混合物には、有機溶剤等の分散媒及び有機結合剤を配合してもよい。
上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒を用いることができる。原料混合物中の分散媒の含有量は特に限定されないが、例えば、セラミック原料100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが好ましい。このような割合で分散媒を配合することにより、原料混合物の粘度がエンジンバルブの傘裏面に塗布するのに適した粘度となるからである。
上記有機結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、分散媒と有機結合剤とを併用してもよい。
原料混合物中におけるカーボン粒子の含有量は、セラミック原料100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。
カーボン粒子の含有量は0.05〜8重量部であることがより好ましく、0.08〜5重量部であることがさらに好ましい。
カーボン粒子の含有量をこのような範囲とすることにより、気孔が数多く形成されるので気孔をそれほど成長させなくとも所望の気孔率となり望ましい断熱性能を有するセラミックコート層を形成させることができる。
気孔をそれほど成長させないので、ひとつひとつの気孔は小さくなり、また、気孔を成長させるための加熱時間を長くとる必要が無いので気孔が形成される程度が均一となり、シャープな気孔径分布を有するセラミックコート層を形成することができる。
また、多量のカーボン粒子を配合した場合は、ガス化しなかったカーボン粒子がセラミックコート層内に残留しやすくなる。
原料混合物には、必要に応じて、さらに、結晶性無機材を添加してもよい。
原料混合物に結晶性無機材を加える場合、結晶性無機材を添加するタイミングは特に限定されないが、例えば、上述したセラミック原料とカーボン粒子と水とを混合する前に、セラミック原料と結晶性無機材を混合する工程を有していてもよい。
結晶性無機材は、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの説明において説明したものと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
なお、原料混合物としてさらに結晶性無機材を加える場合、上述したセラミック原料とカーボン粒子と水とを混合する前に、セラミック原料と結晶性無機材を混合する工程を有していてもよい。
(b−2)塗布工程
次に、塗布工程として、傘裏面に、セラミックコート層を形成するための原料混合物を塗布することによりセラミックコート層形成用の塗布層を形成する。
塗布層の厚さは特に限定されないが、220〜1000μmの厚さであることが好ましく、220〜1000μmの厚さのセラミックコート層を形成することのできる厚さであることが好ましい。
セラミックコート層の厚さが220μm未満となるように気孔を形成しようとすると、気泡がセラミックコート層外に抜けやすくなり、その結果セラミックコート層表面の表面粗さが大きくなる。傘裏面は気流と接するので表面粗さが大きくなると気流とセラミックコート層の熱伝達が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。一方、セラミックコート層の厚さが1000μmを超えると、セラミックコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。また吸気又は排気経路が狭くなるという問題もある。
傘裏面に塗布層を形成する方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、インクジェット、スピンコート、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り等の方法が挙げられる。
(c)加熱処理工程
次に、塗布層が形成されたエンジンバルブに加熱処理を施し、塗布層内でカーボン粒子を気化させて、セラミックコート層を形成するとともにセラミックコート層内に気孔を形成する加熱処理工程を行う。
加熱処理にあたっては、高温での加熱処理の前に、必要に応じて、塗布層が形成されたエンジンバルブに対して50〜150℃程度での乾燥を行ってもよい。
加熱処理工程の条件は、エンジンバルブの材質等を考慮して任意に設定することができるが、エンジンバルブの材質がステンレス鋼である場合は400〜1100℃、耐熱鋼である場合は400〜1100℃で加熱処理することが好ましい。加熱時間は3〜120分間とすることが好ましい。
また、加熱処理温度は、セラミック原料の軟化点以上とすることが好ましい。加熱温度をセラミック原料の軟化点以上の温度とすることにより、塗布されたセラミック原料が軟化、溶融し、形成されたセラミックコート層とエンジンバルブの傘裏面とが強固に密着する。
このとき、原料混合物中に含まれるカーボン粒子が、軟化したセラミック原料中に分散し、熱分解を起こすことによって気孔が形成される。
また、加熱処理工程中に、気孔がセラミックコート層の表面に露出した場合、セラミックコート層を形成するセラミック原料は軟化しているため、気孔が露出した箇所を速やかに塞ぐことができる。そのため、焼成後のセラミックコート層は、表面に気孔が露出しておらず、平坦度の高い(表面粗さの低い)セラミックコート層が得られる。
