JPWO2015190324A1 - 熱伝導性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

(A)熱可塑性樹脂30〜90質量%、(B)成形体中における体積平均粒子径が201〜700μm、固定炭素量が98質量%以上、アスペクト比が21以上である鱗片状黒鉛10〜70質量%、を少なくとも含有し、比重1.4〜2.0であり、且つ面方向の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂に特定の物性を有する黒鉛を含有させることで、その特性を高効率に発揮する、熱伝導性、成形加工性に優れた熱伝導性樹脂組成物に関し、それを溶融成形してなる放熱部材に関する。
電気・電子機器の小型化、高集積化に伴い、実装部品の発熱や使用環境の高温化が顕著となり、構成部材の放熱性向上に対する要求が高くなっている。特に自動車部材やハイパワーLEDの放熱には、熱伝導率の高い金属やセラミックスからなる構成部材が現在用いられているが、軽量化、加工性や形状の自由度を高めるために、高い熱伝導性、成形加工性を有した樹脂材料が求められている。
樹脂に熱伝導性を付与させる方法として、黒鉛等の高熱伝導性フィラーを添加させる方法が開示されている。
特許文献1には、特定の黒鉛粒子を樹脂に添加することで熱伝導性に優れた樹脂組成物について開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂と、70%以上の粒子のアスペクト比が3以下である黒鉛粉末とを含む導電性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、上記技術では熱伝導性を付与させるためにフィラーを高充填させる必要があり、流動性が極度に低下し、場合によっては成形が困難となる課題があった。
特許第5225558号公報 特開2001−60413号公報
本発明の目的は、熱伝導性、成形加工性に優れた熱伝導性樹脂組成物及びそれを含む成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の形状を有する黒鉛を含有する樹脂組成物が、熱伝導性、成形加工性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記(1)〜(10)である。
(1)(A)熱可塑性樹脂30〜90質量%、(B)成形体中における体積平均粒子径が40〜700μm、固定炭素量が98質量%以上、アスペクト比が21以上である鱗片状黒鉛10〜70質量%、を少なくとも含有し、比重1.4〜2.0であり、且つ面方向の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
(2)前記熱伝導性樹脂組成物が溶融混練によって製造され、溶融混練前の前記鱗片状黒鉛(B)の体積平均粒子径が201〜700μm、固定炭素量が98質量%以上、アスペクト比が21以上であることを特徴とする、(1)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(3)前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、(1)、又は(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(4)前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエステル−ポリエーテル共重合体、よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、(3)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(5)前記ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエステル−ポリエーテル共重合体の数平均分子量が12,000〜70,000であることを特徴とする、(4)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(6)前記ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、及びナイロン12よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、(3)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(7)前記鱗片状黒鉛(B)が、天然黒鉛であることを特徴とする(1)〜(6)の何れか一つに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(8)(1)〜(7)の何れか一つに記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱筐体。
(9)(1)〜(7)の何れか一つに記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱シャーシ。
(10)(1)〜(7)の何れか一つに記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする自動車用LEDランプヒートシンク。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、特定の黒鉛粒子(B)とを含有することにより、熱伝導性、成形加工性(流動性)に優れる。
車載用CCDカメラ収納用放熱筐体の一実施形態の構成を示す模式図である。 箱型放熱筐体の一実施形態の構成を示す模式図である。 車載用LEDランプ収納用ヒートシンクの一実施形態の構成を示す模式図である。 車載用LEDランプ収納用ヒートシンクの別の実施形態の構成を示す模式図である。 別形態のヒートシンクの構成を示す模式図である。
本発明の熱可塑性樹脂(A)の含有量は、熱伝導性樹脂組成物100質量%とした場合に、30〜90質量%で、好ましくは30〜80質量%であり、さらに好ましくは35〜75質量%である。熱可塑性樹脂(A)が30質量%未満の場合、成形加工性が著しく低下するため成形が困難になる場合があり、90質量%を超える場合、優れた熱伝導性を発現できない場合がある。
