JPWO2016017325A1 - 内視鏡、放熱線状物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、管部20と、該管部20内の発熱体40と、該発熱体40に接続されたグラファイト製熱伝導体43とを有しており、前記熱伝導体43は、グラファイトシート又はその積層体であって、このグラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上である。また、本発明は、グラファイトシート又はその積層体の一部が互いに重なるようにらせん状に巻いた放熱線状物であって、このグラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下である。

Description

本発明は、放熱効率のよい内視鏡であって、具体的には熱伝導体としてグラファイトシートを用いた内視鏡に関するものである。
また、本発明は、放熱効率のよい放熱線状物であって、具体的には放熱部材としてグラファイトシートを用いた放熱線状物に関するものである。
さらに、本発明は、前記グラファイトシート、その積層体又は前記放熱線状物などを用いた、グラファイト被覆光ファイバー、グラファイト被覆光配線ケーブル、ヒートパイプ、電子機器、医療機器、及びレーザーメスにも関するものである。
近年、医療分野においては、単に病気を治すだけでなく、患者の負担を可能な限り低減して診断、治療、手術などの医療行為を行うという低侵襲医療の考え方が浸透してきている。この低侵襲医療に欠かせない医療機器の一つに内視鏡がある。内視鏡は、口、鼻や体表の開口部などから内視鏡を体腔内に挿入することにより臓器を直接診断できるものである。医療現場において内視鏡が積極的に活用されるのに伴い、小型でかつ解像度などの性能が向上した内視鏡が開発されている。内視鏡では、使用時に光を照射するLEDなどの照明素子やCCDなどの撮像素子が発熱するため、温度が上昇する。しかしながら、内視鏡は体腔内に挿入して用いられるため、患者にやけどを生じさせることがないよう効率的に放熱して温度上昇を抑制する必要がある。また、内視鏡の発熱は、内視鏡の性能低下や誤動作を生じさせるという課題も有している。
内視鏡内で発生する熱を逃がすための熱伝導材料としては、従来アルミや銅などの金属材料が用いられてきた。しかしながら、アルミや銅の熱伝導率は、それぞれ220W/m・K、400W/m・Kであってそれほど高いとはいえず、さらに金属材料であるため、内視鏡の重量が増加する欠点がある。このことから、内視鏡の熱伝導材料として、比重が小さく、かつ熱伝導率の高い材料が望まれていた。
特許文献1には、グラフェン層を熱伝導材として使用することが開示されている。このグラフェン層は、c軸に垂直な方向の熱伝導率が400〜1600W/m・Kであり、従来用いてきた金属材料に比べて高いという特性を有している。
また、特許文献2には、導電体のシールド層としてグラファイトシートを用いた高熱伝導ケーブルが開示されている。
特許文献3には、光送信部および光受信部で発生する熱を放散する放熱線状物を備えた光配線ケーブルが開示されている。
特開2009−56107号公報 特開2013−66542号公報 特開2010−276853号公報
M.Murakami,et al.,Carbon,30,255(1992) Y.Hishiyama,A.Yoshida,Y.Kaburagi 炭素 254,176(2012) 横堀勉、堀野直治著、電子機器設計者のための放熱技術入門、日刊工業新聞社、2011年2月25日、p.12−21
しかしながら、特許文献1に記載されたグラフェン層の熱伝導率は不十分であり、内視鏡の発熱量が大きくなった場合には、内視鏡の性能低下や誤動作を引き起こすおそれがあった。
また、特許文献2および3に記載されたケーブルに用いられている放熱部材についても、熱伝導率などの放熱性を改良する必要があった。
本発明は、軽量で、かつ高い熱伝導率を有するグラファイトシートを熱伝導体として用いた内視鏡を提供することを目的とする。
また、本発明は、軽量で、かつ高い熱伝導率を有するグラファイトシートを放熱部材として用いた放熱線状物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記グラファイトシート、その積層体又は前記放熱線状物などを用いた、グラファイト被覆光ファイバー、グラファイト被覆光配線ケーブル、ヒートパイプ、電子機器、医療機器、及びレーザーメスを提供することも目的として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために、グラファイトシートの熱伝導率を高めることについて詳細な検討を行った。その結果、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であるグラファイトシートを作製することに成功し、このような特性を持つグラファイトシートを熱伝導体として用いれば、内視鏡の放熱効果を高められることに想到した。
また、本発明者らは上記検討において、グラファイトの高い熱伝導率をさらに生かした放熱部材を得るために、グラファイトが有する他の特性に着目できないかと考えた。新たな放熱部材を開発することができれば、放熱設計に必要な放熱部材の選択肢を増やすことができるからである。鋭意検討の結果、本発明者らは非常に薄いグラファイトシートを用いれば、容易に加工することができると考えた。そして、グラファイトシートをらせん状に巻いて線状物にした放熱部材にすれば、グラファイトの高い熱伝導率を保持したまま機械的な強度を大きくできることに想到した。
さらに、本発明者らは、上記グラファイトシートや、グラファイトシートを用いた上記線状物を光ファイバー、光配線ケーブル、ヒートパイプ、電子機器、医療機器、及びレーザーメスに適用すれば、これらの機器の性能の低下や破損を防止でき、機器の使用感を向上できることに想到した。
すなわち、前記課題を解決することができた本発明の内視鏡は、管部と、該管部内の発熱体と、該発熱体に接続されたグラファイト製熱伝導体とを有しており、前記熱伝導体は、グラファイトシート又はその積層体であって、このグラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であることを特徴とする。内視鏡の熱伝導体にグラファイトシートを用いることによって、内視鏡を軽量化でき、しかも内視鏡での発熱を効率よく放熱することが可能であるため、内視鏡の性能低下、誤動作の発生、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
本発明に係るグラファイトシートは、芳香族高分子を成膜して厚さ120nm以上18μm以下のフィルムにし、このフィルムを炭素化した後、温度3000℃以上でゲージ圧力0.10MPa以上で熱処理することによって得られるものであることが好ましい。このような製造条件に設定することにより、高熱伝導率を有するグラファイトシートを得ることができる。
本発明に係るグラファイトシートの密度が1.8g/cm3以上であることが好ましい。グラファイトシートの密度が上記範囲にあれば、グラファイトシート中には欠損や空洞がなく、非常に密な構造をしているといえるため、高熱伝導性のグラファイトシートを得ることができる。
本発明に係るグラファイトシートの平均結晶粒径が1.8μm以上であることが好ましい。通常、結晶粒が大きいほど熱伝導率が向上するが、本発明のように高品質グラファイトの場合、平均結晶粒径が1.8μm以上であれば、優れた熱伝導率特性を得ることができる。
本発明に係るグラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下であることが好ましい。グラファイトシートが薄ければ薄いほど、高分子焼成法によるグラファイトシート製造において、シート全体に整ったグラファイト構造ができやすいため、高い熱伝導率を示すグラファイトシートを得ることができる。
本発明に係る内視鏡は、前記管部に接続された操作部を有しており、前記グラファイト製熱伝導体の一端は前記発熱体に接続されて、他端が前記発熱体よりも前記操作部側の金属部材に接続されていることが好ましい。操作部側の金属部材には熱源が存在しないため、操作部側の金属部材の温度は、発熱体の温度よりも小さい。そうすると、発熱体で発生した熱は、グラファイト製熱伝導体により操作部側の金属部材に伝達されて、徐々に放熱される。これにより、発熱体で発生した熱の蓄積による内視鏡の性能低下、誤動作の発生、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
本発明に係るグラファイト製熱伝導体は、前記発熱体にらせん状に巻き付けられており、前記グラファイト製熱伝導体の少なくとも一部が互いに重なり合っていることが好ましい。このように発熱体にグラファイト製熱伝導体を配置することにより、放熱面積を大きくすることができる。また、らせん方向だけでなく、らせん軸方向にも熱伝導がなされるため、放熱を速やかに行うことができる。
本発明に係るグラファイト製熱伝導体(好ましくは長方形(長さ方向>幅方向)のグラファイト製熱伝導体)により形成されるらせん部において、隣接するグラファイト製熱伝導体は互いに重なり合っていることが好ましい。上述した様に、らせん軸方向への熱伝導も可能となり、らせん方向への伝導と相まって放熱性を高めることができる。
巻回数が1.5以上のロール状に形成されたグラファイト製熱伝導体の内側面が、発熱体と接続していることも好ましい。発熱体の熱は、グラファイト製熱伝導体の内側面から伝わることにより放熱される。巻回数が1.5以上であればグラファイト製熱伝導体の一部が互いに重なり合うことになるため熱伝導が起こりやすく、放熱量も大きくすることができる。
本発明に係る発熱体は、撮像素子と、照明部のいずれか一方を少なくとも含むことが好ましい。
本発明に係る内視鏡は、前記撮像素子と、前記照明部との間に、第2グラファイト製熱伝導体が配置されていることが好ましい。撮像素子と照明部はいずれも熱源であるため、撮像素子と照明部の間には熱が蓄積しやすいが、第2グラファイト製熱伝導体を配置することにより、撮像素子と照明部の間に蓄積する熱を放熱することができるため、内視鏡の性能低下や誤動作の発生を防止できる。
本発明に係る内視鏡は、前記発熱体の外側であって前記管部の内側面に、第3グラファイト製熱伝導体が配置されていることが好ましい。内視鏡の管部は人体内に挿入されるものであるため、できる限り発熱を抑えることが必要である。発熱体の外側であって管部の内側面に第3グラファイト製熱伝導体が配置されていれば、管部外側面への熱伝導が起こりにくくなる。そうすると、人体内で接触する内視鏡の管部の温度を抑えることができるため、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
上記課題を解決することができた本発明の放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を少なくとも一部が互いに重なるようにらせん状に巻いた放熱線状物であって、前記グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下であることを特徴とする。本発明の放熱線状物は、グラファイトシートを使用しているため軽量であり、熱伝導率が高い。上記範囲の厚さのグラファイトシートは、特に高い熱伝導率を得ることができる。また、このような厚さのグラファイトシートは加工性に優れているため、らせん状に巻いて線状物にすることが可能である。グラファイトシートを線状物にすれば、機械的強度を大きくすることができる。さらに、この放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を一部が互いに重なるようにらせん状に巻いたものであるため、放熱面積を大きくすることができる。
本発明に係るグラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であることが好ましい。グラファイトシートの熱伝導率が上記の範囲にあれば、効率よく放熱することができる。
本発明に係るグラファイトシートは、芳香族高分子を成膜して厚さ120nm以上18μm以下のフィルムにし、このフィルムを炭素化した後、温度3000℃以上でゲージ圧力0.10MPa以上で熱処理することによって得られるものであることが好ましい。このような製造条件に設定することにより、高熱伝導率を有するグラファイトシートを得ることができる。
放熱線状物が複数互いに編み込まれて形成されたグラファイト製放熱部材も本発明の態様に含まれる。このように複数の放熱線状物を編み込むことで、放熱面積を大きくすることができるため、放熱効率を上げることができる。
本発明には、放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた光ファイバーとから構成されるグラファイト被覆光ファイバーである態様も含まれる。これにより、光ファイバーで発生した熱を放熱することができるため、光ファイバーの性能の低下や破損を防止することができる。
本発明に係るグラファイト被覆光配線ケーブルは、放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた複数本の光ファイバーとから構成される。これにより、光ファイバーで発生した熱を放熱することができるため、光配線ケーブルの性能の低下や破損を防止することができる。
厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が周囲に巻き付けられたヒートパイプである態様も本発明に含まれる。これにより、ヒートパイプ内部の作動液の環流が早まるため、ヒートパイプの熱伝導特性を向上することができる。
