JPWO2016052246A1 - 電子ビーム蒸着装置および薄膜作製方法 - Google Patents

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Abstract

電子ビーム蒸着装置(100)は、蒸着材料を充填するための坩堝(14)と、蒸着材料に入射する電子ビーム(20)を生成するための電子銃(16)と、磁界発生部(30)と、磁気遮蔽体(40)とを備える。磁界発生部(30)は、蒸着材料で反射した反射電子を偏向させるための第1の磁界(B1)を発生する。磁気遮蔽体(40)は、第1の磁界(B1)が電子ビーム(20)の軌道に影響を及ぼさないように、第1の磁界(B1)を遮蔽する。

Description

この発明は、電子ビーム蒸着装置およびそれを用いた薄膜作製方法に関する。
電子ビーム蒸着装置では、坩堝内に入射した電子ビームの全部が蒸着材料の加熱に用いられるのではなく、電子ビームの一部は蒸着材料の表面で反射する。この反射電子が成膜用基板に入射すると、基板表面に損傷を与える可能性がある。
このような理由による基板表面の損傷を防止するために、成膜用基板の表面に対して平行方向に磁界を印加する方法がしばしば用いられる(たとえば、特開平7−211641号公報(特許文献1)参照)。基板平行方向の磁界によって反射電子が偏向されるために、成膜用基板への反射電子の入射を防止することができる。
特開平7−211641号公報
ところで、成膜速度を上げるためには、薄膜形成用基板を坩堝に接近させる必要がある。しかしながら、上記文献の装置構成において成膜用基板と坩堝を接近させると、反射電子を遮蔽するための磁界が、坩堝へ入射する電子ビームに影響を与えるようになり、電子ビームを精度良く坩堝に導くのが困難になるという問題が生じる。
この発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、その主な目的は、坩堝と成膜対象物とを比較的接近させた場合でも、電子ビームを精度良く坩堝内に導くことが可能であるとともに、成膜対象物への反射電子の入射を防止することが可能な電子ビーム蒸着装置を提供することである。
この発明による電子ビーム蒸着装置は、蒸着材料を充填するための坩堝と、蒸発した蒸着材料を堆積させるための成膜対象物を保持する保持部と、蒸着材料に入射する電子ビームを生成するための電子銃と、第1の磁界発生部と、磁気遮蔽体とを備える。第1の磁界発生部は、蒸着材料で反射した反射電子を偏向させるための第1の磁界を発生する。磁気遮蔽体は、第1の磁界が電子ビームの軌道に影響を及ぼさないように、第1の磁界を遮蔽する。
上記構成によれば、第1の磁界発生部が発生する第1の磁界によって反射電子を偏向させることができるので、成膜対象物への反射電子の入射を防止することができる。さらに、磁気遮蔽体によって上記の第1の磁界を遮蔽するので、電子ビームを精度良く坩堝内に導くことが可能である。
好ましくは、磁気遮蔽体は、坩堝の上方かつ第1の磁界発生部の下方に設けられる。好ましくは、坩堝の真上から見て、第1の磁界発生部は電子ビームの入射方向と反対側に設けられる。好ましくは、坩堝の真上から見て、磁気遮蔽体は電子ビームの入射方向と反対側に設けられる。
上記の磁気遮蔽体および第1の磁界発生部の配置によって、反射電子を効率良く偏向させるとともに、第1の磁界発生部が発生する第1の磁界を効率良く遮蔽することができる。
好ましくは、第1の磁界発生部は、水平方向に対向する第1および第2の永久磁石と、ヨークとを含む。ヨークは、第1の永久磁石の第2の永久磁石に対する対向面の反対側と、第2の永久磁石の第1の永久磁石に対する対向面の反対側とを接続する。好ましくは、上記の第1および第2の永久磁石は、成膜対象物よりも下方に設けられる。さらに好ましくは、第1の磁界発生部が設けられていない場合に、所定の閾値密度以上の反射電子が観測される範囲のうちで最大の仰角で飛来する反射電子の軌道と、第1および第2の永久磁石間を結ぶ直線とが交差するように、上記の第1および第2の永久磁石が配置される。
