JPWO2015068183A1 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

被制動部材に制動部材を押し付けることで、付着物を除去することにより、被制動部材を静止保持できるブレーキ装置を提供する。この発明に係るブレーキ装置(1)は、モータの駆動力により回転する被制動部材(20)と、モータの制御により被制動部材(20)が停止した場合、被制動部材(20)に押し付けられ、被制動部材(20)を静止保持する制動部材(10a)とを備える。制動部材(10a)は、被制動部材(20)と対向する面に溝(121a)が設けられ、溝(121a)の容積が、被制動部材(20)と制動部材(10a)との間に付着する付着物の体積以上である。

Description

本発明は、ブレーキ装置に関するものである。
従来のブレーキ装置は、制動部材と、被制動部材とを備える。制動部材とは、ブレーキパッドのことである。被制動部材とは、ディスクブレーキにおいて、ブレーキディスクのことである。被制動部材とは、ドラムブレーキにおいて、ブレーキドラムのことである。
被制動部材は、モータの出力軸に接続されている。モータの駆動中において、被制動部材は、モータの駆動により回転する。従来のブレーキ装置は、モータを電気的に制御して停止させた後、被制動部材に対し、制動部材を押し付ける。制動部材を押し付けることにより、従来のブレーキ装置は、被制動部材を静止保持する力を発生させる。この力により、従来のブレーキ装置は、被制動部材を静止保持する。
制動部材または被制動部材の表面には、磨耗粉、水滴、泥等の付着物が付着する場合がある。付着物が付着したならば、制動部材は、被制動部材に対し、付着物を介して押し付けられる。この場合、従来のブレーキ装置は、被制動部材に対し、制動部材を押し付けることにより、制動部材と被制動部材との間から付着物を排出する。
しかし、従来のブレーキ装置において、付着物は、制動部材の押し付けのみでは十分に排出されない。このため、従来のブレーキ装置は、制動部材と被制動部材との間に付着物が残ってしまう。残った付着物は、制動部材と被制動部材との間で膜を形成する。付着物による膜が破壊された場合、従来のブレーキ装置は、被制動部材を静止保持する力が低下してしまうおそれがあるという問題があった。
本発明は、上記の従来技術の課題を解決し、被制動部材に制動部材を押し付けることで、付着物を除去することにより、被制動部材を静止保持できるブレーキ装置を提供することを目的とする。
この発明に係るブレーキ装置は、モータの駆動力により回転する被制動部材と、モータの制御により被制動部材が停止した場合、被制動部材に押し付けられ、被制動部材を静止保持する制動部材とを備え、制動部材は、被制動部材と対向する面に溝が設けられ、溝の容積が、被制動部材と制動部材との間に付着する付着物の体積以上であることを特徴とする。
本発明のブレーキ装置は、被制動部材に制動部材を押し付けることで、付着物を除去することにより、被制動部材を静止保持することができる。
実施の形態1に係るブレーキ装置の構成を示す図である。 実施の形態1に係るブレーキパッドの構成を示す図である。 パッドの表面に格子状のブロックを設けたブレーキパッドを示す図である。 パッドのエナジーローディングについて示す図である。 パッドの表面に円形のブロックを設けたブレーキパッドを示す図である。 実施の形態2に係るブレーキ装置の構成を示す図である。 実施の形態2に係るブレーキ装置の他の構成を示す図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係るブレーキ装置1は、エレベータの巻上機に設ける。巻上機は、巻上機用のモータに接続する。モータは、エレベータの制御盤により制御され、電力が供給されることにより、駆動する。制御盤は、モータに供給する電力の電圧と周波数を制御する。
図1は、実施の形態1に係るブレーキ装置1の構成を示す図である。ブレーキ装置1は、図示しないブレーキ装置1の本体と、ブレーキパッド10aと、ブレーキディスク20とを備える。ブレーキディスク20は、円盤形状をしている。ブレーキディスク20は、例えば、エレベータの巻上機に固定される。
エレベータの巻上機は、図示しないモータの出力軸に接続されている。このため、ブレーキディスク20は、巻上機を介して、モータに接続されている。なお、本発明の被制動部材は、実施の形態1においてブレーキディスク20のことである。
ブレーキパッド10aは、図1に示すように、ブレーキディスク20の円盤を両側面から挟むように設ける。実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキディスク20に対し、2つのブレーキパッド10aを両側から挟むように押し付ける。実施の形態1に係るブレーキ装置1は、いわゆるディスクブレーキ型の装置である。なお、本発明の制動部材は、実施の形態1において、ブレーキパッド10a、または後述のブレーキパッド10bのことである。
図2は、実施の形態1に係るブレーキパッド10aの構成を示す図である。図2に示すように、ブレーキパッド10aは、背面板11とパッド12aと取り付け部13とを備える。背面板11は、金属等により形成される。背面板11は、板状の部材である。パッド12aは、金属等の混合材料から形成する。パッド12aは、高い摩擦係数を持つように形成された摩擦材である。パッド12aは、図2に示すように、溝121aを形成する。溝121aについては、後述にて詳細に説明する。
背面板11とパッド12aは、例えば、接着剤を使用して接着により固定する。また、パッド12aは、背面板11に対し、ねじで締め付けることにより固定しても良い。
なお、以下において、パッド12aと対向するブレーキディスク20の平面を、ブレーキディスク20の表面という。ブレーキディスク20と対向するパッド12aの平面を、パッド12aの表面という。また、ブレーキパッド10aの表面とは、パッド12aの表面と同じである。
図1において、ブレーキディスク20とパッド12aとは、その表面同士が対向するように設ける。パッド12aの表面の形状については、後述する。
図2において、取付部13は、ブレーキパッド10aをブレーキ装置1の本体に取り付けるための部材である。
次に、実施の形態1に係るブレーキ装置1の動作について説明する。モータは、供給される電力により、駆動する。モータが駆動した場合、モータの出力軸は、モータの駆動力により回転する。これにより、モータの出力軸に接続された巻上機は、回転する。また、モータの駆動中において、ブレーキディスク20は、巻上機とともに回転する。
モータの駆動中において、パッド12aは、ブレーキディスク20と接触していない。なお、以下において、モータが駆動中で、パッド12aがブレーキディスク20と接触していない時のことを、非制動時という。