本発明に用いる鱗片状黒鉛(B)は、特定の物性を有する黒鉛粒子である。即ち、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体中における鱗片状黒鉛(B)の体積平均粒子径は、40〜700μm、より好ましくは50〜500μm、さらに好ましくは50〜300μmである。体積平均粒子径が40μm未満である場合、樹脂組成物の熱伝導性が低下する。また、粒子径は大きい程、熱伝導率は向上する傾向にあるが、300μmを超える場合、樹脂組成物の強度が低下する場合がある。体積平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体中の鱗片状黒鉛(B)の固定炭素量は98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。固定炭素量が98質量%未満の場合、熱伝導率が低下する傾向がある。上記固定炭素量は、JIS M8511に準じて測定することができる。
鱗片状黒鉛(B)のアスペクト比は、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体中において21以上である。アスペクト比の上限については、高ければ高い程よく、特に限定されないが、上限値を設定するのであれば、好ましい範囲は1,0000以下であり、より好ましい範囲は5,000以下であり、さらに好ましくは3,000以下である。上記アスペクト比は、電子顕微鏡等により最大径及び厚みの各長さを測定し、最大径/厚みにより算出することができる。
鱗片状黒鉛(B)の溶融混練前、もしくは成形体中での粒度分布については特に限定されないが、限定するのであれば、粒度分布を測定して得られた累積体積がそれぞれ20%、80%であるときの粒子径D20及びD80の比D80/D20の比が好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5である。
本発明の鱗片状黒鉛(B)の含有量は、熱伝導性樹脂組成物100質量%とした場合に、10〜70質量%で、好ましくは15〜65質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、鱗片状黒鉛(B)、その他成分の溶融混練によって製造される。溶融混練前の鱗片状黒鉛(B)の体積平均粒子径は、大きければ大きい程よく、好ましくは201〜700μmであり、より好ましくは230〜650μmであり、さらに好ましくは250〜400μmである。また、アスペクト比は、好ましくは21以上である。アスペクト比の上限については、高ければ高い程よく、特に限定されないが、上限値を設定するのであれば、好ましい範囲は3,000以下であり、より好ましい範囲は1,000以下であり、さらに好ましくは500以下である。固定炭素量については、溶融混練や成形加工前後で変化しないものとする。一般的に、溶融混練や成形加工の際に黒鉛は破砕される傾向にあるため、溶融混練前の黒鉛の体積平均粒子径が大きい程、溶融混練や成形加工後の黒鉛の体積平均粒子径は大きく保持され、熱伝導率や成形加工性が向上する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物の比重は、1.4〜2.0であり、より好ましくは1.5〜1.9である。
本発明でいう「面方向の熱伝導率」とは、成形体を作製する際に溶融樹脂が流動する方向に対する熱伝導率のことを示す。また、樹脂流動方向に対して垂直方向の熱伝導率を「厚み方向の熱伝導率」という。本発明の熱伝導性樹脂組成物の面方向の熱伝導率は1W/(m・K)以上であり、好ましくは、3W/(m・K)以上であり、より好ましくは5W/(m・K)以上である。上限値は特に限定されず、高ければ高い程よい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物の厚み方向の熱伝導率は特に限定されず、高ければ高い程よい。下限値を設定するのであれば、好ましくは0.5W/(m・K)以上であり、より好ましくは0.8W/(m・K)以上であり、さらに好ましくは1W/(m・K)以上である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)としては、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンや環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂及びこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー、マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、非晶性半芳香族ポリエステルや非晶性全芳香族ポリエステルなどの非晶性ポリエステル系樹脂、結晶性半芳香族ポリエステルや結晶性全芳香族ポリエステルなどの結晶性ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリアミドや脂肪族−芳香族ポリアミドや全芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、フェノキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、液晶ポリマー、及びこれら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフト共重合体、などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上の複数を組み合わせて用いることができる。2種以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤などを添加して用いることもできる。これら熱可塑性樹脂(A)は、目的に応じて適宜使い分ければよい。
これら熱可塑性樹脂の中でも好ましい熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
さらに熱可塑性樹脂の中でも、樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂であることが、得られた樹脂組成物の熱伝導率が高くなる傾向がある点や、鱗片状黒鉛を樹脂中に含有させることが容易である点から好ましい。これら結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、樹脂全体が結晶性であっても、ブロックあるいはグラフト共重合体樹脂の分子中における特定ブロックのみが結晶性や液晶性であるなど樹脂の一部のみが結晶性あるいは液晶性であってもよい。樹脂の結晶化度には特に制限はない。また熱可塑性樹脂として、非晶性樹脂と結晶性あるいは液晶性樹脂とのポリマーアロイを用いることもできる。樹脂の結晶化度には特に制限はない。
樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂の中には、結晶化させることが可能であっても、単独で用いたり特性の成形加工条件で成形したりすることにより場合によっては非晶性を示す樹脂もある。このような樹脂を用いる場合には、延伸処理や後結晶化処理をするなど成形加工方法を工夫したりすることにより、樹脂の一部あるいは全体を結晶化させることができる場合もある。
結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂の中でも好ましい樹脂として、結晶性ポリエステル系樹脂、結晶性ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶ポリマー、結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系ブロック共重合体、等を例示することができるが、これらに限らず各種の結晶性樹脂や液晶性樹脂を用いることができる。結晶性ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエステル/ポリエーテルなどの結晶性共重合ポリエステル等が挙げられる。
前記ポリエステル/ポリエーテル(以降ポリエステル−ポリエーテル共重合体という)は、成形性、及び耐熱性の観点から、芳香族ポリエステル単位50〜80重量%、及び下記一般式(1)で表され、後述する変性ポリエーテル単位20〜50重量%からなる重合体であることが好ましく、より好ましくは芳香族ポリエステル単位60〜80重量%、及び前記変性ポリエーテル単位20〜40重量%からなる重合体である。
Figure 2015190324
(一般式(1)中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R、R10はいずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)
ポリエステル−ポリエーテル共重合体の製造方法は、アンチモン化合物、場合によってゲルマニウム化合物を添加した触媒を用いて、(1)芳香族ジカルボン酸、ジオール、変性ポリエーテルの三者の直接エステル化法、(2)芳香族ジカルボン酸ジアルキル、ジオール、変性ポリエーテル、及び/又は、変性ポリエーテルのエステルの三者のエステル交換法、(3)芳香族ジカルボン酸ジアルキル、ジオールのエステル交換中、又は、エステル交換後に変性ポリエーテルを加えて、重縮合する方法、(4)高分子の芳香族ポリエステルを用い、変性ポリエーテルと混合後、溶融減圧下でエステル交換する方法等が挙げられ、これらに限定されるものではないが、組成コントロール性の観点から、前記(4)の製造方法が好ましい。
このような本発明に係る触媒として用いられるアンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。これらのアンチモン化合物の中では、三酸化アンチモンが特に好ましい。重合時に投入するアンチモン化合物触媒量は、反応速度の観点、及び経済的観点から、樹脂量の50〜2000重量ppmとするのが好ましく、より好ましくは100〜1000重量ppmとすることである。
前記触媒として用いられるゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシド等のゲルマニウムアルコキシド、水酸化ゲルマニウム及びそのアルカリ金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウム等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。これらのゲルマニウム化合物の中では、二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。重合時に投入する二酸化ゲルマニウム触媒量は、反応速度の観点、及び経済的観点から、樹脂量の50〜2000重量ppmとするのが好ましく、より好ましくは100〜1000重量ppmとすることである。
前記芳香族ジカルボン酸は、特にテレフタル酸が好ましく、その他イソフタル酸、ジフエニルジカルボン酸、ジフエノキシエタンジカルボン酸等が例示される。これら芳香族ジカルボン酸の他に、少ない割合(15%以下)のオキシ安息香酸等の他の芳香族オキシカルボン酸、あるいは、アジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサン1・4−ジカルボン酸等の脂肪族、又は肪環族ジカルボン酸を併用してもよい。
前記ジオールは、エステル単位を形成する低分子量グリコール成分であり、炭素数2〜10の低分子量グリコール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等である。特にエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールが、入手のし易さの点から好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸ジアルキルのアルキル基としては、メチル基がエステル交換反応性の観点から好ましい。
前記高分子の芳香族ポリエステルの溶液粘度としては、得られる成形品の耐衝撃性、耐薬品性や成形加工性の観点から、フェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で濃度0.5g/dlにおける対数粘度(IV)が0.3〜2.0の範囲のものが好ましく、さらには0.5〜1.5の範囲のものがより好ましい。
(芳香族ポリエステル単位)
前記芳香族ポリエステル単位は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とからえられる重合体ないし共重合体であって、通常、交互重縮合体であり、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート単位、ポリブチレンテレプタレート単位、及びポリプロピレンテレフタレート単位からなる群から選ばれる1種以上である。
前記芳香族ポリエステル単位の好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート共重合体、ポリプロピレンテレフタレート、あるいはポリプロピレンテレフタレート共重合体が挙げられ、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリプロピレンテレフタレートよりなる群から選ばれる1種以上である。
(変性ポリエーテル単位)
