JPWO2016021260A1 - 磁気センサーおよびその磁気センサーを備えた電流センサー - Google Patents

磁気センサーおよびその磁気センサーを備えた電流センサー Download PDF

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Abstract

コイルと磁気測定素子とを備える磁気センサーであって、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しうる磁気センサー、およびかかる磁気センサーを備えた電流センサーとして、渦巻き状の第一のコイルおよび第二のコイルならびに磁気測定素子を備え、第一のコイルおよび第二のコイルを流れる電流に基づく誘導磁界を磁気測定素子において測定する磁気センサーであって、磁気測定素子は、磁気センサーの平面視で第一のコイルおよび第二のコイルと重なり、第一のコイルの一部をなす複数の部分コイル線と、第二のコイルの一部をなす複数の部分コイル線とは、少なくとも重複領域において相互に略平行かつ等ピッチであり、磁気測定素子の磁気検出部の重心を通る磁界感度軸は、第一のコイルがその上に位置する第一の平面に平行な平面であって第一の平面からの距離が第一の値d1(単位:μm)に設定された磁界感度面内に位置し、第一の値d1、および第一の複数線部のピッチの値p(単位:μm)が、下記式(1)で示される関係を満たす磁気センサーが提供される。d1/p≦1.5 (1)

Description

本発明は、磁気センサーおよびその磁気センサーを備えた電流センサーに関する。
コイルおよびコイルに流れる電流による誘導磁界を測定する磁気測定素子を備える磁気センサーは広く使用されており、一例として電流センサーの検出部が挙げられる。
磁気センサーが備えるコイルと磁気測定素子との配置関係は、誘導磁界の測定精度や生産しやすさ(製造コスト)に関連するため、様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、感磁素子(磁気測定素子)による磁界変化を検出するコイル部を備え、該コイル部は、平面上に導体を渦巻き状に形成した平面渦巻き導体部分を有しており、前記感磁素子は、前記コイル部の平面渦巻き導体部分の近傍であって且つその巻回中心に対して実質的に偏心した位置に配置されるピックアップコイルを備える磁気センサーが開示されている。かかる磁気センサーでは、コイルが積層構造となった場合であっても、少ないスルーホール数でこれらのスルーホールを介してコイルを連結することができ、生産性に優れているとされている。
特開2001−194181号公報
ところで、特許文献1の図5などに示されるように、磁気測定素子は、導体が渦巻き状に配置されたコイルを流れる電流による誘導磁界を検出可能な位置に配置されるが、磁気測定素子の磁気検出部の重心を通る磁界感度軸と、磁気測定素子に最も近位に配置されるコイル(本明細書において「最近位コイル」ともいう。)との距離は、通常、3μm以上程度となるように配置されている。これは、上記の距離を3μm程度以上とすることにより、コイルを流れる電流による誘導磁界の磁力線の向きと磁界感度軸の向きとを揃えることが容易となり、磁気測定素子における測定値のばらつきが少なくなるためである。
ところが、製膜プロセスを組み合わせることにより磁気センサーを製造する場合には、磁界感度軸と最近位コイルとの間を3μm程度以上離間させるためにスペーサーとなる層を形成する必要があり、このような層を形成するプロセスは製造コストの増大要因となる。また、最近位コイルから3μm程度以上離間した状態にある磁気測定素子の測定安定性を高める(具体的にはSN比の改善が挙げられる。)ためには、磁界感度軸を通過する誘導磁界の強度をある程度高める必要があり、この目的でコイルを流れる電流量を増やす必要があった。コイルを流れる電流量が多くなることは消費電力の増加をもたらす。さらに、コイルから発生するジュール熱量が増加し、この熱が磁気測定素子の測定精度に影響を与える場合があった。
このように、最近位コイルと磁界感度軸とを離間させることは、消費電力が増加するという問題を生じるだけでなく、磁気測定素子の測定精度を高めるという当初の目的の達成に対して阻害要因となる可能性がある。
本発明は、コイルと磁気測定素子とを備える磁気センサーであって、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しうる磁気センサー、特に、コイルに対して磁気測定素子が近位に配置された場合であってもコイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しうる磁気センサーを提供することを目的とする。また、かかる磁気センサーを備えた電流センサーを提供することも目的とする。
上記の問題の発生を本質的に解決する手段の一つとして、最近位コイルと磁気測定素子の磁界感度軸との距離を、従来よりも近接させることが考えられる。しかしながら、本発明者らが検討したところ、そのように近接させると、最近位コイルを構成する導体(本明細書において「コイル線」という。)のそれぞれを流れる電流による誘導磁界の相互作用の影響が顕在化して、コイル線のピッチを空間周期として発生磁界が周期的に変化することが明らかになった。このため、磁気測定素子の磁界感度軸と最近位コイルを構成する個々のコイル線との配置関係を厳密に制御しないと、磁気測定素子の測定値のばらつきがむしろ大きくなってしまう。
この点を踏まえて本発明者らがさらに検討した結果、コイルを積層構造とし、これらのコイルの配置を、磁気感度軸の位置との関係も考慮しつつ調整して、個々のコイル線を流れる電流による誘導磁界の相互作用を適切に制御することにより、上記課題を解決しうるとの新たな知見を得た。
