JPWO2015025909A1 - 円偏光フィルターおよびその応用 - Google Patents

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Abstract

本発明により、特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターであって、上記特定の波長の上記センスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの円偏光を上記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きい円偏光フィルターが提供される。上記円偏光フィルターは円偏光分離層を含み、上記円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層を含み、さらに非反射光散乱性円偏光分離層を含んでいてもよく、上記反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、かつ、非反射光散乱性円偏光分離層は、コレステリック液晶相を固定した層または直線偏光分離層とλ/4位相差層とを含む積層体からなる。本発明の円偏光フィルターは円偏光度が高く、本発明の円偏光フィルターを利用して感度の高いセンサーシステムを提供することができる。

Description

本発明は、円偏光フィルターに関する。また、本発明は、光源、センサー、またはセンサーシステム等への円偏光フィルターの応用に関する。
円偏光フィルターは特定の波長域において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過または反射させることのできるフィルターであり、得られる円偏光の特質を生かして様々な分野で応用されている。
例えば、特許文献1には、植物栽培における円偏光の利用が開示されており、植物栽培用の照明装置に円偏光板を用いることについて記載されている。
また、特許文献2には、円偏光を利用した検知システムが開示されている。特許文献2においては、シリコン基板に円偏光フィルターを介した円偏光赤外光を照射し、さらにシリコン基板からの反射光もしくは透過光を円偏光フィルターを介して受光するシステムにより、シリコン基板のクラックを検出する技術が開示されている。この技術は、すなわち、クラックが存在しない箇所の反射光もしくは透過光は逆センスの円偏光であり円偏光フィルターを透過できない一方で、クラックでの反射光もしくは透過光においては乱反射によって円偏光フィルターを介しても感知できる光が生じることを利用したものである。
国際公開2012−144422号 特開2013−36888号公報
本発明の課題は、円偏光度の高い円偏光が得られる円偏光フィルター、または、円偏光を利用したセンサーシステムにおいて感度の向上を可能とする円偏光フィルターを提供することである。本発明は特に、コレステリック液晶相を固定した層を利用した円偏光フィルターであって、上記の特徴を有する円偏光フィルターを提供することを課題とする。また、本発明は、円偏光を利用したセンサーシステムとして感度の高いシステムを提供することを課題とする。
コレステリック液晶化合物から形成されるコレステリック液晶相の螺旋軸がセル基板や支持体面に対して垂直になるように均一に配向させた層は円偏光選択性の偏光フィルターとして機能することが一般に知られている。
しかし、本発明者らが、実際に透過光の偏光特性を注意深く測定したところ、配向均一性が極めて高いコレステリック膜においても、完全な円偏光は達成できていなかった。また、このフィルターの透過光側にフィルターを保護するためのカバーガラスなどを配置すると、さらに円偏光度が低下することも見出した。
これらの知見に基づき、本発明者らが円偏光度の改善のために鋭意検討を重ねていたところ、本来偏光度が低下すると考えられた光散乱性のコレステリック液晶層において透過光の円偏光度が向上するものが得られることを発見した。従来、コレステリック膜の円偏光特性を向上させるために行われる手段は、円偏光性低下の原因となる異物や液晶の配向欠陥を極力減らし、且つ無欠陥の均一な配向状態にすることを意図していたため、これは驚くべき発見であった。
そして本発明者らは、この知見に基づき、さらに検討を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[21]を提供するものである。
[1]特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターであって、
上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射する円偏光分離層を含み、
上記円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層を含み、
上記反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、かつ、
上記円偏光フィルターは、上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、上記特定の波長において他方のセンスの円偏光を上記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きい、円偏光フィルター。
[2]上記の反射光散乱性円偏光分離層は、内部にコレステリック液晶相の配向欠陥を有し、かつ
上記特定の波長の上記センスの円偏光の散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの散乱反射率/正反射率が大きい、[1]に記載の円偏光フィルター。
[3]上記円偏光フィルターは、上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下であり、上記特定の波長において他方のセンスの円偏光を上記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下である[1]または[2]に記載の円偏光フィルター。
[4]上記反射光散乱性円偏光分離層は、上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下であり、上記特定の波長において他方のセンスの散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[5]上記反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が10より大きく55以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[6]上記反射光散乱性円偏光分離層は、少なくとも一方の表面側において上記コレステリック液晶相を形成する液晶化合物が水平配向している[1]〜[5]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[7]上記反射光散乱性円偏光分離層がラビング処理を行わない膜表面に塗布した液晶化合物と空気界面配向剤とを含む組成物から形成された層である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[8]上記円偏光分離層が非反射光散乱性円偏光分離層を含み、
上記非反射光散乱性円偏光分離層は上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射させる層であり、かつ、反射光散乱性円偏光分離層および非反射光散乱性円偏光分離層が選択的に透過させる円偏光のセンスは同一であり、非反射光散乱性円偏光分離層は、上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.05以下であり、上記特定の波長において他方のセンスの円偏光の散乱反射率/正反射率が0.00以上0.05以下である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[9]反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が10より大きく55以下であり、非反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が1.0以下である、[8]に記載の円偏光フィルター。
[10]非反射光散乱性円偏光分離層がコレステリック液晶相を固定した層からなる[8]または[9]に記載の円偏光フィルター。
[11]非反射光散乱性円偏光分離層が直線偏光分離層と上記の特定の波長においてλ/4位相差層として機能する層との積層体からなる[8]または[9]に記載の円偏光フィルター。
[12]上記の特定の波長が波長800nm〜1500nmの範囲にある[1]〜[11]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[13]上記の特定の波長を含まない波長域の少なくとも一部において光を遮断する光遮断層を含む[1]〜[12]のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
[14]波長380〜780nmの50nm幅以上の波長域において光を遮断する光遮断層を含む[12]に記載の円偏光フィルター。
[15][1]〜[14]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと上記の特定の波長の光を照射できる光源とを含む光源装置。
[16][1]〜[14]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと上記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサー。
[17][1]〜[14]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと上記の特定の波長の光を照射できる光源と上記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサーシステム。
[18][8]〜[10]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと上記の特定の波長の光を照射できる光源とを含み、
上記光源、上記非反射光散乱性円偏光分離層、および上記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されている光源装置。
[19][8]〜[10]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含み、前記受光素子、上記非反射光散乱性円偏光分離層、および上記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されているセンサー。
[20][8]〜[10]のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと上記の特定の波長域内の波長の光を照射できる光源と上記の特定の波長域内の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサーシステムであって、
上記光源、上記非反射光散乱性円偏光分離層、および上記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置され、かつ
上記受光素子、上記非反射光散乱性円偏光分離層、および上記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されているセンサーシステム。
[21]特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターの製造方法であって、
上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射する円偏光分離層を含み、
上記円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層を含み、
上記反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、
上記の反射光散乱性円偏光分離層の内部のコレステリック液晶相の配向欠陥を調整することにより、上記の反射光散乱性円偏光分離層が、上記特定の波長の上記センスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの円偏光を上記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きくなるようにすることを含む製造方法。
本発明により、円偏光度の高い円偏光が得られる円偏光フィルター、および円偏光を利用したセンサーシステムにおいて感度の向上を可能とする円偏光フィルターが提供される。本発明の円偏光フィルターは、植物栽培への応用や、または円偏光光源装置、センサー、センサーシステムなどの構成部材として応用が可能である。
