JPWO2015072517A1 - 貼付材 - Google Patents

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智範 猪飼
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彰人 竹崎
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    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/02Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like

Abstract

皮膚の伸び及び縮みを抑制でき、皮膚への追従性にも優れ、長時間貼付可能な創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材を提供する。支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m2)との積が3000以上である、創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材。

Description

本発明は、貼付材、特に創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材、さらには創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド等の形成予防用の貼付材に関する。
外傷や手術によって皮膚に出来た創傷は、通常2週間程度で治癒するが、その後も約半年間にわたり変化を続ける。一般的に傷跡は約1ヶ月後には、硬くなって赤みを帯びるが、その後数ヶ月間かけて徐々に軟らかくなり、周囲の皮膚と同じ色になってくる。しかし、何らかの理由により正常な創傷治癒の過程が障害を受けると、傷が治らずに慢性化したり、異常な治り方をしたりすることがある。異常な治り方をするものの一つが瘢痕やケロイドと呼ばれるものである。瘢痕やケロイドが発生するメカニズムは、不明であるが、皮膚にかかる力学的緊張や炎症の強弱との関連も指摘されている。
従来から、傷跡の治療や、瘢痕やケロイドの形成を予防する方法として、外傷や手術後の皮膚にかかる外力を減じる方法が用いられている(特許文献1〜3参照)。具体的には、特許文献1には、特定の伸長力を有するハイドロコロイド貼付材が開示されている。特許文献2には、創傷を内因的応力及び/又は外因的応力から遮蔽するように構成され、傷跡及び/又はケロイドの形成を改善し得るデバイス、包帯、キット、及び方法が記述されている。また、特許文献3には、ケロイド等の患部に隣接する周辺部区帯に応当して貼付される貼付材と、患部を覆う弾性体と、該弾性体を上方から支持しながら上記貼付材の上に少なくともその一部がかかるように貼り付けて、上記弾性体を患部に向けて押圧するようにする支持用貼付材を具備する皮膚障害治療用体が開示されている。
特開2012−135582号公報 特表2009−545382号公報 特公平07−079827号公報
しかし、従来のハイドロコロイド貼付材や包帯、皮膚障害治療用体等では、皮膚の伸びは抑制するが縮みは抑制しない、皮膚への追従性が低い、長時間貼付できない等の不都合がある。そのため、皮膚の伸びと縮みの両方を抑制することができ、皮膚への追従性に優れ、長期間貼付可能である瘢痕・ケロイド形成予防用貼付材が望まれている。本発明の課題は、皮膚の伸びと縮みの両方を抑制することができ、皮膚への追従性に優れ、長期間貼付可能である創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材、特に創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド形成予防用の貼付材を提供することである。
前記課題を解決するためになされた発明は、貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上である創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材である。本発明の貼付材は、皮膚の伸びと縮みの両方を抑制することができ、さらに皮膚への追従性にも優れ、長時間貼付可能である。本発明の貼付材は、従来の貼付材が十分に備えていなかった皮膚の縮みの抑制効果にも優れている。本発明者らは、貼付材の10%引張荷重が18N/25mm以上であると皮膚の伸びを十分抑制でき、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上であると皮膚の縮みを十分抑制できることを見出したものである。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。なお、本発明において、「10%引張荷重」とは、日本工業規格のJIS K 7113に従って測定したものである。「カンチレバー法による剛軟度(mm)」はJIS L 1096に従って測定することができる。「坪量(g/m)」とは、1平方メートル当たりのグラム数で表された貼付材単位面積当たりの重量(g)である。
<1>支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、
前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上である、創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材。
<2>カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)との積が25以上である、<1>に記載の貼付材。
<3>透湿度が700g/m・24h以上である、<1>又は<2>に記載の貼付材。
<4>前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の応力緩和時間が10s以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の貼付材。
<5>長手方向及び短手方向の10%引張荷重が18N/25mm以上である、<1>〜<4>のいずれかに記載の貼付材。
<6>前記粘着剤層がウレタン系粘着剤又は発泡したアクリル系粘着剤を含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の貼付材。
<7>前記支持体が織布又は不織布を含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の貼付材。
<8>前記支持体が微小孔を含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の貼付材。
<9>創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド形成予防用である<1>〜<8>のいずれかに記載の貼付材。
<10>外科手術による創部の創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド形成予防用である、<9>に記載の貼付材。
<11>前記外科手術が帝王切開、胸骨正中切開又は腹腔鏡手術である<10>に記載の貼付材。
<12>支持体と、前記支持体の片面に設けられた接着剤層とを備える貼付材において、前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上であり、
前記粘着剤層がウレタン系粘着剤又は発泡したアクリル系粘着剤を含む貼付材。
<13>支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、
前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)との積が25以上である貼付材。
<14>前記粘着剤層が、瘢痕、ケロイド形成を抑制する薬剤をさらに含む<1>〜<13>に記載の貼付材。
