JPWO2015182601A1 - 標的核酸の検出方法 - Google Patents

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Abstract

要約高精度かつ高感度で標的核酸を検出できる、標的核酸の検出方法が開示されている。標的核酸の検出方法は、検体に含まれる標的核酸と、捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程を含む。捕捉プローブの核酸分子中の少なくとも一つの核酸塩基が光反応性基に置換されており、かつ、捕捉プローブ中に一つ以上のスペーサーが挿入されており、標的核酸と捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程の後に、標的核酸と捕捉プローブとがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、光反応性基と標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させる。

Description

本発明は、捕捉プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを利用した標的核酸の検出方法に関する。
各種生物の遺伝情報解析の研究が始められており、ヒト遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子とその塩基配列、また遺伝子配列にコードされる蛋白質及びこれら蛋白質から二次的に作られる糖鎖に関する情報が急速に明らかにされつつある。配列の明らかにされた遺伝子、蛋白質、糖鎖などの生体高分子の機能については、様々な方法で調べることができる。主なものとしては、核酸についてはノーザンブロッティング、あるいはサザンブロッティングのような、各種の核酸/核酸間の相補性を利用して各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。蛋白質については、ウエスタンブロッティングに代表されるような、タンパク質−タンパク質間の反応を利用しタンパク質の機能及び発現について調べることができる。
特に、遺伝子診断や病原菌の特定、あるいは一塩基多型の検出等、調べたい標的核酸を検出する目的では、核酸からなる捕捉プローブが用いられる。近年、多数の捕捉プローブを支持体に固定したDNAチップやDNAマイクロアレイを用いて、複数種の標的核酸の同時検出に使用されている。具体的には、支持体に固定化された捕捉プローブと標的核酸とを接触させ、捕捉プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションの有無による相補性を調べることにより標的核酸の配列や存在量を調べることができる。標的核酸のハイブリダイゼーションは、例えば、標的核酸に標識体を導入し、捕捉プローブとの接触後に、その標識体のシグナルを検出する方法が一般的に用いられている。
標的核酸を効率的に検出するツールとして、光反応性基を導入した捕捉プローブを用いる方法が知られている(特許文献1)。この方法は、光反応性基を導入した捕捉プローブと標的核酸とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした捕捉プローブと標的核酸に光照射を行って、両者間で共有結合を形成(光架橋)させ、共有結合を形成していない標的核酸以外の核酸を洗浄によって除去した後、ハイブリダイズした捕捉プローブと標的核酸に再び光照射を行って共有結合を開裂させることにより、標的核酸を効率的に検出している。
EP 2272856 A
従来、光反応性基を導入した捕捉プローブを用いて、ハイブリダイゼーション法により標的核酸を検出する場合、検出感度を向上させるために、ハイブリダイゼーション時に光照射を行い、捕捉プローブと標的核酸との間で共有結合を形成させていた。しかし、特に、一塩基多型など相同性の高い配列を検出する場合に、検出感度(S/N比)が低下するという新たな課題が見つかった。これは、捕捉プローブが、標的核酸のみならず、標的核酸以外の核酸ともクロスハイブリダイゼーション(非特異吸着)し、その状態のままで鎖間に共有結合が導入されてしまうためと予想される。
本発明の目的は、光反応性基を導入した捕捉プローブと、標的核酸以外の核酸とのクロスハイブリダイゼーション等を抑制し、目的とする標的核酸とのハイブリダイゼーションを選択的に行わせることで、高精度かつ高感度で標的核酸を検出できる、標的核酸の検出方法を提供することである。
本発明は、光反応性基を導入した捕捉プローブに、加えてスペーサーを挿入することで、上記の課題、すなわち、捕捉プローブと標的核酸以外の核酸とのクロスハイブリダイゼーション等を抑制することができ、目的とする標的核酸との選択的なハイブリダイゼーションを可能とするものである。本発明によれば、高精度かつ高感度で標的核酸を検出できる。これは、捕捉プローブにスペーサーを挿入することにより、捕捉プローブの分子構造上の自由度が向上し、標的核酸とは安定な二重鎖を形成し、光反応性基による共有結合の形成により高効率に捕捉できる一方、標的核酸以外の核酸とは、例えばミスマッチ塩基による鎖間反発により、光反応性基と標的核酸以外の核酸との距離が光架橋の可能な距離よりも大きくなるために、クロスハイブリダイゼーション後の光架橋反応が抑制されることに因ると推測される。
本発明は、以下の方法を提供する。
(1) 検体に含まれる標的核酸と、捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程を含む標的核酸の検出方法であって、
前記捕捉プローブの核酸分子中の少なくとも一つの核酸塩基が光反応性基に置換されており、かつ、前記捕捉プローブ中に一つ以上のスペーサーが挿入されており、
前記標的核酸と前記捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程の後に、前記標的核酸と前記捕捉プローブとがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、前記光反応性基と前記標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させることを含む、
検出方法。
(2) 前記各スペーサーが、核酸の主鎖中に挿入された2価の有機基であり、1個のスペーサーが、ヌクレオチド1個分のスペースを有する(1)に記載の方法。
(3) 前記各スペーサーが、アルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、塩基欠損した糖鎖基又は非天然塩基導入ヌクレオシド基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出方法。
(4) 前記各スペーサーが、式I、式II又は式III:
Figure 2015182601
(ただし、式I中、nは3〜12の整数である。)
Figure 2015182601
(ただし、式II中、xは1〜10の整数、yは1〜5の整数、zは1〜10の整数である。)
Figure 2015182601
(ただし、式III中、Rは水素原子、tert−ブチルジメチルシロキシ基、式IV又は式V:
Figure 2015182601
Figure 2015182601
で表される置換基である。)
である、(3)に記載の検出方法。
