JP5231374B2 - サンプル分離吸着器具 - Google Patents

サンプル分離吸着器具 Download PDF

Info

Publication number
JP5231374B2
JP5231374B2 JP2009239760A JP2009239760A JP5231374B2 JP 5231374 B2 JP5231374 B2 JP 5231374B2 JP 2009239760 A JP2009239760 A JP 2009239760A JP 2009239760 A JP2009239760 A JP 2009239760A JP 5231374 B2 JP5231374 B2 JP 5231374B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
transfer film
opening
adsorption
buffer solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009239760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011085535A (ja
Inventor
晃司 楠本
博 大木
祐二 丸尾
豊 鵜沼
毅 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2009239760A priority Critical patent/JP5231374B2/ja
Publication of JP2011085535A publication Critical patent/JP2011085535A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5231374B2 publication Critical patent/JP5231374B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

本発明は、複数の成分から構成される生物学的なサンプルを各成分に分離し、かつ分離されたサンプルを引き続き吸着媒体に吸着させるサンプル分離吸着器具に関する。
ポストゲノム研究の中心的位置を担っているプロテオーム解析において、二次元電気泳動法(2DE)およびウエスタンブロッティング法の組み合わせは、優れた分離分析手法である。2DEは、タンパク質に固有の独立した2つの物理的性質(電荷および分子量)に基づいて、種々の分離媒体を用いて、プロテオームを複数の成分(タンパク質)に高分解能に分離することができる。2DEによる分離結果を利用してタンパク質をさらに分析する場合、分離媒体に含まれる複数のタンパク質を、ウエスタンブロッティング法によって転写膜に固定化することが好ましい。これは、転写膜に固定化されたタンパク質が、長期間にわたって安定して保存され得る上に、分析が容易だからである。特に、発現量の増減および翻訳後修飾の有無といった複数のタンパク質の生物学的特徴を、2DEによる分離結果を利用して網羅的に比較検討する場合、ウエスタンブロッティング法は必須の工程と言える。
従来、2DEおよびウエスタンブロッティング法のそれぞれを独立した装置を用いて行っていた。これは、電気泳動の後に、分離媒体を電気泳動装置から取り出して転写装置に移し、かつ転写膜をセットして転写を行う操作が必要であったためである。このように、電気泳動と転写との間に研究者の手作業が介入するので、再現性の低さに問題があった。また、分離媒体として非常に軟らかくて破れやすいゲルを扱うので、ウエスタンブロッティングは、熟練を要する手法であった。
このような問題を解決するために、近年、電気泳動からウエスタンブロッティングまでの一連の操作を1台の装置を用いて自動化する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の技術によって、実験の再現性、短時間化および利便性が改善された。
特開2007−292616号公報(2007年11月8日公開)
しかし、特許文献1に開示されているサンプル分離吸着器具において、第2電極がサンプル分離部の第2開口に対向して配置され、吸着部材が、第2電極と第2開口との間に配置されている。すなわち、サンプル成分を吸着する吸着用部材は、(1)第2電極または第2開口のいずれかと接しているか、(2)第2電極および第2開口の両方と接しているか、または(3)第2電極および第2開口のいずれとも接していない。(1)および(2)の場合、吸着部材が硬い第2電極、第2開口またはこれらの両方と接しているため、吸着部材を移動させると摩擦によって吸着部材を傷つけるおそれがある。(1)の第2電極と接している場合、および(3)の場合、吸着部材と第2開口との間に緩衝液が存在するので、サンプル分離部から放出されたサンプルの成分が緩衝液に拡散するおそれがある。さらに、(2)のうち第2電極を第2開口と同じか、または小さくした場合、吸着部材の第2開口に対する接触面積を十分に確保できないので、サンプルの成分が緩衝液に拡散するおそれがある。
つまり、従来技術によって実験の再現性、短時間化および利便性が改善されたものの、吸着部材に対するサンプル成分の効率的な吸着、吸着部材の損傷回避、またはこれらの両方に関してさらなる改良の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、サンプルの分離および吸着をより精度よくかつ効率的に行うことができるサンプル分離吸着器具を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のサンプル分離吸着器具は、
第1電極を有する第1緩衝液槽と、第2電極を有する第2緩衝液槽と、上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持するサンプル吸着部材支持部とを備え、上記サンプル吸着部材支持部における上記軟質材料の部分が、上記第2開口に押し付けられている。
上記構成によれば、サンプル吸着部材支持部における軟質材料の部分が、第2開口に押し付けられているので、第2開口が軟質材料の部分に埋まった状態になる。よって、サンプル吸着部材を配置したときに、サンプル吸着部材が第2開口を覆うように密着するが、サンプル吸着部材と第2開口との間には強い摩擦力が生じない。これは、柔軟性を有し、かつ弾力性に富む軟質材料によってサンプル吸着部材が第2開口に押し付けられるからである。したがって、サンプルの分離吸着時に第2開口から緩衝液に拡散することなく、分離されたサンプル成分がサンプル吸着部材に吸着される。また、サンプルの分離吸着時にサンプル吸着部材を順送りにスライドさせることが容易であり、かつサンプル吸着部材が受ける損傷を回避し得る。
ここで、サンプル分離部に収納されるサンプル分離媒体は、柔軟な乾燥しやすい材料から一般的に構成される。よって、サンプル分離媒体は、サンプル吸着部材と接触する第2開口付近にあるその端部において完全な直線状を有しておらず、微視的な凹凸を有している。このため、サンプル吸着部材とサンプル分離媒体とが完全に密着せずに、分離された成分がサンプル吸着部材の適切な位置に転写されない場合が起こり得る。しかし、上述のように、サンプル吸着部材がサンプル吸着部材支持部の軟質材料の部分によって第2開口に押し付けられているので、サンプル吸着部材は、第2開口におけるサンプル分離媒体が有する微視的な凹凸に合わせて、サンプル分離媒体と密着する。このため、サンプル吸着部材において、分離された成分の吸着位置にずれを生じにくくなる。
すなわち、上記構成によれば、サンプルの分離および吸着をより精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記軟質材料の乾燥時における硬度が、JIS−A(Hs)規格において測定した場合に、10度以上、70度以下であることが好ましい。
上記構成によれば、第2開口からの分離された成分の拡散、サンプル分離時におけるサンプル吸着部材の損傷回避、およびサンプル吸着部材における成分の吸着位置ずれの回避がより確実に行われる。したがって、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記軟質材料が、吸水性を有する材料であることが好ましい。
上記構成によれば、軟質材料にサンプルの分離および吸着に使用する緩衝液を浸透させることができる。よって、サンプル吸着部材と直接に接触する軟質材料の誘電率を向上し得るので、分離されたサンプルをサンプル吸着部材の適切な位置に吸着させることができる。すなわち、サンプルの分離および吸着の精度をさらに向上し得るという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記軟質材料が、導電性の液体を吸収している状態において、50以上の誘電率を有する材料であることが好ましい。
上記構成によれば、緩衝液を吸収した状態の誘電率が50以上である材料によって、電気力線が、当該材料に遮られることなく当該材料内を透過し得る。よって、サンプル分離媒体からサンプル吸着部材支持部へ向かう電気力線は、その発散が抑制されるので、収束された状態を維持し得る。サンプル吸着部材を通る収束した状態の電気力線によって、分離された成分がサンプル吸着部材に対して高分解能を有して吸着される。すなわち、サンプルの分離および吸着の精度をさらに向上し得るという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着部材において、上記軟質材料が、互いに連絡している複数の吸水孔を有する多孔質の材料であることが好ましい。
上記構成によれば、電気力線の遮断がさらに抑制されるので、軟質材料の内部において電気力線が収束した状態をより良好に維持し得る。すなわち、サンプルの分離および吸着の精度をさらに向上し得るという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記軟質材料が、58%以上、92%以下の中空率を有する材料であることが好ましい。
軟質材料が有する中空率が上記範囲内にあれば、緩衝液を吸収した状態において十分に高い誘電率を実現し得るとともに、軟質材料によるサンプル吸着部材の適度な押し付けを実現し得る。すなわち、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記軟質材料が、親水性を有する材料であることが好ましい。
上記構成によれば、軟質材料への気泡の侵入が抑制されるので、軟質材料に吸収された緩衝液に気泡が留まりにくくなる。よって、軟質材料内を透過する電気力線が遮られることをさらに抑制し得る。すなわち、サンプルの分離および吸着の精度をさらに向上し得るという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記第1電極、上記第2開口および上記第2電極が、略一直線上に配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1電極から第2電極に向かう電気力線が、第2開口付近においてサンプル吸着部材に対して略垂直になる。すなわち、サンプルの吸着の精度をさらに向上し得るという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具は、上記サンプル吸着部材支持部を第2開口に押し付けて密着させる、上記サンプル吸着部材支持部が取り付けられた密着治具をさらに備えていてもよい。
上記構成によれば、密着治具の配置のみによって、サンプル吸着部材支持部を第2開口に押し付けることができる。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記サンプル吸着部材支持部が、ロッドおよび当該ロッドに巻き付いた上記軟質材料を有する円筒形状であってもよい。さらに、上記サンプル吸着部材支持部が、上記ロッドを中心にして回転可能であってもよい。
上記構成によれば、サンプルの分離吸着時にサンプル吸着部材のスライドに合わせて、サンプル吸着部材支持部が回転し得る。このため、サンプル吸着部材とサンプル吸着部材支持部との間の摩擦をさらに低減し得る。また、分離された成分の一部がサンプル吸着部材を通過してサンプル吸着部材支持部に付着した場合であっても、サンプル吸着部材支持部における分離された成分が付着した箇所が回転によって変位するので、サンプル吸着部材支持部に付着した成分が、ふたたびサンプル吸着部材に吸着されることがない。すなわち、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記サンプル吸着部材支持部が、円筒形状に形成された上記軟質材料からなり、上記サンプル吸着部材支持部を上記第2開口に押し付けるガイドをさらに備えていてもよい。さらに、上記第2開口と上記ガイドとの間隔が、円筒形状の上記サンプル吸着部材支持部の横断面が有する略円形の直径よりも小さくてもよい。また、上記サンプル吸着部材支持部が、上記円筒形状の周方向に回転可能であってもよい。
上記構成によれば、密着治具の配置によって、ガイドが円筒形状のサンプル吸着部材支持部を第2開口に対して押し付け固定することができる。また、サンプル吸着部材支持部が円筒形状を有しているので、ガイドに沿って回転可能である。つまり、サンプル吸着部材をスライド移動させると、サンプル吸着部材支持部がガイドに沿って回転する。よって、上述の効果と同様の効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記密着治具がサンプル分離部に取り付けられていてもよい。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記ガイドの上記第2開口と対向する位置に、スリットが形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、ガイドに形成されたスリットを電気力線が通る。よって、電気力線の収束を確実に妨げることなく、サンプル吸着部材を第2開口に押し付けることができる。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記ガイドの底部が、円筒形状の上記サンプル吸着部材支持部の下端よりも鉛直方向において上方に位置することが好ましい。