上記の第1の磁界発生部の構成によって、反射電子を偏向させるための第1の磁界を効率良く発生させることができる。
好ましくは、磁気遮蔽体は板状である。坩堝の真上から見て、板状の磁気遮蔽体の坩堝に近接する側の端部は円弧状に凹んだ形状を有する。さらに好ましくは、電子ビーム蒸着装置は、成膜中に保持部を回転させるための回転部をさらに備える。この場合、磁気遮蔽体は、保持部のうち坩堝に対向する面と坩堝の開口の中心とを結ぶ仮想錐体に近接して設けられる。
上記の磁気遮蔽体の形状および配置によって、坩堝から成膜対象物に向かって放出される蒸着物質をできるだけ遮蔽しないようにすることができる。
好ましくは、電子ビーム蒸着装置は、電子ビームの軌道を制御するための第2の磁界を発生する第2の磁界発生部をさらに備える。磁気遮蔽体は、第1の磁界発生部から下方に向かって第1の磁界の強度に応じた第1の距離以上離れ、かつ、坩堝から上方に向かって第2の磁界の強度に応じた第2の距離以上離れた高さ範囲に配置される。さらに好ましくは、磁気遮蔽体は、上記の高さ範囲の最下端に配置される。
上記の磁気遮蔽体の配置によって、第1の磁界発生部が発生する第1の磁界および第2の磁界発生部が発生する第2の磁界をできるだけ弱めないようにすることができる。第2の磁界に対する磁気遮蔽体からの第1の磁界の漏れ磁界の比は、0.05以下であるのが望ましい。
この発明は他の局面において、上記の電子ビーム蒸着装置を用いて薄膜を形成する薄膜作製方法である。
この発明によれば、坩堝と成膜対象物とを比較的接近させた場合でも、電子ビームを精度良く坩堝内に導くことが可能であるとともに、成膜対象物への反射電子の入射を防止することが可能な電子ビーム蒸着装置を提供することができる。
実施の一形態による電子ビーム蒸着装置の構成を模式的に示す図である。 図1の真空容器内部の斜視図である。 図1の真空容器内部の上面図である。 反射電子偏向用の第1の磁界発生部に設けられたヨークの機能について説明するための図である。 磁気遮蔽体の配置についてさらに詳細に説明するための図である。 反射電子偏向用の第1の磁界発生部の配置について説明するための図である。 薄膜作製方法の手順を示すフローチャートである。
以下、実施の一形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
[電子ビーム蒸着装置の構成]
図1は、実施の一形態による電子ビーム蒸着装置100の構成を模式的に示す図である。図2は、図1の真空容器内部の斜視図である。図3は、図1の真空容器内部の上面図である。図1において断面部分にはハッチングを付している。図3では、ホルダー6を破線で示し、ホルダー6よりも下部の配置が示されている。
図1〜図3において、電子ビーム蒸着装置100の左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。X軸方向およびY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。X軸方向の左右を区別する場合には、+X方向および−X方向のように符号を付して区別する。Y軸方向およびZ軸方向についても同様である。
図1〜図3を参照して、電子ビーム蒸着装置100は、真空容器2と、その内部に設けられたホルダー(保持部)6、坩堝14、電子銃16、第1の磁界発生部30、および磁気遮蔽体40と、真空ポンプ24と、モータ10と、制御部26とを含む。
真空容器2には、使用者の作業用に前扉4が設けられている。また、成膜中に真空容器2の内部を観察するために、前扉4には図示しない窓部が設けられている。真空容器2の内部は、排気管22を介して真空ポンプ24によって排気可能である。
