JPWO2016051971A1 - 積層体、導電性積層体およびその製造方法、タッチパネルセンサー、タッチパネル、転写フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
導電層の作製方法としては種々の方法が提案されており、例えば、特許文献1においては、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有する樹脂と、重合開始剤とを含む樹脂組成物層(被めっき層形成用層)を用いて、パターン状被めっき層を形成し、そのパターン状被めっき層にめっき触媒を付与して、めっき処理を実施することによりパターン状被めっき層上に導電層に該当する金属層を形成する方法が提案されている。
本発明者らは、特許文献1を参照して、上記のような加飾層が周縁領域に配置された基板上に所定の成分を含む被めっき層形成用層を配置して、マスクを介して被めっき層形成用層に対してパターン状に露光処理を実施したところ、形成されたパターン状被めっき層の形状がマスクの開口形状よりも広くなってしまい、所望の精度でパターン状被めっき層を形成することができなかった。
また、本発明は、導電性積層体およびその製造方法、タッチパネルセンサー、タッチパネル、および、転写フィルムを提供することも課題とする。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
基板上の周縁領域に配置された加飾層と、
基板および加飾層上に配置された粘着層と、
粘着層上に配置された、後述する化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層と、を有する、積層体。
(2) 粘着層に酸基が実質的に含まれない、(1)に記載の積層体。
(3) 基板がガラス基板である、(1)または(2)に記載の積層体。
(4) 被めっき層形成用層の厚みが0.01〜20μmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5) 粘着層の厚みと加飾層の厚みとの比が2以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。なお、上記比は、粘着層の厚み/加飾層の厚みを表す。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の積層体中の被めっき層形成用層に対してパターン状に露光処理を実施し、被めっき層形成用層の未露光領域を除去して、パターン状被めっき層を形成する工程と、
パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、パターン状被めっき層上に金属層を形成する工程と、を備える、導電性積層体の製造方法。
(7) 基板と、
基板上の周縁領域に配置された加飾層と、
基板および加飾層上に配置された粘着層と、
粘着層上に配置された、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有するパターン状被めっき層と、
パターン状被めっき層上に配置された金属層と、を有する、導電性積層体。
(8) (7)に記載の導電性積層体を含む、タッチパネルセンサー。
(9) (7)に記載の導電性積層体を含む、タッチパネル。
(10) 仮支持体と、
仮支持体上に配置された、後述する化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層と、
被めっき層形成用層上に配置された粘着層と、を備える、転写フィルム。
また、本発明によれば、導電性積層体およびその製造方法、タッチパネルセンサー、タッチパネル、および、転写フィルムを提供することもできる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。
上述したように、本発明者らは、特許文献1に記載の方法を参照して、加飾層を有する基板(例えば、ガラス基板)上に被めっき層形成用層を配置して、パターン状の露光を実施した場合、形成されるパターン状被めっき層のパターン精度が悪いことを知見している。その理由について、図1を用いて説明する。図1に示すように、基板12と、基板12の周縁領域に配置された加飾層14と、被めっき層形成用層18とを備える積層体上に、開口部を有するマスク50を配置して、露光処理を行う場合、加飾層14による段差の存在のために、基板12上の被めっき層形成用層18とマスク50との距離Dが大きくなる。このような態様においては、開口部から入る光(白抜き矢印)の一部が広がりながら被めっき層形成用層18に照射されるため、結果として、形成されるパターン状被めっき層がマスク50の開口部の形状よりも大きくなる。
それに対して、本発明では、図2に示すように、粘着層16を被めっき層形成用層18と基板12との間に配置することにより、粘着層16の機能により加飾層14の段差が吸収され、粘着層16の基板12側とは反対側の表面の平坦性が向上し、結果として、マスク50と被めっき層形成用層18との距離Dをより狭くすることができる。そのため、開口部から入る光の広がる距離が減るため、形成されるパターン状被めっき層のパターン精度がより向上する。
図3は、本発明の積層体の一実施形態の断面図を示す。
積層体10は、基板12と、加飾層14と、粘着層16と、被めっき層形成用層18とを備える。後述するように、被めっき層形成用層18にはパターン状の露光処理が実施され、パターン状被めっき層が形成される。つまり、積層体10は、パターン状被めっき層含有積層体を作製するための前駆体積層体に該当する。
以下、積層体10に含まれる各部材の構成について詳述する。
基板は、後述する加飾層や粘着層を支持することができれば特に制限はなく、公知の基板を使用することができる。
基板の種類は特に制限されず、例えば、絶縁基板が挙げられ、より具体的には、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができ、タッチパネルの保護カバーとして機能の点からは、ガラス基板が好ましい。
