JPWO2016052565A1 - タイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。これら熱可塑性の高分子材料(熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂材料等)は、射出成形が可能であるなど、生産性の向上の観点から有利な点が多い。例えば、特開2012−46030号公報には、前記熱可塑性の高分子材料としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いたタイヤが提案されている。
そして、タイヤの性能としての弾性率および低ロス性は、いずれも優れており両立されていることが、熱可塑性エラストマーを用いたタイヤにおいて求められている。
このトリブロック構造を取ることで、HSとSSとが混ざり合った中間相を減らすことが出来るため、弾性率に影響するHSの結晶化度が増し、弾性率が向上する。
また、結晶化度が増えることで全体が固くなり弾性率が上がるとともに、両末端がHSであり、この末端のHS同士が結晶化するため、自由末端が減る効果も得られ、ロスが低下する。
これにより、望ましい弾性率と優れた低ロス性との両立が実現される。
<熱可塑性エラストマー>
前記樹脂材料として用いられる熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)とを有し、1分子鎖中に含まれる前記ソフトセグメント(SS)が1単位であり、前記1分子鎖の両末端が前記ハードセグメント(HS)である。また、数平均分子量が12,000〜24,000である。
1分子鎖中に含まれるソフトセグメント(SS)が1単位であり且つ1分子鎖の両末端がハードセグメント(HS)である構造、即ちHS−SS−HSのトリブロック構造(但しハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)との間に結合部を有していてもよい)を有する熱可塑性エラストマーを実現する方法について説明する。該方法としては、特に限定されるものではないが、反応性官能基を分子中に1つ有するハードセグメント(HS)を2単位、反応性官能基を分子中に2つ有するソフトセグメント(SS)を1単位、重合する方法が挙げられる。
熱可塑性エラストマーにおいて1分子鎖中に含まれるソフトセグメント(SS)が1単位であり且つ1分子鎖の両末端がハードセグメント(HS)である構造、即ちHS−SS−HSのトリブロック構造を有するか否かの確認について説明する。該確認方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって熱可塑性エラストマーの平均分子量を測定し、且つNMRによってハードセグメント(HS)やソフトセグメント(SS)等の構成単位の平均分子量を測定することで行うことができる。
例えば、熱可塑性エラストマーが1種のハードセグメント(HS)および1種のソフトセグメント(SS)のみからなる場合であれば、下記の等式が成り立つはずである。
熱可塑性エラストマー平均分子量=HS平均分子量×2+SS平均分子量×1
1H−NMR、13C−NMRを、測定対象の熱可塑性エラストマーを重水素化したトリフルオロ酢酸に溶解して、定法に従って測定する。次に、それぞれの官能基の帰属を行い、HS、SS、及び結合部の構造を同定し、分子量を求める。それぞれの部位の分子量を足しあわせた数値が、すなわち繰り返しあたりの平均分子量に相当する
熱可塑性エラストマーの数平均分子量は12,000〜24,000の範囲である。12,000未満であると、リム組み性が低下してしまう。一方24,000を超えると、溶融粘度が高くなり、タイヤ骨格体の際に充填不足が発生するおそれがあるため、成形温度、金型温度を高くする必要がある。このため、サイクルタイムが長くなる為、生産性が劣る。
熱可塑性エラストマーにおいて、前記ハードセグメント(HS)及びソフトセグメント(SS)の質量比(HS/SS)は、5/95〜50/50が好ましく、15/85〜45/55がより好ましく、20/80〜40/60が更に好ましい。尚、タイヤの剛性の観点では20/80〜50/50が好ましい。
前記熱可塑性エラストマーにおいてハードセグメント(HS)及びソフトセグメント(SS)の質量比(HS/SS)におけるハードセグメントの含有量が5質量%以上であることにより、タイヤに必要な剛性を付与することができる。一方50質量%以下であることにより、SSを一定量有することにより、リム組性を確保できる。
これらの中でも、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、及びポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)は、重付加の反応による結合部を有する重合体であって、この結合部の構造等を変化させるだけで熱可塑性エラストマーの物性を変化できる重合体であり、その手法も確立されているため、好ましい。
そして、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、及びポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)の中でも、耐加水分解性の観点から、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)がより好ましい。
以下、本発明において好ましい熱可塑性エラストマーである、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)について説明する。
本発明において、「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメントの一部又は全部を構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントの一部又は全部を構成するポリマーとを有する共重合体の熱可塑性エラストマーであって、ハードセグメントの一部又は全部を構成する前記ポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
前記ハードセグメントの一部又は全部を形成するポリアミドについて説明する。該ポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーを用いて合成されるポリアミドであって、且つその片末端に反応性官能基が残存しないよう重合を停止させる役割を担うモノマー(以下、「停止剤」と称す)を用いて合成されるポリアミドを挙げることができる。
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、前記ハードセグメントの一部又は全部を形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、又はメタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又はドデカン二酸などの炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
停止剤の具体例としては、例えば、ドデカン酸、カプロン酸、ラウリン酸、又はステアリン酸などの飽和脂肪酸、リノール酸、又はオレイン酸などの不飽和脂肪酸等が挙げられる。