上記構成によれば、サンプル吸着部材支持部の下側からサンプル吸着部材をスライドさせる場合に、ガイドとサンプル吸着部材との接触を回避し得る。よって、サンプル吸着部材の損傷回避およびガイドの材質を選択する自由度の向上を実現し得る。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記サンプル吸着部材支持部が、ローラ状の形状を有し、かつ当該形状の横断面の外側にある上記軟質材料から中心部に向かうにつれて中空率が低くなっていてもよい。さらに、上記中心部によって上記外側の部分が上記第2開口に押し付けられていてもよい。また、上記サンプル吸着部材支持部が、上記中心部を中心にして回転可能であってもよい。
上記構成によれば、最小の部品点数によってサンプル吸着部材支持部を構成できる。中心部分から外側に向かって徐々に中空率(柔軟性)が大きくなっているので、サンプル吸着部材支持部は、その広い範囲にわたって均等な力によって、サンプル吸着部材を第2開口に押し付けることができる。また、中空率の低い中心部を軸として器具に取り付けることによって、サンプル吸着部材支持部は回転可能である。つまり、サンプル吸着部材をスライド移動させると、サンプル吸着部材支持部がガイドに沿って回転する。よって、上述の効果と同様の効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記サンプル吸着部材支持部が、シート状の上記軟質材料によって形成されていてもよい。さらに、上記密着治具が、シート状の上記軟質材料を上記第2開口に押し付けるロッドを有していてもよい。また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記密着治具が上記ロッドを2つ有しており、当該2つのロッドがシート状の上記軟質材料を介して上記第2開口を挟むことによって、上記軟質材料を上記第2開口に押し付けていてもよい。
上記構成によれば、略同一の形状を有するサンプル吸着部材支持部を用いて、サンプル吸着部材を支持可能である。つまり、サンプル吸着部材支持部およびサンプル吸着部材を同時にスライドさせることができる。このため、サンプル吸着部材の搬送時にサンプル吸着部材に対してのみ力が加わることがないので、サンプル吸着部材の搬送時におけるたわみが生じない。また、サンプル吸着部材支持部およびサンプル吸着部材を同時にスライドするので、サンプル吸着部材支持部とサンプル吸着部材とがほとんど摩擦を生じることがない。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記サンプル吸着部材支持部を上記サンプル吸着部材と同時に搬送する搬送手段をさらに備えていることが好ましい。
上記構成によれば、サンプルの分離吸着時にサンプル吸着部材のスライドに合わせて、シート状のサンプル吸着部材支持部がスライドし得る。このため、サンプル吸着部材とサンプル吸着部材支持部との間の摩擦が生じない。また、分離された成分がサンプル吸着部材を通過してサンプル吸着部材支持部に付着した場合であっても、サンプル吸着部材支持部における分離された成分が付着した箇所がサンプル吸着部材ともに移動するので、サンプル吸着部材支持部に付着した成分が、サンプル吸着部材の吸着されるべき位置以外に吸着されることがない。すなわち、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記第2開口が、上記サンプル分離媒体と同じ材料を含有する、上記軟質材料と同じ材料によって覆われていることが好ましい。
上記構成によれば、第2開口とサンプル吸着部材との間の摩擦をさらに低減し得る。よって、サンプルの分離吸着時におけるサンプル吸着部材の損傷をさらに回避し得る。すなわち、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記第1電極および上記第1開口の間に、上記第1緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第1緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、サンプルの分離吸着時に第1電極から生じる気泡が、第1緩衝液槽の仕切り板から第1電極側にしか広がらない。よって、気泡が第1開口に付着することを回避し得る。すなわち、第1開口に気泡が付着した場合に生じる電気力線の発散を回避し得る。また、気泡が第1緩衝液槽の緩衝液全体を覆うことがないので、緩衝液の過剰な加熱を回避し得る。よって、サンプル分離の分解能の低下を回避し得る。以上のことから、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のサンプル分離吸着器具において、上記第2電極および上記サンプル吸着部材支持部の間に、上記第2緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第2緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、サンプルの分離吸着時に第2電極から生じる気泡が、第2緩衝液槽の仕切り板から第2電極側にしか広がらない。よって、気泡がサンプル吸着部材支持部に付着することを回避し得る。すなわち、サンプル吸着部材支持部の内部に気泡が付着した場合に生じる電気力線の発散を回避し、かつサンプル吸着部材への気泡の付着を回避し得る。また、気泡が第2緩衝液槽の緩衝液全体を覆うことがないので、緩衝液の過剰な加熱を回避し得る。よって、サンプル分離の分解能の低下を回避し得る。以上のことから、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができるという効果を奏する。
以上のように、本発明のサンプル分離吸着器具によれば、サンプルの分離および吸着をより精度よくかつ効率的に行うことができるという効果を奏する。
(a)は、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図であり、(b)は、(a)の変形例の概略構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す斜視図である。 本発明に係る第1電極および第2電極の変形例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る転写膜密着治具の概略構造を示す平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4とは異なる転写膜密着治具のリベットを用いた装着を説明する平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図8の転写膜密着治具のリベットを用いた装着を説明する平面図である。 本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4および5とは異なる転写膜密着治具のはめ込み装着を説明する平面図である。 (a)は、図4、5および10とは異なる転写膜密着治具の構成を示す図であり、(b)は、(a)の転写膜密着治具に対する転写膜支持部の取り付け位置の例を示す図である。 転写膜支持部におけるスポンジ部の誘電率εに対する、転写膜の厚さ方向の中心点における電気力線の広がりdmを示すグラフである。 (a)は、PVAを走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影した結果を示す図であり、(b)は、親水性特殊ポリウレタンをSEMによって撮影した結果を示す図であり、(c)は、ポリカーボネートをSEMによって撮影した結果を示す図である。 (a)は、低い誘電率を有するロッドを用いた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は、高い誘電率を有するロッドを用いた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図である。 ロッドの誘電率εに対する電気力線の広がりdmを示すグラフである。 ロッドの直径に対する電気力線の広がりdmを示すグラフである。 (a)は、本発明に係るサンプル分離部の構成例を示す断面図であり、(b)は本発明に係るサンプル分離部の他の構成例を示す断面図である。 (a)は、図17(a)のサンプル分離部同士を対向させた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は、図17(a)のサンプル分離部と転写膜支持部を対向させた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図である。 (a)は、図1とは異なる、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図であり、(b)は、軟質材料用ガイドの詳細な構造を示す部分的な断面図である。 図19の転写膜密着治具の構造を示す斜視図である。 (a)は、取り付け箇所が異なる転写膜密着治具の変形例の構造を示す図であり、(b)は、(a)の転写膜密着治具の構造を示す斜視図であり、(c)は、(a)の転写膜密着治具の変位動作の詳細を示す図である。 (a)は、図21とは異なる転写膜密着治具の変形例の構造を示す図であり、(b)は、(a)の転写膜密着治具をサンプル分離部に取り付けた状態を示す図である。 (a)は、図21および22とは異なる転写膜密着治具の変形例の構造を示す図であり、(b)は、転写膜密着治具111’’’のサンプル分離部6への取り付け状態を示す図であり、(c)は、(a)の転写膜密着治具の詳細な動作を示す図である。 図1および19とは異なる、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図である。 図24のサンプル分離吸着器具における転写膜支持部を示す斜視図である。 (a)は、図1、18および23とは異なる、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図であり、(b)は、(a)の変形例の概略構造を示す断面図である。 (a)は、スポンジ部をPVAによって作製した場合に、分離された成分が転写された転写膜を撮影した結果を示す図であり、(b)は、スポンジ部をシリコンによって作製した場合に、分離された成分が転写された転写膜を撮影した結果を示す図である。
本発明の実施形態について図1〜図25を参照して以下に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態に係るサンプル分離吸着器具1について、図1〜図18を用いて以下に説明する。
図1(a)に示されるように、サンプル分離吸着器具1は、ステージ18内部に、陰電極(第1電極)2を有する第1緩衝液槽4、陽電極(第2電極)3を有する第2緩衝液槽5、分離ゲル7を収納するサンプル分離部6、転写膜10を支持する転写膜支持部8を備えている。サンプル分離部6は、第1緩衝液槽4に向かって開いているサンプル供給媒体接続部(第1開口)19、および第2緩衝液槽5に向かって開いているサンプル分離部6のサンプル成分排出口(第2開口)6aを有している。転写膜支持部8は、ロッド8bの周囲に軟質材料からなるスポンジ部(軟質材料の部分)8aが巻きつけられた円筒(ローラ)形状を有している。転写膜支持部8のスポンジ部8aは、転写膜10を介してサンプル成分排出口6a押し付けられている。
すなわち、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1は、第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5に緩衝液を満たすことによって、第1緩衝液槽4内の陰電極2と第2緩衝液槽5内の陽電極3とが、2つの槽における緩衝液、分離ゲル7、転写膜10、転写膜支持部8を介して、電気的に接続される。すなわち、サンプル分離吸着器具1は、陰電極2と陽電極3との間に電圧を印加することによって、サンプル供給媒体接続部19から導入されたサンプルをサンプル分離部6に収納された分離ゲル7によって分離し、かつ分離ゲル7において分離された各成分を、転写膜支持部8によってサンプル成分排出口6aに押し付けられた転写膜10に吸着させる器具である。
上記構成において、転写膜支持部8のスポンジ部8aは、転写膜10を介してサンプル成分排出口6a押し付けられているので、サンプル成分排出口6aが転写膜10を介してスポンジ部8aの一部に埋まった状態になる。すなわち、サンプル成分排出口6aが、その周囲を含めて転写膜10と密着している。このため、分離ゲル7によって分離された成分が、緩衝液に拡散することなく、転写膜10に確実に吸着される。また、後述する移動アーム(搬送手段)17を用いた転写膜10のスライド時に、サンプル成分排出口6aと転写膜10との間に強い摩擦抵抗が生じない。これらの作用は、柔軟性を有し、かつ弾力性に富む軟質材料からなるスポンジ部8aによって、転写膜10がサンプル成分排出口6aに押し付けられていることによって生じている。
ここで、分離ゲル7は、柔軟な乾燥しやすい材料によって一般的に構成される。よって、分離ゲル7は、転写膜10と接触するサンプル成分排出口6a付近にある端部において完全な直線状を有しておらず、微視的な凹凸を有している。このため、転写膜10と分離ゲル7とが完全に密着せずに、分離された成分が転写膜10の適切な位置に転写されない場合が起こり得る。しかし、上述のように、転写膜10が転写膜支持部8のスポンジ部8aによってサンプル成分排出口6aに押し付けられているので、転写膜10は、サンプル成分排出口6aにおける分離ゲル7が有する微視的な凹凸に合わせて変形して、分離ゲル7と密着する。このため、転写膜10において、分離された成分の吸着位置にずれを生じにくくなる。すなわち、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1を用いれば、サンプルの分離および吸着をより精度よくかつ効率的に行うことができる。