基板の厚み(mm)は特に制限されないが、取り扱い性および薄型化のバランスの点から、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。
また、基板は、光を適切に透過することが好ましい。具体的には、基板の全光線透過率は、85〜100%であることが好ましい。
加飾層は、基板の周縁領域に配置される層であり、タッチパネルセンサー中の引き出し配線を隠すことができ、意匠性を高めるための層としての役割を果たす。加飾層は、通常、後述するタッチパネルセンサーの入力領域の外側に位置する外側領域に配置されることが好ましい。
なお、周縁領域とは基板の外周縁から中央側に延びる外周縁に近接した領域であり、通常、枠状(通常、矩形枠状)に形成されているが、この形態に限定されず、ハート型、たまご型、丸型など、任意である。
加飾層の材料は特に制限されないが、例えば、バインダー樹脂および着色剤を含有する着色樹脂組成物が挙げられる。また、加飾層には、金属層を用いることもできる。
加飾層の形成方法としては、基板上に形成可能な方法であれば特に限定されない。着色樹脂組成物を用いる場合には、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、金属層の場合には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
上記の加飾層の厚みは平均厚みであり、加飾層の任意の10点の厚みを測定して、算術平均した値である。
また、加飾層の厚みと被めっき層形成用層との厚みの差(加飾層の厚み−被めっき層形成用層の厚み)は、5μm以上の場合が多く、10μm以上の場合がより多い。上限は特に制限されないが、80μm以下の場合が多い。
なお、上記加飾層の厚みおよび被めっき層形成用層の厚みは、それぞれ平均厚みを意図する。
粘着層は、基板および加飾層上に配置される層であり、加飾層の段差を吸収し、基板と反対側の表面が平坦となりやすい。
粘着層を構成する材料(粘着剤)の種類は特に制限されず、公知の材料を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂を含む概念である。
酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。
なお、粘着層に酸基が実質的に含まれないとは、具体的には、粘着剤中における酸基の合計の含有量が1×10-3モル%以下であることを意図し、1×10-4モル%以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、0モル%が好ましい。
上記の粘着層の厚みは平均厚みであり、粘着層の任意の10点の厚みを測定して、算術平均した値である。
なお、積層体中における粘着層の厚みは、粘着層が基板と接している位置での粘着層の厚みを意図し、粘着層の基板と接している表面とその反対側の表面との間の長さを意図する。
上述したように、上記粘着層の厚みおよび加飾層の厚みは、それぞれ平均厚みを意図する。
なお、粘着層と基板の間には、特開2013−161203号公報に記載の絶縁性保護膜層が配置されていてもよい。特開2012−203701号公報に記載の光学調整層を上記絶縁性保護膜層として使用してもよい。
被めっき層形成用層は、上記粘着層上に配置される層であり、パターン状の露光処理が施されてパターン状被めっき層を形成するための層である。
被めっき層形成用層は、以下の化合物Xまたは組成物Yを少なくとも含む。
化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、単に「相互作用性基」とも称する)、および、重合性基を有する化合物
組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物
以下では、まず、被めっき層形成用層に含まれる材料について詳述する。
化合物Xは、相互作用性基と重合性基とを有する化合物である。
相互作用性基とは、パターン状被めっき層に付与されるめっき触媒またはその前駆体と相互作用できる官能基を意図し、例えば、めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、または、めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、カルボン酸基(カルボキシル基)またはシアノ基がさらに好ましい。
化合物Xには、相互作用性基が2種以上含まれていてもよい。
化合物X中には、重合性基が2種以上含まれていてもよい。また、化合物X中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、1つでも、2つ以上でもよい。
なお、上記重合性基を有する低分子化合物とは、いわゆるモノマー(単量体)に該当する。また、高分子化合物とは、所定の繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
また、化合物としては1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような重合性基および相互作用性基を有するポリマーの合成方法は特に制限されず、公知の合成方法(特許公開2009−280905号の段落[0097]〜[0125]参照)が使用される。
ポリマーの第1の好ましい態様として、下記式(a)で表される重合性基を有する繰り返し単位(以下、適宜重合性基ユニットとも称する)、および、下記式(b)で表される相互作用性基を有する繰り返し単位(以下、適宜相互作用性基ユニットとも称する)を含む共重合体が挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R2としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R3としては、水素原子が好ましい。R4としては、水素原子が好ましい。R5としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
