JP5128941B2 - 標的特異的コンポマー及び使用法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に化学分析の分野に関し、核酸分子をはじめとする特定の標的生体分子を検出するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、特定の生体分子の、例えば、質量分析による、間接検出及び解析を可能にする組成物及び方法に関する。
1.序論
以下の説明には、本発明を理解するのに役立つ情報が含まれるが、当該情報が先行技術であること、若しくは本特許請求の発明に関連するものであること、又は明示的若しくは暗に引用されるすべての刊行物が先行技術であるということを認めるものではない。
2.背景
生体分子(例えば、核酸、タンパク質、炭水化物及び脂質)の効率的で、信頼性の高い検出及び解析は、生物学における大きな課題である。これらの課題は、存在する異なる分子種の数という点からだけでなく、種々の特定種の分子の数に関しても極めて複雑な性質を持つ生体サンプルを解析するという状況において、特に重大である。この複雑性のため、妥当な、再現性のある結果を得るためには、極めて感度の高い、選択的方法が必要である。さらに問題を複雑にしているのは、そのような結果を、例えば、コスト、時間などの点で、商業的に実現可能な方法によって得なければならないということである。
これらの課題に十分に取り組むことの重要性は、すべての生物(例えば、動物、植物及び微生物)の遺伝子情報を格納する核酸の大規模検出及び解析の観点から最もよく検討されるであろう。要するに、特定のウイルスはリボ核酸(RNA)のゲノムを含むものの、遺伝子情報は、一般にデオキシリボ核酸(DNA)によりコードされる。ヒトにおいて、完全な一倍体ゲノムは、約30億個のヌクレオチドを含んでなり、24個の染色体(22個の体細胞染色体と2個の性染色体)上に散在する約35,000個の遺伝子を含む。天然に存在するDNA及びRNA分子は、ヌクレオチドの線状重合体として酵素的に合成され、これらの分子はそれぞれ、特定のヌクレオチドに含まれる塩基に関してのみ異なる。DNAでは、4種類の異なるデオキシリボヌクレオチドが見られ、それらのデオキシリボヌクレオチドは、それぞれのデオキシリボヌクレオチドにアデニン、グアニン、シトシン又はチミン塩基が含まれることから、「A」、「G」、「C」及び「T」と表される。同様に、RNAも4種類の異なるリボヌクレオチドからなり、それらは、ヌクレオチドにアデニン、グアニン、シトシン又はウラシル塩基のいずれかが含まれることから、「A」、「G」、「C」及び「U」と表される。本来、ゲノムDNAは、一般に二本鎖であり、1本のDNA鎖が標準的なワトソン-クリック塩基対形成によってもう1本の鎖と逆平行にハイブリダイズされている。その際、一方の鎖のAは常にもう一方の鎖のTと水素結合し、Gは常にCと対を形成する。RNAでは、UがTの代わりに(DNA又はRNAのいずれかの)Aと対合することを除き、RNAに関しても同じ塩基対形成ルールが適用される。
本来、特定の核酸のヌクレオチド配列はランダムなものではなく、種の一メンバーと同種の他のメンバーを識別するだけでなく、ある遺伝子と他の遺伝子を識別する、ヌクレオチドの特定配列である。一般に、各遺伝子は、特定のタンパク質をコードするが、同じ遺伝子から転写されたメッセンジャーRNAの異なるスプライシングにより、いくつかの遺伝子が最終的にいくつかのタンパク質をコードする。いずれにしても、タンパク質をコードする遺伝子が転写及び翻訳により発現された後、コードされたタンパク質が生細胞内で特定の機能を果たす。
特定の遺伝子又は遺伝子座に、1種類以上の異なる対立遺伝子が存在する場合があることが分かっている。特定の遺伝子の対立遺伝子はそれぞれ、各対立遺伝子のヌクレオチド配列の違いによって異なる。特定の遺伝子の対立遺伝子は、特定のヌクレオチド位置における、あるヌクレオチドの別のヌクレオチドでの置換によって生じる可能性がある。また、対立遺伝子の違いは、異なる対立遺伝子における1個以上のヌクレオチドの挿入又は欠失によっても生じる可能性がある。遺伝子のタンパク質コード領域にこのような違いがあることから、異なる対立遺伝子によってコードされるタンパク質は、大きさ及び/又はアミノ酸配列が異なる場合がある。酵素であるタンパク質に関しては、アミノ酸配列の違いから、触媒反応速度、基質特異性、補因子要求性、細胞局在、安定性、pH最適条件などにおける違いが生じ得、それらのうちのいくつか又はすべてが、例えば、疾患検出、予防及び治療(例えば、特定の患者への特定の薬剤の投与、薬剤/タンパク質相互作用の妥当性)の観点から関連があるかもしれない。一方、対立遺伝子間の差異が遺伝子の調節領域の変化に起因するものであるならば、特定の対立遺伝子によってコードされるタンパク質の発現のレベルが著しく異なる可能性がある。
ゲノム核酸分子のヌクレオチド配列における変化は、複製中に、鋳型核酸のコピーにより鋳型核酸の正確な複製がなされない場合に、突然変異を受けて起こる。突然変異はDNA修復中にも起こる可能性があり、起こった場合、修復反応前と後で比較すると、DNA二本鎖の一方又は両方の鎖のヌクレオチド配列が異なる。上記のように、複製又は修復中の突然変異には、二本鎖DNAの一方又は両方の鎖の1個以上のヌクレオチドの欠失、挿入及び/又は置換が含まれる。一ヌクレオチドの別のヌクレオチドでの置換(例えば、AのGでの置換)を伴う突然変異は、特定のヌクレオチド位置で起こることから「点突然変異」と呼ばれている。タンパク質コード領域において、点突然変異は、突然変異が起こった特定のコドンによってコードされるアミノ酸が変化する「ミスセンス」突然変異;コドンをあるアミノ酸をコードするものから停止コドンをコードするものへと変化させることにより、末端切断型タンパク質をもたらす「ナンセンス」突然変異;又は突然変異前と同じアミノ酸をコードするコドンをもたらすサイレント突然変異の場合がある。また、突然変異は、非コード領域でも起こり得る。そのような突然変異は、遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を変化させないが、その遺伝子の発現調節、DNA又はRNA分子の安定性などに影響を及ぼす可能性がある。
特定の突然変異が遺伝子プールにおいて経時的に存続するかどうかは、自然選択の過程によって決まり、その自然選択の過程では、経時的に生殖適応度を向上させる変化が残存し、そのような変化は消失しない。進化的影響に関係なく、上記のように、突然変異は、生化学的活性が変化したか、又は場合によっては、失われたタンパク質をもたらす場合があり、これは次には疾患、特定の薬剤の副作用などの原因となる可能性がある。同様に、突然変異は遺伝子発現の異常調節を引き起こす場合があり、その異常調節が1種類以上の特定の遺伝子産物の相対的過剰又は過少により疾患、薬剤感受性の変化などをもたらす可能性もある。
突然変異に起因する疾患は、遺伝によるか、特定の被験体のDNAに起因するかには関係なく、「遺伝疾患」などといわれている。4,000種類を超える遺伝疾患が対立遺伝子の違いに起因することが現在わかっており、血友病、サラセミア、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病、嚢胞性繊維症(CF)及び鎌状赤血球貧血が含まれる。遺伝疾患は、疾患に関連した対立遺伝子を生み出す突然変異に起因する疾患のほか、特定の染色体の一部又はすべての転座、重復及び欠失などのより大きな遺伝的異常によっても起こる可能性がある。そのような異常の例には、21トリソミー(ダウン症侯群の原因)、13トリソミー(パトー症候群を引き起こす)、18トリソミー(エドワード症候群を引き起こす)、モノソミーX(ターナー症候群の原因)、及びXXY(クラインフェルター症候群を引き起こす)などの他の性染色体異数性が含まれる。さらに、特定のDNA配列が個体を糖尿病、動脈硬化症、肥満症、種々の自己免疫疾患及び癌(例えば、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌及び前立腺癌)などの多数の疾患のいずれかに罹りやすくする素因であるということだけでなく、そのDNA配列によって患者が特定の薬剤に反応するかを予想することができる(すなわち、とにかく患者が反応し、そうだとしたら、その反応は陽性又は有害反応?である)ことは周知である。遺伝子的差異は、HLA(ヒト白血球抗原)型の不「適合」により臓器又は組織拒絶反応が起こる可能性があるように、臓器及び組織移植の分野においても関連性がある。DNA配列は、特定種内の個体間の遺伝的変異から、異なる個体を検出又は同定すること、父子関係又はある種のメンバー間の関連性についての他の特徴を評価することなどを目的とする「フィンガープリント」としても機能するであろう。
種々の分野において核酸解析の重要性が高まっていることを前提として、DNAを検出し、特徴づけるためのいくつかの方法が開発されてきた。例えば、核酸配列は、ゲル電気泳動により増幅した核酸断片の移動を既知の標準物と比較することにより、又は同定しようとする配列と相補的であるプローブオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより同定することができる。しかし、検出は、核酸断片を高感度のレポーター機能(例えば、放射性同位元素(例えば、3H、32P若しくは35S)を含むか、又は蛍光性若しくは化学発光性の分子)で標識した場合にのみ行うことができる。しかし、放射性標識には危険性があり、それらが発するシグナルは時間の経過とともに減衰し、特別な廃棄処理も要する。非同位体標識(例えば、蛍光標識)は、特に高強度レーザーを用いる場合には、一般に感度の低下やフェーディングを受ける。さらに、標識、電気泳動及びその後の検出を行う方法は、困難で、多大な時間を必要とし、間違いも起こしやすい。
一方、質量分析は、各分子(例えば、核酸、ペプチド及びタンパク質)を真空でイオン化し、それらの分子を揮発により「飛行させる」ことにより、その分子を「量る」ことが可能である。イオンは、電場と磁場の組み合わせの影響を受けて、それぞれの質量(m)と電荷(z)に応じた飛行軌道をたどる。質量分析は、長年、低分子量有機分子の分析及び特徴付けのために通常行われる物理的有機的手段の1つであった。高い検出感度、質量測定精度、詳細な構造情報及び速度、並びにコンピューターへのオンラインでのデータ転送をもたらすという質量分析の解析上の利点から、核酸の構造解析で質量分析を使用することに多大な努力が注がれてきた。例えば、米国特許第6,706,530号;同第6,635,452号;同第6,602,662号;同第6,589,485号;同第6,569,385号;同第6,566,055号;同第6,558,902号;同第6,468,748号;同第6,436,635号;同第6,428,955号;同第6,300,076号;同第6,277,573号;同第6,268,144号;同第6,268,131号;同第6,258,538号;同第6,235,478号;及び同第6,225,450号を参照のこと。今日では、ポリヌクレオチドなどの大型生体分子を含むサンプルのイオン化/脱離の高度な技術、エレクトロスプレー/イオンスプレー、特にマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)などが開発されている。MALDI質量分析では、一般に、質量を分析するために飛行時間型(TOF)の機器構成を利用する。
質量分析によってもたらされるもう1つの重要な利点は、多重化する優れた能力を提供すること、すなわち、多くの異なる分子を単一解析により特異的かつ高感度に識別することが可能であることである。最近では、遊離可能な質量標識を含む遊離可能な不揮発性のタグ付分子を使用するシステムについて記載がある。例えば、米国特許第6,635,452号を参照のこと。そのようなシステムでは、特定の標的核酸に特異的な1種類以上の検出可能な不揮発性質量標識それぞれが、特定のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズするプローブ分子から遊離される。よって、特定の質量標識を質量分析により検出することで、その特定の質量標識と関連がある標的分子の間接検出が得られる。質量分析によって得られる検出感度から、単一多重反応において、それぞれが異なる遊離可能な質量標識を有する数十、数百、数千もの異なるプローブ種を使用することができる。しかし、そのようなシステムでは、プローブからの検出可能な不揮発性質量標識の放出がなくてはならない。よって、生体サンプル内の多数の異なる標的生体分子(例えば、核酸分子及び/又はタンパク質)の同時検出を可能にする、おそらくはより一層効率的であるかもしれない他のシステムを開発する機会が残されている。これにより、所定の性質及び/又は機能を有する多様な標的分子の大規模系統的解析が可能になるであろう。
3.定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明において用いるいくつかの用語を定義する。これらの用語に加え、他の用語も、必要に応じて、本明細書の他の場所で定義する。本明細書において特に定義しない限り、本明細書において用いる技術用語は、当該技術分野において理解されている意味を有する。
「対立遺伝子」又は「対立遺伝子変異体」とは、特定の遺伝子の別の形態を指し、相同染色体又は染色体外DNA上の同じ遺伝子座又は位置を占める。2倍体ゲノムを有する被験体がある遺伝子の2つの同一対立遺伝子を有する場合、その被験体はその遺伝子又は対立遺伝子のホモ接合体であるといえる。被験体がある遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を有する場合、その被験体はその遺伝子のヘテロ接合体であるといえる。特定の遺伝子の対立遺伝子は、例えば、ヌクレオチドの置換、欠失及び/若しくは挿入を受けて、ヌクレオチド数かつ/又は特定のヌクレオチド位置のヌクレオチドの同一性という点から、一方若しくは両方の1個以上のヌクレオチドが互いに異なっている。よって、対立遺伝子は、遺伝子の突然変異型でもある。
「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸及び非天然アミノ酸だけでなく、合成されるか、あるいは、自然源から得られる任意の改変アミノ酸を指す。
「アンプリコン」とは、核酸増幅反応によって得られた核酸分子であり、アンプリコンは標的核酸から誘導される。アンプリコンは、標的核酸と同じか又は反対のセンスの標的核酸配列を含む。アンプリコンは、アンプリコンの起源となる核酸には存在しない配列も含む場合がある。
「増幅プライマー」又は「プライマー」とは、プライマー結合部位(すなわち、そのプライマーの塩基配列と相補的である核酸塩基の配列)とハイブリダイズし、核酸合成を開始するためのプライマー及び/又はプロモーター鋳型(例えば、相補鎖の合成用、それによって機能的プロモーター配列を形成する)としての役割を果たすことができるオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーを、RNA合成を開始する配列(例えば、プロモーター)もコードするように設計する場合、そのプライマーは「プロモーター-プライマー」と呼ばれ、そのプライマーは、プライマー結合部位とハイブリダイズするための領域とともに、標的核酸と非相補的であるが、RNAポリメラーゼ、例えば、T7、T3又はSP6 RNAポリメラーゼによって認識される塩基配列も含むことが好ましい。増幅プライマーには、プライマーの伸長速度又は量を抑制又は低減するように改変した3’末端も含み得る(例えば、米国特許第5,766,849号を参照のこと)。好ましくは増幅工程において2種類以上の異なるプライマーを用いる。「ユニバーサル」プライマーとは、増幅すべき配列とは無関係のプライマー結合部位とハイブリダイズするように設計されたプライマーを指す。結果として、ユニバーサルプライマーは、多重増幅反応において特に有用であり、この場合には、多数の異なる標的配列を、ただ1対のユニバーサルプライマーを用いて増幅することができる。
「生体サンプル」とは、任意の生存している(又は以前は生存していた)供給源(例えば、ヒト、動物(例えば、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ及びブタのような哺乳類、魚類、鳥類など)、植物、細菌、真菌、原生生物又はウイルス)から得られる材料を指し、1種類以上の核酸及び/又は他の標的生体分子の集団を含む。生体サンプルは、固体材料(例えば、組織、細胞ペレット、生検材料など)又は体液(例えば、尿、血液、唾液、羊水、口内洗浄液、リンパ液、汗、痰、粘液、涙など)からなり得る。生体サンプルは、「サンプル」の下位分類であり、本発明の1種類以上の標的検出試薬を用いて検出及び/又は解析することができる1種類以上の標的分子を含む材料の任意のサンプルであり得る。
「生体分子」とは、生物系(例えば、生物)において天然に存在する分子を指す。生体分子の代表的な種類としては、核酸、タンパク質、ペプチド、抗体、酵素、炭水化物、脂質、金属及び毒素が挙げられる。「標的」生体分子とは、本発明の標的検出試薬の対象となる生体分子である。
コンポマー鋳型の用語「コード領域」とは、場合によって、コンポマー又は切断可能な基質をコードする領域を指す。
2つの一本鎖核酸分子のそれぞれの長さの少なくとも一部に、その2つの核酸のハイブリダイゼーションによって形成される二本鎖を安定させるのに十分な2個の核酸間の水素結合を可能にするために十分な大きさの領域(すなわち、多数の核酸塩基サブユニット、例えば、ヌクレオチド)がある場合、それらは「相補的」である。よって、本発明において、2つの核酸分子の一方又は両方のすべて又は一部だけを含む対象とする相補性の領域で第1ポリヌクレオチドの各塩基が第2ポリヌクレオチドの相補的塩基と対合する場合、第1核酸は第2核酸と完全に相補的であると見なされる。認められるように、2つの一本鎖核酸分子は、対象とする相補性領域で完全に相補的であるとはいえないが、それでも厳格なハイブリダイゼーション条件下で核酸間のハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な相補性を示す。
「相補体」とは、別の核酸と相補的である核酸の同義語として用いる。
「コンポマー」とは、アッセイするサンプル中の特定の標的分子の存在を間接的に示すために、標的検出アッセイにおいてコンポマー鋳型から合成された分子である。コンポマーは、1個以上のサブユニットからなる。コンポマー重合用に特に好ましいサブユニットは、核酸塩基サブユニットである。
「コンポマー鋳型」とは、コンポマーをコードする本発明の標的検出試薬の一部を指す。
所定のコンポマー種の検出が、アッセイされるサンプル中に対応する標的分子が存在しているということを意味することが予め分かっている場合に、コンポマーは、標的分子「と関連がある」といわれる。標的検出部分が特定の標的と特異的に反応することが分かっているため、そのような相互関係は標的検出試薬の設計による。よって、その特異的相互作用により、それに続く、標的検出試薬によってコードされるコンポマーの作製が可能になる。標的分子の対応するコンポマー種はそれ自体、特定のコンポマーの検出が、解析するサンプル中のその対応する標的分子の存在を間接的に示すので、特定の標的分子「と関連がある」といわれる。
分子の「連続スパン」とは、重合体を合成している分子が同種のものである線状重合体内の領域を指す。例えば、リボヌクレオチドの連続スパンとは、スパン内のヌクレオチドがすべてリボヌクレオチドであるポリヌクレオチド(又はその部分)を指す。その他のヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチドは、当該連続スパンには含まれないが、当該ポリマーがリボヌクレオチドの連続スパンより大きいヌクレオチドを含む場合、デオキシリボヌクレオチドが、ポリヌクレオチドのいずれかに含まれることもある。
