JPWO2016080356A1 - 配向フィルム - Google Patents

配向フィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016080356A1
JPWO2016080356A1 JP2016560215A JP2016560215A JPWO2016080356A1 JP WO2016080356 A1 JPWO2016080356 A1 JP WO2016080356A1 JP 2016560215 A JP2016560215 A JP 2016560215A JP 2016560215 A JP2016560215 A JP 2016560215A JP WO2016080356 A1 JPWO2016080356 A1 JP WO2016080356A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
heat
oriented film
less
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016560215A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6346301B2 (ja
Inventor
中西 貴之
貴之 中西
正紀 羽田
正紀 羽田
吉田 哲男
哲男 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Publication of JPWO2016080356A1 publication Critical patent/JPWO2016080356A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6346301B2 publication Critical patent/JP6346301B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L25/00Compositions of, homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L25/02Homopolymers or copolymers of hydrocarbons
    • C08L25/04Homopolymers or copolymers of styrene
    • C08L25/06Polystyrene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L71/00Compositions of polyethers obtained by reactions forming an ether link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L71/08Polyethers derived from hydroxy compounds or from their metallic derivatives
    • C08L71/10Polyethers derived from hydroxy compounds or from their metallic derivatives from phenols
    • C08L71/12Polyphenylene oxides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、高温熱処理時のシワによる熱負け発生抑制に優れるシンジオタクチックポリスチレン系樹脂の配向フィルムを提供する。すなわち、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる樹脂成分として含み、ガラス転移温度が130℃以上である熱可塑性非晶樹脂を含む樹脂組成物からなり、130℃で30分熱処理した時の面内方向における熱収縮率が5.0%以下、200℃で10分熱処理したときの面内方向における少なくとも1方向の熱収縮率が6.5%以上である配向フィルムが提供される。

Description

本発明は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体からなる配向フィルムに関する。さらに詳しくは、蒸着工程など高温での熱処理をするときのシワによる熱負け発生が抑制されたシンジオタクチック構造のスチレン系重合体からなる配向フィルムに関する。
従来、フィルムコンデンサーは、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム等のフィルムとアルミニウム箔等の金属薄膜とを重ね合わせ、巻回又は積層する方法により製造されている。近年、電気あるいは電子回路の小型化の要求に伴い、フィルムコンデンサーについても小型化や実装化が進んでおり、電気特性に加えてさらなる耐熱性が要求されるようになってきた。また、自動車用途においては、運転室内での使用のみならず、エンジンルーム内にまで使用範囲が拡大しており、電気特性に加え、より高温高湿下の環境に適したフィルムコンデンサーが要求されている。
かかる要求に対して、特許文献1(特開平2−143851号公報)、特許文献2(特開平3−124750号公報)、特許文献3(特開平5−200858号公報)や特許文献4(国際公開2008/156210号パンフレット)には、耐熱性および電気特性に優れた極薄のシンジオタクチックポリスチレン系フィルムを用いる方法が提案されている。
さらに、特開2011−111592号公報には、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムの耐熱性を向上させ、さらに製膜性を向上させるために、ガラス転移温度が130℃以上である熱可塑性非晶樹脂を併用することが、提案されている。
特開平2−143851号公報 特開平3−124750号公報 特開平5−200858号公報 国際公開2008/156210号パンフレット 特開2011−111592号公報
ところで、厚みが薄いフィルムに蒸着工程など高温熱処理を施そうとするとシワにより熱負けが発生し、通常はシワを消すために張力を高くする。しかしながら、従来のポリエステルフィルムに比べてフィルムが裂けやすいため、張力を高くすると熱処理加工時に切断が発生しやすくなるという新たな問題が見出された。この問題はフィルムの厚みを薄くすると特に顕著に表れ、前述の特許文献5にて提案された熱可塑性非晶樹脂を併用して製膜性を向上させても依然として解消されなかった。
