JPWO2016063503A1 - 低反射コーティング付きガラス板及びそれを用いた合わせガラス - Google Patents

低反射コーティング付きガラス板及びそれを用いた合わせガラス Download PDF

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Abstract

本発明は、低反射コーティングが、ガラス板上のp層の中屈折率層と中屈折率層上の高屈折率層(H層)とH層上の低屈折率層(L層)を有し、波長550nmの屈折率に関し、ns<nm(p)、nm(1)<nh、nl<nh及びnm(p)−ns≦0.40を満たし、各中屈折率層の屈折率は、隣接する中屈折率層のうち、ガラス板に近い側の中屈折率層の屈折率より大きく、ガラス板に最も近い中屈折率層(Mp層)からH層までの各層間の屈折率差が全て0.45以下の低反射コーティング付きガラス板に関し、nsはガラス板の屈折率、nm(p)はMp層の屈折率、nm(1)はH層に最も近い中屈折率層の屈折率、nhはH層の屈折率、nlはL層の屈折率、pは2以上の自然数である。

Description

本発明は、低反射コーティング付きガラス板及びそれを用いた合わせガラスに関する。
従来、ガラスやプラスチック等の基材に、酸化チタンや酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着法あるいはスパッタ法等のドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止コーティング等の光干渉による光学多層膜を形成する方法が知られており、その光学設計は基材表面から順次高屈折率層/低屈折率層(光学膜厚がλ/4−λ/4)を積層した2層構成、低屈折率層と高屈折率層とが交互に繰り返した4層構成等が知られている(例えば、特許文献1)。透明基材上に配置した反射防止コーティングは、光の反射を減らす機能、すなわち光の透過を増大させる機能を持つ。従って、このようにコーティングされた基材は、透過光と反射光との比が大きくなりやすく、これはその背後にある対象物の可視性を向上させる。このような反射防止(AR)コーティングは、電子機器、照明、電化製品、建築及びディスプレイ等の用途に幅広く使用されている。
このような反射防止コーティングを有する基材に、さらに物理的強度を付与するために、基材上にハードコート層を積層し、該ハードコート層の上に高屈折率層と低屈折率層とを積層した積層体も提案されている(特許文献2)。
また、反射防止コーティングを有する基材において、基材のガラスとして、強化ガラス又は倍強化ガラスが使用される場合には、製造時の熱処理によって品質が変化するため、その品質変化の防止を目的として、基材のガラスに反射防止コーティング処理をした後、ガラスと反射防止コーティングとを同時に熱処理する方法(特許文献3)、当該方法によって得られる反射防止コーティングを含む被覆物品が提案されている(特許文献4)。
特開平08−337441号公報 特開2001−059902号公報 特表2013−544741号公報 特表2013−542457号公報
しかしながら、従来の低反射コーティング付きガラス板では、反射色調の角度による変化が大きいため、博物館、美術館等の展示室又はショーケースに使用する場合に特に問題となっていた。
本発明は、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ反射色調の角度依存性が小さい低反射コーティング付きガラス板を提供することを目的とする。
本発明の低反射コーティング付きガラス板は、ガラス板と低反射コーティングとを備え、
低反射コーティングが、
ガラス板上に配置されたp層からなる中屈折率層と、
該中屈折率層上に配置された高屈折率層と、
該高屈折率層上に配置された低屈折率層とを有し、
波長550nmにおける屈折率に関して、下記式(I)、(II)、(III)及び(IV)
s<nm(p) (I)
m(1)<nh (II)
h>nl (III)
m(p)−ns≦0.40 (IV)
(上記式中、nsはガラス板の屈折率を表し、nm(p)はガラス板に最も近い中屈折率層(Mp層)の屈折率を表し、nm(1)は高屈折率層に最も近い中屈折率層(M1層)の屈折率を表し、nhは高屈折率層の屈折率を表し、nlは低屈折率層の屈折率を表す。pは2以上の自然数を表す。)
を満たし、
各中屈折率層の屈折率は、隣接する中屈折率層のうち、ガラス板に近い側の中屈折率層の屈折率より大きく、
ガラス板に最も近い中屈折率層から高屈折率層までの各層間の屈折率差がいずれも0.45以下である。
本発明の低反射コーティング付き合わせガラスは、上記本発明の低反射コーティング付きガラス板を2枚含み、低反射コーティングが外部に露出するように2枚の低反射コーティング付きガラス板が配置されているものである。
本発明の低反射コーティング付きガラス板は、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ入射角が変わっても反射色調の変化を抑えることができる。また、低反射コーティング付きガラス板を含む本発明の低反射コーティング付き合わせガラスは、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ入射角が変わっても反射色調の変化を抑えることができる。