ホルダー6はドーム状の形状を有し、坩堝14の開口に対向する対向面(ホルダー6の下面)には成膜対象物として基板等が取り付けられる。ホルダー6は、その上部に結合された回転軸8を介してモータ10と接続される。モータ10によって回転軸8を駆動することによって、成膜中にホルダー6を回転させる。
坩堝14は、真空容器2の下部に設けられたテーブル12の中央部に取り付けられる。坩堝14の内部に蒸着材料が充填される。電子ビーム蒸着では、蒸着材料が電子ビームによって加熱されることによって蒸発し、蒸発した蒸着材料が成膜対象物の表面に堆積することによって薄膜が形成される。
電子銃16は、テーブル12の下方に設けられる。図1の場合、電子銃16から射出された電子ビーム20は、電子銃16の第2の磁界発生部(不図示)が生成する+Y方向の第2の磁界B2によって中心角270°の円弧状の軌道を描いて坩堝14に到達する。テーブル12には電子ビーム20が通過する開口18が形成されている。
坩堝14に入射する電子ビーム20は、その全てが蒸着材料の加熱に用いられるわけではない。電子ビーム20の一部は坩堝14に充填された蒸着材料で反射する。この反射電子34が成膜対象物としての基板に入射すると基板の表面を損傷させる可能性がある。そこで、反射電子34を偏向させるために、ホルダー6の下方の領域32に+Y方向の第1の磁界B1を発生する第1の磁界発生部30が設けられる。反射電子は電子ビーム20の入射方向に対して鏡面反射方向を中心に概ね分布するので、坩堝14を真上から見た場合に、第1の磁界発生部30は電子ビーム20の入射方向と反対側に設けられるのが望ましい。
図2および図3を参照して第1の磁界発生部30のより詳細な構成例を説明すると、第1の磁界発生部30は、Y軸方向に対向する永久磁石44A,44Bと、ヨーク46とを含む。ヨーク46は、永久磁石44Aの永久磁石44Bに対する対向面の反対側と、永久磁石44Bの永久磁石44Aに対する対向面の反対側とを接続する。永久磁石44A,44Bの対向面がそれぞれ磁極のN極およびS極となっている。永久磁石44A,44Bは、ホルダー6の下方に設けられる。ヨーク46は、鉄などの磁性体で形成された板棒状の部材46A,46B,46CがU字状に接続された構造を有する。
図4は、反射電子偏向用の第1の磁界発生部30に設けられたヨークの機能について説明するための図である。図4に示すように、ヨーク46を設けることによって磁力線48をヨークの内部を通過させるとともに、永久磁石44A,44B間の空間に生じる磁束50の密度を増加させることができる。
再び図1〜図3を参照して、次に、磁気遮蔽体40について説明する。一般に成膜速度を上げるためには、ホルダー6と坩堝14との距離をより接近させる必要がある。しかしながら、反射電子偏向用の第1の磁界発生部30が設けられている場合には、第1の磁界発生部30が生成する第1の磁界B1が電子ビーム20の軌道に影響を及ぼし、電子ビーム20を精度良く坩堝14に導くのが困難になってしまう。そこで、本実施形態では、真空容器2の内部に、第1の磁界発生部30による第1の磁界B1を遮蔽するために、鉄などの磁性体で形成された磁気遮蔽体40が設けられる。
以下、磁気遮蔽体40の詳細な構成および配置について説明する。図1〜図3に示す例の場合、磁気遮蔽体40は板状に形成され、シャフト42A,42B,42Cによってテーブル12上に固定される。磁気遮蔽体40は、坩堝14よりも上方かつ第1の磁界発生部30よりも下方に設けられる。坩堝14からホルダー6に向かって放出される蒸着物質を遮蔽しないように、坩堝14の真上から見て、磁気遮蔽体40の坩堝14に近接する側の端部は円弧状に凹んだ形状を有している。板状の磁気遮蔽体40の厚みは、第1の磁界B1を遮蔽するのに十分な厚みとなるようにする。