本発明に係る電子機器は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、発熱体で発生した熱を放熱することができるため、電子機器の性能の低下、誤動作、破損や機器の使用感の悪化を防止することができる。
本発明に係る医療機器は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、医療機器の発熱体で発生する熱を放熱することができるため、医療機器の性能の低下、誤動作、破損、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
本発明に係る内視鏡は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、内視鏡の発熱体で発生する熱を放熱することができるため、LEDなどの照明素子が損傷して照明光の輝度が落ち、映像が不鮮明になること、発熱体の寿命が短くなって長時間の使用が困難になること、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
本発明に係るレーザーメスは、発熱体と、該発熱体に接続された厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物とを有する。これにより、レーザーメスで発生する熱を放熱できるため、レーザーメスの使用感が向上し、また、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
本発明の内視鏡は、熱伝導体として、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上のグラファイトシート又はその積層体を用いているため、内視鏡での発熱を効率よく放熱することができ、発熱体で発生した熱の蓄積による内視鏡の誤動作や破損が生じることを防止できる。
また、本発明の放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を一部が互いに重なるようにらせん状に巻いた放熱線状物であって、前記グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下である。本発明の放熱線状物は、グラファイトシートを使用しているため軽量であり、熱伝導率が高い。上記範囲の厚さのグラファイトシートは、特に高い熱伝導率を得ることができる。また、このような厚さのグラファイトシートは加工性に優れているため、らせん状に巻いて線状物にすることが可能である。グラファイトシートを線状物にすれば、機械的強度を大きくすることができる。この放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を一部が互いに重なるようにらせん状に巻いたものであるため、放熱面積を大きくすることができる。
さらに、上記グラファイトシートや、上記放熱線状物を放熱部材として適用した光ファイバー、光配線ケーブル、ヒートパイプ、電子機器、医療機器、及びレーザーメスは、機器の性能の低下や破損を防止でき、機器の使用感を向上できるものである。
図1は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の先端部の構成を示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る内視鏡にグラファイト製熱伝導体が設けられる場合において、内視鏡の軸方向に直交する方向の断面図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の発熱体に、グラファイト製熱伝導体をらせん状に巻き付ける例を示す側面図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る内視鏡に第2グラファイト製熱伝導体が設けられる場合の内視鏡の軸方向に直交する方向の断面図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る内視鏡に第3グラファイト製熱伝導体が設けられる場合の内視鏡の軸方向に直交する方向の断面図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る放熱線状物の形成方法の例を示す平面図である。 図8は、本発明の実施の形態に係るグラファイト製放熱部材の平面図であり、図8(a)は放熱線状物を巻編みした場合の平面図であり、図8(b)は放熱線状物を平編みした場合の平面図である。 図9は、本発明の実施の形態に係るグラファイト被覆光ファイバーの側面図と断面図であり、図9(a)は放熱線状物が設けられたグラファイト被覆光ファイバーの側面図であり、図9(b)は図9(a)のグラファイト被覆光ファイバーのA−A線に沿った断面図である。 図10は、本発明の実施の形態に係るグラファイト被覆光配線ケーブルの軸方向と直交する方向の断面図であり、図10(a)は、押え巻と外被との間に放熱線状物が設けられる場合の断面図であり、図10(b)は図10(a)に加えて光ファイバーの周囲に放熱線状物が設けられる場合の断面図である。 図11は本発明の実施の形態に係るヒートパイプの断面図であり、図11(a)はヒートパイプの軸方向に沿った断面図であり、図11(b)は図11(a)のヒートパイプのA−A線に沿った断面図である。 図12は、本発明の実施の形態に係るヒートパイプの周囲に放熱線状物が巻き付けられた場合の側面図である。 図13は、本発明の実施の形態に係るレーザーメスの斜視図である。 図14は、本発明の実施の形態に係るレーザーメスの軸方向に沿った断面図(一部側面図)である。 図15は、本発明の実施例3で得られたグラファイトシートの断面TEM写真である。
本発明には、内視鏡(第一態様、第九態様)、放熱線状物(第二態様)、グラファイト製放熱部材(第三態様)、グラファイト被覆光ファイバー(第四態様)、グラファイト被覆光配線ケーブル(第五態様)、ヒートパイプ(第六態様)、電子機器(第七態様)、医療機器(第八態様)、レーザーメス(第十態様)が包含される。
いずれの態様も高熱伝導率を有するグラファイトシート、その積層体や放熱線状物を使用するものであり、第一態様の内視鏡に示されるグラファイトシートや積層体等の全内容は、第一態様以外の態様にも適用される。
1.内視鏡(第一態様)
本発明の実施の形態に係る内視鏡は、管部と、該管部内の発熱体と、該発熱体に接続されたグラファイト製熱伝導体とを有しており、前記熱伝導体は、グラファイトシート又はその積層体であって、このグラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であることを特徴とする。内視鏡の熱伝導体にグラファイトシートを用いることによって、内視鏡を軽量化でき、しかも内視鏡での発熱を効率よく放熱することが可能であるため、内視鏡の性能低下、誤動作の発生、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
内視鏡は、体腔内に挿入されて体腔内の検査、診断、治療を行うものである。内視鏡の体腔内への挿入方法は、鼻、口、肛門などの開口部から挿入する方法と、体表に穴を開けて挿入する方法とがある。内視鏡は、例えば、胃カメラ、ファイバースコープ、電子内視鏡などに用いられる。
本発明の内視鏡は、管部と、該管部内の発熱体と、該発熱体に接続されたグラファイト製熱伝導体を有している。管部は、人体の体腔内に挿入される部分であり、全体が細長い管状の形状をしている。
本発明において発熱体とは、電気エネルギーや光エネルギー等が熱エネルギーに変換されて、管部内で熱を発生させる部材や部品のことであり、例えば、CCDやCMOSに代表される撮像素子、LEDやLDといった照明素子などの半導体素子、光ケーブルがあげられる。
グラファイト製熱伝導体とは、発熱体で発生する熱を放熱するために、発熱体に接続されるものである。本発明において熱伝導体として用いられるグラファイトの結晶の基本的な構造は、六角網目状に結ばれた炭素原子のつくる基底面が規則正しく積み重なった層状構造(層が積み重なった方向をc軸と言い、六角網目状に結ばれた炭素原子のつくる基底面の広がる方向をBasal面(a−b面)方向と言う)である。基底面内の炭素原子は共有結合で強く結ばれ、一方、積み重なった層面間の結合は弱いファンデルワールス力で結合しており、理想的な構造での層間距離は0.3354nmである。グラファイトにおける電気伝導度や熱伝導率はこのような異方性を反映してa−b面方向に大きく、この方向の電気伝導度や熱伝導率はグラファイトの品質を判定する良い指標となる。
本発明の熱伝導体はグラファイトシート又はその積層体である。グラファイトシートの積層体とは、複数のグラファイトシートを重ね合わせて、直接又は間接にグラファイトシート同士を固定したものである。積層体は2層以上のグラファイトシートであるが、積層されるグラファイトシートの数が多ければ多いほど、放熱可能な熱量を大きくすることができる。従って、グラファイトシートの積層数は、3層以上であることが好ましく、5層以上であることがより好ましく、7層以上であることがさらに好ましく、10層以上であることが最も好ましい。後述するが、本発明のグラファイトシートの好ましい厚さは50nm超9.6μm以下であるため、熱伝導体にグラファイトシートの積層体を用いても内視鏡を小型化することが可能である。グラファイトシートを積層するには、2500℃以上の温度領域で100gf以上の圧力を印加して高温プレスすれば良い(非特許文献1)。
グラファイトシートの面積は4mm2以上である。なお、ここで言うシートの面積は以下の検討によって決定したものである。即ち、我々はまず正方形の形状のシートを作製して熱伝導率の測定を行った。シートの形状が正方形の場合4mm2以上の面積の試料では1950W/m・Kを超える高熱伝導率の発現が可能であったが、例えば2.25mm2の場合には1950W/m・Kを超えることは困難であった。同様に長方形の試料では4mm2の場合には1950W/m・Kを超えることが可能であったが、3mm2や2mm2の大きさの試料の場合には1950W/m・Kを超えることは困難であった。これらの結果から本発明の手法により高熱伝導性を発現するためには試料の面積は4mm2以上が好ましいと結論した。
このようにグラファイトシートの熱伝導率の値が試料サイズによって変わることは一般には理解し難いが、近年μmサイズのグラフェンやグラファイトフレークの熱伝導率が測定された結果、これらの試料ではその熱伝導率が試料のサイズによって変わることが報告されている。これはフォノンの試料端面での反射によりその熱伝導が妨げられることが原因であると説明されている。本発明のグラファイトシートの高熱伝導性も熱伝導のほとんどがフォノンによると考えられる。従って、上記のグラフェンやグラファイトフレークと同様に本発明の高熱伝導性グラファイトの場合でもフォノンの試料端面での反射によってその熱伝導率が低下するものと思われる。ただし、上記のグラフェンやグラファイトフレークではその熱伝導率の向上効果がμmサイズの試料で現れるのに対して、本発明の場合には熱伝導率への影響がmmサイズの試料でも現れるという大きな違いがある。これは全く新しい知見であり、本発明のポイントでもある。なおグラファイトシートの面積は、面積4mm2以上の試料の切り出しが可能である限り特に限定されず、例えば、100mm2以上であってもよく、150mm2以上であってもよく、200mm2以上であってもよい。また該シート面積の上限は特に限定されないが、例えば、1000mm2以下でもよく、500mm2以下でもよい。
本発明のグラファイトシートは、温度25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上のものであるが、熱伝導率は、好ましくは1960W/m・K以上であり、より好ましくは2000W/m・K以上であり、さらに好ましくは2050W/m・K以上であり、特に好ましくは2080W/m・K以上であり、最も好ましくは2100W/m・K以上である。また熱伝導率は、例えば、2400W/m・K以下であってもよく、2300W/m・K以下であってもよい。従来、熱伝導体に用いられていたグラフェン層の熱伝導率400〜1600W/m・Kを上回る熱伝導率を有しているため、内視鏡で発生する熱を効率よく放熱することができる。
以下、内視鏡の構造について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の斜視図である。管部20は、人体の体腔に挿入される部分から順番に、先端部21、湾曲部22、可撓管部23を有しており、可撓管部23の湾曲部22側と反対側に操作スイッチ51を有する操作部50と接続部60が設けられる。接続部60は、内視鏡10と周辺装置とを接続するために、操作部50の可撓管部23側と反対側に設けられる。接続部60は、ユニバーサルコード61により画像表示装置71、プロセッサ装置72、光源装置73、送気・送水装置74とそれぞれ接続される。
図2は本発明の実施の形態に係る内視鏡10の管部20の先端部21の構成を示す平面図である。管部20の先端部21は筒状の形状をしている。管部20の先端部21を図1のX方向から見ると、図2に示すように上部中央から時計回りに観察窓30、照明窓31、送気・送水口32、吸引口33を兼ねた鉗子口34、照明窓31が配置されている。観察窓30の奥側(操作部50側)には、対物レンズおよび撮像素子が配され、照明窓31の奥側(操作部50側)には、照明部が設けられる。送気・送水口32は、観察窓30を洗浄するための液体を出したり、観察しやすくするために体腔内を膨らませる空気などの気体を送り込むために設けられる。吸引口33は、体腔内の液体を吸引するために設けられ、鉗子口34は鉗子を出し入れするために設けられる。内視鏡10の管部20を軸方向から見たときの観察窓30、照明窓31、送気・送水口32、吸引口33、鉗子口34の位置関係は特に限定されないが、観察をしやすくするために観察窓30と隣接する位置に照明窓31が設けられることが好ましい。なお、図2では、観察窓30の両側に照明窓31が2つ設けられているが、照明窓31は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
