JPWO2016043232A1 - 化合物、着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、インクジェット記録物、カラーフィルタ、カラートナー、及び転写用インク - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いるのが一般的である。これらのインクには粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあること、ノズルの目詰まり、保存安定性に優れ、かつ高い濃度の記録画像を与えること、また耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性に優れていること等の性質が要求される。
また、特許文献2には、アニリノ基が置換したキサンテン誘導体の多量体を含む着色組成物が記載されている。
一般式(I)で表される化合物は、アニリノ基が置換したキサンテン誘導体のアニリノ基の特定の位置(窒素原子と結合した炭素原子に対してオルト位)にアルキル基を有し、かつ特定の位置(窒素原子と結合した炭素原子に対してメタ位又はパラ位)で結合した多量体である。作用機構は不明であるが、アニリノ基の窒素原子と結合した炭素原子に対してメタ位又はパラ位で、上記特定の連結基で結合した構造により、優れた耐光性及び耐オゾン性を示すものと考えられる。また、多量化することで分子量の増大により拡散性が低下し、耐湿性が向上したものと考えられる。更に作用機構は不明であるが、上記特定の位置での結合と多量化によりインク作成時のろ過性が改良されたものと考えられる。
即ち、本発明は以下の通りである。
下記一般式(I)で表される化合物。
一般式(D)中、R1、R5、R6、及びR10は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R4及びR9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。Ra1は置換基を表し、Mは各々独立に水素原子又はアルカリ金属を表し、n1及びn2は各々独立に0又は1の整数を表し、na1は0〜4の整数を表す。X1、X2、X3及びX4は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ただし、X1、X2、X3及びX4のいずれか1つは、下記X群から選ばれる基を表す。
X群:ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のオキシカルボニル基、メルカプト基。
[2]
L2が置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価又は3価の連結基である[1]に記載の化合物。
[3]
R4及びR9が各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表す[1]又は[2]に記載の化合物。
[4]
R4及びR9がスルホ基を表す[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
[6]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
[7]
[6]に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[8]
[6]に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
[9]
[6]に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
[10]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラーフィルタ。
[11]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラートナー。
[12]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含有する転写用インク。
まず、本発明における置換基の具体例を、置換基群Aとして定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
一般式(D)中、R1、R5、R6、及びR10は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R4及びR9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。Ra1は置換基を表し、Mは各々独立に水素原子又はアルカリ金属を表し、n1及びn2は各々独立に0又は1の整数を表し、na1は0〜4の整数を表す。X1、X2、X3及びX4は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ただし、X1、X2、X3及びX4のいずれか1つは、下記X群から選ばれる基を表す。
X群:ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のオキシカルボニル基、メルカプト基。
X1、X2、X3及びX4は、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又はスルホ基であり、特に好ましくは置換若しくは無置換のアルキル基である。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基が好ましい。
X1、X2、X3及びX4が更に置換基を有する場合の置換基は置換基群Aから選ばれ、好ましくはアルキル基である。X1、X2、X3及びX4は無置換が好ましい。
X群として好ましくは、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、及び置換若しくは無置換のウレイド基であり、より好ましくは、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、及び置換若しくは無置換のウレイド基である。
L2は、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価又は3価の連結基であることがより好ましく、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価の連結基であることが更に好ましい。
n2=2である場合、2価の連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、エーテル基、又はこれらから選ばれる2種以上の組み合わせが挙げられる。
n2=3である場合、3価の連結基としては、トリアジン基、シアヌル基、アミノ基やこれら連結基と上記2価の連結基の組み合わせが挙げられる。
n2=4である場合、4価の連結基としては、ペンタエリスリトール誘導体やこれと上記2価の連結基の組み合わせが挙げられる。