さらに、第1の磁界発生部30による第1の磁界B1を効率的に(すなわち、できるだけ小面積の磁気遮蔽体40で)遮蔽するためには、坩堝14を真上から見た場合に、磁気遮蔽体40は、坩堝14に対して第1の磁界発生部30と同じ側に(すなわち、電子ビーム20の入射方向と反対側に)設けられるのが望ましい。この場合、真空容器2の前扉4側に空間が設けられるので、蒸発材料を坩堝14に充填するなどの作業がし易くなるというメリットがある。なお、第1の磁界発生部30による第1の磁界B1をできるだけ遮蔽することを重視し、作業性を重視しない場合には、たとえば、ドーナツ状の磁気遮蔽体を用いても構わない。
制御部26は、コンピュータをベースに構成され、真空ポンプ24、電子銃16、およびホルダー6を回転させるためのモータ10などの動作を制御する。
[磁気遮蔽体の配置について]
図5は、磁気遮蔽体の配置についてさらに詳細に説明するための図である。図5では、断面部分にハッチングを付している。ホルダー6の下面(坩堝14との対向面6A)には、成膜対象物としての基板52A,52B,52C,52Dが取り付けられている。
まず、図5を参照して、磁気遮蔽体40の水平方向の配置について説明する。前述したように、磁気遮蔽体40は、坩堝14を真上から見て電子ビーム20の入射方向と反対側に設けられる。さらに、坩堝14からホルダー6に向かって放出される蒸着物質を遮蔽しないようにするために、磁気遮蔽体40は、坩堝14の開口の中心とホルダー6の対向面6Aとを結ぶ錐体60にできるだけ近接した位置に設けられる。
次に、磁気遮蔽体40の上下方向(鉛直方向)の配置について説明する。既に説明したように、磁気遮蔽体40は、坩堝14の上方および第1の磁界発生部30の下方に設けるようにする。しかしながら、この場合、磁性体で形成された磁気遮蔽体40を、第1の磁界発生部30に近付け過ぎたり、逆に坩堝14に近付け過ぎたりするのは望ましくない。磁気遮蔽体40を第1の磁界発生部30に近付け過ぎると、磁気遮蔽体40が第1の磁界発生部30で生成された第1の磁界B1を吸収するように働くので、反射電子を十分に偏向できなくなるからである。同様に、磁気遮蔽体40を坩堝14に近付け過ぎると、磁気遮蔽体40が電子銃16で生成された第2の磁界B2を吸収するように働くので、電子ビーム20の軌道制御が十分できなくなるからである。
そこで、図5に示すように、磁気遮蔽体40は、第1の磁界発生部30から下方に距離DU以上離れ、かつ、坩堝14から上方に距離DL以上離れた高さ範囲MRに配置される。ここで、距離DUは第1の磁界B1の強度に応じて決まり(第1の磁界B1の強度が大きいほど、距離DUは短くなる)、距離DLは第2の磁界B2の強度に応じて決まる(第2の磁界B2の強度が大きい程、距離DLは短くなる)。さらに、磁気遮蔽体40は、上記の高さ範囲MRの最下端に配置するのが望ましい。これによって、前述の錐体60の断面積が小さくなるので、磁気遮蔽体40を坩堝14の直上により近付けて配置することが可能になる。
磁気遮蔽体40は、第2の磁界B2に対する磁気遮蔽体40からの第1の磁界B1の漏れ磁界の比が0.05以下となる(すなわち、第1の磁界B1の漏れ磁界の大きさは、第2の磁界B2の大きさの0.05倍以下である)ように形成されていることが望ましい。ここで、第1の磁界B1の漏れ磁界とは、第1の磁界発生部30によって発生した第1の磁界B1が磁気遮蔽体40によって完全に遮蔽できずに、磁気遮蔽体40から漏れ出た磁界のことをいう。たとえば、磁気遮蔽体40が板状の場合は、第2の磁界B2に対する第1の磁界B1の漏れ磁界の比が0.05以下となるように磁気遮蔽体40の厚みを厚くする。この条件では、電子ビームの位置ずれが目視では確認できない程度に小さくなるという結果が得られた。一方、第2の磁界B2に対する第1の磁界B1の漏れ磁界の比が0.05より大きくなるように、磁気遮蔽体40が形成されている場合には、電子ビームの位置ずれが目視で確認できる程度に大きくなるという結果が得られた。
[反射電子偏向用の磁界発生部の配置について]