本発明の貼付材によると、皮膚の伸びだけでなく縮みも抑制することができるため、外傷や手術による傷を有する皮膚にかかる外力を十分に減じることができる。また、皮膚への追従性、透湿性、付着性等にも優れ、長時間貼付することも可能である。従って、本発明の貼付材によると、外傷、手術後の創部等についての創傷の治癒、傷跡の治療を促進し、瘢痕やケロイドの形成を効果的に予防することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<貼付材>
本発明の貼付材(以下、「当該貼付材」ともいう)は、支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える。さらに、当該貼付材は、必要に応じて剥離体及び/又は担持体を備える。また、担持体と支持体との間、支持体と粘着剤層との間、及び/又は粘着剤層と剥離体との間に、その他の層を一層以上介在させてもよい。支持体、粘着剤層、剥離体、担持体、その他の層については後述する。なお、貼付材の長い方向を長手方向、短い方向を短手方向とする。例えば、長方形状の貼付材においては、長辺に対応する方向を長手方向、短辺に対応する方向を短手方向とし、正方形の場合は、その一方を長手方向、もう一方を短手方向とする。ロール形状の場合には、カットした場合に長い方向を長手方向、短い方向を短手方向とする。
当該貼付材は、その長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が、18N/25mm以上である。当該貼付材は、このような物理的特性を備えていることにより、外力や瘢痕組織の伸展等によって変形し難く、皮膚の伸びを十分に抑制することができる。前記引張荷重は、18N/25mm以上500N/25mm以下であることが好ましく、18N/25mm以上300N/25mm以下であることがより好ましく、20N/25mm以上200N/25mm以下であることがさらに好ましく、25N/25mm以上150N/25mm以下であることが特に好ましく、30N/25mm以上150N/25mm以下が最も好ましい。当該貼付材は、前記引張荷重が18N/25mm未満であると、外力等により変形し易くなり、皮膚の伸びの抑制効果が不十分となるおそれがある。また、前記引張荷重が500N/25mmを超えると、皮膚の伸びは抑制できるものの、当該貼付材を貼付した状態では貼付材の皮膚への追従が低下したり、通常の動作が行い難くなる場合がある。また、当該貼付材は、長手方向又は短手方向の少なくとも一方が前記条件を満たしていればよいが、皮膚への外力を十分に減じ、皮膚の伸びを効果的に抑制するためには、長手方向及び短手方向の両方が前記条件を満たすことが好ましい。なお、本発明における引張荷重の測定は、JIS K 7113に準じて引張試験を行い、10%引張荷重の測定を実施した。
当該貼付材は、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上である。発明者らは、貼付材においては、前記剛軟度と坪量との積の値が、その貼付材を皮膚に貼付した際の皮膚の伸び及び縮み抑制効果、特に皮膚の縮み抑制効果と関連があることを見出した。すなわち、前記剛軟度と坪量の積が大きいほど皮膚の縮み抑制効果が高く、この積の値が小さいほど皮膚の縮み抑制効果が低くなる。この積の値が3000以上である本発明の貼付材は、皮膚の縮みを十分に抑制でき、創傷の治癒、傷跡の治療を促進し、瘢痕やケロイドの形成を効果的に抑制することができる。しかし、この値が大き過ぎると、皮膚の縮み抑制効果は得られるものの、貼付材の皮膚への追従性が低下したり、皮膚に貼付した状態では通常の動作が行い難くなる場合がある。そのため、当該貼付材において、前記剛軟度と坪量との積は3000以上70000以下であることが好ましく、3300以上20000以下であることがより好ましく、3500以上10000以下であることがさらに好ましく、3500以上8000以下であることが特に好ましく、4000以上8000以下であることが最も好ましい。
当該貼付材においては、カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)との積が25以上であることが好ましい。発明者らは、貼付材においては、前記剛軟度と見かけ密度との積の値も、その貼付材を皮膚に貼付した際の皮膚の伸び及び縮み抑制効果、特に縮み抑制効果と深い関連があることを見出した。すなわち、前記剛軟度と見かけ密度の積が大きいほど皮膚の縮み抑制効果が高く、この積の値が小さいほど皮膚の縮み抑制効果が低くなる。この積の値が25以上である本発明の貼付材は、皮膚の縮みを十分に抑制でき、創傷の治癒、傷跡の治療を促進し、瘢痕やケロイドの形成を効果的に抑制することができる。しかし、この値が大き過ぎると、皮膚の縮み抑制効果は得られるものの、貼付材の皮膚への追従性が低下したり、貼付材を皮膚に貼付した状態では通常の動作が行い難くなるおそれがある。そのため、当該貼付材において、前記剛軟度と見かけ密度の積は25以上100以下であることが好ましく、25以上70以下であることがより好ましく、25以上50以下であることがさらに好ましく、30以上50以下であることが特に好ましい。なお、ここで、貼付材の見かけ密度(g/cm)とは、坪量(g/m)を厚さ(μm)で除した値である。
当該貼付材においては、透湿度が700(g/m・24h)以上であることが好ましい。当該貼付材は、透湿度が700(g/m・24h)以上であることで、皮膚に貼付した際の蒸れが少ないため、長時間の貼付が可能となる。当該貼付材の透湿度は、900(g/m・24h)以上であることがより好ましく、1000(g/m・24h)以上であることがさらに好ましく、1500(g/m・24h)以上であることが特に好ましい。透湿度は高いほど好ましく、好ましい透湿度の上限は特にないが、通常30000(g/m・24h)以下である。なお、本発明において透湿度の測定は、JIS Z0208のB条件に従って、温度40℃、相対湿度90%で測定した。すなわち、貼付材の片面側を温度40℃、相対湿度90%に調節し、他面側には塩化カルシウム等の吸湿剤を置いて貼付材を通過した水分を吸収させ、吸湿剤の重量変化量を24時間、1m当たりに換算して算出した。
当該貼付材においては、その長手方向又は短手方向の少なくとも一方の応力緩和時間が10(s)以上であることが好ましい。当該貼付材は、応力緩和時間が10(s)以上であることで、貼付材が外力等により伸びた場合にも、伸び切ってしまうことなく、元の状態に戻ることができるため、外傷、手術後の創部等について創傷の治癒、傷跡の治療を促進し、瘢痕やケロイドの形成を効果的に予防することができる。当該貼付材の応力緩和時間は、30(s)以上であることがより好ましく、70(s)以上であることがさらに好ましく、100(s)以上であることが特に好ましい。応力緩和時間は高い数値であるほど好ましいが、通常1000(s)以下である。また、当該貼付材は、長手方向又は短手方向の少なくとも一方が前記条件を満たしていればよいが、貼付材が外力等により伸びた場合にも、伸び切ってしまうことなく、元の状態に戻ることができるためには、長手方向及び短手方向の両方が前記条件を満たすことが好ましい。本発明において、応力緩和時間の測定は、各貼付材の短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて、幅25mm、長さ80mmの短冊を用い、チャック間が50mmになるように両端にニチバン株式会社製カートンテープNo.660を貼付して前記引張荷重の測定と同様の方法にて行った。25Nまで300mm/minの速度で引っ張った後、荷重が25Nになった時点で180秒間停止させ、荷重が20Nまで低下した時間(秒)を応力緩和時間とした。
