JP2020188555A - モータ制御装置、電動パワーステアリングシステム、電動ブレーキシステム、電動車両システム - Google Patents

モータ制御装置、電動パワーステアリングシステム、電動ブレーキシステム、電動車両システム Download PDF

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Abstract

【課題】永久磁石同期モータで発生する振動や騒音を効果的に抑制する。【解決手段】モータ制御装置1は、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*を生成する電流指令生成部11と、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に基づいてd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を生成する電流制御部14と、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*に基づいてインバータの動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部18と、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に脈動を重畳してd軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*を補正する電流指令補正部12とを備える。電流指令補正部12は、モータの回転数に基づいて脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させる。【選択図】図2

Description

本発明は、モータ制御装置、電動パワーステアリングシステム、電動ブレーキシステムおよび電動車両システムに関する。
永久磁石同期モータは、ブラシや整流子といった機械的な電流の整流機構を必要とせず、保守が容易な上、小型軽量で効率、力率ともに高いため、電気自動車の駆動・発電等の用途に広く普及している。一般的に永久磁石同期モータは、電機子コイル等で構成される固定子と、永久磁石や鉄心等で構成される回転子から成る。バッテリ等の直流電源から供給される直流電圧をインバータで交流電圧に変換し、永久磁石同期モータの電機子コイルに交流電流を流すことにより、電機子磁束が発生する。この電機子磁束と永久磁石の磁石磁束との間に生じる吸引力・反発力によって発生するマグネットトルクや、回転子を透過する電機子磁束の磁気抵抗を最小化するために発生するリラクタンストルクにより、永久磁石同期モータが駆動される。
永久磁石同期モータには、モータの回転方向(周方向)と、モータの回転軸に対して垂直な方向(径方向)とで、電機子磁束と磁石磁束による電磁力がそれぞれ発生する。上記のトルクは、周方向の電磁力を積分したものであり、これにはモータの磁気回路の構造に起因するトルクの揺らぎ(トルクリプル)が含まれている。一方、モータの径方向に生じる電磁力は、モータの固定子やケースを変形・振動させる加振力(径方向電磁加振力)として作用する。
モータの低回転時には、他の振動・騒音要因が少ないため、トルクリプルに起因する振動・騒音が顕在化する。特に、電気自動車やハイブリッド自動車のような永久磁石同期モータを使用する環境対応自動車では、低回転時にモータの回転子とタイヤとの2慣性系によって車体共振が発生し、振動・騒音が顕著となる場合がある。一方、低回転時を除いたモータの回転数領域では、径方向の電磁力(径方向電磁加振力)は周方向の電磁力と比較して、5〜10倍程度の大きさとなる。そのため、径方向電磁加振力による振動・騒音が支配的となる。
本願発明の関連技術として、特許文献1、2に記載の技術が知られている。特許文献1には、永久磁石同期モータの径方向に働く電磁力(ラジアル力)を低減するd軸電流の補正方法が開示されている。また、特許文献2には、サーボモータのトルクリプル成分と同じ周波数の正弦波を発生する正弦波発生要素をサーボ補償器に挿入し、トルクリプル成分を相殺して低減する方法が開示されている。
特開2014−64440号公報 特開平4−195307号公報
永久磁石同期モータでは、径方向と周方向にそれぞれ発生する電磁力、すなわち上記の径方向電磁加振力およびトルクリプルの両方に起因して、振動・騒音が生じる。これらの原因の振動・騒音に対する寄与度は、モータの機械的特性や回転数に応じて変化する。そのため、特許文献1、2のようにどちらか一方の原因を低減しても、振動・騒音を効果的に抑制することができない場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、永久磁石同期モータで発生する振動や騒音を効果的に抑制することを目的とする。
本発明によるモータ制御装置は、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と接続され、前記交流電力を用いて駆動する交流モータの駆動を制御するものであって、電流指令を生成する電流指令生成部と、前記電流指令に基づいて電圧指令を生成する電流制御部と、前記電圧指令に基づいて前記電力変換器の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部と、前記電流指令に脈動を重畳して前記電流指令を補正する電流指令補正部と、を備え、前記電流指令補正部は、前記交流モータの回転数に基づいて前記脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させる。
本発明による電動パワーステアリングシステムは、上記のモータ制御装置と、前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、前記交流モータを用いて車両のステアリングを制御する。
本発明による電動ブレーキシステムは、上記のモータ制御装置と、前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、前記交流モータを用いて車両のブレーキを制御する。
本発明による電動車両システムは、上記のモータ制御装置と、前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、前記交流モータの駆動力を用いて走行する。
本発明によれば、永久磁石同期モータで発生する振動や騒音を効果的に抑制できる。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を備えたモータ駆動システムの全体構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。 モータの駆動時における振動や騒音の発生とその伝達経路を説明する図である。 モータの構造例を示す図である。 モータにおけるステータの変形について説明する図である。 モータの回転数と円環0次の径方向および周方向の電磁力、および電流位相角との関係の一例を示す図である。 モータの機構解析によって得られた、円環0次の径方向および周方向の単位電磁力あたりの音響パワーへの寄与度の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る電流指令補正部のブロック図である。 重畳dq軸電流振幅演算部のブロック図である。 重畳dq軸電流位相演算部のブロック図である。 重畳dq軸電流指令生成部のブロック図である。 モータが低速回転している場合の脈動電流重畳時の電磁力の計算結果を示す図である。 モータが高速回転している場合の脈動電流重畳時の電磁力の計算結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る電動制御型ブレーキの構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリングの構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る電動車両システムの構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されて使用されるモータ駆動システムへの適用例について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を備えたモータ駆動システムの全体構成図である。図1において、モータ駆動システム100は、モータ制御装置1、永久磁石同期モータ(以下、単に「モータ」と称する)2、インバータ3、回転位置検出器41、高圧バッテリ5を備える。
