JPWO2015194584A1 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、柔軟で耐熱老化性、耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供するものであり、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントを主たる構成成分とし、前記ソフトセグメントの含有量が3〜40質量%である熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、変性されたオレフィン系エラストマー(B)との合計100質量部に対し、カルボジイミド化合物(C)0.1〜10質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5質量部及び硫黄系酸化防止剤(E)0.01〜5質量部を含有してなる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物である。前記(A)と前記(B)の質量割合((A)/(B))は、95/5〜40/60である。

Description

本発明は、柔軟で耐熱老化性、耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物に関するものである。また、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなる成形品に関するものである。詳しくは、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーなどの内燃機関吸気系部品に最適な熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物に関するものである。
熱可塑性ポリエステルエラストマーは、以前よりポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)をはじめとする結晶性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)などのポリオキシアルキレングリコール類及び/又はポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンアジペート(PBA)などのポリエステルをソフトセグメントとするものなどが知られ、実用化されている(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、ソフトセグメントにポリオキシアルキレングリコール類を用いたポリエステルポリエーテル型エラストマーは、耐水性及び低温特性には優れるものの耐熱老化性に劣ることが、またソフトセグメントにポリエステルを用いたポリエステルポリエステル型エラストマーは、耐熱老化性に優れるものの、耐水性及び低温特性に劣ることが知られており、耐熱老化性と耐水性をバランス良く兼ね備えた熱可塑性ポリエステルエラストマーの提供が求められている。
例えば、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、ポリアミド樹脂とヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を添加したブロックポリエーテルエステル共重合体組成物(特許文献3)、及びポリエステル系エラストマーに、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び/又はポリアミド樹脂を添加したポリエステルエラストマー樹脂組成物(特許文献4)が提案されているが、このような構成では自動車部品、特に自動車エンジン周り部品など極めて耐熱老化性が必要となる用途には、未だ耐熱老化性が不足しているという問題がある。
また、柔軟ポリエステルブロック共重合体と高硬度ポリエステルブロック共重合体からなるポリエステルエラストマーと、動的架橋された熱可塑性エラストマーを混合してなる熱可塑性エラストマーに、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の1種または2種以上からなる耐熱剤を添加した熱可塑性エラストマー樹脂組成物(特許文献5)、及びテレフタル酸とそれ以外のジカルボン酸から構成されるハードセグメントを持つポリエステルブロック共重合体とポリエステル樹脂を混合してなる熱可塑性エラストマーに、グリシジル変性ポリオレフィン、酸化防止剤、ポリアミド樹脂を添加した熱可塑性エラストマー樹脂組成物(特許文献6)が提案されている。
しかしながら、特許文献5や特許文献6では、耐熱老化性の改良はなされているものの、加水分解を起こし易いというポリエステル系樹脂特有の課題は解決されていない。
特開平10−17657号公報 特開2003−192778号公報 特開平2−173059号公報 特開平8−277358号公報 特開2011−116856号公報 特開2013−189550号公報
本発明は、上記従来の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の有する問題を解決するためになされたものであり、柔軟で耐熱老化性、耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明に至った。即ち本発明は、以下の通りである。
[1] 芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントを主たる構成成分とし、前記ソフトセグメントの含有量が3〜40質量%である熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、変性されたオレフィン系エラストマー(B)との合計100質量部に対し、カルボジイミド化合物(C)0.1〜10質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5質量部及び硫黄系酸化防止剤(E)0.01〜5質量部を含有してなる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であり、前記(A)と前記(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜40/60であり、JIS K6251:2010に準じて測定された引張試験において、該熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物から得られた成形品の初期引張破断伸度が550%以上で、且つ150℃、250時間熱処理後の引張破断伸度保持率(%)が70%以上であり、且つ100℃、350時間沸水処理後の引張破断伸度保持率(%)が60%以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[2] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるハードセグメントがポリブチレンテレフタレートで構成される[1]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[3] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)で構成される[1]又は[2]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[4] 前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られたものを変性した変性エチレン・α−オレフィン系共重合体である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[5] 前記カルボジイミド化合物(C)が、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0〜5質量%であるポリカルボジイミド化合物である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[6] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜65/35である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなる成形品。