当該貼付材は、10%引張荷重と、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が、前記規定の範囲内であることで、皮膚の伸びを抑制すると共に、縮みをも抑制することができる。すなわち、10%引張荷重の大きさが主に皮膚の伸びの抑制に寄与するのに対し、剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が主に皮膚の縮みの抑制に寄与し、これらの値が所定の数値以上か、好ましくは所定の範囲内である場合に上記所望の作用効果を発揮するという発見に基づくものである。これにより、外傷や手術により傷を負った皮膚が、外力や瘢痕組織の伸縮等の力学的作用によって変形することを効果的に防ぐことができるので、創傷の治癒用、傷跡の治療用、瘢痕・ケロイド形成予防用として有効である。また、当該貼付材は皮膚への追従性にも優れている。また、カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)の積を25以上とすることで、皮膚の縮みを抑制する効果をさらに向上させることができる。また、当該貼付材は透湿性にも優れるため、皮膚に貼付した際に蒸れを起こしにくく、長時間の貼付が可能となる。
当該貼付材の厚みは、特に限定されないが、取り扱い易さの観点から6μm以上6mm以下であり、50μm以上2mm以下であることが好ましく、60μm以上1mm以下であることがより好ましく、80μm以上0.5mm以下であることがさらに好ましい。
当該貼付材の形態は、前記支持体と粘着層とを備えていれば特に限定されないが、例えば長方形、正方形、ひし形などの四角形や、多角形、これらの形状を適宜組み合わせたシート状の形態、特定の方向に連続的に形成したテープ状、ロール状の形態等、目的に合わせて自由な形態とすることができる。周囲に角部を有する貼付材においては、周囲の角部に適宜Rを設けてもよい。また、貼付する部位に合わせて立体的に形成したり、切り込みやスリット等を設けてもよい。これらの当該貼付材のサイズも、目的に合わせて自由に選択することができるが、瘢痕・ケロイド形成予防等のために、皮膚に負った傷に貼付する場合には、その傷を十分カバーできるサイズである必要がある。
当該貼付材を瘢痕・ケロイド予防等、皮膚に負った傷に貼付する等、医療的な目的で用いる場合には、細菌感染、ウイルス感染等を防ぐために、滅菌処理を施されていることが好ましい。前記滅菌処理の方法としては、一般に貼付材に広く用いられている方法を用いることができ、例えばγ線滅菌法、電子線滅菌法、高圧蒸気滅菌法、エチレンオキサイドガス滅菌法等が使用される。
以下に、当該貼付材を構成する支持体、粘着剤層、剥離体、担持体、その他の層について詳述する。
[支持体]
本発明の貼付材の支持体(以下、「当該支持体」ともいう)としては、貼付材とした際に長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上となり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積を3000以上とすることができるものであれば特に限定されないが、例えば以下のような素材からなるものが挙げられる。
当該支持体の素材としては、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;
ナイロン(ナイロン6、ナイロン66)等のポリアミド;
ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene;LDPE)、高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene;HDPE)等のポリオレフィン;
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;
ポリビニルアルコール(PVA);
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化物;
木材等を原料としたパルプ類;
シリコーン類;
ポリウレタン等、又はそれらの複合素材から選択することができる。また、単独では透湿性が低い素材については、炭酸カルシウム等を含ませて多孔質としたり、穿孔等をして加工して用いることもできる。
当該支持体の素材としては、これらのうち、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフェン、ポリウレタンが好ましく、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレン、パルプがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、低密度ポリエチレン(LDPE)がさらに好ましい。また、複合素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)とパルプの複合素材が好ましい。
また、当該支持体は、前記素材からなる織布であってもよいし、不織布、編布、フィルム、発泡体等であってもよい。これらのうち、当該貼付材が十分な透湿性を備えるという観点から織布及び不織布が好ましい。
また、当該支持体は、前記素材からなる織布、不織布、編布、フィルム、発泡体等が、さらに加工されていてもよい。例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等でコーティングされていてもよく、ポリウレタンフィルム等でラミネートされていてもよい。コーティング又はラミネートする等、支持体と粘着剤層の間に、柔軟性のある層を設けることで、皮膚の微細な動きを妨げず、物理刺激を低減することができる。さらに、貼付材が外力等により伸びた場合にも、伸びきってしまうことなく、元の状態に戻ることができたり、貼付時の水などの浸入を防ぐことができる。
当該支持体としては、ポリウレタンコーティングを施したPET織布、アクリルコーティングを施したPET織布、ポリウレタンフィルムでラミネートしたPET織布、エーテル系ポリウレタンフィルムでラミネートしたPET織布、PETとパルプの複合素材からなる不織布、LDPEフィルム、アクリルコーティングを施したナイロン織布、ポリウレタン発泡体が好ましい支持体として挙げられる。
当該貼付材が有する特性は、当該支持体が備える物理的な特性に依存する部分が大きい。特に、皮膚の伸縮を抑制する効果を十分に奏するためには、当該支持体の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重も、18N/25mm以上であることが好ましい。長手方向と短手方向の組成や特性が異なる支持体を用いることで、長手方向と短手方向の強度の異なる支持体とすることができる。当該支持体は、このような物理的な強度を備えていることにより、得られる貼付材の物理的強度も向上し、外力や瘢痕組織の伸縮等によって変形し難く、皮膚の伸びを効果的に抑制することができる。なお、前記引張荷重は、18N/25mm以上500N/25mm以下であることが好ましく、18N/25mm以上300N/25mm以下であることがより好ましく、20N/25mm以上200N/25mm以下であることが更に好ましく、25N/25mm以上150N/25mm以下が特に好ましく、30N/25mm以上150N/25mm以下が最も好ましい。当該貼付材は、当該支持体の前記引張荷重が18N/25mm未満であると、外力等により変形し易くなり、皮膚の伸びの抑制効果が不十分となるおそれがある。また、前記引張荷重が500N/25mmを超えると、皮膚の伸びは抑制できるものの、当該貼付材を貼付した状態では通常の動作が行い難くなるおそれがある。また、当該支持体は、皮膚への外力を十分に減じ、皮膚の伸びを効果的に抑制するためには、長手方向及び短手方向の両方が前記条件を満たすことが好ましい。
当該支持体の破断強度は、18N/25mm以上であることが好ましく、50N/25mm以上であることがより好ましく、100N/25mm以上であることがさらに好ましい。
当該支持体には、必要に応じて通常使用される添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種で、又は複数を組み合わせて用いてもよく、これら添加剤の含有量は、添加剤の種類によって最適な範囲を選定すればよいが、支持体層中において、通常0.001〜30質量%、好ましくは0.01〜25質量%、より好ましくは0.1〜20質量%の範囲とすることが多い。当該支持体は、支持体層に紫外線吸収剤を添加したり、紫外線吸収剤を支持体層にコーティングするなど、紫外線の創傷部への照射を遮断することが創傷の治癒、傷跡の治療、瘢痕・ケロイド等の予防の観点から好ましい。