「規定の特徴」とは、あるコンポマー種を検出し、他のものと識別することができる既知の特徴を指す。規定の特徴には、規定の化学組成、規定の質量、規定の長さ、規定の大きさ、規定の配列及び規定の構造が含まれる。「規定の化学組成」を有することは、コンポマーの各塩基の正体が知られているということを意味する。「規定の分子式」を有しているということで、その分子を構成する各原子の数と正体が分かるということを意味する。結果として、分子の質量又は質量範囲(同位体変化による)も定義される、すなわち、分子は「規定の質量」を有する。例えば、分子量は、分子の化学式(例えば、C6126)で表される原子の質量を合計することにより決定することができる。「質量範囲」とは、同じ化学式を有する分子が異なる同位体を含むことによって有する可能性のある質量の範囲を示す。「規定の長さ」又は「規定の大きさ」を有しているということで、特定のコンポマーを構成しているサブユニットの数が分かるということを意味する。例えば、10個のヌクレオチドを含むコンポマーは、10個のヌクレオチド長を有するといわれる。「規定の配列」とは、コンポマーが、任意の好適な技術により(例えば、ハイブリダイゼーション、配列決定などにより)決定することができる核酸塩基の特定配列を有するということを意味する。「規定の構造」とは、コンポマーが、その構造と特異的に反応する試薬(例えば、抗体)によって認識される三次元構造(例えば、エピトープ)を有するということを意味する。認められるように、場合によっては、コンポマーを分類することによって、1種類以上の異なる方法(それぞれの方法は特定の特徴の解析に基づく)により検出してもよい。例えば、核酸塩基サブユニットで構成されるコンポマーは、規定の化学組成、質量(又は質量範囲)、配列及び長さを有する。よって、それらは、種々の元素-、質量-、配列-及び長さ-に基づく検出法により検出することができる。適切な検出システムを使用する場合、固有の規定の特徴(例えば、固有の規定の質量、化学組成など)を有するコンポマーは、他のコンポマー種から容易に識別することができる。
「遺伝子」とは、遺伝子産物(すなわち、ポリペプチド又はRNA分子)をコードする、DNA分子における特定の遺伝子座又は領域を指す。遺伝子は、構造コード領域の他、そのコード領域の上流及び下流に、イントロンなどの非コード領域、転写されるが翻訳されない領域及び調節エレメントを含むことがある。「遺伝子」は、状況に応じて、所望により、遺伝子の発現に必要なヌクレオチドの配列を含んでなることがある(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)。
「遺伝子型」とは、被験体のゲノムにおける少なくとも一部の遺伝子の対立遺伝子が同一であることを指す。サンプルの「遺伝子型決定」とは、被験体が(その細胞のすべて又は一部においてのみの)有する特定の位置の対立遺伝子又はヌクレオチドを決定することを指す。よって、遺伝子型とは、1種類以上の特定の対立遺伝子を指すこともある。
「ハイブリッド」又は「二本鎖」とは、安定したハイブリッド又は二本鎖分子を形成するためにそれぞれの長さの少なくとも一部においてハイブリダイズした2つの線状重合体からなる分子を指す。ハイブリッドの場合、各線状重合体は核酸塩基サブユニットで構成されている。そのような重合体の例としては、天然に存在する核酸塩基及び/又は改変核酸塩基及び/又は骨格化学を含んでなる一本鎖RNA及びDNA分子が含まれる。ハイブリッドの二本鎖領域は、十分安定であり、その結果、所望の目的又は操作のために、例えば触媒作用により伸張されうるプライマーとして機能するために維持されうるし、二本鎖を一本鎖分子から分離することもできる。
「ハイブリダイゼーション」とは、2つの完全に又は部分的に相補的な核酸鎖が特定のハイブリダイゼーションアッセイ条件下で平行又は好ましくは逆平行配向で一体化して、二本鎖領域を有する安定した構造を形成する能力を指す。ハイブリッドや二本鎖と呼ばれるこの二本鎖構造の2つの構成鎖は、水素結合によって結合される。これらの水素結合は、単一核酸鎖の塩基アデニンとチミン若しくはウラシル(AとT若しくはU)又はシトシンとグアニン(CとG)を含むヌクレオチド間で最もよく形成するが、当技術分野では知られているように、これらの「標準的な」対のメンバーではない塩基間でも塩基対形成が起こり得る。
「同位体標識した」とは、同じ化学式の分子集団で、その分子を構成する1種類以上の原子種が(同位体濃縮又は枯渇により)自然界に存在する同位体分布よりも限定された同位体分布を有する場合を指す。例えば、炭素には、一般に、数種類の天然に存在する同位体(例えば、126136及び146)が存在し、それらの各々は異なる数の中性子(それぞれ、6個、7個及び8個)を有する。特定の元素の同位体を表す場合には、式「AZ」を用い、ここで、「X」は原子の元素記号であり、「Z」は原子番号(元素の1原子中の陽子数に相当する)であり、そして「A」はその同位体の陽子と中性子の総数である。C、H、N及びOの天然に存在する同位体のいくつかの相対存在量については報告されている(例えば、Bievre and Taylor (1993),Int. J. Mass. Spectrom. Ion Phys.,vol. 123: 149参照)。炭素の場合、126及び136同位体の相対存在量(百分率で表される)はそれぞれ、98.90及び1.10である。水素の場合、11及び21同位体の相対存在量はそれぞれ、99.985及び0.015である。窒素の147及び157同位体の相対存在量はそれぞれ、99.634及び0.366であり、酸素同位体168178及び188の相対存在量はそれぞれ、99.762、0.038及び0.200である。上記の内容から、特定種(例えば、アデノシンなどのヌクレオシド)の分子集団は、その集団中の炭素原子の同位体126及び136の相対存在量がそれぞれ、99.90及び0.10であるならば、炭素に関しては同位体標識される。よって、いくつかの原子種(それらの原子種のうちの1種類以上が1を超える天然に存在する同位体を有する)で構成されている分子の場合、最も多い同位体が濃縮された、すなわち、その同位体がその元素の稀な同位体と比べて、相対的な表現として、より多く存在する、あるいは稀な(又は極めて稀な)同位体が枯渇した原子を用いてその分子を合成することが望ましいかもしれない。同位体濃縮及び枯渇のための方法については、当技術分野で公知である。
「標識」とは、直接又は間接法によって検出される標識と結合させることができる分子を指す。本明細書において、「直接」検出とは、別の分子と検出のための標識部分との相互作用を必要としない検出法を指す。直接検出することができる標識には、放射性同位元素、発光性分子、蛍光性分子やその存在を直接検出することができるその他の分子が含まれる。「間接」検出とは、1種類以上の別の分子を標識部分と相互に作用させ、順に検出させる必要がある方法を指す。間接的に検出することができる標識には、高親和性結合対の一方のメンバー(例えば、ビオチンとストレプトアビジンのうちの一方、並びに抗原、それを受けて特異的な、1種類以上の抗体(又は抗体フラグメント)など)が含まれる。
「ライブラリー」とは、2種類以上の異なる分子種の集合を指す。コンポマーに関連して、ライブラリーは、複数の異なるコンポマー種を含んでなる。一般に、各コンポマー種は異なる標的分子と関連があり、「異なる標的分子」は、同じ分子(例えば、遺伝子又はポリペプチド)の遺伝的又は構造変異体だけでなく、異なる遺伝子又は異なる遺伝子によってコードされるポリペプチドである標的分子も意味する場合があることが認識されている。標的検出試薬に関連して、ライブラリーは、2種類以上の異なる標的試薬種を含んでなる。いずれにしても、ライブラリーの一メンバーは、標的結合部分及び/又はコンポマー鋳型における違いにより他のものとは異なる。
本発明において、「多重」、「多重化する」などとは、複数の標的生体分子種を単一アッセイで検出及び/又は解析する能力を指す。例えば、複数の異なる標的検出試薬は、それぞれが異種の標的生体分子に対して特異的なものであり、それらの標的検出試薬を用いて、単一アッセイで生体サンプルを検出することができる。それらの標的となる生体分子種のいくつか又はすべてがサンプル中に存在するならば、アッセイの結果はそのように表れる。よって、多重化することにより、アッセイの効率が大幅に上昇する。一般に、多重化することにより、単一アッセイで標的生体分子の、約10種、好ましくは約50種、100種、250種、500種又は1,000種を超える、さらに好ましくは1,000種を超える異なる種の解析が可能になる。もちろん、特定の多重アッセイで検出することができる標的分子種の数は、例えば、使用する種々の標的検出試薬によってコードされるコンポマーの化学組成、使用する検出器のタイプ、検出器の感度などのような因子に応じたものとなる。
「突然変異遺伝子」とは、突然変異を有する被験体の表現型を、突然変異遺伝子を有していない被験体に対して変更することができる遺伝子の対立遺伝子の形態を指す。被験体が変更された表現型を有するにはこの突然変異のホモ接合体でなければならない場合には、その突然変異は劣性であるといわれる。被験体の表現型を変更するのに突然変異遺伝子の1コピーで十分である場合には、その突然変異は優性であるといわれる。被験体が突然変異遺伝子の1コピーを有し、(その遺伝子の)ホモ接合体被験体とヘテロ接合体被験体の中間の表現型を有する場合には、その突然変異は共優性であるといわれる。本明細書において「突然変異」とは、異なるゲノム又は個体間の特定の遺伝的位置(例えば、遺伝子におけるヌクレオチド位置)のヌクレオチド配列の違いを指し、それらの頻度は1%未満である。
本明細書において、「核酸」とは、天然に存在するリボ-及びデオキシリボヌクレオチド(例えば、RNA、mRNA、rRNA、tRNA、小型核RNA、DNA、cDNA及びRNA/DNA共重合体)、並びに核酸模倣体として知られていることが多い改変/非天然核酸からできた二本鎖-又は一本鎖高分子を指す。核酸模倣体の例としては、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、アミド、エステル及びエーテルサブユニット間結合などのホスホジエステル改変又は置換、並びに切断可能な結合などの分子(例えば、光切断可能なニトロフェニル部分)やヌクレオシド及びヌクレオチド以外の核酸塩基サブユニットでの完全サブユニット置換を有するものが挙げられる。「標的」核酸とは、標的核酸配列を含む核酸である。
「ヌクレオチド配列」とは、一般に、特定の核酸分子を含んでなる核酸塩基の線状配列を指す。特に断りのない限り、ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向に記載する。「標的」ヌクレオチド配列とは、対応する標的検出試薬のオリゴヌクレオチド部分の標的となる、それゆえにその部分と実質的に相補的な、サンプル中に存在する核酸分子のヌクレオチド配列の特定の部分を指す。
「核酸増幅」とは、特定の核酸分子の数を増加させるための方法を指す。本発明の核酸増幅は、線形増幅でも指数関数的増幅でもよいが、指数関数的増幅が好ましい。
「核酸塩基」とは、相補的塩基と水素結合を形成して、塩基対を形成することができる塩基(すなわち、プリン又はピリミジン)を指す。塩基としては、アデニン(「A」)、シトシン(「C」)、グアニン(「G」)、ヒポキサンチン、オロチン酸、チミン(「T」)、ウラシル(「U」)及びキサンチンが挙げられる。塩基対としては、標準的なワトソン-クリックDNA塩基対 A:T、T:A、G:C、C:Gが挙げられるが、RNAでは、Tの代わりにUが用いられる。「核酸塩基サブユニット」とは、線状重合体の特定の単量体サブユニットを指し、ここで、当該サブユニットの重合を許容する骨格に結合された核酸塩基を含み、その結果、生じた一本鎖ポリマーは、当該ポリマーが相補核酸分子(例えば、生体サンプル中の天然標的核酸分子)と安定した二本鎖ハイブリッドを形成するように配向された核酸塩基を提示する。ヌクレオシド及びヌクレオチドは、本発明の実施において有用な核酸塩基サブユニットの好ましい例である。核酸塩基は、既知の化学組成の1種類以上の分子を含むように改変して、質量を変更することもできる。そのような質量改変部分のことを「質量タグ」と呼び、得られる質量修飾された核酸塩基又は核酸塩基サブユニットのことをそれぞれ、「質量タグ付核酸塩基」及び「質量タグ付核酸塩基サブユニット」と呼ぶ。
「ヌクレオシド」とは、糖のC-1と、N-9(ピリミジン塩基の場合)若しくはN-1(プリン塩基の場合)とのN-グリコシド結合を通じて糖部分(例えば、[β]-D-リボース又は[β]-D-2-デオキシリボース)と結合されたプリン又はピリミジン塩基を含んでなる分子である。糖部分は、デオキシリボヌクレオチドの場合には2’-デオキシリボースであり、リボヌクレオチドの場合にはリボース部分である。デオキシリボース及びリボースのアナログが用いられることもあり、それらには、2’、3’-デオキシ、並びに当技術分野で周知のあらゆる他のヌクレオチド模倣体が含まれる。模倣体としては、3’-O-メチルなどの連鎖終結ヌクレオチド、ハロゲン化塩基又は糖置換体;非糖、アルキル環構造などの代替糖構造が挙げられる。ヌクレオシドの代表的な例としては、アデノシン、シチジン、グアノシン、イノシン、オロチジン、チミジン、ウリジン及びキサントシンが挙げられる。「ヌクレオシドサブユニット」とは、ポリヌクレオチドの特定のヌクレオシドを指す。
「ヌクレオチド」とは、その糖部分の5’-炭素原子とエステル結合している1つ以上のリン酸基を有するヌクレオシドを指す。ヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチドか又は合成ヌクレオチドである。本発明の実施において有用なヌクレオチドの代表的な例としては、アデノシン一-、二-及び三-リン酸;シチジン一-、二-及び三-リン酸;グアノシン一-、二-及び三-リン酸;イノシン;オロチジン;チミジン一-及び三リン酸;ウリジン一-、二-及び三-リン酸;並びにキサントシンが挙げられる。
「オリゴヌクレオチド」とは、例えば、ヌクレオチドの重合によって、連結された2個以上のヌクレオシド及び/又は核酸塩基サブユニットで構成されている重合体である。オリゴヌクレオチドは、例えば、DNA及び/又はRNAで見られる核酸塩基及びそれらのアナログを含む核酸塩基サブユニットで構成され得る。核酸塩基サブユニットがヌクレオシドである場合、ヌクレオシドサブユニットの糖基はリボース、デオキシリボース又はそれらのアナログであり得、例えば、リボフラノシル部分に2’-O-メチル置換を有するリボヌクレオシドが含まれる。核酸塩基サブユニットは、ホスホジエステル結合、改変結合などの結合によるか、又はそのオリゴヌクレオチドとその相補的標的核酸配列とのハイブリダイゼーションを妨げない非ヌクレオチド部分間の結合によって結合可能である。改変結合には、標準的なホスホジエステル結合がホスホロチオエート結合又はメチルホスホネート結合などの異なる結合に置き換えられている結合が含まれる。核酸塩基サブユニットは、例えば、DNAの天然デオキシリボースリン酸主鎖を、その核酸塩基サブユニットをカルボキシメチルリンカーを介して中央の第二級アミンと結合する2-アミノエチルグリシン主鎖のような擬ペプチド主鎖に置き換えることによって結合してもよい。擬ペプチド主鎖を有するDNAアナログは、一般に「ペプチド核酸」又は「PNA」と呼ばれている(例えば、米国特許第5,539,082号参照)。本発明によって意図されるオリゴヌクレオチド又はオリゴマーの他の限定されない例としては、「ロックド核酸」、「ロックドヌクレオシドアナログ」又は「LNA」と呼ばれる二環式及び三環式ヌクレオシド及びヌクレオチドアナログを含む核酸アナログが挙げられる(例えば、米国特許第6,083,482号参照)。改変オリゴヌクレオチドが厳格なハイブリダイゼーションアッセイ条件又は増幅条件下で標的核酸とハイブリダイズし得るならば、あらゆる核酸アナログが本発明によって包含される。核酸塩基サブユニットの規定の配列を有するオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の技術により、例えば、化学合成又は他の好適な方法により製造することができる。
オリゴヌクレオチドが、その対応する標的核酸におけるヌクレオチドの連続スパンと少なくとも80%相補的、好ましくは少なくとも90%相補的、最も好ましくは100%相補的である、少なくとも6個、好ましくは少なくとも8個、9個、10個、11個、12個、13個,14個、15個以上の連続した核酸塩基を含む場合、そのオリゴヌクレオチドはその対応する標的核酸分子と「実質的に相補的」である。オリゴヌクレオチドとその標的配列とのハイブリダイゼーションを可能にする、種々の程度の相補性におけるハイブリダイゼーションアッセイ条件を、許容できないレベルの非特異的ハイブリダイゼーションを回避しながら、変更することができることは、当業者ならば容易に分かるであろう。相補性の程度は、相補性を比較する2領域を構成している核酸塩基の順序を比較することにより決定され、2核酸間に存在する可能性のある他の構造的差異については、構造的差異が相補的塩基間の水素結合を妨げないという条件で考慮しない。2核酸間の相補性の程度は、比較する領域内に存在する核酸塩基ミスマッチの数に関して表すこともでき、その核酸塩基ミスマッチは0〜4個、好ましくは0〜2個である。
本発明の「特許性のある」組成物、方法、機械又は製造品とは、対象が解析が行われる時点ですべての法定特許要件を満足するということを意味する。例えば、新規性、非自明性などに関し、以後の審査で1以上の請求項が、新規性、非自明性などを無効にする1以上の実施形態を含むことが明らかになった場合、定義によって「特許性のある」実施形態に限定されている請求項によって、特許性がない実施形態は明確に排除される。また、本明細書に添付される特許請求の範囲は、極めて広い妥当な範囲を提供するためだけでなく、それらの有効性を維持するためのものと解釈されるべきである。さらに、法定特許要件の1以上の要件を修正するか、あるいは本願の出願又は特許発行時点から添付の特許請求の範囲の1以上の請求項の有効性が再び解析される時点までに、特定の法定特許要件を満足しているかどうかを審査するための基準に変更があるならば、特許請求の範囲は、(1)それらの有効性を維持し、かつ(2)この条件の下に極めて広い妥当な解釈を与えるように解釈されるべきである。
「複数」とは、1より大きいことを意味する。
「多型」とは、異なるゲノム又は個体間における2種類以上の代替ゲノム配列又は対立遺伝子の発生を指す。よって、「多型」とは、遺伝子又はその一部(例えば、対立遺伝子変異体)の2種類以上の形態の共存を指す。少なくとも2つの異なる形態、すなわち、2つの異なるヌクレオチド配列が存在する遺伝子の一部は、遺伝子の「多型領域」と呼ばれる。多型領域は、単一ヌクレオチドしか含んでいない場合があり、その同一性は対立遺伝子の違いによって異なる。「単一ヌクレオチド多型」又は「SNP」は、単一塩基対の変化である。一般に、単一ヌクレオチド多型は、多型部位において1個のヌクレオチドが別のヌクレオチドに置き換わった結果として起こる。単一ヌクレオチドの欠失又は挿入によっても、単一ヌクレオチド多型が起こる可能性がある。多型領域は、いくつかのヌクレオチドの置換、再配列、挿入及び欠失において見られるような、多数の連続したヌクレオチドも含む場合があるが、これらの多型はあまり一般的ではない。
「ポリヌクレオチド」とは、一般にヌクレオチドの線状重合体を指すが、その重合体がヌクレオチド又はヌクレオシド以外の1個以上の核酸塩基サブユニットを含む場合も、本発明においてそれをポリヌクレオチドと見なすものとする。好ましいポリヌクレオチドは、種々のサブユニットがヌクレオチド間5’-3’ホスホジエステル結合によって結合されているものである。ポリヌクレオチドには、一本-及び二本鎖DNA及びRNA分子(一方又は両方の鎖が組換え又は合成によりできたものを含む)が含まれる。