図6は、反射電子偏向用の第1の磁界発生部30の配置について説明するための図である。図6では、第1の磁界発生部30の断面部分にハッチングを付している。
一般に、坩堝14内の蒸着材料で反射した反射電子は、入射電子ビームの鏡面反射方向を概ね中心として分布している。図6のグラフは、第1の磁界発生部30が設けられていない場合において反射電子密度(電流密度)の分布を模式的に示すものである。図6のグラフは、0からθの範囲の仰角において所定の閾値密度を超える反射電子が観測されている様子を示している(閾値密度を超える反射電子が基板に入射すると、基板に損傷を与える可能性がある)。この場合、最大仰角θにおいて反射電子を偏向させるべき角度が最も大きくなるので、永久磁石44A,44Bは、最大仰角θで飛来する反射電子の軌道と永久磁石44A,44B間を結ぶ線分とが交差するように配置するのが望ましい。これによって、最大仰角θで飛来する反射電子に最も強度の強い第1の磁界B1を印加することができる。
[薄膜作製方法]
図7は、薄膜作製方法の手順を示すフローチャートである。以下、これまでの説明を総括して、図1〜図6で説明した電子ビーム蒸着装置100を用いた薄膜作製方法の手順について説明する。
まず、第1の磁界発生部30と磁気遮蔽体40とを備える電子ビーム蒸着装置100を準備する(ステップS110)。第1の磁界発生部30と磁気遮蔽体40に制御機構はないため、第1の磁界発生部30は常に第1の磁界B1を発生する。反射電子を偏向させるための第1の磁界発生部30は、ホルダー6の下方で、かつ、坩堝14の真上から見て電子ビーム20の入射方向と反対側に取り付けられている。磁気遮蔽体40は、第1の磁界発生部30の下方かつ坩堝14の上方に取り付けられている。坩堝14の真上から見た場合に、磁気遮蔽体40は、電子ビーム20の入射方向と反対側に設けられるとともに、坩堝14の開口の中心とホルダー6の下面(坩堝14に対する対向面6A)とを結ぶ錐体60にできるだけ近接して配置される。
その後、坩堝14内に蒸着材料を充填し(ステップS120)、成膜対象物をホルダー6の下面に取り付ける(ステップS130)。真空容器2内を真空にした後(ステップS140)、電子ビームによって蒸着材料を加熱し蒸発させることによって、成膜対象物の表面に薄膜が形成される(ステップS150)。所定の膜厚の薄膜の形成が終了した後、真空容器2の内部が大気圧に戻され、薄膜形成後の成膜対象物が真空容器2から取り出される(ステップS160)。
[まとめ]
以上のとおり、本実施形態の電子ビーム蒸着装置100によれば、第1の磁界発生部30を設けることによって成膜対象物への反射電子の入射を防止することができる。さらに、磁気遮蔽体40を坩堝14の上方かつ第1の磁界発生部30の下方に設けることによって、第1の磁界発生部30が発生する第1の磁界B1が電子ビームの軌道に影響を及ぼさないようにできる。この結果、坩堝14と成膜対象物とを比較的接近させた場合でも、電子ビームを精度良く坩堝14内に導くことが可能であるとともに、成膜対象物への反射電子の入射を防止することが可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
たとえば、上記実施形態では、電子ビームの軌道を制御するための第2の磁界B2を発生する第2の磁界発生部(不図示)が電子銃16に含まれているとしているが、この構成には限られない。電子ビームを生成する電子銃16とは別に電子ビームの軌道を制御するため第2の磁界を発生する第2の磁界発生部を設けてもよい。たとえば、第2の磁界B2を発生する第2の磁界発生部は、電子銃の外に設けられた一対の永久磁石と、ヨークとを含むものであってもよい。ヨークは、一方の永久磁石の対向面の反対側と他方の永久磁石の対向面の反対側とを接続する。