撮像素子は、画素内のフォトダイオードに入射した光を、その強弱に応じた電荷量に変換し、増幅するものである。先端部21の観察窓30を図1のX方向から見ると、観察窓30の奥側(操作部50側)には対物レンズが配されて、対物レンズのさらに奥側(操作部50側)には撮像素子が設けられる。対物レンズは、体腔内の被観察部位からの光を集めて撮像素子の表面で結像させる。また、撮像素子の一面には回路基板が設けられており、回路基板では、撮像素子からの出力信号をプロセッサ装置72に転送したり、撮像素子を動作させるための入力信号を伝達したりする。撮像素子としては、CCDやCMOSなどを用いることができる。撮像素子を駆動させると駆動熱が発生するが、この駆動熱の放熱を効率よく行わないと、撮像素子を構成するトランジスタ等の能動素子の適正動作温度範囲から外れるため処理速度が落ちるなど、内視鏡の性能が低下することがある。
照明部は、管部20の先端部21に照明窓31と、照明窓31の奥側(操作部50側)に導光路を有している。導光路は、光源装置73で発生させた光を先端部21に導く。照明光を観察部位に照射するときに光源装置73に設けられるLEDなどの照明素子により光電変換の損失が発生するため、照明部は発熱する。この熱を効率良く放熱しないと、照明素子が損傷して照明光の輝度が落ち、映像が見難くなる、長時間の撮像が困難になるといった問題が発生する。
操作性の観点から、照明光の入切は操作部に設けられる操作スイッチで行えることが好ましい。
導光路の種類は使用する光源の種類に応じて選択すればよいが、例えば、光ファイバー、反射鏡を内蔵した多関節の金属パイプ、フレキシブル伝送路などを用いることができる。
発熱体は、撮像素子と、照明部のいずれか一方を少なくとも含むことが好ましい。上述したとおり、撮像素子と照明部は発熱するが、撮像素子や照明部で発生する熱は、内視鏡の性能の低下だけでなく、部品の交換や保守頻度の増加や短命化に直結する。また、内視鏡内で過度に蓄熱がなされると、最悪の場合、やけど、発煙、発火に至る可能性もある。このため、内視鏡において効率よく放熱を行うことは極めて重要である。
管部20の先端部21には、鉗子を出し入れするための鉗子口34が設けられており、操作部50で鉗子口34の開閉および鉗子の操作を行うことができる。鉗子は、手術などの外科的処置に用いられる器具であり、組織を挟んで固定したり、引っ張ったりするのに用いられる。また、先端部21には、体腔内の液体を吸い上げるための吸引口33が設けられている。鉗子口34は吸引口33と別に設けられてもよいし、鉗子口34が吸引口33を兼ねるように設けられてもよい。鉗子口34が吸引口33を兼ねていれば、先端部21を小型化することができる。
管部20の湾曲部22は、先端部21よりも操作部50側に配設されて、管部20を体腔内に挿入するときの角度を変更するためのものである。湾曲部22は、複数の関節駒が接続された形状をしており、操作部50の角度調節手段とワイヤで接続されている。操作部50の角度調節手段を回して、ワイヤを引っ張ったり、緩めたりすることにより、湾曲部22が上下左右方向に湾曲するため、360度方向から体腔内を観察することができる。
管部20の可撓管部23は、湾曲部22よりもさらに操作部50側に配置されて、体腔内の観察部位まで管部20の先端部21を移動させるものである。可撓管部23は、体腔内の形状にあわせて曲げるために可撓性を有していることが好ましい。また、可撓管部23は体腔内に挿入しても十分な長さを有していることが好ましい。
本発明の内視鏡10は、管部20に接続されて内視鏡10の操作を行う操作部50を有していることが好ましい。操作部50では、湾曲部22の角度調節、照明光・吸引・送気・送水などの入切操作を行うことができる。
画像表示装置71は、内視鏡10からの画像を表示するものである。例えば、据え置き型のディスプレイ、頭部装着型のディスプレイなどがある。図1には、据え置き型のディスプレイが示されている。
プロセッサ装置72は、撮像素子からの出力信号を処理して映像信号に変換し、画像表示装置71に表示させるものである。また、プロセッサ装置72は各装置と接続されているため、操作部50を操作することにより、操作部50からの制御信号に基づき各装置の制御を行うことができる。
光源装置73は、照射光の光源や集光レンズなどの集光光学系などを備えている。光源装置73で発生した光は集光レンズにより集光されて、グラスファイバーや光ファイバーなどを介して先端部21に導かれる。光源としては、例えば、LED(発光ダイオード)、LD(レーザーダイオード)、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
送気・送水装置74は、先端部21の送気・送水口32と接続されており、観察窓30を洗浄するための液体や、体腔内を膨らませるための空気などの気体を供給する。
以下に本発明の詳細について述べるが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
<高分子原料>
最初に本発明に用いられる高分子フィルム原料について記述する。本発明のグラファイト作製に好ましく用いられる高分子原料として、芳香族高分子であることが好ましく、芳香族高分子が、ポリアミド、ポリイミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリキナゾリンジオン、ポリベンゾオキサジノン、ポリキナゾロン、ベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマー、およびこれらの誘導体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらのフィルムは公知の製造方法で製造すればよい。特に好ましい芳香族高分子として芳香族ポリイミド、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンオキサジアゾールを例示することができる。中でも以下に記載する酸二無水物(特に芳香族酸二無水物)とジアミン(特に芳香族ジアミン)からポリアミド酸を経て作製される芳香族ポリイミドは本発明のグラファイト作製のための原料高分子として特に好ましい。
本発明のグラファイト作製のために好ましい芳香族ポリイミドフィルムの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独または任意の割合の混合物で用いることができる。特に非常に剛直な構造を有した高分子構造を持つほどポリイミドフィルムの配向性が高くなること、さらには入手性の観点から、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。さらにポリイミドフィルムの配向性を高くすること、入手性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが特に好ましい。
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を有機溶媒中に溶解させて、得られた原料溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35質量%、好ましくは10〜30質量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
前記原料溶液中の酸二無水物とジアミンとは実質的に等モル量にすることが好ましく、モル比は、例えば、1.5:1〜1:1.5、好ましくは1.2:1〜1:1.2、より好ましくは1.1:1〜1:1.1である。
<ポリイミドの合成、製膜>
ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類の両方又は片方をイミド化促進剤として用い、イミド転化するケミカルキュア法があるが、そのいずれを用いても良い。得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折率が大きくなりやすく、フィルムの焼成中に張力をかけたとしても破損することなく、また、品質の良いグラファイトを得ることができるという点からケミカルキュア法が好ましい。
本発明のグラファイトシートは厚さが50nm超9.6μm以下の範囲であることが好ましいが、このような範囲のグラファイトシートを得るためには原料高分子フィルムの厚さは120nm以上18μm以下の範囲であることが好ましい。これは、最終的に得られるグラファイトシートの厚さは、一般に出発高分子フィルムが1μm以上では厚さの60〜30%程度となり、1μm以下では50〜20%程度となることが多いことによっている。従って、最終的に本発明の50nm超9.6μm以下の厚さのグラファイトシートを得るためには、出発高分子フィルムの厚さは18μm以下、120nm以上の範囲であることが好ましいと言うことになる。出発高分子フィルムの厚さは、例えば、15μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは6μm以下、最も好ましくは4μm以下であってもよい。出発高分子フィルムの厚さは、好ましくは120nm以上、より好ましくは150nm以上である。一方、長さ方向は100〜70%程度に縮小することが多い。
前記高分子フィルムは、前記高分子原料又はその合成原料から公知の種々の手法によって製造できる。例えば、本発明のポリイミドフィルムは、上記ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液をエンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。具体的にケミカルキュアによるフィルムの製造法は以下のようになる。まず上記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量のイミド化促進剤を加え支持板やPET等の有機フィルム、ドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、有機溶媒を蒸発させることにより自己支持性を有する膜を得る。次いで、これを更に加熱して乾燥させつつイミド化させポリイミドフィルムを得る。加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲の温度が好ましい。さらに、ポリイミドの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり、延伸したりする工程を含むことが好ましい。これは、分子構造およびその高次構造が制御されたフィルムを用いることでグラファイトへの転化がより容易に進行する、と言うことによっている。すなわち、グラファイト化反応をスムーズに進行させるためには炭素前駆体中の炭素分子が再配列する必要があるが、配向性にすぐれたポリイミドではその再配列が最小で済むために、低温でもグラファイトへの転化が進み易いと推測される。
<炭素化・グラファイト化>
次に、ポリイミドに代表される高分子フィルムの炭素化・グラファイト化の手法について述べる。本発明では出発物質である高分子フィルムを不活性ガス中で予備加熱し、炭素化を行う。不活性ガスは、窒素、アルゴンあるいはアルゴンと窒素の混合ガスが好ましく用いられる。予備加熱は通常1000℃程度で行う。通常ポリイミドフィルムは500〜600℃付近で熱分解し、1000℃付近で炭素化する。予備処理の段階では出発高分子フィルムの配向性が失われないように、フィルムの破壊が起きない程度の面方向の圧力を加えることが有効である。
上記の方法で炭素化されたフィルムを高温炉内にセットし、グラファイト化を行なう。炭素化フィルムのセットはCIP材やグラッシーカーボン基板に挟んで行うことが好ましい。グラファイト化は通常2600℃以上または2800℃以上の高温で行われるが、このような高温を作り出すには、通常グラファイトヒーターに直接電流を流し、そのジュ−ル熱を利用して加熱を行なう。グラファイト化は不活性ガス中で行なうが、不活性ガスとしてはアルゴンが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えても良い。処理温度は高ければ高いほど良質のグラファイトに転化できる。熱分解と炭素化によりその面積は元のポリイミドフィルムより約10〜40%程度収縮し、グラファイト化の過程では逆に約10%程度拡大することが多い。このような収縮、拡大によってグラファイトシート内には内部応力が発生しグラファイトシート内部にひずみが発生する。このようなひずみや内部応力は3000℃以上で処理することにより緩和されてグラファイトの層が規則正しく配列し、さらに熱伝導率が高くなる。本発明のグラファイトを得るためには2600℃では不足で、処理温度は3000℃以上が好ましく、3100℃以上の温度で処理することはより好ましく、3200℃以上であることは最も好ましい。無論、この処理温度はグラファイト化過程における最高処理温度としても良く、得られたグラファイトシートをアニーリングの形で再熱処理しても良い。なお熱処理温度の上限は、例えば、3700℃以下、好ましくは3600℃以下、より好ましくは3500℃以下である。当該処理温度での保持時間は、例えば、20分以上、好ましくは30分以上であり、1時間以上であってもよい。保持時間の上限は特に限定されないが、通常、5時間以下、特に3時間以下程度としてもよい。温度3000℃以上で熱処理してグラファイト化する場合、高温炉内の雰囲気は前記不活性ガスによって加圧されているのが好ましい。熱処理温度が高いとシート表面から炭素の昇華が始まり、グラファイトシート表面の穴、われの拡大と薄膜化などの劣化現象が生じるが、加圧することによってこのような劣化現象を防止でき、優れたグラファイトシートを得ることができる。不活性ガスによる高温炉の雰囲気圧力(ゲージ圧)は、例えば、0.10MPa以上、好ましくは0.12MPa以上、さらに好ましくは0.14MPa以上である。この雰囲気圧力の上限は特に限定されないが、例えば、2MPa以下、特に1.8MPa以下程度であってもよい。
