JPWO2015093282A1 - 生体分子分析装置 - Google Patents

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Abstract

サンプル吸着を良好に実現する生体分子分析装置を提供する。本発明の一形態では、生体分子分析装置(1)が、サンプル分離部(5)と、押し具(6)との間に転写膜(7)を備えており、押し具(6)は、(i)転写膜(7)をサンプル分離部(5)の第2開口(58)に向かって一定の力で押圧し、且つ(ii)サンプル分離部(5)から第2緩衝液槽(4)までの間の緩衝液の存在する領域を制限する構成となっている。

Description

本発明は、分離媒体中の生体分子サンプルを分離し、且つ分離された生体分子サンプルを引き続きサンプル吸着部材に吸着させる生体分子分析装置に関する。
ポストゲノム研究の中心的位置を担っているプロテオーム解析において、二次元電気泳動法(2DE)およびウエスタンブロッティング法の組み合わせは、優れた分離分析手法として知られている。2DEは、タンパク質に固有の独立した2つの物理的性質(電荷および分子量)に基づいて、種々の分離媒体を用いて、プロテオームを複数の成分(タンパク質)に高分解能に分離することができる。2DEによる分離結果を利用してタンパク質をさらに分析する場合、分離媒体に含まれる複数のタンパク質を、ウエスタンブロッティング法によって転写膜に固定化することが好ましい。これは、転写膜に固定化されたタンパク質が、長期間にわたって安定して保存され得る上に、分析が容易だからである。特に、タンパク質の発現量の増減、および翻訳後修飾の有無といったタンパク質の複数の生物学的特徴を、2DEによる分離結果を利用して網羅的に比較検討する場合、ウエスタンブロッティング法は必須の工程と言える。
2DEおよびウエスタンブロッティング法のそれぞれを独立した装置を用いて行う従来周知の手法の場合、電気泳動の後には、分離媒体を電気泳動装置から取り出して転写装置に移し、これに転写膜をセットして転写を行う操作が必要になる。しかしながら、電気泳動と転写との間に研究者の手作業が介入すると、得られる結果の再現性が低くなるという問題が存在する。また、分離媒体として非常に軟らかくて破れやすいゲルを扱うため、ウエスタンブロッティング法は熟練を要する手法になる。
一方、特許文献1には、毛細管を用いた毛細電気泳動(CE)において、電気泳動と転写とを1台の装置で行う技術が提案されている。具体的には、毛細管(内部はゲルまたは溶液)を通って排出されるサンプルを、そのまま転写膜に吸着させることにより、分離から回収(転写膜への固定化)までを1台の装置で行うことができるというものである。本技術によれば、電気泳動および転写を連続的に行うことが可能である。
日本国公開特許公報「特開平4−264253号公報(1992年9月21日公開)」
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、電気泳動で分離されたサンプルが転写膜へ吸着したとき、その解像度の最小値は理論上、毛細管の末端径となってしまい、それ以上の分解能を得ることはできない。また、実際の転写の場面において、毛細管から排出されたサンプルは転写膜に吸着されるまでの間に拡散し、転写膜に対するサンプルの吸着パターンが不明瞭になってしまう場合がある。さらに、特許文献1に開示されている技術は、毛細電気泳動により泳動されたサンプルをそのまま転写する技術であるため、二次元方向への分離展開が原理的に不可能である。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気泳動による分離からサンプル吸着部材への転写までを連続的に行うことが可能であり、且つ高分解能なサンプル吸着を実現する生体分子分析装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体分子分析装置は、
緩衝液を介して分離媒体に電流を流して、該分離媒体中のサンプルを分離し、且つ分離された生体分子サンプルを該分離媒体から吸着部材へ吸着させる生体分子分析装置であって、
第1電極と、
第2電極と、
上記第1電極側に開口する第1開口および上記第2電極側に開口する第2開口が設けられ、且つ上記分離媒体を格納する分離部と、
上記分離部と上記第2電極との間に在る押し具であって、上記分離部側に配置された第1構造体と上記第2電極側に配置され位置固定された第2構造体とによって絶縁性を有した弾性部材を挟持した押し具と、を備え、
上記第1構造体には、上記第2開口の対向位置に、上記分離部側から上記第2電極側に貫通する第1貫通孔が設けられ、
上記第2構造体には、上記第2開口の対向位置に、上記分離部側から上記第2電極側に貫通する第2貫通孔が設けられ、
上記吸着部材は、上記第2開口と上記第1貫通孔との間に配置され、
上記弾性部材は、上記第1構造体を上記分離部に向かって押圧し、
上記弾性部材は、上記第1貫通孔における上記第2電極側の開口部を取り囲むとともに、上記第2貫通孔における上記分離部側の開口部を取り囲む環形状を有しており、該開口部同士の間の緩衝液の流路を該環形状の弾性部材によって制限していることを特徴としている。
本発明によれば、電気泳動による分離からサンプル吸着部材への転写までを連続的に行うことが可能で、且つ、高分解能なサンプル吸着を実現する生体分子分析装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る生体分子分析装置の一実施形態の構成を示す上面図である。 図1に示す生体分子分析装置の断面図である。 図1に示す生体分子分析装置の一部の領域における電気力線の広がりを模式的に示した図である。 図1に示す生体分子分析装置の一部の構成を分解した分解斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置の一部の構成を分解した分解斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置の一部の構成の斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置の一部の構成の斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置に構成される筐体の所定の位置に、当該器具に構成されるサンプル分離部を取り付ける様子を示した断面図である。 図1に示す生体分子分析装置に構成される押し具の変形例を示した断面図である。 図1に示す生体分子分析装置に構成される押し具の変形例を示した分解斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置に構成される筐体に取り付けられる、当該器具に構成される押し具の変形例を示した分解斜視図である。 図1に示す生体分子分析装置によって生体分子サンプルがサンプル吸着部材に吸着した状態の図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る生体分子分析装置の一実施形態について、図1から図8を用いて詳細に説明する。
(1)生体分子分析装置の構成
本実施形態1に係る生体分子分析装置の概略的な構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、生体分子分析装置1を概略的に示す上面図であり、図2は、図1に示す切断線A−A´における矢視断面図である。
本実施形態1の生体分子分析装置1は、生体分子サンプル成分を分子量にしたがって分離し、続いて、当該分離した生体分子サンプルを転写膜に転写(吸着)させるための器具である。そのため、本実施形態に係る生体分子分析装置1は、筐体2と、陰極31(第1電極)を配設する第1緩衝液槽3と、陽極41(第2電極)を配設する第2緩衝液槽4と、サンプル分離部5(分離部、二次元目電気泳動部)と、押え具6と、転写膜7(吸着部材)と、転写膜移動アーム70(吸着部材移動手段)(図2)と、サンプル導入アーム82(媒体移動手段)(図2)とを備えている。第1緩衝液槽3、第2緩衝液槽4、サンプル分離部5、押え具6および転写膜7は、筐体2内に配設されている。