L1としては、ポリマーの合成が容易で、金属層の密着性がより優れる点で、脂肪族炭化水素基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する2価の有機基(例えば、脂肪族炭化水素基)が好ましく、なかでも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の2価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
また、上記相互作用性基ユニットの含有量は、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜95モル%がより好ましい。
ポリマーの第2の好ましい態様としては、下記式(A)、式(B)、および式(C)で表される繰り返し単位を含む共重合体が挙げられる
式(B)で表される繰り返し単位中のR5、XおよびL2は、上記式(b)で表される繰り返し単位中のR5、XおよびL2と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)中のWaは、後述するVで表される親水性基またはその前駆体基を除く、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する基を表す。なかでも、シアノ基、エーテル基が好ましい。
式(C)中、Uは、単結合、または、置換若しく無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基の定義は、上述したX、YおよびZで表される2価の有機基と同義である。Uとしては、ポリマーの合成が容易で、金属層の密着性がより優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
式(C)中、L3は、単結合、または、置換若しく無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基の定義は、上述したL1およびL2で表される2価の有機基と同義である。L3としては、ポリマーの合成が容易で、金属層の密着性がより優れる点で、単結合、または、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい
親水性基としては、めっき触媒またはその前駆体との相互作用の点で、イオン性極性基であることが好ましい。イオン性極性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられる。なかでも、適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点から、カルボン酸基が好ましい。
式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
式(B)で表される繰り返し単位の含有量は、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜75モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましい。
式(C)で表される繰り返し単位の含有量は、水溶液による現像性と耐湿密着性の点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10〜70モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、30〜50モル%がさらに好ましい。
このポリマーは、公知の方法(例えば、上記で列挙された文献中の方法)により製造することができる。
上記化合物がいわゆるモノマーである場合、好適態様の一つとして式(X)で表される化合物が挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
式(X)中、L10の好適態様の一つとしては、−NH−脂肪族炭化水素基−、または、−CO−脂肪族炭化水素基−が挙げられる。
式(X)中、Wの好適態様としては、イオン性極性基が挙げられ、カルボン酸基がより好ましい。
第四級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
なかでも、めっき触媒またはその前駆体の付着、および、パターニング後の金属残渣の点から、水素原子であることが好ましい。
nは、1または2の整数を表す。なかでも、化合物の入手性の観点から、nは1であることが好ましい。
L11は、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、またはフェニレン基を表す。なかでも、L11がアミド基であると、耐溶剤性(例えば、アルカリ溶剤耐性)が向上する。
L12は、単結合、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数3〜5)、または、2価の芳香族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状であってもよい。なお、L12が単結合の場合、L11はフェニレン基を表す。
組成物Yは、相互作用性基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物である。つまり、被めっき層形成用層が、相互作用性基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物の2種を含む。相互作用性基および重合性基の定義は、上述の通りである。
相互作用性基を有する化合物とは、相互作用性基を有する化合物である。相互作用性基の定義は上述の通りである。このような化合物としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。相互作用性基を有する化合物の好適態様としては、上述した式(b)で表される繰り返し単位を有する高分子(例えば、ポリアクリル酸)が挙げられる。なお、相互作用性基を有する化合物には、重合性基は含まれない。