図2に示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1において、転写膜支持部8のロッド8bが、転写膜密着治具(密着治具)11に接続されている。したがって、ステージ18の治具収納部12に転写膜密着治具11を配置すれば、上述のような、サンプル成分排出口6aに対して転写膜10を介して転写膜支持部8を押し付けることができる。このように、転写膜密着治具11の配置のみによって、上述のような作用を生じる、サンプル成分排出口6aに対する転写膜10を介した転写膜支持部8の押し付けが実現される。
ここで、ロッド8bは、転写膜密着治具11に対して回転可能に接続されている。つまり、転写膜支持部8は、転写膜10の移動に合わせて回転する。よって上述の作用に加えて、以下の(1)〜(4)の作用を生じる。(1)転写膜10が転写膜支持部8から受ける摩擦抵抗が低減されるので、転写膜10は、電気泳動の進行に合わせてスムースにスライドして、損傷を受けるおそれがさらに軽減され得る。(2)転写膜10がサンプル成分排出口6aと密着する前に、多少の歪みまたはたわみが生じていたとしても、平坦化される。(3)転写膜支持部8の回転にともなう周囲の緩衝液の対流によって、転写膜10とサンプル成分排出口6aとの密着部に対して通常の溶質濃度を有する緩衝液が常に供給されるので、局所的な溶質不足による転写効率の低下を防ぐ。(4)分離された成分の一部が、転写膜10に吸着され切らずに通り抜けて、スポンジ部8aに付着した場合、スポンジ部8aの分離された成分が付着した箇所が回転変位するので、スポンジ部8aに付着した成分が転写膜10に逆戻りしない。
転写膜10の移動にともなって転写膜支持部8が回転していることは、以下のような条件においてローラ回転距離および転写膜10の移動距離が同程度であったことから確認された。直径3mmのロッド8bに直径6mmの中抜き円筒状のスポンジ部8aを被せたローラ状の転写膜支持部8を用いた場合、転写膜10の移動距離が60mmのときに、ローラ回転距離は約57mmであった(ローラ回転距離=ローラ直径×π×回転数)。転写膜10の移動距離に対するローラ回転距離が約57mmなので、ローラの回転率は約95%である。このような結果から、転写膜10の移動にともなってスポンジ部8aが十分に回転していることが分かる。
ロッド8bを構成する材料としては、例えば、アルミナなどの導電性を有していない材料が好ましい。これは、ロッド8bが導電性を有していると、電圧の印加によって気泡を大量に生じて、転写膜10に対する分離された成分の安定した転写を阻害する原因になるためである。
(転写膜密着治具11)
図4〜図10を参照して、転写膜密着治具11の詳細について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る転写膜密着治具の概略構造を示す平面図である。図5は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。図6は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。図7は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4の転写膜密着治具の装着を説明する平面図である。図8は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4とは異なる転写膜密着治具のリベットを用いた装着を説明する平面図である。図9は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図8の転写膜密着治具のリベットを用いた装着を説明する平面図である。図10は、本発明に係るサンプル分離吸着器具に対する、図4および5とは異なる転写膜密着治具のはめ込み装着を説明する平面図である。
図4に示すように、転写膜密着治具11’は、転写膜保持部8の長さ方向と平行に伸びる平板状の接続板を備えている。図5に示すように、ステージ18’は、上記接続板と対応する位置に取り付け部を備えている。そして、図6に示されるように、転写膜密着治具11’は、ステージ18’の第2緩衝液槽5にはめ込まれる。ここで、上記接続部には、ねじ20を通す孔が空けられており、かつ上記取り付け部には、ねじ20のらせん部を受け入れて上記接続部を締め付け固定するねじ受け部が形成されている。よって、図7に示すように、転写膜密着治具11’をスライドさせて上記接続部と上記取り付け部とを接触させた後に、ねじ20によって両者が締め付け固定される。この締め付け固定によって、転写膜密着治具11’に対して回転可能に接続された転写膜支持部8が、簡単な操作によって常に精度よく、サンプル成分排出口6aに押し付けられる。
図8に示すように、転写膜密着治具11’’の転写膜支持部8を接続する板にリベット21が固定された構成を用いて、転写膜支持部8をサンプル成分排出口6aに押し付け得る。図9に示すように、転写膜密着治具11’と同様に、ステージ18’’の第2緩衝液槽5に転写膜密着治具11’’をはめ込んだ後に、転写膜密着治具11’’を第1緩衝液槽4に向かってスライドさせる。ここで、ステージ18’’は、リベット21と対向する箇所にリベット21の形状と略対応する取り付け孔を有している。よって、図9に示すように、上記取り付け孔にリベット21をはめ込むことによって、転写膜支持部8がサンプル成分排出口6aに押し付けられた状態において転写膜密着治具11’’がステージ18’’に配置される。
さらに、図10に示すような、転写膜密着治具11’’’が採用され得る。図10の上段は、転写膜密着治具11’’’を上面から見た形状を示し、図10の中段は、転写膜密着治具11’’’を側面から見た形状を示し、かつ図10の下段は、ステージ18’’’を上面から見た形状を示している。図10における破線のそれぞれは、対応する位置関係を示している。図10の中段に示されるように、転写膜密着治具11’’の転写膜支持部8を接続する板の底面には、3つ凹部が形成されている。また、図10の下段に示されるように、ステージ18’’’の内壁には、上記板に形成された3つ凹部と位置および形状が対応する凸部が形成されている。よって、図10の上段の転写膜密着治具11’’’をステージ18’’’の上方から差し込むことによって、転写膜支持部10がサンプル成分排出口6aに押し付けられた状態において、転写膜密着治具11’’’が配置される。
さらに、図11に示すような付勢手段を有する転写膜密着治具11’’’’が採用され得る。図11(a)は、付勢手段を有する転写膜密着治具11’’’’の構成を示す図であり、(b)は、転写膜密着治具11’’’’に対する転写膜支持部8の取り付け位置の例を示す図である。
図11(a)に示すように、転写膜密着治具11’’’’は、ステージ18の突出部に取り付けられたばね11a’’’’を有している。ばね11a’’’’は、ステージ18の突出部から第1緩衝液槽4側に復元することによって、転写膜密着治具11’’’’をサンプル分離部6側に移動させる。よって、ばね11a’’’’を収縮させた状態において転写膜密着治具11’’’’を第2緩衝液槽5内に取り付けることによって、転写膜支持部8がサンプル成分排出口6aに押し付け固定される。この構成であれば、他の部品(ねじおよびリベットなど)による固定が不要であり、転写膜密着治具11’’’’を、第2緩衝液槽に対して単にはめ込むことによって、転写膜支持部8の押し付け固定が可能である。
ここで、ばね11a’’’’の復元力が強すぎると、サンプル成分排出口6aに対して転写膜支持部8を必要以上に押し付けてしまう場合もあり得る。よって、例えば、ステージ18におけるAのように、第2緩衝液槽5の幅が狭まるように曲面を形成することが好ましい。また、例えば、転写膜密着治具11’’’’におけるBのように、転写膜密着治具11’’’’の一部がサンプル分離部6と対向する箇所を設けることが好ましい。これらの構成によって、ばね11a’’’’の復元力が強すぎても、転写膜密着治具11’’’’が必要以上に第1緩衝液槽4側に移動することがない。これらの構成を採用する場合、サンプル成分排出口6aに対して転写膜支持部8が十分に押し付けられるように、十分に復元力の強いばね11a’’’’を用いるか、またはステージ18の突出部を転写膜密着治具11’’’’の近くに配置してばね11a’’’’を十分に収縮させればよい。
また、転写膜支持部8を押し付ける好適な度合いがあらかじめ決まっている場合には、図11(b)に示すように、転写膜密着治具11’’’’の第1緩衝液槽4側の端部から、所望の距離Wだけ突出するように転写膜支持部8を転写膜密着治具11’’’’に取り付ければよい。図11(a)におけるAおよびBの構成によって、転写膜支持部8が所望の距離Wだけサンプル成分排出口6aに押し付けられると、転写膜密着治具11’’’’がさらに第1緩衝液槽4側に移動することなく固定される。
本実施形態において、転写膜密着治具11、11’、11’’または11’’’を用いて、転写膜支持部8をサンプル成分排出口6aに押し付ける構成について説明している。しかし、本発明は、転写膜支持部8が、例えば、第2緩衝液槽5の内壁に対して直接に取り付けられる構成を包含し得る。この場合、着脱可能なサンプル分離部6を用いることによって、定位的に取り付けられた転写膜支持部8をサンプル分離部6のサンプル成分排出口6aに押し付けることができる。例えば、サンプル分離部6をステージ18の第1緩衝液槽4側に挿入した後に、サンプル成分排出口6aが転写膜支持部8に対して所望の程度に押し付けられるまで、サンプル分離部6を第2緩衝液槽5側にスライドさせればよい。所望の位置に配置したサンプル分離部6は、ねじまたはリベットなどを用いた種々の方法によってステージ18に固定され得る。
(転写膜支持部8)
図12〜図18を参照して、転写膜支持部8を構成するスポンジ部8aおよびロッド8bの詳細、ならびにサンプル成分排出口6aに対する転写膜10を介した転写膜支持部8の押し付け条件の詳細について説明する。
スポンジ部8aを構成する軟質材料の乾燥時における硬度が、JIS−A(Hs)規格において測定した場合に、10度以上、70度以下であることが好ましい。軟質材料の乾燥時における硬度が下限値以上であれば、スポンジ部8aがサンプル成分排出口6aおよび分離ゲル7に転写膜10を押し付けて、サンプル成分排出口6aおよび分離ゲル7に転写膜10を十分に密着させることができる。また、軟質材料の乾燥時における硬度が上限値以下であれば、サンプル成分排出口6aと転写膜10との間の摩擦を十分に低減して、転写膜10の良好な搬送が実現される。すなわち、上述の硬度を有する軟質材料からなるスポンジ部8aを用いれば、サンプルの分離および吸着をより一層、精度よくかつ効率的に行うことができる。
また、上記軟質材料は、吸水性を有する材料であることが好ましく、導電性の液体を吸収している状態において、50以上の誘電率εを有する材料であることが好ましい。スポンジ部8aを構成する軟質材料の誘電率εが50以上になると、転写膜10の厚さ方向に対する中心点における電気力線の第2緩衝液槽5の高さ方向における幅(dm)が最小値にまで収束して、プラトーに達する(誘電率εに依存しなくなる)。dmが小さければ小さいほど、分離された成分を転写膜10に対して高分解能に転写することができる。
図12を参照して、スポンジ部8aを構成する軟質材料の誘電率εとdmとの関係について説明する。図12は、スポンジ部8aを構成する軟質材料の誘電率εとdmとの関係について粒子気道シミュレーションした結果を示すグラフである。ここでは、転写膜支持部8として、直径3mmのロッド8bに直径6mmの中抜き円筒状のスポンジ部8aを用いた場合を例にする。図12に示すように、dmは、誘電率εが上昇するにしたがって小さくなっていき、誘電率εが50に達した時点でプラトーに達することが分かる。よって、上述のように、上記軟質材料は、導電性の液体を吸収している状態において、50以上の誘電率εを有する材料であることが好ましい。
誘電率εを高めるという観点から、軟質材料は、互いに連絡している複数の孔を有する多孔質の材料であり、特に58%以上、92%以下の中空率を有する材料であることが好ましい。軟質材料が有する孔が互いに連絡していることによって、スポンジ部8aに保持され得る緩衝液の量が増加する。また、軟質材料が互いに連絡している孔を有することによって、スポンジ部8aに浸透した緩衝液を介してスポンジ部8aを通る電気力線が遮られることがない。特に軟質材料が58%以上の中空率を有していれば、スポンジ部8aに保持され得る緩衝液の量を十分に確保しつつ、転写膜10をサンプル成分排出口6aに対して良好に押し付け可能である。そして、軟質材料が92%以下の中空率を有していれば、スポンジ部8aの柔軟性が十分に確保される。このような多孔質の材料の例としては、PVA(PolyVinyl Alcohol)(気孔率(中空率)90%)および親水性の特殊ポリウレタン(気孔率83%)などが挙げられる。
図13は、上述のような互いに連絡している複数の孔を有する多孔質の材料、およびそれ以外の多孔質の材料を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した結果を示す。図13(a)はPVAを撮影した結果を示す図であり、図13(b)は親水性の特殊ポリウレタンを撮影した結果を示す図であり、かつ図13(c)はポリカーボネートを撮影した結果を示す図である。図13(a)および(b)に示すように、気質部の気孔(中空)が互いに連絡して存在している材料を用いれば、上述のように高い誘電率εを有するスポンジ部8aを容易に実現可能である。一方において、図13(c)に示すように、ポリカーボネートには、孔がまばらに存在している。以上のことから、軟質材料としては、単位体積あたりに含有し得る緩衝液の量が多くなるので、ポリカーボネートよりもPVAおよび親水性の特殊ポリウレタンの方が好ましい。
緩衝液を含有している軟質材料が有する誘電率は、以下の式(I):
ε´=ε×中空率〔%〕/100+ε×(100−中空率〔%〕)/100 (I)
によって算出される。εは、緩衝液の誘電率を表しており、その値は80である。εは軟質材料の誘電率を表している。軟質材料がPVAである場合の誘電率εは、2であり、かつ軟質材料が親水性の特殊ポリウレタンである場合の誘電率εは、7である。よって、式(I)から、緩衝液を含有しているPVAの誘電率ε´は72.2であり、かつ緩衝液を含有している親水性の特殊ポリウレタンの誘電率ε´は67.6である。