「ポリペプチド」とは、アミノ酸残基(天然及び非天然アミノ酸残基を含む)の重合体を含んでなる分子を指す。よって、ポリペプチドには、ペプチド及びタンパク質が含まれ、天然及び改変タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント並びにタンパク複合体が挙げられる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは抗体、抗体フラグメント、酵素、受容体、受容体リガンド、調節タンパク質、核酸-結合タンパク質、ホルモン又はディスプレイ法(例えば、ファージディスプレイ法若しくはバクテリアディスプレイ法)のタンパク質産物である。
「選択的にハイブリダイズする」とは、厳格なハイブリダイゼーションアッセイ条件下で、相補的な核酸(又は非相補的部分も含む核酸の相補的部分)が安定したハイブリッドを形成するようにハイブリダイズするということを意味する。選択的ハイブリダイゼーションは、標準的な技術により測定することができる。一核酸種とその相補的な核酸とのハイブリダイゼーションでは、非相補的核酸の場合と比べて、少なくとも約10倍の差があることが好ましく、より好ましくは少なくとも約100倍の差、最も好ましくは少なくとも約1,000倍の差である。反応条件は、試験サンプル中の非相補的核酸間のハイブリダイゼーションがバックグラウンドシグナルレベル以下であるようなものであることが好ましい。
「プローブ」とは、少なくとも1つの標的結合部分を必要最少限度に含んでなる分子を指す。よって、プローブは、プローブを形成するために結合された2つ以上の標的結合部分を含んでなるかもしれない。例えば、特定のプローブは2個のオリゴヌクレオチドを含んでなり、それらのオリゴヌクレオチドは、それぞれの標的分子とハイブリダイズするときに、それらが結合(例えば、連結)して、完全プローブ分子を形成することができるように並置された状態になるようなものかもしれない。プローブ(又はそれらの構成要素)は、標識及びタグなどの他の成分も含んでよい。タグは、混合物(例えば、溶液)中に存在する他の分子からのタグを結合した分子の単離を可能にする部分となる。
「プロモーター」とは、DNA分子によってコードされるポリペプチドの転写を誘導するのに十分な最少DNA配列を意味し、プロモーターは作動可能なようにそのDNA分子に連結される、すなわち、プロモーターとそのコード配列(例えば、コンポマーコード領域)との間に機能連関があり、その結果コード配列がRNAポリメラーゼによって転写される。一般に、「プロモーター」とは、核酸の転写を誘導することができる種々の核酸制御配列を指す。本明細書において、プロモーターは、RNAポリメラーゼ結合、転写開始及び伸長に必要な核酸配列を含む。プロモーターは、原核生物起源のものでも真核生物起源のものでもよいが、バクテリオファージプロモーター、例えば、T7、T3及びSP6プロモーターが好ましい。真核生物プロモーターとしては、とりわけ、CMV、SV40、レトロウイルス及びアデノウイルス由来のプロモーターが挙げられる。プロモーターはまた、所望により、転写開始部位から数千の塩基対離れて位置する遠位エンハンサー又はリプレッサーエレメントも含む。プロモーターはまた、「コンセンサス」プロモーターも含む。この「コンセンサス」プロモーターは天然に存在しないが、例えば、高レベルで転写された遺伝子のプロモーター配列を比較することにより、「コンセンサス」塩基(一般に、比較する配列のうち、特定のヌクレオチド位置において最も高い頻度で表されるヌクレオチド)を反映するプロモーター配列を開発するように設計することができ、核酸塩基サブユニットの少なくとも1つ、好ましくはいくつか、最も好ましくはすべてが当該プロモーターを構成する。
「反応条件」とは、特異的に相互作用する分子が選択的に相互作用することを可能にする反応条件を意味する。反応条件には、温度、溶質濃度、pH、イオン条件などが含まれる。厳格なハイブリダイゼーション条件は、核酸ハイブリダイゼーションに関して代表的な反応条件である。
「反応性基」とは、特異的な化学反応を用いて別の分子の反応性基と反応することができる大型分子の化学的部分を指す。
「分離された」、「精製された」、「単離された」などとは、サンプル収容容器に入っているサンプルの1種類以上の成分が、容器中に存在する1種類以上のサンプルの他の成分から物理的に取り出されるか、又は取り出されているか、あるいはその存在下で希釈されていることを意味する。分離又は精製工程中に取り出されるか又は希釈される可能性あるサンプルの成分としては、タンパク質、炭水化物、脂質、阻害剤、非標的核酸及び結合していないプローブ分子が挙げられる。標的捕捉手法では、分離又は精製工程の間、固定された捕捉プローブに結合された標的核酸がサンプル中に残ることが好ましい。
「種」という用語は、本明細書において、例えば、コンポマー種、標的分子種、ヌクレオチド種など、種々の状況において用いる。いかなる状況においても、この用語は、個々の状況で言及されるような化学的に不明瞭な分子の集団を指す。例えば、「コンポマー種」とは、同じ化学組成を有し、それゆえに事実上同じ質量を有するコンポマーの集団である。もちろん、同一化学構造を有する分子において同位体変化が発生することから、特定の種に属する分子の質量がわずかに異なる場合がある。よって、特定の分子種(例えば、コンポマー)の「質量」は、実際には小さな質量範囲で示される。特定のアッセイにおける多重化のレベル、使用する分析システムの感度などのような因子に応じて、特定のコンポマーの小質量範囲をより厳密に定義するために同位体標識したサブユニット(例えば、リボヌクレオチド三リン酸)からコンポマーを合成し、そうすることによってサンプルの分析によって得られるスペクトルに現れる質量ピークの分解能を向上させることが望ましい場合がある。
本明細書において、「安定した」とは、所望の目的又は操作のために維持することができるくらい十分に安定している、2分子(例えば、それらの相補領域での核酸二本鎖のそれぞれの鎖)間の相互作用を指す。例えば、プライマーとその同種プライマー結合部位間の「安定した」相互作用とは、そのプライマーをプライマー伸長反応に適した反応条件下で伸長させることができる作用を指す。
「厳格なハイブリダイゼーションアッセイ条件」、「ハイブリダイゼーションアッセイ条件」、「厳格なハイブリダイゼーション条件」、「厳格な条件」などの用語は、相補的な核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、又は他の領域をさらに含むオリゴヌクレオチドの標的配列結合領域、及びそれと相補的な塩基配列を有する核酸)が選択的にハイブリダイズすることができる反応条件を意味する。厳格なハイブリダイゼーションアッセイ条件は、核酸間の相補領域のGC含量及び長さ、相補配列とサンプル中に存在するかもしれない他の配列との類似度などの種々の因子に応じて異なることがある。ハイブリダイゼーション条件には、温度やハイブリダイゼーション試薬又は溶液の組成が含まれる。
「サブユニット」とは、大型分子の一部を指す。よって、重合体は2個以上のサブユニットからなる。典型的なサブユニットとしては、個々のアミノ酸、核酸塩基サブユニット、DNA若しくはRNAのヌクレオシド及び核酸若しくはオリゴヌクレオチドの合成に用いる個々のヌクレオチド、並びに例えば、オリゴヌクレオチド又はペプチド合成における中間体として、使用することができるサブユニット多量体(例えば、2個、3個、4個以上のサブユニットを含んでなる分子、例えば、ヌクレオチド)が挙げられる。他の状況において、オリゴヌクレオチドが2つの異なる領域、例えば、標的結合部分とコンポマー鋳型を含む場合、異なる領域それぞれをそのオリゴヌクレオチドのサブユニットと呼ぶこともある。
「タグ」とは、アッセイにおいてタグ付分子を非タグ付分子から分離しやすくするために、別の分子と結合されるか、又はその一部として含められる部分である。タグを付けられうる分子の代表的な例としては、標的検出試薬、切断可能な基質及びコンポマーが挙げられる。
「標的結合部分」とは、特異的分子認識が可能な分子を指す。特異的分子認識が可能な分子は、他の分子と特異的結合相互作用する能力がある。特に、標的結合部分は、標的分子と特異的に相互作用し、その分子と結合することができる本発明の標的検出試薬の一部である。好ましい標的結合部分は、ポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)及びポリペプチド(例えば、抗体及び抗体フラグメント)、並びにアプタマー(すなわち、タンパク質及び小分子などの他の分子と特異的に結合するか、あるいはその分子と相互に作用する合成核酸分子)、及び小分子(すなわち、目的の生体分子種、例えば、標的タンパク質と特異的に結合するか、あるいはそれと相互に作用する分子量約10,000Da未満の天然に存在する有機分子又は合成有機分子)から構成される。
「標的分子」又は「標的」とは、存在、不存在又は存在量を決定しようとする分子を指す。好ましい標的は、ポリペプチド及び核酸分子などの生体分子である。
「標的核酸」とは、標的核酸配列を含む核酸分子を指し、その標的核酸配列は、一般にヌクレオチドで構成される。標的核酸は一本鎖又は二本鎖である。二本鎖の分子の場合、特定の標的ヌクレオチド配列に特異的な標的検出試薬の標的結合部分のハイブリダイゼーションを容易にするために、少なくとも標的ヌクレオチド配列を含む部分で各々の鎖が分離されることが好ましい。
「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」、「標的配列」又は「標的領域」とは、標的核酸分子のヌクレオチド配列のすべて又は一部を含んでなる特定のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド配列を意味する。
「標的配列結合領域」とは、例えば、厳格なハイブリダイゼーションアッセイ条件下での検出について安定したオリゴヌクレオチド:標的ハイブリッドを形成するのに、その標的核酸配列と十分に相補的である塩基配列を有する、核酸分子、例えば、オリゴヌクレオチドを指す。一般に、標的配列結合領域は、少なくとも約6個の核酸塩基サブユニット、好ましくは6個〜約500個又は1,000個の核酸塩基サブユニットを含んでなる。
「転写ユニット」とは、本発明のコンポマー又は切断可能な基質をコードする分子を指す。転写ユニットは、本発明のコンポマーを合成するための鋳型で機能する。コンポマーの合成は、転写ユニットのコンポマーコード領域の転写によって起こることが好ましい。よって、転写ユニットは、機能的プロモーターとコンポマーコード領域を少なくとも含むことが好ましい。
本発明において、「固有の」とは、存在する他の分子種と1つ以上の識別可能な点で異なる分子種を指す。コンポマーに関連しては、特定の反応によって得られた各コンポマー種が、その反応によって生じた他のコンポマー種各々に対して独特であることが好ましい。よって、たとえ特定の反応物に存在するすべてのコンポマー種を、例えば、ただ1つの規定の特徴(例えば、質量)に基づいて解析したとしても、各コンポマー種の質量(又は質量範囲)は、特定のアッセイにおいてそれを検出し、解析することができるくらい十分に、存在する他のコンポマー種とは異なっている。標的分子に関連して、「固有の標的分子」とは、特定の反応物中の他の標的分子種各々と識別することができる標的分子種を指す。認められるように、ただ1個の遺伝子(又はヌクレオチドの連続スパン(好ましくは約10個〜約100万個又はそれ以上のヌクレオチド)を含んでなる他の遺伝子座)が異なる標的検出試薬種によって独立に標的とされ得る多数の部位を含む可能性がある(この異なる標的検出試薬種は、標的検出部分の違いや、好ましくは識別可能なコンポマー種をコードするコンポマー鋳型種の違いによっても互いに異なる)。
発明の概要
本発明は、サンプルが1種類以上の異種の標的分子を含むかどうかを決定するためのサンプルの効率的解析のための試薬及び方法を提供する。本発明によれば、サンプル中の1種類以上の特定標的分子種の検出は、その検出工程が標的分子の直接検出を必要としないという点から間接的に遂行される。代わりに、特定の標的と関連があるコンポマーを検出することによって特定の標的を検出する。本発明では、特定種の標的分子の間接検出を、アッセイ中にそれに対応するコンポマー種を生成させることによって行う。よって、コンポマー種は、それと関連がある標的分子がサンプル中に存在する場合のみ検出に利用できる。
各コンポマー種を、規定の特徴、例えば、規定の化学組成、規定の分子式、又は規定の質量、配列、長さ若しくは構造のうちの1以上の特徴を有する分子が生成するようにした重合サブユニットを含むように操作する。その規定の特徴によってそのコンポマーを複合混合物において検出することが可能であり、そのコンポマーを検出することにより標的分子がサンプル中に存在することが示される。アッセイ中に標的分子と関連があるコンポマーを生成させるために、所望のコンポマーをコードするコンポマー鋳型(又はその相補体)を、特定種の標的分子に特異的な標的検出試薬の一部として提供する。標的特異性は、コンポマー鋳型と結合される1つ以上の標的結合部分を含めることにより標的検出試薬に与えられる。よって、サンプル中に標的分子が存在するかどうかは、そのサンプルをその標的分子に特異的な標的検出試薬と接触させて、試薬:標的複合体を形成することにより判断することができる。いくつかの実施形態では、コンポマー生成前に、それらの同種標的分子と相互作用しなかった標的検出分子を除去したほうがよい場合がある(例えば、サンプル中にその標的が存在しないため、標的検出試薬分子過剰によりその標的分子が結合の飽和が起こる濃度でしか存在しないなど)。他の実施形態では、特定の標的に特異的な完全標的検出試薬は、特定の標的分子種の存在下でのみ生成し、そのため中間の精製、単離又は分離工程によって得られるという利点は制限される。
サンプル中に標的分子が存在する場合、標的検出試薬の標的結合部分が標的分子と結合する。その後、コンポマーコード領域を含んでなるコンポマー鋳型を用いて、コードされたコンポマー(又はコンポマーを含むより大型の前駆体)の生成を誘導する。特定のコンポマーは特定の標的分子と関連があり、そうして、特定の標的分子のサンプル中での存在を示すので、そのコンポマーを検出することによりそれに対応する標的分子がそのサンプル中に存在することが間接的に示される。さらに、特定のコンポマー種は、アッセイにおいて生成しうる他のコンポマー種との識別を可能にする規定の特徴を有するため、単一アッセイで複数の異なるコンポマー種を検出することができ、これにより、複合サンプル、例えば、生体サンプルの、多くの異なる標的分子種、特に標的生体分子(例えば、核酸分子、ポリペプチド、脂質及び炭水化物)についての多重解析が可能になる。
よって、本発明の1つの態様は、特許性のある標的検出試薬に関し、その標的検出試薬はそれぞれ標的結合部分とコンポマーをコードするコンポマー鋳型、又はその相補体を含んでなり、それらを検出することにより、特定のコンポマーと関連がある特定の標的分子の存在が間接的に示される。一般に、標的結合部分は、標的検出試薬がアッセイで標的分子と特異的に結合するか、あるいは標的分子と反応することができるように、その標的分子に特異的な分子を含んでなる。いくつかの実施形態では、標的結合部分は、標的分子に特異的なポリペプチド、好ましくは抗体、抗体フラグメント、受容体、又は受容体のリガンドを含んでなる。他の実施形態では、標的結合部分は、標的核酸分子の標的ヌクレオチド配列を特異的に標的とする核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)を含んでなる。他の実施形態では、標的結合部分は、アプタマー又は小分子を含んでなる。
本発明の標的検出試薬に含められる標的結合部分に関係なく、標的検出試薬は、標的結合部分と直接又は間接的に(すなわち、リンカーを介して)結合される少なくとも1つのコンポマー鋳型、又はその相補体も含む。認められるように、コンポマー鋳型は、コンポマーを必要最小限にコードするが、そのコンポマーを検出することにより、検討中のサンプル中の特定の標的分子種の存在が間接的に示される。いくつかの実施形態では、コンポマー鋳型は、切断可能な基質をコードする。この切断可能な基質は、コンポマーと少なくとも1個のさらなるサブユニットを含んでなる分子であり、このさらなるサブユニットが切断可能な基質から遊離されて、コンポマーが生成する。好ましい実施形態では、コンポマー鋳型は、核酸分子、特にオリゴヌクレオチドである。
コンポマー鋳型を用いてサブユニットを重合して、コンポマー(又は切断可能な基質)生成を誘導することができる任意の好適な方法によって、コンポマーをコンポマー鋳型から生成することができる。好ましい実施形態では、コンポマー鋳型(又はその相補体)は、転写ユニットをコードする。機能的転写ユニットは、コンポマーコード領域に作動可能なように連結されたプロモーター領域を含んでなる。転写ユニットからの転写によりコンポマーの生成が起こり、又はコンポマーコード領域がさらなるヌクレオチドをコードする場合には、その後にコンポマーを遊離する切断可能な基質の生成が起こる。他の実施形態では、コンポマー(又は切断可能な基質)は、コンポマー鋳型から、別の方法により、例えば、伸長反応(例えば、プライマー伸長)により生成されるが、その方法は酵素触媒によってもよいし又は酵素触媒にはよらなくともよい。
よって、本発明の別の態様は、種々の化学分析において有用なコンポマーと呼ばれる、特許性のある分子の種類に関する。具体的に言えば、コンポマーを検出することにより、それと関連がある標的分子(生体分子の標的を含む)がサンプル中に存在することが間接的に示される。これまでに報告されている質量タグなどとは違い、コンポマーは、標的分子との反応後又は標的検出試薬の標的検出部分と標的分子との結合後の特定の化学分析中に合成される。その後、コンポマーは合成され、それらの規定の特徴、例えば、化学組成、分子式、質量(例えば、質量分析により)、長さ(例えば、電気泳動易動度により)、大きさ(例えば、クロマトグラフィーにより)、サブユニット配列(例えば、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションにより)などに基づいて、好適な検出システムを用いて検出される。コンポマー種の規定の特徴により他のコンポマー種との識別が可能である。もちろん、コンポマーを合成するのに用いるサブユニットの配列及び同一性は、それと関連がある標的分子とは無関係であるため、サブユニットは他の基準、例えば、重合の容易さ、コスト、安定性、検出形式などにより選択される。従って、コンポマー種は、種間の差異を最適化するように計画することができ、それゆえ、例えば、特定の多重アッセイ中に同時に生成する可能性のある多数のコンポマー種を解析するのに有用であり得る。
認められるように、サンプル中の特定の標的分子の存在を表示するためにコンポマーを使用するアッセイによって、サンプルの解析を必要とする生化学的手法が大幅に簡略化される。さらに、コンポマーの規定の特徴は、特定の検出システムで使用するために計画することができるため、単一アッセイで複数の異なるコンポマー種を生成させ、分析することができ、生体サンプルのような複合サンプルの多重解析を容易にする。
