JPWO2016098343A1 - 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法、並びに、積層体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法、並びに、積層体 Download PDF

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Abstract

本発明は、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合が低い粉体成形体を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径が80μm以上150μm以下である。

Description

本発明は、フェイクステッチを形成する際にピンホール発生割合が低い粉体成形体を与える熱可塑性樹脂組成物、上記熱可塑性樹脂組成物を粉体成形してなる熱可塑性樹脂成形体、上記熱可塑性樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを有する積層体、及び上記熱可塑性樹脂成形体の製造方法に関する。
インスツルメントパネル、ドアトリム、センターコンソール、ドアパネル、シート等の自動車内装材が、乗用車等の車両の乗員室に設置されている。ここで自動車内装材は、通常、基材の外面に表皮材が設けられた構造を有している。近年、成形性、コスト、耐久性等の観点から、当該表皮材は合成樹脂で形成されることが多い。そして、自動車内装材に優れた質感を与えるべく、合成樹脂製表皮材には、縫糸で形成される縫目模様(リアルステッチ)が施される。このようなリアルステッチの種々の形成方法は、従来から検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、表面に表皮材と一体成形された縫目模様(フェイクステッチ)を有する合成樹脂製表皮材が、熱可塑性樹脂組成物の粉体成形により製造されている。
特開2004−58620号公報 特開2003−334895号公報
ここで、熱可塑性樹脂組成物の粉体成形によりフェイクステッチを有する表皮材を成形すると、フェイクステッチ部にピンホールが発生し易い。このようなピンホールの発生は、表皮材を有する自動車内装材の外観を損ねてしまうため好ましくない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合が低い粉体成形体を与える熱可塑性樹脂組成物の提供である。また、本発明が解決しようとする別の課題は、上記熱可塑性樹脂組成物を粉体成形してなる熱可塑性樹脂成形体、及び、上記熱可塑性樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体を有する積層体の提供である。更に、本発明が解決しようとする別の課題は、上記熱可塑性樹脂成形体の製造方法の提供である。
本発明の発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、含有する粒子の平均粒子径が特定の範囲である熱可塑性樹脂組成物が、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合が低い粉体成形体を与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径が80μm以上150μm以下である、熱可塑性樹脂組成物である。
ここで、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくはフェイクステッチを有する表皮用である。
そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に可塑剤を含有し、そして前記熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であることが好ましい。
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対し、前記可塑剤を30質量部以上190質量部以下含むことが好ましい。
加えて、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記(a)塩化ビニル樹脂は、70質量%以上100質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び0質量%以上30質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなることが好ましい。なお、本発明において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
ここで、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が800以上5000以下であり、前記(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が500以上5000以下であることが好ましい。
そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物の好ましい用途は粉体成形であり、更に好ましい用途はパウダースラッシュ成形である。
また、本発明は、前記いずれかの熱可塑性樹脂組成物を粉体成形してなる熱可塑性樹脂成形体である。
ここで、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、好ましくは前記いずれかの熱可塑性樹脂組成物をパウダースラッシュ成形してなる。
そして、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、好ましくはフェイクステッチを有する表皮用である。
更に、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、好ましくは自動車インスツルメントパネル表皮用である。
また、本発明は、発泡ポリウレタン成形体と、前記いずれかの熱可塑性樹脂成形体とを有する積層体である。
ここで、本発明の積層体は、好ましくは自動車インスツルメントパネル用である。
また、本発明は、前記いずれかの熱可塑性樹脂組成物を粉体成形することを特徴とする、熱可塑性樹脂成形体の製造方法である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合が低い粉体成形体を与える。
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含み、任意に、可塑剤と、添加剤とを含有する。そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常、複数の粒子で構成される粒子の集合体(粉体組成物)であり、これらの粒子の平均粒子径が80μm以上150μm以下である。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹樹脂は、熱可塑性樹脂組成物中において、マトリックス樹脂として機能する。ここで、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、特定の樹脂に限定されない。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィンゴム、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリスチレン、ポリアミド等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。そして中でも、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させる観点から、塩化ビニル樹脂が好ましい。
なお、これらの熱可塑性樹脂は、通常、本発明の熱可塑性樹脂組成物中において、樹脂粒子又は樹脂微粒子(熱可塑性樹脂粒子又は熱可塑性樹脂微粒子)の形態で存在する。
[塩化ビニル樹脂]
塩化ビニル樹脂としては、(a)塩化ビニル樹脂粒子、(b)塩化ビニル樹脂微粒子が挙げられる。
(a)塩化ビニル樹脂粒子および(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する共重合体を含む。塩化ビニル共重合体の共単量体の具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、塩化ビニルと共重合可能な単量体(共単量体)の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子および(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