以上の新たな知見に基づき提供される本発明の一態様は、第一のコイル、第二のコイルおよび磁気測定素子を備え、前記第一のコイルおよび前記第二のコイルを流れる電流に基づく誘導磁界を前記磁気測定素子において測定する磁気センサーであって、前記磁気測定素子は、前記磁気センサーの平面視で前記第一のコイルおよび前記第二のコイルと重なり、前記第一のコイルおよび前記第二のコイルのコイル線は渦巻き状に巻回され、前記第一のコイルは、前記渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり第一の平面上に位置する第一の複数線部を備え、前記第二のコイルは、前記渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり前記第一の平面に平行な第二の平面上に位置する第二の複数線部を備え、前記第一の平面における前記第一の複数線部が位置する領域と、前記第二の平面における前記第二の複数線部が位置する領域とは、前記第一の平面での平面視において重複する重複領域を有し、前記磁気測定素子の磁気検出部は、前記第一の平面の平面視で前記重複領域内に位置するように配置され、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線は、少なくとも前記重複領域において、前記第一の平面内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置され、前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線は、少なくとも前記重複領域において、前記第二の平面内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置され、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線と前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線とは、少なくとも前記重複領域において相互に略平行であり、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線のピッチは、前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線のピッチに略等しく、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線および前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線は、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸と、前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸とが、前記第一の平面での平面視において重複しないように配置され、前記磁気測定素子の磁気検出部の重心を通る磁界感度軸は、前記第一の平面に平行な平面であって前記第一の平面からの距離が第一の値d(単位:μm)に設定された磁界感度面内に位置し、前記第一の値d、および前記第一の複数線部のピッチの値p(単位:μm)が、下記式(1)で示される関係を満たす磁気センサーである。
/p≦1.5 (1)
上記の磁気センサーは、次の特徴の少なくとも一つをさらに備えていてもよい。
・前記第一のコイルと前記第二のコイルとは、測定時に、前記第一の複数線部の前記部分コイル線を流れる電流値と前記第二の複数線部の前記部分コイル線を流れる電流値とが等しくなるように設定されている。
・前記第一のコイルと前記第二のコイルとは直列に接続されている。
・前記磁界感度面は、前記第一の平面と前記第二の平面との間に位置する。
・前記第一の平面は、前記磁界感度面と前記第二の平面との間に位置する。
・前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線における任意の1つと、前記第二の複数線部の前記部分コイル線のうち当該任意の1つの部分コイル線に最近位な部分コイル線との、前記第一の平面の平面視における、中心軸間距離a(単位:μm)、および前記第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(2)で示される関係を満たす。
0.2≦a/p≦0.5 (2)
・前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線のうち、最近位に位置する一組の部分コイル線の、前記第一の平面の平面視における離間距離s(単位:μm)、および前記第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(3)で示される関係を満たす。
s/p≦0.6 (3)
・前記磁気測定素子を少なくとも2つ備え、前記少なくとも2つの磁気測定素子は、それぞれの前記磁界感度軸が前記磁界感度面内で平行になるように配置され、最近位に位置する任意の2つの前記磁界感度軸の離間距離の値は、前記第一の複数線部のピッチの値pに等しい。
・前記第一の複数線部のピッチの値p、前記第一の値d、および前記磁界感度面と前記第二の平面との面間距離の値d(単位:μm)が、下記式(4)で示される関係を満たす。
/p+d/p≦5 (4)
・前記第一の値dが5μm以下である。
・前記磁気測定素子は、磁気抵抗効果素子、ホール素子、磁気抵抗素子および磁気インピーダンス素子からなる群から選ばれる1種または2種以上からなる。
本発明の他の一態様は、上記の磁気センサーを備える電流センサーである。
上記の電流センサーは、前記磁気センサーが備える第一のコイルおよび第二のコイルの少なくとも一方が、測定時に被測定電流が流れるものであってもよい。
上記の電流センサーは、前記磁気センサーが備える第一のコイルおよび第二のコイルの少なくとも一方が、被測定電流による誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイルであってもよい。
本発明によれば、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しうる磁気センサー、特に、コイルに対して磁気測定素子が近位に配置された場合であってもコイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しうる磁気センサーが提供される。また、かかる磁気センサーを備えた電流センサーも提供される。