これらの停止剤を共に重合させることで、片末端に反応性官能基が残存しないよう重合を停止させる役割を担わせることができ、片末端のみが修飾されたポリアミドが得られる。
前記ポリアミド11は、例えば、{CO−(CH2)10−NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド12は、例えば、{CO−(CH2)11−NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド66は、例えば、{CO(CH2)4CONH(CH2)6NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ソフトセグメントの一部又は全部を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステルや、ポリエーテルが挙げられる。更に、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、又はABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。なお、これらを単独で又は2種以上を用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等を用いることができ、例えば、ABA型トリブロックポリエーテルジアミンを用いることができる。
上述のジアミンは単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組合せて使用してもよい。
上述の通り、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結合部は、例えば、鎖長延長剤により結合された部分が挙げられる。
前記鎖長延長剤としては、例えば、ジカルボン酸、ジオール、及びジイソシアネート等が挙げられる。前記ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種又はこれらの誘導体を用いることができる。前記ジオールとしては、例えば、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、及び芳香族ジオールが挙げられる。前記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を用いることができる。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、前記ハードセグメントの一部又は全部を形成するポリマー及びソフトセグメントの一部又は全部を形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。例えば、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントの原料となるモノマー(例えば、前述の片末端のみに反応性官能基を有するモノマー)と、ソフトセグメントの原料となるモノマー(例えば、前記ABA型トリブロックポリエーテルや前記ABA型トリブロックポリエーテルジアミン)とを容器内で重合させることで得ることができる。特に、ハードセグメントの原料となるモノマーとしてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合に、更に減圧溶融重合を行って合成することができる。ハードセグメントの原料となるモノマーとしてラクタムを用いる場合には、適量の水を共存させることができ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合を有する方法で製造することができる。また、これら合成反応は、回分式及び連続式のいずれでも実施することができる。また、上述の合成反応には、バッチ式反応釜、一槽式若しくは多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いてもよい。
例えば、無機系リン化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機スズ化合物等が挙げられる。
具体的には、無機系リン化合物としては、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、及び次亜リン酸等のリン含有酸、リン含有酸のアルカリ金属塩、又はリン含有酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、チタンアルコキシド〔チタンテトラブトキシド、又はチタンテトライソプロポキシド等〕等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド〔ジルコニウムテトラブトキシド(「Zr(OBu)4」または「Zr(OC4H8)4」とも称される)等〕等が挙げられる。
有機スズ化合物としては、ジスタノキサン化合物〔1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン等〕、酢酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、又はブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート等が挙げられる。
触媒添加量及び触媒添加時期は、目的物を速やかに得られる条件であれば特に制限されない。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントの一部又は全部を構成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントの一部又は全部を構成している材料が挙げられる。例えば、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
式A中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルを表す。式A又は式B中、Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。式B中、P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は、芳香族炭化水素を表す。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート及び4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。更に、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートが挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