上記(a)塩化ビニル樹脂粒子および(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
[[(a)塩化ビニル樹脂粒子]]
ここで、(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは50μm以上250μm以下、より好ましくは100μm以上200μm以下、更に好ましくは110μm以上130μm以下である。上記範囲の平均粒子径を有する(a)塩化ビニル樹脂粒子を用いれば、得られる熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径を所定の範囲内に調製し易く、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
なお、「(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、例えばレーザー回折法により測定される体積平均粒子径を指す。
上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、好ましくは800以上5000以下であり、より好ましくは800以上3000以下であり、更に好ましくは800以上2000以下である。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であると、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
なお、「平均重合度」は、JIS K 6720−2に準拠して測定される。
また、(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂としては、懸濁重合法により製造された塩化ビニル樹脂を用いることが好ましい。
[[(b)塩化ビニル樹脂微粒子]]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記塩化ビニル樹脂として、(b)塩化ビニル樹脂微粒子を使用することもできる。上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子は、マトリックス樹脂として機能しつつ、熱可塑性樹脂組成物の粉体流動性を向上させるダスティング剤として機能する。
ここで、上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい平均粒子径は0.1μm以上10μm以下である。上記範囲の平均粒子径を有する(b)塩化ビニル樹脂微粒子を用いれば、熱可塑性樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。
なお、「(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、例えば、レーザー回折法により測定される体積平均粒子径を指す。
上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の好ましい平均重合度は、好ましくは500以上5000以下であり、より好ましくは600以上3000以下であり、更に好ましくは700以上2500以下である。上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物の粉体流動性が良好であり、かつ、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
また、上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂としては、乳化重合法により製造された塩化ビニル樹脂を用いることが好ましい。
[[塩化ビニル樹脂中における(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の配合割合]]
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂を用いる場合、塩化ビニル樹脂は、好適には、少なくとも(a)塩化ビニル樹脂粒子を含み、任意に、(b)塩化ビニル樹脂微粒子を含む。例えば、塩化ビニル樹脂100質量%が、70質量%以上100質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び0質量%以上30質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなることが好ましい。このような組成の塩化ビニル樹脂を使用すれば、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
そして塩化ビニル樹脂100質量%は、70質量%以上99質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び1質量%以上30質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなることがより好ましく、75質量%以上95質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び5質量%以上25質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなることが更に好ましく、80質量%以上92質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び8質量%以上20質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなることが特に好ましい。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物の粉体流動性が良好であり、かつ、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
[熱可塑性ポリウレタン]
熱可塑性ポリウレタンは、一般に、ポリオール、ジイソシアネート、及び鎖延長剤を用いて調製される。
[[ポリオール]]
ここで、熱可塑性ポリウレタンの調製に用いられるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
−ポリエステルポリオール−
ポリエステルポリオールは、例えば、ジカルボン酸と、エーテル結合を有さない多価アルコールとの脱水縮合反応物である。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;これらの酸エステル;これらの酸無水物;これらの混合物が挙げられる。
エーテル結合を有さない多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、これらの混合物が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールは、ε−カプロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合により、ポリラクトンジオールとしても得ることができる。
−ポリエステルエーテルポリオール−
ポリエステルエーテルポリオールは、例えば、ジカルボン酸と、エーテル結合を有する多価アルコールとの脱水縮合反応物である。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;これらの酸エステル;これらの酸無水物;これらの混合物が挙げられる。
エーテル結合を有する多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、各種分子のプロピレンオキサイド付加物、これらの混合物が挙げられる。
−ポリカーボネートポリオール−
ポリカーボネートポリオールは、例えば、多価アルコールとカーボネート化合物との反応物である。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、これらの混合物が挙げられる。
カーボネート化合物としては、例えば、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、これらの混合物が挙げられる。
−ポリエーテルポリオール−
ポリエーテルポリオールは、例えば、環状エーテルの開環重合物である。環状エーテルとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、これらの混合物が挙げられる。