また、軟質材料は、親水性を有する材料であることが好ましい。軟質材料が親水性であれば、スポンジ部8aに緩衝液を含有させたときに、上述のような多孔質の材料が有する孔に、気泡(空気)が残りにくい上に、陽電極3から生じる気泡が侵入しにくくなる。よって、緩衝液を含有しているスポンジ部8aを通る電気力線を遮るおそれがより少なくなる。
ロッド8bの詳細について図14〜図16を用いて以下に説明する。図14は、異なる誘電率εを有する2つのロッド8bを用いた場合の電気力線を比較した図である。図14(a)のロッド8bは誘電率ε1を有しており、図14(b)のロッド8bは誘電率ε40を有している。図15は、種々の異なる誘電率εを有するロッドを用いたシミュレーション結果を示すグラフである。図16は、種々の異なる直径を有するロッドを用いたシミュレーション結果を示すグラフである。
図14(a)に示すように、低い誘電率εを有するロッド8bを用いると、サンプル成分排出口6aにおいて収束された電気力線は、ロッド8bを避けて回り込むように通る。一方において、図14(b)に示すように、高い誘電率εを有するロッド8bを用いると、サンプル成分排出口6aにおいて収束された電気力線は、ロッド8bを避けることなく、そのまま通過する。
ここで、図15に示すように、低い誘電率εを有するロッド8bを用いた場合であっても、サンプル成分排出口6aからロッド8bまでに十分な距離があるので、サンプル成分排出口6a付近において電気力線は十分に収束している。したがって、ロッド8bが有する誘電率εは、dmにまったく影響しない。このため、種々の誘電率εを有するロッド8bをサンプル成分排出口6aと対向する位置にロッド8bを配置することによって問題が生じることはない。
さらに、図16に示すように、ロッド8bが有する直径を変えることによって、dmはほとんど変化しない(ロッド8bの直径はdmにほとんど影響しない)。以上のことから、ロッド8bの誘電率εおよび直径は、種々の範囲から選択可能であり、他の要因(例えば、ロッド8bの耐久性およびスポンジ部8a厚さなど)に基づいて適宜変更すればよい。
以上のような検証を行った後に好適と考えられるスポンジ部8aおよびロッド8bの材料および形状を適宜変更して、サンプル分離吸着器具1に適用した。このサンプル分離吸着器具1を用いて、実際にサンプルの分離および吸着を行った結果から、転写膜支持部8による転写膜10を介したサンプル成分排出口6aの押し付け条件が、以下のように最適化され得る。
直径3mmのロッド8bに直径6mmの中抜き円筒状のスポンジ部8aを被せた転写膜支持部8を用いる場合、サンプル成分排出口6aが緩衝液を含有するスポンジ部8aに対して、好ましくは0.3mm以上、1.3mm以下、より好ましくは0.5mm以上、0.8mm以下だけ食い込むような位置に、転写膜支持部8が配置される。なお、緩衝液を含有するスポンジ部8aの直径をあらかじめ確認して、サンプル成分排出口6aが緩衝液を含有するスポンジ部8aに対して好適な度合いにおいて食い込むような位置に、転写膜支持部8を配置すればよい。本実施形態において、転写膜支持部8の配置位置は、転写膜密着治具11を用いて適宜変更すればよい。このように、最適化された押し付け条件が比較的に広い範囲を有しているので、器具設計の自由度、転写膜支持部8の取り付けの容易さ、および誤動作の回避を実現可能であり、かつ好適な分離および転写結果を得ることができる。より詳細には、転写膜支持部8の取り付け時にスポンジ部8aとサンプル成分排出口6aとの間に多少のぶれが生じた場合、または器具の動作中に振動など何らかの影響を受けて、スポンジ部8aとサンプル成分排出口6aとの間にわずかな接触不良が生じた場合であっても、再現性の高い転写結果が得られる。これらの利点は、軟質材料を用いて形成されているスポンジ部8aの柔軟性のある押し付け作用による。
なお、サンプル成分排出口6aがスポンジ部8aに食い込む体積が大きくなると、スポンジ部8aが含有し得る緩衝液の量が減少する。これにしたがって、スポンジ部8aの誘電率が低下する。このため、使用する軟質材料によって変わるが、上記押し付け条件のうち可能な範囲において下限値を採用することが好ましい。また、上記押し付け条件の上限値以下であれば、転写膜10のより良好な搬送が実現され得る。上記押し付け条件の下限値に近づけて転写膜10の良好な搬送を実現する観点から、軟質材料は、液体の含有による膨張率が小さい材料から選択されることが好ましい。
本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1において、サンプル分離部6は、ガラスまたはアクリルなどの絶縁体から形成された2枚の板によって構成される。分離ゲル7は、サンプル供給媒体接続部19に導入された成分を分子量にしたがって分離するゲルである。分離ゲル7は、サンプル分離部6のステージ18に対する取り付け前、または取り付け後に、サンプル分離部6内に充填される。分離ゲル7の例としては、アクリルアミドゲルおよびアガロースゲルなどが挙げられる。本実施形態において、サンプル分離部6内に分離ゲル7を充填する構成を採用しているが、サンプル分離部6を構成する2枚の対向する板の間にナノピラーと呼ばれる多数の超微細柱を渡して、サンプル供給媒体接続部19に導入された成分を分子量にしたがって分離する構成を採用し得る。
(サンプル分離部6)
本実施形態に係るサンプル分離部6の詳細について、図17および図18を用いて以下に説明する。図17(a)は、サンプル分離部6の構成例を示す部分断面図であり、図17(b)は、サンプル分離部の他の構成例を示す部分断面図である。
図17(a)に示すように、サンプル分離部6は、2枚の対向する板状の部材によって構成される。サンプル分離部6において、2枚の板状の部材に挟まれた内部領域は、サンプルの分離および吸着の際に分離ゲル7を収納するための領域である。よって、分離ゲル7は、サンプルの分離および吸着の際に、上記内部領域に充填すればよい。サンプル分離部6において、2枚の板状の部材に挟まれた内部領域は、サンプル供給媒体接続部19からサンプル成分排出口6aの直近まで一定の間隔を有していることが好ましい。上記内部領域のほとんどが一定の間隔を有しているので、分離ゲル7におけるサンプル成分は、2枚の対応する板のいずれにも衝突することなく泳動される。また、2枚の板状の部材に挟まれた内部領域は、サンプル成分排出口6aの直近からサンプル成分排出口6aまでにおいて、徐々に間隔が狭まって先細になっていることが好ましい。これによって、サンプル成分がサンプル成分排出口6aから排出される直前に濃縮されて(電気力線が収束して)、分離された成分が転写膜10に対して高精度に吸着される。
また、図17(a)に示すように、2枚の板状の部材のうち、互いに対向していない面は、サンプル供給媒体接続部19からサンプル成分排出口6a付近まで平坦面を有し、サンプル成分排出口6a付近からサンプル成分排出口6aに向かうにつれて、互いの間隔が直線的に近づくような切り欠きを有することが好ましい。これによって、サンプル成分排出口6aと転写膜10との接触面積を小さくできる。よって、搬送時に転写膜10がサンプル成分排出口6aおよび分離ゲル7から受ける、摩擦抵抗および損傷を最小限に留めることができる。なお、図17(b)に示すように、サンプル成分排出口6a’付近における上記切り欠きは、曲線によって構成され得る。このような切り欠きの形状であっても、図17(a)の切り欠きと同様の利点を有する。したがって、上記切り欠きは、サンプル成分排出口6aと転写膜10との接触面積を小さくできる形状を有していればよい。
さらに、図17(a)および(b)に示すように、サンプル成分排出口6aおよび6a’は、その周囲を含めて軟質材料によって形成された被覆部61によって覆われていることが好ましい。これによって、搬送時に転写膜10がサンプル成分排出口6aおよび分離ゲル7から受ける、摩擦抵抗および損傷をさらに低減することができる。被覆部61を形成する軟質材料は、スポンジ部8aを形成する軟質材料と類似の材料である。例えば、被覆部61を形成する軟質材料は、貫通している細孔を有する材料であり、かつ低いサンプル吸着能、親水性および高い強度を有する材料であることが好ましい。これによって、分離された成分が通過する経路に位置する被覆部61が、分離された成分を好適に通過させ得る。例えば、貫通している細孔を有する当該軟質材料が親水性を有していれば、サンプル成分排出口6aに対して十分に分離ゲル7が充填され、かつ当該細孔に分離ゲル7が充填される。これによって、転写膜10と分離ゲル7とを密着させることができる。したがって、分離された成分が緩衝液に拡散することを確実に抑制し、かつ安定した通電状態を維持し得る。
被覆部61を形成する軟質材料の例としては、親水性PVDF(Polyvinylidene difluoride)膜、および親水性PTFE(Polytetra fluoro ethylene)膜などの膜状の材料が挙げられる。サンプル分離部6に対する被覆部61の取り付け方法としては、粘着テープまたは接着剤を用いる方法、ならびにクリップなどを用いてサンプル分離部6と被覆部61とを挟んで固定する方法が挙げられる。
被覆部61内部に分離ゲル7を含ませる方法としては、サンプル成分排出口6aおよびその周囲に被覆部61を取り付けた後、分離ゲル7をサンプル分離部6に充填する方法が挙げられる。例えば、ポリアクリルアミドゲルを分離ゲル7として用いる場合、被覆部61を取り付けたサンプル分離部6のサンプル供給媒体接続部19から、ゲル重合前のアクリルアミド溶液を注ぎ込んだ後、ゲル重合させればよい。
図18を用いて転写膜支持部8を用いた場合に転写膜10における電気力線が収束する程度について説明する。図18(a)は、図17(a)のサンプル分離部同士を対向させた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図であり、図18(b)は、図17(a)のサンプル分離部と転写膜支持部を対向させた場合の、電気力線のシミュレーション結果を示す図である。
図18(a)に示すように、図17(a)のサンプル分離部6同士を対向させた場合、転写膜10における電気力線が十分に収束されている。このときのdmは、0.135mmである。図18(b)に示すように、図17(a)のサンプル分離部6と転写膜支持部8を対向させた場合、転写膜10における電気力線が十分に収束されている。このときのdmは、0.148mmである。
このように、スポンジ部8aを有する転写膜支持部8は、図17(a)のサンプル分離部6のように内部に電気力線を収束させる構成と同程度に、転写膜10における電気力線の発散を十分に抑制することが分かる。よって、スポンジ部8aを有する転写膜支持部8は、サンプル分離部6のように内部に電気力線を収束させる構成と比べて、同程度に収束した電気力線を維持し、かつ以下のような利点を有する。第2緩衝液槽5において場所を取らない程度に小型であり、分離ゲル7のように作製および保存に労力を要せず、かつ繰り返しの使用が可能である。
(第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5)
図1(a)に示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1において、第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5は、ステージ18内にサンプル分離部6を取り付けて、ステージ18を2つの槽に分けることによって形成されている。
第1緩衝液槽4は陰電極2を有しており、かつ第2緩衝液槽5は陽電極3を有している。陰電極2および陽電極3は、金属などの導電性を有する材料から形成される。陰電極2および陽電極3を形成する材料としては、例えば、電極のイオン化を抑制する観点から、白金が好ましい。
なお、陽電極3を転写膜10から離して配置することによって、陽電極3から発生する気泡が分離された成分の転写膜10に対する吸着に及ぼす悪影響を抑制することができる。
陽電極3およびサンプル吸着部材支持部8の間に、第2緩衝液槽5を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、第2緩衝液槽5の底部との間に空間を設けて形成されていることが好ましい。これによって、サンプルの分離吸着時に陽電極3から生じる気泡が、第2緩衝液槽5の仕切り板から陽電極5側にしか広がらない。よって、気泡がサンプル吸着部材支持部8および転写膜10に付着することを回避し得る。すなわち、サンプル吸着部材支持部8の内部に気泡が付着した場合に生じる電気力線の発散を回避し、かつ転写膜10への気泡の付着を回避し得る。また、気泡が第2緩衝液槽5の緩衝液全体を覆うことがないので、緩衝液の過剰な加熱を回避し得る。よって、サンプル分離の分解能の低下を回避し得る。以上のことから、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができる。
また、陰電極2およびサンプル供給媒体接続部19の間に、第1緩衝液槽4を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、第1緩衝液槽4の底部との間に空間を設けて形成されていることが好ましい。これによって、サンプルの分離吸着時に陰電極2から生じる気泡が、第1緩衝液槽5の仕切り板から陰電極5側にしか広がらない。よって、気泡がサンプル供給媒体接続部19に付着することを回避し得る。すなわち、サンプル供給媒体接続部19に気泡が付着した場合に生じる電気力線の発散を回避し得る。また、気泡が第1緩衝液槽4の緩衝液全体を覆うことがないので、緩衝液の過剰な加熱を回避し得る。よって、サンプル分離の分解能の低下を回避し得る。以上のことから、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができる。
このような仕切り板を、陰電極2および陽電極3と一体形成した例について図3を用いて説明する。図3に示すように、陰電極2および陽電極3は、各緩衝液槽の内部に配置する電極を印加する電極部、および電極部から各緩衝液槽の液面から突出し、かつ湾曲してふたたび液面下に潜るような取り付け部を有し得る。当該取り付け部を有する陰電極2および陽電極3は、電圧の印加時に電極部から生じる気泡を、取り付け部の湾曲してふたたび液面下に潜る部分(仕切り板)によってせき止める。したがって、第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5に供給された緩衝液の液面の全体が気泡に覆われることがない。このため、緩衝液の温度が過剰に上昇することを抑制し得る。