また、カーボン粒子の配合量、狙いの気孔径、気孔率等を踏まえて加熱処理工程の条件を調整して、カーボン粒子の一部が気化しない程度に加熱処理を行い、カーボン粒子の一部がセラミックコート層に残留する程度の加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理を行いすぎないようにすることにより、気孔径が45μmを超える大気孔の発生を防止することができ、また、気孔が均一に分散したセラミックコート層を形成することができる。
以下に、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブの作用効果を列挙する。
(1)本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブでは、セラミックコート層の厚さが220〜1000μmの厚さであるため、インバルブの熱が吸気に伝わることなく吸気効率の低下を防止することができる。また、排気の熱がエキバルブに伝達されにくく、その分排ガスの温度が低下しにくいので、排ガスが担体に到達した際に充分に担体を暖めて排ガスを浄化することが可能となる。また、セラミックコート層内に形成される気孔の平均気孔径が0.5〜15μmと微細な気孔になるように制御される。気孔の平均気孔径がこの程度であれば、気孔がセラミックコート層の中に独立気孔として存在し、断熱性を高める構造として有効に機能する。また、気孔率が10〜60%なので充分な断熱性が保持される。
(2)また、本発明のセラミックコート層付きエンジンバルブのセラミックコート層内にカーボン粒子が存在していると、クラックの進展がカーボン粒子によって阻害されるためセラミックコート層には熱衝撃による割れが生じにくくなる。
(実施例)
以下に実施例を掲げ本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)エンジンバルブの準備
エンジン部材として、ステンレス鋼(SUS430)からなるエンジンバルブ(インバルブ)を準備し、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行った。続いて、サンドブラスト処理を行って傘裏面を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて、エンジンバルブの傘裏面の表面粗さを測定したところ、表面粗さは、RzJIS=5μmであった。
測定は、25℃、大気圧で行った。
(2)塗布層形成工程
非晶質無機材の粉末として、バリウムシリケートガラス(軟化点770℃)100重量部を準備した。
さらに、有機結合材として、信越化学工業株式会社製のメチルセルロース(製品名:METOLOSE−65SH)1重量部を準備した。
また、また、黒鉛化したカーボン粒子0.23重量部を準備した。
これら、非晶質無機材の粉末100重量部、有機結合剤1重量部、カーボン粒子0.23重量部にさらに水を100重量部加えて、ボールミルで湿式混合することにより原料混合物を調製した。
そして、インバルブの傘裏面に、調製した原料混合物を用いてスプレーコート法により塗布を行った。
(3)加熱処理工程
続いて、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。
さらに、空気中、焼成炉内で800℃、90分間加熱処理することにより、インバルブの傘裏面に厚さ500μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例2)
カーボン粒子の配合量を0.35重量部に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ1000μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例3)
(1)エンジンバルブの準備
エンジン部材として、耐熱鋼(SUH3)からなるエンジンバルブ(インバルブ)を準備し、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行った。続いて、サンドブラスト処理を行って、傘裏面を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて、エンジンバルブの傘表面の表面粗さを測定したところ、表面粗さは、RzJIS=5μmであった。
測定は、25℃、大気圧で行った。
(2)塗布層形成工程
非晶質無機材の粉末として、SiO−B−ROガラス(軟化点650℃)100重量部を準備した。
さらに、有機結合材として、信越化学工業株式会社製のメチルセルロース(製品名:METOLOSE−65SH)1重量部を準備した。
また、1次焼成したカーボン粒子(炭素質)0.46重量部を準備した。
これら、非晶質無機材の粉末100重量部、有機結合剤1重量部、カーボン粒子0.46重量部にさらに水を100重量部加えて、ボールミルで湿式混合することにより原料混合物を調製した。
そして、インバルブの傘表面に、調製した原料混合物を用いてスプレーコート法により塗布を行った。
(3)加熱処理工程
続いて、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。
さらに、空気中、焼成炉内で700℃、90分間加熱処理することにより、インバルブの傘裏面に厚さ1000μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例4)