制御盤は、モータに供給する電力を制御して、モータの回転を加速または減速させる。つまり、モータは、制御盤により電気的に制御される。巻上機の回転を停止させる時、制御盤は、モータを電気的に制御する。これにより、制御盤は、モータの回転速度を0とする。
モータが停止することで、巻上機は、停止する。ブレーキディスク20は、巻上機の停止にともない、停止する。
ブレーキディスク20が停止した後、ブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20の方向へと移動させる。そして、ブレーキ装置1は、摩擦材であるパッド12aの表面を、ブレーキディスク20の表面へと押し付ける。
なお、以下において、ブレーキディスク20の表面のうち、ブレーキパッド10aのパッド12aと接触する部分のことを、被制動面という。また、パッド12aの表面のうち、ブレーキディスク20の被制動面と接触する部分のことを、接触面という。パッド12aの接触面は、パッド12aの表面のうち、ブレーキディスク20の制動に有効に働く部分である。
ブレーキ装置1は、ブレーキディスク20の被制動面に対し、パッド12aの接触面を押し付ける。ブレーキパッド10aを押し付ける力により、ブレーキ装置1は、ブレーキディスク20を静止保持する力を発生させる。この力により、ブレーキ装置1は、ブレーキディスク20を静止保持する。なお、以下において、ブレーキ装置1がブレーキディスク20を静止保持している時のことを、静止時という。
また、静止時において、ブレーキディスク20に対し、回転トルクがかかった場合を考える。この場合、ブレーキディスク20の被制動面には、パッド12aとの摩擦により、摩擦力が生じる。摩擦力が生じると、ブレーキディスク20の被制動面には、ブレーキトルクが発生する。ブレーキトルクは、ブレーキディスク20に働く回転トルクに対し、逆方向に働くトルクである。このブレーキトルクの働きにより、ブレーキ装置1は、ブレーキディスク20を静止保持できる。
なお、ブレーキ装置1は、モータの駆動中において、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20とを接触させないようにする必要がある。このため、図1に示すように、非制動時において、ブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間に隙間gが設けられる。
次に、ブレーキ装置1に付着する粘性物について説明する。非制動時において、パッド12aの接触面には、粘性物が付着する場合がある。あるいは、ブレーキディスク20の被制動面には、粘性物が付着する場合がある。このような場合、ブレーキディスク20を停止させた後、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20に押し付けることにより、付着した粘性物は、図1に示す粘性膜2を形成する。実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20に押し付けることにより、粘性膜2を形成する粘性物を、この両平面の間から排出する。このように、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間には、粘性膜2が介在する場合がある。
ここで、粘性物とは、水または水に何らかのものが溶けた物質、またはグリス等の油のことをいう。以下において、水に溶ける何らかのものを例示する。例えば、粉塵やほこりなどが湿気により塊になったもの、または土や砂と水とからできる泥のことである。これらのものが水に溶けることにより、粘性物は、形成される。また、グリス等の油は、単体で粘性物である。粘性物は、粘性がある液体状の物質である。なお、本発明の付着物とは、この粘性物のことである。
次に、実施の形態1に係るパッド12aの具体的な表面形状について説明する。図3は、パッド12aの表面の形状について示す図である。
図3に示すように、実施の形態1に係るパッド12aは、その表面に複数の溝121aを形成する。溝121aは、図3に示すとおり、それぞれパッド12aの端部123aに開口部Aを設ける。また、パッド12aの表面には、複数の溝121aに囲まれて複数のブロック122aが形成される。このブロック122aの形状は、実施の形態1において、例えば、図3に示すように格子状である。
実施の形態1に係るブレーキ装置1において、ブレーキパッド10aは、このような溝121a及びブロック122aを、ブレーキディスク20と対向する面に複数設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、パッド12aの表面に凹凸が形成される。実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、この溝121a内に、上記の粘性物を逃がす。
溝121aは、パッド12aの表面を切削することにより、設けることができる。また、溝121aは、パッド12aの成形用の型を使用して、形成しても良い。この場合、パッド12aの成形用の型には、溝121aに応じた突起を設ける。この型を使用することで、パッド12aは、表面に溝121aを形成することができる。
次に、パッド12aの表面に設ける溝121aについて、詳細に説明する。ブレーキパッド10aは、次の(1)から(5)を満たすように溝121aを設けたとき、最適な形状となる。
(1)溝121aの容積が、図1に示すとおり、ブレーキパッド10aの表面の面積Aと間隔gとから定まる粘性物の体積以上である。
(2)溝121aの端部123aには、図3に示すとおり、開口部Aを設ける。
(3)パッド12aのエナジーローディングELが、限界エナジーローディング値を超えないように、図3に示す溝121aの面積Aを定める。
(4)各ブロック122aの根元に働く曲げ応力が、パッド12aが耐えられる程度の応力となるように、図3に示す溝121aの深さdを決定する。
(5)図3に示すとおり、パッド12aの表面に付着した粘性物を排出するまでに要する時間が、ブレーキトルクの立ち上がり時間以下となるように、等価半径Rを定める。
以下、この(1)から(5)について、順に説明する。
(1)溝121aの容積
実施の形態1に係る溝121aの容積について説明する。上記のとおり、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間には、粘性膜2が介在する場合がある。実施の形態1に係るブレーキ装置1において、粘性膜2を形成する粘性物は、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20に押し付けることにより、この両平面の間から排出する。