前記変性ポリエーテル単位は、前記一般式(1)で表される単位であり、一般式(1)中のオキシアルキレン単位の繰り返し単位数m、nにつき、(m+n)の数平均は、好ましくは2〜50であり、より好ましくは10〜50であり、さらに好ましくは18〜50である。
Figure 2015190324
(一般式(1)中、−A−、R〜R、R〜R10、mおよびnは前記に同じ。)
前記変性ポリエーテル単位は、入手のし易さの観点から、好ましくは下記一般式(2)で表される単位であり、(m+n)が2の場合の式量は314、(m+n)が50の場合の式量は2426である。従って、一般式(2)で表される単位を分子として本発明に係るポリエステル−ポリエーテル共重合体に導入する場合の好ましい分子量は316〜2430であり、より好ましくは670〜2430であり、さらに好ましくは1020〜2430以下であり、さらに好ましくは、1330〜2000である。
Figure 2015190324
これら結晶性ポリエステルの中でも、成形加工性や機械的特性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエステル−ポリエーテル共重合体等を用いることが好ましく、安価且つ容易に入手できるという観点より、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル−ポリエーテル共重合体がより好ましい。
本発明の数平均分子量とは、ポリスチレンを標準とし、p−クロロフェノールとトルエンの体積比3:8混合溶媒に2.5重量%濃度となるように溶解して調製した溶液を用いて高温GPC(Viscotek:350 HT−GPC System)にてカラム温度80℃、検出器を示差屈折計(RI)として測定した値である。
前記ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル−ポリエーテル共重合体の数平均分子量は12,000〜70,000であることが好ましく、15,000〜60,000であることがさらに好ましく、20,000〜50,000であることが特に好ましい。12,000未満の場合、機械強度が低くなる場合があり、70,000より大きい場合は成形が困難となる場合がある。
結晶性ポリアミド系樹脂の具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、成形加工性の点からランダム共重合体であることが好ましい。
結晶性ポリアミド系樹脂の中でも、成形加工性や機械的特性などの観点から、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、等を用いることが好ましく、より好ましくは、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン4・6、ナイロン12である。
前記ポリアミドの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、強度の観点より12,000以上が好ましい。
本発明に用いられる鱗片状黒鉛としては、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれでもよく、これらを組み合わせて併用してもよいが、安価に入手できるという観点で天然黒鉛が好ましい。さらに、α−黒鉛及びβ−黒鉛のいずれでもよく、これらを組み合わせてもよい。
本発明に用いる黒鉛として本発明の物性を著しく損なわない範囲で、その他の粒子径、形状、特性を有する黒鉛を併用して用いてもよい。具体的な形状としては、繊維状、塊状、土状、球状等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、優れた熱伝導性、成形加工性、低比重を有することから、該組成物からなる成形体は放熱用構造部材に適しており、該放熱用構造部材の具体例としては例えば放熱筐体や放熱シャーシ等が挙げられる。本発明の放熱筐体は、その内部に発熱体が収容されて用いられる。発熱体としては、それ自体が発熱性である物であっても外部から加熱されて発熱する物であってもよい。代表的な発熱体は発熱性の部品ないしは機器(装置)であり、例えば、LD(レーザーダイオード)、IC(集積回路)等の電子部品、パソコン、ワープロ、テレビゲーム等のコンピューターを利用した電子機器、自動車のエンジンへの空気吸入量やスロットル開度などの情報を元にして燃料噴射量や点火タイミングを決定するコンピューターであるエンジンコントロールユニット(ECU)、LEDランプ照明、インバーター、自動車用ランプのハウジング、コイル、ボビン、コネクタ、バスバー、パワーステアリング等、放熱性が求められる各種用途の放熱筐体が挙げられる。
また、本発明の放熱シャーシは、キーシャーシ又はサブシャーシとして、発熱体から熱を逃がすために用いられる。発熱体としては、代表的にはそれ自体が発熱体である発熱性部品が挙げられ、その具体例としては、携帯電話、TV等の電子・電気製品におけるLD、IC等の電子部品が挙げられる。これらは、放熱性シャーシに搭載(固定)して用いられる他、放熱性シャーシに固定せず、接触または近接して配置される。また、本発明の放熱性シャーシは、LED(発光ダイオード)照明パッケージとしても好適に用いられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体は、自動車用LEDランプヒートシンクにも適しており、金属に比べて、形状を自由に設計することができ、また軽量化を図ることで燃費の向上につなげることができる。本発明の自動車LEDランプヒートシンクは、LEDモジュールを冷却するためのヒートシンクのことをいう。自動車LEDランプは内装用ランプ、外装用ランプがあり、例えば、ルームランプ、マップランプ、ヘッドランプ、フォグランプ、フロントターンシグナルランプ、フロントポジショニングランプ、サイドターンシグナルランプ、デイランプ、フォグランプ、テールランプ、ストップランプ、リヤターンシグナルランプ、ハイマウントストップランプ、バックランプ、ナンバープレートランプ等が挙げられる。
本発明の放熱用構造部材である放熱筐体、放熱シャーシ、及び自動車LEDランプヒートシンクは、全面、もしくは内部全体に本発明の熱伝導性樹脂組成物が用いられる必要はなく、使用用途に合わせて部分的に他の材料を構成してもよく、任意の面に穴を設けてもよい。具体的には、絶縁性を付与させるためにセラミックスや絶縁性を有する樹脂、及び樹脂組成物を複合させてもよく、また、放熱性を高めるために部分的に金属、グラファイトシート、炭素繊維複合材料等の良熱伝導体を複合させてもよい。これらの設置箇所は特に限定されないが、良熱伝導体は発熱体と熱伝導性樹脂組成物の間に設置することが好ましい。