モータ制御装置1は、車両から要求される目標トルクに応じたトルク指令T*に基づいて、モータ2の駆動を制御するためのゲート信号を生成し、インバータ3に出力する。なお、モータ制御装置1の詳細については後で説明する。
インバータ3は、インバータ回路31、PWM信号駆動回路32および平滑キャパシタ33を有する。PWM信号駆動回路32は、モータ制御装置1から入力されるPWM制御信号に基づいて、インバータ回路31が有する各スイッチング素子を制御するためのPWM信号を生成し、インバータ回路31に出力する。インバータ回路31は、U相、V相、W相の上アームおよび下アームにそれぞれ対応するスイッチング素子を有している。PWM信号駆動回路32から入力されたPWM信号に従ってこれらのスイッチング素子がそれぞれ制御されることで、高圧バッテリ5から供給される直流電力が交流電力に変換され、モータ2に出力される。平滑キャパシタ33は、高圧バッテリ5からインバータ回路31に供給される直流電力を平滑化する。
モータ2は、インバータ3から供給される交流電力により回転駆動される同期モータであり、固定子および回転子を有する。インバータ3から入力された交流電力が固定子に設けられた電機子コイルLu、Lv、Lwに印加されると、モータ2において三相交流電流Iu、Iv、Iwが導通し、各電機子コイルに電機子磁束が発生する。この各電機子コイルの電機子磁束と、回転子に配置された永久磁石の磁石磁束との間で吸引力・反発力が発生することで、回転子にトルクが発生し、回転子が回転駆動される。
モータ2には、回転子の回転位置θを検出するための回転位置センサ4が取り付けられている。回転位置検出器41は、回転位置センサ4の入力信号から回転位置θを演算する。回転位置検出器41による回転位置θの演算結果はモータ制御装置1に入力され、モータ制御装置1がモータ2の誘起電圧の位相に合わせてゲート信号を生成することで行われる交流電力の位相制御において利用される。
ここで、回転位置センサ4には、鉄心と巻線とから構成されるレゾルバがより好適であるが、GMRセンサなどの磁気抵抗素子や、ホール素子を用いたセンサであっても問題ない。また、回転位置検出器41は、回転位置センサ4からの入力信号を用いず、モータ2に流れる三相交流電流Iu、Iv、Iwや、インバータ3からモータ2に印加される三相交流電圧Vu、Vv、Vwを用いて回転位置θを推定してもよい。
インバータ3とモータ2の間には、電流検出手段7が配置されている。電流検出手段7は、モータ2を通電する三相交流電流Iu、Iv、Iw(U相交流電流Iu、V相交流電流IvおよびW相交流電流Iw)を検出する。電流検出手段7は、例えばホール電流センサ等を用いて構成される。電流検出手段7による三相交流電流Iu、Iv、Iwの検出結果はモータ制御装置1に入力され、モータ制御装置1が行うゲート信号の生成に利用される。なお、図1では電流検出手段7が3つの電流検出器により構成される例を示しているが、電流検出器を2つとし、残る1相の交流電流は、三相交流電流Iu、Iv、Iwの和が零であることから算出してもよい。また、高圧バッテリ5からインバータ3に流入するパルス状の直流電流を、平滑キャパシタ33とインバータ3の間に挿入されたシャント抵抗等により検出し、この直流電流とインバータ3からモータ2に印加される三相交流電圧Vu、Vv、Vwに基づいて三相交流電流Iu、Iv、Iwを求めてもよい。
次に、モータ制御装置1の詳細について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置1の機能構成を示すブロック図である。図2において、モータ制御装置1は、電流指令生成部11、電流指令補正部12、三相/dq変換電流制御部13、電流制御部14、dq/三相電圧指令変換部15、速度算出部16、三角波生成部17、ゲート信号生成部18の各機能ブロックを有する。モータ制御装置1は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、マイクロコンピュータにおいて所定のプログラムを実行することにより、これらの機能ブロックを実現することができる。あるいは、これらの機能ブロックの一部または全部をロジックICやFPGA等のハードウェア回路を用いて実現してもよい。
電流指令生成部11は、入力されたトルクT*指令と電源電圧に基づき、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*を演算する。ここでは、例えば予め設定された電流指令マップや数式等を用いて、トルク指令T*に応じたd軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*を求める。
電流指令補正部12は、電流指令生成部11が生成したd軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*をそれぞれ補正し、補正後のd軸電流指令Id2*およびq軸電流指令Iq2*を演算する。このとき電流指令補正部12は、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に所定の時間次数に応じた脈動をそれぞれ重畳することで、これらの電流指令の補正を行う。なお、電流指令補正部12による電流指令の補正方法の詳細については後述する。
三相/dq変換電流制御部13は、電流検出手段7が検出した三相交流電流Iu、Iv、Iwに対して、回転位置検出器41が求めた回転位置θに基づくdq変換を行い、d軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを演算する。
電流制御部14は、電流指令補正部12から出力される補正後のd軸電流指令Id2*およびq軸電流指令Iq2*と、三相/dq変換電流制御部13から出力されるd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqとの偏差に基づき、これらの値がそれぞれ一致するように、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を演算する。ここでは、例えばPI制御等の制御方式により、補正後のd軸電流指令Id2*とd軸電流値Idの偏差に応じたd軸電圧指令Vd*と、補正後のq軸電流指令Iq2*とq軸電流値Iqの偏差に応じたq軸電圧指令Vq*とを求める。
dq/三相電圧指令変換部15は、電流制御部14が演算したd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*に対して、回転位置検出器41が求めた回転位置θに基づく三相変換を行い、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*(U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*)を演算する。
速度算出部16は、回転位置θの時間変化から、モータ2の回転速度(回転数)を表すモータ回転速度ωrを演算する。なお、モータ回転速度ωrは、角速度(rad/s)または回転数(rpm)のいずれで表される値であってもよい。また、これらの値を相互に変換して用いてもよい。