式B中、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は、芳香族炭化水素としては、例えば、分子量500未満のものを使用することができる。また、P’は、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素を含むジオール化合物に由来する。P’で表される短鎖脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジオール化合物としては、グリコール及びポリアルキレングリコールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオールが挙げられる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、及びシクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
更に、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、及び2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
また、式B中のRは、式A中のRと同じである。
結合部は、例えば、鎖長延長剤により結合された部分が挙げられる。鎖長延長剤としては、ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて上述したものが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの鎖延長剤としては、ドデカン二酸、エイコサン二酸、フェニル二酢酸、テレフタル酸、アジピン酸が好ましい。
次に、タイヤ骨格体の一部又は全部を構成する樹脂材料の好ましい物性について説明する。本発明におけるタイヤ骨格体は、上述の樹脂材料を用いるものである。
このように、融点が120℃〜250℃の樹脂材料を用いることで、例えばタイヤの骨格体を、その分割体(骨格片)を融着して形成する場合に、120℃〜250℃の周辺温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分である。このため、本発明のタイヤは耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性に優れる。尚、前記加熱温度は、タイヤ骨格片の一部又は全部を形成する樹脂材料の融点(又は軟化点)よりも10℃〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
溶融混合して得られた樹脂材料は、必要に応じてペレット状にして用いることができる。
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1Aは、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1Bは、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
まず、上述のように本実施形態における熱可塑性樹脂エラストマーを含む樹脂材料を用いて、タイヤケース半体を形成する。これらタイヤケースの形成は、射出成形で行うことが好ましい。次に、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースの一部又は全部を構成する樹脂材料の融点(又は軟化点)以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱や加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して。タイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、図を省略するが、補強コード26を巻き付けたリール、コード加熱装置、各種ローラ等を備えたコード供給装置を用い、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28を形成することができる。
本実施形態のタイヤ10は、タイヤケース17の一部又は全部が、ハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)とを有し、1分子鎖中に含まれる前記ソフトセグメント(SS)が1単位であり、前記1分子鎖の両末端が前記ハードセグメント(HS)であり、且つ数平均分子量が12,000〜24,000である熱可塑性エラストマーを含む樹脂材料によって形成される。このため、本実施形態のタイヤ10は、望ましい弾性率を有し且つ低ロス性に優れる。
・ハードセグメント(HS):片末端修飾PA12(ナイロン12)の合成
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積2リットルの反応容器に、アルドリッチ製12−アミノドデカン酸58.2g、アミノドデカノラクタム800g、ドデカン酸80gを入れ、容器内を十分窒素置換した後、280℃まで昇温し、0.6MPaの加圧下で4時間反応させた。圧力を解放したあと、窒素気流下でさらに1時間反応させ、所望の数平均分子量約2,000の片末端修飾PA12重合物である白色固体を得た。
数平均分子量4,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)200gとドデカン二酸23gを前記ハードセグメント(HS)の合成と同様の反応容器に導入し、窒素気流下200℃でジルコニウムテトラクロライドを触媒量加え、6時間反応を行った。未反応ポリプロピレングリコールは、分取GPCで除去し、数平均分子量約8,000のポリプロピレングリコールを得た。収率76%であった。
得られた片末端修飾PA12(数平均分子量2,000)300g、数平均分子量8,000のポリプロピレングリコール200gを前記ハードセグメント(HS)の合成と同様の反応容器に導入し、窒素気流下200℃1時間撹拌後、230℃に昇温し、ジルコニウムテトラクロライドを触媒量加えて、6時間反応を行った。過剰量のポリプロピレングリコールをメタノールで洗浄除去し、熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
得られた熱可塑性エラストマーはペレット化し、260℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を53.3gに変更して数平均分子量約3,000の片末端修飾PA12を得た以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
実施例1の熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を40gに変更して数平均分子量約4,000の片末端修飾PA12を得、且つ熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を53.3gに変更して数平均分子量約3,000の片末端修飾PA12を得、且つ熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を26.7gに変更して数平均分子量約6,000の片末端修飾PA12を得、且つ熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を106.7gに変更して数平均分子量約1,500の片末端修飾PA12を得、且つ熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
・ハードセグメント(HS):片末端修飾PA6の合成