円偏光フィルターのセンサーシステムでの使用例として、検知される対象物、光源、受光素子、円偏光フィルターの配置例を示す図である。 実施例1および比較例1の、波長400nm〜800nmの円偏光度のグラフを示す図である。 実施例11の、反射光散乱性円偏光分離層のみ、非反射光散乱性円偏光分離層のみ、ならびに反射光散乱性円偏光分離層および非反射光散乱性円偏光分離層の積層体を用いたときの左円偏光透過率を示すグラフを示す。 実施例で用いた、フィルター、光源、受光素子、鏡の配置を模式的に示す図である。 コレステリック液晶層断面をTEM観察して観測される、明部と暗部との縞模様の模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば、「垂直」、「水平」、等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。 ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)で表される値である。光の円偏光成分の比を表すため、本明細書においては、円偏光度を用いることがある。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶による選択反射は、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
本明細書において、光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の紫外、可視、または近赤外スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、白熱電球、水銀灯、蛍光灯、LED等の通常光源は、ほぼ自然光を発しているが、これらに装着された円偏光フィルターまたは円偏光分離層の偏光を作り出す特性は、例えば、AXOMETRICS社製の偏光位相差解析装置AxoScanなどを用いて測定することができる。
また、照度計や光スペクトルメータに、円偏光フィルターを取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、層またはフィルターなどのフィルム状の形態の対象について、「面」という場合は、フィルム面積を示す2つの面のいずれかを意味し、特に言及のない場合は、厚み方向の面を示さない。「面」は、通常、円偏光フィルターの使用において、光の入射方向とより垂直に近い角度で交差する。
(円偏光フィルターの光学的性質)
円偏光フィルターは、特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させるフィルターである。本明細書において、上記特定の波長を含む、円偏光フィルターまたは円偏光分離層が右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる光の波長域を「制御波長域」ということがある。円偏光フィルターは、いずれの面から入射した特定の波長域の光に対しても右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させるものであってもよく、いずれか一方の面から入射した特定の波長域の光に対してのみ右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させ、他側面から入射した光に対してはそのような同様の選択的透過を示さないものであってもよい。
円偏光フィルターは、円偏光分離層を含む。後述する円偏光分離層の性質に由来して、円偏光フィルターは上記の特定の波長において、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させる。このとき、反射される円偏光のセンスは、透過される円偏光のセンスとは異なる。すなわち、反射される円偏光のセンスは、透過される円偏光のセンスが右であれば左であり、透過される円偏光のセンスが左であれば右である。
本発明の円偏光フィルターは、上記の特定の波長で選択的に透過するセンスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの円偏光を同じ面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きい。簡単に言えば、本発明の円偏光フィルターは、少なくとも一方の面からの透過円偏光の散乱性が、反射円偏光の散乱性よりも低い。本発明者らは、上述の光散乱性のコレステリック液晶層を検討している過程で、このような光学特性を満たす構成により、円偏光フィルターにより得られる円偏光の円偏光度が上がることを見出した。結果から類推すると、フィルターと空気との界面での界面反射により、逆センスの円偏光が出射して円偏光度が下がっていた可能性が考えられ、上記の散乱透過率/直透過率より散乱反射率/正反射率が大きい構成により、界面反射の影響が少なくなった可能性がある。
なお、本明細書において、散乱透過率/直透過率または散乱反射率/正反射率について、「より大きい」または「より小さい」等というとき、その差異は有意な差異であって、測定方法の制約などに基づく誤差範囲の差異を含まない。差異が有意であるか否かは、当業者であれば本明細書全体の記載と技術常識から判断することができる。そのため、特定の値で限定するものではないが、通常、0.50以上、好ましくは0.90以上の差異であればよい。
本発明の円偏光フィルターは、上記の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下、好ましくは0.00以上0.05以下であればよい。このような値により、センサー等に用いられる場合に好適な、特定の光路での高い光量と円偏光度を確保することができる。また、上記の散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下、好ましくは3.0以上5.5以下であればよい。散乱反射率/正反射率が7.5より大きいと、円偏光分離層の透明度が下がる可能性がある。
上記の散乱反射率/正反射率および上記の散乱透過率/直透過率の関係は円偏光フィルターのいずれか一方の面のみから円偏光を入射したときに得られる値として満たされていてもよく、いずれの面から円偏光を入射して測定した際も満たされていてもよい。
散乱透過率/直透過率、散乱反射率/正反射率はそれぞれ、後述の実施例でも示すように、分光光度計と積分球ユニットを用いて測定した値に基づいて計算される値である。直透過率、正反射率は分光光度計で、透過率、反射率の全角度測定値は分光光度計に積分球ユニットを組み合わせることで測定できる。直透過率は入射角0°での測定値であり、正反射率は測定の都合上、例えば入射角5°での測定値であればよい。散乱透過率は透過率の全角度測定値から直透過率を、散乱反射率は反射率の全角度測定値から正反射率を差し引いて算出することができる。いずれか一方の円偏光の直透過率、正反射率、透過率、反射率の全角度測定値を測定するために、光源側に測定波長で円偏光フィルターとして機能するフィルターを設置すればよい。
上記の特定の波長は特に限定されず、例えば、赤外線の波長域内であっても、可視光線の波長域内であっても、紫外線の波長域内であってもよい。赤外線(赤外光)は可視光線より長く電波より短い波長域電磁波である。近赤外光とは一般的に700nm〜2500nmの波長域の電磁波である。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜780nmの波長域の光を示す。紫外線は可視光線より短くX線より長い波長域電磁波である。紫外線は可視光線およびX線と区別される波長領域の光であればよく、例えば波長10〜420nmの範囲の光である。
特定の波長は、円偏光フィルターの用途に応じて、適宜選択すればよい。例えば、センサーシステム用途では、赤外線カメラ、赤外線光電センサー、または赤外線通信などで用いられている近赤外光の波長に対応する波長であればよい。植物栽培用途においては、使用される光源や太陽光の使用したい波長であればよい。
制御波長域は赤外線の波長域内であっても、可視光線の波長域内であっても、紫外線の波長域内であってもよく、赤外線および可視光線の波長域、可視光線および紫外線の波長域、または赤外線、可視光線および紫外線の波長域にまたがる波長域であってもよい。制御波長域の幅は、特に限定されない。例えば、赤外線、可視光線および紫外線の波長域のいずれか1つ以上の全てを含む幅であってもよく、1nm、10nm、50nm、100nm、150nm、または200nmなどの波長幅であってもよい。幅は、50nm幅程度以上あることが好ましい。
円偏光フィルターは制御波長域において、右または左円偏光のいずれか一方を入射させたときの入射光と同一センスの円偏光の光透過率{(透過した円偏光の光強度)/(入射円偏光の光強度)×100}が、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、好ましくは実質的に100%であればよい。同時に上記と同一の波長域において、他方のセンスの円偏光を入射させたときの入射光と同一センスの円偏光の光透過率{(透過した円偏光の光強度)/(入射させた円偏光の光強度)×100}が30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、好ましくは実質的に0%であればよい。
制御波長域以外の波長域の光に対する円偏光フィルターの光学特性は、特に限定されず、用途に応じて、好ましい特性が付与されていればよい。例えば、円偏光フィルターをセンサーシステムに使用する場合においては、制御波長域以外の波長域の少なくとも一部において低い光透過率を有していることが好ましい場合がある。受光素子に到達するセンシングに不必要な光(センシングに障害になる光)を大幅に減らすことができ、S/N比を高め、受光素子が検出する最低の光強度を下げることができるからである。このとき、特にセンシングに不必要な光の波長域において、平均光透過率が50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、または5%以下等であればよい。
円偏光フィルターは、法線方向および 円偏光フィルターの厚み方向を斜めに経由する方向において、屈折率の変化が小さく、光の進行方向が変化しないことが好ましい。
以下、円偏光フィルターを構成する各層について説明する。
(円偏光分離層)
円偏光分離層は、特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる機能を有する。円偏光分離層は、また、片側面から入射した特定の波長の光(自然光、非偏光)を右円偏光および左円偏光に分離し、いずれか一方を選択的に他側面側に透過させることができる。
円偏光分離層が右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長または、制御波長域の幅は上記円偏光フィルターについて説明したものと同様であればよい。円偏光分離層が右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長は、円偏光フィルターの使用形態に合わせて、必要な光の波長であればよく、円偏光分離層が右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる波長域は、円偏光フィルターの使用形態に合わせて、必要な光の波長域を含んでいればよい。
円偏光分離層は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる波長域以外の光については、透過させていても、反射していても、吸収していてもよい。
(反射光散乱性円偏光分離層)
本発明の円偏光フィルターにおける円偏光分離層は、特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの円偏光の散乱反射率/正反射率が大きい、反射光散乱性円偏光分離層を含む。反射光散乱性円偏光分離層は、上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させる層である。反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、コレステリック液晶相を固定した層の円偏光選択反射の中心波長を後述のように調整することにより上記の特定の波長を調整することができる。なお、散乱透過率/直透過率および散乱反射率/正反射率のいずれも上記の特定の波長における値である。反射光散乱性円偏光分離層は、一方のセンスの特定の波長(選択反射波長)の円偏光に対しての反射光および透過光の散乱性が大きい。一方、その逆の円偏光に対しては散乱性が低い。すなわち、例えば反射光散乱性円偏光分離層が、右螺旋のコレステリック液晶から形成されている場合は、その選択反射波長の右円偏光に対しての反射円偏光、透過円偏光の散乱性が大きく、一方、左円偏光に対しては散乱性が低ければよい。反射光散乱性円偏光分離層が左螺旋のコレステリック液晶から形成されている場合は、その選択反射波長の左円偏光に対しての反射円偏光、透過円偏光の散乱性は大きく、右円偏光に対しては散乱性が低ければよい。
