JPWO2015034056A1 - アフィニティー分離マトリックス用分離能強化リガンド - Google Patents

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Abstract

本発明は、アフィニティー精製の主要目的である抗体自体の高純度化と共に、抗体単量体の選択性を向上させ、抗体多量体の除去に関し後段の精製工程への負荷を低減できるアフィニティーリガンドを創出する。本発明は、新規アフィニティーリガンドとして、タンパク質のアミノ酸配列中の酸性アミノ酸数が増加するように変異を導入した改変タンパク質、該タンパク質の設計方法、該タンパク質の製造方法、および、該タンパク質をリガンドとして固定化したアフィニティー分離マトリックスを提供する。

Description

本発明は、抗体に特異的に結合するタンパク質、該タンパク質をリガンドとして固定化したアフィニティー分離マトリックス、および、該マトリックスを用いた抗体誘導体の分離精製に関する方法に関する。
タンパク質の重要な機能の一つとして、特定の分子に特異的に結合する機能が挙げられる。この機能は、生体内における免疫反応やシグナル伝達に重要な役割を果たす。一方、この機能を有用物質の分離精製に利用する技術開発も盛んになされている。実際に産業的に利用されている一例として、抗体医薬を動物細胞培養物から一度に高い純度で精製(キャプチャリング)するために利用される、プロテインAアフィニティー分離マトリックスが挙げられる。
抗体医薬として開発されているのは、基本的にモノクローナル抗体であり、組換え培養細胞技術等を用いて大量に生産されている。「モノクローナル抗体」とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体を指す。現在上市されている抗体医薬のほとんどは、分子構造的には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスである。プロテインAは、グラム陽性細菌スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)によって生産される細胞壁タンパク質の1種であり、シグナル配列S、5つの免疫グロブリン結合性ドメイン(Eドメイン、Dドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン)、および、細胞壁結合ドメインであるXM領域から構成されている(非特許文献1)。抗体医薬製造工程における初期精製工程(キャプチャー工程)には、プロテインAがリガンドとして水不溶性担体に固定化された、アフィニティークロマトグラフィー用カラムが一般的に利用されている(非特許文献1〜2)。
プロテインAアフィニティー分離マトリックスの性能を改良するために、様々な技術開発がなされてきた。リガンドの側面からの技術開発も進んでいる。最初は天然型のプロテインAがリガンドとして利用されてきたが、タンパク質工学的に改変を加えた組み換えプロテインAをリガンドとして、カラムの性能を改良する技術も多く存在する。特に、プロテインAの改変により、酸性溶液を用いてプロテインAアフィニティー分離マトリックスに吸着させた抗体を溶出する工程で、溶出pHを中性側にシフトさせる技術が開発されてきた(特許文献1〜5)。抗体は酸性条件では損傷を受け、多量体(凝集体)が生成されることがあるが、溶出pHを中性側にシフトさせれば、このような多量体の生成を抑制することができる。
抗体多量体は副作用や薬効低減を誘発するので、抗体医薬の製造において抗体多量体を除去することは重要である。抗体多量体は、先述のプロテインAアフィニティー精製の工程だけでなく、細胞培養から製剤までの様々な工程で生じる。プロテインAアフィニティー分離マトリックスは、抗体に対して高い結合特異性を示す一方で、単量体と多量体の分離能は高くはなく、抗体多量体はより後段の精製プロセスで除去するのが一般的である(非特許文献3)。先述のプロテインA改変技術(特許文献1〜5)も、抗体の単量体と多量体の分離能の改変は意図されていない。
米国特許出願公開第2006/0194950号明細書 国際公開第2010/110288号 国際公開第2011/118699号 特開2010−081866号公報 特表2012−515160号公報
Hober S.他著、「J.Chromatogr.B」2007年、848巻、40−47頁 Low D.他著、「J.Chromatogr.B」、2007年、848巻、48−63頁 Vazquez−Rey M.他著、「Biotechnol.Bioeng.」2011年、108巻、1494−1508頁
抗体医薬品の生産において、培養、精製、および、製剤化過程を通して、形成または残留する、抗体多量体(凝集体)の低減が重要課題となっている。抗体多量体の形成抑制や除去のため、培養、精製、製剤化段階で、複雑な管理が行われ、添加剤が使用される。しかし、それより上流の工程で生成する抗体多量体が、収率や生産性に影響を及ぼすことから、上流工程において、簡便で効率的に抗体多量体を除去する技術が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、アフィニティー精製の主要目的である抗体自体の高純度化と共に、抗体単量体に対する選択性を向上させ、抗体多量体を除去してその後の精製工程への負荷を低減できる新規アフィニティー精製用リガンドを創出することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、プロテインAのIgG結合性ドメインをモデルタンパク質として、該タンパク質のアミノ酸配列中の酸性アミノ酸数を増加させた変異体を設計することにより、本発明を完成させるに至った。具体的には、プロテインAのアミノ酸配列中において、アフィニティー精製の対象となる物質(この場合はIgG)に対する特異的な相互作用には影響を与えず、かつ、酸性アミノ酸を導入した場合に側鎖のカルボキシル基(陽イオン性交換基)がアフィニティー精製の対象となる物質への相互作用に影響を与えやすい部位を特定した。そして、それらのアミノ酸(単残基または多残基)を酸性アミノ酸に置換変異した変異体を設計した。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)のいずれかの免疫グロブリンG結合性ペプチド:
(1)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列において、第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸が、酸性アミノ酸に置換されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
(2)上記(1)のアミノ酸配列において、さらに第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸以外の、1または数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
(3)上記(1)のアミノ酸配列に対して80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド(但し、上記(1)において置換により導入された酸性アミノ酸は維持されるものとする)
に関する。
前記酸性アミノ酸が、側鎖にカルボキシル基を有する酸性アミノ酸であることが好ましい。
前記側鎖にカルボキシル基を有する酸性アミノ酸が、アスパラギン酸またはグルタミン酸であることが好ましい。
前記酸性アミノ酸に置換されるアミノ酸が、第7位、第18位、第40位、第46位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることが好ましい。
前記置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸が、第1位、第2位、第3位、第4位、第6位、第23位、第29位、第33位、第35位、第36位、第37位、第42位、第49位、第50位、第57位、および、第58位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることが好ましい。
前記置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸が、第29位、第33位、第36位、および、第37位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることが好ましい。
2以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されていることが好ましい。
3以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されていることが好ましい。
4以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されていることが好ましい。
また、本発明は、前記免疫グロブリンG結合性ペプチドを2個以上連結した複数ドメインを有する、免疫グロブリンG結合性ペプチドに関する。
また、本発明は、前記免疫グロブリンG結合性ペプチドをコードする塩基配列を含むDNAに関する。
また、本発明は、前記DNAを含むベクターに関する。