熱伝導率の大きいグラファイトシートは、シート中に欠損や空洞がない、非常に密な構造である。欠損や空洞がグラファイトシート中に入ると、密度が小さくなり、熱伝導率が低下する傾向がある。このことから、グラファイトシートの密度は大きいことが好ましい。具体的には、密度が1.8g/cm3以上であることが好ましく、1.9g/cm3以上であることがより好ましく、2.0g/cm3以上であることがさらに好ましい。密度は、例えば2.5g/cm3以下であり、好ましくは2.3g/cm3以下である。
高熱伝導率を実現するためには、グラファイトシートの平均結晶粒径(ドメインサイズ)は1.8μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、4μm以上であることは最も好ましい。通常、結晶粒が大きくなると熱伝導率が向上することが知られている。これは熱伝導に寄与するフォノンが結晶粒界で散乱され、粒径が大きくなるほどフォノンの散乱が減るためである。現在報告されている高配向性熱分解グラファイト(HOPG)の平均結晶粒径は5〜20μmで熱伝導率は1800〜1950W/m・Kであることが知られている。従って、1950W/m・Kを超える高熱伝導性グラファイトの平均結晶粒径が1.8μm以上であれば良いということとは矛盾しているように思われる。
しかしながら、このことは以下のように説明できる。すなわち、グラファイトシートの場合ドメインサイズが520nm以下の比較的品質の劣るグラファイトの場合には平均結晶粒径が熱伝導率に比例するが、高品質グラファイトではフォノンによる散乱はこのような小さなサイズの結晶粒径には依存しなくなることが知られている。これは、高品質グラファイトではほとんどウムクラップ過程という散乱のみとなるためであると解釈されている(非特許文献2)。このことは本発明の高熱伝導性グラファイトシートのドメインサイズが1.8μm以上であれば、熱伝導率が1950W/m・K以上の優れた熱伝導特性出現が十分に可能であることを示している。
本発明のグラファイトの平均結晶粒径(ドメインサイズ)は、例えば、10μm以下であってもよく、7μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。また該平均結晶粒径(ドメインサイズ)は、グラファイトシートの厚みの0.1倍以上が好ましく、より好ましくは1倍以上、さらに好ましくは2倍以上である。
本発明によるグラファイトシートは薄いほど高熱伝導率に優れやすいという観点から9.6μm以下が好ましい。これは以下のように考えられる。すなわち、高分子焼成法によるグラファイトシート製造において、グラファイト化反応は高分子炭素化シート最表面層でグラファイト構造が形成され、膜内部に向かってグラファイト構造が成長すると考えられている。グラファイトシートの膜厚が厚くなると、グラファイト化時に炭素化シート内部のグラファイト構造が乱れ、空洞や欠損ができやすくなる。反対にシートが薄くなればシート表面のグラファイト層構造が整った状態で内部までグラファイト化が進行し、結果としてシート全体に整ったグラファイト構造ができやすい。上記のようにグラファイト層構造が整っているため、高い熱伝導率を示すグラファイトシートになると考えられる。
一方、本発明の作製方法ではグラファイトシートの厚さが50nm以下になると高熱伝導性が発現し難くなる。その理由は必ずしも明確ではないが、本発明の方法で作製したグラファイトシートは50nm以下になると柔軟性には富むものの弾力性には欠けるものとなる。グラファイトシートの熱伝導はそのほとんどが格子振動(フォノン)によって起こることが知られていることから、フィルムの弾力性が減少することが高熱伝導性発現の妨げになっていると推定している。50nm以下の厚さで弾力性に富むグラファイトシートを作製することは難しい。したがって、本発明によるグラファイトシートの厚さは50nm超であることが好ましい。
以上述べたように、本発明のグラファイトシートの厚さの範囲は50nm超9.6μm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm超7.5μm以下であり、さらに好ましくは100nm以上6.5μm以下であり、さらにより好ましくは100nm以上5.0μm以下であり、特に好ましくは200nm以上3.0μm以下であり、最も好ましくは200nm以上2.0μm以下である。グラファイトシートの厚さが9.6μmより大きいと、グラファイト化時に炭素化シート内部のグラファイト構造が乱れ、空洞や欠損ができやすくなることがあるので好ましくない。また、50nm以下であると、柔軟性には富むものの弾力性には欠け、高熱伝導性発現の妨げになることがあるので好ましくない。
本発明のグラファイト製熱伝導体の形状は特に限定されず、例えば、長方形や先細りの台形などの多角形でもよいし、これらを組み合わせた形状でもよい。グラファイト製熱伝導体の形状が長方形であれば製造が容易である。グラファイト製熱伝導体が台形状であれば、台形の底辺のうち短辺側を管部の先端部側にある発熱体に接続させて、放熱面積が大きい長辺側を管部の操作部側の部材に接続することができるため、発熱体の放熱効果を高めることができる。
内視鏡の軸方向と直交する断面において、グラファイト製熱伝導体は発熱体の外周に設けられることが好ましい。図3は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の発熱体の外周にグラファイト製熱伝導体が設けられる例を示す図である。内視鏡10の軸方向と直交する断面において、管部20の先端部21は上部中央から時計回りに撮像素子41、照明部42、送気・送水チャンネル44、吸引チャンネル45を兼ねた鉗子チャンネル46、照明部42が配置されている。発熱体40は、撮像素子41および照明部42であり、発熱体40の外周の全体にわたってグラファイト製熱伝導体43が設けられている。また、発熱体40の外周の一部にのみグラファイト製熱伝導体43が設けられることも好ましい。本発明のグラファイトシートは熱伝導率が高いため、発熱体40の外周の一部にのみグラファイト製熱伝導体43が設けられても、十分に放熱効果を得ることができる。なお、ここで発熱体40の外周長は、管部20の軸方向の位置によって変化してもよいし、変化しなくてもよい。
発熱体の形状が、内視鏡の軸方向において一様であることが好ましい。グラファイト製熱伝導体の製造を容易に行うことができる。
発熱体の形状が内視鏡の軸方向において一様である場合、内視鏡の軸方向と直交する断面において、グラファイト製熱伝導体が設けられる長さの割合は、発熱体の外周の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。グラファイト製熱伝導体が、発熱体の外周に設けられる割合が大きければ大きいほど、放熱面積を大きくすることができる。
発熱体へのグラファイト製熱伝導体の巻き付け方法は特に限定されないが、らせん状に巻き付けることが好ましい。図4は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の発熱体に、グラファイト製熱伝導体をらせん状に巻き付ける例を示す側面図である。図4に示すように、グラファイト製熱伝導体43を、発熱体40(照明部42)にらせん状に巻き付ければ、放熱量を大きくできるだけでなく、発熱体40からグラファイト製熱伝導体43が剥がれにくい。
グラファイト製熱伝導体は、発熱体にらせん状に巻き付けられており、グラファイト製熱伝導体の少なくとも一部が互いに重なり合っていることが好ましい。特にグラファイト製熱伝導体が互いに重なり合う部分で熱伝導が起こりやすくなるため、放熱量を大きくすることができる。
発熱体に巻き付けられたグラファイト製熱伝導体のらせん形状は、等しいピッチ間隔であってもよく、異なるピッチ間隔であってもよい。前記らせん形状は、放熱効率や生産性の点で、等ピッチ間隔であることが好ましい。グラファイト製熱伝導体(好ましくは長方形(長さ方向>幅方向)のグラファイト製熱伝導体)により形成されるらせん部において、隣接するグラファイト製熱伝導体は互いに重なり合っていることが好ましい。懸かるらせんを形成すると、らせん方向のみならず、らせん軸方向にも熱伝導が生じ、効率的な放熱を実現することが可能となる。
グラファイト製熱伝導体が長方形(長さ方向>幅方向)であり、幅方向の一端から他端を幅方向1〜100とする場合、グラファイト製熱伝導体の互いに重なり合う部分の割合は、グラファイト製熱伝導体の幅方向全体(幅方向100%)に対し、例えば1%以上50%未満であり、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上である。グラファイト製熱伝導体の互いに重なり合う部分の割合が、1%以上50%未満であれば、らせん軸方向にも熱伝導が生じ、らせん方向の熱伝導と相まって放熱効率が高まる。
グラファイト製熱伝導体の互いに重なり合う部分の割合には、所定のらせん部において1ピッチ前のグラファイト製熱伝導体と重なり合う部分と1ピッチ後のグラファイト製熱伝導体と重なり合う部分のいずれかが含まれていればよく、その両方が含まれていてもよい。
巻回数が1.5以上のロール状に形成されたグラファイト製熱伝導体の内側面が、前記発熱体と接続していることも好ましい。発熱体の熱は、グラファイト製熱伝導体の内側面から伝わることにより放熱される。巻回数が1.5以上であればグラファイト製熱伝導体の一部が互いに重なり合うことになるため熱伝導が起こりやすく、放熱量も大きくすることができる。巻回数が大きければ大きいほど、放熱量を大きくすることができるため、巻回数は2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、7以上であることが特に好ましく、10以上であることが最も好ましい。
グラファイト製熱伝導体の一端は発熱体に接続されて、他端が発熱体よりも操作部側の部材に接続されていることが好ましい。ここで操作部側の部材は湾曲部に配されていることが好ましく、可撓管部であることがより好ましい。グラファイト製熱伝導体の一端から他端までの距離が長ければ長いほど、放熱面積を大きくすることができる。
グラファイト製熱伝導体の一端は発熱体に接続されて、他端が発熱体よりも操作部側の金属部材に接続されていることが好ましい。操作部側の金属部材の温度は、発熱体の温度よりも小さいため、発熱体で発生した熱は、グラファイト製熱伝導体により操作部側の金属部材に伝達されて放熱される。これにより、発熱体で発生した熱の蓄積による内視鏡の性能低下、誤動作の発生、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。操作部側の金属部材とは、例えば、鉗子チャンネルである。
グラファイト製熱伝導体と発熱体、あるいはグラファイト製熱伝導体と金属部材との固定は熱伝導性接着剤により行うのが好ましい。熱伝導性接着剤は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、銀ペーストなどの導電性ペーストがあるが、中でも熱伝導率の高い金属を用いた導電性ペーストであることが好ましい。熱伝導率が低い接着剤を用いると、発熱体からグラファイト製熱伝導体への熱伝導や、グラファイト製熱伝導体から金属部材への熱伝導が十分になされないため、当該接着剤の部分が蓄熱されてしまう可能性がある。したがって、熱伝導体と同様、熱伝導性接着剤の熱伝導率も高ければ高い方がよい。
図5は、本発明の実施の形態に係る内視鏡に第2グラファイト製熱伝導体が設けられる場合の、内視鏡の軸方向に直交する方向の断面図である。図3と同様に、図5に示す管部20の先端部21には上部中央から時計回りに撮像素子41、照明部42、送気・送水チャンネル44、吸引チャンネル45を兼ねた鉗子チャンネル46、照明部42が配置されている。撮像素子41と、照明部42との間に、第2グラファイト製熱伝導体47が配置されていることが好ましい。撮像素子41と照明部42はいずれも発熱体40であるため、撮像素子41と照明部42の間には熱が蓄積しやすい。したがって、第2グラファイト製熱伝導体47を配置することにより、撮像素子41と照明部42の間に蓄積する熱を放熱することができるため、内視鏡の性能低下や誤動作の発生を防止できる。図5では照明部42が2つ設けられているため、第2グラファイト製熱伝導体47も2箇所に配置されている。
第2グラファイト製熱伝導体の形状は、グラファイト製熱伝導体と同様に、内視鏡で発生する熱を放熱することができる形状を有していればよく、長方形や台形などの多角形でもよいし、またはこれらを組み合わせた形状でもよい。
第2グラファイト製熱伝導体の一端が、撮像素子と照明部の間に配置されて、第2グラファイト製熱伝導体の他端が発熱体よりも操作部側の部材に接続されていることが好ましい。操作部側の部材は、湾曲部であることが好ましく、可撓管部であることがより好ましく、操作部であることがさらに好ましい。第2グラファイト製熱伝導体の一端から他端までの距離が長ければ長いほど、放熱面積を大きくすることができる。