放熱性をより一層高めるための金属製部材の材質は特に制限されないが、アルミニウム及びそれを含む合金(アルミニウム合金)、銅及びそれを含む合金(黄銅、青銅、アルミ黄銅等)、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、スズ、亜鉛、パラジウム、銀、ステンレス、マグネシウム及びそれを含む合金(マグネシウム合金)、マンガン等が挙げられる。
上記金属製部材の形状は、特に限定されないが、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等が挙げられ、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。また、貫通穴、折り曲げ部等を有してもよい。
本発明の放熱用構造部材を、金属製部材と、その表面に設けられ、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる樹脂成形部と、から構成する場合、樹脂成形部が形成される金属製部材の表面形状は、特に限定されないが、平板、曲面、凹凸面、尖状部等が挙げられる。
樹脂成形部が形成される金属製部材の表面は、金属製部材と樹脂成形部との接着強度、密着性の観点から表面処理がなされたものであってもよい。表面処理方法は、特に限定されないが、例えば、特殊薬液や物理的研磨による微細粗化、陽極酸化や有機化合物による皮膜の形成等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、電磁波シールド性にも優れており、100MHzの周波数における電磁波シールド効果は、5dB以上であり、好ましくは10dB以上であり、より好ましくは15〜60dBである。
図1〜図5は、本発明の放熱用構造部材の一実施形態を示すものであり、本発明の放熱用構造部材を限定するものではない。なお、本発明の放熱用構造部材の寸法は特に制限されず、該構造部材の用途や該構造部材に収納される発熱体の種類や放熱挙動等に応じて適宜選択される。また、放熱性をより一層高めるという観点より、金属製部材と併用することができる。
図1は、車載用CCDカメラ収納用放熱筐体1の一実施形態の構成を示す模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のX−X切断面での断面図である。放熱筐体1は本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形物であり、横方向に延びる断面視ほぼ方形の第1筒体10と、第1筒体10と同軸状に延びるように一体化され、第1筒体10よりも小径の第2筒体11と、第1筒体10の上下方向の一方及び他方の面10a、10bから突出し、互いに離隔して第1筒体10と同じ方向に延びる複数の第1、第2放熱フィン12、13と、を備える。第1筒体10の内部空間10xには車載用CCDカメラが収納され、該CCDカメラは第2筒体11の内部空間11xを介して電気的に結線される。第1、第2筒体10、11の断面形状は方形に限定されず、第1筒体10の内部空間10xに収納される発熱体の形状等に応じて、円形、多角形等、任意の形状とすることができる。また、本実施形態の第1、第2放熱フィン12、13の個数はそれぞれ4個であるが、これに限定されず、任意の個数とすることができる。
図2は箱型放熱筐体2の一実施形態の構成を示す模式図であり、(a)は開口部14を下側に向けた状態での斜視図、(b)は(a)のX−X切断面での断面図である。放熱筐体2は、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体であり、一方の面に開口部14を有するほぼ直方体状の本体15と、本体15の開口部14と対向する表面15aの長手方向両端部近傍に立設され、互いに離隔して本体15の幅方向に延びる放熱フィン16、17と、を備える。箱型放熱筐体2は、例えば自動車ランプ用DRL(デイタイムランニングランプ)等に用いられる。なお、本体15の内部空間15xには発熱体が収納される。発熱体を電気的に結線する必要がある場合は、例えば、面15aから内部空間15xへの貫通穴(不図示)が適宜形成される。これは、本発明の放熱用構造部材に共通する。
図3は、車載用LEDランプ収納用ヒートシンク3の一実施形態の構成を示す模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のX−X切断面での断面図である。ヒートシンク3は、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体であり、支持板18と、支持板18の一方の表面18aから立設される断面視ほぼ方形の枠体19と、支持板18の他方の面18bから互いに離隔してほぼ平行に垂下するように設けられる複数の放熱フィン20と、を備える。一端及び他端の放熱フィン20a、20bと支持板18との接合部分は、例えば接合強度や放熱速度の向上等の目的で、放熱フィン20a、20bから隣り合う放熱フィン20に向けて突出する断面視ほぼ方形のリブ21a、21bを有する。支持板18と枠体19とで形成される内部空間19aには車載用LEDランプ等の発熱体が収納される。
図4は、別の実施形態の車載用LEDランプ収納用ヒートシンク4の構成を示す模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のX−X切断面での断面図である。ヒートシンク4は、リブ21a、21bを有さない以外は、ヒートシンク3と同じ構成を有している。
図5は、他の実施形態のヒートシンク5の構成を示す模式図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)はX−X切断面での断面図である。ヒートシンク5は、例えば金属部材との複合化が容易であるという特徴を有する。ヒートシンク5は、本発明の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体であり、ほぼ方形の支持板22と、支持板22の一方の表面22aに設けられ、発熱体、金属製部材、もしくは発熱体と金属製部材との複合体(いずれも不図示)が収納されるほぼ方形の凹部23と、凹部23の一方向の両端辺23a、23bから立設され、発熱体、金属製部材、もしくは発熱体と金属製部材との複合体を凹部23に固定するための突出部24a、24bと、支持板22の他方の表面22bから互いに離隔して垂下し、先端側に向けて厚みが徐々に薄くなる複数の板状放熱フィン25と、を含む。例えば、発熱体、金属製部材、もしくは上記複合体を凹部23に載置した後、凹部23の両端辺23a、23bを熱、超音波、振動等で熱カシメすることにより、これらを凹部23に固定し、設置することができる。