本発明は、このような上記の背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、高温熱処理時のシワによる熱負け発生抑制に優れるシンジオタクチックポリスチレン系樹脂の配向フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究したところ、従来はシワなどの発生や平面性の問題から200℃熱収は6%未満が良いとされていた。しかし、熱可塑性非晶樹脂を併用することで耐熱性や製膜性を向上させる系では、耐熱性が向上するのに合わせて、製膜条件を高温側にシフトさせて高温での熱寸法安定性を向上させると、かえって破断強度が低下することが判明した。そして、驚くべきことに200℃での熱収縮率を逆に大きくすることで、収縮によりシワによる熱負けの発生が抑えられ、破断強度なども向上できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる樹脂成分として含み、ガラス転移温度が130℃以上である熱可塑性非晶樹脂を含む樹脂組成物からなり、130℃で30分処理した時の面内方向における熱収縮率が5.0%以下、200℃で10分熱処理したときの面内方向における少なくとも1方向の熱収縮率が6.5%以上である配向フィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、振動周波数10Hzでの損失弾性率(E’’)のピーク温度が125℃以上でかつ破断強度が90MPa以上であること、200℃で10分熱処理したときの製膜方向および幅方向の熱収縮率の平均値が6.5%以上15.0%以下であること、130℃で30分熱処理したときの面内方向における熱収縮率が0.0%以上5.0%以下であること、熱可塑性非晶樹脂がポリフェニレンエーテルであること、フィルムの厚みが0.3〜30μmであること、蒸着加工に用いられることの少なくともいずれか一つを具備する配向フィルムも提供される。
本発明の配向フィルムは、電気特性と耐熱性に優れたシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体を用いながらも、蒸着工程など高温での熱処理をするときのシワによる熱負け発生を抑制することができる。
また、本発明によれば、絶縁破壊電圧が高く、蒸着工程などの高温熱処理後も平面性を確保でき、極めて薄く取扱いが難しいフィルムコンデンサー用のベースフィルムとしても好適に用いることができる。
本発明の配向フィルムは、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体にガラス転移温度が130℃以上である熱可塑性非晶樹脂を含有させた樹脂組成物からなる。
本発明におけるシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂(以下、「シンジオタクチックポリスチレン樹脂」、もしくは「SPS」と称することがある。)としては、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。一般にタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッド等によって示すことができる。本発明におけるシンジオタクチック構造のポリスチレン系樹脂とは、ダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、あるいはペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、あるいはこれらのベンゼン環の一部が水素化された重合体やこれらの混合物、またはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フロオロスチレン)等がある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。これらのうち好ましいポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、またスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができ、なかでもポリスチレンが好ましい。
さらに、本発明におけるポリスチレン系樹脂に共重合成分を含有させて共重合体として使用する場合においては、そのコモノマーとして、上述の如きポリスチレン系樹脂のモノマーのほか、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等を用いることができる。
また、このシンジオタクチック構造のポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1.0×10〜3.0×10であり、さらに好ましくは5.0×10〜1.5×10であり、特に好ましくは1.1×10〜8.0×10である。重量平均分子量を1.0×10以上、好ましくは5.0×10以上、特に好ましくは1.1×10以上とすることで、強伸度特性に優れ、耐熱性がより向上したフィルム等の成形品を得ることができる。また、重量平均分子量が3.0×10以下、好ましくは1.5×10以下、特に好ましくは8.0×10以下だと、延伸張力が好適な範囲となり、製膜時等において破断等が発生しにくくなる。
本発明の配向フィルムの、130℃で30分熱処理した時の面内方向の熱収縮率は5.0%以下、好ましくは3.0%以下である。この収縮率が上限を超えると高温熱処理後のフィルムが平面性を維持できなくなるため好ましくない。他方、下限は特に制限されないが、負の熱収縮率になるとフィルムが伸びることによるシワが発生しやすくなることから、−1.0%以上、さらに0.0%以上であることが好ましい。なお、フィルムの面内方向における熱収縮率とは、フィルムの製膜方向およびそれに直交する方向を測定したときの両方向の熱収縮率の平均値を意味する。
