JPWO2015194584A1 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるハードセグメントがポリブチレンテレフタレートで構成される[1]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[3] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)で構成される[1]又は[2]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[4] 前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られたものを変性した変性エチレン・α−オレフィン系共重合体である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[5] 前記カルボジイミド化合物(C)が、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0〜5質量%であるポリカルボジイミド化合物である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[6] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜65/35である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなる成形品。
[8] 前記成形品が内燃機関吸気系部品である[7]の成形品。
[9] 前記内燃機関吸気系部品が、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーのいずれかである[8]の成形品。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントからなり、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント、及び、脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントとを主たる構成成分とする。ハードセグメントとして、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルが70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。ソフトセグメントとして、脂肪族ポリエーテルが70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸は、全酸成分の70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。その他の酸成分は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下である。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び炭素数3〜20を有する少なくとも1種以上のα−オレフィンを構成成分とする共重合体であり、炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、炭素数4〜12であるα−オレフィンが好ましい。
オレフィン系エラストマー(B)に変性が必要な理由は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)との相溶性を良くし、アロイによる相乗効果を最大限に発揮させるためである。変性されたオレフィン系エラストマーを配合することにより、耐熱老化性が飛躍的に向上することは驚くべきことである。加えて、変性により相溶性が良くなることで、溶融混練する際の押出ストランドも脈動することなく安定して生産出来る。
このような変性されたオレフィン系エラストマーとしては、例えば三井化学社製「タフマーMH5020」などが使用可能である。
本発明におけるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基数は、2〜50が安定性と取り扱い性の点で好ましく、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは10〜20である。カルボジイミド基数とは、カルボジイミド分子中のカルボジイミド基の個数であり、ジイソシアネート化合物から得られたポリカルボジイミドであれば、重合度に相当する。例えば、21個のジイソシアネート化合物が鎖状につながって得られたポリカルボジイミドの重合度は20であり、分子鎖中のカルボジイミド基数は20である。通常、ポリカルボジイミド化合物は、種々の長さの分子の混合物であり、カルボジイミド基数は、平均値で表される。カルボジイミド基数は、常法(アミン溶液で溶解して塩酸で逆滴定を行う方法:残存イソシアネート基がアミンと反応し、その他のイソシアネート基は全てカルボジイミド基に変換したと考える)を用いて測定出来る。末端イソシアネート基を封鎖した市販カルボジイミド化合物のカルボジイミド基数は、メーカー測定値を採用すればよい。
前記範囲のカルボジイミド基数を有し、室温付近で固形であると、粉末化出来るので、熱可塑性ポリエステルエラストマーとの混合時の作業性や相溶性に優れ、均一反応性、耐ブリードアウト性の点でも好ましい。
本発明におけるカルボジイミド化合物のイソシアネート基含有率は、0〜5質量%が安定性と取り扱い性の点で好ましく、より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。特に、ジシクロへキシルメタンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートに由来するカルボジイミド化合物であって、前記範囲のイソシアネート基含有率を有することが好ましい。なお、イソシアネート基含有率とは、カルボジイミド化合物中のイソシアネート基(NCO:42g/モル)の含有率(質量%)を表し、イソシアネート基含有率も上記と同様、常法(アミン溶液で溶解して塩酸で逆滴定を行う方法)を用いて測定出来る。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)、変性されたオレフィン系エラストマー(B)、カルボジイミド化合物(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、及び硫黄系酸化防止剤(E)の合計で80質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、上記で説明した構成を有することで、これらの特性を達成できる。初期引張破断伸度は580%以上が好ましい。熱処理後の引張破断伸度保持率は、80%以上が好ましい。沸水処理後の引張破断伸度保持率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
耐熱老化性、耐水性は、引張破断伸度をどれくらい保持しているかで評価できるため、引張破断伸度保持率を用いている。
また、初期引張破断強度は、8MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性ポリエステルエラストマーの組成は、重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