ここで、粘性膜2を形成する粘性物がブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間から排出されるにつれて、粘性膜2は、その圧力、流動速度、及びせん断速度が高くなる。このため、粘性膜2は、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間に留まろうとする。一般に、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間に粘性膜2が留まるような現象のことを、スクイーズ膜効果という。スクイーズ膜効果は、粘性膜2に対し、高い圧力を発生させる。粘性膜2は、発生した高い圧力により、その場に留まろうとする。
スクイーズ膜効果によると、粘性膜2に発生する圧力は、粘性膜2の粘度、ブレーキパッド10aを押し付ける速度、及びパッド12aの接触面の面積に比例する。ここで、粘性膜2の粘度及びブレーキパッド10aを押し付ける速度は、一定である。
つまり、パッド12aの接触面の面積を小さくすることで、粘性膜2に発生する圧力は、低くできる。圧力が低くなると、粘性膜2は、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間から早く排出されるようになる。
そこで、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、図3に示すように、パッド12aの表面に複数の溝121aを設ける。この場合、ブレーキパッド10aは、パッド12aの表面のうち、ブレーキディスク20と接触する接触面の面積が小さくなる。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間から粘性膜2を早く排出することを図る。
なお、パッド12aの表面は、溝121aを複数設けることにより、複数のブロック122aの表面に分割される。この場合、パッド12aの接触面の面積は、ブロック122aの表面の面積の総和と等しくなる。
次に、パッド12aに設ける溝121aの容積について、具体的に説明する。実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、複数の溝121aの容積が、粘性物の体積以上となるように設ける。図1に示すように、パッド12aの表面の面積をA、非制動時におけるパッド12aの表面とブレーキディスク20の表面との間隔をgとする。この場合、非制動時において、パッド12aとブレーキディスク20の間に存在することが可能な粘性物の体積Vは、次の式1で表される。
Figure 2015068183
(式1)
図3に示すように、溝121aの総面積をA、溝121aの深さをdとする。このとき、パッド12aの表面には、次の式2の関係となるような溝121aを設ける。
Figure 2015068183
(式2)
例えば、パッド12aの表面の面積Aが10[cm]、間隔gが0.5[cm]の場合を考える。このとき、溝121aの面積Aを3[cm]、溝121aの深さdを1.7[cm]として、式2に当てはめると、下記の式3となる。この場合、溝121aの容積が粘性物の体積を上回ることがわかる。
Figure 2015068183
(式3)
次に、複数の溝121aを、その容積が粘性物の体積以上となるように設けることで、得られる効果について説明する。実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、パッド12aの表面に式2を満たすような溝121aを設ける。つまり、実施の形態1において、複数の溝121aの容積は、ブレーキパッド10aとブレーキディスク20との間に付着する粘性物の体積以上となるように設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、溝121aが粘性物で埋まってしまうことを防止できる。このため、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、溝121a内に納まりきらなかった粘性物が溝121aからあふれてしまうことを防止できる。
さらにまた、もし溝121a内に納まりきらなかった粘性物が溝121aからあふれた場合、パッド12aは、粘性膜2を介してブレーキディスク20と接触することになる。この場合、パッド12aとブレーキディスク20とが接触する部分の面積は、見かけ上、パッド12aの表面全体の面積と同等となってしまう。よって、パッド12aの接触面の面積を小さくするという効果を十分に得ることができなくなってしまう。
しかし、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝121aからあふれてしまうことを防止できる。これにより、パッド12aとブレーキディスク20とが接触する部分の面積が、見かけ上、パッド12aの表面全体の面積と同等となってしまうことを防止できる。このため、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、パッド12aの接触面の面積を小さくするという効果を得ることができ、粘性膜2に発生する圧力を低くすることができる。よって、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、パッド12aの押し付けにより、パッド12aとブレーキディスク20の被制動面の間に介在する粘性膜2を、効果的に排出できる。
上記のような理由により、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、パッド12aとブレーキディスク20とが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。このため、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、静止時において粘性膜2がせん断破壊を起こし、ブレーキパッド10aを押し付ける力がブレーキディスク20へと伝わらなくなることにより、ブレーキディスク20を静止保持する力が低下するような事態が発生しない。よって、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20に押し付けることで、ブレーキディスク20を静止保持することができる。
また、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、上記のとおり、粘性物が溝121aからあふれることを防ぐ。このため、あふれた粘性物をブレーキパッド10aの外部へと排出するまでの時間に、粘性膜2がせん断破壊などを起こしてしまうことを防止できる。
実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、複数の溝121aを、その容積が粘性膜2を形成する粘性物の体積以上となるように設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aの押し付けのみで粘性膜2を排除できる。このため、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキを静止保持に適用するようなブレーキ装置1において有効である。
