JPWO2015137227A1 - 藻類増殖抑制装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を用いて閉鎖性水域中の藻類の増殖を効果的に抑制可能な藻類増殖抑制装置及び方法を提供する。【解決手段】本発明の藻類増殖抑制装置は、下部に酸素を含む気体を導入可能とされる気体導入部及び水を導入可能とされる水導入部が形成され、上部に少なくとも前記気体を排出する気体排出部が形成される筒状の反応槽と、前記気体排出部から排出される前記気体が管内に通気されるように一端側が前記気体排出部に接続されるとともに他端側が水面から突出可能に延在される脱気管と、前記反応槽内に配設され、藻類の増殖に必要な金属を酸化させる微生物を担持可能な微生物担持体とを有し、前記反応槽及び前記脱気管の一端側の少なくともいずれかが、前記反応槽内を浮上する前記気体の流れにより発生する鉛直上方水流の水流方向を鉛直上方から傾斜させて前記水流を水域中に排出する水流方向規制部を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、ダム貯水池や湖沼などの閉鎖性水域における藻類の増殖を抑制する藻類増殖抑制装置及び方法に関する。
閉鎖性水域に藻類が増殖すると、景観が悪くなるほか、腐敗により、悪臭を放ったり、その閉鎖性水域を水道水の水源としているような場合には、水道水から異臭味がしたりする問題が生ずる。
こうしたことから、閉鎖性水域における藻類の増殖を抑制する手法が種々提案されている。
例えば、ダム貯水池内で浅層曝気循環を行い、曝気の気泡により、水温躍層を動的に破壊して、表層の水温を低下させるとともに、藻類を有光層よりも深い位置に引き込むことにより、藻類の異常増殖を抑制する手法が提案されている。しかしながら、このような手法では、十分な効果を挙げていない例が多く見られる。
そのため、本発明者らは、これまで藻類の増殖に必要な金属類を酸化させる微生物を自然発生的に担持させることが可能な担持体を収容する反応槽と、該反応槽を曝気する曝気手段とを有する処理装置を閉鎖性水域の表層に設置する方法を提案している(特許文献1参照)。
この手法は、閉鎖性水域の表層に存在する金属類を酸化して沈降させ、これを藻類が利用できなくすることにより、間接的に藻類の増殖を抑制する方法に係り、閉鎖性水域の表層に滞在する藻類への栄養源を断つことを想定している。しかしながら、閉鎖性水域の表層に存在する金属類の酸化により、その濃度を低下させることだけでは、藻類の増殖を十分に抑制できないことが分かってきた。即ち、閉鎖性水域において、水温躍層により表層との水混合が妨げられている底層は、嫌気性になると底泥から金属類が溶出して高濃度に蓄積するが、藻類の中には、夜間に閉鎖性水域の底層に沈降していると考えられる生態を有するものがあり、閉鎖性水域の表層で利用できない金属類を閉鎖性水域の底層に沈降して利用することが可能となる。
ところで、閉鎖性水域の底質が有機質、窒素、リンなどを多く含むことに着目し、底質近傍に溶存酸素を供給することで底質からの栄養塩の溶出を抑制して水域全体が富栄養化することを抑制する方法が提案されている。また、微生物が定着可能な担持体等を有する構造体を閉鎖性水域の底層に配し、この構造体に水面上から取り入れた空気を送気する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2009−207986号公報 特開2003−236583号公報
しかしながら、溶存酸素を供給して底層での栄養塩の酸化還元状態を制御する方法に関しては、高出力の送気装置が必要となり、運転コストが嵩む問題がある。また、微生物を用いた方法に関しては、水域全体で水流が循環し、藻類の増殖を十分に抑制できない問題がある。後者の問題について図1を用いてより詳しく説明する。図1は、従来の方法に準じて、底層に藻類増殖抑制装置を設置して藻類の増殖を抑制する場合の状況を説明する説明図である。なお、ここでは、藻類の栄養源として、底質からの溶出金属を想定する。
図1に示すように藻類増殖抑制装置100は、閉鎖性水域40の底質上に設置される。また、藻類増殖抑制装置100は、筒状の反応槽を有し、反応槽内には、微生物を担持可能な担持体が配される。前記微生物は、送気装置20の送気により前記反応槽の筒底から導入される空気中の酸素を利用して水中の金属イオンを酸化させ、その金属酸化物を放出する。前記筒底から前記反応槽内に導入される空気は、気泡となって前記反応槽の上方から水面に向かって浮上し、この気泡の浮上に伴い、鉛直上方への水流(鉛直上方水流)を形成する。
この際、前記微生物から放出された前記金属酸化物の多くは、自重により底質に向けて沈降することなく、前記鉛直上方水流とともに藻類30が滞留する水面側に連行され、水面側が富栄養化する。