反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下、好ましくは0.00以上0.05以下であればよい。このような値により、センサー等に用いられる場合に好適な、特定の光路での高い光量と円偏光度を確保することができる。また、円偏光分離層は上記特定の波長において選択的に透過するセンスと逆のセンスの円偏光の散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下、好ましくは3.0以上5.0以下であればよい。散乱反射率/正反射率を7.5以下とすることにより、円偏光分離層の透明度の低下を防止することができる。
また、反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が10より大きく55以下であることが好ましく、20より大きく50以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、ヘイズ値は、{(自然光の散乱透過率)/(自然光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100(%)}である。ヘイズ値は、円偏光の散乱透過率/直透過率等の測定について上述したように分光光度計と積分球ユニットを用いて測定した値に基づいて計算することができ、測定の際は光源側で上記の円偏光フィルターとして機能するフィルターを用いずに測定すればよい。
反射光散乱性円偏光分離層の厚みは、上記特性を示す範囲であれば、特に限定はされないが、好ましくは0.8μm以上、1μm以上、または4.0μm以上であり、100μm以下の範囲、10μm以下の範囲、または5μm以下の範囲である。0.8μm以上とすることで周期構造に基づく選択反射を十分にして透過光の偏光度が低下させないようにすることができる。また10μm以下とすることで偏光度を維持することができる。
(非反射光散乱性円偏光分離層)
円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層のみからなっていても、反射光散乱性円偏光分離層と上記の反射光散乱性を有していない非反射光散乱性円偏光分離層とからなっていてもよい。反射光散乱性円偏光分離層と非反射光散乱性円偏光分離層とからなる円偏光分離層の最外面には少なくとも反射光散乱性円偏光分離層が含まれていることが好ましい。
非反射光散乱性円偏光分離層は、上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させる層である。非反射光散乱性円偏光分離層は、反射光散乱性円偏光分離層と選択的に透過させる円偏光のセンスが同一であればよい。非反射光散乱性円偏光分離層は、上記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.05以下、好ましくは0.00以上0.03以下であり、他方のセンスの円偏光の散乱反射率/正反射率が0.00以上0.05以下、好ましくは0.00以上0.03以下であればよい。非反射光散乱性円偏光分離層においては、一方のセンスの特定の波長(選択反射波長)の円偏光に対しての反射光および透過光の散乱性は、その逆のセンスの円偏光に対しては散乱性と実質的に同一である。非反射光散乱性円偏光分離層は上記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が3.0以下、好ましくは1.0以下である。
非反射光散乱性円偏光分離層の厚みは、好ましくは1.0μm以上、200μm以下の範囲、より好ましくは4.0μm以上、150μm以下の範囲である。
反射光散乱性円偏光分離層および非反射光散乱性円偏光分離層の膜厚の総計は好ましくは2.0μm以上300μm以下の範囲、より好ましくは8.0μm以上、220μm以下の範囲である。2.0μm以上でと周期構造に基づく選択反射(選択透過)を十分に確保することができる。また、300μm以下で、散乱させたくないセンスの円偏光の散乱が大きくなって、円偏光度が下がることを防止できる。
非反射光散乱性円偏光分離層としては、コレステリック液晶相を固定した層、または直線偏光分離層とλ/4位相差層とを含む積層体を用いればよい。
(コレステリック液晶相を固定した層)
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。コレステリック液晶相は、通常、いずれの面から入射した光に対しても上記の円偏光択反射を示す。
円偏光選択反射性を示すフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶相を固定した層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶相を固定した層とは、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶相を固定した層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、該層中の液晶性化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
本明細書においてコレステリック液晶相を固定した層をコレステリック液晶層または液晶層ということがある。
コレステリック液晶相を固定した層は、コレステリック液晶の螺旋構造に由来した円偏光選択反射を示す。その反射の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチ長P(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチ長を調節することによって、円偏光選択反射を示す波長を調整できる。すなわち、n値とP値を調節して、例えば、近赤外光波長域の少なくとも一部において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過(反射)するようにするために、中心波長λが780nm〜2000nm、好ましくは800nm〜1500nmの波長域となるようにすることができ、可視光波長域の少なくとも一部において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過(反射)するようにするために、中心波長λが380nm〜780nmの波長域となるようにすることができ、紫外光波長域の少なくとも一部において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過(反射)するようにするために、中心波長λが10〜420nm、好ましくは200〜410nmの波長域となるようにすることができる。コレステリック液晶相のピッチ長は重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチ長を得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶層の反射円偏光のセンスは螺旋のセンスに一致する。そのため、円偏光分離層としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層を用いればよい。円偏光分離層は、2つ以上のコレステリック液晶相を固定した層を積層したものであってもよいが、積層する際には、周期Pが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層すればよい。周期Pが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによっては、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。積層の際は、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよいが、後述の方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返すことが好ましい。このような工程により、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、円偏光分離層の偏光特性が良好となる。
また、円偏光選択反射を示す選択反射帯(円偏光反射帯)の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチ長Pに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
円偏光反射帯の幅(コレステリック液晶層の円偏光反射スペクトルプロファイルは方形であるため、通常、「幅」は「半値幅Δλ」と実質的に同じである。)は、例えば可視光領域において、通常1種の材料では50nm〜150nm程度である。制御波長域を広げるためには、周期Pを変えた反射光の中心波長が異なるコレステリック液晶層を2種以上積層すればよい。この際も同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することが好ましい。
また、1つのコレステリック液晶層内において、周期Pを膜厚方向に対して緩やかに変化させることで制御波長域を広げることもできる。
(コレステリック液晶相を固定した層の作製方法)
以下、円偏光分離層および後述の光反射層に用いることができるコレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などがあげられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、基材(支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層など)に塗布し、コレステリック配向熟成後、固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
重合性液晶化合物
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物があげられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、
80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
キラル剤(光学活性化合物)
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ、アゾキシ、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、特開2003−313292号公報に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
重合開始剤
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等があげられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
架橋剤
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などがあげられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
配向制御剤
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などがあげられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
その他の添加剤
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し膜厚を均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
コレステリック液晶層は、重合性液晶化合物および重合開始剤、更に必要に応じて添加されるキラル剤、界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、基材上に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射してコレステリック液晶性組成物を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶層を形成することができる。なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などがあげられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