重合性基を有する化合物とは、いわゆるモノマーであり、形成される被めっき層の硬度がより優れる点で、2個以上の重合性基を有する多官能モノマーであることが好ましい。多官能モノマーとは、具体的には、2〜6個の重合性基を有するモノマーを使用することが好ましい。反応性に影響を与える架橋反応中の分子の運動性の観点から、用いる多官能モノマーの分子量としては150〜1000が好ましく、さらに好ましくは200〜700である。また、複数存在する重合性基同士の間隔(距離)としては原子数で1〜15であることが好ましく、6以上10以下であることがさらに好ましい。
重合性基を有する化合物には、相互作用性基が含まれていてもよい。
Lは、単結合、または、2価の有機基を表す。2価の有機基の定義は、上述の通りである。
Qは、n価の有機基を表す。n価の有機基としては、下記式(1A)で表される基、下記式(1B)で表される基、
nは、2以上の整数を表し、2〜6が好ましい。
被めっき層形成用層には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、露光処理の際の重合性基間の反応がより効率的に進行する。
重合開始剤としては特に制限はなく、公知の重合開始剤(いわゆる光重合開始剤)などを用いることができる。重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、ベンゾイン類、ケトン類、チオキサントン類、ベンジル類、ベンジルケタール類、オキスムエステル類、アンソロン類、テトラメチルチウラムモノサルファイド類、ビスアシルフォスフィノキサイド類、アシルフォスフィンオキサイド類、アントラキノン類、アゾ化合物等およびその誘導体を挙げることができる。
被めっき層形成用層中における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、被めっき層の硬化性の点で、被めっき層形成用層全質量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。
上記の被めっき層形成用層の厚みは平均厚みであり、粘着層の任意の10点の厚みを測定して、算術平均した値である。
上述したように、上記被めっき層形成用層の厚み、および、粘着層の厚みは、それぞれ平均厚みを意図する。
上記積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、仮支持体上に被めっき層形成用層および粘着層がこの順で配置された転写フィルムを用いて、転写フィルムの粘着層側を加飾層が周縁領域に配置された基板上に貼り合せる方法や、基板上の周縁領域に加飾層を配置し、その後、粘着層を形成し、さらに、粘着層上に被めっき層形成用層を順に形成する方法などが挙げられる。
以下では、上記転写フィルムを使用する方法、および、各層を順に形成する方法について説明する。
積層体の製造方法の第1の実施態様としては、転写フィルムを使用する方法が挙げられる。具体的には、まず、仮支持体と、仮支持体上に配置された被めっき層形成用層と、被めっき層形成用層上に配置された粘着層とを有する転写フィルムを用意する。次に、転写フィルムの粘着層側を、周縁領域に加飾層が配置された基板上に貼り合せて、仮支持体を剥離することにより、所望の積層体を得ることができる。
本態様で使用される転写フィルムは、上記のように、仮支持体、被めっき層形成用層、および、粘着層をこの順で有する。被めっき層形成用層および粘着層の定義(成分、厚みなど)は、上述の通りである。
なお、必要に応じて、粘着層の被めっき層形成用層と反対側の表面上に、さらに後述する剥離フィルムが配置されていてもよい。
仮支持体としては、被めっき層形成用層と剥離可能であれば特にその種類は制限されず、公知の仮支持体を使用することができ、いわゆる剥離フィルム(セパレータ)を使用することができる。
仮支持体としては、シリコーン系剥離剤やその他の剥離剤で表面に離型処理が施されたフィルム(好ましくは、樹脂フィルム)や、それ自体が剥離性を有するフィルムが好適に使用できる。
離型処理としては、例えば、シリコーン系離型剤の塗布、長鎖アルキル系離型剤の塗布、フッ素系離型剤の塗布が挙げられる。
樹脂フィルムとしては公知のフィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレン等の各種の樹脂フィルムを使用できる。
仮支持体の厚みは特に制限されないが、取扱い性が優れる点で、25〜150μmが好ましく、38〜100μmがより好ましい。
使用できる溶剤は特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤;酢酸などの酸;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤;この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
このなかでも、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましい。
組成物中の溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、層厚の制御などがしやすい。
粘着層形成用組成物には、取り扱い性の点から、上記溶媒が含まれていてもよい。
また、取り扱い性や製造効率の観点からは、被めっき層形成用層を形成するための組成物または粘着層形成用組成物の塗布後に、必要に応じて乾燥処理を行って残存する溶剤を除去してもよい。
なお、乾燥処理の条件は特に制限されないが、生産性がより優れる点で、室温〜220℃(好ましくは50〜120℃)で、1〜30分間(好ましく1〜10分間)実施することが好ましい。
積層体の製造方法の第2の実施態様としては、各層を順に製造する方法が挙げられる。具体的には、基板上に加飾層を形成し、その後、粘着層を形成し、さらに、被めっき層形成用層を形成する方法が挙げられる。
各層を形成する方法は上述の通りである。
上記積層体は、めっき触媒またはその前駆体が付与されるパターン状被めっき層を形成するために使用される。つまり、上記積層体は、パターン状被めっき層含有積層体を製造するために使用される。