その後、前記鉛直上方水流は、閉鎖性水域40内に拡散しつつ水流の発生源である藻類増殖抑制装置100に向けて表面側から下降するように閉鎖性水域40内を循環し、循環層50を形成する。
この際、藻類30に利用されなかった前記金属酸化物は、循環する水流に連行されるか自重により底層側に下降するが、底層に近づくにつれて貧酸素状態となるため、再び金属イオンに還元され、底質に沈降することなく、底質から溶出する金属イオンとともに再び藻類増殖抑制装置100による処理対象として循環するか、金属イオンとして表層側に拡散して藻類30の栄養源となり得る。いずれにしても、底質から溶出する金属イオンを金属酸化物として底質に沈降させることが不十分となる。
本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、微生物を用いて閉鎖性水域中の藻類の増殖を効果的に抑制可能な藻類増殖抑制装置及び方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下部に気体を導入可能とされる気体導入部及び水を導入可能とされる水導入部が形成され、上部に少なくとも前記気体を排出する気体排出部が形成される筒状の反応槽と、前記気体排出部から排出される前記気体が管内に通気されるように一端側が前記気体排出部に接続されるとともに他端側が水面から突出可能に延在される脱気管と、前記反応槽内に配設され、藻類の増殖に必要な金属を酸化させる微生物を担持可能な微生物担持体と、を有し、前記反応槽及び前記脱気管の一端側の少なくともいずれかが、前記反応槽内を浮上する前記気体の流れにより発生する鉛直上方水流の水流方向を鉛直上方から傾斜させて前記水流を水域中に排出する水流方向規制部を有することを特徴とする藻類増殖抑制装置。
<2> 脱気管の一端側が反応槽に向けてテーパ状に拡開される水流方向規制部とされるとともに、前記一端側が前記水流方向規制部で水流方向が鉛直上方から傾斜された鉛直上方水流が水域中に排出されるように前記反応槽との間に隙間を有する状態で気体排出部と接続される前記<1>に記載の藻類増殖抑制装置。
<3> 反応槽胴部の全部又は一部が水流方向規制部として通水可能に形成される前記<1>から<2>のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
<4> 微生物担持体が水流により転動自在に流動する多孔質性の籠体に収容されて反応槽内に配設される前記<1>から<3>のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
<5> 微生物が少なくともマンガンイオンを酸化させて酸化マンガンとする微生物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置を用いて、閉鎖性水域内の藻類増殖を抑制する藻類増殖抑制方法であって、脱気管の他端側を水面上に突出させるとともに反応槽の水導入部が前記閉鎖性水域の底質近傍に位置するように前記藻類増殖抑制装置を設置する設置工程と、前記反応槽の気体導入部から酸素を含む気体を導入して、前記気体を前記水導入部から導入される水とともに微生物に接触させる気体導入工程と、を含むことを特徴とする藻類増殖抑制方法。
<7> 設置工程が、反応槽の水導入部が前記閉鎖性水域の底質上0.2m〜1.0mに位置するように前記藻類増殖抑制装置を設置する工程である前記<6>に記載の藻類増殖抑制方法。
<8> 気体導入工程が、微生物担持体に微生物を自然発生的に定着させる工程を含む前記<6>から<7>のいずれかに記載の藻類増殖抑制方法。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、微生物を用いて閉鎖性水域中の藻類の増殖を効果的に抑制可能な藻類増殖抑制装置及び方法を提供することができる。
従来の方法に準じて、底層に藻類増殖抑制装置を設置して藻類の増殖を抑制する場合の状況を説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る藻類増殖抑制装置の概略構成を示す説明図である。 底層に本発明の一実施形態に係る藻類増殖抑制装置を設置して藻類の増殖を抑制する場合の状況を説明する説明図である。 本発明の他の実施形態に係る藻類増殖抑制装置の概略構成を示す説明図である。 図4(a)に示す藻類増殖抑制装置の特徴を説明するための部分拡大図である。 実施例で用いた籠体の概要を示す説明図である。 図5(a)に示す籠体を中央の開閉部で開封したときの構造を、矢印線上に沿って視たときの説明図である。 実施例で用いた微生物担持体の写真を示す図である。 実験の概要を説明する図である。 