三角波生成部17は、モータ回転速度ωrとトルク指令T*に基づき、所定のキャリア周波数の三角波信号(キャリア信号)Trを生成する。
ゲート信号生成部18は、dq/三相電圧指令変換部15から出力される三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と、三角波生成部17から出力される三角波信号Trとの比較結果に基づき、U相、V相、W相の各相に対してパルス状の電圧を生成する。そして、生成したパルス状の電圧に基づき、インバータ3の各相のスイッチング素子に対するゲート信号を生成する。このとき、各相の上アームのゲート信号Gup、Gvp、Gwpをそれぞれ論理反転させ、下アームのゲート信号Gun、Gvn、Gwnを生成する。ゲート信号生成部18が生成したゲート信号は、モータ制御装置1からインバータ3のPWM信号駆動回路32に出力され、PWM信号駆動回路32によってPWM信号に変換される。これにより、インバータ回路31の各スイッチング素子がオン/オフ制御され、インバータ3の出力電圧が調整される。
次に、モータ制御装置1における電流指令補正部12の動作について説明する。電流指令補正部12は、前述のようにd軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に所定の時間次数に応じた脈動をそれぞれ重畳することで、電流指令の補正を行う。このとき電流指令補正部12は、モータ2において発生する振動や騒音を打ち消すように、モータ2の回転数やトルク指令T*に基づいて電流指令に重畳する脈動の振幅および位相を調整する。
図3は、モータ2の駆動時における振動や騒音の発生とその伝達経路を説明する図である。図3(a)に示すように、モータ2は、モータ取付部によりたとえば車両ボディ等の構造物に設置される。モータ2の駆動時には、出力軸であるシャフトに接続された減速ギアの噛み合い力の変化やシャフトのねじれなどにより、シャフトに対して周方向(軸周り方向)に軸振動(トルク脈動)が発生する。また、モータ2の径方向および周方向には、それぞれの電磁力に応じた加振力(電磁加振力)により、電磁騒音となる振動がそれぞれ発生する。これらの振動の大きさは、モータ2を含む構造系の固有モードと固有周波数によって異なり、モータ2の動作点に応じて変化する。
モータ2の駆動時における振動は、図3(b)に示すように、モータ取付部等の構造伝達系を経由して車両側に入力され、振動や騒音を発生させる。その要因は、例えば以下のようなものである。
<モータ構造系に固有の電磁力>
図4は、モータ2の構造例を示す図である。図4に示すように、モータ2は、例えばステータ、ステータティース、ロータ、磁石を含んで構成される。本例では、ロータ内に磁石が埋め込まれている埋込磁石型モータ(IPM)の例を示しているが、ロータ表面に磁石が取り付けられている表面磁石型モータ(SPM)や、他の方式の同期モータであってもよい。こうしたモータ構造系に固有の電磁力に起因して発生する振動や騒音は、ステータのスロット数や磁石の極数に応じて定まる。
図4では、スロット数が48、磁石の極数が8極(4極対)である場合のモータ2の例を示している。この場合、モータ2のロータが機械的に1回転する間に、1相あたりの極数は8回変化する。したがって、U相、V相、W相の3相分で考えると、1相あたりの極数は24回変化することになる。この1回転当たりの極数の変化回数は、時間次数や回転次数と呼ばれる。
一般的に同期モータでは、モータの回転周波数に対して、時間次数(回転次数)の倍数の周波数で振動が発生する。すなわち、図4に示す構造のモータ2の場合、回転周波数の24次、48次、・・・の周波数で振動が発生することになる。ここで、モータ2の極対数は上記の通り4であるため、モータ2の電気角周波数は回転周波数の4倍である。したがって、上記の振動が発生する周波数の次数は、電気角周波数の6の倍数となる。
上記の振動は、モータ構造系に固有の電磁力、すなわちモータ2のステータの構造や極数に応じて定まる電磁力に起因して生じるものである。この振動の周波数はモータ2の回転数(回転周波数)に依存して定まり、モータ2が低回転の場合は低く、高回転の場合は高くなる。なお、モータ構造系に固有の電磁力は、モータの回転方向(周方向)と、モータのロータと電機子コイル等とが吸引し合う方向(径方向)との2方向に作用する。
<モータ構造系の固有モード>
図5は、モータ2におけるステータの変形について説明する図である。図5に示すように、モータ2のステータは、ロータの回転に応じて周方向と径方向にそれぞれ生じる前述のモータ構造系に固有の電磁力によって変形する。このステータの変形は、円環0次、2次、4次等の固有モードを有しており、各固有モードに対応する固有周波数が存在する。この円環次数ごとの固有周波数は、モータ2の構造系によって定まる事前予測可能な周波数特性であり、例えばインパルスハンマ等でモータ2を叩いた時の固有値として得られる。なお、2次以上の円環次数では、次数が小さいほどステータが変形しやすい(振れやすい)ため、モータ2において発生する振動が大きくなるという特徴を有する。
図6は、モータ2の回転数と円環0次の径方向および周方向の電磁力、および電流位相角との関係の一例を示す図である。図6に示すように、モータ2の回転数による電流位相角の変化に応じて、モータ2に円環0次の振動を発生させる径方向および周方向の電磁力が変化する。
モータ2では、以上説明したような要因によって径方向および周方向に電磁力がそれぞれ生じることで電磁騒音が発生し、その大きさが回転数に応じて変化する。本実施形態では、電流指令補正部12においてd軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*にそれぞれ重畳する脈動をモータ2の回転数に応じて調整することで、モータ2の駆動時に生じる電磁騒音を低減する。以下では、その具体的な手法を説明する。
なお、以下の説明では、図4に示した8極48スロットのモータ2において円環0次の振動を低減する場合の例について、本実施形態の説明を行うこととする。これは、一般的に8極48スロットのモータでは、図5に示した円環0次の周方向および径方向の電磁力に伴う電磁騒音が支配的なためである。ただし、本発明はモータの種類(分布巻/集中巻、極数、スロット数、円環次数など)に限定されることなく、任意のモータに対して適用可能である。
図7は、モータ2の機構解析によって得られた、円環0次の径方向および周方向の単位電磁力(1Pa)あたりの音響パワーへの寄与度の例を示す図である。図7では、横軸に周波数を示し、縦軸に騒音レベル、すなわち音響パワーの大きさを示している。図7から、モータ2で生じる電磁騒音の要因としては、区間a、cでは周方向の電磁力が支配的であるのに対して、区間bでは径方向の電磁力が支配的であることが分かる。そのため、図7に示すような関係に基づき、径方向と周方向の電磁力をそれぞれ低減することで、任意のモータ回転数における電磁騒音を低減できることが分かる。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る電流指令補正部12のブロック図である。電流指令補正部12は、重畳dq軸電流振幅演算部121、重畳dq軸電流位相演算部122、重畳dq軸電流指令生成部123、減算部124を有する。
重畳dq軸電流振幅演算部121は、トルク指令T*、電源電圧およびモータ回転速度ωrに基づき、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*にそれぞれ重畳する脈動の振幅を演算する。本実施形態では、重畳dq軸電流振幅演算部121は、図4に例示した8極48スロットのモータ2を対象として、前述の時間次数(回転次数)の1倍から4倍までの各次数、すなわち回転周波数を基本波とする24次、48次、72次、96次の各次数について、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に対してそれぞれ重畳する脈動の振幅を演算する。なお図8では、d軸電流指令Id1*に対する脈動の振幅と、q軸電流指令Iq1*に対する脈動の振幅とを併せて、次数ごとに示している。すなわち、図8に示した重畳dq軸電流振幅Idq24、Idq48、Idq72、Idq96は、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に対する24次、48次、72次、96次の各次数での脈動の振幅をそれぞれ表している。
