JPWO2015190573A1 - 鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、鉄欠乏性貧血の予防および/または治療剤医薬組成物、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または治療剤医薬組成物、鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、ならびに、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用を提供する。【解決手段】 セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる。
Description
本発明は、鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、ならびに、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物に関し、詳細には、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、ならびに、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物に関し、より詳細には、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または治療剤医薬組成物、ならびにセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または治療剤医薬組成物に関する。
鉄欠乏性貧血は、世界中で高頻度に発症している栄養障害であり、日本人女性の約10%が罹患しているといわれている。鉄欠乏性貧血は、赤血球の減少を引き起こし、酸素運搬不足を誘引して骨格筋における酸化的エネルギーの産生能力を低下させ、その結果、動機や息切れ、妊婦では早産、小児では知能低下や発達障害を招くなど、身体に重篤な悪影響を与えるため大きな問題となっており、効果的な予防および対策が求められている。
鉄欠乏性貧血の治療方法としては、鉄剤の経口投与や静脈内投与などを挙げることができるが、鉄剤の服用は胃腸の粘膜を刺激するため、吐き気やむかつき、下痢などの副作用の他、鉄欠乏性貧血においては、倦怠感、動悸、息切れ、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労、食欲不振、悪心、下痢などの、いわゆる不定愁訴を伴うことが多い。また、鉄は生体内に必要不可欠な微量元素である一方、過剰に蓄積すると毒性を発揮し、生体内において酸化ストレスを生じるなどの悪影響を及ぼすというように、極めて危険な存在となってしまうこともある。
とはいえ、生体内の鉄の約60〜70%は、赤血球に含まれるヘモグロビンの構成要素となり、全身への酸素供給を担っている。また、鉄は全身の細胞の分裂、増殖、代謝などにおいて必須の物質であり、鉄なしでは生命の維持は不可能であるといえる。そのため、鉄剤を人体に投与する際は必要十分な鉄量を補充すべきであり、決して生体内鉄量が過剰とならないように留意することが必要である。生体への鉄の供給が、主として、食餌に含まれる鉄を摂取することによりなされていることから、食物成分との相互作用を利用して食物に含まれる鉄を生体へ効率良く取り込むことができれば、鉄欠乏性貧血やそれに伴う不定愁訴の解消に役立ち、またホメオスタシスによって鉄過剰状態を回避することも可能となるので好ましいといえる。
近年、ミネラル吸収促進剤が注目を集めている。なかでも、オリゴ糖を酸化して得られる糖カルボン酸は高い水溶性を示すことから、生体へのミネラル補強の効果が高いと考えられている。また、糖カルボン酸はオリゴ糖のへミアセタール水酸基が酸化されていることから、摂取後にβ−ガラクトシダーゼなどの生体内加水分解酵素による分解を受けにくく、そのまま腸内に到達してビフィズス菌増殖を誘発する因子となり得るとも考えられている。
昨今、糖カルボン酸であるラクトビオン酸摂取することにより、鉄吸収が促進されたという研究結果が報告されており(非特許文献1および非特許文献2)、ラクトビオン酸を有効成分とするミネラル吸収促進剤やラクトビオン酸と乳糖を含有するミネラル吸収促進剤が開示されている(特許文献1および特許文献2)。他方、オリゴ糖酸であるマルトビオン酸と、その塩またはマルトビオノデルタラクトンを有効成分として含有するミネラル吸収促進剤が開示されている(特許文献3)。さらに、セロビオン酸がカルシウムや鉄などとの塩形態である場合に水溶性を示すことから、ミネラル補強剤としても有用ではないかとされている(特許文献4)。
村上洋ら,応用糖質科学,1:296〜301,2011
村上洋ら,機能性糖質素材の開発と食品への応用,231〜240,2005
セロビオン酸はラクトビオン酸と構造が類似するが、セロビオン酸のミネラル吸収に関する機能性についてはこれまで具体的に検討されてはいない。この点、特許文献4に開示されているのは、塩として結合する二価金属イオンを生体内へ取り込むことができるミネラル補強剤となり得るとの推測であり、本願発明のような、セロビオン酸二糖類の二価金属塩に由来しない鉄を生体内へ効率よく供給する組成物とは明確に相違している。さらに、セロビオン酸二糖類の二価金属塩について、鉄欠乏性貧血の予防効果や改善効果、さらには鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の効果や改善効果に優れているとの報告はおろか、示唆すらされていない。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、それらの予防および/または治療剤医薬組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、ならびに、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、セロビオン酸二糖類の二価金属塩が鉄欠乏性貧血の予防効果や改善効果を奏すること、さらには鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防効果や改善効果を奏すること、肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量を調節し、もしくは増加させること、腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制すること、腸内における鉄吸収を調節または増強すること、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強すること、水に不溶または難溶な鉄化合物の生成を抑制することを見出し、さらにはセロビオン酸二糖類の二価金属塩が奏する鉄欠乏性貧血の予防効果や改善効果、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防効果や改善効果を鉄欠乏性貧血の予防・治療剤医薬組成物、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防・治療剤医薬組成物および皮膚組織における鉄欠乏の予防・改善化粧料組成物に応用することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物。