[8] 前記成形品が内燃機関吸気系部品である[7]の成形品。
[9] 前記内燃機関吸気系部品が、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーのいずれかである[8]の成形品。
本発明によれば、柔軟で耐熱老化性、耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得ることが出来る。
以下、本発明について詳細に説明する。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントからなり、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント、及び、脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントとを主たる構成成分とする。ハードセグメントとして、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルが70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。ソフトセグメントとして、脂肪族ポリエーテルが70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸は、全酸成分の70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。その他の酸成分は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下である。
また、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する脂肪族又は脂環族ジオールは、一般の脂肪族又は脂環族ジオールが広く用いられ、特に限定されないが、主として炭素数2〜8のアルキレングリコール類であることが望ましい。具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのうち、1,4−ブタンジオール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
上記のハードセグメントのポリエステルを構成する成分としては、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールからなるブチレンテレフタレート単位、あるいは2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールからなるブチレンナフタレート単位よりなるものが、物性、成形性、コストパフォーマンスの点より好ましい。ブチレンテレフタレート単位よりなるものが、特に好ましい。
また、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)におけるハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルを事前に製造し、その後ソフトセグメント成分と共重合させる場合、該芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、数平均分子量10000〜40000を有しているものが望ましい。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)におけるソフトセグメント成分である脂肪族ポリエーテルは、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリエーテルの中でも、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール(EO/THF共重合グリコール)が好ましく、より好ましくは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)である。また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)のソフトセグメントの含有量(共重合量)は3〜40質量%である。ソフトセグメントの含有量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。ソフトセグメントの含有量(共重合量)が3質量%未満だとエラストマーとしての柔軟性やゴム弾性が不足し、また40質量%を超えると、耐熱性が低下する。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の還元粘度は、1.3〜2.5dl/gが好ましく、1.5〜2.3dl/gがより好ましい。本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の融点は、170〜225℃が好ましく、170〜220℃がより好ましく、180〜210℃がさらに好ましい。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、公知の方法で製造できる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、およびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法が挙げられる。
本発明に用いる変性されたオレフィン系エラストマー(B)は、オレフィン系エラストマーを変性したものであり、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α−オレフィン系共重合体を変性したものが好ましい。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び炭素数3〜20を有する少なくとも1種以上のα−オレフィンを構成成分とする共重合体であり、炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、炭素数4〜12であるα−オレフィンが好ましい。
また上記オレフィン系エラストマーの変性は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によって行われる酸変性が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどが挙げられる。変性されたオレフィン系エラストマーの中でも、不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性された、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィン共重合体が好ましい。
オレフィン系エラストマー(B)に変性が必要な理由は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)との相溶性を良くし、アロイによる相乗効果を最大限に発揮させるためである。変性されたオレフィン系エラストマーを配合することにより、耐熱老化性が飛躍的に向上することは驚くべきことである。加えて、変性により相溶性が良くなることで、溶融混練する際の押出ストランドも脈動することなく安定して生産出来る。
オレフィン系エラストマー(B)の変性含有量は、0.3〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましく、0.8〜1.5質量%がさらに好ましい。変性含有量とは、変性されたオレフィン系エラストマー(B)中の、変性基を有する化合物(モノマー)の含有量(共重合量)を表す。