n2=6である場合、6価の連結基としては、ジペンタエリスリトール誘導体、上記2価の連結基、3価の連結基の組み合わせが挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基の好ましい炭素数は1〜18であり、より好ましくは2〜16であり、更に好ましくは4〜8である。アルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシレン基(好ましくは1,3−シクロヘキシレン基若しくは1,4−シクロヘキシレン基)が好ましい。アルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
アリーレン基としては、炭素数6〜14のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜10のアリーレン基がより好ましく、フェニレン基(好ましくは1,3−フェニレン基若しくは1,4−フェニレン基)又はナフチレン基(好ましくは1,5−ナフチレン基)が更に好ましい。また、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、スルホ基が更に好ましい。
アルケニレン基としては、炭素数は2〜18のアルケニレン基が好ましく、炭素数は2〜12のアルケニレン基がより好ましく、炭素数は2〜8のアルケニレン基が更に好ましい。アルケニレン基の好ましい具体例としては、ビニレン基、2−ブテニル基が好ましい。アルケニレン基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
ヘテロ環基としては、トリアジン基、シアヌル基などが挙げられる。
下記一般式(1)又は一般式(6)で表される化合物について説明する。
L101で表されるn101価の連結基としては、一般式(I)中のL2で表されるn2価の連結基と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(1)、及び一般式(6)中のM、n1及びn2は、各々一般式(D)のM、n1及びn2と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(1)、又は一般式(6)中のR1、R4、R5、R6、R9及びR10は、各々一般式(D)中のR1、R4、R5、R6、R9及びR10と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(6)中のR3及びR4の好ましい範囲は、それぞれ一般式(1)中のR3及びR4と同様である。
X1aの好ましい範囲は、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基である。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、スルホ基又はカルボキシル基がより好ましい。
下記一般式(2)又は一般式(7)で表される化合物について説明する。
下記一般式(3)又は一般式(8)で表される化合物について説明する。
下記一般式(4)又は一般式(9)で表される化合物について説明する。
下記一般式(5)で表される化合物について説明する。
一般式(5)中、X501は、一般式(1)中のX1aと同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の着色組成物は少なくとも一種の上記一般式(I)で表される化合物を含有する。本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、上記一般式(I)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明のインクジェット記録用インクは、少なくとも一種の上記一般式(I)で表される化合物を含有する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に一般式(I)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。インクジェット記録用インクは、好ましくは水性媒体を用いたインクである。
インクジェット記録用インクは必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録用インクカートリッジは、上記した本発明のインクジェット記録用インクを充填したものである。また、本発明のインクジェット記録物は、上記した本発明のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したものである。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を含有するカラーフィルタにも関する。
カラーフィルタの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の化合物をカラーフィルタに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6−35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、上記露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルタの形成方法を挙げる事ができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルタを得ることができる。カラーフィルタの場合も本発明の化合物の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を含有するカラートナーにも関する。
カラートナー100質量部中の本発明の化合物の含有量は特に制限がないが、0.1質量部以上含有するのが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部含有するのが最も好ましい。本発明の化合物を導入するカラートナー用バインダー樹脂としては一般に使用される全てのバインダーが使用出来る。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上、帯電制御等を目的として無機微粉末、有機微粒子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、更にはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を含有する転写用インクにも関する。
転写用インクとしては昇華転写用インクが好ましい。昇華転写用インクは、一般に、昇華性染料と水とを含むものであるが、更に、インクジェットヘッドのノズルの目詰まり防止、吐出安定性の確保等のために、水溶性有機溶剤を含むものが広く用いられている。水溶性有機溶剤としては、例えば、ポリオール化合物、グリコールエーテル、糖類、ベタイン化合物等が挙げられる。
例示化合物は例えば以下スキームに従って合成することができる。