また、発熱体、金属製部材もしくは上記複合体と凹部23との間に、TIM(サーマルインターフェイスマテリアル)のような熱抵抗を軽減させる放熱材料を設置することで、放熱性をさらに向上させることができる。放熱フィン25を設けることにより、本発明の熱伝導性樹脂組成物の高熱伝導性と相俟って、発熱体から発生する熱を極めて効率良く放熱することができる。本実施形態のヒートシンク5の立体形状は四角柱状となっているが、これに限定されず、ヒートシンクの用途に応じて、球、四角柱以外の多角柱、円柱、楕円柱等の任意の形状とすることができる。また、凹部23の平面形状も特に限定されず、円形、楕円形、四角形以外の多角形等とすることができる。また、放熱フィン25の数も特に限定されない。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、その効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(A)及び鱗片状黒鉛(B)とともに、鱗片状黒鉛(B)以外の熱伝導性フィラー、熱伝導性フィラー以外の充填剤、樹脂、及び添加剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。鱗片状黒鉛(B)以外の熱伝導性フィラー及び充填剤の形状については、特に限定されず、例えば鱗片状、繊維状、フレーク状、板状、球状、粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体等種々の形状が挙げられる。鱗片状黒鉛(B)以外熱伝導性フィラーとしては、具体的には、アルミニウム、ニッケル等の金属フィラー、液相線温度300℃以上、かつ固相線温度150℃以上250℃以下の低融点合金、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ダイヤモンド等の絶縁性炭素材料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、アルミナ、窒化ホウ素、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウイスカー、窒化珪素繊維、カーボンナノチューブ、タルク、ウォラストナイトが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。添加量としては特に限定されないが、添加量が増加するにつれて、熱伝導性を向上させることができる。上記鱗片状黒鉛(B)以外の熱伝導性フィラーは天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。
本発明の樹脂組成物には、前記の熱伝導性フィラー以外にも、その目的に応じて公知の充填剤を広く使用することができる。熱伝導性フィラー以外の充填剤としては、例えばケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、石英粉末、結晶シリカ、カオリン、三酸化アンチモン、微粉末マイカ、二硫化モリブデン、ロックウール、セラミック繊維、アスベスト等の無機質繊維、及び、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスクロス、溶融シリカ等のガラス製充填剤が挙げられる。これら充填剤を用いることで、例えば熱伝導性、機械強度、または耐摩耗性など樹脂組成物を応用する上で好ましい特性を向上させることが可能となる。さらに必要に応じて紙、パルプ、木材、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等の合成繊維、ポリオレフィン粉末等の樹脂粉末、等の有機充填剤を併用して配合することができる。
本発明に用いる導電性フィラー及び導電性フィラー以外の充填剤は、樹脂とフィラーとの界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤やステアリン酸やアクリル系モノマー等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等従来公知のものを使用することができる。中でも、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。フィラーの表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂をアロイ化させてもよい。該樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物には、上記樹脂やフィラー以外の添加剤として、さらに目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、増粘剤、離型剤、可塑剤、カップリング剤、難燃剤、難燃助剤、耐炎剤、着色剤、及び着色剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤、その他の助剤等を本発明の効果を失わない範囲で、添加することができる。これらの添加剤及びその他の助剤の使用量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、合計で0〜20重量部の範囲であることが好ましい。
上記熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤としては、ホスファイト類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスマレイミド、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、下記一般式(3)(式中、nは2〜20の整数である)で表される有機りん系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、難燃性を改良するために、シリコーンオイルを配合することができる。また、下記一般式(3)の化合物も使用できる。
Figure 2015190324
上記老化防止剤としては、例えば、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。混練温度は、熱可塑性樹脂(A)の種類に選択される。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
本発明の熱伝導成形体の成形方法は、特に限定されず、射出成形、押出成形(シート押出、異形押出)、2色成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形、トランスファー成形等の公知の成形法により、成形品とすることができるが、成形性の簡便な観点において、射出成形、押出成形、トランスファー成形が好ましい。