ここで、サンプル分離部5は、第1緩衝液槽3に向かって開口する第1開口57、および第2緩衝液槽4に向かって開口する第2開口58を有している。換言すれば、第1開口57は陰極31側に開口し、第2開口58は陽極41側に開口している。このため、生体分子分析装置1では、第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4を緩衝液で満たすことによって、第1緩衝液槽3内の陰極31と第2緩衝液槽4内の陽極41とが、2つの槽(第1緩衝液槽3と第2緩衝液槽4)における緩衝液と、サンプル分離部5に格納された分離ゲル53(分離媒体)(図2)と、転写膜7とを介して電気的に接続される。すなわち、生体分子分析装置1は、陰極31と陽極41とに電圧を印加することによって、第1開口57から導入された生体分子サンプルをサンプル分離部5の分離ゲル53(図2)によって分離し、分離された各成分を第2開口58から排出させて転写膜7に吸着させることができる。
なお、以下の説明では、生体分子分析装置1において、陰極31および陽極41によって規定される生体分子サンプルの分離方向をx軸方向(第1方向)とし、転写膜7の移動方向をy軸方向(第2方向)とし、x軸およびy軸のいずれにも垂直な方向をz軸方向とする。
(陰極31および陽極41)
陰極31は第1緩衝液槽3内に配置されており、陽極41は第2緩衝液槽4内に配置されている。
陰極31および陽極41は、金属などの導電性を有する材料から形成される。陰極31および陽極41を形成する材料としては、例えば電極のイオン化を抑制する観点から白金が好ましい。
これらの電極配置に関しては、陰極31、第2開口58、および陽極41が、略一直線上に配置されていることが好ましい。更には、後述する押し具6のスリット61a(第1貫通孔)および貫通孔62a(第2貫通孔)も、これらと同一直線状に配置されていることが好ましい。このような配置において図1および図2に示すように転写膜7が配置されれば、第2開口58を通る電気力線は転写膜7に対して略垂直になるため、転写膜7への生体分子サンプルの吸着の精度を向上し得る。
また、陽極41は、転写膜7から離して配置する。これによって、陽極41から発生する気泡が、転写膜7に対する分離成分の吸着に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
なお、陰極31および陽極41は、第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4内に予め配設されていてもよいが、筐体2を覆う蓋を設ける場合には、その蓋の下面から陰極31および陽極41を垂設して、蓋を被せると陰極31および陽極41が第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4内に配設される構成としてもよい。
(第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4)
第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4は、筐体2内にサンプル分離部5を取り付けて、筐体2内を2つの槽に分けることによって形成されている。
第1緩衝液槽3および第2緩衝液槽4に入れる緩衝液は、分離ゲル53および転写膜7に対して悪影響を及ぼす虞がない範囲で従来周知の電気泳動用緩衝液として用いられる導電性を有したあらゆる緩衝液を採用することができる。
好ましくは、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)またはトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)を含む緩衝液を、第1緩衝液槽3に入れる陰極用緩衝液(第1緩衝液)として用い、エタノールを含むpH6.5〜8.8の緩衝液を、第2緩衝液槽4に入れる陽極用緩衝液(第2緩衝液)として用いる。これらの緩衝液を用いる場合には、図2に示すサンプル分離部5に収納される分離ゲル53は、ビストリス(Bis−Tris)またはトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)を含む緩衝液を用いて作製されたゲルを採用することが好ましい。
より好ましくは、次の組成の陰極用緩衝液および陽極用緩衝液、および分離ゲルを用いる。
○陽極用緩衝液
100mM MOPS(pH7.3)
50mM トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)
50mM Bis−Tris
20% エタノール
○陰極用緩衝液
100mM MOPS(pH7.2)
50mM Tris
50mM Bis−Tris
0.25% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
○分離ゲル
pH6.8のTris−HClバッファーを用いた10%ポリアクリルアミドゲル
(サンプル分離部5)
サンプル分離部5は、上述したように第1緩衝液槽3に向かって開口するサンプル供給媒体接続部である第1開口57、および第2緩衝液槽4に向かって開口するサンプル成分排出口である第2開口58を有している。
また、サンプル分離部5は、図2に示すように、ガラスまたはアクリルなどの絶縁体から形成された、x−z平面を有する2枚の板(下板51および上板52)がy方向に所定の隙間を有して重畳しており、その隙間に分離ゲル53(分離媒体)が収納された構成となっている。分離ゲル53は、第1開口57を介して第1緩衝液槽3内に面し、第2開口58を介して第2緩衝液槽4内に面する。
サンプル分離部5に具備される2枚の板のうち、下側に配置される下板51の第1開口57側の端部は、上板52の端部よりも突出している。これにより、図2に示すように、分離ゲル53の第1開口57側が上面に露出し、この露出部分から生体分子サンプルを導入することができる。
分離ゲル53は、第1開口57から導入された生体分子サンプル成分を分子量にしたがって分離するためのゲルである。分離ゲル53の例としては、アクリルアミドゲルおよびアガロースゲルなどが挙げられ、上述した好適な組成に緩衝液に合せたゲルを用いることが好ましい。分離ゲル53は、サンプル分離部5を筐体2に対して取り付ける前、または取り付けた後に、サンプル分離部5内に充填されて形成することができる。
なお、本実施形態1においては、サンプル分離部5内に分離ゲル53を充填する構成を採用しているが、サンプル分離部5を構成する2枚の対向する板の間にナノピラーと呼ばれる多数の超微細柱を設ける構成も採用し得る。
また、サンプル分離部5の第2開口58は、その周囲を含めて、多孔質材料によって形成された被覆部(導電性媒体:図示しない)によって覆われていてもよい。これによって、第2開口58に接するあるいは押付けられている転写膜7が搬送される時に転写膜7がサンプル分離部5および分離ゲル53から受ける摩擦抵抗および損傷を低減することができる。
上記被覆部を形成する多孔質材料は、貫通している細孔を有する材料であり、且つ、親水性、低いサンプル吸着能、および高い強度を有する材料であることが好ましい。これによって、分離された成分が通過する経路に位置する被覆部が、分離された成分を好適に通過させ得る。
例えば、貫通している細孔を有する多孔質材料が親水性を有していれば、分離ゲル53の充填時、第2開口58に対して十分に分離ゲル53が充填され、且つ当該細孔に分離ゲル53が充填される。これによって、転写膜7と分離ゲル53とを密着させることができる。したがって、分離された成分が緩衝液に拡散することを確実に抑制し、且つ安定した通電状態を維持し得る。
被覆部を形成する材料の例としては、親水性PVDF(Polyvinylidene difluoride)膜、および親水性PTFE(Polytetra fluoro ethylene)膜などの膜状の材料が挙げられる。サンプル分離部5に対する被覆部の取り付け方法としては、粘着テープまたは接着剤を用いる方法、ならびにクリップなどを用いてサンプル分離部5と被覆部とを挟んで固定する方法などが挙げられる。