(2)溝121aの端部123a
実施の形態1において、複数の溝121aは、図3に示すとおり、それぞれパッド12aの端部123aに開口部Aを設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、溝121a内に溜まった粘性物を、開口部Aから外部へと排出できる。よって、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝121aの内圧を、低減することができる。
また、実施の形態1において、粘性物は、パッド12aの表面を介さずに、溝121a内を通って開口部Aから外部へと排出される。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝121aからあふれ、パッド12aとブレーキディスク20とが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。このため、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、静止時において粘性膜2がせん断破壊を起こし、ブレーキパッド10aを押し付ける力がブレーキディスク20へと伝わらなくなることにより、ブレーキディスク20を静止保持する力が低下するような事態が発生しない。よって、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aをブレーキディスク20に押し付けることで、ブレーキディスク20を静止保持することができる。
(3)溝121aの面積
次に、実施の形態1に係る溝121aの面積Aについて説明する。パッド12aの接触面の面積A’は、パッド12aの表面の面積Aから、図3に示す溝121aの面積Aを除いた面積に等しい。つまり、パッド12aの接触面の面積A’は、パッド12aの表面に設けた溝121aの面積Aだけ、減少する。
また、パッド12aの接触面には、ブレーキディスク20との間に働く摩擦力により、負荷がかかる。パッド12aの接触面の面積A’が減少した場合、パッド12aの接触面にかかる負荷は、単位面積当たり増大する。パッド12aの接触面にかかる負荷のことを、平均制動仕事量という。しかし、パッド12aには、接触面にかかる負荷について、許容できる限界値がある。
パッド12aが許容できる負荷を評価する指標として、エナジーローディングの指標がある。エナジーローディングとは、摩擦材に対し、単位面積、単位時間当たりに負荷される平均制動仕事量のことである。パッド12aに加わる運動エネルギーをKE、パッド12aの接触面の面積をA’、ブレーキ装置1の作動時間をtとする。このとき、パッド12aのエナジーローディングELは、下記の式4で表される。
Figure 2015068183
(式4)
式4からもわかるように、パッド12aの接触面の面積A’が減少したとき、パッド12aのエナジーローディングELは、増加する。言い換えると、パッド12aのエナジーローディングELは、溝121aの面積Aの増加にともなって、増加する。パッド12aのエナジーローディングELについて、図4に示す。
また、パッド12aが許容しうるエナジーローディングELには、限界値がある。エナジーローディングELが増加した場合に、パッド12aによる制動が有効に働かなくなる限界値を、パッド12aの限界ローディング値という。
実施の形態1において、パッド12aの溝121aの面積Aは、パッド12aのエナジーローディングELが限界ローディング値を超えないように、決定する。具体的には、溝121aは、その面積Aが、図4に示す面積A’の範囲となるように、設ける。また、溝121aの面積Aが図4に示す面積A’の範囲となるように、パッド12aの接触面の面積A’を決定しても良い。これにより、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、パッド12aのエナジーローディングELが限界ローディング値を超えてしまい、パッド12aの制動能力が低下することを防止できる。
(4)溝121aの深さ
次に、実施の形態1に係る溝121aの深さdについて説明する。溝121aの深さdが深くなると、各ブロック122aの根元には、強い曲げ応力が働く。実施の形態1において、各ブロック122aは、この強い曲げ応力に耐えられるような形状とする。
各ブロック122aが耐えられる応力は、パッド12aに使用する材料に応じて決定される。パッド12aの材料のせん断強度は、物性によるが、一例として50000[N]である。
このため、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、各ブロック122aの根元に働く曲げ応力が、各ブロック122aが耐えられるような応力以下となるように、パッド12aの溝121aの深さdを決定する。これにより、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、ブロック122aが曲げ応力に耐えられず、破壊等されることを防ぐことができる。
(5)ブロック122aの等価半径
次に、実施の形態1に係る各溝121a間の距離について説明する。パッド12aの表面に設ける溝121aがどのような形状であっても、パッド12aの表面に付着した粘性物は、溝121aへと排出する必要がある。粘性物を排出するまでに要する時間は、スクイーズ膜効果によって決まる。粘性物を排出するまでの時間は、パッド12aがスクイーズ膜効果に逆らって移動する時間に等しい。
粘性物の粘度をη、パッド12aを押し付ける力をF、各ブロック122aの表面の等価半径をRとする。このとき、粘性物がある高さhからhまで移動するまでに要する時間t1,2は、次の式5で表される。
Figure 2015068183
(式5)
式5より、粘性物を排出するまでの時間t1,2を小さくすることは、Rを小さくすることで達成される。なお、等価半径Rは、溝121aに粘性物を排出した状態において、溝121aに囲まれたブロック122a一つ当たりの表面として扱うことができる。具体的には、図3に示すような円を想定する。この円の面積は、ブロック122a一つ当たりの表面の面積と等しいとする。等価半径Rは、このような円の半径に等しい。また、各溝121a間の距離は、等価半径Rに基づいて、決めることができる。
なお、ブレーキ装置1は、パッド12aの押し付けを開始した後、ブレーキディスク20を制動するために必要とされるブレーキトルクを発生させるまで、時間を要する。この時間のことを、以下において、ブレーキトルクの立ち上がり時間という。