次に、本発明の熱伝導性樹脂について、製造例、実施例及び比較例を挙げさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。
樹脂組成物の調製に用いる原料成分を以下に示す。
熱可塑性樹脂(A):
ポリエチレンテレフタレート(A−1):三菱化学社製 ノバペックス(商標名) PBKII(商品名)、数平均分子量28,000
ポリエチレンテレフタレート(A−2):三菱化学社製 GS−100(商品名)、数平均分子量22,500
ポリエチレンテレフタレート(A−3)クラレ社製 KS710B−8S(商品名)、数平均分子量61,000
ポリエステル−ポリエーテル共重合体(A−4):
ポリエステル−ポリエーテル共重合体としては、以下の方法で製造したものを使用した。
即ち、攪拌機、ガス排出出口を備えた反応器に、アンチモン系触媒で製造されたアンチモン金属濃度200重量ppmのポリエチレンテレフタレート(PET)(IV=0.65のもの)70重量部、PET及びポリエーテルに対して160ppmとなる三酸化アンチモン、及び酸化防止剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ製のイルガノックス(商標名)1010)0.2重量部、以下で説明するビスオール18ENであるポリエーテル30重量部を仕込んだ後、270℃で2時間保持した後、真空ポンプで減圧し、1torr、3時間保持後とりだし、ポリエステル−ポリエーテル共重合体を得た。得られたポリエステル−ポリエーテル共重合体の数平均分子量は、25,400であった。
前記ビスオール18ENは、前記一般式(2)の構造における(m+n)の数平均が18のものである。
ポリブチレンテレフタレート(A−5):三菱エンジニアプラスチックス社製 5008L(商品名)、数平均分子量19,000
ナイロン6(A−6):ユニチカ社製 A1015N(商品名)
ポリフェニレンスルフィド(A−7):大日本インキ化学工業社製 FZ−2100(商品名)
黒鉛(B):
鱗片状黒鉛(B−1):中越黒鉛工業所社製 CPB−80(商品名)、体積平均粒子径300μm、固定炭素量99.9%、アスペクト比100
鱗片状黒鉛(B−2):中越黒鉛工業所社製 BF−40AK(商品名)、体積平均粒子径50μm、固定炭素量99.9%、アスペクト比30
鱗片状黒鉛(B−3):中越黒鉛工業所社製 MD−100C(商品名)、体積平均粒子径170μm、固定炭素量93.6%、アスペクト比80
球状黒鉛(B−4):中越黒鉛工業所社製 WF−15C(商品名)、体積平均粒子径16μm、固定炭素量99.9%、アスペクト比1
補強剤(C):
ガラス繊維:日本電気硝子株式会社製T187H/PL(商品名)、単体での熱伝導率1.0W/(m・K)、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm
難燃剤(D)
アルベマール社製臭素系難燃剤SAYTEX7010P(商品名)
難燃助剤(E)
日本精鉱社製三酸化アンチモンPATOX−P(商品名)
[評価方法]
数平均分子量:本発明に用いる熱可塑性樹脂をp−クロロフェノール(東京化成工業製)とトルエンの体積比3:8混合溶媒に0.25重量%濃度となるように溶解して試料を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。高温GPC(Viscotek社製 350 HT−GPC System)にてカラム温度:80℃、流速1.00mL/minの条件で測定した。検出器としては、示差屈折計(RI)を使用した。
押出混練温度:熱伝導性樹脂組成物は、押出溶融混練によって作製されるが、その際の押出混練温度は熱可塑性樹脂(A)によって異なり、表1に示す押出バレル温度で押出混練を行った。
成形加工条件:評価するために使用する成形体の成形加工温度は、熱可塑性樹脂(A)によって異なり、表1に示す成形加工温度で射出成形を行った。また、射出速度150mm/s、射出圧力150MPaに固定して成形を行った。
黒鉛の体積平均粒子径:マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製 MICROTRAC MT3300EXII)を用いて、水溶媒中に黒鉛粒子を投入した後、60秒間超音波振動させた後、測定を行った。成形加工後の黒鉛粒子の体積平均粒子径については、φ26mm×1mm厚の成形体を620℃で1時間焼成させた後、成形体中に含まれる黒鉛粒子のみを取り出し、測定を行った。
黒鉛のアスペクト比:走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製 JSM−6060LA)を用いて、黒鉛粒子100個の最長径及び最短径の各平均値を用いて算出した。成形加工後の黒鉛粒子のアスペクト比については、φ26mm×1mm厚の成形体を用いて同様の方法で算出した。
熱伝導率:得られた熱伝導性樹脂組成物のペレットを用いて、射出成形機[東洋機械金属(株)製、Si−15IV]にて、φ26mm×1mm厚を作製し、ASTM E1461規格に準拠して、レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置(NETZSCH社製 LFA447)により、室温大気中における面方向と厚み方向の熱伝導率を測定した。比重:φ26mm×1mm厚の成形体を用いて、ISO1183規格に準拠して、水中置換法にて比重を測定した。
流動性(スパイラルフロー):得られた熱伝導性樹脂組成物のペレットを、射出成形機[東洋機械金属(株)製、Si−30IV]を用いて、熱可塑性樹脂に合わせて、所定の成形温度、金型温度にし、射出圧力150MPa、射出速度150mm/sでスパイラル状の成形体(10mm幅×1mm厚、ピッチ5mm)における流動長を測定した。
耐熱性:HDT(高荷重)
射出成形機[東洋機械金属(株)製、Si−30IV]にて、80mm×40mm×4mm厚みの試験片を作製し、ISO75規格に準拠して測定した。
燃焼性:以下に示すUL94規格の規定に準じて行った。試験片の上端をクランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片について同じ測定を繰り返し、1回目燃焼時間のデータ5個と、2回目燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下の木綿に着火するようなことがなければV−0相当、Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV−0と同様の条件を満たせばV−1相当となる。