以下、上記積層体を用いて、パターン状被めっき層を形成する方法について詳述する。
以下では、まず、露光処理の方法について詳述し、その後、未露光領域の除去処理について詳述する。
露光時間としては、被めっき層形成用層の材料の反応性および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。露光エネルギーとしては、10〜8000mJ程度であればよく、好ましくは50〜3000mJの範囲である。
なお、上記露光処理をパターン状に実施する方法は特に制限されず、公知の方法が採用され、例えば、マスクを介して露光光を被めっき層形成用層に照射すればよい。
未露光領域を除去する方法は特に制限されないが、被めっき層形成用層が溶解する溶剤を被めっき層形成用層に接触させる方法が挙げられる。
より具体的には、アルカリ性溶液を現像液として用いる方法が挙げられる。アルカリ性溶液を用いて、未露光領域を除去する場合は、露光処理が施された積層体をアルカリ性溶液中に浸漬させる方法や、その被めっき層形成用層上にアルカリ性溶液を塗布する方法などが挙げられるが、浸漬する方法が好ましい。浸漬する方法の場合、浸漬時間としては生産性・作業性などの観点から、1分から30分程度が好ましい。
上記手順によって、パターン状被めっき層を有するパターン状被めっき層含有積層体が得られる。パターン状被めっき層には、相互作用性基が含まれる。
この積層体は、金属膜(導電膜)を形成する用途に好適に適用できる。つまり、積層体中のパターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、さらに、めっき処理を施すことにより、パターン状被めっき層上に金属層を形成することができる。つまり、パターン状被めっき層の形状を制御することにより、金属層のパターンを制御することができる。また、このようなパターン状被めっき層を使用することにより、金属層の基板に対する密着性が優れる。
以下、上記金属層を形成する工程(金属層形成工程)について詳述する。
本工程は、パターン状被めっき層含有積層体中のパターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、パターン状被めっき層上に金属層を形成する工程である。より具体的には、本工程を実施することにより、図4(C)に示すように、パターン状被めっき層22上に金属層24が形成され、導電性積層体26が得られる。
以下では、パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程(工程X)と、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行う工程(工程Y)とに分けて説明する。
本工程では、まず、パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する。上記化合物由来の相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、パターン状被めっき層表面上に、めっき触媒またはその前駆体が付与される。
めっき触媒またはその前駆体は、めっき処理の触媒や電極として機能するものである。そのため、使用されるめっき触媒またはその前駆体の種類は、めっき処理の種類により適宜決定される。
なお、用いられるめっき触媒またはその前駆体は、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。以下で、主に、無電解めっき触媒またはその前駆体などについて詳述する。
この無電解めっき触媒としては、金属コロイドを用いてもよい。
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンはパターン状被めっき層へ付与された後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよい。また、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒として、0価金属を使用することもできる。
上記溶剤としては、水や有機溶剤が適宜使用される。有機溶剤としては、パターン状被めっき層に浸透しうる溶剤が好ましく、例えば、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
触媒付与液の調製方法は特に制限されず、所定の金属塩を適切な溶剤で溶解させ、必要に応じて、酸またはアルカリを用いてpHを所定の範囲に調整する。
また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
次に、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行う。
めっき処理の方法は特に制限されず、例えば、無電解めっき処理、または、電解めっき処理(電気めっき処理)が挙げられる。本工程では、無電解めっき処理を単独で実施してもよいし、無電解めっき処理を実施した後にさらに電解めっき処理を実施してもよい。
なお、本明細書においては、いわゆる銀鏡反応は、上記無電解めっき処理の一種として含まれる。よって、例えば、銀鏡反応などによって、付着させた金属イオンを還元させて、所望のパターン状金属層を形成してもよく、さらにその後電解めっき処理を実施してもよい。
以下、無電解めっき処理、および、電解めっき処理の手順について詳述する。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与されたパターン状被めっき層を備える積層体を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行うことが好ましい。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与されたパターン状被めっき層を備える基板を、無電解めっき触媒前駆体がパターン状被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、積層体を水洗して余分な無電解めっき触媒前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させることが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、無電解めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。