被覆部内部に分離ゲル53を含ませる方法としては、第2開口58およびその周囲に被覆部を取り付けた後、分離ゲル53をサンプル分離部5に充填する方法が挙げられる。例えば、ポリアクリルアミドゲルを分離ゲル53として用いる場合、被覆部を取り付けたサンプル分離部5の第1開口57側から、ゲル重合前のアクリルアミド溶液を注ぎ込んだ後、ゲル重合させればよい。
従来法では、サンプル成分排出口を被覆部で覆ってしまうと、電気力線が被覆部を通る間に余分に広がり、その結果、転写膜に到達するまでに生体分子サンプルがさらに広がってしまうため好ましくない。しかし、本実施形態1の生体分子分析装置1を用いた場合は、第2開口58が被覆部で覆われていても、後述するようにスリット61aにより収束を受けるため問題ない。
(転写膜7)
転写膜7は、分離ゲル53によって分離された生体分子サンプルを長期間にわたって安定に保存可能にし、さらに、その後の分析を容易にする生体分子サンプルの吸着・保持体であることが好ましい。転写膜7の材質としては、高い強度を有し、且つサンプル結合能(単位面積当たりに吸着可能な重量)が高いものが好ましい。転写膜7としては、サンプルがタンパク質である場合にはPVDF膜などが適している。なお、PVDF膜は予めメタノールなどを用いて親水化処理を行っておくことが好ましい。これ以外には、ニトロセルロース膜またはナイロン膜など、従来からタンパク質、DNAおよび核酸の吸着に利用されている膜も使用可能である。
なお、生体分子分析装置1において分離および吸着され得る生体分子サンプルとしては、タンパク質、DNAおよびRNAを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、生物材料(例えば、生物個体、体液、細胞株、組織培養物、もしくは組織断片)からの調製物、または、市販の試薬などが挙げられる。例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが挙げられる。
また、転写膜7は、第2開口58とスリット構造体61(第1構造体)のスリット61aとの間においてy−z平面に広がっている。本実施形態では、転写膜7は後述するようにy方向に引き上げることができるように予め長尺に構成されている。そのため、長尺の転写膜7の一端はサンプル分離部5の底部の下に入り込んで第1緩衝液槽3内の底部に在り、他端は転写膜移動アーム70に保持されている。転写膜移動アーム70の駆動により、転写膜7は、生体分子サンプルの分離吸着時、図2の矢印方向(+y方向)に向かって搬送される。
なお、本実施形態1では、図2に示すように転写膜7の一端が第1緩衝液槽3内の底部に在り、当該一端から他端までの転写膜の長さが所定の長さを有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該一端が、転写膜を巻きつけた転写膜転写膜ロールを構成し、転写膜ロールから引き出される態様となっていてもよい。これにより、所望の長さの転写膜を第2開口58とスリット構造体61のスリット61aとの間に通過させることができる。なお、転写膜ロールは、生体分子分析装置1本体の内壁に対して回転可能に取り付けられている。生体分子サンプルの分離吸着時、転写膜ロールは緩衝液中にあるような高さに配置されることが好ましい。これは、生体分子サンプルの分離吸着時における転写膜7の乾燥を防ぐためである。また、転写膜ロールは、各電極から離した位置に配置されることが好ましい。これは、各電極から生じる気泡が転写膜7に付着することを抑制するためである。
なお、転写膜7の搬送時、転写膜7を定まった経路に導くために、例えば、回転式の軸からなるガイドを適宜設けてもよい。
なお、生体分子分析装置1は、転写膜7が取り付けられた状態、または使用者によって転写膜7が後から取り付けられる状態で提供されてもよく、いずれの場合も転写膜7は緩衝液に浸された状態となる。
(転写膜移動アーム70)
転写膜移動アーム70は、図2に示すように、転写膜7を+y方向に引き上げる構成を有する。なお、転写膜移動アーム70は、引き上げ式に限らず、回転動作によって転写膜7を巻き取る転写膜回収部材として構成されてもよい。転写膜回収部材を用いれば、転写膜7を+y方向に引き上げる転写膜移動アーム70のように広い駆動範囲を確保する必要がなく、生体分子分析装置1を小型化し得る。
(サンプル導入アーム82)
サンプル導入アーム82は、図2に示すように、サンプル分離部5の第1開口57に対して生体分子サンプルを導入するために用いられ、支持板81に支持されたゲルストリップ80を保持する。ゲルストリップ80は、一般的に薄く且つ軟らかいため、サンプル導入アーム82によって直接に保持するのではなく、アクリル板、樹脂フィルムなどからなる支持板81にゲルストリップ80を固定してサンプル導入アーム82に保持される。
なお、本実施形態1では、転写膜移動アーム70およびサンプル導入アーム82という2つのアームを用いているが、本発明はこれに限られず、一方を省いて、1つの移動アームのみを備える構成であってもよい。このとき、1つのアーム(70または82)は、ゲルストリップ80を第1開口57に導入した後、生体分子サンプルの分離および転写の際には転写膜7を保持して搬送すればよい。
(押し具6)
押し具6は、サンプル分離部5の第2開口58に対して転写膜7を所定の圧力で押圧するとともに、サンプル分離部5から陽極41までの間において、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62(第2構造体)の貫通孔62a以外を電流が通過することを阻害するための部材である。すなわち、押し具6は、サンプル分離部5から陽極41までの間において、電圧が印加された陰極31および陽極41に誘起された電荷から発生する電気力線の経路(電流の流れ)を規制するための部材である。具体的には、押し具6により、第2緩衝液槽4において電流が流れる経路である緩衝液が、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62(第2構造体)の貫通孔62a以外を通って転写膜7に接することの無い構成となっている。
押し具6は、スリット61aがy方向に延設されたスリット構造体61と固定具62とに弾性体620(弾性部材)が挟持されてなり、より具体的には、弾性体620を、固定具62におけるスリット構造体61側に設けた凹部62bに配設している。
・スリット構造体61
スリット構造体61は、押し具6における最も転写膜7側に位置し、転写膜7に接触する接触面を有している。
スリット構造体61には、接触面と背面との間に貫通する、y方向の幅が50〜300μmのスリット61aが設けられており、スリット61aは、第2開口58に対向する位置に在る。この位置にあることにより、陰極31から陽極41に発生する電気力線がスリット61aの中央位置を収束点として収束される。
図3は、転写膜7およびその近傍において電気力線を模式的に示した図であり、図2の部分拡大断面図に電気力線を模式的に示した図である。スリット61aは、転写膜7の裏面側(陽極41側)に位置するため、電気力線を分離ゲル53からスリット61aにかけて絞ることができる。その結果、スリット61aの前面側(第2開口58側)に位置する転写膜7上へは、絞りの効果を受けた電気力線が通ることになる。生体分子サンプルは電気力線に沿って流れるため、上記収束の影響を受けることにより、転写膜7に濃縮された状態で吸着保持される。つまり、生体分子サンプルを転写膜7へ高分解能で転写することができる。
特に、スリット構造体61のy方向の幅が、サンプル分離部5の第2開口58のy方向の幅(1.0〜1.2mm)よりも狭く構成されている。これにより、収束点への電場ベクトルの傾きを大きくすることができるため、転写膜7へ吸着する生体分子サンプルの濃縮効果を向上させることができる。なお、各点での電場ベクトルを結んだ線が電気力線である。
また、電気力線を収束させる効果をより強めるために、スリット構造体61は、導率が低い材料から構成されることが好ましく、絶縁性の材料から構成されることがより好ましい。一例として、スリット構造体61は、ガラス、セラミック、樹脂などから構成することができる。
