JP2021114903A - 核酸の四重鎖構造用dnaプローブ - Google Patents

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一典 池袋
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Abstract

【課題】複数の試料から、核酸の特定四重鎖構造を迅速に解析するためのオリゴヌクレオチドプローブを提供する。【解決手段】核酸の四重鎖構造を形成する領域の隣接部に相補的な塩基配列により構成されてなる、オリゴヌクレオチドプローブにより達成する。【選択図】図5

Description

本発明は、核酸の四重鎖構造用DNAプローブに関する。
(ゲノム)DNAのメチル化は、CpG(シトシン-ホスホジエステル結合-グアニン)部位で起こることが知られている。CpG密度の高い領域はCpGアイランドと呼ばれ、DNAのメチル化解析において重要な領域である。
CpGアイランドでは、グアニン四重鎖構造及びシトシン四重鎖構造を形成し易く、その構造自体及び構造安定性が、メチル化により変化することが報告されている。このため、これら四重鎖構造の違いにより、(ゲノム)DNAのメチル化状態を解析することが可能となる。
一方で、CpGアイランドには四重鎖構造を形成しうる塩基配列が高密度で存在するため、解析対象の四重鎖構造近傍には、解析対象ではない四重鎖構造が多数存在する。これら解析対象ではない四重鎖構造は、四重鎖構造変化に基づいたDNAのメチル化解析の精度を低下させる要因になることがある。
従来、(ゲノム)DNA情報を網羅的に解析する手法として、DNAマイクロアレイがよく用いられるが、そのプローブDNAの設計は四重鎖構造の検出及び解析には適したものではなく、上記したDNAのメチル化解析の精度を十分に上げるには至らないものであった。
例えば、特許文献1(特表2008−538507号公報)では、図1に示す通り、マイクロアレイに基づく一塩基多形(SNP)検出方法を開示するに止まっており、特定の四重鎖構造の検出に適したプローブDNAの設計及び提案は何らなされていない。
また、非特許文献1では、重亜硫酸ナトリウム処理(バイサルファイト処理)により非メチル化シトシンをウラシルにし、メチル化シトシンはシトシンに変換した後に、DNAマイクロアレイを用いて、ウラシル、シトシンとの違いをプロファイリング(解析)する方法が開示されている。この際、ゲノムDNA断片のメチル化部位の解析に用いるDNAマイクロアレイ用(Infinium(登録商標)MethylationEPIC, イルミナ社)DNAプローブを用いることが開示されている。図2に示す通り、このプローブDNAの設計は、プローブ末端が、メチル化サイトにマッチさせ(InfiniumI)、或いは、メチル化サイトの直上の塩基にマッチさせる(InfiniumII)、よ
うに設計されたものである。しかしながら、この方法は、特定部位(1塩基単位)のメチル化検出が目的の為、グアニン四重鎖構造検出に適したプローブDNA設計には全くなっていないものであった。
特表2008−538507号公報
「Validation of a DNA methylation microarray for 850,000 CpG sites of the human genome enriched in enhancer sequence」〔Sebastian Moran, et. al., Epigenomics, 8, 389-399 (2016)〕
本発明は、核酸(DNA)のメチル化解析において、複数の解析対象以外の四重鎖構造を排斥し、解析対象である四重鎖構造を備えたメチル化DNAの解析精度を向上させるために、新規なオリゴヌクレオチドプローブを提案するものである。
〔本発明の一の態様〕
本発明によれば、本発明の一の態様として以下のものを提案することができる。
〔1〕核酸の四重鎖構造用オリゴヌクレオチドプローブであって、
核酸の四重鎖構造を形成する領域の隣接部に相補的な塩基配列により構成されてなる、オリゴヌクレオチドプローブ。
〔2〕前記四重鎖構造を形成する領域に相補的な塩基配列を含まないことを特徴とする、〔1〕に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔3〕前記DNA四重鎖構造を形成する領域の5’側の隣接部領域に相補的な塩基配列を
有するオリゴヌクレオチドプローブ1、及び/又は、
前記DNA四重鎖構造を形成する領域の3’側の隣接部領域に相補的な塩基配列を有す