コンポマー(及び切断可能な基質)は、標的検出試薬のコンポマー鋳型部分をガイドとして用いてサブユニットから合成される。必要に応じて、コンポマー生成用の単量体サブユニットを、それらをアッセイに含める前に、二量体、三量体、及びその他中間サブユニット重合体を構築してもよい。いずれにしても、コンポマー鋳型は、成長している分子へのサブユニット種の逐次付加を誘導する。好ましい実施形態において、コンポマー鋳型は規定の核酸塩基配列を有する核酸塩基サブユニットの重合体を含んでなる。よって、そのような鋳型分子から生成されるコンポマーは、コンポマー鋳型分子に従って配列されたサブユニット(例えば、核酸塩基)の対応する配列を有する。ヌクレオシド及びヌクレオチドは、核酸塩基を含むサブユニットからなるコンポマーの合成に特に好ましいサブユニットの種類である。実際に、コンポマーをヌクレオチド三リン酸(すなわち、3個のリン酸基がエステルを介して糖部分のC-5’位に結合されているヌクレオチド)から合成する場合には、それらの合成を触媒するのに適当な酵素を使用することが好ましい。この目的のために有用な特に好ましい酵素は、DNA依存性RNAポリメラーゼ、例えば、T7、T3及びSP6 RNAポリメラーゼであり、その際、ヌクレオチドはリボヌクレオチドであることが好ましい。プライマーから、プライマー伸長によって生成されるコンポマーの場合、例えば、好ましい酵素としては、DNAポリメラーゼ Taq、クレノー断片、T4、T7及び大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、並びにレトロウイルス逆転写酵素が挙げられる。
他の実施形態では、コンポマーは、アミノ酸又は糖類サブユニットで構成されていてよい。アミノ酸を使用する実施形態では、それらの配列は、一般にコンポマー鋳型(又はそれから誘導される核酸産物)から転写されたRNA分子によって決定される。よって、これらの実施形態では、コンポマー鋳型から転写(あるいは生成)されたRNAは、続いてコンポマーを生成するための中間体(すなわち、「コンポマー中間体」)となる。例えば、転写後、mRNAが翻訳されて、ペプチドに基づくコンポマー、又はその後にコンポマーを遊離し(例えば、好適な物理的、化学的又は酵素的手法による)、そのコンポマーを適当な検出システムを用いて検出することができるより大型の前駆体が生成する。コンポマー中間体がコンポマー鋳型から転写されたmRNAから翻訳されたペプチドである実施形態では、そのペプチドを、mRNA鋳型からin vitro翻訳反応で合成することが好ましい。
他の実施形態では、コンポマーをコンポマー鋳型から非酵素的に合成する。例えば、好適な重合化学反応による重合用に設計された核酸塩基サブユニットを使用することができる。そのような実施形態では、コンポマーは、一般的に、各工程において新たなサブユニットが成長している重合体の末端残基の反応性基と重合する、未完成コンポマー重合体の逐次伸長により合成する。そのような合成は、一般に多数回の脱保護とカップリングによって行い、アッセイに用いる標的検出試薬によってコードされるできる限り大きなコンポマーへとすべてのサブユニットを確実に組み込めるようにする。
特定の標的検出試薬に含めるコンポマー鋳型によっては、いくつかのコンポマーが最初に、コンポマーの検出前にさらなる処理を必要とするより大型の前駆体の一部として生成する可能性がある。よって、本発明のもう1つの態様は、そのような前駆体に関する。このような前駆体は、「切断可能な基質」と呼ばれ、少なくとも2個の異なる単量体サブユニット種を含んでなり、少なくとも2つの領域、コンポマー及び検出前にコンポマーから分離されるもう1つの領域を含む。切断可能な基質を用いる場合、コンポマー部分にはより大型の前駆体分子で見られる単量体サブユニット種の少なくとも1個が存在しないことが好ましい。あるいは、切断可能な基質、又は複数の切断可能な基質は、エンドペプチダーゼ切断部位などの要素を含んでいてもよい。いずれにせよ、切断可能な基質の末端部分は、コンポマーを遊離するために切断されることが好ましく、コンポマーの存在はその後検出することができる。コンポマーは、例えば、化学的、物理的又は酵素的切断により、切断可能な基質から遊離させることができる。その切断は、サブユニット特異的であり、切断可能な基質のコンポマー部分には存在しない1種類以上のサブユニット種を対象にすることが好ましい。より大型の前駆体からコンポマーを分離することによって、特定のアッセイで生成したコンポマーが規定の特徴を示し、その規定の特徴によってそれに続くコンポマーの検出とその対応する標的分子との関連付けを確実に可能にする。コンポマーを得るために切断可能な基質から切断される領域は、単量体サブユニットの少なくとも一部を含む。切断される領域が1超の単量体サブユニットを含む場合、それらのサブユニットは、例えば、同種又は異種のものであってよいが、それらのうちの少なくとも1個はコンポマーに存在する単量体サブユニット種とは異種のものである。他の実施形態において、切断される領域は、コンポマーに存在するものと同種の1個以上のサブユニットを含んでいてよい。他の実施形態において、コンポマーを、より大型の前駆体の一部として生成しない。代わりに、コンポマー鋳型(又はコンポマー中間体)からの合成によって、検出の前に除去する必要のある部分を含んでいない特定のコンポマーを直接生成する。
コンポマーは、一般に1個〜約1000個の単量体サブユニット(例えば、各種核酸塩基サブユニット(特にリボヌクレオチド)、アミノ酸など)を含むが、特に非酵素的重合化学を使用する場合には、いくつかの単量体サブユニットからなる大型のサブユニットを使用してもよい。約3個〜約10個、20個、50個及び100個の単量体サブユニットを含むコンポマーが特に好ましい。多くの実施形態、特に検出の前に種々のコンポマー種が対応する切断可能な基質から遊離される実施形態において、特定の反応に用いられるかもしれないサブユニット種のすべてに満たない数を含むようにコンポマー領域を計画することが好ましい。例えば、切断可能な基質をリボヌクレオチドから酵素的に合成する場合には、コンポマー部分がただ1個、2個又は3個のサブユニット(この場合、リボヌクレオチド)種を含み、切断可能な基質の他の部分が1個以上のサブユニットを含んでいることが好ましい(少なくとも1個のサブユニットはコンポマーに存在しないため、切断可能な基質からコンポマーを遊離させるために用いることができる)。もちろん、切断可能な基質を使用するいくつかの実施形態では、2個以上の特定のサブユニットの存在を利用して、遊離を果たす技術も使用できるため、コンポマーに含まれるサブユニット種の数が前駆体に含まれているものよりも少なくある必要はない。例えば、ペプチドに基づく切断可能な基質を、プロテアーゼにより特異的に切断されるアミノ酸配列を含むように計画することができる。そのような実施形態において、タンパク質分解切断によってコンポマーが切断可能な基質の残りの部分から分離される。
各コンポマー種を、あるコンポマー種と、アッセイで生成するかもしれない他のすべてのコンポマー種との識別を可能にする少なくとも1つの規定の特徴(例えば、特定の化学組成、分子式、質量(又は質量範囲)、長さ、大きさ、構造など)を有するように操作するため、特定のコンポマー種の規定の特徴は狭義のものであることが好ましい。例えば、規定の特徴が質量である実施形態では、質量の狭義の定義とは、種に関する質量、むしろ質量範囲(特定のコンポマー種の分子を構成している原子間での同位体変化のため)が狭いことを意味する。質量に基づく検出システム(例えば、質量分析計)を使用する高度に多重化したアッセイで特に好ましいところであるが、コンポマー種の質量範囲を最小化するために、コンポマー(又は切断可能な基質)を同位体標識したサブユニットを用いて生成することができる。もちろん、同位体標識したサブユニットは、特定の同位体に関しての濃縮又は枯渇を受けていない原子からなるその比較試薬を入手するにはコスト高となる可能性があるので、そのような実施形態においては、切断可能な基質が可能な限り少ない数(好ましくは約100個以下、好ましくは約25個未満、好ましくは10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個又は1個)のサブユニットをコンポマー領域外に含むことが好ましい。
コンポマーは、サブユニット配列及び/又は組成に関して1つ以上の規定の特徴(例えば、規定の質量、化学組成、分子式、又は質量範囲、長さ、配列及び/若しくは構造)を与えるように操作されるため、必要に応じて、特定のアッセイで多くの異なるコンポマー種を生成させることができる。特定のアッセイで使用することができるコンポマー種の最大数は、コンポマーのサブユニット組成、(質量が規定の特徴である実施形態において)コンポマーのいくつか又はすべてを同位体標識するかどうか、使用する検出システム、(質量が規定の特徴である実施形態において)例えば、使用する検出システムによって正確に検出することができる質量の、範囲、使用する検出器の感度、得られたデータの解析に使用するソフトウェア、アッセイ中の標的分子種の数などを含む多くの因子によって異なる。
特定の好ましい実施形態では、コンポマー種を識別するのに用いられる規定の特徴は質量である。それを受けて、そのような実施形態において、コンポマーは、一般に質量に基づく検出技術を用いて検出される。この場合、質量分析が好ましい。コンポマーを検出するのには、任意の公知の質量分析法を用いることができると考えられるが、好ましい方法は直接レーザー脱離イオン化質量分析(マトリックスを使用しない)、エレクトロスプレーイオン化質量分析、二次中性粒子質量分析及び二次イオン質量分析法である。特に好ましい方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析である。他の好ましい実施形態において、コンポマーの長さが規定の特徴である。それを受けて、コンポマー種は、サイズ分離技術を用いて識別することができ、それらの技術の好ましい例には電気泳動及びクロマトグラフィーが含まれる。他の実施形態では、化学組成が規定の特徴である。
認められるように、複数の異なるコンポマー種は、アッセイに使用する検出システム、アッセイで検出されるかもしれない標的分子種の数(よって、多重化のレベル)、(コンポマーの検出に質量検出を使用するアッセイに関して)コンポマーの合成に同位体標識したサブユニットが利用可能かどうかなどのような因子基づいて設計され、そして次にコンポマー鋳型ライブラリーにコード化することができる。個々のライブラリー内のコンポマー鋳型の数は異なるかもしれない。特定のライブラリーにおいて、異なるコンポマー鋳型を、使用する特定の検出システムによって容易に分析することができるコンポマー種の生成を誘導するように設計することが好ましい。多くの実施形態において、コンポマー鋳型は切断可能な基質をコードする。特定のコンポマーを含んでなるサブユニットの配列は標的同一性とは関係がなく、特定の標的検出試薬の標的結合部分が標的特異性を決定することから、異なるセットの標的分子を検出するのに同じセットのコンポマーを使用してもよい。よって、異なる標的検出試薬ライブラリーは、標的結合部分の異なるライブラリーと結合された単一コンポマー鋳型ライブラリー、又はその一部を用いて構築することができる。認められるように、特定の標的検出試薬ライブラリーの場合、各標的検出試薬種の成分は分かっているため、特定の標的検出試薬によってコードされるコンポマーを検出することによって標的検出試薬によって認識されるサンプル中の標的の存在が間接的に表示されるように、コンポマー種を標的と関連付けることができる。コンポマー鋳型は、単独か又は標的検出試薬へと構成して、それをパッケージングし、キットとして販売することができる。そのようなキットには多数のコンポマー鋳型又は標的検出試薬種を含めてよい。複数の異種をパッケージングする際、いくつかの実施形態では、それらを個別にパッケージングしてよく、また他の実施形態では、それらのいくつか又はすべてを別個にパッケージングしてよい。さらに、コンポマー鋳型と標的検出試薬は、単離され、精製された試薬として調製されることが好ましく、それらは液体又は固体形態で保存してよい。
本発明のもう1つの態様は、本発明のコンポマー鋳型を用いてコンポマーを作製する方法に関する。そのような方法では、標的検出試薬の標的結合部分がその対応する標的分子と結合して、試薬:標的複合体を形成した後に、コンポマー鋳型を用いて、そのコンポマーコード領域によってコードされるコンポマー(又は切断可能な基質)を生成させる。いくつかの実施形態では、標的検出試薬は1つ以上のタグ部分をさらに含むことがある。当該タグ部分は、アッセイにおいて試薬-標的複合体(及び未反応標的検出試薬分子)を、標的分子と反応しなかった標的検出試薬を含む他の成分から精製、単離又は分離するために使用されうる。
標的検出試薬がコンポマー鋳型の相補体を含む実施形態では、コンポマー生成前にコンポマー鋳型が生成される。いくつかの好ましい実施形態では、コンポマー鋳型は転写ユニットを含んでなり、転写ユニットに含まれる特定のプロモーターと機能的に関連のある核酸の転写を誘導することができるRNAポリメラーゼ(好ましくは、DNA依存性RNAポリメラーゼ)によりコンポマーコード領域が転写されて、コンポマー鋳型によってコードされたコンポマーが生成される。転写、例えば、プライマー伸長又はコンポマー鋳型をガイドとして用いるサブユニット重合を行わない他の実施形態では、コンポマー(又は切断可能な基質)の生成を可能にする好適な反応条件を与える。コンポマー鋳型が切断可能な基質をコードする実施形態では、切断可能な基質の生成後に、コンポマーを、コンポマーの一部を構成していない、切断可能な基質に含まれるさらなるサブユニットから分離することが好ましい。
当業者ならば容易に分かるように、本発明は、サンプル、特に、例えば、診断又は予後スクリーニングのために、患者から得られた生体サンプルのような複合サンプル中の1種類以上の種の標的分子の存在を間接的に検出するように設計された方法の精度、効率及び信頼性の向上を提供する。本発明に従って行われるアッセイでは、偽陰性又は偽陽性の結果の危険性を小さくするために1以上の対照を使用することが好ましい。本発明の方法は、(本発明の標的検出試薬以外の)特殊な試薬を必要としないため、迅速に(例えば、約2〜3時間くらいの短い時間で)かつコスト効率的に行うこともできる。これらはそれ自体、生物科学において幅広い用途がある。よって、本発明の他の態様は、本発明の方法の応用に関する。認められるように、本方法は、遺伝疾患、疾病又は症状(例えば、肥満症、アテローム性動脈硬化症又は癌)に対する遺伝的素因、病原体(例えば、ウイルス、細菌、寄生生物又は真菌類)による感染症を(例えば、出生前又は出生後に)診断するため、あるいは同一性、遺伝(例えば、父子関係)、適合性(例えば、組織移植のためのHLA表現型)、又は提示された薬剤若しくは治療計画に対する反応性に関連する情報を提供するためなど、多くの用途に用いることができる。
上述の本発明の概要は、非限定的なものであり、本発明の他の特徴及び利点については次の図面、発明の詳細な説明から、そして特許請求の範囲から明らかであろうであろう。
詳細な説明
広く、本発明は、サンプル、例えば、生体サンプル中の1種類以上の特定の標的分子種、例えば特定のポリペプチド又は核酸種を間接的に検出するための方法を提供する。特定の種の標的分子は、標的分子種と特に関連があるコンポマーを検出することによって間接的に検出される。コンポマーは、サブユニット、特に核酸塩基サブユニットで構成される線状重合体であり、それらは標的分子と特異的に結合する標的特異的分子と結合する鋳型から生成する。単一アッセイでの多様な標的分子種の平行解析を容易にするために、コンポマー種を、他のものと識別可能であるように設計する。コンポマー種間で異なる1つ以上の規定の特徴を通じて個別認識が行われる。定義することができるコンポマーの特徴としては、分子量、サブユニット配列及び長さと構造のみならず、異種間で識別がなされるように操作することができるその他の分子特徴も挙げられる。コンポマーの検出では、各コンポマーのもつ規定の特徴に応じて、好適なシステムを使用する。
本発明のコンポマーは、幅広い種類の標的分子(生体分子標的が特に好ましい)の存在を間接的に検出するのに有用である。コンポマーによってサンプル中に存在することを表示することができる生体分子の代表的な例には、遺伝子配列、対立遺伝子、対立遺伝子変異、非コードヌクレオチド配列、遺伝子又はタンパク質配列内の突然変異、金属、毒素、ポリペプチド、炭水化物及び脂質の検出が含まれる。
以下の説明では、まず代表的なサンプル調製技術を考察し、続いて本発明の試薬及び方法を非限定的にかつ代表的なものとして詳細に説明する。
A.サンプル;サンプル調製
本発明は、単一サンプルにおける1種類以上の標的分子の効率的な同時検出を提供する。本発明に従って解析することができるサンプルには、生体物質を含むかもしれないし、又は含まないかもしれない環境サンプルが含まれる。特に好ましいサンプルは、目的の生体分子種を含むことが分かっているか、又は含むことが疑われる生体サンプルである。解析用のサンプルは、任意の好適な供給源から得ることができる。サンプル取得後、検出すべき標的分子が、サンプル又はそのアリコート中に存在する場合には、本発明の標的検出試薬との相互作用を受けやすくする任意の好適な技術を用いてサンプルを処理する。
目的の1種類以上の標的分子、例えば、核酸分子、ポリペプチド、脂質、金属、毒素及び炭水化物を含む可能性のある生体サンプルに関し、サンプルは、検出すべき標的生体分子種を含むことが分かっているか、又は含むことが疑われる任意の供給源から得ることができる。このようなサンプルは、固体材料(組織、細胞ペレット及び生検材料など)からだけでなく、液体からなる場合がある。体液サンプルとしては、尿、血液、唾液、羊水、口内洗浄液、リンパ液、汗、痰、粘液、涙などが挙げられる。細胞培養物から採取したものなども生体サンプルに含まれる。
生体サンプルは、任意の生存しているか、又は死滅した生物から得ることができる。代表的な例としては、植物及び動物、並びにそれらから得られる細胞及び組織が挙げられる。本発明は、ヒト及び動物医学において特に幅広い用途が見出せると考えられる。
生体サンプルは、必要に応じて、任意の好適な手法により解析用に調製することができる。例えば、凍結融解及びアルカリ溶菌手法は固体材料から核酸分子を得るのに有用であり;加熱及びアルカリ溶菌手法は尿の細胞から核酸分子を得るのに有用であり;またプロテイナーゼK抽出は血液細胞から核酸を得るのに有用である。当技術分野では他の好適な手法も知られており、それらの手法は、検出すべき標的分子の種や得られるサンプルのタイプに応じて、本発明の実施用に容易に適合させることができる。必要に応じて、サンプル調製方法において1回以上の精製及び濃度工程を使用して、最初に検出すべき標的分子の種類を精製及び/又は濃縮してもよい。例えば、核酸は、当技術分野で公知の多くの好適な試薬のいずれかを用いた沈降により細胞屑から単離することができる。他の細胞成分も好適な分画手法を用いて単離することができる。
解析用に十分な量の標的分子、特に標的核酸分子を得るために、最初に増幅をおこなうことが望ましく、そうすることが必要な場合がある。本発明に用いるのに適当な増幅手法の例としては:クローニング(例えば、Sambrook,et al,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989参照)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、C. R. Newton and A. Graham,PCR,BIOS Publishers,1994;米国特許第4,683,195号;同第4,683,202号;同第4,800,159号;同第4,965,188号;同第5,468,613号;同第5,604,099号;同第5,656,493号;同第6,040,166号;及び同第6,514,736号参照)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Wiedmann,et al.,(1994) PCR Methods Appl,vol. 3:57-64;Barnay,F. (1991),Proc. Natl. Acad. Sci. USA,vol. 88:189-93;米国特許第5,869,252号及び同第6,368,801号参照)、鎖置換増幅(SDA)(例えば、Walker,et al (1994),Nucleic Acids Res.,vol. 22:2670-77;米国特許第5,455,166号参照)及びRT-PCRなどの変法(例えば、Higuchi,et al. (1993),Bio/Technology,vol. 11:1026-1030参照)、対立遺伝子特異的増幅(ASA)、Q-βレプリカーゼによる増幅(Lizardi,et al (1992),Bio/Technology,vol. 6:1197-1202)、並びに転写に基づく方法(例えば、米国特許第5,480,784号;同第5,824,518号;同第6,087,133号;及び同第6,214,587号参照)が挙げられる。