よって、各ブロック122aの等価半径Rは、時間t1,2がブレーキトルクの立ち上がり時間以下となるように、決定する。言い換えると、各溝121a間の距離は、時間t1,2がブレーキトルクの立ち上がり時間以下となるように、極力小さく設ける。
例えば、粘性物の粘度ηを0.05[Pa・s]、パッド12aを押し付ける力Fを7500[N]、粘性物の移動前の高さhを0.2[mm]、移動後の高さhを0.03[mm]とする。なお、高さhは、0とすることができないため、面粗さ30[μm]を基準としている。
粘性物が移動するのに要する時間t1,2を、0.1[s]とする場合を考える。このとき、各ブロック122aの等価半径Rは、式5より、50[mm]となる。つまり、各ブロック122aは、等価半径Rが50[mm]となるように設ける。
このように、実施の形態1に係るブレーキパッド10aにおいて、パッド12aの表面には、溝121aを、各ブロック122aの等価半径Rが式5を満たすように設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキトルクの立ち上がり時に制動能力が不足することを防止できる。
なお、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、各溝121a間の距離を、極力小さく設けた。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、粘性物を溝121a内に排出する時間を短くできる。つまり、ブレーキで制動をかける際、パッド12aとブレーキディスク20とが接触するまでの時間を短くできる。このため、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、ブレーキを静止保持に適用しないようなブレーキ装置1においても、ブレーキトルクの立ち上がりが早くなる効果がある。
なお、実施の形態1に係るブレーキパッド10aにおいて、パッド12aの表面に設けるブロック122aの形状は、格子状とした。しかし、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、これに限られるものではない。
例えば、ブレーキ装置1は、ブレーキパッド10aの代わりに、ブレーキパッド10bを備えても良い。図5は、パッド12bの表面の形状について示す図である。ブレーキパッド10bは、図5に示すパッド12bと背面板11と取付部13とを備える。ブレーキパッド10bの背面板11及び取付部13は、ブレーキパッド10aの備える背面板11及び取付部13と同様の構成である。
図5において、パッド12bは、その表面に複数の溝121bを形成する。溝121bは、図5に示すとおり、それぞれパッド12bの端部123bに開口部Bを設ける。また、パッド12bの表面には、複数の溝121bに囲まれて複数のブロック122bが形成される。このブロック122bの形状は、図5に示すように円形である。実施の形態1に係るブレーキ装置1は、このようなブレーキパッド10bを備える場合においても、ブレーキパッド10aのようにブロック122aの形状を格子状とした場合と同様の効果を得ることができる。
また、各ブロック122bの形状を円形としたとき、各溝121b間の距離は、図5に示すように、等価半径Rを2倍した値に等しい。よって、例えば、式5より等価半径Rが50[mm]となった場合、溝121bは、各溝121b間の距離が100[mm]となるように設ける。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、ブレーキトルクの立ち上がり時に制動能力が不足することを防止できる。
なお、実施の形態1に係るブレーキパッド10aにおいて、複数設ける溝121aは、それぞれパッド12aの端部123aに開口部Aを設けた。また、実施の形態1に係るブレーキパッド10bにおいて、複数設ける溝121bは、それぞれパッド12bの端部123bに開口部Bを設けた。しかし、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、これらに限られるものではない。
例えば、複数設ける溝121aのうち、少なくとも1つの溝121aについて、パッド12aの端部123aに開口部Aを設けるようにしても良い。このような溝121aを設けたとしても、溝121a内に溜まった粘性物を、開口部Aから外部へと排出できる。よって、実施の形態1に係るブレーキパッド10aは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝121aの内圧を、低減することができる。また、この場合においても、粘性物は、パッド12aの表面を介さずに、溝121a内を通って開口部Aから外部へと排出される。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝121aからあふれ、パッド12aとブレーキディスク20とが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。
また、例えば、複数設ける溝121bのうち、少なくとも1つの溝121bについて、パッド12bの端部123bに開口部Bを設けるようにしても良い。このような溝121bを設けたとしても、溝121b内に溜まった粘性物を、開口部Bから外部へと排出できる。よって、実施の形態1に係るブレーキパッド10bは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝121bの内圧を、低減することができる。また、この場合においても、粘性物は、パッド12bの表面を介さずに、溝121b内を通って開口部Bから外部へと排出される。これにより、実施の形態1に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝121bからあふれ、パッド12bとブレーキディスク20とが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係るブレーキ装置1の構成を説明する。実施の形態1と同一または同等の手段、構成に関しては、同一の名称と符号とを用いて説明を省略する。なお、実施の形態2において、ブレーキ装置1は、実施の形態1と同様に、エレベータの巻上機に用いた場合について説明する。巻上機は、巻上機用のモータに接続する。
図6は、実施の形態2に係るブレーキ装置1の構成を示す図である。ブレーキ装置1は、図示しないブレーキ装置1の本体と、ブレーキパッド30aと、ブレーキドラム40aとを備える。ブレーキドラム40aは、円筒のドラム形状をしている。ブレーキドラム40aは、例えば、エレベータの巻上機に固定される。エレベータの巻上機は、図示しないモータの出力軸に接続されている。このため、ブレーキドラム40aは、巻上機を介してモータに接続されている。なお、本発明の被制動部材は、実施の形態2において、ブレーキドラム40a、または後述のブレーキドラム40bのことである。