また200℃で10分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率は6.5%以上、好ましくは7.5%以上、さらに好ましくは8.5%以上である。この収縮率が下限未満であると高温熱処理時にシワによる熱負け発生が抑制できず、また破断強度も低下してしまう。一方で熱収縮率の上限は特に制限されないが、過度に高くなり過ぎると熱処理加工後のフィルムの平面性を維持するのが難しくなりやすいことから、20%以下、さらに18%以下、特に15%以下であることが好ましい。なお、200℃で10分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率とは、例えばフィルムの製膜方向およびそれに直交する方向(幅方向)のいずれかが上記熱収縮特性を有する方向を有していればよいことを意味する。さらにフィルムの製膜方向および幅方向の平均値が上記範囲にあることが好ましく、特にフィルムの製膜方向および幅方向のそれぞれの値が上記範囲にあることが好ましい。
さらに150℃で30分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率は3.0%以上、好ましくは4.0%以上であることが、高温熱処理時にシワによる熱負け発生を抑制しやすく、破断強度も高めやすいことから好ましい。一方で熱収縮率の上限は特に制限されないが、過度に高くなり過ぎると熱処理加工後のフィルムの平面性を維持するのが難しくなりやすいことから、12%以下、さらに10%以下であることが好ましい。なお、150℃で30分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率とは、例えばフィルムの製膜方向およびそれに直交する方向(幅方向)のいずれかが上記熱収縮特性を有する方向を有していればよいことを意味する。なお上記熱収縮率を具備する方向は、最も熱収縮率が大きい方向であることが好ましい。
180℃で10分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率は4.5%以上、好ましくは5.5%以上である。この収縮率が下限未満であると高温熱処理時にシワによる熱負け発生が抑制できず、また破断強度も低下してしまう。一方で熱収縮率の上限は特に制限されないが、過度に高くなり過ぎると熱処理加工後のフィルムの平面性を維持するのが難しくなりやすいことから、15%以下、さらに13%以下であることが好ましい。なお、180℃で10分処理したときの面内方向の少なくとも一方向の熱収縮率とは、例えばフィルムの製膜方向およびそれに直交する方向(幅方向)のいずれかが上記熱収縮特性を有する方向を有していればよいことを意味する。なお上記熱収縮率を具備する方向は、最も熱収縮率が大きい方向であることが好ましい。
上記のような熱収縮率は、後述の熱可塑性非晶樹脂との組合せと製膜条件、特に熱固定温度の制御などにより達成できる。
本発明の配向フィルムは、動的粘弾性測定により振動周波数10Hzで測定した損失弾性率(E’’)のピーク温度が120℃以上150℃以下であることが好ましい。損失弾性率(E’’)のピーク温度が高いということは、分子運動が活発になる温度が高く、耐熱性に優れることを意味する。このような観点から、損失弾性率(E’’)のピーク温度は、125℃以上がより好ましく、130℃以上が特に好ましい。一方、損失弾性率(E’’)のピーク温度が高すぎるということは、分子運動が活発になり難いということも併せ持っており、延伸時の延伸応力が高くなるためか、延伸製膜時に破断が起き易くなる。このような観点からは、損失弾性率(E’’)のピーク温度は、145℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましい。上記のような損失弾性率(E’’)のピーク温度を達成するためには、熱可塑性非晶樹脂を採用し、その含有量を適宜調整すればよい。
また、前述の通り、熱可塑性非晶樹脂を含有させると、破断強度が低下することが判明した。その結果、高温熱処理などのフィルム加工工程において切断が発生しやすくなるなどの問題があり、そのような観点から、本発明の配向フィルムは、破断強度が90MPa以上であることが好ましく、100MPa以上がさらに好ましい。このような破断強度は、後述の熱可塑性非晶樹脂との組合せと製膜条件、特に熱固定温度の制御などにより達成できる。
ところで、本発明における樹脂組成物は、熱可塑性非晶樹脂を含有する。ここでいう熱可塑性非晶樹脂は、DSC(示差走査熱量計)により求められるガラス転移温度TgがSPSより高い130℃以上のTgを有する熱可塑性非晶樹脂である。SPSにこのような熱可塑性非晶樹脂を配合すると、混合体としてのガラス転移温度Tgが高くなるだけでなく、耐熱性が向上し、高温における絶縁破壊電圧が高くなる。また、配向フィルムの熱寸法安定性が良好となり、延伸性も向上させることができる。このような観点から、熱可塑性非晶樹脂のガラス転移温度Tgは、150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがさらに好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。配合する熱可塑性非晶樹脂のガラス転移温度Tgが高いほど、熱寸法安定性等の上記効果の向上効果が大きくなる。溶融押出等を考慮すると、実質的な上限は好ましくは350℃、より好ましくは300℃である。
このような熱可塑性非晶樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミドなどの芳香族ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等を好ましく例示することができる。これらのうち延伸性を向上させやすく、また酸化防止剤と組合せたときに、相乗作用があるためか、耐熱性、寸法安定性だけでなく、絶縁破壊電圧もさらに向上することから、ポリフェニレンエーテルが特に好ましい。ここで用いられるポリフェニレンエーテル樹脂としては、従来公知の樹脂、例えば、ポリ(2,3−ジメチル−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−クロロメチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2、3、6−トリメチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−(4’−メチルフェニル)−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−ブロモ−6−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−ブロモ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−メチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)等のホモポリマー、及び、これらの共重合体を挙げることができる。また、これらを無水マレイン酸,フマル酸等の変性剤で変性したものも好適に用いられる。さらに、スチレン等のビニル芳香族化合物を上記ポリフェニレンエ−テルにグラフト共重合またはブロック共重合した共重合体も用いられる。これらのなかで、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)が特に好ましい。