無電解めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶剤である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、なかでも、導電性の観点からは、銅、銀、金が好ましく、銅がより好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加剤が選択される。
無電解めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
なお、上述したように、本工程においては、上記無電解めっき処理の後に、必要に応じて、電解めっき処理を行うことができる。このような態様では、形成される金属層の厚みを適宜調整可能である。
電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。尚、電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
上記処理により得られた金属層を有する導電性積層体は、種々の用途に適用でき、タッチパネル(または、タッチパネルセンサー)、半導体チップ、各種電気配線板、FPC(Flexible printed circuits)、COF(Chip on Film)、TAB(Tape Automated Bonding)、アンテナ、多層配線基板、マザーボード等の種々の用途に適用することができる。なかでも、タッチパネルセンサー(静電容量式タッチパネルセンサー)に用いることが好ましい。上記導電性積層体をタッチパネルセンサーに適用する場合、導電性積層体中の金属層がタッチパネルセンサー中の検出電極または引き出し配線として機能する。
なお、本明細書においては、タッチパネルセンサーと、各種表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL(electro-luminescence)表示装置)を組み合わせたものを、タッチパネルと呼ぶ。タッチパネルとしては、いわゆる静電容量式タッチパネルが好ましく挙げられる。
図5に示すように、導電性積層体126においては、粘着層16上に配置されたパターン状被めっき層22と、パターン状被めっき層22上に配置された検出電極28および引き出し配線30とを有する。なお、検出電極28および引き出し配線30は、上述した金属層で構成されている。
このような導電性積層体126を製造するためには、検出電極28および引き出し配線30を配置させたい位置にパターン状被めっき層22を形成し、これらの上に金属層を形成することにより得られる。つまり、検出電極28および引き出し配線30と粘着層16との間には、パターン状被めっき層22が配置されている。
検出電極28は、タッチパネルセンサーの入力領域に接近した操作者の指のX方向における入力位置の検出を行う役割を有するものであり、指との間に静電容量を発生する機能を有している。検出電極28は、第1方向(X方向)に延び、第1方向と直交する第2方向(Y方向)に所定の間隔をあけて配列された電極である。
引き出し配線30は、検出電極28に電圧を印加するための役割を担う部材である。
また、さらに、検出電極34上に表示装置(図示しない)が配置されることにより、タッチパネルが構成される。
なお、上記では、金属層が一方向に延びる検出電極を構成する場合について述べたが、この態様には限定されず、金属層としてX方向およびY方向の検出を行うことができるパターン状の検出電極および引き出し配線を配置してもよい。例えば、X方向に延びる検出電極とY方向に延びる検出電極とを金属層として、被めっき層を介して粘着層の片面側にのみ配置することもできる。この場合、X方向に延びる検出電極とY方向に延びる検出電極との間には、絶縁層が配置される。また、別の態様としては、粘着層上に被めっき層を介して所定の面積でそれぞれ配置された複数の検出エリアパターン(ノード)ひとつひとつに直接取り出し配線を設ける態様も挙げられる。
(合成例1:ポリマー1)
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却した。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル相を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル相を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1(20g)を得た。
滴下終了後、更に反応溶液を3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを追加し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU(ジアザビシクロウンデセン)54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー1を12g得た。
得られたポリマー1の同定をIR(赤外線)測定機((株)堀場製作所製)を用いて行った。測定はポリマーをアセトンに溶解させKBr結晶を用いて行った。IR測定の結果、2240cm-1付近にピークが観測されニトリルユニットであるアクリロニトリルがポリマーに導入されている事が分かった。また、酸価測定によりカルボン酸基含有ユニットとしてアクリル酸が導入されている事が分かった。また、重DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、ブルカー製300MHzのNMR(AV−300)にて測定を行った。ニトリル基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが7.8−8.1ppm(1H分)、5.8−5.6ppm(1H分)、5.4−5.2ppm(1H分)、4.2−3.9ppm(2H分)、3.3−3.5ppm(2H分)、2.5−0.7ppm(6H分)にブロードに観察され、カルボン酸基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:ニトリル基含有ユニット:カルボン酸基含有ユニット=30:30:40(mol%)であることが分かった。