当該支持体の厚みとしては、本発明の貼付材が皮膚の伸縮抑制効果を十分に奏すると共に、取り扱い性を高める観点から、5μm以上5mm以下であり、20μm以上3mm以下が好ましく、40μm以上1mm以下がより好ましく、50μm以上0.5mm以下がさらに好ましく、60μm以上0.15mm以下が特に好ましい。当該支持体の厚みが5μm未満であると、支持体の強度が不十分となり使用時に摩擦等により破れるおそれがある。また、取り扱い性も低減する可能性がある。一方、厚みが5mmを超えると嵩高になり皮膚に貼付した際に違和感が生じ、特に皮膚の曲面部位への追従性が悪くなったり、貼付材が覆っている衣類と接触しやすくなるため皮膚から剥がれやすくなる等のおそれがある。
当該支持体は、貼付中に支持体の上から薬剤を含有した軟膏、クリーム剤、ゲル剤などを塗付するために、微小孔を設けることができる。例えばステロイド剤を含有した軟膏を、支持体の上から塗付することで、貼付材を剥離することなく、創傷部の炎症、かゆみを抑制することができる。微小孔の大きさは、軟膏、クリーム剤、ゲル剤が創傷部に浸透するような大きさであれば、特には限定されないが、0.01〜30mmが好ましい。
[粘着剤層]
本発明の貼付材の粘着剤層(以下、「当該粘着剤層」ともいう)は、前記支持体の片面に設けられている。当該粘着剤層は、本発明の貼付材を皮膚に取り外し可能に固定する役割を果たす。当該粘着剤層は、少なくとも1種の粘着剤を含む。また、必要に応じて、軟化剤、粘着付与剤、pH調整剤、薬効成分、充填剤、酸化防止剤(抗酸化剤、防腐剤)、着色料、香料等の任意成分を含んでいてもよい。以下に、当該粘着剤層が含む粘着剤、前記任意成分について詳述する。
当該粘着剤層が含む粘着剤の種類は特に限定されないが、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤としては、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記反応に用いるポリオールとポリイソシアネート化合物とのNCO/OHモル比は、反応におけるゲル化が抑えられ、粘着力が上昇するよう、0.7/1.00〜1.00/1.00とすることが好ましい。
ウレタン系粘着剤の製造は、例えば、溶融状態で反応させるバルク重合(固形反応)法、溶液重合法等の通常の方法を用いることができる。溶液重合法にて用いる溶剤としては、具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、セロソルブ、カルビトール等のグリコールエーテル系溶剤、セロソルブアセテート等の酢酸グリコールエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤等、さらにこれらの混合溶剤が挙げられる。
ウレタン系粘着剤を製造する際には、必要に応じて触媒及び添加剤等を用いることができる。触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、ステアリン酸錫等の有機金属化合物等の一般的なウレタン化触媒が挙げられる。添加剤としては、例えば、置換ベンゾトリアゾール類等の紫外線吸収剤、フェノール誘導体等の酸化防止剤、及び加水分解防止剤等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤の凝集力をアップし、糊残り等の問題を回避するために、前記ウレタン系粘着剤の製造に鎖延長剤を使用することができる。さらに、ウレタン系粘着剤は、ポリイソシアネート硬化剤を併用し、粘着特性を変化させることが可能である。ポリイソシアネート硬化剤の併用による凝集力のアップは、糊残り等の不具合の改善に有効である。硬化剤として用いられるポリイソシアネートとしては、前記反応に用いたポリイソシアネートも使用することができるが、これらと2官能以上のポリオールの反応で得られるイソシアネートのポリオールアダクトが好ましく、また、ポリメリックポリイソシアネート、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体も好ましい。具体的には、日本ポリウレタン工業製のコロネートL、コロネートHL、コロネート3041、コロネート2030、コロネート2031、コロネートHX、ミリオネートMTL、ミリオネートMR等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤は安全性が高く、医療用高分子材料として実用されている。透湿度が高く皮膚に対して密着性がよく、柔軟で馴染みが良く、低刺激性の粘着剤となる。従って、人体に貼付する用途に適しており、医療用貼付材用の粘着剤として好適である。また、粘着性、安全性、材料としての安定性、経済性等全てを充足する。
アクリル系粘着剤としては、例えば、ブチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート等の炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルの単独重合体;これらの(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、他のモノマーとして(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等の共重合可能な他のモノマーの1種以上と共重合してなる共重合体等が挙げられる。他のモノマーは、通常2〜50質量%の範囲で用いられる。
アクリル系粘着剤は、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等を開始剤として使用し、モノマーを窒素雰囲気下で重合することにより得ることができる。この方法により得られるアクリル系粘着剤は、溶剤型アクリル系粘着剤と呼ばれている。また、モノマーを水中で乳化剤にて乳化分散後、重合して得られるエマルジョン型アクリル系粘着剤も使用することができる。
アクリル系粘着剤を架橋するには、重合後、アクリル系粘着剤を多価イソシアネート系架橋剤、多価エポキシ樹脂系架橋剤、多価金属系架橋剤等の架橋剤を用いて架橋する。具体的には、例えばTetrad−X(三菱ガス化学社製)、ナーセム(日本化学産業社製)、コロネートHL、コロネートL、コロネートEH(日本ポリウレタン工業株式会社製)等が用いられる。これらの架橋剤は、通常、粘着剤組成物を調製する際に、その中に添加する。
アクリル系粘着剤を架橋して凝集性を付与することにより、皮膚表面に対する適度な粘着力を保持しつつ、皮膚からの剥離の際にも糊残りがない構成とすることができる。架橋剤は、アクリル系粘着剤(アクリル系重合体成分)100質量部に対して、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜2質量部の範囲で用いられる。すなわち、架橋剤の使用量は、前記の範囲内から、粘着特性、凝集性、薬効成分のブリード性等を考慮して適宜選ばれる。アクリル系粘着剤には、必要に応じて、軟化剤のような液状成分を配合することもできる。また、粘着剤を発泡させたものを用いると、通気性を良好にし、クッション性を良くすることもできて、一層好ましい。粘着剤を発泡させるには、通常の方法で行うことができ、発泡剤を用いることや、水溶液や有機溶剤を加熱する際に生じる気化作用を利用する方法などが挙げられる。