るオリゴヌクレオチドプローブ2である、〔1〕に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔4〕前記四重鎖構造が、グアニン四重鎖構造又はシトシン四重鎖構造である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔5〕前記オリゴヌクレオチドプローブ1の3’末端又は5’末端が基板に固定され、又は、
前記オリゴヌクレオチドプローブ2の3’末端又は5’末端が基板に固定されている、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔6〕前記核酸が、一又は複数の断片形態としたものである、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔7〕前記核酸がDNA又はRNAである、〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔8〕前記DNAがゲノムDNAである、〔7〕に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔9〕前記ゲノムDNAが、一又は複数の断片ゲノムDNAである、〔8〕に記載の解析方法。
〔10〕前記核酸の四重鎖構造を検出するのに使用される、〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
〔11〕〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブを備えてなる、オリゴヌクレオチドプローブセット。
〔12〕〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブを備えてなる、マイクロアレイ。
本発明は、メチル化DNAにおける解析対象とした四重鎖構造用オリゴヌクレオチドプローブを提供することにより、複数の近似する四重鎖構造を有するメチル化DNAから、特定の四重鎖構造を高精度及び高検出能において正確に解析することが可能となる。
図1は、特許文献1に示されたマイクロアレイに基づく一塩基多形(SNP)検出方法におけるプローブの概略図である。 図2は、非特許文献1で採用されたDNAマイクロアレイ用DNAプローブの概略図である。 図3は、グアニン四重鎖構造の概略図である。 図4は、i−motif構造の概略図である。 図5は、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブとそれを用いたハイブリダイズを示した概略図である。 図6は、本発明による核酸の四重鎖構造の検出又は解析の方法又は装置の構成を概説したフローチャートである。 図7(a)は、本発明によるCy5修飾G4構造リガンドおよび、Midori Greenにより染色されたDNAラダーを検出した結果を示す。図7(b)には、本発明によるDNAを染色し検出した結果を示す。 図8(a)は、本発明によるCy5修飾G4構造リガンドおよび、Midori Greenにより染色されたDNAラダーを検出した結果を示す。図8(b)は、本発明によるDNAを染色し検出した結果を示す。 図9は、本発明による、DNA添加前の前記信号値を0とし、DNAおよびG4構造リガンドを添加した際に得られたSPR信号値の変化を示したものである。
〔定義〕
「DNA」とは、一本鎖または二本鎖構造としてのデオキシリボ核酸を意味する。
「RNA」とは、一本鎖または二本鎖構造としてのリボ核酸を意味する。
「DNA」又は「RNA」は、生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類(特に好ましくは人)のものを意味する。
「ヌクレオチド」とは、1つのDNA単位(A:アデニン、C:シトシン、G:グアニン、T:チミン)又は1つのRNA単位(A:アデニン、C:シトシン、G:グアニン、U:ウラシル)を意味する。
「オリゴヌクレオチド」とは、通常、30塩基以下程度の短鎖ヌクレオチド(DNA又はRNA)であり、塩基配列自動合成装置によれば、300塩基程度の長さのものまで存在する。
「オリゴヌクレオチドプローブ」とは、オリゴヌクレオチドが相補的なヌクレオチドと結合する性質を利用した、相補的DNA又はRNAを検出するプローブを意味する。
「ハイブリダイズ:ハイブリダイゼーション」とは、核酸(「DNA」又は「RNA」)の分子が相補的に複合体を形成することを意味する。
「プローブDNA」とは、一本鎖DNA配列を意味し、「プローブRNA」とは、一本鎖RNA配列を意味する。
「ハイブリダイズしたDNA」とはプローブにハイブリダイズしたターゲットDNAを意味し、「ハイブリダイズしたRNA」とはプローブにハイブリダイズしたターゲットRNAを意味する。