本発明の低反射コーティング付きガラス板の一実施態様を模式的に示す断面図である。 本発明の低反射コーティング付きガラス板の他の一実施態様を模式的に示す断面図である。 本発明の合わせガラスの一実施態様を模式的に示す断面図である。
本発明の低反射コーティング付きガラス板は、ガラス板と低反射コーティングとを備える。本発明の低反射コーティング付きガラス板の一例として、図1に、中屈折率層を2層(p=2)とした場合の低反射コーティング付きガラス板の構成を示す。図1に示されるように、低反射コーティング3は、例えば、ガラス板2の上に配置された2層からなる中屈折率層4と、中屈折率層4の上に配置された高屈折率層5と、高屈折率層5の上に配置された低屈折率層6を有する。
本発明の低反射コーティング付きガラス板1は、波長550nmにおける屈折率(以下、本発明における屈折率は、波長550nmにおける屈折率を表す。)に関して、下記式(I)、(II)、(III)及び(IV)を満たす。
s<nm(p) (I)
m(1)<nh (II)
h>nl (III)
m(p)−ns≦0.40 (IV)
(上記式中、nsはガラス板の屈折率を表し、nm(p)はガラス板に最も近い中屈折率層(Mp層)の屈折率を表し、nm(1)は高屈折率層に最も近い中屈折率層(M1層)の屈折率を表し、nhは高屈折率層の屈折率を表し、nlは低屈折率層の屈折率を表す。pは2以上の自然数である。)
本発明に用いるガラス板2の屈折率nsは、上記式(I)及び(IV)を満たす限り特に限定されないが、例えば、1.35〜1.65であり、好ましくは1.40〜1.60であり、より好ましくは1.45〜1.55である。
本発明に用いる高屈折率層5の屈折率nhは、上記式(II)及び(III)を満たす限り特に限定されないが、2.0以上が好ましく、2.20以上がより好ましく、2.30以上がさらに好ましい。また、高屈折率層5の屈折率nhは、特に限定されないが、反射色調の角度依存性を抑えるために、2.80以下が好ましい。屈折率は、後記する材料の成分比率を変更する等で調整できる。
本発明に用いる低屈折率層6の屈折率nlは、上記式(III)を満たす限り特に限定されないが、1.40〜1.60が好ましく、1.42〜1.55がより好ましく、1.44〜1.50がさらに好ましい。屈折率は、後記する材料の成分比率を変更する等で調整できる。
本発明に用いる中屈折率層4の屈折率は、上記式(I)、(II)及び(IV)を満たす限り特に限定されないが、高屈折率層に最も近い中屈折率層(M1層)の屈折率nm(1)は、1.80〜2.20が好ましく、1.80〜2.15がより好ましい。M1層に隣接する中屈折率層(M2層)の屈折率nm(2)は、1.60〜1.90が好ましく、1.60〜1.85がより好ましい。屈折率は、後記する材料の成分比率を変更する等で調整できる。
ガラス板2の屈折率nsとガラス板2に最も近い中屈折率層との屈折率nm(p)の関係は、上記式(IV)を満たす。nm(p)−nsは、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。
中屈折率層の層数(p)は、高い可視光透過率及び低い可視光反射率が得られ、かつ反射色調の角度依存性を小さくできる点から、2以上の自然数であれば、特に限定されないが、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
本発明の低反射コーティング付きガラス板おいて、各中屈折率層の屈折率は、隣接する中屈折率層のうち、ガラス板に近い側の中屈折率層の屈折率より大きい。例えば、3層(p=3)の中屈折率層を含む低反射コーティング付きガラス板では、各中屈折率層の屈折率は、nm(3)<nm(2)<nm(1)の関係を満たす。4層(p=4)の中屈折率層含む低反射コーティング付きガラス板では、各中屈折率層の屈折率は、nm(4)<nm(3)<nm(2)<nm(1)の関係を満たす。すなわち、高屈折率層に最も近い中屈折率層を1番目としてk番目(kはp〜2までの任意の自然数)の中屈折率層の屈折率は、nm(k)<nm(k-1)の関係を満たす。
本発明の低反射コーティング付きガラス板において、ガラス板に最も近い中屈折率層から高屈折率層(H層)までの各層間の屈折率差は、いずれも0.45以下であり、いずれも0.43以下であることがより好ましい。各層間とは、例えば、中屈折率層が2層の場合、M2層とM1層間、及びM1層とH層間を意味する。
また、中屈折率層が2層(p=2)の場合、ガラス板から高屈折率層までの各層間の屈折率差は、いずれも0.14以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。
本発明に用いるガラス板2としては、量産されている汎用組成のガラス板、典型的にはフロート法により製造されたソーダライムシリカガラスからなるガラス板(フロートガラス)等であってもよく、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、低反射コーティングを積層した際に可視光透過率を高くできる点から、Fe23に換算した質量%で、鉄の酸化物の含有率が0.020%以下であるガラス板が好ましい。鉄の酸化物の含有率が0.020質量%以下であるガラス板としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、Optiwhite(屈折率:1.52、日本板硝子製)等が挙げられる。なお、本発明において、可視光は380〜780nmの波長域内の光を意味する。