また、本発明は、前記ベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換体に関する。
また、本発明は、前記免疫グロブリンG結合性ペプチドを水不溶性担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックスに関する。
また、本発明は、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を前記アフィニティー分離マトリックスと接触させる工程、および、アフィニティー分離マトリックスに結合した免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を、アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含む、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、アフィニティー精製用リガンドのアミノ酸配列中の酸性アミノ酸数を増加させることにより、陽イオン交換能を向上させる工程を含む、改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法に関する。
酸性アミノ酸数の増加が、酸性アミノ酸への置換変異、および/または酸性アミノ酸の付加によるものであることが好ましい。
前記アフィニティー精製の対象が、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体であることが好ましい。
前記アフィニティー精製用リガンドが、プロテインA、プロテインG、または、プロテインLの免疫グロブリンG結合性ドメインであることが好ましい。
前記酸性アミノ酸数の増加が、2以上の増加であることが好ましい。
前記酸性アミノ酸数の増加が、3以上の増加であることが好ましい。
前記酸性アミノ酸数の増加が、4以上の増加であることが好ましい。
本発明のペプチドをリガンドとして担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックスは、酸性条件下において、精製対象の物質と該リガンドとの特異的な結合が弱くなる(無くなる)が、同時に(または連続的に)陽イオン性交換基であるカルボキシル基との相互作用が(協奏的に)働くことが期待できる。
本発明のペプチドが、プロテインA変異体である場合について詳述する。抗体をアフィニティー分離マトリックスに添加する中性pHの生理的条件下においては、プロテインAが本来有する、抗体(のFc領域)への強い特異的結合により、抗体がマトリックスに保持される。抗体との特異的相互作用面から離れた位置のカルボキシル基は、抗体との静電的な非特異相互作用をするポテンシャルを有するが、中性pHの生理的条件下では、抗体とリガンドとの特異的作用にはほとんど影響しない。しかし、抗体を溶出する酸性条件下では、この特異的結合が減弱され、抗体がリガンドから解離するため、リガンド中のカルボキシル基による、抗体との静電的な非特異相互作用の影響が相対的に強くなる。このカルボキシル基は、別の視点から見ると、アフィニティー分離マトリックスにタンパク質を介して固定化された陽イオン性交換基と捉えることができる。
したがって、本発明のペプチドをリガンドとして担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックスは、酸性溶液による抗体溶出時に、イオン強度依存的な溶出挙動がより顕著になることが期待される。本発明のアフィニティー分離マトリックスにより、陽イオン交換クロマトグラフィーで見られる抗体の単量体と多量体の分離(非特許文献3)を実現でき、アフィニティー精製工程において、単量体と多量体を高度に分離することが可能となる。
また、本発明のアフィニティー分離マトリックスは、従来の、カルボキシル基とタンパク質リガンドを個別にマトリックスに固定化する方法、および、カルボキシル基が固定化されたマトリックス(陽イオン交換樹脂)とアフィニティー分離マトリックスを個別に混合する方法に対して、以下に述べる点で優れている。
すなわち、本発明の免疫グロブリンG結合性ペプチドは、従来の方法と異なり、マトリックスの単位体積中におけるタンパク質リガンドの含有量が損なわれないため、目的物質の高い結合容量を維持することが可能である。さらに、アフィニティー分離用マトリックスの製造プロセスにおいて、従来の方法では2種のリガンドまたはマトリックスの比率を制御する必要があるのに対し、本発明の免疫グロブリンG結合性ペプチドを使用すると、単一のリガンドを単一のマトリックスに固定化すればよく、製造プロセスの管理が容易である。
実施例2に係る、発現ベクターの調製方法に関する図である。 実施例4に係る、各種変異体の陰イオン交換クロマトグラフィー・プロファイルを重ね合わせた図である。
本発明は、下記(1)〜(3)のいずれかの免疫グロブリンG結合性ペプチドである:
(1)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列において、第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸が、酸性アミノ酸に置換されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
(2)上記(1)のアミノ酸配列において、さらに第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸以外の、1または数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
(3)上記(1)のアミノ酸配列に対して80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド(但し、上記(1)において置換により導入された酸性アミノ酸は維持されるものとする)。
ここで、アミノ酸を置換する変異の表記について、置換位置の番号の前に、野生型、または、非変異型のアミノ酸を付し、置換位置の番号の後に、変異したアミノ酸を付して表記する。例えば、29位のGlyをAlaに置換する変異は、G29Aと記載する。
本明細書において、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド構造を有するあらゆる分子を含むものであって、断片化された、または、ペプチド結合によって連結されたポリペプチド鎖も含む。したがって、本明細書において、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および、「タンパク質」は同じ意味で使用される。また、「ドメイン」とは、タンパク質の高次構造上の単位であり、数十から数百のアミノ酸残基配列から構成され、なんらかの物理化学的または生物化学的な機能を発現するに十分なタンパク質の単位をいう。また、野生型のタンパク質配列に対し、1つ以上のアミノ酸が置換、付加、挿入、または、欠失が導入されたタンパク質を「変異体」と呼ぶ。
本発明は、ある物質に親和性を有するタンパク質をアフィニティーリガンドとして利用することを、実施形態の1つとして包含する。同様に、該リガンドを水不溶性担体に固定化してえられるアフィニティー分離マトリックスも、実施形態の1つとして包含する。ここで、「アフィニティーリガンド」とは、特異的な分子間の親和力に基づいて、ある分子の集合から目的の分子を選択的に捕集(結合)する物質(官能基)を指す用語である。特異的な分子間の親和力による結合として、例えば、抗原と抗体の結合が挙げられる。アフィニティーリガンドとして、例えば、免疫グロブリンに対して特異的に結合するタンパク質が挙げられる。
本発明におけるアフィニティーリガンドが標的とする分子は、アフィニティーリガンド中の標的分子結合ドメインが結合可能な、全ての分子であり、例えば、免疫グロブリンG(IgG)および免疫グロブリンG誘導体が挙げられる。ここで、「免疫グロブリンG誘導体」とは、免疫グロブリンGに由来する改変型人工タンパク質の総称であり、例えば、ヒト免疫グロブリンGの一部のドメインを他生物種の免疫グロブリンGのドメインに置換して融合させたキメラ型免疫グロブリンG、ヒト免疫グロブリンGのCDR(Complementarity Determinig Regions)部分を他生物種抗体のCDR部分に置き換えて融合させたヒト型化免疫グロブリンG、Fc領域の糖鎖に分子改変を加えた免疫グロブリンG、ヒト免疫グロブリンGのFv領域とFc領域とを融合させた人工免疫グロブリンGなどが挙げられる。
免疫グロブリンGおよび免疫グロブリンG誘導体に結合できるドメインは、様々な免疫グロブリン結合性タンパク質に含まれる。このような免疫グロブリン結合性タンパク質として、例えば、Staphylcoccus aureus由来のプロテインA、Streptococcus sp.Group C/G由来のプロテインG、Peptostreptococcus magnus由来のプロテインL、groupA Streptococcus由来のプロテインH、Haemophilus influenzae由来のプロテインD、Streptococcus AP4由来のプロテインArp、ヒト由来FcγR等が挙げられるが、これらに限定されない。抗体医薬の初期精製(キャプチャー)工程で広く利用される、プロテインAが好ましい。