本発明の一実施形態に係る磁気センサーを概念的に示す平面図である。 図1におけるX−X断面を概念的に示す図である。 図2におけるY−Y断面を概念的に示す図である。 図1に示される磁気センサーが備える、第一の複数線部が備える部分コイル線、第二の複数線部が備える部分コイル線および磁気感度面の位置関係を説明するための概念図である。 コイルを1つ備える磁気センサーの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る磁気センサーの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の別の一実施形態に係る磁気センサーを概念的に示す断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る磁気センサーの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の実施形態でない対比用の一例に係る磁気センサーの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の実施形態でない対比用の別の一例に係る磁気センサーの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明のさらに別の一実施形態に係る磁気センサーについて、磁界感度面P3に発生する磁界の振幅比率のd/p依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明のさらにまた別の一実施形態に係る磁気センサーについて、磁界感度面P3に発生する磁界の振幅比率のa/p依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の別の一実施形態に係る磁気センサーであって、最近位に位置する一組の部分コイル線の位置関係を変化させたものの磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を示すグラフであり、実線はs/pが0.33の場合であり、太い破線はs/pが0.5の場合であり、細い破線はs/pが0.67の場合である。 本発明の別の一実施形態に係る磁気センサーについて、磁界感度面P3に発生する磁界の振幅比率のs/p依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る磁気比例式電流センサーの構成を示す回路図である。 本発明の一実施形態に係る電流センサーが備えるブリッジ回路の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る磁気平衡式電流センサーの構成を示す回路図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.磁気センサー
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気センサーを概念的に示す平面図である。図2は、図1におけるX−X断面を概念的に示す図であり、図3は、図2におけるY−Y断面を概念的に示す図である。
本発明の一実施形態に係る磁気センサー10は、第一のコイル11、第二のコイル12および2つの磁気測定素子131,132を備える。磁気センサー10は、第一のコイル11および第二のコイル12を流れる電流に基づく誘導磁界を磁気測定素子131,132において測定するものである。図2に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10は、磁気測定素子131,132により近位な位置に第一のコイル11が配置され、より遠位な位置に第二のコイル12が配置されている。また、図1〜3から理解されるように、磁気測定素子131,132は、磁気センサー10の平面視で第一のコイル11および第二のコイル12と重なっている。
第一のコイル11および第二のコイル12のコイル線は渦巻き状に巻回されている。第一のコイル11は、渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり第一の平面P1上に位置する第一の複数線部を備える。第一の複数線部を構成する複数の部分コイル線は、渦巻き状のコイルの一部であるから、直列に接続されている。本明細書において、第一の平面P1は、磁気測定素子131,132に最も近位なコイル(最近位コイル)に係る平面である。図2,3に示される磁気センサー10では、第一のコイルの第一の複数線部は3本の部分コイル線111,112,113を備える。図2,3に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10では、第一のコイル11全体が第一の平面P1上に形成されている。
第二のコイル12は、渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり、第一の平面P1に平行な第二の平面P2上に位置する第二の複数線部を備える。第二の複数線部を構成する複数の部分コイル線は、渦巻き状のコイルの一部であるから、直列に接続されている。図1,2に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10では、第二のコイルの第二の複数線部は3本の部分コイル線121,122,123を備える。図1,2に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10は、第二のコイル12全体が第二の平面P2上に形成されている。
第一の平面P1における第一の複数線部が形成された領域11Aと、第二の平面P2における第二の複数線部が形成された領域12Aとは、第一の平面P1の平面視で重複する重複領域を有する。そして、図2に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10では、2つの磁気測定素子131,132の磁気検出部は、第一の平面P1の平面視で上記の領域11Aと領域12Aとの重複領域内に位置するように配置されている。なお、本明細書において、本実施形態に係る磁気センサー10の磁気測定素子131,132の磁気検出部の重心の位置は、磁気測定素子131,132の重心の位置と同じである。
第一の複数線部が備える複数の部分コイル線111,112,113は、少なくとも重複領域において、第一の平面P1内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置されている。第二の複数線部が備える複数の部分コイル線121,122,123は、少なくとも重複領域において、第二の平面P2内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置されている。第一のコイル11が備える第一の複数線部の複数の部分コイル線111,112,113と、第二のコイル12が備える第二の複数線部の複数の部分コイル線121,122,123とは、少なくとも重複領域において、相互に略平行となるように配置されている。