「一塩基多型」(SNP)とは、一本鎖DNA配列におけるデオキシヌクレオチドの異なるデオキシヌクレオチドによる置換(一塩基置換)を意味する。
「マイクロアレイ」とは、DNA又は核酸試料を複数設置する固体基板である。
「グアニン四重鎖構造」は、図3〔「G-Quadruplexes as An Alternative Recognition Element in Disease-Related Target Sensing」(Jeunice Ida et. al.,Molecules 2019, 24, 1079に掲載された図面を引用)を用いて説明する。
「グアニン四重鎖構造」は、グアニン(G)塩基4個が非ワトソン−クリック型水素結合を介して同一平面上に環状に配置したG−quartet(以下、「Gq」又は「G4」という)構造がスタッキング相互作用により積み重なった構造である。G塩基を有する4本のオリゴヌクレオチド鎖がすべて平行である場合にはパラレル型、反平行である場合はアンチパラレル型、これらが混合している場合はハイブリッド型と呼ばれる。パラレル型とアンチパラレル型の構造の違いは、CDスペクトルにより判別され、具体的には以下のような特徴によって判別される。「パラレル型」は、260nmに正のピーク、240nmに負のピークが現れ、「アンチパラレル型」は、295nmに正のピーク、265nmに負のピークが現れる。
「i−motif構造」は、図4を用いて説明することができる。シトシンが豊富に存在するDNA配列において形成される四重鎖構造で、シトシン(C)塩基2個で形成される平面が垂直方向に積み重なることで形成される。
〔核酸の四重鎖構造用オリゴヌクレオチドプローブ〕
本発明にあっては、メチル化した核酸(特に、DNA)の特定の四重鎖構造を解析するために、解析対象以外の四重鎖構造を除外するために、本発明は核酸の四重鎖構造(検出・解析)用オリゴヌクレオチドプローブを提案する。これにより、特定四重鎖構造を備えたメチル化核酸を高精度、高分解能な検出及び解析することが可能となる。
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、核酸の四重鎖構造を形成する領域の隣接部に相補的な塩基配列を有するものである。また、前記四重鎖構造を形成する領域に相補的な塩基配列を含まないものが好ましいものとして提案することができる。また、5’末
端側の隣接部領域に相補的な塩基と、3’末端側の隣接部領域に相補的な塩基との二つの
プローブからなるものである。
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、例えば、図5に示された通り、断片化され一本化された核酸(例えば、ゲノムDNA)について四重鎖構造形成領域以外の近傍付近において、5’末端側からのオリゴヌクレオチドプローブ1及び/又は3’末端側から
のオリゴヌクレオチドプローブ2といったものを提案する。無論、当該四重鎖構造を形成する領域に相補的な塩基配列とは全く別の塩基配列(ダミー)を導入した一つのオリゴヌクレオチドプローブとすることができる。
無論、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブ、例えば、上記プローブ1、プローブ2は、解析対象のメチル化されたDNAにおいて、特定の四重鎖構造形成領域の近傍領域、例えば、特定の四重鎖構造形成領域の開始塩基と終了塩基からオリゴ数程度(即ち、1桁塩基以上約100塩基以下であり、好ましくは50塩基程度以下であり、より好ましくは約30塩基以下程度である)の塩基配列に対して、相補的な塩基を備えたオリゴヌクレオチドを形成することによってプローブとすることができる。本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、既知の方法で、合成することが可能である。
〔用途〕
(核酸の四重鎖構造の検出又は解析)
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、核酸の四重鎖構造の検出又は解析に用いられる。
(マイクロアレイ及びそのキット)
本発明による一又は複数のオリゴヌクレオチドプローブは、マイクロアレイに結合させたものとして用いることができ、または、マイクロアレイキットすることができる。
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、マイクロアレイに結合して使用されてよい。例えば、上記二本のプローブ1及びプローブ2の何れか一方がマイクロアレイに結合していればよい。