(2)セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物。
(3)食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強する、(1)または(2)に記載の予防および/または改善剤組成物。
(4)二価金属塩がカルシウム、マグネシウム、銅および亜鉛の塩からなる群から選択される1または2以上の塩である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(5)二価金属塩がカルシウムである、(1)から(3)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(6)食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物。
(7)食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物。
(8)肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量を調節し、もしくは増加させる、(1)から(7)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(9)腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制する、(1)から(8)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(10)腸内における鉄吸収を調節または増強する、(1)から(9)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(11)水に不溶または難溶な鉄化合物の生成を抑制する、(1)から(10)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(12)組成物が食品組成物である、(1)から(11)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(13)予防および/または改善剤組成物が予防および/または治療剤医薬組成物である、(1)から(11)のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
(14)セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用。
(15)セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用。
(16)食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用。
(17)食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用。
(18)セロビオン酸二糖類の二価金属塩を含む飲食物を経口的に摂取する工程を有する、肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制する方法(医療行為を除く。)。
本発明に係るセロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、それらの予防および/または治療剤医薬組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、ならびに、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用によれば、鉄欠乏性貧血の予防・改善・治療、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防・改善・治療の他、鉄欠乏性貧血の治療による吐き気やむかつき、下痢などの副作用を生じずに鉄欠乏性貧血を予防・改善・治療することができるとともに、倦怠感、動悸、息切れ、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労、食欲不振、悪心などの鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴を回避することができる。また、食物に含まれる鉄を生体へ効率良く取り込むことができることから、必要十分な鉄量を補充しつつ生体内鉄量が過剰とならないようにすることができる。
以下、本発明に係るセロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、それらの予防および/または治療剤医薬組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、ならびに、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用について詳細に説明する。
本発明に係るセロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、ならびにそれらの予防および/または治療剤医薬組成物は、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる。
食餌に含まれる鉄は二価鉄に変換され、小腸上皮細胞へ取り込まれる。上皮細胞から血液中に汲み出された鉄はトランスフェリンと結合し、全身に運ばれ利用される。生体で利用されなかった余剰な鉄は、フェリチンやヘモシデリンとして肝臓などで貯蔵されるが、生体内の鉄が不足した時には血中に放出される。また、生体内の鉄不足が続き、貯蔵されている鉄の量が少量となった場合には、腸管において食餌に含まれる鉄の吸収が促進される。それでも生体内の鉄不足が続く場合には、血漿鉄濃度を維持するために、造血に用いられるための貯蔵鉄が切り出されることとなる。このような状態は、貧血のない鉄欠乏状態、つまり貯蔵鉄が枯渇しているが貧血は生じていない状態であり、総鉄結合能が上昇し、トランスフェリン飽和率が低下する。さらに鉄欠乏が進行すると貧血が現れ、小球性低色素性貧血を特徴とする鉄欠乏性貧血を発症することとなる。以上が鉄欠乏性貧血に至るまでの概要である。
鉄欠乏性貧血発症の原因の1つに、他の栄養素の吸収率と比較して食餌に含まれる鉄の吸収率が低いことを挙げることができる。しかしながら鉄の吸収率は、生体内の鉄量や他の食品成分などの影響を受けて幅広く変動することから、鉄吸収促進効果を有する食品成分を鉄とともに摂取することにより、食餌に含まれる鉄を効率よく吸収ことが可能となることから、本発明に係る鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物などは鉄欠乏性貧血に有効である。
また、鉄欠乏性貧血の発症は、いわゆる不定愁訴を伴う場合が多いことが知られているが、「不定愁訴」とは、倦怠感、動悸、息切れ、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労、食欲不振、悪心、下痢などの、自律神経系の関与が強く考えられる身体的愁訴をいい、不安定で消長しやすく、客観的所見に乏しいのが特徴である(不定愁訴の診断と治療,医学のあゆみ,181,12:1009〜1028,1977)。