また、第一のコイル11が備える第一の複数線部の複数の部分コイル線111,112,113のピッチは、第二のコイル12が備える第二の複数線部の複数の部分コイル線121,122,123のピッチに略等しくなるように設定されている。
第一のコイル11が備える第一の複数線部の複数の部分コイル線111,112,113および第二のコイル12が備える第二の複数線部の複数の部分コイル線121,122,123は、第一の複数線部の複数の部分コイル線111,112,113の個別の部分コイル線の中心軸と、第二の複数線部の複数の部分コイル線121,122,123の個別の部分コイル線の中心軸とが、第一の平面P1での平面視において重複しないように配置されている。
このような配置とすることにより、後述するように、部分コイル線111,112,113を流れる電流による誘導磁界および部分コイル線121,122,123を流れる電流による誘導磁界が適切に相互作用して、第一の平面P1に近位に配置された磁気測定素子131,132の測定精度を低下させる要因である、発生磁界の周期的な変化の振幅を低減させることができる。
図2に示されるように、本実施形態に係る磁気センサー10の磁気測定素子131,132の磁気検出部の重心を通る磁界感度軸は、第一の平面P1に平行な平面であって第一の平面P1からの距離が第一の値d(単位:μm)に設定された磁界感度面P3内に位置する。
ここで、図4を参照しつつ、第一の複数線部の部分コイル線111,112,113と磁界感度面P3との位置関係を説明する。図4は、図1における第一の複数線部が備える部分コイル線、第二の複数線部が備える部分コイル線および磁気感度面の位置関係を説明するための概念図である。説明を容易にするために、磁気測定素子などの表示を割愛している。
本発明の一実施形態に係る磁気センサー10は、図4に示されるように、上記の第一の平面P1と磁界感度面P3との面間距離である第一の値d、および第一のコイル11が備える第一の複数線部の部分コイル線111,112,113のピッチの値p(単位:μm)は、下記式(1)で示される関係を満たす。
/p≦1.5 (1)
上記式(1)で示される関係を満たす場合には、第一のコイル11が備える第一の複数線部の部分コイル線111,112,113を流れる電流による誘導磁界の相互作用の影響が、磁界感度面P3上で顕在化しやすい。
この点に関し、磁界感度面P3に発生する磁界をシミュレーションした結果を以下に示す。
まず、本実施形態に係る磁気センサー10と同様の構造を有するが、第二のコイル12を有しない場合、つまり、平面渦巻き型のコイルが1つだけ存在する場合に、磁界感度面P3上に発生する磁界の強度をシミュレーションした結果を図5に示す。
なお、シミュレーションは、ANSYS社製「Maxwell」を用いて行われた。シミュレーションの前提条件は次のとおりである。コイルが備える複数線部を構成する複数の部分コイル線は、磁界感度面P3の平面視(コイルに係る平面の平面視に実質的に等しい。)で、ピッチの値pが3μmとした。具体的には、1.5μm幅の部分コイル線が、1.5μmの離間距離で配置されているとした。また、第一の値dは、0.5μmとした。したがって、d/pは0.17程度であった。コイルを構成するコイル線は全て(コイルが2つある場合にはいずれのコイルについても)同じ方向に10mAの電流が流れるものとした。
図5に示されるように、部分コイル線のピッチを周期とする発生磁界の周期的な変化が確認された。発生磁界の振幅は0.4mT程度であり、発生磁界の平均値が2mT程度であるから、発生磁界の振幅の平均値に対する百分率(本明細書において「振幅比率」ともいう。)は20%程度となった。このように発生磁界が変化していると、磁界感度面P3内のどの位置に磁気測定素子の磁気検出部の磁界感度軸が位置するかによって、具体的には、部分コイル線に対する磁気検出部の重心の相対位置によって、測定値が大きく変化することになる。換言すれば、コイルを流れる電流により発生した磁界の空間的な変動が著しいため、磁界感度軸の位置の変化が、発生磁界の磁力線の向きと磁界感度軸とのずれ量に大きな影響を与えてしまう。したがって、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定しようとすれば、磁気測定素子の磁気検出部とコイルとの相対位置を厳密に制御することが必要となる。したがって、上記の構成の磁気センサーで高精度の測定を実現するためには、製造コストの上昇は避けられない。
次に、図1から3に示される本実施形態に係る磁気センサー10の構造を備える場合について、シミュレーションを行った。この場合には、第二の平面P2と磁界感度面P3との面間距離は1.0μmとした。
シミュレーション結果を図6に示す。図6に示されるように、部分コイル線のピッチを周期とする発生磁界の変化の振幅は、図5の場合に比べて十分に抑制された。発生磁界の振幅は0.3mT程度となり、発生磁界の平均値が4mT程度であるから、振幅比率は7%となった。この振幅比率を図5の場合と対比すれば、振幅比率を1/3程度に低減させることが実現されている。このように、本実施形態に係る磁気センサー10は、磁界感度面P3と最近位コイルとの距離が近づいた場合であっても、個々の部分コイル線を流れる電流による誘導磁界の相互作用に基づく発生磁界の変化が抑制されており、磁気測定素子の磁気検出部とコイルとの相対位置を厳密に制御することなく、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定することが容易となる。
続いて、図7に示される磁気センサー20のような断面構造を有する場合、すなわち、下層側から、第二の平面P2、磁界感度面P3、第一の平面P1の順番に配置される構造の場合であって、磁界感度面P3と第一の平面P1との面間距離の値である第一の値dおよび磁界感度面P3と第二の平面P2との面間距離の値dが、いずれも0.5μmである場合のシミュレーション結果を図8に示す。
図8に示されるように、部分コイル線のピッチを周期とする発生磁界の変化の振幅は、図5の場合に比べて十分に抑制された。発生磁界の振幅は0.1mT程度となり、発生磁界の平均値が4mT程度であるから、振幅比率は2.5%となった。この振幅比率を図5の場合と対比すれば、変化率を1/7程度に低減させることが実現されている。このように、本実施形態に係る磁気センサー10は、磁界感度面P3と最近位コイルとの距離が近づいた場合であっても、個々のコイルを流れる電流による誘導磁界の相互作用に基づく発生磁界の変化が抑制されており、磁気測定素子の磁気検出部とコイルとの相対位置を厳密に制御することなく、コイルを流れる電流による誘導磁界を高精度に測定することが容易となる。