重畳dq軸電流位相演算部122は、トルク指令T*、電源電圧、モータ回転速度ωrおよび回転位置θに基づき、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*にそれぞれ重畳する脈動の位相を演算する。本実施形態では、重畳dq軸電流位相演算部122は、図4に例示した8極48スロットのモータ2を対象として、前述の時間次数(回転次数)の1倍から4倍までの各次数、すなわち回転周波数を基本波とする24次、48次、72次、96次の各次数について、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に対してそれぞれ重畳する脈動の位相を演算する。なお図8では、d軸電流指令Id1*に対する脈動の位相と、q軸電流指令Iq1*に対する脈動の位相とを併せて、次数ごとに示している。すなわち、図8に示した重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96は、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に対する24次、48次、72次、96次の各次数での脈動の位相をそれぞれ表している。
重畳dq軸電流指令生成部123は、重畳dq軸電流振幅演算部121が演算した各次数の脈動の振幅、すなわち重畳dq軸電流振幅Idq24、Idq48、Idq72、Idq96と、重畳dq軸電流位相演算部122が演算した各次数の脈動の位相、すなわち重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96とに基づき、当該脈動に対応する重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*を生成する。
減算部124は、電流指令生成部11が生成したd軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*から、重畳dq軸電流指令生成部123が生成した重畳d軸電流指令Ihd*、重畳q軸電流指令Ihq*をそれぞれ減算する。これにより、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に対して、モータ2の回転数に応じた脈動としての重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*をそれぞれ重畳する。そして、得られた各演算結果を、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*をそれぞれ補正した補正後のd軸電流指令Id2*、q軸電流指令Iq2*として、電流制御部14へ出力する。
図9は、重畳dq軸電流振幅演算部121のブロック図である。重畳dq軸電流振幅演算部121は、回転24次重畳電流振幅マップ1210a、回転48次重畳電流振幅マップ1210b、回転72次重畳電流振幅マップ1210c、回転96次重畳電流振幅マップ1210dを有する。これらの各マップ情報は、電源電圧、トルク指令T*およびモータ回転速度ωrの様々な組み合わせに対して、モータ2に発生する電磁騒音を効果的に低減可能な脈動の振幅を、予めシミュレーションや実測により次数毎に求めて作成されたものである。
重畳dq軸電流振幅演算部121では、回転24次重畳電流振幅マップ1210a、回転48次重畳電流振幅マップ1210b、回転72次重畳電流振幅マップ1210c、回転96次重畳電流振幅マップ1210の各マップ情報を参照することで、電源電圧、トルク指令T*およびモータ回転速度ωrの現在値に対応するd軸電流およびq軸電流の各次数の脈動の振幅として、重畳dq軸電流振幅Idq24、Idq48、Idq72、Idq96を演算することができる。これにより、モータ2の電気角周波数を基本波とする6次、12次、18次、24次の各次数に対して、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*にそれぞれ重畳する脈動の振幅を演算することができる。
図10は、重畳dq軸電流位相演算部122のブロック図である。重畳dq軸電流位相演算部122は、極対数乗算部1220、次数乗算部1221a〜1221d、24次重畳位相θdqマップ1222a、48次重畳位相θdqマップ1222b、72次重畳位相θdqマップ1222c、96次重畳位相θdqマップ1222d、加算部1223a〜1223dを有する。
重畳dq軸電流位相演算部122は、以下の式(1)に従い、回転中のモータ位相における重畳d軸電流および重畳q軸電流の各次数の位相を演算する。図10のブロック図は、この演算を実現するための機能ブロック構成の一例を示している。
θdqX = θe・X/4+θX ・・・(1)
(但し、X=24、48、72、96)
極対数乗算部1220では、回転位置θにモータ2の極対数を乗算することで、電気角位相θeを演算する。
次数乗算部1221a〜1221dは、電気角周波数を基本波とする6次、12次、18次、24次の各次数を電気角位相θeに乗算し、各次数の位相θe−24、θe−48、θe−72、θe−96を演算する。
24次重畳位相θdqマップ1222a、48次重畳位相θdqマップ1222b、72次重畳位相θdqマップ1222c、96次重畳位相θdqマップ1222dの各マップ情報は、電源電圧、トルク指令T*およびモータ回転速度ωrの様々な組み合わせに対して、モータ2に発生する電磁騒音を効果的に低減可能な脈動の位相ずれを、予めシミュレーションや実測により次数毎に求めて作成されたものである。重畳dq軸電流位相演算部122では、各マップ情報を参照することで、電源電圧、トルク指令T*およびモータ回転速度ωrの現在値に対応するd軸電流およびq軸電流の各次数の位相ずれθ24、θ48、θ72、θ96を演算することができる。
加算部1223a〜1223dは、各次数の位相θe−24、θe−48、θe−72、θe−96に各次数の位相ずれθ24、θ48、θ72、θ96をそれぞれ加算することで、前述の式(1)に従い、各次数の重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96を演算する。
重畳dq軸電流位相演算部122では、上記のようにして、電源電圧、トルク指令T*およびモータ回転速度ωrの現在値に対応するd軸電流およびq軸電流の各次数の脈動の位相として、重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96を演算することができる。これにより、モータ2の電気角周波数を基本波とする6次、12次、18次、24次の各次数に対して、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*にそれぞれ重畳する脈動の位相を演算することができる。
図11は、重畳dq軸電流指令生成部123のブロック図である。重畳dq軸電流指令生成部123は、余弦演算部1230a〜1230d、乗算部1231a〜1231d、合計部1232を有する。
余弦演算部1230a〜1230dは、重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96の余弦をそれぞれ演算する。