カーボン粒子の配合量を2.3重量部に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ220μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例5)
カーボン粒子の配合量を1.15重量部に変更し、焼成温度を780℃、焼成時間を50分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ500μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例6)
カーボン粒子の配合量を3.34重量部に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ220μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例7)
カーボン粒子の配合量を2.3重量部に変更し、焼成温度を780℃、焼成時間を50分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ1000μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(実施例8)
カーボン粒子の配合量を0.017重量部に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ1000μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(比較例1)
カーボン粒子の配合量を4.6重量部に変更し、焼成時間を50分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ210μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(比較例2)
カーボン粒子の配合量を1.15重量部に変更し、焼成時間を120分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ220μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(比較例3)
カーボン粒子を配合せず、焼成時間を50分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ300μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(比較例4)
カーボン粒子の配合量を0.002重量部に変更し、焼成時間を30分に変更し、原料混合物の塗布量を変更した他は実施例1と同様にして厚さ300μmのセラミックコート層を形成し、セラミックコート層付きエンジンバルブを製造した。
(セラミックコート層付きエンジンバルブの評価)
各実施例及び各比較例で製造したセラミックコート層付きエンジンバルブについて、その特性を以下の手順で評価した。
(セラミックコート層の厚さ、気孔率、平均気孔径の測定)
セラミックコート層の厚さの測定には、株式会社フィッシャーインストルメンツ社製、デュアルスコープMP40を用いた。任意の30点を用いて膜厚補正を実施したのち、膜厚測定を10点に対して行い、その測定値の平均を取った。膜厚測定を10点に対して行う場合、測定領域内で測定部位の偏りがないように任意の10点を取ることが望ましい。例えば、測定を1mmの等間隔おきに行う等の方法が挙げられる。
また、セラミックコート層の密度をカンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン共同会社製 ピクノメータPentapyc 5200eで測定した。
セラミックコート層の厚さから嵩密度を算出し、ピクノメータで算出した真密度との比を算出し、その値を1から引いて、百分率とした値をセラミックコート層の気孔率として算出した。
また、各実施例及び各比較例で製造したセラミックコート層付きエンジンバルブの表面を垂直に切断し、その断面を無作為に5箇所選び出し、SEMにより撮影した。
気孔径が0.1μm以上の全ての気孔の大きさ(気孔径)を測定し、得られた数値を平均化することによって平均気孔径を測定した。結果を表1に示す。
(カーボン粒子量の測定)
カーボン粒子の量の測定は、セラミックコート層を剥離し、セラミックコート層を構成するセラミック原料を塩酸により溶融させて、溶液をフィルターでろ過して残留したカーボン粒子を燃焼赤外線吸収法により定量することによって行った。
燃焼赤外線吸収法による測定は、測定装置として炭素硫黄分析装置(LECO社製CSLS600)を使用して行った。
前処理(妨害成分除去)としてHF共存下での加熱によりセラミックコート層を構成するガラス成分のSiOを除去した。
測定時には酸素ガスを流し、高純度鉄を共存させて高周波誘導加熱炉でカーボン粒子を燃焼させた。
カーボン粒子量は、セラミックコート層全体の重量100部に対する重量部として示した。
結果を表1に示す。
(コート層強度の測定)
図4は、コート層強度測定用試料の模式的な断面図である。
セラミックコート層付きエンジンバルブ1のセラミックコート層12の傘裏面に、クリップを用いてスタッドピン50を取り付け、150℃で1時間加熱して固着させることにより、測定用試料を作製した。スタッドピン50としては、QUAD GROUP社製 P/N901106(2.7mmエポキシ接着剤Al製スタッドピン)を使用した。
図5は、引張試験機による引張試験の外観図である。