藻類種の定量結果を示す図である。 表層での藻類濃度の測定結果を示す図である。 底層でのDO濃度の経日変化を示す図である。 底層での溶存態窒素濃度の経日変化を示す図である。 表層での溶存態窒素濃度の経日変化を示す図である。 底層でのオルトリン酸態リン濃度の経日変化を示す図である。 表層でのオルトリン酸態リン濃度の経日変化を示す図である。 底層での全リン濃度の経日変化を示す図である。 表層での全リン濃度の経日変化を示す図である 底層での溶存態マンガン濃度の経日変化を示す図である。 表層での溶存態マンガン濃度の経日変化を示す図である。 底層での全マンガン濃度の経日変化を示す図である。 表層での全マンガン濃度の経日変化を示す図である。
(藻類増殖抑制装置)
本発明の一実施形態に係る藻類増殖抑制装置について図2を参照して説明する。なお、図2は、本発明の一実施形態に係る藻類増殖抑制装置の概略構成を示す説明図である。
図2に示すように藻類増殖抑制装置1は、反応槽3と脱気管7と籠体2a〜2cに収容された微生物担持体(不図示)とを有する。
なお、藻類増殖抑制装置1では、反応槽3を支持する支持部4を形成し、藻類増殖抑制装置1を底質60上に設置しているが、支持部4を形成せず、藻類増殖抑制装置を船上から吊下げ等することにより設置することもできる。
反応槽3は、胴部3a、上部3b及び下部3cで構成される全体略筒状の部材からなり、各部は、ステンレス鋼、樹脂材などで形成することができる。
下部3cは、例えば、網状のスクリーン部材とされ、反応槽3内に水を導入可能とされる。また、下部3cには、気体を導入可能な気体導入部5が形成される。この気体導入部5から導入される前記気体は、酸素を含む気体であり、純酸素ガスであってもよいが、運転コストを抑える観点から空気を用いることが好ましい。
上部3bは、例えば、下部3cと同様に網状の前記スクリーン部材とされ、気体導入部5から反応槽3内を浮上する前記気体及び浮上する前記気体の流れによって発生する鉛直上方水流を反応槽3外に排出可能とされる。また、上部3bは、反応槽3内から籠体2a〜2cが流出することを防止可能とする。
籠体2a〜2cは、反応槽3内に配され、前記鉛直上方水流により転動自在に流動可能とされる。また、籠体2a〜2cは、多孔質性とされ、例えば、ステンレス製の網状部材により形成される。これにより籠内に収容される前記微生物担持体に前記気体及び前記水が接触可能とされる。また、籠体2a〜2cが前記鉛直上方水流により転動自在に流動可能とされることで、収容される前記微生物担持体に対して、特定の部位に偏ることなく前記気体及び前記水が接触可能とされる。
前記微生物担持体としては、特に制限はないが、微生物が付着し易いようにある程度表面に凹凸があるものや多孔質のものが好ましい。また、籠体2a〜2c内で前記微生物担持体自身も流動させる観点から、比重が1程度の樹脂で形成されることが好ましい。また、体積に対して前記気体及び前記水との接触面積を大きくとるものが好ましく、例えば、中空円筒状の形状のものが好ましい。
また、前記微生物担持体に担持される微生物としては、藻類の増殖に必要な金属を酸化させる微生物であれば、特に制限はなく、従来から存在することが知られている金属酸化微生物を用いることができる。こうした微生物としては、人為的又は自然発生的に前記微生物担持体に定着させることができ、一定期間、好気環境下(前記気体の曝気下)で前記水と接触させることで大量に増殖させることができる。特に、前記藻類の増殖に関与する金属としては、マンガンが挙げられ、底質から溶出するマンガンイオンを酸化させる微生物が好ましい。
脱気管7は、例えば、ステンレス鋼や樹脂材等から形成され、気体排出部としての上部3bから排出される前記気体が管内に通気されるように一端側が上部3bに接続されるとともに他端側(不図示)が設置水域の水面から突出可能に延在されて構成される。
また、本例では、脱気管7の前記一端側が反応槽3に向けてテーパ状に拡開される水流方向規制部6とされ、前記一端側が水流方向規制部6で水流方向が鉛直上方から傾斜された前記鉛直上方水流が水域中に排出されるように反応槽3との間に隙間を有する状態で上部3bと接続される。このような水流方向規制部6を形成することで、上部3bから排出される前記気体を集気して管内に通気させることができるとともに、一旦、水流方向規制部6の内部まで侵入した前記鉛直上方水流がテーパ形状に沿って下方側に傾斜するように水流方向が規制され、前記鉛直上方水流に含まれる前記金属酸化物を底質に向けて沈降させ易くすることができる。なお、脱気管7の長さは、処理対象となる閉鎖性水域の水深に応じて可変とされることが好ましい。