また、スリット構造体61の陽極41側には固定具62に向かって突出した凸部61bが設けられている。
・固定具62
固定具62は、スリット構造体61よりも陽極41側に在って、筐体2との接触部分において筐体2に接着固定されている。固定具62は、スリット構造体61と同様に、ガラス、セラミック、樹脂などから構成することができる。
固定具62には、貫通孔62aが設けられているとともに、固定具62におけるスリット構造体61側の面に、貫通孔62aを囲むように凹部62bが設けられている。
貫通孔62aの幅は、スリット61aの幅以上であることが望ましく、スリット61aの幅よりも大きいことがより望ましい。
凹部62bは、固定具62におけるスリット構造体61側の面において開口しており、押し具6の分解斜視図である図4に示すように、ロの字型に形成された溝として形成されている。
先述したスリット構造体61に設けられた凸部61bは、押し具6の分解斜視図である図5に示すように、固定具62にロの字型に形成された凹部62bに挿入することが出来るようにロの字型を有している。しかしながら、先述のように凹部62bには、凹部62bを完全に埋めるように弾性体620が配設されている。そのため、凸部61bは、弾性体620に押圧を加えるが、弾性体620の復元力によって押し戻される。これにより、凸部61bを有したスリット構造体61は−x方向に押し戻されることになる。この押し戻しを受けたスリット構造体61が、第2開口58とスリット構造体61との間にある転写膜7を、転写膜7の第2緩衝液槽4側から第2開口58に向けて一定の圧力で押圧する。
これが本実施形態1の特徴の一つである。すなわち、図2に示す固定具62と、固定具62の凹部62bに配設された弾性体620により、スリット構造体61が−x方向(第2開口58に向けて)に押圧を受けることにより、スリット構造体61のスリット形成面(接触面)が転写膜7に接した状態を維持することができ、且つ、転写膜7が第2開口58に接触した状態を維持することができる。これにより、スリット61aにおける電気力線の収束点に近い位置に転写膜7を配置することができることから、生体分子サンプル分離吸着時に、高分解能なサンプル吸着を実現することができる。
なお、転写膜7を、転写膜7の第2緩衝液槽4側から第2開口58に向けて押圧する際に、押圧の力が弱ければ転写膜7を第2開口58に接触させることができない一方、押圧の力が強すぎれば転写膜移動アーム70が図2に示すように転写膜7を+y方向に引き上げる際に摩擦抵抗が大きくなって転写膜7を引き上げられない事態を招く虞がある。すなわち、転写膜7を、転写膜7の第2緩衝液槽4側から第2開口58に向けて押圧する際には、サンプル分離部5とスリット構造体61との相対位置と、スリット構造体61における−x方向への押圧力とを精度よく管理して、転写膜7を第2開口58に接触させつつ、転写膜7を+y方向に引き上げる際に摩擦抵抗を小さくする必要がある。
そこで、本実施形態1の生体分子分析装置1は、筐体2内に、サンプル分離部5を位置決めして着脱可能に固定することができる構造を設けるとともに、固定具62を位置決めして固定することができる構造を設けている。これにより、サンプル分離部5とスリット構造体61との相対位置とが精度よく定まるとともに、よって、スリット構造体61による−x方向への押圧力を好適な大きさとすることができる。スリット構造体61が転写膜7に与える押圧の大きさとしては、0.1N〜10Nが望ましく、1N〜5Nがより望ましい。
なお、本実施形態1では、図6に示すようにスリット構造体61と固定具62とを組み合わせた押し具6を、図7に示すようにサンプル分離部5よりも先に固定具62を筐体2内の所定の位置に位置決めして固定し、その後、図8に示すように、サンプル分離部5を筐体2内に配置する。サンプル分離部5を筐体2内に配置する際、クッション性をもつ押し具6によってサンプル分離部5をスムーズに生体分子分析装置1にセットすることができる。また、その際、サンプル分離部5によって図7に示す矢印方向にスリット構造体61が固定具62側に押し込まれ、弾性体620の復元力によってスリット構造体61がサンプル分離部5側に押し戻される。
また、弾性体620の弾性力も、上述した第2開口58への転写膜7の接触と摩擦抵抗とに関係する。
弾性体620としては、高分子、ゴム、ゲル、ゾルなどの伸縮性があり、且つ、電気透過性の低い素材、または絶縁性の素材を用いて構成することができる。ゴムの具体例としては、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴムが挙げられる。
なお、本実施形態1では、高分子、ゴム、ゲル、ゾルなどによって固定具62のロの字型に形成された凹部62bを充填して弾性体620を実現する態様を想定しているが、弾性体620としてスプリングを用いることも可能である。
弾性体620としては、スリット構造体61の転写膜に対する押し当て力(圧力)の調整が容易であり、耐化学性、耐熱性、耐酸化を備えた材料から構成することがより好ましく、その一例としてはシリコン樹脂が好適であるが、これに限定されるものではない。なお、スリット構造体61の転写膜に対する押し当て力(圧力)としては、これに限定するものではないが、例えば、3.45N(±15%)とすることができる。
また、図2および図4に示すように、スリット構造体61と固定具62との間の領域は、スリット61aにおける陽極41側の開口部を取り囲む環形状(ロの字型)を有した弾性体620とスリット構造体61の凸部61bとによって、一端がスリット61aによって開口し、他端が貫通孔62aによって開口した、筒状の(制限)空間が形成される。この空間は、単に空間を区切っているだけでなく、電気的にも制限(閉塞)されているため、陰極31と陽極41に電圧を印加して発生する電気力線は、スリット構造体61のスリット61aを通過すると、固定具62の貫通孔62aを通過する。すなわち、弾性体620とスリット構造体61の凸部61bとによって、電気力線の経路をスリット構造体61のスリット61aに制限(限定)することができている。なお、弾性体620は、固定具62側でも、貫通孔62aの開口部を取り囲んでいる。
加えて、固定具62は筐体2に接着固定されており、固定具62の底部と両側の側部とが筐体2の内壁に接して密閉されている。ここで、第2緩衝液槽4に入る陽極用緩衝液は水位が固定具62の上部より下となるようにすると、固定具62の中央に設けた貫通孔62a以外の箇所において、固定具62のスリット構造体61側と第2緩衝液槽4とが連通しない構造となる。この構造によって、電気力線の経路を固定具62の貫通孔62aに制限(限定)することができる。
仮に、このように電気力線の経路を制限せずにスリット構造体61のスリット61aを通らず例えばスリット構造体61の底部を回り込むような電流の経路が形成されると、電気力線がx軸方向に収束せず、転写膜7に対して電気力線が略垂直にならずに転写膜7への生体分子サンプルの吸着の精度が低下する虞がある。これに対して、本実施形態1のように経路を制限して電気力線をスリット構造体61のスリット61aに収束させることにより、転写膜7への生体分子サンプルの吸着の精度を向上させることができる。
また、本実施形態1では、電気力線が収束する部分を囲むように押圧部分が設けられていることにより、スリット構造体61における転写膜接触面の全面を、転写膜7に対して均一に押し当てることができる。例えば、仮に固定具62および弾性体620に替えて、スプリングを用いてスリット構造体61を第2緩衝液槽4側から押し戻す構成とした場合、スプリングの配設数および配設箇所によっては、スリット構造体61が均一に転写膜7に対して押圧を加えることが困難な場合があり、結果的に、転写膜7へのサンプル吸着が良好におこなわれない虞がある。しかしながら、本実施形態1の構成とすることにより、均一な圧力で転写膜7を第2開口58に対して押圧することができ、転写膜7を第2開口58に良好に接触させて生体分子サンプルの高分解能で転写膜7に吸着させることができる。