解析を容易にするために、標的分子を固相支持体に固定してもよいが、溶液に基づく方法が好ましい。適当な固相支持体の例としては、ビーズ(例えば、シリカゲルビーズ、微細孔性ガラスビーズ、磁性ビーズ、セファデックス/セファロースビーズ、セルロースビーズなど);被覆及び非被覆ナノ粒子;平面又はチップ(例えば、ガラス繊維フィルター、ガラス表面、金属表面(例えば、鋼鉄、金、銀、アルミニウム、銅など)、キャピラリー、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニリデンジフルオリド膜及びマイクロタイタープレート));あるいはビーズ若しくは平面又はウエハー(例えば、シリコンウエハー)のような平面にある穴に入れられたビーズを含む類似物から作られたピン若しくはコームが挙げられる。
コンポマー(又は切断可能な基質)の合成前に標的検出試薬に対して特異的な標的分子と結合しなかった分析試料から標的検出試薬を取り出すことが望ましいか、又はそれを必要とする場合には、標的分子の固定を行うことが好ましい。好ましい実施形態では、好適な捕捉試薬を用いて標的分子を固相支持体上に固定化する。例えば、核酸ベースの標的分子に関しての使用に好適な捕捉試薬としては、固相支持体に固定されたオリゴヌクレオチドが挙げられる。そのようなオリゴヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列近くの領域で標的核酸分子とハイブリダイズすることが好ましい。核酸分子が捕捉されたら、1種類以上の標的検出試薬種を反応物に添加することができる。それら各々の標的配列とハイブリダイズするものを残し、ハイブリダイズしないものは洗い流してよい。その後、コンポマーを生成させ、それを検出することができる。
B.標的検出試薬
サンプル中に存在する目的の標的分子を検出するために、標的検出試薬を用いる。標的検出試薬は、図1に示すような、標的結合部分とコンポマー鋳型(又はその相補体)を含む合成分子である。標的結合部分とコンポマー鋳型は、単一反応で合成することができるし、又は異なる反応で合成した2個以上のサブユニットを組み合わせてそれらを結合してもよい。好ましい実施形態では、標的結合部分とコンポマー鋳型を別々に合成し、その後、必要に応じて要望どおりにそれらを結合することができる。コンポマー鋳型と標的結合部分の相互の配向は当業者の裁量に任せ、用途によって異なる。核酸成分からなる標的検出試薬の代表的な配向として、コンポマー鋳型が標的結合部分の5’又は3’に配置されたものが含まれる。同様に、他の任意の成分、例えば、プライマー結合部位(又はそれらの相補体)を含め、標的結合部分及び/又はコンポマー鋳型の上流又は下流(例えば、核酸に基づく成分の場合には、それぞれ、5’又は3’)に配置することができる。
コンポマーは標的分子の配列又は構造には関係がないため、特定の検出システム(例えば、MALDI質量分析)による検出に最適化されたコンポマーを生み出すコンポマー鋳型(又はそのサブセット)の単一ライブラリーは、多くの異なる種類の標的結合部分、例えば、核酸やポリペプチド(例えば、抗体及び抗体フラグメント)から作製されたものと結合することができる。認められるように、コンポマー鋳型は、標的結合部分と直接結合してもよい。また、コンポマー鋳型と標的結合部分は、リンカーを介して結合することもできる。コンポマー鋳型-標的結合部分の結合は共有結合であることが好ましいが、例えば、高親和性結合対(例えば、ストレプトアビジンとビオチン、抗体と抗原、受容体とリガンドなど)によって媒介される非共有結合結合を使用することもできる。
標的結合部分は、1つ以上の反応性基(それらの反応性基の各々が特定種の標的分子(例えば、特定の対立遺伝子又はポリペプチド)に特異的である)を含むが、2つの反応性基は、異なる領域にではあるが、同じ標的分子に特異的であってよい。例えば、同じポリペプチドに対して異なる抗体が作製される可能性があり、異種はそれぞれ、異なるエピトープに対して向けられる。また、同じ遺伝子の異なる領域、例えば、異なる対立遺伝子又は同じ対立遺伝子内の異なる領域を独立に標的とする2個のオリゴヌクレオチドを組み合わせることができる。核酸検出に関連して、好ましい標的結合部分は、目的の標的核酸分子の標的核酸配列と特異的に反応するオリゴヌクレオチドであるため、その目的の標的核酸分子の標的核酸配列と選択的にハイブリダイズすることが可能である。ペプチド、ポリペプチド、核酸などに加えて、標的結合部分の他の種類として、アプタマー及び小分子も含まれる。
非核酸標的分子の検出に関して、標的検出試薬は、一般に、ポリペプチド、好ましくは抗体、抗体フラグメント(すなわち、抗原反応性部分)、受容体、受容体である標的分子のリガンド又はファージディスプレイに基づく手法によって得られた標的特異的ポリペプチドを含む少なくとも1つの反応性基を含む。そのようなポリペプチドに基づく標的結合分子は、任意の好適な供給生物から得てもよいし、任意の好適な技術を用いて合成することもできる。検出すべき標的分子と同じ植物又は動物種から得た標的結合部分が特に好ましい。同様に、約25個より多いアミノ酸残基を含むポリペプチドの場合、組換え技術を用いてそのような分子を合成することが好ましく、また、より短いポリペプチドは固相化学法を用いて合成することが好ましい。
他の実施形態、特に標的分子が核酸、又は特定のヌクレオチド配列を含む核酸と特異的に結合するポリペプチドである実施形態において、標的検出試薬の反応性基は標的核酸分子の標的ヌクレオチド配列を特異的に標的とする核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)を含んでなり、いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質を含んでなる。いくつかの実施形態では、標的結合部分は、標的分子の標的ヌクレオチド配列において互いに隣接して、特異的に結合する2つの分子からなる。それらの2つの分子は、1つの分子の3’末端ヌクレオチドがもう1つの分子の5’末端ヌクレオチドと並置されるように標的と結合し、そしてそれらの分子が、好ましくはリガーゼ酵素によって、連結して、特定の標的検出試薬の標的結合部分を含んでなる単一分子を形成することができることが好ましい。
標的検出試薬に含める反応性基(すなわち、標的結合部分)とは関係なく、試薬は少なくとも1つのコンポマー鋳型も含む。コンポマー鋳型、又はその相補体は、コンポマーを必要最小限にコードし、コンポマーを好適な条件下で生成させることができる。特定の好ましい実施形態では、コンポマー鋳型は転写ユニットをコードし、この転写ユニットは、例えば、コンポマーがリボヌクレオチドを含んでなる実施形態においては転写により、又はコンポマーがアミノ酸残基からなる場合のように転写と翻訳により、コードされたコンポマーの発現を誘導することができる。他の実施形態では、コンポマー鋳型は、例えば、プライマー伸長による後のコンポマー合成のための鋳型としての役割を果たす。
コンポマー鋳型は、ヌクレオチド、ヌクレオシド、又は他の核酸塩基含有単量体サブユニットの操作された配列を含んでなる、一本鎖核酸、一般にオリゴヌクレオチドであることが好ましい。しかし、必要に応じて、コンポマー鋳型は二本鎖分子であってよく、その場合、使用する方法及び試薬を適宜適合させる。認められるように、コンポマー鋳型からコンポマーを生成させるのに非酵素的アプローチを使用することもでき、その場合にはコンポマー鋳型の成分を、RNAポリメラーゼによる転写能力を与えるように操作する必要はない。
コンポマー鋳型が転写ユニットをコードする好ましい実施形態では、転写ユニットはプロモーター領域とコンポマーコード領域を必要最小限にコードする。転写ユニットからの転写により、コンポマーか又はmRNA分子が生成し、このmRNA分子は翻訳されてアミノ酸に基づくコンポマーを生成し得る。転写ユニットのコンポマーコード領域は、いくつかの実施形態では、コンポマー(又はRNA分子(このRNA分子は翻訳されてコンポマーを生成し得る))を含んでなるヌクレオチドに加えて、1個以上のさらなるヌクレオチドをコードする。そのようなより大型の前駆体分子、又は切断可能な基質は、その後、化学的又は酵素的に処理されて、特定のコンポマーを遊離することができる。
切断可能な基質の一部としてコンポマーを合成する実施形態では、より大型の前駆体を、例えば、化学的、物理的又は酵素的切断による、コンポマーのその後の遊離を容易にするように操作する。コンポマーの遊離は任意の好適な方法によって行うことができるが、現在のところ、より大型の前駆体のコンポマー部分外のサブユニットの位置又は内部で切断可能な基質種を特異的に切断する1種類以上の試薬(好ましくは単一試薬種)との反応を用いて、1種類、数種類又は多くの種類のコンポマー種を同時に遊離させることが好ましい。認められるように、切断可能な基は切断可能な基質からコンポマーを遊離させる任意の不安定基であってよい。よって、切断可能な基は化学的に切断可能な結合又は不安定な化学的結合であってよく、コンポマーの一方又は両方の末端に切断可能な基を位置づけてよい。そのような結合は、一般に、酸、塩基、酸化、還元、加熱、光、又は金属イオン触媒、置換若しくは脱離化学によるなどの当業者に周知の方法により切断することができる。もちろん、切断は、酵素によって切断可能な基又は結合を含むサブユニットの位置でも起こり得る。酵素的に切断可能な遊離基には、ホスホジエステル又はアミド結合だけでなく、制限エンドヌクレアーゼ認識部位も含まれる。
一本鎖ポリヌクレオチドに基づく切断可能な基質の場合、例えば、切断可能な基質の他の部分にコンポマー部分には存在しない1種類以上の切断可能な核酸塩基サブユニット種を含めることによって、コンポマーの切断を行うことができる。切断可能な基質の生成後、切断試薬での処理で、推定質量のコンポマー種を生成させるために切断試薬と反応させるよう意図されたサブユニットを切断する。切断に必要な条件は、使用する切断試薬によって変わる。ヌクレオチドで構成される一本鎖コンポマーに関し、好適な切断試薬にはヌクレオチド特異的な切断をもたらすものが含まれる。そのような試薬の例としては、Maxam and Gilbert配列決定法(Proc. Nat’ l Acad. Sci. USA,vol. 74(2):560-564,1977)に用いられるもの、例えば、ジメチル硫酸、ヒドラジン及びピペリジンが挙げられる。あるいは、切断(それが化学的であっても、酵素的であっても、物理的であっても)を受けやすいか又は受けにくい修飾核酸塩基サブユニット(例えば、メチルホスホネート基を含むもの)を用いてもよい。
1種類以上のコンポマーを二本鎖核酸として設計する場合、もう一方で、他の切断方法が好ましい場合がある。例えば、切断可能な基質に1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ切断認識部位を組み込むことができる。II型制限エンドヌクレアーゼに対する部位、特に4個の塩基対のパリンドロームを含んでなり、かつ平滑末端型切断産物が生成するものが特に好ましい。制限酵素による切断によって一本鎖突出部が生じる実施形態では、エキソヌクレアーゼを用いて、不対ヌクレオチドを除去してもよい。
核酸塩基含有サブユニットから構成される好ましい一本鎖コンポマー及び切断可能な基質に関し、検出すべきコンポマー種(特定の反応槽でより大型の切断可能な基質の一部として合成された異なるコンポマー種が1種類であっても、数種類であっても又は多種類であっても)は切断可能な核酸塩基サブユニット種を含まないことが好ましい。認められるように、複数の異なるコンポマーを生成させる場合には、切断可能なサブユニットを含むコンポマー部分がないことが好ましい。このようにして、切断可能な核酸塩基サブユニット種だけを切断反応によって切断することにより、コンポマーを遊離させる。さらに、ただ1つの切断試薬を用いるだけで、切断種に組み込まれた種々のコンポマー種すべての遊離を果たすのに十分である。好ましい切断可能な核酸塩基サブユニット種としてはアデニン、シトシン、グアニン、ヒポキサンチン、オロチン酸、チミン、ウラシル、及びキサンチン、及びイノシンが挙げられる。切断可能な基質に1個以上の核酸塩基サブユニットを組み込む場合、当技術分野で公知の条件下で、任意の好適な化学的、酵素的又は物理的技術を用いた処理によりそれらを切断することができる。特定の実施形態では、化学的に切断可能な結合は、修飾塩基、修飾糖、ジスルフィド結合、ヌクレオチドから合成された核酸のリン酸主鎖に組み込まれた化学的に切断可能な基、又は別の好適な化学的に切断可能なリンカーを含んでなる。リン酸主鎖に組み込むことができる化学的に切断可能な基については周知であり、それらの基としては、ジアルコキシシラン、3’(S)-ホスホロチオエート、5’-(S)-ホスホロチオエート、3’-(N)-ホスホロアミダート又は5’-(N)-ホスホロアミダートが挙げられる。さらなる実施形態では、化学的に切断可能な結合は修飾糖、例えば、修飾リボース部分であってよい。
非核酸塩基含有サブユニット種からなるコンポマー及び切断可能な基質に関し、本発明の方法を適宜に適合させる。例えば、アミノ酸からなる切断可能な基質を、(すなわち、1以上の適切に設計された転写ユニットから合成された対応するmRNAを翻訳することによって)生成させる実施形態では、融合タンパク質からのペプチドに基づく親和性タグの除去に似た方法による好適な化学的又は酵素的切断によりコンポマーを切断することができる。使用する切断システムは、所望の切断によって異なる。例えば、いくつかの実施形態では、反応物に存在する切断可能な基質のコンポマー部分には含まれないアミノ酸種を特異的に切断する切断試薬を用いることができる。あるいは、切断可能な基質に特定のエキソ又はエンドペプチダーゼによる切断部位を設計してもよい。特定のエンドペプチダーゼ切断による切断部位は、一般に短い固有のアミノ酸配列を含んでなる。この目的に任意の部位又は配列特異的なプロテアーゼを用いてよく、同種のプロテアーゼに対して適当な認識部位を組み込むことにより、本方法の実施におけるこのようなプロテアーゼの使用のために本発明の試薬を容易に適合させることができる。例えば、組換えにより発現され、精製された、ウシセリンプロテアーゼであるエンテロキナーゼの触媒サブユニットを使用するシステム(EK処理により融合タンパク質が酵素の5残基切断部位のC末端残基の直後で切断されて、天然配列を有するタンパク質が生成する)が報告されている(例えば、Stratagene Cloning Systems,Inc.のウェブサイト参照)。従って、切断可能な基質に、EK認識部位のC末端アミノ酸残基がコンポマーの第1アミノ酸残基の直前に配置されるように、EK認識部位を操作することができる。切断される認識部位(及びそのN末端アミノ酸の前に配置される可能性のある任意の追加のアミノ酸残基)の質量は分かっているため、得られた質量スペクトルでのその部位に該当するシグナルは容易に検出できる。多数のコンポマー種が合成され、それらの各々がそのような切断部位を有している反応物では、得られたスペクトルの単一ピークが切断された非コンポマー断片のものとなる。
本発明はまた、標的検出試薬が固相支持体、例えば、反応槽の表面又は溶液中のビーズ若しくは粒子上に固定化することができるタグ(例えば、ビオチン又はジゴキシゲニン)をさらに含んでなる実施形態も含む。一般に、タグは、固相支持体と結合される化合物に接着又は結合することができる。タグは直接、例えば、タグと固相支持体の化学的結合により、又はタグと固相支持体の間に配置されるリンカー分子により標的検出試薬に付けることができる。タグ分子は、使用するタグ分子に応じて共有結合又は非共有結合により固相支持体と結合することができる。
本発明はまた、特定の遺伝子座又はポリペプチドの特定の領域を標的とする1より多い標的検出試薬を含む混合物も想定する。このような方法では、各変異体がその変異体と関連がある異なるコンポマーを有するため、特定の遺伝子の特定のヌクレオチド位置の2つ以上の遺伝子変化のどれかを、例えば、単一反応で検出することができる。同様に、遺伝的変異によって変異体構造を有するポリペプチドが生ずる場合には、例えば、単一の変異体に対して特異的な異なる抗体(又は抗体フラグメント)種をそれぞれ用いてそのような変化を検出してもよい。そのような標的検出試薬の構築を容易にするために、特に標的分子が核酸である実施形態では、標的結合部分をセグメントで合成することが望ましい場合がある。断片として合成する場合、1つの断片は標的結合部分のその部分が起こり得る変異体のすべてに共通しているという点で不変であり得る。単一核酸塩基含有サブユニットといった小さいものであり得る他のセグメントによっても変異体の識別がなされる。
同様に、異なる標的検出試薬によって特定の遺伝子内の異なる領域を標的とすることができる。例えば、異なる位置にいくつかの異なるSNPが存在することが分かっている場合には、各SNPの位置に特異的な1種類以上の標的検出試薬を作製することが望ましい。
好ましいものとはいえないが、本発明はまた、単一コンポマー鋳型種を2つ以上の異なる標的結合部分と結合させる混合物も想定する。結果として、コンポマーを検出することにより、いくつかの標的のうちの1つがサンプル中に存在していたということが示される。必要に応じて、後のアッセイで、実際にはどの標的分子が存在していたのかを判断することができる。あるいは、複数の異なるコンポマー種(それらのコンポマー種の各々は1種類以上の異なる標的分子と関連があり、それらの少なくともいくつかの存在又は不在がアッセイで検出することができる他の標的分子の存在又は不在と関連がある)を検出する場合には、当技術分野で公知の種々の統計的手法を用いて、実際にはどの標的分子が分析中のサンプルに存在しているのかを判断することができる。
特定の実施形態では、標的検出試薬、及びその成分(例えば、標的結合部分及びコンポマー鋳型)の合成を固相合成法により行い、この固相合成法ではコンビナトリアル手法により幅広い種類の化合物を製造することができる。そのような実施形態では、標的結合部分とコンポマー鋳型は、成長している核酸又はポリペプチドの重合が可能な条件下で、活性化サブユニット(例えば、活性化ヌクレオシド単量体種又は活性化アミノ酸種)の付加工程を、所望の分子種を合成する必要に応じて何度も繰り返すことによって合成することができる。標的結合部分とコンポマー鋳型の合成が完了した後、それらを互いに結合することができる。そのような結合は、線状コンポマー鋳型の一方の末端が好適な化学により所望の標的結合部分と直接結合するという点において、直接であってよい。あるいは、この結合は、リンカー分子を用いて、コンポマー鋳型と所望の標的結合部分を、同時又は逐次に共有結合させるように間接的であってもよい。リンカーのコンポマー鋳型への結合は、リンカーを標的結合部分と結合するのに用いるものと同じであってよいし又は異なっていてもよい。任意の所望のリンカーを用いることができる。好ましいリンカー分子としては、1個〜約100個又はそれ以上の炭素原子で構成される脂肪鎖が挙げられる。標的結合部分とコンポマー鋳型は、共有結合していることが好ましいが、その結合は非共有結合であってもよく、その際、それらの結合が高親和性結合対のメンバーによって生じることが好ましい。標的検出試薬が、適合化学により重合することができるサブユニットから構築した標的結合部分とコンポマー鋳型(例えば、同じ骨格化学を用いて重合した核酸塩基)を含んでなる実施形態では、一連の反応で完全な標的検出試薬を合成することが好ましいことが多い。