樹脂0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
50℃で15時間減圧乾燥した樹脂を、示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて室温から20℃/分の昇温速度で測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、アルゴン雰囲気で測定した。
組成物の引張破断時の強度および伸度を、JIS K6251:2010に準拠して測定した。試験片は、100℃で8時間減圧乾燥した組成物を、射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、シリンダー温度(Tm+20℃)、金型温度30℃で、100mm×100mm×2mmの平板に射出成形した後、該平板よりダンベル状3号形の試験片を打ち抜いて製作した。
上述ダンベル状3号形の試験片を、150℃の熱風オーブンにて250時間放置した後取り出し、上記同様JIS K6251:2010に準拠して引張破断伸度を測定した。以下の式にて引張破断伸度保持率を算出し評価した。初期引張破断伸度は、熱処理前の引張破断伸度である。
引張破断伸度保持率(%)=熱処理後の引張破断伸度/初期引張破断伸度×100
上述ダンベル状3号形の試験片を、100℃沸騰水中に浸漬し、350時間放置した後取り出し、上記同様JIS K6251:2010に準拠して引張破断伸度を測定した。以下の式にて引張破断伸度保持率を算出し評価した。初期引張破断伸度は、沸水処理前の引張破断伸度である。
引張破断伸度保持率(%)=沸水処理後の引張破断伸度/初期引張破断伸度×100
二軸押出機で溶融混練する際の押出ストランドの安定性を、下記の基準で評価した。
◎:全くストランド切れが発生せず、安定に押出される。
○:ストランド切れには至らないが太さの変動が認められる。
△:時々、ストランド切れが発生する。
×:頻繁にストランド切れが発生し、連続して引取りが困難。
ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、及び数平均分子量が1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを原料として、表1に示す組成の熱可塑性ポリエステルエラストマーA−1、A−2、A−3、A−4を合成した。得られたポリエステルエラストマーの組成と各種物性を表1に示す。
変性されたオレフィン系エラストマー(B−1)として、三井化学(株)製「タフマーMH5020(マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体)」を使用した。
また、未変性のオレフィン系エラストマー(B−2)として、三井化学(株)製「タフマーA4050S(エチレン/1−ブテン共重合体)」を使用した。
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下HMDIとも記載する)262gに、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド1.5gを加え、窒素をバブリングしながら、185℃で28時間縮合反応させることにより、HMDI由来のポリカルボジイミド(C−1)(カルボジイミド基数=16、イソシアネート基含有率=2.0質量%)を得た。
市販のポリカルボジイミド(日清紡ケミカル(株)製「HMV−15CA」:脂肪族ポリカルボジイミド、カルボジイミド基数=16、イソシアネート基含有率=0質量%)を使用した。
下記実施例において使用した酸化防止剤の略号と構造式を表2に示す。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)、オレフィン系エラストマー(B)、カルボジイミド化合物(C)、酸化防止剤の各成分を表3、4に記載の配合比でドライブレンドし、35mmφ二軸押出機(東芝機械社製)を用いて、220℃〜250℃の温度設定で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを100℃にて5時間減圧乾燥し、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。評価結果を表3、4に示す。
Claims (9)
- 芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントを主たる構成成分とし、前記ソフトセグメントの含有量が3〜40質量%である熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、変性されたオレフィン系エラストマー(B)との合計100質量部に対し、カルボジイミド化合物(C)0.1〜10質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5質量部及び硫黄系酸化防止剤(E)0.01〜5質量部を含有してなる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であり、前記(A)と前記(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜40/60であり、JIS K6251:2010に準じて測定された引張試験において、該熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物から得られた成形品の初期引張破断伸度が550%以上で、且つ150℃、250時間熱処理後の引張破断伸度保持率(%)が70%以上であり、且つ100℃、350時間沸水処理後の引張破断伸度保持率(%)が60%以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるハードセグメントがポリブチレンテレフタレートで構成される請求項1に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の構成成分であるソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMG)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体(PPG−EO付加重合体)で構成される請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られたものを変性した変性エチレン・α−オレフィン系共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 前記カルボジイミド化合物(C)が、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0〜5質量%であるポリカルボジイミド化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と、前記変性されたオレフィン系エラストマー(B)の質量割合((A)/(B))が95/5〜65/35である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなる成形品。
- 前記成形品が内燃機関吸気系部品である請求項7の成形品。
- 前記内燃機関吸気系部品が、エアダクト、レゾネーター、サイドブランチ、及びエアクリーナーのいずれかである請求項8の成形品。
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