本願発明における「二価金属塩」としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄(II)、銅および亜鉛の塩からなる群から選択される1または2以上の塩を挙げることができる。すなわち、本発明において、「セロビオン酸二糖類の二価金属塩」としては、例えば、セロビオン酸カルシウム、セロビオン酸マグネシウム、セロビオン酸鉄(II)、セロビオン酸銅およびセロビオン酸亜鉛からなる群から選択される1または2以上の物質を挙げることができる。
例として、セロビオース、セロビオン酸およびセロビオン酸カルシウムの構造式とその製造工程を図1に示す。図1に示すように、セロビオン酸は、二糖類のセロビオースから菌体反応法により、あるいは二糖類のセロビオースから菌体反応法によりセロビオン酸カルシウムを製造した後、製造したセロビオン酸カルシウムから陽イオン交換法により、それぞれ製造することが可能である。
セロビオン酸カルシウムが、食餌に含まれる鉄を溶解し、水に不溶または難溶な鉄化合物を溶解し、あるいは水に不溶または難溶な鉄化合物の生成を抑制して、鉄の三価の状態から二価の状態へ促進するとともに、いわゆる緩やかなキレート反応を生じて、膵液によってアルカリ性条件となっている腸管においても鉄の二価の状態を保持する作用を奏することが、今般、本発明者らの研究により明らかとなった。これらのような作用によって、肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量を調節し、もしくは増加させることができ、腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量や血漿中の鉄量の低下を抑制することができ、腸内における鉄吸収を調節・増強することができ、あるいは食餌に含まれる鉄の吸収を調節・増強することができるのであるが、これらのような作用を奏するのはセロビオン酸カルシウムに限られず、例えば、セロビオン酸マグネシウム、セロビオン酸鉄(II)、セロビオン酸銅、セロビオン酸亜鉛も奏する。従って、本発明においては、セロビオン酸カルシウムのみならず、セロビオン酸マグネシウム、セロビオン酸鉄(II)、セロビオン酸銅、セロビオン酸亜鉛も用いることができる。
従って、本発明に係るセロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、ならびにそれらの予防および/または治療剤医薬組成物は、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなることにより、肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量を調節し、もしくは増加させ、腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量や血漿中の鉄量の低下を抑制し、腸内における鉄吸収を調節・増強し、食餌に含まれる鉄の吸収を調節・増強し、食餌に含まれる鉄を溶解し、水に不溶または難溶な鉄化合物を溶解し、あるいは水に不溶または難溶な鉄化合物の生成を抑制するのであり、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤あるいは鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤として使用できるのである。
本発明において、「水に不溶または難溶な鉄化合物」としては特に限定されないが、例えば、水酸化第二鉄(Fe(OH)3;三価の鉄イオン)やリン酸第二鉄(FePO4;三価の鉄イオン)を挙げることができる。
本発明において、「鉄欠乏性貧血の予防」とは、鉄欠乏性貧血の状態になるのを抑制することの他、鉄欠乏性貧血の状態になるのを遅らせること、またはそれらの境界域の状態になるのを抑制するもしくは遅らせることを含む概念であり、具体的には、鉄欠乏性貧血鉄欠乏の発症機序に作用して、鉄欠乏性貧血の状態になるのを抑制するもしくは遅らせること、またはそれらの境界域の状態になるのを防ぐもしくは遅らせることをいう。
本発明において、「鉄欠乏性貧血の改善」とは、鉄欠乏性貧血の状態またはそれらの境界域の状態から、正常域と定義している状態に近づけること、鉄欠乏性貧血の状態から回復させること、鉄欠乏性貧血の状態を低減させることをいう。
本発明において、「鉄欠乏性貧血の治療」とは、鉄欠乏性貧血の進行阻止や、鉄欠乏性貧血の状態の改善を含む概念であり、さらには、緩解の維持、再燃の防止、再発の防止を含む概念である。
本発明において、食品組成物として用いられる場合、本発明の特徴を損なわない範囲において、その形態は適宜選択することができ、例えば、本発明に係る鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物をそのまま食品として調製したもの、他の食品に添加したもの、あるいは、カプセルや錠剤など、食品または健康食品に通常用いられる任意の形態を挙げることができる。また、食品に配合して摂取あるいは投与する場合には、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合し、用途に応じて、粉末や顆粒、錠剤などの形に成形することができる。さらには、食品原料に混合して食品を調製し、機能性食品として製品化することによって摂取することができる。
治療剤医薬組成物として用いられる場合、製剤化や投与形態については、本発明の特徴を損なわない範囲において当業者に公知の方法を用いることができ、適宜選択することができる。例えば、経口投与製剤として調製する場合の投与形態としては、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、コーティング剤、液剤、懸濁剤などの形態を挙げることができ、非経口投与製剤にする場合の投与形態としては、ジェル剤、吸入剤、注射剤、点滴剤、座薬、塗布剤、噴霧剤、貼付剤、軟膏、クリームなどの形態を挙げることができる。また、その投与量は、医薬組成物の製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される投与対象の年齢、体重、症状によって適宜設定することができる。
次に、本発明に係る肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制する方法(医療行為を除く。)は下記(I)の工程を有している。
(I)セロビオン酸二糖類の二価金属塩を含む飲食物を経口的に摂取する工程(経口摂取工程)。
(I)セロビオン酸二糖類の二価金属塩を含む飲食物を経口的に摂取する工程(経口摂取工程)。
経口摂取工程(I)における経口的に摂取する方法は特に限定されず、当業者において適宜選択可能な手法に基づいて行うことができる。また、セロビオン酸二糖類の二価金属塩を含む飲食物としては、上述した食品組成物を挙げることができる。
さらに、本発明に係る肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制する方法(医療行為を除く。)には、当該方法の特徴を損なわない限り、上述した(I)以外の工程を有してもよい。