以上のように構成される藻類増殖抑制装置1の作用について図2及び図3を参照しつつ説明をする。なお、図3は、底層に本発明の一実施形態に係る藻類増殖抑制装置を設置して藻類の増殖を抑制する場合の状況を説明する説明図である。
藻類増殖抑制装置1を閉鎖性水域40の底質60上に設置し、送気装置20から反応槽3の下部3cに形成された気体導入部5に空気等の気体を送り込み、反応槽3内を曝気する。反応槽3内に導入された前記気体は、鉛直上方に浮上し、先端が水面から突出した脱気管7を通り、閉鎖性水域40外へと排気される。
この際、反応槽3内を浮上する前記気体の流れにより反応槽3内に前記鉛直上方水流が発生し、反応槽3内に閉鎖性水域40の底層水が反応槽3内に引き込まれる。反応槽3内に配された籠体2a〜2c内に収容された前記微生物担持体に担持される前記微生物は、曝気による好気環境下で、前記底層水に含まれる前記金属イオン(マンガン)を酸化させる。前記鉛直上方水流は、前記微生物により生成された前記金属の金属酸化物の一部を連行しつつ反応槽3から排出される。反応槽3から排出された前記鉛直上方水流は、脱気管7の水流方向規制部6により、その水流方向が鉛直上方から傾斜させられた状態で、閉鎖性水域40中に排出される。傾斜後の水流は、閉鎖性水域40の底層に拡散しつつ、前記鉛直上方水流の発生源である水導入部としての下部3cに向けて下降し、底層水中での循環層50を形成する。また、底層を循環する循環層50に含まれる前記金属酸化物は、循環層50が溶存酸素により好気環境下とされるため、前記金属イオンとして水中に溶出することなく、次第に底質に向けて沈降する。このような藻類増殖抑制装置1を一定期間稼働することで、底質から溶出した前記金属イオンが表層に移動することを遮断することができるとともに、また、底層においても金属酸化物として底質に沈降させて枯渇することができる。
したがって、閉鎖性水域40の表層に滞留する藻類30が前記金属イオンを利用することができず、また、夜間に底層に沈降して底層に溶出した前記金属イオンを利用することができなくなる。これにより、藻類30の増殖が効果的に抑制される。
図2に示す例では、脱気管7の一端側に配された水流規制部6により、反応槽3内を浮上する前記気体の流れにより発生する前記鉛直上方水流の水流方向を鉛直上方から傾斜させて前記水流を前記閉鎖性水域中に排出することとしたが、水流規制部の構成としては、前記鉛直上方水流の水流方向を鉛直上方から傾斜させて前記水流を前記閉鎖性水域中に排出することができる限り、このような例に限定されない。
例えば、反応槽の上部又は下部に前記鉛直上方水流を傾斜させて前記閉鎖性水域中に排出する前記水流の案内部を形成して、これを水流規制部としてもよい。
また、前記反応槽の胴部に前記水流規制部を形成してもよい。以下に、このような水流規制部を形成した藻類増殖抑制装置の一例を図4(a),(b)を用いて説明する。なお、図4(a)は、本発明の他の実施形態に係る藻類増殖抑制装置の概略構成を示す説明図であり、図4(b)は、図4(a)に示す藻類増殖抑制装置の特徴を説明するための部分拡大図である。
これらの図に示す藻類増殖抑制装置10では、反応槽13の胴部13aの全部又は一部が通水性とされる。このような胴部13aは、例えば、全体が通水性の素材で構成されていてもよく、また、鋼材の一部に通水口を形成して構成することもできる。なお、前者の場合、更に上部13b等の支持強度を確保するための支持材を別途配することができる。
また、上部13bは、脱気管17との接続口を除き、反応槽13の上方を密閉する構成とされる。
この藻類増殖抑制装置10では、気体導入部15から空気等の気体が反応槽13内に導入されると、籠体12a〜12e内に収容される前記微生物担持体に前記気体が接触する。また、反応槽13内を浮上する前記気体は、集気されて脱気管17から閉鎖性水域外に排気される。
反応槽13内を浮上する前記気体の流れにより、底層水が下部13cから反応槽13内に引き込まれるとともに鉛直上方水流が発生し、底質から溶出した金属を含む前記底層水が好気環境下で籠体12a〜12e内に収容される前記微生物担持体と接触し、前記金属の酸化物が生成される。
前記鉛直上方水流は、水流方向が鉛直上方から傾斜された状態で胴部13aから排出される。
したがって、このような藻類増殖抑制装置10を一定期間稼働することで、底質から溶出した前記金属イオンが表層に移動することを遮断することができるとともに、また、底層においても前記金属イオンを金属酸化物として底質に沈降させて枯渇することができ、延いては、前記金属イオンを利用する藻類の増殖を効果的に抑制することができる。
(藻類増殖抑制方法)
本発明の藻類増殖抑制方法は、本発明の前記藻類増殖抑制装置を用いて、閉鎖性水域内の藻類増殖を抑制する藻類増殖抑制方法であり、前記藻類増殖抑制装置の設置工程と、気体導入工程とを含む。