(5) 前記捕捉プローブに含まれる前記スペーサーの数が1個又は2個である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 前記捕捉プローブに含まれる前記光反応性基の数が1個〜3個である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7) 前記光反応性基が、3−シアノビニルカルバゾール基若しくはその誘導体、p−カルバモイルビニルフェノール基、4,5’,8−トリメチルソラレン基又はN−メチル−5−シアノビニルウラシル基である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の検出方法。
(8) 前記捕捉プローブは、固体支持体上に固定化されており、前記標的核酸は標識されており、前記光照射後に前記固体支持体を洗浄し、洗浄後、該固体支持体上に存在する前記標識を検出することを含む(1)〜(7)のいずれか一項に記載の検出方法。
(9) 標的核酸の変異の有無を検出する、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の検出方法。
(10) 標的核酸の遺伝子多型を検出する、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の検出方法。
本発明によれば、捕捉プローブと標的核酸以外の核酸とのクロスハイブリダイゼーション等を抑制して、標的核酸とのハイブリダイゼーションを選択的に行わせることが可能となる。その結果、高精度かつ高感度で標的核酸を検出することができる。
本発明の方法は、例えば、標的核酸以外の核酸とのクロスハイブリダイゼーションの影響を受けやすい遺伝子の変異や多型の検出、miRNAの検出等の高感度が要求される微量サンプルの検出において特に有効である。
本発明の検出方法に供せられる標的核酸としては、例えば、病原菌やウイルス等の遺伝子や、遺伝病の原因遺伝子等並びにその一部分等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの標的核酸を含む検体としては、血液、血清、血漿、尿、便、髄液、唾液、ぬぐい液、各種組織液等の体液や、各種組織、パラフィン包埋検体(FFPE)及びその切片、各種飲食物並びにそれらの希釈物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、標的核酸は、血液や細胞から常法により抽出した検体核酸であってもよく、検体から抽出したDNAやRNAなどを用いることができる。DNAとしては、一本鎖でも二重鎖でもよく、染色体DNA,ウイルスDNA,細菌、カビ等のDNA、RNAを逆転写したcDNA,それらの一部である断片などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。RNAとしては、メッセンジャーRNA,リボソームRNA,マイクロRNA(miRNA)などのsmall RNAやそれらの一部である断片などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。また、化学的に合成したDNA、あるいはRNA等も標的核酸として用いることができる。
前記検体核酸には、測定の対象とする標的核酸以外の核酸成分(非標的核酸)も含まれていることがある。これら非標的核酸は、標的核酸との性状の差を考慮して除去してもかまわないし、除去せずに被検物質として用いてもよい。
標的核酸は、PCR等の核酸増幅法によって増幅したものであってもよく、この場合、測定感度を大幅に向上させることが可能である。核酸増幅産物を標的核酸とする場合には、蛍光物質等で標識したヌクレオシド三リン酸の存在下で増幅を行うことにより、増幅核酸を標識することが可能である。
本発明の方法は、検体中の標的核酸の有無、ウイルスの遺伝子型、細菌の種及び株、カビの種及び株等を区別した検出に用いることができる。
本発明の方法は、検体中の標的核酸の変異の有無の検出に好ましく用いることができる。標的核酸の変異とは、標的核酸の鎖長が長い、たとえば、ゲノムDNA中の遺伝子配列の欠落・重複・融合、転写産物の欠落・重複・融合や、標的核酸の鎖長が短い、たとえば、miRNAのファミリー配列の検出等が挙げられる。
具体的には、本発明の方法は、検体中の遺伝子多型の検出に特に好ましく用いることができる。遺伝子多型の検出としては、ゲノムDNA及びその転写物であるRNAのSNP(一塩基多型)の検出等が挙げられる。
本発明の方法には、標的核酸をそのまま適用することも可能であるし、標的核酸の断片化処理物を適用することも可能である。なお、本明細書及び請求の範囲において、文脈上そうでないことが明らかな場合を除き、「標的核酸」には、捕捉プローブとハイブリダイズする、標的核酸中の領域を含む、標的核酸の断片をも包含する意味で用いている。標的核酸の長さは、捕捉プローブがハイブリダイズすれば特に制限はないが、標的核酸が長い場合(例えば1500塩基以上、特に4000塩基以上の場合)には、断片化処理により、適切な長さに断片化した断片化処理物を適用することが好ましい。断片化処理物は、生じた核酸断片から特定の核酸断片を選択する必要はなく、断片化処理物をそのまま本発明の方法に供することができ、それによって検出感度を高めることが可能である。
断片化のために標的核酸を切断する方法としては、超音波を照射して切断する方法、酵素で切断する方法、制限酵素で切断する方法、ネブライザーを用いる方法、酸やアルカリで切断する方法などを用いることができる。超音波で切断する方法の場合、標的核酸に照射する超音波の出力強度と照射時間を制御することにより、所望の長さに切断することが可能である。
標的核酸の長さは、捕捉プローブとハイブリダイズし得る長さであれば特に限定されないが、通常、10塩基以上の長さであり、好ましくは10塩基〜1500塩基、さらに好ましくは15塩基〜1000塩基、さらに好ましくは18塩基〜1000塩基程度である。上記のとおり、標的核酸が1500塩基以上、特に4000塩基以上の場合には、上記した断片化処理によりこの範囲の長さに切断したものを標的核酸とすることが好ましい。
標的核酸には標識体を結合させることができる。本発明において、使用できる標識体としては、タンパク質結合性物質、蛍光色素、りん光色素、放射線同位体など、標識に用いる公知の物質を用いることができる。タンパク質結合性物質の例としてビオチンが挙げられる。ビオチンはアビジン又はストレプトアビジンと結合することができる。アビジン又はストレプトアビジンに蛍光色素が結合したもの、アルカリフォスファターゼやホースラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素が結合したものを用いることができる。アルカリフォスファターゼやホースラディッシュペルオキシダーゼを用いる場合には、それぞれの基質を添加し、基質と酵素が反応した結果、発光反応が生じる。発光反応は、プレートリーダーやCCDカメラなどを用いて検出する。
標識体として、測定が簡便で、信号が検出しやすい蛍光色素を用いてもよい。具体的には、シアニン(シアニン2)、アミノメチルクマリン、フルオロセイン、インドカルボシアニン(シアニン3)、シアニン3.5、テトラメチルローダミン、ローダミンレッド、テキサスレッド、インドカルボシアニン(シアニン5)、シアニン5.5、シアニン7、オイスター、BODIPY系色素、フィコエリスリンなどの公知の蛍光色素が挙げられる。蛍光色素の検出は、蛍光顕微鏡、蛍光スキャナや蛍光分光光度計などにより行うことができる。
また、標識体として発光性を有する半導体微粒子を用いてもよい。このような半導体微粒子としては、例えばカドミウムセレン(CdSe)、カドミウムテルル(CdTe)、インジウムガリウムリン(InGaP)、カルコパイライト系微粒子、シリコン(Si)、などが挙げられる。