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、そのままマイクロアレイに結合させてもよく、又は、スペーサーを介してマイクロアレイに結合することも可能である。スペーサーとしては、ポリマーブラシ、ヌクレオチドに基づくスペーサー、化学物質スペーサー、又はその他のタイプのスペーサーであってよい。例えば、約1〜50ヌクレオチド、好ましくは約3〜25ヌクレオチド、より好ましくは約5〜15ヌクレオチドを有するスペーサーであってよい。スペーサーは、DNA以外の化学種から構成されるスペーサーもまた用いることが可能であり、例えば、修飾DNA、RNA、修飾RNA、ペプチド、化学物質〔例えば、ポリエチレングリコール(PEG)及びPEG誘導体〕、及びこれらの組合せが挙げられる。
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、ハイブリダイズしたDNAと共有結合を形成しうる修飾塩基を導入してもよい。このような修飾塩基としては、光架橋性オリゴが挙げられる。光架橋性オリゴは、紫外線照射の波長を変化させて架橋と乖離とを自由にすることができるものであり、例えば、光架橋性人工核酸 CNVシリーズ(北海道システム・サイエンス株式会社)が挙げられる。
(核酸の四重鎖構造の検出又は解析の方法又は装置)
本発明による核酸の四重鎖構造の検出又は解析の方法又は装置は、図6に示す通り、
核酸(例えば、ゲノムDNA)試料を用意し、
前記核酸を断片化し、一本鎖化し、
前記一本鎖化核酸を本発明によるプローブ(必要に応じて検出基板固定)とハイブリダイズし、ターゲット核酸を得てなり、
前記ターゲット核酸にリガンドを導入し、
リガンドが結合したグアニン四重鎖構造をその構造の違いにより検出し、
前記核酸のメチル化状態を解析することができる。
〈核酸試料〉
核酸は、一又は複数の断片形態であってよく、DNA又はRNAである。DNAは、好ましくは、ゲノムDNAであり、より好ましくは、一又は複数の断片ゲノムDNAである。
〈断片化及び一本鎖化〉
核酸(例えば、ゲノムDNA)を試料とし、断片化し、一本鎖化する。
「断片化」は、通常の手法、即ち、化学的手法(制限酵素)、物理的手法(機械的破砕、超音波等)によって、所望の核酸を断片化することができる。
「一本鎖化」は、通常の手法、即ち、熱変性、アルカリ変性等によって、所望の断片化核酸を一本鎖化することができる。
〈ハイブリダイズ〉
図5に示す通り、断片化一本鎖化核酸(ゲノムDNA)DNAと、検出用基板(必要に応じて)上のプローブDNAを接触させハイブリダイズし、グアニン四重鎖構造を形成する塩基配列を含むターゲットDNA断片のみを捕捉させる。捕捉させたターゲットDNA断片は、メチル化の有無により、異なる構造のグアニン四重鎖を形成する。一例によれば、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、2本(プローブ1とプローブ2)となっており、プローブ2は検出用基板に固定されており、プローブ1は固定されていない。
そして、好ましくは、光架橋性オリゴを含むプローブ1と断片化したゲノムDNAを混合し、ハイブリダイズし、次に、これに、プローブ2が固定された基板に添加し、ハイブリダイズすることとなる。
〈リガンド〉
前記ハイブリダイズしたターゲットDNAに、特定のグアニン四重鎖構造に結合するリガンドを導入(結合)する。これによって、マイクロアレイ(DNAチップ)が形成されることとなる。リガンドは、グアニン四重鎖構造に結合する低分子リガンドが好ましくは使用することができる。
(核酸のメチル化状態を解析する装置)
本発明にあっては、試料導入部、処理部、検出用基板、固定部、解析部とを備えた核酸のメチル化状態を解析する装置、取り分け、上記した核酸のメチル化状態を解析する方法を実現しる装置を提案する。従って、その内容は、核酸のメチル化状態を解析する方法で説明したのと同様であってよい。また、本発明による解析部は、CPU、メモリー、データ入力、データ出力を備えたコンピュータシステムを備えてなるものであり、また、解析にあっては、ソフトウェアーを用いて行ってもよい。
本発明の内容を以下の実施例を用いて説明するが、本発明の範囲は、これら実施例に限定して解釈されるものではない。また、本明細書に開示された様々な本発明の態様は、本実施例から当業者が容易に本発明を実施することができるものである。
〔調製〕
下記表1に記載した通り、試料としてDNA1とDNA2、本発明によるオレゴヌクレオチドプローブとしてプローブ1及びプローブ2を用意した。
Figure 2021114903
〔実施例1〕:オリゴヌクレオチドプローブ1本及び電気泳動
(1)DNA塩基配列