熱可塑性非晶樹脂の固有粘度(クロロホルム中、30℃で測定)は、0.2〜0.8dl/gの範囲が好ましく、0.3〜0.6dl/gの範囲がより好ましい。固有粘度が0.2dl/g未満の場合には、得られる樹脂組成物の機械的強度が低下する場合がある。一方0.8dl/gを超える場合には、得られる樹脂組成物の流動性が低下し、フィルム等に溶融成形する際の加工が困難になる傾向にある。熱可塑性非晶樹脂は2種以上を併用してもよく、その際には固有粘度の異なるものを混合して所望の固有粘度となるようにしてもよい。
本発明の配向フィルムは、該配向フィルムの質量に対して上記の熱可塑性非晶樹脂を5質量%以上48質量%以下配合していることが好ましい。熱可塑性非晶樹脂を上記範囲の量配合することによって、耐熱性に優れ、また絶縁破壊電圧の向上効果を高くすることができ、すなわち高温における絶縁破壊電圧を高くすることができる。含有量が少なすぎる場合は、耐熱性が劣る傾向にあり、また絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる傾向にあり、延伸性の向上効果も乏しくなる。このような観点から、熱可塑性非晶樹脂の含有量は、8質量%以上がより好ましく、11質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、含有量が多すぎる場合は、SPSの結晶性が低下しやすくなる傾向にあり、フィルムの耐熱性が劣る傾向にある。このような観点から、熱可塑性非晶樹脂の含有量は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
もちろん、本発明の配向フィルムは、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記SPS、熱可塑性非晶樹脂の他に、さらに他の樹脂を併用してもよい。
<酸化防止剤>
本発明の配向フィルムは、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、生成したラジカルを捕捉して酸化を防止する一次酸化防止剤、あるいは生成したパーオキサイドを分解して酸化を防止する二次酸化防止剤のいずれであってもよい。一次酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられ、二次酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。これらの中でも一次酸化防止剤が好ましく、特にフェノール系酸化防止剤が好ましい。
また、酸化防止剤は、その熱分解温度が250℃以上であることが好ましい。熱分解温度が高いと、高温における絶縁破壊電圧の向上効果が高くなる。熱分解温度が低すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤自体が熱分解してしまい、工程を汚染してしまう、ポリマーが黄色く着色してしまう等の問題が生じやすくなる傾向にあり好ましくない。このような観点から、酸化防止剤の熱分解温度は、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上、特に好ましくは320℃以上である。本発明における酸化防止剤は、熱分解しにくい方が好ましく、熱分解温度は高い方が好ましいが、現実的には、その上限は500℃以下程度である。
また、酸化防止剤の融点は、90℃以上であることが好ましい。融点が低すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤がポリマーより早く融解してしまい、押出機のスクリュー供給部分においてポリマーがスリップしてしまう傾向にある。それによって、ポリマーの供給が不安定となり、フィルムの厚み斑が悪くなる等の問題が生じる。このような観点から、酸化防止剤の融点は、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。他方、酸化防止剤の融点が高すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤が融解しにくくなり、ポリマー内での分散が悪くなってしまう傾向にある。それにより、酸化防止剤の添加効果が局所的にしか発現しない等の問題が生じる。このような観点から、酸化防止剤の融点は、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下、特に好ましくは170℃以下である。
以上のような酸化防止剤としては、市販品をそのまま用いることもできる。市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1010)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1024)、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1098)等が好ましく挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、配向フィルムの質量を基準として0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。酸化防止剤を上記数値範囲の含有量で含有することによって、絶縁破壊電圧の向上効果を高くすることができる。酸化防止剤の含有量が少なすぎる場合は、酸化防止剤の添加効果が十分でなく、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、酸化防止剤の含有量は、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、0.7質量%以上が特に好ましい。他方、含有量が多すぎる場合は、二軸延伸フィルム中において酸化防止剤が凝集しやすくなる傾向にあり、酸化防止剤に起因する欠点が増加する傾向にあり、かかる欠点により絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。このような観点から、酸化防止剤の含有量は、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
これら酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<その他の添加剤>
本発明の配向フィルムは、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えばさらに成形性、力学物性、表面性等を改良するために、熱可塑性非晶樹脂とは異なる他の樹脂成分を含有させたり、帯電防止剤、着色剤、耐候剤、滑剤等の添加剤を加えることができる。
<金属層>
本発明の配向フィルムは、例えば少なくとも片面に金属層を積層することでコンデンサーとなる。金属層の材質については、特に制限はないが、例えばアルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、錫、銅およびこれらの合金が挙げられる。さらにこれらの金属層は若干量酸化されていてもよい。また、金属層を簡便に形成できるため、金属層は蒸着法により形成された蒸着型金属層であることが好ましい。
<フィルム特性>
(厚み方向の屈折率)
本発明の配向フィルムは、屈折率による面配向係数が−0.030以下であることが好ましい。なお、本発明の配向フィルムでは、面配向係数が負の値になればなるほど、フィルム面方向に分子鎖が配向されていることを意味し、面配向係数を上限以下にしていくことで、後述の動的粘弾性E’’を向上させることができる。このような観点から、面配向係数の上限は、−0.030以下が好ましく、−0.032以下がより好ましく、−0.033以下が特に好ましい。
一方、面配向係数の下限は特に制限されないが、フィルム製造工程、特に延伸工程におけるフィルム破断の頻度が増加する傾向にあり、フィルムの生産性が低下しやすくなる。このような観点から、面配向係数の下限は、好ましくは−0.050以上であり、−0.045以上がより好ましく、−0.040以上が特に好ましい。
(フィルム厚み)
本発明の配向フィルムは、その厚みは特に制限されないが、フィルムとしての破断を抑制しやすい点から、0.3μm以上、さらに0.5μm以上、特に1.0μm以上、最も好ましくは1.5μm以上であり、他方薄くなるほど本発明の効果が出やすいことから、30.0μm以下、さらに20.0μm以下、特に好ましくは10.0μm以下、最も好ましくは5μm以下である。
(絶縁破壊電圧(BDV))
本発明の配向フィルムは、室温における絶縁破壊電圧(BDV)が500kV/mm以上であることが好ましい。かかる絶縁破壊電圧はより好ましくは520kV/mm以上、さらに好ましくは550kV/mm以上である。
(表面粗さ)
本発明の配向フィルムは、算術平均粗さ(Ra)が20nm〜150nmであることが好ましく、より好ましくは25nm〜120nm、さらに好ましくは30nm〜100nmである。Raが上限を超えると、高温熱処理後も平面性を維持するのが難しくなる。また、Raが下限以下となると、巻取性が悪化するため好ましくない。Raを上記範囲内とするために滑剤として、配向フィルム表面に凹凸を形成する粒子などを添加してもよい。滑剤の材質、形状はそれ自体公知のものを採用できる。
(ヤング率)
本発明の配向フィルムは、ヤング率が3.0GPa〜6.0GPaであることが好ましく、より好ましくは3.3GPa〜5.7GPa、さらに好ましくは3.5GPa〜5.5GPaである。ヤング率が上記範囲内にあると適正な製膜条件で安定製膜が可能である。ところで、本発明の特徴は、従来通りヤング率で見ても差がないものの、加工性に大きな差が生じることを新たに見出したものと言える。
<フィルムの製造方法>
本発明の配向フィルムは、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で得ることができる。以下、本発明の配向フィルムを得るための製造方法について詳記する。なお、本発明の配向フィルムは、一軸配向フィルムであっても二軸配向フィルムであっても良いが、生産性や物性のバランスの点から二軸配向フィルムであることが好ましい。以下、二軸配向フィルムを例にとって、説明する。
先ず、前述の通り、SPSと熱可塑性非晶樹脂を配合した樹脂組成物を加熱溶融し、未延伸シートを作成する。具体的には樹脂組成物の融点(Tm、単位:℃)以上(Tm+50℃)以下の温度で加熱溶融し、シート状に押し出して、冷却固化して未延伸シートを得る。得られた未延伸シートの固有粘度は、0.35〜0.90dl/gの範囲であることが好ましい。
次いで、この未延伸シートを二軸に延伸する。延伸は、縦方向(機械軸方向)および横方向(機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向)を同時延伸してもよいし、任意の順序で逐次延伸してもよい。例えば逐次延伸の場合は、先ず一軸方向に(樹脂組成物のガラス転移温度(Tg、単位:℃)−10℃)以上(Tg+70℃)以下の温度で3.2倍以上5.8倍以下、好ましくは3.3倍以上5.4倍以下、さらに好ましくは3.4倍以上5.0倍以下の倍率で延伸し、次いで該一軸方向と直交する方向にTg以上(Tg+80℃)以下の温度で3.8倍以上5.9倍以下、好ましくは4.0倍以上5.5倍以下、より好ましくは4.1倍以上5.1倍以下、さらに好ましくは4.2倍以上4.9倍以下の倍率で延伸する。さらに、面積延伸倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)としては、12.0倍以上である事が、前述の面配向係数を備えるフィルムを得るため好ましい。面積延伸倍率が低くなると、耐熱性が劣るようになり好ましくない。このことから、面積延伸倍率は13.0倍以上がより好ましく、13.5倍以上がさらに好ましく、14.0倍以上が特に好ましい。また、面積延伸倍率が高くなり過ぎると製膜・延伸時に破断が起き易くなり、望ましくない。このような観点から、面積延伸倍率は、22倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、18倍以下がさらに好ましく、17倍以下が特に好ましい。
なお、本発明においては、未延伸シート、または、かかる未延伸シートを、好ましくは縦方向に一軸延伸した一軸延伸フィルムに、塗布層を形成するための塗液を塗布することで、塗布層を形成してもよい。
次いで、160〜230℃の温度で熱固定する。熱固定の温度は165℃以上225℃以下であり、好ましくは170℃以上220℃以下であり、さらに好ましくは195℃以上215℃以下である。上記のような熱固定温度を採用することで、前述の熱収縮率を所望とする範囲とすることができる。また、熱固定の後に必要に応じて熱固定温度より20℃〜90℃低い温度下で弛緩処理や緊張処理を行い、さらに前述の熱収縮率を調整しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定し、フィルムの製膜方向を、長手方向、縦方向またはMD方向、それに直交する方向を、幅方向、横方向またはTD方向と称する。
(1)フィルム厚み
電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
(2)ガラス転移温度
サンプル10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差走査熱量計(DSC)(TA Instruments社製:商品名DSCQ100に装着し、室温(25℃)から20℃/分の速度で320℃まで昇温させ、その後サンプルを急冷してから再度20℃/分の速度で昇温してガラス転移温度(単位:℃)を測定した。
(3)ポリフェニレンエーテル、酸化防止剤の含有量はそれぞれ後述の方法で測定した。
ポリフェニレンエーテル:1H−NMR測定、13C−NMR測定により、熱可塑性非晶樹脂の成分および各成分量を特定した。
酸化防止剤:1H−NMR測定、13C−NMR測定により、酸化防止剤の成分および各成分量を特定した。なお、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](登録商標Irg1098)の場合はtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルとアミド結合との間の炭化水素鎖に起因する水素に起因するピーク強度を測定した。かかるNMR測定結果をもとに、安定剤が樹脂と反応している場合はもとの安定剤に換算した含有量を求めた。また、ポリマーと未反応な安定剤と、ポリマーと反応した安定剤とが混在し、同じ炭化水素鎖に着目しても複数のピーク位置が検出される場合は、それらの合計値より含有量を求めた。
(4)製膜延伸性
各実施例・比較例の製膜条件にて製膜を行い、下記の基準で評価した。
製膜延伸性◎ :5万mの製膜当り、破断が1回未満
製膜延伸性○ :5万mの製膜当り、破断が1回〜2回未満
製膜延伸性△ :5万mの製膜当り、破断が2回〜4回未満
製膜延伸性× :5万mの製膜当り、破断が4回〜8回未満
製膜延伸性××:5万mの製膜当り、破断が8回以上
(5)損失弾性率(E’’)、誘電正接(tanδ)、誘電率(ε)
動的粘弾性測定装置(Perkin Elmer社製、DMA8000)を用い、20℃から230℃まで2℃/分の速度で昇温しながら振動周波数10Hzの条件で、フィルムサンプルの損失弾性率(E’’)(単位:MPa)を測定した。このとき、サンプル長は、測定方向2cm×幅方向5mm(チャック間1cm)とした。上記測定結果から、損失弾性率(E’’)のピーク温度(単位:℃)を求めた。なお、フィルムの縦方向および横方向のそれぞれについて測定を実施し、それらの平均値を算出して求めた。また、ピークが2つある場合には、低温側のピーク温度を採用した。
また、誘電正接(tanδ)と誘電率(ε)は、安藤電気製誘電体損測定機(TR−10C)を用い、温度120℃、振動周波数1kHzの条件で測定して求めた。サンプルはJIS C 2151に従ってアルミ蒸着によって作成した。なお、フィルムの縦方向および横方向のそれぞれについて測定を実施し、それらの平均値を算出して求めた。
(6)屈折率
ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用いて23℃65%RHにて、縦方向(Nx)、横方向(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定し、面配向係数(ΔP)を算出した。面配向係数の算出方法は以下の通り。
ΔP=(Nx+Ny)/2−Nz
(7)破断強伸度、ヤング率
破断強伸度はフィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切り、チャック間100mmにして、引張速度100mm/min、チャート速度500mm/minの条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張り、破断点の伸度を破断伸度とし、破断点の荷重から計算した応力を破断強度として算出した。なお、破断強度を算出する際の断面積は、破断時の断面積(測定サンプルの断面積/(1+破断伸度(%)/100)で割った値)を用いた。
ヤング率はフィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/min、チャート速度500mm/minの条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重−伸び曲線の立上り部の接線よりヤング率を計算する。
(8)熱収縮率
無張力の状態で130℃の雰囲気中30分、150℃の雰囲気中30分、180℃の雰囲気中10分、200℃の雰囲気中10分におけるフィルムの熱収縮率(縦方向および横方向)(単位:%)を求めた。
(9)表面粗さ
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、厚み方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定した。なおフィルムの巻内面、巻外面それぞれの表面について測定を実施した。その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値をフィルムの中心線平均表面粗さ(Ra、単位:nm)とした。
なお、表面粗さはそれぞれの主面を測定し、それぞれの値を記載した。
Figure 2016080356
(10)シワ評価
熱機械分析装置(SII Technology社製、TMA6000)を用い、3.14mN/μmの荷重をかけながら、30℃から180℃まで5℃/minの速度で昇温し、30℃〜160℃の寸法変化割合を算出した。このときサンプル長は測定方向30mm×幅方向4mm(チャック間20mm)とした。なおフィルムの幅方向のみ測定した。
TMAの伸びが30000ppm以上・・・×
TMAの伸びが10000ppm〜30000ppm未満・・・△
TMAの伸びが3000ppm〜10000ppm未満・・・○
TMAの伸びが3000ppm未満・・・◎
(11)絶縁破壊電圧(BDV)
得られた二軸配向フィルムを用い、JIS規格C2151に記載のDC試験のうち平板電極法に準拠して、東京精電株式会社製ITS−6003を用いて、0.1kV/secの昇圧速度で測定し、破壊時の電圧を絶縁破壊電圧として測定した。測定はn=50で行い、平均値を絶縁破壊電圧とし、標準偏差を絶縁破壊電圧のばらつきとした。なお測定は20℃の室温で実施した。
[実施例1]
重量平均分子量3.0×10であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン67.9質量部と、熱可塑性非晶樹脂として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(クロロホルム中で測定された固有粘度が0.32dl/g、ガラス転移温度が210℃)30質量部と、酸化防止剤(C1)として、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1010、融点120℃、熱分解温度335℃)2質量部と、滑剤として多孔質シリカ粒子(平均粒径=2.7μm、圧縮率=66%、細孔容積=1.5ml/g、細孔平均径=10nm)0.1重量部とを混練し、樹脂組成物を得た。
(配向フィルムの製膜)
得られた樹脂組成物を120℃で7時間乾燥し、次いで押出機に供給し、300℃で溶融し、ダイスリットから押出し後、50℃に冷却されたキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを作成した。
この未延伸シートを140℃で縦方向(機械軸方向)に3.0倍延伸し、続いてテンターに導いた後、横方向(機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向)に4.0倍延伸した。その際、延伸部分を等分の4ゾーンに別け、横方向の延伸速度は5000%/分とした。また、横方向の延伸の温度も、等分の4段階に別け、第1段階の温度を118℃、最終段階の温度を137℃とした。その後200℃で9秒間熱固定をし、さらに180℃まで冷却する間に横方向に0.6%弛緩処理をして、厚み3.0μmの二軸配向フィルムを得てロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2〜11、比較例1〜4]
表1に記載の通り、フィルム組成、製膜条件、最終のフィルム厚みを変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた配向フィルムの評価結果を、実施例と比較例は表1に示す。
なお、実施例9にて使用する熱可塑性非晶樹脂(PA)は、ポリアリレート(ユニチカ社製Uポリマー、商品名:U−100)を使用した。この樹脂の1,1,2,2−テトラクロロエタン中で測定された固有粘度は0.64dl/g、ガラス転移温度は193℃であった。
Figure 2016080356
表1中のPPEはポリフェニレンエーテル、PAはポリアリレートを意味する。
本発明の配向フィルムは、電気特性と耐熱性に優れたシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体を用いながらも、蒸着工程など高温での熱処理をするときのシワによる熱負け発生を抑制することができることから、フィルムコンデンサー用のベースフィルムとして好適に用いることができる。また、その他にもリチウムイオン二次電池用、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子用の電極といった用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる樹脂成分として含み、ガラス転移温度が130℃以上である熱可塑性非晶樹脂を含む樹脂組成物からなり、130℃で30分熱処理した時の面内方向における熱収縮率が5.0%以下、200℃で10分熱処理したときの面内方向における少なくとも1方向の熱収縮率が6.5%以上であることを特徴とする配向フィルム。
  2. 振動周波数10Hzでの損失弾性率(E’’)のピーク温度が125℃以上でかつ破断強度が90MPa以上である請求項1記載の配向フィルム。
  3. 200℃で10分熱処理したときの製膜方向および幅方向の熱収縮率の平均値が6.5以上15.0%以下である請求項1記載の配向フィルム。
  4. 130℃で30分熱処理したときの面内方向における熱収縮率が0.0%以上5.0%以下である請求項1記載の配向フィルム。
  5. 熱可塑性非晶樹脂がポリフェニレンエーテルである請求項1に記載の配向フィルム。
  6. フィルムの厚みが0.3〜30μmである請求項1記載の配向フィルム。
  7. 蒸着加工に用いられる請求項1記載の配向フィルム。
JP2016560215A 2014-11-18 2015-11-16 配向フィルム Active JP6346301B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014233560 2014-11-18
JP2014233560 2014-11-18
PCT/JP2015/082141 WO2016080356A1 (ja) 2014-11-18 2015-11-16 配向フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016080356A1 true JPWO2016080356A1 (ja) 2017-07-27
JP6346301B2 JP6346301B2 (ja) 2018-06-20

Family

ID=56013893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016560215A Active JP6346301B2 (ja) 2014-11-18 2015-11-16 配向フィルム

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6346301B2 (ja)
CN (1) CN107001661B (ja)
WO (1) WO2016080356A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114555694A (zh) * 2019-10-11 2022-05-27 王子控股株式会社 适合于薄膜电容器用的薄膜用途的树脂组合物
US20240093016A1 (en) * 2019-10-11 2024-03-21 Oji Holdings Corporation Resin composition suitable for use as film for film capacitor
JP7439721B2 (ja) * 2019-10-11 2024-02-28 王子ホールディングス株式会社 フィルムコンデンサ用のフィルム用途に好適な樹脂組成物
JP7439722B2 (ja) * 2019-10-11 2024-02-28 王子ホールディングス株式会社 フィルムコンデンサ用のフィルム用途に好適な樹脂組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01182346A (ja) * 1988-01-14 1989-07-20 Idemitsu Kosan Co Ltd フィルム,シートまたはテープ、およびその製造方法
JPH02218724A (ja) * 1988-09-30 1990-08-31 Idemitsu Kosan Co Ltd スチレン系樹脂延伸成形体及びその製造方法
WO2008156210A1 (ja) * 2007-06-21 2008-12-24 Teijin Limited 絶縁性フィルム
WO2012147777A1 (ja) * 2011-04-26 2012-11-01 帝人株式会社 高絶縁性フィルム

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5801532B2 (ja) * 2009-11-30 2015-10-28 帝人株式会社 高絶縁性フィルム
WO2013111779A1 (ja) * 2012-01-24 2013-08-01 東洋紡株式会社 延伸ポリプロピレンフィルム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01182346A (ja) * 1988-01-14 1989-07-20 Idemitsu Kosan Co Ltd フィルム,シートまたはテープ、およびその製造方法
JPH02218724A (ja) * 1988-09-30 1990-08-31 Idemitsu Kosan Co Ltd スチレン系樹脂延伸成形体及びその製造方法
WO2008156210A1 (ja) * 2007-06-21 2008-12-24 Teijin Limited 絶縁性フィルム
WO2012147777A1 (ja) * 2011-04-26 2012-11-01 帝人株式会社 高絶縁性フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
CN107001661B (zh) 2020-03-17
WO2016080356A1 (ja) 2016-05-26
CN107001661A (zh) 2017-08-01
JP6346301B2 (ja) 2018-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5801532B2 (ja) 高絶縁性フィルム
JP5149240B2 (ja) コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルム、その金属蒸着フィルム及びキャスト原反シート
JP6346301B2 (ja) 配向フィルム
JP5110604B2 (ja) 微細粗面化ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法
JP6304470B1 (ja) 二軸延伸ポリプロピレンフィルム、コンデンサ用金属化フィルム、及び、コンデンサ
WO1998006776A1 (fr) Film de polypropylene et condensateur dans lequel ledit film est utilise en tant que dielectrique
JP6070864B2 (ja) ポリプロピレンフィルムおよびフィルムコンデンサ
JP5358111B2 (ja) 高絶縁性フィルム
JP2007169595A (ja) コンデンサ用ポリプロピレンフイルム
JP5771068B2 (ja) 高絶縁性フィルム
US9617407B2 (en) Highly insulating film
WO2021162021A1 (ja) ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム及びフィルムコンデンサ
JP7367769B2 (ja) コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム
JP5629235B2 (ja) 高絶縁性フィルム
JP2014203987A (ja) 金属化フィルムコンデンサ
JP2022001638A (ja) ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、フィルムコンデンサ、及び、フィルムロール
JP6017925B2 (ja) 電気絶縁用二軸配向フィルム
JP5684873B2 (ja) 高絶縁性フィルム
JP6309838B2 (ja) 配向フィルム
JP7020394B2 (ja) ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、フィルムコンデンサ、及び、フィルムロール
WO2024058078A1 (ja) 二軸延伸ポリプロピレンフィルム、金属化フィルム、及び、コンデンサ
WO2022190838A1 (ja) コンデンサ用途に好適なフィルム
JP2022140299A (ja) コンデンサ用途に好適なフィルム
JP2023113106A (ja) コンデンサ用途に好適なフィルム
JP2022046339A (ja) 非晶性樹脂延伸多孔体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180501

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180524

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6346301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350