基材上への液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などがあげられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を基材上へ転写することによっても実施できる。塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
配向させた液晶化合物は、更に重合させればよい。重合は、熱重合、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いほうが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
(反射光散乱性円偏光分離層の形成方法:散乱反射率の調整方法)
反射光散乱性円偏光分離層の上記の光学的特徴は、コレステリック液晶層の構造を、膜の両表面で液晶のチルト角がほぼ水平であり、且つ液晶の面内配向方位はランダムな状態であるようにすることにより得られることが本発明者らの検討の結果判明した。コレステリック液晶層の構造は層の断面の透過電子顕微鏡(TEM)像などで確認すればよい。このときのコレステリック液晶の螺旋軸は面内で僅かなうねりを持って分布していればよく、層法線からのずれは 0.1°以上10°以下、好ましくは2°以上7.5°以下であればよい。すなわち、この層の内部には、複数の配向欠陥が存在するため、散乱性の層となる。
コレステリック液晶層表面の液晶分子のチルト角と面内配向方位とを上記のように調整することにより、最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成を実現することができる。最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成によりコレステリック液晶相の螺旋軸は上記のように面内で僅かなうねりを持って分布させることができると考えられる。すなわち、層の法線方向から螺旋軸のずれを、生じさせることができる。この螺旋軸のずれにより、散乱性の層となる。この層の内部には、複数の配向欠陥が存在しうる。
コレステリック液晶層の最表面の螺旋軸の傾きは以下のように得ることができる。
コレステリック液晶層断面をTEM観察すると、明部と暗部との縞模様が観察できる。縞模様は、層面に略平行な方向に明部と暗部とが繰り返されるように観察される。図5に模式図を示す。この明部と暗部の繰り返し2回分(明部2つおよび暗部2つ)が螺旋1ピッチ分に相当する。縞模様の法線方向が螺旋軸となる。コレステリック液晶層の最表面の螺旋軸の傾きは、最表面11から1本目の暗部がなす線と同じ側の最表面との角度として得ることができる(図5の101)。
コレステリック液晶層を、最表面の螺旋軸の傾きが面内で変化しているように構成することにより、散乱反射率が高い散乱性の層とすることができる。なお、「螺旋軸の傾きが変化している」とは、例えば、表面の任意の直線上で一定間隔で螺旋軸の傾きを測定すると、直線進行方向で増加および減少が確認される状態を示す。増加および減少は、好ましくは繰り返されており、変化は好ましくは連続的である。
最表面はコレステリック液晶層の少なくともいずれか一方(最上面または最下面)であってもよく、両方(最上面および最下面)であってもよいが、両方であることが好ましい。螺旋軸の傾きの最大値は2°以上20°以下であればよく、5°以上20°以下であることが好ましい。
反射光散乱性円偏光分離層の支持体側でのプレチルト角は0度〜20度の範囲が好ましく、0度〜10度がより好ましい。プレチルト角が大きくなると配向欠陥の密度が増大することと、螺旋軸の傾斜角度分布が大きくなることにより透過光の偏光度が低下する。また、支持体側での液晶の面内配向方位が揃っていると、散乱性が不足し透過光の偏光度の向上効果が小さくなる。
反射光散乱性円偏光分離層の形成におけるコレステリック液晶分子の配向の際は、支持体側の液晶分子をほぼ水平(支持体表面と平行)にし、且つ液晶分子の配向均一性を低下させるために、コレステリック液晶化合物を含む組成物を塗布する支持体や配向膜の表面のラビングなどの配向処理をしないことが好ましい。配向膜としては液晶分子に対して低いチルト角を与える配向膜を好ましく用いることができる。空気界面側を水平にするために、前述の空気界面配向剤を使用することが好ましい。
なお、本明細書において、「チルト角」とは、傾斜した液晶分子が層平面となす角度を意味し、液晶化合物の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度を意味する。従って、正の光学的異方性を持つ棒状液晶化合物では、チルト角は棒状液晶化合物の長軸方向すなわちダイレクター方向と層平面とのなす角度を意味する。液晶分子の面内配向方位とは、液晶分子の上記の最大の屈折率の方向最大の屈折率の方向の、層と平行な面内での方位を意味する。面内配向方位がランダムであるとは、面内の液晶化合物分子の面内配向方位の平均方位と4°以上異なる面内配向方位を有する液晶分子がTEMにて10%以上20%以下で確認できる状態を意味する。
また、本明細書において、液晶分子というとき、液晶組成物においては重合性液晶化合物の分子を意味し、重合性液晶化合物が液晶組成物の硬化反応により高分子化している場合は、上記重合性液晶化合物分子に該当する部分構造を意味する。
コレステリック液晶層の形成の際の重合性液晶化合物の配向の際の、下層側表面にある液晶分子のチルト角は0°〜20°の範囲が好ましく、0°〜10°がより好ましい。上記の値にチルト角を制御することにより配向欠陥の密度と、螺旋軸の傾斜角度分布を好ましい範囲とすることができる。
コレステリック液晶層の形成の際の重合性液晶化合物の配向の際は、下層側表面の液晶分子のチルト角(プレチルト角)を上記のように低く、好ましくは水平にし、且つ液晶分子の配向均一性を低下させるために、液晶組成物を塗布する後述の透明層や基材、または他のコレステリック液晶層の表面にラビングなどの配向処理をしないことが好ましい。コレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子を水平にするために、前述の水平配向剤を使用することが好ましい。
(直線偏光分離層とλ/4位相差層とを含む積層体)
非反射光散乱性円偏光分離層として直線偏光分離層とλ/4位相差層とを含む積層体を用いてもよい。直線偏光分離層とλ/4位相差層とを含む積層体からなる円偏光分離層では、直線偏光分離層の面から入射する光は、反射もしくは吸収によって直線偏光に変換され、その後λ/4位相差層を通過することによって右または左の円偏光に変換される。一方、λ/4位相差層からの光入射の場合、いずれの偏光状態の光でも最後に通過する直線偏光分離層によって直線偏光となるが、特に入射光が円偏光の場合はλ/4位相差層によって直線偏光層の透過軸に平行または直交する直線偏光に変換されるので、入射円偏光センスの識別に利用するためにはλ/4位相差層側から光を入射することが好ましく、出射円偏光を利用する場合には、直線偏光分離層側から光を入射することが好ましい。
直線偏光分離層とλ/4位相差層とは接着剤等により貼り合されていてもよく、直接接していてもよい。
(直線偏光分離層)
直線偏光分離層としては、上記制御波長域に対応した直線偏光子を用いればよい。
直線偏光子は、反射型直線偏光子と吸収型直線偏光子がある。
反射型直線偏光子としては、例えば(i)多層構造の直線偏光反射板、(ii)複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、(iii)ワイヤーグリッド型偏光子、(iv)偏光プリズム、(v)散乱異方性型偏光板、などが挙げられる。
(i)多層構造の直線偏光反射板としては、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなるものが挙げられる。波長選択反射膜とするためには、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であっても構わない。
積層数は、2層〜20層が好ましく、2層〜12層がより好ましく、4層〜10層が更に好ましく、6層〜8層が特に好ましい。積層数が20層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下することがある。
誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合にはそれより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合にはそれより高い屈折率の膜を最初に積層する。屈折率が高いか低いかの境目は1.8である。なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、高屈折率の材料の中でも、相対的に屈折率の大きいものと小さいものとが存在してもよく、これらを交互に使用しても構わない。
高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、例えば、Sb23、Sb23、Bi23、CeO2、CeF3、HfO2、La23、Nd23、Pr611、Sc23、SiO、Ta25、TiO2、TlCl、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2、などが挙げられる。これらの中でも、Bi23、CeO2、CeF3、HfO2、SiO、Ta25、TiO2、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2が好ましく、これらの中でも、SiO、Ta25、TiO2、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2が特に好ましい。
低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、例えば、Al23、BiF3、CaF2、LaF3、PbCl2、PbF2、LiF、MgF2、MgO、NdF3、SiO2、Si23、NaF、ThO2、ThF4、などが挙げられる。これらの中でも、Al23、BiF3、CaF2、MgF2、MgO、SiO2、Si23が好ましく、Al23、CaF2、MgF2、MgO、SiO2、Si23が特に好ましい。
なお、誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。
スパッタリング法としては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、スパッタリング法により多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互または順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性および材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
誘電体薄膜の膜厚としては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの膜厚が好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8がより好ましい。
誘電体蒸着層中を伝播する光は、誘電体薄膜毎に光の一部が多重反射される。それらの反射光が干渉して誘電体薄膜の厚みと光に対する膜の屈折率との積で決まる波長の光のみが誘電体蒸着層に選択的に透過される。また、誘電体蒸着層の中心透過波長は入射光に対して角度依存性を有しており、入射光を変化させると透過波長を変えることができる。
(ii)複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、例えば特表平9−506837号公報などに記載されたものを用いることができる。
具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光子を形成できる。一般に、第一の材料の一つが、選ばれた方向において、第二の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。更に、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、3M社製の商品名:DBEFなどが挙げられる。
(iii)ワイヤーグリッド型偏光子は、金属細線の複屈折によって、偏光の一方を透過し、他方を反射させる偏光子である。
ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーを周期的に配列したもので、テラヘルツ波帯域で主に偏光子として用いられる。ワイヤーグリッドが偏光子として機能するためには,ワイヤー間隔が入射電磁波の波長よりも十分小さいことが必要となる。
ワイヤーグリッド偏光子では、金属ワイヤーが等間隔に配列されている。金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子において反射され、垂直な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子を透過する。
ワイヤーグリッド型偏光子としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、エドモンドオプティクス社製のワイヤーグリッド偏光フィルタ50×50、NT46−636などが挙げられる。
吸収型直線偏光子としては、例えば(i)形状異方性のある金属ナノ粒子を配列固定した偏光子、(ii)二色性色素を配列固定した偏光子などが挙げられる。
(i)形状異方性のある金属ナノ粒子を配列固定した偏光子は、アスペクト比が大きなハロゲン化銀粒子や、銀粒子を配向しそれを固定したものである。この偏光板は粒子の配列方向に電界振動面を有する光を吸収し、それに直交する方向の光を透過する吸収型の直線偏光板である。これに属するものとして特開昭59−83951号公報、特開平2−248341号公報、特開2003−139951号公報にあるものを用いることができる。
(ii)二色性色素を配列固定した偏光子としては、PVA(ポリビニルアルコール)にヨウ素を吸着もしくは2色性染料をドーピングさせ延伸した偏光フィルムなどをあげることができる。赤外領域において偏光子とする場合、これを部分脱水してポリビニレンとして用いることができる。この偏光板は延伸方法に電界振動面を有する光を吸収し、それに直交する方向の光を透過する。
これは、PVAのフィルムをヨウ素/ヨウ化物などの染色性組成物槽中に通してPVA層の染色を行ったのち4〜6倍の倍率で延伸することによって二色性色素の配向を得ることができる。PVAのポリビニレンへの変換は米国特許第2.445,555号に記載されているような塩酸蒸気法で行うことができる。またこの偏光用材料の安定性を改善するために、ホウ酸とボラツクスを含有する水性ボレート化浴を使用してボレート化することも行われる。市販のエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製の近赤外用直線偏光フィルムを、これに相当するものとしてあげることができる。
直線偏光分離層の厚さは、0.05μm〜300μmが好ましく、0.2μm〜150μmがより好ましく、0.5μm〜100μmが更に好ましい。
(λ/4位相差層)
λ/4位相差板の正面位相差は、制御波長域の波長(好ましくは中心波長)(例えば、光源装置に用いられる場合は光源の発光波長の中心波長)の1/4の長さ、または「中心波長*n±中心波長の1/4(nは整数)」であることが望ましく、例えば、光源の発光中心波長が1000nmであれば、250nm、750nm、1250nm、1750nmなどの位相差であることが好ましい。また位相差の光入射角度の依存性は小さいほど好ましく、中心波長の1/4の長さの位相差を持つ位相差板がこの点において最も好ましい。
なお、正面位相差はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において制御波長域内の波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定することができる。測定波長の選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
λ/4波長板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜などが挙げられる。また、λ/4波長板としては、例えば、(1)特開平5−27118号公報、および特開平5−27119号公報に記載された、レターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折性フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、(2)特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4波長となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2波長となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4波長が得られる位相差板、(2)特開平10−90521号公報に記載された、二枚のポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4波長を達成できる位相差板、(3)国際公開第00/26705号パンフレットに記載された変性ポリカーボネートフィルムを用いた広い波長領域でλ/4波長を達成できる位相差板、(4)国際公開第00/65384号パンフレットに記載されたセルロースアセテートフィルムを用いた広い波長領域でλ/4波長を達成できる位相差板、などが挙げられる。
このようなλ/4波長板としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば商品名:ピュアエース WR(帝人株式会社製)などが挙げられる。
円偏光分離層は、直線偏光子とλ/4波長板とを、直線偏光板の偏光吸収軸に対し該λ/4波長板の光軸が45度となるように貼り合せて作製することができる。該貼り合せ方法としては、例えば、粘着フィルムを用いてロール同士のラミネーションを行う方法、などが挙げられる。この円偏光板を発光光源に装着する場合に、直線偏光板を光源に近い面とするように配置して使用することで、円偏光への偏光変換を行うことができる。
本発明の円偏光フィルターの制御波長域を広くしたい場合にも、上述の位相差板を用いることができるが、広帯域の位相差板を用いることがより好ましい。広帯域の位相差板とは広い波長範囲にわたって位相差角度が一定となる位相差板で、この例としては、複屈折率の波長分散が互いに異なる位相差層をその遅相軸を直交させることで広帯域とした積層位相差板、この原理を分子レベルで用い複屈折率の波長分散が互いに異なる置換基をその配列軸を直交させて配向形成した高分子フィルム、使用波長域の波長(λ)に対して位相差がλ/2の層とλ/4の層を互いの遅相軸を60度に交差して積層した位相差板などをあげることができる。
λ/4層の厚さは、0.2μm〜300μmが好ましく、0.5μm〜150μmがより好ましく、1μm〜80μmがさらに好ましい。
(その他の層)
円偏光フィルターは、光遮断層、支持体、上記の液晶化合物の配向のための配向層、各層の接着のための接着層等の他の層を含んでいてもよい。他の層はいずれも、透明であって、低複屈折性であり、かつ円偏光分離層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。また光遮断層や円偏光分離層の光学的性質を相殺する性質を有していないことが好ましい。
(光遮断層)
円偏光フィルターは光遮断層を含んでいてもよい。光遮断層は円偏光フィルターが右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる上記の特定の波長域以外の光がフィルターを透過しないように機能する。光遮断層は、自然光(非偏光)を遮断することが好ましい。また、非偏光、円偏光、直線偏光のいずれも遮断することが好ましい。光遮断層としては、光反射層および光吸収層があげられる。
光遮断層が光を反射または吸収する光波長域の幅は特に限定されないが、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、または50nm以上等であればよい。遮断層に光が反射または吸収される光波長域は、円偏光フィルターの用途において、不要な光の波長域を含んでいることが好ましい。例えばセンサーにおいて使用される場合はセンシングに不必要な光(センシングに障害になる光)が検出されやすい波長域を含んでいることが好ましい。
センサーシステムに使用される円偏光フィルターの場合、光遮断層は、例えば、使用するセンサー(受光素子)の検出波長域を除く波長域の少なくとも一部で光反射性または光吸収性が高いものであればよい。または、使用する光源の発光波長域または受光素子の受光領域を除く少なくとも一部で光反射性または光吸収性が高いものであればよい。
例えば、センサーシステムにおいて、近赤外領域の円偏光を使用する場合は、可視光領域の少なくとも一部で光反射性または光吸収性が高い光遮断層を使用すればよい。一般に受光素子(光検出器)として使用されるシリコンフォトダイオードは、使用環境中に最も多く存在しノイズの主因となる可視光領域にまで感度を有するため、光遮断層は、この可視光領域を中心に反射または光吸収するものが好ましい。また、光遮断層は、円偏光分離層が右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる近赤外光波長域の光を実質的に反射または吸収しないことが好ましい。
光遮断層の厚さは、2μm〜500μmが好ましく、5μm〜300μmがより好ましく、10μm〜150μmが更に好ましい。
以下、光遮断層として用いることができる光反射層および光吸収層について説明する。
(光反射層)
光遮断のために光を反射させる光反射層の利用によっては、円偏光フィルターの温度上昇が生じにくいため、円偏光フィルターの耐久性が上がり、性能が維持しやすい。また、光反射層は通常、鏡のような外観を有し、円偏光フィルターの外観にも好影響を与え、センサー部品として用いられる場合にも人の目に触れる部分に使用しやすくなる。
光反射層の例としては、誘電体多層膜およびコレステリック液晶相を固定した層などがあげられる。
(誘電体多層膜)
誘電体多層膜は、無機酸化物や有機高分子材料の屈折率の異なる透明誘電性の層を相互に多層積層したものである。これらの透明誘電体層の少なくともいずれか一層は、厚み(d)と透明誘電体層の屈折率(n)との積(n×d)が、反射させるべき光の波長(λ)の4分の1になる様にして構成され、反射の中心波長がλで誘電体層の屈折率の差に対応して決まる反射の帯域幅の領域の光を反射することができる。通常の材料の組み合わせでは、一つの周期の誘電体多層膜で所望の波長域全体を反射することは困難である場合が多いため、n×dの値を変えた反射光の中心波長が異なるものを幾種類か積層することで反射の帯域幅を広げるなど調整してもよい。上記透明誘電体層は、円偏光フィルターが右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長域において光透過性であれば特に限定されない。
通常、誘電体多層膜中の無機酸化物としてはTiO2、SiO2、Ta25などを好適に用いることができる。無機酸化物の層は、例えば、ガラス、耐熱性高分子フィルムの表面にスパッタ法などで形成することができる。一方、有機高分子材料の例としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、シリコーン(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンを含む)等があげられ、特表平9−507308号公報等に開示された方法に準じて製造することができる。
(コレステリック液晶相を固定した層:光反射層)
光反射層としては、上述のコレステリック液晶相を固定した層を用いることができる。
反射波長での反射率は、コレステリック液晶層が厚いほど高くなるが、通常の液晶材料では、例えば可視光の波長域では2〜8μmの厚みで飽和し、また片側の円偏光のみに対しての反射であるため反射率は最大で50%である。円偏光のセンスに関わらず光反射し、自然光の反射率を50%以上とするために、光反射層としては、周期Pが同じで、螺旋のセンスが右のコレステリック液晶層と左のコレステリック液晶層とが積層されたもの、または、周期Pが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層と、その間に配されるコレステリック液晶層の円偏光反射帯の中心波長に対して半波長の位相差を有する位相差膜とからなる積層体を用いることができる。
(光吸収層)
光吸収層としては顔料や染料などの着色剤を分散剤、バインダーやモノマーを含む溶媒に分散した分散液を、基材の上に塗工して形成された層、染料を用いて直接高分子基材表面を染色した層、染料を含む高分子材料から形成された層を用いることができる。
顔料としては、円偏光フィルターが円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長域にて吸収や散乱が無いものが好ましく用いられる。そのため、透明性を求められるカラー印刷用のシアン、マゼンタ、イエロー、クロのインキや、液晶表示装置や有機LED表示装置などの赤色、緑色、青色のカラーフィルターに使用されている顔料を好適に用いることができる。これらの吸収の極大波長が異なる顔料を混合することによって、上記特定の波長域以外の所望の波長域全体を広く十分に吸収する層を形成することができる。
染料は、円偏光フィルターが右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長域にて吸収が無く、また光暴露に対して堅牢なものが好ましく用いられる。一般的な直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、分散染料、反応染料などを用いることができる。この染料型吸収層として、市販の写真用フィルターIR−80、IR−82、IR−84など(富士フイルム株式会社製)を使用することもできる。
(円偏光フィルターの厚み方向の面に設けられる光吸収層)
円偏光フィルターは、厚み方向の面(側面)に光吸収層を有していてもよい。光吸収層としては、上述の光遮断層としての光吸収層と同じ材料を用いて同様に作製したものを用いることができるが、厚み方向の面に設けられる光吸収層は、円偏光フィルターが円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に透過させる特定の波長域の光を吸収していてもよい。
厚み方向の面は、全面であってもよく一部であってもよい。例えば、円偏光フィルターが長方形または正方形である場合、その4面全てであってもよく、長方形または正方形の円偏光フィルターの1〜3面のみであってもよい。例えば、側面(厚み方向の面)からの光の入射量が顕著である面のみに、光吸収層を設けてもよい。
(支持体)
支持体は特に限定されない。円偏光分離層の形成のために用いられる支持体は、円偏光分離層形成後に剥離される仮支持体であってもよい。支持体が仮支持体である場合は、円偏光フィルターを構成する層とはならないため、上記の透明性や屈折性などの光学特性に関する制限は特にない。
支持体(仮支持体)としては、プラスチックフィルムの他、ガラス等を用いてもよい。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどがあげられる。
支持体の膜厚としては、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜90μmである。
(配向膜)
配向膜は、有機化合物、ポリマー(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。

特にポリマーからなる配向膜はラビング処理を行ったうえで、ラビング処理面に液晶層形成のための組成物を塗布することが好ましい。上記ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、数回擦ることにより実施することができる。
配向膜を設けずに支持体表面、または支持体をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。
反射光散乱性円偏光分離層形成のための配向膜材料としては、さらにアクリルモノマー、ゼラチン、ウレタンモノマーなどを塗布硬化したものも好ましい。例えば、(メタ)アクリレートモノマーを含む層を塗布硬化して得られるアクリル層は面内において等方的であるため、アクリル層表面にラビング処理を施さずに液晶層を形成すると、アクリル層に接している液晶の面内配向方位はランダムとなる。そのため、アクリル層表面に液晶組成物を塗布して形成されるコレステリック液晶層を配向欠陥を有する層とすることができる。そして、配向欠陥を有する液晶層上に液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を有する液晶層を形成することができる。
反射光散乱性円偏光分離層形成のための配向膜材料としてはそのほか、ポリイミド(日産化学社製ポリイミドワニスのサンエバー130など)、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂などを用いてもよい。散乱反射率の高いコレステリック液晶層の形成のため、液晶組成物を塗布する透明層の表面はラビング処理(例えば、ポリマー層の表面を、紙または布等で一定方向に、擦ることによるラビング処理)を行わないことが好ましい。
配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
(接着層)
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリルレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
(円偏光フィルターの用途)
本発明の円偏光フィルターは特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターである。本発明の円偏光フィルターは通常、上記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させることができるが、本発明の円偏光フィルターの用途は透過光を使用する形態であることが好ましい。円偏光フィルターの用途としては特に限定されず、光源装置、センサー、光学部材、植物栽培用シート(農業用シート)、プロジェクターなどに用いることができる。光源装置としては、植物栽培用に用いられる光源装置や、偏光を利用したセンサーシステムに用いられる光源装置が挙げられる。本発明の円偏光フィルターは光源と受光素子と組み合わせて、センサーシステムとして用いることも好ましい。センサーシステムで検知できる対象物の例としては、透明(複屈折)フィルム、鏡面反射体(金属板など)上のクラックまたは傷、鏡面反射体上の異物などがあげられる。セキュリティー用途として、夜間の歩行者などのヒトや、自動ドアやエレベーターなどでの人感センサーとしての使用もあげられる。
(光源、光源装置)
光源としては、上記の特定の波長の光をフィルター照射できる光源を用いればよい。光源自体が上記の特定の波長の光を出射していても、フィルターなどにより上記の特定の波長の光を照射できるように調整されているものでもよい。光源としては、ハロゲンランプ、タングステンランプ、LED、LD、キセノンランプ、メタハラランプなどはいずれも使用できるが、小型、発光指向性、単色光、パルス変調適性の点でLEDまたはLDが好ましい。
光源と上記円偏光フィルターとが組み合わされて光源装置を構成している場合、光源装置は、例えば光源を筐体内部に有し、光を出射する部分に円偏光フィルターを配して、円偏光フィルターを経由した光以外の光が光源から出射していない構成となっていることが好ましい。円偏光分離層が非反射光散乱性円偏光分離層を含む場合、光源、非反射光散乱性円偏光分離層、および反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されていればよい。また、光源装置が光遮断層を有する場合、光遮断層は円偏光分離層から見て、光源側にあっても外側にあってもよいが、外側にあることが好ましい。
(センサー、受光素子)
受光素子としては、Si、Ge、HgCdTe、PtSi、InSb、PbSなどの半導体を使用したフォトダイオード型センサーや光検出素子を線状に配列した検出器や画像を取り込めるCCDやCMOSが含まれる。
本発明の円偏光フィルターを利用したセンサーにおいては、上記特定の波長の光を検出できる受光素子が用いられていればよい。
円偏光フィルターは例えば、センサーの受光面に配置することができる。
円偏光フィルターと受光素子が一体のセンサーとして用いられる場合は、センサーは受光素子を筐体内部に有し、光取り込み部分に円偏光フィルターを配して、円偏光フィルターを経由した光以外の光が受光素子に到達しない構成となっていることが好ましい。円偏光分離層が非反射光散乱性円偏光分離層を含む場合、受光素子、非反射光散乱性円偏光分離層、および反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されていればよい。また、センサーが光遮断層を有する場合、光遮断層は円偏光分離層から見て、受光素子側にあっても外側にあってもよいが、外側にあることが好ましい。
(円偏光フィルターのセンサーシステムにおける使用)
本発明の円偏光フィルターのセンサーシステムでの使用例として、検知される対象物、光源、受光素子、円偏光フィルターの配置例を図1に示す。
配置1においては、光源、光源側の円偏光フィルター(本明細書において円偏光フィルター1ということがある。)、対象物、受光素子側の円偏光フィルター(本明細書において円偏光フィルター2ということがある。)、および受光素子がこの順で配置されており、対象物の透過光が検知されている。このときの対象物としては、透明フィルム(特に複屈折性を有するもの)などが考えられる。例えば、フィルムの製造ラインにおいて、フィルムの通過を検知するために用いることができる。配置1では対象物と円偏光フィルター1(図中の1)との間、および対象物と円偏光フィルター2(図中の1)との間にそれぞれガラスが配されているが、本発明の円偏光フィルターの利用によっては、ガラスからの反射光の影響を大幅に軽減することができる。
配置2〜4は、反射光を検知する構成であり、円偏光フィルター1が円偏光フィルター2を兼ねている、すなわち、円偏光フィルター1と円偏光フィルター2とが同一である構成である。配置2〜4においては、対象物から見て円偏光フィルター(図中の1)の同じ側面側に光源と受光素子とが配置されている。この構成において、受光素子は光源からの直接の光の影響を受けないよう、図に示すように受光素子と光源との間には光を遮断する層などが設けられていればよい。
配置2においては透明フィルム(特に複屈折性を有するもの)が対象物である例が示されている。対象物と円偏光フィルターとの間にはガラスが配されているが、本発明の円偏光フィルターの利用によっては、ガラスからの反射光の影響を大幅に軽減することができる。
配置3においては、鏡面反射体上の紙を検知している。この例は、円偏光フィルター(図中の1)を介していずれか一方のセンスの円偏光となった光は鏡面反射体において他方のセンスの円偏光として反射されるため、上記の円偏光フィルターを透過して受光素子に到達することができないが、紙によって乱反射した光は上記の円偏光フィルターを透過できる光成分を含むことを利用したものである。
配置4においては対象物として鏡面反射体の異物またはクラックを検知する例が示されているが、検知(センシング)の原理は配置3と同様である。
配置5は反射光を検知する構成であって、円偏光フィルター1と円偏光フィルター2に別のフィルムを用いている例である。このような使用の例において、光源(図中の2)および円偏光フィルター1(図中の1)は一体化して光源装置を構成していてもよく、受光素子(図中の3)および円偏光フィルター2(図中の1)は一体化してセンサーを構成していてもよい。図に示す例では配置5でヒトを検知している。例えば、夜間の歩行者や、エレベーター内のヒトが、このような配置で好ましく検知できる。
なお、円偏光フィルターはコレステリック液晶層の性質に由来して、円偏光度が最も高くなる光路があるため、本発明の円偏光フィルターの使用の際は、円偏光度をより上げるために、またはセンサーの精度を上げるために必要に応じて、円偏光フィルターに対する光源や受光素子の位置や対象物の位置を調整することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ガラス基板上に日産化学社製ポリイミドワニスのサンエバー130を0.2μmの厚さで塗り、その後250℃で1時間加熱して、配向膜付基板を形成した。この表面に表1に示す塗布液A−1を乾燥後の乾膜の厚みが4.4μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、実施例1の円偏光フィルターを得た。
[実施例2〜4]
ワイヤーバーの番手と溶媒量を調節して、乾燥後の乾膜の厚みが2.7μm、1.8μm、1.0μmになるようにした以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2〜4の円偏光フィルターを得た。
[実施例5]
実施例1で製作した配向膜付ガラス基板上に、表1に示す塗布液A−2を乾燥後の乾膜の厚みが5.0μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しコレステリック液晶層を固定して、円偏光分離層を得た。
可視光吸収層としての富士フイルム株式会社製IR80フィルム上に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように、室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と上記で作製した円偏光分離層の液晶層側の面とを気泡が入らないように貼りあわせ、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射した。その後、円偏光分離層の支持体となっていたガラス板から可視光吸収層付円偏光分離層を剥離し、実施例5の円偏光フィルターを得た。
[実施例6]
実施例5と同様にして製作した可視光吸収層付円偏光分離層をプラスチック製の円形のフィルターホルダーにセットし、その円偏光分離層側に円偏光分離層から1mmの距離に厚さ1.1mmのガラス板を設置して、実施例6のガラスカバー付円偏光フィルターを得た。
[実施例7]
実施例1と同様にして製作した円偏光分離層をプラスチック製の円形のフィルターホルダーにセットし、厚さ1.1mmのガラス板を間隙が1mmになるように平行に対向させた一組のガラス板を円偏光分離層から1mmの距離に設置して、実施例7のガラスカバー付円偏光フィルターを得た。
[比較例1]
配向膜表面をラビング処理した以外は実施例1と同様にして比較例1の円偏光フィルターを得た。
[比較例2]
配向膜表面をラビング処理した以外は実施例5と同様にして比較例2の円偏光フィルターを得た。
[比較例3]
比較例2と同様にして製作した可視光吸収層付円偏光分離層をプラスチック製の円形のフィルターホルダーにセットし、その円偏光分離層側に円偏光分離層から1mmの距離に厚さ1.1mmのガラス板を設置して、比較例3のガラスカバー付円偏光フィルターを得た。
[比較例4]
配向膜表面をラビング処理し、可視光吸収層のIR80を接着しなかったこと以外は、実施例5と同様にして比較例4の円偏光フィルターを得た。
[比較例5]
比較例1と同様にして製作した円偏光分離層をプラスチック製の円形のフィルターホルダーにセットし その円偏光分離層側に円偏光分離層から1mmの距離に厚さ1.1mmのガラス板を設置して、比較例5のガラスカバー付円偏光フィルターを得た。
(直透過率、5°正反射率、散乱透過率、散乱反射率の測定)
直透過率、5°正反射率はJASCO製の分光光度計V−670に絶対反射率測定ユニットARV474S型を組み合わせて、透過、反射の全角度測定値はV−670に積分球ユニットISN723型を組み合わせて測定した。直透過率は入射角0°で、反射率は入射角5°での測定値であり、散乱率は積分球の全角度測定値から直透過率、正反射率を差し引いて算出した。
左円偏光の直透過率、5°正反射率、散乱透過率、散乱反射率を測定するときは、光源側にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製の近赤外用直線偏光フィルム上にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製のアクロマティック波長板を、高速軸が偏光フィルムの吸収軸との面内でなす角度が45度になるように固定したものを設置して測定した。このとき、光源側から偏光フィルム、波長板の順になるように設置して測定した。このとき、光入射側に偏光板が来るようにしてCircular Polarizanceを測定することによって、左円偏光板(左円偏光を透過する偏光板)となっていることを確認した。
右円偏光の直透過率、5°正反射率、散乱透過率、散乱反射率を測定するときは、光源側にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製の近赤外用直線偏光フィルム上にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製のアクロマティック波長板を、上記の固定位置に対し90°回転させて固定したものを設置し、同様に測定した。
(円偏光度の測定)
実施例1〜7、比較例1〜5の円偏光フィルターの円偏光度を測定した。円偏光度の測定は、選択反射波長が400nm〜800nmの範囲にある試料(実施例1〜4,7、比較例1、5)は、円偏光分離層側から測定光を入射する配置でAXOMETRIX社のAxoScanを用いて、5nmの波長ステップで円偏光度(Circular Polarizance)を測定することによって行った。一方、選択反射波長がその波長領域にない試料の円偏光度の測定は、可視紫外近赤外の透過型スペクトルメータを用いて、選択反射波長に対して四分の一波長の位相差板と直線偏光板を組み合わせた円偏光板を検出器側に設置して、透過光に含まれる左右の円偏光成分の光強度を別々に測定することによって求めた。なお、測定の際は、光の透過率が最大になるように試料フィルターの光源および検出器に対する傾きを調整した。測定された最大の円偏光度の結果は表2に示す。また、実施例1および比較例1の、波長400nm〜800nmの円偏光度のグラフを図2に示す。
(光電センサー用の円偏光フィルターとしての性能評価)
実施例1〜7、比較例1〜5の円偏光フィルター、鏡、光源(京セミ株式会社製KED880S4)、受光素子(新光電子株式会社製KS1364)を図4に示すように配置した。なお、フィルターは、可視光吸収層があるものについては、可視光吸収層に対して円偏光分離層が鏡側となるように配置し、ガラスカバーがあるものについては、ガラスカバーが鏡側となるように配置した。光源から中心波長880nmの非偏光をフィルターを介して鏡に対して照射し、鏡からの反射光が上記フィルターを透過した光を受光素子で感知して評価した。なお、測定の際は、フィルターを設置した状態で鏡位置で検知される光強度が最大になるように鏡の傾きおよび位置を調整した。フィルターが無い状態で測定した光強度の値を100として、フィルター設置して測定した値を補正して評価した。値が低いほど効果があることを示す。評価基準は以下の通りである。暗室は光を完全に遮断した状態で測定し、明室は白熱灯をともした状態で測定した。結果を表2に示す。
AA:0〜3
A:3〜10
B:10〜25
C:25〜50
D:50〜100
E:100以上
[比較例11]
液晶を配向させるため、富士フイルム株式会社製PETにラビング処理を施し、処理面に表3に示す塗布液A−1を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し液晶層を得た。配向欠陥を持たない液晶層上に液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を持たない液晶層となるため、この液晶層上に表3に示す塗布液A−2を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成して、非反射光散乱性円偏光分離層を得た。この非反射光散乱性円偏光分離層は配向欠陥を持たないことを偏光顕微鏡で確認した。その後、非反射光散乱性円偏光分離層の支持体となっていた富士フイルム株式会社製PETを剥離し、比較例11の円偏光フィルターを得た。
[実施例11]
富士フイルム株式会社製PET面に、表4に示す塗布液Bを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層を得た。このアクリル層上にラビング処理を施さずに表3に示す塗布液A−1を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、液晶層を得た。配向欠陥を有する液晶層上に液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を有する液晶層となるため、この液晶層上に表3に示す塗布液A−2を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成し、反射光散乱性円偏光分離層を得た。この反射光散乱性円偏光分離層は配向欠陥を持つことを偏光顕微鏡で確認した。
反射光散乱性円偏光分離層、非反射光散乱性円偏光分離層の貼合
上記で作製した反射光散乱性円偏光分離層の液晶層側の面に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と比較例11で作製した非反射光散乱性円偏光分離層の液晶層側の面とを気泡が入らないように貼りあわせ、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射した。その後、反射光散乱性円偏光分離層、非反射光散乱性円偏光分離層の支持体となっていた富士フイルム株式会社製PETを剥離し、実施例11の円偏光フィルターを得た。
[実施例12]
富士フイルム株式会社製PET面に、表4に示す塗布液Bを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層を得た。このアクリル層上にラビング処理を施さずに表3に示す塗布液A−1を乾燥後の乾膜の厚みが4.5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、液晶層を得た。この液晶層上に表に表3に示す塗布液A−2を乾燥後の乾膜の厚みが4.5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成して、反射光散乱性円偏光分離層を得た。
上記で作製した反射光散乱性円偏光分離層を比較例11で作製した非反射光散乱性円偏光分離層と同じ非反射光散乱性円偏光分離層と実施例11と同様の方法で貼合し実施例12の円偏光フィルターを得た。
[比較例12]
富士フイルム株式会社製PET面に、表4に示す塗布液Bを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層を得た。このアクリル層上にラビング処理を施さずに表3に示す塗布液A−3を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、液晶層を得た。この液晶層上に表3に示す塗布液A−4を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成して、反射光散乱性円偏光分離層を得た。
上記で作製した反射光散乱性円偏光分離層を比較例11で作製した非反射光散乱性円偏光分離層と同じ非反射光散乱性円偏光分離層と実施例11と同様の方法で貼合し比較例12の円偏光フィルターを得た。
[比較例13]
比較例11で得られた非反射光散乱性円偏光分離層の液晶層側の面上に、表5に示す塗布液Cを乾燥後の乾膜の厚みが10μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射した。その後、非反射光散乱性円偏光分離層の支持体となっていた富士フイルム株式会社製PETを剥離し、比較例13の円偏光フィルターを得た。
[実施例13]
富士フイルム株式会社製PET面に、表4に示す塗布液Bを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層を得た。このアクリル層上にラビング処理を施さずに表3に示す塗布液A−5を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、液晶層を得た。この液晶層上に表3に示す塗布液A−6を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成して、反射光散乱性円偏光分離層を得た。
ラビング処理を施した富士フイルム株式会社製PETのラビング処理面に、表3に示す塗布液A−5 を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し液晶層を得た。この液晶層上に表3に示す塗布液A−6を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、2層目の液晶層を形成して、非反射光散乱性円偏光分離層を得た。
上記で作製した反射光散乱性円偏光分離層を非反射光散乱性円偏光分離層と実施例11と同様の方法で貼合し実施例13の円偏光フィルターを得た。
[実施例14]
ラビング処理を施した富士フイルム株式会社製PET上のラビング処理面に、表6に示す塗布液Dを、2000rpmの回転数でスピン塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し位相差膜を形成した。
この位相差膜の位相差をAxometrix社のAxoScanを用いて、400nm〜800nmの範囲で測定し、これらの値を用いて880nmにおける位相差を外挿法で求めたところ220nmの位相差であった。
この膜の位相差膜表面にDIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。液晶分子の配向軸が偏光板の吸収軸との面内でなす角度が45度になるようにエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製の近赤外用直線偏光フィルムを貼り合せ、非反射光散乱性円偏光分離層を形成した。この非反射光散乱性円偏光分離層を上記のAxoScanを用いて、光入射側に偏光板が来るようにしてCircular Polarizanceを測定することによって、右円偏光板となっていることを確認した。
上記で作製した非反射光散乱性円偏光分離層の位相差膜の面上に実施例11で作製した反射光散乱性円偏光分離層と同様の反射光散乱性円偏光分離層を実施例11と同様の方法で貼合し実施例14の円偏光フィルターを得た。
[実施例15]
実施例11で作製した反射光散乱性円偏光分離層の液晶層側の面上に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と実施例11で作製した円偏光フィルターの非反射光散乱性円偏光分離層側の面とを気泡が入らないように貼りあわせ、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射した。その後、反射光散乱性円偏光分離層の支持体となっていた富士フイルム株式会社製PETを剥離し、実施例15の円偏光フィルターを得た。
[実施例16]