ガラス板2の厚さは、特に限定されず、必要とされるサイズ、耐久性等に応じて適宜変更できるが、3.0〜12mm程度が好ましい。
低屈折率層6の厚さは、低屈折率層を構成する材料の種類、層の構成等によって異なり、特に限定されないが、70〜150nmが好ましく、75〜130nmがより好ましく、78〜110nmがさらに好ましく、80〜100nmが特に好ましい。本発明において、各層の「厚さ」は、幾何学的層厚を意味する。幾何学的層厚は、層断面のTEM(透過電子顕微鏡)観察によって測定した値を意味する。
低屈折率層6の材料としては、特に限定されないが、SiO2、アルミニウムドープSiO2(SiO2:Al)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。低屈折率層6としては、主成分としてSiO2を含むものが好ましく、SiO2及びアルミニウムドープSiO2からなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。アルミニウムドープSiO2においては、アルミニウムの含有量はアルミニウムをAl23に換算して15質量%以下が好ましい。低屈折率層6が主成分としてSiO2を含むものである場合、SiO2以外の成分は、特に限定されない。「主成分」とは、重量比で最も多く含まれた成分を意味する。
高屈折率層5の厚さは、高屈折率層を構成する材料の種類、層の構成等によって異なり、特に限定されないが、1〜50nmが好ましく、2〜40nmがより好ましく、5〜35nmがさらに好ましく、10〜30nmが特に好ましい。
高屈折率層5の材料としては、特に限定されないが、インジウム、ジルコニウム、セリウム、チタン、タンタル、ニオブ、スズ等の酸化物が挙げられる。高屈折率層5としては、チタン酸化物又はニオブ酸化物を主成分として含むものが好ましく、チタン酸化物又はニオブ酸化物からなることがより好ましい。高屈折率層5が主成分としてチタン酸化物又はニオブ酸化物を含むものである場合、チタン酸化物又はニオブ酸化物以外の成分は、特に限定されない。
中屈折率層の総厚さは、層を構成する材料の種類、層の構成(pの数)等に応じて適宜変更でき、特に限定されないが、70〜250nmが好ましく、90〜200nmがより好ましく、110〜160nmがさらに好ましい。
1層7の厚さは、特に限定されないが、50〜150nmが好ましく、60〜120nmがより好ましく、70〜100nmがさらに好ましい。M2層の厚さは、特に限定されないが、20〜100nmが好ましく、30〜80nmがより好ましく、40〜60nmがさらに好ましい。
1層の材料としては、特に限定されないが、亜鉛とスズの合金の酸化物(ZnSnOx);亜鉛の酸化物(酸化亜鉛(ZnO)、又はスズもしくはアルミニウム、シリコン等をドープした酸化亜鉛(ZnO:Sn,ZnO:Al,ZnO:Si等));スズの酸化物(酸化スズ(SnO2)、又は亜鉛もしくはアルミニウム、シリコン等をドープした酸化スズ(SnO2:Zn,SnO2:Al,SnO2:Si等));シリコン等をドープした酸化チタン(TiO2:Si等)又はシリコンの窒化物(SiNx)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。M1層としては、前述の亜鉛とスズの合金の酸化物、亜鉛の酸化物、スズの酸化物、及びシリコンの窒化物からなる群から選ばれる1種以上を主成分として含むものが好ましく、実質的に、亜鉛とスズの合金の酸化物(ZnSnOx);酸化亜鉛(ZnO);スズもしくはアルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Sn,ZnO:Al);酸化スズ(SnO2);亜鉛をドープした酸化スズ(SnO2:Zn);シリコンドープした酸化チタン(TiO2:Si)又はシリコンの窒化物(SiNx)のいずれかからなることがより好ましい。M1層が主成分として、前述の亜鉛の酸化物、スズの酸化物、シリコン等をドープした酸化チタン、及びシリコンの窒化物からなる群から選ばれる1種以上を含むものである場合、前記成分以外の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
本発明の低反射コーティングにおいて、「実質的にある成分からなる」とは、本発明の製品(低反射コーティング付きガラス板及びこれを用いた合わせガラス)の特性に影響を与えない範囲において、他の原子、不純物を含有してもよいことを意味し、例えば、前記他の原子、不純物の含有量が1.0質量%未満とすることが好ましく、0.50質量%以下とすることがより好ましく、0.10質量%以下とすることがさらに好ましい。
2層の材料としては、特に限定されないが、チタンとシリコンの混合酸化物(TiSiOx)、亜鉛とシリコンの混合酸化物(ZnSiOx)、スズとシリコンの混合酸化物(SnSiOx)、亜鉛とアルミニウムの合金の酸化物(ZnAlOx)、スズとアルミニウムの合金の酸化物(SnAlOx)、シリコンの酸窒化物(SiOxNy)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。M2層としては、前述の混合酸化物及び合金の酸化物からなる群から選ばれる1種以上を主成分として含むものが好ましく、実質的に、チタンとシリコンの混合酸化物(TiSiOx)、亜鉛とシリコンの混合酸化物(ZnSiOx)、スズとシリコンの混合酸化物(SnSiOx)、シリコンの酸窒化物(SiOxNy)、のいずれかからなることがより好ましい。M2層の前記成分以外の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