対比のために、本実施形態に係る磁気センサー10,20のように、基本構造(ピッチなど)が共通し、互いに平行な部分コイル線からなる複数線部を有するコイルを2つ有するが、第一の平面P1の平面視で、個別の部分コイル線が重複する場合についても、シミュレーションを行った。
シミュレーション結果を図9および10に示す。磁界感度面P3、第一の平面P1、第二の平面P2の順番に配置される構造の場合には、図9に示されるように、部分コイル線のピッチを周期とする発生磁界の変化の振幅は0.5mT程度となった。発生磁界の平均値が4mT程度であるから、振幅比率は13%程度となった。第二の平面P2、磁界感度面P3、第一の平面P1の順番に配置される構造の場合には、図10に示されるように、部分コイル線のピッチを周期とする発生磁界の変化の振幅は0.75mT程度にまで増大した。発生磁界の平均値が4mT程度であるから、振幅比率は18%となった。
このように発生磁界が大きく変化している場合には、磁気測定素子の磁気検出部の磁界感度軸が磁界感度面内のどの位置に位置するかによって、具体的には、部分コイル線に対する磁気検出部の重心の相対位置によって、測定値が大きく変化することになる。
図11は、次の条件で、d/pを変化させた場合の振幅比率がどのように変化するかをシミュレーションした結果である。
基本構造:図7に示される構造
p(ピッチ):3μm
変数:d
本実施形態に係る磁気センサー10,20における、第一のコイル11が備える第一の複数線部の部分コイル線111,112,113を流れる電流値と、第二のコイル12が備える第二の複数線部の部分コイル線121,122,123を流れる電流値との関係は限定されない。上記のシミュレーションでは、2つのコイルの電流値が等しくなるように設定して計算した。このように、両者の電流値が等しいことにより、設計上(計算が容易になる)、製造上(同一のマスクを利用できる)有利となる場合もある。
限定されない一例として、図1から3に示される磁気センサー10では、第一のコイル11と第二のコイル12とは直列に接続される。図1中の端子102Aと図3中の端子102Bとは、図示されないスルーホールを介して電気的に接続され、図1中の端子101および図3中の端子103が2つのコイル11,12からなる電気素子の電気的端部となっている。このような構成の場合には、第一のコイル11に流れる電流と第二のコイル12に流れる電流とを等しくすることが容易となる。
本実施形態に係る磁気センサーは、第一の平面P1が磁界感度面P3に最近位のコイルに係る面である限り、第一の平面P1、第二の平面P2および磁界感度面P3の位置関係は限定されない。図2に示される磁気センサー10のように、第一の平面P1は、磁界感度面P3と第二の平面P2との間に位置してもよいし、図7に示される磁気センサー20のように、磁界感度面P3は、第一の平面P1と第二の平面P2との間に位置してもよい。
以下、本実施形態に係る磁気センサーの好ましい形態について説明する。以下の説明は、図2に示される磁気センサー10および図7に示される磁気センサー20の双方について該当するため、符号の記載を省略する。
前述のように、本実施形態に係る磁気センサーは、第一のコイルが備える第一の複数線部の複数の部分コイル線および第二のコイルが備える第二の複数線部の複数の部分コイル線が、第一の複数線部の複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸と、第二の複数線部の複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸とが、第一の平面での平面視において重複しないように配置されるところ、これらの中心軸の第一の平面の平面視におけるずれの程度は限定されない。
第一の複数線部の複数の部分コイル線における任意の1つと、第二の複数線部の部分コイル線のうちこの任意の1つの部分コイル線に最近位な第二の複数線部の部分コイル線との、第一の平面の平面視における、中心軸間距離a(単位:μm、図4参照)および第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(2)で示される関係を満たすことが好ましい。
0.2≦a/p≦0.5 (2)
上記のように定義すると、a/pの値は、0.5が上限となる。a/pの値が0.5のとき、第一平面の平面視において、第一のコイルが備える第一の複数線部における最近位の2本の部分コイル線の中間に第二のコイルが備える第二の複数線部の部分コイル線が位置することになる。図12に示されるように、a/pの値が0.2以上の場合には、第一のコイルに係る部分コイル線を流れる電流による誘導磁界と第二のコイルに係る部分コイル線を流れる電流による誘導磁界との相互作用が、磁界感度面での発生磁界の振幅を低減させるように働きやすくなる。磁界感度面での発生磁界の振幅をより安定的に低減させる観点から、a/pの値は、0.3以上であることが好ましく、0.35以上であることがより好ましい。なお、図12に示されるグラフは、次の条件でa/pを変化させるシミュレーションを行った結果である。
基本構造:図7に示される構造
p(ピッチ):3μm
部分コイル線の幅:1.5μm
(第一の値):0.5μm
(磁界感度面P3と第二の平面P2との面間距離の値):0.5μm
コイル電流:10mA
本実施形態に係る磁気センサーは磁気測定素子を2つ以上備えていてもよい。この場合において、これらの2つ以上の磁気測定素子は、それぞれの磁界感度軸が、磁界感度面内で平行になるように配置され、最近位に位置する任意の2つの磁界感度軸の離間距離の値は、第一の複数線部のピッチの値pに等しいことが好ましい。前述のように、コイルの複数線部が備える複数の部分コイル線を流れる電流による誘導磁界の相互作用により生じる発生磁界の変化の周期は、複数線部のピッチに等しいため、最近位に位置する2つの磁気測定素子の磁界感度軸の離間距離も上記のピッチに等しいことが、2つ以上の磁気測定素子の測定値のばらつきを低減させる観点から好ましい。
第一の複数線部の複数の部分コイル線のうち、最近位に位置する一組の部分コイル線の、第一の平面の平面視における離間距離s(単位:μm、図4参照)、および第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(3)で示される関係を満たすことが好ましい。