ターゲットG4形成配列は、既知のG4構造形成配列であるbcl−2 G4(5’−CGGGCGCGGGAGGAAGGGGGCGGGAGC−3’)とし、ヒトゲノム配列において、bcl2の上下流30塩基を含む87塩基のDNAを、ターゲットモデルDNA(DNA1)とした。bcl−2 G4の塩基配列の上下流30塩基は、遺伝子検索システムGGGenome(https://gggenome.dbcls.jp/ja/)により検索した。コントロールDNAとして、DNA1の5′側から31〜57の塩基配列をチミンに置き換えた87塩基のDNA(DNA2)を用いた。
(2)プローブ試験
1.DNA1又はDNA2と、プローブDNA1又は2を、濃度1μMとなるようにTK buffer(10mM Tris−HCl,100mM KCl,pH7.4)で調製した。調製したDNA溶液を、95℃で10分間熱処理後、1時間かけて室温まで徐冷した。
2.熱処理したDNA(終濃度500nM)と、Cy5で修飾されたG4構造リガンド(Cy5修飾7OTD、終濃度2.5μM)を、TK buffer中で、室温で1時間、インキュベートした。
3.20bpDNA ladder(タカラバイオ社製)5μlを、Midori Green(日本ジェネティクス社製)と混合し、これを泳動用DNAラダーとした。15%未変性ポリアクリルアミドゲルに、上記2で調製したサンプル、及び、DNAラダーをロードし、TBE buffer(89mM Tris−HCl,89mM H3BO4,2mM EDTA,pH8.3)を用いて、20mA(ゲル1枚あたり)で電気泳動を行った。
4.電気泳動後、ゲルをTyphoon 8600 (GE Healthcare社製)を用いてスキャンし、ゲルの画像を得た。
5.その後、ゲルをDNA染色液(SYBR Gold 1/1000希釈溶液)に15分間浸漬後、Gel Imager (BioRad社製)によりスキャンし、ゲルの画像を得た。
(3)評価結果
図7(a)に、Cy5修飾G4構造リガンドおよび、Midori Greenにより染色されたDNAラダーを検出した結果を示す。図7(b)には、DNAを染色し検出した結果を示す。
プローブ1とDNA1又はDNA2をハイブリダイズさせた系では、bcl−2 G4を含むDNA1では、DNAのバンド(図7(b))と同位置にG4構造リガンドによるバンドが検出されたが(図7(a))、bcl−2 G4を含まないDNA2では検出されなかった。これより、プローブ1とハイブリダイズさせた場合は、ターゲットモデルであるDNA1のみがG4構造を形成することが示された。一方、プローブ2とDNA1又はDNA2をハイブリダイズさせた系では、DNA1、DNA2いずれにおいても、DNAのバンドと同位置に、G4構造リガンドによるバンドが検出され、G4構造リガンドはDNA1、DNA2のいずれにも結合していることが示された。これは、bcl−2 G4だけでなく、DNA1およびDNA2の5’側から30塩基の領域にもG4構造形成配
列が存在し、プローブ2とハイブリダイズさせた場合は、上記領域が一本鎖DNAとして存在するため、G4構造を形成し、DNA2においても、G4構造リガンドとの結合を示すバンドが検出されたと考えられる。
〔実施例2〕:オリゴヌクレオチドプローブ2本及び電気泳動
(1)DNA塩基配列
実施例1と同様のものを使用した。
(2)プローブ試験
プローブ1とプローブ2の両方を、DNA1又はDNA2と混合したDNAサンプルに対し、実施例1と同様に試験した。
(3)評価結果
図8(a)に、Cy5修飾G4構造リガンドおよび、Midori Greenにより染色されたDNAラダーを検出した結果を示す。図8(b)には、DNAを染色し検出した結果を示す。DNA1では、bcl−2 G4を含むDNA1では、DNAのバンド(図8(b))と同位置にG4リガンドによるバンドが検出されたが(図8(a)、Ligand+レーン)、bcl−2 G4を含まないDNA2ではDNAのバンドが検出された位置にG4構造リガンドによるバンドは検出されなかった。これより、プローブ1とプローブ2の両方をハイブリダイズさせた場合は、ターゲットモデルであるDNA1のみがG4構造を形成することが示された。
〔実施例3〕:オリゴヌクレオチドプローブ2本及びSPR法
(1)DNA塩基配列
実施例1と同様のものを使用した。
(2)プローブ試験
SPR測定装置として、Biacore T200(GEヘルスケアライフサイエンス)を使用した。
1.5’末端にビオチン修飾されたプローブ2を、95℃で10分間、熱処理後、急冷
した後、Sensor chip SAのフローセル2に固定した。