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積2リットルの反応容器に、アルドリッチ製カプロラクタム400g、ドデカン酸53g、アミノヘキサン酸51gを入れ、容器内を十分窒素置換した後、280℃まで昇温し、0.6MPaの加圧下で4時間反応させた。圧力を解放したあと、窒素気流下でさらに1時間反応させ、水洗工程をへて所望の数平均分子量約1,500の片末端修飾PA6重合物である白色固体を得た。
得られた片末端修飾PA6(数平均分子量1,500)を200gとり、更に実施例3で用いたソフトセグメント(SS、数平均分子量12,000のポリプロピレングリコール、和光純薬製)800gを加え、230℃6時間撹拌を行った。Irganox1010(BASF社製)1gを加え、白色の熱可塑性エラストマー(ポリアミドエラストマー)を得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
得られた熱可塑性エラストマーはペレット化し、260℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
・熱可塑性エラストマーの製造
ハードセグメントとして両末端修飾のナイロン12(数平均分子量3,000)120g、ソフトセグメントとして数平均分子量1,000のポリプロピレングリコール37gを前記実施例1のハードセグメント(HS)の合成と同様の反応容器に導入し、窒素気流下200℃1時間撹拌後、230℃に昇温し、ジルコニウムテトラクロライドを触媒量加えて、6時間反応を行った。過剰量のポリプロピレングリコールをメタノールで洗浄除去し、熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、一分子中におけるハードセグメント(HS)の単位の数(平均値)及びソフトセグメント(SS)の単位の数(平均値)がいずれも25個であり、分子鎖の末端がハードセグメント(HS)であるものとソフトセグメント(SS)であるものとが混在した構造のTPAであった。
得られた熱可塑性エラストマーはペレット化し、260℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
実施例1において、ハードセグメント:片末端修飾PA12の合成の際のドデカン酸の量を47.2gに変更して数平均分子量約3,900の片末端修飾PA12を得、且つ熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントとして数平均分子量4,000のポリエーテル(HUNTSMAN社製、エラスタミンD−4000)を用い、片末端修飾PA12(数平均分子量3,900)の量を300g、エラスタミンD−4000の量を307gとした以外は、実施例1と同様の方法により熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、HS−SS−HSの構造、即ちトリブロック構造のTPAであった。
・ハードセグメント(HS):両末端修飾PA12の合成
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積2リットルの反応容器に、アルドリッチ製12−アミノドデカン酸43.7g、アミノドデカノラクタム600g、ドデカン二酸19.5gを入れ、容器内を十分窒素置換した後、280℃まで昇温し、0.6MPaの加圧下で4時間反応させた。圧力を解放したあと、窒素気流下でさらに1時間反応させ、所望の数平均分子量約7,500のPA12重合物である白色固体を得た。
得られた両末端修飾PA12(数平均分子量7,500)300gに、数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジアミン(HUNTSMAN社製、エラスタミンRP−2009)147gを加え、230℃2時間撹拌を行ったのち、Irganox1010(BASF社製)を1g加え反応を終了した。イソプロパノールとヘキサフルオロイソプロパノール混合溶媒中で未反応物を抽出することで、数平均分子量約19,000のポリアミド系熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーは、一分子中におけるハードセグメント(HS)の単位の数(平均値)及びソフトセグメント(SS)の単位の数(平均値)がいずれも2個であり、分子鎖の末端がハードセグメント(HS)であるものとソフトセグメント(SS)であるものとが混在した構造のTPAであった。
得られた熱可塑性エラストマーはペレット化し、260℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
実施例及び比較例から得た熱可塑性エラストマーを用いて、以下の項目について評価した。結果を表1及び表2に示す。
JIS K7113:1995に規定される引張弾性率(以下、特に特定しない限り本明細書で「弾性率」とは引張弾性率を意味する。)を測定した。
なお、弾性率は300〜700の範囲であればタイヤ骨格体として用いるのに適しており、700を超えると乗心地が悪化する恐れがあり、300未満であるとリム組性が悪くなることがある。
2mm厚のサンプル片から、φ8mmの円盤状に打ち抜いた試験片を測定に用いた。粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度30℃、歪み1%、周波数20Hzで損失正接(tanδ)を測定した。次に、上記測定方法で得られたtanδの実測値に対して、比較例1の値を100として計算を行い、換算値を求めた。尚、値が小さい程低ロス性に優れている。
軟化点Tmを、JIS K7121:2012に則って、DSC(TAインスルメント社製)で測定を実施した。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (5)
- 樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、
前記樹脂材料は、ハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)とを有し、1分子鎖中に含まれる前記ソフトセグメント(SS)が1単位であり、前記1分子鎖の両末端が前記ハードセグメント(HS)であり、且つ数平均分子量が12,000〜24,000である熱可塑性エラストマーを含むタイヤ。 - 前記熱可塑性エラストマーのハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)との質量比(HS/SS)が20/80〜50/50である請求項1に記載のタイヤ。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリアミド系熱可塑性エラストマーである請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
- 前記熱可塑性エラストマーが、反応性官能基を分子中に1つ有する2単位のハードセグメント(HS)と、反応性官能基を分子中に2つ有する1単位のソフトセグメント(SS)と、が重合されてなる重合体である請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のタイヤ。
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