乗算部1231a〜1231dは、重畳dq軸電流振幅演算部121により演算された各次数の重畳dq軸電流振幅Idq24、Idq48、Idq72、Idq96と、重畳dq軸電流位相演算部122および余弦演算部1230a〜1230dにより演算された各次数の重畳dq軸電流位相θdq24、θdq48、θdq72、θdq96の余弦とをそれぞれ乗算することで、各次数の重畳dq軸電流指令を演算する。
合計部1232は、乗算部130a〜130dによりそれぞれ演算された各次数の重畳dq軸電流指令を合計し、重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*を演算する。これにより、重畳dq軸電流振幅演算部121と重畳dq軸電流位相演算部122によってそれぞれ演算された振幅および位相に基づく各脈動成分を足し合わせて、重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*を生成することができる。
重畳dq軸電流指令生成部123では、上記のようにして、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*からそれぞれ減算される重畳d軸電流指令Ihd*、重畳q軸電流指令Ihq*を演算することができる。これにより、モータ2に対して円環0次の径方向および周方向の単位電磁力(1Pa)あたりの音響パワーへの寄与度に基づき、電磁騒音を低減可能な電力指令を生成することができる。
次に、重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122におけるマップ情報の例を説明する。前述のように、重畳dq軸電流振幅演算部121には、24次、48次、72次、96次の各次数に対して、回転数に応じてd軸電流およびq軸電流にそれぞれ重畳する脈動の振幅を表す回転24次重畳電流振幅マップ1210a、回転48次重畳電流振幅マップ1210b、回転72次重畳電流振幅マップ1210c、回転96次重畳電流振幅マップ1210の各マップ情報が記憶されている。また、重畳dq軸電流位相演算部122には、24次、48次、72次、96次の各次数に対して、回転数に応じてd軸電流およびq軸電流にそれぞれ重畳する脈動の位相を表す24次重畳位相θdqマップ1222a、48次重畳位相θdqマップ1222b、72次重畳位相θdqマップ1222c、96次重畳位相θdqマップ1222dの各マップ情報が記憶されている。以下では、これらのマップ情報の例として、円環0次の径方向および周方向の単位電磁力(1Pa)あたりの音響パワーへの寄与度に基づく回転48次重畳電流振幅マップ1210bおよび48次重畳位相θdqマップ1222bの設定例を説明する。なお、他の次数のマップ情報についても同様の手法により設定可能であるが、以下ではその説明を省略する。
図12は、モータ2が低速回転している場合の脈動電流重畳時の電磁力の計算結果を示す図である。図12では、モータ2のd軸電流およびq軸電流に回転48次の脈動をそれぞれ0%、2%、4%のいずれかで重畳したときに、周方向および径方向の電磁力がどのように変化するかを計算した結果を示している。具体的には、図12(a)は、d軸電流に対する各重畳電流の位相を45°刻みで変化させたときの各重畳電流と径方向の電磁力との関係を示し、図12(b)は、d軸電流に対する各重畳電流の位相を45°刻みで変化させたときの各重畳電流と周方向の電磁力との関係を示している。また、図12(c)は、図12(a)に示した径方向の電磁力と、図12(b)に示した周方向の電磁力との比を示している。なお、これらの計算結果は、図7の区間aに対応している。
図7で説明したように、モータ2が低速回転しているときには、周方向の電磁力が支配的である。そのため、周方向の電磁力を径方向の電磁力よりも優先して低減するようにマップ情報が設定される。例えば、周方向の電磁力をできるだけ抑制する動作点として、図12(b)の動作点202が選択され、この動作点202に対応する脈動の振幅と位相が、重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122において、回転48次重畳電流振幅マップ1210b、48次重畳位相θdqマップ1222bとしてそれぞれ設定される。なお、図12(a)では動作点201が、図12(c)では動作点203が、図12(b)の動作点202にそれぞれ対応する。
図13は、モータ2が高速回転している場合の脈動電流重畳時の電磁力の計算結果を示す図である。図13でも図12と同様に、モータ2のd軸電流およびq軸電流に回転48次の脈動をそれぞれ0%、2%、4%のいずれかで重畳したときに、周方向および径方向の電磁力がどのように変化するかを計算した結果を示している。具体的には、図13(a)は、d軸電流に対する各重畳電流の位相を45°刻みで変化させたときの各重畳電流と径方向の電磁力との関係を示し、図13(b)は、d軸電流に対する各重畳電流の位相を45°刻みで変化させたときの各重畳電流と周方向の電磁力との関係を示している。また、図13(c)は、図13(a)に示した径方向の電磁力と、図13(b)に示した周方向の電磁力との比を示している。なお、これらの計算結果は、図7の区間bに対応している。
図7で説明したように、モータ2が高速回転しているときには、径方向の電磁力が支配的である。そのため、径方向の電磁力を周方向の電磁力よりも優先して低減するようにマップ情報が設定される。例えば、径方向の電磁力をできるだけ抑制する動作点として、図13(a)の動作点211が選択され、この動作点211に対応する脈動の振幅と位相が、重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122において、回転48次重畳電流振幅マップ1210b、48次重畳位相θdqマップ1222bとしてそれぞれ設定される。なお、図13(b)では動作点212が、図13(c)では動作点213が、図13(a)の動作点211にそれぞれ対応する。
本実施形態では、モータ制御装置1の電流指令補正部12において、上記のような各ブロックの処理により、電流指令生成部11が生成したd軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*をそれぞれ補正する。これにより、モータ2において振動が発生する周波数に当たる回転周波数の24の倍数の各次数(電気角周波数の6の倍数の各次数)について、電磁騒音への影響度に応じて径方向および周方向の電磁力をそれぞれ効果的に低減するように、電流指令生成部11が生成する電流指令に対して脈動を重畳し、電流指令を補正することができる。その結果、モータ2の駆動時に発生する電磁騒音を効果的に抑制することが可能となる。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)モータ制御装置1は、直流電力から交流電力への電力変換を行うインバータ3と接続され、その交流電力を用いて駆動するモータ2の駆動を制御するものであって、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*を生成する電流指令生成部11と、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に基づいてd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を生成する電流制御部14と、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*に基づいてインバータ3の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部18と、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*に脈動を重畳してd軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*を補正する電流指令補正部12とを備える。電流指令補正部12は、モータ2の回転数に基づいて脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させる。このようにしたので、モータ2で発生する振動や騒音を効果的に抑制できる。