ブレーキパッド30aは、図6に示すように、ブレーキドラム40aの外側に、ブレーキドラム40aの外周を覆うように設ける。実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキドラム40aに対し、2つのブレーキパッド30aを外側からそれぞれ押し付ける。実施の形態2に係るブレーキ装置1は、いわゆるドラムブレーキ型の装置である。なお、本発明の制動部材は、実施の形態2において、ブレーキパッド30a、または後述のブレーキパッド30bのことである。
また、ブレーキパッド30aは、シュー31aとライニング32aとを備える。シュー31aは、金属等により形成される。シュー31aは、円弧状の形状をした部材である。ライニング32aは、金属等の混合材料から形成される。ライニング32aは、高い摩擦係数を持つように形成された摩擦材である。ライニング32aは、図6に示すように、溝321aを形成する。
ライニング32aは、シュー31aに対し、例えば、接着剤を使用して接着により固定する。また、ライニング32aは、シュー31aに対し、ねじで締め付けることにより固定しても良い。
なお、以下において、ライニング32aと対向するブレーキドラム40aの曲面を、ブレーキドラム40aの表面という。ブレーキドラム40aと対向するライニング32aの曲面を、ライニング32aの表面という。また、ブレーキパッド30aの表面とは、ライニング32aの表面と同じである。
図6において、ブレーキドラム40aとライニング32aとは、その表面同士が対向するように設ける。
さらに、以下において、ブレーキドラム40aの表面のうち、ブレーキパッド30aのライニング32aと接触する部分のことを、被制動面という。また、ライニング32aの表面のうち、ブレーキドラム40aの被制動面と接触する部分のことを、接触面という。ライニング32aの接触面は、ライニング32aの表面のうち、ブレーキドラム40aの制動に有効に働く部分である。
また、非制動時において、ライニング32aの接触面には、粘性物が付着する場合がある。あるいは、ブレーキドラム40aの被制動面には、粘性物が付着する場合がある。これにより、非制動時において、ブレーキドラム40aとブレーキパッド30aとの間には、図6に示すように、粘性膜2が介在する場合がある。粘性膜2は、実施の形態1の場合と同様の粘性物により形成される。
次に、実施の形態2に係るブレーキ装置1の動作について説明する。モータは、供給される電力により、駆動する。モータが駆動した場合、モータの出力軸は、モータの駆動力により回転する。これにより、モータの出力軸に接続された巻上機は、回転する。また、モータの駆動中において、ブレーキドラム40aは、巻上機とともに回転する。モータの駆動中において、ライニング32aは、ブレーキドラム40aと接触していない。
巻上機の回転を停止させる時、制御盤は、モータを電気的に制御する。これにより、モータは、回転速度が0になり、停止する。モータが停止することで、巻上機は、停止する。ブレーキドラム40aは、巻上機の停止にともない、停止する。
ブレーキドラム40aが停止した後、ブレーキ装置1は、ブレーキパッド30aをブレーキドラム40aの方向へと移動させる。ブレーキ装置1は、摩擦材であるライニング32aの接触面を、ブレーキドラム40aの被制動面へと押し付ける。ブレーキパッド30aを押し付ける力により、ブレーキ装置1は、ブレーキドラム40aを静止保持する力を発生させる。この力により、ブレーキ装置1は、ブレーキドラム40aを静止保持する。
また、静止時において、ブレーキドラム40aに対し、回転トルクがかかった場合を考える。この場合、ブレーキドラム40aの被制動面には、ライニング32aとの摩擦により、摩擦力が生じる。摩擦力が生じると、ブレーキドラム40aの被制動面には、ブレーキトルクが発生する。ブレーキトルクは、ブレーキドラム40aに働く回転トルクに対し、逆方向に働くトルクである。このブレーキトルクの働きにより、ブレーキ装置1は、ブレーキドラム40aを静止保持できる。
なお、ブレーキ装置1は、モータの駆動中において、ブレーキパッド30aとブレーキドラム40aとを接触させないようにする必要がある。このため、図6に示すように、非制動時において、ブレーキ装置1は、ブレーキパッド30aとブレーキドラム40aとの間に隙間gが設けられる。
次に、実施の形態2に係るライニング32aの具体的な表面形状について説明する。実施の形態2に係るライニング32aは、実施の形態1に係るパッド12aまたはパッド12bと同様に、表面に複数の溝321aを形成する。溝321aは、それぞれライニング32aの端部323aに開口部を設ける。
また、ライニング32aの表面には、複数の溝321aに囲まれて複数のブロック322aが形成される。ライニング32aの表面は、溝321aを複数設けることにより、複数のブロック322aの表面に分割される。この場合、ライニング32aの接触面の面積は、ブロック322aの表面の面積の総和と等しくなる。
実施の形態1に係るパッド12aまたはパッド12bと同様に、実施の形態2に係るライニング32aは、表面に設けるブロック322aを、例えば、格子状、円形などの形状に形成する。ブレーキパッド30aは、このようなブロック322a及び溝321aを、ブレーキドラム40aと対向する面に複数設ける。これにより、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、ライニング32aの表面に凹凸が形成される。実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、この溝321a内に、上記の粘性物を逃がす。
溝321aは、ライニング32aの表面を切削することにより、設けることができる。また、溝321aは、ライニング32aの成形用の型を使用して、形成しても良い。この場合、ライニング32aの成形用の型には、溝321aに応じた突起を設ける。この型を使用することで、ライニング32aは、表面に溝321aを形成することができる。
また、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、ライニング32aの表面に、実施の形態1に係る式2を満たすような溝321aを設ける。つまり、実施の形態2において、複数の溝321aの容積は、ブレーキパッド30aとブレーキドラム40aとの間に付着する粘性物の体積以上となるように設ける。これにより、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、溝321aが粘性物で埋まってしまうことを防止できる。また、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、溝321a内に納まりきらなかった粘性物が溝321aからあふれてしまうことを防止できる。