さらに、陰電極2および陽電極3として図3の電極を用いた場合、第1緩衝液槽4における仕切り板からサンプル供給媒体接続部19までの領域、および第2緩衝液槽5における仕切り板からサンプル成分排出口6aまでの領域に気泡が移動することがない。よって、サンプル供給媒体接続部19、転写膜10および転写膜支持部8に対する気泡の付着が回避されるので、分離ゲル7を通る電気力線の発散、転写膜10に対する分離された成分の適切な吸着の阻害、および後述のような転写膜支持部8内を通る電気力線の遮断が回避され得る。
陰電極2、サンプル成分排出口6aおよび陽電極3が、略一直線上に配置されていることが好ましい。これによって、サンプル成分排出口6a付近を通る電気力線が転写膜10に対して略垂直になる。すなわち、サンプルの吸着の精度をさらに向上し得る。
第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5に入れる緩衝液は、導電性を有するあらゆる緩衝液であり得る。ただし、強酸性および強塩基性に緩衝域を有する緩衝液は、分離ゲル7および転写膜10に対して悪影響を及ぼすおそれがある。よって、緩衝液の緩衝域としては弱酸性から弱アルカリ性が好ましい。さらに、サンプル分離部6をガラス基板によって構成する場合および転写膜10として親水性PVDF膜を用いる場合などには、上述したサンプル成分排出口6a付近の先細の領域および転写膜10の細孔が一種のキャピラリーを形成して、電気浸透流を生じ得る。転写膜10のうち分離された成分が転写される領域の近傍において発生する電気浸透流は、分離された成分の高分解能な吸着を阻害するので、酸性に緩衝域を有する緩衝液が好ましい。以上のことから、分離ゲル7、第1緩衝液槽4および第2緩衝液槽5に入れる緩衝液のpHは、弱酸性から中性であることが好ましい。
(その他の構成およびそれらの動作)
図1(a)に示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1は、サンプル供給媒体接続部19に対してサンプルを導入するための、移動アーム16を備えている。移動アーム16は、支持板15に支持されたゲルストリップ14を保持する。ゲルストリップ14は、一般的に薄く、かつ軟らかいので、移動アーム16によって直接に保持されるのではなく、アクリル板などからなる支持板15にゲルストリップ14を固定して移動アーム16に保持される。ここで、ゲルストリップ14は、等電点電位泳動によってサンプルを1次元に分離した各成分を含有している。移動アーム16は、ゲルストリップ14がサンプル供給媒体接続部19に接触するまで、図1(a)の移動アーム16に付されている矢印の方向に移動する。ゲルストリップ14がサンプル供給媒体接続部19に接触した状態において、陰電極2と陽電極3との間に電圧を印加することによって、ゲルストリップ14に含まれる各成分が分離ゲル7においてさらに分離される。
1次元目の電気泳動分離部は、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具に組み込まれ得る。これによって、1次元目の等電点電気泳動分離から2次元目の電気泳動分離および転写までを自動化することができる。また、1次元目の電気泳動を行わない場合は、分離ゲル7にサンプルを充填するウェル(凹み)を形成すればよい。当該ウェルにサンプルを導入後、アガロースゲルなどを用いてサンプルを固定して、第1緩衝液槽4へのサンプルの流出を防止する。このとき、サンプルをアガロースゲルと混合して導入して、ウェルにおいて凝固させてもよい。上記ウェルは、通常のSDS−PAGEと同様の方法によって形成される。つまり、ゲルモノマー溶液(重合してゲル化する前の溶液)をサンプル供給媒体接続部19に流し込んだ後に、ゲルモノマーが重合する前にコーム(通常、5mm程度の高さ(深さ)を有する複数の凹凸が形成されたくし状の板)をサンプル供給媒体接続部19に差込んでからゲル化させる。ゲル化した後に、コームを取り外すことによって上記ウェルが形成される。
サンプル導入後、陰電極2と陽電極3との間に電流を流すことによってサンプルの電気泳動による分離を行うことができる。電極間に流す電流値としては、50mA以下であることが好ましく、20mA以上、30mA以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な速さにおいて電気泳動を行いつつ、発熱を抑制することができる。より大きい電流を流せば、より短時間において電気泳動を終了し得るが、過剰に発熱してゲル、サンプル、または電気泳動分離の分解能に悪影響を及ぼすおそれがある。しかし、サンプル分離吸着器具1の適当な箇所にペルチェ素子などを用いた強力な冷却装置を取り付ければ、過剰な発熱を防ぐことができるので、電流値を100mA以下にまで上昇させ得る。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具1において、転写膜10は、その一端が第2緩衝液槽5内の転写膜収納ロール13に保持され、他端が移動アーム17に保持されている。転写膜10は、サンプル分離部6における電気泳動の進行に合わせて、移動アーム17の駆動によって図1(a)の矢印方向に向かって徐々に搬送される。
転写膜収納ロール13は、巻きつけられた転写膜10とともにその全体がサンプルの分離吸着時において緩衝液中にあるような高さに配置される。これは、サンプルの分離吸着時における転写膜10の乾燥を防ぐためである。また、転写膜収納ロール13は、転写膜支持部8と陽電極3との間に配置される。これは、陽電極3から生じる気泡が転写膜10に対して付着することを抑制するためである。また、転写膜収納ロール13は、第2緩衝液槽5の内壁に対して回転可能に取り付けられる。また、転写膜収納ロール13は、金属などの電気によって反応を生じる材料以外の材料から構成される。例えば、転写膜収納ロール13の材料としては、種々のプラスティックおよびガラスなどが挙げられる。
図1(a)では、移動アーム17を用いて転写膜10の搬送を行っているが、他の構成を採用し得る。例えば、図1(b)に示されるように、回転動作によって転写膜10を巻き取る搬送ローラ17’を用い得る。搬送ローラ17’を用いれば、移動アーム17のように広い駆動範囲を確保する必要がなく、サンプル分離吸着器具1を小型化し得る。
なお、図1(a)において、移動アーム16および17の2つの構成を用いているが、サンプル分離吸着器具1は、一方を省いて、1つの移動アームのみを備える構成であり得る。このとき、1つの移動アーム(16または17)は、ゲルストリップ14をサンプル供給媒体接続部に導入した後に、サンプルの分離および転写の際には、転写膜10を保持して搬送すればよい。
分離された成分がサンプル成分排出口6aに到達したか否かは、サンプルに染色されたマーカーを予め混合して、泳動状態をマーカーの位置によって確認するか、または電圧値をモニターによって計測することによって判断すればよい。染色されたマーカーとしては、泳動の先頭を確認するために通常に用いられるBPB(Bromophenol Blue)が好ましい。また、電圧値を計測するモニターとしては、例えば、陰電極2と陽電極3との間の電圧をモニターする電圧モニター(図示せず)が挙げられる。サンプル成分排出口6aにサンプルが到達すると、分離ゲル7と転写膜10との接触位置において、導電率が低下して電極間の抵抗値が上昇し、電圧値は大きく上昇する。この電圧値の上昇をモニターすることによって、分離された成分が分離ゲル7から排出され、かつ転写膜10に転写されたことを検出することができる。サンプル分離吸着器具1が電圧値をモニターするプログラムを組み込むことによって、分離ゲル7からの成分の排出を自動的に感知して、移動アーム17によって転写膜10の引上げを開始し得る。このようにして、転写膜10の引上げは、電圧値または電流値によってコントロールできる。これと同様にして、成分の吸着開始後における転写膜10の引き上げ速度が制御され得る。これによって、無駄な転写膜10の使用(成分を吸着していない部分の発生)を回避可能であり、かつ器具が小型化される。転写膜10の引き上げ速度は、十分な分解能をもってサンプルが転写膜10に吸着され得る速度であればよい。このような速度は、当業者によって適宜設定され得る。
サンプル成分吸着の終了後、転写膜10は移動アーム17によって回収され、染色または免疫反応などに供される。その後、蛍光検出器などによって、転写膜10に吸着された成分の分離パターンが検出される。このような蛍光検出器などをサンプル分離吸着器具1に組み込むことによって、電気泳動、転写、および検出の全工程を自動化し得る。
転写膜10は、分離ゲル7によって分離されたサンプルを長期間にわたって安定な保存を可能にし、さらに、その後の分析を容易にするサンプルの吸着・保持体である。本実施形態において、転写膜10は、緩衝液に浸されており、その一端が移動アーム17によって固定されている。サンプル成分排出口6aに押し付けられた転写膜支持部8を備えるサンプル分離吸着器具1は、転写膜10が取り付けられた状態、または使用者によって転写膜10が後から取り付けられる状態であり得る。転写膜10は、高い強度を有し、かつサンプル結合能(単位面積当たりに吸着可能な重量)が高い材料が好ましい。転写膜10は、サンプルがタンパク質である場合にはPVDF(Polyvinylidene difluoride)膜などが適している。なお、PVDF膜は予めメタノールなどを用いて親水化処理を行っておくことが好ましい。これ以外には、ニトロセルロース膜またはナイロン膜など、従来からタンパク質、DNAおよび核酸の吸着に利用されている膜を使用可能である。
サンプル分離吸着器具1において分離および吸着され得るサンプルとしては、これらに限定されないが、生物材料(例えば、生物個体、体液、細胞株、組織培養物、または組織断片)からの調製物、市販の試薬などが挙げられる。これらのうちでは、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが挙げられる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態に係るサンプル分離吸着器具101について、図19および図20を用いて以下に説明する。図19は、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図である。図20は、図19の転写膜密着治具の構造を示す斜視図である。なお、サンプル分離吸着器具1と同じ構成については、説明を省略する。
(サンプル分離吸着器具101)
図19(a)示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具101は、サンプル分離吸着器具1における転写膜支持部8および転写膜密着治具11の代わりに、転写膜支持部8’および軟質材料用ガイド120を有する転写膜密着治具111を備えている。したがって、ここでは、転写膜支持部8’および転写膜密着治具111の詳細についてのみ説明する。
(転写膜支持部8’)
図19(a)および図20に示すように、転写膜支持部8’は、軟質材料から形成され、円筒形状を有している。また、転写膜支持部(サンプル吸着部材支持部)8’は、軟質材料用ガイド120(ガイド)によって、転写膜10を介してサンプル成分排出口6aに押し付けられている。転写膜支持部8’は、実施形態1におけるスポンジ部8aを構成する軟質材料と同じ材料から形成されている。すなわち、転写膜支持部8’は、ロッド8bを備えていない点についてのみ転写膜支持部8と異なる。したがって、転写膜支持部8’によって生じる作用については、実施形態1の記載を参照すればよい。
(転写膜密着治具111)
図20に示すように、転写膜密着治具111は、軟質材料用ガイド120を有している。転写膜密着治具111のステージ18に対する取り付け方法については、実施形態1の転写膜密着治具11と同様である。
図19(a)および(b)に示すように、軟質材料用ガイド120は、軟質材料用ガイド上部120aおよび軟質材料用ガイド下部(ガイドの底部)120bからなる。軟質材料用ガイド120は、転写膜10を介して転写膜支持部8’をサンプル成分排出口6aに押し付け可能に取り付けられている。より詳細には、軟質材料用ガイド上部120aおよび軟質材料用ガイド下部120bの転写膜支持部8’と接する面から、サンプル成分排出口6aまでの間隔が、転写膜支持部8’の横断面が有する直径よりも小さくなるように、軟質材料用ガイド120は、転写膜密着治具111を介して第2緩衝液槽5の内壁に対して取り付けられている。また、軟質材料用ガイド上部120aおよび軟質材料用ガイド下部120bの転写膜支持部8’と接する面は、転写膜支持部8’の表面に沿った曲面を有している。このため、転写膜支持部8’は、回転可能な状態においてサンプル成分排出口6aに押し付けられている。
また、図19(a)および(b)に示すように、軟質材料用ガイド上部120aと軟質材料用ガイド下部120bとの間には、間隔(スリット)が空けられていることが好ましい。この間隔は、サンプル成分排出口6aと対向する位置に形成されている。このため、軟質材料用ガイド120によって、転写膜10に達する電気力線が遮断されない。
また、図19(b)に示すように、軟質材料用ガイド下部120bは、円筒形状の上記転写膜支持部8’の下端よりも鉛直方向において上方に配置されていることが好ましい。これによって、軟質材料用ガイド下部120bが転写膜10と接触することがない。したがって、転写膜10の搬送に際して、転写膜10に余分な摩擦抵抗を生じないので、転写膜10の良好な搬送および損傷の回避が実現される。
また、図19(b)に示すように、軟質材料用ガイド上部120aにおける第1緩衝液槽4側の端部が、水平方向においてサンプル成分排出口6aから離れている(例えば、サンプル成分排出口6aよりも陽電極3側に配置されている)ことが好ましい。これによって、軟質材料用ガイド上部120aが転写膜10と接触することがない。転写膜10の搬送に際して、転写膜10に余分な摩擦抵抗を生じないので、転写膜10の良好な搬送および損傷の回避が実現される。