そして、具体的なポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイドを開環重合させて得られるポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドを開環重合させて得られるポリプロピレングリコール、テトラヒドロフランを開環重合させて得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール、複数種の環状エーテルを開環重合させて得られるコポリエーテルが挙げられる。
これらポリオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。そして上記の各種ポリオールのうち、熱可塑性ポリウレタンの調製に用いられるポリオールとしては、耐加水分解性の観点からポリエーテルポリオールが好ましい。
[[ジイソシアネート]]
熱可塑性ポリウレタンの調製に用いられるジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートメチルオクタン、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。これらジイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましく用いられる。
[[鎖延長剤]]
熱可塑性ポリウレタンの調製に用いられる鎖延長剤としては、低分子量ポリオールが挙げられる。そして低分子量ポリオールの具体例は、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン等の脂肪族ポリオール;1,4−ジメチロールベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールである。これら低分子量ポリオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[ポリオレフィン樹脂]
本発明において、「ポリオレフィン樹脂」とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等の炭素数2以上10以下のモノオレフィン1種又は2種以上から誘導される繰り返し単位を50質量%以上含有し、JIS K−6253(1997)のA硬度が98を超える重合体である。
ポリオレフィン樹脂は、上述したモノオレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有し得る。上述したモノオレフィン以外の単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の炭素数4以上8以下の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の炭素数5以上15以下の非共役ジエン;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。
そして、ポリオレフィン樹脂の具体例は、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体等である。これらポリオレフィン樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[ポリオレフィンゴム]
本発明において、「ポリオレフィンゴム」とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン等の炭素数2以上10以下のモノオレフィン1種又は2種以上から誘導される繰り返し単位を50質量%以上含有し、JIS K−6253(1997)のA硬度が98以下の重合体である。
ポリオレフィンゴムは、上述したモノオレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有し得る。上述したモノオレフィン以外の単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の炭素数4以上8以下の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の炭素数5以上15以下の非共役ジエンが挙げられる。
ポリオレフィンゴムの具体例は、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、2−メチルプロペン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体等である。これらポリオレフィンゴムは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<可塑剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは可塑剤を含有する。そして好ましい可塑剤としては、トリメリット酸エステル可塑剤が挙げられる。トリメリット酸エステル可塑剤は、トリメリット酸と一価アルコールとのエステル化合物である。
上記一価アルコールの具体例としては、特に限定されることなく、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール等が挙げられる。
中でも、可塑剤として好ましいトリメリット酸エステル可塑剤は、上述した一価アルコールによりトリメリット酸のカルボキシ基を実質的に全てエステル化したトリエステル化物である。トリエステル化物におけるアルコール残基部分は、同一のアルコール由来であってもよく、それぞれ異なるアルコール由来のものであってもよい。
上記トリメリット酸エステル可塑剤は、単一の化合物からなるものであってもよいし、異なる化合物の混合物であってもよい。
好適なトリメリット酸エステル可塑剤の具体例は、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリ−n−ウンデシル、トリメリット酸トリ−n−ドデシル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、トリメリット酸トリアルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は8〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、及びこれらの混合物等である。
より好ましいトリメリット酸エステル可塑剤の具体例は、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は8〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、及びこれらの混合物等である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有する可塑剤として用い得るトリメリット酸エステル可塑剤以外の可塑剤としては、例えば、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
いわゆる一次可塑剤としては、
ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−n−ノニル、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトライソデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)等のピロメリット酸エステル可塑剤;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;
ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;
ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;
ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケート等のセバシン酸誘導体;
ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸誘導体;
ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;
モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;
ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエート等のオレイン酸誘導体;
メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;
n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;
ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;
ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;
グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体;
アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系可塑剤
等が挙げられる。
また、いわゆる二次可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレート等のグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチル等が挙げられる。
そして、上記トリメリット酸エステル可塑剤以外の可塑剤の中でも、エポキシ化植物油が好ましい。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物では、1種又は2種以上の、上記トリメリット酸エステル可塑剤以外の可塑剤を使用しうる。また、二次可塑剤を用いる場合、当該二次可塑剤と等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
そして、上記可塑剤の合計含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは30質量部以上190質量部以下であり、より好ましくは60質量部以上170質量部以下であり、更に好ましくは90質量部以上160質量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記範囲内であれば、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
<添加剤>
[過塩素酸処理ハイドロタルサイト]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、過塩素酸処理ハイドロタルサイトを含有していてもよい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO 2−)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO )で置換して(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換する)、容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1〜2モルとする。
未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率が上記範囲内であれば、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
ハイドロタルサイトは、一般式 [Mg1−xAl(OH)]x+[(CO)x/2・mHO]x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層[Mg1−xAl(OH)]x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO)x/2・mHO]x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特公昭61−174270号公報に記載されている。
過塩素酸処理ハイドロタルサイトの、上記熱可塑性樹脂100質量部に対する好ましい含有量は0.5質量部以上7質量部以下であり、より好ましい含有量は1質量部以上6質量部以下であり、更に好ましい含有量は1.5質量部以上5.5質量部以下である。過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量が上記範囲内であれば、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO・(SiO]・zHO(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単位格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としてはNa、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
ゼオライトの含有量は特定の範囲に限定されない。ゼオライトの好ましい含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
[脂肪酸金属塩]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、脂肪酸金属塩を含有していてもよい。好ましい脂肪酸金属塩は、一価脂肪酸金属塩であり、より好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数12以上24以下の一価脂肪酸金属塩であり、更に好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数15以上21以下の一価脂肪酸金属塩である。脂肪酸金属塩の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
脂肪酸金属塩の、上記熱可塑性樹脂100質量部に対する好ましい含有量は0.05質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1質量部以下であり、更に好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物の加熱成形後の色差の値を小さくできる。
[その他のダスティング剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤(以下、「その他のダスティング剤」ということがある。)を含有し得る。その他のダスティング剤としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウム等の無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子等の有機微粒子が挙げられる。中でも、平均粒子径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
その他のダスティング剤の含有量は特定の範囲に限定されない。その他のダスティング剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
[その他の添加剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、着色剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤(紫外線吸収剤を含む)、発泡剤、β−ジケトン類、滑剤等の、その他の添加剤を含有し得る。
着色剤の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。本発明の熱可塑性樹脂組成物では、1種又は2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等である。
防カビ剤の具体例は、脂肪族エステル系防カビ剤、炭化水素系防カビ剤、有機窒素系防カビ剤、有機窒素硫黄系防カビ剤等である。
難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;等である。
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤等である。
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー等である。
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤等である。
発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物等の有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物;これらを内包したマイクロカプセル等のガス系の発泡剤等である。