s/p≦0.6 (3)
この関係は、部分コイル線の第一の平面の平面視における線幅w(単位:μm)を用いると、w/p≧0.4となる。また、第二の複数線部の複数の部分コイル線のうち、最近位に位置する一組の部分コイル線の、第二の平面の平面視(第一の平面の平面視に等しい。)における離間距離s’(単位:μm)、および第二の複数線部のピッチの値p’(第一の複数線部のピッチの値pに等しい。)とが、s’/p’≦0.6の関係を満たすことが好ましい。
上記式(3)に係る関係を確認するために、次の条件でs/pおよびs’/p’を変化させるシミュレーションを行った結果である。
基本構造:図7に示される構造
p(ピッチ):3μm(したがって、p’:3μm)
部分コイル線の幅w:1μm、1.5μm、2μm
(したがって、離間距離s:2μm、1.5μm、1μm)
(第一の値):0.5μm
(磁界感度面P3と第二の平面P2との面間距離の値):0.5μm
コイル電流:10mA
s’=s(したがって、s’/p’=s/p)
離間距離sの変化に伴って、最近位に位置する一組の部分コイル線による誘導磁界の相互作用の程度も変化する。それゆえ、図13に示されるように、s/pが小さくなると発生磁界の振幅が小さくなって、振幅比率も低くなる。図13において、実線はs/pが0.33の場合であり、太い破線はs/pが0.5の場合であり、細い破線はs/pが0.67の場合である。ここで、図14に示されるように、s/pが0.5の場合とs/pが0.33の場合とでは、振幅比率に大差はない。したがって、離間距離sを狭めることによりもたらされる振幅比率の低下という効果を享受する観点からは、s/pを0.6以下とすれば十分である。また、離間距離sを過度に狭めようとすると、磁気センサーの製造過程における離間距離sの制御性が低下して、磁気センサーの生産性が低下する場合もある。したがって、s/pおよびs’/p’は0.4以上0.6以下とすることが好ましく、0.4以上0.5以下とすることがより好ましい。
コイルの複数線部のピッチの値p、磁界感度面と第一の平面との面間距離である第一の値d、および磁界感度面と第二の平面との面間距離の値d(単位:μm、図4参照)が、下記式(4)で示される関係を満たすことが好ましい。
/p+d/p≦5 (4)
このd/p+d/pの値が小さいほど、2つのコイルが備える複数線部の部分コイル線を流れる電流による誘導磁界の相互作用が、磁界感度面での発生磁界の変化の振幅を低減させるように働きやすくなる。磁界感度面での発生磁界の変化の振幅をより安定的に低減させる観点から、d/p+d/pの値は、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る磁気センサーの具体的な大きさは限定されない。磁気センサーが備える磁気測定素子の種類や、磁気センサーの用途に応じて適宜設定される。前述のように、磁界感度面と第一の平面との面間距離である第一の値dが3μm以上となると、第一の平面に位置するコイルの複数線部のピッチに対応して発生磁界が周期的に変化する現象が顕在化しにくくなるため、本発明の効果をより安定的に享受する観点から、磁気センサーは、第一の値dが、5μm以下となる大きさであることが好ましく、3μm以下となる大きさであることがより好ましく、2μm以下となる大きさであることが特に好ましい。
本実施形態に係る磁気センサーが備える磁気測定素子の種類は限定されない。磁気測定素子の限定されない例示として、磁気抵抗効果素子、ホール素子、磁気抵抗素子および磁気インピーダンス素子が挙げられる。本実施形態に係る磁気センサーが複数の磁気測定素子を備える場合において、これらの磁気測定素子の種類は統一されていることが好ましいが、異なっていてもよい。
3.磁気センサーの製造方法
本実施形態に係る磁気センサーの製造方法は限定されない。スパッタリング、めっき、エッチング、スピンコーティングなどのドライプロセスやウエットプロセスに係る要素技術を組み合わせた微細加工技術により製造してもよいし、個別に製造した要素(コイル、磁気測定素子など)を、はんだや接着剤などを用いて組み付けることにより製造してもよい。
磁気測定素子が磁気抵抗効果素子のようにドライプロセスにより製造できる場合には、ドライプロセスの要素技術をさらに組み合わせて磁気センサーを製造すれば、製造効率が高まることがある。
そのような製造方法の限定されない一例は次のとおりである。まず、酸化膜付きシリコンなどからなる基板上に、磁気抵抗効果素子からなる磁気測定素子を作製し、これを覆うように、所定の透磁率を有する絶縁材料(SiO,Alなど)を積層する。この絶縁材料からなる面を第一の平面として、スパッタ、蒸着、めっきなどにより導電材料(Cu,Alなど)を製膜して、当該面上に第一のコイルを形成する。このとき形成した絶縁材料の層の厚さにより、磁界感度面と第一の平面との面間距離の値dが決定される。
続いて、第一のコイルを覆うように、所定の透磁率を有する絶縁材料を積層する。この絶縁材料からなる面を第二の平面として、スパッタ、蒸着などの製膜技術を用いて、当該面上に第二のコイルを形成する。このとき形成した絶縁材料の層の厚さにより、磁界感度面と第二の平面との面間距離の値dが決定される。なお、第一のコイルおよび第二のコイルを形成する際に、または第二のコイルを形成した後に、スルーホール加工を行って、第一のコイルと第二のコイルとを電気的に接続する。最後に、第二のコイルを保護する適当な絶縁材料を積層することにより、図1に示される積層構造を有する磁気センサーを製造することができる。
図7に示される積層構造を有する磁気センサーを製造する場合には、基板上に最初に第二のコイルを形成し、その後、絶縁材料の積層により磁界感度面を画成し、その後、磁気測定素子および第一のコイルを順次、上記のように形成すればよい。
4.電流センサー
本実施形態に係る磁気センサーのコイルを流れる電流と、当該磁気センサーの磁気測定素子において測定される特性値(抵抗など)との関係をあらかじめ把握しておくことにより、磁気センサーの磁気測定素子の特性値の変化を測定結果からコイル電流の変化を導き出すことができる。そして、被測定電流の変化に応じてコイル電流が変化するような回路を形成することにより、本実施形態に係る磁気センサーを、電流センサーの検出部として機能させることができる。