(2)電流指令補正部12は、モータ2における円環0次モードの振動を少なくとも低減するように、脈動を調整する。このようにしたので、モータ2で発生する振動や騒音を確実かつ効果的に抑制することができる。
(3)電流指令補正部12は、モータ2の回転数に応じてそれぞれ変化するモータ2の周方向電磁力および径方向電磁力に基づいて、脈動を調整する。具体的には、電流指令補正部12は、モータ2の回転数が所定値未満のときには、周方向電磁力を優先して抑制するように脈動を調整し、モータ2の回転数が所定値以上のときには、径方向電磁力を優先して抑制するように脈動を調整する。このようにしたので、径方向と周方向の電磁力の音響パワーへの寄与度が図7に示すような周波数特性をそれぞれ有するモータ2に対して、任意の回転数で振動や騒音を効果的に抑制できる。
(4)電流指令補正部12は、重畳dq軸電流振幅演算部121と、重畳dq軸電流位相演算部122と、重畳dq軸電流指令生成部123と、減算部124とを有する。重畳dq軸電流振幅演算部121は、モータ2の回転数に基づいて脈動の振幅を演算する。重畳dq軸電流位相演算部122は、モータ2の回転数に基づいて脈動の位相を演算する。重畳dq軸電流指令生成部123は、重畳dq軸電流振幅演算部121により演算された脈動の振幅と、重畳dq軸電流位相演算部122により演算された脈動の位相とに基づいて、脈動に対応する重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*を生成する。減算部124は、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*から重畳d軸電流指令Ihd*、重畳q軸電流指令Ihq*をそれぞれ減算することで、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に脈動をそれぞれ重畳する。このようにしたので、モータ2の回転数に応じてそれぞれ変化するモータ2の周方向電磁力および径方向電磁力に基づいて脈動を調整可能な電流指令補正部12を実現できる。
(5)重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122は、例えば図9、図10のブロック図でそれぞれ説明した構成により、モータ2の電気角周波数を基本波とする複数の次数に対して脈動の振幅および位相をそれぞれ演算する。重畳dq軸電流指令生成部123は、例えば図11のブロック図で説明した構成により、複数の次数に対して演算された振幅および位相に基づく各脈動成分を足し合わせて、重畳d軸電流指令Ihd*および重畳q軸電流指令Ihq*を生成する。なお、このときの次数は、6の倍数であることが好ましい。このようにしたので、モータ2において振動が発生する周波数に当たる回転周波数の24の倍数の各次数、すなわち電気角周波数の6の倍数の各次数について、電磁騒音への影響度に応じて径方向および周方向の電磁力をそれぞれ効果的に低減するように、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*をそれぞれ補正することができる。その結果、モータ2の駆動時に発生する電磁騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(6)重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122は、モータ2に対するトルク指令T*の変化に応じて、d軸電流指令Id1*やq軸電流指令Iq1*に重畳する脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させる。このようにしたので、モータ2のトルクが変化した場合でも、モータ2の駆動時に発生する電磁騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態とは別の手法により、電流指令の補正を行う例について説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置1aの機能構成を示すブロック図である。図14に示すモータ制御装置1aは、第1の実施形態で説明した図2のモータ制御装置1と比較して、電流指令生成部11の代わりに第1電流指令生成部11aおよび第2電流指令生成部11bが設けられている点と、電流指令補正部12の代わりに電流指令補正部12aが設けられている点とが異なっている。以下では、第1の実施形態とは異なるこれらの構成を説明し、他の部分については説明を省略する。
第1電流指令生成部11aは、モータ2の周方向電磁力(トルク脈動)を低減するように脈動がそれぞれ重畳されたd軸電流指令Id1a*およびq軸電流指令Iq1a*を演算する。これらの電流指令に対して重畳される脈動の振幅および位相は、例えば図12で説明したマップ情報に基づいて設定することができる。
第2電流指令生成部11bは、モータ2の径方向電磁力(径方向電磁加振力)を低減するように脈動がそれぞれ重畳されたd軸電流指令Id1b*およびq軸電流指令Iq1b*を演算する。これらの電流指令に対して重畳される脈動の振幅および位相は、例えば図13で説明したマップ情報に基づいて設定することができる。
電流指令補正部12aは、第1電流指令生成部11aが生成したd軸電流指令Id1a*およびq軸電流指令Iq1a*、または第2電流指令生成部11bが生成したd軸電流指令Id1b*およびq軸電流指令Iq1b*を選択する。そして、選択したいずれかの電流指令の組み合わせを、補正後のd軸電流指令Id2*およびq軸電流指令Iq2*として電流制御部14へ出力する。このとき電流指令補正部12aは、モータ2の回転数に応じて、選択する電流指令を切り替える。具体的には、モータ2の回転数が所定値未満のときには、第1電流指令生成部11aが生成したd軸電流指令Id1a*およびq軸電流指令Iq1a*を選択し、これらの電流指令を、補正後のd軸電流指令Id2*およびq軸電流指令Iq2*として電流制御部14へ出力する。一方、モータ2の回転数が所定値以上のときには、第2電流指令生成部11bが生成したd軸電流指令Id1b*およびq軸電流指令Iq1b*を選択し、これらの電流指令を、補正後のd軸電流指令Id2*およびq軸電流指令Iq2*として電流制御部14へ出力する。
第1の実施形態において図8から図11で説明した各ブロック図による電流指令補正部12をモータ制御装置1に実装した場合、重畳dq軸電流振幅演算部121および重畳dq軸電流位相演算部122では、モータ2の回転数毎に、d軸電流指令Id1*、q軸電流指令Iq1*に対してそれぞれ重畳する脈動の振幅および位相のマップ情報が必要となる。そのため、マップ点数が増大し、電流指令補正部12の計算負荷が大きくなる。一方、本実施形態のモータ制御装置1aでは、上記のように電流指令補正部12aにおいて、周方向電磁力(トルク脈動)を低減する第1電流指令生成部11aと、径方向電磁力(径方向電磁加振力)を低減する第2電流指令生成部11bとを、モータ2の回転数に応じて切り替える。このようにすることで、マップ点数を削減し、より計算負荷が少ない電流指令補正部12aを実装したモータ制御装置1aを実現できる。
なお、以上説明した第1、第2の各実施形態において、電源電圧、モータ回転数およびトルク指令T*毎に構成された各マップ情報の入出力関係は、線形補間により補間しても良いし、離散変化させても問題ない。任意の入力値に対して出力値が得られるマップ情報であれば、どのようなマップ情報を利用してモータ制御装置1、1aを構成しても構わない。