前記設置工程は、脱気管の他端側を水面上に突出させるとともに反応槽の水導入部が前記閉鎖性水域の底質近傍に位置するように前記藻類増殖抑制装置を設置する工程である。
具体的な前記藻類増殖抑制装置の設置位置としては、底質近傍であれば、特に制限はないが、前記反応槽の前記水導入部の位置が前記閉鎖性水域の底質上0.2m〜1.0mとされる位置が好ましく、底質上0.3m〜0.5mとされる位置が特に好ましい。
0.2m未満であると、前記水導入部から底質中の底泥が前記反応槽内に引き込まれることがあり、1.0mを超えると、前記反応槽内に引き込む底層水中の金属濃度が低く、底質から溶出する金属を効率的に酸化させることができないことがある。
なお、前記設置工程では、前記脱気管の他端側を水面上に突出させることとしたが、一定期間、前記藻類増殖抑制装置を稼働し、底層における溶出金属イオン濃度が十分低下した後は、前記脱気管の他端部を水面下の位置に設置し直し、従来の浅層曝気方法に準じた配置としてもよい。
前記気体導入工程は、前記反応槽の気体導入部から酸素を含む気体を導入して、前記気体を前記水導入部から導入される水とともに微生物に接触させる工程である。
前記気体導入工程の実施方法としては、特に制限はないが、前記閉鎖性水域外に設置されたエアコンプレッサ等の送気装置から空気等の気体を前記気体導入部から前記反応槽に導入する方法が挙げられる。
また、前記気体導入工程としては、前記藻類増殖抑制装置中の微生物担持体が微生物を自然発生的に定着させるタイプのものである場合、前記微生物に前記気体を接触させることに先立ち、前記微生物が定着していない前記微生物担持体に前記気体を接触させ、前記微生物担持体に前記微生物を自然発生的に定着させる工程を含むこととしてもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明の技術的思想は、実施例に限定されるものではない。
図2に示す藻類増殖抑制装置1の構成に準じて、実施例に係る藻類増殖抑制装置を作製した。この藻類増殖抑制装置は、水中に沈める形で底質上に設置され、反応槽は、アクリル製の筒で形成される。前記反応槽では、送気装置から送気される空気が筒底側の気体導入口から導入され、下部から上部に向けて曝気されることで、前記反応槽内に設置される前記籠体が転動自在に流動される。
前記籠体は、図5(a)、(b)に示すように、ステンレス製の網体で構成され、内部に微生物担持体が配設可能とされる。なお、図5(a)は、実施例で用いた籠体の概要を示す説明図であり、図5(b)は、図5(a)に示す籠体を中央の開閉部で開封したときの構造を、矢印線上に沿って視たときの説明図である。また、各図中の符号2は、籠体を示す。
微生物担持体は、ポリプロピレンを基材とした中空で多孔質の円筒体で構成され、円筒体に微生物が定着可能とされる。実施例で用いた微生物担持体の写真を図6に示す。この微生物担持体は、前記籠体の容積に対して30%程度封入されており、曝気により前記籠体自身の流動とともに、前記籠体内部で流動する仕組みとなっている。なお、前記微生物担持体では、曝気により前記反応槽内を好気状態とすると、前記円筒体上に、微生物の生物膜が自然発生的に生じる。この生物膜は、少なくとも水中のマンガンイオンを酸化、懸濁化して沈降させる働きをする。
前記反応槽内に導入された気体は、外部の閉鎖性水域に放出されず、前記反応槽の上部に配されたテーパ状に拡開された漏斗状の水流規制部に集められ、前記水流規制部に連接された脱気管を通じて、水面上に排気される。
このように作製した実施例に係る藻類増殖抑制装置を閉鎖性水域の底質上に設置して運転することで、底質から溶出する栄養塩類が低減されることにより、藻類の発生状況がどのように変化するかの実験を行った。なお、実験は、霞ヶ浦において行ったが、霞ヶ浦の中でも特に閉鎖性の高い船だまりで実施した。その閉鎖性水域では、底泥の有機物含有量が高く、夏季には水が滞留して底層が貧酸素化するとともに、夏季には藍藻類が異常発生するサイトである。
図7を用いて実験の概要を説明する。閉鎖性水域41内に蛇腹状の風管で形成される仕切りを2つ設置して、2つの隔離水塊を形成した。2つの隔離水塊の一方に、前記藻類増殖抑制装置を設置した。この前記藻類増殖抑制装置が設置された隔離水塊を隔離水塊No.1とする。他方の隔離水塊には、何も設置せず比較対象とした。この比較対象に係る隔離水塊を隔離水塊No.2とする。前記風管は、直径1.2mであり、閉鎖性水域41の水深は3mほどである。また、前記風管内外の水位差を生じさせないため、水深1.5mの位置に直径5cm程の穴を4箇所開け、前記風管内の水位が閉鎖性水域41の水位に追随するようにした。