中間体(A)23.0g(特開2011−148973号公報の第17頁の段落番号0065記載の方法で合成)を、10%発煙硫酸420gに添加して、室温にて48時間反応させた。反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。ろ別した結晶を500mLのメタノールに溶解させ、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いてpH7に調整し、析出した硫酸ナトリウムをろ過により取り除いた。ろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、中間体(B)の結晶を得た。収量21.0g、MS(m/z)=793([M−2Na+H]−、100%)。
中間体(B)20gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMAc)120mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにイソブチリルクロリド(東京化成製)10mLを内温を5℃以下に保ちながら滴下した後に、0〜5℃で90分反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した後に水200mLに溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)を通液させた後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、中間体(C)の緑色光沢固体を得た。収量22g、MS(m/z)=884.2([M−Na]−、100%)。
中間体(C)22gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMAc)120mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル(東京化成製)5mLを内温を5℃以下に保ちながら滴下した後に、0〜5℃で90分反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した後に水200mLに溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)を通液させた後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、中間体(D)の緑色光沢固体を得た。収量20g、MS(m/z)=1004([M−Na]−、100%)。
中間体(D)3.0gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMAc)30mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにエチレンジアミン0.2gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMAc)10mLに溶解させた液を30分間かけて滴下したのちに室温で24時間反応させた。反応液を300mLのイソプロピルアルコール中に注ぎ入れ析出した結晶をろ別し、水100mLに再溶解させた。強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR−124H(商品名)、オルガノ製)に通液した後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを7.0に調整した。水溶液を透析膜(分画分子量3500、Spectra/Por3 Dialysis Membrane(商品名、スペクトラム=ラボラトリー社製))を用いて、無機塩を除去した後に、濃縮乾固し例示化合物(1−1)の金属光沢結晶2.5gを得た。例示化合物(1−1)の希薄水溶液のUV-Visスペクトルの吸収極大波長は532nmであった。
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インクジェット記録用インク1を調製した。
染料(例示化合物(1−1)) 3.50g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
染料を、下記表1に示すように変更した以外は、インクジェット記録用インク1の調製と同様にして、インクジェット記録用インク2〜20、比較用のインクジェット記録用インクとして以下に示す比較化合物1〜比較化合物2を用いたインクジェット記録用インクをそれぞれ調製した。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、耐オゾン性、耐光性、耐湿性は、各インクジェット記録用インクをインクカートリッジに装填し、インクジェットプリンター(キヤノン製ピクサスiP8600、商品名)でフォト光沢紙(キヤノン製写真用紙プロフェッショナルPT−201、商品名)に画像を記録した後で評価したものである。画像は、反射濃度計(X−Rite310TR(商品名)、エックスライト社製)で測定したOD値が0.7〜1.8になるように階段状に濃度が変化した単色画像パターンと、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を印字した。
記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(10万ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度から色素残存率(Cf/Ci×100%)を算出し評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR(商品名)、エックスライト社製)を用いて測定した。色素残存率は、初期の画像濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。
色素残存率が85%以上をA、75%以上85%未満をB、75%未満をCの3段階で評価した。
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、画像を形成したフォト光沢紙を3日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR(商品名)、エックスライト社製)を用いて測定し、初期の画像濃度Ciとオゾンガス下放置後の画像濃度Cf2から色素残存率(Cf2/Ci×100%)として評価した。なお、色素残存率は、初期の画像濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
色素残存率が80%以上をA、70%以上80%未満をB、70%未満をCの3段階で評価した。
インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いマゼンタ−ホワイトのチェック柄の印画物を得た。印画後、24時間乾燥を行ったチェック柄の印画物を80℃70%RHの条件で7日間放置し、着色部分からホワイト部分へのにじみの程度を目視で評価し、にじまない場合をA、少しにじむ場合をB、大きくにじむ場合をCとして、三段階で評価した。
インクジェット記録用インク100gを、平均孔径0.25μm、直径47mmのミクロフィルターで減圧度0.1Paで濾過する際に、要したろ過時間を測定してろ過性を評価した。30秒未満をA、30秒以上3分未満をB、3分以上をCとして、三段階で評価した。
比較化合物1:特開2011−148973号公報の例示化合物(8)