このため、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ライニング32aの接触面の面積を小さくするという効果を得ることができ、粘性膜2に発生する圧力を低くすることができる。よって、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ライニング32aの押し付けにより、ライニング32aとブレーキドラム40aの被制動面の間に介在する粘性膜2を、効果的に排出できる。
上記のような理由により、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ライニング32aとブレーキドラム40aとが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。このため、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、静止時において粘性膜2がせん断破壊を起こし、ブレーキパッド30aを押し付ける力がブレーキドラム40aへと伝わらなくなることにより、ブレーキドラム40aを静止保持する力が低下するような事態が発生しない。よって、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド30aをブレーキドラム40aに押し付けることで、ブレーキドラム40aを静止保持することができる。
また、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、上記のとおり、粘性物が溝321aからあふれることを防ぐ。このため、あふれた粘性物をブレーキパッド30aの外部へと排出するまでの時間に、粘性膜2がせん断破壊などを起こしてしまうことを防止できる。
実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、複数の溝321aを、その容積が粘性膜2を形成する粘性物の体積以上となるように設ける。これにより、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド30aの押し付けのみで粘性膜2を排除できる。このため、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキを静止保持に適用するようなブレーキ装置1において有効である。
また、実施の形態2に係るブレーキパッド30aにおいて、複数設ける溝321aは、実施の形態1のときと同様に、それぞれライニング32aの端部323aに開口部を設ける。
これにより、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、溝321a内に溜まった粘性物を、開口部から外部へと排出できる。よって、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝321aの内圧を、低減することができる。
また、実施の形態2において、粘性物は、ライニング32aの表面を介さずに、溝321a内を通って開口部から外部へと排出される。これにより、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝321aからあふれ、ライニング32aとブレーキドラム40aとが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。このため、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、静止時において粘性膜2がせん断破壊を起こし、ブレーキパッド30aを押し付ける力がブレーキドラム40aへと伝わらなくなることにより、ブレーキドラム40aを静止保持する力が低下するような事態が発生しない。よって、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキパッド30aをブレーキドラム40aに押し付けることで、ブレーキドラム40aを静止保持することができる。
実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、実施の形態1のときと同様に、ライニング32aのエナジーローディングが限界ローディング値を超えないように、ライニング32aの接触面の面積を決定する。ライニング32aの接触面の面積は、ライニング32aの溝321aの面積から決まる。このため、ライニング32aの溝321aの面積は、ライニング32aのエナジーローディングが限界ローディング値を超えないように決定する。
これにより、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、ライニング32aのエナジーローディングが限界ローディング値を超えてしまい、ライニング32aの制動能力が低下することを防止できる。
また、各ブロック322aが耐えられる応力は、ライニング32aに使用する材料の強度に応じて決定される。このため、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、実施の形態1のときと同様に、各ブロック322aの根元に働く曲げ応力が、各ブロック322aが耐えられる程度の応力となるように、ライニング32aの溝321aの深さを決定する。これにより、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、ブロック322aが曲げ応力に耐えられず、破壊等されることを防ぐことができる。
実施の形態2に係るブレーキパッド30aにおいて、各ブロック322aの等価半径は、実施の形態1のときと同様に、粘性膜2を溝321a内に排出するまでに要する時間が、ブレーキトルクの立ち上がり時間以下となるように、決定する。また、各溝321a間の距離は、等価半径Rに基づいて、決めることができる。このため、粘性膜2を溝321a内に排出するまでに要する時間が、ブレーキトルクの立ち上がり時間以下となるように、各溝321a間の距離は、極力小さく設ける。
これにより、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、ブレーキトルクの立ち上がり時に制動能力が不足することを防止できる。また、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、ブレーキを静止保持に適用しないようなブレーキ装置1においても、ブレーキトルクの立ち上がりが早くなる効果がある。
なお、実施の形態2に係るブレーキ装置1において、ブレーキパッド30aは、ブレーキドラム40aの外側に、ブレーキドラム40aの外周を覆うように設けた。しかし、ブレーキ装置1の構成は、これに限られるものではない。