本発明は、標識体を結合した標的核酸を用いた場合、標識体の信号強度を測定することにより標的核酸の定量に適用することができる。なお、標的核酸の定量を行えば、必然的に標的核酸の検出が行われることになるので、本発明の「検出方法」は定量を伴う場合も包含する。
測定されたシグナルは、ノイズと比較される。具体的には、捕捉プローブとハイブリダイズした標的核酸のシグナル値(S)と、捕捉プローブに付着した標的核酸以外の核酸のシグナル値(ノイズ値(N))を比較し、前者の数値とノイズ値の比をS/N比とし、本発明では検出精度をS/N比で表す。S/N比の値が大きいほど検出精度が高いことを表し、S/N比の値が小さく0に近づくほど検出精度が低いことを表す。
本発明において、捕捉プローブとしては、具体的にはDNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)などの核酸誘導体を用いることができる。ここで誘導体とは、核酸の場合、修飾ヌクレオチド(例えばハロゲン、メチルなどのアルキル、メトキシなどのアルコキシ、チオ、カルボキシメチルなどの基を含むヌクレオチド及び塩基の再構成、二重結合の飽和、脱アミノ化、酸素分子の硫黄分子への置換などを受けたヌクレオチドなど)を含む誘導体などの化学修飾誘導体を意味する。
特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、該塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸と選択的にハイブリダイズして結合するので、本発明でいう捕捉プローブに該当する。本発明に用いる捕捉プローブは、市販のものでもよく、また、生細胞などから得られたものでもよい。捕捉プローブとして、特に好ましいものは、核酸である。この核酸の中でも、オリゴ核酸と呼ばれる、長さが200塩基までの核酸は、合成機で容易に人工的に合成が可能である。
捕捉プローブは、標的核酸配列と相補的な配列を含んでいれば良く、標的核酸中のどの領域を選択しても良い。また、標的核酸の異なる領域とハイブリダイズする複数種類の捕捉プローブを用いることもできる。
標的核酸が、二本鎖DNA又は二本鎖RNAである場合、センス鎖、アンチセンス鎖のいずれかの鎖に対して相補的な配列を捕捉プローブとして選択することができる。
捕捉プローブ中の、標的核酸の全領域又は一部領域とハイブリダイズする領域のサイズは、特に限定されないが、通常10塩基〜200塩基、好ましくは18塩基〜200塩基程度である。また、捕捉プローブの全長(捕捉プローブが、標的核酸とハイブリダイズしない領域をも含む場合には、該領域も含めた全長)は、特に限定されないが、通常、通常10塩基〜200塩基、好ましくは18塩基〜200塩基程度である。
検体核酸に含まれる、異なる標的核酸を区別して検出する場合は、例えば、患者に感染しているウイルスの型を区別して検出するなど、検体核酸に含まれうる核酸配列の中から、特異性が高い配列領域を選択することが好ましい。
本発明で用いる捕捉プローブは、核酸分子中の少なくとも一つの核酸塩基が光反応性基に置換されており、さらに、捕捉プローブ中に一つ以上のスペーサーが挿入されている。光反応性基は、捕捉プローブ中に、1〜3個置換されているとより好ましい。
ここで、光反応性基とは、特定の波長の光が照射されることにより、有機合成反応における反応性が活性化される有機基(光反応性部位)である。プローブ中の核酸塩基が光反応性基に置換された後のプローブは、置換前の核酸塩基と同様に標的核酸とハイブリダイズして複合体を形成することが可能である。核酸塩基が光反応性基に置換されている捕捉プローブ及び/又は検出プローブと標的核酸とがハイブリダイズして形成された複合体に、当該光反応性基の光反応性部位を活性化し得る波長の光を照射すると、当該光反応性部位が活性化され、当該光反応性基と標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合が形成される。
このような光反応性基として、3−シアノビニルカルバゾール基及びその誘導体(WO2009/066447(EP2216338, US 2010-274000 A)、Yoshinaga Yoshimura et al., Organic Letters 10:3227-3230(2008))、p−カルバモイルビニルフェノール基(Takehiro Ami et al., Organic & Biomolecular Chemistry 5:2583-2586(2007))、4,5',8-トリメチルソラレン基(Akio Kobori et al., Chemistry Letters 38:272-273(2009))並びにN3-メチル-5-シアノビニルウラシル基(Kenzo Fujimoto et al., Chemical Communications: 3177-3179(2005)等があげられる。これらの文献は、参照により本明細書に組み入れられたものとする。これらのうち、3−シアノビニルカルバゾール基及びその誘導体(WO2009/066447)が好ましく、特に3−シアノビニルカルバゾール基が好ましい。
ここで、3−シアノビニルカルバゾール基及びその誘導体は、WO2009/066447に記載されているとおり、下記式(I)で表される基である。
Figure 2015182601
式(I)中、Rは、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は水素であり;R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は水素である。Rがシアノ基、R1及びR2が水素の場合が3−シアノビニルカルバゾール基である。なお、光反応性基として、3−シアノビニルカルバゾール基又はその誘導体を用いるときは、捕捉プローブ中の当該塩基の5'側にプリン塩基を隣接するように設計することが好ましい。
p−カルバモイルビニルフェノール基は、下記式(II)で表される基である。
Figure 2015182601
4,5',8-トリメチルソラレン基は、下記式(III)で表される基である。
Figure 2015182601
N3-メチル-5-シアノビニルウラシル基は、下記式(IV)で表される基である。
Figure 2015182601
これらの光反応性基は、核酸を構成するヌクレオチド中の塩基とそっくり置き換わるものであり、式(I)〜(IV)で示される各光反応性基中のフリーの結合手がヌクレオチド中の糖部分と直接結合する。例えば、式(I)で示される3−シアノビニルカルバゾール基(式(I)中、Rがシアノ基、R1及びR2が水素のもの)は、デオキシリボースと次のように結合する。他の光反応性基も同様に糖と結合する。
Figure 2015182601
上記した各光反応性基及びそれとデオキシリボース等の糖との結合物は、上記したそれぞれの文献に記載されている公知の方法により製造することができる。なお、これらの公知の方法は、有機化学合成の常識に従った通常の合成方法である。