なお、本実施形態において、軟質材料用ガイド120が転写膜密着治具111を介して第2緩衝液槽5の壁面に取り付けられている構成を例にして説明している。しかし、軟質材料用ガイド120を、第2緩衝液槽に対して直接に取り付けてもよい。この場合、例えば、サンプル分離部6として着脱可能な構成を選択すればよい。軟質材料用ガイド120に転写膜支持部8’を収納した後に、サンプル分離部6を第2緩衝液槽5側にスライドさせて取り付ければ、転写膜支持部8’をサンプル成分排出口6aに押し付けた状態において取り付け可能である。
(転写膜密着治具の変形例)
本発明の実施形態に係る転写膜密着治具の3つの変形例について、図21〜図23を用いて以下に説明する。図21(a)は、1つ目の変形例の転写膜密着治具111’の構造を示す図であり、図21(b)は、転写膜密着治具111’の構造を示す斜視図であり、図21(c)は、転写膜密着治具111’の詳細な変位動作を示す図である。図22(a)は、2つ目の変形例の転写膜密着治具111’’の構造を示す図であり、図22(b)は、転写膜密着治具111’’のサンプル分離部6への取り付け状態を示す図である。図23(a)は、3つ目の変形例の転写膜密着治具111’’’の構造を示す図であり、図23(b)は、転写膜密着治具111’’’のサンプル分離部6への取り付け状態を示す図であり、図23(c)は、転写膜密着治具111’’’の詳細な動作を示す断面図である。
(転写膜密着治具の変形例1)
図21(a)の上段に示すように、変形例1の転写膜密着治具111’は、サンプル分離部6に取り付けられた回転部111a’および軟質材料用ガイド120を固定するアーム111b’’から構成されている。軟質材料用ガイド120は、軟質材料用ガイド上部120aおよび軟質材料用ガイド下部120bを有し、かつ転写膜支持部8’を保持している。図21(a)の中段に示すように、転写膜密着治具111’は、回転部111a’を中心にして、転写膜支持部8’がサンプル成分排出口6aに押し付けられる位置にまで矢印の方向に回転変位する。この回転変位によって、図21(a)の下段に示すように、転写膜密着治具111’は、転写膜支持部8’をサンプル成分排出口6aに押し付けた状態において取り付けることができる。
なお、図21では、説明を簡略化するために転写膜10を省略している。図21(a)の上段の状態において、転写膜10をサンプル成分排出口6aと接するように配置した後に、転写膜密着治具111’を回転変位させれば、転写膜10がサンプル成分排出口6aおよび転写膜支持部8’に挟まれた状態において、転写膜10を配置可能である。よって、サンプルの分離吸着時には、転写膜10のスライド移動に伴って転写膜支持部8’が回転することは、上述の通りである。
図21(a)および(b)に示すように、軟質材料用ガイド120は、軟質材料用ガイド上部120aおよび軟質材料用ガイド下部120bの間にスリットが設けられている。このスリットは、転写膜密着治具111’を回転変位後に、サンプル成分排出口6aと対向するように形成されている。よって、転写膜支持部8’を通る電気力線を遮ることがない。
図21(c)の左端に示されているように、回転部111a’は、孔31を有するレボルバ30および可動部32から構成されている。レボルバ30にはアーム111b’が接続されている。また、回転部111a’は、2つの可動部受け部41を有する軸受け部40に収納されている。軸受け部40は、サンプル分離部6の両側面に窪みとして形成されている。図21(a)の上段の位置に転写膜密着治具111’がある場合、可動部32は、一方の可動部受け部41にその一部が収納された状態にある。したがって、この状態のとき、転写膜密着治具111’は回転変位せずに固定されている。矢印の方向に沿って可動部32を孔31に押し込むことによって、転写膜密着治具111’は回転変位可能になる。
図21(c)の中央に示すように、可動部32が孔31に収納されている状態において、回転部111a’を時計回りに回転させる。回転部111a’の回転によって、アーム111b’が変位する。
図21(c)の右端に示すように、転写膜支持部8’がサンプル成分排出口6aに押し付けられた状態になるまで回転部111a’が変位すると、可動部32は他方の可動部受け部41に押し出される。これによって、転写膜密着治具111’が所望の位置に固定される。
(転写膜密着治具の変形例2)
図22(a)に示すように、転写膜密着治具111’’は、リベット111a’’、およびアーム111b’’から構成されている。上述の変形例1と同様に、アーム111b’’は、軟質材料用ガイド120を固定している。また、サンプル分離部6のサンプル成分排出口6a側に、リベット受け部6bが形成されている。軟質材料用ガイド120につては、上述と同じ構成なので説明を省略する。
図22(b)に示すように、転写膜密着治具111’’は、リベット111’’をリベット受け部6bに挿入することによって、転写膜支持部8’をサンプル成分排出口6aに押し付けることができる。ここで、図22(a)の状態において、サンプル成分排出口6aに転写膜10を配置してから、転写膜密着治具111’’をサンプル分離部6に取り付けることによって、サンプルを分離吸着することができる。
なお、上述の変形例1において、転写膜10をサンプル成分排出口6aに配置してから、転写膜密着治具111’を回転変位させて転写膜支持部8’を所定の位置に配置する。このとき、転写膜支持部8’は、転写膜10と接触しつつ所定の位置に移動するので、転写膜10にたわみが生じる場合も考えられる。しかし、この変形例では、転写膜密着治具111’’の配置に際して、転写膜10を上下に動かすような力が加わらないので、上述のような転写膜10にたわみが生じることがない。
(転写膜密着治具の変形例3)
図23(a)に示すように、転写膜密着治具’’’は、転写膜支持部8’を収納し、かつサンプル分離部6と一体化された収納部111b’’’、および上方から転写膜支持部8’を保持する駆動板111a’’’から構成されている。図23(b)に示すように、収納部111b’’’とサンプル分離部6との間に転写膜支持部8’が収納されている状態において、駆動板111a’’’を転写膜支持部8’と接触するまで駆動させることによって、転写膜支持部8’をサンプル成分排出口6aに保持することができる。
図23(c)に示すように、収納部111b’’’の下部にある空間から転写膜10を挿入する。そして、転写膜10をサンプル成分排出口6aに配置してから転写膜支持部8’を収納部111b’’’に収納し、かつ駆動板111a’’’を下方に移動させる。これによって、転写膜10のスライド移動にともなって転写膜支持部8’が回転可能に保持される。また、収納部111b’’’のうち、サンプル成分排出口6aと対向する箇所には、スリットが形成されている。よって、この変形例においても転写膜支持部8’を通る電気力線が遮られることはない。
なお、図示していないが、駆動板111a’’’は、収納部111b’’’に対してリベットおよびばねなどを用いて駆動可能に取り付けられている。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態に係るサンプル分離吸着器具201について、図24および図24を用いて以下に説明する。図24は、図1および19とは異なる、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図である。図25は、図24のサンプル分離吸着器具におけるサンプル吸着部材支持部を示す斜視図である。なお、サンプル分離吸着器具1と同じ構成については、説明を省略する。
(サンプル分離吸着器具201)
図24に示すように、本実施形態に係るサンプル分離吸着器具201は、サンプル分離吸着器具1における転写膜支持部8の代わりに、転写膜支持部8’’を備えている。したがって、ここでは、転写膜支持部8’’の詳細についてのみ説明する。
(転写膜支持部8’’)
図24および図25に示すように、転写膜支持部8’’は、ローラ状の形状を有している。さらに、転写膜支持部8’’は、ローラ状の形状の横断面の外側にある軟質材料から中心部に向かうにつれて中空率が低くなっている。すなわち、転写膜支持部8’’の外側が、実施形態1に記載のような柔軟性のある軟質材料から形成されており、中心部は、実施形態1のロッド8bと同様に硬い芯のような役割を果たしている。また、図示していないが、転写膜支持部8’’の中心部が、転写膜密着治具11に対して回転可能に接続されている。よって、転写膜支持部8’’は、転写膜支持部8と類似の構成および作用を有している。
上述のように、転写膜支持部8’’は、中央部に向かうにつれて軟性度が低くなる構造(軟性度グラジエント構造)である。転写膜支持部8’’が有する中空率は、上述のように、dmに大きく影響する。しかし、図16に示すように、中空率の低い部分(誘電率の低い部分)が、サンプル成分排出口6aから1mm以上離れていれば、転写膜支持部8’’は、転写膜支持部8と同様の作用を有する。したがって、中空率の低い部分が、サンプル成分排出口6aから1mm以上離れるように、転写膜支持部8’’の中空率の勾配を適宜変更すればよい。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態に係るサンプル分離吸着器具301について、図26を用いて以下に説明する。図26(a)は、図1、18および23とは異なる、本発明の一実施形態に係るサンプル分離吸着器具の概略構造を示す断面図であり、図26(b)は、(a)の変形例の概略構造を示す断面図である。
なお、サンプル分離吸着器具1と同じ構成については、説明を省略する。
(サンプル分離吸着器具301)
図26(a)に示すように、サンプル分離吸着器具301は、サンプル分離吸着器具1におけるスポンジ部8aおよびロッド8bの代わりに、シート状の転写膜支持部8’’’およびロッド309を備えている。したがって、ここでは、転写膜支持部8’’’およびロッド309の詳細についてのみ説明する。
(転写膜支持部8’’’)
図26(a)に示すように、転写膜支持部8’’’は、転写膜10との接触面においてほぼ同じ面積を有するシート状の部材である。転写膜支持部8’’’は、転写膜10と重ね合わせて転写膜収納ロール13に巻き取り収納されている。転写膜支持部8’’’および転写膜10の一端が移動アーム17に保持されている。そして、転写膜支持部8’’’および転写膜10は、ロッド309を用いてサンプル成分排出口6aに押し付けられている。つまり、移動アーム17によって引き出されることによって、転写膜支持部8’’’および転写膜10は、サンプル成分排出口6aに対してスライド移動する。また、転写膜支持部8’’’は、実施形態1のスポンジ部8aと同じ材料から構成されている。したがって、転写膜支持部8’’’は、転写膜支持部8と同様の作用を有している。
さらに、上述のように、転写膜支持部8’’’および転写膜10が、共にスライド移動するので、転写膜支持部8’’’は転写膜10に対して摩擦を生じない。よって、転写膜10の損傷がさらに回避される。また、転写膜10に生じるたわみの発生がさらに低減される。以上のことから、サンプルの分離および吸着を、より一層精度よく行うことができる。
なお、本実施形態において、転写膜支持部8’’’は、シート状の形態を有しているが、この形態に限定されるものではない。
(ロッド309)
図26(a)に示すように、ロッド309は、転写膜支持部8’’’および転写膜10をサンプル成分排出口6aに押し付けている。また、図示していないが、ロッド309は、ロッド8bと同様に転写膜密着治具11に回転可能に接続されている。よって、転写膜支持部8’’’および転写膜10は、スライド移動時にサンプル成分排出口6aからほとんど摩擦抵抗を受けることがない。サンプル成分排出口6a付近において、転写膜10は、多少のたわみを生じていても平坦化される。(ただし、本実施形態では薄い転写膜だけでなく転写膜支持部8’’’が土台となって共に移動するため、たわみはほぼ生まれない。
(変形例)
サンプル分離吸着器具301の変形例を、図26(b)を用いて以下に説明する。図26(b)に示すように、変形例のサンプル分離吸着器具301には、2つのロッド309が備えられている。したがって、ここでは、ロッド309が2つ備えられていることの詳細についてのみ説明する。
(ロッド309)
図26(b)に示すように、2つのロッド309は、サンプル成分排出口6aを、上下方向から転写膜支持体8’’’および転写膜10を介して挟み込むように配置されている。よって、1つのロッド309を用いる場合と同様の作用を有する。
(他の変形例)
(2つの)ロッド309は、他の構成を有する転写膜密着治具を用いて回転可能に取り付けられ得る。例えば、実施形態2における3つの変形例(図21〜図23)と類似の構成を有する転写膜密着治具を用いてロッド309を取り付けることができる。より詳細には、図21〜図23における転写膜支持部8’の代わりに、ロッド309をサンプル分離部6に取り付けることによって、転写膜10およびシート状の転写膜支持部8’’’をスライド移動させることができる。例えば、図21および図22の場合であれば、アーム111b’または111b’’に対してロッド309を回転可能に接続すればよい。また例えば、図23の場合であれば、収納部111b’’’に対してロッド309を回転可能に接続すればよい。いずれの場合においても、転写膜10およびシート状の転写膜支持部8’’’を配置してから、ロッド309を用いてサンプル成分排出口6aに押し付ければよい。
(その他の構成)
なお、本発明は以下の構成によっても実現できる。
(第1の構成)
第1電極を備えており、第1緩衝液を入れるための第1緩衝液槽、第2電極を備えており、第2緩衝液を入れるための第2緩衝液槽、第1緩衝液槽と第2緩衝液槽を、サンプルを分離するサンプル分離媒体を収納するサンプル分離部で隔て、
サンプル分離部が第1緩衝液槽内につながる第1開口および第2緩衝液槽内につながる第2開口を有し、
さらに上記第1電極が上記第1開口と対向するように第1緩衝液槽内に配置され、上記第2電極が上記第2開口と対向するように第2緩衝液槽内に配置され、
第2緩衝液槽内には上記第2開口から排出されるサンプルを吸着するためのサンプル吸着部材が上記第2開口に接するように配置されているサンプル分離吸着器具において、