図7は、実施の形態2に係るドラムブレーキによるブレーキ装置1の他の構成を示す図である。図7に示すブレーキ装置1は、図6に示すブレーキ装置1が持つブレーキパッド30a及びブレーキドラム40aの代わりに、ブレーキパッド30b及びブレーキドラム40bを備えている。
図7において、ブレーキパッド30bは、ブレーキドラム40bの内側に、ブレーキドラム40bの内周に沿うようにして設ける。また、ブレーキパッド30bは、シュー31bとライニング32bとを備える。シュー31bは、金属等により形成される。シュー31bは、円弧状の部材である。ライニング32bは、金属等の混合材料から形成される。ライニング32bは、高い摩擦係数を持つように形成された摩擦材である。図7に示すブレーキ装置1は、ブレーキドラム40bに対し、2つのブレーキパッド30bを内側からそれぞれ押し付ける。
また、ライニング32bの表面には、ライニング32aと同様に、溝321b及びブロック322bを設ける。この溝321b及びブロック322bは、ライニング32aの場合と同様の条件で設ける。
このようにブレーキ装置1を構成したとしても、実施の形態2に係る効果を得ることができる。
なお、実施の形態2に係るブレーキパッド30aにおいて、複数設ける溝321aは、それぞれライニング32aの端部323aに開口部を設けた。また、ブレーキパッド30bにおいて、複数設ける溝321bは、それぞれライニング32bの端部323bに開口部を設けた。しかし、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、これらに限られるものではない。
例えば、複数設ける溝321aのうち、少なくとも1つの溝321aについて、ライニング32aの端部323aに開口部を設けるようにしても良い。このような溝321aを設けたとしても、溝321a内に溜まった粘性物を、開口部から外部へと排出できる。よって、実施の形態2に係るブレーキパッド30aは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝321aの内圧を、低減することができる。また、この場合においても、粘性物は、ライニング32aの表面を介さずに、溝321a内を通って開口部から外部へと排出される。これにより、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝321aからあふれ、ライニング32aとブレーキドラム40aとが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。
また、例えば、複数設ける溝321bのうち、少なくとも1つの溝321bについて、ライニング32bの端部323bに開口部を設けるようにしても良い。このような溝321bを設けたとしても、溝321b内に溜まった粘性物を、開口部から外部へと排出できる。よって、実施の形態2に係るブレーキパッド30bは、粘性膜2を形成する粘性物が流入することにより上昇した溝321bの内圧を、低減することができる。また、この場合においても、粘性物は、ライニング32bの表面を介さずに、溝321b内を通って開口部から外部へと排出される。これにより、実施の形態2に係るブレーキ装置1は、粘性物が溝321bからあふれ、ライニング32bとブレーキドラム40bとが粘性膜2により隔てられた状態で停止してしまうことを防止できる。
さらに、実施の形態1または実施の形態2に係るブレーキ装置1において、粘性膜2を形成する粘性物は、水または水に何らかのものが溶けた物質、またはグリス等の油とした。しかし、粘性物は、これらに限られるものではない。
粘性物は、上記の物質以外でも、粘性がある液体状の物質であれば良い。また、気体は、液体に比べて粘度が低いため、通常の環境下において問題となることはない。しかし、粘性により液体の粘性物と同様の事象を引き起こす場合、気体は、粘性物に該当する。このような粘性物に対しても、実施の形態1または実施の形態2に係るブレーキ装置1は、実施の形態1または実施の形態2に係る効果を得ることができる。
1 ブレーキ装置、10a ブレーキパッド、10b ブレーキパッド、11 背面板、12a パッド、12b パッド、121a 溝、121b 溝、122a ブロック、122b ブロック、123a 端部、123b 端部、13 取付部、20 ブレーキディスク、30a ブレーキパッド、30b ブレーキパッド、31a シュー、31b シュー、32a ライニング、32b ライニング、321a 溝、321b 溝、322a ブロック、322b ブロック、323a 端部、323b 端部、40a ブレーキドラム、40b ブレーキドラム、2 粘性膜

Claims (5)

  1. モータの駆動力により回転する被制動部材と、
    前記モータの制御により前記被制動部材が停止した場合、前記被制動部材に押し付けられ、前記被制動部材を静止保持する制動部材とを備え、
    前記制動部材は、
    前記被制動部材と対向する面に溝が設けられ、
    前記溝の容積が、前記被制動部材と前記制動部材との間に付着する付着物の体積以上である
    ことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記制動部材は、
    前記溝の容積が、前記被制動部材と対向する面の面積と、前記モータの駆動中における前記被制動部材と前記制動部材との間隔と、の積以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記制動部材は、
    前記溝が前記制動部材の端部に開口部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
  4. 前記制動部材は、
    前記被制動部材と接触する面積が、次式から求まる前記制動部材のエナジーローディングが予め定められた値を超えない面積である
    ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
    Figure 2015068183
    ここで、ELは前記制動部材のエナジーローディング、KEは前記制動部材に働く運動エネルギー、A’は前記被制動部材と接する面積、tはブレーキ装置の作動時間である。
  5. 前記制動部材は、
    複数の前記溝が形成され、
    次式に基づいて決定される等価半径Rを有するブロックが、前記被制動部材と対向する面に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
    Figure 2015068183
    ここで、ηは前記付着物の粘度、Fは前記制動部材を押し付ける力であり、
    前記ブロックの等価半径Rは、前記付着物が高さhから高さhへと移動するまでに要する時間t1,2が、ブレーキ装置の構成に応じて予め定められた時間以下となる等価半径である。
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