本発明の他の態様として、中屈折率層が3層である低反射コーティング付きガラス板を図2に示す。M2層8に隣接する中屈折率層(M3層9)の屈折率nm(3)は、1.50〜1.70が好ましく、1.52〜1.68がより好ましい。M3層以外(ガラス板、M1層、M2層、高屈折率層及び低屈折率層並びに各層間の条件)は、上記図1の実施態様と同様のものを使用できる。
3層の厚さは、層を構成する材料の種類、層の構成(pの数)等に応じて適宜変更でき、特に限定されないが、5〜60nmが好ましく、10〜50nmがより好ましく、15〜40nmがさらに好ましい。
中屈折率層が3層である場合、特に限定されないが、反射色調の角度による変動を抑制できることから、ガラス板から高屈折率層までの各層間の屈折率差は、いずれも0.09以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。
3層の材料としては、特に限定されないが、アルミニウムの酸化物(酸化アルミニウム(Al23);又は亜鉛もしくはスズ、シリコン等をドープした酸化アルミニウム(Al23:Zn,Al23:Sn,Al23:Si等));シリコンがリッチな混合酸化物(チタン、亜鉛、スズ等と、シリコンの混合酸化物(SiTiOx,SiZnOx,SiSnOx等));シリコンの酸窒化物(SiOxNy)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
3層としては、前述の混合酸化物及び合金の酸化物からなる群から選ばれる1種以上を主成分として含むものが好ましく、実質的に、酸化アルミニウム(Al23);亜鉛もしくはスズ、シリコンをドープした酸化アルミニウム(Al23:Zn,Al23:Sn,Al23:Si);シリコンの酸窒化物(SiOxNy)のいずれかからなることがより好ましい。M3層の前記成分以外の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
発明の低反射コーティング付きガラス板は、上記の低反射コーティングが、ガラス板上に積層されていればよく、低反射コーティングは片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
本発明の低反射コーティング付きガラス板の製造方法は、特に限定されず、周知のスパッタリング法等の物理蒸着法、気相成長(CVD)法等の化学蒸着法により、基材のガラス板上に低反射コーティングを形成することによって製造することができる。
本発明の低反射コーティング付きガラス板は、入射角5°及び30°の両方において、JIS R 3106:1998に規定する可視光反射率が5.0%以下であるものが好ましい。可視光反射率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。本発明において、角度は低反射コーティング面側の垂直入射光を0°としたときの角度を示す。
また、本発明の低反射コーティング付きガラス板は、入射角5°及び30°の両方において、JIS R 3106:1998に規定する可視光透過率が93.5%以上であるものが好ましい。可視光透過率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の低反射コーティング付きガラス板は、入射角5°及び30°の両方において、反射色調(Rcolor)のa*が通常−3.0〜0.3の範囲であり、好ましくは−2.0〜0.2の範囲であり、さらに好ましくは−1.0〜0の範囲である。また、本発明の低反射コーティング付きガラス板は、入射角5°及び30°の両方において、反射色調(Rcolor)のb*が通常−3.0〜3.0の範囲であり、好ましくは−2.0〜2.0の範囲であり、さらに好ましくは−1.0〜1.0の範囲である。a*、b*は、分光測色計にて測定したCIE1976表色系(L*a*b*色空間;以下、「L*a*b*表色系」と称する)での色度(L*、a*、b*)を表す値である。a*、b*は、低反射コーティング付きガラス板が片面に形成されている場合、コーティング面反射の値を意味する。
本発明の低反射コーティング付きガラス板において、入射角5°における反射色調のa*と入射角30°における反射色調のa*の差(Δa*)は、好ましくは−0.5〜0.8の範囲であり、より好ましくは−0.3〜0.5の範囲である。低反射コーティング付きガラス板において、入射角5°における反射色調のb*と入射角30°における反射色調のb*の差(Δb*)は、好ましくは−0.5〜1.0の範囲であり、より好ましくは−0.1〜0.6の範囲である。本発明の低反射コーティング付きガラス板において、下記式(V)
Δc*={(Δa*)2+(Δb*)21/2 (V)
(式中、Δa*及びΔb*は、分光測色計で測定した入射角5°と30°との反射色調の色差を表す。)
で表されるΔc*は、好ましくは0〜1.3の範囲であり、より好ましくは0〜1.0の範囲である。
本発明の他の態様としては、例えば、図3に示されるような低反射コーティング付き合わせガラスが挙げられる。図3に示される合わせガラス11は、膜面がどちらも外使い(低反射コーティングが外側に配置される態様)合わせガラスである。本発明の合わせガラスは、上記した本発明の低反射コーティング付きガラス板を2枚含む。本発明の合わせガラスは、低反射コーティング3が外部に露出するように2枚の低反射コーティング付きガラス板が配置されている。本発明の合わせガラスは、中間膜10を有する。