また、以上説明した第1、第2の各実施形態において、モータ2の回転数の変化が大きいときには、電流指令に対する脈動の重畳を停止することが好ましい。例えば、第1の実施形態において、モータ2の回転数の時間当たりの変化率が所定値以上のときには、電流指令補正部12の動作を停止し、d軸電流指令Id1*およびq軸電流指令Iq1*への脈動の重畳を停止する。また、第2の実施形態において、モータ2の回転数の時間当たりの変化率が所定値以上のときには、電流指令補正部12aの動作を停止し、第1電流指令生成部11aおよび第2電流指令生成部11bの一方から他方への切り替えを停止する。このようにすれば、モータ2の回転数が急激に変化する場合に、モータ2の駆動制御を優先させて安定した駆動状態を維持することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、電動ブレーキシステムへの適用例を説明する。
図15は、本発明の第3の実施形態に係る電動制御型ブレーキの構成を示す図である。電動制御型ブレーキ51は、第1、第2の実施形態でそれぞれ説明したモータ制御装置1またはモータ制御装置1aと、図1に示したモータ2およびインバータ3とを含むモータ駆動システム100を有しており、このモータ駆動システム100によりプライマリ液圧室53内部の油圧をコントロールすることで、モータ2の回生ブレーキ力と、ブレーキキャリパ54a〜54dをそれぞれ締め付けることで生じる摩擦ブレーキ力とを調整する。すなわち、本実施形態の電動制御型ブレーキ51において、インバータ3は、モータ制御装置1または1aから出力されるゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う。モータ2は、インバータ3から出力される交流電力を用いて駆動する。これにより、モータ2を用いて車両のブレーキを制御する。
一般的に車両の電動ブレーキシステムは、ブレーキペダルを介してドライバに直結しているため、振動や騒音がドライバに伝わりやすく、振動や騒音に対する要求仕様が高い。特に、ドライバがブレーキを強く踏んだ際の高トルクの領域でのモータの動作や、ドライバが意図しない条件でのモータの動作に起因して、振動や騒音が発生する場合があり、低振動化や低騒音化の要求が強い。こうした要求に対して、本実施形態の電動制御型ブレーキ51は、モータ2が高トルク状態において回転数に比例した特定次数の振動・騒音を効果的に低減できるため、低振動かつ低騒音な電動ブレーキシステムを実現できる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施形態では、電動パワーステアリングシステムへの適用例を説明する。
図16は、本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリングの構成を示す図である。電動パワーステアリング61は、第1、第2の実施形態でそれぞれ説明したモータ制御装置1またはモータ制御装置1aと、図1に示したモータ2およびインバータ3とを含むモータ駆動システム100を有している。電動パワーステアリング61は、ステアリングホイール62の回転トルクをトルクセンサ63により検知し、その回転トルクに基づいてモータ駆動システム100を動作させることで、ステアリングホイール62の入力に応じてモータ2の駆動力をステアリングアシスト機構64を介してステアリング機構65へ出力し、操舵力をアシストする。その結果、ステアリング機構65によってタイヤ66が転舵され、車両の進行方向が制御される。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング61において、インバータ3は、モータ制御装置1または1aから出力されるゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う。モータ2は、インバータ3から出力される交流電力を用いて駆動する。これにより、モータ2を用いて車両のステアリングを制御する。
一般的に車両の電動パワーステアリングシステムは、ステアリングホイールを介してドライバに直結しているため、振動や騒音がドライバに伝わりやすく、振動や騒音に対する要求仕様が高い。特に、ドライバがステアリングホイールを高速で回転している状態では、他の発生要因と比較して、モータの動作が振動や騒音の原因として支配的となる。これに対して、本実施形態の電動パワーステアリング61は、ドライバがステアリングホイール62を高速で回転している状態での振動を効果的に低減できるため、低振動かつ低騒音な電動パワーステアリングシステムを実現できる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施形態では、電動車両システムへの適用例を説明する。
図17は、本発明の第5の実施形態に係る電動車両システムの構成を示す図である。図17に示す電動車両システムは、ハイブリッド電気自動車の車体700に搭載されており、第1、第2の実施形態でそれぞれ説明したモータ制御装置1またはモータ制御装置1aと、図1に示したモータ2、インバータ3および高圧バッテリ5とを有している。本実施形態の電動車両システムにおいて、インバータ3は、モータ制御装置1または1aから出力されるゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う。モータ2は、インバータ3から出力される交流電力を用いて駆動する。これにより、モータ2の駆動力を用いて電動車両システムが走行することができる。
さらに、本実施形態の電動車両システムにおいて、モータ2は回転駆動力を発生する電動機としてだけでなく、駆動力を受けて発電する発電機としても作用する。すなわち、図17の電動車両システムは、モータ2をモータ/ジェネレータとして適用したパワートレインを有する。
車体700のフロント部には、前輪車軸701が回転可能に軸支されており、前輪車軸701の両端には、前輪702、703が設けられている。車体700のリア部には、後輪車軸704が回転可能に軸支されており、後輪車軸704の両端には後輪705、706が設けられている。前輪車軸701の中央部には、動力分配機構であるデファレンシャルギア711が設けられており、エンジン710から変速機712を介して伝達された回転駆動力を左右の前輪車軸701に分配するようになっている。
エンジン710とモータ2とは、エンジン710のクランクシャフトに設けられたプーリー710aとモータ2の回転軸に設けられたプーリー720aとがベルト730を介して機械的に連結されている。これにより、モータ2の回転駆動力がエンジン710に、エンジン710の回転駆動力がモータ2にそれぞれ伝達できるようになっている。
モータ2は、インバータ3によって制御された三相交流電力がステータのステータコイルに供給されることによって、ロータが回転し、三相交流電力に応じた回転駆動力を発生する。すなわち、モータ2は、インバータ3によって制御されて電動機として動作する一方、エンジン710の回転駆動力を受けてロータが回転することによって、ステータのステータコイルに起電力が誘起され、三相交流電力を発生する発電機として動作する。
インバータ3は、高電圧(例えば42Vあるいは300V)系電源である高圧バッテリ5から供給された直流電力を三相交流電力に変換する電力変換装置であり、運転指令値に従ってロータの磁極位置に応じた、モータ2のステータコイルに流れる三相交流電流を制御する。
モータ2によって発電された三相交流電力は、インバータ3によって直流電力に変換されて高圧バッテリ5を充電する。高圧バッテリ5はDC−DCコンバータ724を介して低圧バッテリ723に電気的に接続されている。低圧バッテリ723は、自動車の低電圧(例えば14V)系電源を構成するものであり、エンジン710を初期始動(コールド始動)させるスタータ725や、ラジオ、ライト等の補機類などの電源に用いられる。