例えば、一般式(V)中の3−シアノビニルカルバゾール基は、WO2009/066447の実施例では、3−ヨウ化カルバゾール(3.52mmol)とアクリロニトリル(7.04mmol)とを、ジオキサン中、トリフェニルホスフィン(0.53μmol)、パラジウムアセテート(0.18μmol)及びトリエチルアミン(4.23mmol)の存在下、75℃、11.5時間加熱還流することにより製造されている。また、3−シアノビニルカルバゾールとデオキシリボースとの結合は、同実施例では、アセトニトリル中、3−シアノビニルカルバゾール(1.20mmol)と、Hoffer’s chlorosugar(デオキシリボースの1位のヒドロキシル基を塩素に、デオキシリボースの3位と6位のヒドロキシル基をp−トルオイルオキシ基に置き換えたもの)(1.24mmol)とをKOH(3.87mmol)とTDA-1(34μmol)の存在下で 室温で20分間撹拌し、次いで、メタノール中、NaOMe(1.2mmol)を加えて室温で3.5時間撹拌してデオキシリボースの3位と6位のヒドロキシル基を脱保護することにより製造されている。p−カルバモイルビニルフェノールとデオキシリボースとの結合物は、Takehiro Ami et al., Organic & Biomolecular Chemistry 5:2583-2586(2007)に記載の方法では、同様に、p-ヨードフェノールと、Hoffer’s chlorosugarとを反応させて結合させ、これにメチルメタクリレートを反応させることにより製造されている。4,5',8-トリメチルソラレン基とデオキシリボースとの結合物は、Akio Kobori et al., Chemistry Letters 38:272-273(2009)に記載の方法では、同様に、3-ヨウ化4,5',8-トリメチルソラレンとHoffer’s chlorosugarとを反応させて製造している。N3-メチル-5-シアノビニルウラシル基とデオキシリボースとの結合物は、Kenzo Fujimoto et al., Chemical Communications: 3177-3179(2005)に記載の方法では、同様に、2-ヨウ化N3-メチルウリジンとアクリロニトリルとを反応させて製造している。デオキシリボースが他の糖(例えばリボース等)の場合でも同様に光反応性基と糖との結合物を得ることができる。
光反応性基と糖との結合物が得られれば、これを含む核酸は、常法であるホスホロアミダイト法により容易に製造することができる。例えば、上記式(V)で示される3−シアノビニルカルバゾールとデオキシリボースとの結合物は、WO2009/066447の実施例では、ピリジン中、該結合物(0.29mmol)と4,4-ジメトキシトリチルクロリド(0.35mmol)と4-(ジメチルアミノ)ピリジンとを室温で18時間反応させて、デオキシリボースの6位のヒドロキシル基を保護し、これ(0.17mmol)をアセトニトリル中、2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.17mmol)と室温で1時間撹拌することにより、所望のホスホロアミダイト化物を製造している。他の光反応性基とデオキシリボースとの結合物も同様にしてホスホロアミダイト化することが可能である。ホスホロアミダイト化は常法であり、そのための試薬も市販されているので容易に行うことができる。
光反応性基と糖との結合物のホスホロアミダイト化物が得られれば、市販のオリゴヌクレオチド合成機を用いて、所望の塩基配列を持つ核酸を合成することができる。
なお、光反応性基を有する核酸自体は、所望の遺伝子等の発現を阻害する試薬として用いられている周知のものであり、光反応性基を含み、所望の塩基配列を持つ核酸の合成は、商業サービスとして提供されており、この商業サービスを行っている会社に、所望の塩基配列を持つ核酸であって、所望の位置に所望の光反応性基を導入したものの合成を依頼することによっても該核酸を入手することが可能である。
本発明で用いる捕捉プローブは、一つ以上のスペーサーを有する。プローブ中の核酸塩基が光反応性基に置換されており、かつ、スペーサーが挿入された捕捉プローブは、標的核酸とハイブリダイズして二重鎖を形成でき、光照射により二重鎖内に共有結合を形成することで、標的核酸を高効率に捕捉できる。一方で、スペーサーの挿入によりプローブ分子全体の構造上の自由度が向上し、例えばミスマッチ塩基による塩基間反発が高まり、捕捉プローブ中の光反応性基と標的核酸以外の核酸との距離が光架橋可能な距離より大きくなるため、捕捉プローブと標的核酸以外の核酸とのクロスハイブリダイゼーション後の光架橋反応が抑制されるものと推測される。
捕捉プローブに挿入されるスペーサーとしては、核酸の主鎖中に挿入される2価の有機基を好ましく用いることができ、1個のスペーサーがヌクレオチド1個分のスペースを有するものであることが好ましい。ここで、「1個のスペーサーがヌクレオチド1個分のスペースを有する」について説明する。
下記実施例の1つでは、標的核酸としてT-01(5'-TCTGAAGTAGATATGGCAGCACATAATGAC-3'、配列番号1)を用い、捕捉プローブの1つとして、C-01(5'-GTCATTATGT(d)CTGCCAQATCT(d)CTTCAGA-3')を用いている。ここで、(d)はスペーサー(具体的には塩基を欠損した糖鎖基である商品名dSpacer(具体的な構造は後述)であり、Qはヌクレオチドの塩基が光反応性基である3−シアノビニルカルバゾール基に置き換わったものである。標的核酸T-01と捕捉プローブC-01とがハイブリダイズした状態は次のとおりである(なお、スペーサー(d)は、単に「d」と示す)。
T-01 5'-TCTGAAGTAGATATGGCAGCACATAATGAC-3'
C-01 3'-AGACTTCdTCTAQACCGTCdTGTATTACTG-5'
これから明らかなように、C-01の5'末端から23番目のd(スペーサー)は、T-01の5'末端から8番目のCと対向している。これに隣接するT-01の7番目のGは、C-01の24番目のCと塩基対合しており、他方の隣接するT-01の9番目のAは、C-01の22番目のTと塩基対合している。このようにスペーサーdは、T-01の5'末端から8番目のCに対応するヌクレオチド1個分のスペースを占めている。C-01中のもう一方のスペーサーd(5'末端から11番目)も同様に、T-01の20番目のCに対応するヌクレオチド1個分のスペースを占めている。「1個のスペーサーがヌクレオチド1個分のスペースを有する」とはこのような状態を意味する。
具体的には、スペーサーの構造は、アルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基(例えば、ポリ(オキシエチレン)基)、塩基欠損した糖鎖基、非天然塩基導入ヌクレオシド基が挙げられる。なお、これらのスペーサーには核酸のスペーサーとして市販されているものもあり、そのような市販品を好ましく用いることができる。
ここで、スペーサーは、捕捉プローブ中にリン酸エステル構造を形成して核酸の主鎖に挿入することができる。この場合、式VI中のRがスペーサーである。
Figure 2015182601
塩基欠損した糖鎖基とは、天然型ヌクレオシドの核酸塩基部分が欠損して水素原子になったもの又は別の有機基に置換された糖鎖基をいう。この場合の別の有機基としては、例えば、tert−ブチルジメチルシロキシ基等が挙げられる。
非天然塩基導入ヌクレオシド基とは、天然型ヌクレオシドの核酸塩基部分の代わりに、天然には存在しない非天然塩基が導入された核酸基をいう。この場合の非天然塩基としては、例えば、ユニバーサル塩基に代表される有機分子が挙げられ、相補鎖とハイブリダイズする際に、二重鎖の形成を妨げない限り、どのような塩基であってもよい。
スペーサーがアルキレン基の場合、スペーサーの構造は、好ましくは、式I:
Figure 2015182601
(ただし、式I中、nは3〜12の整数である。)で表され、より好ましくは、nが3又は12である。