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリイソプレン、これらの2種以上の混合物等のゴム状弾性体に、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンーインデン樹脂、石油系樹脂等の粘着付与剤を添加したものを挙げることができる。ゴム系粘着剤には、必要に応じて、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、鉱油等の軟化剤;酸化チタン、酸化亜鉛等の充填剤;ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤等を添加することができる。これらの中でも、粘着性の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を主基剤としたものが好ましい。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴムとシリコーンレジンの混合物又は部分縮合物が挙げられる。シリコーンゴムとしては、両末端にシラノール基のようなケイ素官能基を有する高分子量の直鎖状ポリジオルガノシロキサンが挙げられ、シリコーンレジンとしては、1官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位を含み、分子中にシラノール基又はメトキシ基のようなケイ素官能基を有する分岐状もしくは網状構造を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。より具体的には、このようなシリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサンの長鎖の共重合体を、シリコーンレジンとしては、MQレジン(M単位((CH)SiO1/2)とQ単位(SiO)からなる3次元構造のシリコーンレジン)を挙げることができる。
シリコーン系粘着剤を構成するシリコーンゴム/シリコーンレジンの構成比は特に限定されるものではないが、好ましくは30:70〜60:40、より好ましくは35:65〜45:55である(質量比)。本発明において特に好ましいシリコーンゴム/シリコーンレジンの構成比としては、40/60(w/w)(BIO−PSA4501、ダウコーニング社)、45/55(w/w)(BIO−PSA4601、ダウコーニング社)等を挙げることができる。
シリコーン系粘着剤は、分子中に存在するケイ素官能基によって、感圧接着性を有する粘着剤である。ケイ素原子に結合した有機基としては、メチル、エチル、ビニル、フェニル等各種の1価の炭化水素基が挙げられ、置換基の種類を選ぶことによって粘着性を調節することができる。シリコーン系粘着剤は、その主成分であるポリオルガノシロキサンの分子間距離が大きいので、通気性及び透湿性に富む。
当該粘着剤層が含む粘着剤としては、それぞれの粘着剤を1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。また、これらの粘着剤の形態としては、粘着剤のみで用いてもよいし、例えば、水を含むヒドロゲル、有機溶媒を含むオルガノゲルの形態としたもの、親水性高分子化合物を加えた、ハイドロコロイドの形態としたハイドロコロイド粘着剤として用いてもよい。粘着剤層は、単一の粘着剤として形成しても良いし、複数の粘着剤層を積層して形成してもよい。複数の粘着剤層を積層したものである場合は、種類の異なる複数の粘着剤を積層させたり、大きさの異なる粘着剤を積層させることができる。例えば支持体よりも小さなハイドロコロイド粘着剤を絆創膏のパッドの部分のように用いることができる。
これらの粘着剤のうち、透湿度、低刺激性、安全性、適度な粘着性等の面から、ウレタン系粘着剤又は、発泡したアクリル系粘着剤が好ましい。
当該粘着剤層は、任意成分として軟化剤、粘着付与剤、pH調整剤、薬効成分、充填剤、酸化防止剤(抗酸化剤、防腐剤)、着色料、香料を含有してもよい。
軟化剤は粘着剤の弾性を低下させて柔軟性を付与すると共に、粘着性を向上させることができるため、必要に応じて添加するとよい。軟化剤としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等の鉱油;オリーブ油、オリーブスクワラン等の植物油;ラノリン、タートル油、ミツロウ等の動物油;脂肪酸トリグリセライド、シリコーンオイル等の合成油等が挙げられる。
粘着付与剤は粘着剤に適度な柔軟性を付与しつつ、凝集破壊しにくくすることができるため、必要に応じて添加するとよい。粘着付与剤としては、例えば、天然ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペンオリゴマー、脂肪族石油樹脂、アルキル変性フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル、油性フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系炭化水素樹脂等が挙げられる。
pH調整剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、例えば、カラヤガム、クエン酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸水素ナトリウム、ペクチン、無水クエン酸、アルカリ金属水酸化物、有機酸の緩衝液等が挙げられる。これらのpH調整剤を用いて、粘着剤層を正常な皮膚のpHに合わせ、pH4.0〜6.0の範囲に調整することができる。
薬効成分としては、特に限定されないが、本発明の効果を向上させるものが好ましい。例えば、抗菌剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、麻酔剤、抗真菌剤、ビタミン剤等が挙げられる。これらの薬剤は、経皮吸収により全身又は局所においてその効果を発揮したり、あるいは貼付された部位において、局所的に効果を発揮する。
本発明の好ましい実施形態において、上記薬剤としては、瘢痕、ケロイドの形成を抑制する薬剤を含有することができる。そのような薬剤には、抗アレルギー剤、ステロイド剤、TGF−βシグナル阻害剤などが含まれる。瘢痕やケロイドの発生・進行やかゆみ、痛みなどの症状にはアレルギー反応が関与していることが知られている。また、副腎皮質ステロイドには多彩な作用があるが、皮膚においては炎症を抑制する効果、組織を萎縮させる効果などがある。TGF−βは、生体の恒常性維持に非常に重要な役割を持つが、TGF−βシグナルの異常によって強皮症や皮膚硬化症、種々の線維症等の様々な疾患を引き起こすことが知られている。これらの疾患に共通する原因としては、過度のTGF−βシグナルによって、過剰な組織の線維化が誘導されるためと考えられている。
当該粘着剤層の厚みは特に限定されないが、皮膚への固定性を担保し、支持体の厚みとのバランスの観点から1μm以上1mm以下であることが好ましく、10μm以上0.5mm以下であることがより好ましく、20μm以上0.1μm以下であることがさらに好ましい。なお、当該粘着剤層の乾燥時の塗工重量(粘着剤厚)は、1g/m以上1000g/m以下が好ましく、10g/m以上200g/m以下がより好ましく、20g/m以上100g/m以下がさらに好ましい。当該粘着剤層の厚みや、塗工重量が前記上限以上であると、透湿性、取り扱い性が低下するおそれがある。一方前記下限未満であると、皮膚への固定性が担保できないおそれがある。
こうした一面に粘着剤層を設けた貼付材の粘着力は、粘着力が強すぎることもなく、また、弱すぎることもないものであり、対ベークライト粘着力において0.3〜10N/25mm程度、好ましくは2.0〜6.0N/25mmにすることが好ましい。なお、前記対ベークライト粘着力は、温度23℃、50%RHの雰囲気下で、ベークライトパネルに、長さ150mm及び幅25mmに切り出して調製したテープ試験片を貼付し、2kgのゴムロールを300mm/分の速度で1往復させて圧着する。この状態で20分間放置した後、剥離角度180度及び剥離速度300mm/分の条件で剥離力を測定し、試験片の対ベークライト粘着力を求める。測定は3回行い、その平均値を貼付材の対ベークライト粘着力(単位:N/25mm)とする。