以下、本発明に係るセロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物、それらの予防および/または治療剤医薬組成物、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血の予防、改善および/または治療剤としての使用、ならびに、食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)の鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防、改善および/または治療剤としての使用について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>試験の内容およびその結果
(1)試験動物の準備、試験食の調製および試験食による飼育
セロビオン酸二糖類の二価金属塩を投与した場合の、鉄欠乏性貧血の予防および/または治療の効果を確認するための必要な各種データを、試験動物および試験食を用いて取得した。
(1)試験動物の準備、試験食の調製および試験食による飼育
セロビオン酸二糖類の二価金属塩を投与した場合の、鉄欠乏性貧血の予防および/または治療の効果を確認するための必要な各種データを、試験動物および試験食を用いて取得した。
[1−1]試験動物の準備
試験動物として18週齢SD系雌性ラット(日本SLC社)30匹を準備し、温度23±2℃および湿度50±2%に調節し、かつ12時間の明暗サイクル(8:00〜20:00点灯)に設定した飼育室にて、20%カゼイン食を6〜7日間与えることにより予備飼育した。予備飼育期間中、20%カゼイン食および蒸留水は自由摂取とした。
試験動物として18週齢SD系雌性ラット(日本SLC社)30匹を準備し、温度23±2℃および湿度50±2%に調節し、かつ12時間の明暗サイクル(8:00〜20:00点灯)に設定した飼育室にて、20%カゼイン食を6〜7日間与えることにより予備飼育した。予備飼育期間中、20%カゼイン食および蒸留水は自由摂取とした。
[1−2]試験食の調製
下掲の表1に示すように、試験食としてコントロール群(以下、「C群」という。)用、低鉄食群(以下、「LI群」という。)用、セロビオン酸食群(以下、「CA群」という。)用、セロビオン酸カルシウム食群(以下、「CAC群」という。)用およびセロビオース食群(以下、「CL群」という。)用をそれぞれ調製した。また、「ミネラル混合」としては鉄を含有しないものを、サラダ油は重量比が7:3となるようになたね油と大豆油とを混合したものを、それぞれ使用した。また、下掲の表2に示すように、C群用には総鉄含有量が4.0mg/100gとなるようにクエン酸鉄を添加したものを使用し、LI群用にはC群用においてクエン酸鉄を添加しないものを使用し、CA群用、CAC群用およびCL群用にはLI群用において5%(w/w)のα−コーンスターチと交換になるよう、それぞれ5%(w/w)のセロビオン酸、セロビオン酸カルシウムおよびセロビオースを添加したものを使用した。なお、LI群用の総鉄含有量は0.4mg/100g、CA群用、CAC群用およびCL群用の総鉄含有量は0.37mg/100gと、総鉄含有量はいずれもC群用の1/10以下となった。
下掲の表1に示すように、試験食としてコントロール群(以下、「C群」という。)用、低鉄食群(以下、「LI群」という。)用、セロビオン酸食群(以下、「CA群」という。)用、セロビオン酸カルシウム食群(以下、「CAC群」という。)用およびセロビオース食群(以下、「CL群」という。)用をそれぞれ調製した。また、「ミネラル混合」としては鉄を含有しないものを、サラダ油は重量比が7:3となるようになたね油と大豆油とを混合したものを、それぞれ使用した。また、下掲の表2に示すように、C群用には総鉄含有量が4.0mg/100gとなるようにクエン酸鉄を添加したものを使用し、LI群用にはC群用においてクエン酸鉄を添加しないものを使用し、CA群用、CAC群用およびCL群用にはLI群用において5%(w/w)のα−コーンスターチと交換になるよう、それぞれ5%(w/w)のセロビオン酸、セロビオン酸カルシウムおよびセロビオースを添加したものを使用した。なお、LI群用の総鉄含有量は0.4mg/100g、CA群用、CAC群用およびCL群用の総鉄含有量は0.37mg/100gと、総鉄含有量はいずれもC群用の1/10以下となった。
さらに、使用したセロビオースは自社において製造したものを、セロビオン酸カルシウムは10%のセロビオース溶液を用いて菌体反応法により自社において製造したものを、セロビオン酸はセロビオン酸カルシウムを用いて陽イオン交換法により自社において製造したものを、それぞれ使用した。
なお、試験食の調製に使用した各原材料の調達元などは下記の通りである。
カゼイン :オリエンタル酵母工業社
α−コーンスターチ :松谷化学社
セロビオン酸 :Biomaterial in Tokyo社(自社)
セロビオン酸カルシウム:Biomaterial in Tokyo社(自社)
セロビオース :Biomaterial in Tokyo社(自社)
スクロース :伊藤忠製糖社
なたね油 :日清オイリオ社
大豆油 :和光純薬工業社
ビタミン混合 :オリエンタル酵母工業社(AIN−76ビタミン混合)
ミネラル混合 :オリエンタル酵母工業社(除鉄AIN−76ミネラル混合)
※AIN−76は1977年に米国国立栄養研究所(AIN)より発表された、マウス・ラットを用いた栄養研究のための標準精製飼料をいう。
クエン酸鉄 :和光純薬工業社(Iron(III)Citrate n−Hydrate)
セルロース :オリエンタル酵母工業社
カゼイン :オリエンタル酵母工業社
α−コーンスターチ :松谷化学社
セロビオン酸 :Biomaterial in Tokyo社(自社)
セロビオン酸カルシウム:Biomaterial in Tokyo社(自社)
セロビオース :Biomaterial in Tokyo社(自社)
スクロース :伊藤忠製糖社
なたね油 :日清オイリオ社
大豆油 :和光純薬工業社
ビタミン混合 :オリエンタル酵母工業社(AIN−76ビタミン混合)
ミネラル混合 :オリエンタル酵母工業社(除鉄AIN−76ミネラル混合)
※AIN−76は1977年に米国国立栄養研究所(AIN)より発表された、マウス・ラットを用いた栄養研究のための標準精製飼料をいう。
クエン酸鉄 :和光純薬工業社(Iron(III)Citrate n−Hydrate)
セルロース :オリエンタル酵母工業社
[1−3]試験食による飼育
本実施例1(1)[1−1]において予備飼育した30匹のラットを、体重を基準としてC群、LI群、CA群、CAC群およびCL群の5群(いずれの群もn=6)に分け、28日間、本実施例1(1)[1−2]において調製した各試験食をそれぞれ与えた。飼育は本実施例1(1)[1−1]の飼育室においてステンレスケージを使用して行った。
本実施例1(1)[1−1]において予備飼育した30匹のラットを、体重を基準としてC群、LI群、CA群、CAC群およびCL群の5群(いずれの群もn=6)に分け、28日間、本実施例1(1)[1−2]において調製した各試験食をそれぞれ与えた。飼育は本実施例1(1)[1−1]の飼育室においてステンレスケージを使用して行った。