(ポジ型レジスト組成物の調製)
m−クレゾール/p−クレゾール/ホルムアルデヒド(反応モル比=5/5/7.5)混合物から得たクレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算質量平均分子量4300)3.4質量部、下記のフェノール化合物を用いて製造したo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均2個の水酸基がエステル化されている)1.8質量部、ヘキサメトキシメチロール化メラミン0.8質量部、乳酸エチル20質量部、及び例示化合物(1−7)を1質量部混合してポジ型レジスト組成物を得た。
得られたポジ型レジスト組成物をシリコンウエハにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。次いで、マスクを通してシリコンウエハを露光し、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを分解させた。その後100℃で加熱し、次いでアルカリ現像により露光部を除去して0.8μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃、15分加熱してマゼンタの補色系カラーフィルタを得た。露光は、i線露光ステッパーHITACHILD−5010−i(商品名、日立製作所(株)製、NA=0.40)により行った。
また、現像液は、SOPD又はSOPD−B(いずれも商品名、住友化学工業(株)製)を用いた。
得られたカラーフィルタは色純度が良好でかつ透明度が高く、良好な性能を示した。
(カラートナーの作製)
本発明のキサンテン染料である例示化合物(1−7)3質量部、トナー用樹脂〔スチレン−アクリル酸エステル共重合体;ハイマーTB−1000F(商品名、三洋化成(株)製)〕100質量部をボールミルで混合粉砕後、150℃に加熱して熔融混和を行い、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に分級して粒径1〜20μmの粒子を選択し、トナーとした。
このトナー10質量部に対しキャリヤ鉄粉(EFV250/400、商品名、日本鉄粉 (株)製)900質量部を均一に混合し現像剤とした。この現像剤を用いて乾式普通紙電子写真複写機〔NP−5000、商品名、キャノン(株)製〕で複写を行ったところ、優れた分光特性を有し、トナーとして優れた性質を示すことがわかった。
(昇華転写インクの作製)
例示化合物(1−7)4.0gと、アニオン系分散剤としてのβ−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物2.0gと、イオン交換水40.0gとからなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用い、サンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。分散処理後、イオン交換水を加えて希釈し、次いで、上記分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過し、粒子サイズの大きい成分を除去した水性分散液を得た。
次に、上記のようにして得られた水性分散液46.0gと、グリセリン20.0gと、トリエチレングリコールモノメチルエーテル3.0gと、イオン交換水31.0gとを混合することにより、昇華転写用インクを得た。
上記昇華転写用インクをインクジェット装置に投入し、シリカを含む材料で構成されたインク受容層を備えた紙を中間転写媒体として用意し、上記中間転写媒体のインク受容層に、1440×720dpi(dot per inch)で100%duty、50%duty、5%dutyで昇華転写用インクを吐出した。また、「duty」とは、下記式(A)で定義され、算出される値Dの単位を示すものである。
D={(実印字ドット数)/(縦解像度×横解像度)}×100(duty)・・・(A)
その後、昇華転写用インクが付与された中間転写媒体のインク受容層を、ポリエステル繊維で構成された布帛(被染色物)と密着させ、この状態で、太陽精機株式会社製ヒートプレス機TP−608Mを用いて200℃×60秒の条件で加熱し、昇華転写を行った。
得られた布帛は、水洗後も色落ちせず、マゼンタ色に染まった染色物が得られた。
本出願は、2014年9月18日出願の日本特許出願(特願2014−190324)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (12)
- 下記一般式(I)で表される化合物。
一般式(I)中、L2はn2価の連結基を表し、n2は2〜6の整数を表し、D2は一般式(D)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造を表す。
一般式(D)中、R1、R5、R6、及びR10は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R4及びR9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。Ra1は置換基を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属を表し、n1、n2、n3及びn4は各々独立に0又は1の整数を表し、na1は0〜4の整数を表す。X1、X2、X3及びX4は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ただし、X1、X2、X3及びX4のいずれか1つは、下記X群から選ばれる基を表す。
X群:ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のオキシカルボニル基、メルカプト基。 - L2が置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価又は3価の連結基である請求項1に記載の化合物。
- R4及びR9が各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表す請求項1又は2に記載の化合物。
- R4及びR9がスルホ基を表す請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項6に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
- 請求項6に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
- 請求項6に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラーフィルタ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラートナー。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有する転写用インク。
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