スペーサーがポリオキシアルキレン基の場合、スペーサーの構造は、好ましくは、式II:
Figure 2015182601
(ただし、式II中、xは1〜10の整数、yは1〜5の整数、zは1〜10の整数である。)で表され、より好ましくは、xが2、yが2又は5、zが2である。
スペーサーが塩基欠損した糖鎖基の場合、スペーサーの構造は、好ましくは、式III:
Figure 2015182601
(ただし、式III中、Rは、水素原子又はtert−ブチルジメチルシロキシ基)で表され、より好ましくは、Rが水素原子である。
スペーサーが非天然塩基導入ヌクレオシド基の場合、非天然塩基は、水素結合を形成できない、平面性が高い疎水性塩基が好ましく、より好ましくは、式III中のRが、式IV又は式V:
Figure 2015182601
Figure 2015182601
で表される置換基である。
スペーサーは、捕捉プローブ中に一つ以上挿入されていればよく、捕捉プローブの長さに応じて複数個のスペーサーを用いることができる。例えば、捕捉プローブの長さが30塩基以下の場合は、1〜2個挿入されることが好ましい。捕捉プローブの長さが31塩基以上の場合は、6塩基〜30塩基あたりに1個の割合で挿入されることが好ましく、10塩基〜20塩基あたりに1個の割合で挿入されることがより好ましい。
複数のスペーサーが挿入される場合には、同種のスペーサーを用いてもよく、異種のスペーサーを組み合わせ使用してもよい。スペーサーは、捕捉プローブ中のどの部分に挿入されていてもよいが、標的核酸以外の核酸中のミスマッチ塩基と相対しない部分に挿入することが好ましい。
スペーサーが複数個挿入される場合には、各スペーサー間は、5塩基〜30塩基程度空ける(スペーサー間の塩基数が5〜30)ことが好ましく、5塩基〜20塩基程度空ける(スペーサー間の塩基数が5〜20)ことがより好ましく、5塩基〜12塩基程度空ける(スペーサー間の塩基数が5〜12)ことがさらに好ましい。
スペーサーの挿入は、捕捉プローブ中の光反応性基に置換されている塩基から、0塩基〜30塩基空ける(スペーサーと光反応性基に置換されている塩基間の塩基数が0〜30)ことが好ましいが、2塩基〜22塩基程度空ける(スペーサーと光反応性基に置換されている塩基間の塩基数が2〜22)位置に行うことがより好ましい。
核酸塩基が光反応性基に置換されており、かつ、スペーサーが挿入されている捕捉プローブは、例えば、公知のオリゴヌクレオチド合成機やペプチド合成装置を用いて、光反応性基を塩基にもつ光反応性塩基誘導体、及びスペーサーの部分構造を含むアミダイト及び天然塩基のアミダイトを原料として、ホスホロアミダイト法により製造することができる。これら原料を所望の順序で組み合わせることにより、光反応性基に置換された核酸やスペーサーが所望の位置に導入された捕捉プローブを自由に設計し、製造することができる。
例えば、光反応性基として、3−シアノビニルカルバゾール基を用いるときは、特開2012−121899号公報に示されているアミダイトを原料に用いることができる。また、光反応性基として、p−カルバモイルビニルフェノール基を用いるときは、例えば、文献[Yoshinaga Yoshimura et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 15:1299−1301(2005)]に示されているアミダイトを原料として用いることができる。また、光反応性基として、4,5’,8−トリメチルソラレン基を用いるときは、例えば、文献[Akio Kobori et al., Chemistry Letters 38:272−273(2009)]に示されているアミダイトを原料として用いることができる。また、光反応性基として、N−メチル−5−シアノビニルウラシル基を用いるときは、例えば、文献[Kenzo Fujimoto et al., Chemical Communications:3177−3179(2005)]に示されているアミダイトを原料として用いることができる。
また、スペーサーとしてアルキレン基を用いるときは、例えば、品名:Spacer Phosphoramidite C3(Glen Research社製)や品名:Spacer Phosphoramidite CE C12(Glen Research社製)を原料として用いることができる。また、スペーサーとしてポリ(オキシエチレン)基を用いるときは、例えば、品名:Spacer Phosphoramidite 9(Glen Research社製)や品名:Spacer Phosphoramidite 18(Glen Research社製)を原料として用いることができる。また、スペーサーとして塩基欠損した糖鎖基を用いるときは、例えば、品名:dSpacer CE Phosphoramidite(Glen Research社製)や品名:Abasic II Phosphoramidite(Glen Research社製)を原料として用いることができる。また、スペーサーとして非天然塩基導入ヌクレオシド基を用いるときは、例えば、品名:3−Nitropyrrole−CE Phosphoramidite(Glen Research社製)や品名:5−nitroindole−CE Phosphoramidite(Glen Research社製)を原料として用いることができる。
本発明の捕捉プローブは固体支持体に固定化されていてもよい。固体支持体は、スライドガラス、メンブレン、ビーズ等を用いることができる。固体支持体の材質は、特に限定されないが、ガラス、セラミック、シリコンなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーンゴム等のポリマーなどを挙げることができる。複数の捕捉プローブを固体支持体に固定したマイクロアレイを用いることにより、複数種類の標的核酸を一斉に検出することができる。
支持体に捕捉プローブを固定化する方法としては、支持体上面部でオリゴ核酸を合成する方法と、あらかじめ合成しておいたオリゴ核酸を支持体上面部へ滴下し固定する方法が知られており、いずれも適用できる。前者の方法には、Ronaldらの方法(米国特許第5705610号明細書)、Michelらの方法(米国特許第6142266号明細書)、Francescoらの方法(米国特許第7037659号明細書)がある。これらの方法ではDNA合成反応時に有機溶媒を用いるため、支持体は有機溶媒に耐性のある材質であることが望ましい。例えば、特表平10−503841号公報に記載の方法を用いて作製した凹凸構造を有したガラス製支持体を用いることができる。特にFrancescoらの方法においては、支持体の裏面から光を照射し、DNA合成を制御するため、支持体は透光性を有する材質であることが好ましい。後者の方法には、廣田らの方法(特許第3922454号)やガラスキャピラリーを用いる方法が挙げられる。ガラスキャピラリーの一例としては、自作したガラスキャピラリーやマイクロピペット((株)マイクロサポート社製;MP−005)などの市販製品を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
標的核酸と捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程は、従来と全く同様に行うことができる。反応温度及び時間は、ハイブリダイズさせる核酸の鎖長に応じて適宜選択されるが、核酸のハイブリダイゼーションの場合、通常30〜70℃程度で1分間〜十数時間程度である。