イソプロパノール(IPA)、ポリマー1、ポリアクリル酸、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、IRGACURE127(BASF製)を表1に従って調液し、組成物1〜2を得た。
なお、表1中、各成分の含有量は、組成物全量に対する質量%として表示される。
特開2013−218313号の実施例1で製造された加飾層形成用感光性フィルムL1を用いて、上記文献と同様の手順に従って、図3に示す加飾層14と同様の位置(ガラス基板の周縁領域)に、加飾層をガラス基板上に配置して、加飾層付きガラス基板を作製した。なお、加飾層中には、着色剤が含まれていた。加飾層の平均厚みは、25μmであった。
仮支持体としてPETフィルム(A4300東洋紡社製)を用意し、PETフィルム上に組成物1をスピンコートして、80℃にて5分間乾燥させ、被めっき層形成用層(平均厚み:0.2μm)を形成した。
上記で作製した加飾層付きガラス基板の加飾層側と、転写フィルムの粘着層とを貼り合せた後、仮支持体を剥離して、ガラス基板と加飾層と粘着層と被めっき層形成用層とを有する積層体1を製造した。
被めっき層形成用層の平均厚みを0.2μmから1.0μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体2を製造した。
被めっき層形成用層の平均厚みを0.2μmから2.0μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体3を製造した。
使用する組成物を組成物1から組成物2に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体4を製造した。
以下の手順に従って用意した絶縁層付きガラス基板を加飾層付きガラス基板の代わりに使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体5を製造した。
上記で製造した加飾層付きガラス基板の加飾層がある側の表面に、V−9510(DIC製を塗布して、絶縁層(平均厚み:30μm)を形成して、絶縁層付きガラス基板を製造した。
実施例1で作製したポリマー溶液にイソシアネート架橋剤としてコロネートL55E(日本ポリウレタン製)を固形分で0.3質量%となるように添加してからよく攪拌し、得られた液体を、実施例1で使用した加飾層付きガラス基板上に、乾燥膜厚(粘着層の平均厚み)が75μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、100℃で3分乾燥して、粘着層を形成した。
次に、粘着層上に組成物1をスピンコートして、80℃にて5分間乾燥させ、被めっき層形成用層(平均厚み:0.2μm)を形成し、積層体を製造した。
加飾層付きガラス基板の加飾層側の表面に、組成物1をスピンコートして、80℃にて5分間乾燥させ、被めっき層形成用層(平均厚み:0.2μm)を形成して、積層体10を製造した。
この態様においては、粘着層が配置されていない。
各実施例および比較例にて作製した積層体の被めっき層形成用層の上部に、メッシュ状の被めっき層(具体的には、図7に示すように、開口部40の一辺の長さW1が200μmであり、被めっき層42の幅W2は5μm)が得られるようなフォトマスクを介し、UV照射(エネルギー量:2J、10mW、波長:256nm)を行い、40℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬して現像して、メッシュ状の被めっき層を製造した。フォトマスクは積層体表面の上部から5μm離れた位置に配置した。なお、比較例においては、粘着層が配置されていないため、図1に示すように、フォトマスクと、ガラス基板上に配置される被めっき層形成用層との距離は、加飾層の厚み分さらに離れていた。
次に、被めっき層を形成していないガラス基板の面を養生テープ(日東電工製)にてマスキングした後、被めっき層を有するガラス基板をPd触媒付与液MAT−2(上村工業製)のMAT−2Aのみを5倍に希釈したものに室温にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。次に、還元剤MAB(上村工業製)に36℃にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。その後、活性化処理液MEL−3(上村工業製)に室温にて5分間浸漬し、洗浄することなく無電解めっき液スルカップPEA(上村工業製)に室温にてそれぞれ60分浸漬した。マスキングしたテープを剥がし純水にて2回洗浄して、被めっき層上にメッシュ状銅層を備える導電性積層体を得た。なお、上記「Pd触媒付与液MAT−2(上村工業製)のMAT−2Aのみを5倍に希釈したもの」には、パラジウムイオンを含む触媒付与液に該当し、そのpHは3.5であった。
得られたメッシュ状銅層をガラス基板上30cmの位置から目視して、以下の基準に沿って評価した。本評価は3人の試験者が実施し、後述する表2に示す数値は、3人の評価の平均値を表す。
「5」:視認部にメッシュ線がほぼ確認できず、非常に良好である
「4」:視認部にメッシュ線が僅かに確認できるが、良好である
「3」:視認部にメッシュ線が確認できるが、実用上問題ない
「2」:視認部にメッシュ線が確認できるが、実用上問題ある
「1」:視認部のメッシュ線が目立ち、実用上問題ある