富士フイルム株式会社製IR80上に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と実施例11で作製した円偏光フィルターの非反射光散乱性円偏光分離層側の面とを気泡が入らないように貼りあわせ、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、フィルターを得た。その後、上記で作製したフィルターの富士フイルム株式会社製IR80側に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と実施例11で作製した円偏光フィルターの非反射光散乱性円偏光分離層側の面とを気泡が入らないように貼りあわせ、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、実施例16の円偏光フィルターを得た。
[実施例17]
実施例16で作製した円偏光フィルター上の片面に、東亞合成株式会社製粘着剤アロンタックS−1511改を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と厚み0.3mmのアクリル板(日東樹脂工業株式会社製フラット板(品番001))を気泡が入らないように貼りあわせた。その後、もう片側の面上に、東亞合成株式会社製粘着剤アロンタックS−1511改を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。この塗布面と厚み0.4mmのアクリル板(日東樹脂工業株式会社製フラット板(品番001))を気泡が入らないように貼りあわせ、実施例17の円偏光フィルターを得た。
(円偏光透過率の測定)
実施例11の反射光散乱性円偏光分離層のみ、非反射光散乱性円偏光分離層のみ、ならびに反射光散乱性円偏光分離層および非反射光散乱性円偏光分離層の積層体の円偏光透過率の測定を波長範囲700nm〜1100nmにおいて行った。積層体においては非反射光散乱性円偏光分離層の面から測定光を入射した。測定は、JASCO製の分光光度計V−670に絶対反射率測定ユニットARV474S型を組み合わせたもの用いて、10nmの波長ステップで、光源側にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製の近赤外用直線偏光フィルム上にエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製のアクロマティック波長板を、高速軸が偏光フィルムの吸収軸との面内でなす角度が45度になるように固定したものを設置して、直透過率を測定することによって行った。このとき、光源側から偏光フィルム、波長板の順になるように設置して測定した。このとき、光入射側に偏光板が来るようにしてCircular Polarizanceを測定することによって、右円偏光板(右円偏光を透過する偏光板)となっていることを確認した。なお、測定の際は、光軸に対し、円偏光分離フィルタが90°となるように位置を調整した。測定された円偏光透過率の結果を図3に示す。
フィルム評価方法
作製した実施例11〜17および比較例11〜13の円偏光フィルターのそれぞれの反射光散乱性円偏光分離層、非円偏光分離層について、以下の項目で評価した。
(2−1) 直透過率、5°正反射率、散乱透過率、散乱反射率:
上述の実施例1〜7、比較例1〜5の円偏光フィルターの直透過率、5°正反射率、散乱透過率、散乱反射率の測定と同様に測定した。
(光電センサー用の円偏光フィルターとしての性能評価)
作製した実施例11〜17および比較例11〜13の円偏光フィルター、鏡、光源(京セミ株式会社製KED880S4)、受光素子(新光電子株式会社製KS1364)を図4に示すように配置した。なお、フィルターは実施例11〜14、比較例12、13については反射光散乱性円偏光分離層が鏡側となるように、実施例17については、0.4mmのアクリル板が鏡側となるように、配置した。(実施例15、16は裏表対称の積層構造のため、どちらの面が鏡側となってもよい。)
光源から中心波長880nmの非偏光をフィルターを介して鏡に対して照射し、鏡からの反射光が上記フィルターを透過した光を受光素子で感知して評価した。なお、測定の際は、フィルターを設置した状態で鏡位置で検知される光強度が最大になるように鏡の傾きおよび位置を調整した。フィルターが無い状態で測定した光強度の値を100として、フィルター設置して測定した値を補正して評価した。外乱防止のため、周囲の光を完全に遮断した状態で測定した。
評価基準は以下の通りである。結果を表7に示す。
A:0〜5
B:6〜15
C:16〜100
全面にガラスを設置した構成でも円偏光度が向上していることから、円偏光フィルターを保護する目的で設置されるようなカバーガラスやプラスチック製の窓材などを通過した光の円偏光度がさらに低下する問題も、発明の円偏光フィルターを用いることによって、大きく改善できると考えられる。
1 円偏光フィルター
2 光源
3 受光素子(検出器)
4 対象物
5 透明ガラス
6 光遮断層

Claims (21)

  1. 特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターであって、
    前記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射する円偏光分離層を含み、
    前記円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層を含み、
    前記反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、かつ、
    前記円偏光フィルターは、前記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、前記特定の波長において他方のセンスの円偏光を前記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きい、円偏光フィルター。
  2. 前記の反射光散乱性円偏光分離層は、内部にコレステリック液晶相の配向欠陥を有し、かつ
    前記特定の波長の前記センスの円偏光の散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの散乱反射率/正反射率が大きい、請求項1に記載の円偏光フィルター。
  3. 前記円偏光フィルターは、前記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下であり、前記特定の波長において他方のセンスの円偏光を前記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下である請求項1または2に記載の円偏光フィルター。
  4. 前記反射光散乱性円偏光分離層は、前記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.10以下であり、前記特定の波長において他方のセンスの散乱反射率/正反射率が2.0以上7.5以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  5. 前記反射光散乱性円偏光分離層は前記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が10より大きく55以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  6. 前記反射光散乱性円偏光分離層は、少なくとも一方の表面側において前記コレステリック液晶相を形成する液晶化合物が水平配向している請求項1〜5のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  7. 前記反射光散乱性円偏光分離層がラビング処理を行わない膜表面に塗布した液晶化合物と空気界面配向剤とを含む組成物から形成された層である請求項1〜6のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  8. 前記円偏光分離層が非反射光散乱性円偏光分離層を含み、
    前記非反射光散乱性円偏光分離層は前記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射させる層であり、かつ、反射光散乱性円偏光分離層および非反射光散乱性円偏光分離層が選択的に透過させる円偏光のセンスは同一であり、非反射光散乱性円偏光分離層は、前記特定の波長において選択的に透過するセンスの円偏光の散乱透過率/直透過率が0.00以上0.05以下であり、前記特定の波長において他方のセンスの円偏光の散乱反射率/正反射率が0.00以上0.05以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  9. 反射光散乱性円偏光分離層は前記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が10より大きく55以下であり、非反射光散乱性円偏光分離層は前記特定の波長の自然光で測定したヘイズ値が1.0以下である、請求項8に記載の円偏光フィルター。
  10. 非反射光散乱性円偏光分離層がコレステリック液晶相を固定した層からなる請求項8または9に記載の円偏光フィルター。
  11. 非反射光散乱性円偏光分離層が直線偏光分離層と前記の特定の波長においてλ/4位相差層として機能する層との積層体からなる請求項8または9に記載の円偏光フィルター。
  12. 前記の特定の波長が波長800nm〜1500nmの範囲にある請求項1〜11のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  13. 前記の特定の波長を含まない波長域の少なくとも一部において光を遮断する光遮断層を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の円偏光フィルター。
  14. 波長380〜780nmの50nm幅以上の波長域において光を遮断する光遮断層を含む請求項12に記載の円偏光フィルター。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を照射できる光源とを含む光源装置。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサー。
  17. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を照射できる光源と前記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサーシステム。
  18. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を照射できる光源とを含み、
    前記光源、前記非反射光散乱性円偏光分離層、および前記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されている光源装置。
  19. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長の光を感知できる受光素子とを含み、前記受光素子、前記非反射光散乱性円偏光分離層、および前記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されているセンサー。
  20. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の円偏光フィルターと前記の特定の波長域内の波長の光を照射できる光源と前記の特定の波長域内の波長の光を感知できる受光素子とを含むセンサーシステムであって、
    前記光源、前記非反射光散乱性円偏光分離層、および前記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置され、かつ
    前記受光素子、前記非反射光散乱性円偏光分離層、および前記反射光散乱性円偏光分離層がこの順で配置されているセンサーシステム。
  21. 特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させるための円偏光フィルターの製造方法であって、
    前記の特定の波長において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に透過させ、他方のセンスの円偏光を選択的に反射する円偏光分離層を含み、
    前記円偏光分離層は反射光散乱性円偏光分離層を含み、
    前記反射光散乱性円偏光分離層はコレステリック液晶相を固定した層からなり、
    前記の反射光散乱性円偏光分離層の内部のコレステリック液晶相の配向欠陥を調整することにより、前記の反射光散乱性円偏光分離層が、前記特定の波長の前記センスの円偏光をいずれか一方の面から入射したときの散乱透過率/直透過率より、他方のセンスの円偏光を前記面から入射したときの散乱反射率/正反射率が大きくなるようにすることを含む製造方法。
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