このような変性されたオレフィン系エラストマーとしては、例えば三井化学社製「タフマーMH5020」などが使用可能である。
本発明においては、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と変性されたオレフィン系エラストマー(B)の合計を100質量部としたとき、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と変性されたオレフィン系エラストマー(B)の質量割合((A)/(B))は、95/5〜40/60であり、95/5〜50/50であることが好ましい。本発明の効果を顕著に奏するためには、この質量割合は、95/5〜65/35が好ましく、90/10〜70/30がより好ましく、90/10〜75/25がさらに好ましい。上記範囲以外では、エラストマー組成物の柔軟性、耐熱性、成形性、外観などが不十分となるため好ましくない。
本発明に用いるカルボジイミド化合物(C)とは、1分子内に−N=C=N−の構造を有する化合物である。脂肪族系カルボジイミド、脂環族系カルボジイミド、芳香族系カルボジイミドの化合物や、これらの構造を有する重合体や共重合体などが挙げられる。
本発明に用いるカルボジイミド化合物(C)は、例えば、ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素反応により作製されるが、使用できるジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−ジイソシアネートなどを単独又は二種以上を共重合させ使用することが出来る。また、分岐構造を導入したり、カルボジイミド基やイソシアネート基以外の官能基を共重合により導入したりしても良い。さらに末端のイソシアネートの一部もしくは全部を封鎖させることにより、重合度の制御および、末端イソシアネートを封鎖出来る。末端封鎖剤としては、フェニルイソシアネート、トリスイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物、−OH基、−COOH基、−SH基、−NH−R(Rは水素原子またはアルキル基)などを有する化合物を用いることが出来る。
本発明におけるカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0〜5質量%であるポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。
本発明におけるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基数は、2〜50が安定性と取り扱い性の点で好ましく、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは10〜20である。カルボジイミド基数とは、カルボジイミド分子中のカルボジイミド基の個数であり、ジイソシアネート化合物から得られたポリカルボジイミドであれば、重合度に相当する。例えば、21個のジイソシアネート化合物が鎖状につながって得られたポリカルボジイミドの重合度は20であり、分子鎖中のカルボジイミド基数は20である。通常、ポリカルボジイミド化合物は、種々の長さの分子の混合物であり、カルボジイミド基数は、平均値で表される。カルボジイミド基数は、常法(アミン溶液で溶解して塩酸で逆滴定を行う方法:残存イソシアネート基がアミンと反応し、その他のイソシアネート基は全てカルボジイミド基に変換したと考える)を用いて測定出来る。末端イソシアネート基を封鎖した市販カルボジイミド化合物のカルボジイミド基数は、メーカー測定値を採用すればよい。
前記範囲のカルボジイミド基数を有し、室温付近で固形であると、粉末化出来るので、熱可塑性ポリエステルエラストマーとの混合時の作業性や相溶性に優れ、均一反応性、耐ブリードアウト性の点でも好ましい。
本発明におけるカルボジイミド化合物のイソシアネート基含有率は、0〜5質量%が安定性と取り扱い性の点で好ましく、より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。特に、ジシクロへキシルメタンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートに由来するカルボジイミド化合物であって、前記範囲のイソシアネート基含有率を有することが好ましい。なお、イソシアネート基含有率とは、カルボジイミド化合物中のイソシアネート基(NCO:42g/モル)の含有率(質量%)を表し、イソシアネート基含有率も上記と同様、常法(アミン溶液で溶解して塩酸で逆滴定を行う方法)を用いて測定出来る。
カルボジイミド化合物(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と変性されたオレフィン系エラストマー(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜4質量部である。10質量部を超えると、柔軟性が損なわれたり、機械的特性、耐熱性、溶融粘度が低下することがある。また、0.1質量部未満であると、組成物中の−N=C=N−量が少なくなり、耐加水分解性向上効果、押出性向上効果に劣ることがある。
本発明におけるカルボジイミド化合物(C)は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの残存ヒドロキシル基やカルボキシル基と反応し、酸価を大幅に低下させることができる。また、ポリエステルエラストマーの加水分解により発生したカルボン酸とも速やかに反応し、ポリエステルエラストマー組成物の酸価を常に低い状態に保つことが可能である。これにより、優れた耐加水分解性を有するポリエステルエラストマー組成物となる。
本発明のエラストマー組成物に用いられるヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−トルエン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−モノエチル−フォスフェート)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス[3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステル、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2’−オキサミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミックアヒドトリエステルウイズ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンプロピオンアミド)などを挙げることができる。これらの中でも、分子量が500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、分子量が1000以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤がより好ましい。具体的には、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンプロピオンアミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましく、特に、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