弾性体620は、固定具62のロの字型に形成された凹部62bに、ゾル状の弾性体前駆物質(例えば、樹脂モノマー)を流し込んでゲル化(有機化学的、光学的な手法を用いた重合反応を用いる)して形成することも可能であり、図4に示すように、予めロの字型の弾性体620を形成しておき、それを固定具62のロの字型に形成された凹部62bに嵌合させることによって形成することも可能である。例えば、樹脂モノマーを流し込んでゲル化する手法を採用することにより、容易に製造が可能であるというメリットがあるほか、繰り返し使用することができ、電気泳動に悪影響を及ぼさない、継続的に再現性良く解析可能であるというメリットもある。
(2)生体分子分析装置を用いた生体分子サンプルの分離および吸着
次に、生体分子分析装置1における生体分子サンプルの分離および吸着の流れについて、図2を参照して説明する。
まず、サンプル導入アーム82が、支持板81に支持されたゲルストリップ80を保持し、ゲルストリップ80が第1開口57内に挿入または接触するまで、図2のサンプル導入アーム82に付されている矢印の方向に移動する。ここで、ゲルストリップ80は、等電点電気泳動によって生体分子サンプルを一次元に分離した各成分を含有している。
ゲルストリップ80が第1開口57内に挿入または接触した状態において、陰極31と陽極41との間に電圧を印加する。これによって、ゲルストリップ80に含まれる各成分が分離ゲル53において、さらにそれらの分子量に応じて分離される。
なお、一次元目の電気泳動部が、本実施形態1に係る生体分子分析装置1に組み込まれてもよい。これによって、一次元目の等電点電気泳動分離から二次元目の電気泳動分離および転写膜への転写までを自動化することができる。
また、一次元目の電気泳動を行わない場合は、分離ゲル53に生体分子サンプルを充填するためのウェル(凹み)を形成すればよい。当該ウェルに生体分子サンプルを導入後、アガロースゲルなどを用いて生体分子サンプルを固定して、第1緩衝液槽3への生体分子サンプルの流出を防止する。このとき、生体分子サンプルをアガロースゲルと混合して導入して、ウェルにおいて凝固させてもよい。
上記ウェルは、通常のSDS−PAGEと同様の方法によって形成される。つまり、ゲルモノマー溶液(重合してゲル化する前の溶液)を第1開口57に流し込んだ後、ゲルモノマーが重合する前にコーム(通常、5mm程度の高さ(深さ)を有する複数の凹凸が形成されたくし状の板)を第1開口57に差込んでからゲル化させる。ゲル化した後に、コームを取り外すことによって上記ウェルが形成される。
生体分子サンプル導入後、陰極31と陽極41との間に電流を流すことによって生体分子サンプルの電気泳動による分離を行う。電極間に流す電流値としては、50mA以下であることが好ましく、20mA以上、30mA以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な速さにおいて電気泳動を行いつつ、発熱を抑制することができる。より大きい電流を流せば、より短時間において電気泳動を終了し得るが、過剰に発熱してゲル、生体分子サンプル、または電気泳動分離の分解能に悪影響を及ぼす虞がある。ただし、生体分子分析装置1の適当な箇所にペルチェ素子などを用いた強力な冷却装置を取り付ければ、過剰な発熱を防ぐことができるので、電流値を100mA以下にまで上昇させてもよい。
転写膜7は、サンプル分離部5における電気泳動の進行に合わせて、転写膜移動アーム70の駆動により図2の矢印方向に向かって徐々に搬送される。
分離された成分が第2開口58に到達したか否かは、生体分子サンプルに染色されたマーカーを予め混合して、泳動状態をマーカーの位置によって確認するか、または電圧値をモニターによって計測することによって判断すればよい。染色されたマーカーとしては、泳動の先頭を確認するために通常に用いられるBPB(Bromophenol Blue)が好ましい。また、電圧値を計測するモニターとしては、例えば、陰極31と陽極41との間の電圧をモニターする電圧モニター(電圧検出手段:図示せず)が挙げられる。
ここで、電圧モニターを用いる場合の動作について説明する。第2開口58に生体分子サンプルが到達すると、分離ゲル53と転写膜7との接触位置において、導電率が低下して電極間の抵抗値が上昇し、電圧値は大きく上昇する。この電圧値の上昇をモニターすることによって、分離された成分が分離ゲル53から排出されて転写膜7に転写されたことを検出することができる。
また、生体分子分析装置1は、電圧値をモニターするプログラムが組み込まれることによって、分離ゲル53からの成分の排出を自動的に感知し、転写膜移動アーム70による転写膜7の引上げを開始することができる。
また、同様に、成分の吸着開始後における転写膜7の引き上げ速度についても、電圧値または電流値によって制御することができる。なお、転写膜7の引き上げ速度は、十分な分解能をもって生体分子サンプルが転写膜7に吸着され得る速度であればよく、このような速度は当業者によって適宜設定され得る。これらの制御によれば、転写結果を再現性あるものとし、無駄な転写膜7の使用(成分を吸着していない部分の発生)を回避可能であり、生体分子分析装置を小型化することが可能である。
以上の工程によれば、一次元目または二次元目の電気泳動から転写までを1台の装置において連続的に行うことができる。
生体分子サンプル成分吸着の終了後、転写膜7は転写膜移動アーム70によって回収され、染色または免疫反応などに供される。その後、蛍光検出器などによって、転写膜7に吸着された成分の分離パターンが検出される。このような蛍光検出器は、生体分子分析装置1に組み込まれていてもよく、これによって電気泳動、転写、および検出の全工程を自動化することができる。
(3)二次元電気泳動装置
先述したように、生体分子分析装置1は、サンプル分離部5を二次元目電気泳動部として構成し、一次元目電気泳動部を組み込んだ二次元電気泳動装置として構成することができる。一次元目電気泳動部では一次元目電気泳動用の分離媒体としてゲルストリップ80が用いられ、一次元目の電気泳動(等電点電気泳動)が行われた後のゲルストリップ80がサンプル導入アーム82によってサンプル分離部5の第1開口57に挿入される。
これにより、一次元目の等電点電気泳動分離から二次元目の電気泳動分離および転写膜への転写までを自動化することができる。
(4)本実施形態1の作用効果
本実施形態1の生体分子分析装置1によれば、弾性体620がスリット構造体61をサンプル分離部5に向かって押圧することから、スリット構造体61のスリット61aと第2開口58との間に配置される転写膜7が第2開口58に近接する。これにより、第2開口58から排出された分離後の生体分子サンプルを転写膜7に吸着することができ、電気泳動による分離から転写膜7への転写までを連続的に行うことが可能である。また、第2開口58に転写膜7が近接することから、第2開口58から排出された分離後の生体分子サンプルを効果的に転写膜7に吸着することができ、高分解能なサンプル吸着を実現することができる。
また、弾性体620が、スリット構造体61の第2開口58側と固定具62側との間において緩衝液が存在する領域をスリット61aに制限している。これにより、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62の貫通孔62a以外を通過して押し具6のサンプル分離部5側から陽極41側へ流れる電流を阻害している。これにより、もしこのような構成が無く、スリット構造体61のスリット61a以外のところ、更には固定具62の貫通孔62a以外のところに電流が流れた場合、そこに電気力線が形成される。生体分子サンプルは、電気力線に沿って移動するため、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62の貫通孔62a以外の不特定な箇所に生体分子サンプルが流れる虞がある。その結果、生体分子サンプルが転写膜7の特定の箇所に集中して吸着されず、分解能が低下してしまう。しかしながら、本実施形態1によれば、押し具6により、第2緩衝液槽4において電流が流れる経路である緩衝液が、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62の貫通孔62a以外を通って転写膜7に接することの無い構成となっている。そのため、生体分子サンプルは転写膜7の特定の箇所に集中して吸着される。これにより高分解能なサンプル吸着を実現することができる。