2.DNA1又はDNA2とプローブ1を混合後、95℃10分間加熱後、60分間かけて25℃まで徐冷した。熱処理したDNAサンプル(濃度1μM)を、流速2μl/minで、フローセル1及び2にインジェクトし、フローセル2上のプローブ2にハイブリダイズさせることで、DNA1又はDNA2を固定した。その後、2μMのG4リガンド(7OTD)を、流速30μl/minで300秒間、インジェクトし、その後、300秒間、Running Bufferを流した。
3.SPRの測定は室温で行い、DNAとリガンドの調製及びSPRのrunning bufferにはTK buffer(10mM Tris−HCl,100mM KCl,pH7.4)を、再生化溶液には2M NaCl,10mM NaOHを用いた。
(3)評価結果
1.DNA及びG4構造リガンドの添加による信号変化量として、フローセル2の信号値からフローセル1の信号値を差し引いた値を用いた。DNA添加前の前記信号値を0とし、DNAおよびG4構造リガンドを添加した際に得られたSPR信号値の変化を図9に示す。DNA1、DNA2いずれにおいても、DNA添加によりSPR信号値が増加したことから、フローセル2上にこれらのDNAが捕捉されたことが示された。さらに、DNA1が捕捉された場合でのみ、G4構造リガンド添加によるSPR信号値の上昇が確認された。DNAが基板に捕捉された状態においても、プローブ1とプローブ2の両方をハイブリダイズさせることで、ターゲットモデルであるDNA1のみがG4構造を形成することが示された。
2.DNAインジェクト前後のSPR信号値の変化量(図9)から、Sensor chip SA表面に捕捉されたDNA量を算出し、G4構造リガンドのインジェクト前後のSPR信号値の変化量から、結合したG4構造リガンド量を算出した。その結果は、下記表2に記載した通りであった。
Figure 2021114903
本発明によるオリゴヌクレオチドプローブは、核酸の四重鎖構造の検出又は解析に用いられる。

Claims (12)

  1. 核酸の四重鎖構造用オリゴヌクレオチドプローブであって、
    核酸の四重鎖構造を形成する領域の隣接部に相補的な塩基配列により構成されてなる、オリゴヌクレオチドプローブ。
  2. 前記四重鎖構造を形成する領域に相補的な塩基配列を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  3. 前記DNA四重鎖構造を形成する領域の5’側の隣接部領域に相補的な塩基配列を有す
    るオリゴヌクレオチドプローブ1、及び/又は、
    前記DNA四重鎖構造を形成する領域の3’側の隣接部領域に相補的な塩基配列を有す
    るオリゴヌクレオチドプローブ2である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  4. 前記四重鎖構造が、グアニン四重鎖構造又はシトシン四重鎖構造である、請求項1〜3の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  5. 前記オリゴヌクレオチドプローブ1の3’末端又は5’末端が基板に固定され、又は、
    前記オリゴヌクレオチドプローブ2の3’末端又は5’末端が基板に固定されている、請求項1〜4の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  6. 前記核酸が、一又は複数の断片形態としたものである、請求項1〜5の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  7. 前記核酸がDNA又はRNAである、請求項1〜6の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  8. 前記DNAがゲノムDNAである、請求項7に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  9. 前記ゲノムDNAが、一又は複数の断片ゲノムDNAである、請求項8に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  10. 前記核酸の四重鎖構造を検出するのに使用される、請求項1〜9の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブを備えてなる、オリゴヌクレオチドプローブセット。
  12. 請求項1〜10の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブを備えてなる、マイクロアレイ。
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