本発明の方法では、検体に含まれる標的核酸と捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程の後に、標的核酸と捕捉プローブとがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、光反応性基と標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させる。光照射は、使用する光反応性基に応じて、これが活性化される波長を含む光で行うことができる。例えば、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を用いるときは、波長340〜380nmの光を用いることができる。光照射させる装置としては、前記波長を含む光を照射することができる、トランスイルミネーター、ブラックライト、UV−LED、UVレーザー等を使用することができる。光照射の時間は、共有結合が形成される時間であり、上記した通常の光照射装置を用いる場合、通常、3分間〜7分間程度である。
標的核酸の検出は、上記のとおり、標識体を結合した標的核酸を用いた場合、標識体の信号強度を測定することにより標的核酸の定量に適用することができる。好ましい実施形態では、捕捉プローブは固体支持体に固定化されており、標的核酸は標識されており、上記したハイブリダイゼーション工程及び光照射工程後、固体支持体を洗浄し、洗浄後に固体支持体に結合されている標識からのシグナルを検出又は測定する。
上記の通り、測定されたシグナルは、ノイズと比較することができる。具体的には、捕捉プローブとハイブリダイズした標的核酸のシグナル値(S)と、捕捉プローブに付着した標的核酸以外の核酸のシグナル値(ノイズ値(N))を比較し、前者の数値とノイズ値の比をS/N比とし、本発明では検出精度をS/N比で表す。S/N比の値が大きいほど検出精度が高いことを表し、S/N比の値が小さく0に近づくほど検出精度が低いことを表す。
以下に実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
核酸の調製
以下の実施例、比較例に用いた核酸を表1に示す。
Figure 2015182601
表1において、塩基配列中の「Q」は、光反応性基として、3−シアノビニルカルバゾール基を導入したものを示す。また、「(d)」は、スペーサーとして、塩基欠損した糖鎖基である「dSpacer」(商品名)を挿入したものを示し、「(SC3)」は、スペーサーとして、アルキレン基である「SpacerC3」(商品名)を挿入したものを示し、「(NP)」(商品名)は、スペーサーとして、核酸塩基部分が非天然塩基3−ニトロピロールである非天然塩基導入ヌクレオシド基を挿入したものを示し、「(SC12)」(商品名)は、スペーサーとして、アルキレン基である「SpacerC12」を挿入したものを示し、「(ab)」は、スペーサーとして、塩基欠損した糖鎖基である「Abasic」(商品名)を挿入したものを示し、「(S9)」は、スペーサーとして、ポリ(オキシアルキレン)基である「Spacer9」(商品名)を挿入したものを示す。使用したスペーサーを以下に示す。
Figure 2015182601
標的核酸としては、配列番号1で示される塩基配列を有する合成DNA「T−01」を用いた。T−01は、5’末端をCy3(登録商標)標識した合成DNAで、オペロン社にて合成した。
標的核酸以外の核酸としては、配列番号2、3、4、5で示される塩基配列を有する合成DNA「M−01」、「M−02」、「M−03」、「M−04」を用いた。M−01及びM−02は、T−01と一塩基のみ異なる塩基配列を有し、M−03は、T−01と二塩基異なる塩基配列を有し、M−04は、T−01と三塩基異なる塩基配列を有する。M−01、M−03は、5’末端をFITC標識した合成DNAで、オペロン社にて合成した。M−02、M−04は、5’末端をCy5(登録商標)標識した合成DNAで、オペロン社にて合成した。
捕捉プローブ「C−01」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−02」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、SpacerC3を挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−03」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、「NP」(核酸塩基部分が3−ニトロピロールである非天然塩基導入ヌクレオシド基)を挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−04」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、SpacerC12を挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−05」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、Abasicを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−06」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、Spacer9を挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−07」は、配列番号6で示される塩基配列の15番目の塩基「C」と21番目の塩基「C」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識た合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−08」は、配列番号6で示される塩基配列の13番目の塩基「T」と23番目の塩基「A」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識た合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−09」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」と25番目の塩基「T」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識た合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−10」は、配列番号6で示される塩基配列の9番目の塩基「G」と27番目の塩基「C」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識た合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−11」は、配列番号6で示される塩基配列の11番目の塩基「G」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−12」は、配列番号6で示される塩基配列の13番目の塩基「T」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−13」は、配列番号6で示される塩基配列の9番目の塩基「G」の代わりに、スペーサーとして、dSpacerを挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−14」は、配列番号6で示される塩基配列の10番目の塩基「T」と11番目の塩基「G」の間と、23番目の塩基「A」と24番目の塩基「C」の間に、スペーサーとして、SpacerC3を挿入し、18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−15」は、配列番号6で示される塩基配列の18番目の塩基「T」の代わりに、光反応性基として3−シアノビニルカルバゾール基を導入し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、つくばオリゴサービス社にて合成した。