また、支持体に設けた粘着剤層のタック性は、強すぎることもなく、また、弱すぎることもないものであり、プローブタックにおいて0.4〜10(N/5mmφ)程度、好ましくは0.6〜5.0(N/5mmφ)程度にすると良い。なお、上記プローブタックは、ニチバン株式会社製プローブタックテスタ−を使用し、JIS Z 0237に参考として記載されているプローブタック試験法に基づいて測定する。この測定は3回行い、その平均値を対プローブタック(単位=N/5mmφ)とする。
[剥離体]
本発明の貼付材に用いる剥離体(以下、「当該剥離体」ともいう)は、粘着剤層を保護する目的で、当該粘着剤層における支持体が設けられた面とは反対側の面に剥離可能な状態で設けられる。当該剥離体としては、貼付材の分野で慣用の、剥離紙、剥離フィルム等を用いることができる。例えば、シリコーン離型処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材やポリエステルフィルム等を用いることができる。また、剥離体の厚みは、特に限定はされないが、通常、20μm以上、好ましくは、40μm以上であり、その上限値は500μm程度である。剥離体の略中心部に、その外形を分断する線状の剥離体分断部を1本もしくは2本以上設けることによって、一方の剥離体を剥がしても、他方の剥離体が残り、粘着面に触れることなく貼付作業ができるようになり、作業性が向上する。貼付材をロール状とした場合においては、特に剥離体を剥ぎ取りやすくし、取り扱い性を向上させるのに有効である。また、2枚以上の剥離体を粘着剤から剥離しやすいように、剥離体を一方に覆い被せるか又は折り返すように配置してもよい。
[担持体]
本発明の貼付材に用いる担持体(以下、「当該担持体」ともいう)は、支持体の粘着剤層が設けられた面とは反対側の面に剥離可能な状態で設けられ、支持体を補強して、本発明の貼付材の製造性や操作性を向上させる役割を果たす。また、この担持体は貼付時に貼付部位が確認できるような視認性を考慮すると、透明もしくは半透明であることが望ましい。さらに、この担持体は、支持体に対して相対的に高い弾性率を有して、支持体に対し、3〜20倍程度の弾性率であるものが好ましい。また、担持体を支持体に積層させる面には、支持体と適度な接着性を保って積層される必要があるため、各種処理を行っておくことが適切である。このような処理としては、例えばコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、マット処理等が挙げられる。
当該担持体が支持体から剥離しにくい場合は、担持体の中央部付近に切れ目を設けてもよく、担持体同士の切れ目間隔を空けて担持体を2枚としてもよい。また、さらに担持体の切れ目上部にテープ又はフィルムを積層して、掴み片として口取り部を設けてもよい。口取り部はフィルム、不織布、織布、又はそれらの積層体としてもよいし、粘着テープとしてもよく、着色も可能である。担持体の端部分は波形或いは複数の切り込みを入れた状態としても良く、支持体より大きく形成したものを使用してもよい。これらは、貼付材をロール状とした場合においても、担持体を剥ぎ取りやすくし、取り扱い性を向上させるのに有効である。
当該担持体として用いられるのは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。また、これらの単体の担持体だけでなく、紙、不織布、織布、編布、金属箔と積層した複合体の担持体であっても差し支えないが、このような担持体には、視認性やコスト等の観点からポリオレフィン及びポリエステルフィルムが用いられることが好ましい。
当該担持体の厚みは、特に限定はされないが、通常、20μm以上、好ましくは、40μm以上であり、その上限値は500μm程度である。
本発明の貼付材では、担持体と支持体との間、支持体と粘着剤層との間、及び/又は粘着剤層と剥離体との間に、他の層を一層以上介在させてもよい。例えば、接着性や剥離性を高めるため、下塗剤層や接着剤層、又は剥離剤層を設けてもよいし、あるいはフィルム、不織布、織布、又はそれらの積層体を介在させてもよい。
<貼付材の製造方法>
当該貼付材の製造方法は、特に限定されず、一般的な貼付材の製造方法に従って製造することができる。
粘着剤層は、例えば、支持体又は剥離体の一方の上面に粘着剤をコーティング法、押出成形法などの方法により供給することによって形成することができる。また、支持体と剥離体の間に粘着剤を供給することによって形成することができる。さらに、支持体と粘着剤層を共押出成形することもできる。
安定した品質の貼付材を容易に製造することができる観点から、剥離体層の上面に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成する工程を含む貼付材の製造方法であることが好ましい。粘着剤の塗工方法は、溶展塗工、ホットメルト塗工、エマルジョン塗工など特に限定はされないが、特に、厚み50μm以下の薄い粘着剤層を得る場合には溶展塗工方法が好ましい。具体的には、あらかじめ形成した剥離体を一方向に走行させながら、その上面に、粘着剤層を形成する粘着剤を塗工し、溶媒を乾燥除去して粘着剤層を形成する。次いで、粘着剤層が剥離体と対向するようにして、支持体を積層することにより、支持体、粘着剤層及び剥離体をこの順に積層して備えることを特徴とする貼付材を得ることができる。
当該粘着剤層の塗工パターンとしては、当該支持体の表面を全面的に被覆しても良いが、部分的に被覆することも可能である。部分的に被覆する場合は、格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形態を選択できる。このように、当該支持体の片面に、部分的に当該粘着剤層を設けることにより、通気性、透湿性等をより向上させることもでき、また、皮膚からの剥離時の刺激をより軽減することもできる。
当該貼付材の製造時においては、当該支持体と当該粘着剤層との接着性を向上させるために、当該支持体に表面処理又はプライマー処理を施してもよい。当該支持体の表面処理としては、例えば、エンボス加工、サンドマット加工、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等、公知のあらゆる処理方法を採用することができる。プライマー処理としては、例えば、シランカップリング剤等からなるプライマーを用いる等、本発明に係る組成物に使用可能なプライマーであれば、公知のあらゆるプライマーを用いてプライマー処理を行うことが可能である。
<貼付材の用途及び用法>
当該貼付材は、以上説明したように、皮膚に貼付した際に、皮膚の伸びだけでなく縮みも抑制することができるため、外傷や手術による傷を有する皮膚にかかる外力を十分に減じることができる。また、皮膚への追従性、透湿性等にも優れるため、長時間貼付することも可能である。従って、本発明の貼付材によると、創傷の治癒、傷跡の治療を促進し、瘢痕やケロイドの形成を効果的に予防することができる。特に、瘢痕やケロイドの形成予防に効果的である。帝王切開や、胸骨正中切開、腹腔鏡手術等の外科手術による創部の傷跡の治療又は瘢痕・ケロイド形成予防に好適に用いられる。貼付する際の貼付材の方向(長手方向と短手方向)は、傷の大きさに応じて決めることが出来る。特に傷が直線状である場合には、傷と垂直になる方向(外力が掛かりやすい方向)の10%引張り荷重が高くなるように貼付することが好ましい。また、これらの用途以外であっても、本発明の効果を十分に奏することができる用途であれば特に限定されない。例えば湿疹、火傷、ニキビ、ピアス穴、BCG接種等を負った患部に貼付することもできる。
一般に創傷治癒過程は、その時間的経過から炎症期、増殖期及び組織再構築期の3つの時期に分けられる生体防御システムの一つであり、軽度な創傷では治療せずとも自然に治癒に至る。しかし、創傷部位に伸びや縮み等の機械的なひずみが生じると、特に増殖期初期におけるマクロファージによる壊死組織の消化除去や余分な細胞のアポトーシスを抑制し、コラーゲン線維の瘢痕化につながり、その結果組織の再構築が抑制され傷跡が肥大してケロイドが形成されると推測される。したがって、本発明に係る貼付材は、創傷治癒を促進するという視点において外傷や手術による傷跡の治療のために用いることができ、一方、瘢痕、ケロイドの形成を抑制する意味で、瘢痕、ケロイド形成の予防のために用いることができる。