隔離水塊No.1において、前記藻類増殖抑制装置は、底質60上に設置され、前記反応槽筒底側の前記気体導入口が閉鎖性水域41外に設置されるエアコンプレッサと接続される。前記気体導入口の高さ位置(図7中の符号h)は、底質から30cmとした。前記エアコンプレッサから前記反応槽内に導入される気体は、前記脱気管を通じて水面上に排気させ、水流規制部より上層の水域に上昇流を生じさせないようにした。
以上の実験設備が準備完了した後、藻類の増殖が懸念される夏場の7月上旬から8月下旬までを運転期間として前記藻類増殖抑制装置を稼働させた。以下、実験結果について説明を行う。
<藻類分析結果>
藻類の増殖に関する実験結果として、図8に、藻類種(上位3種)の定量結果を、図9に、表層での藻類濃度(Chl.a(mg/L))の測定結果を示す。
天候が安定してきた7月末以降では、図8に示すように、隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2で藍藻類の割合が多くなっているが、図9に示すように、隔離水塊No.1の方は、隔離水塊No.2と比較して藻類濃度の低下が確認され、藻類の増殖を抑制できていることが確認できる。
なお、図8に示す藻類種の定量は、光学顕微鏡を用いて行った。また、図9に示す表層での藻類濃度(Chl.a(mg/L))の測定は、単波長吸光光度法を用いて行った。藻類種の定量と藻類濃度の測定は、ともにカラムを用いて表層から1mまでの柱状水をよく攪拌したものを分析に供した。
<水質分析結果>
隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層でのDO濃度の経日変化を図10に示す。隔離水塊No.2では、天候が安定するにつれて、DO濃度(溶存酸素濃度)が低下しており、7月末以降で底層がほぼ嫌気化していることが確認される。一方、隔離水塊No.1では、前記エアコンプレッサによる曝気により、底層で好気状態が保たれているのが確認される。ここで、底層とは、水深2.5m付近より以深の層のことを指し、DO濃度の測定は、水深2.5m付近で行った。
なお、図10に示すDO濃度の測定は、多項目水質計(U−50シリーズ:堀場製作所製)を用いて行った。
隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層と表層とでの溶存態窒素(NH−N、NO−N)濃度の経日変化を図11(a),(b)に示す。なお、図11(a)が底層(水深2.5m付近)での溶存態窒素濃度の経日変化を示し、図11(b)が表層(水深0.5m付近)での溶存態窒素濃度の経日変化を示している。
藍藻類が増殖し始めた8月初旬には、底層での溶存態窒素濃度が隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2で0.5mg/L以上となっており、また、表層での溶存態窒素濃度も藍藻類が増殖し始めた8月以降で十分高くなっている。したがって、窒素が藻類増殖の制限因子になったとは考えにくい。
なお、図11(a),(b)に示す溶存態窒素濃度の測定は、下水試験方法(1997年度版)に従い、栄養塩自動分析装置(TRAACS2000型:ブラン・ルーベ社製)を用いて行った。
隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層と表層とでのオルトリン酸態リン(PO−P)濃度の経日変化を図12(a)、(b)に示す。なお、図12(a)が底層(水深2.5m付近)でのオルトリン酸態リン濃度の経日変化を示し、図12(b)が表層(水深0.5m付近)でのオルトリン酸態リン濃度の経日変化を示している。
隔離水塊No.1の底層では、好気的環境下でオルトリン酸態リン濃度が低く抑えられているが、隔離水塊No.2の底層では、隔離水塊No.1と比較してオルトリン酸態リン濃度が高くなっている。これは、嫌気的環境下で還元状態になった底質からオルトリン酸態リンが溶出することの影響と考えられる。なお、隔離水塊No.2の底層でのオルトリン酸態リン濃度は、別の湖沼等で測定した場合と比較して同程度か、それよりも高くなっている。
一方、表層では、隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2のいずれもオルトリン酸態リン濃度が低く抑えられており、リンが枯渇している状況である。
以上から、隔離水塊No.2では、藻類が増殖する際に底層のオルトリン酸態リンを利用可能といえ、リンが藻類増殖の制限因子とはなっていないと考えられるが、隔離水塊No.1では、制限因子となっていた可能性がある。
なお、図12(a),(b)に示すオルトリン酸態リン濃度の測定は、下水試験方法(1997年度版)に従い、栄養塩自動分析装置(TRAACS2000型:ブラン・ルーベ社製)を用いて行った。
隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層と表層とでの全リン(TP)濃度の経日変化を図13(a)、(b)に示す。なお、図13(a)が底層(水深2.5m付近)での全リン濃度の経日変化を示し、図13(b)が表層(水深0.5m付近)での全リン濃度の経日変化を示している。
底層、表層ともに、隔離水塊No.2の全リン濃度が、隔離水塊No.1よりも高くなっている。これは、隔離水塊No.2において嫌気的環境下で還元状態になった底質からリンが溶出したためであると考えられる。
一方、隔離水塊No.1においては、底層、表層とも、8月以降において全リン濃度が常に低く抑えられている。これは、好気的環境下で酸化状態になった底質からのリン溶出が抑制されたためと考えられる。
以上から、リン濃度は、藻類増殖の律速因子となっている可能性がある。
なお、図13(a),(b)に示す全リン濃度の測定は、下水試験方法(1997年度版)に従い、栄養塩自動分析装置(TRAACS2000型:ブラン・ルーベ社製)を用いて行った。
隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層と表層とでの溶存態マンガン(D−Mn)濃度の経日変化測定結果を図14(a),(b)に示す。なお、図14(a)が底層(水深2.5m付近)での溶存態マンガン濃度の経日変化を示し、図14(b)が表層(水深0.5m付近)での溶存態マンガン濃度の経日変化を示している。
また、隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2における底層と表層とでの全マンガン(T−Mn)濃度の経日変化測定結果を図15(a),(b)に示す。なお、図15(a)が底層(水深2.5m付近)での全マンガン濃度の経日変化を示し、図15(b)が表層(水深0.5m付近)での全マンガン濃度の経日変化を示している。
なお、図14(a),(b)に示す溶存態マンガンと図15(a),(b)に示す全マンガンの測定は、河川水質試験方法(案)(1997年版)に従い、ICP−MS(X7CCT:サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて行った。
先ず、隔離水塊No.1の底層での溶存態マンガン濃度について考察する。隔離水塊No.1では、溶存態マンガン濃度が、運転期間を通して低い値が維持されていた。
ここで、隔離水塊No.1の前記藻類増殖抑制装置内の前記微生物担持体に付着していた金属とその重量を測定したところ、下記表1の通りであった。この値は、付着物の重量を算出して、前記微生物担持体の1個当たりでの乾燥重量に換算したものである。なお、分解前処理は、底質調査方法(平成24年8月環境省水・大気環境局)に記載の圧力容器法に従い、金属類の分析は、河川水質試験方法(案)(1997年版)に従い、ICP−MS(X7CCT:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて行った。
上掲表1に示すように、前記微生物担持体には、マンガン成分が特に多く、溶存態のマンガンが酸化されて懸濁化した後、前記微生物担持体に付着することや、付着しきれないものは、曝気水流により前記微生物担持体から剥がれて底質に沈降することが示唆される。
また、周辺土壌中の金属を同様に測定した結果を下記表2に示す。
上掲表2に示すように、上掲表1とのFeとMnの比率が異なっており、前記微生物担持体上の物質は、底質や水中の懸濁物が付着したものではなく、前記微生物担持体上に自然に定着した微生物の働きにより、マンガンが選択的に酸化されたことが分かる。
また、図15(b)に示す表層での全マンガン濃度変化から、隔離水塊No.1の8月以降において全マンガン濃度が低く抑えられている。これは、前記前記微生物の働きによるマンガンの酸化と沈殿の効果であると考えることができる。
これらの結果から、隔離水塊No.1では、前記微生物担持体を前記反応槽内に設置し、曝気により好気的環境を形成することで、底層でのマンガン濃度が効率的に低下していたことが分かる。
次に、隔離水塊No.2の底層での溶存態マンガン濃度について考察する。隔離水塊No.2の底層での溶存態マンガン濃度は、図14(a)に示すように、7月末までは底質からの溶出と考えられる高い値をとることがあった。その後、藍藻類が増殖し始めた8月初旬以降では、値が低くなっていることが分かる。
図15(b)に示す表層での全マンガン濃度で見ると、全リンの場合と同じように、隔離水塊No.2の方が隔離水塊No.1よりも高くなっていることから、隔離水塊No.2においては、嫌気環境下で還元状態になった底質からのマンガン溶出が継続していると考えられる。