プロテインAの免疫グロブリンG(IgG)結合性ドメインは、プロテインAの、E、D、A、B、および、Cドメインのいずれかのドメイン、およびそれらに由来したアミノ酸配列である。各々のドメインは、互いに配列同一性が高く、アラインメントすることができる。例えば、アミノ酸配列多重アラインメント用プログラムであるClustal(http://www.clustal.org/omega/)で確かめることが可能である。残基番号については、Cドメインの31位に対応する残基は、A、Bドメインでは、同じ31位であり、Eドメインでは29位、Dドメインでは34位に相当する。
プロテインAのA〜Eドメインは各々の配列がわずかに異なるが、同様の機能を示す。変異導入前のアミノ酸配列も、免疫グロブリンG結合性ドメインの野生型アミノ酸配列ではなくても、野生型はアミノ酸配列との配列同一性が高ければ同様の機能を示す。変異前のアミノ酸配列が、部分的なアミノ酸の置換、挿入、欠失、および、化学修飾により改変されたアミノ酸配列であっても、その配列を有するタンパク質がIgG結合性を有している限り、本発明に含まれる。変異導入前のアミノ酸配列の、免疫グロブリンG結合性ドメインの野生型アミノ酸配列との配列同一性は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることがさらにより好ましい。変異導入前のアミノ酸配列として、例えば、BドメインにA1VおよびG29Aの変異を導入して得られる、Zドメイン(特許文献1)が挙げられる。
変異を導入する前の、プロテインAの免疫グロブリンG結合性ドメインのアミノ酸配列は、Cドメインを構成する配列番号1、その改変体である配列番号3、Zドメインを構成する配列番号2のアミノ酸配列が好ましく、Cドメインを構成する配列番号1、その改変体である配列番号3のアミノ酸配列がより好ましい。また、変異を導入する前のアミノ酸配列として、その他の公知の免疫グロブリンG結合性ドメインの変異体を使用することもできる。具体的には、特許文献1〜2に記載されている、CまたはZドメインの29位にアミノ酸置換変異が導入された変異体、および、特許文献3に記載されている、CまたはZドメインの31位〜37位(好ましくは、33位、36位、または、37位)にアミノ酸置換変異が導入された変異体が好ましい。
上記(1)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて酸性アミノ酸に置換するアミノ酸は、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列において、第7位、第18位、第40位、第46位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることが好ましい。
酸性アミノ酸は、カルボキシル基を側鎖に有するアミノ酸であることが好ましく、アスパラギン酸またはグルタミン酸であることがより好ましい。
上記(2)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて、置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸の個数は、免疫グロブリンG結合性ペプチドとしての特性を維持する観点から、20個以下であることが好ましく、10個以下であることがより好ましく、5個以下であることがさらに好ましく、4個以下であることがさらにより好ましく、3個以下、2個以下、1個以下であることが特に好ましい。
一方、上記(2)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて、置換、挿入、および/または付加されるアミノ酸が酸性アミノ酸である場合には、免疫グロブリンG結合性ペプチドの表面の酸性度を向上させる観点からは、置換、挿入、および/または付加されるアミノ酸の個数は、1個以上であることが好ましく、2個以上であることがより好ましく、3個以上であることがさらに好ましく、4個以上であることがさらにより好ましく、5個以上であることが特に好ましい。
上記(2)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて、置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸は、配列番号1に示したCドメイン、または、配列番号2に示したZドメインのアミノ酸配列において、第1位、第2位、第3位、第4位、第6位、第23位、第29位、第33位、第35位、第36位、第37位、第42位、第49位、第50位、第57位、および、第58位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることが好ましい。置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸は、配列番号1に示したCドメイン、または、配列番号2に示したZドメインのアミノ酸配列において、第29位、第33位、第36位、および、第37位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸であることがより好ましい。
上記(3)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて、上記(1)のアミノ酸配列に対する配列同一性は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることがさらにより好ましい。
上記(3)の免疫グロブリンG結合性ペプチドは、上記(1)の免疫グロブリンG結合性ペプチドのアミノ酸配列に対して80%以上の配列同一性を有する。ただし上記(1)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて導入された酸性アミノ酸は、さらに改変することなく、維持される。上記(1)の免疫グロブリンG結合性ペプチドのアミノ酸配列に対して80%以上の配列同一性を有する限り、上記(1)の免疫グロブリンG結合性ペプチドにおいて導入された酸性アミノ酸以外のアミノ酸は、改変されていてもよい。
アミノ酸置換変異の数は、1個でも効果が期待されるが、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、9個以下が好ましく、7個以下がより好ましい。
一般に、プロテインAは、免疫グロブリン結合性ドメイン、つまり、免疫グロブリン結合性タンパク質が、5個つながった形で構成されるタンパク質である。本発明の免疫グロブリンG結合性ペプチドも、多量体タンパク質(複ドメイン型タンパク質)であることが好ましい。多量体タンパク質に含まれる単ドメインの数は、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましく、4個以上であることがさらに好ましく、5個以上であることがさらにより好ましい。連結される単ドメインの数の上限は特に限定されないが、10個以下であることが好ましく、8個以下であることがより好ましく、6個以下であることがさらに好ましい。これらの多量体は、単一の免疫グロブリンG結合性ドメインの連結体であるホモダイマー、ホモトリマー等のホモポリマーであってもよいし、複数種類の免疫グロブリンG結合性ドメインの連結体であるヘテロダイマー、ヘテロトリマー等のヘテロポリマーであってもよい。
本発明によって得られる単量体タンパク質の連結のされ方としては、リンカーとなるアミノ酸残基を介さず連結する方法、または、1または複数のアミノ酸残基で連結する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。連結するアミノ酸残基数に特に制限はない。好ましくは、単量体タンパク質の3次元立体構造を不安定化しないものがよい。
また、実施形態の1つとして、本発明により得られる免疫グロブリン結合性タンパク質、または、該タンパク質が2個以上連結された多量体タンパク質が、1つの構成成分として、機能の異なる他のタンパク質と融合されていることを特徴とする融合タンパク質が挙げられる。融合タンパク質の例としては、アルブミン、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)、マルトース結合タンパク質(MBP)が融合したタンパク質を例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、DNAアプタマーなどの核酸、抗生物質などの薬物、PEG(ポリエチレングリコール)などの高分子が融合されている場合も、本発明で得られたタンパク質の有用性を利用するものであれば、本発明に包含される。
本発明は、上記免疫グロブリンG結合性ペプチドをコードする塩基配列を含むDNAにも関する。該塩基配列は、その塩基配列を翻訳したアミノ酸配列が、免疫グロブリンG結合性ペプチドを構成するものであればよい。そのような塩基配列は、通常用いられる公知の方法、例えば、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(以下、PCRと略す)法を利用して取得できる。また、公知の化学合成法で合成することも可能であり、さらに、DNAライブラリーから得ることもできる。当該塩基配列は、コドンが縮重コドンで置換されていてもよく、翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、野生型の塩基配列には限られない。上記DNAを利用して遺伝子改変生物を得ることができ、また、上記DNAを転写の鋳型DNAとする無細胞タンパク質合成系を得ることもできる。