引張試験機500を使用して、セラミックコート層12と固着したスタッドピン50を引っ張った。スタッドピン50と接しているセラミックコート層12がエンジンバルブ110から剥離するまでに加わった力の最大値とスタッドピン50の断面積とからコート層強度を算出した。引張試験機500としては、(株)島津製作所製 オートグラフAGS50Aを使用した。
測定は、25℃、大気圧で行った。
(熱伝導率の測定)
実施例及び比較例における塗布層形成工程で調製した原料混合物をSUS板に塗布し、各実施例及び比較例と同様の条件で加熱処理することで、熱伝導率測定用の試験片を作製した。
熱伝導率測定用の試験片の厚さは各実施例及び比較例と同様になるようにした。
この試験片について、レーザーフラッシュ装置(熱定数測定装置:NETZSCH LFA457 Microflash)を用い、JIS R 1611(2010)に基づいて測定を行い、セラミックコート層の厚さ方向の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
測定は、25℃、大気圧で行った。
(熱容量の測定)
セラミックコート層の比熱をDSC法(示差走査熱量測定)でRigaku製高感度示差走査熱量計 Thermo plus EVO2を用いて測定した。
セラミックコート層の密度をカンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン共同会社製 ピクノメータPentapyc 5200eで測定し、膜厚をデュアルスコープ(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製、デュアルスコープMP40)で測定した。
そして、比熱と密度と膜厚を乗じて熱容量を算出した。
ここで求められる熱容量は単位面積当たりの熱容量[J/m・K]である。
各測定は、25℃、大気圧で行った。
(コート層表面粗さの測定)
セラミックコート層表面の表面粗さを、表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて測定した。
各測定は、25℃、大気圧で行った。
Figure 2016111024
実施例1〜8のセラミックコート層では、カーボン粒子が残存しており、平均気孔径が小さい気孔が分散して存在していた。また、コート層強度が高く、熱伝導率が低く、熱抵抗が高い断熱性に優れたセラミックコート層が形成されていた。
一方、比較例1のセラミックコート層は、厚さが薄く、熱伝導率も高めであるため熱抵抗が低くなっていた。比較例2のセラミックコート層は、カーボン粒子が存在しておらず、厚さが薄めであり、熱伝導率も高めであることから熱抵抗が低くなっていた。
比較例3、4のセラミックコート層は気孔率が低いために熱伝導率が高く、熱抵抗も低くなっており、断熱性が不充分になっていた。
1、2 セラミックコート層付きエンジンバルブ
12 セラミックコート層
13 気孔
14 カーボン粒子
110(110a) エンジンバルブ(インバルブ)
110(110b) エンジンバルブ(エキバルブ)
112(112a) エンジンバルブ(インバルブ)の傘裏面
112(112b) エンジンバルブ(エキバルブ)の傘裏面
113 シャフト

Claims (8)

  1. 傘裏面にセラミック原料からなるセラミックコート層が形成されたセラミックコート層付きエンジンバルブであって、
    前記セラミックコート層の厚さが220〜1000μmであり、
    前記セラミックコート層内には気孔が形成されていて、その平均気孔径は0.5〜15μmであり、前記セラミックコート層の気孔率は10〜60%であることを特徴とする、セラミックコート層付きエンジンバルブ。
  2. 前記セラミックコート層内にはカーボン粒子が存在しており、前記カーボン粒子の量は前記セラミックコート層全体の重量100部に対して0.005〜1重量部である請求項1に記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  3. 前記セラミックコート層内に気孔径が45μmを超える大気孔が存在しない請求項1又は2に記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  4. 前記セラミックコート層は、表面粗さRzJISが0.05〜5μmである請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  5. 前記セラミックコート層は、非晶質無機材と結晶性無機材とからなる請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  6. 前記非晶質無機材は、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスである請求項5に記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  7. 前記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなる請求項5又は6に記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
  8. 前記結晶性無機材は、マンガン、鉄、コバルト、銅、クロム、及び、ニッケルのうち少なくとも一種の金属の酸化物である請求項5又は6に記載のセラミックコート層付きエンジンバルブ。
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