なお、生体分子分析装置1は、サンプル分離を略水平方向に行う横置きの装置であるが、本発明はこれに限られず、縦置きの装置であってもよい。
〔変形例1〕
上記実施形態1では、電気力線の経路の規制を、ロの字型の弾性体620およびロの字型の凸部61bと、筐体2への固定具62の密閉固定とによっておこなっている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ロの字型の弾性体620およびロの字型の凸部61bのみによって、電気力線の経路の規制をおこなってもよい。
本変形例1では、先述した電気力線の経路の規制を、ロの字型の弾性体620およびロの字型の凸部61bのみによっておこなう。これによれば、固定具62を密閉固定する必要はなく、スリット構造体61を支持することが出来る程度に固定具62が筐体2に対して位置固定されていればよく、例えば、固定具62におけるロの字型の弾性体620が形成されている領域の外において固定具62のスリット構造体61側と陽極41側とを連通する構造が設けられていてもよい。一具体例としては、上記実施形態1では図2に示すように陽極用緩衝液の水位を固定具62の上端よりも下にしていたが、当該水位を固定具62の上端よりも上にしてもよい。
〔実施形態2〕
スリット構造体、弾性体、固定具の形状は、実施形態1に示すものに限られず、図9に示す形状も適用可能である。そこで、本発明の他の実施形態について、図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本実施形態2の生体分子分析装置に具備される押し具の断面図であり、図2と同じ方向から見た図である。本実施形態2の押し具6´と、上記実施形態1の押し具6との違いは、凹凸と、弾性体の配設箇所にある。
具体的には、本実施形態2の押し具6´は、図9に示すように、スリット構造体61の固定具62側に凹部61cが設けられており、反対に、固定具62のスリット構造体61側にスリット構造体61に向かって突出した凸部62cが設けられている。そして、スリット構造体61の凹部61cに弾性体610(弾性部材)が保持されており、スリット構造体61の凹部61cに保持された弾性体610が、サンプル分離部5が設置される際に、固定具62の凸部62cを弾性体610の固定具62側から挿入させ、弾性体610の復元力によってスリット構造体61が押し戻されることによって、実施形態1と同様に、スリット構造体61が転写膜を第2開口に向かって押圧する機構を実現している。
〔実施形態3〕
スリット構造体、弾性体、固定具の形状は、実施形態1に示すものに限られず、図10に示す形状も適用可能である。そこで、本発明の他の実施形態について、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、本実施形態3の生体分子分析装置に具備される押し具の断面図であり、図2と同じ方向から見た図である。本実施形態3の押し具6´´と、上記実施形態1の押し具6との違いは、本実施形態3の押し具6´´には凹凸が無いことにある。
具体的には、本実施形態3の押し具6´´は、図10に示すように、スリット構造体61´の固定具62´側と、固定具62´のスリット構造体61´側とが、ともに平坦であり、凹凸がない。ただし、スリット構造体61´にはスリット61aが設けられており、固定具62には貫通孔62aが設けられている。
そして、この平坦面同士の間に、一端がスリット61aによって開口し、他端が貫通孔62aによって開口した、筒状の(制限)空間を形成するロの字型の弾性体620が配設されている。上記実施形態1では、弾性体620に凸部61bがめり込むようにして押圧を発生させるが、本実施形態3では、スリット構造体61´の固定具62´側の面を弾性体620に押し付けることによって、弾性体620の復元力を生じさせて、実施形態1と同様に、スリット構造体61´が転写膜を第2開口に向かって押圧する機構を実現している。
このように、弾性体620をスリット構造体61´と固定具62´との間に単に挟んだだけの構成とすることにより、弾性体620を交換しやすく、任意の厚さ、硬さの弾性体を選択できる。また、経時劣化した場合、弾性体だけを簡単に交換することができるというメリットもある。
〔実施形態4〕
筐体への固定具の固定方法は、実施形態1に示すものに限られず、図11に示す形状も適用可能である。そこで、本発明の他の実施形態について、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
上記実施形態1では、筐体2の内側のフラットな面に固定具6のフラットな底部および側部を接着固定している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、図11に示す生体分子分析装置1´では、筐体2の内側の所定の位置に凹溝2aが形成されており、固定具62の側部に、この凹溝2aに嵌合する凸溝622が形成されており、これらを嵌合させることによって、固定具62´´を、筐体2の内側の所定位置に固定することができる。これにより、筐体2内での固定具62´´の位置決めが容易となり、接着剤などを用いる必要がなく、筐体2への固定具62´´の固定を簡易に実現することができる。また、凹溝2aと凸溝622とを嵌合させることにより、固定具62´´が高い信頼性をもって筐体2に固定されることから、スリット構造体61の(転写膜に向けた)押圧を確実に実現することができる。
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る生体分子分析装置は、
緩衝液を介して分離媒体(分離ゲル53)に電流を流して、該分離媒体(分離ゲル53)中の生体分子サンプルを分離し、且つ分離された生体分子サンプルを該分離媒体(分離ゲル53)から吸着部材(転写膜7)へ吸着させる生体分子分析装置であって、
第1電極(陰極31)と、
第2電極(陽極41)と、
上記第1電極(陰極31)側に開口する第1開口57および第2電極(陽極41)側に開口する第2開口58が設けられ、且つ上記分離媒体(分離ゲル53)を格納する分離部(サンプル分離部5)と、
上記分離部(サンプル分離部5)と上記第2電極(陽極41)との間に在る押し具(6、6´、6´´)であって、上記分離部(サンプル分離部5)側に配置された第1構造体(スリット構造体61)と上記第2電極(陽極41)側に配置され位置固定された第2構造体(固定具62、62´、62´´)とによって絶縁性を有した弾性部材(弾性体620、610)を挟持した押し具(6、6´、6´´)と、を備え、
上記第1構造体(スリット構造体61)には、上記第2開口58の対向位置に、上記分離部(サンプル分離部5)側から上記第2電極(陽極41)側に貫通する第1貫通孔(スリット61a)が設けられ、
上記第2構造体(固定具62、62´、62´´)には、上記第2開口58の対向位置に、上記分離部(サンプル分離部5)側から上記第2電極(陽極41)側に貫通する第2貫通孔(固定具62、62´、62´´の貫通孔62a)が設けられ、
上記吸着部材(転写膜7)は、上記第2開口58と上記第1貫通孔(スリット61a)との間に配置され、
上記弾性部材(弾性体620、610)は、上記第1構造体(スリット構造体61)を分離部(サンプル分離部5)に向かって押圧し、
上記弾性部材(弾性体620、610)は、上記第1貫通孔(スリット61a)における上記第2電極(陽極41)側の開口部を取り囲むとともに、上記第2貫通孔(貫通孔62a)における上記分離部側の開口部を取り囲む環形状を有しており、該開口部同士の間の緩衝液(陽極用緩衝液)の流路を該環形状の弾性部材(弾性体620、610)によって制限していることを特徴としている。