本発明のタンパク質をコードするDNAを改変するための部位特異的な変異の導入は、以下のように、組換えDNA技術、PCR法等を用いて行うことができる。
すなわち、組換えDNA技術による変異の導入は、例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子中において、変異導入を希望する目的の部位の両側に適当な制限酵素認識配列が存在する場合に、それら制限酵素認識配列部分を前記制限酵素で切断し、変異導入を希望する部位を含む領域を除去した後、化学合成等によって目的の部位のみに変異導入したDNA断片を挿入するカセット変異法によって行うことができる。
また、PCRによる部位特異的変異の導入は、例えば、タンパク質をコードする二本鎖プラスミドを鋳型として、+および−鎖に相補的な変異を含む2種の合成オリゴプライマーを用いてPCRを行うダブルプライマー法により、行うことができる。
また、本発明の単量体タンパク質(1つのドメイン)をコードするDNAを、意図する数だけ直列に連結することにより、多量体タンパク質をコードするDNAを作製することもできる。例えば、多量体タンパク質をコードするDNAの連結方法は、DNA配列に適当な制限酵素部位を導入し、制限酵素で断片化した2本鎖DNAをDNAリガーゼで連結することができる。制限酵素部位は1種類でもよいが、複数の異なる種類の制限酵素部位を導入することもできる。また、多量体タンパク質をコードするDNAにおいて、各々の単量体タンパク質をコードする塩基配列が同一の場合には、宿主にて相同組み換えを誘発する可能性があるので、連結されている単量体タンパク質をコードするDNAの塩基配列間の配列同一性が90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましく、75%以下であることがさらにより好ましい。
本発明のベクターは、前述したタンパク質、または、その部分アミノ酸配列をコードする塩基配列、およびその塩基配列に作動可能に連結された宿主で機能しうるプロモーターを含む。通常は、前述したタンパク質をコードする遺伝子を、適当なベクターに連結もしくは挿入することにより得ることができる。遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で自律複製可能なものであれば特に限定されず、プラスミドDNAやファージDNAをベクターとして用いることができる。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、pQE系ベクター(キアゲン社)、pET系ベクター(メルク社)、および、pGEX系ベクター(GEヘルスケアバイオサイエンス社)のベクターなどが挙げられる。ブレビバチルス属細菌の遺伝子の発現に有用なプラスミドベクターとしては、例えば、枯草菌ベクターとして公知であるpUB110、または、pHY500(特開平2−31682号公報)、pNY700(特開平4−278091号公報)、pNU211R2L5(特開平7−170984号公報)、pHT210(特開平6−133782号公報)、または、大腸菌とブレビバチルス属細菌とのシャトルベクターであるpNCMO2(特開2002−238569号公報)などが挙げられる。
本発明の形質転換細胞は、宿主となる細胞へ本発明の組換えベクターを導入することにより得ることができる。宿主への組換え体DNAの導入方法としては、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、アグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法、または、ポリエチレングリコール法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、得られた遺伝子の機能を宿主で発現する方法としては、本発明で得られた遺伝子をゲノム(染色体)に組み込む方法なども挙げられる。宿主となる細胞については、特に限定されるものではないが、安価に大量生産する上では、大腸菌、枯草菌、ブレビバチルス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)等のバクテリア(真正細菌)を好適に使用しうる。
本発明のタンパク質は、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に本発明のタンパク質を生成蓄積させ、該培養物から所望のタンパク質を採取することにより製造することができる。また、本発明のタンパク質は、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に、本発明のタンパク質を含む融合タンパク質を生成蓄積させ、該培養物から該融合タンパク質を採取し、該融合タンパク質を適切なプロテアーゼによって切断し、所望のタンパク質を採取することにより製造することができる。
本発明の形質転換細胞を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。得られた形質転換体の培養に用いる培地は、該タンパク質を高効率、高収量で生産できるものであれば特に制限はない。具体的には、グルコース、蔗糖、グリセロール、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸などの炭素源や窒素源を使用することが出来る。その他、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩等の無機塩類が必要に応じて添加される。栄養要求性の宿主細胞を用いる場合は、生育に要求される栄養物質を添加すればよい。また、必要であればペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ネオマイシンなどの抗生物質が添加されてもよい。
さらに、菌体内外に存在する宿主由来のプロテアーゼによる当該目的タンパク質の分解を抑えるために、公知の各種プロテアーゼ阻害剤、すなわち、Phenylmethane sulfonyl fluoride (PMSF)、Benzamidine、4−(2−aminoethyl)−benzenesulfonyl fluoride (AEBSF)、Antipain、Chymostatin、Leupeptin、Pepstatin A、Phosphoramidon、Aprotinin、Ethylenediaminetetra acetic acid (EDTA)、および/または、その他市販されているプロテアーゼ阻害剤を適当な濃度で添加してもよい。
さらに、本発明のタンパク質を正しくフォールディングさせるために、例えば、GroEL/ES、Hsp70/DnaK、Hsp90、Hsp104/ClpBなどの分子シャペロンを利用してもよい(例えば、共発現、または、融合タンパク質化などの手法で、本発明のタンパク質と共存させる)。なお、本発明のタンパク質の正しいフォールディングを目的とする場合には、正しいフォールディングを助長する添加剤を培地中に加える、および、低温にて培養するなどの手法もあるが、これらに限定されるものではない。
大腸菌を宿主として得られた形質転換細胞を培養する培地としては、LB培地(トリプトン 1%、酵母エキス 0.5%、NaCl 1%)、または、2xYT培地(トリプトン 1.6%、酵母エキス 1.0%、NaCl 0.5%)等が挙げられる。ブレビバチルス属細菌を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、TM培地(ペプトン 1%、肉エキス 0.5%、酵母エキス 0.2%、グルコース 1%、pH 7.0)、または、2SL培地(ペプトン 4%、酵母エキス 0.5% 、グルコース 2%、pH7.2)等が挙げられる。
また、培養温度は、15〜42℃、好ましくは20〜37℃で、通気攪拌条件で好気的に数時間〜数日培養することにより本発明のタンパク質を、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)、または、培養溶液(細胞外)に蓄積させて回収する。場合によっては、通気を遮断し嫌気的に培養してもよい。組換えタンパク質が分泌生産される場合には、培養終了後に、遠心分離、ろ過などの一般的な分離方法で、培養細胞と分泌生産されたタンパク質を含む上清を分離することにより生産された組換えタンパク質を回収することができる。また、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)に蓄積される場合にも、例えば、培養液から遠心分離、ろ過などの方法により菌体を採取し、次いで、この菌体を超音波破砕法、フレンチプレス法などにより破砕し、および/または、界面活性剤等を添加して可溶化することにより、細胞内に蓄積生産されたタンパク質を回収することができる。
本発明のタンパク質の精製はアフィニティークロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を単独でまたは適宜組み合わせることによって行うことができる。得られた精製物質が目的のタンパク質であることの確認は、通常の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング等により行うことができる。