車両が信号待ちなどの停車時(アイドルストップモード)にあるとき、エンジン710を停止させ、再発車時にエンジン710を再始動(ホット始動)させる時には、インバータ3でモータ2を駆動し、エンジン710を再始動させる。ただし、高圧バッテリ5の充電量が不足している場合や、エンジン710が十分に温まっていない場合などにおいては、アイドルストップモードであっても、エンジン710を停止せずに駆動を継続することが好ましい。また、アイドルストップモード中においては、エアコンのコンプレッサなど、エンジン710を駆動源としている補機類の駆動源を確保する必要がある。この場合、エンジン710の代わりにモータ2を駆動させて補機類の駆動源としてもよい。
一方、車両が加速モードや高負荷運転モードにあるときは、モータ2を駆動させてエンジン710の駆動をアシストする。逆に、高圧バッテリ5の充電が必要な充電モードにあるときは、エンジン710によってモータ2を発電させて高圧バッテリ5を充電する。さらに、車両の制動時や減速時などには回生モードとして、車両の運動エネルギーによりモータ2を発電させて高圧バッテリ5を充電してもよい。
本実施形態の電動車両システムは、モータ2の回転数の駆動範囲が広い場合でも、特定の次数の電磁振動や電磁騒音を低減できるため、車体700に貼り付ける防振材、防音材、遮音材等を低減できる。また、これらの材料を低減することで、燃費を向上することができる。更には、電気自動車やハイブリッド自動車などの永久磁石同期モータを使用する環境対応自動車において課題となる、モータの回転子とタイヤとの2つの慣性系を有することで低回転時に生じる車体共振による振動についても低減できるため、より低振動かつ低騒音な電動車両システムを構築できる。
なお、以上説明した実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1,1a…モータ制御装置、2…永久磁石同期モータ(モータ)、3…インバータ、4…回転位置センサ、5…高圧バッテリ、7…電流検出手段、11…電流指令生成部、11a…第1電流指令生成部、11b…第2電流指令生成部、12,12b…電流指令補正部、13…三相/dq変換電流制御部、14…電流制御部、15…dq/三相電圧指令変換部、16…速度算出部、17…三角波生成部、18…ゲート信号生成部、31…インバータ回路、32…PWM信号駆動回路、33…平滑キャパシタ、41…回転位置検出器、100…モータ駆動システム、121…重畳dq軸電流振幅演算部、122…重畳dq軸電流位相演算部、123…重畳dq軸電流指令生成部、124…減算部

Claims (13)

  1. 直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と接続され、前記交流電力を用いて駆動する交流モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、
    電流指令を生成する電流指令生成部と、
    前記電流指令に基づいて電圧指令を生成する電流制御部と、
    前記電圧指令に基づいて前記電力変換器の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部と、
    前記電流指令に脈動を重畳して前記電流指令を補正する電流指令補正部と、を備え、
    前記電流指令補正部は、前記交流モータの回転数に基づいて前記脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させるモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令補正部は、前記交流モータにおける円環0次モードの振動を少なくとも低減するように、前記脈動を調整するモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令補正部は、前記回転数に応じてそれぞれ変化する前記交流モータの周方向電磁力および径方向電磁力に基づいて、前記脈動を調整するモータ制御装置。
  4. 請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令補正部は、
    前記回転数が所定値未満のときには、前記周方向電磁力を優先して抑制するように前記脈動を調整し、
    前記回転数が前記所定値以上のときには、前記径方向電磁力を優先して抑制するように前記脈動を調整するモータ制御装置。
  5. 請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令補正部は、
    前記回転数に基づいて前記脈動の振幅を演算する重畳電流振幅演算部と、
    前記回転数に基づいて前記脈動の位相を演算する重畳電流位相演算部と、
    前記重畳電流振幅演算部により演算された前記脈動の振幅と、前記重畳電流位相演算部により演算された前記脈動の位相とに基づいて、前記脈動に対応する重畳電流指令を生成する重畳電流指令生成部と、
    前記電流指令から前記重畳電流指令を減算することで前記電流指令に前記脈動を重畳する減算部と、を有するモータ制御装置。
  6. 請求項5に記載のモータ制御装置において、
    前記重畳電流振幅演算部および前記重畳電流位相演算部は、前記交流モータの電気角周波数を基本波とする複数の次数に対して前記脈動の振幅および位相をそれぞれ演算し、
    前記重畳電流指令生成部は、前記振幅および前記位相に基づく各脈動成分を足し合わせて前記重畳電流指令を生成するモータ制御装置。
  7. 請求項6に記載のモータ制御装置において、
    前記次数は、6の倍数であるモータ制御装置。
  8. 請求項5に記載のモータ制御装置において、
    前記重畳電流振幅演算部および前記重畳電流位相演算部は、前記交流モータに対するトルク指令の変化に応じて、前記脈動の振幅および位相をそれぞれ変化させるモータ制御装置。
  9. 請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令生成部は、前記周方向電磁力を抑制するように前記脈動が重畳された第1の電流指令を生成する第1の電流指令生成部と、前記径方向電磁力を抑制するように前記脈動が重畳された第2の電流指令を生成する第2の電流指令生成部と、を有し、
    前記電流指令補正部は、
    前記回転数が前記所定値未満のときには、前記第1の電流指令を補正後の電流指令として前記電流制御部に出力し、
    前記回転数が前記所定値以上のときには、前記第2の電流指令を補正後の電流指令として前記電流制御部に出力するモータ制御装置。
  10. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令補正部は、前記回転数の時間当たりの変化率が所定値以上のときには、前記電流指令への前記脈動の重畳を停止するモータ制御装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、
    前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、
    前記交流モータを用いて車両のステアリングを制御する電動パワーステアリングシステム。
  12. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、
    前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、
    前記交流モータを用いて車両のブレーキを制御する電動ブレーキシステム。
  13. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置から出力される前記ゲート信号に基づいて動作し、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と、
    前記交流電力を用いて駆動する交流モータと、を備え、
    前記交流モータの駆動力を用いて走行する電動車両システム。
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