本発明の合わせガラスに用いる中間膜は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。中間膜としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤等を含む中間膜が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等が挙げられる。可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)等が挙げられる。
本発明の合わせガラスは、上記した本発明の低反射コーティング付きガラス板(単板)を公知の方法で積層することで製造してもよく、市販品の合わせガラスの両面に低反射コーティングを形成することで製造してもよい。合わせガラスにおける低反射コーティングは、ガラス板の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
本発明の低反射コーティング付き合わせガラスは、図3に示されるような低反射コーティングが外側に配置される態様(膜面外使い)の場合、入射角5°及び30°の両方において、JIS R 3106:1998に規定する可視光反射率が2.0%以下であるものが好ましく、1.4%以下であるものがより好ましい。可視光反射率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の低反射コーティング付き合わせガラスは、5.0mm厚のガラス板を基材に使用した場合、入射角5°及び30°の両方において、JIS R 3106:1998に規定する可視光透過率が95.5%以上であるものが好ましい。可視光透過率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の低反射コーティング付き合わせガラスは、入射角5°及び30°の両方において、反射色調(Rcolor)のa*が通常−10〜10の範囲であり、好ましくは−5.0〜5.0の範囲であり、より好ましくは−5.0〜0の範囲である。また、本発明の合わせガラスは、入射角5°及び30°の両方において、反射色調(Rcolor)のb*が通常−10〜10の範囲であり、好ましくは−5.0〜5.0の範囲であり、より好ましくは0〜5.0の範囲である。
本発明の合わせガラスにおいて、入射角5°における反射色調のa*と入射角30°における反射色調のa*の色差(Δa*)は、通常0〜10の範囲であり、好ましくは0〜6.5である。本発明の合わせガラスにおいて、入射角5°における反射色調のb*と入射角30°における反射色調のb*の色差(Δb*)は、通常−5.0〜5.0の範囲であり、好ましくは−3.0〜3.0の範囲である。
本発明の合わせガラスにおいて、下記式(V)
Δc*={(Δa*)2+(Δb*)21/2 (V)
(式中、Δa*及びΔb*は、分光測色計で測定した入射角5°と30°との反射色調の色差を表す。)
で表されるΔc*は、通常0〜10.0の範囲であり、反射色調の角度依存性が低い点から、好ましくは0〜5.0の範囲である。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
以下の実施例及び比較例において、基材のガラス板として、高透過ガラス(商品名:Optiwhite、鉄の酸化物の含有率:0.020質量%以下、屈折率:1.52、5.0mm厚、日本板硝子製)を使用した。
(実施例1)
2層の中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層を反応性スパッタリング法により厚さ5mmの高透過ガラス板上に形成した。具体的には、以下のようにして、低反射コーティング付きガラス板を製造した。
高透過ガラス板を、複数のチャンバーを有するインライン型マグネトロンスパッタリング装置(以下、単に「スパッタリング装置」という)内に、ホルダーを介してセットする。次に、チャンバー内を10-6 Torrまで減圧した。減圧には、ロータリーポンプと、クライオポンプを用いたが、クライオポンプの代わりにターボ分子ポンプもしくは油拡散ポンプを用いてもよい。続いて、Ti:Siの原子比が1:2のTi-Si合金ターゲットを用い、O2ガスをチャンバー内に導入し5 mTorr(5×10-3Torr)のガス圧で、反応性スパッタリングによりTiSiOx層(M2層)を形成した。
次に、M1層を形成する。M2層の形成されたガラス板を、スパッタリング装置の別のチャンバーで、Zn52質量%Sn48質量%のZn-Sn合金ターゲットを用い、O2ガスをチャンバー内に導入し5 mTorrのガス圧で、反応性スパッタリングによりZnSnOx層(M1層)を形成した。
次に、高屈折率層(H層)を形成する。M1層の形成されたガラス板を、スパッタリング装置のさらに別のチャンバーで、Ti金属ターゲットを用い、O2ガスをチャンバー内に導入し5 mTorrのガス圧で、反応性スパッタリングによりTiO2層を形成した。
次に、低屈折率層(L層)を形成する。高屈折率層の形成されたガラス板を、スパッタリング装置のさらに別のチャンバーで、10質量%のAlを含むSi-Al合金ターゲットを用い、O2ガスをチャンバー内に導入し5 mTorrのガス圧で、反応性スパッタリングによりSiO2:Al層を形成した。