(2)各種検査項目についての測定または算出
ラットの体重と摂食量については飼育期間開始から飼育期間終了までの間、毎日、同じ時刻において測定した。また、貧血状態を判断するための検査項目である赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血漿鉄濃度(PI)、不飽和鉄結合能(UIBC)、総鉄結合能(TIBC)および血漿トランスフェリン鉄飽和率(Tfs)について測定または算出するため、試験開始日から3日ごとにラットの尾静脈から採血した。飼育期間終了後、それぞれのラットをエーテル麻酔下で開腹して下大静脈から採血し、続いて安楽死させた後、それぞれのラットから肝臓、心臓、脾臓および盲腸を採取した。採取した血液、肝臓、心臓、脾臓および盲腸に基づいて、下記のそれぞれの検査項目について測定または算出した。
ラットの体重と摂食量については飼育期間開始から飼育期間終了までの間、毎日、同じ時刻において測定した。また、貧血状態を判断するための検査項目である赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血漿鉄濃度(PI)、不飽和鉄結合能(UIBC)、総鉄結合能(TIBC)および血漿トランスフェリン鉄飽和率(Tfs)について測定または算出するため、試験開始日から3日ごとにラットの尾静脈から採血した。飼育期間終了後、それぞれのラットをエーテル麻酔下で開腹して下大静脈から採血し、続いて安楽死させた後、それぞれのラットから肝臓、心臓、脾臓および盲腸を採取した。採取した血液、肝臓、心臓、脾臓および盲腸に基づいて、下記のそれぞれの検査項目について測定または算出した。
[2−1]平均体重増加量、平均摂食量および平均食餌効率の算出
上述の通り、飼育期間中、毎日同じ時刻に測定した体重と摂食量に基づき、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までの平均体重増加量、平均摂食量および平均食餌効率を算出した。その結果を図2に示す。
上述の通り、飼育期間中、毎日同じ時刻に測定した体重と摂食量に基づき、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までの平均体重増加量、平均摂食量および平均食餌効率を算出した。その結果を図2に示す。
図2中、値は平均値±標準誤差で示す。図2に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までの平均体重増加量、平均摂食量および平均食餌効率の値について、CAC群の平均体重増加量および平均食餌効率の値はC群の値、LI群の値、CA群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかったものの、低値であった。
[2−2]赤血球数(RBC)の測定
赤血球数(RBC)は、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図3に示す。
赤血球数(RBC)は、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図3に示す。
図3中、値は平均値±標準誤差で示す。図3に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのRBCの値について、有意な差は認められなかった。
[2−3]ヘモグロビン濃度(Hb)の測定
ヘモグロビン濃度(Hb)は本実施例1(2)[2−2]のRBCと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図4に示す。
ヘモグロビン濃度(Hb)は本実施例1(2)[2−2]のRBCと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図4に示す。
図4中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図4に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのHbの値について、C群の値とLI群の値との間には有意な差は認められなかったが、LI群の値はC群の値と比較して低値傾向を示した。CA群の値、CAC群の値およびCL群の値はLI群の値と比較して有意な差は認められず、CAC群の値はC群の値と比較して有意な差は認められなかった。一方、CL群の値はCAC群の値と比較して12日目において有意に低値であったとともに、C群の値と比較して15日目および21〜27日目において有意に低値であった。また、CA群の値はC群の値と比較して27日目において有意に低値であった。
[2−4]ヘマトクリット値(Ht)の測定
ヘマトクリット値(Ht)も本実施例1(2)[2−2]のRBCと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図5に示す。
ヘマトクリット値(Ht)も本実施例1(2)[2−2]のRBCと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図5に示す。
図5中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図5に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのHtの値について、C群の値とLI群の値との間には有意な差は認められなかったが、LI群の値はC群の値と比較して低値傾向を示した。CA群の値、CAC群の値およびCL群の値はLI群の値と比較して有意な差は認められず、CAC群の値はC群の値と比較して有意な差は認められなかった。一方、CL群の値はC群の値と比較して15〜21日目および27日目において有意に低値であり、CA群の値はC群の値と比較して15日目および27日目において有意に低値であった。
[2−5]平均赤血球容積(MCV)の算出
平均赤血球容積(MCV)は、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図6に示す。
平均赤血球容積(MCV)は、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図6に示す。
図6中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図6に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのMCVの値について、LI群の値はC群の値と比較して21日目および27日目において有意に低値であったが、CA群の値、CAC群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかった。一方、CAC群の値はC群の値と比較して有意な差は認められなかった。また、CL群の値はC群の値と比較して15〜27日目において有意に低値であり、CAC群の値と比較して18〜27日目において有意に低値であった。さらに、CA群の値はC群の値と比較して21日目および27日目において有意に低値であった。