上記回路の具体的な構成は限定されない。本実施形態に係る磁気センサーのコイルを被測定電流が流れてもよい。このとき、本実施形態に係る磁気センサーのコイルの双方を被測定電流が流れてもよいし、一方のみを流れてもよい。本実施形態に係る磁気センサーのコイルが被測定電流による誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイルであってもよい。フィードバックコイルである場合には、本実施形態に係る磁気センサーの磁気測定素子の磁界感度軸で測定される磁場が実質的にゼロになるときにフィードバックコイルに流れる電流値に基づいて、被測定電流の値が導出されることになる。
本実施形態に係る電流センサーが備える磁気センサーは1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態に係る電流センサーが複数の磁気センサーを備える場合には、これらの磁気センサーは、被測定電流の測定について独立していてもよいし、複数の磁気センサーを備えるブリッジ回路により被測定電流を測定してもよい。
本発明の一実施形態に係る電流センサーの構成の一例として、図15に示されるような磁気比例式電流センサーが挙げられる。磁気比例式電流センサー20は、被測定電流が流れる電流線21、電流線21による誘導磁界を検知可能な位置に配置されたブリッジ回路30およびブリッジ回路30から出力される電圧を入力とするオペアンプ23を備える。
電流線21の一部はコイル22を構成し、このコイル22は、本発明の一実施形態に係る磁気センサーの第一のコイル11および第二のコイル12からなる。
図16に示されるように、ブリッジ回路30は、4つの抵抗を有し、それらのうち、本発明の一実施形態に係る磁気センサーの一方の磁気測定素子131と抵抗31とは直接に接続され、本発明の一実施形態に係る磁気センサーの他方の磁気測定素子132と抵抗32とは直接に接続されている。図16に示されるように、磁気測定素子131と抵抗32とは入力端子(Vdd)に接続されており、磁気測定素子132と抵抗31とはグランド端子(GND)に接続されている。そして、磁気測定素子131と抵抗31との間に出力端子(V1)が接続され、磁気測定素子132と抵抗32との間に出力端子(V2)が接続されている。
オペアンプ23は、ブリッジ回路30からの2つの出力(V1,V2)からの電圧を入力として、これらの電圧の差を出力する。この出力のグランド端子(GND)に対する電圧が、磁気比例式電流センサー20の出力電圧Voutとなる。
このように、磁気比例式電流センサー20は、被測定電流による誘導磁界を磁気測定素子131,132が直接検出することにより、被測定電流に相関性を有する出力Voutを出力する方式の電流センサーである。
本発明の一実施形態に係る電流センサーの構成の他の一例として、図17に示されるような磁気平衡式電流センサーが挙げられる。磁気平衡式電流センサー40は、被測定電流が流れる電流線41、電流線41を流れる電流による誘導磁界およびフィードバックコイル42を流れる電流による誘導磁界を検知可能な位置に配置されたブリッジ回路30およびブリッジ回路30から出力される電圧を入力とするオペアンプ43を備える。
磁気平衡式電流センサー40では、電流線41の一部は特にコイルを構成している必要はなく、電流線41を流れる電流による誘導磁界をブリッジ回路30が検出できる限り、ブリッジ回路30と電流線41との位置関係は限定されない。ブリッジ回路30が備える磁気測定素子131,132に印加される磁界が等しくなるように配置されることが好ましい。
ブリッジ回路30の構成は、図16に示される構成であるから説明を省略する。
フィードバックコイル42は、本発明の一実施形態に係る磁気センサーの第一のコイル11および第二のコイル12からなる。フィードバックコイル42の一端はオペアンプ43の出力に接続され、フィードバックコイル42を流れる電流はオペアンプ43により制御されている。フィードバックコイル42の他端は抵抗44を介して接地され、抵抗44とフィードバックコイル42との間のグランド端子(GND)に対する電位が出力電圧Voutとなる。
オペアンプ43は、ブリッジ回路30の2つの出力(V1,V2)からの電圧を入力として、フィードバックコイル42を流れる電流による誘導磁界と被測定電流による誘導磁界とが相殺して、ブリッジ回路の2つの出力(V1,V2)からの電圧が等しくなるように、フィードバックコイル42に対して出力する電圧を制御する。
このように、磁気比例式電流センサー20は、被測定電流による誘導磁界をキャンセルするように誘導磁界を生じさせるフィードバックコイル42の電流値を、磁気測定素子131,132の検出値に基づいて制御することにより、被測定電流に相関性を有する出力Voutを出力する方式の電流センサーである。
本発明の磁気センサーは電流センサーの検出部として好適であり、本発明の磁気センサーを備える電流センサーは、ハイブリッド自動車、電気自動車などに用いられるモーター兼発電機の電流を計測する機器として好適である。
10…磁気センサー
11…第一のコイル
P1…第一の平面
111,112,113…第一の複数線部が備える部分コイル線
11A…第一の平面P1における第一の複数線部が形成された領域
12…第二のコイル
P2…第二の平面
12A…第二の平面P2における第二の複数線部が形成された領域
121,122,123…第二の複数線部が備える部分コイル線
131,132…磁気測定素子
P3…磁界感度面
101,102A,102B,103…コイルの端子
20…磁気比例式電流センサー
21…電流線
22…コイル
23…オペアンプ
30…ブリッジ回路
31,32…抵抗
40…磁気平衡式電流センサー
41…電流線
42…コイル
43…オペアンプ
44…抵抗

Claims (14)

  1. 第一のコイル、第二のコイルおよび磁気測定素子を備え、前記第一のコイルおよび前記第二のコイルを流れる電流に基づく誘導磁界を前記磁気測定素子において測定する磁気センサーであって、
    前記磁気測定素子は、前記磁気センサーの平面視で前記第一のコイルおよび前記第二のコイルと重なり、
    前記第一のコイルおよび前記第二のコイルのコイル線は渦巻き状に巻回され、
    前記第一のコイルは、前記渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり第一の平面上に位置する第一の複数線部を備え、
    前記第二のコイルは、前記渦巻き状のコイル線の一部をなす複数の部分コイル線からなり前記第一の平面に平行な第二の平面上に位置する第二の複数線部を備え、