β−ジケトン類は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を粉体成形して得られる熱可塑性樹脂成形体の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられる。β−ジケトン類の具体例は、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン等である。これらのβ−ジケトン類は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、β−ジケトン類の含有量は特定の範囲に限定されない。β−ジケトン類の好ましい含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
滑剤の具体例は、12−ヒドロキシステアリン酸オリゴマーなどである。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した成分を混合して製造することができる。例えば、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、少なくとも、上記熱可塑性樹脂、及び上記可塑剤を混合することを含む。そして、このような熱可塑性樹脂組成物の製造方法では、上記成分に加え、任意に添加剤が混合されてもよい。
ここで、熱可塑性樹脂、可塑剤、及び添加剤の混合方法は限定されない。好ましい混合方法は、可塑剤及びダスティング剤(上記(b)塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加されるその他のダスティング剤とを含む)を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、可塑剤、ダスティング剤を順次、混合する方法である。ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、好ましくは50℃以上100℃以下、より好ましくは70℃以上80℃以下である。
<熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径>
上述のようにして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常、複数の粒子で構成される粒子の集合体(粉体組成物)である。そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径は、80μm以上150μm以下であることが必要であり、好ましくは100μm以上150μm以下であり、より好ましくは110μm以上150μm以下であり、更に好ましくは110μm以上140μm以下である。熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、フェイクステッチ形成の際のピンホール発生割合を低下させることができる。
ここで、本発明において、「熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径」は、以下の方法により測定されるメジアン径を指す。
[熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径の測定方法]
目開きがそれぞれ355μm、250μm、180μm、150μm、125μm、106μm、75μmである篩を上から順に重ねた組篩、及び音波自動篩い分け測定器((株)セイシン企業製、ロボットシフターRPS−105)を用いて熱可塑性樹脂組成物を篩分けし、JIS Z 8815に準拠してメジアン径を求める。
なお、熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径は、熱可塑性樹脂組成物の調製に用いる材料の種類及び粒子径、並びに熱可塑性樹脂組成物を調製する際の混合条件等を変更することで、調整することができる。
(熱可塑性樹脂成形体)
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を粉体成形、好ましくはパウダースラッシュ成形して得る。また粉体成形(好ましくはパウダースラッシュ成形)の際に、同時にフェイクステッチ部を得ることで、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、フェイクステッチを有する表皮として好適に用いることができる。
そして、本発明の熱可塑性樹脂成形体の好適な用途としては、自動車内装材、例えばインスツルメントパネル、ドアトリム等の表皮が挙げられる。
(熱可塑性樹脂成形体の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、上述した熱可塑性樹脂組成物を用いて製造することができる。即ち、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、少なくとも、上述したいずれかの熱可塑性樹脂組成物を粉体成形、好ましくはパウダースラッシュ成形することを特徴とする。
ここで、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上280℃以下である。
本発明の熱可塑性樹脂成形体を製造する際には、上記温度範囲の金型に本発明の熱可塑性樹脂組成物を振りかけて5秒以上30秒以下の間放置し、その後、余剰の熱可塑性樹脂組成物を振り落とし、さらに30秒以上3分以下の間放置した後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた本発明の熱可塑性樹脂成形体を金型から脱型する。
なお、フェイクステッチが施された熱可塑性樹脂成形体を製造する際には、粉体成形用の金型として、フェイクステッチ用金型を用いることが好ましい。フェイクステッチ用金型には、熱可塑性樹脂成形体にフェイクステッチ部を付与するための掘り込み部分、望ましくは糸形状の掘り込み部分が存在する。上記糸形状の掘り込み部分の溝幅は、好ましくは0.2mm以上0.7mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.5mm以下であり、当該糸形状の掘り込み部分の凸部の幅は、好ましくは0.02mm以上0.1mm以下、より好ましくは0.03mm以上0.08mm以下である。なお、当該フェイクステッチ用金型が有する、熱可塑性樹脂成形体にフェイクステッチ部を付与するための糸形状の掘り込み部分の数は、一つの金型当たり、通常複数であり、好ましくは10以上10,000以下であり、より好ましくは30以上1,000以下である。
(積層体)
本発明の積層体は、本発明の熱可塑性樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを積層して得ることができる。積層方法は、熱可塑性樹脂成形体と、発泡ポリウレタン成形体とを別途製造した後に、熱融着あるいは熱接着又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;熱可塑性樹脂成形体上で、発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行い、熱可塑性樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法等が挙げられる。後者の方が、工程が簡素であり、かつ、種々の形状の積層体を得る場合においても、熱可塑性樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体との接着を確実に行うことができるのでより好適である。
そして、本発明の積層体は、自動車内装材、例えばインスツルメントパネル、ドアトリム等として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、各種測定方法および評価方法は次の通りである。
<(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径>
実施例及び比較例において、熱可塑性樹脂組成物に用いられる(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、型番「SALD−2300」)
・測定方式:レーザー回折及び散乱
・測定範囲:0.017μm〜2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
<(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度>