C.標的検出方法
本発明は、特定の標的分子を検出するための方法をさらに提供する。そのような方法は、(a)標的結合部分とコンポマー鋳型を含んでなる標的特異的な標的検出試薬を準備する工程;(b)標的分子を含むことが分かっているか又は疑われるサンプルを標的検出試薬と接触させて、試薬:標的複合体を作製する工程;(c)コンポマー鋳型からコンポマー(又は場合によっては、切断可能な基質)を生成させる工程;及び(d)アッセイで生成したコンポマー種を検出することにより、特定のコンポマー種と関連がある標的分子を間接的に検出するのに好適な検出技術を使用する工程を含む。そのような方法は、単一標的分子種、異なる標的分子種の小集団及び大量の異なる標的分子種に関して、多重形式により行い、例えば、数種類のコンポマー(各々が同じ標的分子と関連がある)の1種類以上を検出することができ、1種類以上のコンポマー種(それらの各々は2種類以上の異なる標的分子種と関連がある)を検出することができ、さらにコンポマー種(それらの各々は単一標的分子と関連がある)のライブラリーを使用することにより複数の異なる標的分子種を間接的に検出することができる。認められるように、異なるコンポマーを用いて、単一アッセイで数十、数百、数千もの異なる標的分子種(例えば、標的核酸)を同時に検出することができる。
コンポマー種のライブラリーは、種々の異なるアッセイに用いるために、又は異なる標的分子の存在が間接的に示されるように設計してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のコンポマーを、1つ以上の種内遺伝的変異の存在を検出するための患者のサンプルの解析に使用する。他の実施形態では、同じコンポマー鋳型によってコードされる同一コンポマーライブラリーは、異なる標的結合部分、例えば、他の種(例えば、特定の宿主種に感染することが分かっている病原体)由来の核酸又はポリペプチドと特異的に結合する標的結合部分と結合する。あるいは、コンポマー鋳型は、核酸以外の生体分子、例えば、炭水化物、脂質、タンパク質又はポリペプチドを標的とする標的結合部分と結合することができる。
コンポマーライブラリーは、任意の好適なサイズを持つように操作することができ、少なくとも2種類の異なるコンポマー種を含んでなる(もちろん、コンポマー鋳型がコンポマー又は切断可能な基質をコードする)。ライブラリーサイズの上方境界は、使用する検出システムの分解能、(質量の識別によりコンポマー種を識別する場合では)同位体標識したサブユニットの入手可能性及びライブラリーの種間の差の増大などの因子によって制限される。大規模な多重化では、標的検出試薬によって多くの異なるコンポマー種が生成することが好ましいということは明らかである。
よって、本発明は、単一反応で標的分子、多くの場合、多くの異なる標的分子種を検出するための方法に関する。一般に、そのような多重方式では、本発明の複数の標的検出試薬を準備することを必要とする。ほとんどの実施形態において、標的検出試薬種各々は、標的結合部分と、標的結合部分によって標的とされる特定の標的分子と関連があるコンポマーの直接又は間接生成を可能にする鋳型をコードするコンポマー鋳型を含む。コンポマー又は切断可能な基質の直接生成は、コンポマー鋳型のコンポマーコード(又は切断可能な基質コード)部分を、コードされるコンポマー(又は切断可能な基質)の化学的又は酵素的生成のためのガイドとして用いることによって起こる。いくつかの好ましい実施形態では、コンポマー又は切断可能な基質の生成は、好適なRNAポリメラーゼによりコンポマー鋳型で行われる転写ユニットの転写によって起こり、コンポマー(又はコンポマーを含む切断可能な基質)を生成する。他の実施形態では、短いプライマーがコンポマー鋳型の塩基の相補的領域とハイブリダイズされた状態になり、その後、それが、例えば、プライマー伸長反応(この伸長は好適なポリメラーゼが触媒する)により伸長される。他方、コンポマーの間接生成とは、例えば、転写工程とコンポマー(又は切断可能な基質)の生成との間に1以上の中間工程を含むことを指す。一例として、コンポマーがコンポマー鋳型の転写ユニット内でコードされる実施形態では、転写ユニットから生成されたmRNA転写物は、特定のポリペプチドに翻訳され得る。このポリペプチドはさらに処理する必要がある場合もあるし、又はそれ以上の処理を必要としない場合もある(例えば、切断、最初のポリペプチドが切断可能な基質であり、その切断可能な基質をさらに処理して、その中に含まれるコンポマーを遊離する必要がある場合には望ましいものとなり得る)。
当業者ならば分かるように、標的分子が核酸分子である場合には、コンポマーの生成前にサンプル中の標的分子の発現量を増加させるために核酸の一部を増幅することが望ましい場合がある。任意の好適な増幅手法を、特に、調査する標的分子の増幅を可能にするプライマーを用いて使用することができる。検出が求められる特定の標的分子に特異的な標的検出試薬は、増幅前、いくつかの実施形態においては増幅後に反応物に入れる。他の実施形態では、標的領域の増幅は、標的検出試薬自体の成分により、一般に1つ以上のプライマー結合部位を標的検出試薬に含めることにより媒介される。プライマー結合部位は、標的検出試薬のコンポマー鋳型の側面に位置するか、又は外側にある。プライマー結合部位は、特定の標的検出試薬のコンポマー鋳型の5’又は3’にあるように計画することが好ましい。特に好ましい実施形態では、標的検出試薬には、少なくとも2つの異なるプライマー結合部位(1つは実際に第1プライマーと相補的であり、もう1つは第1プライマーから伸長した鎖とハイブリダイズすることができる第2プライマーの相補体である)が含められる。
例えば、図8に示すように、特定の好ましい実施形態では、標的検出試薬はコンポマーが後に生成するように含めなければならない2つ以上の部分を含んでなる。図8に示すように、3つの異なるオリゴヌクレオチドから2つの異なる標的検出試薬を作製することができる。2つのオリゴヌクレオチド(各々、「第1の」オリゴヌクレオチド)は、対立遺伝子特異的であり、それらの第1のオリゴヌクレオチドは、各第1のオリゴヌクレオチドの3’末端核酸塩基の違い(一方では「T」及びもう一方では「C」)により、一ヌクレオチド位置における単一ヌクレオチドの差異(A又はG)を識別することができる。もう1つのオリゴヌクレオチド(「第2の」オリゴヌクレオチド)は、対立遺伝子特異的ではなく、標的配列の一部と実質的に相補的、好ましくは完全に相補的である標的結合部分を含むように設計される。第1及び第2のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにおいて、2つの第1のオリゴヌクレオチドのうちの1つ(すなわち、特定の標的分子に存在するヌクレオチドと相補的な3’末端核酸塩基を有するもの)を第2のオリゴヌクレオチドと並置することにより、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドを(好ましくは連結反応により)結合させて、完全標的検出試薬を作製することができる。図8の実施形態に示すように、ユニバーサルプライマー結合部位が第1及び第2のオリゴヌクレオチドの側面に位置するならば、特定の標的検出試薬種(及び同じプライマー結合部位を含む反応物中に存在する可能性のある他のもの)を続いて増幅して、プロモーターからのRNAポリメラーゼが媒介する転写による切断可能な基質(又はコンポマー)の生成に使用することができる基質を得ることができる。
分かるように、2つのプライマー結合部位(第1のプライマーのプライマー結合部位と第2のプライマーのプライマー結合部位の相補体を意味する)を含む標的検出試薬の実施形態において、特に多重アッセイに使用することを目的とする場合には、一方、好ましくは両方の部位をユニバーサルプライマーと結合するように操作する。試薬とそれによって標的とされる生体分子を相互作用させた後に、プライマー対を用いて、標的検出試薬のいくつか又はすべてを増幅するいくつかの実施形態では、1つのプライマー結合部位がユニバーサルプライマーと結合し、もう1つのプライマー結合部位が特定の標的検出試薬種に特異的であるプライマー結合部位を使用することが望ましい場合がある。好ましくいとはいえないが、プライマー結合部位がユニバーサルプライマーの対象とはならず、その代わりに特定の標的検出試薬種に特異的なプライマーの対象となる実施形態を本発明が包含することも分かるであろう。加えて、標的検出試薬は、2より多いプライマー結合部位を含むように操作することができ、そうすることによって異なるプライマーを用いた試薬の異なる部分の増幅が容易になる。
よって、好ましい実施形態では、実施する場合には増幅後に、コンポマー(又はコンポマーを含んでなるより大型の前駆体)を、反応物に含める1種類以上の標的検出試薬種に含まれるコンポマー鋳型から生成することができる。コンポマーの生成方法も提供されており、それらの方法は、同じ又は異なるサブユニット種のサブユニット、例えば、核酸塩基含有サブユニット(例えば、ヌクレオチド)、アミノ酸、糖部分などを、重合を可能にする条件下で組み合わせることを含む。一般に、ヌクレオチドはポリメラーゼによって重合し、一方、オリゴヌクレオチドはリガーゼによって重合する。特に好ましい方法は、コンポマー又は切断可能な基質を対応するコンポマー鋳型の転写ユニットから酵素を用いて生成させる方法である。リボヌクレオチドの重合に特に好ましい酵素はRNAポリメラーゼ、特にT7、T3及びSP6 RNAポリメラーゼであるが、コンポマー鋳型が好適なプロモーターをコードするならば、他のRNAポリメラーゼを用いてもよい。コンポマー又は切断可能な基質をアミノ酸残基で作製する場合の好ましい合成方法も酵素的である。in vitro翻訳法が好ましく、この方法では対応する転写ユニットから転写あるいは生成されたmRNAがポリペプチドに翻訳される。コンポマー及び切断可能な基質の生成にプライマー伸長法を用いてもよい。サブユニットが単量体サブユニットであろうと、後により大型のユニット(コンポマー、切断可能な基質、転写ユニット、コンポマー鋳型、オリゴヌクレオチドなどまで)へと構築するための前駆体へと構築される複数の単量体サブユニットであろうと、サブユニットを重合する他の方法を使用することができることも意図される。よって、他の実施形態では、コンポマーの重合には化学合成が介在する。核酸又はアミノ酸に基づくコンポマーに関し、好ましい合成法はそれぞれ、本質的には標準的な合成核酸及びペプチドの合成のための方法である。さらなる実施形態では、コンポマーに含まれる核酸塩基サブユニット、例えば、ヌクレオチドは、鎖停止修飾を有していてよい。例えば、付加されたヌクレオチドはターミネータージデオキシヌクレオチドであってよく、それにより他のヌクレオチドの付加を妨げる。他の実施形態では、コンポマーに付加されるサブユニットは、ヌクレアーゼ、例えば、リボヌクレアーゼによるコンポマー又は切断可能な基質の消化を防ぐために、ヌクレアーゼ阻害部分を含んでいてもよい。
上記のように、コンポマー種は各々、特定のアッセイで生成され得る他のコンポマー種と識別することができる規定の特徴を有する。規定の特徴が質量であれば、例えば、コンポマー種がアッセイで生成する場合には、特定の分析において使用する質量検出システムにより生じ得る他のコンポマー種から分離することができる固有の質量又は質量範囲を有するように、各コンポマー種を操作する。結果として、特定の標的分子と関連があるコンポマーを検出することにより、アッセイしているサンプル中に標的検出試薬の標的結合部分によって標的とされる標的分子が存在することが間接的に示される。
本発明の方法では、目的の標的分子を含むことが分かっているか、又は含むことが疑われるサンプルを、試薬:標的複合体の形成を可能にするのに好適な条件下で1種類以上の標的検出試薬種と接触させる。必要に応じて、試薬:標的複合体を形成する標的検出試薬は、増幅されるように設計された標的検出試薬であろうと、あるいは増幅することができる標的検出試薬であろうと、特定の標的検出試薬の設計に適合する方法を用いて増幅することができる。次いで、コンポマー又は切断可能な基質を生成させることができ、その後、アリコートの反応物を、このために操作された規定の特徴に基づいてコンポマー種を識別することが可能な検出法に付すことができる。特に好ましい規定の特徴は質量であり、質量に基づいてコンポマー種を識別するのに好ましい方法があるとすれば、質量分析、特にMALDI-TOF質量分析である。コンポマー種を検出することにより、サンプル中にコンポマーと関連がある標的分子が存在したということが示される。
本明細書の他の場所に記載するように、標的核酸分子種を含む1より多い標的分子を特定のサンプルにおいて同時に検出することができる。実際に、異なる種類の標的分子、例えば、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物などは、本発明の方法を利用して、同じアッセイで間接的に検出することができる。そのような「多重化」は、異なるコンポマー種(特定の標的分子と関連があるコンポマー種を検出することにより、標的分子が分析中のサンプルに存在したということが間接的に表される、各々のコンポマー種が特定の標的分子と固有の関連があることが好ましい)を用いることによって達成することができる。この異なるコンポマー種は、単一アッセイで、各コンポマー種の規定の特徴における違いに基づいて識別することができる。質量差を例にとると、分子量差に基づく高感度質量分析を利用して、種々のコンポマー種を識別することができる。分かるように、コンポマー間の質量差は、単一分析での検出が可能であるように十分に大きいことが好ましい。異なるコンポマー種間の質量差は、使用する特定の質量分析プラットフォーム(すなわち、ハードウェア及びソフトウェア)によって解析するのに十分なものである。コンポマーに関し、質量差は、コンポマー種の配列(組成又は長さ)によっても、質量修飾部分をコンポマーの合成に用いられる1つ以上の構成要素(例えば、RNAに基づくコンポマーの場合にはリボヌクレオチド)に導入することによっても得ることができる。質量修飾部分の例としては、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br及び/又はI)、アジド、又はXRタイプのもの(式中、Xは連結基であり、かつRは質量修飾官能基である)が挙げられる。また、特定のヌクレオチド種に存在する1種類以上の重原子種(すなわち、N、C、Oなど)が特定の同位体に関して濃縮されるという点において、同位体標識されたヌクレオチドも特定の質量のコンポマーの設計において有用である。
本発明の範囲を限定するものではないが、規定の特徴が質量である実施形態では、特に各々の質量を分解することが難しいと考えられる2種類以上のコンポマー種を同時に生成させたい場合には、異なる増分の質量修飾を、コンポマー又は切断可能な基質の生成中に、好ましくは質量修飾した構成要素(例えば、リボヌクレオチド)の未完成コンポマー又は切断可能な基質への組み込みを通じて導入することができる。特定のアッセイによるコンポマーの合成に用いられる1つ以上の異なる構成要素の質量を修飾するために、単一質量修飾部分種を用いる場合に生じる質量増分は一定となる。また、異なる質量修飾部分を用いる場合に生じる可能性のある質量増分は一定ではない。質量修飾部分をコンポマー構成要素と結合するために、任意の好適な化学を利用することができる。例えば、質量修飾増分が44であるオリゴ/ポリエチレングリコール誘導体ならば、これらの質量修飾部分0〜4個を用いて変えるだけで、5種類の異なる、質量修飾した種を生成することができる。オリゴ/ポリエチレングリコールは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチルなどのような低級アルキルによってモノアルキル化することもできる。質量修飾部分を1つ以上のコンポマー構成要素と結合するために、連結官能基を用いてもよい。もちろん、オリゴ/ポリエチレングリコール以外の質量修飾部分を選択し、適当な結合化学により結合してもよい。
1種類以上の特定の標的分子は、特定のサンプル中に微量でのみ存在する可能性が高いため、コンポマーの合成前に、標的分子又は、さらに好ましくは、標的検出試薬(若しくはその一部、すなわち、コンポマー鋳型)のいずれかを増幅することが好ましい場合が多い。サンプル中にコンポマー分子に対応する標的分子が存在する場合、こうすることによって、後の検出に十分な数のコンポマー分子が確実に合成される。
標的分子種が核酸であり、かつ標的検出試薬に曝露する前にその標的を増幅することが望ましい実施形態では、任意の好適な核酸増幅技術を使用することができる。1つの好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)及びその変法であり、もう1つの好ましい方法は、転写に基づく等温増幅法である。使用する増幅法には関係なく、各々の標的の増幅(2種類以上の標的が同じ遺伝子の同じ領域に遺伝的変異体を含まなければ)では、一般に、少なくとも2つの異なる増幅プライマーを使用することが必要である。よって、高度に多重化した反応では、数多くの異なる増幅プライマー対を使用することを必要とするが、その多くの場合、1種類以上の標的の増幅効率に違いが生じる。このため、増幅反応は、サンプルを特定のアッセイに用いる種々の標的検出試薬と接触させた後に行うことが好ましい。その後、増幅を試薬:標的複合体を用いて行うが、その試薬:標的複合体は増幅の前に最初の反応の他の成分から単離してもよいが、そうする必要はない。このため、増幅されるように設計された標的検出試薬のそれらの部分(すなわち、少なくともコンポマー鋳型)をわずか一対の増幅プライマーを使用して増幅することができる。そのような場合、そのプライマーを使用して、特定の多重増幅により増幅することが望ましい核酸のすべてを増幅することができることから、それらを「ユニバーサルプライマー」と呼ぶ。さらに、効率的な高度増幅を実現するために特定のアッセイでの使用向けに設計された特定のユニバーサルプライマー対用に増幅反応を最適化することができる。当業者に公知のように、増幅プライマーの結合部位(又はそれらの相補体)は増幅する核酸の領域のに連結される。
上記のように、多重反応では「ユニバーサル」プライマーを一対だけ使用して、増幅法における伸長反応を起動することが最も望ましい。よって、一プライマー対を使用して、プライマー結合部位によって区分された異なる核酸配列それぞれを増幅することができる。もちろん、1より多いプライマー、増幅する異なる核酸種1種あたり1以上のプライマー対であっても使用することができる。他の実施形態では、単一プライマー種を使用して、フォワード又はリバース鎖の特定のアンプリコンの合成を誘導することができる。その際、結合部位(又はその相補体)は、増幅する異なる核酸種各々の一方の末端の側面に位置するように存在する。プライマー対のもう一方のプライマーは、増幅中の特定の核酸に特異的である。そのような実施形態では、各プライマー対はそれ自体、ユニバーサルプライマーと特定の核酸に特異的なプライマーを含んでなる。必要に応じて、増幅プライマーに、固相支持体上に固定することができる官能基、例えば、ビオチン又はジゴキシゲニンも含めてもよい。得られたアンプリコンは、その後、必要に応じて他の反応成分から単離することができる。
本明細書の他の場所に記載するように、本発明の方法は、多重形式により用いることが好ましい。そのような形式の好ましい例において、検出すべき標的分子は各々、異なるコンポマー種と関連がある、すなわち、特定のアッセイでは各コンポマーにより特定の標的分子が固有に同定される。その様なものとして互いについて比べると、標的検出試薬種は各々、異なる標的結合部分と異なるコンポマー鋳型を含む。したがって、特定のコンポマーを後で検出することにより、コンポマーと関連がある標的分子がサンプル中に存在したということが間接的に示される。