内視鏡は、発熱体の外側であって管部の内側面に、第3グラファイト製熱伝導体が配置されていることが好ましい。図6は、本発明の実施の形態に係る内視鏡に第3グラファイト製熱伝導体48が設けられる場合の、内視鏡10の軸方向に直交する方向の断面図である。図3および5と同様に、図6に示す管部20の先端部21には上部中央から時計回りに撮像素子41、照明部42、送気・送水チャンネル44、吸引チャンネル45を兼ねた鉗子チャンネル46、照明部42が配置されている。図6では、管部20の内側面20aの周方向全体にわたって第3グラファイト製熱伝導体48が設けられている。内視鏡10の管部20は人体内に挿入されるものであるため、できる限り発熱を抑えることが必要である。発熱体40の外側であって管部20の内側面20aに第3グラファイト製熱伝導体48が配置されていれば、管部20の外側面20bへの熱伝導が起こりにくくなるため、人体内で接触する内視鏡10の管部20の温度を抑えることができる。
第3グラファイト製熱伝導体は、発熱体の外側であって管部の内側面の周方向の一部に配置されることも好ましい。本発明のグラファイトシートは熱伝導率が高いため、管部の内側面の周方向全体にわたって設けられなくても十分に放熱効果を得ることができる。
発熱体の形状が、内視鏡の軸方向において一様であることが好ましい。第3グラファイト製熱伝導体の製造を容易に行うことができる。
また、内視鏡の軸方向と直交する断面において、第3グラファイト製熱伝導体が設けられる長さの割合は、管部の内側面の内周の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。管部の内側面の内周に設けられる第3グラファイト製熱伝導体の長さの割合が大きければ大きいほど、放熱面積を大きくすることができる。
第3グラファイト製熱伝導体よりも外側であって、管部の内側面に断熱部材が設けられることも好ましい。断熱部材が設けられることにより、管部の外側面への熱伝導が起こりにくくなり、人体内で接触する内視鏡の管部の温度を抑えることができるため、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
撮像素子が設けられる回路基板にグラファイトシートが用いられることも好ましい。これにより、撮像素子で発生する駆動熱をさらに放熱することができる。
2.放熱線状物(第二態様)
以下では、グラファイトシートを放熱部材に用いた放熱線状物について説明する。本発明の実施の形態に係る放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を少なくとも一部が互いに重なるようにらせん状に巻いた線状物であり、前記グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下である。本発明の放熱線状物は、グラファイトシートを使用しているため軽量であり、熱伝導率が高い。上記範囲の厚さのグラファイトシートは、特に高い熱伝導率を得ることができる。また、このような厚さのグラファイトシートは加工性に優れているため、らせん状に巻いて線状物にすることが可能である。グラファイトシートを線状物にすれば、機械的強度を大きくすることができる。さらに、この放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体を少なくとも一部が互いに重なるようにらせん状に巻いたものであるため、放熱面積を大きくすることができる。
本発明の放熱線状物は、放熱部材としてグラファイトが用いられている。グラファイトの特徴としては、高い熱伝導率のほかに銅よりも軽いことも挙げられる。グラファイトの理論的な比重は2.26であって、銅の比重(8.65)のおよそ1/3.8である。このため、グラファイトを用いれば、銅よりも軽い放熱部材を得られると考えられる。
本発明のグラファイトシートの積層体とは、複数のグラファイトシートを重ね合わせて、直接又は間接にグラファイトシート同士を固定したものである。積層体は2層以上のグラファイトシートであるが、積層されるグラファイトシートの数が多ければ多いほど、放熱可能な熱量を大きくすることができる。従って、グラファイトシートの積層数は、3層以上であることが好ましく、5層以上であることがより好ましく、7層以上であることがさらに好ましく、10層以上であることが最も好ましい。グラファイトシートを積層するには、2500℃以上の温度領域で100gf以上の圧力を印加して高温プレスすれば良い(非特許文献1)。
本発明の放熱線状物は、長さや径の大きさは特に限定されず、この放熱線状物を適用する機器や部品などの対象物の大きさに応じて設定することができる。例えば、放熱線状物内に対象物を収める場合には、放熱線状物の内側に円柱状の空間が形成されることが好ましい。また、放射線状物を対象物に巻き付ける場合には、放熱線状物の内側に円柱状の空間が形成されなくてもよい。なお、本発明の放熱線状物は、物に巻き付けられる程度の可撓性を有していればよい。
放熱線状物は、グラファイトシート又はその積層体の一部が互いに重なるようにらせん状に巻かれていればよく、らせん状の形成方法は特に限定されない。放熱線状物のらせん状の形成方法としては、例えば、グラファイトシート又はその積層体に力を加えながら一定方向に巻いていき、いわゆるコヨリ状に形成することが挙げられる。より具体的には、グラファイトシートを短冊状に切り出して、回転ローラなどで一定方向に巻くことにより、放熱線状物を作製することもできる。また、本発明の放熱線状物は、棒状部材の周囲にグラファイトシート又はその積層体を一定方向に巻き付けて作製することもできる。図7は、本発明の実施の形態に係る放熱線状物の形成方法の例を示す平面図である。例えば、図7(a)のようにグラファイトシート110aの長手方向(X1方向)と放熱線状物100aの軸方向(Y1方向)が異なるようにらせん状に巻くことができる。また、図7(b)のように、グラファイトシート110bの長手方向(X2方向)と放熱線状物100bの軸方向(Y2方向)が同じになるようにらせん状に巻くこともできる。
本発明のグラファイトシートの厚さは50nm超9.6μm以下である。その理由は上述したように、グラファイトシートの厚さが9.6μmより大きいと、グラファイト化時に炭素化シート内部のグラファイト構造が乱れ、空洞や欠損ができやすくなることがあるためである。したがって、グラファイトシートの厚さの上限は、7.5μm以下であることが好ましく、6.5μm以下であることがより好ましく、5.0μm以下であることがさらに好ましく、3.0μm以下であることが特に好ましく、2.0μm以下であることが最も好ましい。
一方、グラファイトシートの厚さが50nm未満になると柔軟性には富むものの弾力性には欠け、高熱伝導性発現の妨げになることがある。その理由としては、グラファイトシートの熱伝導はそのほとんどが格子振動(フォノン)によって起こることが知られていることから、フィルムの弾力性が減少することであると推定している。したがって、グラファイトシートの厚さの下限は、60nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましく、120nm以上であることが特に好ましく、200nm以上であることが最も好ましい。
また、本発明のグラファイトシートは、上記範囲の厚さであることから、可撓性が大きく線状物に加工しやすく、また、加工された放熱線状物の外径を小さくすることができる。
放熱線状物の外径のバラツキは少なければ少ないほど、熱伝導のバラツキによる局所的な発熱を抑えることができるほか、歩留まりの高い放熱線状物を製造することができる。このため、放熱線状物の外径のバラツキは±50%以下であることが好ましく、±40%以下であることがより好ましく、±30%以下であることがさらに好ましく、±20%以下であることが最も好ましい。本発明におけるバラツキ[%]は、グラファイトシートの任意の10点において膜厚を測定したとき、100×(膜厚の最大値−膜厚の最小値)/(膜厚の算術平均値)で定義される。
高熱伝導性を発現するために、グラファイトシートの面積は4mm2以上であることが好ましい。なお、ここで言うシートの面積は、上述した検討によって決定したものである。グラファイトシートの面積は、面積4mm2以上の試料の切り出しが可能である限り特に限定されず、例えば、100mm2以上であってもよく、150mm2以上であってもよく、200mm2以上であってもよい。また該シート面積の上限は特に限定されないが、例えば、1000mm2以下でもよく、500mm2以下でもよい。
グラファイトシートの熱伝導率は高ければ高いほど、放熱効果を大きくすることができる。したがって、グラファイトシートの25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であることが好ましく、2000W/m・K以上であることがより好ましく、2050W/m・K以上であることがさらに好ましく、2080W/m・K以上であることが特に好ましく、2100W/m・K以上であることが最も好ましい。また、熱伝導率は、例えば2400W/m・K以下であってもよく、好ましくは2300W/m・K以下であってもよい。
グラファイトシートは、芳香族高分子を成膜して厚さ120nm以上18μm以下のフィルムにし、このフィルムを炭素化した後、温度3000℃以上でゲージ圧力0.10MPa以上で熱処理することによって得られるものであることが好ましい。なお、本発明のグラファイトシートの製造方法は上述したとおりである。
本発明のグラファイトシートは厚さが50nm超9.6μm以下の範囲であるが、このような範囲のグラファイトシートを得るためには原料高分子フィルムの厚さは120nm以上18μm以下の範囲であることが好ましい。これは、最終的に得られるグラファイトシートの厚さは、一般に出発高分子フィルムが1μm以上では厚さの60〜30%程度となり、1μm以下では50〜20%程度となることが多いことによっている。従って、最終的に本発明の50nm超9.6μm以下の厚さのグラファイトシートを得るためには、出発高分子フィルムの厚さは18μm以下、120nm以上の範囲であることが好ましいと言うことになる。出発高分子フィルムの厚さは、例えば、15μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは6μm以下、最も好ましくは4μm以下であってもよい。一方、長さ方向は100〜70%程度に縮小することが多い。
3.グラファイト製放熱部材(第三態様)
本発明に係るグラファイト製放熱部材は、放熱線状物が複数互いに編み込まれて形成されたものである。このように複数の放熱線状物を編み込んだグラファイト製放熱部材は、放熱面積を大きくすることができるため、放熱効率を上げることができる。放熱線状物の編み込み方法は特に限定されるものではないが、例えば、巻編みや平編みを用いることができる。図8は、本発明の実施の形態に係るグラファイト製放熱部材の平面図であり、図8(a)は放熱線状物を巻編みした場合の平面図、図8(b)は放熱線状物を平編みした場合の平面図である。図8(a)は、複数本の放熱線状物100cが互いにらせん状に巻き付くように編み込まれたグラファイト製放熱部材115aが示されている。放熱線状物100cを巻編みすることにより得られるグラファイト製放熱部材115aは製造が容易というメリットがある。一方、図8(b)は、複数本の放熱線状物100dが交互に重なり合うように平編みされたグラファイト製放熱部材115bが示されている。平編みされたグラファイト製放熱部材115bは、巻編みされたグラファイト製放熱部材115aに比べて柔軟性を大きくすることができる。
以下では、各機器に本発明の放熱線状物またはグラファイトシートを放熱部材として採用した場合について述べる。
4.(1)グラファイト被覆光ファイバー(第四態様)
光ファイバーは、光を伝送する伝送路で細長い繊維状をしており、光ファイバーを軸方向と直交する方向の断面において、光を伝搬するコアと、コアの外側面を覆うクラッドを有している。コアとクラッドはいずれも誘電体であり、クラッドの屈折率をコアの屈折率よりも小さくして光の全反射を利用することにより、コア内に光を閉じ込めて光の伝搬を行っている。コアやクラッドは、例えば石英ガラスで出来ている場合には脆く、機械的強度も小さいため、クラッドの外側面はシリコン、ナイロン、紫外線硬化樹脂などの被覆部材で覆われることがある。
光の損失がなく、遠くまで光信号を伝搬できるものが理想的な光ファイバーであるが、実際には光ファイバーの材料であるガラスが光を吸収して熱に変換してしまうことにより、光の損失と熱が発生する。また、光ファイバーの端部に光吸収物質が塗布された場合や光ファイバーに曲げ部や結び目がある場合などには、当該部分が加熱されて高温になり、光ファイバーヒューズ現象が発生することがある。光ファイバーヒューズ現象とは、光ファイバー内で青白い閃光が発生してこの閃光が導光路を進んでいく現象であるが、コア部分が溶融したり、空洞化するなどして光ファイバーが損傷してしまう。
以上のような光ファイバーで発生する熱を放熱するために、本発明に係るグラファイト被覆光ファイバーは、放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた光ファイバーとから構成される。これにより、光ファイバーの性能の低下や破損を防止することができる。また、本発明の放熱線状物は可撓性を有しているため、光ファイバーを保護する被覆部材を兼ねることができる。
本発明のグラファイト被覆光ファイバーは、放熱効果を高めるために、1本の光ファイバーを放熱線状物内に収めた上で、このグラファイトが被覆された光ファイバーを複数束ねたものをさらに放熱線状物内に収めてもよい。