当該貼付材の用法は、目的に応じて適宜選択されるが、例えば創部の瘢痕・ケロイド形成予防を目的とする場合には、3ヶ月〜12ヶ月程度連続貼付することが好ましい。1枚の当該貼付材は、一旦貼付した後、それが剥がれるまで連続貼付することができる。この期間は、通常3日〜7日間程度である。その後、新しい貼付材を貼付し、剥がれたらまた新しい貼付材を貼付することを繰り返し行うことが望ましい。
当該貼付材は、防水及び長期付着のために、必要に応じて、ドレッシング材や医療用テープなどを当該貼付材の上から覆い使用することが出来る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されない。以下の実施例及び比較例中の部及び%は、特に断りのない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
<貼付材の作製>
1.粘着剤
ウレタン粘着剤は、ポリエーテルポリオールA/ポリエーテルポリオールB/ポリエーテルモノオールC(質量比43/21/36)のモル比が活性水素化合物中の水酸基100に対してイソシアネートプレポリマー中のイソシアネート基の90となるようにヘキサメチレンジイソシアネートプレポリマーを添加したウレタン系粘着剤を使用した。
アクリル粘着剤としては、アクリル粘着剤1、アクリル粘着剤2、アクリル粘着剤3を使用した。アクリル粘着剤1は、アクリル酸イソノニル/アクリル酸2−メトキシエチル/アクリル酸(質量比68/30/2)からなるアクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、架橋剤としてコロネート(登録商標)HL0.3質量部(日本ポリウレタン工業株式会社製)を添加したアクリル系粘着剤である。アクリル粘着剤2は、アクリル酸イソノニル/アクリル酸(質量比98/2)からなるアクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、架橋剤として、TETRAD(登録商標)X0.02質量部(三菱ガス化学株式会社製)、ナーセムアルミニウム0.1質量部(日本化学産業株式会社製)を添加したアクリル系粘着剤である。アクリル粘着剤3は、アクリル酸イソノニル/アクリル酸(質量比96/4)からなるアクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、架橋剤として、TETRAD(登録商標)X0.03質量部(三菱ガス化学株式会社製)を添加したアクリル系粘着剤である。
2.基材(支持体)
基材(支持体)としては、
PET織布+PUコーティング(ポリエステル織布にポリウレタンコーティングを施したもの)、
PET織布+PUフィルムラミ品(ポリエステル織布をポリウレタンフィルムでラミネートしたもの)、
PET/パルプ不織布(ポリエステル及びパルプを含む不織布)、
ナイロン織布+アクリルコーティング(ナイロン織布にアクリルコーティングを施したもの)、
PET織布+アクリルコーティング(ポリエステル織布にアクリルコーティングを施したもの)、
PET織布+エーテル系PUフィルムラミ品(ポリエステル織布をエーテル系ポリウレタンフィルムでラミネートしたもの)、
ポリウレタンフィルム、
PPスパンボンド不織布(ポリプロピレン長繊維不織布)、
ポリウレタン不織布
を用いた。
3.貼付材の作製
[実施例1]
前記で調製されたウレタン粘着剤100部と、架橋剤であるコロネートL(日本ポリウレタン工業製)2部とを均一に混合したのち脱泡し、剥離処理を施したポリラミシリコーン処理グラシン紙上に乾燥時の粘着剤厚40g/mとなるように塗布し、次いで乾燥させ、粘着剤層を得た。得られた粘着剤層の上に、基材(支持体)としての、ポリウレタンコーティングを施したポリエステル織布(PET織布+PUコーティング)を貼り合わせ、貼付材を作製した。得られた貼付材の特性は、後述する方法を用いて測定し表2に示した。
[実施例2、5〜7、及び比較例1]
下記表1に記載した基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2、5〜7、及び比較例1の貼付材を作製した。得られた各貼付材の粘着剤厚も表1に合わせて示した。各貼付材の特性は、同様に後述する方法を用いて測定し表2に示した。
[実施例3]
剥離体の片面に、アクリル粘着剤1の酢酸エチル溶液(全体の固形分は約40質量%)を、乾燥後の厚みが39g/m2になるように塗布し、次いで乾燥して、粘着剤層を形成し、支持体としてPET/パルプ不織布をラミネートし、貼付材を作成した。
[実施例4、及び比較例2〜4]
下記表1に記載した粘着剤及び基材を用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4、及び比較例2〜4の貼付材を作製した。得られた各貼付材の粘着剤厚も表1に合わせて示した。各貼付材の特性は、同様に後述する方法を用いて測定し表2に示した。
Figure 2015072517
<貼付材の各特性の測定方法>
(引張荷重)
実施例及び比較例の貼付材については、それぞれJIS K 7113に準じて引張試験を行い、10%引張荷重の測定を行った。各貼付材の試験片は、短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて、幅25mm、長さ100mmの短冊を裁断したものを用いた。チャック間が50mmになるように両端にニチバン株式会社製カートンテープNo.660を貼付し、引張強度測定用の試験片を作製し、テンシロン型引張試験機のクロスヘッドに前記50mmのつかみ間隔で取り付けた。上部クロスヘッドを300mm/minの速度で上げ、前記試験片を引っ張った。引張り長さが元の試験片を基準として、10%伸張に至ったときの荷重を10%引張荷重とした。引張荷重の単位は、ニュートン(N)/25mmで表した。各貼付材の短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて3枚ずつ試験片を裁断し、3枚全てについて前記測定を行った。3枚の平均値をCD方向、MD方向それぞれの引張荷重の測定値とした。測定の条件をまとめると以下の通りである。
試験機:テンシロン型引張試験機
試験片:幅25mm、長さ100mm
つかみ間隔:50mm
クロスヘッド移動速度(引張速度):300mm/min
繰返し試験数:n=3
測定雰囲気:23℃、50%RH
(剛軟度)
カンチレバー試験JIS L 1096による。各貼付材の試験片は、短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて、幅20mm、長さ150mmの短冊を裁断したものとした。45°の斜面をもつ、表面が滑らかな水平台の上にサンプルの短辺をスケール基線に合せて置き、適当な方法によって試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて20秒以内に試験片が倒れた時、水平台側の端の位置をスケールから読み取った。剛軟度は試験片が移動した長さ(mm)で示され、3枚の平均値を剛軟度の測定値とした。なお、測定は全て各貼付材の基材面を下にして行った。
(見かけ密度)
各貼付材の坪量(g/m)をその厚さ(μm)で徐した値を算出し、見かけ密度(g/cm)とした。
(透湿度)
透湿度は、JIS Z 0208のB条件に従って、温度40℃、相対湿度90%で測定した。すなわち、各貼付材の片面側を温度40℃、相対湿度90%に調節し、他面側には約15gの吸湿剤(塩化カルシウム)を置いて、各貼付材を通過した水分を吸収させ、吸湿剤の質量変化量を1m、24時間当りに換算して、3枚の試験片の平均値を透湿度とした。
(応力緩和時間)
各貼付材の試験片として、短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて、幅25mm、長さ80mmの短冊を3枚ずつ裁断したものを用いた。チャック間が50mmになるように両端にニチバン株式会社製カートンテープNo.660を貼付し、引張強度測定用の試験片を作製した。25Nまで300mm/minの速度で引っ張った後、荷重が25Nになった時点で180秒間停止させ、荷重が20Nまで低下した時間(秒)を応力緩和時間とした。測定の条件をまとめると以下の通りである。