本発明のエラストマー組成物に用いられる硫黄系酸化防止剤(E)としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジラウリルチオジプロピオネート、ジオクタデシルサルファイド、ペンタエリストリール−テトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステルなどを挙げることができる。これらの中でも特に、チオジプロピオンエステル系化合物の使用が好ましい。
上記酸化防止剤(D)、(E)の含有量は、どちらも熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と変性されたオレフィン系エラストマー(B)の合計100質量部に対し、0.01〜5質量部であり、好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜1.5質量部である。含有量が0.01質量部未満では目的とする耐熱性改良効果が得られ難く、また5質量部を超えるとブリードアウトし外観が悪くなる可能性があり好ましくない。
上記酸化防止剤(D)、(E)は、組み合わせて配合することが必須であり、どちらか単体のみを配合した場合では目的とする耐熱性改良効果が得られない。明確な理由は分かっていないが、公知であるラジカル連鎖防止剤やパーオキサイド分解剤としての役割だけでなく、何らかの相乗効果により高い耐熱効果を発現していると推定している。
さらに、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、上記酸化防止剤(D)、(E)以外に、本発明の効果を阻害させない範囲において、目的に応じて種々の添加剤を配合して組成物を得ることができる。添加剤としては、公知のヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子量調整剤、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)、変性されたオレフィン系エラストマー(B)、カルボジイミド化合物(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、及び硫黄系酸化防止剤(E)の合計で80質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、本発明における熱可塑性ポリエステルエラストマー、変性されたオレフィン系エラストマー、カルボジイミド化合物などの各成分を所定の配合比に混合した後に、溶融混錬すればよい。混合は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダーなどが使用でき、溶融混錬は、バンバリーミキサー、ニーダー式加熱機、単軸もしくは二軸の溶融混錬押出機などを使用することができる。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、該熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物から得られる成形品(試験片)の、JIS K6251:2010に準じて測定された引張試験において、初期引張破断伸度が550%以上で、且つ150℃、250時間熱処理後の引張破断伸度保持率(%)が70%以上であり、且つ100℃、350時間沸水処理後の引張破断伸度保持率(%)が60%以上である。引張破断伸度(切断時伸び)は、JIS K6251:2010に準じて測定した値であり、試験片は下記実施例の項に記載した方法で作製したものである。初期引張破断伸度は、未処理の試験片での測定値である。熱処理は、試験片を150℃の熱風オーブンにて250時間放置する処理であり、該処理後の引張破断伸度保持率とは、初期引張破断伸度に対する保持率である。沸水処理は、試験片を100℃沸騰水中に浸漬し、350時間放置する処理であり、該処理後の引張破断伸度保持率とは、初期引張破断伸度に対する保持率である。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、上記で説明した構成を有することで、これらの特性を達成できる。初期引張破断伸度は580%以上が好ましい。熱処理後の引張破断伸度保持率は、80%以上が好ましい。沸水処理後の引張破断伸度保持率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
耐熱老化性、耐水性は、引張破断伸度をどれくらい保持しているかで評価できるため、引張破断伸度保持率を用いている。
また、初期引張破断強度は、8MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、柔軟で耐熱老化性、耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であり、この組成物から得られる成形品は、内燃機関吸気系部品に適している。内燃機関吸気系部品の中でも、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーに適している。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において各測定は、以下の方法に従った。
[熱可塑性ポリエステルエラストマーの組成分析]
熱可塑性ポリエステルエラストマーの組成は、重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
[熱可塑性ポリエステルエラストマーの還元粘度]
樹脂0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
[熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点(Tm)]
50℃で15時間減圧乾燥した樹脂を、示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて室温から20℃/分の昇温速度で測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、アルゴン雰囲気で測定した。
[引張破断強度および引張破断伸度]
組成物の引張破断時の強度および伸度を、JIS K6251:2010に準拠して測定した。試験片は、100℃で8時間減圧乾燥した組成物を、射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、シリンダー温度(Tm+20℃)、金型温度30℃で、100mm×100mm×2mmの平板に射出成形した後、該平板よりダンベル状3号形の試験片を打ち抜いて製作した。
[熱処理:耐熱老化性試験]
上述ダンベル状3号形の試験片を、150℃の熱風オーブンにて250時間放置した後取り出し、上記同様JIS K6251:2010に準拠して引張破断伸度を測定した。以下の式にて引張破断伸度保持率を算出し評価した。初期引張破断伸度は、熱処理前の引張破断伸度である。
引張破断伸度保持率(%)=熱処理後の引張破断伸度/初期引張破断伸度×100
[沸水処理:耐加水分解性試験]
上述ダンベル状3号形の試験片を、100℃沸騰水中に浸漬し、350時間放置した後取り出し、上記同様JIS K6251:2010に準拠して引張破断伸度を測定した。以下の式にて引張破断伸度保持率を算出し評価した。初期引張破断伸度は、沸水処理前の引張破断伸度である。
引張破断伸度保持率(%)=沸水処理後の引張破断伸度/初期引張破断伸度×100
[押出ストランド安定性]
二軸押出機で溶融混練する際の押出ストランドの安定性を、下記の基準で評価した。
◎:全くストランド切れが発生せず、安定に押出される。
○:ストランド切れには至らないが太さの変動が認められる。
△:時々、ストランド切れが発生する。
×:頻繁にストランド切れが発生し、連続して引取りが困難。
[熱可塑性ポリエステルエラストマー(A−1、A−2、A−3、A−4)の製造]
ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、及び数平均分子量が1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを原料として、表1に示す組成の熱可塑性ポリエステルエラストマーA−1、A−2、A−3、A−4を合成した。得られたポリエステルエラストマーの組成と各種物性を表1に示す。
[オレフィン系エラストマー(B)]
変性されたオレフィン系エラストマー(B−1)として、三井化学(株)製「タフマーMH5020(マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体)」を使用した。
また、未変性のオレフィン系エラストマー(B−2)として、三井化学(株)製「タフマーA4050S(エチレン/1−ブテン共重合体)」を使用した。
[カルボジイミド化合物(C−1)の製造]
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下HMDIとも記載する)262gに、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド1.5gを加え、窒素をバブリングしながら、185℃で28時間縮合反応させることにより、HMDI由来のポリカルボジイミド(C−1)(カルボジイミド基数=16、イソシアネート基含有率=2.0質量%)を得た。
[カルボジイミド化合物(C−2)]
市販のポリカルボジイミド(日清紡ケミカル(株)製「HMV−15CA」:脂肪族ポリカルボジイミド、カルボジイミド基数=16、イソシアネート基含有率=0質量%)を使用した。
[酸化防止剤]
下記実施例において使用した酸化防止剤の略号と構造式を表2に示す。
[実施例1〜11、比較例1〜9]
上記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)、オレフィン系エラストマー(B)、カルボジイミド化合物(C)、酸化防止剤の各成分を表3、4に記載の配合比でドライブレンドし、35mmφ二軸押出機(東芝機械社製)を用いて、220℃〜250℃の温度設定で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを100℃にて5時間減圧乾燥し、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。評価結果を表3、4に示す。
表3、4の結果から明らかなように、実施例1〜11に示した熱可塑性ポリエステルエラストマーと変性されたオレフィン系エラストマーからなる樹脂成分に、カルボジイミド化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤を配合した本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、150℃、250時間熱処理後の引張伸度破断保持率が80%以上と非常に耐熱老化性に優れていると共に、100℃、350時間沸水処理後の引張破断伸度保持率も70%以上と高い耐加水分解性を示している。また安定生産性の指標となる押出ストランド安定性に関しても、良好な結果となっている。一方、本発明の条件を満たさない比較例1〜9の組成物は、本発明の組成物と比較して、耐熱老化性、耐加水分解性のいずれかが劣っている。
変性されたオレフィン系エラストマーが未配合である比較例1、酸化防止剤が未配合もしくは1種のみ配合の比較例2〜4、未変性のオレフィン系エラストマーが配合されている比較例5、硫黄系酸化防止剤がリン系酸化防止剤に変更されて配合されている比較例6では、いずれも150℃、250時間熱処理後の引張伸度保持率が70%未満であり耐熱老化性が劣っている。変性されたオレフィン系エラストマーの配合量が本発明の条件よりも多い比較例7では、耐熱老化性が低下するだけでなく、ストランドが脈動して安定生産出来ないため劣っている。カルボジイミド化合物が未配合である比較例8では、100℃、350時間沸水処理後の引張伸度保持率が60%未満であり、耐加水分解性が劣っている。ポリエステルエラストマーのソフトセグメント成分の含有量が本発明の条件よりも多い比較例9においても、耐熱老化性が劣る結果になっている。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、柔軟で、耐熱老化性と耐水性をバランス良く兼ね備えていることから、自動車エンジン周り部品、特に耐熱性の必要なエアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、エアクリーナーなどの内燃機関吸気系部品に好適に使用出来る。

Claims (9)

  1. 芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントを主たる構成成分とし、前記ソフトセグメントの含有量が3〜40質量%である熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、変性されたオレフィン系エラストマー(B)との合計100質量部に対し、カルボジイミド化合物(C)0.1〜10質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5質量部及び硫黄系酸化防止剤(E)0.01〜5質量部を含有してなる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であり、前記(A)と前記(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜40/60であり、JIS K6251:2010に準じて測定された引張試験において、該熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物から得られた成形品の初期引張破断伸度が550%以上で、且つ150℃、250時間熱処理後の引張破断伸度保持率(%)が70%以上であり、且つ100℃、350時間沸水処理後の引張破断伸度保持率(%)が60%以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  2. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるハードセグメントがポリブチレンテレフタレートで構成される請求項1に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  3. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)で構成される請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  4. 前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られたものを変性した変性エチレン・α−オレフィン系共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  5. 前記カルボジイミド化合物(C)が、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0〜5質量%であるポリカルボジイミド化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  6. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜65/35である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなる成形品。
  8. 前記成形品が内燃機関吸気系部品である請求項7の成形品。
  9. 前記内燃機関吸気系部品が、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーのいずれかである請求項8の成形品。
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