また、本発明のグラファイト被覆光ファイバーは、光ファイバーに放熱線状物が巻き付けられたものであってもよい。さらに放熱効果を高めるために、グラファイト被覆光ファイバーは、1本の光ファイバーに放熱線状物を巻き付けた上で、この放熱線状物が巻き付けられた光ファイバーを複数束ねたものの周囲に放熱線状物をさらに巻き付けてもよい。
あるいは、1本の光ファイバーを放熱線状物内に収めた上で、このグラファイト被覆光ファイバーを複数束ねたものの周囲に放熱線状物を巻き付けてもよい。
図9は、本発明の実施の形態に係るグラファイト被覆光ファイバーの側面図と断面図であり、図9(a)は放熱線状物が設けられたグラファイト被覆光ファイバーの側面図であり、図9(b)は図9(a)のグラファイト被覆光ファイバーのA−A線に沿った断面図である。図9(a)および図9(b)に示すように、グラファイト被覆光ファイバー200はコア210とクラッド215から構成される光ファイバー205を有しており、この光ファイバー205が放熱線状物100内に収められている。
4.(2)グラファイト被覆光配線ケーブル(第五態様)
光配線ケーブルとは、複数本の光ファイバーを束ねて屋内外での配線に適した構造に加工したものである。上述したように光ファイバーでは熱が発生することから、複数本の光ファイバーを束ねた光配線ケーブルも同様に放熱が必要である。
したがって、本発明のグラファイト被覆光配線ケーブルは、放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた複数本の光ファイバーとから構成される。これにより、光配線ケーブルで発生した熱を放熱線状物により放熱することができるため、光配線ケーブルの性能の低下や破損を防止することができる。
本発明のグラファイト被覆光配線ケーブルでは、ケーブルに加えられる外力を緩和して光ファイバーを保護するために、テンションメンバが設けられることが好ましい。テンションメンバには、例えば、鋼線、FRP(繊維強化プラスチック)、アラミド繊維などを用いることができる。
複数本の光ファイバーを束ねて熱的に絶縁するために、押え巻と呼ばれる部材が設けられることも好ましい。押え巻には、例えばテープ状の部材が用いられ、その材料としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維を用いることができる。
また、押え巻の外側には、光ファイバーの保護のために外被と呼ばれる被膜が施されることも好ましい。外被はグラファイト被覆光配線ケーブルの使用目的や場所により選択することができるが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、アルミラミネート(LAP)などを用いることができる。
グラファイト被覆光配線ケーブルに用いる光ファイバーの種類は特に限定されず、公知の光ファイバーを用いることができる。また、放熱線状物内に収められた光ファイバーや、周囲に放熱線状物が巻き付けられた光ファイバーを用いれば、光配線ケーブルの放熱効果をさらに高めることが可能である。
また、テンションメンバの代わりに本発明の放熱線状物を用いることも好ましい。この放熱線状物は可撓性を有していることから、テンションメンバの代わりに放熱線状物を配置することも可能である。これにより、グラファイト被覆光配線ケーブルに加えられる外力の緩和と、放熱の両方の効果を得ることができる。
図10は、本発明の実施の形態に係るグラファイト被覆光配線ケーブルの軸方向と直交する方向の断面図であり、図10(a)は、グラファイト被覆光配線ケーブル300の押え巻310と、外被330との間に放熱線状物100が設けられる場合の断面図であり、図10(b)は図10(a)に加えて光ファイバー205の周囲に放熱線状物100が設けられる場合の断面図である。図10(a)および図10(b)の放熱線状物100の中央部には、光ファイバーを保護するためのテンションメンバ320が設けられている。
光ファイバーは、図10(a)に示すように放熱部材が設けられない光ファイバー205であってもよい。この場合、公知の光ファイバーを用いることができるため、グラファイト被覆光配線ケーブル300の製造が容易である。また、放熱効果を高めるために、光ファイバーは、図10(b)に示すように放熱線状物100内に収められた光ファイバー205であってもよい。
4.(3)ヒートパイプ(第六態様)
ヒートパイプは放熱部材の一種であり、その熱伝導率はおよそ数1000W/m・K(非特許文献3)と銅よりも良好な熱伝導部品である。図11は本発明の実施の形態に係るヒートパイプの断面図であり、図11(a)はヒートパイプ400の軸方向に沿った断面図であり、図11(b)は図11(a)のA−A線に沿った断面図である。ヒートパイプ400は、内壁にウィック420と呼ばれる溝や網目などが設けられた管体410内に作動液(図示しない)が封入され、管体410の内部を減圧状態にして両端を閉じたものである。図11(b)では、ウィック420としてワイヤウィックを示している。図11(a)に示すように、ヒートパイプ400の入熱側411が加熱されると、ヒートパイプ400内部では作動液(蒸気)の流れ430の方向に作動液が気化されて、ヒートパイプ400の放熱側412に移動する。ヒートパイプ400の放熱側412で放熱されると、凝縮された作動液はウィック420を経由して、毛細管現象により作動液(凝縮液)の流れ431の方向に環流する。
本発明に係るヒートパイプは、厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が周囲に巻き付けられている。これにより、ヒートパイプ内部の作動液の環流が早まるため、ヒートパイプの熱伝導特性を向上することができる。図12は、本発明の実施の形態に係るヒートパイプ400の周囲に放熱線状物100が巻き付けられた場合の側面図である。
また、ヒートパイプにグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物の一端が接続されて、グラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物の他端がヒートパイプ以外の金属部材に接続されることも好ましい。このような接続方法であれば、ヒートパイプの熱を金属部材に逃がすことができるため、ヒートパイプ内部の作動液の環流を早めることができる。
複数のヒートパイプを用いる場合に、ヒートパイプ(以下、「第1ヒートパイプ」と記載する)と他のヒートパイプ(以下、「第2ヒートパイプ」と記載する)をグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物により接続することも好ましい。例えば、ヒートパイプ同士の接続は以下のように行うことができる。第1ヒートパイプの一端を電子機器などの発熱体に接続し、第1ヒートパイプの他端と第2ヒートパイプの一端を放熱線状物で接続する。第2ヒートパイプの他端は金属部材や配線板などの放熱部材に接続する。このようにグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物とヒートパイプを配置すれば、ヒートパイプ同士の熱伝導も良好となり、また、複数のヒートパイプを用いているため放熱面積を大きくすることができる。
ヒートパイプの管体の外形は、丸筒型、角筒型、板型など公知の形状を採用することができる。
管体の種類は特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、ステンレスコルゲート管などを用いることができる。
作動液は、使用温度に応じて選択すればよく、例えば、純水、エタノール、ナフタレン、アンモニア、R134aなどを用いることができる。
ウィックの種類は毛細管現象を生じさせることができれば特に限定されず、例えば、紐状の部材が網状に編み込まれたメッシュウィックや、ワイヤを環状に配置したワイヤウィック、管体の内壁自体に溝が設けられた溝形ウィック、管体の内壁に銅粉などの粉体を焼結した焼結ウィックなどを用いることができる。
また、本発明の放熱線状物がヒートパイプのウィックであることも好ましい。本発明の放熱線状物はグラファイトを用いているため、ヒートパイプ内部での熱伝導を向上することができ、作動液の環流速度を大きくすることが可能である。
4.(4)電子機器(第七態様)
電子機器とは、電子工学の技術を利用した電気製品であり、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、テレビ、カーナビゲーション、ゲーム機、パーソナルコンピュータ(PC)、ハードディスクレコーダー、冷蔵庫などがある。電子機器は電力を供給することにより動作するが、動作時に損失が発生して熱に変換されるため、電子機器では発熱が生じる。後述するように、電子機器で主な熱源となる半導体素子は一般に温度依存性が高いため、放熱が十分になされないと機器の性能が低下する可能性がある。また、人体に直接触れる頻度の高い携帯電話やPCなどの電子機器において、放熱が十分になされないと筐体の温度が上昇して、機器の使用感の悪化を招くおそれがある。
したがって、本発明に係る電子機器は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、発熱体で発生した熱を放熱することができるため、電子機器の性能の低下、誤動作、破損や機器の使用感の悪化を防止することができる。
電子機器における発熱体とは、電子機器内で発熱する素子や部品を指し、例えば、半導体素子、電動機(モータ)、コイル、電子管などがある。半導体素子には、例えば、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ、コンデンサ、抵抗、これらを組み合わせた集積回路などがある。
電子機器の消費電力は年々増加する傾向にあることから、適切に放熱設計を行うことは電子機器の性能確保の観点から益々重要になっている。半導体素子を例に挙げると、電子機器の小型化が進むにつれて、半導体素子を動作させるのに必要な電源電圧は小さくなっているものの、単位面積あたりの素子の数は増加し、動作周波数も大きくなっている。さらに、ソース・ドレイン間において漏れる電流であるリーク電流も大きくなっている。このため、半導体素子での消費電力は次第に大きくなる傾向にある。その一方で、低騒音化のためにファンを用いた強制空冷方式を採用することが困難である場合や、小型化・薄型化・軽量化のために単位体積あたりの発熱量の増加や発熱部品の使用が制限される場合がある(非特許文献3)。
電子機器の放熱設計にあたっては上記のような様々な制約があるが、本発明の放熱線状物は電子機器の小型化・薄型化・軽量化に寄与すると思われる。それは、グラファイトを使用しているため電子機器の軽量化が図られること、グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下と薄いため、らせん状に巻いて線状物にしても電子機器の大きさや厚さに影響を及ぼしにくいと考えられるからである。
発熱体と放熱線状物の接続方法は特に限定されず、例えば、発熱体を放熱線状物内に収めてもよいし、発熱体の周囲に放熱線状物を巻き付けてもよいし、放熱線状物の一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続してもよい。発熱体を放熱線状物内に収めたり、発熱体の周囲に放熱線状物を巻き付ければ、発熱体と放熱線状物との接触面積を大きくすることができる。このため、発熱体から放熱線状物へ熱伝導がされやすくなる。また、本発明の放熱線状物は熱伝導率が高いため、一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続するだけでも十分に放熱効果を得ることができる。
本発明の放熱線状物の材料であるグラファイトは、電気伝導率も銅の約20分の1程度と大きい。このため、本発明の放熱線状物を銅に代る配線材料として電子機器に採用することも好ましい。そうすると、この放熱線状物を導電材料と兼ねることができるため、電子機器を構成する部品を少なくすることができる。
4.(5)医療機器(第八態様)
医療機器とは、一般に診断、検査、手術、処置などの医療行為に使用する機器を指すが、本発明は発熱体を有する医療機器に好ましく適用される。発熱体を有する医療機器は、機器の操作者や患者に直接接触する又は接触する可能性が高い機器と、機器の操作者や患者への接触の可能性が低い機器とに大別される。前者に該当する医療機器としては、例えば、内視鏡、レーザーメス、電気メス、ペースメーカ、AEDやICDなどの除細動器、補聴器、人工内耳、脳深部刺激装置、低周波治療器、高周波治療器、脊髄刺激電極、人工網膜、筋電義手、体内チップ、マイクロマシン、ナノマシンなどがある。一方、後者に該当する医療機器としては、放射線撮影装置、放射線照射装置、医療用モニタ、外科用ヘッドライトなどがある。
電子機器と同様に、医療機器においてもIC回路を構成する半導体素子を駆動させることによる発熱や、照明光による発熱があるため、これらを効率良く放熱することが必要になってくる。
本発明に係る医療機器は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、医療機器の発熱体で発生する熱を放熱することができるため、医療機器の性能の低下、誤動作、破損、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