「C−16」は、配列番号6で示される塩基配列を有し、5’末端をビオチン標識した合成DNAであり、オペロン社にて合成した。
実施例1
実施例1では、支持体に固定した捕捉プローブC−01と、標的核酸T−01、標的核酸以外の核酸M−01及びM−02とを接触させ、C−01と、標的核酸T−01とをハイブリダイズさせる工程の後に、T−01とC−01とがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、光反応性基と標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させて、T−01を検出した。
捕捉プローブ固定ビーズの作製
アビジンコートビーズ(サーモサイエンティフィック社製)に、捕捉プローブとしてC−01を固定したものを用いた。
ハイブリダイゼーション
T−01(100μM)と、M−01(100μM)と、M−02(100μM)とをそれぞれ1μLずつ混合し、10mMリン酸バッファー(100mM塩化ナトリウム、0.1%Tween20含有)で希釈し、トータル液量200μLとした。インキュベーター(設定温度50℃)内の「オムニフィット」(株式会社アイシスの登録商標)ガラスカラム(内径3mm、両末端に2μmのステンレスフリッツのカラム栓)に、C−01を固定したビーズを入れ、上記混合溶液(200μL)を加えた後、5分間攪拌しながら、ブラックライトで365nmの光を照射した。溶液をろ過後、上記ビーズを50%DMSO水溶液で洗浄した。
検出
T−01(100μM)と、M−01(100μM)と、M−02(100μM)とをそれぞれ1μLずつ混合し、10mMリン酸バッファー(100mM塩化ナトリウム、0.1%Tween20含有)で希釈し、トータル液量200μLとした溶液に、50%DMSO水溶液(100μL)を添加した溶液(A液)と、ハイブリダイゼーション工程及び洗浄工程で得られたろ液(B液)の蛍光を測定した。A液及びB液のCy3、Cy5及びFITCの蛍光強度を比較し、その比からT−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例2
捕捉プローブにC−02を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例3
捕捉プローブにC−04を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例4
捕捉プローブにC−05を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例5
捕捉プローブにC−06を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例6
捕捉プローブにC−07を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例7
捕捉プローブにC−08を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例8
捕捉プローブにC−09を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例9
捕捉プローブにC−10を用い、標的核酸以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例10
捕捉プローブにC−01を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例11
捕捉プローブにC−02を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例12
捕捉プローブにC−03を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例13
捕捉プローブにC−04を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例14
捕捉プローブにC−05を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例15
捕捉プローブにC−06を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例16
捕捉プローブにC−08を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例17
捕捉プローブにC−09を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例18
捕捉プローブにC−10を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例19
捕捉プローブにC−11を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例20
捕捉プローブにC−12を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例21
捕捉プローブにC−13を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
実施例22
捕捉プローブにC−14を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
比較例1
捕捉プローブにC−15を用い、標的以外の核酸にM−01及びM−02を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
比較例2
捕捉プローブにC−15を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、実施例1と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
比較例3
比較例3では、支持体に固定した捕捉プローブC−16と、標的核酸T−01、標的核酸以外の核酸M−01及びM−02とを接触させ、C−16と、標的核酸T−01とをハイブリダイズさせる工程の後に、C−16又は支持体に付着した標的核酸以外の核酸(M−01及びM−02)を除去するための洗浄工程を行った後、T−01を検出した。
捕捉プローブ固定ビーズの作製
アビジンコートビーズ(サーモサイエンティフィック社製)に、捕捉プローブとしてC−19を固定したものを用いた。
ハイブリダイゼーション
T−01(100μM)と、M−01(100μM)と、M−02(100μM)とをそれぞれ1μLずつ混合し、10mMリン酸バッファー(100mM塩化ナトリウム、0.1%Tween20含有)で希釈し、トータル液量200μLとした。インキュベーター(設定温度37℃)内の「オムニフィット」(株式会社アイシスの登録商標)ガラスカラム(内径3mm、両末端に2μmのステンレスフリッツのカラム栓)に、C−16を固定したビーズを入れ、上記混合溶液(200μL)を加えた後、5分間攪拌して、C−20とT−01のハイブリダイゼーションを行った。溶液をろ過後、上記ビーズを50%DMSO水溶液で洗浄した。