なお、形成されたパターンが被めっき層のパターンがフォトマスクの形状と同じ場合には、そのパターン状被めっき層上に形成されるメッシュ線は視認できない程度である。一方、被めっき層のパターンがフォトマスクの形状よりも大きくなる(例えば、幅が広くなる)につれて、メッシュ線の視認されやすくなる。つまり、上記視認性を評価することにより、被めっき層のパターン形状の精度が把握できる。
上記視認性評価にて得られた被めっき層の幅W2を測定し、その幅が4〜6μmである場合は「A」、4μm未満または6μm超の場合を「B」とした。なお、上述したように、使用したフォトマスクにおいて、上記被めっき層が形成される部分の幅は5μmであり、上記「A」はフォトマスクの開口部からの変動が小さいことを意図する。
なお、上記幅W2は、任意の5点の被めっき層の幅を測定して、それらを算術平均した値である。
特に、実施例1〜3の比較より、被めっき層形成用層の平均厚みが2μm未満の場合、より効果が優れることが確認された。
一方、粘着層を使用していない比較例1では、所望の効果は得られなかった。
実施例1にて作製した積層体の被めっき層形成用層の上部に、図5に示すような、検出電極および引き出し配線を配したフォトマスクを配置して、UV照射(エネルギー量:2J、10mW、波長:256nm)を行い、40℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬して現像して、パターン状の被めっき層を製造した。
得られたパターン状の被めっき層に対して、<視認性>評価にて実施した同様のめっき処理を行い、図5に示すような形状の第1検出電極および第1引き出し配線を作製した。
次に、図6に示すように、形成された第1検出電極および第1引き出し配線上に、粘着層Aおよび第2検出電極および第2引き出し配線を配置した。なお、第1検出電極は、第1方向(X方向)に延び、第1方向と直交する第2方向(Y方向)に所定の間隔をあけて配列された電極であり、第2検出電極は、第2方向(Y方向)に延び、第2方向と直交する第1方向(X方向)に所定の間隔をあけて配列された電極である。
上記で作製した第1検出電極および第2検出電極を有する積層体を、粘着層Aを介して表示装置上に貼り合せて、ガラス基板がタッチ面を構成するタッチパネルを作製した。
なお、実施例1で使用した積層体の代わりに、実施例2〜6で作製した積層体を用いて、上記手順に従って、それぞれタッチパネルを作製した。
得られた積層体を用いて、ガラス基板がタッチ面を構成するタッチパネルを作製した。
「5」:高速のフリック動作などに問題なく追従する。
「4」:高速のフリック動作などにほぼ問題なく追従する
「3」:外周近辺で若干の動作遅れを感じるが実用上問題ない
「2」:パネル全体で若干の動作遅れ、または誤動作が発生するなど、実用上問題ある
「1」:誤動作がひどく、実用上問題ある
12 基板
14 加飾層
16,32 粘着層
18 被めっき層形成用層
20 露光領域
22 パターン状被めっき層
24 金属層
26,126 導電性積層体
28,34 検出電極
30 引き出し配線
40 開口部
42 被めっき層
50 マスク
Claims (10)
- 基板と、
前記基板上の周縁領域に配置された加飾層と、
前記基板および前記加飾層上に配置された粘着層と、
前記粘着層上に配置された、以下の化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層と、を有する、積層体。
化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、および、重合性基を有する化合物
組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物 - 前記粘着層に酸基が実質的に含まれない、請求項1に記載の積層体。
- 前記基板がガラス基板である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記被めっき層形成用層の厚みが0.01〜20μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記粘着層の厚みと前記加飾層の厚みとの比が2以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。なお、上記比は、粘着層の厚み/加飾層の厚みを表す。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体中の前記被めっき層形成用層に対してパターン状に露光処理を実施し、前記被めっき層形成用層の未露光領域を除去して、パターン状被めっき層を形成する工程と、
前記パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、前記めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、前記パターン状被めっき層上に金属層を形成する工程と、を備える、導電性積層体の製造方法。 - 基板と、
前記基板上の周縁領域に配置された加飾層と、
前記基板および前記加飾層上に配置された粘着層と、
前記粘着層上に配置された、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有するパターン状被めっき層と、
前記パターン状被めっき層上に配置された金属層と、を有する、導電性積層体。 - 請求項7に記載の導電性積層体を含む、タッチパネルセンサー。
- 請求項7に記載の導電性積層体を含む、タッチパネル。
- 仮支持体と、
仮支持体上に配置された、以下の化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層と、
前記被めっき層形成用層上に配置された粘着層と、を備える、転写フィルム。
化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、および、重合性基を有する化合物
組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物
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