JPWO2015022819A1 - 滑止手袋 - Google Patents

滑止手袋 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2015022819A1
JPWO2015022819A1 JP2015531746A JP2015531746A JPWO2015022819A1 JP WO2015022819 A1 JPWO2015022819 A1 JP WO2015022819A1 JP 2015531746 A JP2015531746 A JP 2015531746A JP 2015531746 A JP2015531746 A JP 2015531746A JP WO2015022819 A1 JPWO2015022819 A1 JP WO2015022819A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glove
porous layer
region
shape
skid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015531746A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6305408B2 (ja
Inventor
豊成 米光
豊成 米光
真子 豊國
真子 豊國
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Glove Co
Original Assignee
Showa Glove Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Glove Co filed Critical Showa Glove Co
Publication of JPWO2015022819A1 publication Critical patent/JPWO2015022819A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6305408B2 publication Critical patent/JP6305408B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A41WEARING APPAREL
    • A41DOUTERWEAR; PROTECTIVE GARMENTS; ACCESSORIES
    • A41D19/00Gloves
    • A41D19/015Protective gloves
    • A41D19/01547Protective gloves with grip improving means
    • A41D19/01558Protective gloves with grip improving means using a layer of grip improving material

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Gloves (AREA)

Abstract

本発明は、透湿性及び柔軟性に優れた滑止手袋を提供するものである。本発明の滑止手袋は、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体(1)と、この手袋本体(1)の外面側の少なくとも掌領域に含浸及び積層される多孔質層(2)とを備える滑止手袋であって、上記多孔質層(2)が、ポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成され、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状が形成されている。当該滑止手袋は、上記多孔質層(2)外面の凹凸形状における凸部占有率が30%以上80%以下であるとよい。また、当該滑止手袋は、上記凹凸形状の凸部(3、13)の平均厚さに対する凹部(4、14)の平均厚さの比が30%以上75%以下であるとよい。また、当該滑止手袋は、上記掌領域における多孔質層(2)の平均透湿度が6000g/m2・24h以上であるとよい。

Description

本発明は、滑止手袋に関する。
滑止加工が施された手袋としては、繊維製手袋の少なくとも掌側にゴム又は樹脂製のシート材を貼り付けた滑止手袋が知られている。このような滑止手袋の滑止効果を向上させるために、繊維製手袋に熱融着したゴムシートの表面に凹凸形状を形成させた滑止手袋が知られている。また、繊維製手袋を被覆したNBRや天然ゴムに気泡を含有させることにより、さらに滑止効果を向上させた滑止手袋が知られている(例えば、特開2006−169676号公報)。
ところが、NBRや天然ゴムで形成された層は透湿性や吸湿性が低いため、このような滑止手袋を長時間装着していると、汗によって手が蒸れたりべたついたりする。手が蒸れると、着用者自身の手の荒れを引き起こしたり、汗により雑菌が繁殖するなどの衛生上の問題が生じるおそれがある。
特開2006−169676号公報
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、透湿性及び柔軟性に優れた滑止手袋の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、この手袋本体の外面側の少なくとも掌領域に含浸及び積層される多孔質層とを備える滑止手袋であって、上記多孔質層がポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成され、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状が形成されていることを特徴とする。
当該滑止手袋は、掌領域に含浸及び積層する多孔質層をポリウレタンを主成分とする樹脂組成物により構成しているので、透湿性に優れ、着用者の手が蒸れることを抑制できる。また、当該滑止手袋は、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状が形成されていることにより、その凹凸形状の凹部が溝となって曲がりやすく、良好な柔軟性を発揮する。
当該滑止手袋の上記多孔質層外面の凹凸形状における凸部占有率としては、30%以上80%以下が好ましい。このように多孔質層外面の凹凸形状が形成された領域における凸部占有率を上記範囲内とすることで、当該滑止手袋は、十分な透湿性を有しながら優れた柔軟性を発揮することができる。
当該滑止手袋の上記凹凸形状の凸部の平均厚さに対する凹部の平均厚さの比としては、30%以上75%以下が好ましい。このように上記凸部の平均厚さに対する上記凹部の平均厚さの比を上記範囲内とすることで、当該滑止手袋は、優れた透湿性及び柔軟性を発揮することができる。
当該滑止手袋の上記掌領域における多孔質層の平均透湿度としては、6000g/m・24h以上が好ましい。このように多孔質層の平均透湿度を上記下限値以上とすることで、当該滑止手袋の透湿性をより高めることができ、当該滑止手袋を長時間使用した場合でも着用者の手が蒸れることを効果的に抑制できる。
当該滑止手袋は、上記多孔質層が、ポリウレタンと有機溶媒とを含む溶液に上記手袋本体を浸漬後、有機溶媒を水と置換することで形成されていることが好ましい。上記方法により、容易かつ確実に上記手袋本体に多孔質層を形成することができる。
当該滑止手袋は、上記凹凸形状における凸部の平面視形状が略六角形であり、複数の凸部がハニカム状に配設されていることが好ましい。このように、略六角形状の複数の凸部をハニカム状に配設することにより、当該滑止手袋の掌領域に一様に曲げやすい柔軟性を持たせることができ、また当該滑止手袋の意匠性が向上する。
当該滑止手袋の上記凸部の平面視形状が正六角形であることが好ましく、この正六角形の対向する2つの頂点を結ぶ直線と上記手袋本体の裾部中心及び中指中心を結ぶ直線との成す最小角度としては、0度以上30度以下が好ましい。上記凸部の平面視形状を正六角形とし、上記凸部のハニカム状に配設される向きを上記範囲内とすることで、当該滑止手袋の指部がより曲げやすくなる。また、当該滑止手袋の意匠性もより優れたものとなる。
当該滑止手袋は、上記手袋本体の爪領域及び指股領域に上記多孔質層が形成され、この爪領域及び指股領域において多孔質層が外面に凹凸形状を有さないことが好ましい。爪領域及び指股領域において外面に凹凸形状を形成しないことにより、当該滑止手袋の爪領域及び指股領域における強度を、多孔質層の外面に凹凸形状を有している他の領域の強度よりも高めることができる。すなわちこの構成により、当該滑止手袋の爪領域及び指股領域の部分の強度を高めることができる。
なお、上記「掌領域」とは、被把持物を握った際に内側となる面であって手首から指先までの領域(指を含む)を意味する。また、「爪領域」とは、着用者が滑止手袋を着用した際に、各指の先端部分の爪の位置に対応する領域を意味し、「指股領域」とは、隣接する各指の付け根の間の領域を意味する。また、「多孔質層外面の凹凸形状における凸部占有率」とは、多孔質層が形成されている領域のうち凹凸形状が形成されている領域の平面視面積に対する、その凹凸形状が形成されている領域内の全ての凸部の合計平面視面積の割合である。また、「凸部の平均厚さ」とは、滑止手袋の最内面から凸部の表面までの平均距離を意味し、「凹部の平均厚さ」とは、滑止手袋の最内面から凹部の表面までの平均距離を意味する。また、平面視形状が「略六角形」とは、外形が六角形に近似した形状を意味し、内部に凹部となる溝が形成されていたり、隣接する六角形部分と連結しているような形状も含むものとする。また、「正六角形の対向する2つの頂点を結ぶ直線と上記手袋本体の裾部中心及び中指中心を結ぶ直線との成す角度」とは、裾部中心及び中指中心を結ぶ直線の中指先端に向かう向きを基準として親指側への傾斜を正、小指側への傾斜を負とし、「最小角度」とは、正六角形の対向する2つの頂点を結ぶ3本の直線のうち、上記手袋本体の裾部中心及び中指中心を結ぶ直線との成す角度が最小のものを意味する。ここで「裾部中心」とは、平面上に掌を上側にして滑止手袋を静置した際の、裾部の端部の平面視中央の位置を意味する。また、「ハニカム状」とは、同一の六角形状を同一の向きに等間隔で配置した構成を意味する。
以上説明したように、本発明は、透湿性及び柔軟性に優れた滑止手袋を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る滑止手袋を掌側から見た模式的平面図である。 図1の滑止手袋の凹凸形状部の模式的部分断面図である。 図1の滑止手袋を手の甲側から見た模式的平面図である。 本発明の他の実施形態に係る滑止手袋の掌領域の一部拡大模式的平面図である。 多孔質層のハニカムパターンの向きを説明する図であり、ハニカムパターンの向きが中指方向と平行に配置されたときの模式的平面図である。 多孔質層のハニカムパターンの向きを説明する図であり、ハニカムパターンの向きと中指方向との成す角度が30°に配置されたときの模式的平面図である。 多孔質層のハニカムパターンの向きを説明する図であり、ハニカムパターンの向きと中指方向との成す角度が45°に配置されたときの模式的平面図である。 比較例4のNBR発泡層を形成した滑止手袋の掌側の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)であり、写真上部が手袋の外面側である。 実施例4の滑止手袋の凸部の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)であり、写真上部が手袋の外面側である。 実施例4の滑止手袋の凹部の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)であり、写真上部が手袋の外面側である。 実施例の多孔質層における、凸部占有率と透湿度との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
本実施形態の滑止手袋は、図1に示すように着用者の手を覆う繊維製の手袋本体1と、この手袋本体1の外面側の少なくとも掌領域に含浸及び積層される多孔質層2とを備え、この多孔質層2が、ポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成され、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状(凸部3及び凹部4)が形成されている。
<手袋本体>
手袋本体1は、繊維からなる糸を手袋状に編成したものである。この手袋本体1は、着用者の手本体を覆うよう袋状に形成された本体部と、着用者の指を覆うよう上記本体部から延設された延設部と、着用者の手首を覆うよう本体部から延設部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有する。上記延設部は着用者の第一指(親指)、第二指(人差指)、第三指(中指)、第四指(薬指)及び第五指(小指)をそれぞれ覆う第一指部、第二指部、第三指部、第四指部及び第五指部を有している。この第一指部から第五指部は、指先部が閉塞された筒状に形成されている。また、上記裾部は、着用者が手を挿入可能な開口部を有し、この開口側にかけて漸次拡径した筒状に形成されている。
図2に、当該滑止手袋の模式的部分断面図を示す。図2では、符号12が上記手袋本体1を編成する上記糸の繊維束の断面を示している。上記手袋本体1は、繊維束12の内外に隙間を有しており、この隙間にポリウレタンを主成分とする樹脂材料が浸入することにより、この樹脂材料で構成される多孔質層2が手袋本体1の掌領域に含浸され、多孔質層2が手袋本体1に強固に固着している。また手袋の内側で手や指の滑りを防止するために図2に示すように、多孔質層2は、手袋本体1の内面側まで手袋本体1の厚み方向の全体に亘って含浸していることが好ましい。
上記手袋本体1を構成する繊維としては、特に限定されず、綿、麻等の天然繊維、ポリアミド繊維(デュポン株式会社のナイロン)、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン株式会社のケブラー(登録商標))、超高強度ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社のダイニーマ(登録商標))等の合成繊維、ステンレスなどの金属繊維、グラスファイバーなどの無機繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。例えばステンレス繊維はナイロン等でカバーリングした複合糸として使用することができる。上記手袋本体1は、上記繊維からなる糸を編成して形成されているが、上記繊維を用いた不織布や上記繊維からなる糸を用いた織布を手袋の形に切り抜き、縫製して形成した手袋を用いても良い。なかでも、シームレス編機で編成された手袋が、縫い目がなく好ましい。
上記手袋本体1の平均厚みの上限としては、1mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。一方、上記手袋本体1の平均厚みの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。手袋本体1の平均厚みが上記上限を超える場合、当該滑止手袋の厚みが大きくなることで柔軟性が低下して、着用時における作業性が低下するおそれがある。逆に、手袋本体1の平均厚みが上記下限未満の場合、手袋自体の強度に欠け、耐久性が低下するおそれがある。なお、上記手袋本体1の平均厚みは、JIS L1086/L1096準拠の定圧厚さ測定器(例えば株式会社テクロックの「PG−15」)を用いて、多孔質層2が形成されていない領域の任意の5箇所を測定して得た値の平均値である。
なお、上記手袋本体1は、例えば柔軟剤、撥水撥油剤、抗菌剤等を用いて各種処理が行われていても良く、また、紫外線吸収剤等を塗布又は含浸等させて、紫外線防止機能が付与されていても良い。また、繊維そのものにこのような機能を示す薬剤を練り込んでも良い。
<多孔質層>
上記多孔質層2は、ポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成されており、上記手袋本体1の掌側及び手の甲側の一部の領域に含浸及び積層されている。図1に示すように、掌側の掌領域全体に亘って多孔質層2が含浸及び積層されており、爪領域5及び指股領域6を除く領域の外面にはプレス加工による凹凸形状が形成されている。爪領域5及び指股領域6の多孔質層2は、プレス加工がされておらず平坦面を有している。一方、上記手袋本体1の手の甲側には、図3に示すように、各指部の先端部の領域にのみ多孔質層2が含浸及び積層されており、手の甲側に積層されている多孔質層2は、プレス加工がされておらず平坦面を有している。しかし、プレス加工時に手の甲側を押し付ける必要があることから、手の甲側に積層されている多孔質層2がプレス加工を施されていても良い。
上記凹凸形状は、平面視で正六角形状の複数の凸部3がハニカム状に配設されて形成されている。すなわち、図5Aに示すように、平面視で同一の正六角形状の凸部3が、同じ向きに等間隔で配置されている。そして、複数の凸部3の間の部分が、多孔質層2の凹部4を形成している。なお、凸部3は、図1に示すように、一部(爪領域5及び指股領域6等)を除いて手袋本体1の掌領域の全体に亘ってハニカム状に配設されている。
多孔質層2の凹凸形状が形成されている領域における凸部3の占有率(多孔質層2が形成されている領域のうち凹凸形状が形成されている領域の平面視面積に対する、その凹凸形状が形成されている領域内の全ての凸部3の合計平面視面積の割合)の上限としては、80%が好ましく、78%がより好ましい。また、凸部3の占有率の下限としては、30%が好ましく、50%がより好ましい。上記凸部3の占有率が上記上限を超える場合、当該滑止手袋が摩耗しやすくなるおそれがある。一方、上記凸部3の占有率を上記下限以上とすることにより、当該滑止手袋に優れた透湿性を発揮させることができる。つまり、上記凸部3の占有率が上記下限未満になると、滑止手袋が十分な透湿性を得られないおそれがある。なお、凸部3の合計平面視面積とは、図2に示すように、平面視において、当該滑止手袋の断面における凹部4からの立ち上がり始めの部分を含めた凸部3の領域を凸部の平面視領域7とし、凹凸形状が形成されている領域におけるこれらの平面視領域7の面積を合計したものである。なお、凹部の平面視領域8は、平面視において、凹部4からの立ち上がり始めの部分を除いた凹部4の領域である。
また、上記凸部3の平均厚さt1(滑止手袋の最内面から凸部3の表面までの平均距離)の上限としては、1.2mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、上記凸部3の平均厚さt1の下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。上記凸部3の平均厚さt1が上記上限を超える場合、凸部3が脱離しやすくなるおそれがある。逆に、上記凸部3の平均厚さt1が上記下限未満の場合、グリップ力が十分に得られないおそれがある。なお、上記凸部3の平均厚さt1は、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社の「JSM−6060A」)を用いて滑止手袋の掌領域の断面を観察し、滑止手袋の最内面から凸部3の表面までの距離について任意の5箇所を測定して得た値の平均値である。
また、上記凹凸形状の凹凸差h(滑止手袋の最内面から凹部4の表面までの平均距離を凹部4の平均厚さt2としたときの凸部3の平均厚さt1と凹部4の平均厚さt2との差)の上限としては、0.7mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。一方、上記凹凸差hの下限としては、0.2mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。上記凹凸差hが上記上限を超える場合、凸部3が脱離しやすくなるおそれがあり、さらに透湿性も劣るおそれがある。逆に、上記凹凸差hが上記下限未満の場合、柔軟性及びグリップ力が十分に得られないおそれがある。なお、上記凹部4の平均厚さt2は、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社の「JSM−6060A」)を用いて滑止手袋の掌領域の断面を観察し、滑止手袋の最内面から凹部4の表面までの距離について任意の5箇所を測定して得た値の平均値である。
また、上記凸部3の平均厚さt1に対する上記凹部4の平均厚さt2の比(t2/t1)の上限としては、75%が好ましく、60%がより好ましい。また、上記凸部3の平均厚さt1に対する上記凹部4の平均厚さt2の比の下限としては、30%が好ましく、40%がより好ましい。上記凸部3の平均厚さt1に対する上記凹部4の平均厚さt2の比が上記上限を超える場合、滑止手袋の柔軟性が低下するおそれがある。また、上記凸部3の平均厚さt1に対する上記凹部4の平均厚さt2の比が上記下限未満であると、滑止手袋が摩耗しやすくなるおそれがある。
また、上記多孔質層2の平均透湿度の下限としては、6000g/m・24hが好ましく、8000g/m・24hがさらに好ましい。上記多孔質層2の平均透湿度が上記下限未満であると、その手袋を長時間装着していると、汗によって手が蒸れたりべたついたりするおそれがある。
上記凹凸形状は、図5A、図5B及び図5Cに示すように、平面視で同一の正六角形の凸部3を同じ向きに等間隔で配置して形成することが好ましい。さらに、凸部3の正六角形の対向する頂点を結ぶ直線(以下、ハニカムパターン方向11と呼ぶ)と、手袋本体1の裾部中心と中指中心を結ぶ直線(以下、中指方向10と呼ぶ)との成す最小角度θの下限としては、0°が好ましい。また、上記最小角度θの上限としては、30°が好ましく、25°がさらに好ましい。ここで、ハニカムパターン方向11と中指方向10との成す角度とは、中指方向10の中指先端に向かう向きを基準として親指側(図5Aに向かって右側であり、矢印Aで示す側)への傾斜を正とし、小指側(図5Aに向かって左側であり、矢印Aと反対の向き)への傾斜を負とするものとする。上記最小角度θが上記上限を超えると、凹部14によって形成される溝状の向きと指を曲げやすくする向きとの角度差が大きくなり、当該滑止手袋の柔軟性が低下するおそれがある。また、上記最小角度θが上記下限未満になった場合も、凹部14によって形成される溝状の向きと指を曲げやすくする向きとの角度差が大きくなり、当該滑止手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
また、上記凸部3の正六角形の対向する頂点を結ぶ対角線の長さの上限としては、7mmが好ましく、5mmがさらに好ましい。また、正六角形の対向する頂点を結ぶ対角線の長さの下限としては、1mmが好ましく、2mmがさらに好ましい。上記対角線の長さが上記上限を超えると、当該滑止手袋の柔軟性が低下するおそれがある。また、上記対角線の長さが上記下限未満であると、凸部3が脱離しやすくなるおそれがある。
上記多孔質層2は、上記手袋本体1の爪領域5及び指股領域6にも形成されているが、この爪領域5及び指股領域6では多孔質層2の外面に凹凸形状は形成されていない。すなわち、爪領域5及び指股領域6に積層されている多孔質層2の外面は凹凸の無い平坦面である。
一般に、滑止手袋の凹凸形状を形成した部分の柔軟性は向上するが、強度は低下する。これに対し、当該滑止手袋では、爪領域5及び指股領域6に多孔質層2を形成し、これらの領域には凹凸形状を形成しないようにすることで、爪領域5及び指股領域6の強度を向上させている。
上記多孔質層2は、主成分とするポリウレタン以外に、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、イソプレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、あるいは10質量%以下のカルボキシル変性基等をもつ共重合体などが含まれていてもよい。また、周知の架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、増粘剤等を添加するとともに、起泡剤、整泡剤を添加してもよい。起泡剤としては、スルホコハク酸アルキルモノアミドジナトリウム、オレイン酸カリ、ひまし油カリ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダなどを利用できる。整泡剤としては、ステアリン酸アンモニウム、ペプチド、アルキルジプロピオン酸ソーダ等を利用できる。ここでアルキルは、ラウリル、オクチル、ステアリルを意味する。
<滑止手袋の製造方法>
当該滑止手袋は種々の方法によって製造可能であるが、その一例を以下に示す。
繊維からなる糸を手袋状に編成した手袋本体1を準備し、浸漬加工用手型に手袋本体1を被せたものを、ポリウレタンとジメチルホルムアミド(DMF)とを含む溶液に浸漬する。その後、DMFを水と置換することでポリウレタンを析出させ、手袋本体1に含浸及び積層させた多孔質層2を形成する。なお、DMFにメチルエチルケトン(MEK)等の既知の有機溶媒を混合して使用してもよい。
次に、その手袋本体1を平型に被せ、凹凸板を掌領域の上に設置し、プレスすることにより手袋の外面に凹凸形状を形成する。このとき、爪領域5及び指股領域6の部分には、このプレスを行わないか、これらの部分に積層された多孔質層2の厚さが変化しない程度のわずかなプレスを行う。その結果、プレス後の当該滑止手袋の爪領域5及び指股領域6における平均厚さは、凸部3の平均厚さと略等しくなる。なお、ここで手袋をプレスする際は、凹凸板を加熱してプレスする等、加熱しながらプレスすることが好ましい。加熱しながらプレスすることにより、手袋の外面に凹凸形状が形成されやすくなる。また、プレスを行わない爪領域5及び指股領域6は、凹凸板によって加熱されることにより強度が向上する。
上記溶液中のポリウレタンの固形分濃度の上限としては、14質量%が好ましく、13質量%がさらに好ましい。また、上記溶液中のポリウレタンの固形分濃度の下限としては、10質量%が好ましく、11質量%がさらに好ましい。ポリウレタンの固形分濃度が上記上限を超えると、当該滑止手袋の柔軟性が損なわれるおそれがある。また、ポリウレタンの固形分濃度が上記下限未満であると、上記多孔質層2による被膜の強度が損なわれ、当該滑止手袋の耐久性が低下するおそれがある。
一般に、上記溶液中の固形分を多くすると、手袋本体1に含浸及び積層される樹脂の密度が高くなり、樹脂被膜の強度が向上するが、手袋が固くなり柔軟性が損なわれる。しかし、当該滑止手袋は、上記多孔質層2の外面に凹凸形状が形成されていることにより柔軟性が向上しているので、上記溶液中の固形分を多くしても当該滑止手袋には十分な柔軟性が確保される。
<利点>
上記構成からなる当該滑止手袋は、掌領域に含浸及び積層する多孔質層2をポリウレタンを主成分とする樹脂組成物により構成しているので、透湿性に優れ、着用者の手が蒸れることを抑制できる。また、当該滑止手袋は、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状が形成されていることにより、その凹凸形状の凹部が溝となって曲がりやすく、良好な柔軟性を発揮する。
また、当該滑止手袋は、上記多孔質層が、ポリウレタンと有機溶媒とを含む溶液に上記手袋本体を浸漬後、有機溶媒を水と置換することで形成されているので、容易かつ確実に上記手袋本体に多孔質層を形成することができる。
また、当該滑止手袋の上記凹凸形状における凸部の平面視形状が正六角形であり、複数の凸部がハニカム状に配設されているので、当該滑止手袋の掌領域に一様に曲げやすい柔軟性を持たせることができ、また当該滑止手袋の意匠性が向上している。
また、当該滑止手袋は、上記手袋本体の爪領域及び指股領域に上記多孔質層が形成され、この爪領域及び指股領域において多孔質層が外面に凹凸形状を有さないことにより、当該滑止手袋の爪領域及び指股領域の部分で高い強度を有する。
[その他の実施形態]
なお、本発明は上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。上記実施形態において、図2に示す構成では、多孔質層2が凹凸側と反対側の手袋本体1の面(内面)まで、すなわち、手袋本体1の厚み方向の全体に亘って含浸しているが、この手袋本体1内部へ含浸させる程度を変えてもよい。例えば、多孔質層2が手袋本体1内部の厚み方向の中央付近まで含浸させてもよい。なお、厚み方向の全体に亘って含浸したほうが、手袋の中で手が滑らないため好ましい。
また、上記実施形態の凹凸形状を構成している凸部3は、平面視で正六角形の形状としたが、正六角形ではない六角形状とし、その複数の凸部を歪んだハニカム状に配設する構成としてもよい。さらに、凸部3の平面視による形状を、六角形状に限らず、楕円形状や六角形以外の多角形状として、同一方向に複数等間隔に配置してもよい。また、凸部の一部が連結した形状として構成してもよい。また、略六角形状として、図4に示す凸部13を有してもよい。図4では、一つの凸部13の外形を太い破線で示している。図4に示す凸部13は、このように略六角形の外形を有し、その内部に凹部14を構成する2つの溝が形成されており、隣接する凸部13が互いに連結している。また、これらの凹凸形状は、掌領域全体に限らず、任意の部分に施しても良く、さらに、一種類の凹凸形状に限らず、複数の凹凸形状を組み合わせてもよい。このように凸部を形成及び配置することによっても柔軟性が得られる。
また上記実施形態において、多孔質層2は、手袋本体1の掌領域に含浸及び積層されているが、手袋本体1の手の甲側の領域にも多孔質層が含浸及び積層されていてもよい。手の甲側の領域にも多孔質層を形成することにより、滑止手袋の強度を向上させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリウレタン(DIC株式会社のポリウレタン「MP−182」)をDMFで樹脂固形分12質量%に希釈した溶液を用意した。浸漬用手型にナイロン糸(280d(311dtex))を13G手袋編み機(株式会社島精機製作所の「N−SFG」)で編んだ編み手袋(厚み0.7mm)を被せたものを掌側のみ上記溶液に浸漬し、引き上げた。次いで水温25℃の水槽中で2時間、DMFと水を置換することにより多孔質ポリウレタンを形成させた。水槽から浸漬用手型を引き上げた後、浸漬用手型から手袋を抜き、その手袋を軽く脱水した後に平型に被せて、140℃に加熱した凹凸板を掌側に1kgf/cmで3秒間プレスし、手袋の掌側の外面を凹凸模様にプレス加工した。ここで、手袋の掌側の外面に凸部占有率25%の凹凸を形成するために、プレスに用いる凹凸板としては、凹部占有率25%、凹部深度0.5mm、正六角形状の凹部の直径(正六角形の対向する頂点を結ぶ対角線の長さ)2.6mmの凹凸板を用いた。その後、手袋を100℃のオーブンに入れて40分間乾燥させ、掌側に凹凸形状を有する多孔質ポリウレタンが積層された滑止手袋を得た。
なお、プレスによって生じる凹凸差hは、プレス板の凹部深度よりも小さくなることがある。これはプレスされた部分に元の厚みに戻ろうとする力が働くためである。実施例1の手袋では、凹凸差hは0.45mmとなった。
プレス加工する際、多孔質層に水分が含まれているとプレスの成形性が向上するので、上述のように、ポリウレタンを多孔質化させた後の手袋は乾燥させずに軽く脱水するだけで、次のプレス加工の工程を行うのが好ましい。
なお、プレス加工をする直前の多孔質層が積層されている部分の手袋の平均厚み(滑止手袋の最内面から多孔質層の外面までの平均距離)は、0.85mmであった。また、プレス加工に用いた凹凸板は、プレス加工する際には、滑止手袋の多孔質層の凹部の厚み(t2)が0.4mmになるように、凹凸板を手袋に押し当てた。
[実施例2〜実施例11]
プレス加工する際に、凹部占有率、凹部深度又は凹部の直径が実施例1とは異なる凹凸板を用いて、実施例1の滑止手袋の凸部占有率、凹凸差又は凸部の直径を表2のように変更したものを実施例2〜実施例7、実施例9〜実施例11の滑止手袋として用意した。また、編み手袋を浸漬する溶液として、ポリウレタンをDMFで樹脂固形分10質量%に希釈した溶液を用いて得たものを、実施例8の滑止手袋として用意した。
[比較例1〜比較例3]
また、実施例1の滑止手袋を、表2のように凹凸形状を有しない構成に変更したものを比較例1〜比較例3の滑止手袋として用意した。比較例1の滑止手袋は、プレス面が平面形状のプレス板を用いたものであり、比較例2及び比較例3の滑止手袋は、プレス加工を行わなかったものである。
[比較例4]
NBRラテックスを主成分とする表1に示す熱可塑性樹脂のコンパウンド1を水で総固形分38質量%に希釈し、家庭用自動ハンドミキサーで攪拌して発泡させて、気泡含有量100体積%に調整した。気泡含有量は比重測定にて確認した。なお、表1においてコンパウンド1の各成分は、NBRラテックス中のNBRゴム分を100質量部として計算したものである。次に、実施例1と同じナイロン製編み手袋を浸漬用手型に被せ、凝固液である10質量%の硝酸カルシウムメタノール溶液に浸漬してから、上記発泡したコンパウンドに掌側のみ浸漬し、75℃10分間の熱セットの後に浸漬用手型から手袋を抜いた。その手袋を余分な界面活性剤を除去する為に洗浄し、軽く脱水した後、その手袋を平型に被せて、140℃に加熱した凹凸板を掌側に1kgf/cmで3秒間プレスし、手袋の掌側の外面を凹凸模様にプレス加工した。ここで、プレスの際には、実施例4と同じ凹凸板(凹部占有率75%、凹部深度0.5mm、正六角形状の凹部の直径2.6mm)を用いた。その後、手袋を100℃のオーブンに入れて40分間乾燥させ、掌側に凹凸形状を有するNBRの発泡層が積層された滑止手袋を得た。この滑止手袋を、比較例4の滑止手袋とした。
Figure 2015022819
<柔軟性試験>
上記実施例及び比較例で作成した各手袋の柔軟性について官能評価を行った。具体的には、被験者10名が上記実施例及び比較例で作成した各手袋を着用し、下記の評価基準に基づいて柔軟性について5段階の評価をした。結果を表2に示す。
(柔軟性の評価基準)
A :柔軟性が有り、掌領域の屈曲が極めて良好
B :柔軟性が有り、掌領域の屈曲が良好
C :柔軟性が有り、掌領域の屈曲がやや良好である
D :柔軟性が無く、掌領域の屈曲に支障はない
E :柔軟性が無く、掌領域の屈曲が困難
<透湿性試験>
上記実施例及び比較例で作成した各手袋の掌領域中央から採取した試験片を用いて、それぞれの透湿度をJIS L 1099 A−1法に準拠して測定した。測定した透湿度について、下記の評価基準に基づいて4段階の評価をした。この結果を表2に示す。
(透湿性の評価基準)
A :透湿度が、8000g/m・24h以上
B :透湿度が、7000g/m・24h以上8000g/m・24h未満
C :透湿度が、6000g/m・24h以上7000g/m・24h未満
D :透湿度が、6000g/m・24h未満
<指部摩耗強度試験>
上記実施例及び比較例で作成した各手袋の指部摩耗強度試験を、学振式摩耗堅牢度試験機(株式会社大栄科学精器製作所の学振型摩擦試験機「RT−200」)にて実施した。親指、人差指、中指の樹脂積層部から研磨面(2cm×2cm)に貼付できる大きさに切り取られた試験片(2cm×5cm)を摩擦子(重さ500g)に貼付し、耐水研磨紙(三共理科学株式会社の「DCCS−1500」)をステンレス台に貼付して、試験片と耐水ペーパーが接するように摩擦子を下ろす。そして、ステンレス台を前後運動させることで試験片に摩耗を生じさせる。ステンレス台が1往復することで1回カウントし、50回カウントした時の樹脂の摩耗質量を測定した。各手袋について、親指、人差指、中指から採取した試験片ごとに測定し、それらの平均値をその手袋の測定値とした。なお、これらの試験片に爪領域は含まれていない。測定した摩耗質量について、下記の評価基準に基づいて4段階の評価をした。この結果を表2に示す。
(指部摩耗強度の評価基準)
A :摩耗質量が、2.0mg未満
B :摩耗質量が、2.0mg以上3.5mg未満
C :摩耗質量が、3.5mg以上5.0mg未満
D :摩耗質量が、5.0mg以上
<指股摩耗強度試験>
上記実施例及び比較例で作成した各手袋について、欧州規格EN388に準拠して指股摩耗強度試験を実施した。試験機には、James H.Heal&Co.Ltd.の「Nu−Martindale」を用いた。各手袋の指股部からφ12mmの接触面を覆う大きさに切り取った試験片を専用固定冶具(重さ433g)に装着し、試験機に設置した耐水研磨紙(三共理科学株式会社の「DCCS−800」)とすり合わせて摩耗させ、試験片が貫通するまでの回数を測定した。測定した回数について、下記の評価基準に基づいて4段階の評価をした。この試験では、各資料について最大1000回の上記摩擦試験を行った。この結果を表2に示す。表2において「1000<」と示しているものは、摩耗回数1000回で試験片が貫通しなかったことを示している。
(指股摩耗強度の評価基準)
A :摩擦回数が、1000回以上
B :摩擦回数が、600回以上999回以下
C :摩擦回数が、400回以上599回以下
D :摩擦回数が、399回以下
Figure 2015022819
なお、表2において「凸部の直径」とは、平面視による凸部の正六角形の対向する頂点を結ぶ対角線の長さを示し、「凹凸の比」とは、凸部の平均厚さに対する凹部4の平均厚さの比(t2/t1)を示している。
表2の結果より、実施例1〜実施例11の手袋は、柔軟性、透湿性、指部摩耗強度及び指股摩耗強度に優れており、ポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成される多孔質層を掌領域に含浸及び積層し、その外面にプレス加工による凹凸形状を形成する構成とすることにより、透湿性及び柔軟性に優れるとともに耐久性にも優れた滑止手袋を得られることがわかる。特に、実施例3及び実施例4の手袋は、凸部占有率が大きいことにより、非常に優れた透湿性が得られることがわかる。
掌領域全体を一様にプレスした比較例1の手袋では、柔軟性及び透湿性が劣っていることがわかる。これは、プレスにより多孔質層のセルが消滅したためと考えられる。ポリウレタン層のすべてを凹凸をつけずにプレス加工すると、ポリウレタン層の樹脂密度が均一に高くなるため、耐摩耗性が向上しやすくなるが透湿性が悪くなると考えられる。
また、プレス加工をしていない比較例2の手袋は、透湿性、指部摩耗強度及び指股摩耗強度において優れているが、柔軟性が劣っている。これはポリウレタン多孔質層の外面が凹凸の無い形状であることにより曲がりにくいからである。
表2において凹凸差についてみると、実施例4、実施例6及び実施例7を比較すると、凹凸差がある程度大きい方が、柔軟性及び透湿性が向上することがわかる。
表2においてDMF溶液中のポリウレタンの固形分濃度についてみると、実施例4と実施例8とを比較して、固形分量が少なくなると、柔軟性及び透湿性については優れた特性が維持されるものの、指部摩耗強度及び指股摩耗強度が低下する。これは、多孔質層におけるポリウレタンの密度が低下したことにより強度が低下したと考えられる。
また、DMF溶液中のポリウレタンの固形分濃度が等しい実施例8と比較例3とを比較すると、実施例8の方が比較例3よりも指股摩耗強度が優れている。これは、実施例8の手袋の指股領域はプレスされていないが、プレス時に加熱した凹凸板の熱を受けて加熱されたことにより指股摩耗強度が向上したと考えられる。
表2において凸部の直径についてみると、実施例4、実施例9、実施例10及び実施例11を比較すると、凸部の直径の違いにより、透湿性、指部摩耗強度及び指股摩耗強度に差はみられないものの、凸部の直径が大きくなるにつれて柔軟性が低下することがわかる。これは、凸部の直径が大きくなるにつれて、屈曲するときの起点となる溝状の凹部が少なくなるためと考えられる。
また表2の結果より、実施例1〜実施例5の手袋は、NBR発泡層が積層された比較例4の手袋に比べて、透湿性に優れるとともに耐久性にも優れることがわかる。
比較例4のNBR発泡層を形成した滑止手袋の掌側の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)を図6Aに示す。また、実施例4の滑止手袋の凸部の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)を図6Bに示し、実施例4の滑止手袋の凹部の断面を示す電子顕微鏡写真(100倍)を図6Cに示す。
図6Aに示すように、比較例4のNBRの発泡層が積層された手袋では、気泡(セル)の孔径が大きく、セル壁(セルの間隔)が厚いことがわかる。これは、ハンドミキサーで攪拌して機械的にNBRを発泡させたことにより、各セルが独立して形成されたためと考えられる。また、NBRは、手袋本体(基布)の内面側までは含浸していないことがわかる。
一方、図6Bに示すように、実施例4の手袋の凸部では、セルの孔径が大小さまざまであり、表面側に微細セルが多い。また、セルが手袋本体(基布)の内面側まで全体的に広がっており、図6Aに比べてセル壁が薄いことがわかる。これにより、実施例1〜実施例11の手袋は、比較例4の手袋に比べて高い透湿性を発現できると考えられる。
また、図6Cに示すように、実施例4の手袋の凹部では、孔径の大きいセルが無く、図6Bに示す凸部の場合に比べてセル壁が厚いことがわかる。これは、プレス加工時のプレスによりセルが消滅したためと考えられる。従って、凹部における透湿性は凸部における透湿性よりも低くなるので、多孔質層における凸部の領域の割合(面積比)が、滑止手袋の透湿性に大きく影響すると考えられる。
図7のグラフに、凸部占有率と透湿度の関係を示す。図7では、プレス加工の際に用いるプレス板の凹部占有率のみが異なる実施例及び比較例の測定結果を示している。具体的には、実施例1〜実施例5、比較例1及び比較例2における透湿度を示している。
図7より、凸部占有率が増加するに従って透湿度が向上することがわかる。凸部占有率を80%程度とすると、プレス加工をしていない比較例2の手袋と同程度の非常に高い透湿度を有する滑止手袋とすることができる。また、凸部占有率を50%とすると、比較例2の手袋に劣らない高い透湿度を有する滑止手袋とすることができる。また、凸部占有率を30%以上とすれば、6000g/m・24h以上の高い透湿度を発現させることができ、十分な透湿度を有する滑止手袋とすることができる。
<ハニカムパターンの形成角度の検討>
次に、実施例4において、プレス加工時に用いた凹凸板を平型に被せた編み手袋に押し当てる角度を変えて、手袋の外面にハニカム状に形成される凸部の正六角形の対向する2つの頂点を結ぶ直線(ハニカムパターン方向11)と、手袋本体の裾部中心及び中指中心を結ぶ直線(中指方向10)との成す角度が異なる滑止手袋を作成して、曲げ試験により各滑止手袋の柔軟性を確認した。
図5A、図5B及び図5Cに示すように、ハニカムパターン方向11と中指方向10との成す角度(ハニカムパターン角度)θを、0°、30°及び45°とした滑止手袋を作成し、各手袋の指部における柔軟性について官能評価を実施した。なお、中指方向10の中指先端に向かう向きを基準として親指側(図5Aに向かって右側であり、矢印Aで示す側)への傾斜を正とした。なお、評価方法は柔軟性試験と同様とした。この結果を表3に示す。
Figure 2015022819
表3より、ハニカムパターン角度θが0°のとき、すなわちハニカムパターン方向11が中指方向10と平行のときに柔軟性に優れ、このハニカムパターン角度θが30°を超えると柔軟性が低下することがわかる。ハニカムパターン方向11が30°以下の範囲であれば、滑止手袋の指部分について十分な柔軟性が得られることがわかる。
以上のように、透湿性及び柔軟性に優れた本発明の滑止手袋は、例えば工場等において作業者が着用したり、運搬作業に際して作業者が着用したり、ドライブに際してドライバーが着用する等、種々の目的で用いることができる。
1 手袋本体
2 多孔質層
3、13 凸部
4、14 凹部
5 爪領域
6 指股領域
7 凸部の平面視領域
8 凹部の平面視領域
10 中指方向
11 ハニカムパターン方向
12 手袋本体の繊維束(糸)

Claims (8)

  1. 着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、
    この手袋本体の外面側の少なくとも掌領域に含浸及び積層される多孔質層と
    を備える滑止手袋であって、
    上記多孔質層が、ポリウレタンを主成分とする樹脂組成物から構成され、掌領域の外面にプレス加工による凹凸形状が形成されていることを特徴とする滑止手袋。
  2. 上記多孔質層外面の凹凸形状における凸部占有率が30%以上80%以下である請求項1に記載の滑止手袋。
  3. 上記凹凸形状の凸部の平均厚さに対する凹部の平均厚さの比が30%以上75%以下である請求項1又は請求項2に記載の滑止手袋。
  4. 上記掌領域における多孔質層の平均透湿度が6000g/m・24h以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の滑止手袋。
  5. 上記多孔質層が、ポリウレタンと有機溶媒とを含む溶液に上記手袋本体を浸漬後、有機溶媒を水と置換することで形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の滑止手袋。
  6. 上記凹凸形状における凸部の平面視形状が略六角形であり、複数の凸部がハニカム状に配設されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の滑止手袋。
  7. 上記凸部の平面視形状が正六角形であり、この正六角形の対向する2つの頂点を結ぶ直線と上記手袋本体の裾部中心及び中指中心を結ぶ直線との成す最小角度が0度以上30度以下である請求項6に記載の滑止手袋。
  8. 上記手袋本体の爪領域及び指股領域に上記多孔質層が形成され、この爪領域及び指股領域において多孔質層が外面に凹凸形状を有さない請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の滑止手袋。
JP2015531746A 2013-08-12 2014-07-03 滑止手袋 Active JP6305408B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013167796 2013-08-12
JP2013167796 2013-08-12
PCT/JP2014/067845 WO2015022819A1 (ja) 2013-08-12 2014-07-03 滑止手袋

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015022819A1 true JPWO2015022819A1 (ja) 2017-03-02
JP6305408B2 JP6305408B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=52468209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015531746A Active JP6305408B2 (ja) 2013-08-12 2014-07-03 滑止手袋

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6305408B2 (ja)
CN (1) CN105473016B (ja)
WO (1) WO2015022819A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200178626A1 (en) * 2018-12-05 2020-06-11 Showa Glove Co. Glove

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108308764A (zh) * 2018-04-24 2018-07-24 重庆大学 一种用于人工磨样的手套和该手套的制作方法
CN108749168B (zh) * 2018-06-08 2020-08-18 广东省良展有机硅科技有限公司 高湿摩擦硅橡胶及其制备方法
JP6435435B1 (ja) * 2018-06-18 2018-12-05 ショーワグローブ株式会社 作業用手袋
CN108773820B (zh) * 2018-08-14 2019-06-04 北京大医未然生物科技有限公司 一种快速安全开启指套
JP2020056132A (ja) * 2018-10-03 2020-04-09 勝星産業株式会社 手袋及びその製造方法
CN111358093A (zh) * 2020-03-04 2020-07-03 无锡中博天际核生化应急装备科技有限公司 一种医用废弃物处理防护手套及其制备方法
JP2021177020A (ja) * 2020-05-06 2021-11-11 トップ・グローブ・インターナショナル・スンディリアン・ブルハド 薄膜物品のエンボスメント

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06158406A (ja) * 1992-11-24 1994-06-07 Asahi Chem Ind Co Ltd 作業用手袋
JP4242338B2 (ja) * 2004-12-17 2009-03-25 ショーワグローブ株式会社 滑止め手袋
US20090139008A1 (en) * 2007-11-09 2009-06-04 Under Armour, Inc. Golf Glove
JP2011063923A (ja) * 2009-08-19 2011-03-31 Showa Glove Kk 手袋
JP2013104134A (ja) * 2011-11-10 2013-05-30 Showa Glove Kk 手袋及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7378043B2 (en) * 2005-01-12 2008-05-27 Ansell Healthcare Products Llc Latex gloves and articles with geometrically defined surface texture providing enhanced grip and method for in-line processing thereof
EP2064962B1 (en) * 2006-09-04 2013-10-09 SHOWA GLOVE Co. Glove
JP2008214794A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Toray Coatex Co Ltd 立体形状を有する手袋インサート及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06158406A (ja) * 1992-11-24 1994-06-07 Asahi Chem Ind Co Ltd 作業用手袋
JP4242338B2 (ja) * 2004-12-17 2009-03-25 ショーワグローブ株式会社 滑止め手袋
US20090139008A1 (en) * 2007-11-09 2009-06-04 Under Armour, Inc. Golf Glove
JP2011063923A (ja) * 2009-08-19 2011-03-31 Showa Glove Kk 手袋
JP2013104134A (ja) * 2011-11-10 2013-05-30 Showa Glove Kk 手袋及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200178626A1 (en) * 2018-12-05 2020-06-11 Showa Glove Co. Glove
US11825896B2 (en) * 2018-12-05 2023-11-28 Showa Glove Co. Glove with anti-slipping function

Also Published As

Publication number Publication date
CN105473016B (zh) 2018-06-12
CN105473016A (zh) 2016-04-06
WO2015022819A1 (ja) 2015-02-19
JP6305408B2 (ja) 2018-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6305408B2 (ja) 滑止手袋
DK3175727T3 (en) SUPPORT GLOVE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SUPPORT GLOVE
US10349691B2 (en) Glove
RU2438535C2 (ru) Устойчивая к разрезам перчатка (варианты)
US9622526B2 (en) Glove, and method for producing the same
US7814571B2 (en) Lightweight thin flexible polymer coated glove and a method therefor
RU2492779C2 (ru) Легкая прочная тонкая эластичная перчатка с полимерным покрытием
WO2011158696A1 (ja) 作業用手袋
US20130091618A1 (en) Glove
US20140041096A1 (en) Non-slip finished glove and method for manufacturing the same
WO2010127123A1 (en) Knitted gloves having a single layer with a plurality of yarns
CN110290717B (zh) 薄涂层支撑手套
WO2015105070A1 (ja) 滑止手袋
US20130180028A1 (en) Glove
JP2012031553A (ja) 手袋及びその製造方法
CN114207211A (zh) 薄型高耐切割无缝手套
JP5384090B2 (ja) 滑り止め手袋及びその製造方法
JP2022176103A (ja) 滑止手袋
KR20230025610A (ko) 손가락 부위 절단 방지용 장갑
JP3120280U (ja) 作業用手袋

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171002

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180306

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6305408

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250