Figure 2015190324
[実施例1〜7]
熱可塑性樹脂(Aー1)〜(A−5)を、熱風乾燥機を用いて140℃で4時間乾燥し、表2に示された重量比率となるように混合したものを準備した。これに、フェノール系安定剤(株式会社ADEKA製AO−60)およびリン系酸化防止剤(株式会社ADEKA製アデカスタブ(商標名)PEP−36)を樹脂100重量部に対してそれぞれ0.3重量部加えた。この混合物を、株式会社テクノベル製25mm同方向回転完全噛合型二軸押出機MFU25TW−60HG−NH−1300を用いて、吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、押出バレル温度を表1に示す温度に設定して溶融混練することで、樹脂組成物のペレットを得た。
得られた樹脂組成物のペレットを射出成形によって、成形体を作製し、各種評価した。成形体中に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径とアスペクト比、及び各種物性値を表2に示す。
[実施例8]
熱可塑性樹脂を(A−6)に変更し、熱風乾燥機を用いて120℃で6時間乾燥し、表2に示された重量比率となるように混合したものを準備した。押出バレル温度、射出成形条件を変更した点以外は、実施例1と同様にした。成形体中に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径とアスペクト比、及び各種物性値を表2に示す。
[実施例9]
熱可塑性樹脂を(A−7)に変更し、熱風乾燥機を用いて140℃で4時間乾燥し、表2に示された重量比率となるように混合したものを準備した。押出バレル温度、射出成形条件を変更した点以外は、実施例1と同様にした。成形体中に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径とアスペクト比、及び各種物性値を表2に示す。
[比較例1〜5]
表3に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にした。成形体中に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径とアスペクト比、及び各種物性値を表3に示す。
[比較例6]
表3に示す配合処方に変更した以外は、実施例8と同様にした。成形体中に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径とアスペクト比、及び各種物性値を表3に示す。
Figure 2015190324
Figure 2015190324
実施例と比較例を比較し、同量の黒鉛を含有させた場合、実施例で使用した黒鉛の体積平均粒子径、固定炭素量、アスペクト比が本発明の黒鉛であることで、熱伝導率、スパイラルフロー(成形性)の値が高くなっていることが分かる。溶融混練前の黒鉛の体積平均粒子径が、201μm以上の大粒子径である黒鉛を使用することで、溶融混練後、成形加工後の樹脂組成物中に含まれる黒鉛粒子径は高く保持され、熱伝導率、特にスパイラルフローを大幅に向上できていることが言える。また、実施例1〜9で示すように、本発明は熱可塑性樹脂の種類、配合比によらず、本発明の効果を発現させることが分かる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、優れた熱伝導性、成形加工性、低比重を有するため、発熱が課題となる用途に使用することができ、さらには熱伝導性が高い金属等の代替にすることで、軽量化や形状の自由度が高く、容易、且つ安価に成形体を得ることができる。また、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、電磁シールド性にも優れており、電磁遮蔽性が要求される用途にも好適であり、放熱筐体、放熱シャーシ、照明や自動車用ランプヒートシンク等、様々な用途に好適である。
1 カメラ収納用放熱筐体
2 箱型放熱筐体
3、4 LEDランプ収納用ヒートシンク
5 ヒートシンク
10 第1筒体
11 第2筒体
12 第1放熱フィン
13 第2放熱フィン
14 開口部
15 本体
16、17 放熱フィン
18 支持板
19 枠体
20 放熱フィン
21a、21b リブ
22 支持板
23 凹部
24a、24b 突出部
25 板状放熱フィン

Claims (10)

  1. (A)熱可塑性樹脂30〜90質量%、(B)成形体中における体積平均粒子径が40〜700μm、固定炭素量が98質量%以上、アスペクト比が21以上である鱗片状黒鉛10〜70質量%、を少なくとも含有し、比重1.4〜2.0であり、且つ面方向の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
  2. 前記熱伝導性樹脂組成物が溶融混練によって製造され、溶融混練前の前記鱗片状黒鉛(B)の体積平均粒子径が201〜700μm、固定炭素量が98質量%以上、アスペクト比が21以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、請求項1、又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエステル−ポリエーテル共重合体、よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 前記ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエステル−ポリエーテル共重合体の数平均分子量が12,000〜70,000であることを特徴とする、請求項4に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、及びナイロン12よりなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. 前記鱗片状黒鉛(B)が、天然黒鉛であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱筐体。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱シャーシ。
  10. 請求項1〜7の何れか一項に記載の熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする自動車用LEDランプヒートシンク。
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