実施例及び比較例において、熱可塑性樹脂組成物に用いられる(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
<熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径>
目開きがそれぞれ355μm、250μm、180μm、150μm、125μm、106μm、75μmである篩を上から順に重ねた組篩、及び音音波自動篩い分け測定器((株)セイシン企業製、ロボットシフターRPS−105)を用いて熱可塑性樹脂組成物を篩分けし、JIS Z 8815に準拠してメジアン径を求めた。
<ピンホール発生割合>
欠損がある糸部の数を全糸部数(56、用いた金型における糸形状の掘り込み部分数と同等)で除し、ピンホール発生割合を算出した。
(実施例1及び比較例1〜2)
表1に示す配合成分のうち可塑剤(トリメリット酸エステル可塑剤、及びエポキシ化大豆油)とダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で上記可塑剤を添加し、ドライアップ(可塑剤が塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が70℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、熱可塑性樹脂組成物(塩化ビニル樹脂組成物)を製造した。そして、上述した方法で熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた熱可塑性樹脂組成物を、オーブンで250℃に加熱したニッケル電鋳金型(溝幅0.4mm、凸部の幅0.05mmの糸形状の掘り込み部分を56個有する)に振りかけ、熱可塑性樹脂成形シートの厚みが1mmになるよう調整した時間(具体的には14〜17秒間)放置して溶融させた後、余剰の熱可塑性組成物を振り落とした。その後、200℃に設定したオーブンに静置し、静置後60秒経過した時点で金型を冷却水により冷却し、金型温度が40℃まで冷却された時点で145mm×175mm×1mmの熱可塑性樹脂成形シート(熱可塑性樹脂成形体)を金型から脱型した。そして、上述した方法でピンホール発生割合を算出した。結果を表1に示す。
得られた熱可塑性樹脂成形シートを100mm×100mmに切り取り、切り取られた塩化ビニル樹脂成形シート2枚を、200mm×300mm×10mmの金型中に重ならないように敷き、シボ付き面を下にして置いた。
別途、プロピレングリコールのプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド(PO・EO)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)50質量部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)50質量部、水2.5質量部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー(株)製、商品名:「TEDA−L33」)0.2質量部、トリエタノールアミン1.2質量部、トリエチルアミン0.5質量部及び整泡剤(信越化学工業(株)製、商品名:「F−122」)0.5質量部からなるポリオール混合物と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI))とを、インデックスが98になる比率で混合して混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型中に敷かれた熱可塑性樹脂成形シート2枚ずつの上にそれぞれ注いだ。その後、348mm×255mm×10mmのアルミ板で金型に蓋をすることで金型を密閉した。5分後、1mm厚の熱可塑性樹脂成形シートからなる表皮に発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を金型から取り出した。
Figure 2016098343
1)新第一塩ビ(株)製、ZEST 1300S(懸濁重合で得られた塩化ビニル樹脂粒子、平均重合度1300、平均粒子径120μm)
2)新第一塩ビ(株)製、ZEST 1300Z(懸濁重合で得られた塩化ビニル樹脂粒子、平均重合度1300、平均粒子径145μm)
3)新第一塩ビ(株)製、ZEST 1700Z(懸濁重合で得られた塩化ビニル樹脂粒子、平均重合度1700、平均粒子径145μm)
4)花王(株)製、トリメックスN−08
5)(株)ADEKA製、アデカサイザーO−130S
6)協和化学工業(株)製、アルカマイザー5
7)水澤化学工業(株)製、MIZUKALIZER DS
8)昭和電工(株)製、カレンズ DK−1
9)堺化学工業(株)、SAKAI SZ2000
10)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQLTX(乳化重合で得られた塩化ビニル樹脂微粒子、平均重合度800、平均粒子径2μm)
11)大日精化工業(株)製、DA PX−1720 ブラック(A)
表1より、実施例1の熱可塑性樹脂組成物を用いてフェイクステッチを有する表皮を形成すると、ピンホール発生割合が低いことがわかる。一方、含有される粒子の平均粒子径が大きすぎる比較例1及び2の熱可塑性樹脂組成物を用いてフェイクステッチを有する表皮を形成すると、ピンホール発生割合が高いことがわかる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、インスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車内装材の表皮の成形材料として好適に用いられる。

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子の平均粒子径が80μm以上150μm以下である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. フェイクステッチを有する表皮用である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 更に可塑剤を含有し、そして前記熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記塩化ビニル樹脂100質量部に対し、前記可塑剤を30質量部以上190質量部以下含む、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記塩化ビニル樹脂が、70質量%以上100質量%以下の(a)塩化ビニル樹脂粒子、及び0質量%以上30質量%以下の(b)塩化ビニル樹脂微粒子のみからなる、請求項3又は4項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が800以上5000以下であり、前記(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が500以上5000以下である、請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 粉体成形に用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を粉体成形してなる熱可塑性樹脂成形体。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物をパウダースラッシュ成形してなる熱可塑性樹脂成形体。
  11. フェイクステッチを有する表皮用である、請求項9又は10に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  12. 自動車インスツルメントパネル表皮用である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  13. 発泡ポリウレタン成形体と、請求項9〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体とを有する、積層体。
  14. 自動車インスツルメントパネル用である、請求項13に記載されている積層体。
  15. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を粉体成形することを特徴とする、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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