発熱体と放熱線状物の接続方法は特に限定されず、例えば、発熱体を放熱線状物内に収めてもよいし、発熱体の周囲に放熱線状物を巻き付けてもよいし、放熱線状物の一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続してもよい。発熱体を放熱線状物内に収めたり、発熱体の周囲に放熱線状物を巻き付ければ、発熱体と放熱線状物との接触面積を大きくすることができる。このため、発熱体から放熱線状物へ熱伝導がされやすくなる。また、本発明の放熱線状物は熱伝導率が高いため、一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続するだけでも十分に放熱効果を得ることができる。
4.(6)内視鏡(第九態様)
上述したように、内視鏡は、体腔内に挿入されて体腔内の検査、診断、治療を行うものであり、主に撮像素子と照明部が発熱体となって発熱する。したがって、本発明に係る内視鏡は、発熱体と、該発熱体に接続された放熱線状物とを有する。これにより、内視鏡の発熱体で発生する熱を放熱することができるため、照明素子の損傷により照明光の輝度が低下して映像が不鮮明になる、発熱体の寿命が短くなって長時間の使用が困難になる、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
発熱体への放熱線状物の接続方法は特に限定されず、例えば、発熱体を放熱線状物内に収めてもよいし、発熱体に放熱線状物を巻き付けてもよいし、放熱線状物の一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続してもよい。発熱体を放熱線状物内に収めたり、発熱体に放熱線状物を巻き付ければ、発熱体と放熱線状物との接触面積を大きくすることができる。このため、発熱体から放熱線状物へ熱伝導がされやすくなる。また、本発明の放熱線状物は熱伝導率が高いため、一端を発熱体に接続して、他端を発熱体以外の部材に接続しても十分に放熱効果を得ることができる。
4.(7)レーザーメス(第十態様)
レーザーメスとは、光エネルギーであるレーザー光を生体に照射して熱エネルギーに転換する光熱作用により、生体組織の接着、切開、止血などを行う医療機器である。
図13は、本発明の実施の形態に係るレーザーメスの斜視図である。レーザーメス500は、光源発生部510、導光部520、把持部530、先端部540を有している。光源発生部510には、レーザー光を発光させるためにレーザー発振器が設けられることが好ましい。また、光源発生部510には、レーザー光の照射の入切操作を行うフットスイッチ511を設けることもできる。光源発生部510から導光部520の内部、把持部530の内部まで導光路が設けられており、光源発生部510で発生させたレーザー光を先端部540に導く。レーザー光を集光するために、把持部530内部の導光路(図示しない)と先端部540との間に集光レンズが設けられてもよい。把持部530は、レーザー光の照射位置をコントロールするために、メス操作者が手で握る部分である。先端部540には、レーザー光の受光部であるメス541が設けられる。導光路を伝搬するレーザー光はメス541に照射されることにより、メス541は加熱される。以上のことから、レーザーメス500では、導光路、先端部540を主な発熱体とみなすことができる。
本発明に係るレーザーメスは、発熱体と、該発熱体に接続された厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物とを有する。これにより、レーザーメスの発熱体で発生する熱を放熱することができるため、レーザーメスの使用感が向上し、また、操作者や患者がやけどをすることを防止できる。
導光路にグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が接続されることが好ましい。導光路と、グラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物との接続方法は特に限定されないが、放熱効果を高める観点から導光路1本毎にグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物を巻き付けてもよい。図14は、本発明の実施の形態に係るレーザーメスの軸方向に沿った断面図(一部側面図)である。図14に示すように、レーザーメス500の先端部540にメス541が設けられている。また、導光路521である光ファイバー522に、放熱線状物100が巻き付けられている。光ファイバー522は支持部材523により支持される。
導光路の径が大きくなるのを防止するために、複数本の導光路を束ねたものにグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物を巻き付けてもよい。さらに、放熱効果を高めるために導光路1本毎にグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物を巻き付けた上で、複数本の導光路を束ねたものにもグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物を巻き付けてもよい。
グラファイトシートが巻き付けられた導光路を複数本束ねたものに、放熱線状物を巻き付けることも好ましい。これにより小径でかつ放熱効果の高い導光路を得ることができる。本発明のグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物は可撓性を有しているため、放熱部材としてだけではなく、導光路の被覆部材を兼ねることができる。
導光路の種類は使用するレーザー光の種類に応じて選択すればよいが、例えば、光ファイバー、反射鏡を内蔵した多関節の金属パイプ、フレキシブル伝送路などを用いることができる。
レーザーメスの導光路に用いる光ファイバーの種類は特に限定されず、公知の光ファイバーを用いることができる。また、放熱効果を高めるために、周囲にグラファイトシートが巻き付けられた光ファイバーを用いることも可能である。あるいは上述したグラファイト被覆光ファイバーを用いることもできる。
また、先端部に設けられるメスにグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が接続されることも好ましい。メスはレーザー光が照射されると高温状態になるが、メスにグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が接続されれば、短時間でメスの消熱を行うことができるため、患者への負担を軽減することが可能である。
把持部の内部には導光路が設けられるが、導光路で発熱が生じて把持部の温度が上昇する可能性がある。このように把持部の温度が上昇すると、長時間の照射が困難になるなど、レーザーメスの効率的な使用が妨げられる。したがって、把持部の内側面にグラファイトシート若しくはその積層体、又は放熱線状物が設けられることも好ましい。
レーザーメスの操作において、照射位置のコントロールは極めて重要であることから、把持部は手で把持しやすい大きさや形状であることが好ましい。
また、把持部にはレーザー光の照射を手元で入切することが可能なように、操作スイッチが設けられることが好ましい。
レーザー光の種類は、用途に応じて選択することができるが、例えば、炭酸ガス、アルゴン、クリプトン、窒素、エキシマ(XeCl)、ルビー、Er−YAG、Nd−YAG(ネオジム・イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、KTP(ポタシウム・チタニール・フォスフェイト):532、GaAs、AlGaAsなどを用いることができる。
本願は、2014年7月31日に出願された日本国特許出願第2014−156131号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年7月31日に出願された日本国特許出願第2014−156131号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下実施例を示し、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明はこれら実施例によって限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
以下、グラファイトシートの物性測定方法及び作製手順について説明する。
(物性測定方法)
<膜厚>
原料である有機高分子シート、グラファイトシートの厚さは、フィルム(シート)の測定場所によって±5%程度の誤差があった。そのため得られたシートの10点平均の厚さを本発明における試料の厚さとした。
<熱伝導率>
グラファイトシートの熱拡散率は、周期加熱法による熱拡散率測定装置(アルバック理工株式会社「LaserPit」装置)を用いて、20℃、真空下(10-2Pa程度)、10Hzの周波数を用いて測定した。これはレーザー加熱の点から一定距離だけ離れた点に熱電対を取り付け、その温度変化を測定する方法である。ここで熱伝導率(W/m・K)は、熱拡散率(m2/s)と密度(kg/m3)と比熱(798kJ/(kg・K))を掛け合わせることによって算出した。ただし、この装置ではグラファイトシートの厚さが1μm以上で、面積が25mm2以上の場合は熱拡散率の測定が可能であった。しかし、グラファイトシートの厚さが1μm以下の場合や、グラファイトシートの面積が25mm2以下の場合では測定誤差が大きくなりすぎて正確な測定は不可能であった。
そこで第二の測定方法として、周期加熱放射測温法((株)BETHEL製サーモアナライザーTA3)を用いて測定を行った。これは周期加熱をレーザーで行い、温度測定を放射温度計で行う装置であり、測定時にグラファイトシートとは完全に非接触であるため、グラファイトシートの厚さ1μm以下、面積25mm2以下の試料でも測定が可能である。両装置の測定値の信頼性を確認するために、幾つかの試料については両方の装置で測定を行い、その数値が一致する事を確認した。
BETHEL社の装置では周期加熱の周波数を最高800Hzまでの範囲で変化させる事ができる。すなわち、この装置の特徴は通常熱電対で接触的に行われる温度の測定が放射温度計により行われ、測定周波数を可変できる点である。原理的に周波数を変えても一定の熱拡散率が測定されるはずなので、本装置を用いた計測では周波数を変えてその測定を行った。1μm以下の厚さの試料や、グラファイトシートの面積が25mm2以下の試料の測定を行った場合は、10Hzや20Hzの測定においては測定値がばらつく事が多かったが、70Hzから800Hzの測定では、その測定値はほぼ一定になった。そこで、周波数に寄らず一定の値を示した数値(70Hz〜800Hzでの値)を用いて熱拡散率とした。
<密度>
作製したグラファイトシートの密度は、ヘリウムガス置換式密度計[AccuPyc II 1340島津製作所(株)]によりグラファイトシートの体積を測定し、質量を別途測定し、密度(g/cm3)=質量(g)/体積(cm3)の式から算出した。なお、この方法で測定可能なグラファイトシートは500nm以上の厚さの試料であり、厚さ500nm未満のグラファイトシートの密度測定はこの測定手法では誤差が大きすぎて不可能であった。そのため、500nm未満の厚さのグラファイトシートの熱拡散率から熱伝導率を計算する場合には、その密度として2.1を仮定して計算した。
<平均結晶粒径>
本発明で言うグラファイトシートの平均結晶粒径は、電子後方散乱回折像法(EBSD)を利用した以下の方法により算出したものである。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)の鏡筒内にセットしたグラファイトシートに電子線を照射して測定した。このとき隣り合う測定点間の角度差が16度以内の場合は連続する領域は一つの結晶粒として扱い、16度以上の場合は粒界としてグラファイトの結晶方位解析を行った。このようにして得られた結晶方位マップと結晶サイズマップから平均結晶粒径を算出した。具体的な測定手法は以下の通りである。
グラファイトシートをSEMの台座にカーボンテープで固定した後、走査型電子顕微鏡(SEM)の鏡筒内に入れ、20Pa以下まで減圧し、SEMの水平軸とEBSDの検出器間が70度の角度になるよう電子線を照射した。グラファイトシート上の300×600μmの範囲を60000点に分割して測定した。このとき、隣り合う測定点間の角度差が16度以内の場合はその領域をひとつの結晶粒として扱い、16度以上の場合は別の粒界としてグラファイトの結晶方位マップ解析を行った。得られた結晶方位マップ解析結果、結晶サイズマップから、EBSD装置(株式会社TSLソリューションズ製)に付属の解析ソフトウェアを用いて平均結晶粒径を算出した。なお平均結晶粒径は、結晶粒に含まれるピクセル数にピクセル面積(単位面積)をかけて算出される結晶粒径サイズをArea Fraction法で処理して求まる平均値を意味し、前記解析ソフトウェアで自動計算される。
(製造例1)
ピロメリット酸無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/1の割合で合成したポリアミド酸の18質量%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布し、さらにワイヤバーを用いて厚さ調整を行った。この様な方法で50μmから1μmの範囲の厚さの異なるフィルムを調製した。1μm〜20nmの範囲の均一な厚さの高分子フィルムはこの様な方法では作製が困難であるため、スピンコーターを用いて、アミド酸溶液の濃度、回転数を変えることで厚さの異なる何種類かのフィルムを作製した。
攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間、300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱した後、アルミ箔を除去しポリイミドフィルム(高分子試料A)を作製した。また前記試料Aと同様にしてピロメリット酸無水物とp−フェニレンジアミンを原料に用い、ポリイミドフィルム(高分子試料B)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンを原料に用いポリイミドフィルム(高分子試料C)とを作製した。この様な方法で50μmから20nmの範囲の厚さの異なる何種類かのフィルムを作製した。
(実施例1〜8)
製造例1で作製した厚さの異なる8種類のポリイミドフィルム(高分子試料A、面積10×10cm2)を、電気炉を用いて窒素ガス中、10℃/分の速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間保って予備処理した。次に得られた炭素化シートを円筒状のグラファイトヒーターの内部にセットし、20℃/分の昇温速度で3000℃の処理温度(最高処理温度)まで昇温した。この温度で30分間(処理時間)保持し、その後40℃/分の速度で降温し、グラファイトシートを作製した。処理はアルゴン雰囲気で0.10MPa(1.0kg/cm2)の加圧下で行った。得られたグラファイトシートの面積は厚さの違いによって収縮、膨張の比率が異なるために一定ではなかったが、いずれも6.5×6.5cm2〜9.5×9.5cm2の範囲にあった。実施例3で得られたグラファイトシートの断面TEM写真を図15に示す。この写真に示す様に、グラファイトシートの内部は極めて綺麗に配向した層構造であり、広範囲な観察を行ったがHOPGにおいて見られるような大きなドメイン構造の存在は確認されなかった。
得られたグラファイトシートの厚さ(μm)、熱伝導率(W/m・K)、密度(g/cm3)、平均結晶粒径(μm)の値を表1に示す。この表に示した厚さのフィルムではいずれの試料でも3000℃、30分間の熱処理によって1950W/m・K以上の優れた熱伝導率を示す事が分かった。
(実施例9〜14)
実施例1、3、4で用いた高分子試料Aを用い、最高処理温度をそれぞれ3100℃、3200℃とした以外は実施例1、3、4と同じ処理を行い、得られたグラファイトシートの厚み(μm)、熱伝導率(W/m・K)、密度(g/cm3)、平均結晶粒径(μm)を測定した。得られた結果を表1に示す。熱伝導率の値はさらに高くなっており、平均結晶粒径も大きくなっていた。この事から、3100℃および3200℃での熱処理は高熱伝導性グラファイトシートを得るためには極めて有効である事が分かった。
(比較例1〜4)
実施例4で用いた高分子試料Aを、電気炉を用いて窒素ガス中、10℃/分の速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間保って予備処理した。次に得られた炭素化シートを円筒状のグラファイトヒーターの内部にセットし、20℃/分の昇温速度で、それぞれ2800℃、2900℃まで昇温した。この温度でそれぞれ30分間、および120分間保持し、その後40℃/分の速度で降温し、グラファイトシートを作製した。処理はアルゴン雰囲気で0.05MPa(0.5kg/cm2)の加圧下で行った。得られた結果を表2に示す。2800℃、および2900℃の処理では処理時間を30分、120分間としても、1950W/m・K以上の熱伝導率を実現できなかった。この事から本発明の高熱伝導率を実現するためには3000℃以上の温度が必要であると結論した。
(比較例5〜10)
厚さ25μm、または50μmのポリイミドフィルム(高分子試料A)を用い、最高処理温度3100℃30分、3200℃30分、3200℃120分としたこと以外は、実施例1と同じ条件で炭素化・グラファイト化を行った。得られたグラファイトシートの厚さはそれぞれ3100℃処理では12μm(比較例5)、28μm(比較例8)、3200℃処理では11μm(比較例7)、12μm(比較例6)、26μm(比較例10)、28μm(比較例9)であった。得られた結果を表2に示す。グラファイトシートの厚さが厚くなるに従い、本発明の1950W/m・Kを超える高熱伝導率の実現は極めて困難になる事が分かる。これは高分子フィルムをグラファイト化する場合、その反応がフィルム表面から進行するために、厚いフィルムではフィルム全体を高品質グラファイトに転化する事が困難であるためと思われる。この事から本発明の高熱伝導率を実現するためにはグラファイトシートの厚さが9.6μm以下である事が好ましいと結論した。
(実施例15〜20)
高分子試料B、および高分子試料Cを用いた以外は実施例1〜8と同じ方法で厚さの異なる幾つかの試料のグラファイト化を行った。得られたグラファイトシートの厚み(μm)、熱伝導率(W/m・K)、密度(g/cm3)、平均結晶粒径(μm)を測定し、得られた結果を表1に示す。この表に示した厚さのフィルムでは試料Bでも、試料Cでも3000℃、30分の熱処理によって1950W/m・K以上の優れた熱伝導率を示す事が分かった。
(比較例11〜13)
ポリイミドフィルム(高分子試料A)を用い、厚さの異なるグラファイトシートについて最高処理温度3000℃30分、3100℃30分としたこと以外は、実施例1と同じ条件で炭素化・グラファイト化を行った。得られたグラファイトシートの厚さはそれぞれ3000℃処理では0.04μm(比較例11)、0.02μm(比較例12)、3100℃処理では0.02μm(比較例13)であった。得られた結果を表2に示す。グラファイトシートの厚さが薄くなると、本発明の1950W/m・Kを超える高熱伝導率の実現は極めて困難になる事が分かる。
(比較例14〜19)
厚さ80nm、50nmのポリイミドフィルム(高分子試料A)を用い、実施例1から12と同じ条件で炭素化・グラファイト化を行った。得られたグラファイトシートの厚さはそれぞれ3000℃処理では0.05μm(比較例14)、0.032μm(比較例17)、3100℃処理では0.045μm(比較例15)、0.03μm(比較例18)、3200℃処理では0.04μm(比較例16)、0.027μm(比較例19)であった。得られた結果を表2に示す。グラファイトの厚さが薄くなり、50nm以下になると、本発明の1950W/m・Kを超える高熱伝導率の実現は極めて困難になった。この理由は明らかではないが本発明の高熱伝導率を実現するためにはグラファイトシートの厚さが50nm超である事が好ましいと結論した。
(実施例21〜25、比較例20〜23)
実施例10で得られたグラファイトシートを、面積324mm2とした試料(高分子試料A,最高処理温度3200℃)を切断してより小さな正方形又は長方形の試料を切り出し、それぞれの試料について熱伝導率を測定した。その結果を表1(実施例21〜25)と表2(比較例20〜23)に示す。
なお実施例22〜24と比較例20、23の試料は正方形であり、実施例25と比較例21、22の試料は長方形である。表1の結果は試料面積が小さくなればなるほどその熱伝導率は小さくなり、面積が4mm2(正方形)になると熱伝導率は2000W/m・Kに、4mm2(長方形)になると熱伝導率は1950W/m・Kに低下する事を示す。
さらに比較例20〜23に示す様に、試料面積を2.25mm2(正方形)、3mm2(長方形)、2mm2(長方形)、1mm2(正方形)と変化させたが、いずれの場合にもその熱伝導率は1950W/m・K未満となり、1950W/m・K以上の熱伝導率は実現できなかった。すなわちこの結果は、本発明の高熱伝導性グラファイトでは1950W/m・K以上の高熱伝導性を実現するためには、その面積を4mm2以上にする事が好ましい事を示す。
10:内視鏡
20:管部、20a:管部の内側面、20b:管部の外側面、21:先端部、22:湾曲部、23:可撓管部
30:観察窓、31:照明窓、32:送気・送水口、33:吸引口、34:鉗子口
40:発熱体、41:撮像素子、42:照明部、43:グラファイト製熱伝導体、44:送気・送水チャンネル、45:吸引チャンネル、46:鉗子チャンネル、47:第2グラファイト製熱伝導体、48:第3グラファイト製熱伝導体
50:操作部、51:操作スイッチ
60:接続部、61:ユニバーサルコード
71:画像表示装置、72:プロセッサ装置、73:光源装置、74:送気・送水装置
100、100a、100b、100c、100d:放熱線状物、
110a、110b:グラファイトシート
115a、115b:グラファイト製放熱部材
200:グラファイト被覆光ファイバー、205:光ファイバー、210:コア、215:クラッド
300:グラファイト被覆光配線ケーブル、310:押え巻、320:テンションメンバ、330:外被
400:ヒートパイプ、410:管体、411:入熱側、412:放熱側、420:ウィック、430:作動液(蒸気)の流れ、431:作動液(凝縮液)の流れ
500:レーザーメス、510:光源発生部、511:フットスイッチ
520:導光部、521:導光路、522:光ファイバー、523:支持部材
530:把持部、540:先端部、541:メス

Claims (22)

  1. グラファイトシート又はその積層体の少なくとも一部が互いに重なるようにらせん状に巻いた放熱線状物であって、
    前記グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下であることを特徴とする放熱線状物。
  2. 前記グラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上である請求項1に記載の放熱線状物。
  3. 前記グラファイトシートは、芳香族高分子を成膜して厚さ120nm以上18μm以下のフィルムにし、このフィルムを炭素化した後、温度3000℃以上でゲージ圧力0.10MPa以上で熱処理することによって得られるものである請求項1または2に記載の放熱線状物。
  4. 発熱体と、該発熱体に接続された請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物とを有する医療機器。
  5. 管部と、該管部内の発熱体と、該発熱体に接続されたグラファイト製熱伝導体とを有しており、
    前記熱伝導体は、グラファイトシート又はその積層体であって、このグラファイトシートは、面積が4mm2以上であり、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が1950W/m・K以上であることを特徴とする内視鏡。
  6. 前記グラファイトシートは、芳香族高分子を成膜して厚さ120nm以上18μm以下のフィルムにし、このフィルムを炭素化した後、温度3000℃以上でゲージ圧力0.10MPa以上で熱処理することによって得られるものである請求項5に記載の内視鏡。
  7. 前記グラファイトシートの密度が1.8g/cm3以上である請求項5または6に記載の内視鏡。
  8. 前記グラファイトシートの平均結晶粒径が1.8μm以上である請求項5〜7のいずれか1項に記載の内視鏡。
  9. 前記グラファイトシートの厚さが50nm超9.6μm以下である請求項5〜8のいずれか1項に記載の内視鏡。
  10. 前記管部に接続された操作部を有しており、
    前記グラファイト製熱伝導体の一端は前記発熱体に接続されて、他端が前記発熱体よりも前記操作部側の金属部材に接続されている請求項5〜9のいずれか1項に記載の内視鏡。
  11. 前記グラファイト製熱伝導体は、前記発熱体にらせん状に巻き付けられており、前記グラファイト製熱伝導体の少なくとも一部が互いに重なり合っている請求項5〜10のいずれか1項に記載の内視鏡。
  12. 巻回数が1.5以上のロール状に形成された前記グラファイト製熱伝導体の内側面が、前記発熱体と接続されている請求項5〜11のいずれか1項に記載の内視鏡。
  13. 前記発熱体は、撮像素子と、照明部のいずれか一方を少なくとも含む請求項5〜12のいずれか1項に記載の内視鏡。
  14. 前記撮像素子と、前記照明部との間に、第2グラファイト製熱伝導体が配置されている請求項13に記載の内視鏡。
  15. 前記発熱体の外側であって前記管部の内側面に、第3グラファイト製熱伝導体が配置されている請求項5〜14のいずれか1項に記載の内視鏡。
  16. 発熱体と、該発熱体に接続された請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物とを有する内視鏡。
  17. 発熱体と、該発熱体に接続された請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物とを有する電子機器。
  18. 発熱体と、該発熱体に接続された厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物とを有するレーザーメス。
  19. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物が、複数互いに編み込まれて形成されたグラファイト製放熱部材。
  20. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた光ファイバーとから構成されるグラファイト被覆光ファイバー。
  21. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物と、この放熱線状物内に収められた複数本の光ファイバーとから構成されるグラファイト被覆光配線ケーブル。
  22. 厚さが50nm超9.6μm以下のグラファイトシート若しくはその積層体、又は請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱線状物が周囲に巻き付けられたヒートパイプ。
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