もとろん、そのような一標的/一コンポマーの実施形態に加えて、他の実施形態も想定される。例えば、本発明は、1種類以上の標的分子種を含むサンプルを複数の標的検出試薬(それらの標的検出試薬のうちの2種類以上のものが、標的分子種に対する、同じコンポマー種をコードするコンポマー鋳型を含んでなる)と接触させる実施形態も想定する。よって、特定のコンポマー種を後に検出することにより、試験サンプル中にコンポマーと関連があるいくつかの標的のうち1種類以上が存在したということが示される。そのような結果をさらなる実験又は統計解析によりデコンボリューションして、どの標的分子がサンプル中に存在していたのかを判断してもよい。他の実施形態では、本方法は、特定の標的についての複数の異なる標的検出試薬(標的結合部分には違いはないが、コンポマー鋳型において異なる)を用いてサンプルを試験することを含む。従って、標的検出試薬は、同じ標的分子を標的とし、特定の標的と関連があるコンポマーのいずれか、いくつか又はすべてを後に検出することにより、サンプル中に標的が存在したということが示される。
D.コンポマーの検出
コンポマーは、特定のアッセイで生成する可能性のある1種類以上のコンポマー種を検出するのに好適な任意の検出法を用いて検出することができるが、特定のアッセイにおいて可能な多重化のレベルは異なり得る。この目的に使用することができる検出システムの代表的な例としては、質量分析、電気泳動、クロマトグラフィー、核酸ハイブリダイゼーション及びNMRが挙げられる。コンポマー種の識別に有用な規定の特徴が質量に関係する場合には、質量分析が特に好ましい検出であるが、当業者ならば分かるように、当技術分野で公知の他の検出システムも、本明細書に基づいて本発明の実施用に容易に適合させることができる。このようなことから、以下の説明では質量に着目しているが、当然のことながら本発明の範囲は質量に基づく検出システム及び技術に限定されない。本発明において用いるのに好ましい質量分析計形式は、エレクトロスプレー(ES)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)及びフーリエ変換である。ESでは、水又は揮発性バッファーに溶かしたサンプルを、大気圧イオン化インターフェース(API)に連続的又は不連続的に注入した後、四重極により質量を分析する。ES質量分析を用いて得ることができるイオンピークが多数出現すれば、質量決定の精度が高まる。特定の構造に関するさらに詳細な情報は、MS/MS四重極型の機器構成を用いることによって得ることができる。MALDI質量分析では、種々の質量分析装置、例えば、シングル又はトリプル四重極モード(MS/MS)の磁場/磁場偏向型装置、フーリエ変換型及び飛行時間型(TOF)の機器構成を使用することができる。脱離/イオン化法では、任意の好適なマトリックス/レーザー組み合わせを使用することができる。イオントラップ及びリフレクトロン型機器構成も使用することができる。現在のところ、MALDI-TOF質量分析がもっとも好ましい。質量分析やコンポマーを検出する他の方法については、例えば、米国特許第5,118,937号;同第5,202,561号;同第5,464,985号;同第5,547,835号;同第5,605,798号;同第5,622,824号;同第5,691,141号;同第5,777,324号;同第5,864,137号;同第5,869,242号;同第5,919,646号;同第5,922,542号;同第5,928,906号;同第6,024,925号;同第6,043,031号;同第6,051,378号;同第6,090,558号;同第6,104,028号;同第6,111,251号;同第6,194,144号;同第6,197,498号;同第6,207,370号;同第6,221,601号;同第6,221,605号;同第6,225,450号;同第6,235,478号;同第6,238,871号;同第6,258,538号;同第6,268,131号;同第6,268,144号;同第6,277,573号;同第6,300,076号;同第6,322,970号;同第6,379,917号;同第6,387,628号;同第6,423,966号;同第6,428,955号;同第6,436,635号;同第6,440,705号;同第6,458,945号;同第6,468,748号;同第6,475,736号;同第6,500,621号;同第6,500,650号;同第6,558,902号;同第6,566,055号;同第6,566,059号;同第6,582,923号;同第6,589,485号;同第6,602,662号;同第6,610,492号;同第6,635,452号;同第6,660,229号;同第6,706,530号;及び同第6,723,564号、並びに共同所有する米国特許出願番号第09/839,629号(公開番号20020155587)及び同第10/128,680号(公開番号20030033091)に記載されている。
質量分析(例えば、質量分析による)の前に、揮発に必要なレーザーエネルギーを低減し、かつ/又は断片化を最小限に抑えるように核酸分子を「調整する」ことが有用である場合がある。調整は、標的検出部位を固定して行うことが好ましい。調整の一例としては、核酸分子のホスホジエステル主鎖の改変(例えば、陽イオン交換)があるが、これはヌクレオチド単位当たりに結合する陽イオンの不均一性によるピークの広がりをなくすのに有用である。核酸分子をアルキル化剤(例えば、ヨウ化アルキル、ヨードアセトアミド、[β]-ヨードエタノール又は2,3-エポキシ-1-プロパノール)と接触させることにより、核酸分子のモノチオリン酸ジエステル結合をホスホトリエステル結合に変換することができる。あるいは、ホスホジエステル結合を、塩化トリアルキルシリルを使用して非荷電誘導体に変換してもよい。さらなる調整では、脱プリン反応に対する感受性の低いヌクレオチド、例えば、N7-若しくはN9-デアザプリンヌクレオチド又はRNA構成要素を組み込むか、あるいはオリゴヌクレオチドトリエステルを使用するか、あるいはアルキル化したホスホロチオエート官能基を組み込むか、あるいはオリゴヌクレオチドミメティクス、例えば、ペプチド核酸(PNA)を使用することを必要とする。
E.用途
標的検出試薬とそれらがコードするコンポマーには、種々の用途がある。例えば、標的結合部分は、タンパク質及び核酸などの特定の既知生体分子を標的とすることができる。特に好ましい標的分子は、疾患又は障害などの特定の状態の原因とまではいかなくても、その特定の状態と関係があることが分かっているものである。標的分子に特異的な標的検出試薬が標的分子と結合した後に、コンポマー鋳型からコンポマーを生成させることができる。その後、適合する検出システムを用いてコンポマーを検出することができ、その検出により、特定の標的分子の存在が間接的に示される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、現在分かっている4,000種類を超えるヒトの、遺伝性の遺伝疾患(例えば、血友病、サラセミア、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病及び嚢胞性繊維症(CF))のいずれもを含む任意の既知遺伝的変異を検出するために使用することができる。特定の遺伝的変異、例えば、いくつかのSNPについては、特定の疾患と関連があることが分かっている。本方法により、SNPや点突然変異(それらのいくつかは、例えば、特定の疾患の発生若しくは素因、特定の薬物に対する無応答性若しくは副作用などと関連がある)の検出に加えて、染色体異常(例えば、21トリソミー、13トリソミー、18トリソミー、モノソミーX、及びクラインフェルター症候群などの他の性染色体異数性)によって起こる特定の先天的欠損症の原因になるものを含む他の遺伝的変異も検出することができる。本発明に従って検出することができるさらに他の遺伝的変異には、欠失、重複、挿入及び再配列が含まれる。加えて、染色体や染色体外エレメントの遺伝子及び非コード領域の修飾(例えば、メチル化などの化学修飾)も含まれる。RNAプロセシング及び遺伝子転写の違いも本方法を使用して研究することができる。
ウイルス、細菌、真菌及び他の病原体は、宿主生物の核酸配列と識別することができる核酸配列を含む。感染性生物に特異的な核酸配列又は他の生体分子(例えば、タンパク質、酵素、細胞壁成分など)の検出又は定量は、感染症の治療を診断又はモニタリングするのに重要となる。ヒト及び動物に感染する病原ウイルスの例としては、レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2など)、並びにネコ白血病ウイルス);ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス及びエコーウイルス;カリシウイルス(calciviruses)(例えば、胃腸炎の原因となる系統);トガウイルス(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラウイルス(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス;ラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス);オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス);ブンヤウイルス(bungaviruses)(例えば、ハンターンウイルス、ブンヤウイルス(bungavirus)、フレボウイルス及びナイロウイルス);アレナウイルス(例えば、出血熱ウイルス);レオウイルス(例えば、レオウイルス、オルビウイルス及びロタウイルス);ビルナウイルス;ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス);パルボウイルス;パポバウイルス(例えば、乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス;ヘルペスウイルス(例えば、1型及び2型単純疱疹ウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス(例えば、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス(例えば、豚コレラウイルス);デルタ肝炎の病原体;C型肝炎ウイルス;ノーウォークウイルス及び関連ウイルス;並びにアストロウイルスが挙げられる。
感染性細菌の例としては:ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、種々のマイコバクテリア(Mycobacteria)種(例えば、M.ツベルクロシス(M. tuberculosis)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.カンサシイ(M. kansaii)、M.ゴルドネ(M. gordonae))、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ネイセリア・ゴノロア(Neisseria gonorrhoeae)、ネイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(Streptococcus)(ビリダンス群)、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌(Streptococcus)(嫌気性種)、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumoniae)、病原体カンピロバクター種(Campylobacter species)、腸球菌(Enterococcus)種、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、バチルス・アントラシス(Bacillus antracis)、コリネバクテリウム・ジフテリア(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム(corynebacterium)種、エリシペロスリックス・ルーシオパシー菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テンタニ(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アイロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス(Bacteroides)種、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponemapallidium)、トレポネーマ・ペルテヌ(Treponema pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)及びアクチノマイシス・イスラエリ(Actinomyces israelii)が挙げられる。
感染性真菌の例としては、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が挙げられる。その他の感染性生物(例えば、原生生物)としては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及びトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が挙げられる。
本発明の標的検出試薬は、検出すべき標的生体分子に特異的な標的結合部分を含んでなる。分かるように、標的結合部分は、検出すべき標的分子によって異なる。例えば、標的分子が核酸分子である場合には、標的検出試薬の標的結合部分は、ポリヌクレオチド(例えば、標的核酸の標的領域を含んでなるヌクレオチドの塩基との塩基特異的ハイブリダイゼーションが可能なサブユニットからなる合成オリゴヌクレオチド又は他の分子)であることも好ましい。あるいは、標的分子がタンパク質である実施形態では、好適な標的結合部分が得られる好ましい分子の種類は、抗体(又はその抗原結合部分)である。
上記のように、本発明の特定の好ましい実施形態は、特定の標的核酸分子の検出に関する。臨床サンプル内の感染性病原体の検出、ゲノムDNA又はRNA若しくはメッセージRNAから得られた増幅産物の検出、クローン内の遺伝子(cDNA)インサートの検出、核酸分子のメチル化又は他の修飾の検出、mRNAスプライシング及び/又は編集の違いの検出などを含む、特定の核酸を検出する理由は様々である。分かるように、標的核酸の検出では、標的検出試薬を調製し、コードされたコンポマーを遊離させ、検出するための本明細書に記載の方法の1つ又は任意の組み合わせを使用してよい。必要に応じて、本発明の他の実施形態、例えば、コンポマー鋳型と、反応条件下で標的ポリペプチドと特異的に反応する抗体を含んでなる標的結合部分を含む標的検出試薬を用いた標的ポリペプチドの検出においてもそうであるように、さらに検出したコンポマーの量を定量してもよい。核酸の検出に関し、これらの方法の多くでは、(特定の標的検出部分も含んでいる標的検出試薬のコンポマー鋳型によってコードされる)コンポマーの合成のための必要条件として、標的特異的プローブ(すなわち、標的検出部分)の使用を含む。サンプル中に標的材料がわずかな量しか存在しない可能性があるか、又はわずかな量のサンプルしか入手できない場合では、増幅技術を使用して、コンポマー鋳型の数を増やすことができる。
上記のように、コンポマーを使用する標的検出法を利用する利点は、多くの標的分子種の存在について同時にアッセイする能力である。存在する蛍光性発色団によって生じる重複スペクトルが広域なため、蛍光多重化の上限は、約10種類の異なる標識である可能性が最も高い。MALDI-TOF質量分析計又は直接レーザー脱離質量分析計又はエレクトロスプレー質量分析計では、数十、数百、数千もの異なるコンポマーの多重化が可能である。
特に好ましい実施形態は、一般に高い感受性を必要とする、単一塩基多型、すなわち、SNPなどの遺伝的変異体の検出を含む。そのような方法には、「ホットスポット」点突然変異の検出と既知SNP部位の塩基の同定が含まれる。そのような部位とハイブリダイズする標的特異的プローブを調製することができる。忠実度を高くするため、好ましいSNP特異的標的結合部分は、特定の標的分子の隣接領域とハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドを含んでなるものである。例えば、プローブの1つが、その3’末端の核酸塩基含有サブユニットが特定のSNPに対応するヌクレオチドとだけハイブリダイズするように、標的の一部と結合する。もう1つのオリゴヌクレオチドも、好ましくはその5’末端の残基が第1オリゴヌクレオチドの3’末端の残基と結合するように、標的とハイブリダイズする。標的核酸とこのようにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは、並置されたといわれる。このようにして、標的核酸分子の特定のヌクレオチド位置での種々の多型を識別するために、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドを提供することができるが、第2のオリゴヌクレオチドは、その標的配列に特異的であるのに対し、特定の遺伝的変異に対しては特異的ではない。もちろん、標的核酸上に並置された状態でハイブリダイズすることが可能な3つ以上のオリゴヌクレオチドを使用する実施形態も使用することができる。他の実施形態は、オリゴヌクレオチド対(又はより大型の群)を含み、それらでは、その群を含むオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション後に1つ以上のヌクレオチドにわたるギャップが生じる。そのような実施形態では、ギャップを埋め、それらのオリゴヌクレオチドを結合させて、好ましくは増幅後の、コンポマー生成に用いられる基質を形成するためにギャップフィリング反応が行われる。
好ましいSNP検出実施形態は、多くの遺伝的変異(例えば、SNP)を同時に検出するように、多数の異なる標的検出試薬の多重化を含む。コンポマーは、種々の変異体の1種類以上の検出を固有に表示するために存在することが好ましく、それらの変異体は標的検出試薬の特定のセット又はライブラリーを使用して検出することができる。
特定のアッセイの状況に応じて、本発明の方法を出生前又は出生後に行うことができ、死後に行うことさえできる。
本発明の方法には、サンプル中に1種類以上の特定の標的分子が存在するかどうかを検出することだけでなく、個体の遺伝子型決定や同一性又は遺伝(例えば、父子関係若しくは母子関係)の判定などの種々の用途がある。図8に示すように、特定のヌクレオチド位置での遺伝的変異を評価することができる(特定の2倍体ゲノム(その関連部分がサンプル中に存在する場合)が特定の対立遺伝子変異のホモ接合体であるか、又はヘテロ接合体であるかの判定など)。
もう1つの用途は、遺伝子発現のモニタリングに関する本発明の実施形態に関連する。そのような実施形態では、異なる標的検出試薬を用いて、特定の細胞培養物で発現している遺伝子に独特のコンポマーを検出する。これらのコンポマーは特定の遺伝子のmRNA存在量のレベルに関係した濃度で存在する。標的核酸は、一般にmRNA又は一本鎖cDNA、並びに増幅核酸産物を含む。そうしたものとして、標的核酸は、それらのmRNA存在量のレベルに関係した濃度で存在するはずである。必要に応じて、増幅を利用して、細胞サンプルのmRNAプールのサブセットを選択的に増幅して、それらの遺伝子についての検出シグナルを増加させてもよいし、増幅したサブセット以外の遺伝子のバックグラウンドを引き下げてもよい。本発明の他の方法と同様に、そのような方法では、一般に、特定の標的分子と関連があるコンポマー種を後に検出することにより、目的の遺伝子がサンプルにおいて発現していることが間接的に示されるように、目的の遺伝子(又はその部分)各々に対する標的検出試薬を使用する。
本明細書において開示し、特許請求する組成物及び方法のすべては、本開示内容に照らして、必要以上に実験を行うことなく作製し、実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、組成物及び方法、並びに本明細書に記載する方法の工程又は工程の順序を、本発明の概念、本質及び範囲を逸脱することなく変更することができることは当業者には明らかである。より詳しくは、本明細書に記載する薬剤の代わりに、化学的にも生理的にも関連している特定の薬剤を用いてもよく、その場合に同じ又は同様の結果が得られるであろうことは明らかである。当業者には明らかな、そのようなすべての類似代替物及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の本質、範囲及び概念の範囲内であると見なされる。
本明細書において記載するすべての特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野における通常の技術を有する人の水準を示す。すべての特許及び刊行物は、個々の刊行物が引用することにより一部とされることを具体的かつ個別に示す場合と同程度に、引用することにより本明細書の一部とされる。
本明細書において例示的に記載された本発明は、本明細書において具体的に開示されていないいずれの要素がなくとも適宜実施することができる。よって、例えば、本明細書においていずれの場合においても「含んでなる」、「から本質的になる」及び「からなる」はいずれも、他の2つの用語のうちのいずれかと置き換えることができる。使用した用語及び表現は説明のために用いたものであって、限定するものではない。また、このような用語及び表現は、示し、記載した特徴又はその一部の均等物を排除する意図はなく、特許請求する本発明の範囲内で種々の変形が可能であるものと考えられる。よって、本発明を好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者ならば本明細書において開示する概念の変形や変更を行うことができ、このような変形や変更も添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると見なされると理解すべきである。
添付の図面は、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の特定の態様及び実施形態をさらに明らかにするために含められる。本明細書において示す特定の実施形態の詳細な説明とともにこれらの図面の1以上を参照することによって、本発明をよりよく理解することができる。
図1は本発明の標的検出試薬の一般構造を図示する。示すように、標的検出試薬は標的結合部分(TBM)と結合されたコンポマー鋳型(CT)を含んでなる。CT-TBM結合(X)は、コンポマー鋳型と標的結合部分それぞれの反応性基間で直接的なものであってもよいし、又はコンポマー鋳型と標的結合部分の間に配置されるリンカー分子(又は分子群)を介するものであってもよい。種々の成分間の結合は共有結合であることが好ましい。
図2は本発明の標的検出試薬のコンポマー鋳型の一般構造を図示する。この典型的な図において、コンポマー鋳型は、コンポマーコード領域とターミネーターを含んでなるが、ターミネーター領域は任意のエレメントであると理解される。含まれる場合、ターミネーターは、コードされるコンポマーの末端を厳密に定義することが可能である。ターミネーター領域の例としては、(さらなるサブユニットが未完成コンポマー、切断可能な基質、又はターミネーターサブユニット以外の他の中間体、例えば、ジデオキシヌクレオチドに付加することがないように)ターミネーターサブユニット、切断塩基などを含んでなるものが挙げられる。ターミネーター領域を含むコンポマー鋳型ライブラリーの各メンバーが同じターミネーターをコードするようにし、そうすることによって、例えば、ターミネーター領域の、例えば、切断塩基の切断による除去を促進することが好ましい。コンポマー鋳型は、酵素的方法をはじめとする好適な化学により重合することができるサブユニットからなる。コンポマー鋳型のサブユニットは、規定の特徴を有するコンポマーを生成させるための鋳型としての役割を果たす。
図3は、本発明のコンポマー鋳型の特定の好ましい実施形態を図示する。これらの実施形態では、コンポマー鋳型は、所望により、ターミネーター並びに、コンポマーコード領域の前にこの図において「Y」で表される一領域を含む場合がある。含まれる場合、Y領域は、1個以上のサブユニット、例えば、核酸塩基サブユニットも含む。これらのさらなるサブユニットは、Y領域が存在する場合には、コンポマーコード領域のサブユニット(例えば、コンポマーコード領域が核酸塩基サブユニットを含んでなる場合には核酸塩基サブユニット)と同種類のものであることが好ましい。分かるように、種々のコンポマー鋳型のコンポマー定義領域間の違いによってある種が別の種と識別され、最終的にはそれによってコードされる異なるコンポマー種を他のものと識別することができる。
図4は、図3に示したものに基づいた本発明のコンポマー鋳型の好ましい種類を図示する。ここでは、さらなるエレメント、プロモーター-又はプライマー結合部位-コード領域(又はプライマー結合部位とプロモーターの両方を含む領域)を示している。コンポマー鋳型がプロモーターをコードする実施形態では、必要に応じて、その鋳型が、最終的に転写開始に必要なさらなる配列(ここでは、「Y」領域と表す)もコードする。
図5は、図3に示したものと類似した本発明のコンポマー鋳型の式の好ましい実施形態を図示し、この図において、コンポマー定義領域が式Axyz(式中、xは0〜5の範囲であり、かつy及びzは、各々独立に、0〜10の範囲である)によって定義される核酸塩基サブユニット配列の例を1〜5個含むように定義される点が違っている。
図6は、既存の成分ライブラリーのメンバーからの複数の異なる標的検出試薬種の構築を説明する代表的な例を図示する。この図に示すように、ただ1つのコンポマー鋳型ライブラリーはコンポマー鋳型種1、2、3〜n(CTl、CT2、CT3〜CTn)を含み、標的結合部分ライブラリー1はx種の標的結合部分(番号TBMl-1、TBM1-2、TBM1-3〜TBM1-x)(それらの各々は異なる標的核酸(例えば、異なる遺伝的変異)を標的とする)を含み、そして標的結合部分ライブラリー2はy種の標的結合部分(番号TBM2-1、TBM2-2、TBM2-3〜TBM1-y)(それらの各々は異なるポリペプチド種、例えば、疾患に関連したタンパク質を標的とする)を含む。示した5種類の標的検出試薬種にどの標的結合部分を含めるかは、アッセイで検出すべき標的分子によって異なる。ここでは、標的分子種のうち4種類が核酸であり、5種類目の種がポリペプチドである。(アッセイすべき特異的な標的に基づいて)どの標的結合部分を使用するかを決定した後、どのコンポマー鋳型を使用するか、そしてコンポマー鋳型とそれに対応する標的結合部分との結合にリンカー(L)を使用するかどうかについて決定する。こうして、5種類の標的検出試薬(TDR1-5)が構築される。各コンポマー種の規定の特徴は、特定の標的の同一性とは関係がないため、コンポマー鋳型は、標的配列、構造などには関係なく、標的結合部分を用いて構築される。しかし、特定のコンポマー鋳型と特定の標的結合部分から標的検出試薬を構築することによりコンポマーが特定の標的と関連付けられ、その逆もまた同様である。
図7は、本発明のコンポマー鋳型のいくつかの特に好ましい実施形態を模式的に示す。これらの実施形態各々では、コンポマー鋳型は、プロモーター(3つのコンポマー鋳型ではT7プロモーター、別の3つのコンポマー鋳型ではSP6プロモーター)、転写開始コドン、コンポマー特異性領域(すなわち、特定の分析の検出段階中にコンポマー種が識別できるように操作された種々のコンポマー種の領域)及び切断塩基をコードする。そのようなコンポマー鋳型及びそれらがコードするコンポマーは、特にMALDI検出システムを組み合わせたときに、極めて高いレベルの多重化をもたらす。この図に示す実施形態では、各コンポマーは、1〜3個の異なるヌクレオチドサブユニット種を含み、切断塩基はコンポマー領域にはないヌクレオチドサブユニットを含む。特定のライブラリー内では、各コンポマー鋳型種(それゆえにコードされるコンポマー)のコンポマー特異性領域は、ライブラリー内の他の種のものとは異なっているということを理解した上で、各コンポマーにおいて、k、x、y及びzは、独立に、0〜1,000又はそれ以上、一般に0〜100、好ましくは0〜50の範囲の整数から選択される。この図は、特定の好ましい実施形態において、結果として得られるコンポマーを質量修飾サブユニットを含むように操作してもよい(ここでは代表としてメチル化C残基、「Cme」を示す)ことも示している。
図8は、一連の本発明の標的検出試薬種を示し、それらの標的検出試薬種各々は第1及び第2オリゴヌクレオチドを含んでなる。この例に示すように、2つの種の第1オリゴヌクレオチドを使用して、ゲノムDNAにおける単一ヌクレオチド転移(すなわち、標的核酸の特定のヌクレオチド位置におけるA又はG間の違い)を特徴付けることができる。あるサンプル中にどちらの対立遺伝子(A又はGを含む)が存在しているかは、第2オリゴヌクレオチドの5’サブユニットを、Aを含む対立遺伝子又はGを含む対立遺伝子のいずれかと相補的である第1オリゴヌクレオチドの3’サブユニットと結合させることにより決定することができる。第1及び第2オリゴヌクレオチドを結合する場合(例えば、連結により)、得られる標的検出試薬は、標的検出試薬に存在するプライマー結合部位と相補的であるユニバーサルプライマー対(「ユニバーサルプライマー2」及び「ユニバーサルプライマー1」と示す)を用いて増幅することができる。
図9Aは、例えば、線形軸方向TOF質量分析を用いて、本発明のアッセイで生成するコンポマーを検出することにより得られる可能性のある模擬質量スペクトルを示す。この代表的な例に示すように、85種類の容易に識別されるコンポマー(それらの式、長さ及び質量を図9Bに示す)は、標準又は自然の同位体分布を有するリボヌクレオチドから合成することができる。この典型的なライブラリーに代表的なコンポマー種は、式:(rAxrGyzrC1(式中、zは3〜30であり、かつz=x+y)により表すことができる。これらのコンポマー種はrA及びrGサブユニットの一方又は両方を含んでなり、各々の種は切断塩基(この場合、各コンポマーの3’末端に1個のrC、この切断は、例えば、RNアーゼA消化によって行われる)を含む。この例に示すもののようなRNAに基づくコンポマーは、例えば、in vitro転写反応によるその対応する切断鋳型の転写によって作製することができる。図のように、ここに示す85メンバーのコンポマーライブラリーは、質量領域2500Da〜10000Da、質量分解能(mr)1500Daにおいて450、4000Daにおいて650及び6000Daにおいて850を用いる線形軸方向TOF質量分析による検出用に設計されたものである。ライブラリーを設計する際、塩付加物の位置(Na及びK)を考慮し、結果の誤った解釈が起こる可能性のある他のコンポマー種とあまりにも類似した質量の、塩付加物を有するコンポマーを排除するようにライブラリーを操作した。二重荷電質量シグナルも考慮し、これにより交絡質量を有する可能性があるコンポマー種も設計段階でライブラリーから排除した。 図9Aは、例えば、線形軸方向TOF質量分析を用いて、本発明のアッセイで生成するコンポマーを検出することにより得られる可能性のある模擬質量スペクトルを示す。この代表的な例に示すように、85種類の容易に識別されるコンポマー(それらの式、長さ及び質量を図9Bに示す)は、標準又は自然の同位体分布を有するリボヌクレオチドから合成することができる。この典型的なライブラリーに代表的なコンポマー種は、式:(rAxrGyzrC1(式中、zは3〜30であり、かつz=x+y)により表すことができる。これらのコンポマー種はrA及びrGサブユニットの一方又は両方を含んでなり、各々の種は切断塩基(この場合、各コンポマーの3’末端に1個のrC、この切断は、例えば、RNアーゼA消化によって行われる)を含む。この例に示すもののようなRNAに基づくコンポマーは、例えば、in vitro転写反応によるその対応する切断鋳型の転写によって作製することができる。図のように、ここに示す85メンバーのコンポマーライブラリーは、質量領域2500Da〜10000Da、質量分解能(mr)1500Daにおいて450、4000Daにおいて650及び6000Daにおいて850を用いる線形軸方向TOF質量分析による検出用に設計されたものである。ライブラリーを設計する際、塩付加物の位置(Na及びK)を考慮し、結果の誤った解釈が起こる可能性のある他のコンポマー種とあまりにも類似した質量の、塩付加物を有するコンポマーを排除するようにライブラリーを操作した。二重荷電質量シグナルも考慮し、これにより交絡質量を有する可能性があるコンポマー種も設計段階でライブラリーから排除した。 図9Aは、例えば、線形軸方向TOF質量分析を用いて、本発明のアッセイで生成するコンポマーを検出することにより得られる可能性のある模擬質量スペクトルを示す。この代表的な例に示すように、85種類の容易に識別されるコンポマー(それらの式、長さ及び質量を図9Bに示す)は、標準又は自然の同位体分布を有するリボヌクレオチドから合成することができる。この典型的なライブラリーに代表的なコンポマー種は、式:(rAxrGyzrC1(式中、zは3〜30であり、かつz=x+y)により表すことができる。これらのコンポマー種はrA及びrGサブユニットの一方又は両方を含んでなり、各々の種は切断塩基(この場合、各コンポマーの3’末端に1個のrC、この切断は、例えば、RNアーゼA消化によって行われる)を含む。この例に示すもののようなRNAに基づくコンポマーは、例えば、in vitro転写反応によるその対応する切断鋳型の転写によって作製することができる。図のように、ここに示す85メンバーのコンポマーライブラリーは、質量領域2500Da〜10000Da、質量分解能(mr)1500Daにおいて450、4000Daにおいて650及び6000Daにおいて850を用いる線形軸方向TOF質量分析による検出用に設計されたものである。ライブラリーを設計する際、塩付加物の位置(Na及びK)を考慮し、結果の誤った解釈が起こる可能性のある他のコンポマー種とあまりにも類似した質量の、塩付加物を有するコンポマーを排除するようにライブラリーを操作した。二重荷電質量シグナルも考慮し、これにより交絡質量を有する可能性があるコンポマー種も設計段階でライブラリーから排除した。 図9Aは、例えば、線形軸方向TOF質量分析を用いて、本発明のアッセイで生成するコンポマーを検出することにより得られる可能性のある模擬質量スペクトルを示す。この代表的な例に示すように、85種類の容易に識別されるコンポマー(それらの式、長さ及び質量を図9Bに示す)は、標準又は自然の同位体分布を有するリボヌクレオチドから合成することができる。この典型的なライブラリーに代表的なコンポマー種は、式:(rAxrGyzrC1(式中、zは3〜30であり、かつz=x+y)により表すことができる。これらのコンポマー種はrA及びrGサブユニットの一方又は両方を含んでなり、各々の種は切断塩基(この場合、各コンポマーの3’末端に1個のrC、この切断は、例えば、RNアーゼA消化によって行われる)を含む。この例に示すもののようなRNAに基づくコンポマーは、例えば、in vitro転写反応によるその対応する切断鋳型の転写によって作製することができる。図のように、ここに示す85メンバーのコンポマーライブラリーは、質量領域2500Da〜10000Da、質量分解能(mr)1500Daにおいて450、4000Daにおいて650及び6000Daにおいて850を用いる線形軸方向TOF質量分析による検出用に設計されたものである。ライブラリーを設計する際、塩付加物の位置(Na及びK)を考慮し、結果の誤った解釈が起こる可能性のある他のコンポマー種とあまりにも類似した質量の、塩付加物を有するコンポマーを排除するようにライブラリーを操作した。二重荷電質量シグナルも考慮し、これにより交絡質量を有する可能性があるコンポマー種も設計段階でライブラリーから排除した。
図10は、標的結合部分がコンポマー鋳型と結合する抗体を含んでなる標的検出試薬の種類を示す。そのような結合はリンカーを伴う場合があるが、共有結合であることが好ましい。標的検出試薬が1つのプライマー結合部位をコードする場合(パネルB)又は2つのプライマー結合部位をコードする場合(パネルC)の実施形態も示しているが、それらの部位は、コードされるコンポマー(又は切断可能な基質)の生成前にそれらの部位に隣接したコンポマー鋳型を増幅するために使用される。

Claims (8)

  1. サンプルが標的分子を含むかどうかを判定する方法であって、以下の:
    a)反応条件下で、上記標的分子を含むことが疑われるサンプルを標的検出試薬と接触させて、試薬:標的複合体を形成させる工程、ここで当該標的検出試薬は、上記標的分子と特異的に反応する標的結合部分;及び当該標的結合部分に連結されたコンポマー鋳型、又はその相補体を含むものであり、ここで当該コンポマー鋳型は、コンポマーを含む切断可能な基質をコードする核酸分子であって、標的物質と関連があるが、当該標的分子と直接結合するわけではなく、かつ1、2又は3のサブユニットのみを含むコンポマーと、1又は複数のサブユニットを含む該切断可能な基質の他の部分とを供に含む、上記切断可能な基質をコードする核酸分子であり、ここで1又は複数のサブユニットのうち少なくとも1つは当該コンポマー内に存在せず、コンポマーがその位置で切断されて遊離可能であり
    b)形成したならば、試薬:標的複合体を用いて、コンポマー鋳型から切断可能な基質を生成させる工程、
    c)該切断可能な基質を切断して、コンポマーを生成させる工程、そして
    d)コンポマーが生成したかどうかを、質量分析法によりコンポマーを同定することによって判定し、それにより上記サンプルが上記標的分子を含むかどうかを判定する工程
    を含む、前記方法。
  2. 前記切断基質が、化学的、物理的、及び酵素的プロセスからなる群から選ばれるプロセスにより切断される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コンポマー鋳型が、コンポマーを最低限コードするコード領域に作動可能なように連結されたプロモーター領域を含む転写ユニットを含む核酸分子を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記プロモーター領域が、細菌のプロモーター領域、バクテリオファージプロモーター領域、ウイルス及び真核プロモーター領域からなる群から選ばれる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記プロモーター領域が、T7、SP6、及びT3プロモーター領域からなる群から選ばれるバクテリオファージプロモーター領域である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記コンポマーが、2500〜10000ダルトンの分子量範囲で同定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記標的分子が、同一種のメンバー間で遺伝的バリエーションのソースからなる群から選ばれる核酸であり、かつ化学的に改変された核酸分子である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記サブユニットが、核酸塩基サブユニットを指す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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