検出
T−01(100μM)と、M−01(100μM)と、M−02(100μM)とをそれぞれ1μLずつ混合し、10mMリン酸バッファー(100mM塩化ナトリウム、0.1%Tween20含有)で希釈し、トータル液量200μLとした溶液に、50%DMSO水溶液(100μL)を添加した溶液(C液)と、ハイブリダイゼーション工程及び洗浄工程で得られたろ液(D液)の蛍光を測定した。C液及びD液のCy3、Cy5及びFITCの蛍光強度を比較し、その比からT−01の捕捉率、M−01及びM−02の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
比較例4
捕捉プローブにC−16を用い、標的核酸以外の核酸にM−03及びM−04を用い、比較例3と同様の操作を行い、T−01の捕捉率、M−03及びM−04の付着率、及びS/N比を求めた。その結果を表2に示した。
Figure 2015182601
実施例1〜22の結果から、標的核酸と光反応性基を導入した捕捉プローブとがハイブリダイズして形成される複合体に対して光照射して捕捉プローブと標的核酸との間で共有結合させることにより、標的核酸(T−01)は捕捉したが、標的以外の核酸(M−01、M−02、M−03、M−04)はほとんど付着しなかった。M−01、M−02は、T−01の塩基配列の一塩基のみ異なる塩基配列を有しており、M−03は、T−01の塩基配列と二箇所の塩基が異なる塩基配列を有し、M−04は、T−01の塩基配列と三箇所の塩基が異なる塩基配列を有しているが、これらの標的以外の核酸が混在する場合でも、標的核酸(T−01)を精度良く検出できた。また、実施例1〜5、13の結果から、スペーサーが、アルキレン基、ポリ(オキシエチレン)基、塩基欠損した糖鎖基、非天然塩基導入ヌクレオシド基の何れの場合でも、標的核酸を同程度に高精度に検出できた。また、実施例1、6〜9の結果から、スペーサーを挿入する場所を変えた場合でも、同程度に高精度に検出できた。また、実施例19〜21の結果から、スペーサーの挿入数を変えた場合でも、同程度に高精度に検出できた。さらに、実施例22の結果から、挿入したスペーサーが捕捉プローブ中のバルジループとして機能する場合でも、高精度に検出できた。
一方、比較例1、2の結果から、スペーサーが挿入されていない捕捉プローブを用いた場合は、標的核酸(T−01)は捕捉できたが、M−01、M−02、M−03、M−04の付着も確認され、標的核酸(T−01)の検出精度(S/N比)は0に近い結果となり、標的核酸(T−01)の検出精度は極めて低い結果となった。
また、比較例3、4の結果から、光反応性基を含まない捕捉プローブを用いた場合は、標的核酸(T−01)の捕捉率は低く、また、M−01、M−02、M−03、M−04の付着も確認され、標的核酸(T−01)の検出精度(S/N比)は0に近い結果となり、標的核酸(T−01)の検出精度は極めて低い結果となった。
以上のように、光反応性基を導入した捕捉プローブに、加えてスペーサーを挿入することで、標的核酸と捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程の後に、標的核酸と捕捉プローブとがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、捕捉プローブ中の光反応性基と標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させることにより、標的核酸以外の核酸の付着率が大幅に減少し、標的核酸のみを高精度かつ高感度で検出することができた。
配列番号1:合成DNA(5’末端にCy3標識)
配列番号2:合成DNA(5’末端にFITC標識)
配列番号3:合成DNA(5’末端にCy5標識)
配列番号4:合成DNA(5’末端にFITC標識)
配列番号5:合成DNA(5’末端にCy5標識)
配列番号6:合成DNA(5’末端ビオチン化)

Claims (10)

  1. 検体に含まれる標的核酸と、捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程を含む標的核酸の検出方法であって、
    前記捕捉プローブの核酸分子中の少なくとも一つの核酸塩基が光反応性基に置換されており、かつ、前記捕捉プローブ中に一つ以上のスペーサーが挿入されており、
    前記標的核酸と前記捕捉プローブとをハイブリダイズさせる工程の後に、前記標的核酸と前記捕捉プローブとがハイブリダイズして形成された複合体に光照射して、前記光反応性基と前記標的核酸中の核酸塩基との間で共有結合を形成させることを含む、
    検出方法。
  2. 前記各スペーサーが、核酸の主鎖中に挿入された2価の有機基であり、1個のスペーサーが、ヌクレオチド1個分のスペースを有する請求項1に記載の方法。
  3. 前記各スペーサーが、アルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、塩基欠損した糖鎖基又は非天然塩基導入ヌクレオシド基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出方法。
  4. 前記各スペーサーが、式I、式II又は式III:
    Figure 2015182601
    (ただし、式I中、nは3〜12の整数である。)
    Figure 2015182601
    (ただし、式II中、xは1〜10の整数、yは1〜5の整数、zは1〜10の整数である。)
    Figure 2015182601
    (ただし、式III中、Rは水素原子、tert−ブチルジメチルシロキシ基、式IV又は式V:
    Figure 2015182601
    Figure 2015182601
    で表される置換基である。)
    である、請求項3に記載の検出方法。
  5. 前記捕捉プローブに含まれる前記スペーサーの数が1個又は2個である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記捕捉プローブに含まれる前記光反応性基の数が1個〜3個である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記光反応性基が、3−シアノビニルカルバゾール基若しくはその誘導体、p−カルバモイルビニルフェノール基、4,5’,8−トリメチルソラレン基又はN−メチル−5−シアノビニルウラシル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出方法。
  8. 前記捕捉プローブは、固体支持体上に固定化されており、前記標的核酸は標識されており、前記光照射後に前記固体支持体を洗浄し、洗浄後、該固体支持体上に存在する前記標識を検出することを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。
  9. 標的核酸の変異の有無を検出する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の検出方法。
  10. 標的核酸の遺伝子多型を検出する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の検出方法。
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