軟質材料でサンプル吸着部材と共にサンプル分離部第2開口を第2緩衝液槽内の第2開口の対向側から押し付ける構造を備えている(転写膜密着治具)、サンプル分離吸着器具。
(第2の構成)
上記軟質材料の乾燥時における硬度が、JIS-A(Hs)規格において10〜70度の範囲にある第1の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第3の構成)
上記軟質材料が、溶液を含んだ状態で誘電率50以上を有する材質であることを特徴とする第1または第2の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第4の構成)
上記軟質材料が、連続的に続いた孔を多数有する第1〜第3の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第5の構成)
上記軟質材料の気質部の中空が、規則正しい割合で単位体積あたりに含まれていることを特徴とする第4の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第6の構成)
上記軟質材料が、親水性を有する第1〜第3の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第7の構成)
上記軟質材料が、中抜き円筒状の形態をとっており、中抜き部にロッドを介することで上記転写膜密着治具に接続される第1〜第6の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第8の構成)
上記転写膜密着治具が、サンプル分離吸着器具本体内の所定位置に接続されることをもって、転写膜密着治具のロッドが、軟質材料をサンプル吸着部材およびサンプル分離部に自動的に押し付ける構造をとっている第7の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第9の構成)
上記軟質材料が、円筒状の形態をとっており、この軟質材料が上記転写膜密着治具上のガイド部に設置される第1〜第6の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第10の構成)
上記転写膜密着治具が、サンプル分離吸着器具本体内の所定位置に接続されることをもって、転写膜密着治具のガイドが、軟質材料をサンプル吸着部材およびサンプル分離部に自動的に押し付ける構造をとっている第9の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第11の構成)
上記転写膜密着治具にあるガイドが、その中央部に隙間を設けている第9または第10の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第12の構成)
上記転写膜密着治具にあるガイド下部の底の高さが、サンプル吸着部材を横方向に送る経路の高さ位置よりも上方に位置している第9または第10の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第13の構成)
上記軟質材料が、その中央部に向かうほど空隙率が低くなるローラ状の形態をとって、上記転写膜密着治具に接続される第1〜第6の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第14の構成)
上記転写膜密着治具が、サンプル分離吸着器具本体内の所定位置に接続されることをもって、転写膜密着治具の空隙率の低いローラ中央部が、空隙率(軟性度)の高いローラ外層部をサンプル吸着部材およびサンプル分離部に自動的に押し付ける構造をとっている第13の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第15の構成)
上記軟質材料が、シート状の形態をとっており、この軟質材料がサンプル吸着部材のサンプル分離部第2開口に面している面と逆の面に取り付けられている第1〜第6の構成のいずれかに記載のサンプル分離吸着器具。
(第16の構成)
上記転写膜密着治具が、サンプル分離吸着器具本体内の所定位置に接続されることをもって、転写膜密着治具に備え付けたロッドが、シート状軟質材料添付のサンプル吸着部材をサンプル分離部に自動的に押し付ける構造をとっている第15の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第17の構成)
上記軟質材料が、上記サンプル吸着部材の引上げと同時に同速度で移動を行うことができる構成を備えている第1の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第18の構成)
上記サンプル分離部の上記サンプル吸着部材に接している面に、上記サンプル分離媒体を含んでいる軟質材料が取り付けられている第1の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(第19の構成)
上記第1緩衝液槽内および第2緩衝液槽内に挿入する第1電極および第2電極が、それらの上端部から湾曲した面を突き出している第1の構成に記載のサンプル分離吸着器具。
(サンプル分離吸着器具1の作製)
図1(a)および2に示すようなサンプル分離吸着器具1を、以下のように作製した。
対向する2枚のガラス板からなるサンプル分離部6を、アクリル製のステージ18上に固定した。また、電圧印加時の発熱防止のため、ペルチェ素子を用いた冷却装置(図示せず)を、ステージ18下部に取り付けた。サンプル分離部6を形成することによって、サンプル供給媒体接続部19側に第1緩衝液槽4およびサンプル成分排出口6a側に第2緩衝液槽を形成した。
サンプル分離部6(幅70mm×長さ70mm×厚さ5mmの2枚のガラス板)内部には、分離ゲル7としてpH6.4のBis−Tris/HClバッファーを用いた10%ポリアクリルアミドゲル(幅60mm×長さ30mm×厚さ1mm)を充填した。このとき、コーム(4mm×6mm×1mmの凸部を有する)を、サンプル供給媒体接続部19側に挿入した。サンプル分離部6を構成する2枚のガラス板のうち、サンプル成分排出口6aが形成される端部の2枚のガラス板が対向していない面に対して、分解能を向上させるために、45℃の傾斜角を有する切り欠きを入れた。サンプル成分排出口6aにおける2枚のガラス板の間隔(サンプル成分排出口厚さ)が100μmになるように、2枚のガラス板を対向させてステージ18に取り付けた。また、サンプル成分排出口6aを、厚さ125μmを有する親水性のDurapore膜(millipore社製のポリビニリデンフロライド膜)61によって覆って、分離ゲル7がサンプル成分排出口6aの先端にまで充填されるようにした。
上述のDurapore膜は、ナイロン膜、ニトロセルロース膜およびPTFE(Polytetra fluoro ethylene)膜などと比べて、非常に低いタンパク質吸着能(4μg/cm)を有している。このため、サンプルの分離および吸着の際にサンプル成分の通り道(サンプル成分排出口6a)に存在していても、サンプルの分離および吸着に悪影響を与えないと判断した。
第1緩衝液槽4に市販のpH7.3のMOPSバッファー(Invitrogen)を注いで、第1緩衝液槽4を満たした。そして、白金線からなる陰電極2を、第1緩衝液槽4のサンプル供給媒体接続部19とは反対側に挿入した。
予め親水化処理した転写膜10(Millipore社製のPVDF膜(Immobiron PSQ))を第2緩衝液槽5に挿入した。転写膜10の一端は、移動アーム17(ステージ18に取り付けられている)に保持させ、かつ転写膜10の他端は、ガラス製のロール13巻きつけられている。続いて、転写膜支持部8を接続した転写膜密着治具11を第2緩衝液槽5の後方(サンプル分離部7から離れた位置)に挿入した。転写膜支持部8として、アルミナ製のロッド8b(直径3mm)に親水性の特殊ポリウレタン製のスポンジ部8a(直径6mm、中抜き3mm)を被せたローラを使用した。当該特殊ポリウレタンとして、その乾燥時における硬度10度〜30度(JIS−A(Hs)規格)、中空率80〜83%、気孔径25μm、保水率400%および約68%の誘電率(緩衝液含有時)のものを使用した。転写膜密着治具11は、アクリル製の基板によって形成した。転写膜密着治具11を、転写膜支持部8がサンプル成分排出口6aと接触するまで水平移動させて、転写膜10をサンプル成分排出口6aおよび転写膜支持部8によって挟み込んだ。そして、転写膜密着治具11をステージ18にねじ20を用いて固定することによって、サンプル成分排出口6aおよび転写膜10を、スポンジ部8aに対して厚さ0.7mmだけ食い込ませた。その後、第2緩衝液槽5に市販のpH7.2のNuPAGE転写バッファー(Invitrogen)に30%メタノールを混合した緩衝液を注いで満たし、白金線からなる陽電極3を挿入した。
サンプルとして、市販の分子量マーカー(SeeBlue Plus2 Pre−stained Standard、Invitrogen)を用いた。分離ゲル7から上述のコームを抜き取り、ウェル(4mm×6mm×1mmの凹み)を形成した。ウェルに上記サンプルを導入した。そして、サンプルが第1緩衝液中に流出しないように、1%のアガロースゲルをウェルに注入して固定化した。サンプル導入後、陰電極2と陽電極3との間に電圧を印加して、電気泳動分離を行った(25mAの定電流、25分間)。上記サンプルのSeeBlue Plus2 Pre−stained Standard(Invitrogen)は、染色されたタンパク質の混合物であるので、サンプルが電気泳動されている状態を目視によって確認することができた。
移動アーム17の動作は、泳動の先端がサンプル成分排出口6aに達したときに生じる電圧上昇点において引き上げを開始するように予めプログラミングされており、サンプル成分の排出と同時に、自動的にかつ多変速において引き上げが開始された。
なお、2極間の電圧は、各電極に接続された電圧測定器によって検出された。サンプル成分排出口6aから排出されたサンプルの成分を連続的にサンプル吸着部材10に吸着(転写)させ、転写の終了後に転写膜10を移動アーム17によって回収した。
回収した転写膜10を目視によって確認したところ、サンプルが良好に分離および転写されていることを確認した。
(スポンジ部8aの材料の検討)
この実施例において作製したサンプル分離吸着器具1のうち、スポンジ部8aをJIS−A(Hs)規格において測定した場合に、その乾燥時における硬度が60度を有するPVAから作製したものに交換して、上述と同じ分離および吸着を行った。これと同時に、スポンジ部8aをJIS−A(Hs)規格において測定した場合に、その乾燥時における硬度が80度を有するシリコンから作製したものに交換して、上述と同様に分離および吸着を行った。
これらの結果を図27に示す。図27(a)は、スポンジ部をPVAによって形成した場合に、分離された成分が転写された転写膜を撮影した結果を示す図であり、図27(b)は、スポンジ部をシリコンによって形成した場合に、分離された成分が転写された転写膜を撮影した結果を示す図である。図27(a)および(b)に示すように、スポンジ部をPVAから形成した場合と、スポンジ部をシリコンから形成した場合とを比較すると、図27(a)のPVAを用いた場合の方が、あきらかに転写効率が高かった。よって、上記硬度が80度の材料よりも、上記硬度が60度の材料を用いてスポンジ部8aを作製することが好ましいことが分かった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られるような実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明は、生体試料および化学的試料などの解析およびその解析器具の製造に対して好適に使用され得る。
1、1’、101、201、301、301’ サンプル分離吸着器具
2 陰電極(第1電極)
3 陽電極(第2電極)
4 第1緩衝液槽
5 第2緩衝液槽
6 サンプル分離部
6a サンプル成分排出口(第2開口)
6a’ サンプル成分排出口(第2開口)
6b リベット受け部
7 分離ゲル(サンプル分離媒体)
8 転写膜支持部(サンプル吸着部材支持部)
8’ 転写膜支持部(サンプル吸着部材支持部)
8’’ 転写膜支持部(サンプル吸着部材支持部)
8’’’ 転写膜支持部(サンプル吸着部材支持部)
8a スポンジ部(軟質材料の部分)
8b ロッド
10 転写膜(サンプル吸着部材)
11 転写膜密着治具(密着治具)
11’ 転写膜密着治具(密着治具)
11’’ 転写膜密着治具(密着治具)
11’’’ 転写膜密着治具(密着治具)
11’’’’ 転写膜密着治具(密着治具)
11a’’’’ ばね
12 治具収納部
13 転写膜収納ロール
14 ゲルストリップ
15 支持板
16 移動アーム
17 移動アーム(搬送手段)
17’ 搬送ローラ(搬送手段)
18 ステージ
19 サンプル供給媒体接続部(第1開口)
20 ねじ
21 リベット
30 レボルバ
31 孔
32 可動部
40 軸受け部
41 可動部受け部
61 被覆部
111 転写膜密着治具(密着治具)
111’ 転写膜密着治具(密着治具)
111a’ 回転部
111b’ アーム
111’’ 転写膜密着治具(密着治具)
111a’’ リベット
111b’’ アーム
111’’’ 転写膜密着治具(密着治具)
111a’’’ 駆動板
111b’’’ 収納部
120 軟質材料用ガイド(ガイド)
120a 軟質材料用ガイド上部
120b 軟質材料用ガイド下部(ガイドの底部)
220 サンプル吸着部材支持部
309 ロッド

Claims (27)

  1. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記サンプル吸着部材支持部が、ロッドおよび当該ロッドに巻き付いた上記軟質材料を有する円筒形状であることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  2. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記サンプル吸着部材支持部が、円筒形状に形成された上記軟質材料からなり、