このようにして、ガラス板の一方の主面上に、M2層、M1層、高屈折率層、及び低屈折率層を順次積層した低反射コーティングを有する低反射ガラス板を作製した(図1参照)。得られた低反射コーティング付きガラス板の各層の構成、厚みについて表1に示す。
(実施例2〜11)
実施例2〜8は、実施例1と同様の層の構成で、各層の厚さを変更した例である。実施例9と10は、中屈折率層M2層として、Ti-Si合金ターゲットに代えて、Zn金属ターゲットと実施例1のL層で用いたSi-Al合金ターゲットを用いた反応性の共スパッタリングでZnSiOx層(M2層)を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の構成とした例である。共スパッタリングはひとつのチャンバーに2以上のターゲットを配置し、ターゲット毎に異なる電力を印加し、スパッタリングを行う方法である。実施例9のZnSiOx層はZnOを70atom%含み、実施例10のZnSiOx層はZnOを80atom%含む。ここでZnOのatom%とは、金属原子に対する亜鉛原子の原子比の100分率をいう。実施例9、10は実施例1〜8のM2層の屈折率を大きく変化させた例である。実施例11は、中屈折率層を3層にし、Al金属ターゲットを用いた反応性スパッタリングでM3層を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の構成とし、M2層の厚さを変更した例である。得られた実施例2〜11の低反射コーティング付きガラス板の各層の構成、厚みについて表1に示す。また、上記実施例1〜11の各層形成にあたっては、反応に必要なガス雰囲気でスパッタリングを行ったが、必要に応じてArガスを混合することも可能である。
(比較例1〜6)
比較例1は、低反射コーティングを有しないガラス板として、高透過ガラスをそのまま用いた。比較例2は、M2層を設けない以外は、実施例1と同様の構成で、各層の厚さを変更した例である。比較例3は、M2層を設けず、M1層として、Zn-Sn合金ターゲットに代えて、Alを12atom%含むZn-Al合金ターゲットを用いた反応性スパッタリングでM1層を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の層の構成で、各層の厚さを変更した例である。比較例4は、M2層として、Ti-Si合金ターゲットに代えて、Zn-Al合金ターゲットを用いた反応性スパッタリングでM2層を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の構成で、各層の厚さを変更した例である。比較例5は、M2層を設けず、M1層として、Zn-Sn合金ターゲットに代えて、Ti-Si合金ターゲット用いた反応性スパッタリングでM1層を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の層の構成で、各層の厚さを変更した例である。比較例6は、M2層を設けず、M1層として、Zn-Sn合金ターゲットに代えてSi金属ターゲットを用い、O2ガスに代えてO2とN2の混合ガスを用いた反応性スパッタリングでM1層を形成し、その他の層の構成は実施例1と同様の層の構成で、各層の厚さを変更した例である。比較例6は、特表2013−542457号公報の実施例1に当たるコーティングを有する。比較例1〜6のガラス板の各層の構成、厚みについて表1に示す。
[光学特性の評価]
実施例及び比較例のガラス板について、JIS R 3106:1998に基づいて、可視光透過率(Tvis(%))及び可視光反射率(Rvis(%))を測定した。具体的には、積分球付き可視域分光光度計を用いて透過スペクトルあるいは反射スペクトルを測定し、JIS R 3106:1998の算出方法に基づいて可視光透過率及び可視光反射率を算出した。結果を表2に示す。なお、可視光反射率は、低反射コーティング面側の値であり、可視光反射率はコーティング層の表面反射光と裏面反射光の両方を含めた値である。表2において、「T:0°」は可視光透過率について低反射コーティング面側の垂直入射光を測定したこと意味し、「30°」は可視光透過率及び可視光反射率について低反射コーティング面側の30°入射光(垂直を0°としたときの角度)を測定したこと意味し、「R:5°」は可視光反射率について低反射コーティング面側の5°入射光(垂直を0°としたときの角度)を測定したこと意味する。また、表2において、a*及びb*は分光測色計で測定した値を表し、Δc*は下記式(V)で表される値を表し、Δa*及びΔb*は、5°入射光と30°入射光との反射色調の色差を表す。
Δc*={(Δa*)2+(Δb*)21/2 (V)
Figure 2016063503
Figure 2016063503
実施例の低反射コーティング付きガラス板は、入射角5°及び30°の両方において、可視光反射率が5.0%以下であり、可視光透過率が93.9%以上であった。また、実施例の低反射コーティング付きガラス板は、L*a*b*表色系で表した反射色調(コーティング面反射)が、5°及び30°の両方において、−1.0≦a*≦0.1、かつ−0.3≦b*≦0.4であった。さらに、実施例の低反射コーティング付きガラス板は、5°と30°との反射色調の色差が、−0.1≦Δa*≦0.8、かつ0≦Δb*≦0.5であった。さらにまた、実施例の低反射コーティング付きガラス板は、透過色調(コーティング面反射)が、−0.4≦a*≦−0.3、かつ0≦b*≦0.1であった。
一方、低反射コーティングを有しないガラス板のみの比較例1は、可視光透過率も91.1%であり、可視光反射率が8.0%と高かった。中屈折率層が1層のみの比較例2及び3は、実施例に比べて、Δa*が大きく、a*に関して角度による反射色調の色差が大きかった。中屈折率層が2層であるが、ガラス板の屈折率nsとガラス板に最も近い中屈折率層(M2層)の屈折率nm(2)と差が0.41である比較例4は、実施例に比べて、Δa*が大きく、a*に関して角度による反射色調の色差が大きかった。中屈折率層が1層のみの比較例5は、実施例に比べて、可視光反射率が5.5%と高かった。中屈折率層が1層のみの比較例6は、実施例に比べて、a*及びb*に関して角度による反射色調の色差が大きかった。
(応用例)
次に、本発明の応用形態として、合わせガラスについて以下に説明する。
(実施例1B〜11B及び比較例1B〜6B)
実施例1〜11及び比較例1〜6の各ガラス板(単板)2枚を含む合わせガラス(実施例1B〜11B及び比較例1B〜6B)を製造した。具体的には、以下のようにして、合わせガラスを製造した。
まず、所望のサイズに切断し端面を研磨加工した2枚の高透過ガラス板を用意した。上述したスパッタリング法により、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層、及び中屈折率層を、実施例1〜11及び比較例1〜6のように順次積層した低反射コーティングを形成した。この2枚の低反射コーティング付きガラス板を、低反射コーティングが外側になるようにして、熱可塑性の中間膜として、ポリビニルブチラール(PVB)膜を挟み込み、オートクレーブで接着して、合わせガラス板とした。それにより、低反射コーティングが外部に露出するように2枚の低反射コーティング付きガラス板が配置されている低反射コーティング付き合わせガラス(膜面がどちらも外使い)を作製した。得られた各合わせガラス(実施例1B〜11B及び比較例1B〜6B)について、実施例1〜11及び比較例1〜6のガラス板と同様に、特性を評価した。結果を表3に示す。なお、表3において、「5°」は可視光透過率及び可視光反射率について5°入射光(垂直を0°としたときの角度)を測定したこと意味し、「30°」は可視光透過率及び可視光反射率について30°入射光(垂直を0°としたときの角度)を測定したこと意味する。また、表3において、a*及びb*は、分光測色計にて測定した値を表し、Δc*は、下記式(V)で表される値を表し、Δa*及びΔb*は5°入射光と30°入射光との反射色調の色差を表す。
Δc*={(Δa*)2+(Δb*)21/2 (V)
Figure 2016063503
実施例の合わせガラスは、入射角5°及び30°の両方において、可視光反射率が1.7%以下であり、可視光透過率が95.7%以上であった。また、実施例の合わせガラスは、L*a*b*表色系で表した反射色調が、5°及び30°の両方において、−9.2≦a*≦2.0、かつ1.9≦b*≦5.6であった。さらに、実施例の合わせガラスは、5°と30°との反射色調の色差が、1.1≦Δa*≦8.1、かつ−2.9≦Δb*≦2.9であった。さらにまた、実施例の合わせガラスの上記式(V)で表される反射色調の色差は、1.17≦Δc*≦8.12であった。
一方、比較例1Bの合わせガラスは、可視光反射率が7.6%以上であった。比較例2B〜4Bの合わせガラスは、反射色調の変化が大きく、Δc*が10.8以上であり、反射色調の角度依存性が高かった。比較例5Bは、可視光反射率が2.6%以上であった。比較例6Bは、反射色調の変化が大きく、Δc*が11.4であり、反射色調の角度依存性が高かった。
上記結果から、本発明の低反射コーティング付きガラス板及びこれを用いた合わせガラスは、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ反射色調の角度依存性が小さいことが確認できた。
本発明の低反射コーティング付きガラス板及びこれを用いた合わせガラスは、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ反射色調の角度依存性が小さいため、博物館、美術館の展示室又はショーケースに使用する場合に有用である。

Claims (13)

  1. ガラス板と、低反射コーティングとを備え、
    低反射コーティングが、
    ガラス板上に配置されたp層からなる中屈折率層と、
    該中屈折率層上に配置された高屈折率層と、
    該高屈折率層上に配置された低屈折率層とを有し、
    波長550nmにおける屈折率に関して、下記式(I)、(II)、(III)及び(IV)
    s<nm(p) (I)
    m(1)<nh (II)
    h>nl (III)
    m(p)−ns≦0.40 (IV)
    (上記式中、nsはガラス板の屈折率を表し、nm(p)はガラス板に最も近い中屈折率層(Mp層)の屈折率を表し、nm(1)は高屈折率層に最も近い中屈折率層(M1層)の屈折率を表し、nhは高屈折率層の屈折率を表し、nlは低屈折率層の屈折率を表す。pは2以上の自然数である。)
    を満たし、
    各中屈折率層の屈折率は、隣接する中屈折率層のうち、ガラス板に近い側の中屈折率層の屈折率より大きく、
    ガラス板に最も近い中屈折率層から高屈折率層までの各層間の屈折率差がいずれも0.45以下である
    低反射コーティング付きガラス板。
  2. 低屈折率層の波長550nmにおける屈折率が1.40〜1.60であり、
    高屈折率層の波長550nmにおける屈折率が2.0以上である請求項1に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  3. pが2であり、ガラス板から高屈折率層までの各層間の屈折率差がいずれも0.14以上である請求項1又は2に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  4. pが3であり、ガラス板から高屈折率層までの各層間の屈折率差がいずれも0.09以上である請求項1又は2に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  5. 1層の波長550nmにおける屈折率が1.80〜2.20であり、
    2層の波長550nmにおける屈折率が1.60〜1.90である請求項3に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  6. 1層の波長550nmにおける屈折率が1.80〜2.20であり、
    2層の波長550nmにおける屈折率が1.60〜1.90であり、
    3層の波長550nmにおける屈折率が1.50〜1.70である請求項4に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  7. Fe23に換算した質量%で、ガラス板に含まれる鉄の酸化物の含有率が、0.020%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  8. 低屈折率層が主成分としてSiO2を含み、
    高屈折率層が主成分としてチタン酸化物又はニオブ酸化物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  9. 低屈折率層が、SiO2及びアルミニウムドープSiO2からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  10. 中屈折率層において、
    1層が主成分として、
    亜鉛とスズの合金の酸化物(ZnSnOx)、
    酸化亜鉛(ZnO)、
    スズもしくはアルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Sn,ZnO:Al)、
    酸化スズ(SnO2)、
    亜鉛をドープした酸化スズ(SnO2:Zn)、
    シリコンドープした酸化チタン(TiO2:Si)、及び
    シリコンの窒化物(SiNx)からなる群から選ばれる1種以上を含み、
    2層が主成分として、
    チタンとシリコンの混合酸化物(TiSiOx)、
    亜鉛とシリコンの混合酸化物(ZnSiOx)、
    スズとシリコンの混合酸化物(SnSiOx)、及び
    シリコン酸窒化物(SiOxNy)からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項3又は5に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  11. 中屈折率層において、
    1層が主成分として、
    亜鉛とスズの合金の酸化物(ZnSnOx)、
    酸化亜鉛(ZnO)、
    スズもしくはアルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Sn,ZnO:Al)、
    酸化スズ(SnO2)、
    亜鉛をドープした酸化スズ(SnO2:Zn)、
    シリコンドープした酸化チタン(TiO2:Si)、及び
    シリコンの窒化物(SiNx)からなる群から選ばれる1種以上を含み、
    2層が主成分として、
    チタンとシリコンの混合酸化物(TiSiOx)、
    亜鉛とシリコンの混合酸化物(ZnSiOx)、
    スズとシリコンの混合酸化物(SnSiOx)、
    シリコンの酸窒化物(SiOxNy)、及び
    亜鉛とアルミニウムの合金の酸化物(ZnAlOx)からなる群から選ばれる1種以上を含み、
    3層が主成分として、
    酸化アルミニウム(Al23)、
    亜鉛もしくはシリコンをドープした酸化アルミニウム(Al23:Zn,Al23:Si))、又は
    シリコンの酸窒化物(SiOxNy)を含む請求項4又は6に記載の低反射コーティング付きガラス板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の低反射コーティング付きガラス板を2枚含み、低反射コーティングが外部に露出するように2枚の低反射コーティング付きガラス板が配置されている低反射コーティング付き合わせガラス。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の低反射コーティング付きガラス板であって、
    該低反射コーティングが該ガラス板の両方の主表面に備えられている低反射コーティング付きガラス板。
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