[2−6]平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の算出
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)は本実施例1(2)[2−5]のMCVと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図7に示す。
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)は本実施例1(2)[2−5]のMCVと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図7に示す。
図7中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図7に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのMCHの値について、LI群の値はC群の値と比較して24日目および27日目において有意に低値であったが、CA群の値、CAC群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかった。一方、CAC群の値はC群の値と比較して有意な差は認められず、CA群の値はC群の値と比較して24日目および27日目において有意に低値であった。また、CL群の値はC群の値と比較して24日目および27日目において有意に低値であり、CAC群の値と比較して24日目において有意に低値であった。
[2−7]平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の算出
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)も本実施例1(2)[2−5]のMCVと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図8に示す。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)も本実施例1(2)[2−5]のMCVと同様に、EDTAを用いて処理した血液について、多項目自動血球計数装置(KX−21NV、シスメックス社)を用いて算出した。算出結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図8に示す。
図8中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図8に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのMCHCの値について、LI群の値はC群の値、CA群の値およびCAC群の値と比較して24日目において有意に高値であった。一方、CL群の値はCAC群の値と比較して24日目および27日目において有意に高値であり、LI群の値と比較して27日目において有意に高値であった。
[2−8]血漿鉄濃度(PI)の測定
血漿鉄濃度(PI)は、分離した血漿について、SI測定試薬(デタミナーL Fe、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図9に示す。
血漿鉄濃度(PI)は、分離した血漿について、SI測定試薬(デタミナーL Fe、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図9に示す。
図9中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図9に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのPIの値について、LI群の値はC群の値と比較して、試験開始直後から低下傾向を示し、かつ15〜27日目において有意に低値であった。また、LI群の値はCA群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかったが、CAC群の値と比較して9日目において有意に低値であった。一方、CAC群の値はC群の値と同様な推移を示し、C群の値と比較して24〜27日目において有意に低値であった。また、CA群の値はCAC群の値と比較して9日目において有意に低値であり、C群の値と比較して15〜27日目において有意に低値であった。さらに、CL群の値はCAC群の値と比較して9日目および12日目において有意に低値であり、C群の値と比較して9〜27日目において有意に低値であった。
[2−9]不飽和鉄結合能(UIBC)の測定
不飽和鉄結合能(UIBC)は、分離した血漿について、UIBC測定試薬(デタミナーL UIBC、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図10に示す。
不飽和鉄結合能(UIBC)は、分離した血漿について、UIBC測定試薬(デタミナーL UIBC、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図10に示す。
図10中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図10に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのUIBCの値について、LI群の値はC群の値と比較して増加傾向を示し、かつ18日目および24日目において有意に高値であり、また、CA群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかったが、CAC群の値はLI群の値と比較して12日目および18日目において有意に低値であった。一方、CL群の値はC群の値と比較して15日目および21〜27日目において有意に高値であり、CAC群と比較して21日目において有意に高値であった。また、CA群の値はC群の値と比較して24〜27日目において有意に高値であった。さらに、CAC群の値はC群の値と比較して24日目において有意に高値であった。
[2−10]総鉄結合能(TIBC)の算出
総鉄結合能(TIBC)は、本実施例1(2)[2−8]において測定したPI値と本実施例1(2)[2−9]において測定したUIBC値に基づいて、下記式により算出した。
(式)TIBC(μg/dL)=PI+UIBC
得られた数値は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図11に示す。
総鉄結合能(TIBC)は、本実施例1(2)[2−8]において測定したPI値と本実施例1(2)[2−9]において測定したUIBC値に基づいて、下記式により算出した。
(式)TIBC(μg/dL)=PI+UIBC
得られた数値は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図11に示す。
図11中、値は平均値±標準誤差で示す。図11に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのTIBCの値について、有意な差は認められなかった。
[2−11]血漿トランスフェリン鉄飽和率(Tfs)の算出