上記の構成によれば、弾性部材(弾性体620、610)が第1構造体(スリット構造体61)を分離部(サンプル分離部5)に向かって押圧することから、第1構造体(スリット構造体61)の第1貫通孔(スリット61a)と第2開口58との間に配置される吸着部材(転写膜7)が第2開口58に近接する。これにより、第2開口58から排出された分離後の生体分子サンプルを吸着部材(転写膜7)に吸着することができ、電気泳動による分離から吸着部材(転写膜7)への転写までを連続的に行うことが可能である。また、第2開口58に吸着部材(転写膜7)が近接することから、第2開口58から排出された分離後の生体分子サンプルを効果的に吸着部材(転写膜7)に吸着することができ、高分解能なサンプル吸着を実現することができる。
また、絶縁性を有する弾性部材(弾性体620、610)が、第1貫通孔(スリット61a)における上記第2電極(陽極41)側の開口部を取り囲むとともに、上記第2貫通孔(貫通孔62a)における上記分離部側の開口部を取り囲む環形状を有しており、該開口部同士の間の緩衝液の流路を該環形状の弾性部材(弾性体620、610)によって制限している。これにより、第2緩衝液槽4において電流が流れる経路である緩衝液を、スリット構造体61のスリット61aおよび固定具62の貫通孔62a以外を通って転写膜7に接することの無いように制限することができる。これにより、もしこのような構成が無く、上記第1構造体(スリット構造体61)の上記分離部(サンプル分離部5)側と上記第2構造体(固定具62、62´、62´´)側との間において緩衝液の流路を上述のように制限しなかった場合、第2緩衝液槽4において電流が流れる経路である緩衝液が、第1構造体(スリット構造体61)の第1貫通孔(スリット61a)以外のところ電流が流れて、そこに電気力線が形成される。生体分子サンプルは、電気力線に沿って移動するため、第1構造体(スリット構造体61)の第1貫通孔(スリット61a)以外の不特定な箇所に生体分子サンプルが流れる虞がある。その結果、生体分子サンプルが吸着部材(転写膜7)の特定の箇所に集中して吸着されず、分解能が低下してしまう。しかしながら、本発明によれば、上記のように緩衝液の流路を制限しているため、生体分子サンプルは吸着部材(転写膜7)の特定の箇所に集中して吸着される。これにより高分解能なサンプル吸着を実現することができる。
なお、分離された生体分子サンプルを分離媒体から吸着部材(転写膜7)へ吸着させる際には、第1電極(陰極31)および第2電極(陽極41)により規定される第1方向に対して垂直な第2方向に吸着部材(転写膜7)を移動させることによって、サンプル分離パターンを得ることが可能である。
また、上記構成によれば、一次元目の電気泳動が行われた媒体を生体分子サンプルとして分離部(サンプル分離部5)にセットすることによって、2次元目の電気泳動と転写とを連続的に行うことが可能である。
また本発明の態様2に係る生体分子分析装置は、上記態様1において、
上記第2構造体(固定具62)の上記第1構造体(スリット構造体61)側または上記第1構造体(スリット構造体61)の上記第2構造体(固定具62)側には、上記弾性部材(弾性体620、610)を保持する凹部(62b、61c)が設けられている。
上記の構成によれば、弾性部材(弾性体620、610)を保持することができることから、弾性部材(弾性体620、610)が不都合に脱離することがなく、継続的に、且つ再現性良く解析可能な生体分子分析装置を提供することができる。
また本発明の態様3に係る生体分子分析装置は、上記態様1または2において、
上記第2構造体(固定具62)の上記第1構造体(スリット構造体61)側または上記第1構造体(スリット構造体61)の上記第2構造体(固定具62)側の一方には、上記弾性部材(弾性体620、610)を保持する凹部(62b、61c)が設けられており、他方には、上記弾性部材(弾性体620、610)に挿入される凸部(61b、62c)が設けられている。
上記の構成によれば、凸部(61b、62c)および弾性部材(弾性体620、610)によって緩衝液が存在する領域が制限れ、結果的に吸着部材(転写膜7)の特定の箇所に生体分子サンプルを集中して吸着させることができる。
また本発明の態様4に係る生体分子分析装置は、上記態様1から3において、
上記弾性部材(弾性体620、610)は、高分子、ゴム、ゲルまたはゾルから構成することができる。
また本発明の態様5に係る生体分子分析装置は、上記態様4において、
上記ゴムとして、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムまたはエピクロルヒドリンゴムを用いることができる。
また本発明の態様6に係る生体分子分析装置は、上記態様1から5において、
上記第1電極(陰極31)と上記第2電極(陽極41)とにより規定される第1方向に対して垂直な第2方向において、上記第1貫通孔(スリット61a)の幅は上記第2開口58よりも狭い。
上記の構成によれば、第1貫通孔(スリット61a)が、電気力線を第2開口58よりも狭い幅にまで収束させることができる。これにより、第2開口58から排出された生体分子サンプルを第2開口58の幅よりも狭い範囲に収束させることができるため、分解能の高いサンプル吸着を実現することができる。
また本発明の態様7に係る生体分子分析装置は、上記態様1から6において、
上記第1電極(陰極31)、上記第2開口58、上記第1貫通孔(スリット61a)、上記第2貫通孔(貫通孔62a)、および上記第2電極(陽極41)が一直線上に配置されている。
上記の構成によれば、分離部(サンプル分離部5)の第2開口58付近の電気力線の流れが吸着部材(転写膜7)に対して垂直なため、第2開口58から排出された生体分子サンプルは吸着部材(転写膜7)に対して垂直な方向から吸着される。これにより、サンプル吸着の精度をより向上させることが可能となる。
また本発明の態様8に係る生体分子分析装置は、上記態様1から7において、
上記第2開口58の対向位置において、上記吸着部材(転写膜7)を、上記第1電極(陰極31)と上記第2電極(陽極41)とにより規定される第1方向に対して垂直な第2方向に移動させる吸着部材移動手段(転写膜移動アーム70)を更に備えている。
上記の構成によれば、吸着部材(転写膜7)を第2方向に移動的に移動させることができるため、より正確なサンプル分離パターンを得ることが可能となる。
また本発明の態様9に係る生体分子分析装置は、上記態様1から8において、
上記第1電極(陰極31)を内部に配置する第1緩衝液槽3と、
上記第2電極(陽極41)を内部に配置する第2緩衝液槽4とを更に備え、
上記第1緩衝液槽3に入れる第1緩衝液(陰極用緩衝液)は、エタノールを含むpH6.5〜8.8の緩衝液であり、
上記第2緩衝液槽4に入れる第2緩衝液(陽極用緩衝液)は、MOPSまたはトリスを含む緩衝液である。
また本発明の態様10に係る生体分子分析装置は、上記態様1から9において、
一次元目の電気泳動をおこなう一次元目電気泳動部を更に備え、
上記分離部(サンプル分離部5)が、二次元目の電気泳動をおこなう二次元目電気泳動部として構成される。
また本発明の態様11に係る生体分子分析装置は、上記態様10において、
上記一次元目電気泳動部において生体分子サンプルが分離された一次元目電気泳動用の分離媒体(ゲルストリップ80)を、上記分離部(サンプル分離部5)に移動する媒体移動手段(サンプル導入アーム82)を更に備えている。
上記の構成によれば、一次元目電気泳動と、上記分離部での二次元目電気泳動と、上記吸着部材によるサンプル吸着とを連続して自動的におこなうことができる二次元電気泳動装置を提供することができる。
また本発明の態様12に係る生体分子分析装置は、上記態様1から11において、
上記生体分子サンプルとして、タンパク質、DNAまたはRNAを用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、「幅」はY方向の寸法を、「長さ」はX方向の寸法を、「厚さ」はZ方向の寸法を意味している。また、本実施例は、上記実施形態1の構成に基づいている。
(サンプル分離部)
図2に示したサンプル分離部5の実施例として、幅60mm×長さ30mm×厚さ5mmの寸法のガラス板2枚を用いて、その間に厚さ1mmの分離媒体を充填して形成したものを用いた。
サンプル分離部の第2開口を市販の0.65μmのDurapore(登録商標)メンブレンフィルター(Millipore社製)を使用した多孔質膜(被覆部)によって覆った。