    前記第一の平面における前記第一の複数線部が位置する領域と、前記第二の平面における前記第二の複数線部が位置する領域とは、前記第一の平面での平面視において重複する重複領域を有し、
    前記磁気測定素子の磁気検出部は、前記第一の平面の平面視で前記重複領域内に位置するように配置され、
    前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線は、少なくとも前記重複領域において、前記第一の平面内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置され、
    前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線は、少なくとも前記重複領域において、前記第二の平面内で相互に略平行かつ略等ピッチで配置され、
    前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線と前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線とは、少なくとも前記重複領域において相互に略平行であり、
    前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線のピッチは、前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線のピッチに略等しく、
    前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線および前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線は、前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸と、前記第二の複数線部の前記複数の部分コイル線が備える個別の部分コイル線の中心軸とが、前記第一の平面での平面視において重複しないように配置され、
    前記磁気測定素子の磁気検出部の重心を通る磁界感度軸は、前記第一の平面に平行な平面であって前記第一の平面からの距離が第一の値d(単位:μm)に設定された磁界感度面内に位置し、
    前記第一の値d、および前記第一の複数線部のピッチの値p(単位:μm)が、下記式(1)で示される関係を満たすことを特徴とする磁気センサー。
    /p≦1.5 (1)
  2. 前記第一のコイルと前記第二のコイルとは、測定時に、前記第一の複数線部の前記部分コイル線を流れる電流値と前記第二の複数線部の前記部分コイル線を流れる電流値とが等しくなるように設定されている、請求項1に記載の磁気センサー。
  3. 前記第一のコイルと前記第二のコイルとは直列に接続されている、請求項1または2に記載の磁気センサー。
  4. 前記磁界感度面は、前記第一の平面と前記第二の平面との間に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気センサー。
  5. 前記第一の平面は、前記磁界感度面と前記第二の平面との間に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気センサー。
  6. 前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線における任意の1つと、前記第二の複数線部の前記部分コイル線のうち当該任意の1つの部分コイル線に最近位な部分コイル線との、前記第一の平面の平面視における、中心軸間距離a(単位:μm)、および前記第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(2)で示される関係を満たす、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気センサー。
    0.2≦a/p≦0.5 (2)
  7. 前記第一の複数線部の前記複数の部分コイル線のうち、最近位に位置する一組の部分コイル線の、前記第一の平面の平面視における離間距離s(単位:μm)、および前記第一の複数線部のピッチの値pが、下記式(3)で示される関係を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気センサー。
    s/p≦0.6 (3)
  8. 前記磁気測定素子を少なくとも2つ備え、
    前記少なくとも2つの磁気測定素子は、それぞれの前記磁界感度軸が前記磁界感度面内で平行になるように配置され、
    最近位に位置する任意の2つの前記磁界感度軸の離間距離の値は、前記第一の複数線部のピッチの値pに等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気センサー。
  9. 前記第一の複数線部のピッチの値p、前記第一の値d、および前記磁界感度面と前記第二の平面との面間距離の値d(単位:μm)が、下記式(4)で示される関係を満たす、請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気センサー。
    /p+d/p≦5 (4)
  10. 前記第一の値dが5μm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の磁気センサー。
  11. 前記磁気測定素子は、磁気抵抗効果素子、ホール素子、磁気抵抗素子および磁気インピーダンス素子からなる群から選ばれる1種または2種以上からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気センサー。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載される磁気センサーを備える電流センサー。
  13. 前記磁気センサーが備える第一のコイルおよび第二のコイルの少なくとも一方は、測定時に被測定電流が流れるものである、請求項12に記載の電流センサー。
  14. 前記磁気センサーが備える第一のコイルおよび第二のコイルの少なくとも一方は、被測定電流による誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイルである、請求項12または13に記載の電流センサー。
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