血漿トランスフェリン鉄飽和率(Tfs)は、本実施例1(2)[2−8]において測定したPI値と本実施例1(2)[2−9]において測定したUIBC値に基づいて、下記式により算出した。
(式)Tfs(%)=PI/UIBC×100
得られた数値は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図12に示す。
血漿トランスフェリン鉄飽和率(Tfs)は、本実施例1(2)[2−8]において測定したPI値と本実施例1(2)[2−9]において測定したUIBC値に基づいて、下記式により算出した。
(式)Tfs(%)=PI/UIBC×100
得られた数値は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図12に示す。
図12中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図12に示すように、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのTfsの値について、LI群の値はC群の値と比較して、試験開始直後から低下傾向を示し、かつ15〜27日目において有意に低値であった。また、LI群の値はCA群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかったが、CAC群の値と比較して9日目および18日目において有意に低値であった。一方、CAC群の値はC群の値と同様な推移を示し、C群の値と比較して24〜27日目において有意に低値であった。また、CA群の値はCAC群の値と比較して18日目において有意に低値であり、C群の値と比較して15〜27日目において有意に低値であった。さらに、CL群の値はCAC群の値と比較して9日目〜12日目、18日目および24日目において有意に低値であり、C群の値と比較して15〜27日目において有意に低値であった。
[2−12]肝臓重量、脾臓重量および心臓重量の測定
採取した肝臓、心臓および脾臓を生理食塩水で洗浄し、それぞれの重量を測定した。その結果を図13に示す。
採取した肝臓、心臓および脾臓を生理食塩水で洗浄し、それぞれの重量を測定した。その結果を図13に示す。
図13中、値は平均値±標準誤差で示す。図13に示すように、各群における試験後の肝臓重量、脾臓重量および心臓重量の値について、CAC群の肝臓重量、脾臓重量および心臓重量はC群、LI群、CA群およびCL群と比較して有意な差は認められず、傾向も示されなかった。
[2−13]盲腸内容物重量の測定
採取した盲腸を生理食塩水で洗浄し、全量と内容物を除いたものの重量を測定して、それらの重量の差を内容物重量とした。その結果を図14に示す。
採取した盲腸を生理食塩水で洗浄し、全量と内容物を除いたものの重量を測定して、それらの重量の差を内容物重量とした。その結果を図14に示す。
図14中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図14に示すように、各群における試験後の盲腸内容物重量の値について、C群の値、LI群の値およびCL群の値の間、ならびにCA群の値およびCAC群の値との間には有意な差は認められなかったが、CA群の値およびCAC群の値はC群の値、LI群の値およびCL群の値と比較して有意に高値であった。
[2−14]肝臓1g当たりの鉄量の測定
肝臓1g当たりの鉄量は、秤量した肝臓を、マイクロ波試料前処理システム(ETHOS 1000、マイルストーンゼネラル社)を用いて湿式灰化し、蒸発乾固した後、希塩酸に溶解させ、Nitroso−PSAP直接法(デタミナーL Fe、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図15に示す。
肝臓1g当たりの鉄量は、秤量した肝臓を、マイクロ波試料前処理システム(ETHOS 1000、マイルストーンゼネラル社)を用いて湿式灰化し、蒸発乾固した後、希塩酸に溶解させ、Nitroso−PSAP直接法(デタミナーL Fe、協和メディックス社)と生化学自動分析装置(CL−8000、島津製作所社)を用いて測定した。測定結果は平均±標準誤差で示した。また、(食餌)群間の比較は一元配置分散分析にて解析した後、Tukey−Kramer法を用いて有意差検定を行い、p<0.05となる場合を有意とした。その結果を図15に示す。
図15中、値は平均値±標準誤差で示し、異なるアルファベットが付されている場合を有意(p<0.05)とする。図15に示すように、各群における試験後の肝臓1g当たりの鉄量の値について、LI群の値およびCL群の値はC群の値と比較して有意に低値であった。また、LI群の値はCA群の値、CAC群の値およびCL群の値と比較して有意な差は認められなかったが、CAC群の値と比較して明らかに低値であった。一方、CA群の値およびCAC群の値はC群の値と比較して有意な差は認められなかったものの、特に、CAC群の値はC群の値に匹敵する程度の高値であった。
(3)結果
図3に示すように、飼育期間開始から飼育期間終了までの間、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのRBCの値について、有意な差は認められなかったが、図9および図12に示すように、実験終了時において、低鉄食を摂取していたLI群はC群と比較してPIの値およびTfsの値が有意に低値であった。また、図4〜7に示すように、LI群はC群と比較して、Hbの値、Htの値、MCVの値およびMCHの値が低下傾向を示した。さらに、図15に示すように、LI群はC群と比較して、肝臓中の鉄量の値が有意に減少していた。したがって、低鉄食を与えたLI群は、実験終了時には鉄欠乏状態にあり、鉄欠乏性貧血の特徴である小球性低色素性貧血に陥りつつある状態であったことが示された。
図3に示すように、飼育期間開始から飼育期間終了までの間、各群における飼育期間開始から飼育期間終了までのRBCの値について、有意な差は認められなかったが、図9および図12に示すように、実験終了時において、低鉄食を摂取していたLI群はC群と比較してPIの値およびTfsの値が有意に低値であった。また、図4〜7に示すように、LI群はC群と比較して、Hbの値、Htの値、MCVの値およびMCHの値が低下傾向を示した。さらに、図15に示すように、LI群はC群と比較して、肝臓中の鉄量の値が有意に減少していた。したがって、低鉄食を与えたLI群は、実験終了時には鉄欠乏状態にあり、鉄欠乏性貧血の特徴である小球性低色素性貧血に陥りつつある状態であったことが示された。
一方、低鉄食にセロビオン酸カルシウムを混合した食餌を与えたCAC群においては、図9および図12に示すように、低鉄食のみを与えたLI群と比較してPIの値およびTfsの値は低下せず、C群と比較しても実験食開始12日目まではC群と同様の推移を示し、その後も比較的高値を維持することが明らかとなった。また、図6および図7に示すように、MCVの値およびMCHの値についてもLI群と比較して低下しないことが明らかとなった。さらに、図15に示すように、CAC群の肝臓中の鉄量の値は、LI群と比較して明らかに高値を示し、その値はC群の値に匹敵する程度の高値であった。これらの結果から、CAC群では貯蔵鉄量の減少および血漿鉄量の減少が抑制された結果、造血能が維持されたことが示され、貧血状態や鉄欠乏状態が回避されたことが示された。