試験機:テンシロン型引張試験機
試験片:幅25mm、長さ80mm
チャック間:50mm
クロスヘッド移動速度(引張速度):300mm/min
繰返し試験数:n=3
測定雰囲気:23℃、50%RH
Figure 2015072517
<貼付材の評価(ヒト皮膚での実用評価)方法>
各貼付材をヒト皮膚の下記の各部位に貼付し、下記の方法に従って評価した。なお、各部位での評価には、短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれについて各貼付材を50mm四方のサイズに裁断した試験片を3枚ずつ用いた。
(へそ下部)
へそ下部にマジックペンで50mm四方の正方形をマークした(50mm×50mmの4辺)。体の垂直(上下)方向をタテ、水平(左右)方向をヨコとした(胸部及び肩部も同様として行った)。両手を腰にあて、腰を後屈した状態(仰け反った状態)で停止し、その際のマークペンのタテの辺の長さを測定した(皮膚を伸ばす行為)。また、イスに腰深く座った状態で停止し、その際のマークペンのタテの辺の長さを測定した(皮膚を縮める行為)。これらの測定値を無貼付時(ブランク)の測定値とした。次に、マークした箇所に各貼付材の試験片を貼り、同様の動作を行い、テープのタテの長さを巻尺で測定し貼付時の測定値とした。各貼付材の試験片3枚について同様の測定を行った。無貼付時の測定値及び貼付時の測定値のそれぞれと、初期値(50mm)との差を算出し、無貼付時で伸びた又は縮んだ長さが、貼付時にどの程度抑制されたかを抑制率(%)として算出し、下記評価基準に従って評価した。タテ方向のみの評価結果を表2に示す。なお、表2に示した結果は、前記3枚の試験片についての平均値である。ここで、抑制率が100%とは、貼付材の貼付により、皮膚の伸び又は縮みが完全に抑えられたことを示す。
(胸部)
胸部のよく動く箇所(胸部の中央)にマジックペンで50mm四方の正方形をマークした(50mm×50mmの4辺)。両手ともに拳を作り、胸を前に押し出すように胸を張ってその状態で停止し(皮膚を伸ばす行為)、その際のマークペンのタテ及びヨコの辺の長さを測定し、無貼付時(ブランク)の測定値とした。次に、マークした箇所に各貼付材の試験片を貼り、同様の動作を行い、テープのタテ及びヨコの辺の長さを巻尺で測定し貼付時の測定値とした。各貼付材の試験片の短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれ3枚について同様の測定を行った。抑制率の算出はへそ部の場合と同様に行い、下記評価基準に従って評価した。その結果を表3に示す。
(肩部)
肩部のよく動く箇所にマジックペンで50mm四方の正方形をマークした(50mm×50mmの4辺)。腕を真上に出した状態で停止し、その際のマークペンのヨコ辺の長さを測定し、無貼付時(ブランク)の測定値とした。次に、マークした箇所に各貼付材の試験片を貼り、同様の動作を行い、テープのヨコの辺の長さを巻尺で測定し貼付時の測定値とした。各貼付材の試験片の短手(CD)方向、長手(MD)方向それぞれ3枚について同様の測定を行った。抑制率の算出はへそ部の場合と同様に行い、下記評価基準に従って評価した。ヨコ方向の評価結果を表3に示す。
(評価基準)
皮膚を伸ばす行為について
A:抑制率100%〜90%
B:抑制率89%〜80%
C:抑制率79%〜70%
D:抑制率69%以下
皮膚を縮める行為について
A:抑制率100%〜90%
B:抑制率89%〜70%
C:抑制率69%〜60%
D:抑制率59%以下
Figure 2015072517
<評価>
前記表3に示される通り、実施例の貼付材は、比較例に比べて皮膚の伸び及び縮みを十分に抑制することがわかった。また、実施例の貼付材は、皮膚への追従性もよく、長期間の貼付に適していた。
本発明の創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材によると、皮膚の伸びだけでなく縮みも抑制することができるため、外傷や手術による傷を有する皮膚にかかる外力を十分に減じることができる。また、皮膚への追従性、透湿性等にも優れるため、長時間貼付することも可能である。従って、本発明の創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材は、創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕やケロイドの形成予防用に好適である。

Claims (14)

  1. 支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、
    前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上である創傷被覆用又は術後創保護用の貼付材。
  2. カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)との積が25以上である、請求項1に記載の貼付材。
  3. 透湿度が700g/m・24h以上である、請求項1又は2に記載の貼付材。
  4. 前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の応力緩和時間が10s以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の貼付材。
  5. 長手方向及び短手方向の10%引張荷重が18N/25mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付材。
  6. 前記粘着剤層がウレタン系粘着剤又は発泡したアクリル系粘着剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の貼付材。
  7. 前記支持体が織布又は不織布を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の貼付材。
  8. 前記支持体が微小孔を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の貼付材。
  9. 創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド形成予防用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の貼付材。
  10. 外科手術による創部の創傷の治癒用、傷跡の治療用又は瘢痕・ケロイド形成予防用である、請求項9に記載の貼付材。
  11. 前記外科手術が帝王切開、胸骨正中切開又は腹腔鏡手術である、請求項10に記載の貼付材。
  12. 支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、
    前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上であり、
    前記粘着剤層がウレタン系粘着剤又は発泡したアクリル系粘着剤を含む貼付材。
  13. 支持体と、前記支持体の片面に設けられた粘着剤層とを備える貼付材において、
    前記貼付材の長手方向又は短手方向の少なくとも一方の10%引張荷重が18N/25mm以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と坪量(g/m)との積が3000以上であり、カンチレバー法による剛軟度(mm)と見かけ密度(g/cm)との積が25以上である貼付材。
  14. 前記粘着剤層が、瘢痕、ケロイド形成を抑制する薬剤をさらに含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の貼付材。
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