このことから、隔離水塊No.2の底層において、図14(a)に示すように8月初旬以降、溶存態マンガン濃度が低下したのは、藍藻類が増殖に使用したためと考えられる。これにより、隔離水塊No.2底層の溶存態マンガン濃度は、隔離水塊No.1とほぼ同じ値にまで低下し、隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2ともに溶存態マンガンが枯渇状態になっていると考えられる。
隔離水塊No.2の表層での溶存態マンガンについては、隔離水塊No.1とともにごく低濃度であり、枯渇状況にあると考えられる(図14(b)参照)。
以上のことから、隔離水塊No.1及び隔離水塊No.2のいずれも、8月以降に溶存態マンガン濃度が藻類増殖の制限因子となっており、前記藻類増殖抑制装置により、隔離水塊No.1において、藻類の増殖が強く制限されていることが示唆される。
以上を総合して、隔離水塊No.1で藻類増殖の制限因子となる可能性があるオルトリン酸態リンと溶存態マンガンを表層濃度で比較すると、オルトリン酸態リンについては、図12(b)に示すように、7月下旬から8月初旬にかけてほぼ0mg/Lであったものが、藻類増殖が抑制されていた8月上旬以降(図9参照)にむしろ濃度が増加しているのに対し、溶存態マンガンについては、図14(b)に示すように、藍藻の増殖が抑制されていた時期において低い濃度となっている。
したがって、隔離水塊No.1では、前記藻類増殖抑制装置により、溶存態マンガンの濃度を低下させることで、藻類の増殖が抑制できたものと考えられる。
1,10,100 藻類増殖抑制装置
2,2a〜2c,12a〜12e 籠体
3,13 反応槽
3a,13a 胴部
3b,13b 上部
3c,13c 下部
4 支持部
5,15 気体導入部
6 水流方向規制部
7,17 脱気管
20 送気装置
30 藻類
40,41 閉鎖性水域
50 循環層
60 底質

Claims (8)

  1. 下部に気体を導入可能とされる気体導入部及び水を導入可能とされる水導入部が形成され、上部に少なくとも前記気体を排出する気体排出部が形成される筒状の反応槽と、
    前記気体排出部から排出される前記気体が管内に通気されるように一端側が前記気体排出部に接続されるとともに他端側が水面から突出可能に延在される脱気管と、
    前記反応槽内に配設され、藻類の増殖に必要な金属を酸化させる微生物を担持可能な微生物担持体と、を有し、
    前記反応槽及び前記脱気管の一端側の少なくともいずれかが、前記反応槽内を浮上する前記気体の流れにより発生する鉛直上方水流の水流方向を鉛直上方から傾斜させて前記水流を水域中に排出する水流方向規制部を有することを特徴とする藻類増殖抑制装置。
  2. 脱気管の一端側が反応槽に向けてテーパ状に拡開される水流方向規制部とされるとともに、前記一端側が前記水流方向規制部で水流方向が鉛直上方から傾斜された鉛直上方水流が水域中に排出されるように前記反応槽との間に隙間を有する状態で気体排出部と接続される請求項1に記載の藻類増殖抑制装置。
  3. 反応槽胴部の全部又は一部が水流方向規制部として通水可能に形成される請求項1から2のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
  4. 微生物担持体が水流により転動自在に流動する多孔質性の籠体に収容されて反応槽内に配設される請求項1から3のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
  5. 微生物が少なくともマンガンイオンを酸化させて酸化マンガンとする微生物である請求項1から4のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の藻類増殖抑制装置を用いて、閉鎖性水域内の藻類増殖を抑制する藻類増殖抑制方法であって、
    脱気管の他端側を水面上に突出させるとともに反応槽の水導入部が前記閉鎖性水域の底質近傍に位置するように前記藻類増殖抑制装置を設置する設置工程と、
    前記反応槽の気体導入部から酸素を含む気体を導入して、前記気体を前記水導入部から導入される水とともに微生物に接触させる気体導入工程と、
    を含むことを特徴とする藻類増殖抑制方法。
  7. 設置工程が、反応槽の水導入部が前記閉鎖性水域の底質上0.2m〜1.0mに位置するように前記藻類増殖抑制装置を設置する工程である請求項6に記載の藻類増殖抑制方法。
  8. 気体導入工程が、微生物担持体に微生物を自然発生的に定着させる工程を含む請求項6から7のいずれかに記載の藻類増殖抑制方法。
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