これらのことから、セロビオン酸カルシウムは鉄摂取量が少ない状況下においても、食餌に含まれる鉄の吸収を促進することで生体への鉄供給を維持し、貯蔵鉄の減少を抑制することが示された。すなわち、セロビオン酸カルシウムは鉄欠乏性貧血の予防あるいは改善に有用であり、特に、肝臓中の鉄量あるいは血漿中の鉄量を調節または増加させることにより、もしくは食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強することにより、鉄欠乏性貧血を予防あるいは改善することが示された。
<実施例2>セロビオン酸カルシウムを用いた水酸化鉄形成抑制試験
鉄は小腸上皮細胞を介して体内にとりこまれるが、小腸上皮細胞の頂端膜には、二価の金属イオントランスポーターであるDivalent Metal Transporter 1(DMT1)が発現していることが知られており(橋本彩子ら,微量栄養素研究,28;89〜94,2011)、食餌に含まれる鉄は通常「三価鉄」として含まれているため、DMT1が鉄を輸送するためには「三価鉄」を「二価鉄」に還元する必要がある(軍神宏美,分子消化器病,5,73〜80,2008)。このことから、セロビオン酸カルシウムがラットの腸管内において食餌に含まれる鉄を溶解させ、三価鉄から二価鉄の形にする反応を促進させたこと、あるいは膵液によってアルカリ性下となった腸管においても食餌に含まれる鉄を「二価鉄」の状態で保持させたことで、食餌に含まれる鉄は生体内に効率よく供給されたのではないかと推察される。そこで、セロビオン酸カルシウムが水酸化鉄の形成を抑制するかどうかを確認するため、以下の試験を行った。
鉄は小腸上皮細胞を介して体内にとりこまれるが、小腸上皮細胞の頂端膜には、二価の金属イオントランスポーターであるDivalent Metal Transporter 1(DMT1)が発現していることが知られており(橋本彩子ら,微量栄養素研究,28;89〜94,2011)、食餌に含まれる鉄は通常「三価鉄」として含まれているため、DMT1が鉄を輸送するためには「三価鉄」を「二価鉄」に還元する必要がある(軍神宏美,分子消化器病,5,73〜80,2008)。このことから、セロビオン酸カルシウムがラットの腸管内において食餌に含まれる鉄を溶解させ、三価鉄から二価鉄の形にする反応を促進させたこと、あるいは膵液によってアルカリ性下となった腸管においても食餌に含まれる鉄を「二価鉄」の状態で保持させたことで、食餌に含まれる鉄は生体内に効率よく供給されたのではないかと推察される。そこで、セロビオン酸カルシウムが水酸化鉄の形成を抑制するかどうかを確認するため、以下の試験を行った。
(1)試験の内容
塩化鉄を様々なpHの溶媒に溶解させ、水酸化鉄の沈殿の形成を観察した。なお、酸性条件は、胃酸のHCl濃度と同程度とした。続いて、添加するセロビオン酸カルシウム(CAC)を終濃度が1%となるように添加した。反応条件は下記の通りである。
≪反応条件≫
スケール :25mL
Fe :0.1%
CAC :1.0%
その結果を図16に示す。
塩化鉄を様々なpHの溶媒に溶解させ、水酸化鉄の沈殿の形成を観察した。なお、酸性条件は、胃酸のHCl濃度と同程度とした。続いて、添加するセロビオン酸カルシウム(CAC)を終濃度が1%となるように添加した。反応条件は下記の通りである。
≪反応条件≫
スケール :25mL
Fe :0.1%
CAC :1.0%
その結果を図16に示す。
(2)結果
図16に示すように、0.4%NaOHのCACを添加しない場合において、明らかな沈殿が形成された。また、0.04%NaOHのCACを添加しない場合においては、濁りが形成された。これらのことから、セロビオン酸カルシウムは水酸化鉄の形成を抑制することが示され、セロビオン酸カルシウムは、特に、腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制することにより、もしくは腸内における鉄吸収を調節または増強することにより、鉄欠乏性貧血を予防あるいは改善することが示された。
図16に示すように、0.4%NaOHのCACを添加しない場合において、明らかな沈殿が形成された。また、0.04%NaOHのCACを添加しない場合においては、濁りが形成された。これらのことから、セロビオン酸カルシウムは水酸化鉄の形成を抑制することが示され、セロビオン酸カルシウムは、特に、腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制することにより、もしくは腸内における鉄吸収を調節または増強することにより、鉄欠乏性貧血を予防あるいは改善することが示された。
Claims (13)
- セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物。
- セロビオン酸鉄(II)を除くセロビオン酸二糖類の二価金属塩を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物。
- 食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強する、請求項1または請求項2に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 二価金属塩がカルシウム、マグネシウム、銅および亜鉛の塩からなる群から選択される1または2以上の塩である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 二価金属塩がカルシウムである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物。
- 食餌に含まれる鉄の吸収を調節または増強するセロビオン酸鉄(II)を有効成分として含んでなる鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物。
- 肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量を調節し、もしくは増加させる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 腸内における鉄吸収を促進させて肝臓中の鉄量および/または血漿中の鉄量の低下を抑制する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 腸内における鉄吸収を調節または増強する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 水に不溶または難溶な鉄化合物の生成を抑制する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 組成物が食品組成物である、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
- 予防および/または改善剤組成物が予防および/または治療剤医薬組成物である、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の予防および/または改善剤組成物。
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