免疫グロブリンに対する親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴原理を用いたBiacoreシステム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)などのバイオセンサーによって試験することができるが、これに限定されるものではない。測定条件としては、プロテインAが免疫グロブリンに結合した時の結合シグナルが検出できれば良く、温度20〜40℃(一定温度)にて、pH6〜8の中性条件にて測定することで簡単に評価することができる。
結合パラメータとしては、例えば、親和定数(KA)や解離定数(KD)を用いることができる(永田他 著、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」、シュプリンガー・フェアラーク東京、1998年、41頁)。本発明のタンパク質のFcに対する親和定数は、Biacoreシステムを利用して、センサーチップにヒトIgGを固定化して、温度25℃、pH7.4の条件下にて、各ドメイン変異体を流路添加する実験系で求めることができる。本発明のペプチドは、ヒトIgGへの親和定数(KA)が1×10(M−1)以上であることが好ましく、1×10(M−1)以上であることがより好ましく、1×10(M−1)であることがさらに好ましい。
本発明は、上述のタンパク質を、免疫グロブリン誘導体に親和性を有することを特徴とするアフィニティーリガンドとして利用することも、実施形態の1つとして包含する。同様に、該リガンドを水不溶性担体に固定化したことを特徴とする、アフィニティー分離マトリックスも、実施形態の1つとして包含する。
本発明に用いる水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や、結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機−有機、有機−無機などの複合担体などが挙げられる。市販品としては、多孔質セルロースゲルであるGCL2000、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドを共有結合で架橋したSephacryl S−1000、アクリレート系の担体であるToyopearl、アガロース系の架橋担体であるSepharose CL4B、および、セルロース系の架橋担体であるCellufineなどを例示することができる。ただし、本発明における水不溶性担体は、例示したこれらの担体のみに限定されるものではない。
また、本発明に用いる水不溶性担体は、本アフィニティー分離マトリックスの使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する多孔質であることが好ましい。担体の形態としては、ビーズ状、モノリス状、繊維状、膜状(中空糸を含む)などいずれも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。
リガンドの固定化方法については、例えば、リガンドに存在するアミノ基、カルボキシル基、または、チオール基を利用した、従来のカップリング法で担体に結合してよい。カップリング法としては、担体を臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジン、および、過ヨウ素酸ナトリウムなどと反応させて担体を活性化し(あるいは担体表面に反応性官能基を導入し)、リガンドとして固定化する化合物とカップリング反応を行い固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化方法が挙げられる。
また、リガンドと担体の間に複数の原子からなるスペーサー分子を導入してもよいし、担体にリガンドを直接固定化してもよい。したがって、固定化のために、本発明のタンパク質に対して、化学修飾してもよいし、固定化に有用なアミノ酸残基を加えてもよい。固定化に有用なアミノ酸としては、側鎖に固定化の化学反応に有用な官能基を有しているアミノ酸が挙げられ、例えば、側鎖にアミノ基を含むLysや、側鎖にチオール基を含むCysが挙げられる。本発明の本質は、本発明においてタンパク質に付与した効果が、該タンパク質をリガンドとして固定化したマトリックスにおいても同様に付与されることにあり、固定化のためにいかように修飾・改変しても、本発明の範囲に含まれる。
本発明の免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体の製造方法は、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を、前記アフィニティー分離マトリックスと接触させる工程、および、アフィニティー分離マトリックスに結合した免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を、アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含む。アフィニティー分離マトリックスを用いた標的分子の精製法は、その吸着時には、一般的なアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法に準じる手順により達成することができる。例えば、免疫グロブリンGを標的分子とする場合、すでに市販品として存在するプロテインAカラムを用いたアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法に準じる手順により達成することができる(非特許文献1)。すなわち、免疫グロブリンのFc領域を有するタンパク質を含有する緩衝液を中性となるように調製した後、該溶液を本発明のミックスモードアフィニティー分離マトリックスを充填したアフィニティーカラムに通過させ、免疫グロブリンのFc領域を有するタンパク質を吸着させる。次いで、抗体アフィニティーリガンドが機能する条件範囲の緩衝液を適量通過させ、カラム内部を洗浄する。この時点では所望の免疫グロブリンのFc領域を有するタンパク質はカラム内の本発明のアフィニティー分離マトリックスに吸着されている。この時、中性付近のpHでイオン強度や組成物の最適化により、不純物を効果的に除去できる場合がある。負荷、洗浄時において、陽イオン交換基が機能しない条件が好ましく、特に、吸着後の洗浄工程で高イオン強度の洗浄液の利用が好ましい。次いで、酸性pH、イオン強度の組み合わせにより、陽イオン交換分離モードを機能させ、抗体アフィニティーリガンドからの溶出と協奏的な作用で、選択性の高い分離が可能となる。酸性pHでの溶出前に中性条件下でイオン強度を下げておくことが好ましい。
本発明において、リガンドに対する酸性アミノ酸への置換変異の数(比率)によって、抗体分離機能の調節が可能である。例えば、抗体アフィニティーリガンドの特異的結合による結合容量が陽イオン交換基の非特異的な結合による結合容量よりも大きい場合は、酸性溶出時に低イオン強度でも抗体が担体から溶出されるが、抗体アフィニティーリガンドの特異的結合による結合容量が陽イオン交換基の非特定的結合による結合容量と同程度または低い場合には、抗体アフィニティーリガンドから溶出された抗体について、陽イオン交換基主体の結合への受け渡しが行なわれるため、低イオン強度では抗体の溶出は起こらない。何れの場合も、イオン強度の変更により、溶出量、および、溶出液中の抗体単量体の比率を制御可能である。pHも抗体アフィニティーリガンドからの溶出と陽イオン交換基への結合とイオン強度(塩濃度)依存的溶出を決定する因子である。すなわち、本発明により調製されたアフィニティー分離マトリックスは、pHおよびイオン強度等の溶出条件等により、分離を最適化できる。本発明により調製されるアフィニティー分離マトリックスからの抗体溶出は、塩濃度グラジエントでもステップワイズ溶出でも適用可能であるが、溶出液量の低減を目的にした場合はイオン強度によるステップワイズ溶出が好ましい。更に、操作の単純化のためには、ワンステップ溶出による抗体の回収と単量体含量の向上を達成できる条件設定が好ましい。
また、本発明は、アフィニティー精製用リガンドのアミノ酸配列中の酸性アミノ酸数を増加させることにより、陽イオン交換能を向上させる工程を含む、改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法にも関する。酸性アミノ酸としては、側鎖にカルボキシル基を有するアミノ酸が挙げられ、アスパラギン酸、またはグルタミン酸が好ましい。前記リガンドの酸性アミノ酸に含まれるカルボキシル基は、改良型アフィニティー精製用リガンドを担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックスにおいて、タンパク質を介して固定化された陽イオン性交換基と捉えることができる。なお、改良型アフィニティー精製用リガンドは、酸性アミノ酸数を増加する前のアフィニティー精製用リガンドよりも、正電荷を帯びた精製対象との親和性、および負電荷を帯びた不純物の吸着抑制効果が向上したアフィニティー精製用リガンドを意味する。
酸性アミノ酸数の増加は、酸性アミノ酸への置換変異、および/または酸性アミノ酸の付加によるものであることが好ましい。前記酸性アミノ酸数の増加は、2以上の増加であることが好ましく、3以上の増加であることがより好ましく、4以上の増加であることがさらに好ましい。
前記アフィニティー精製の対象は、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体であることが好ましい。前記アフィニティー精製用リガンドは、プロテインA、プロテインG、または、プロテインLの免疫グロブリンG結合性ドメインであることが好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例で取得した各種タンパク質について、「ドメインを示すアルファベット−導入した変異(野生型ではWild)」の形で表記する。例えば、プロテインAの野生型Cドメインは「C−wild」、変異G29Aを導入したCドメイン変異体は「C−G29A」という形で表記する。2種類の変異を同時に導入した変異体の表記については、スラッシュを用いて併記する。例えば、変異G29A、および、変異S33Eを導入したCドメイン変異体については、「C−G29A/S33E」という形で表記する。また、単ドメインを複数連結したタンパク質については、ピリオドをつけて、連結した数に「d」をつけて併記する。例えば、変異G29A、および、変異S33Eを導入したCドメイン変異体を5連結したタンパク質は、「C−G29A/S33E.5d」と表記する。
(実施例1)酸性アミノ酸を導入したプロテインAのCドメイン変異体の設計
酸性アミノ酸を導入する部位の評価には、Zドメイン(Z−Wild.1d、配列番号2)の立体構造を利用した。タンパク質立体構造データベースPDB(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)にある公知のZドメインの立体構造(PDBコード:2SPZ)を用いて、各アミノ酸残基の溶媒露出面積(ASA)をDSSPを用いて算出した。アミノ酸側鎖の大きさの違いによる影響を補正するため、rASA値(ASA(Xxx)/ASA(Gly−Xxx−Gly)、Xxxは計算対象の任意のアミノ酸)も算出した。この各残基のASA値/rASA値を表1に示す。
Figure 2015034056
このrASA値が、Gly−29の値(この時は0.44)より小さな、溶媒への露出が少ないアミノ酸残基を、酸性アミノ酸に置換変異する候補から除いた。また、IgGとの特異的な相互作用に関与するアミノ酸残基、ドメインの末端に位置する残基、主鎖構造の維持に重要なPro残基、および、野生型において酸性アミノ酸である残基などを除き、酸性アミノ酸に置換変異するアミノ酸残基候補を選定した。結果として、Lys−7、His−18、Ser−39、Val−40、Ala−46、Ala−54、Gln−55を選択した。
次に選択した7か所のアミノ酸残基に対する変異導入効果を検証することとした。この効果を検証するモデルリガンドとして、本実施例ではCドメインを選択した。Cドメインは、例えば他のドメインがAsnである43位が酸性アミノ酸のGluになっているように、他のドメインに比較して酸性アミノ酸が多いのが、選択の理由である。このCドメインのアミノ酸配列に、リガンドの化学安定性を向上する変異G29Aと、VH3型のFab領域への結合を欠失させる変異S33Eを導入したCドメイン変異体であるC−G29A/S33E.1d(配列番号3)を変異導入前のアミノ酸配列とした。
C−G29A/S33E.1dのモデリング立体構造は、Zドメインの立体構造を鋳型として、タンパク質立体構造ホモロジーモデリングソフトであるHomology Modeling for HyperChem(分子機能研究所)を利用して作成した。作成の際には、ソフトに付属する標準機能を用いて、側鎖ロータマーの最適化、分子力場ポテンシャルを利用したエネルギー極小化計算を行った。このモデリング立体構造のrASA値も表1に示す。
ZドメインとはrASA値が大きく異なる残基もあるが、本実施例では、純粋に実験によって決定されたZドメインの立体構造を用いた変異箇所の選択を適用する。
続いて、選択した7か所のアミノ酸残基が、それぞれ、アスパラギン酸、または、グルタミン酸に置換された変異体のモデリング立体構造を作成し、IgGのFc領域と特異的に相互作用する残基(Phe−5、Gln−9、Gln−10、Asn−11、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Asn−28、Ile−31、Gln−32、Lys−35)のASA(ASA−Fc)を算出した。
そして、C−G29A/S33E.1dのモデリング立体構造のASA−Fcに対する、各変異体モデリング立体構造のASA−Fcの相関係数(Corr.−Fc)を算出し、表2に示した。
Figure 2015034056
各残基のアスパラギン酸、または、グルタミン酸に置換された場合のCorr.−Fcの平均値が、0.95未満であるSer−39とAla−54は、変異の導入によって、IgGへの特異的な結合に変化を及ぼすリスクが他に比べると高いと推測される。
次に、Ser−39とAla−54を除く、Lys−7、His−18、Val−40、Ala−46、および、Gln−55の5か所のアミノ酸残基に関し、それぞれ、野生型、アスパラギン酸、グルタミン酸の3通りのいずれかのアミノ酸となる多残基変異体全て(3の5乗=243通り)のモデリング立体構造を作成し、Corr.−Fcを算出した。
また、先述のIgGのFc領域と特異的に相互作用する残基の全原子について、C−G29A/S33E.1dのモデリング立体構造に対する平均二乗偏差(RMSD、残基を限定したこのケースではRMSD−Fcと表記する)を算出した。各多残基変異体のCorr.−Fc値とRMSD−Fc値を表3および表4に示した。
Figure 2015034056
Figure 2015034056
Corr.−Fc値が高い変異体は、IgGへの特異的な結合に変化を及ぼすリスクが低いと推測されるため、本発明で用いるリガンドとして好ましい。また、同様の視点から、RMSD−Fc値が小さい変異体も、本発明で用いるリガンドとして好ましい。
モデリング立体構造を基に、分子の表面電荷を評価するためのソフトであるAdaptive Poisson−Boltzmann Solver(APBS、http://www.poissonboltzmann.org/apbs)を用いた、各変異体の表面電荷の評価も行った。適切な位置への酸性アミノ酸残基の導入によって、IgGとの相互作用面の電荷変化が少なく、それ以外の面で負電荷領域が増えていることを確認した。
(実施例2)酸性アミノ酸を導入したプロテインAのCドメイン変異体の取得
プロテインAのCドメインに、実施例1で設計した酸性アミノ酸への置換変異を導入して得られるペプチドを、大腸菌発現系を利用して取得した。
C−G29A/S33E.1dに、実施例1で設計した酸性アミノ酸への置換変異を導入した下記の変異体(1)〜(3)を作成した。比較例として(0)C−G29A/S33E.1dを使用した。比較例の変異(G29A/S33E)と、本発明の酸性アミノ酸への置換変異を区別するため、本発明の変異は全てG29A/S33Eの後ろに記載した。
(0)C−G29A/S33E.1d(配列番号3、比較例として)
(1)C−G29A/S33E/Q55E.1d(配列番号4)
(2)C−G29A/S33E/K7E/A46E.1d(配列番号5)
(3)C−G29A/S33E/K7E/H18D/V40D/A46D/Q55E.1d(配列番号6)
各変異体をコードするDNAを、ペプチドの精製操作の画一化の為、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)が融合された単ドメイン型のタンパク質として発現・精製できる市販の大腸菌発現用ベクターpGEX6P−1(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)に挿入することにより、発現ベクターを調製した。発現ベクターを使用して、発現用大腸菌を形質転換した。以下に、その概要を記載する。
比較例の(0)C−G29A/S33E.1dを作製するための発現ベクターの調製方法を例示する。当該ペプチドをコードする塩基配列(配列番号7)は、C−G29A/S33E.1d(配列番号3)のアミノ酸配列から逆翻訳を行い、設計した。
C−G29A/S33E.1dをコードするDNAは、2種の二本鎖DNA(f1とf2)を制限酵素で切断した後に連結することにより調製し、発現ベクターのマルチクローニングサイトに挿入した。実際には、2種の二本鎖DNAと発現ベクターからなる、3種の二本鎖DNAを混合して連結する3断片ライゲーションによって、コードDNA調製と、ベクターへの挿入を同時に実施した。2種の二本鎖DNAの調製方法は、互いに10塩基程度の相補領域を含む2種の一本鎖オリゴDNA(f1−1/f1−2、または、f2−1/f2−2)を、オーバーラップPCRによって伸長し、目的の二本鎖DNAを調製した。発現ベクターの作製方法の概要を図1に示す。
具体的には、以下の操作により発現ベクターを作製した。一本鎖オリゴDNAf1−1(配列番号8)/f1−2(配列番号9)を外注によって合成し(シグマジェノシス社)、ポリメラーゼとしてBlend Taq(TOYOBO社)を用い、オーバーラップPCR反応を行った。PCR反応生成物をアガロース電気泳動にかけ、目的のバンドを切り出すことで抽出した二本鎖DNAを、制限酵素BamHIとMluI(いずれもタカラバイオ社)により切断した。同様に、一本鎖オリゴDNAf2−1(配列番号10)/f2−2(配列番号11)を外注によって合成し、オーバーラップPCR反応を経て、合成・抽出した二本鎖DNAを、制限酵素MluIとEcoRI(いずれもタカラバイオ社)により切断した。次に、プラスミドベクターpGEX−6P−1のマルチクローニングサイト中のBamHI/EcoRIサイトに上記2種の二本鎖DNAをサブクローニングした。サブクローニングにおけるライゲーション反応は、Ligation High(TOYOBO社)を用いて、製品に添付のプロトコルに準じて行った。
上記ペプチドのコードDNAを含むプラスミドベクターpGEX−6P−1を用いて、大腸菌コンピテント細胞HB101(タカラバイオ社)の形質転換を、付属のプロトコルに従って行った。なお、上記プラスミドベクターpGEX−6P−1を用いれば、GSTが融合したC−G29A/S33E.1dを産生することができる。
プラスミド精製キット(プロメガ社製、「Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System」)を用い、キット付属の標準プロトコルに従って、形質転換体から発現ベクターを抽出した。
発現ベクターのコードDNAの塩基配列は、DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製、「3130xl Genetic Analyzer」)を用いて確認した。遺伝子解析キット(Applied Biosystems社製、「BigDye Terminator v.1.1 Cycle Sequencing Kit)と、プラスミドベクターpGEX−6P−1のシークエンシング用DNAプライマー(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いて、添付のプロトコルに従いシークエンシングPCR反応を行った。その反応産物を、プラスミド精製キットBigDye XTerminator Purification Kit(Applied Biosystems社製)に添付のプロトコルに従い精製し、塩基配列解析に用いた。
上記(1)〜(3)のCドメイン変異体をコードするDNAも、アミノ酸配列から逆翻訳を行って当該ペプチドをコードする塩基配列を設計し、上記と同様の方法でコードDNAを含む発現ベクターと形質転換体を調製した。(1)〜(3)のCドメイン変異体のコードDNA配列、および、その合成に利用した一本鎖オリゴDNA(f1−1、f1−2、f2−1、f2−2)の配列番号の組合せを表5に記載する。なお、本発明のペプチドをコードするDNAは、200塩基長程度(60残基程度のタンパク質をコード可能)であれば、外注で全合成することも可能である(例えば、Eurogentec社)。
Figure 2015034056
形質転換体を、アンピシリン含有2×YT培地にて、37℃で終夜培養した。培養液を、100倍量程度のアンピシリンを含有する2×YT培地に接種し、30℃で約3時間培養した後で、終濃度0.2mMになるようIPTG(イソプロピル1−チオ−β−D−ガラクシド)を添加し、さらに、30℃にて24時間培養した。
培養終了後、遠心分離により集菌し、PBS緩衝液5mL(培地約0.75Lあたり)に再懸濁した。超音波破砕により細胞を破砕し、遠心分離により上清画分(無細胞抽出液)と不溶性画分に分画した。pGEX−6P−1ベクターのマルチクローニングサイトに目的の遺伝子を導入すると、GSTがN末端に付与した融合ペプチドとして発現される。上清画分および不溶性画分を、それぞれSDS電気泳動により分析した。いずれの形質転換体の培養液から調製した上清画分(無細胞抽出液)においても、分子量約33,000の位置にIPTGにより発現誘導されたと考えられるペプチドのバンドを確認した。
GST融合ペプチドを含む各々の無細胞抽出液から、GSTに対して親和性のあるGSTrap HPカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたアフィニティークロマトグラフィーを使用して、GST融合ペプチドを粗精製した。具体的には、無細胞抽出液をGSTrap HPカラムに添加し、標準緩衝液(20mM NaHPO−NaHPO、150mM NaCl、pH7.4)でカラムを洗浄し、続いて溶出用緩衝液(50mM Tris−HCl、20mMグルタチオン、pH8.0)で目的のGST融合ペプチドを溶出した。
pGEX−6P−1ベクターのマルチクローニングサイトに遺伝子を導入すると、配列特異的プロテアーゼPreScission Protease(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)でGSTを切断することが可能なアミノ酸配列が、GSTと目的タンパク質の間に導入される。PreScission Proteaseを用いて、添付プロトコルに従いGST切断反応を行った。
GSTを切断したサンプルから、Superdex 75 10/300 GLカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにて、目的のペプチドの精製を行った。標準緩衝液で平衡化したSuperdex 75 10/300 GLカラムに、各々の反応溶液を添加し、目的のタンパク質を、切断したGSTやPreScission Proteaseから分離精製した。なお、以上のカラムを用いたクロマトグラフィーによるペプチド精製は、全てAKTAprime plusシステム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を利用して実施した。また、GST切断後の各々のペプチドのアミノ酸配列は、N末端側に、ベクターpGEX−6P−1由来のGly−Pro−Leu−Gly−Serを含む。
(実施例3)取得した各種Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性評価
表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーBiacore 3000(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いて、実施例2で取得したペプチドの免疫グロブリンとの親和性を解析した。ヒト血漿から分画したヒト免疫グロブリンG製剤(以後は、ヒトIgGと記する)をセンサーチップに固定化し、各ペプチドをチップ上に流して、両者の相互作用を検出した。
ヒトIgGのセンサーチップCM5への固定化は、N−hydroxysuccinimide(NHS)、および、N−ethyl−N’−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochroride(EDC)を用いたアミンカップリング法にて行い、ブロッキングにはEthanolamineを用いた(センサーチップや固定化用試薬は、全てGEヘルスケア・バイオサイエンス社)。ヒトIgG溶液は、ガンマグロブリン(ニチヤク社)を標準緩衝液(20mM NaHPO−NaHPO、150mM NaCl、pH7.4)に1.0mg/mLになるよう溶解して調製した。ヒトIgG溶液を、固定化用緩衝液(10mM CHCOOH−CHCOONa、pH4.5)で10倍に希釈し、Biacore 3000付属のプロトコルに従い、センサーチップへ固定した(レゾナンス・ユニットにして3000RU程度)。また、チップ上の別のフローセルに対して、EDC/NHSにより活性化した後にEthanolamineを固定化する処理を行うことで、ネガティブ・コントロールとなるリファレンスセルも用意した。
各ペプチドは、ランニング緩衝液(20mM NaHPO−NaHPO、150mM NaCl、0.005% P−20、pH7.4)を用いて、10〜1000nMの範囲で適宜調製し(各々について、異なる濃度の溶液を3種類調製)、それぞれ流速40μL/minで60秒間センサーチップに添加した。測定温度25℃にて、添加時(結合相、60秒間)、および、添加終了後(解離相、60秒間)の結合反応曲線を順次観測した。観測終了後に、25mM NaOH(30秒間)を添加してセンサーチップを再生した。この操作は、センサーチップ上に残ったペプチドの除去が目的であり、固定化したヒトIgGの結合活性がほぼ完全に戻ることを確認した。得られた結合反応曲線(リファレンスセルの結合反応曲線を差し引いた結合反応曲線)に対して、システム付属ソフトBIA evaluationを用いた1:1の結合モデルによるフィッティング解析を行い、ペプチドの、ヒトIgGに対する親和定数(K=kon/koff)を算出した。その結果を表6に示す。
各種単ドメイン型Cドメイン変異体はヒトIgGに対して結合活性を示した。変異体(1)C−G29A/S33E/Q55E.1d、および、変異体(2)C−G29A/S33E/K7E/A46E.1dの結合パラメータは、(0)C−G29A/S33E.1d(比較例)と同程度であった。変異体(3)C−G29A/S33E/K7E/H18D/V40D/A46D/Q55E.1dの結合パラメータは、解離速度定数koffはC−G29A/S33E.1dと同程度であったが、結合速度定数konは優位に小さく、親和定数Kは1/10程度であった。しかし、適度な結合力の低下は、保持した抗体を分離(溶出)する際に有利に働く可能性もあり、必要最低限な結合力は保持できている。
Figure 2015034056
(実施例4)取得した各種Cドメイン変異体の分子表面特性の評価
実施例2で取得した各種単ドメイン型Cドメイン変異体の陰イオン交換クロマトグラフィー実験を行い、変異体の陰イオン性の違いを解析した。
各種単ドメイン型Cドメイン変異体のタンパク質溶液を、遠心式フィルターユニットであるアミコン(メルクミリポア社)を用いて、濃縮しながら、陰イオン交換用緩衝液A(50mM Tris−HCl、pH8.0)に100倍程度希釈した。このサンプルを、AKTAprime plusシステムを利用して、陰イオン交換用緩衝液Aにて平衡化した陰イオン交換カラムMono Qカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)に添加し、陰イオン交換用緩衝液Aで洗浄後、陰イオン交換緩衝液Aと陰イオン交換緩衝液B(50mM Tris−HCl、1.0M NaCl、pH8.0)を利用した塩濃度勾配(B:5%→45%、20CV)にて、途中に溶出される目的タンパク質をUVでモニタリングした。各々のクロマトグラフィー・プロファイルを重ね合わせて図2に示した。
図2に示した通り、本発明のペプチドは、全て、C−G29A/S33E.1d(比較例)よりも長いピークの保持時間を示した(ピークが後ろに位置した)。これは、本発明のペプチドをカラムから解離するのに、C−G29A/S33E.1dよりも高い塩濃度が必要であることを意味する。酸性アミノ酸の変異導入によって、分子表面の酸性基(カルボキシル基)由来の陰イオン性が増強されており、実施例1における設計の有効性が実証された。ペプチドの陰イオン性の強化により、当該ペプチドをリガンドとして固定化した場合の陽イオン交換機能が増強されたことになり、リガンドとしての抗体分離能が変異導入前に比べて向上すると考えられる。実施例1〜4の結果は、本発明によって、プロテインAの抗体結合能を損なうことなく、プロテインAの表面電荷(陽イオン交換作用)を効果的に改変できることを示している。

Claims (22)

  1. 下記(1)〜(3)のいずれかの免疫グロブリンG結合性ペプチド:
    (1)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列において、第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸が、酸性アミノ酸に置換されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
    (2)上記(1)のアミノ酸配列において、さらに第7位、第18位、第39位、第40位、第46位、第54位、および、第55位のアミノ酸以外の、1または数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されているアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド;
    (3)上記(1)のアミノ酸配列に対して80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する免疫グロブリンG結合性ペプチド(但し、上記(1)において置換により導入された酸性アミノ酸は維持されるものとする)。
  2. 前記酸性アミノ酸が、側鎖にカルボキシル基を有する酸性アミノ酸である、請求項1に記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  3. 前記側鎖にカルボキシル基を有する酸性アミノ酸が、アスパラギン酸またはグルタミン酸である、請求項2に記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  4. 前記酸性アミノ酸に置換されるアミノ酸が、第7位、第18位、第40位、第46位、および、第55位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  5. 前記置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸が、第1位、第2位、第3位、第4位、第6位、第23位、第29位、第33位、第35位、第36位、第37位、第42位、第49位、第50位、第57位、および、第58位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸である、請求項1〜4のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  6. 前記置換、挿入、欠失および/または付加されるアミノ酸が、第29位、第33位、第36位、および、第37位のアミノ酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸である、請求項5に記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  7. 2以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されている、請求項1〜6のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  8. 3以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されている、請求項1〜7のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  9. 4以上のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されている、請求項1〜8のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチドを2個以上連結した複数ドメインを有する、免疫グロブリンG結合性ペプチド。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチドをコードする塩基配列を含むDNA。
  12. 請求項11に記載のDNAを含むベクター。
  13. 請求項12に記載のベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換体。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の免疫グロブリンG結合性ペプチドを水不溶性担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックス。
  15. 免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を請求項14に記載のアフィニティー分離マトリックスと接触させる工程、および、アフィニティー分離マトリックスに結合した免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体を、アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含む、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体の製造方法。
  16. アフィニティー精製用リガンドのアミノ酸配列中の酸性アミノ酸数を増加させることにより、陽イオン交換能を向上させる工程を含む、改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  17. 酸性アミノ酸数の増加が、酸性アミノ酸への置換変異、および/または酸性アミノ酸の付加によるものである、請求項16に記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  18. 前記アフィニティー精製の対象が、免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンG誘導体である、請求項16または17に記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  19. 前記アフィニティー精製用リガンドが、プロテインA、プロテインG、または、プロテインLの免疫グロブリンG結合性ドメインである、請求項16〜18のいずれかに記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  20. 前記酸性アミノ酸数の増加が、2以上の増加である、請求項16〜19のいずれかに記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  21. 前記酸性アミノ酸数の増加が、3以上の増加である、請求項16〜20のいずれかに記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。
  22. 前記酸性アミノ酸数の増加が、4以上の増加である、請求項16〜21のいずれかに記載の改良型アフィニティー精製用リガンドの製造方法。


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