分離媒体には、サンプル分離部の第2開口側に、pH6.4のBis−Trisバッファーを用いた10%ポリアクリルアミドゲルを用いたタンパク質分離用ゲル(幅60mm×長さ25mm×厚さ1mm)が位置し、サンプル分離部の第1開口側に、3%ポリアクリルアミドゲルを用いたタンパク質濃縮用ゲル(幅60mm×長さ5mm×厚さ1mm)が位置する分離媒体を用いた。
(押し具)
図2に示したスリット構造体61の実施例として、アクリル材を用いて、z方向の幅を75mm、y方向の幅を24mm、x方向の幅(接触面から凸部61b(図2)の先端までの幅)を8mmとしたスリット構造体を作製した。図1に示した凸部61bの突出長を4mmとし、スリットのy方向の幅を300μmとした。また、ロの字型の凸部61b(図2)のy方向の幅を9mmとした。
図2に示した固定具62は、アクリル材を用いて、z方向の幅が75mm、y方向の幅が24mmで、x方向の幅が8mmとした固定具を作製した。貫通孔62a(図2)は、z方向の幅が65mm、y方向の幅が10mmμmとした。凹部62b(図2)は、z方向の幅が65mm、y方向の幅が5mm、深さ(x方向)が8mmとした。
図2に示した弾性体620は、まずシリコーンゴムを固定具の凹部に流し込み、当該凹部を完全に充填した後、重合して形成した。
(電極と緩衝液と転写膜)
次に、多孔質膜(転写補助体)を取り付けたサンプル分離部を、生体分子分析装置にセットし、陰極を配置する第1緩衝液槽を、pH7.3のMOPSバッファー(Invitrogen社製)で満たした。また、陽極を配置する第2緩衝液槽を、100mM MOPS(pH7.3)、20%エタノールで満たした。なお、第1緩衝液槽には白金線で作製した陰極を配置し、第2緩衝液槽にも白金線で作製した陽極を配置した。なお、上記転写補助体とは、親水性で孔径(ポアサイズ)が100μm以下である膜であり、接着剤、熱圧着、両面テープなど利用してサンプル分離部の第2開口に接着することができる。
次に、市販のPVDF膜であるImmobiron FL(Millipore社製)を予めエタノールを用いて親水化処理を施したものを転写膜として用いて、この転写膜が緩衝液に浸されている状態とした。また、この転写膜の上部を図2に示した転写膜移動アーム70に固定した。
図12に、サンプル吸着後の転写膜の写真を示す。図12から、本実施例によって、生体分子サンプルを転写膜に二次元方向へ分離展開できていることが示された。
本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明に係る生体分子分析装置は、例えば創薬研究開発に利用可能であり、また診断用医療関係機器へ応用することも可能である。
1、1´ 生体分子分析装置
2 筐体
2a 凹溝
3 第1緩衝液槽
4 第2緩衝液槽
5 サンプル分離部
6、6´、6´´ 押し具
7 転写膜
31 陰極(第1電極)
41 陽極(第2電極)
51 下板
52 上板
53 分離ゲル
57 第1開口
58 第2開口
61、61´ スリット構造体(第1構造体)
61a スリット(第1貫通孔)
61b 凸部
61c 凹部
62、62´、62´´ 固定具(第2構造体)
62a 貫通孔(第2貫通孔)
62b 凹部
62c 凸部
70 転写膜移動アーム(吸着部材移動手段)
80 ゲルストリップ(一次元目電気泳動用の分離媒体)
81 支持板
82 サンプル導入アーム(媒体移動手段)
610、620 弾性体(弾性部材)
622 凸溝

Claims (12)

  1. 緩衝液を介して分離媒体に電流を流して、該分離媒体中の生体分子サンプルを分離し、且つ分離された生体分子サンプルを該分離媒体から吸着部材へ吸着させる生体分子分析装置であって、
    第1電極と、
    第2電極と、
    上記第1電極側に開口する第1開口および上記第2電極側に開口する第2開口が設けられ、且つ上記分離媒体を格納する分離部と、
    上記分離部と上記第2電極との間に在る押し具であって、上記分離部側に配置された第1構造体と上記第2電極側に配置され位置固定された第2構造体とによって絶縁性を有した弾性部材を挟持した押し具と、を備え、
    上記第1構造体には、上記第2開口の対向位置に、上記分離部側から上記第2電極側に貫通する第1貫通孔が設けられ、
    上記第2構造体には、上記第2開口の対向位置に、上記分離部側から上記第2電極側に貫通する第2貫通孔が設けられ、
    上記吸着部材は、上記第2開口と上記第1貫通孔との間に配置され、
    上記弾性部材は、上記第1構造体を上記分離部に向かって押圧し、
    上記弾性部材は、上記第1貫通孔における上記第2電極側の開口部を取り囲むとともに、上記第2貫通孔における上記分離部側の開口部を取り囲む環形状を有しており、該開口部同士の間の緩衝液の流路を該環形状の弾性部材によって制限していることを特徴とする生体分子分析装置。
  2. 上記第2構造体の上記第1構造体側または上記第1構造体の上記第2構造体側には、上記弾性部材を保持する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の生体分子分析装置。
  3. 上記第2構造体の上記第1構造体側または上記第1構造体の上記第2構造体側の一方には、上記弾性部材を保持する凹部が設けられており、他方には、該弾性部材に挿入される凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体分子分析装置。
  4. 上記弾性部材は、高分子、ゴム、ゲルまたはゾルから構成されていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  5. 上記ゴムは、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムまたはエピクロルヒドリンゴムであることを特徴とする請求項4に記載の生体分子分析装置。
  6. 上記第1電極と上記第2電極とにより規定される第1方向に対して垂直な第2方向において、上記第1貫通孔の幅は上記第2開口よりも狭いことを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  7. 上記第1電極、上記第2開口、上記第1貫通孔、上記第2貫通孔、および上記第2電極が一直線上に配置されていることを特徴とする請求項1から6までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  8. 上記第2開口の対向位置において、上記吸着部材を、上記第1電極と上記第2電極とにより規定される第1方向に対して垂直な第2方向に移動させる吸着部材移動手段を更に備えることを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  9. 上記第1電極を内部に配置する第1緩衝液槽と、
    上記第2電極を内部に配置する第2緩衝液槽とを更に備え、
    上記第1緩衝液槽に入れる第1緩衝液は、エタノールを含むpH6.5〜8.8の緩衝液であり、
    上記第2緩衝液槽に入れる第2緩衝液は、MOPSまたはトリスを含む緩衝液であることを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  10. 一次元目の電気泳動をおこなう一次元目電気泳動部を更に備え、
    上記分離部が、二次元目の電気泳動をおこなう二次元目電気泳動部として構成されることを特徴とする請求項1から9までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
  11. 上記一次元目電気泳動部において生体分子サンプルが分離された一次元目電気泳動用の分離媒体を、上記分離部に移動する媒体移動手段を更に備えている請求項10に記載の生体分子分析装置。
  12. 上記生体分子サンプルは、タンパク質、DNAまたはRNAであることを特徴とする請求項1から11までの何れか1項に記載の生体分子分析装置。
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