    上記サンプル吸着部材支持部を上記第2開口に押し付けるガイドをさらに備えていることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  3. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記サンプル吸着部材支持部が、ローラ状の形状を有し、かつ当該形状の横断面の外側にある上記軟質材料から中心部に向かうにつれて中空率が低くなっていることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  4. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記サンプル吸着部材支持部が、シート状の上記軟質材料によって形成されており、
    シート状の上記軟質材料を上記第2開口に押し付けるロッドをさらに備えていることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  5. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記第1電極および上記第1開口の間に、上記第1緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第1緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  6. 第1電極を有する第1緩衝液槽と、
    第2電極を有する第2緩衝液槽と、
    上記第1緩衝液槽に向かって開いている第1開口および上記第2緩衝液槽に向かって開いている第2開口を有し、サンプル分離媒体を収納するサンプル分離部と、
    軟質材料を用いて形成された、サンプル吸着部材を支持し、上記第2開口に押し付けるためのサンプル吸着部材支持部とを備えており、
    上記第2電極および上記サンプル吸着部材支持部の間に、上記第2緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第2緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることを特徴とするサンプル分離吸着器具。
  7. 上記サンプル吸着部材支持部が、上記ロッドを中心にして回転可能であることを特徴とする請求項に記載のサンプル分離吸着器具。
  8. 上記ガイドがサンプル分離部に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のサンプル分離吸着器具。
  9. 上記サンプル吸着部材支持部が、上記円筒形状の周方向に回転可能であることを特徴とする請求項またはに記載のサンプル分離吸着器具。
  10. 上記ガイドの上記第2開口と対向する位置に、スリットが形成されていることを特徴とする請求項2、8および9のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  11. 上記第2開口と上記ガイドとの間隔が、円筒形状の上記サンプル吸着部材支持部の横断面が有する略円形の直径よりも小さいことを特徴とする請求項2および810のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  12. 上記ガイドの底部が、円筒形状の上記サンプル吸着部材支持部の下端よりも鉛直方向において上方に位置することを特徴とする請求項2および811のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  13. 上記中心部によって上記外側の部分が上記第2開口に押し付けられていることを特徴とする請求項に記載のサンプル分離吸着器具。
  14. 上記サンプル吸着部材支持部が、上記中心部を中心にして回転可能であることを特徴とする請求項または13に記載のサンプル分離吸着器具。
  15. 上記サンプル吸着部材支持部を上記サンプル吸着部材と同時に搬送する搬送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載のサンプル分離吸着器具。
  16. 上記サンプル吸着部材支持部を第2開口に押し付けて密着させる、上記サンプル吸着部材支持部が取り付けられた密着治具をさらに備えており、
    上記密着治具が上記ロッドを2つ有しており、当該2つのロッドがシート状の上記軟質材料を介して上記第2開口を挟むことによって、上記軟質材料を上記第2開口に押し付けていることを特徴とする請求項4または15に記載のサンプル分離吸着器具。
  17. 上記サンプル吸着部材支持部を第2開口に押し付けて密着させる、上記サンプル吸着部材支持部が取り付けられた密着治具をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  18. 上記第1電極および上記第1開口の間に、上記第1緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第1緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることを特徴とする請求項1〜4および617のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  19. 上記第2電極および上記サンプル吸着部材支持部の間に、上記第2緩衝液槽を区切る仕切り板をさらに備えており、当該仕切り板が、上記第2緩衝液槽の底部との間に空間を設けて形成されていることを特徴とする請求項1〜5および718のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  20. 上記軟質材料の乾燥時における硬度が、JIS−A(Hs)規格において測定した場合に、10度以上、70度以下であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  21. 上記軟質材料が、吸水性を有する材料であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  22. 上記軟質材料が、導電性の液体を吸収している状態において、50以上の誘電率を有する材料であることを特徴とする請求項21に記載のサンプル分離吸着器具。
  23. 上記軟質材料が、互いに連絡している複数の吸水孔を有する多孔質の材料であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  24. 上記軟質材料が、58%以上、92%以下の中空率を有する材料であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  25. 上記軟質材料が、親水性を有する材料であることを特徴とする請求項2124のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  26. 上記第1電極、上記第2開口および上記第2電極が、略一直線上に配置されていることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
  27. 上記第2開口が、上記サンプル分離媒体と同じ材料を含有する、上記軟質材料と同じ材料によって覆われていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載のサンプル分離吸着器具。
JP2009239760A 2009-10-16 2009-10-16 サンプル分離吸着器具 Expired - Fee Related JP5231374B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009239760A JP5231374B2 (ja) 2009-10-16 2009-10-16 サンプル分離吸着器具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009239760A JP5231374B2 (ja) 2009-10-16 2009-10-16 サンプル分離吸着器具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011085535A JP2011085535A (ja) 2011-04-28
JP5231374B2 true JP5231374B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=44078577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009239760A Expired - Fee Related JP5231374B2 (ja) 2009-10-16 2009-10-16 サンプル分離吸着器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5231374B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5284292B2 (ja) * 2010-01-13 2013-09-11 シャープ株式会社 サンプル分離吸着器具
JP4943526B2 (ja) * 2010-03-23 2012-05-30 シャープ株式会社 サンプル分離吸着器具
US9103781B2 (en) * 2011-09-12 2015-08-11 Sharp Kabushiki Kaisha Sample separation and adsorption appliance
JP2016109511A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 シャープ株式会社 サンプル分離器具およびサンプル分離吸着装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01112147A (ja) * 1987-10-26 1989-04-28 Shimadzu Corp 核酸の塩基配列決定方法
US5126025A (en) * 1990-08-30 1992-06-30 Millipore Corporation Method and apparatus for effecting capillary electrophoresis fraction collection on a membrane
JP4813244B2 (ja) * 2006-04-25 2011-11-09 シャープ株式会社 サンプル分離吸着器具
JP2008171272A (ja) * 2007-01-12 2008-07-24 Seiko Epson Corp 印刷制御装置、印刷制御方法及び印刷制御プログラム
JP4431838B2 (ja) * 2008-06-30 2010-03-17 シャープ株式会社 サンプル分離吸着器具
JP5198399B2 (ja) * 2009-09-10 2013-05-15 シャープ株式会社 生体由来サンプル保持シートの表面処理装置、生体由来サンプル保持シートの表面処理方法、生体由来サンプル処理装置および生体由来サンプル処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011085535A (ja) 2011-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4431838B2 (ja) サンプル分離吸着器具
US11940411B2 (en) Electro-blotting devices, systems, and kits and methods for their use
US7939270B2 (en) Delivery of molecules to a lipid bilayer
JP5231374B2 (ja) サンプル分離吸着器具
Sa et al. Reversible cobalt ion binding to imidazole-modified nanopipettes
JP5236609B2 (ja) サンプル分離吸着器具
JP2009063454A (ja) 電気泳動転写装置
US20060180466A1 (en) Method and apparatus for providing an electrochemical sensor at an elevated temperature
WO2013038474A1 (ja) サンプル分離吸着器具
JP5254184B2 (ja) サンプル分離吸着器具
JP5284292B2 (ja) サンプル分離吸着器具
KR20140012506A (ko) 비대칭 전해질 농도를 이용하여 생물분자를 분석하는 방법
JP4943526B2 (ja) サンプル分離吸着器具
CN106233132B (zh) 生物体分子分析装置
WO2015093282A1 (ja) 生体分子分析装置
US7736517B2 (en) Method and apparatus for performing planar electrochromatography at elevated pressure
US20170038335A1 (en) Frame member-equipped transfer film, biomolecule analysis device, reagent tank, and shaking device
JP6025813B2 (ja) 生体分子分析装置
JP6030681B2 (ja) 生体分子分析装置
WO1994023287A1 (en) Immunoassay and immunoassay cell used therefor
WO2020250559A1 (ja) 触媒反応の生成物の電気化学的検出方法、電気化学検出装置およびトランスデューサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121225

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130321

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees