JPWO2015030083A1 - 回転電機の制御装置及び建設機械並びに回転電機の制御方法 - Google Patents

回転電機の制御装置及び建設機械並びに回転電機の制御方法 Download PDF

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Abstract

回転電機の制御装置5は、三相の回転電機1の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力の3次成分が0となるように、また、回転電機1のトルクの直流成分が回転電機1に対するトルクの指令値となるように、直流成分、正弦波の基本波と電流成分との積及び正弦波の高調波と電流成分との積の和で規定された、回転電機1に供給する駆動電流の直流成分及び1次成分からn次成分を求める。半径方向力は、固定子のティースと回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの余弦波の基本波と寄与成分との積及び余弦波の高調波と寄与成分との積の和で規定され、回転電機1のトルクは、固定子のティースと回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの正弦波の基本波と寄与成分との積及び正弦波の高調波と寄与成分との和で規定される。

Description

本発明は、回転電機の制御装置及び建設機械並びに回転電機の制御方法に関する。
三相の回転電機として、スイッチトリラクタンスモータが知られている。例えば、特許文献1には、スイッチトリラクタンスモータを制御する技術が記載されている。
特開2004−088849号公報
ところで、スイッチトリラクタンスモータを始めとした回転電機は、固定子と回転子との間に発生する電磁力、特に半径方向の電磁力に起因して、振動及び騒音が発生する可能性がある。特許文献1に記載された発明は、スイッチトリラクタンスモータのトルクの脈動を低減させることを目的とするものであり、半径方向の電磁力に起因した振動及び騒音については記載も示唆もなく、改善の余地がある。
本発明は、回転電機において、半径方向の電磁力に起因した振動を抑制することを目的とする。
本発明は、回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流を、前記回転電機に供給する、回転電機の制御装置である。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
本発明は、回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、かつ前記回転電機のトルクの直流成分が前記回転電機に対するトルクの指令値となるように、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流を、前記回転電機に供給する、回転電機の制御装置。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
前記半径方向力は、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの余弦波の基本波及び寄与成分の積と、高調波及び寄与成分の積との和で規定され、前記トルクは、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの正弦波の基本波及び寄与成分の積と、正弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定されることが好ましい。
前記駆動電流を正の値とすることが好ましい。
前記駆動電流は式(A)で表され、前記駆動電流の1次成分iと前記駆動電流の2次成分iとの関係は式(B)で表され、前記駆動電流の直流成分iと前記駆動電流の1次成分iと前記トルクの指令値との関係は式(C)で表され、前記駆動電流の1次成分iと前記駆動電流の3次成分iとの関係は式(E)で表されることが好ましい。
iは前記駆動電流であり、aは式(D)、bは式(F)で表され、式(D)、式(F)中のKr02、Kr12、Kr22は前記半径方向力を記述した式(G)中の係数Kr02、Kr12、Kr22であり、式(C)中のKt12、Kt22は前記トルクを記述した式(H)中の係数Kt12、Kt22であり、Tcは前記トルクの指令値。
i=i+i×sinθ+i×sin(2×θ)+i×sin(3×θ)・・(A)
=a×i・・(B)
Tc=3×i×i×(Kt12+a×Kt22)・・(C)
a=−Kr12/{2×Kr02−Kr22±√((2×Kr02−Kr22−Kr12 )}・・(D)
=b×i・・(E)
b=−(a×Kr12+Kr22)/(2×Kr02)・・(F)
Fr=Kr02×i+Kr12×i×cosθ+Kr22×i×cos(2×θ)・・(G)
Ft=Kt12×i×sinθ+Kt22×i×sin(2×θ)・・(H)
本発明は、回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流の前記直流成分と前記基本波の電流成分と前記高調波の前記電流成分とが求められ、かつ前記基本波の位相差及び前記高調波の位相差が求められ、得られた前記直流成分と、前記基本波の電流成分と、前記高調波の前記電流成分と、前記基本波の位相差と、前記基本波の前記高調波の位相差とで規定される前記駆動電流を用いて、前記回転電機を制御する、回転電機の制御装置である。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
前記回転電機の固定子の外周における半径方向の振動の加速度は、前記駆動電流の前記基本波の周波数をj倍した周波数成分の振幅が、前記回転電機を方形波の電流指令値で駆動したときと比較して半分以下になることが好ましい。
前記回転電機は、スイッチトリラクタンスモータであることが好ましい。
本発明は、三相の回転電機としてのスイッチトリラクタンスモータと、前述した回転電機の制御装置と、を含む、建設機械である。
本発明は、回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、前記回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、前記駆動電流を前記電動機に供給する、回転電機の制御方法である。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
本発明は、回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、前記回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、かつ前記回転電機のトルクの直流成分が前記回転電機に対するトルクの指令値となるように、前記駆動電流を前記電動機に供給する、回転電機の制御方法である。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
前記駆動電流の直流成分及び1次成分からn次成分を求めるにあたっては、前記駆動電流の直流成分と前記駆動電流の1次成分とを求めてから、前記駆動電流のn次成分を求めることが好ましい。nは正の整数である。
前記駆動電流を正の駆動電流とすることが好ましい。
前記半径方向力は、前記固定子のティースと前記回転子ティースとが対向した場合を0度としたときの余弦波の基本波及び寄与成分の積と、余弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定され、前記トルクは、前記固定子のティースと前記回転子ティースとが対向した場合を0度としたときの正弦波の基本波及び寄与成分の積と、正弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定されることが好ましい。
本発明は、回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように前記駆動電流の前記直流成分と前記基本波の電流成分と前記高調波の電流成分とを求め、かつ前記基本波の位相差及び前記高調波の位相差を求め、得られた前記直流成分と、前記基本波の電流成分と、前記高調波の電流成分と、前記基本波の位相差と、前記基本波の前記高調波の位相差とで規定される前記駆動電流を用いて、前記回転電機を制御する、回転電機の制御方法である。jは前記回転電機の相数の整数倍である。
前記回転電機の固定子の外周における半径方向の振動の加速度は、前記駆動電流の前記基本波の周波数をj倍した周波数成分の振幅が、前記回転電機を方形波の電流指令値で駆動したときと比較して半分以下になることが好ましい。
本発明は、回転電機において、半径方向の電磁力に起因した振動を抑制することができる。
図1は、本実施形態に係る三相の回転電機と、これを制御する回転電機の制御装置とを示す図である。 図2は、本実施形態に係る回転電機を示す正面図である。 図3は、本実施形態に係る回転電機の固定子と回転子とを示す図である。 図4は、SRMに振動及び騒音が発生する原理を説明するための図である。 図5は、SRMに振動及び騒音が発生する原理を説明するための図である。 図6は、SRMに発生する振動及び騒音を説明するための図である。 図7は、SRMに発生する振動及び騒音を説明するための図である。 図8は、半径方向力Frと回転子の回転角度(電気角)との関係を示す図である。 図9は、回転電機のトルクと電気角との関係を示す図である。 図10は、本実施形態の実施例と比較例との駆動電流の波形を示す図である。 図11は、本実施形態の実施例と比較例との半径方向力を示す図である。 図12は、本実施形態の実施例及び比較例において、回転電機の固定子の外周部に作用する半径方向力を示す図である。 図13は、本実施形態に係る回転電機の制御方法において、駆動電流を求める手順を示すフローチャートである。 図14は、駆動電流を求める演算装置を示す図である。 図15は、本実施形態に係る回転電機の制御方法において、駆動電流を求める手順を示すフローチャートである。 図16は、トルクの指令値と駆動電流の指令値との関係を記述したテーブルの一例を示す図である。 図17は、本発明による駆動電流と比較例による駆動電流とを比較した図である。 図18は、回転電機の固定子の外周に加速度センサを取り付け、半径方向の振動の加速度を観察した結果を示す図である。 図19は、本実施形態に係る回転電機の制御方法を実現する回転電機の制御装置を備えた建設機械の一例を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。回転電機とは、電動機の動作と発電機の動作とを行う電磁機械である。
(実施形態1)
<三相の回転電機について>
図1は、本実施形態に係る三相の回転電機1と、これを制御する回転電機の制御装置5とを示す図である。三相の回転電機(以下、適宜回転電機という)1は、3の整数倍のコイル及び固定子のティースを有している。回転電機1の制御装置(以下、適宜制御装置という)5は、回転電機1のシャフト1Sの回転速度及びトルクの少なくとも一方を制御するための制御信号を生成する。制御装置5は、例えば、生成した制御信号を駆動回路6に与えることにより、駆動回路6を介して回転電機1のシャフト1Sの回転を制御する。制御装置5は、例えば、マイクロコンピュータが用いられるが、これに限定されるものではない。駆動回路6としては、例えば、インバータが用いられる。
図2は、本実施形態に係る回転電機1を示す正面図である。図3は、本実施形態に係る回転電機1の固定子2と回転子3とを示す図である。本実施形態において、回転電機1は、三相のSRM(Switched Reluctance Motor)であるが、回転電機であれば、SRMであること及び相数は限定されない。例えば、本実施形態は、SRMと同様の集中巻構造のIPM(Interior Permanent-magnet Motor)又はシンクロナスリラクタンスモータへの適用も可能である。
回転電機1は、固定子2と、回転子3と、コイル4とを備える。固定子2は、環状の構造体である。固定子2は、例えば、複数の電磁鋼板を積層したものである。固定子2は、内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティース2Tを備えている。本実施形態において、固定子2は、6個のティース2Tを備えるが、ティース2Tの数はこれに限定されるものではない。
回転子3は、固定子2の内周部に配置される。回転子3は、回転中心軸Zrを中心として固定子2の内側で回転する。回転子3の回転方向は、例えば、図2の矢印Rで示す方向又は矢印Rとは反対方向である。本実施形態において、回転電機1はSRMなので、回転子3は、例えば、複数の電磁鋼板を回転中心軸Zrと平行な方向に積層した構造体である。回転子3は、外周面から径方向外側に向かって突出する複数のティース3Tを備える。本実施形態において、回転子3は、4個のティース3Tを備えるが、ティース3Tの数はこれに限定されるものではない。回転子3が備えるそれぞれのティース3Tは、回転子3の回転にともなって、固定子2が備えるそれぞれのティース2Tと対向する。
コイル4は、固定子2が備えるそれぞれのティース2Tに巻き回された導線である。コイル4は、例えば、銅の導線である。コイル4は、図2の矢印Rとは反対方向に向かって、+A相、−B相、+C相、−A相、+B相、−C相の順に配置される。A相と、B相と、C相とにそれぞれ印加される回転電機1の駆動電流i又は駆動電圧Vは、それぞれ位相が120度ずれている。
以下において、それぞれの相を区別する場合、コイル4を、コイル4A+、4B−、4C+、4A−、4B+、4C−と記載し、固定子2のティース2Tを、ティース2TA+、2TB−、2TC+、2TA−、2TB+、2TC−と記載する。コイル4A+とコイル4A−とは、回転子3の回転角度で互いに180度異なる位置に配置され、コイル4B+とコイル4B−とは、回転子3の回転角度で互いに180度異なる位置に配置され、コイル4C+とコイル4C−とは、回転子3の回転角度で互いに180度異なる位置に配置される。
図3は、回転電機1の回転子3が回転しているときの状態を示す図である。本実施形態において、回転電機1はSRMである。固定子2のティース2Tに巻き回されたコイル4に回転電機1を駆動するための電流としての駆動電流iを供給すると、磁束Φが発生する。この磁束Φによって、固定子2のティース2Tと回転子3のティース3Tとの間には、互いに引き付け合う電磁力が発生する。回転電機1は、この電磁力を利用し、励磁相を切り替えながら連続したトルクを発生させる。このように、回転電機1は、電磁石の吸引力、すなわち磁気エネルギーの位置に対する変化によって発生するリラクタンストルク、すなわち、コイル4が回転子3のティース3Tを引き付ける力のみを利用して、回転子3を、例えば、図3の矢印Rで示す方向に回転させる。
SRMは、永久磁石を用いないため、レアアースの使用量をゼロとすることができる。また、SRMは、コイル4に用いられる銅と、固定子2及び回転子3に用いられる鉄、具体的には電磁鋼板とが主な材料である。このため、SRMは、製造コストを比較的抑えることができ、また、リサイクルしやすいという利点がある。また、SRMは、回転子3に永久磁石が取り付けられていないことから高速回転させやすく、さらに永久磁石を用いないことから、耐熱性に優れている。この反面、SRMは、振動及び騒音が大きくなりやすい。
図4及び図5は、SRMに振動及び騒音が発生する原理を説明するための図である。図6及び図7は、SRMに発生する振動及び騒音を説明するための図である。前述したように、回転電機1は、固定子2のティース2Tと回転子3のティース3Tとの間に、互いに引き付け合う電磁力が発生する。この電磁力は、図4に示すように、回転子3が回転する方向の電磁力Fmtと、回転子3の径方向と平行な電磁力Fmrとに分けられる。電磁力Fmtは、主として回転電機1のトルクの発生に寄与する。電磁力Fmrは、主として振動発生に寄与する。
図5に示すように、固定子2のティース2Tにおいて、ティース2Taが+A相、ティース2Tbが−B相、ティース2Tcが−C相であるとする。この場合、回転子3のティース3Tとの間に電磁力が発生するが、固定子2のティース2Ta、2Tb、2Tcと回転子3のティース3Tとの間には、径方向と平行な電磁力Fmra、Fmrb、Fmrcが発生する。図6に示すように、3相分の電磁力Fmra、Fmrb、Fmrcは、1相の励磁周期Δt内に発生している。このため、固定子2の外周部分であってティース2Ta、2Tb、2Tcに対応する部分Aに作用する半径方向力Frsは、図7に示すように、3相分の電磁力Fmra、Fmrb、Fmrcの足し合わせであると考えることができる。この力は、回転電機1の固定子2と回転子3との間に発生する半径方向の電磁力Fmrである。以下において、半径方向の電磁力Fmrを、適宜半径方向力Frという。
回転電機1がSRMである場合、回転電機1に発生する振動及び騒音の支配的な要因としては、回転電機1の固有振動数との共振による振動がある。これに加えて、回転電機1が三相の回転電機である場合、駆動電流の周波数(電流周波数)の3倍の振動数を有する成分(3次成分)の振動も、回転電機1に発生する振動及び騒音の支配的な要因になる。前述した半径方向力Frは、3相分の電磁力Fmra、Fmrb、Fmrcの足し合わせである。半径方向力Frの1次成分及び2次成分等は、3相分のティース2Ta、2Tb、2Tcに作用する電磁力Fmra、Fmrb、Fmrcの足し合わせにより、直流成分となる。半径方向力Frの1次成分の周波数は電流周波数に等しく、2次成分の周波数は電流周波数の2倍に等しく、n(nは正の整数)次成分は電流周波数のn倍に等しい。また、電流周波数は、励磁周波数1/Δtである。
電流周波数の3倍の周波数成分を持つ半径方向力Frは、3個のティース2Ta、2Tb、2Tcにおける位相が同期している。このため、固定子2に作用する半径方向力Frであって電流周波数の3倍の周波数を有するもの(3次成分)は、直流にならず図7に示すように残ってしまう。このため、半径方向力Frの3次成分と等しい周波数の振動及びこの振動に起因した騒音が大きくなると考えられる。結果として、固定子2に発生する振動及び騒音のうち、電流周波数の3×m倍(mは正の整数)の周波数を有する振動及びこの振動に起因した騒音が大きくなる。
三相のSRMにおいて、固定子2の極数/回転子3の極数(以下、適宜極数比という)は、6/4の整数倍が多い。固定子2の極数は、ティース2Tの数、すなわちコイル4の数である。回転子3の極数は、ティース3Tの数である。SRMは、特に、極数比が12/8、18/12等が多用されている。6と4との最小公倍数は12であり、固定子2の極数の3倍である。また、12と8との最小公倍数は24であり、固定子2の極数の3倍である。同様に、極数比が18/12、24/16、30/20、36/24等である場合も、最小公倍数は、すべて固定子2の極数の3倍である。このため、固定子2の極数の3倍の振動成分は共振状態となり、振動及び騒音を顕著に引き起こす可能性がある。
<回転電機の制御方法>
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、固定子2に作用する半径方向力Frの周波数成分に着目し、基本波と高調波とを重畳した駆動電流を用いて電流周波数の3倍の周波数を有する振動を抑制する。本実施形態に係る回転電機の制御方法は、例えば、図1に示す制御装置5が実現する。次に、本実施形態に係る回転電機の制御方法について説明する。
図8は、半径方向力Frと回転子3の回転角度(電気角)との関係を示す図である。図9は、回転電機1のトルクFtと電気角との関係を示す図である。図8及び図9の横軸は、回転電機1の電気角θである。図8の縦軸は、半径方向力Frであり、図9の縦軸は回転電機1のトルクFtである。図8及び図9の曲線a、b、c、d、eは、回転電機1に供給される駆動電流iが一定の状態を示す曲線であり、a、b、c、d、eの順に駆動電流iが大きくなっている。図8中のFrndは、電流周波数の3倍の周波数を有する振動を抑制するために必要な半径方向力Fr(電磁力)の波形である。
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、回転電機1に供給される駆動電流iを、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、前述した正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定する。駆動電流iを、式(1)に示す。式(1)中、iは駆動電流の直流成分、iは駆動電流の1次成分、iは駆動電流の2次成分、iは駆動電流の3次成分である。i、i、i及びiを区別しない場合、これらを適宜電流成分という。θは、回転電機1の電気角である。駆動電流iは、式(1)に示すように、電気角θの関数である。本実施形態において、正弦波の高調波は、2次高調波以上とする。一般化すると、駆動電流iは、式(2)のように記載できる。nは正の整数である。半径方向力Frは、駆動電流iの3次成分までに対して支配的であるため、本実施形態では、駆動電流iを規定するために、式(1)を用いた(n=3)。式(2)において、正弦波の基本波はk=1、高調波はk=2以上である。
i=i+i×sinθ+i×sin(2×θ)+i×sin(3×θ)・・(1)
i=i+Σi×sin(k×θ):{k=1、2、・・・n}・・(2)
半径方向力Frは、式(3)に示すように、回転電機1の電気角θ及び駆動電流iによる関数Krを用いて表される。半径方向力Frは、2次成分までが支配的であるため、式(4)に示すように2次(m=2)までとした。半径方向力Frを一般化すると、式(5)に示すようになる。図8、式(4)及び式(5)に示すように、半径方向力Frは、寄与成分Kr、並びに固定子2と回転子3とのティースが対向した場合を0度としたときにおける余弦波の基本波及び寄与成分Krの積と、前述した余弦波の高調波及び寄与成分Kr、・・Krの積との和によって表される。式(5)において、余弦波の基本波はk=1、高調波はk=2以上である。
Fr=Kr(θ、i)・・(3)
Fr=Kr+Kr×cosθ+Kr×cos(2×θ)・・(4)
Fr=Kr+ΣKr×cos(k×θ):{k=1、2、・・・m}・・(5)
寄与成分Krは、0次、すなわち半径方向力Frの直流成分であり、寄与成分Krは1次成分、寄与成分Krは2次成分、寄与成分Krはm次成分である。寄与成分Kr、Kr、Krは、駆動電流iにより発生する磁束によって飽和特性を示す。このため、これらは、駆動電流iによる多項式関数とみなし、それぞれ式(6)、式(7)、式(8)で表される。本実施形態では、多項式化において寄与度の高い3乗の係数まで考慮しているが、精度を向上することを目的として、4乗以上の係数まで多項式化してもよい。式(6)から式(8)中の係数Kr01、Kr02、Kr03、Kr11、Kr12、Kr13、Kr21、Kr22、Kr23は、いずれも実験又は電磁界解析によって求めることができる。
Kr=Kr01×i+Kr02×i+Kr03×i・・(6)
Kr=Kr11×i+Kr12×i+Kr13×i・・(7)
Kr=Kr21×i+Kr22×i+Kr23×i・・(8)
式(1)の駆動電流iを式(6)から式(8)のiに代入する。そして、駆動電流iが代入された式(6)から式(8)の寄与成分Kr、Kr、Krを、それぞれ式(4)に代入して、三角関数の公式を用いて整理すると、3×θの項が現れる。3次の半径方向力Frを予め定められた閾値以下、好ましくは0にするため、3次高調波に対応する3×θの項を0とすることにより、電流成分i、i、i、iを求めることができる。このようにして得られた電流成分i、i、i、iを用いた駆動電流iを回転電機1に与えれば、3次の半径方向力Frを予め定められた閾値以下に低減、理想的には0にすることができる。n次(本実施形態ではn=3)の半径方向力Frの、予め定められた閾値は、回転電機1の騒音が許容できる大きさであればよく、特に限定されるものではない。
固定子2に作用する半径方向力Frは、磁気飽和が発生していない低負荷領域においては近似的に駆動電流iの2乗に比例する。このため、i及びiは、寄与成分Kr、Kr、Krに対する影響が小さいため、これを省略すると、式(6)から式(8)は、iの項のみが残る。iの項のみが残った寄与成分Kr、Kr、Krに式(1)の駆動電流iを代入し、それぞれの寄与成分Kr、Kr、Krを式(4)に代入し、3×θの項を0とすることによって、式(9)及び式(11)に示すような、駆動電流iの1次成分iと2次成分iと3次成分iとの関係を得ることができる。式(9)中のaは、式(10)で表される。式(11)中のbは、式(12)で表される。このような関係の駆動電流iの1次成分iと2次成分iと3次成分iとを用いた駆動電流iを回転電機1に与えれば、3次の半径方向力Frを予め定められた閾値以下に低減、理想的には0にすることができる。
=a×i・・(9)
a=−Kr12/{2×Kr02−Kr22±√((2×Kr02−Kr22−K12 )}・・(10)
=b×i・・(11)
b=−(a×Kr12+Kr22)/(2×Kr02)・・(12)
次に、回転電機1のトルクFtについて検討する。トルクFtは、式(13)に示すように、回転電機1の電気角θと駆動電流iとによる関数Ktを用いて表される。トルクFtは、2次成分までが支配的であるため、式(14)に示すように、2次(l=2)までとした。lは正の整数である。トルクFtを一般化すると、式(15)に示すようになる。図9、式(14)及び式(15)に示すように、トルクFtは、固定子2と回転子3とのティースが対向した場合を0度としたときにおける正弦波の基本波及び寄与成分Ktの積と、前述した正弦波の高調波及び寄与成分Kt、・・Ktの積との和によって表される。式(15)において、正弦波の基本波はk=1、高調波はk=2以上である。
Ft=Kt(θ、i)・・(13)
Ft=Kt×sinθ+Kt×sin(2×θ)・・(14)
Ft=ΣKt×sin(k×θ):{k=1、2、・・・l}・・(15)
寄与成分KtはトルクFtの1次成分、寄与成分KtはトルクFtの2次成分である。寄与成分Kt、Ktは、駆動電流iにより発生する磁束によって飽和特性を示すため、駆動電流iによる多項式関数とみなす。これらは、それぞれ式(16)、式(17)で表される。ここでは多項式化において寄与度の高い3乗の係数まで考慮しているが、精度を向上することを目的として、4乗以上の係数まで多項式化してもよい。式(16)及び式(17)中の係数Kt11、Kt12、Kt13、Kt21、Kt22、Kt23は、いずれも実験又は電磁界解析によって求めることができる。
Kt=Kt11×i+Kt12×i+Kt13×i・・(16)
Kt=Kt21×i+Kt22×i+Kt23×i・・(17)
前述した式(1)の駆動電流iを式(16)及び式(17)のiに代入する。そして、駆動電流iが代入された式(16)及び式(17)の寄与成分Kt、Ktを、それぞれ式(14)に代入して整理する。トルクFtについては、トルクの直流成分Ft(0)、すなわち、一相あたりの平均トルクに対してはその相数倍が回転電機1に対するトルクの指令値Tcになるようにして、電流成分i、i、iを求める。このようにして得られた電流成分i、i、iを用いた駆動電流iを回転電機1に与えれば、回転電機1はトルクの指令値Tcに対応した大きさのトルクを出力する。トルクの指令値Tcは、回転電機1が力行する場合、例えば正の値となり、回転電機1が回生(発電)する場合、例えば負の値となる。
トルクFtは、磁気飽和が発生していない低負荷領域においては、近似的に駆動電流iの2乗に比例する。このため、i及びiは、寄与成分Kt、Ktに対する影響が小さいため、これを省略すると、式(16)及び式(17)は、iの項のみが残る。iの項のみが残った寄与成分Kt、Ktに式(1)の駆動電流iを代入し、それぞれの寄与成分Kt、Ktを式(14)に代入してトルクの直流成分Ft(0)を求めることによって、式(18)に示すような、駆動電流iの直流成分iと、1次成分iとの関係を得ることができる。式(18)は、式(9)を用いて、駆動電流iの2次成分iが消去してある。式(18)を駆動電流iの直流成分iについて整理すると、式(19)のようになる。
3×Ft(0)=Tc=3×i×i×(Kt12+a×Kt22)・・(18)
=Tc/(3×i×(Kt12+a×Kt22))・・(19)
駆動電流iの直流成分iは、正弦波の重畳で規定される駆動電流iの振幅の中央値である。SRMは、標準的なハーフブリッジ回路によるインバータで駆動する場合には、駆動電流iとして負の電流を与えることができない。このため、回転電機1がSRMである場合、駆動電流iは電気角によらず正の値となるので、駆動電流iの直流成分iも正の一定値となる。
式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)によって、駆動電流iの直流成分iと、1次成分iと、2次成分iと、3次成分iの関係が得られる。結果として、例えば、直流成分i及び2次成分iは、いずれも1次成分iを用いて表すことができる。式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)の関係を満たすように駆動電流iの直流成分iと、駆動電流iの1次成分iと、駆動電流iの2次成分iと、3次成分iとを定め、これらを用いた駆動電流iを回転電機1に与えれば、回転電機1にトルクの指令値Tcに対応したトルクを出力させ、かつ3次の半径方向力Frを低減することができる。
回転電機1が発生するトルクは、回転電機1に供給される電流、すなわち駆動電流i、より具体的には駆動電流iの2乗に応じて大きくなる。したがって、回転電機1に発生させるトルク、すなわちトルクの指令値Tcが決定されれば、駆動電流iが得られる。駆動電流iの直流成分iと、駆動電流iの1次成分iと、2次成分iと、3次成分iとを定めるにあたり、図1に示す制御装置5は、トルクの指令値Tcから駆動電流iを求める。次に、制御装置5は、例えば、式(18)から直流成分iと1次成分iとを決定する。
この場合、制御装置5は、トルクの指令値Tcから求めた駆動電流iと、直流成分iと1次成分iとの比率から、直流成分iと1次成分iとを決定する。本実施形態では、例えば、駆動電流iの波形の最小値が0以上、好ましくは正の値になるように、直流成分iと1次成分iとの比率を決定する。
この場合、例えば、式(9)、式(10)及び式(18)を用いて駆動電流iの1次成分i、2次成分i及び3次成分iと直流成分iとの比がすべて定まる。このようにすることで、比較的容易に駆動電流iの直流成分iと、駆動電流iの1次成分iからn次成分i(本実施形態ではn=3)とを定め、駆動電流iの波形を正の値、好ましくは完全に正の値にすることができる。電流相方向が可能な場合、駆動電流iは、正負両方をまたぐ波形としてもよい。直流成分iと1次成分iからn次成分iとの比率は前述した比率に限定されるものではない。直流成分iと1次成分iからn次成分iとの比率は一定にされてもよいし、変更されてもよい。この場合、例えば、直流成分iと1次成分iからn次成分iとの比率は、回転電機1の負荷又は温度等といった運転条件に応じて変更されてもよい。駆動電流iの直流成分iと、駆動電流iの1次成分iと、2次成分iと、3次成分iとを定める方法は、前述した方法に限定されるものではない。
図1に示す制御装置5は、前述した本実施形態に係る回転電機の制御方法の処理を実行する。すなわち、制御装置5は、回転電機1の半径方向力Frの3次成分が予め定められた閾値以下、好ましくは0となるように、かつ回転電機1のトルクの直流成分Ft(0)が回転電機1に対するトルクの指令値Tcとなるように、駆動電流iの直流成分i及び1次成分iからn次成分i(本実施形態ではn=2)を求める。このようにすることで、制御装置5は、回転電機1にトルクの指令値Tcに対応したトルクを出力させ、かつ3次の半径方向力Frを低減することができる。
3次の半径方向力Frを低減する場合を図8に示す。電流周波数の3倍の周波数を有する振動を抑制するために必要な半径方向力Frは、Frndのような台形状波形となる。固定子2の外周部に働く半径方向力Frsは、三相分を加算することにより直流成分のみとなる。このFrndを生成するために、回転電機1の電気角θ、駆動電流i及び半径方向力Frとの関係を求めてマップ化してもよい。しかし、この手法によると、電気角毎及び回転電機1のトルク毎に瞬時の駆動電流iの情報が必要になるため、前述したマップに含まれる情報が膨大になる。その結果、図1に示す制御装置5のハードウエア資源の負荷が増加する。具体的には、前述したマップが、制御装置5が備える記憶装置の記憶領域を占有する割合が多くなる。
また、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、前述した式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)から、回転電機1に供給する駆動電流iを求めることができる。本実施形態に係る回転電機の制御方法を実現する場合、制御装置5は、前述した式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)を自身の記憶装置に記憶していればよい。前述した式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)についての情報は、前述したマップと比較すると、大幅に情報量が少ない。このため、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、これを実現するために制御装置5の記憶装置に記憶される情報を大幅に低減して、ハードウエア資源の負荷を低減できる。
<評価>
本実施形態に係る回転電機の制御方法を評価した。本実施形態の評価例を実施例というものとする。
図10は、本実施形態の実施例と比較例との駆動電流iの波形を示す図である。図10中の実線Pは本実施形態の実施例による駆動電流iの波形であり、点線Sは比較例による駆動電流iの波形である。実施例の駆動電流iは、直流成分iと1次成分iとが等しくされた上で、1次成分iと式(9)、式(10)、式(11)、式(12)及び式(18)とから駆動電流iの直流成分i、1次成分i、2次成分i及び3次成分iが求められたものである。比較例の駆動電流iは、直流成分iに、1次成分iとsinθとの積のみを加算することにより求められたものである。実施例及び比較例は、回転電機1が同一のトルクを出力するときの駆動電流iの波形である。
図11は、本実施形態の実施例と比較例との半径方向力Frを示す図である。実施例は、図10の実施例に係る駆動電流iの波形が回転電機1に与えられて駆動された結果得られた半径方向力Frであり、比較例は、図10の比較例に係る駆動電流iの波形が回転電機1に与えられて駆動された結果得られた半径方向力Frである。実施例及び比較例ともに、回転電機1の固定子2が有するA相のティース2Tに作用する半径方向力Frである。図11の横軸は、振動成分の次数を示している。図11の結果から、実施例は、比較例に対して半径方向力Frの3次の高調波成分を大幅に低減できていることが分かる。
図12は、本実施形態の実施例及び比較例において、回転電機1の固定子2の外周部に作用する半径方向力Frsを示す図である。図12の実線Pで示す波形は、実施例に係る半径方向力Frsの波形であり、点線Sで示す波形は、比較例に係る半径方向力Frsの波形である。いずれも、回転電機1の固定子2が備えるA相、B相及びC相のティース2Tそれぞれに作用する半径方向力Frsを加算した値を示している。図12の結果から、比較例は、半径方向力Frsの3次の高調波成分が固定子2に作用していることが分かる。これに対して、実施例は、半径方向力Frsの周期性が低減され、かつ脈動が小さくなっている。このように、実施例は、比較例に対して、半径方向力Frsの3次の高調波成分を大幅に低減できていることが分かる。
本実施形態の実施例は、半径方向力Frsの3次の高調波成分を大幅に低減できた。このため、制御装置5が本実施形態に係る回転電機の制御方法を用いて回転電機1を制御することにより、抑制した半径方向力Frsの3次の高調波成分と同一の周波数で回転電機1が共振することによって生じる振動及びこれに起因する騒音を抑制することができる。また、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、無電圧区間を設けて逆位相の振動を発生させて振動を打ち消すものではない。このため、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、回転電機1が高速で回転している場合若しくは多極である場合等のように電流周波数が高い場合又は回転電機1の質量が大きい等の理由で回転電機1の固有振動数が低い場合であっても、駆動電流の周期に無電圧区間が与える影響を排除できる。その結果、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、回転電機1の回転特性に与える影響を抑制できる。すなわち、本実施形態に係る回転電機の制御方法は、回転電機1が高い回転速度(単位時間あたりの回転数)で運転されている場合、回転電機1が多極化された場合又は回転電機1の固有振動数が低い場合等であっても、駆動電流iの波形が受ける影響が小さいという利点もある。
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、振動及び騒音が大きくなりやすいSRMに好適であるが、回転電機1がSRMでない場合でも、振動及び騒音を低減できるという効果が得られる。本実施形態に係る回転電機の制御方法は、例えば、SRMと同様の集中巻構造のIPM(Interior Permanent-magnet Motor)及びシンクロナスリラクタンスモータへの適用も可能である。
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、振動及び騒音が大きくなりやすい三相のSRMに好適であるが、回転電機1が三相でない場合でも、振動及び騒音を低減できるという効果が得られる。例えば、式(4)に式(2)の駆動電流iを代入し、回転電機1の相数j×θの項を0とする。すなわち、回転電機1の固定子2と回転子3との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力Frのj次成分が予め定められた閾値以下、好ましくは0となるようにする。このようにすることで、任意の相数において、振動及び騒音を低減できる駆動電流iの1次成分iからn次成分iの関係を得ることができる。jは回転電機1の相数の整数倍の数であり、具体的には0よりも大きい整数倍の数である。なお、本実施形態は、相数j=3の場合である。
(実施形態2)
実施形態2は、図1に示す回転電機1の固定子2と回転子3との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力Frのj次成分が、予め定められた閾値以下、好ましくは0となるように、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、前述した正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定された、回転電機1に供給される駆動電流i(θ)の直流成分iと基本波及び高調波の電流成分i、i・・・iとを求め、かつ基本波の位相差及び高調波の位相差を求める。電流成分iが基本波の電流成分であり、電流成分i・・・iが高調波の電流成分である。図1に示す制御装置5は、得られた直流成分iと基本波及び高調波の電流成分i、i・・・iと、基本波の位相差及び高調波の位相差とで規定される駆動電流i(θ)を用いて、回転電機1を制御する。後述するように、基本波の位相差は0としてもよい。
<回転電機の制御方法>
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、回転電機1に供給される駆動電流i(θ)を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、前述した高調波及び電流成分の積との和で規定する。本実施形態において、駆動電流i(θ)を規定するための正弦波の基本波及び高調波には、位相差が含まれる。位相差は、図2に示す固定子2のティース2Tと回転子3ティース3Tとが対向した場合を0(度又はrad.)とする。駆動電流i(θ)を、式(20)に示す。式(20)を一般化すると、駆動電流i(θ)は、式(21)のように記載できる。実施形態1と同様に、駆動電流iは、回転電機1の電気角θの関数である。本実施形態では、駆動電流をi(θ)と表現する。式(21)において、正弦波の基本波はk=1、高調波はk=2以上である。
i(θ)=i+i×sin(θ+φ)+i×sin(2×θ+φ)+i×sin(3×θ+φ)・・(20)
i(θ)=i+Σi×sin(k×θ+φ):{k=1、2、・・・n}・・(21)
式(20)中、i、i、i及びiは、実施形態1と同様なので説明を省略する。位相差φは駆動電流i(θ)の1次の基本波の位相差であり、位相差φは駆動電流i(θ)の2次の高調波の位相差であり、位相差φは駆動電流i(θ)の3次の高調波の位相差である。位相差φ、位相差φ2及び位相差φは、いずれも電気角である。次に、本実施形態に係る回転電機1の制御において、駆動電流i(θ)を求める方法を説明する。
<駆動電流i(θ)を求める方法>
実施形態1で説明したように、半径方向力Frは、駆動電流i(θ)の3次成分までに対して支配的であるため、本実施形態では、駆動電流i(θ)を求めるにあたって、式(20)を用いた(n=3)。もちろんnが4以上も有用であるが、複雑になるため本実施形態ではn=3までについて説明する。回転電機1の効率改善及び出力増加の観点からは、基本波の位相差φは0であることが好ましい。このため、本実施形態においてはφ=0としたが、φ=0以外を除外するものではなく、例えば位相を少し進めることによって電流制御によって発生する電流制御遅れを補償してもよい。本実施形態では、回転電機1に磁気飽和が発生するまでと、回転電機1に磁気飽和が発生した後とに分けて駆動電流i(θ)を求める。回転電機1に磁気飽和が発生するときの駆動電流をicとすると、回転電機1に磁気飽和が発生するまでは0≦i(θ)<icであり、磁気飽和が発生した後はic≦i(θ)となる。
1.回転電機1に磁気飽和が発生するまで
図13は、本実施形態に係る回転電機1の制御方法において、駆動電流i(θ)を求める手順を示すフローチャートである。図14は、駆動電流i(θ)を求める演算装置7を示す図である。回転電機1に磁気飽和が発生していない場合、回転電機1のトルクFt及び半径方向力Frは、駆動電流i(θ)の2乗と、ほぼ比例関係にある。駆動電流i(θ)を求めるにあたって、駆動電流i(θ)の各項の係数である直流成分iと、基本波及び高調波の電流成分i、i、iと、位相差φ、φとが求められる。これらの係数は、図1及び図13に示す制御装置5が求めてもよいが、本実施形態では、例えば図14に示す演算装置7がこれらの係数を予め求める例を説明する。演算装置7は、例えばコンピュータである。演算装置7が求めた駆動電流i(θ)の係数により規定された駆動電流i(θ)は、例えば制御装置5の記憶部5Mに記憶される。制御装置5の処理部5Cは、記憶部5Mに記憶された駆動電流i(θ)に基づき、駆動回路6を介して回転電機1を制御する。
駆動電流i(θ)は、演算装置7によってオフラインで予め算出することもできるが、オンラインでリアルタイムに算出することもできる。また、駆動電流i(θ)は、加速度センサ、速度センサ及び振動センサ等を回転電機1に取り付け、回転電機1の振動が抑制されるように電流波形をフィードバック若しくはフィードフォワード又は学習制御若しくは適応制御を用いて決定されてもよい。適応制御を用いて振動及び騒音等を閾値以内にしつつ、さらに回転電機1の効率の最適化、駆動電流の極小化及びトルクリプルの最小化等を実現することも可能である。
駆動電流i(θ)を求めるにあたり、ステップS101において、駆動電流i(θ)の係数が任意の値に定められる。本実施形態においては、例えば基本波の電流成分iが固定値として定められる。基本波の電流成分i以外、すなわち直流成分i、2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iは、任意の値が仮の値として定められる。位相差φ、φも、任意の値が仮の値として定められる。固定値は、例えば1.0A(アンペア)である。本実施形態においては、基本波の電流成分iを固定値としたが、基本波の電流成分i以外を固定値としてもよい。
演算装置7は、ある位相差φ、φのときに2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iを変化させて、半径方向力のj次成分を求める。本実施形態でも、実施形態1と同様にj=3である。半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下になったときの2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iは、前述したある位相差φ、φのときにおける駆動電流i(θ)の係数、具体的には2次の高調波の電流成分及び3次の高調波の電流成分となる。
駆動電流i(θ)の係数である直流成分iと、基本波及び高調波の電流成分i、i、iと、位相差φ、φが定められたら、ステップS102に進み、演算装置7は、ステップS101で定められた係数によって規定される駆動電流i(θ)を用いて半径方向力Frの3次成分Fr3を求める。以下、半径方向力Frの3次成分Fr3を、適宜半径方向力3次成分Fr3と称する。回転電機1に磁気飽和が発生するまでは、半径方向力Frは、回転電機1の駆動電流i(θ)の2乗に比例する。
半径方向力3次成分Fr3は、例えば、次のような方法で求めることができる。まず、回転電機1が備える固定子2及び回転子3の寸法、形状及び極数等といった回転電機1の仕様に基づいて数値解析用の解析モデルを作成する。数値解析には、例えば有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いることができる。演算装置7は、作成された解析モデルに、現時点で計算に用いている係数によって規定される駆動電流i(θ)を与えて、電気角θが0(rad.)から2×π(rad.)の範囲で半径方向力Frを求める。次に、演算装置7は、得られた半径方向力Frを高速フーリエ変換(Fast Fourie Transform:FFT)することにより、半径方向力3次成分Fr3を得ることができる。半径方向力3次成分Fr3は、演算装置7によってリアルタイムで計算されてもよいが、予めオフラインで計算されてもよく、予め実験により計測されてもよい。
半径方向力3次成分Fr3が求められたら、ステップS103に進み、演算装置7は、半径方向力3次成分Fr3と、予め定められた半径方向力3次成分Fr3の閾値Fr3cとを比較する。閾値Fr3cは、例えば、回転電機1の騒音の観点から半径方向力3次成分Fr3が許容できる範囲であればよく、限定されるものではない。閾値Fr3cは0であってもよい。
半径方向力3次成分Fr3が閾値Fr3cよりも大きい場合(ステップS103、No)、ステップS104に進む。ステップS104において、演算装置7は、2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iを変更する。そして、演算装置7は、ステップS102に戻り、変更後の2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iと、現時点の直流成分iと、現時点の位相差φ、φとによって規定される駆動電流i(θ)を用いて半径方向力Frの3次成分Fr3を求める。2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iを変更する場合、√(i +i )が最小になるようにしてもよい。このようにすれば、回転電機1が消費する銅損を低減できるので好ましい。
演算装置7は、半径方向力3次成分Fr3が閾値Fr3c以下になるまで、ステップS102からステップS104を繰り返す。半径方向力3次成分Fr3が閾値Fr3c以下になったら(ステップS103、Yes)、ステップS105に進み、演算装置7は、駆動電流i(θ)の最小値の絶対値が、閾値Rth以下になっているかを判定する。本実施形態において、閾値Rthは、実用的に0と見なすことができる微少な値である。SRMが標準的なハーフブリッジ回路によるインバータで駆動される場合、駆動電流i(θ)は正の値のみが出力可能であるが、ステップS105によって電気角によらず、駆動電流i(θ)を実用的に正の値とすることができる。なお、電流相方向が可能である場合、駆動電流i(θ)は、正負両方をまたぐ波形としてもよい。
ステップS105の判定において、演算装置7は、駆動電流i(θ)の直流成分i_nを求める。直流成分i_nは、ステップS105で判定されるiの候補値である。直流成分i_nは、式(22)に、基本波の電流成分iと、ステップS102からステップS104を実行することによって得られた2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iと、現時点で計算に用いている位相差φ、φとを与えて得られる値のうち、電気角θが0(rad.)から2×π(rad.)の範囲の最小値の、正負を逆転させた値である。電流成分iは、ステップS101においてすでに与えられている。
_n=−{i×sin(θ+φ)+i×sin(2×θ+φ)+i×sin(3×θ+φ)}・・(22)
演算装置7は、直流成分i_nの絶対値が、予め定められた閾値Rthよりも大きい場合、ステップS105において、電気角θが0(rad.)から2×π(rad.)の範囲で駆動電流i(θ)が0よりも小さくなる場合がある又は必要以上に大きな駆動電流i(θ)が発生すると判定する(ステップS105、No)。この場合、演算装置7は、ステップS106において、現時点において仮に定められた直流成分iを変更し、直流成分i_nの絶対値が予め定められた閾値Rth以下になるまで、ステップS102からステップS105を繰り返す。
演算装置7は、直流成分比が予め定められた閾値Rth以下である場合、ステップS105において、電気角θが0(rad.)から2×π(rad.)の範囲で駆動電流i(θ)が0以上であり、また必要以上に大きな駆動電流i(θ)が発生しないと判定する(ステップS105、Yes)。この場合、演算装置7は、ステップS107において、ステップS105でYesと判定されたときにおける直流成分i、2次の高調波の電流成分i及び3次の高調波の電流成分iを、現時点で計算に用いている位相差φ、φに対応した電流成分として決定する。
ステップS108に進み、演算装置7は、現時点で計算に用いている位相差φ、φを変更する。位相差φ、φは、いずれも0(rad.)からπ(rad.)まで変化する。演算装置7は、例えば、ある位相差φ、φでの電流成分が決定される毎に、予め定められた角度ずつ位相差φ、φを0(rad.)からπ(rad.)の範囲で変更しながらステップS102からステップS107を実行することにより、それぞれの位相差φ、φでの電流成分を求める。このようにすることで、演算装置7は、位相差φ、φがいずれも0(rad.)からπ(rad.)の範囲で、各位相差φ、φに対応した電流成分が求められる。ステップS109において、すべての位相差φ、φについて電流成分が求められていない場合(ステップS109、No)、演算装置7はステップS102からステップS109を繰り返す。ステップS109において、すべての位相差φ、φについて電流成分が求められたら(ステップS109、Yes)、駆動電流i(θ)を求める処理が終了する。
位相差φは、0(rad.)以上π(rad.)以下の範囲でM個、位相差φは、0(rad.)以上π(rad.)以下の範囲でN個存在するとする。M、Nは1以上の整数である。駆動電流i(θ)の係数(i、i、i、i、φ、φ)の組み合わせは、M×N個存在する。これらの組み合わせの中から、例えば、回転電機1の効率が最も高くなる係数の組み合わせの駆動電流i(θ)を選択することにより、回転電機1の効率を向上させることができる。また、回転電機1のトルクが最も大きくなる係数の組み合わせの駆動電流i(θ)を選択することにより、回転電機1から最大のトルクを出力させることができる。
式(20)に位相差φ=0、位相差φ=0及び位相差φ=0を与えることにより、実施形態1の式(1)が得られる。すなわち、実施形態1は、本実施形態において、位相差φ=φ=φ=0とした場合に相当する。本実施形態は、位相差φ=0及び位相差φ=0を変更することにより、実施形態1よりも、回転電機1の性能を向上させる余地があるので、より好ましい。
前述した方法により、回転電機1に供給される駆動電流i(θ)の係数(i、i、i、φ、φ)が決定され、駆動電流i(θ)が決定されると、駆動電流i(θ)が式(24)のように定まる。回転電機1が発生するトルクFtは、前述した式(13)に示すように、回転電機1の電気角θと駆動電流iとによる関数Ktで表される。回転電機1に磁気飽和が発生するまでは、トルクFtは、駆動電流i(θ)の2乗にほぼ比例するので、関数Ktは、例えば、K(θ)×i(θ)のように書き表すことができる。K(θ)は係数であり、電気角θの関数となる。回転電機1が発生するトルクFtの平均値Ftaは、電気角θが0から2×π(rad.)まで変化するときの平均値であり、式(25)で求めることができる。
i(θ)=i+sin(θ)+i×sin(2×θ+φ)+i×sin(3×θ+φ)・・(24)
Fta=(1/(2×π))×∫(K(θ)×i(θ))dθ;{0≦θ≦2×π}・・(25)
回転電機1が発生する単位トルクあたりに必要な駆動電流iu(θ)は、式(25)で得られたトルクFtaを用いて、式(26)によって求めることができる。本実施形態において、単位トルクは1N・mとする。
iu(θ)=i/√Fta+1/√Ta×sin(θ)+i/√Fta×sin(2×θ+φ)+i/√Fta×sin(3×θ+φ)・・(26)
回転電機1に与えるトルクの指令値Tcを用いると、回転電機1の駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)は、式(27)で求めることができる。すなわち、指令値ic(θ)は、トルクの指令値Tcと、図14に示す演算装置7によって求められた駆動電流i(θ)の係数(i、i、i、i、φ、φ)の組み合わせが用いられた、単位トルクあたりに必要な駆動電流iu(θ)とで求めることができる。
ic(θ)=√Tc×iu(θ)・・(27)
図14に示す制御装置5は、例えば、記憶部5Mに記憶した式(27)に基づいて回転電機1の駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)を生成する。そして、制御装置5は、生成した指令値ic(θ)を、駆動回路6を介して回転電機1に与えることにより、回転電機1を制御する。次に、回転電機1に磁気飽和が発生した後に、駆動電流i(θ)を求める方法を説明する。
2.回転電機1に磁気飽和が発生した後
回転電機1に磁気飽和が発生すると、回転電機1のトルクFt及び半径方向力Frと駆動電流i(θ)との比例関係が成立しなくなる。このため、回転電機1に磁気飽和が発生した後は、例えば、基本波の電流成分iを、回転電機1に磁気飽和が発生するときの駆動電流icから回転電機1に供給される最大の駆動電流imaxの範囲で変化させ、それぞれの電流成分iに対して、直流成分iと、高調波の電流成分i、iと、位相差φ、φとを求める。
図15は、本実施形態に係る回転電機1の制御方法において、駆動電流i(θ)を求める手順を示すフローチャートである。駆動電流i(θ)を求めるにあたり、ステップS201において、駆動電流i(θ)の係数が任意の値に定められる。本実施形態においては、前述したように、例えば基本波の電流成分iが、回転電機1に磁気飽和が発生するときの駆動電流ic以上の値に定められる。本実施形態では、基本波の電流成分iを、駆動電流ic以上最大の駆動電流imax以下の範囲で、予め定められた大きさ毎に変化させ、例えばL個の電流成分iについて、電流成分i以外の係数を求める。Lは1以上の整数である。L=1である場合、基本波の電流成分iは、回転電機1に磁気飽和が発生するときの駆動電流icよりも大きいことが好ましい。
ステップS202からステップS209は、回転電機1に磁気飽和が発生するまでと同様なので、説明を省略する。ステップS209において、すべての位相差φ、φについて電流成分が求められたら(ステップS209、Yes)、ステップS210において、演算装置7は、基本波の電流成分iを変更する。ステップS211に進み、すべての電流成分iについて、電流成分i以外の係数が求められていない場合(ステップS211、No)、演算装置7はステップS202からステップS211を繰り返す。ステップS211において、すべての電流成分iについて電流成分i以外の係数が求められたら(ステップS211、Yes)、駆動電流i(θ)を求める処理が終了する。
前述した方法により、回転電機1に磁気飽和が発生するときの駆動電流icから回転電機1に供給される最大の駆動電流imaxの範囲で、L個の基本波の電流成分iそれぞれについて、それぞれ係数(i、i、i)が得られる。回転電機1の効率及び騒音等の観点から、L個の基本波の電流成分iそれぞれについて、位相差φと位相差φとの組み合わせが選択される。結果として、係数(i、i、i、i、φ、φ)の組み合わせがL組定まるので、それぞれの係数(i、i、i、i、φ、φ)の組み合わせで規定される、L個の駆動電流i(θ)が得られる。駆動電流i(θ)は、式(28)で示すようになる。
i(θ)=i+i×sin(θ)+i×sin(2×θ+φ)+i×sin(3×θ+φ)・・(28)
図16は、トルクの指令値Tcと駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)との関係を記述したテーブル8の一例を示す図である。駆動電流i(θ)を回転電機1に与えたときに回転電機1が発生するトルクFtは、例えば、コンピュータで数値シミュレーションを実行することにより求めることができる。このため、回転電機1に与えるトルクの指令値Tcと駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)との関係を求めて、図16に示すような両者の関係を記述したテーブル8を作成することができる。
テーブル8は、L個のトルクの指令値Tcと駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)との関係が記述されている。テーブル8に記述されるトルクの指令値Tcと駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)との関係は離散的であるため、両者の関係が存在しない部分は、例えば補間によって求められる。このテーブル8を図14に示す制御装置5の記憶部5Mに記憶させる。制御装置5は、記憶部5Mに記憶したテーブル8を参照して、トルクの指令値Tcから駆動電流i(θ)の指令値ic(θ)を生成する。そして、制御装置5は、生成した指令値ic(θ)を、駆動回路6を介して回転電機1に与えることにより、回転電機1を制御する。
このように、本実施形態では、回転電機1に磁気飽和が発生するまでと、回転電機1に磁気飽和が発生した後とで駆動電流i(θ)を求めることにより、回転電機1の駆動電流i(θ)が0から最大の範囲まで駆動電流i(θ)を求めることができる。また、本実施形態では、位相差φ、φ、φ、特に位相差φ、φを変更することにより、回転電機1の効率又はトルクの向上と騒音の低減との両方を実現することができる。また、位相差φ、φ、φ、特に位相差φ、φを変更することにより、駆動電流i(θ)の実効値を低減したり、回転電機1のトルクリプルを低減したり、駆動電流i(θ)のピーク値を低減したりすることもできる。また、電流周波数の3倍の周波数の電力だけでなく、6倍の周波数の電磁力を最小化したり、閾値以下に低減したりすることもできる。
本実施形態では、位相差φを0としたが、例えば、位相差φも、位相差φ、φと同様に0(rad.)からπ(rad.)の範囲で変更させながら、前述したステップS102からステップS107又はステップS202からステップS207を実行することにより、それぞれの位相差φ、φ、φでの電流成分を求めてもよい。本実施形態では、駆動電流i(θ)を規定するための正弦波の高調波は3次成分、すなわちn=3としたが、nは3に限定されるものではない。
nを増加することにより電流周波数の6倍、9倍、12倍等の周波数の電磁力を低減することができる。また、回転電機1が4相であれば、4倍、8倍、12倍、16倍等の周波数の電磁力を低減することが重要になり、これらの低減が可能である。5相以上でも、K相であれば、駆動電流i(θ)のK倍の周波数の電磁力脈動を低減することが重要であり、駆動電流i(θ)の各調波の振幅及び位相の少なくとも1つを調整して閾値以下、無限小又は0に低減することができる。
<評価例>
図17は、本発明による駆動電流iと比較例による駆動電流iとを比較した図である。実線は本発明による駆動電流iの波形であり、破線は比較例による駆動電流の波形である。比較例は、方形波電流指令値をヒステリシス制御することにより得られた駆動電流iである。いずれも、駆動電流の1周期を0度から360度としている。本発明及び比較例のいずれも、回転電機は等しいトルクを発生している。本発明及び比較例ともに、制御回路は同一仕様のCPUを備えた回路とし、制御周期は100μsec.弱である。ヒステリシス制御は制御周期毎に電流の切り替えが行われている。一方、本発明は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)によるキャリア比較を行っているため、より細かい駆動電流の切り替えが行われている。電流実効値は本発明の方が低減している。
図18は、回転電機の固定子の外周に加速度センサを取り付け、半径方向の振動の加速度を観察した結果を示す図である。実線は、図17に示される本発明の駆動電流を流した際における半径方向の振動の加速度の波形である。破線は、図17に示される比較例の駆動電流を流した際における半径方向の振動の加速度の波形である。比較例の波形を観察すると、駆動電流の周波数の3倍の周波数の成分が支配的であることが分かる。この3倍の周波数の成分は、本発明では大きく低減されている。本発明により得られた振動の加速度の波形をスペクトラム解析すると、本発明に係る駆動電流iの基本波の周波数をj倍した周波数の成分(この例では3倍周波数の成分)の振動の振幅は、比較例の半分以下から最大1割以下まで大きく低減することが分かった。さらに、本発明に係る駆動電流iの基本波の周波数をj倍した値を自然数倍した周波数成分(この例では6倍の周波数成分)の振動の振幅も低減している。jは回転電機の相数の整数倍、具体的には0よりも大きい整数倍である。本発明は、電流制御の次数を向上することにより、さらに、駆動電流iの基本波の周波数を9倍、12倍又は15倍等した周波数成分の振動の振幅も低減できる。加速度センサは直流成分を検出することができないため、本発明は、高い周波数成分だけが残っているが、これらは可聴周波数より高いので、問題はないと考えられる。
<建設機械に対する適用例>
図19は、実施形態1又は実施形態2に係る回転電機の制御方法を実現する回転電機の制御装置を備えた建設機械の一例を示す図である。次においては、建設機械として、ハイブリッド油圧ショベル10を例として説明するが、実施形態1又は実施形態2に係る回転電機の制御方法及びこれを実現する回転電機の制御装置の適用対象は、ハイブリッド油圧ショベル10に限定されるものではなく、ハイブリッドホイールローダー又は電気式ダンプトラック等であってもよい。
ハイブリッド油圧ショベル10は、駆動源としてのエンジン17、油圧ポンプ18及び回転電機1を有する。回転電機1は、発電機及び回転電機として機能する。回転電機1は、SRMである。エンジン17としてディーゼルエンジンが用いられ、油圧ポンプ18として可変容量型油圧ポンプが用いられる。エンジン17の駆動軸20には、油圧ポンプ18及び回転電機1が機械的に連結されており、エンジン17が駆動することで、油圧ポンプ18及び回転電機1が駆動する。
ハイブリッド油圧ショベル10の油圧駆動系は、操作弁33、ブーム用油圧シリンダ14、アーム用油圧シリンダ15、バケット用油圧シリンダ16、右走行用油圧モータ34及び左走行用油圧モータ35等を有している。油圧ポンプ18は、油圧駆動系への作動油供給源となってこれらの油圧機器を駆動する。
電気駆動系は、第1駆動回路21と、第2駆動回路22と、昇圧器26と、キャパシタ25と、旋回モータ23等とを含む。第1駆動回路21は、回転電機1にパワーケーブルを介して接続される。第2駆動回路22は、第1駆動回路21にワイヤリングハーネスを介して接続される。昇圧器26は、第1駆動回路21と第2駆動回路22との間に、ワイヤリングハーネスを介して設けられる。キャパシタ25は、昇圧器26に接続される。旋回モータ23は、第2駆動回路22にパワーケーブルを介して接続される。本実施形態において、第1駆動回路21及び第2駆動回路22は、例えば、インバータである。
旋回モータ23は、機械的にスイングマシナリ24に連結している。回転電機1が発電した電力及びキャパシタ25に蓄えられた電力の少なくとも一方が旋回モータ23を駆動させる電力となる。旋回モータ23は、回転電機1とキャパシタ25との少なくとも一方から供給される電力で駆動されて力行動作することで上部旋回体28を旋回させる。また、旋回モータ23は、上部旋回体28が旋回減速する際に回生動作し、その回生動作により発電された電力(回生エネルギー)をキャパシタ25に供給(充電)する。
回転電機1は、エンジン17によって駆動されて発電した電力をキャパシタ25に供給(充電)するとともに、状況に応じて旋回モータ23に電力を供給する。回転電機1は、エンジン17の出力が不足する場合は回転電機として機能し、エンジン17の出力をアシストする。本実施形態において、回転電機1はSRMであるが、永久磁石を用いた同期回転電機であってもよい。回転電機1は、シャフトがエンジン17の駆動軸20に機械的に結合されている。このような構造により、回転電機1は、エンジン17の駆動によって回転電機1の回転子3軸が回転し、発電する。
昇圧器26は、回転電機1及び旋回モータ23とキャパシタ25との間に設けられる。昇圧器26は、第1駆動回路21又は第2駆動回路22を介して回転電機1又は旋回モータ23に供給される電力(キャパシタ25に蓄えられた電荷)の電圧を昇圧する。昇圧された電圧は、旋回モータ23を力行動作(旋回加速)させる際には旋回モータ23に印加され、エンジン17の出力をアシストする際には回転電機1へ印加される。
回転電機1及び旋回モータ23は、ハイブリッドコントローラC2による制御のもと、それぞれ第1駆動回路21及び第2駆動回路22によってトルク制御される。ハイブリッドコントローラC2は、本実施形態に係る回転電機の制御方法を実行して、回転電機1を制御する。このように、ハイブリッドコントローラC2は、本実施形態に係る回転電機の制御装置として機能する。ハイブリッドコントローラC2は、回転電機1のみならず、旋回モータ23も本実施形態に係る回転電機の制御方法によって制御してもよい。
回転電機1が発電(回生)する場合、ハイブリッドコントローラC2は、前述した式(16)中のトルクの指令値Tcを、例えば負の値とする。また、回転電機1が力行する場合、ハイブリッドコントローラC2は、前述した式(16)中のトルクの指令値Tcを、例えば正の値とする。このように、ハイブリッドコントローラC2は、回転電機1の発電(回生)力行とで、トルクの指令値Tcの符号を反対にする。
ハイブリッドコントローラC2は、キャパシタ25の充電量(電力の量(電荷量又は電気容量))を監視して、回転電機1が発電する電力をキャパシタ25へ供給(充電)するか、旋回モータ23へ供給(力行作用のための電力供給)するかといったエネルギーマネージメントを実行する。
キャパシタ25は、前述したように、回転電機1が発電した電力を少なくとも蓄電する。また、キャパシタ25は、上部旋回体28が旋回減速する際に旋回モータ23が回生動作することによって発電された電力を蓄電する。さらに、旋回モータ23としては、例えば、永久磁石式同期回転電機が用いられるが、これに限定されるものではない。例えば、旋回モータ23にもSRMを用いてもよい。
図17に示すコントローラC1は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置及びメモリ(記憶装置)を組み合わせたものであり、例えば、コンピュータである。コントローラC1は、エンジン17及び油圧ポンプ18を制御する。エンジン17は、コントローラC1によって燃料噴射量が適切に制御されることで、目標とするエンジン出力を得ることが可能である。すなわち、コントローラC1は、ハイブリッド油圧ショベル10の負荷状態に応じて、エンジン17の回転速度及び出力可能なトルクを設定して、エンジン17を駆動する。
ハイブリッドコントローラC2は、CPU等の演算装置及びメモリ(記憶装置)を組み合わせたものであり、例えば、コンピュータである。ハイブリッドコントローラC2は、コントローラC1との協調制御のもと、前述したように第1駆動回路21、第2駆動回路22及び昇圧器26を制御して、回転電機1、旋回モータ23及びキャパシタ25の電力の授受を制御する。ハイブリッドコントローラC2は、本実施形態に係る回転電機の制御方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶装置に記憶している。ハイブリッドコントローラC2は、本実施形態に係る回転電機の制御方法を実行する場合、前述したコンピュータプログラムを記憶装置から読み出し、これに記述されている命令を実行することにより、本実施形態に係る回転電機の制御方法によって回転電機1を制御する。
ハイブリッド油圧ショベル10において、回転電機1は、エンジン17の駆動軸20に結合され、エンジン17と油圧ポンプ18との間に配置される。回転電機1、エンジン17及び油圧ポンプ18は、ハイブリッド油圧ショベル10の車体内に搭載されるが、車体内のスペースには限りがあるため、駆動軸20と平行な方向の寸法は極力小さい方が好ましい。このため、回転電機1は、図1に示す回転中心軸Zrと平行な方向の寸法が小さい。SRMは、回転中心軸Zrと平行な方向の寸法が小さくなると極数が増加して、電流周波数の3倍の周波数での振動及び騒音も増加する傾向がある。
本実施形態に係る回転電機の制御方法は、電流周波数の3倍の周波数の半径方向力Frを抑制できるので、電流周波数の3倍の周波数での振動及び騒音を抑制できる。このため、ハイブリッド油圧ショベル10が回転中心軸Zrと平行な方向の寸法が小さいSRMの回転電機1を搭載する場合、本実施形態に係る回転電機の制御方法及びこれを実現できるハイブリッドコントローラC2を用いれば、回転電機1の騒音及び振動を低減できるので好ましい。
本実施形態に係る回転電機の制御方法及びこれを実現する回転電機の制御装置を建設機械に適用した例を説明したが、本実施形態に係る回転電機の制御方法等の適用対象はこれに限定されない。本実施形態に係る回転電機の制御方法等は、例えば、電動自動車等の電動車両の走行用回転電機又は圧縮機若しくはポンプの駆動用回転電機等に適用されてもよい。
以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
1 回転電機
1S シャフト
2 固定子
2T、2TA、2TB、2TC、2Ta、2Tb、2Tc ティース
3 回転子
3T ティース
4、4A、4B、4C コイル
5 制御装置
6 駆動回路
7 演算装置
8 テーブル
10 ハイブリッド油圧ショベル
21 第1駆動回路
22 第2駆動回路
C2 ハイブリッドコントローラ

Claims (16)

  1. 回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、
    直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流を、前記回転電機に供給する、
    回転電機の制御装置。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  2. 回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、
    かつ前記回転電機のトルクの直流成分が前記回転電機に対するトルクの指令値となるように、
    直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流を、前記回転電機に供給する、
    回転電機の制御装置。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  3. 前記半径方向力は、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの余弦波の基本波及び寄与成分の積と、余弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定され、
    前記トルクは、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの正弦波の基本波及び寄与成分の積と、正弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定される、請求項2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記駆動電流を正の値とする、請求項1又は請求項2に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記駆動電流は式(A)で表され、前記駆動電流の1次成分iと前記駆動電流の2次成分iとの関係は式(B)で表され、前記駆動電流の直流成分iと前記駆動電流の1次成分iと前記トルクの指令値との関係は式(C)で表され、前記駆動電流の1次成分iと前記駆動電流の3次成分iとの関係は式(E)で表される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
    iは前記駆動電流であり、aは式(D)、bは式(F)で表され、式(D)、式(F)中のKr02、Kr12、Kr22は前記半径方向力を記述した式(G)中の係数Kr02、Kr12、Kr22であり、式(C)中のKt12、Kt22は前記トルクを記述した式(H)中の係数Kt12、Kt22であり、Tcは前記トルクの指令値。
    i=i+i×sinθ+i×sin(2×θ)+i3×sin(3×θ)・・(A)
    =a×i・・(B)
    Tc=3×i×i×(Kt12+a×Kt22)・・(C)
    a=−Kr12/{2×Kr02−Kr22±√((2×Kr02−Kr22−Kr12 )}・・(D)
    =b×i・・(E)
    b=−(a×Kr12+Kr22)/(2×Kr02)・・(F)
    Fr=Kr02×i+Kr12×i×cosθ+Kr22×i×cos(2×θ)・・(G)
    Ft=Kt12×i×sinθ+Kt22×i×sin(2×θ)・・(H)
  6. 回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、
    直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定された駆動電流の前記直流成分と前記基本波の電流成分と前記高調波の前記電流成分とが求められ、かつ前記基本波の位相差及び前記高調波の位相差が求められ、
    得られた前記直流成分と、前記基本波の電流成分と、前記高調波の電流成分と、前記基本波の位相差と、前記基本波の前記高調波の位相差とで規定される前記駆動電流を用いて、前記回転電機を制御する、
    回転電機の制御装置。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  7. 前記回転電機の固定子の外周における半径方向の振動の加速度は、前記駆動電流の前記基本波の周波数を前記j倍した周波数成分の振幅が、前記回転電機を方形波の電流指令値で駆動したときと比較して半分以下になる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 前記回転電機は、スイッチトリラクタンスモータである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  9. 三相の回転電機としてのスイッチトリラクタンスモータと、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置と、
    を含む、建設機械。
  10. 回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、
    前記回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、前記駆動電流を前記回転電機に供給する、
    回転電機の制御方法。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  11. 回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、
    前記回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように、かつ前記回転電機のトルクの直流成分が前記回転電機に対するトルクの指令値となるように、前記駆動電流を前記回転電機に供給する、
    回転電機の制御方法。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  12. 前記駆動電流の直流成分及び1次成分からn次成分を求めるにあたっては、前記駆動電流の直流成分と前記駆動電流の1次成分とを求めてから、前記駆動電流のn次成分を求める、請求項11に記載の回転電機の制御方法。
    nは正の整数。
  13. 前記駆動電流を正の駆動電流とする、請求項11又は請求項12に記載の回転電機の制御方法。
  14. 前記半径方向力は、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの余弦波の基本波及び寄与成分の積と、余弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定され、
    前記トルクは、前記固定子のティースと前記回転子のティースとが対向した場合を0度としたときの正弦波の基本波及び寄与成分の積と、正弦波の高調波及び寄与成分の積との和で規定される、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の回転電機の制御方法。
  15. 回転電機に供給する駆動電流を、直流成分と、正弦波の基本波及び電流成分の積と、正弦波の高調波及び電流成分の積との和で規定し、
    回転電機の固定子と回転子との間に発生する半径方向の電磁力である半径方向力のj次成分が予め定められた閾値以下となるように前記駆動電流の前記直流成分と前記基本波の電流成分と前記高調波の電流成分とを求め、かつ前記基本波の位相差及び前記高調波の位相差を求め、
    得られた前記直流成分と、前記基本波の電流成分と、前記高調波の電流成分と、前記基本波の位相差と、前記基本波の前記高調波の位相差とで規定される前記駆動電流を用いて、前記回転電機を制御する、
    回転電機の制御方法。
    jは前記回転電機の相数の整数倍。
  16. 前記回転電機の固定子の外周における半径方向の振動の加速度は、前記駆動電流の前記基本波の周波数をj倍した周波数成分の振幅が、前記回転電機を方形波の電流指令値で駆動したときと比較して半分以下になる、請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の回転電機の制御方法。
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