2 真空容器、4 前扉、6 ホルダー(保持部)、6A 対向面、14 坩堝、16 電子銃、20 電子ビーム、30 第1の磁界発生部、34 反射電子、40 磁気遮蔽体、44A,44B 永久磁石、46 ヨーク、52A,52B,52C,52D 基板、60 錐体、100 電子ビーム蒸着装置、B1 第1の磁界、B2 第2の磁界。

Claims (13)

  1. 蒸着材料を充填するための坩堝と、
    蒸発した前記蒸着材料を堆積させるための成膜対象物を保持する保持部と、
    前記蒸着材料に入射する電子ビームを生成するための電子銃と、
    前記蒸着材料で反射した反射電子を偏向させるための第1の磁界を発生する第1の磁界発生部と、
    前記第1の磁界が前記電子ビームの軌道に影響を及ぼさないように、前記第1の磁界を遮蔽する磁気遮蔽体とを備えた電子ビーム蒸着装置。
  2. 前記磁気遮蔽体は、前記坩堝の上方かつ前記第1の磁界発生部の下方に設けられる、請求項1に記載の電子ビーム蒸着装置。
  3. 前記坩堝の真上から見て、前記第1の磁界発生部は前記電子ビームの入射方向と反対側に設けられる、請求項1または2に記載の電子ビーム蒸着装置。
  4. 前記坩堝の真上から見て、前記磁気遮蔽体は前記電子ビームの入射方向と反対側に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置。
  5. 前記第1の磁界発生部は、
    水平方向に対向する第1および第2の永久磁石と、
    ヨークとを含み、
    前記ヨークは、前記第1の永久磁石の前記第2の永久磁石に対する対向面の反対側と、前記第2の永久磁石の前記第1の永久磁石に対する対向面の反対側とを接続する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置。
  6. 前記第1および第2の永久磁石は、前記成膜対象物よりも下方に設けられる、請求項5に記載の電子ビーム蒸着装置。
  7. 前記第1の磁界発生部が設けられていない場合に、所定の閾値密度以上の反射電子が観測される範囲のうちで最大の仰角で飛来する反射電子の軌道と、前記第1および第2の永久磁石間を結ぶ直線とが交差するように、前記第1および第2の永久磁石が配置される、請求項6に記載の電子ビーム蒸着装置。
  8. 前記磁気遮蔽体は板状であり、
    前記坩堝の真上から見て、前記板状の磁気遮蔽体の前記坩堝に近接する側の端部は円弧状に凹んだ形状を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置。
  9. 成膜中に前記保持部を回転させるための回転部をさらに備え、
    前記磁気遮蔽体は、前記保持部のうち前記坩堝に対向する面と前記坩堝の開口の中心とを結ぶ仮想錐体に近接して設けられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置。
  10. 電子ビームの軌道を制御するための第2の磁界を発生する第2の磁界発生部をさらに備え、
    前記磁気遮蔽体は、前記第1の磁界発生部から下方に向かって前記第1の磁界の強度に応じた第1の距離以上離れ、かつ、前記坩堝から上方に向かって前記第2の磁界の強度に応じた第2の距離以上離れた高さ範囲に配置される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置。
  11. 前記磁気遮蔽体は、前記高さ範囲の最下端に配置される、請求項10に記載の電子ビーム蒸着装置。
  12. 前記第2の磁界に対する前記磁気遮蔽体からの前記第1の磁界の漏れ磁界の比は、0.05以下である、請求項10または11に記載の電子ビーム蒸着装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸着装置を用いて薄膜を形成する薄膜作製方法。
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